JP4858367B2 - 固体撮像素子の製造方法 - Google Patents
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このため、CMOSセンサ(CMOS型固体撮像素子)においても、画素を微細化して素子を高集積化することが求められる。
このことから、裏面側(配線部とは反対側)より受光センサ部に光を照射する構成のCMOSセンサ、いわゆる裏面照射型CMOSセンサの開発が行われている。
このCMOSセンサ100では、受光センサ部102のシリコン基板101が薄く形成されているため、入射光Lの感度を高くすることができる。
また、配線層104を受光センサ部102上に形成しても入射光Lが遮られないため、配線層104のレイアウトの自由度が高くなる。これにより、配線層104を多層に形成して画素の面積を縮小することにより、素子の高集積化を図ることができる。
これらのことから、暗電流の発生原因となっている。
さらに、光吸収はシリコン層の厚さに依存するが、研摩により薄くしていることから受光センサ部のシリコン層(シリコン基板)の厚さの制御性が悪く、そのためにセンサとしての分光特性がばらつくことになる。
このような問題により、製造歩留まりが悪くなり、コストが高くなってしまう。
このため、微細な画素を実現することが難しい。
また、シリコン基板と中間層とシリコン層とが積層された積層基板を使用して、この積層基板のシリコン層に受光センサ部の半導体領域を形成するため、受光センサ部の半導体領域を形成するシリコン層の界面が比較的安定しており、シリコン層の厚さを制御して、固体撮像素子の分光特性を安定化することが容易になる。
しかも、半導体領域を形成するシリコン層に対しては、表面側に配線部を形成し、裏面側のシリコン基板及び中間層を除去することから、シリコン層を研摩する必要がなく、シリコン層に機械的ダメージが入らないようにすることが可能になる。
そして、シリコン層が薄い積層基板を使用すれば、上述した本発明の固体撮像素子の構成、即ち受光センサ部の半導体領域が形成されたシリコン層が10μm以下(或いは5μm以下)と薄い構成の固体撮像素子を製造することが可能になる。
また、シリコン層が薄い積層基板を使用すれば、受光センサ部の半導体領域が形成されたシリコン層が薄い構成の固体撮像素子を容易に製造することができる。
特に、比較的低温の熱処理により製造を行うことが可能であるため、トランジスタ等への熱処理の影響を少なくすることが可能であり、これによりピッチの狭いトランジスタを形成して、画素の微細化を図ることが容易になる。また工程数の増加も少ない。
本実施の形態は、本発明をCMOSセンサ(CMOS型固体撮像素子)に適用したものである。
この固体撮像素子1は、表面側から、支持基板2、配線部3、シリコン基板4、カラーフィルタ5、オンチップレンズ6が形成されて構成されている。
配線部3は、層間絶縁層11を介して複数層の配線層12が形成されて成る。配線部3とシリコン基板4との間には、ゲート絶縁膜となる薄い絶縁膜13が形成され、この絶縁膜13の表面側に電荷を読み出すためのゲート電極14が形成されている。
シリコン基板4内には、受光センサ部のフォトダイオードを構成するN型領域17が厚さ方向に厚く形成されており、N型領域17の表面側に正電荷蓄積領域(P+領域)16が形成されている。また、ゲート電極14の下の読み出し領域を介して、N型のフローティングディフュージョン(FD)15が形成されている。
支持基板2と配線部3とは、図示しないが、接着層等により接着されている。支持基板2としては、例えばシリコン基板を用いることができる。平坦性が良好で、シリコンとの熱膨張率の差が少ない材料であれば他の材料の基板を用いてもよい。
そして、光Lをレンズ6側、即ち配線部3とは反対の裏面側から入射させる構成となっており、いわゆる裏面照射型のCMOSセンサが構成されている。
また、図示しない断面において、シリコン基板4の表面側の部分に、画素内の他のトランジスタや周辺部の回路素子が形成されている。
これにより、シリコン層4の厚さDが薄く形成されているため、隣接する画素への光の入射による混色の発生を抑えることができ、また高い感度を実現することができる。
さらに、CMOSセンサで通常用いられている駆動電圧(2.5V〜3.3V)の範囲で設計して、約200mV/μm以上のドリフト電界を形成することができるため、この電界により表面側への電荷の読み出しを確実に行うことが可能になる。
また、光照射によるノイズも、表面照射型構造のCMOS型固体撮像素子と同等以下である。
また、上述の駆動電圧の範囲で設計したときに約400mV/μm以上のドリフト電界を形成することができるため、表面側への電荷の読み出しを容易に行うことができる。
