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JP4846356B2 - 光硬化性・熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

光硬化性・熱硬化性樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、耐ブリードアウト性、柔軟性、耐折性、密着性に優れ、UL燃焼試験に合格する難燃性を有し、プリント配線板の層間絶縁樹脂やアルカリ水溶液で現像可能なソルダーレジスト等に好適な光硬化性・熱硬化性樹脂組成物に関する。
一般的にプリント配線板の製造においては、従来より種々の基板保護手段が用いられており、例えば、エッチング工程ではレジスト、はんだ付け工程ではソルダーレジスト等が用いられている。また、小型機器等に搭載されるフィルム状のプリント基板(以下、FPCと略記)の製造においても、部品搭載のためのはんだ付け工程において無関係な配線を保護するためにソルダーレジストが用いられる。
このようなレジストまたはソルダーレジスト等の基板保護手段においては、具体的には、ポリイミドフィルムを所定の型に打ち抜いたものを積層するカバーレイ、または、耐熱性材料で構成されたインクを印刷するカバーコートが用いられてきている。カバーレイ、カバーコートは、はんだ付け後においては配線の保護膜も兼ねるため、UL規格に定める難燃性に加え、耐ブリードアウト性、柔軟性、密着性、基板組み込み時の折り曲げでクラックが入らない耐折性および可撓性、はんだ付け時における耐熱性、耐湿性、絶縁性が必要とされる。
ポリイミドフィルムを打ち抜いて形成されるカバーレイは、これら要求特性を満足するものであり、現在最も広く用いられているが、型抜きに高価な金型が必要な上、打ち抜いたフィルムを人手によって位置合わせおよび張り合わせを行うために、基板の製造コストが高くなり、さらに、微細パターンの形成が困難であるという問題点がある。
一方、カバーコートは、スクリーン印刷のため乾燥工程が必要とされるために、基板の製造コストが高くなり、さらに、作業性が悪いという問題点がある。
これらの問題点を解決する方法として、基板上に感光性樹脂組成物を液状で塗布またはフィルム状で貼付する方法が提案されている。この方法によれば、基板上に該感光性樹脂組成物の皮膜を形成した後、写真技術により露光、現像、加熱を行えば、微細なパターンのカバーレイやカバーコートを容易に形成することができるため、これまでに種々の感光性樹脂組成物が開発されてきている。
感光性樹脂組成物に難燃性を付与する方法としては、従来より、臭素化エポキシ樹脂等のハロゲン化物系難燃剤や、これに三酸化アンチモン等の難燃助剤を組み合わせた難燃剤を用いる方法が提案されている(特許文献1および2参照)。しかし、世界的な環境問題への関心の高まりとともに、低有毒性、低公害性、安全性が重要視されるようになるなか、感光性樹脂組成物も単に燃え難いだけでなく、有毒ガスの発生が無く、低発煙性であることが求められるようになってきており、このようなものとして、ハロゲンを含まない感光性樹脂組成物が求められている。ハロゲンを含まず、比較的良好な難燃効果が得られる難燃剤として、有機リン系難燃剤であるリン酸エステル化合物等の有機リン化合物(特許文献3〜5参照)や、無機系難燃剤である金属水和物が知られている。
例えば、リン酸エステル化合物や金属水和物は、この分野で汎用されるエポキシ系の感光性ソルダーレジストの難燃剤として用いられることがある。
特開平9−325490号公報 特開平11−242331号公報 特開平9−235449号公報 特開平10−306201号公報 特開平11−271967号公報
しかし、リン酸エステル化合物を用いた感光性樹脂組成物は、難燃剤としてリン酸エステル化合物のみを用いた場合では難燃効果が弱く、耐熱性、耐湿性、耐ブリードアウト性も不十分であるという問題点がある。また、難燃剤として金属水和物を用いる場合には、金属水和物を多量に添加する必要があり、得られた感光性樹脂組成物は、耐折性および柔軟性が低下するという問題点がある。
また、難燃剤には、プリント配線基板での鉛フリーはんだの使用に対する耐性も求められる。具体的には、一般的なフロー、リフロー温度が従来の鉛/錫系共晶はんだが約260℃であるのに対し、鉛フリーはんだはさらに10〜20℃も高いため、このような高温環境下での使用に耐える耐熱性を有するものが求められる。
このように、UL規格による基準を満たすほどの高い難燃性を備え、耐ブリードアウト性、柔軟性、耐折性、密着性、可撓性、鉛フリーはんだ使用時の耐熱性、耐湿性、絶縁性にも優れたレジストフィルムの開発が強く望まれている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、UL燃焼試験に合格する高難燃性、耐ブリードアウト性、柔軟性、耐折性、密着性、可撓性、鉛フリーはんだ使用時の耐熱性、耐湿性、絶縁性に優れ、プリント配線板の層間絶縁樹脂やアルカリ水溶液で現像可能なソルダーレジスト等に好適な光硬化性・熱硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、
