以下、本発明による燃料電池システムの一参考の形態について説明する。図1はこの燃料電池システムの概要を示す概要図である。この燃料電池システムは燃料電池10とこの燃料電池10に必要な水素ガスを含む改質ガス(燃料ガス)を生成する改質器20を備えている。
燃料電池10は、燃料極11と酸化剤極である空気極12と両極11,12間に介在された電解質13を備えており、燃料極11に供給された改質ガスおよび空気極12に供給された酸化剤ガスである空気(カソードエア)を用いて発電するものである。なお、燃料電池10の空気極12には、空気を供給する供給管61およびカソードオフガスを排出する排出管62が接続されており、これら供給管61および排出管62の途中には、空気を加湿するための加湿器14が設けられている。この加湿器14は水蒸気交換型であり、排出管62中すなわち空気極12から排出される気体中の水蒸気を除湿してその水蒸気を供給管61中すなわち空気極12へ供給される空気中に供給して加湿するものである。なお、空気の代わりに空気の酸素富化したガスを供給するようにしてもよい。
改質器20は、燃料を水蒸気改質し、水素リッチな改質ガスを燃料電池10に供給するものであり、バーナ21、改質部22、一酸化炭素シフト反応部(以下、COシフト部という)23および一酸化炭素選択酸化反応部(以下、CO選択酸化部という)24から構成されている。燃料としては天然ガス、LPG、灯油、ガソリン、メタノールなどがあり、本参考の形態においては天然ガスにて説明する。
バーナ21は、起動時に外部から燃焼用燃料および燃焼用空気が供給され、または定常運転時に燃料電池10の燃料極11からアノードオフガス(燃料電池に供給され使用されずに排出された改質ガス)が供給され、供給された各ガスを燃焼して燃焼ガスを改質部22に導出するものである。この燃焼ガスは改質部22を(同改質部22の触媒の活性温度域となるように)加熱し、その後燃焼ガス用凝縮器34を通ってその燃焼ガスに含まれている水蒸気が凝縮されて外部に排気される。
改質部22は、外部から供給された燃料に蒸発器25からの水蒸気(改質水)を混合した混合ガスを改質部22に充填された触媒により改質して水素ガスと一酸化炭素ガスを生成している(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気を水素ガスと二酸化炭素とに変成している(いわゆる一酸化炭素シフト反応)。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)はCOシフト部23に導出される。
COシフト部23は、この改質ガスに含まれる一酸化炭素と水蒸気をその内部に充填された触媒により反応させて水素ガスと二酸化炭素ガスとに変成している。これにより、改質ガスは一酸化炭素濃度が低減されてCO選択酸化部24に導出される。COシフト部23は内部の温度を検出するCOシフト部温度センサ23aを備えており、COシフト部温度センサ23aは検出結果を制御装置90に送出するものである。
CO選択酸化部24は、改質ガスに残留している一酸化炭素と外部からさらに供給されたCO酸化用の空気(エア)とをその内部に充填された触媒により反応させて二酸化炭素を生成している。これにより、改質ガスは一酸化炭素濃度がさらに低減されて(10ppm以下)燃料電池10の燃料極11に導出される。
蒸発器25は、一端が貯水器50内に配置され他端が改質部22に接続された改質水供給管68の途中に配設されている。改質水供給管68には改質水ポンプ53が設けられている。このポンプ53は制御装置90によって制御されており、貯水器50内の改質水として使用する回収水を蒸発器25に圧送している。蒸発器25は例えばバーナ21から排出される燃焼ガス、改質部22、COシフト部23などの熱によって加熱されており、これにより圧送された改質水を水蒸気化する。
改質器20のCO選択酸化部24と燃料電池10の燃料極11とを連通する配管64の途中には、凝縮器30が設けられている。この凝縮器30(図面上は分離しているが)は改質ガス用凝縮器31、アノードオフガス用凝縮器32、カソードオフガス用凝縮器33および燃焼ガス用凝縮器34が一体的に接続された一体構造体である。改質ガス用凝縮器31は配管64中を流れる燃料電池10の燃料極11に供給される改質ガス中の水蒸気を凝縮する。アノードオフガス用凝縮器32は、燃料電池10の燃料極11と改質器20のバーナ21とを連通する配管65の途中に設けられており、その配管65中を流れる燃料電池10の燃料極11から排出されるアノードオフガス中の水蒸気を凝縮する。カソードオフガス用凝縮器33は、排出管62の加湿器14の下流に設けられており、その排出管62中を流れる燃料電池10の空気極12から排出されるカソードオフガス中の水蒸気を凝縮する。
