本発明は、表面材と基材とで構成される合成樹脂積層品の製造方法及び製造装置に関し、例えば、車両用内装部品として使用される合成樹脂積層品の製造方法及び製造装置並びに合成樹脂積層品に関するものである。
従来、自動車の内装の価値を向上させるため、必要な剛性を備えた基材に意匠や触感等に優れた表面材を一体化した車両用内装部品が使用されている。車両用内装部品の一つとして、各種の機器類が装着されるダッシュボード・パネルやインストルメント・パネルがある。一般に、これらのパネルには、車外から射し込む太陽光等を遮断して機器類の視認性を良好にするため、機器類の上方に張り出した、所謂、メーターバイザーが形成される。メーターバイザーは、通常、これらのパネルの表面に比較的大きな隆起部を有する。このため、パネルの隆起部に相当する凹部が形成された雌型で表面材を成形すると、雌型の凹部で表面材が過度に伸張して薄肉化し、パネルの品質が低下する場合がある。
特開平10−146861号公報は、シート状表面材を予備加熱することなく、第1予備成形工程と第2予備成形工程という2つの段階に分けてシート状面材を徐々に引き延ばすことにより、雌型の凹部に角張った稜線部がある場合にも、シート状表面材の破断を防止することができる、表皮材と基材との一体成形品の製造方法及びその製造装置を開示する。
特開2003−326576号公報は、シート状表面材を予備加熱した後、シート状表面材の端部を移動可能に保持した状態で雌型と雄型とを型閉めすることにより、表面材が雌型の凹部で薄肉化することを防止する、シート張り射出圧縮成形方法及びその成形装置を開示する。
特開平06−115011号公報は、熱可塑性樹脂と弾性ビーズ又は多孔性の無機充填剤とを主成分とする表面層と、熱可塑性エラストマー層とを積層することにより、積層用シート構成し、この積層用シートを成形品本体の表面に積層することにより、ソフトタッチ感(スエード感)を付与した積層成形品を開示する。更に、この積層用シートの熱可塑性エラストマー層側に合成樹脂よりなる発泡層を積層し、これによりソフトタッチ感(スエード感)を増大させた積層成形品を開示する。
特開平07−047630号公報は、ポリオレフィン系樹脂発泡体によってクッション層として形成された表皮材層と、ポリオレフィン系樹脂からなる芯材樹脂層との間に、低融点ポリオレフィンからなる接着層を介装することにより、優れた接着性を備えた多層成形品を開示する。
特開平10−146861号公報
特開2003−326576号公報
特開平06−115011号公報
特開平07−047630号公報
しかしながら、特開平10−146861号公報に開示されているように、シート状表面材を予備加熱することなく引き延ばす場合には、シート状表面材を冷間加工することになるから、シート状表面材を予備加熱した場合に比較して、雄型と雌型の閉型速度を低下させなければならない。更に、シート状表面材は、第1予備成形工程と第2予備成形工程という2つの段階に分けて徐々に引き延ばされるから、成形に要する時間を短縮することが困難である。
また、特開2003−326576号公報に開示されているように、シート状表面材の予備加熱を、シート状表面材を雄型と雌型の間に配置する前の段階で行うと、予備加熱されたシート状表面材を雄型と雌型の間に配置する際にシート状表面材に撓みや変形が生じる可能性があるばかりでなく、シート状表面材の温度は予備加熱が終了した時点から連続的に低下するから、雄型と雌型の型閉速度を設定するに際してシート状表面材の温度低下を考慮する必要がある。更に、真空吸引は型閉じが完了する前に行われるから、シート状表面材は、雌型の凹部の内側面の上縁部から、底面の真空成形用吸引口に向かって、徐々に接しながら引き延ばされることになる。雌型の凹部の内側面に接した部分におけるシート状表面材の伸び量は、雌型の凹部の内側面に接していない部分におけるシート状表面材の伸び量よりも少ない。したがって、雌型の凹部の底部付近のシート状表面材の厚さは、雌型の凹部の開口部付近のシート状表面材の厚さよりも小さい。このため、シート状表面材に絞(しぼ)や柄等の模様が配されている場合には、雌型の凹部の底部付近のシート状表面材に柄伸び等の外観上の不具合が生じるおそれがある。
また、特開平06−115011号公報及び特開平07−047630号公報に開示された積層用シートは、それ自体が複数層からなるから、その製造に多くの工程を必要とする。したがって、かかる積層用シートで被覆された積層成形品の製造コストが上昇するという不具合がある。更に、これらの公報に開示された積層シートを使用した積層成形品のように、成形品本体を含めて、多くの層で構成されている場合には、積層成形品の熱間時又は冷間時に、それぞれの層の線膨張率の相違により積層成形品に変形を生じたり、或いは、積層成形品に内部応力が蓄積して、積層成形品に不具合を生じる場合がある。更に、特開平06−115011号公報に開示された積層成形品は、材料が異なる複数の層で被覆されているから、リサイクル性が低下するおそれがある。