請求項1に記載の発明は、硬化させることによって、プリント配線板の絶縁保護皮膜とするための、光硬化性・熱硬化性樹脂組成物であって、(A)カルボキシ変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)光重合開始剤、(D)希釈剤、(E)硬化剤、(F)下記一般式(1)で表される化合物および(G)水酸化アルミニウムを必須成分とし、(A)〜(E)成分に対する(F)成分中のリンの含有量が2.5〜4.5質量%であり、(A)〜(E)成分合計100質量部に対する(G)成分の含有量が60〜80質量部であることを特徴とする光硬化性・熱硬化性樹脂組成物である。
Figure 0004846356
(式中Rは、互いに同一でも異なっても良い、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
請求項2に記載の発明は、基板又は基材上に塗布し、乾燥後、露光、現像、熱硬化して硬化させることにより、硬化皮膜を形成するために用いられる請求項1に記載の光硬化性・熱硬化性樹脂組成物である。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光硬化性・熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とする絶縁保護皮膜である。
本発明によれば、UL燃焼試験に合格する高難燃性、耐ブリードアウト性、柔軟性、耐折性、密着性、可撓性、鉛フリーはんだ使用時の耐熱性、耐湿性、絶縁性に優れ、プリント配線板の層間絶縁樹脂やアルカリ水溶液で現像可能なソルダーレジスト等に好適な光硬化性・熱硬化性樹脂組成物が得られる。また、該樹脂組成物を硬化させて得られる絶縁保護皮膜を用いることにより、基板の製造工程を簡略化することができ、基板の製造コストを低減することができる。
以下、本発明について詳しく説明する。なお、以下においては、本発明の光硬化性・熱硬化性樹脂組成物を単に樹脂組成物と略記することがある。
本発明で用いる必須成分である(A)成分のカルボキシ変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させた後、酸無水物を反応させて得られる、酸価が90〜110mgKOH/gのものを挙げることができる。
原料として用いられるビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、主骨格がビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられ、KAYARAD(登録商標) ZFR、ZAR(日本化薬株式会社製)等の市販品を用いることができる。
同様に、原料として用いられる(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの混合物が挙げられる。
さらに、原料として用いられる酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。これらのなかでも、特に、無水コハク酸、無水フタル酸を用いることが好ましい。
これらを反応させて得られた(A)カルボキシル変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の酸価は90〜110mgKOH/gの範囲であることが好ましい。酸価が上記範囲であることにより、特性が優れた樹脂組成物を得ることができる。酸価が90mgKOH/gより小さい場合にはアルカリ溶解性が悪くなる場合があり、逆に大きすぎると、組成物の構成成分の組み合わせによっては硬化皮膜の耐アルカリ性、電気特性等のレジストとしての特性を下げる要因となる場合がある。
また、前記方法で得られたもの以外でも、(A)カルボキシル変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂として、同様の酸価を有する市販品を用いることもでき、好ましいものとして、例えば、KAYARAD ZFR1122(商品名、日本化薬株式会社製)を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、(A)〜(E)成分合計100質量部に対して、45〜65質量部であることが好ましい。
本発明で用いる必須成分である(B)成分のエポキシ樹脂としては、一分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、N−グリシジル型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。さらに、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂およびテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂等を使用してもよい。これらのなかでも、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。具体的な市販品としては、例えば、NC3000、NC3000P、NC3000H(商品名、いずれも日本化薬株式会社製)等を挙げることができる。なかでもNC3000Hが好ましい。これらエポキシ樹脂は、単独で用いても良く、二種以上を併用しても良い。
本発明の樹脂組成物中の(B)成分の含有量は、(A)〜(E)成分合計100質量部に対して、10〜30質量部であることが好ましい。
