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JP4852672B2 - 満充電容量値補正回路、電池パック、及び充電システム - Google Patents

満充電容量値補正回路、電池パック、及び充電システム Download PDF

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Description

本発明は、二次電池の満充電容量値を補正する満充電容量値補正回路と、これを用いた電池パック及び充電システムとに関する。
従来より、携帯型パーソナルコンピュータやデジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話機等の電子機器、電気自動車やハイブリッドカー等の車両、ハイブリッドエレベータ、太陽電池や発電装置と二次電池とを組み合わされた電源システム、無停電源装置等の電池搭載装置、システム等、種々の装置、システムにおいて、二次電池が広く用いられている。
そして、例えば携帯型パーソナルコンピュータ等の電子機器では、ユーザビリティの観点から、二次電池の使用可能な充電残量を表示したり、電池切れになる前に警報を発したりするようになっている。
また、太陽電池発電やハイブリットカー等のシステムや装置においては、負荷への電力の安定供給の観点から、二次電池がある程度常時充電されている状態にしておく必要がある。その一方、発電された余剰電力や回生電力を吸収させる必要から、二次電池が満充電になって充電できない状態にならないように、満充電容量(FCC:Full Charge Capacity)に対する充電電気量の比率(百分率)であるSOC(State Of Charge)が、例えば20%〜80%の範囲で推移するように、充電が制御されている。
このように、二次電池の使用可能な充電残量(電池残量)を検出したり、SOCを算出したりするためには、二次電池の満充電容量を知る必要がある。しかしながら、二次電池の満充電容量は、二次電池の劣化に伴い減少していくため、出荷時の満充電容量値をそのまま用いて電池残量やSOCを求めると、電池残量やSOCの算出誤差が大きくなってしまう。
そこで、二次電池が出荷されて二次電池の使用が開始された後においても、二次電池を満充電状態から完全放電させて、その際の放電電流を積算することで満充電容量を算出し、満充電容量値を補正したり更新したりする方法が知られている。しかしながら、このような方法では、満充電容量値を補正等するために、装置、システムにおいて使用状態にある二次電池を、満充電状態から完全放電させる必要があるため、満充電容量を補正したり更新したりする機会が限られてしまう。
そこで、二次電池を完全放電しなくても、充電開始から二次電池が満充電になるまでの充電電流を積算し、その積算値を充電開始時の充電電気量に加算することで、満充電容量値を算出する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。これにより、二次電池が完全放電されなくても満充電容量値を補正可能にされている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、二次電池を満充電しなければ満充電容量値を補正することができない。そのため、ユーザが満充電になる前に充電を止めてしまったり、上述のシステム、装置のように、二次電池を満充電にしないように充電制御したりしている場合には、満充電容量値を補正することができないという、不都合があった。
特開2006−177764号公報
本発明の目的は、二次電池を満充電させることなく、かつ完全放電させることなく満充電容量値を補正することができる満充電容量値補正回路、電池パック、及び充電システムを提供することである。
本発明の一局面に従う満充電容量値補正回路は、二次電池に流れる電流の電流値を検出する電流検出部と、前記二次電池の端子電圧値を検出する電圧検出部と、前記二次電池の満充電容量を示す満充電容量値を記憶する容量記憶部と、前記電流検出部によって検出された前記二次電池の充放電電流に基づき、前記二次電池における充電電気量の加算と放電電気量の減算とを累積的に行うことにより得られる積算値から、前記二次電池に充電されている残量を積算残量として算出する残量算出部と、前記電圧検出部によって検出された端子電圧値を用いて、前記二次電池の残量を推定残量として推定する残量推定部と、前記残量推定部によって推定される推定残量が、予め設定された基準値になったとき、当該推定された推定残量と前記残量算出部によって算出された積算残量との差に相当する差分電気量を、当該積算残量より当該推定残量の方が多いときは前記容量記憶部に記憶されている満充電容量値に加算し、当該積算残量より当該推定残量の方が少ないときは前記容量記憶部に記憶されている満充電容量値から減算して補正する満充電容量値補正部とを備える。
また、本発明の一局面に従う電池パックは、上述の満充電容量値補正回路と、前記二次電池とを備える。
また、本発明の一局面に従う充電システムは、上述の満充電容量値補正回路と、前記二次電池と、前記二次電池を充電する充電部とを備える。
本発明の一実施形態に係る満充電容量値補正回路を備えた、電池パック及び充電システムの構成の一例を示すブロック図である。 図1に示すテーブル記憶部に記憶されるルックアップテーブルの一例を示す説明図である。 図1に示す満充電容量値補正回路の動作の一例を示すフローチャートである。 二次電池が放電される過程における満充電容量値補正回路の動作を概念的に示した説明図である。 二次電池が放電される過程における満充電容量値補正回路の動作を概念的に示した説明図である。 二次電池が充電される過程における満充電容量値補正回路の動作を概念的に示した説明図である。 二次電池が充電される過程における満充電容量値補正回路の動作を概念的に示した説明図である。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係る満充電容量値補正回路5を備えた、電池パック2及び充電システム1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す充電システム1は、電池パック2と、機器側回路3とが組み合わされて構成されている。