本発明の目的は、生産性が高く、材料に合わせて設定変更が容易で、不良品の発生率が低い、表面に隆起部を有する合成樹脂積層品の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、生産効率が高く、材料に合わせて設定変更が容易で、不良品の発生率が低く、更に、構成が簡単な、合成樹脂積層品の製造方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、単層構造からなるシート状表面材を有し、十分な耐衝撃性を有する、合成樹脂積層品の製造方法及び製造装置を提供することにある。
本願の第1の発明は、表面に隆起部を有する合成樹脂積層品の製造方法において、前記隆起部の表面形状に対応する凹部を備えた雌型の成型面と、前記隆起部の裏面形状に対応する凸部を備えた雄型の成型面との間に、熱可塑性合成樹脂からなるシート状表面材を配置し、固定する工程と、前記両成型面の間に固定された前記シート状表面材に、加熱された空気等の加熱流体を適用し、前記シート状表面材を加熱する工程と、前記シート状表面材に前記加熱流体を前記雄型に形成された流体案内面を介して、前記雄型に固定された加熱流体用ノズルより適用している間に、又は、前記シート状表面材に前記加熱流体を適用した後に、前記雄型と前記雌型の型閉じを行い、前記凸部を前記シート状表面材に当接させることによって、加熱された前記シート状表面材から前記雄型に熱エネルギーが移動する熱伝導を生じさせ、前記凸部で前記シート状表面材を前記雌型の成型面に沿って延伸させると共に、前記シート状表面材の前記凸部との当接部で、前記シート状表面材の不具合を構成する薄肉化や破断が生じないように、前記シート状表面材の前記当接部の温度を、前記当接部の周囲に延在する前記シート状表面材の温度よりも低い温度に維持する工程と、前記型閉じの完了後、前記シート状表面材を前記雌型の成型面に対して真空成形し、前記シート状表面材を前記雌型の成型面に密着させる工程と、前記真空成形によって前記シート状表面材と前記雄型の成型面との間に画成されたキャビティに、溶融樹脂を射出し、前記溶融樹脂で前記シート状表面材に積層された基材層を形成する工程とを有することを特徴とする、合成樹脂積層品の製造方法である。
本願の第2の発明は、表面に隆起部を有する合成樹脂積層品の製造方法において、前記隆起部の表面形状に対応する凹部を備えた雌型の成型面と、前記隆起部の裏面形状に対応する凸部を備えた雄型の成型面との間に、熱可塑性合成樹脂からなるシート状表面材を配置し、固定する工程と、前記シート状表面材の固定後、前記雄型と前記雌型の型閉じを開始し、前記シート状表面材に前記凸部が当接した後に、前記シート状表面材に加熱された空気等の加熱流体を適用して前記シート状表面材を加熱し、前記シート状表面材に前記加熱流体を適用している間に、又は、前記シート状表面材に前記加熱流体を適用した後に、前記雄型と前記雌型の型閉じを行うことによって、前記凸部で前記シート状表面材を前記雌型の成型面に沿って延伸させると共に、前記凸部を前記シート状表面材に当接させることによって、加熱された前記シート状表面材から前記雄型に熱エネルギーが移動する熱伝導を生じさせ、前記シート状表面材の前記凸部との当接部の温度を、前記当接部の周囲に延在する前記シート状表面材の温度よりも低い温度に維持する工程と、前記型閉じの完了後、前記シート状表面材を前記雌型の成型面に対して真空成形し、前記シート状表面材を前記雌型の成型面に密着させる工程と、前記真空成形によって前記シート状表面材と前記雄型の成型面との間に画成されたキャビティに、溶融樹脂を射出し、前記溶融樹脂で前記シート状表面材に積層された基材層を形成する工程とを有することを特徴とする、合成樹脂積層品の製造方法である。
本願の第3の発明は、全体として凸状の成型面を有する雄型と、全体として凹状の成型面を有する雌型と、前記雄型と前記雌型とが閉型したときに前記両成型面の間に画成されるキャビティと、前記凸状の成型面に開口する少なくとも一つの射出成形用樹脂通路と、前記凹状の成型面に開口する複数の真空成形用吸引孔と、前記両成型面の間に熱可塑性合成樹脂からなるシート状表面材を固定するクランプ装置と、前記シート状表面材を加熱する装置とを有する、合成樹脂積層品の製造装置において、前記シート状表面材を加熱する装置は、前記雌型に関して固定され、かつ、前記両成型面の間に加熱された空気等の加熱流体を供給する、加熱流体用ノズルと、前記雄型に形成された流体案内面とを有し、前記流体案内面は、前記雄型と前記雌型が型閉じするとき、前記雄型が、前記クランプ装置で固定された前記シート状表面材に当接してから、前記シート状表面材を前記凹状の成型面に沿って延伸させるまでの間、前記加熱流体用ノズルから噴出した流体を前記シート状表面材の所望の箇所に適用するように構成され、更に、前記雄型が、前記クランプ装置で固定された前記シート状表面材に当接してから、前記シート状表面材を前記凹状の成型面に沿って延伸させるまでの間、前記雄型の前記成型面に形成された凸部を前記シート状表面材に当接させることによって、加熱された前記シート状表面材から前記雄型に熱エネルギーが移動する熱伝導を生じさせるように構成されていることを特徴とする、合成樹脂積層品の製造装置である。