また、配管64には、燃料電池10の燃料極11の入口付近に第4温度センサ64aが配設されており、第4温度センサ64aは、改質ガスの燃料電池10の燃料極11の入口温度T4を検出し、その検出結果を制御装置90に出力するものである。また、配管64には、燃料電池10をバイパスするバイパス路67が設けられており、このバイパス路67には同バイパス路67を開閉するバルブ67aが設けられている。配管64のバイパス分岐点から燃料電池10の燃料極11の入口までの間には、同配管64を開閉するバルブ64bが設けられ、燃料電池10の燃料極11の出口から配管64のバイパス合流点までの間には、同配管64を開閉するバルブ64cが設けられている。これらバルブ67a,64b,64cは制御装置90からの指令によって開閉制御されており、燃料電池10の起動時において改質器20から供給される改質ガス中の一酸化炭素濃度が高い場合には燃料極11が被毒するのを避けるためバルブ67aを開きバルブ64b,64cを閉じて改質ガスを燃料電池10を通さずに直接バーナ21に供給し、改質ガス中の一酸化炭素濃度が低くなればバルブ67aを閉じバルブ64b,64cを開いて燃料電池10に供給するようになっている。
上述した凝縮器31〜34は配管66を介して純水器40に連通しており、各凝縮器31〜34にて凝縮された凝縮水は、純水器40に導出され回収されるようになっている。純水器40は、凝縮器30から供給された凝縮水すなわち回収水を内蔵のイオン交換樹脂によって純水にするものであり、純水化した回収水を貯水器50に導出するものである。なお、貯水器50は純水器40から導出された回収水を改質水として一時的に溜めておくものである。また、純水器40には水道水供給源(例えば水道管)から供給される補給水(水道水)を導入する配管が接続されており、純水器40内の貯水量が下限水位を下回ると水道水が供給されるようになっている。
燃料電池システムは、貯湯水を貯湯する貯湯槽71と、貯湯水が循環する貯湯水循環回路72と、燃料電池10と熱交換する燃料電池熱媒体であるFC冷却水が循環する燃料電池熱媒体循環回路であるFC冷却水循環回路73と、貯湯水とFC冷却水との間で熱交換が行われる第1熱交換器74と、改質器20及びFCカソードオフガスからの排熱を回収した第1熱媒体である凝縮冷媒(凝縮器熱媒体)が循環する第1熱媒体循環回路である凝縮冷媒循環回路75と、貯湯水と凝縮冷媒との間で熱交換が行われる第2熱交換器76とが備えられている。なお、本明細書中および添付の図面中の「FC」は「燃料電池」の省略形として記載している。
これにより、改質器20にて発生した排熱(熱エネルギー)は、凝縮器30を介して凝縮冷媒に回収され凝縮冷媒を昇温し、凝縮冷媒が貯湯水より高温であると、第2熱交換器76を介して熱が貯湯水に回収されて、この結果貯湯水が加熱(昇温)される。加熱された貯湯水から第1熱交換器74を介してFC冷却水に熱が移動される(起動時)。
FC発電時には、燃料電池10にて発生した排熱(熱エネルギー)は、FC冷却水に回収されFC冷却水を昇温し、FC冷却水が貯湯水より高温であると、第1熱交換器74を介してFC冷却水から貯湯水へ熱が移動し、貯湯水を加熱(昇温)し、燃料電池10の熱エネルギーがお湯として利用される。逆に貯湯水がFC冷却水より高温であると、貯湯水の熱が第1熱交換器74を介してFC冷却水に回収されて、この結果FC冷却水を加熱(昇温)する。
貯湯槽71は、1つの柱状容器を備えており、その内部に温水が層状に、すなわち上部の温度が最も高温であり下部にいくにしたがって低温となり下部の温度が最も低温であるように貯留されるようになっている。貯湯槽71の柱状容器の下部には水道水などの水(低温の水)が補給され、貯湯槽71に貯留された高温の温水が貯湯槽71の柱状容器の上部から導出されるようになっている。また、貯湯槽71は密閉式であり、水道水の圧力がそのまま内部、ひいては貯湯水循環回路72にかかる形式のものである。
貯湯水循環回路72の一端および他端は貯湯槽71の下部および上部に接続されている。貯湯水循環回路72上には、一端から他端に順番に貯湯水循環手段である貯湯水循環ポンプP1、第2熱交換器76、第1熱交換器74および第2バルブ72a(後述する)が配設されている。貯湯水循環ポンプP1は、貯湯槽71の下部の貯湯水を吸い込んで貯湯水循環回路72を通水させて貯湯槽71の上部に吐出するものであり、制御装置90によって制御されてその流量(送出量)が制御されるようになっている。
この構成により、FC冷却水と凝縮冷媒は貯湯水を介して熱交換する。すなわち、貯湯水循環回路72、第1熱交換器74、第2熱交換器76および貯湯水循環ポンプP1とから熱交換手段が構成されており、燃料電池熱媒体と第1熱媒体との熱交換を実施することができる。
貯湯水循環回路72には、貯湯槽71をバイパスするバイパス路78が設けられている。バイパス路78には制御装置90の指令によって同バイパス路78を開閉制御する第1バルブ78aが設けられている。バイパス路78の分岐元と貯湯槽71との間の貯湯水循環回路72には制御装置90の指令によって同貯湯水循環回路72を開閉制御する第2バルブ72aが設けられている。第1および第2バルブ78a,72aを閉、開状態とすると、貯湯水は貯湯槽71へ流入する。