本発明で用いる必須成分である(C)成分の光重合開始剤とは、(A)成分の(メタ)アクリロイル基の反応を誘起してラジカル重合を引き起こす化合物であり、例えば、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、ベンゾイル安息香酸、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類等を挙げることができる。具体的な市販品としては、例えば、KAYACUREシリーズ(日本化薬株式会社製)、IRUGACUREシリーズ(チバスペシャルティーケミカルズ社製)を挙げることができる。これら(C)成分は、単独で用いても良く、二種以上を併用しても良い。
本発明の樹脂組成物中の(C)成分の含有量は、光硬化成分の使用量に応じて適宜調整すれば良い。
これら光重合開始剤のうち、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類が好ましい。具体的には、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
光重合開始剤を併用する場合には、好ましい組合わせとして、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ製、商品名:IRUGACURE 907)と2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬株式会社製、商品名:KAYACURE DETX−S)の組み合わせを挙げることができる。
さらに光重合開始剤には、必要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル 4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類等を挙げることができる。これらの光増感剤は、単独で用いても良く、二種以上を併用しても良い。
本発明で用いる必須成分である(D)成分の希釈剤とは、粘度の高い(A)成分と混合して希釈することで、粘度を適度な値に調整するものであり、光重合性モノマーまたは有機溶剤を用いることができる。
光重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート類;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール又はこれらのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール類のエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート類;カプロラクトン変性トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のε−カプロラクトン変性(メタ)アクリレート類;メラミン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、有機溶剤としては、例えば、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤を挙げることができる。
具体的な市販品としては、例えば、KAYARADシリーズ(日本化薬株式会社製)を、なかでもKAYARAD DPCA120(日本化薬株式会社製)を好ましいものとして挙げることができる。これら(D)成分は、単独で用いても良く、二種以上を併用しても良い。
本発明の樹脂組成物中の(D)成分の含有量は、適切な粘度となるように適宜調整すれば良いが、(A)〜(E)成分合計100質量部に対して、5〜25質量部であることが好ましい。
本発明で用いる必須成分である(E)成分の硬化剤とは、(A)成分に含まれるエポキシ基の熱重合を促進する化合物であり、例えば、2MZ、2E4MZ、C11Z、C17Z、2PZ、1B2MZ、2MZ−CN、2E4MZ−CN、C11Z−CN、2PZ−CN、2PHZ−CN、2MZ−CNS、2E4MZ−CNS、2PZ−CNS、2MZ−AZINE、2E4MZ−AZINE、C11Z−AZINE、2MA−OK、2P4MHZ、2PHZ、2P4BHZ(以上、商品名、四国化成工業株式会社製)等のイミダゾール誘導体;アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類;前記ポリアミン類の有機酸塩及び/又はエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類;トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m−アミノフェノール等の三級アミン類;ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のポリフェノール類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類;トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;多塩基酸無水物;ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート、イルガキュア−261(商品名、チバ・ガイギー社製)、オプトマ−SP−170(商品名、旭電化株式会社製)等の光カチオン重合触媒;スチレン−無水マレイン酸樹脂;フェニルイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物や、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物等の従来公知の硬化剤、硬化促進剤を用いることができる。なかでもC11Z−CN(商品名、四国化成工業株式会社製)を好ましいものとして挙げることができる。これら硬化剤は、単独で用いても良く、二種以上を併用しても良い。