本願の第4の発明は、熱可塑性エラストマー単層構造からなるシート状表面材と、前記表面材に対して相溶性を有する材料で構成され、かつ、前記表面材の裏面に熱溶融状態で一体化された、樹脂製基材層とからなることを特徴とする、合成樹脂積層品の製造方法又は製造装置に関するものである。
本願の第1の発明によれば、雄型の凸部でシート状表面材を延伸させる間、雄型の凸部はシート状表面材に当接しているから、雄型とシート状表面材との間には、シート状表面材と雄型の間の熱勾配に基づく熱伝導を生じる。すなわち、加熱されたシート状表面材から雄型に熱エネルギーが移動し、シート状表面材と雄型の凸部との当接部におけるシート状表面材の温度は、この当接部の周囲に延在するシート状表面材の温度よりも低下する。
また、シート状表面材の加熱を継続しているときにシート状表面材に雄型の凸部を当接させると、シート状表面材と雄型の凸部とは共に加熱されるが、雄型の熱容量はシート状表面材の熱容量よりも遙かに大きいから、雄型の温度はシート状表面材の温度よりも低い温度に維持される。したがって、シート状表面材の加熱中に雄型の凸部を当接した場合にも、シート状表面材と雄型の間の熱勾配が維持され、シート状表面材と雄型の凸部との当接部におけるシート状表面材の温度は、この当接部の周囲に延在するシート状表面材の温度よりも低下する。
更に、シート状表面材に雄型の凸部を当接させた状態では、シート状表面材と雄型の凸部との当接部に加熱流体が適用されることはないから、シート状表面材と雄型の凸部との当接部におけるシート状表面材の温度上昇率を、この当接部の周囲に延在するシート状表面材の温度上昇率よりも低い値に抑えることができる。
このため、加熱流体によってシート状表面材を加熱したとき、シート状表面材と雄型の凸部との当接部におけるシート状表面材の抗張力は、この当接部の周囲に延在するシート状表面材の抗張力よりも高く維持され、シート状表面材の凸部との当接部は、シート状表面材のその余の部分よりも「伸びにくい」状態にある。
したがって、本願の第1の発明によれば、シート状表面材を雌型の成型面に沿って延伸させるため、雄型の凸部をシート状表面材の当接させ、この雄型の凸部でシート状表面材を押圧した場合にも、雄型の凸部とシート状表面材との当接部で、シート状表面材の薄肉化や破断等の不具合が発生しにくい。よって、高品質の合成樹脂積層品を提供することができる。
また、シート状表面材は、雌型の成型面に沿って延伸した後、雌型の吸引孔に供給された負圧によって雌型の成型面に密着し、真空成形される。この真空成形の精度を向上させ、品質の高い合成樹脂積層品を得るには、シート状表面材を吸引して、シート状表面材の該当部分を雌型の成型面に形成された凹部の底部又は最深部に充填する必要がある。しかし、全体を均一に加熱されたシート状表面材を、凹部の底部又は最深部に吸引孔を開口した雌型に対して真空吸引すると、一般に、凹部の底部又は最深部に向かってシート状表面材の厚さが徐々に減少し、シート状表面材の厚さが均一にならないばかりか、場合によっては、シート状表面材の破断や穿孔等が発生する。この理由は、シート状表面材が雌型の成型面の浅い部分の壁面から凹部の底部又は最深部の吸引孔に向かって、順次、接しながら伸ばされるためである。本願の第1の発明によれば、雄型の凸部の先端部によって雌型の凹部の底部又は最深部に押し込まれるシート状表面材の部分は、雄型の凸部が当接した低温で抗張力の高い「伸びにくい」部分であるから、シート状表面材の肉厚は凹部の底部又は最深部にわたってほぼ均一に維持される。したがって、シート状表面材の表面に絞や柄等の模様が付されている場合にも、雌型の成型面の凹部の底部又は最深部で、これらの模様が変形することを防止することができる。
また、本願の第1の発明によれば、シート状表面材の加熱開始時期及び加熱終了時期を任意に設定することが可能である。また、必要な場合には、加熱終了後に加熱を再開することもできる。したがって、シート状表面材の材質や成型面の形状に合わせて、シート状表面材の成形を最適の温度で行うことができる。更に、シート状表面材の加熱時期や加熱温度を調節することにより、雄型と雌型の型閉じが完了した時点におけるシート状表面材の温度が、真空成形に適する温度になるように設定することができれば、雄型と雌型の型閉じが完了した直後に真空成形工程を実施することができる。これにより、合成樹脂積層体の生産性を、より高めることができる。また、シート状表面材の材質や肉厚等の要因により、型閉じが完了した時点でのシート状表面材の温度が、真空成形に適した温度よりも低くならざるを得ない場合には、従来の金型加熱装置によって、予め雌型を加熱しておくことにより、同等の生産性を得ることができる。