一方、第1および第2バルブ78a,72aを開、閉状態として貯湯水循環ポンプP1を作動すると、貯湯水は貯湯槽71へ流入しないでバイパス路78を通り第1および第2熱交換器74,76を通って貯湯水循環回路72を循環する。これにより、第1熱媒体から熱をFC冷却水へ熱交換した後の比較的低温の貯湯水を貯湯槽71へ戻すことによる貯湯槽71の温度層崩れを抑止することができるとともにFCの暖機を効率的に行うことができる。また、貯湯水循環ポンプP1を停止することにより、燃料電池熱媒体と第1熱媒体との熱交換を禁止することができるので、簡単な構成にて熱交換手段を熱交換禁止可能に構成することができる。なお、熱交換手段は、燃料電池熱媒体と第1熱媒体との熱交換器を介して直接熱交換するタイプにしてもよい。
FC冷却水循環回路73上には、FC冷却水循環手段であるFC冷却水循環ポンプP3が配設されており、このFC冷却水循環ポンプP3は、制御装置90によって制御されてその流量(送出量)が制御されるようになっている。また、FC冷却水循環回路73上には、第1および第2温度センサ73a,73bが配設されており、第1および第2温度センサ73a,73bは、それぞれFC冷却水の燃料電池10の入口温度および出口温度を検出し、それら検出結果を制御装置90に出力するものである。さらに、FC冷却水循環回路73上には第1熱交換器74が配設されている。
また、FC冷却水循環回路73上には、通電されて燃料電池熱媒体を昇温する燃料電池熱媒体加熱手段であるヒータ79(電気ヒータ)が設けられている。このヒータ79は制御装置90の指令によって通電・非通電の制御、または発熱量の制御が実施されている。このヒータ79を通電してオン状態とし、FC冷却水循環ポンプP3を駆動すると、ヒータ79で加熱された高温のFC冷却水が燃料電池10に供給され同燃料電池10を昇温する。したがって、ヒータ79は燃料電池10を加熱する加熱手段である。また、加熱手段によって燃料電池10に供給される熱量は、上述した熱交換手段を介して供給される凝縮冷媒からの熱量より大であることが好ましい。これにより、凝縮冷媒からの熱量より大である熱量を燃料電池10に供給して暖機することができるので、凝縮冷媒の熱によって加熱する場合と比べて暖機時間を短縮することができる。なお、加熱手段として燃料電池10を直接加熱するタイプのもの(例えば燃料電池10に内蔵または外側に配設される電熱部材、または温風を直接吹きかける構成)を採用してもよい。
凝縮冷媒循環回路75上には、凝縮冷媒循環手段である凝縮冷媒循環ポンプP2が配設されており、この凝縮冷媒循環ポンプP2は、制御装置90によって制御されてその流量(送出量)が制御されるようになっている。また、凝縮冷媒循環回路75上には、上流から順番にアノードオフガス用凝縮器32、燃焼ガス用凝縮器34、カソードオフガス用凝縮器33および改質ガス用凝縮器31が配設されている。また、凝縮冷媒循環回路75上には、第3温度センサ75aが配設されており、第3温度センサ75aは、凝縮冷媒の改質ガス用凝縮器31の出口温度を検出し、その検出結果を制御装置90に出力するものである。さらに、凝縮冷媒循環回路75上には第2熱交換器76が配設されている。なお、各凝縮器31〜34の配置は上述した順番に限らないし、また、各凝縮器31〜34は一本の配管に直列に配置する場合に限らず、凝縮冷媒循環回路75を複数に分岐して各分岐路に並列に配置するようにしてもよい。
また、凝縮冷媒循環回路75には、第2熱交換器76の直下流に凝縮冷媒を冷却する冷却手段であるラジエータ77が配置されている。このラジエータ77は、制御装置90の指令によってオン・オフ制御されており、オン状態のときには凝縮冷媒を冷却し、オフ状態のときには冷却しない。
また、上述した各温度センサ73a,73b,75a,64a、各ポンプP1〜P3,53、ラジエータ77およびヒータ79は制御装置90に接続されている(図2参照)。制御装置90はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、当該燃料電池システムの運転全般を制御しており、図3のフローチャートに対応したプログラムを実行して、燃料電池システムの起動に際して、燃料電池10が早期に発電可能な状態となるように各ポンプP1〜P3、ラジエータ77およびヒータ79の制御を実行している。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは前記プログラムを記憶するものである。
次に、上述した燃料電池システムの作動について図3〜図5を参照して説明する。図3は制御装置90で実行される制御プログラムのフローチャートであり、図4および図5は燃料電池システムの一参考の形態を冬期および夏期でそれぞれ使用する場合の動作を示すタイムチャートである。制御装置90は、図示しない起動スイッチがオンされると、図3に示すプログラムを実行する。ステップ102において、燃料電池システムの起動が開始される(時刻t0,t10)。すなわち、燃焼用燃料および燃焼用空気がバーナ21に供給されて燃焼される。燃焼ガスの加熱によって改質部22が所定温度になると、燃料および改質水が改質部22に供給される。またCO選択酸化部24に酸化用空気が供給される。しかし、改質装置20から導出される改質ガスは、改質ガス組成(H2濃度、CO濃度)が燃料電池10に必要な条件を満足していないため、燃料電池10には供給されていない。
