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JP4739065B2 - 液晶配向制御用突起、並びに、組成物、樹脂転写材料、液晶配向制御用突起の製造方法、液晶表示装置用基板、液晶表示素子、および、液晶表示装置 - Google Patents

液晶配向制御用突起、並びに、組成物、樹脂転写材料、液晶配向制御用突起の製造方法、液晶表示装置用基板、液晶表示素子、および、液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、液晶配向制御用突起、これを形成するための組成物および樹脂転写材料、これら組成物および樹脂転写材料を用いた液晶配向制御用突起の製造方法、並びに、前記液晶配向制御用突起を有する液晶表示装置用基板、および、これを用いた液晶表示素子、液晶表示装置に関する。
近年、CRT(Cathode−Ray Tube)ディスプレイに代わるフラットパネルディスプレイとしては、液晶表示装置(LCD)が現在最も広く使用されており、その期待も大きい。中でも、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)方式のLCD(TFT−LCD)は、パーソナルコンピュータ、ワープロ、およびOA機器や、携帯テレビジョン等への応用によって市場の一層の拡大が期待されており、画像品質の更なる向上が求められている。
現在、TFT−LCDの中で最も広く使用されている方式は、ノーマリホワイトモードのTN(Twisted Nematic)型のLCDである。しかし、TN型のLCDは、視野角が狭いという欠点があり、表示画面を観察する位置によって表示状態が異なってしまう。このため、TN型のLCDは、その用途が限定されてしまうという問題があった。尚、TN型のLCDが有する問題は、電極を備える一対の基板間に液晶を挟持し、電極間に電圧印加して表示することが可能なLCD(例えば、単純マトリックス型やプラズマアドレス型LCD)においても同様に生じる問題である。
即ち、この様なLCDは、電圧を印加しない白表示の状態では、どの方位においてもほぼ白に見ることができる。しかし、所定の電圧を印加した黒表示の状態では、斜めに入射する光が垂直方向に配向された液晶分子に対して斜めに通過するため、黒表示のLCDを斜めから観察した場合、偏向方向がある程度捩れてしまい、完全な黒ではなく中間調(グレイ)に見えてしまう。
また、中間電圧を印加した中間調表示の状態においては、セルの中間部では液晶表示が途中まで立ち上がっており、垂直に入射する光に対しては中間調(グレイ)に表示される。しかし、中間調表示の状態においては左右斜めに入射する光に対して、その入射した方位によって見え方が異なってしまう。具体的には、下記特許文献1の図2(2)に記載されているように、右下から左上に向かう光に対して、液晶分子は平行に配向されるため、LCDを左側から観察した場合には、黒く見えてしまう。これに対し、左下から右上に向かう光に対しては、液晶分子が垂直に配向されていることから、LCDを右側から観察した場合には白に近い状態に見えてしまう。このように、上述のLCDには、表示状態が視野角に依存してしまうといった欠点がある。
また、広視野角化の方法として、電圧無印加時に液晶分子長軸が基板に対して垂直方向に配向して黒表示となり、電圧印加時に液晶分子長軸が基板に対して平行方向に傾いて白表示となるVA(Vertically Aligned)方式が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。上述のVA方式においては高視野角化の手段として、液晶層に対して突起を形成する技術が提案されている。かかる突起は液晶の配向を制御するために形成されるものであり、液晶配向制御用突起と称される。液晶配向制御用突起は、その表面に沿って局部的に液晶分子の配向状態に傾きを与えるものであり、これにより液晶面に対して斜めから観察した場合であっても、液晶面を正面から観察した場合と同様の表示状態が得られる様に視野角を拡げることができる。
下記特許文献1の図9(1)に示す様に、電圧を印加しない状態では液晶分子長軸は基板表面に対して垂直に配向する。また、中間の電圧を印加すると、下記特許文献1の図9(2)に示す様に液晶分子長軸は、電圧無印加の状態からわずかに傾斜する。この時、突起の斜面部分の影響で液晶分子長軸の傾斜方向が決定され、突起(下記特許文献1の図9における突起20)および電極スリットの真ん中で液晶の配向方向が分割される。この時、例えば、真下から真上に透過する光は液晶分子長軸が多少傾斜しているため、若干の複屈折の影響を受けるため、透過が抑えられ、グレイの中間調表示が得られる。また、右下から左上に透過する光は液晶分子長軸が左方向に傾斜した領域では透過しにくく、右方向に傾斜した領域では非常に透過し易い。このため、平均するとグレイの中間調表示が得られる。
一方、左下から右上に透過する光も同様の原理でグレイ表示となり、全方向で均一な表示が得られる。更に、所定の電圧を印加すると液晶分子長軸はほぼ水平になり、全方向で白表示が得られる。このようにVA方式では、黒、中間調および白の表示状態すべての状態において、視野角依存性の少ない表示が得られる。
上述のように液晶分子長軸の配向方向を分割して、広視野角でチラつき、ムラの無い表示を行うためには、液晶制御用突起は以下の条件にすることが好ましい。ここで、「チラつき」とは表示の明るさや色を一様に変化させる信号(例えば、「全面黒」,「全面白」,「全面黒」の順に変化させる信号)を送った時に、その変化の様子が一様でないことをいう。また、「ムラ」とは一様な静止画信号(例えば全面グレイの静止画信号)を送った際に観測される表示の不均一性のことをいう。尚、「チラつき」や「ムラ」は、通常の動画や文字などの表示に致命的な影響は与えないので、これらが発生するからといって粗悪品であるとは言えないが、「チラつき」も「ムラ」も目立つという場合には粗悪品と判断される。
前記条件の一つ目は、液晶配向制御用突起の比誘電率が液晶の比誘電率よりも低いことである。液晶の比誘電率は約10である(例えば、特許文献1、113段落目参照。)。液晶配向制御用突起の比誘電率が液晶の比誘電率よりも高い場合には、液晶を正常に駆動させることができず、チラつきの原因となる。尚、「液晶が正常に駆動する」とは、電圧無印加時に基板に垂直に配向している液晶分子が電極間への電圧の印加とともに、設計どおりに分割配向することである。
また、前記条件の二つ目は、突起の表面が平滑であること(凹凸が無いこと)である。突起の表面が平滑でない場合には、液晶分子の配向が乱れ、表示ムラの原因となる。
これらの条件を満たした液晶配向制御用突起を用いることにより、広視野角でチラつきやムラの無い表示を行うことができる。
しかし、黒表示である電圧無印加時に、突起の斜面部分(図1(1)〜(3)及び(5)〜(6)に示すように各矢印Sで示される部位)においては本来ならば基板に対して垂直方向に配向すべき液晶分子長軸が傾いて配向される。従来では、可視光を透過する液晶配向制御用突起を作製していたため(例えば、特許文献2参照)、液晶配向制御用突起の傾斜部分から光漏れを生じてしまう。その結果、コントラストが低下する。
この問題を解決するために、液晶配向制御用突起を、可視光を通過させない材料で作り、コントラストを向上させる手段が示唆されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、具体的に必要な透過光学濃度(OD)や処方は開示されておらず、また、具体的な色度も開示されていない。
また、焼き付き改善のため導電性粒子を含む液晶配向制御用突起が開示されており、導電性粒子の例としてカーボンブラックが挙げられているが、導電性付与の観点の記述はあるものの、遮光性や誘電率については開示されていない(例えば、特許文献3参照。)。
更に、カーボンブラックを含有する液晶配向制御用突起の製造方法が開示されているが、該液晶配向制御用突起を備えた液晶表示装置は、突起近傍の液晶の配向が乱れていたと記載されている(例えば、特許文献4参照。)。