本願の第2の発明の特徴は、シート状表面材の加熱を行う前に、シート状表面材に雄型の凸部を当接させることにある。すなわち、シート状表面材に雄型の凸部が当接した時、シート状表面材は冷間状態にあり、シート状表面材の加熱は、雄型の凸部が当接した後に、雄型の凸部が当接した状態で開始される。シート状表面材と雄型の凸部との当接部が加熱流体に晒されることはないから、シート状表面材の雄型の凸部との当接部は、冷間状態から徐々に加熱される。したがって、雄型の凸部の先端部によって雌型の凹部の底部又は最深部に押し込まれたシート状表面材の部分は、本願の第1の発明の場合よりも低温に保持される。よって、本願の第2の発明によれば、雄型の成型面に形成された凸部の突出量が大きいため、シート状表面材の破断や柄伸び等の模様の変形が生じ易い場合に、これらの不具合を解消することができるという効果を生じる。本願の第2の発明は、この効果の他に、前述した本願の第1の発明の効果を生じる。
本願の第3の発明は、雄型と雌型の型閉じ動作中に、シート状表面材を種々の態様で加熱することができる、合成樹脂積層品の製造装置を提供する。この装置は、雄型と雌型の型閉じ動作中、加熱用ノズルから噴出した加熱流体を流体案内面によってシート状表面材に確実に適用するから、シート状表面材の加熱と延伸を同時に行うことができる。このため、合成樹脂積層品の生産性を著しく向上させることができる。
また、型閉じ動作中、流体案内面は加熱用ノズルに対して相対的に変位するから、流体案内面の形態を選択することにより、型閉じ動作の進行につれてシート状表面材の加熱箇所を連続的に変化させることができる。例えば、型閉じ動作の初期にシート状表面材の中央部に向かって噴出していた加熱流体を、型閉じ動作が進行するつれてシート状表面材の周縁部に移動させることもできる。型閉じ動作の終期にシート状表面材の周縁部を集中的に加熱し、この周縁部の延伸を容易にすれば、シート状表面材の中央部の薄肉化や破断等の不具合を防止することができる。また、この周縁部の加熱が集中した部分は、基材層との密着度が増し、成形後に表面材が剥がれる等の不具合を生じない。
本願の第4の発明によれば、シート状表面材は単層構造で構成され、発泡層を介さずに直接、基材層に熱溶着によって一体化されているから、引張り応力や曲げ応力等が作用した場合に剥離や材料破壊を引き起こす発泡層を有さないことにより、耐衝撃性の高い合成樹脂積層品を得ることができる。また、シート状表面材は、弾力性の高い熱可塑性エラストマーによって構成されているから、合成樹脂積層品が衝撃等を受けてその基材層が破損したときにも、シート状表面材が破断するおそれは少ない。したがって、シート状表面材が破損した基材層を覆うことにより、基材層の破損部分が合成樹脂積層品の表面に突出することを防止することができる。更に、本発明の合成樹脂積層品は表面材と基材層のみによって構成されるから、3層以上の積層構造を有する合成樹脂積層品に比べて、温度変化に伴う各層の膨張及び収縮の影響を最小限に押さえることができる。換言すれば、本発明の合成樹脂積層品は2層構造であるから、各層の線膨張率の相違によって合成樹脂積層品に発生する反り等の変形を容易に防止することができる。そして、本発明の合成樹脂積層品によれば、熱可塑性エラストマーで構成されたシート状表面材自身が有する弾性により、合成樹脂積層品に適度なソフト感を付与することができるばかりでなく、シート状表面材が積層された樹脂製基材層が、シート状表面材と相溶性を有する同系の材料で構成されているから、合成樹脂積層品のリサイクル時には合成樹脂積層品をそのまま粉砕して再利用することが可能である。
本発明のその他の特徴は、この明細書の以下の記載から明らかになる。
本発明の製造方法及び製造装置は、加飾シート等のシート状表面材と必要な剛性を有する合成樹脂製基材とからなる車両用メーターバイザー等の合成樹脂積層品の大量生産に適する。このような大量生産品の製造に際しては、使用されるシート状表面材に最適な加工条件を見出すため、種々の加熱条件の下で種々の型閉じ動作を実行し、これらの型閉じ動作中に、雄型の成型面の凸部に内蔵された温度センサ等によって、雄型の凸部とシート状表面材の当接部の温度変化を検出する。こうして得られたデータに基づき、シート状表面材が適正に成形されるように、加熱流体を供給するヒータと金型を駆動するアクチュエータを制御し、シート状表面材の加工を行う。真空成形されたシート状積層材の裏面に射出成形される合成樹脂製基材の加工条件が決定されると、同一の材料を使用して同一の形状に成形される合成樹脂積層品は、同一の加工条件で製造することができる。また、本発明の合成樹脂積層品の厚さを、シート状表面材の肉厚も含めて、3.5mmとした場合、合成樹脂積層品に耐衝撃強度を付与するには、シート状表面材の肉厚を0.35mm以上にすることが望ましい。