燃料電池システムは起動されると、改質器20の暖機が完了するまで(時刻t1,t11)、ステップ104の処理を実行して、改質器20(改質ガス)の排熱を利用して燃料電池10を暖機する。ステップ104の処理を各循環回路について説明する。貯湯水循環回路72においては、第1および第2バルブ78a,72aがそれぞれ開、閉状態となり、貯湯水は貯湯水循環回路72、バイパス路78を循環して貯湯槽71に流入しないので、起動時の低温の貯湯水が貯湯槽71の上部から流入して温度層崩れとなるのを防止している。また、貯湯水循環ポンプP1が、規定流量となるように流量制御されている。この規定流量は、貯湯水の第2熱交換器76の出口温度が高温の規定温度となるように設定されている。
凝縮冷媒循環回路75においては、各凝縮器31〜34にそれぞれ高温である改質ガス、燃料電池10をバイパスした改質ガス(発電開始までであり、発電開始後はアノードオフガス)、カソードオフガス、および燃焼ガスが流通しており、それらガスと凝縮冷媒との間で熱交換が行われ、凝縮冷媒は改質器20の排熱を回収して加熱される。凝縮冷媒循環ポンプP2は、第4温度センサ64aによって検出された改質ガスの燃料電池10の入口温度T4(または第3温度センサ75aによって検出された凝縮冷媒の改質ガス用凝縮器31の出口温度T3)が目標温度T4−x(またはT3−x)となるように流量制御されている。また、ラジエータ77はオフ状態であり、ラジエータ77から排熱されないので、凝縮冷媒が回収したほとんどの熱量は第2熱交換器76を介して貯湯水に回収される。
FC冷却水循環回路73においては、FC冷却水ポンプP3が、規定流量となるように流量制御されている。この規定流量は、貯湯水からFC冷却水へ熱回収が効率よく行われるように設定されている。
したがって、図4および図5の第1段に示すように、改質ガス燃料電池入口温度T4はT4−xに維持される。また、改質器20の排熱を回収した凝縮冷媒循環回路75を循環する凝縮冷媒は、熱交換手段を構成する第2熱交換器76、貯湯水循環回路72を循環する貯湯水および第1熱交換器74、ならびにFC冷却水循環回路73を循環するFC冷却水を介して燃料電池10を加熱する。このとき、図4および図5の第1段に示すように、FC冷却水温度(すなわちFC冷却水FC出口温度T2)が昇温する。このように、ステップ104の処理によって、当該燃料電池システムの起動開始時点から、熱交換手段を介して第1熱媒体による燃料電池10の加熱を開始する(第1加熱制御手段)。なお、図4および図5において、上から順番に、改質ガス燃料電池入口温度T4とFC冷却水温度T2を示す第1段、貯湯水循環回路系の制御を示す第2段、凝縮冷媒循環回路系の制御を示す第3段およびヒータ79の制御を示す第4段が記載している。
制御装置90は、ステップ106にて、改質器20の暖機が完了したか否かを判定し、暖機が完了したならばプログラムをステップ108以降に進める。暖機完了の判定においては、改質器20の所定箇所例えばCOシフト部23内の温度が暖機完了判定温度に到達していれば完了していると判定する。暖機完了判定温度は、COシフト部23の触媒の活性温度領域内で一酸化炭素濃度が所定の規定値となる温度に規定されている。したがって、暖機が完了していれば、改質装置20から導出される改質ガス中の水素量および一酸化炭素濃度が規定値に到達していると判定される。
制御装置90は、ステップ108〜116の処理において、燃料電池10の加熱源を凝縮冷媒回収熱からヒータ79に切り換えて燃料電池10を加熱している(時刻t1,t11)。具体的には、ステップ108において、貯湯水循環ポンプP1が停止されるため、貯湯水循環回路72内を貯湯水が循環しなくなる。これにより、第2熱交換器76で凝縮冷媒から熱を回収した貯湯水が第1熱交換器74に到達しないので、熱交換手段は凝縮冷媒とFC冷却水との熱交換を停止する。
下記に示す制御に伴い、凝縮冷媒の温度が低下し、それに伴い第2熱交換器76の下流側の貯湯水温度も低下する。そのため貯湯水を介しての凝縮冷媒とFC冷却水との熱交換を停止することによって、ヒータ79による熱が貯湯水に移動するのを防止する。これによりFCを効率的に暖機できる。
凝縮冷媒循環回路75においては、上述したように凝縮冷媒は改質器20の排熱を回収して加熱されている。ステップ108において、ラジエータ77はオン状態とされる。凝縮冷媒循環ポンプP2は、規定流量となるように流量制御されている。この規定流量は、改質ガスFC入口温度T4すなわち凝縮冷媒改質ガス用凝縮器出口温度T3をオン状態のラジエータ77で効率よく冷却するために大目の流量に設定されている。これにより、改質ガスFC入口温度T4すなわち凝縮冷媒改質ガス用凝縮器出口温度T3は急激に降温してその後一定の温度となるようになっている。この結果、短時間で改質ガスFC入口温度T4をFC冷却水温度T2より低くすることができ、ひいては早期暖機を達成することができる。なお、一定の温度は外気温の影響を受けており、外気温が低い冬期の方が外気温が高い夏期に比べて低くなる(図4、図5参照)。