充電システム1は、例えば、携帯型パーソナルコンピュータやデジタルカメラ、携帯電話機等の電子機器、電気自動車やハイブリッドカー等の車両、等の電池搭載機器システムである。そして、機器側回路3は、例えばこれら電池搭載機器システムの本体部分であり、負荷回路34は、これら電池搭載機器システムにおいて、電池パック2からの電力供給により動作する負荷回路である。
電池パック2は、二次電池4、満充電容量値補正回路5、電流検出抵抗6、温度センサ7、スイッチング素子Q1,Q2、及び接続端子11,12,13を備えている。また、満充電容量値補正回路5は、制御部50、電圧検出部51、電流検出部52、温度検出部53、及び通信部54を備えている。
なお、充電システム1は、必ずしも電池パック2と機器側回路3とに分離可能に構成されるものに限られず、充電システム1全体で一つの満充電容量値補正回路5が構成されていてもよい。また、満充電容量値補正回路5を、電池パック2と機器側回路3とで分担して備えるようにしてもよい。また、二次電池4は、電池パックにされている必要はなく、例えば満充電容量値補正回路5が、車載用のECU(Electric Control Unit)として構成されていてもよい。
機器側回路3は、接続端子31,32,33、負荷回路34、充電部35、通信部36、制御部37、及び表示部38を備えている。充電部35は、給電用の接続端子31,32に接続され、通信部36は、接続端子33に接続されている。
また、電池パック2が、機器側回路3に取り付けられると、電池パック2の接続端子11,12,13と、機器側回路3の接続端子31,32,33とが、それぞれ接続されるようになっている。
通信部54,36は、接続端子13,33を介して互いにデータ送受信可能に構成された通信インターフェイス回路である。
充電部35は、制御部37からの制御信号に応じた電流、電圧を、接続端子31,32を介して電池パック2へ供給する電源回路である。充電部35は、例えば商用電源電圧から電池パック2の充電電流を生成する電源回路であってもよく、例えば太陽光、風力、あるいは水力といった自然エネルギーに基づき発電する発電装置や、内燃機関等の動力によって発電する発電装置等であってもよい。
表示部38は、例えば液晶表示器やLED(Light Emitting Diode)が用いられる。なお、例えば機器側回路3が、携帯型パーソナルコンピュータやデジタルカメラ等の電子機器である場合、当該電子機器が備える液晶表示器等の表示装置を表示部38として用いてもよい。
制御部37は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成された制御回路である。そして、電池パック2における制御部50から通信部54によって送信された要求指示が、通信部36によって受信されると、制御部37は、通信部36によって受信された要求指示に応じて充電部35を制御することにより、電池パック2から送信された要求指示に応じた電流や電圧を、充電部35から接続端子11,12へ出力させる。
電池パック2では、接続端子11は、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q1とを介して二次電池4の正極に接続されている。スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2としては、例えばpチャネルのFET(Field Effect Transistor)が用いられる。
スイッチング素子Q1は、寄生ダイオードのカソードが二次電池4の方向にされており、オフすると二次電池4の放電方向の電流のみを遮断するようになっている。また、スイッチング素子Q2は、寄生ダイオードのカソードが接続端子11の方向にされており、オフすると二次電池4の充電方向の電流のみを遮断するようになっている。スイッチング素子Q1,Q2は、通常、オンされており、異常時にオフされて二次電池を保護するようになっている。
また、接続端子12は、電流検出抵抗6を介して二次電池4の負極に接続されており、接続端子11からスイッチング素子Q2、スイッチング素子Q1、二次電池4、及び電流検出抵抗6を介して接続端子12に至る電流経路が構成されている。
なお、接続端子11,12,13,31,32,33は、電池パック2と機器側回路3とを電気的に接続するものであればよく、例えば電極やコネクタ、端子台等であってもよく、ランドやパッド等の配線パターンであってもよい。
電流検出抵抗6は、電流検出用の、いわゆるシャント抵抗であり、二次電池4の充電電流および放電電流を電圧値に変換する。なお、電流検出抵抗6の代わりに、例えば電流変成器やホール素子等の電流検出素子を用いてもよい。
温度センサ7は、例えばサーミスタや熱電対等の感熱素子を用いて構成されており、例えば二次電池4に密着させて、あるいは二次電池4の近傍に配設されている。そして、温度センサ7は、二次電池4の温度tを示す電圧信号を、温度検出部53へ出力する。
二次電池4は、例えば単電池であってもよく、例えば複数の二次電池が直列接続された組電池であってもよく、例えば複数の二次電池が並列接続された組電池であってもよく、直列と並列とが組み合わされて接続された組電池であってもよい。二次電池4としては、例えばリチウムイオン二次電池が用いられる。なお、二次電池4は、リチウムイオン二次電池に限られず、例えばニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池等、種々の二次電池を用いることができる。
しかしながら、後述する残量推定部502は、二次電池4の端子電圧値Vbに基づき二次電池4の残量(推定残量Qe、推定残量SOCe)を推定するので、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池よりも、二次電池4の残量の変化に対する端子電圧の変化量が大きいリチウムイオン二次電池の方が、二次電池4としてより適している。
電圧検出部51は、例えばアナログデジタルコンバータを用いて構成されており、二次電池4の端子電圧(端子間電圧)を検出し、その端子電圧値Vbを示す信号を制御部50へ出力する。