図1(a)は、車両用メーターバイザー1をその表面側から見た斜視図である。メーターバイザー1は、メーター類を取付けるための開口2が形成された傾斜部3と、傾斜部3の上方を覆うように延在する隆起部4と、傾斜部3の下縁から運転者側に延在するデッキ部5を有する。隆起部4は、傾斜部3に沿って延在する上縁部6と、車両のフロントガラス(図示せず。)に沿って延在する下縁部7とを有し、上縁部6から下縁部7に向かって傾斜する凸状湾曲面によって形成されている。下縁部7の外縁部には、メーターバイザー1の成形時に形成された余剰部分8が延在する。
メーターバイザー1は、図1(b)に示すように、加飾シート等で構成された表面層9と合成樹脂製の基材層10との積層体である。表面層9は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の柔軟な感触を備えた素材で形成される。また、基材層10は、射出成形が可能で、射出成形品に必要な剛性を付与することができ、表面層との相溶性を有するポリプロピレン(PP)等により成形される。なお、余剰部分8は、メーターバイザー1の成形が完了した後、開口2を覆う表面層9と共に、トリミング等の手法によって切除される。
図1(b)に示したメーターバイザー1等の合成樹脂積層品において、この合成樹脂積層品を、熱可塑性エラストマーの単層構造からなる表面層9と、この表面層9に対して相溶性を有する材料で構成された合成樹脂製の基材層10とによって構成し、表面層9の肉厚を含む合成樹脂積層品の厚さを3.5mmとし、表面層9の肉厚を0.35mm、0.75mm、1.2mmとしたときのデュポン衝撃試験の結果を表1に示す。表1には、また、合成樹脂製の基材層10の肉厚を3.5mmとし、表面層9が積層されていないサンプルについての試験結果が、シート肉厚0.0mmとして示されている。このデュポン衝撃試験は−30℃の環境下で行われた。
上記試験の結果、表1に示すように、表面層9を有さない合成樹脂積層品の衝撃強度が最も低く、表面層9の肉厚が増加するにつれて衝撃強度が増加した。表1から解るように、表面層9の肉厚が0.75mmから1.2mmの範囲では、衝撃強度がほぼ同一であるから、表面層9の肉厚を1.2mm以上にしても、衝撃強度が大幅に増加することは期待できない。従って、経済性の観点からすると、表面層9の肉厚の上限値を1.2mmに設定するのが好ましい。これに対して、表面層9の肉厚が0.35mm未満の場合には、合成樹脂積層品の表面の触感が表面層9を積層しない場合に似てくるため、商品性の観点から、表面層9の肉厚の下限値は0.35mmにすることが好ましい。なお、上記衝撃試験の結果、表面層9の肉厚が0.35mm乃至1.2mmの範囲において基材層10に割れが発生した場合にも、表面層9には割れや亀裂等の破損は発生せず、基材層10の折損箇所が表面層9を破壊して合成樹脂積層品の表面に露出することは無かった。
図2乃至7は、本発明の製造方法及び製造装置の実施例を示す。以下、これらの図面を参照し、メーターバイザー1の製造を例にとって、本発明の製造方法及び製造装置を説明する。
図2に示すように、本発明の合成樹脂積層品の製造装置11は、雄型12が装着された上部基台13と、雌型14が装着された下部基台15とを有する。雄型12と雌型14は対向配置され、雄型12は、図示しないアクチュエータによって駆動される上部基台13と共に雌型14に対して往復動可能である。雄型12の成型面12aには、メーターバイザー1の隆起部4の裏面形状に対応する形状を有する凸部12bが形成され、また、雌型14の成型面14aには、メーターバイザー1の隆起部4の表面形状に対応する形状を有する凹部14bが形成されている。雄型12と雌型14が型閉じされると、成型面12a、14aの間にキャビティが画成される。このとき、雄型12の凸部12bは、雌型14の凹部14bに進入し、凸部12bの湾曲面12cと凹部14bの湾曲面14cの間に、メーターバイザー1の隆起部4を形成するための湾曲した空隙が画成される。
雄型12には、上部基台13から雄型12の成型面12aまで延在する射出成型用の樹脂通路16、17が形成されている。一方の樹脂通路16は凸部12bの湾曲面12cに開口し、他方の樹脂通路17は成型面12aの平坦部に開口する。2本の射出成型用の樹脂通路16、17を設けた理由は、メーターバイザー1の傾斜部3の開口2に相当する場所には溶融樹脂が流入しないので、傾斜部3の両側の空隙に溶融樹脂を確実に充填するためである。雄型12には、また、上部基台13から雄型12の成型面12aまで延在する、一対のエジェクターロッド18、19が取付けられている。エジェクターロッド18、19の先端部は、それぞれ、雄型12の成型面12aに露出して成型面12aの一部を形成し、成形されたメーターバイザー1を脱型させるときに成型面12aから突出する。
雌型14は、雌型14の成型面14aの一部を構成する駒20を有し、駒20の側壁20aは凹部14bの一部を形成する。雄型12と雌型14の型閉じ時に、駒20の側壁20aと雄型12の側壁12dとの間隙には、メーターバイザー1の表面層10を構成するシート状表面材21が挟まれる。駒20の側壁20aに対応する部位にはメーターバイザー1の開口2が形成されるから、樹脂通路16、17から射出された溶融樹脂は、駒20の側壁20aと雄型12の側壁12dとの間隙に流入しないことが望ましい。よって、駒20が摩耗したときに直ちに交換できるように、駒20は雌型14に着脱可能に装着される。