このように、カーボンブラックを用いて突起を作製すると、表示ムラが発生することが多く好ましくない。これはカーボンブラックでは凝集が起こりやすく、ブツが発生して突起表面の平滑性が得られず、液晶の配向が乱れるためと考えられる。
以上のことから、安定した液晶の駆動や配向が得られ、且つ光漏れを防止した液晶配向制御用突起、およびそれを達成できる材料や製造方法が望まれていた。
特許第2947350号明細書 特開2003−330011号公報 特開2003−15276号公報 特許第3255107号明細書
本発明は上述の従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち本発明は、光漏れの無い液晶配向制御用突起、並びに、これを作製するための組成物、樹脂転写材料、およびこれらを用いた液晶表示装置用突起の製造方法、液晶表示装置用基板、液晶表示素子を提供することを目的とする。
更に本発明は、前記液晶配向制御用突起を用い、表示ムラのない高視野角且つ高コントラストの液晶表示装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 液晶分子の配向制御に用いられる液晶配向制御用突起であって、色度の無彩色点(x=0.333,y=0.333)からのズレがΔEで30以内であり、且つ、金属類微粒子を含有し、
前記金属類微粒子の数平均粒径が10〜150nmであり、
前記金属類微粒子を形成する金属が、銀、金、スズ、ニッケル、白金、およびコバルトの少なくとも1種を含み、
液晶配向制御用突起中の金属類微粒子含有量は、0.5〜10体積%であり、
比誘電率が2.0〜6.0であることを特徴とする液晶配向制御用突起である。
<2> 前記金属類微粒子が、金属微粒子、合金微粒子、金属化合物微粒子、および、金属と金属化合物との複合微粒子、から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記<1>の液晶配向制御用突起である。
<3> 光学濃度が0.5以上10以下であることを特徴とする前記<1>または<2>の液晶配向制御用突起である。
> 前記金属類微粒子が、形状異方性微粒子であることを特徴とする前記<1>〜<>の液晶配向制御用突起である。
> 前記金属類微粒子が、銀微粒子であることを特徴とする前記<1>〜<>の液晶配向制御用突起である。
断面形状が蒲鉾様であることを特徴とする<1>〜<5>の液晶配向制御用突起である。
> 前記<1>〜<6>の液晶配向制御用突起の作製に用いられる組成物であって、少なくとも、(A)金属類微粒子、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)重合性モノマーおよび(D)光重合開始剤または光重合開始剤系を含有することを特徴とする組成物である。
> 仮支持体上に、少なくとも1層の樹脂層を有する樹脂転写材料であって、前記樹脂層が前記<>の組成物を含むことを特徴とする樹脂転写材料である。
> 前記<>の樹脂転写材料をラミネーターにより基板に貼り付ける工程を含むことを特徴とする液晶配向制御用突起の製造方法である。
10> 前記<>の組成物をスリット状ノズルにより塗布する工程を含むことを特徴とする、液晶配向制御用突起の製造方法である。
11> 前記<1>〜<>の液晶配向制御用突起を備えたことを特徴とする液晶表示装置用基板である。
12> 前記<11>の液晶表示装置用基板を有することを特徴とする液晶表示素子である。
13> 前記<11>の液晶表示装置用基板を有することを特徴とする液晶表示装置である。
本発明によれば、光漏れの無い液晶配向制御用突起、並びに、これを作製するための組成物、樹脂転写材料、およびこれらを用いた液晶表示装置用突起の製造方法、液晶表示装置用基板、液晶表示素子を提供することができる。
更に、本発明によれば、前記液晶配向制御用突起を用い、表示ムラのない高視野角且つ高コントラストの液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明の液晶配向制御用突起について詳細に説明する。
《液晶配向制御用突起》
本発明の液晶配向制御用突起は、液晶分子の配向制御に用いられる液晶配向制御用突起であって、色度の無彩色点(x=0.333,y=0.333)からのズレがΔEで30以内であり、且つ、金属類微粒子を含有し、前記金属類微粒子の数平均粒径が10〜150nmであり、前記金属類微粒子を形成する金属が、銀、金、スズ、ニッケル、白金、およびコバルトの少なくとも1種を含み、液晶配向制御用突起中の金属類微粒子含有量は、0.5〜10体積%であり、比誘電率が2.0〜6.0であるすることを特徴とする。
本発明の液晶表示制御用突起は、安定な液晶の配向と正常な液晶の駆動とを得られるとともに、光漏れを防止し、表示品位の向上として、液晶表示装置のコントラストの向上と表示ムラの低減とを目指すものである。
本発明の液晶配向制御用突起(以下、単に「突起」という場合がある。)は、色度を無彩色点(x=0.333,y=0.333)からのズレがΔEで30以内とする、即ち黒色とすることで、液晶配向制御用突起付近で生じていた若干の光漏れを遮断或いは減衰させることができ、液晶表示装置に組み込んだ際に、表示コントラストを向上させることができる。また、光学濃度(OD)0.5〜10とすることで、更にコントラストを向上させることができる。係る観点から、本発明の液晶配向制御用突起の光学濃度(OD)は0.5以上10以下であることが好ましい。
更に、突起の縦断面形状を蒲鉾様とすると更に光漏れを減衰させることができる。
また、本発明の液晶配向制御用突起は、突起を黒色とするために金属類微粒子を用いる。これにより、液晶配向制御用突起表面を平滑(凹凸が無いこと)にすることができ、安定に液晶を配向させることができる。これにより、液晶表示装置に組み込んだ際に表示ムラを低減させることができる。
更に、本発明の液晶配向制御用突起の比誘電率を小さくすること(少なくとも液晶の比誘電率よりも小さくすること)で、正常に液晶を駆動させることができ、表示のチラつきを低減させることができる。係る観点から、本発明の液晶配向制御用突起の比誘電率は2.0〜6.0である。
以下、本発明の液晶配向制御用突起について詳細に説明する。
本発明の液晶配向制御用突起は、無彩色点(x=0.333,y=0.333,Yはサンプルと等しい値とする)からのズレがΔEで、30以内である。以下では無彩色点(x=0.333,y=0.333,Yはサンプルと等しい値とする)からのズレがΔEで、30以内である色のことを「黒色」ということとする。
前記色度の測定は、C光源にて行い、x、y、Yを算出する。無彩色点からの色度のズレを計算する場合は、無彩色点のYが、サンプルのYと等しいとして計算する。前記色度のズレは、より好ましくは20以内、さらに好ましくは15以内、最も好ましくは10以内である。色差が30を超えると、光漏れが生じてコントラストが低下したり、黒表示の際に画面が着色したりしてしまうために好ましくない。
本発明における「光学濃度(OD)」とは特にことわりの無い限り、波長555nmにおける透過光学濃度ことを表す。本発明の液晶配向制御用突起の波長555nmにおける透過光学濃度(OD)は、漏光の遮蔽という観点で0.5以上10以下であることが好ましく、より好ましくは1.0以上6.0以下であり、さらに好ましくは1.5以上6.0以下であり、特に好ましくは2.0以上6.0以下である。突起の光学濃度(OD)が0.5未満であると、光漏れが起こりコントラストが低下する場合があり好ましくない。また、光学濃度(OD)は、大きければ大きいほど光漏れが少なくなり好ましいが、液晶配向制御用突起を作製するための材料費などのコストを考慮すると、光学濃度が6.0以下であることが好ましい。