制御装置90は、ステップ110において、FC冷却水温度T2が第1所定温度T2−aより大きいか否かを判定する。改質器暖機完了時点(時刻t1,t11)においては、FC冷却水は十分加熱されていないため、第1所定温度T2−a以下であるので、ステップ110にて「NO」と判定し、ステップ112にてヒータ79をオン状態とする。ヒータ79によって燃料電池10に供給される熱量は、上述した熱交換手段を介して供給される凝縮冷媒からの熱量より大である。また、FC冷却水循環回路73においては、FC冷却水ポンプP3が、上述したように規定流量となるように流量制御されている。したがって、ヒータ79による加熱が開始されると、凝縮冷媒による加熱に比べてFC冷却水温度T2の昇温率が大きくなる。
このようにヒータ79によってFC冷却水温度T2が昇温して、第1所定温度T2−aより高くなり(ステップ110にて「YES」と判定)、かつ、改質ガス燃料電池入口温度T4から所定温度差ΔT−aだけ高い温度より高くなると(ステップ114にて「YES」と判定)、制御装置90はステップ118にて燃料電池10の発電を開始する(時刻t3,t13)。この発電開始条件は、改質器10の暖機が完了し、FC冷却水の温度T2が第1所定温度T2−aより高くなり、かつ、改質ガスの燃料極11の入口温度T4から所定温度差ΔT−aだけ高い温度より高くなることである。なお、ステップ114において、燃料電池入口温度T4からFC冷却水温度T2を減算した減算値ΔTが第1所定温度T2−aより大きいか否かを判定する。また、第1所定温度T2−aは燃料電池10の酸化剤極12にてフラッディングが生じない値に設定されており、所定温度差ΔT−aは燃料電池10の燃料極11にてフラッディングが生じない値に設定されている。また、ステップ116は、改質器暖機完了時点から改質ガス安定待ち時間が経過したか否かを判定している。
上述したステップ110,114が判定手段であり、この判定手段は、燃料電池の発電開始条件が成立する時点(すなわち発電開始時点)以前にであって改質器20の暖機が完了した時点にてヒータ79による加熱が必要であるか否かを判定している。制御装置90は、ヒータ79による加熱が必要であると判定した場合に、その判定した時点にて第1加熱手段による加熱を終了し、ヒータ79による燃料電池10の加熱を開始する(第2加熱制御手段)。
制御装置90は、ステップ118にて発電を開始すると(時刻t3,t13)、燃料電池10は発電に伴う発熱によって加熱される。したがって、エネルギを節約するためヒータ79をオフ状態とする(ステップ120)。そして、FC冷却水の温度T2が定常運転温度T2−bより大きくなるまで(時刻t4,14)、凝縮冷媒循環ポンプP2を規定流量となるように流量制御する(ステップ120)。
そして、制御装置90は、FC冷却水の温度T2が定常運転温度T2−bに到達すると(時刻t4,14)、貯湯水循環ポンプP1を駆動させて、FC冷却水の温度T2が定常運転温度T2−bとなるように流量制御する。制御装置90は、FC冷却水の燃料電池入口温度T1と出口温度T2の差が所定の温度差となるようにFC冷却水循環ポンプP3を流量制御する。また、凝縮冷媒循環ポンプP2は改質ガスFC入口温度T4がアノード最適加湿条件T4−bとなるように流量制御する。また、第2熱交換器76において凝縮冷媒と貯湯水との間の熱交換が再開されたので、ラジエータ77をオフ状態として、捨てていた凝縮冷媒の熱量を貯湯水に回収するようにする。そして、ステップ126にて定常運転を行う。
上述の説明から明らかなように、この参考の形態においては、第1加熱制御手段(ステップ104)が、当該燃料電池システムの起動開始時点から、熱交換手段を介して第1熱媒体による燃料電池10の加熱を開始し、判定手段(ステップ110,114)が、燃料電池10の発電開始条件が成立する時点以前においてヒータ79による加熱が必要であるか否かを判定し、第2加熱制御手段(ステップ112)が、判定手段がヒータ79による加熱が必要であると判定した場合に、ヒータ79による燃料電池10の加熱を開始する。これによれば、燃料電池システムの起動開始から、改質器20の排熱を利用して第1熱媒体、燃料電池熱媒体を介して燃料電池10は暖機されるが、起動開始から発電開始までの間は、第1熱媒体の温度>燃料電池熱媒体(燃料電池)の温度であり、すなわち燃料電池10の燃料極11に供給される燃料ガスの温度>燃料電池熱媒体(燃料電池)の温度であり、そのままの温度関係であると、燃料極11において改質ガス(燃料ガス)がフラッディングしてしまう。一方、必要に応じてヒータ79によって燃料電池10が加熱されるので、燃料電池10が昇温し、燃料極11に供給される燃料ガスの温度<燃料電池(燃料電池熱媒体)の温度となり、発電開始時点においてはフラッディングを防止することができる。したがって、燃料電池システムの起動に際して燃料電池10を暖機するために、基本的には改質器20の排熱を利用する一方で、フラッディングの発生を防止する観点から必要に応じてヒータ79を利用することにより、起動制御の制御性の向上を達成するとともに、ヒータ79による燃料電池10の暖機を必要最低限に抑制し、起動に要するエネルギーを低減することができる。