電流検出部52は、例えばアナログデジタルコンバータを用いて構成されており、電流検出抵抗6の両端間の電圧Vrを検出し、その電圧Vrを示す信号を、二次電池4に流れる電流値Icを示す情報として制御部50へ出力する。また、電流検出部52は、電流値Icを示す情報(電圧Vr)について、例えば二次電池4を充電する方向をプラスの値で、二次電池4を放電する方向をマイナスの値で表すようになっている。
制御部50では、この電圧Vrを電流検出抵抗6の抵抗値Rで除算することにより、二次電池4に流れる電流値Icを取得する。
温度検出部53は、例えばアナログデジタルコンバータを用いて構成されており、温度センサ7から出力された電圧信号をデジタル値に変換し、温度tを示す信号として制御部50へ出力する。
制御部50は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、例えばROMを用いて構成された容量記憶部505及びテーブル記憶部506と、これらの周辺回路等とを備えて構成されている。
そして、制御部50は、ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、残量算出部501、残量推定部502、満充電容量値補正部503、及び警報部504として機能する。
容量記憶部505には、初期値としての満充電容量値FCC(Full Charge Capacity)が、例えば電池パック2の出荷時に予め記憶されている。満充電容量値FCCの初期値は、例えば理論計算や実測によって測定された値が予め記憶されている。また、容量記憶部505に記憶される満充電容量値FCCは、満充電容量値補正部503によって、適宜補正されるようになっている。
テーブル記憶部506には、二次電池4に充電されている残量を表す値として予め設定された設定残量と二次電池4を流れる電流値Icと二次電池の温度tとを、二次電池4の端子電圧値Vbと対応付けるルックアップテーブルLTが、予め記憶されている。
図2は、図1に示すテーブル記憶部506に記憶されるルックアップテーブルLTの一例を示す説明図である。図2(a)は、SOC(設定残量)が95%のときの、端子電圧値Vb(V11a〜V54a)と、二次電池4の電流値Icと、二次電池4の温度tとの対応関係を示している。電流値Icは、プラスで充電方向を、マイナスで放電方向を表している。図2(b)は、SOC(設定残量)が50%のときの、端子電圧値Vb(V11b〜V54b)と、二次電池4の電流値Icと、二次電池4の温度tとの対応関係を示している。図2(c)は、SOC(設定残量)が5%のときの、端子電圧値Vb(V11c〜V54c)と、電流値Icと、二次電池4の温度tとの対応関係を示している。
図2に示すルックアップテーブルLTは、例えば新品の二次電池4を用いて実験的に測定されたデータが、予めROMに記憶されて構成されている。図2においては、SOCが95%、50%、5%に対応するルックアップテーブルLTを例示しているが、テーブル記憶部506には、SOCが、0%〜100%の全範囲に対応するルックアップテーブルLTが記憶されている。
ここで、二次電池4の残量が多いほど、すなわちSOCが大きいほど、端子電圧値Vbは高くなるので、電流値Icと温度tとが変化しない条件下では、図2(a),(b),(c)において、V**a>V**b>V**c(*は任意の一文字)の関係となる。
また、二次電池4に電流が流れると、二次電池4の内部抵抗で生じる電圧によって、電流値Icが大きくなるほど端子電圧値Vbは高くなる。すなわち、充電時は充電電流が増大し、電流値Icの値が大きくなるほど端子電圧値Vbは高くなる。一方、放電時は放電方向の電流が減少してマイナスの値である電流値Icの絶対値が小さくなり、すなわち電流値Icが大きくなるほど端子電圧値Vbは高くなる(端子電圧値Vbの低下量が少なくなる)。従って、図2(a),(b),(c)において、SOCと温度tとが変化しない条件下では、V1**>V2**>V3**>V4**>V5**(*は任意の一文字)の関係となる。
また、二次電池4の残量(SOC)と端子電圧値Vbとの対応関係は、温度tによって変化する。一般的には、温度tが高くなるほど、同一の残量(SOC)に対応する端子電圧値Vbが低下する。そのため、図2(a),(b),(c)において、SOCと電流値Icとが変化しない条件下では、V*1*>V*2*>V*3*>V*4*>V*5*(*は任意の一文字)の関係となる。
なお、電池の正極、負極を構成する材料によっては、温度tが高くなると、同一の残量(SOC)に対応する端子電圧値Vbが上昇する場合もある。従って、図2(a),(b),(c)におけるV*1*、V*2*、V*3*、V*4*、V*5*の関係は、二次電池4の特性に応じて適宜設定すればよい。
なお、図2に示すルックアップテーブルLTは、SOC(設定残量)と、端子電圧値Vbと、二次電池4に流れる電流値Icと、二次電池4の温度tとを対応付けているが、ルックアップテーブルLTは、二次電池4の温度tをパラメータとして含んでいなくてもよい。また、ルックアップテーブルLTは、温度t及び電流値Icをパラメータとして含んでいなくてもよい。
残量算出部501は、電流検出部52によって検出された電流値Icを単位時間毎に積算することによって、二次電池4に充電されている残電気量を積算残量Qaとして算出する。この場合、電流値Icは、二次電池4を充電する方向の電流がプラス、二次電池4から放電される方向の電流がマイナスで表されているので、残量算出部501によって、二次電池4に充電される充電電気量が加算され、二次電池4から放電される放電電気量が減算されて、二次電池4に充電されている積算残量Qaが算出される。
また、残量算出部501は、容量記憶部505に記憶されている満充電容量値FCCに対する積算残量Qaの比率(百分率)を、残量に相当するSOC(State Of Charge)である積算残量SOCaとして算出する。これにより、残量算出部501は、積算残量をSOCで表すようになっている。
積算残量SOCaは、以下の式(1)によって与えられる。なお、残量算出部501は、積算残量Qaをそのまま電池の残量として用いてもよい。
SOCa=(Qa/FCC)×100 (%)・・・(1)
残量推定部502は、電圧検出部51によって検出された端子電圧値Vbと電流検出部52によって検出された電流値Icと温度検出部53によって検出された温度tとを用いて、二次電池4の残量を推定残量SOCeとして推定する。そして、残量推定部502は、推定残量SOCeを電気量に換算することで、推定残量Qeを推定残量として用いてもよい。