前記色度および光学濃度とも実際の測定は、本発明の液晶配向制御用突起を形成する材料を用いて、透明基板上に本発明の液晶配向制御用突起形成時と同じ厚みの層を形成し、パターン状に露光しない以外は本発明の液晶配向制御用突起と同様の工程を経て、測定用の膜状サンプルを形成し、これを用いて測定することができる。
上述の通り、本発明の液晶配向制御用突起の比誘電率は、液晶材料の比誘電率以下であることが好ましく、詳しくは、1.0以上9.0以下であることが好ましく、より好ましくは2.0〜6.0であり、更に好ましくは2.0〜4.0、最も好ましくは2.0〜3.0である。比誘電率が1未満の突起は、比誘電率が1未満の材料が現在無いため、作製が困難である。また、比誘電率が9以下であると、正常な液晶の駆動が確保され、チラつきを抑制することができる。本発明の液晶配向制御用突起の比誘電率は、2.0〜6.0である。
ここで、本発明における「比誘電率(ε)」とは、真空の誘電率に対する突起の誘電率の比である。実際の測定は、前記色度、光学濃度の測定の場合と同様に、測定用のサンプルを形成し、これを電極で挟むことで出来上がったコンデンサーの静電容量を測定し、比誘電率(ε)を算出することができる。
本発明の液晶配向制御用突起の縦断面形状は蒲鉾様であると、より安定した配向が得られ、表示ムラの低減につながる。
本発明において「蒲鉾様」とは、図2に示す様な断面の液晶配向制御用突起において、液晶配向制御用突起の像のなす弧が、基板(最上部のITO面)と交わる点をA点、B点とすると、以下の(i)〜(iv)項のすべてにあてはまるものをいう。
(i)A点で弧が基板(最上部のITO)と交わる角度(図2におけるx)が90°以下
(ii)B点で弧が基板(最上部のITO)と交わる角度(図2におけるy)が90°以下
(iii)弧ABの長さの1/2以上の領域が基板とは逆側に凸
(iv)弧AB上を弧ABの長さの2/10だけA点からB点に移動した位置をC点とし、弧AB上を弧ABの長さの8/10だけA点からB点に移動した位置をD点とすると、弧CDの曲率半径(線分CPおよびDP)が、弧CDの全域にわたって、線分ABの1/3以上
併せて、断面形状が蒲鉾様である液晶配向制御用突起の具体例(SEM画像)を図3に挙げる。
液晶配向制御用突起形成用の感光性樹脂組成物に遮光性がある場合、露光の際に下部まで完全に硬化せず、その後の現像工程の際に下部が溶解し、更にその後のベーク工程で容易に上述の蒲鉾様の液晶配向制御用突起とすることができる。逆に、従来の箱型や台形の液晶配向制御用突起を作製するためには、露光時の露光量を増加させるか、または感光性樹脂組成物に化学増幅剤を含ませるなどの公知の方法があるが、線幅が増加するなど、精度良く形成することが困難な場合がある。
また、液晶配向制御用突起にした時の露光光の透過光学濃度が0.3以上になる感光性樹脂組成物であれば、上述のような工程で蒲鉾様の本発明の液晶配向制御用突起を容易に得ることができる。従って、蒲鉾様の本発明の液晶配向制御用突起を作製するためには、液晶配向制御用突起の露光光の透過光学濃度が0.3以上であることが好ましい。前記露光光の透過光学濃度が0.3以上であると、露光による硬化が過度に進むのを防止することができる。尚、前記露光光の透過光学濃度が0.3未満の場合には、露光光の透過光学濃度を0.3以上にするために後述の紫外線吸収剤を含有することができる。
〈金属類微粒子〉
本発明の液晶配向制御用突起は、金属類微粒子を含む。
本発明において、「微粒子」とは、長軸長が1μm以下の粒子のことを意味する。また、その形状は特に制限されない。
また、本発明において、「金属類」とは、その組成元素に金属元素を含む無機物質のことであり、「金属類微粒子」とは、前記金属類から成る微粒子のことである。また、係る金属類微粒子は部位によって組成の異なるものも含む。
本発明における金属類微粒子としては、金属微粒子、合金微粒子、金属化合物微粒子、および、金属と金属化合物との複合微粒子、から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
〜金属微粒子〜
本発明における「金属」とは、以下の元素から成る物質のことである。すなわち長周期型周期表(IUPAC1991)において、第二周期1〜13族、第三周期1〜14族、第四周期1〜14族、第五周期1〜15族、第六周期1〜16族、の元素から成る物質のことである。「金属微粒子」とは前記金属から成る微粒子のことである。
本発明における金属微粒子を構成する金属は微粒子を形成することができる金属であることが好ましい。前記微粒子を形成する金属としては、長周期型周期表(IUPAC1991)の第四周期から第六周期、かつ、4〜14族の金属が好ましい。これらのうち、銀、ニッケル、コバルト、鉄、銅、パラジウム、金、白金、スズ、亜鉛、タングステン、マンガン、またはチタンが好ましく、中でも、銀、金、スズ、ニッケル、白金、またはコバルトが好ましく、とりわけ銀はコスト、安定性の点から特に好ましい。本発明における金属微粒子は、単独で用いてもまた2種以上の金属微粒子の混合物であってもよい。本発明において金属微粒子を構成する金属は銀、金、スズ、ニッケル、白金、またはコバルトである。
前記金属微粒子としては市販のものを用いることができる他、金属イオンの化学的還元法、無電解メッキ法、金属の蒸発法等により調製することが可能である。
銀微粒子(コロイド銀)の場合は、従来から知られている方法、例えば米国特許第2,688,601号明細書に開示されているゼラチン水溶液中で可溶性銀塩をハイドロキノンによって還元する方法、ドイツ特許第1,096,193号明細書に記載されている難溶性銀塩をヒドラジンによって還元する方法、米国特許第2,921,914号明細書に記載されているタンニン酸により銀に還元する方法のごとく銀イオンを溶液中で化学的に還元する方法や、特開平5−134358号公報に記載されている無電解メッキによって銀粒子を形成する方法、バルク金属をヘリウムなどの不活性ガス中で蒸発させ、溶媒でコールドトラップするガス中蒸発法等の方法を用いることが可能である。
〜合金微粒子〜
本発明における「合金」とは、異なる2種類以上の金属からなる物質、或いは、金属と非金属(金属元素を含まない物質)とを混合したものである。また、「合金微粒子」とは前記合金から成る微粒子のことである。前記合金微粒子は、部位によって組成の異なるものも含まれる。
本発明における合金微粒子を構成する合金は微粒子を形成することができる合金であることが好ましい。前記合金を形成する金属としては、長周型期周期表(IUPAC1991)の第4族から第14族の金属から選ばれる少なくとも2種以上の金属であることが好ましい。これらのうち、銀、ニッケル、コバルト、鉄、銅、パラジウム、金、白金、スズ、亜鉛、タングステン、マンガン、またはチタンから選ばれる少なくとも2種以上の金属であることが好ましく、中でも、銀、ニッケル、鉄、銅、パラジウム、金、白金、スズ、亜鉛、タングステン、マンガンまたはコバルトから選ばれる少なくとも2種以上の金属であることがより好ましく、とりわけ、銀とニッケル、銀と鉄、銀と銅、銀とパラジウム、銀と金、銀と白金、銀とスズ、銀と金、銀とスズ、金とニッケル、金と鉄、金と銅、金とパラジウム、金と白金、金とスズ、白金とニッケル、白金と鉄、白金と銅、白金とパラジウム、白金とスズ、金と銀と銅、金と銀と白金、金と銀と鉄、金と銀とスズ、金と銅と白金、金と銅と鉄、金と銅とスズ、金と白金と鉄、金と白金とスズ、金と鉄とスズ、銀と銅と白金、銀と銅と鉄、銀と銅とスズ、銀と白金と鉄、銀と白金とスズ、銅と白金と鉄、銅と白金とスズ、白金と鉄とスズ、からなる合金は安定性や色調の点から特に好ましい。本発明における合金微粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上の合金微粒子の混合物であってもよい。
前記合金微粒子は市販のものを用いることができる他、金属イオンの化学的還元法、無電解メッキ法、金属の蒸発法等により調製することが可能である。
〜金属化合物微粒子〜