雌型14には、駒20の側壁20aの下縁部に開口する真空成形用吸引孔22が形成されている。駒20の側壁20aの下縁部は、雌型14の成型面14aの凹部14bの底部、即ち、成型面14aの最深部に位置するから、真空成形用吸引孔22は成型面14aの最深部に開口していることになる。雌型14には、また、真空成型用吸引孔23、24が形成されている。真空成型用吸引孔23は、雌型14の凹部14bの上縁部、即ち、最浅部付近に開口し、また、真空成型用吸引孔24は、メーターバイザー1のデッキ部5の端縁部に相当する部位に開口する。参照番号25は、これらの真空成型用吸引孔22、23、24から抜気を行う空気吸引通路である。
雌型14のパーティング面PLには、雌型14の成型面14aを挟んで、その両側に、クランプ装置26、27が取付けられている。クランプ装置26、27は、雌型14のパーティング面PLにシート状表面材21を固定するために使用される。クランプ装置26、27には加熱流体用ノズル28、29がそれぞれ固定され、加熱流体用ノズル28、29は、雄型12の成型面12aと雌型14の成型面14aの間に加熱された空気等の加熱流体Bを供給する。
雄型12の側面には、流体案内面30、31が形成されている。流体案内面30、31は、雄型12が雌型14の方向に移動するにつれて、流体案内面30、31が加熱流体用ノズル28、29から噴出する流体の流れ内に進入し、加熱流体用ノズル28、29から噴出する加熱流体Bを、クランプ装置26、27によって雌型14に固定されたシート状表面材21の方向に案内する形態を有する。流体案内面30、31の形態は、図2及び3に示すように、雄型12の側面の中途部から雄型12の成型面12aまで延在する傾斜面で構成することができる。
流体案内面30、31の形態は、図2及び3に示すような傾斜した平面に限定されない。例えば、流体案内面30、31は、加熱流体用ノズル28、29の方向に突出した湾曲面にすることも可能であり、また、エジェクターロッド18、19の方向に湾曲した凹状の湾曲面にすることもできる。流体案内面30、31の形態を種々に変更することにより、雄型12と雌型14の型閉じ動作が進行するにつれて、加熱流体によるシート状表面材21の加熱位置を連続的に変更することができる。例えば、雄型12と雌型14の型閉じ動作が進行するにつれて、加熱流体による加熱位置をシート状表面材21の中央部から周縁部に遠ざけることにより、雄型12の凸部12bの先端部Cがシート状表面材21に当接する部分Dの粘性の低下を防止し、当接部Dの薄肉化や破断を防止することができる。また、流体案内面30、31を一定の深さの溝にすることにより、雄型12と雌型14の型閉じ動作の進行に伴って、加熱流体によるシート状表面材21の加熱位置を特定の範囲に限定することもできる。
次に、図2乃至7を参照して、車両用メーターバイザー1の製造方法を説明する。図2乃至7において使用されている参照番号のなかで、同一の参照番号は同一の構成要素を示す。
図2は、車両用メーターバイザー1の表面層9を構成するTPOシート等のシート状表面材21が、クランプ装置26、27によって、雌型14のパーティング面PLに固定された状態を示す。シート状表面材21は、例えば、シート状表面材21が巻回されたロールから搬送装置(図示せず。)によって自動的に送り出され、雄型12と雌型14の間に、図中、E方向から搬入される。この実施例では、雄型12と雌型14の型閉じを開始する前に、加熱流体用ノズル28、29から加熱された空気等の加熱流体Bを噴出させ、雌型14のパーティング面PLに固定されたシート状表面材21の加熱を開始する。これにより、加熱流体Bにより、シート状表面材21の延伸部(加工部)の全体を、所定の時間、所定の温度で加熱する。
図2の工程でシート状表面材21の加熱が完了すると、図3に示すように、雄型12を下降させ、雄型12の成型面12aに形成された凸部12bの先端部Cを、シート状表面材21の当接部Dに圧接させる。雄型12の凸部12bの先端部Cがシート状表面材21の当接部Dに圧接すると、雄型12の凸部12bとシート状表面材21の当接部Dの間の熱勾配により、シート状表面材21の当接部Dの温度が徐々に低下すると共に、加熱流体用ノズル28、29から噴出する加熱流体Bは、雄型12の凸部12bに遮られるから、シート状表面材21の当接部Dは加熱流体Bによって直接加熱されることがなくなる。この間、加熱流体Bの噴出方向は、雄型12の側面に形成された流体案内面30、31によって、シート状表面材21の中央部から外縁部(クランプ装置26、27付近の領域)に変化するから、シート状表面材21の当接部Dの温度が低下する一方で、シート状表面材21の外縁部の温度は上昇を続ける。この状態で、シート状表面材21の当接部Dの温度が所定の温度まで低下し、シート状表面材21の当接部Dの抗張力が所定の値まで増加したとき、雄型12を所定の速度で降下させ、雌型14に型閉めする。