基準値Refは、二次電池4のSOCがゼロに近いことを示すために予め設定された値であり、例えば5%に設定されている。なお、残量推定部502が推定残量Qeを電池の推定残量として用いる場合には、基準値Refは、例えば5%のSOCに相当する電気量であってもよい。
具体的には、残量推定部502は、端子電圧値Vbと電流値Icと温度tとの組み合わせが、ルックアップテーブルLTにおいて対応付けられた端子電圧値Vbと電流値Icと温度tとの組み合わせと実質的に一致した場合、当該ルックアップテーブルLTによって当該端子電圧値Vb、電流値Ic、及び温度tと対応付けられているSOC(設定残量)を、二次電池4に充電されている電気量をSOCで表した推定残量SOCeとして推定する。
ここで、ルックアップテーブルLTには、端子電圧値Vbが上昇するほど二次電池4のSOCが増大するように端子電圧値VbとSOCとが対応付けられているので、残量推定部502は、端子電圧値Vbが上昇するほど推定残量SOCeを増大させることになる。
また、ルックアップテーブルLTには、同一のSOCに対して電流値Icが大きくなり、すなわち充電方向において電流値Icが増大するほど端子電圧値Vbが上昇するように、電流値Icと端子電圧値Vbとが対応付けられている。また、ルックアップテーブルLTには、同一のSOCに対して放電電流が減少し、すなわち放電方向において電流値Icの絶対値が小さくなるほど端子電圧値Vbが上昇するように、電流値Icと端子電圧値Vbとが対応付けられている。そのため、残量推定部502は、電流検出部52によって検出された電流値Icと電圧検出部51によって検出された端子電圧値Vbとを、ルックアップテーブルLTと照合すると、電流値Icが大きくなるほど推定残量SOCeを減少させるように、すなわち充電電流が増大し、放電電流が減少するほど推定残量SOCeを減少させるように、推定残量SOCeを推定することになる。
また、ルックアップテーブルLTには、同一のSOCに対して温度tが高くなるほど端子電圧値Vbが低下するように、温度tと端子電圧値Vbとが対応付けられているので、残量推定部502は、温度検出部53によって検出された温度tと電圧検出部51によって検出された端子電圧値Vbとを、ルックアップテーブルLTと照合すると、温度tが高くなるほど推定残量SOCeを増大させるように、推定残量SOCeを推定することになる。
このように、ルックアップテーブルLTには、二次電池4のSOC(残量)と相関関係のある複数のパラメータ、端子電圧値Vb、電流値Ic、及び温度tと二次電池4のSOCとが対応付けられているので、推定残量SOCeからは、電流値Icや温度tの影響が低減される結果、残量推定部502は、精度よく推定残量SOCeを推定することができる。
そして、残量推定部502は、以下の式(2)を用いて推定残量を電気量で表した推定残量Qeを算出する。
Qe=(SOCe×FCC)/100 ・・・(2)
なお、ルックアップテーブルLTは、設定残量を電気量で表すものであってもよく、この場合、残量推定部502は、ルックアップテーブルLTで得られた設定電気量を、直接推定残量Qeとしてもよい。
ところで、ルックアップテーブルLTに設定されている値は、離散的な値になるのに対し、電圧検出部51によって検出される端子電圧値Vb、電流検出部52によって検出される電流値Ic、及び温度検出部53によって検出される温度tは、連続的に変化する。そのため、残量推定部502は、電圧検出部51によって検出される端子電圧値Vb、電流検出部52によって検出される電流値Ic、及び温度検出部53によって検出される温度tを、例えば四捨五入したり端数を丸めたりする近似処理を施した上で、ルックアップテーブルLTと照合するようになっている。「実質的に一致」とは、このように、電圧検出部51によって検出される端子電圧値Vb、電流検出部52によって検出される電流値Ic、及び温度検出部53によって検出される温度tを、例えば四捨五入したり端数を丸めたりする等の近似処理を施した結果、一致する場合を含む意味である。
なお、残量推定部502は、端子電圧値Vb、電流値Ic、及び温度tを用いて二次電池4の残量を推定する例に限られず、端子電圧値Vbのみを用いて推定してもよく、端子電圧値Vbと電流値Icを用いて推定してもよく、あるいは端子電圧値Vbと温度tを用いて、二次電池4の残量を推定するようにしてもよい。
満充電容量値補正部503は、残量推定部502によって推定された推定残量SOCeが基準値Refになったとき、当該推定された推定残量Qeと残量算出部501によって算出された積算残量Qaとの差に相当する差分電気量Qd=Qe−Qaを、容量記憶部505に記憶されている満充電容量値FCCに加算する。すなわち、積算残量Qaより推定残量Qeの方が多いときは、(Qe−Qa)の絶対値を容量記憶部505に記憶されている満充電容量値FCCに加算し、積算残量Qaより推定残量Qeの方が少ないときは(Qe−Qa)の絶対値を容量記憶部505に記憶されている満充電容量値FCCから減算することによって、当該満充電容量値FCCを補正する。
具体的には、満充電容量値補正部503は、下記の式(3)を用いて、満充電容量値FCCを補正する。
新たなFCC ← 現在のFCC+(Qe−Qa) ・・・(3)
警報部504は、残量推定部502によって推定された推定残量SOCeが基準値Ref以下になったとき、二次電池4の残量がゼロに近いことを示す信号を、通信部54から通信部36を介して制御部37へ送信させる。そうすると、制御部37は、二次電池4の残量がゼロに近いことを示すメッセージや、ユーザに二次電池4の充電を促すメッセージ等を、表示部38によって表示させる。
次に、図1に示す満充電容量値補正回路5の動作について説明する。図3は、図1に示す満充電容量値補正回路5の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、電流検出部52によって、二次電池4に流れる電流値Icが検出される(ステップS1)。次に、残量算出部501によって、電流値Icが単位時間毎に積算されて、二次電池4に充電されている積算残量Qaが算出される(ステップS2)。次に、残量算出部501によって、式(1)を用いて、容量記憶部505に記憶されている満充電容量値FCCと積算残量Qaとから、積算残量SOCaが算出される(ステップS3)。