本発明における「金属化合物」とは、前記金属と非金属とからなる化合物である。また、「金属化合物微粒子」とは前記金属化合物から成る微粒子のことである。前記金属化合物微粒子は、2種以上の金属化合物がひとつの微粒子になったものも含む。また、部位によって組成の異なるものも含まれる。
金属と非金属との化合物としては金属の酸化物、硫化物、窒化物、炭化物(カーバイド)、硫酸塩、炭酸塩などが挙げられる。このうち、酸化物および硫化物が色調や微粒子形成のしやすさから特に好ましい。これら金属化合物の例としては、硫化銅(II)、硫化鉄、硫化銀、酸化コバルト(Co34、CoO)、酸化銅(CuO、Cu2O)、酸化鉄、酸化マンガン(Mn34、MnO2など)、チタンブラック(チタン酸化物)などが挙げられるが、硫化銀、酸化コバルト、酸化銅、酸化鉄、および酸化マンガン、チタンブラックが、色調、微粒子形成のしやすさや安定性の観点から特に好ましい。本発明における金属化合物微粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上の金属化合物微粒子の混合物であってもよい。
前記金属化合物微粒子としては市販のものを用いることができる他、金属イオンの酸化や硫化などによって調製可能である。前記金属酸化物微粒子については、例えば特開2002−114521号公報や特開2002−104828号公報に開示されているように直流アークプラズマ法により調製可能である。金属硫化物微粒子については、金属塩の硫化により調製可能である。
〜金属と金属化合物との複合微粒子〜
本発明における「金属と金属化合物との複合微粒子」とは、前記金属と前記金属化合物とがひとつの微粒子になったものである。また、部位によって組成の異なるものも含まれる。前記金属と金属化合物との複合微粒子としては、例えば、粒子の内部が金属で表面が金属化合物であるものを挙げることができる。また、金属と金属化合物とは、それぞれ1種でも2種以上であってもよい。金属と金属化合物との複合微粒子の例としては銀と硫化銀との複合微粒子、銀と酸化銅(II)との複合微粒子、スズと硫化スズとの複合微粒子、コバルトと酸化コバルトとの複合微粒子、などが挙げられる。
−コアシェル−
更に、前記金属と金属化合物との複合微粒子は、コアシェル型の複合粒子であってもよい。コアシェル型の複合粒子とは、コア材料の表面をシェル材料でコートしたものである。コアシェル構造を有する複合微粒子の作製方法に特に制限はなく、代表的な方法は以下のものが挙げられる。
(1)公知の方法で作製した金属微粒子の表面に、酸化、硫化などにより、金属化合物のシェルを形成する方法であり、例えば、金属微粒子を水などの分散媒に分散させて、硫化ナトリウムや硫化アンモニウムなどの硫化物を添加する方法がある。この方法により粒子の表面が硫化されてコアシェル複合粒子が形成される。
この場合、用いられる金属微粒子は、気相法、液相法などの公知の方法で作製することができる。金属微粒子の作製方法については、例えば「超微粒子の技術と応用における最新動向II(住ベテクノリサーチ(株)2002年発行)」に記載されている。
(2)金属微粒子を作製する過程で連続的に表面に金属化合物のシェルを形成する方法であり、例えば、金属塩溶液に還元剤を添加して、金属イオンの一部を還元して金属微粒子を作製し、次いで硫化剤を添加して、作製した金属微粒子の周囲に金属硫化物を形成する方法がある。
(形状異方性微粒子)
本発明における金属類微粒子は、形状異方性微粒子であることが好ましい。
本発明における「形状異方性」とは、箱の長さL、幅b、高さまたは厚みtの大きさの少なくとも1つが異なることを指し、球および立方体を含む正側面体を除くことを意味する。
前記定義は、本発明における微粒子の径を三軸径とする。すなわち、1個の微粒子がちょうど(きっちりと)収まるような箱(直方体)を考え、この箱の長さL、幅b、高さまたは厚みtをもってこの微粒子の寸法と定義するものである。微粒子を箱に収める場合、いくつかの方法があるが、本発明では以下の方法を採用する。
まず、平面上に、微粒子を、最も重心が低くて安定に静止するように置く。次に、平面に対し直角に立てた2枚の平行な平板により微粒子を挟み、その平板間隔が最も短くなる位置の平板間隔を「幅b」とする。次に、前記幅bを決する2枚の平板に対し直角で前記平面に対しても直角の2枚の平行な平板により微粒子を挟み、この2枚の平板間隔を「長さL」とする。最後に微粒子の最も高い位置に接触するように天板を前記平面に平行に載せ、天板と平面との間隔を高さまたは厚みtとする(この方法により平面、各2枚の平板および天板によって画される直方体が形成される。)。
また、微粒子の三軸径b、Lおよびtの最も長いものに該当する軸を「長軸」と定義し、長軸方向における長さを「長軸長」と、また、長軸に平行な光を微粒子に照射して得られる投影面積を真円換算した場合の直径を「短軸長」と定義する。
前記形状異方性微粒子には、例えば棒状(針状、円柱形、直方体等の角柱形、ラグビーボール型等)、平板状(鱗片状、楕円板状、板状)、繊維状、金平糖状、コイル状、ワイヤー状等の微粒子があり。この様な形状異方性微粒子は形状異方性でない微粒子よりも隠ぺい力に優れる。
前記形状異方性微粒子の形状には特に制限は無いが、隠ぺい力が大きいという観点から棒状、平板状が好ましく、平板状であることが特に好ましい。
−形状異方性粒子の作製−
前記形状異方性微粒子は市販のものを用いることができる。中でも形状異方性金属微粒子は金属イオンの化学的還元法、無電解メッキ法、金属の蒸発法等により調製することが可能である。
特に棒状の銀微粒子は球形銀微粒子を種粒子としてその後、銀塩を更に添加し、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)等の界面活性剤存在下アスコルビン酸など比較的還元力の弱い還元剤を用いることにより銀ロッドやワイヤーが得られることがAdv.Mater.2002,14,80−82に記載されている。また、同様の記載がMater.Chem.Phys.2004,84,197−204、Adv.Funct.Mater.2004,14,183−189になされている。更に、電気分解を用いた方法として、Mater.Lett.2001,49,91−95やマイクロ波を照射することにより銀ロッドを生成する方法がJ.Mater.Res.2004,19,469−473に記載されている。また、逆ミセルと超音波照射とを併用した例として、J.Phys.Chem.B,2003,107,3679−3683が挙げられる。
金(Au)に関しても、同様にJ.Phys.Chem.B 1999,103、3073−3077およびLangmuir1999,15,701−709、J.Am.Chem.Soc.2002,124,14316−14317に記載されている。
棒状の粒子の形成方法は前記記載の方法を改良(添加量調製、PH制御)しても調製できる。また、逆ミセルと超音波照射とを併用して平板状銀粒子を形成する方法がJ.Phys.Chem.B,2003,107,2466−2470に記載されている。
本発明における金属類微粒子の数平均粒径は、膜厚を超えない限り特に制限はないが、1nm〜1000nmの範囲が好ましく、5nm〜500nmの範囲がより好ましく、10〜150nmの範囲が更に好ましい。
前記金属類微粒子の数平均粒径が1nm〜1000nmの範囲にあると、製造が容易であり、粒子の凝集が起こり2次粒子が形成されるのを防止することができるとともに、分散安定性が良好である。本発明における金属類微粒子の数平均粒径は10〜150nmである。
尚、ここでいう「粒径」とは、微粒子の電子顕微鏡写真画像を同面積の円とした時の直径を言い、また、「数平均粒径」とは、多数の粒子について前記の粒径を求め、これらの100個平均値をいう。
本発明の液晶配向制御用突起中の金属類微粒子含有量は、0.5〜10体積%であ、より好ましくは1.0〜8.0体積%であり、更に好ましくは1.5〜6.0体積%である
突起中の微粒子含有量が0.5〜10体積%の範囲内にあると、光漏れを防止でき、コントラストを向上させることができるとともに、比誘電率を小さくすることができる。