図3の状態から、雄型12を雌型14の方向に下降させると、シート状表面材21は、雄型12の凸部12bの先端部Cで押圧されて下降し、ついには、雌型14の成型面14の成型面14aに形成された凹部14bの底部付近まで、即ち、成型面14aの最深部付近まで移動する。この間、シート状表面材21の当接部Dは、雄型12の凸部12bの先端部Cによって継続的な圧縮力を受けるが、シート状表面材21の当接部Dの温度はその周囲に延在するシート状表面材21の温度よりも低い温度に維持されている。また、この間、シート状表面材21の外縁部は、加熱流体Bによって継続的に加熱されている。したがって、シート状表面材21の当接部Dの抗張力は、その周囲に延在するシート状表面材21の部分の抗張力よりも高く、伸びにくい状態にあるから、雄型12と雌型14を型閉めしても、シート状表面材21の当接部Dが薄肉化したり、破断したりすることはない。また、シート状表面材21の表面に模様が付されている場合には、シート状表面材21の当接部Dの付近の模様が変形することがない。なお、雄型12と雌型14を型閉めすると、シート状表面材21の当接部Dよりも抗張力の低い外縁部に伸びが生じるが、シート状表面材21の外縁部は、車両用メーターバイザー1の製品に使用されない余剰部分であるから、この部分に薄肉化が発生しても車両用メーターバイザー1の品質は低下しない。
図4に示すように、雄型12と雌型14の型閉めが完了すると、加熱流体用ノズル28、29からの加熱流体の噴出は停止し、シート状表面材21は、雌型14の成型面14aに沿って延伸した状態で、雄型12の成型面12aと雌型14の成型面14aによって画成された空間に位置する。このとき、駒20の側壁20aと雄型12の側壁12dとの間にはシート状表面材21が挟まれるから、駒20の側壁20aと雄型12の側壁12dの間に空隙は存在しない(図2参照)。また、シート状表面材21は、雄型12の成型面12aの外側部分及び雌型14の成型面14aの外側部分においても、雄型12と雌型14の間に挟まれているから、この部分にも空隙は存在しない(図4参照)。この状態において、真空成形用吸引孔22、23、24から抜気を行い、雄型12の成型面12aと雌型14の成型面14aによって画成された空間に位置するシート状表面材21を、雌型14の成型面14aに対して真空成形する。このとき、雄型12の凸部12bの先端部Cによって雌型14の凹部14bの底部又は最深部に押し込まれたシート状表面材21の当接部分Dは、低温で抗張力の高い「伸びにくい」部分であるから、シート状表面材21が、雌型14の成型面14aの浅い部分の壁面から、凹部14bの底部又は最深部に位置する真空成形用吸引孔22に向かって、順次、接しながら伸ばされる場合にも、シート状表面材21の肉厚はほぼ均一に維持される。なお、この真空成形を行うに際し、必要な場合には、雌型14に取付けられた加熱装置(図示せず。)を利用して、シート状表面材21を所定の温度まで加熱することもできる。
シート状表面材21の真空成形が完了すると、シート状表面材21は雌型14の成型面14bに密着するから、シート状表面材21の裏面と雄型12の成型面12aの間にキャビティが形成される。このキャビティに対して、図5に示すように、2本の射出成型用の樹脂通路16、17から溶融樹脂を射出し、このキャビティに溶融樹脂Fを充填する。射出された溶融樹脂Fは、真空成形されたシート状表面材21(表面層9)に積層された基材層10を形成する(図1b参照)。次いで、雄型12と雌型14を閉じた状態のまま、シート状表面材21に一体化された基材層10を冷却する。この冷却が完了すると、必要に応じて、エジェクターロッド18、19を作動させて、図6に示すように、雄型12を製品取り出し位置まで上昇させ、メーターバイザー1を雌型14から取り出す。取り出されたメーターバイザー1は、トリミング等によって不要な箇所を切除され、更に、切削等の必要な加工を施される。こうして、車両用メーターバイザー1が完成する。
図7に、本発明の製造装置11の制御系の概念図を示す。本発明の製造方法を実施するに際しては、予め、使用されるシート状表面材21に最適な加工条件を見出す必要がある。最適な加工条件は、使用されるシート状表面材21の材質や、製造される製品の形状等によって異なる。したがって、例えば、車両用メーターバイザー1等の特定の製品について、種々の加熱条件の下で種々の型閉じ動作を実行し、これらの型閉じ動作中に、雄型12の成型面12aの凸部12bに内蔵された温度センサ32等によって、雄型12の凸部12bとシート状表面材21との当接部Dの温度変化を検出する。こうして得られたデータに基づき、シート状表面材21が適正に成形されるように、加熱流体を供給するヒータ33と雄型12を駆動するアクチュエータ34を制御し、シート状表面材21の加工を行う。例えば、シート状表面材21の当接部Dの温度は、雄型12の凸部12bとシート状表面材21との密着度及びシート状表面材21の当接部Dに表れる不具合の程度とを比較考量することによって設定することができる。また、シート状表面材21の当接部Dの温度は、雄型12と雌型14の型閉じ速度を調整することによって設定することができる。更に、真空成形されたシート状積層材21の裏面に射出成形される合成樹脂製基材の材質及び射出条件を設定し、これらのデータに基づいて本発明の製造装置11をCPU35等で制御することにより、同一の材料を使用して同一の形状に成形される合成樹脂積層品は、同一の加工条件で製造することができる。