シリコン層4の厚さDが5μmを超えると、図1に示す構成のN型領域17を形成するためには、超高エネルギーのイオン注入を行うことやイオン注入の前に酸化膜等のハードマスクを形成する必要がある。
これに対して、シリコン層4の厚さDを5μm以下としたときには、レジストマスクを用いてN型領域17を形成するイオン注入を行うことが可能になるため、容易に製造ができる。
これにより、各画素のN型領域17を電気的に分離して、隣接する画素間における電気的混色を防止することができる。
これにより、シリコン層4の裏面側の界面準位に起因する暗電流も低減することができる。
そして、ゲート電極14をオン状態にすることにより、電荷e−がフローティングディフュージョン15に読み出される。
シリコン層の厚さD(μm)と、受光センサ部における量子効率の入射光Lの波長(nm)依存性との関係を図3及び図4に示す。図3は、シリコン層の厚さDと、その厚さのシリコン層全体での量子効率を示している。図4は、光Lの入射側から1μm毎の厚さ区間での量子効率(各部分での吸収割合)を示しており、例えば厚さ2μm〜3μmの区間は2.5μmの所にプロットしている。
図4より、シリコン層の厚さを5μmとした場合、深さ4.75〜5.25μm(トランジスタの拡散層を想定)で赤(750nm)が吸収される割合は最大で2%である。緑及び青は無視できるくらい小さい。
この赤外線カットフィルターの分光特性を図5に示す。図5では、蒸着型の赤外線カットフィルターと吸収型の赤外線カットフィルターを共に示している。通常は蒸着型が使用され、図5に示すように、波長650nm以下の光はほとんど透過するが、波長650nmより長波長の光はカットされる特性を有している。
従って、人間の眼で見る画像アプリケーション用の固体撮像素子では、650nmよりも長波長側に感度を有する必要がない。なお、監視用の場合には赤外線にも感度を有していた方がよい。
シリコン層4の厚さDが5μm以下であっても波長650nm以下の光に対しての感度が充分得られることから、人間の眼で見る画像アプリケーション用の固体撮像素子では、本実施の形態の構成とすることにより、充分に高い感度が得られる。
これに対して、裏面照射型構造のCMOSセンサにおいては、回折光による混色はほとんど発生せず、波動解析の検出限界以下(0.1%以下)となる。
ただし、裏面照射型構造のCMOSセンサでは、裏面から入射した光が表面側の素子(例えばトランジスタ)へ影響を及ぼしてノイズ源となる可能性がある。
そこで、シリコン層の厚さを例えば5μmとすることにより、裏面から入射した光による表面側の素子(例えばトランジスタ)への影響を抑制することができ、トータルのノイズの量を表面照射型構造のCMOSセンサよりも低減することができる。
これにより、各画素の固体撮像素子1をより微細化して、高集積化や小型化を図ることができる。表面照射型構造では100万画素以上のCMOSセンサを構成することが困難であるが、本実施の形態の構成では100万画素以上とすることが容易に実現可能になる。
これにより、受光センサ部に蓄積される電荷量を増やしても電荷の読み出しを充分に行うことができることから、蓄積される電荷量を増やしてダイナミックレンジを向上することができる。
本実施の形態では、図6に断面図を示すように、シリコン基板23に、中間層22としてシリコン酸化膜(SiO2膜)を介してシリコン層21を形成して成るSOI基板24を使用する。
SOI基板24は、全体の厚さを例えば725μm以下、シリコン層21の厚さを10μm以下(より好ましくは5μm以下)とする。
続いて、例えば、バックグラインド法や、CMP(化学的機械的研磨)法や、ウエットエッチング等により、シリコン層21の上にあるシリコン基板23及び中間層22を順次除去する。これにより、図8Dに示すように、シリコン層21が露出する。
これにより、裏面側から形成したN型領域25と表面側から形成したN型領域27とにより、受光センサ部のN型領域17が形成される。
さらに、図示しないが、配線部3の上面に保護膜を形成する。この保護膜は、配線部3が吸湿して配線層12に悪影響を及ぼさないようにするためのものであり、例えばプラズマCVD法でシリコン窒化膜を形成する。
続いて、例えば、バックグラインド法や、CMP(化学的機械的研磨)法や、ウエットエッチング等により、シリコン層21の上にある第1の支持基板31及び接着層32を除去する。これにより、図10Iに示すように、シリコン層21が露出する。
このようにして、裏面照射型構造の固体撮像素子を製造することができる。
従って、図示しないが、受光センサ部の半導体領域を形成する際に、周辺回路部のトランジスタ等の半導体領域も形成される。同様に、配線層12として、周辺回路部の配線も形成される。
従って、本実施の形態の製造方法によれば、可視光領域で充分高い感度が得られ、隣接する画素への光の入射による混色やシェーディング、隣接する画素との電気的混色を抑制することができ、ダイナミックレンジの向上を図ることができ、かつスミアの発生がない構成の固体撮像素子を製造することができる。