また、判定手段(ステップ110,114)がヒータ79による加熱が必要であると判定した場合に、第2加熱制御手段(ステップ112)は、第1熱媒体による加熱を終了し、ヒータ79による燃料電池10の加熱を開始する。これにより、ヒータ79に切り替え後においては、燃料電池10はヒータ79のみによって加熱され、第1熱媒体による加熱(第1熱媒体の循環)は実施されていないので、ヒータ79によって燃料電池10(燃料電池熱媒体)に発生した熱が第1熱媒体を介して他に持ち去られることを確実に防止することができる。
また、発電開始条件は、改質器20の暖機が完了し、FC冷却水温度T2が第1所定温度T2−aより高くなり、かつ、改質ガスの燃料極の入口温度T4から所定温度差ΔT−aだけ高い温度より高くなることであるので、燃料極11および酸化剤極12でフラッディングの発生を確実に抑制して発電を開始するため、高発電効率となる。
また、熱交換手段は、燃料電池熱媒体と第1熱媒体との熱交換を禁止可能に構成されており、判定手段がヒータ79による加熱が必要であると判定した場合に、熱交換手段は熱交換を禁止するので、ヒータ79の熱エネルギを貯湯水を介してロスすることなく燃料電池10の加熱のみに使用して、ヒータ79の熱エネルギを有効利用するとともに早期に燃料電池10を暖機する。
また、判定手段が加熱手段による加熱が必要であると判定した場合に、凝縮冷媒循環ポンプP2によって凝縮冷媒を冷却に適した流量に制御する(例えば、凝縮冷媒を所定流量に増大させる。)とともにラジエータ77による凝縮冷媒の冷却を開始するので、凝縮器31にて早期に改質ガスを降温してFC冷却水温度T2から所定温度差ΔT−aだけ低い温度とし、早期に発電開始条件が成立することにより起動時間を短縮する。
また、判定手段は、改質器20の暖機が完了した時点にて判定を行うので、確実にヒータ79による加熱が必要であるか否かを判定することができる。
また、改質器20の暖機完了は、改質器20の所定箇所の温度が暖機完了判定温度より高温となったことにより判定するので、改質器20からの排熱を最大限に利用した上で確実かつ的確に改質器20の暖気完了を検出することができる。
また、ステップ116の処理によって改質器20から供給される改質ガスが安定するのを待って燃料電池10の発電を開始するので、安定した発電を行うことができる。
また、燃料電池の発電開始条件が成立した場合に、その成立した時点にてヒータ79による燃料電池10の加熱を停止するので、適切な時期にヒータ79による加熱を停止して必要以上に加熱しないようにして、暖機時間の短縮、システム効率の向上を達成する。
また、FC冷却水温度T2が定常運転温度T2−bを越えた場合、その越えた時点にてラジエータ77による凝縮冷媒の冷却を停止するとともに熱交換手段による熱交換を再開するので、今まで捨てていた熱を貯湯水に回収するようにして熱効率を向上する。
また、ヒータ79は、FC冷却水循環回路73上に設けられて通電されてFC冷却水を昇温する燃料電池熱媒体加熱手段であるので、燃料電池の温度調整を容易かつ的確に実施することができる。
また、熱交換手段は、貯湯槽71に貯湯される貯湯水が循環する貯湯水循環回路72と、貯湯水とFC冷却水との間で熱交換が行われる第1熱交換器74と、貯湯水と凝縮冷媒との間で熱交換が行われる第2熱交換器76と、貯湯水循環回路72に設けられて貯湯水を循環させる貯湯水循環ポンプP1とから構成されたので、既存の構成を利用して的確に燃料電池熱媒体と第1熱媒体との熱交換を実施することができる。
また、貯湯水循環回路72に貯湯槽71をバイパスするバイパス路78が設けられ、貯湯槽71をバイパスしてバイパス路78を流れる貯湯水が流れる流路上(具体的には、貯湯水循環回路72であってバイパス分岐点から合流点までの間の部分、すなわち貯湯槽71の貯湯水出口からバイパス分岐点まで、およびバイパス合流点から貯湯槽71の貯湯水入口までの各部分を除く)に第1熱交換器74と第2熱交換器76が設けられているので、貯湯水の温度が低い場合には、第1熱媒体からの熱を回収して貯湯槽71に戻して早期に貯湯水を加熱(昇温)することができ、また貯湯水の温度が高い場合には、その貯湯水を貯湯槽71に戻さないので、貯湯槽71の温度層崩れを防止することができる。
a)第1制御変形例
次に、上述した参考の形態における第1の制御変形例(本発明による第1の実施の形態)について図6〜図8を参照して説明する。図6は、制御装置90で実行される第1制御変形例の制御プログラムのフローチャートであり、図7および図8は燃料電池システムの第1の実施の形態を冬期および夏期でそれぞれ使用する場合の動作を示すタイムチャートである。なお、上述した参考の形態と同一(またはほぼ同一)の構成部材については同一符号を付してその説明を省略する。
本第1の制御変形例は、改質器20の暖機が完了する前に、加熱手段であるヒータ79による加熱が必要であるか否かを判定し、その時点からヒータ79によって燃料電池10を加熱する点で、上述した制御と異なる。上述したステップ106および116に代えてステップ202および204の処理を実行する。