実際には突起の微粒子含有量は、突起のODが0.5以上であること、および突起の比誘電率が9以下であること、製造適性や現像性があることを満たすことが好ましい。従って微粒子含有量の上限下限は、微粒子の種類に依存する。
また、本発明の液晶配向制御用突起は前記金属類微粒子として金属微粒子および/または合金微粒子を0.5体積%以上含有することで、焼き付きの発生を抑制することができる。
〈配置態様〉
まず、図4を用いて本発明の液晶配向制御用突起の基本的な配置態様について説明する。図4は、本発明の液晶配向制御用突起を説明するための概略断面図である。
本発明の液晶制御用突起は、VA方式において電圧を印加した時に斜めに配向される液晶の配向方向を規制するものであり、例えば、図4(A)に示すように、液晶配向制御用突起1は、電極2および電極3の表面に形成される。電極2および電極3は、液晶層4を挟持するように構成されており、液晶層4には、液晶分子5が配向されている。液晶分子5のうち、液晶配向制御用突起1近傍の液晶分子5は、液晶配向制御用突起1の形状に沿って配向される。また、図4(B)に示すように、液晶配向制御用突起1は、片側の電極の表面のみに形成する構成であってもよい。図4(B)においては液晶配向制御用突起1が電極3の表面のみに形成されており、上側基板の電極6として、液晶配向制御用のスリットを有する電極が用いられている。
このように、液晶分子5の配向の向きを規制することで、液晶面に対する観察位置(視野角)に依存しない視覚特性を確保することができる。尚、配置態様はこれらに限られず、視野角が広がる配置を適宜選択することができる。
本発明における液晶配向制御用突起の配置態様としては、公知の態様の中から適宜選択することができ、例えば、特許第2947350号公報等に記載の態様で形成できる。例えば、帯状に基板上に形成されその長さ方向と直交する断面形状が蒲鉾様である複数の柱状体が等ピッチで1方向に平行に延びたパターンで配置され、且つ2枚の基板の各導電層上に設けられてなる線状パターンが好ましい(特許第2947350号公報の図15参照)。本発明の液晶配向制御用突起が両方の基板の導電層基板上に設けられる場合には、必ずしも同形状の液晶配向制御用突起を形成する必要はなく、異形状の液晶配向制御用突起を組合せて形成してもよい。
基板(またはカラーフィルタ)上に帯状に形成される液晶配向制御用突起は、直線状の形態に限られず、所定の角度をなして屈曲状の形態で設けられてもよい(特許第2947350号公報の図42および図55等参照)。
また、本発明の液晶配向制御用突起はドット状パターンに形成することも可能である。この場合、液晶が360°全ての方向に多分割配向され、視野角が非常に広がる点で好ましい。
その他、前記液晶配向制御用突起の大きさ、配置間隔、配置形状等の詳細については、特許第2947350号公報等の記載を参照できる。
本発明の液晶配向制御用突起が用いられる液晶表示装置は、一般には、カラーフィルターと該カラーフィルター上に導電層(電極)とを備えるカラーフィルター側基板と、これと対向配置される導電層(電極)付きの対向基板との2枚の基板(前記カラーフィルター側基板および対向基板のいずれに薄膜トランジスタ(TFT)等の駆動素子が備えられていてもよい。)によって液晶層が挟持されてなる。本発明の液晶配向制御用突起は、後述の感光性樹脂層塗布液や樹脂転写材料を用いて形成することができ、前記2枚の基板にそれぞれ設けられた導電層の少なくとも一方の上に、液晶層側に凸となる黒色の液晶配向制御用突起として設けられる。本発明の液晶配向制御用突起を設けることで、液晶分子の配向の向きを規制し、液晶面に対する観察位置(視野角)に依存しない視覚特性を確保することができる。
また、本発明の液晶配向制御用突起は、カラーフィルターの無い液晶表示装置(白黒表示のための装置、或いは、バックライトの色を短時間に変更しながら表示するフィールドシーケンシャル型の装置)に適用することもできる。
《組成物》
本発明の液晶配向制御用突起は、少なくとも、(A)金属類微粒子、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)重合性モノマーおよび(D)光重合開始剤または光重合開始剤系を含有する組成物(液晶配向制御用突起用感光性樹脂組成物(以下、適宜「本発明の組成物」という場合がある。))を用いたフォトリソグラフィーにより形成することができる。
前記(A)金属類微粒子としては、上述の金属類微粒子が用いられ、該金属類微粒子としては、金属微粒子、金属化合物微粒子、合金微粒子、および、金属と金属化合物との複合微粒子、から選ばれる少なくとも1種が好ましい。本発明の組成物は、更に必要に応じてその他の成分を含む感光性樹脂組成物から形成される。
(B)アルカリ可溶性樹脂
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂(以下、単に「バインダー」という場合がある。)としては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報および特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、この他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものを好ましく使用することもできる。また、特に好ましい例としては、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するポリマーは、単独で用いてもよく、或いは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよい。
本発明の組成物の全固形分に対する前記アルカリ可溶性樹脂の含有量は、20〜50質量%が一般的であり、25〜45質量%が好ましい。
(C)重合性モノマー
本発明における重合性モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合する重合性モノマーであることが好ましい。その様な重合性モノマーとしては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。
前記重合性モノマーの例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートおよびフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。
更に特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報および特開昭51−37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報および特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレー卜やメタクリレートを挙げることができる。
これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
これらの重合性モノマーは、単独でも、二種類以上を混合して用いてもよい。
本発明の組成物の全固形分に対する前記重合性モノマーの含有量は、5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。
(D)光重合開始剤または光重合開始剤系