図8及び9は、本発明の製造方法及び製造装置の他の実施例を示す。図8及び図9に使用されている参照番号のうち、図1乃至7の参照番号と同じ参照番号は、同一の構成要素を示す。この実施例の特徴は、図8に示すように、シート状表面材21を雌型14のパーティング面PLにクランプ装置26、27で固定した後、シート状表面材21が冷間状態にある間に、雄型12の凸部12bの先端部Cをシート状表面材21の当接部Dに圧接し、その後、図9に示すように、加熱流体用ノズル28、29から加熱流体(熱風)Bを噴射して、シート状表面材21の加熱を開始することにある。この実施例によれば、型閉じ動作を開始し、雄型12の凸部12bの先端部Cがシート状表面材21の当接部Dに圧接した状態で、加熱流体(熱風)Bが供給されるから、シート状表面材21の当接部Dに加熱流体Bが直接適用されることがない。したがって、シート状表面材21の当接部Dの温度上昇を、前述した第1実施例の場合よりも低く抑えることが容易である。よって、製造される製品の隆起部の突出量が大きく、シート状表面材21の当接部Dに破断や柄伸び等の不具合が発生する虞が大きい場合には、この実施例の製造方法が有用な場合がある。本実施例のその他の構成は、前述した第1実施例と同様である。
本発明の製造方法及び製造装置は、典型的には、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の柔軟な感触を備えた素材からなる表面層と、必要な剛性を備えた合成樹脂製の基材層とを積層させた、車両用内装部品の製造に使用することができる。しかし、本発明の製造方法及び製造装置は、車両用内装部品の製造に限定されることなく、比較的大きな凹凸を有する合成樹脂積層体の製造に広く使用することができる。また、本発明の合成樹脂積層品は、典型的には、メーターバイザー等の車両用内装部品に使用することができるが、その耐衝撃性の高さ、基材層が破壊されたときの安全性、同系の樹脂材によって構成された2層構造による温度変化の影響の少なさ、そして、リサイクル性の高さから、その用途は車両用内装部品に限られず、極めて汎用性が高い。
図1(a)は、本発明の製造方法又は製造装置によって製造される合成樹脂積層品の一例である車両用メーターバイザーの斜視図である。図1(b)は、図1(a)のA−A線に沿う断面図である。
本発明の製造装置にシート状表面材を固定した後、型閉じの開始前に、シート状表面材を加熱している状態における、同製造装置の縦断面図である。
図2の工程に続き雄型と雌型の型閉めを開始し、雄型の凸部がシート状表面材に当接して、シート状表面材の延伸を開始した状態における、本発明の製造装置の縦断面図である。
図3の工程を続行して雄型と雌型の型閉めを完了し、雌型の成型面に沿って延伸させたシート状表面材を、雌型の成型面に対して真空成形したときの、本発明の製造装置の縦断面図である。
図4の工程で行われた真空成形によって、雌型の成型面に密着したシート状表面材と雄型の成型面との間に形成されたキャビティに、溶融樹脂を射出してシート状表面材に積層された基材層を形成しているときの、本発明の製造装置の縦断面図である。
図5の射出成形が完了した後、所定の冷却工程を経て、メーターバイザーを型から取り出す位置まで雄型を上昇させた状態における、本発明の製造装置の縦断面図である。
本発明の製造装置の制御系の概念図である。
本発明の製造装置にシート状表面材を固定した後、シート状表面材の加熱を開始する前に、雄型の凸部をシート状表面材に当接させた状態における、同製造装置の縦断面図である。
図8において雄型の凸部をシート状表面材に当接させた後、シート状表面材の加熱を開始したときの、本発明の製造装置の縦断面図である。
符号の説明
1 車両用メーターバイザー
2 メータ類取付け用の開口
3 傾斜部
4 隆起部
5 デッキ部
6 隆起部の上縁部
7 隆起部の下縁部
8 余剰部
9 表面層
10 基材層
11 合成樹脂積層品の製造装置
12 雄型
12a 雄型の成型面
12b 雄型の成型面に形成された凸部
12c 雄型の凸部の湾曲面
14 雌型
14a 雄型の成型面
14b 雄型の成型面に形成された凹部
14c 雌型の凹部の湾曲面
26、27 クランプ装置
28、29 加熱流体用ノズル
30、31 流体案内面
B 加熱流体(熱風)
C 雄型の凸部の先端部
D シート状表面材に雄型の凸部の先端部が当接する部分(当接部)
E シート状表面材の搬入方向
F 溶融樹脂