そして本発明の樹脂組成物では、必須成分の難燃剤として、(F)前記一般式(1)で表される化合物と(G)水酸化アルミニウムとを複合した難燃剤系が添加される。すなわち、本発明では、(F)成分と(G)成分とを併用することにより、耐ブリードアウト性、柔軟性、難燃性およびはんだ耐熱性等に優れた樹脂組成物となる。
本発明で用いる(F)成分は、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物である。これらのなかでも、RがHである化合物が好ましく、市販品としては、例えば、SANKO−BCA(商品名、三光株式会社製)を好適に用いることができる。なお、Rがアルキル基である場合は、そのベンゼン環上における置換位置は、特に限定されない。
本発明の樹脂組成物は、(A)〜(E)成分に対して、(F)成分中のリンの含有量が2.5〜4.5質量%となるように(F)成分を含有する。リン含有量が2.5質量%未満では、柔軟性およびULのV試験におけるV−0相当の難燃効果が得られず、4.5質量%を超えると、該樹脂組成物硬化膜の密着性が低下してしまう。
本発明で用いる(G)成分の水酸化アルミニウムは、平均粒子径が1.3μm以下、最大粒子径が5μm以下のものが好ましい。また、粒子の表面がステアリン酸などの高級脂肪酸により疎水化処理された水酸化アルミニウムが取り扱いやすく、また、樹脂中への分散も容易であるので好ましい。市販品としては、例えば、ハイジライトH−42S(商品名、昭和興産株式会社製)を好適に用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、(A)〜(E)成分合計100質量部に対して(G)成分を60〜80質量部含有する。この範囲内であれば、必要とされる難燃性に応じて、含有量を適宜調整することができる。(G)成分の含有量が60質量部未満では、十分な難燃効果が得られず、80質量部を超えると該樹脂組成物硬化膜の耐折性および密着性が低下する。
さらに、本発明の樹脂組成物は、前記(A)〜(E)成分からなるベース配合と、(F)および(G)成分からなる難燃剤のほかに、着色剤、流動調整剤としての界面活性剤、その他、重合禁止剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて適宜添加することができる。
熱重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン等が挙げられる。
増粘剤としては、例えば、アスベスト、オルベン、ベントン、モンモリロナイト等が挙げられる。
消泡剤は、印刷、塗工時および硬化時に生じる泡を消すために用いられ、具体的には、例えば、アクリル系、シリコン系等の界面活性剤が挙げられる。
レベリング剤は、印刷、塗工時に生じる皮膜表面の凹凸を失くすために用いられ、具体的には、例えば、アクリル系、シリコン系等の界面活性剤が挙げられる。
密着性付与剤としては、例えば、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、上記の各成分を通常の方法で混合することによって製造することができる。混合の方法には特に制限はなく、一部の成分を混合してから残りの成分を混合してもよく、または、すべての成分を一括で混合してもよい。具体的には、上記した各成分を混合した後、溶融混練することが好ましく、たとえばバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、単軸もしくは二軸の押出機およびコニーダーなどの従来公知の混練方法を用いて溶融混練することにより製造される。溶融温度としては60〜130℃の範囲が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、基板や基材などの上に適当な厚みで塗布し、熱処理して乾燥し、その後、露光、現像、熱硬化して硬化させることにより、硬化皮膜とすることができる。本発明の樹脂組成物は、様々な用途に使用できるが、特に、光感度、現像性に優れ、かつ、硬化させて薄膜とした場合の基板との密着性、絶縁性、耐熱性、そり変形性、可撓性、外観にも優れるため、プリント配線板の絶縁保護皮膜としての使用に適している。
絶縁保護皮膜を形成する場合には、回路が形成された基板上に該樹脂組成物を、例えば、10μm〜100μmの厚みで塗布した後、60℃〜100℃の温度範囲で、5〜30分間程度で熱処理して乾燥し、5〜70μmの厚みとした後、所望の露光パターンが施されたネガマスクを介して露光し、未露光部分を現像液で除去して現像し、100℃〜180℃の温度範囲で、10〜40分間程度熱硬化して硬化させる方法が挙げられる。