本発明における光重合開始剤または光重合開始剤系としては、米国特許第2367660号明細書に開示されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書および同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール二量体とp−アミノケトンの組み合わせ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されているトリハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。特に、トリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾールおよびトリアリールイミダゾール二量体が好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」も好適なものとして挙げることができる。
これらの光重合開始剤または光重合開始剤系は、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよいが、特に2種類以上を用いることが好ましい。少なくとも2種の光重合開始剤を用いると、表示特性、特に表示のムラが少なくできる。
本発明の組成物の全固形分に対する光重合開始剤または光重合開始剤系の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。
(その他の添加剤)
−溶媒−
本発明の組成物においては、前記成分の他に、更に有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒の例としては、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム等を挙げることができる。
−界面活性剤−
本発明の組成物においては、均一な膜厚に制御でき、塗布ムラ(膜厚変動による色ムラ)を効果的に防止するという観点から、組成物中に適切な界面活性剤を含有させることが好ましい。
前記界面活性剤としては、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。
−熱重合防止剤−
本発明の組成物は、熱重合防止剤を含むことが好ましい。該熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン等が挙げられる。
−紫外線吸収剤−
本発明の組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、特開平5−72724号公報記載の化合物のほか、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
具体的には、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2,2’−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ニッケルジブチルジチオカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピリジン)−セバケート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、サルチル酸フェニル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリデニル)−エステル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、7−{[4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−5−トリアジン−2−イル]アミノ}−3−フェニルクマリン等が挙げられる。
また、上述のように紫外線吸収剤を用いることで、液晶配向制御用突起を蒲鉾様に形成するために露光光に対する透過光学濃度を0.3以上に調製することができる。
−結合剤−
本発明の組成物には、熱可塑性の結合剤を用いることができる。前記結合剤の添加量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜決定される。更に、本発明の組成物には、必要に応じて、用いる樹脂(アルカリ可溶性樹脂)を可塑化する添加剤を添加することができる。
また、本発明の組成物においては、前記添加剤の他に、特開平11−133600号公報に記載の接着助剤、熱可塑性の結合剤や、可塑剤など、その他の添加剤等を含有させることができる。
前記熱可塑性の結合剤としては、例えば、エチレン性不飽和化合物等の公知の結合剤が挙げられる。前記結合剤の添加量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜決定される。
前記可塑剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェートビフェニルジフェニルフォスフェート、アルキルフェノール、リン酸トリクレジルなどが挙げられる。前記可塑剤の添加量としては、樹脂全量に対して0〜10質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることが更に好ましい。
<液晶配向制御用突起の形成>
本発明の液晶配向制御用突起は、基本的には、(1)仮支持体上に感光性樹脂層として本発明の組成物(感光性樹脂組成物)を含む樹脂層が設けられた樹脂転写材料を用い、転写により導電層の内側(特に基板と導電層の間)に感光性樹脂層からなる液晶配向制御用突起を形成する方法、(2)本発明の組成物(感光性樹脂組成物)を含んで調製された液を基板(またはカラーフィルタ)上に塗布等することにより、導電層上に直接感光性樹脂層を設け、該層からなる液晶配向制御用突起を形成する方法、(3)本発明の組成物(感光性樹脂組成物)を含んで調製された液を基板(またはカラーフィルター)上にインクジェット方式で、導電層上に直接感光性樹脂を帯状またはドット状に吐出することにより、液晶配向制御用突起を形成する方法、等が挙げられる。尚、仮支持体または基板(カラーフィルタ)上に、感光性樹脂組成物を含む液(以下、「感光性樹脂層用塗布液」ということがある。)を塗布して層形成する場合には、スピンコート法等の公知の塗布方法を適用することができる。
本発明においては、均一厚の構造体の形成が容易な点で、前記(1)の方法が好ましい。まず、前記(1)の方法および該方法に用いる樹脂転写材料について説明する。
<樹脂転写材料>
本発明の液晶配向制御用突起は、本発明の樹脂転写材料を転写して作製することができる。樹脂転写材料は、特開平5−72724号公報に記載されている樹脂転写材料、すなわち一体型となったフイルムを用いて形成することが好ましい。該一体型フイルムの構成の例としては、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/樹脂層/保護フイルムを、この順に積層した構成が挙げられる。
尚、本発明の樹脂転写材料は、前述の本発明の組成物を用いることによって樹脂層を設けることができる。
(仮支持体)
前記転写材料の仮支持体としては、可撓性を有し、加圧若しくは加圧および加熱下においても著しい変形、収縮若しくは伸びを生じないことが必要である。その様な支持体の例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等を挙げることができ、中でも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
仮支持体の厚さに特に制限はないが、5〜200μmの範囲が一般的で、特に10〜150μmの範囲のものが取扱易さ、汎用性などの点から有利であり好ましい。また、仮支持体は、染料化ケイ素、アルミナゾル、クロム塩、ジルコニウム塩などを含有してもよい。また、仮支持体は、透明でもよいし、半透明や不透明でもよい。
(熱可塑性樹脂層)