具体的には、上述した参考の形態においては、ステップ106にて、改質器20の所定箇所例えばCOシフト部23内の温度が暖機完了判定温度に到達していれば完了していると判定し、その判定して時点にて、ステップ110において、ヒータ79による加熱が必要であるか否かを判定しているが、本第1の制御変形例においては、ステップ202にて改質器20の所定箇所の温度が暖機完了判定温度より低い暖機完了前判定温度より高温となった時点(時刻t21,31)にて、ステップ110において、ヒータ79による加熱が必要であるか否かを判定している。これにより、ヒータ79による加熱が必要であるか否かの判定を確実に実行することができる。また、改質器20の所定箇所例えばCOシフト部23内の温度が暖機完了判定温度に到達する前すなわち改質器20の暖機が完了する前(時刻t22,t32)からヒータ79によって燃料電池10を加熱することができる。したがって、より早期に加熱手段による加熱を開始してさらに暖機時間を短縮することができる。
なお、暖機完了前判定温度はステップ202の処理実効時点(時刻t21,t31)から発電開始(時刻t23,t33)までに改質器20の暖機が完了する温度(例えば暖機完了判定温度より10℃低い温度)に設定されている。したがって、FC冷却水温度T2が第1所定温度T2−aより高くなり、かつ、改質ガスの燃料極の入口温度T4から所定温度差ΔT−aだけ高い温度より高くなれば、制御装置90はステップ110,114,204にてそれぞれ「YES」と判定しステップ118にて発電を開始する。なお、ステップ204は、改質器20の暖機が完了しているか否かを確認するために設けられている。
b)第2制御変形例
次に、上述した参考の形態における第2の制御変形例(本発明による第2の実施の形態)について図9および図10を参照して説明する。図9は、制御装置90で実行される第2制御変形例の制御プログラムのフローチャートであり、図10は燃料電池システムの第2の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。なお、上述した第1制御変形例と同一(またはほぼ同一)の構成部材については同一符号を付してその説明を省略する。
本第2の制御変形例は、上述した第1制御変形例と同様に、改質器20の暖機が完了する前に、加熱手段であるヒータ79による加熱が必要であるか否かを判定し、その時点からヒータ79によって燃料電池10を加熱するが、推定FC冷却水温度T2−tm1と推定改質ガスFC入口温度T4−cに基づいて改質器暖機完了と発電開始が同時刻となるようにヒータ79をオン状態とする点で、上述した第1制御変形例と異なる。
具体的には、制御装置90は、起動開始(時刻t40)して改質器20の所定箇所(COシフト部)が予測制御開始温度を越える(時刻t41)までは、上述したステップ104とほぼ同様であるステップ302の処理を繰り返し実行し、凝縮冷媒との熱交換によってFC冷却水温度T2を昇温し、改質ガスFC入口温度T4をT4−xに維持する(ステップ302、304、306)。ステップ302は上述したステップ104の処理にヒータ79をオフする処理が追加されている。ステップ304において、フラグFが1であるか否かを判定する。起動開始直後の初回はフラグFは0であるのでプログラムをステップ306に進める。ステップ306において、改質器20の所定箇所の温度が暖機完了前判定温度よりさらに低い温度(例えば100℃)より高温となった時点(時刻t41)にて、ステップ110において、ヒータ79による加熱が必要であるか否かの判定を開始している(予測制御開始判定手段)。
改質器20の所定箇所(COシフト部23)が予測制御開始温度に達すると(時刻t41)、フラグFを1とし(ステップ308)、現在時点までに検出した改質器20の所定箇所の温度のデータに基づいて改質器20の暖機が完了する時刻(推定暖機完了時刻)を推定し(ステップ310:暖機完了時刻推定手段)、現時点までに検出した燃料電池熱媒体温度(FC冷却水温度)のデータ、加熱手段(ヒータ79)の加熱能力に基づいて、暖機完了時刻推定手段によって推定された暖機完了時刻における燃料電池熱媒体の温度(推定FC冷却水温度T2−tm1)を推定し(ステップ312:燃料電池熱媒体温度推定手段)、現時点までに検出した改質ガス燃料電池入口温度のデータ、冷却手段(ラジエータ77)の冷却能力に基づいて、暖機完了時刻推定手段によって推定された暖機完了時刻における改質ガスの燃料電池入口温度(推定改質ガスFC入口温度T4−c)を推定する(ステップ314:改質ガス燃料電池入口温度推定手段)。なお、フラグFが1となったので、次回のステップ304の処理にて「NO」と判定しステップ306の処理を飛ばしてステップ310の処理を実行することができる。