この樹脂組成物は、難燃性のみならず、硬化物とした場合の可撓性にとりわけ優れ、柔軟性に優れるため、FPC基板の絶縁保護皮膜に用いるのに特に適していて、カールが少なく、取扱い性にも優れたFPC基板とすることができる。また、例えば、多層プリント配線板の層間の絶縁樹脂層として使用してもよい。
露光に用いられる光は、公知の光源、例えば、カーボンアーク、水銀蒸気アーク、キセノンアーク等から発生する活性光が用いられる。(C)光重合開始剤の感受性は、通常、紫外線領域において最大であるので、その場合は活性光源は紫外線を有効に放射するものが好ましい。もちろん、(C)光重合開始剤が可視光線に感受するもの、例えば、9,10−フェナンスレンキノン等である場合には、活性光としては可視光が用いられ、その光源としては前記活性光源以外に写真用フラッド電球、太陽ランプなども用いられる。
現像液には、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液を使用することができる。
本発明の樹脂組成物は、感光性ドライフィルムの感光層に使用することもできる。感光性ドライフィルムは、重合体フィルムなどからなる支持体上に、樹脂組成物からなる感光層を有するものである。感光層の厚みは10〜70μmが好ましい。支持体に使用される重合体フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートや脂肪族ポリエステル等のポリエステル樹脂、ポリプロピレンや低密度ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂からなるフィルム等を挙げることができ、これらのうち、ポリエステルおよび低密度ポリエチレンからなるフィルムが好ましい。また、これらの重合体フィルムは、後に感光層から除去する必要があるため、感光層から容易に除去可能であることが好ましい。これらの重合体フィルムの厚さは、通常5〜100μm、好ましくは10〜30μmである。
感光性ドライフィルムは、樹脂組成物を支持体上に塗布し乾燥する感光層形成工程により製造できる。また、形成された感光層上に、カバーフィルムを設けることにより、支持体、感光層、カバーフィルムが順次積層され、感光層の両面にフィルムを有する感光性ドライフィルムを製造することもできる。カバーフィルムは感光性ドライフィルムの使用時には剥がされるが、使用時までの間に感光層上にカバーフィルムが設けられることにより、感光層を保護でき、ポットライフに優れた感光性ドライフィルムとなる。
カバーフィルムとしては、上述した支持体に使用される重合体フィルムと同様のものを使用でき、カバーフィルムと支持体とは、同じ材料であっても異なる材料であってもよく、また、厚みも同じであっても異なっていてもよい。
感光性ドライフィルムを使用してプリント配線板に絶縁保護皮膜を形成するためには、まず、感光性ドライフィルムの感光層と基板とを貼合する貼合工程を行う。ここで、カバーフィルムが設けられている感光性ドライフィルムを使用する場合には、カバーフィルムを剥がして感光層を露出させてから基板に接触させる。そして、感光層と基板とを加圧ローラなどで40〜120℃程度で熱圧着して、基板上に感光層を積層する。
そして、感光層を所望の露光パターンが施されたネガマスクを介して露光する露光工程と、感光層から支持体を剥離する工程と、現像液で未露光部分を除去し現像する現像工程と、感光層を熱硬化させる熱硬化工程を行うことによって、基板の表面に絶縁保護被膜が設けられたプリント配線基板を製造できる。また、このような感光性ドライフィルムを使用して、多層プリント配線基板の層間に絶縁樹脂層を形成してもよい。なお、露光に用いられる光および現像液には、上述したものを同様に使用できる。
このような樹脂組成物を使用すると、難燃剤を含み優れた難燃性を有するにもかかわらず、外観が美しく、180°の折り曲げに耐え得る高い耐折性および可撓性が保たれ、また光感度や現像性に優れ、さらに耐ブリードアウト性、柔軟性、配線基板に対する密着性、耐熱性、耐湿性、電気絶縁性等の性能を満足する硬化皮膜を形成することができる。
そして、この硬化皮膜は、特に、耐折性、難燃性、可撓性、電気絶縁性、外観に優れる。よって、FPC基板のような薄いプリント配線板に使用した場合でも、180°の折り曲げに耐えることが可能でありカールが生じず、電気的性能や取り扱い性にも優れた可撓性の良好な絶縁保護皮膜を形成することができる。この皮膜は、プリント配線板の絶縁保護皮膜として好適である。
以下、具体的な実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(試料の作製)
なお、以下の実施例においては、(A)成分としてビスフェノールF型エポキシアクリレート;KAYARAD ZFR1122(商品名、日本化薬株式会社製)、(B)成分としてNC−3000H(商品名、日本化薬株式会社製)、(C)成分としてIRUGACURE 907(商品名、チバスペシャルティーケミカルズ製)およびKAYACURE DETX−S(商品名、日本化薬株式会社製)、(D)成分としてKAYARAD DPCA120(商品名、日本化薬株式会社製)、(E)成分として熱重合触媒;C11Z−CN(商品名、四国化成工業株式会社製)、(F)成分としてRがHである前記一般式(1)で表される化合物;SANKO−BCA(商品名、三光株式会社製)、(G)成分としてハイジライトH−42S(商品名、昭和興産株式会社製)をそれぞれ用いた。