前記熱可塑性樹脂層に用いられる成分としては、特開平5−72724号公報に記載されている有機高分子物質が好ましく、ヴイカーVicat法(具体的にはアメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が約80℃以下の有機高分子物質より選ばれることが特に好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル或いはそのケン化物の様なエチレン共重合体、エチレンとアクリル酸エステル或いはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルおよびそのケン化物の様な塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物との様なスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等との(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロンの様なポリアミド樹脂等の有機高分子が挙げられる。
(中間層)
本発明の樹脂転写材料においては、複数の塗布層の塗布時、および塗布後の保存時における成分の混合を防止する目的から、中間層を設けることが好ましい。該中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜を用いることが好ましく、この場合、露光時感度がアップし、露光機の時間負荷が減り、生産性が向上する。
前記酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水またはアルカリ水溶液に分散または溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。これらの内、特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組み合わせである。
(保護フイルム)
前記樹脂層の上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために薄い保護フイルムを設けることが好ましい。保護フイルムは仮支持体と同じかまたは類似の材料からなってもよいが、樹脂層から容易に分離されねばならない。保護フイルム材料としては例えばシリコーン紙、ポリオレフィン若しくはポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。
(樹脂転写材料の作製方法)
本発明の樹脂転写材料は、仮支持体上に熱可塑性樹脂層の添加剤を溶解した塗布液(熱可塑性樹脂層用塗布液)を塗布し、乾燥することにより熱可塑性樹脂層を設け、その後熱可塑性樹脂層上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤からなる中間層材料の溶液を塗布、乾燥し、その後、中間層を溶解しないように調製された本発明の組成物(感光性樹脂組成物)を用いて樹脂層を塗布、乾燥して設けることにより作製することができる。
また、前記仮支持体上に熱可塑性樹脂層および中間層を設けたシート、および保護フイルム上に樹脂層を設けたシートを用意し、中間層と樹脂層とが接する様に相互に貼り合わせることによっても作製することができ、更には、前記の仮支持体上に熱可塑性樹脂層を設けたシート、および保護フイルム上に樹脂層および中間層を設けたシートを用意し、熱可塑性樹脂層と中間層とが接する様に相互に貼り合わせることによっても、作製することができる。
尚、本発明の樹脂転写材料において、本発明の組成物(感光性樹脂組成物)を用いて形成される樹脂層の膜厚としては、1.0〜5.0μmが好ましく、1.0〜4.0μmがより好ましく、1.0〜3.0μmが特に好ましい。
また、特に限定されるわけではないが、その他の各層の好ましい膜厚としては、熱可塑性樹脂層は2〜30μmが、中間層は0.5〜3.0μmが、保護フイルムは4〜40μmが、一般的に好ましい。
尚、前記作製方法における塗布は、公知の塗布装置等によって行うことができるが、本発明においては、スリット状ノズルを用いた塗布装置(スリットコータ)によって行うことが好ましい。
(スリット状ノズル)
前記樹脂転写材料は、本発明の組成物を、公知の塗布方法により塗布し乾燥することによって形成することができるが、本発明においては、液が吐出する部分にスリット状の穴を有するスリット状ノズルによって塗布することが好ましい。具体的には、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリット状ノズル、およびスリットコーターが好適に用いられる。
(a)塗布装置による塗布
前記(2)本発明の組成物(感光性樹脂組成物)を含んで調製された液を基板(またはカラーフィルタ)上に塗布等することにより、導電層上に直接感光性樹脂層を設け、該層からなる液晶配向制御用突起を形成する場合、本発明の組成物の塗布には、公知の塗布方法、例えば、スピンコート法、カーテンコート法、スリットコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、或いは、米国特許第2681294号明細書に記載のポッパーを使用するエクストルージョンコート法等により塗布することができる。中でも特に、既に<樹脂転写材料>の項において説明した、スリットコーターが好適に用いることができる。尚、スリットコーターの好ましい具体例等は、前記と同様である。樹脂層を塗布により形成する場合、その膜厚としては、1.0〜3.0μmが好ましく、1.0〜2.5μmがより好ましく、1.0〜2.0μmが特に好ましい。
(b)ラミネーターによる貼り付け
前記本発明の樹脂転写材料を用い、フイルム状に形成した樹脂層を、後述する基板上に加熱および/または加圧したローラーまたは平板で圧着または加熱圧着することによって、貼り付けることができる。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーターおよびラミネート方法が挙げられるが、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。尚、樹脂層を前記本発明の樹脂転写材料により形成する場合の、その好ましい膜厚は、<樹脂転写材料>の項において記載した好ましい膜厚と同様である。
(基板)
本発明において、液晶配向制御用突起が形成される基板としては、例えば、透明基板が用いられ、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、或いは、プラスチックフィルム等を挙げることができる。
また、前記基板は、予めカップリング処理を施しておくことにより、着色樹脂組成物、または樹脂転写材料との密着を良好にすることができる。該カップリング処理としては、特開2000−39033号公報記載の方法が好適に用いられる。尚、特に限定されるわけではないが、基板の膜厚としては、700〜1200μmが一般的に好ましい。
(酸素遮断膜)
本発明の液晶配向制御用突起を製造するに当たり、上述の(2)本発明の組成物の塗布によって感光性樹脂層を形成する場合においては、該感光性樹脂層上に更に酸素遮断膜を設けることができ、これにより、露光感度をアップすることができる。前記酸素遮断膜としては、既に<樹脂転写材料>の(中間層)の項において説明したものと同様のものが挙げられる。尚、特に限定されるわけではないが、酸素遮断膜の膜厚としては、0.5〜3.0μmが好ましい。
(露光および現像)
上述の(1)および(2)の方法により、前記基板上に形成された感光性樹脂層の上方に所定のマスクを配置し、その後該マスク、熱可塑性樹脂層、および中間層を介してマスク上方から露光し、次いで現像液による現像を行う、という工程により、本発明の液晶配向制御用突起を得ることができる。
ここで、前記露光の光源としては、感光性樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜150mJ/cm2程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm2程度であり、更に好ましくは10〜80mJ/cm2程度である。露光量が5mJ/cm2以下であると、充分に硬化が進まず、液晶配向制御用突起の形成ができないことがある点で好ましくない。露光量が150mJ/cm2を超えると、所定の幅(マスク幅)より広く硬化が進むことがある点で好ましくない。さらに、本発明の液晶配向制御用突起は、貧酸素雰囲気下で露光するのが好ましい。貧酸素雰囲気下が、少なくとも不活性ガス雰囲気下、減圧下、または酸素遮断層下のうちの1つ、または複数から選択されることが好ましい。