そして、制御装置90は、前述のように推定(算出)した推定FC冷却水温度T2−tm1と推定改質ガスFC入口温度T4−cに基づいて、ヒータ79による加熱が必要であるか否かを判定する。すなわち、推定FC冷却水温度T2−tm1が第1所定温度T2−aより高くなり、かつ、推定FC冷却水温度T2−tm1から推定改質ガスFC入口温度T4−cを減じた減算値が所定温度差ΔT−aより高くなることを満足しなければ、ヒータ79による加熱が必要であると判定し、満足すればヒータ79による加熱が必要でないと判定する(ステップ316:判定手段)。この判定は、改質器20の所定箇所(COシフト部)が予測制御開始温度を越えた時点(時刻t41)から行われる。
例えば、時刻t41にて推定した推定FC冷却水温度T2−tm1と推定改質ガスFC入口温度T4−cは図10に示す破線の時刻t43に対応する値であるから、推定FC冷却水温度T2−tm1が第1所定温度T2−aより高くなり、かつ、推定FC冷却水温度T2−tm1から推定改質ガスFC入口温度T4−cを減じた減算値が所定温度差ΔT−aより高くなることを満足するので、ヒータ79による加熱が必要でないと判定し、プログラムをステップ302に戻して凝縮冷媒との熱交換によってFC冷却水温度T2を昇温する。
そして、ステップ302,304,310〜316の処理が繰り返し実行されながら時間が経過して、ステップ316において、推定FC冷却水温度T2−tm1が第1所定温度T2−aより高くなり、かつ、推定FC冷却水温度T2−tm1から推定改質ガスFC入口温度T4−cを減じた減算値が所定温度差ΔT−aより高くなることを満足しなくなると(時刻t42)、ヒータ79による加熱が必要であると判定し、ステップ318の処理を実行する。ステップ318の処理は、上述したステップ112の処理であるヒータ79のオンとステップ108の各処理を合わせたものである。これにより、改質器暖機完了時刻(時刻t43)に、FC冷却水温度T2が第1所定温度T2−aより高くなり、かつ、FC冷却水温度T2から改質ガスFC入口温度T4を減じた減算値が所定温度差ΔT−aより高くなるので、改質器暖機完了と発電開始が同時刻となるように時刻t42にヒータ79をオン状態とすることになる。
これによれば、暖機完了時刻(時刻t43)に発電開始条件が成立するように前もって(時刻t42に)ヒータ79による加熱が開始されるため、ヒータ79によるによる加熱を必要以上に行わないので、無駄にエネルギを使うことなく、しかも早期に燃料電池10を暖機して燃料電池システムの起動時間を短縮することができる。
また、ステップ306(予測制御開始判定手段)によって開始の判定がされた場合に暖機完了時刻推定手段を行うので、暖機完了時刻推定手段による推定手段を適切な時期から行うことができる。
なお、上述した参考および実施の形態において、燃料電池10を昇温する加熱手段として熱媒体加熱手段(ヒータ79)を含む熱媒体によって昇温する機構を採用するようにしたが、燃料電池10を昇温するものであれば、このような機構に限られず、例えば燃料電池10を直接ヒータで昇温するような機構を採用するようにしてもよい。
また、上述した参考および実施の形態において、燃料電池10を昇温する熱媒体の温度を検出する温度センサを採用するようにしたが、燃料電池10の温度を直接検出する温度センサを採用するようにしてもよい。
また、上述した参考および実施の形態において、加熱手段は、燃料電池熱媒体循環回路73上に設けられて通電されて熱媒体を昇温するものであれば、ヒータ79以外のもので構成してもよい。
また、上述した参考および実施の形態において、上記4つの凝縮器の順番を入れ替えて、例えば、改質ガス用凝縮器31を最上流に配置し発電開始時に(または発電開始前に)凝縮冷媒温度>FC冷却水温度>改質ガスFC入口温度が成立するようなシステム構成としてもよい。これによれば、上述したように改質器20の排熱による暖機からヒータ79による暖機へ完全に切り替えることなく、両者による暖機を同時に行うことができるので、暖機時間を短縮することができ、また熱容量の大きい燃料電池を暖機するのに有効である。
また、上述した参考および実施の形態において、燃料電池の発電開始条件が成立した場合に、その成立した時点以降においても、ヒータ79による燃料電池10の加熱を継続するようにしてもよい。これによれば、特に熱容量が大きく燃料電池の自己発熱で暖機するには時間を要するシステム等に有効である。
10…燃料電池、11…燃料極、12…空気極、20…改質器、21…バーナ、22…改質部、23…一酸化炭素シフト反応部(COシフト部)、23a…COシフト部温度センサ、24…一酸化炭素選択酸化反応部(CO選択酸化部)、25…蒸発器、30…凝縮器、31…改質ガス用凝縮器、32…アノードオフガス用凝縮器、33…カソードオフガス用凝縮器、34…燃焼ガス用凝縮器、40…純水器、50…貯水器、53…改質水ポンプ、61〜66…配管、67…バイパス路、68…改質水供給管、71…貯湯槽、72…貯湯水循環回路、73…FC冷却水循環回路、74…第1熱交換器、75…凝縮冷媒循環回路、76…第2熱交換器、77…ラジエータ、78…バイパス路、79…ヒータ、78a,72a…第1および第2バルブ、64b,64c,67a…バルブ、P1〜P3,53…ポンプ、73a,73b,75a,64a…第1〜第4温度センサ、90…制御装置。