これら成分を表1に示すに配合によりミキサーを用いて混合し、各ソルダーレジスト組成物を調製した(実験例1〜6)。この配合比において各成分の質量部の基準は、(A)〜(E)成分の合計(ベース配合)を100質量部としている。なお、表1中、リン含有量とは、(A)〜(E)成分に対する(F)成分中のリン含有量(質量%)を示す。
得られたソルダーレジスト組成物を用いて、プリント配線板用の基材(東レデュポン株式会社製ポリイミド、商品名:KAPTON100V、膜厚25μm)の両面に膜厚25μmの絶縁保護皮膜を形成した。絶縁保護皮膜の形成は、ソルダーレジスト組成物を基材に片面ずつ塗工、硬化する方法とした。ソルダーレジスト組成物の硬化条件は、プレキュア(75℃、25min)→露光(UV照射、300mJ/cm)→ポストキュア(150℃、15min)を順次行う方法とした。
(試料の評価方法)
また、得られたソルダーレジスト組成物について、以下に示す方法で諸特性を評価した。その結果を表1に示す。
(1)表面ブリード:完全硬化後、エタノールで硬化膜表面を拭き、色がつかないものを合格(○)とした。
(2)耐折性:試料を180°の角度で一回2つ折りに折り曲げたのち、曲げを戻した後の試料の状態を総合的に判定評価して、全く変化が認められないものを合格(○)とし、不合格を×とした。
(3)柔軟性:幅13mm、長さ125mm、膜厚25μmの前記基材の両面に40μmの膜厚でソルダーレジスト組成物を塗布し、完全硬化後、基材の一端を指で支えて水平にした状態から、他端に力を加えて基材を曲げた時、両端を結ぶ直線と水平面とのなす角度が60〜90度となるものを合格(○)とした。
(4)密着性:幅13mm、長さ125mm、膜厚25μmの前記基材の両面に40μmの膜厚でソルダーレジスト組成物を塗布し、完全硬化後、180℃で1回曲げて戻した時に、硬化したソルダーレジスト組成物が基材から剥がれないものを合格(○)とし、不合格を×とした。
(5)難燃性:米国のUnderwriters Laboratories Inc.(ULと略記)の高分子材料の難燃性試験規格UL94のV試験に準拠した方法で評価し、V−0レベルを満たしたものを合格とし、V−0レベルを満たさなかったものを不合格とした。具体的には、ASTM D 3801、IEC 707、またはISO 1210に準拠し、TEST FOR FLAMMABILITY OF PLASTIC MATERIALS−UL94(JULY 29, 1997)に記載されている20mm垂直燃焼試験に従って行い、前記文献に記載された分類にしたがって評価した。
(評価結果)
前記諸特性を評価した結果を表1に示す。難燃剤として(G)成分を60〜80質量部および(F)成分をリン含有量が2.5〜4.5質量%となるように配合した実験例2および3では、難燃性(V−0レベル)を有するのに加え、表面ブリード、耐折性、柔軟性および密着性が良好であり、難燃性を有する光硬化性・熱硬化性樹脂組成物として適切な特性を有することが確認された。なかでも、(A)〜(E)成分に対する(F)成分中のリン含有量を1.5〜3質量%とした実験例2および3、さらに実験例4の樹脂組成物は、より高難燃性(UL94 V−0レベル)を有することが確認された(結果記載省略)。一方、リン含有量を2質量%とした実験例1の樹脂組成物は、柔軟性および難燃性が不十分であり、リン含有量を5質量%とした実験例4の樹脂組成物は、密着性が不十分となった。また、(G)成分の含有量を55質量部とした実験例5の樹脂組成物は、難燃性が不十分であり、(G)成分の含有量を85質量部とした実験例6の樹脂組成物は、耐折性および密着性が不十分となった。
Figure 0004846356
本発明は、種々の電子機器や電気機器等に用いられるプリント配線板の製造に好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 硬化させることによって、プリント配線板の絶縁保護皮膜とするための、光硬化性・熱硬化性樹脂組成物であって、
    (A)カルボキシ変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)光重合開始剤、(D)希釈剤、(E)硬化剤、(F)下記一般式(1)で表される化合物および(G)水酸化アルミニウムを必須成分とし、
    (A)〜(E)成分に対する(F)成分中のリンの含有量が2.5〜4.5質量%であり、(A)〜(E)成分合計100質量部に対する(G)成分の含有量が60〜80質量部であることを特徴とする光硬化性・熱硬化性樹脂組成物。
    Figure 0004846356
    (式中Rは、互いに同一でも異なっても良い、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
  2. 基板又は基材上に塗布し、乾燥後、露光、現像、熱硬化して硬化させることにより、硬化皮膜を形成するために用いられる請求項1に記載の光硬化性・熱硬化性樹脂組成物
  3. 請求項1又は2に記載の光硬化性・熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とする絶縁保護皮膜。
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