また、シリコン層21の厚さの制御性が良好であり、分光特性を安定させることができるため、製造歩留まりを良好とすることができる。
しかも、シリコン層21に対しては、表面側に配線部3を形成し、裏面側に第1の支持基板31を張り合わせ、後にこの第1の支持基板31を除去することにより、シリコン層21を研摩しないため、シリコン層21に機械的ダメージが入らない。
ただし、SOI基板24は、全体の厚さを例えば725μm、中間層(SiO2膜)22の厚さを例えば10μm以下として、シリコン層21の厚さを10μm以下(より好ましくは5μm以下)とする。
このとき、シリコン層21の厚さが5μm以下である場合には、図示しないフォトレジストをマスクとして用いてイオン注入を行うことができるが、シリコン層21の厚さが5μmを超える場合には、酸化膜等によるハードマスクを用いて比較的高いエネルギーでイオン注入を行う必要がある。
続いて、図11Bに示すように、シリコン層21の上に、層間絶縁層11を介して多層の配線層12が形成されて成る配線部3を形成する。
さらに、図示しないが、配線部3の上面に保護膜を形成する。この保護膜は、配線部3が吸湿して配線層12に悪影響を及ぼさないようにするためのものであり、例えばプラズマCVD法でシリコン窒化膜を形成する。
続いて、例えば、バックグラインド法や、CMP法や、ウエットエッチング等により、裏面側をエッチングして、SOI基板24のシリコン基板23と中間層(SiO2膜)22を除去する。これにより、図12Eに示すように、シリコン層21が露出する。
その後、図12Fに示すように、シリコン層21の上に反射防止膜28を形成し、その上にカラーフィルタ5及びオンチップレンズ6を順次形成する。図示しないが、外部端子接続用等のパッド電極の形成も行う。
このようにして、裏面照射型構造の固体撮像素子を製造することができる。
従って、本実施の形態の製造方法によれば、可視光領域で充分高い感度が得られ、隣接する画素への光の入射による混色やシェーディング、隣接する画素との電気的混色を抑制することができ、ダイナミックレンジの向上を図ることができ、かつスミアの発生がない構成の固体撮像素子を製造することができる。
また、シリコン層21の厚さの制御性が良好であり、分光特性を安定させることができるため、製造歩留まりを良好とすることができる。
しかも、シリコン層21に対しては、表面側に配線部3を形成し、裏面側のシリコン基板23及び中間層22を除去することから、シリコン層21を研摩しないため、シリコン層21に機械的ダメージが入らない。
裏面側のP+領域19が裏面側のシリコン層21の界面よりも深い位置に形成されてしまうと、暗電流を抑制する効果が弱くなってノイズが発生するため好ましくない。一方、裏面側のP+領域19がシリコン層21の界面よりも浅い位置に形成されてしまうと、電気的バリアとなってしまい、読み出すことが可能な電荷量が少なくなり、感度が低下してしまう。
このシリコン層21の厚さにばらつきに対する有効な方策としては、SOI基板24のウエハのシリコン層21の厚さを測定することにより、例えばシリコン層21の厚さがほぼ同等(ばらつきが問題にならない程度である範囲内)のウエハを選定して使用することや、例えばシリコン層21の厚さに応じてイオン注入の条件(エネルギー等)を変更するように制御することが考えられる。
Claims (5)
- シリコン基板と中間層とシリコン層とが積層された積層基板を使用して、
前記積層基板の前記シリコン層に受光センサ部の半導体領域を形成する工程と、
前記シリコン層の上方に、絶縁層中に配線層を有する配線部を形成する工程と、
その後に、前記配線部上に支持基板を張り合わせる工程と、
前記シリコン基板及び前記中間層を除去して、前記シリコン層を露出させる工程とを、
少なくとも有する
固体撮像素子の製造方法。 - バックグラインドにより、前記シリコン基板及び前記中間層を除去する請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法。
- 化学的機械的研磨法により、前記シリコン基板及び前記中間層を除去する請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法。
- ウエットエッチングにより、前記シリコン基板及び前記中間層を除去する請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法。
- 前記中間層はSiO2膜又はポーラスシリコン層である請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法。
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