次に、電圧検出部51によって端子電圧値Vbが検出され、温度検出部53によって二次電池4の温度tが検出される(ステップS4)。そして、残量推定部502によって、テーブル記憶部506に記憶されているルックアップテーブルLTが参照される。そして、ルックアップテーブルLTにおいて、電流値Ic、端子電圧値Vb、及び温度tと対応付けられているSOCが、推定残量SOCeとして取得される(ステップS5)。
そして、満充電容量値補正部503によって、推定残量SOCeと基準値Refとが比較され(ステップS6)、推定残量SOCeと基準値Refとが等しくなければ(ステップS6でNO)ステップS1〜S6を繰り返す一方、推定残量SOCeと基準値Refとが等しければ(ステップS6でYES)、満充電容量値FCCを補正するべくステップS7へ移行する。
そして、ステップS7において、残量推定部502によって、容量記憶部505に記憶されている満充電容量値FCCと、推定残量SOCeとから、式(2)を用いて推定残量Qeが算出される(ステップS7)。
そして、満充電容量値補正部503は、容量記憶部505に記憶されている満充電容量値FCCと、残量推定部502によって推定された推定残量Qeと、残量算出部501によって算出された積算残量Qaとから、式(3)を用いて新たな満充電容量値FCCが算出され、この新たな満充電容量値FCCが容量記憶部505に記憶されて、満充電容量値FCCが補正される(ステップS8)。
さらに、推定残量Qeを新たな積算残量Qaとして積算残量Qaを更新し(ステップS9)、再びステップS1〜S9を繰り返す。
以上、ステップS1〜S9の処理によれば、推定残量SOCeが基準値Refになったタイミングで満充電容量値FCCが補正されるので、二次電池4を満充電させることなく、かつ完全放電させることなく満充電容量値FCCを補正することができる。
また、推定残量SOCeが基準値Ref以下になると、警報部504によって、ユーザに、二次電池4の残量がゼロに近いことを示すメッセージや、二次電池4の充電を促すメッセージ等の警告が報知されるので、ユーザは、このような警告が報知されるまで、二次電池4を放電させるような使い方をする可能性が高い。そうすると、推定残量SOCeが基準値Ref以下になるまで二次電池4が充電されずに放電される可能性が高いから、推定残量SOCeが基準値Refになったタイミングで満充電容量値FCCを補正することで、満充電容量値FCCの補正機会を増大させる可能性を高めることができる。
また、警報部504を備えていない場合であっても、基準値Refとして、例えば5%程度のゼロに近い残量が設定されているから、例えば頻繁にモバイル使用される携帯電話機のような機器ではユーザが電池を使い切ることが多く、推定残量SOCeが基準値Ref以下になるまで二次電池4が充電されずに放電される可能性が高いから推定残量SOCeが基準値Refになったタイミングで満充電容量値FCCを補正することで、満充電容量値FCCの補正機会を増大させる可能性を高めることができる。
また、基準値Refとして、ゼロに近い残量、すなわち完全放電に近い残量が設定されているから、完全放電に近い状態で推定残量Qe、推定残量SOCeが推定される。ここで、二次電池は、完全放電(SOCが0%)に近いほど、SOCと端子電圧値Vbとの相関性が高くなるため、SOCの変化量に対する端子電圧値Vbの変化量が大きくなる。そのため、電圧の測定誤差の影響が低減されることになる。従って、残量推定部502は、完全放電に近い状態で推定残量Qe、推定残量SOCeを推定することによって、推定残量Qe、推定残量SOCeの推定精度を向上することができ、その結果、満充電容量値補正部503による満充電容量値FCCの補正精度を向上させることができる。
図4、図5は、二次電池4が放電される過程における満充電容量値補正回路5の動作を概念的に示した説明図である。図4、図5における横軸は、二次電池4が満充電状態から放電された場合のその放電電気量を示し、縦軸は、二次電池4のSOC(積算残量SOCa)を示している。そして、グラフG1は、二次電池4が放電を続けた場合のSOCと放電電気量との関係の変化を示している。
図4に示すように、二次電池4が放電されると、SOCが低下し、満充電状態からの放電電気量が増大する。そして、そのまま放電を続けて残量推定部502により推定された推定残量SOCeが5%(基準値Ref)になると、残量推定部502によって、ステップS7において推定残量Qeが推定される。そして、満充電容量値補正部503によって、差分電気量(Qe−Qa)が算出され、この差分電気量(Qe−Qa)が満充電容量値FCCに加算されて、新たな満充電容量値FCCが算出される(ステップS8)。
ここで、推定残量Qeの方が積算残量Qaより多いときは、差分電気量(Qe−Qa)の絶対値が満充電容量値FCCに加算され、推定残量Qeの方が積算残量Qaより少ないときは、差分電気量(Qe−Qa)の絶対値が満充電容量値FCCから減算されることになる。
図4は、推定残量Qeの方が積算残量Qaより多いときを示しており、図5は、推定残量Qeの方が積算残量Qaより少ないときを示している。
このステップS8の動作を、図4を用いて概念的に説明すると、補正前の満充電容量値FCCは、グラフG1の延長線(破線)がSOC0%と交わる点の放電容量FCC1に相当している。これに対し、SOC5%のときに差分電気量(Qe−Qa)を加算する処理は、グラフG1を差分電気量(Qe−Qa)だけ放電電気量の増加方向にシフトさせることに相当し、このときシフトされたグラフがSOC0%と交わる点の放電容量FCC2が、補正後の満充電容量値FCCに相当することになる。
一方、推定残量Qeの方が積算残量Qaより少ないときは、図5に示すように、補正前の満充電容量値FCCは、グラフG2の延長線(破線)がSOC0%と交わる点の放電容量FCC3に相当している。これに対し、ステップS8において、SOC5%のときに差分電気量(Qe−Qa)を加算する処理は、グラフG2を差分電気量(Qe−Qa)だけ放電電気量の減少方向にシフトさせることに相当し、このときシフトされたグラフがSOC0%と交わる点の放電容量FCC2が、補正後の満充電容量値FCCに相当することになる。
なお、必ずしも警報部504を備えていなくてもよい。また、基準値Refは、ゼロに近い残量に設定される例に限らない。例えば、太陽電池発電やハイブリットカー等のシステムのように、SOCを一定の範囲内に維持するように制御する場合であれば、当該範囲の中央付近に基準値Refを設定してもよい。例えばSOCを20%〜80%の範囲に制御する場合であれば、基準値Refを50%とすれば、満充電容量値FCCの補正頻度を増大させることができるので、例えば劣化などによって満充電容量値FCCと実際の二次電池4の満充電容量との差が増大してしまうおそれが低減される。
図6、図7は、二次電池4が充電される過程における満充電容量値補正回路5の動作を概念的に示した説明図である。図6、図7においては、基準値Refが95%に設定される例を示している。図6、図7における横軸は、二次電池4が充電される際の充電電気量を示し、縦軸は、二次電池4のSOC(積算残量SOCa)を示している。そして、グラフG3、G4は、二次電池4の充電を続けた場合のSOCと充電電気量との関係の変化を示している。
図6に示すように、二次電池4が充電されると、SOCが増大する。そして、そのまま充電を続けて残量推定部502により推定された推定残量SOCeが95%(基準値Ref)になると、残量推定部502によって、ステップS7において推定残量Qeが推定される。そして、満充電容量値補正部503によって、差分電気量(Qe−Qa)が算出され、この差分電気量(Qe−Qa)が満充電容量値FCCに加算されて、新たな満充電容量値FCCが算出される(ステップS8)。
ここで、推定残量Qeの方が積算残量Qaより多いときは、差分電気量(Qe−Qa)の絶対値が満充電容量値FCCに加算され、推定残量Qeの方が積算残量Qaより少ないときは、差分電気量(Qe−Qa)の絶対値が満充電容量値FCCから減算されることになる。
図6は、推定残量Qeの方が積算残量Qaより多いときを示しており、図7は、推定残量Qeの方が積算残量Qaより少ないときを示している。
このステップS8の動作を、図6を用いて概念的に説明すると、SOC95%のときに差分電気量(Qe−Qa)を満充電容量値FCCに加算する処理は、グラフG3を差分電気量(Qe−Qa)だけ充電電気量の増加方向にシフトさせることに相当する。このときシフトして得られたグラフG3’が、補正後の満充電容量値FCCに基づく正しいSOCを示すことになる。
一方、推定残量Qeの方が積算残量Qaより少ないときについて、図7に基づき説明する。推定残量Qeの方が積算残量Qaより少ないとき、ステップS8において、SOC95%のときに差分電気量(Qe−Qa)を満充電容量値FCCに加算する処理、すなわち満充電容量値FCCから(Qe−Qa)の絶対値を減算する処理は、グラフG4を差分電気量(Qe−Qa)だけ充電電気量の減少方向にシフトさせることに相当し、このときシフトされたグラフG4’が、補正後の満充電容量値FCCに基づく正しいSOCを示すことになる。
即ち、本発明の一局面に従う満充電容量値補正回路は、二次電池に流れる電流の電流値を検出する電流検出部と、前記二次電池の端子電圧値を検出する電圧検出部と、前記二次電池の満充電容量を示す満充電容量値を記憶する容量記憶部と、前記電流検出部によって検出される前記二次電池の充放電電流に基づき、前記二次電池における充電電気量の加算と放電電気量の減算とを累積的に行うことにより得られる積算値から、前記二次電池に充電されている残量を積算残量として算出する残量算出部と、前記電圧検出部によって検出される端子電圧値を用いて、前記二次電池の残量を推定残量として推定する残量推定部と、前記残量推定部によって推定された推定残量が、予め設定された基準値になったとき、当該推定された推定残量と前記残量算出部によって算出された積算残量との差に相当する差分電気量を、当該積算残量より当該推定残量の方が多いときは前記容量記憶部に記憶されている満充電容量値に加算し、当該積算残量より当該推定残量の方が少ないときは前記容量記憶部に記憶されている満充電容量値から減算することによって、当該満充電容量値を補正する満充電容量値補正部とを備える。
この構成によれば、残量算出部によって、二次電池の充放電電流に基づき、二次電池の充電電気量の加算と放電電気量の減算とが累積的に実行されて得られる積算値から、二次電池に充電されている残量が積算残量として算出される。そして、残量推定部によって、二次電池の端子電圧値を用いて、二次電池の残量が推定残量として推定される。さらに、残量推定部により推定される推定残量が前記基準値になったとき、当該推定された推定残量と残量算出部によって算出された積算残量との差に相当する差分電気量が、満充電容量値補正部によって、当該積算残量より当該推定残量の方が多いときは容量記憶部に記憶されている満充電容量値に加算され、当該積算残量より当該推定残量の方が少ないときは容量記憶部に記憶されている満充電容量値から減算されて、満充電容量値が補正される。この場合、充電電気量の加算と放電電気量の減算とが累積的に実行されて得られる積算値と、二次電池の端子電圧値を用いて推定される二次電池の推定残量との差である差分電気量は、満充電容量値の変化量に相当すると考えられるから、差分電気量を用いて満充電容量値を補正することで、二次電池の劣化に伴う実際の満充電容量の減少に応じて、容量記憶部に記憶されている満充電容量値を補正することができる。
そして、二次電池を満充電させたり、完全放電させたりしなくても、積算残量が前記基準値になったときに満充電容量値を補正することができるから、二次電池を満充電させることなく、かつ完全放電させることなく満充電容量を補正することができる。
また、前記基準値は、前記二次電池が、満充電に満たず、かつ完全放電していない充電状態の範囲内の残量であることが好ましい。
基準値として、前記二次電池が、満充電に満たず、かつ完全放電していない充電状態の範囲内の残量が設定されていれば、二次電池が満充電されず、また完全放電されないときに満充電容量を補正する確実性が増大する。
また、前記残量推定部は、前記電圧検出部によって検出された端子電圧値が上昇するほど推定残量を増大させるように、当該推定残量を推定することが好ましい。
二次電池は、充電されている残量が多いほど端子電圧が大きいので、端子電圧値が大きいほど推定残量を増大させるように、当該推定残量を推定することで、二次電池に充電されている推定残量を推定することができる。
また、前記残量推定部は、前記電圧検出部によって検出された端子電圧値と前記電流検出部によって検出された電流値とを用いて、前記推定残量を推定することが好ましい。
二次電池の端子電圧は、二次電池に流れる電流値によっても変動する。そこで、残量推定部は、二次電池の端子電圧値に加えて、電流検出部によって検出された電流値を用いて推定残量を推定することで、推定残量の推定精度が向上する結果、満充電容量値の補正精度を向上させることができる。
また、前記残量推定部は、前記電流検出部によって検出された放電方向の電流値が減少するほど、推定残量を減少させるように当該推定残量を推定することが好ましい。
二次電池は、放電時には、放電電流が減少するほど二次電池の内部抵抗で生じる電圧降下が減少して端子電圧値が上昇するから、電流検出部によって検出された放電方向の電流値が減少するほど、推定残量を減少させるように当該推定残量を推定することによって、二次電池に流れる電流値の端子電圧値に与える影響を低減させて、推定残量の推定精度を向上させることができる。
また、前記二次電池の温度を検出する温度検出部をさらに備え、前記残量推定部は、前記温度検出部によって検出された温度をさらに用いて、前記推定残量を推定することが好ましい。
二次電池の端子電圧と残量との関係は、温度の影響を受けて変動する。そこで、残量推定部は、二次電池の端子電圧値に加えて、温度検出部によって検出された温度を用いて推定残量を推定することで、推定残量の推定精度が向上する結果、満充電容量値の補正精度を向上させることができる。
また、前記二次電池の温度を検出する温度検出部をさらに備え、前記残量推定部は、前記電圧検出部によって検出された端子電圧値と前記電流検出部によって検出された電流値と前記温度検出部によって検出された温度とを用いて、前記推定残量を推定することが好ましい。
この構成によれば、二次電池の端子電圧値と電流検出部によって検出された電流値とに加えて、温度検出部によって検出された温度を用いて推定残量を推定することで、推定残量の推定精度がさらに向上する結果、満充電容量値の補正精度をさらに向上させることができる。
また、前記残量推定部は、前記温度検出部によって検出された温度が高くなるほど推定残量を増大させるように、当該推定残量を推定することが好ましい。
温度が高くなるほど端子電圧値が低下する一般的な二次電池では、温度検出部によって検出された温度が高いほど推定残量を増大させるように当該推定残量を推定することによって、二次電池の温度が端子電圧値に与える影響を低減させて、推定残量の推定精度を向上させることができる。
また、前記二次電池の温度を検出する温度検出部と、前記二次電池に充電されている残量を表す値として予め設定された設定残量と前記二次電池を流れる電流値と前記二次電池の温度とを、当該二次電池の端子電圧値と対応付けたルックアップテーブルを記憶するテーブル記憶部とをさらに備え、前記残量推定部は、前記テーブル記憶部に記憶されたルックアップテーブルによって、前記電圧検出部により検出された端子電圧、前記電流検出部により検出された電流値、及び前記温度検出部により検出された温度と対応付けられている設定残量を、前記推定残量として推定するようにしてもよい。
この構成によれば、二次電池の残量と、当該残量と相関関係のある端子電圧値、電流値、及び温度とがルックアップテーブルによって、対応付けられているので、残量推定部は、電圧検出部により検出された端子電圧、電流検出部により検出された電流値、及び温度検出部により検出された温度を用いて、二次電池に流れる電流値や温度の影響を低減しつつ二次電池の推定残量を容易に推定することができる。
また、前記ルックアップテーブルにおいて、前記設定残量は、前記二次電池の満充電容量値に対する、前記二次電池の充電電気量の比率によって表されており、前記満充電容量値補正部は、前記残量推定部によって前記満充電容量値に対する充電電気量の比率として推定された推定残量と、前記容量記憶部に記憶されている満充電容量値と、前記積算残量とに基づいて、前記差分電気量を算出することが好ましい。
二次電池の端子電圧値は、二次電池に充電されている充電電気量の絶対値よりも、二次電池の満充電容量値に対する充電電気量の比率との相関関係の方が強い。従って、ルックアップテーブルにおいて、設定残量を、二次電池の満充電容量値に対する、二次電池の充電電気量の比率として表わした方が、設定残量を充電電気量の絶対値で表した場合よりも二次電池の特性を正確に表すことができる。そのため、設定残量を、二次電池の満充電容量値に対する充電電気量の比率として表わしたルックアップテーブルを用いて、満充電容量値補正部が、残量推定部によって満充電容量値に対する充電電気量の比率として推定された推定残量と、容量記憶部に記憶されている満充電容量値と、積算残量とに基づいて、差分電気量を算出することで、差分電気量の算出精度が向上する結果、満充電容量値の補正精度を向上させることができる。
また、前記基準値は、前記残量がゼロに近いことを示すために予め設定された値であり、前記残量算出部によって算出された積算残量が、前記基準値になったとき、警告を報知する警報部をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、残量算出部によって算出される積算残量が、ゼロに近くなったとき、警報部によって警告が報知されるので、ユーザは、このような警告が報知されるまで、二次電池を放電させるような使い方をする可能性が高い。そうすると、積算残量が基準値以下になるまで二次電池が充電されずに放電される可能性が高いから、積算残量が基準値になったタイミングで満充電容量値を補正することで、満充電容量値の補正機会を増大させる可能性を高めることができる。
また、本発明の一局面に従う電池パックは、上述の満充電容量値補正回路と、前記二次電池とを備える。
この構成によれば、電池パックにおいて、二次電池を満充電させることなく、かつ完全放電させることなく満充電容量値を補正することができる。
また、本発明の一局面に従う充電システムは、上述の満充電容量値補正回路と、前記二次電池と、前記二次電池を充電する充電部とを備える。
この構成によれば、二次電池と、二次電池を充電する充電部とを備えた充電システムにおいて、二次電池を満充電させることなく、かつ完全放電させることなく満充電容量値を補正することができる。
このような構成の満充電容量値補正回路、電池パック、及び充電システムは、二次電池を満充電させることなく、かつ完全放電させることなく二次電池の満充電容量値を補正することができる。
この出願は、2010年3月5日に出願された日本国特許出願特願2010−049531を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
なお、発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施態様又は実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求事項との範囲内で、種々変更して実施することができるものである。
本発明に係る満充電容量値補正回路、電池バック、及び充電システムは、携帯型パーソナルコンピュータやデジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話機等の電子機器、電気自動車やハイブリッドカー等の車両、ハイブリッドエレベータ、太陽電池や発電装置と二次電池とを組み合わされた電源システム、無停電源装置等の電池搭載装置、システムにおいて、好適に利用することができる。

Claims (13)

  1. 二次電池に流れる電流の電流値を検出する電流検出部と、
    前記二次電池の端子電圧値を検出する電圧検出部と、
    前記二次電池の満充電容量を示す満充電容量値を記憶する容量記憶部と、
    前記電流検出部によって検出された前記二次電池の充放電電流に基づき、前記二次電池における充電電気量の加算と放電電気量の減算とを累積的に行うことにより得られる積算値から、前記二次電池に充電されている残量を積算残量として算出する残量算出部と、
    前記電圧検出部によって検出された端子電圧値を用いて、前記二次電池の残量を推定残量として推定する残量推定部と、
    前記残量推定部によって推定された推定残量が、予め設定された基準値になったとき、当該推定された推定残量と前記残量算出部によって算出された積算残量との差に相当する差分電気量を、当該積算残量より当該推定残量の方が多いときは前記容量記憶部に記憶されている満充電容量値に加算し、当該積算残量より当該推定残量の方が少ないときは前記容量記憶部に記憶されている満充電容量値から減算して補正する満充電容量値補正部と
    を備える満充電容量値補正回路。
  2. 前記基準値は、前記二次電池が、満充電に満たず、かつ完全放電していない充電状態の範囲内の残量である請求項1記載の満充電容量値補正回路。
  3. 前記残量推定部は、前記電圧検出部によって検出された端子電圧値が上昇するほど推定残量を増大させるように、当該推定残量を推定する請求項1又は2記載の満充電容量値補正回路。
  4. 前記残量推定部は、
    前記電圧検出部によって検出された端子電圧値と前記電流検出部によって検出された電流値とを用いて、前記推定残量を推定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の満充電容量値補正回路。
  5. 前記残量推定部は、前記電流検出部によって検出された放電方向の電流値が減少するほど、推定残量を減少させるように当該推定残量を推定する請求項4記載の満充電容量値補正回路。
  6. 前記二次電池の温度を検出する温度検出部をさらに備え、
    前記残量推定部は、
    前記電圧検出部によって検出された端子電圧値と前記温度検出部によって検出された温度とを用いて、前記推定残量を推定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の満充電容量値補正回路。
  7. 前記二次電池の温度を検出する温度検出部をさらに備え、
    前記残量推定部は、
    前記電圧検出部によって検出された端子電圧値と前記電流検出部によって検出された電流値と前記温度検出部によって検出された温度とを用いて、前記推定残量を推定する請求項4又は5に記載の満充電容量値補正回路。
  8. 前記残量推定部は、前記温度検出部によって検出された温度が高くなるほど推定残量を増大させるように、当該推定残量を推定する請求項6又は7記載の満充電容量値補正回路。
  9. 前記二次電池の温度を検出する温度検出部と、
    前記二次電池に充電されている残量を表す値として予め設定された設定残量と前記二次電池を流れる電流値と前記二次電池の温度とを、当該二次電池の端子電圧値と対応付けたルックアップテーブルを記憶するテーブル記憶部とをさらに備え、
    前記残量推定部は、
    前記テーブル記憶部に記憶されたルックアップテーブルによって、前記電圧検出部により検出された端子電圧、前記電流検出部により検出された電流値、及び前記温度検出部により検出された温度と対応付けられている設定残量を、前記推定残量として推定する請求項1又は2記載の満充電容量値補正回路。
  10. 前記ルックアップテーブルにおいて、前記設定残量は、前記二次電池の満充電容量値に対する、前記二次電池の充電電気量の比率によって表されており、
    前記満充電容量値補正部は、
    前記残量推定部によって前記満充電容量値に対する充電電気量の比率として推定された推定残量と、前記容量記憶部に記憶されている満充電容量値と、前記積算残量とに基づいて、前記差分電気量を算出する請求項9記載の満充電容量値補正回路。
  11. 前記基準値は、前記残量がゼロに近いことを示すために予め設定された値であり、
    前記残量算出部によって算出された積算残量が、前記基準値になったとき、警告を報知する警報部をさらに備える請求項1〜10のいずれか1項に記載の満充電容量値補正回路。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の満充電容量値補正回路と、
    前記二次電池と
    を備える電池パック。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の満充電容量値補正回路と、
    前記二次電池と、
    前記二次電池を充電する充電部と
    を備える充電システム。
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