前記不活性ガスとは、N2、H2、CO2などの一般的な気体や、He、Ne、Arなどの希ガス類を用いることもできる。この中でも安全性や入手の容易さ、コストの問題からN2が好適に利用される。また、減圧下とは、0.5atm以下が好ましく、更に好ましくは0.1atm以下の状態を指す。
酸素遮断層とは、前記(酸素遮断膜)の項目で説明したものと同様なものが挙げられる。
また、前記現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができる。尚、現像液は樹脂層が溶解型の現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含むものが好ましいが、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。
水と混和性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。該有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%が好ましい。
また、前記現像液には、更に公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディップ現像等、公知の方法を用いることができる。
ここで、前記シャワー現像について説明すると、露光後の樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。尚、現像の前に樹脂層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことが好ましい。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。
洗浄液としては公知のものを使用できるが、(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名「T−SD1(富士写真フイルム製)」、或いは、炭酸ナトリウム・フェノキシオキシエチレン系界面活性剤含有、商品名「T−SD2(富士写真フイルム製)」)が好ましい。
現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
(ベーク)
更に、ベークと呼ばれる熱処理を行ことにより、液晶配向制御用突起をより硬化させることができる。また、ベークを行うことにより、液晶配向制御用突起の収縮、適度な流動によって液晶配向制御用突起体の形状を適度になだらかにすることができる。
前記ベークの温度は、好ましくは200〜300℃、より好ましくは220℃〜260℃であり、最も好ましくは230℃〜250℃である。前記ベークの時間は、好ましくは10〜120分、更に好ましくは20〜70分、最も好ましくは30〜60分である。このように温度および時間を設定して前記ベークを行うことで、感光性樹脂成分中の架橋反応が進行しやすく、生産性を高めることができる。
《液晶表示装置用基板》
本発明の液晶表示装置用基板とは、基板上に少なくとも本発明の液晶配向制御用突起が形成された基板を意味する。本発明の液晶表示装置用基板は、後述の液晶表示素子および液晶表示装置に好適に用いることができる。また、前記基板としては、上述のものを好適に用いることができる。本発明の液晶表示装置用基板は、前記基板上に、上述の本発明の組成物を塗布したり、本発明の樹脂転写材料を用いて樹脂層を転写することで、本発明の液晶配向制御用突起を形成することができる。
《液晶表示素子》
本発明の液晶表示素子は、本発明の液晶表示装置用基板を有する。本発明の液晶表示素子は、対向する一対の基板の間に、液晶材料が封入された液晶層を有する素子であり、前記基板の少なくとも一つとして、本発明の液晶配向制御用突起が設けられた本発明の液晶表示装置用基板が用いられる。
《液晶表示装置》
本発明の液晶表示装置は、本発明の液晶表示装置用基板を有する。上述の様に本発明の液晶表示装置用基板を用いて形成された本発明の液晶表示装置は、互いに対向し合う側の表面に導電層が設けられた2枚の基板間に液晶層が挟持され、既述の本発明の液晶配向制御用突起を基板上の導電層上から液晶層側に凸となる様に備えて構成することができる。また、導電層上にはこれらを覆って配向膜を形成することもできる。
本発明の液晶表示装置の基本的な構成態様としては、(1)薄膜トランジスタ(以下、「TFT」という場合がある。)等の駆動素子と画素電極(導電層)とが配列形成された駆動側基板と、カラーフィルターおよび対向電極(導電層)を備えるカラーフィルター側基板とをスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成されるもの、(2)カラーフィルターが前記駆動側基板に直接形成されたカラーフィルター一体型駆動基板と、対向電極(導電層)を備える対向基板とをスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成されるもの等が挙げられる。
前記導電層としては、例えば、ITO膜;Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo等の金属膜;SiO2等の金属酸化膜などが挙げられ、中でも透明性のものが好ましく、ITO膜が特に好ましい。前記駆動側基板、カラーフィルター側基板、対向基板は、その基材として、例えば、ソーダガラス板、低膨張ガラス板、ノンアルカリガラス板、石英ガラス板等の公知のガラス板、或いはプラスチックフィルム等を用いて構成される。
TFT等の駆動素子と画素電極とが配列形成された駆動側基板としては、例えば、互いに垂直に交わってマトリックス状に配設されたデータバスラインおよびゲートバスラインと接続されたTFT、およびTFTを介してデータバスラインと接続する導電層が設けられたものなどが挙げられる。
前記態様のいずれにおいても、液晶表示素子を構成する基板の両方に導電層が形成され、該両導電層間に電圧が印可されその間に挟持される液晶材料がその電圧に応じて配向状態を変化させ表示を行う。従って、既述の構造体は、いずれの導電層の内側(導電層と液晶層との間)にも所望の形状、形態で形成することができる。
以下、実施例および比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、実施例中の「部」および「%」は、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
<粒子径状、粒径、数平均粒径>
以下の各実施例および比較例において、粒子の「形状」は粒子の電子顕微鏡写真を観察して決定した。また、粒子の電子顕微鏡写真画像を同面積の円とした時の直径を「粒径」とし、多数の粒子について前記の粒径を求め、これらの100個平均値を「数平均粒径」とした。
<膜厚>
以下の各実施例および比較例において、膜厚は、表面粗さ計P−10(TENCOR社製)を用いて測定した。
<光学濃度>
以下の各実施例および比較例において、「光学濃度(OD)」については、まず、本発明の液晶配向制御用突起を形成する材料を用い、透明基板上に、本発明の液晶配向制御用突起形成時と同じ厚みの層を形成して、パターン状に露光しない以外は本発明の液晶配向制御用突起と同様の工程を経て、測定用のサンプル(膜状)を作製した。サンプルの透過光学濃度を、分光光度計(島津製作所製、UV−2100)を用いて555nmで測定して(OD)を求め、更に、別途ガラス基板の透過光学濃度を同様の方法で測定して(OD0)を求めて、ODからOD0を差し引いた値を膜の透過光学濃度とした。
<色度>
以下の各実施例および比較例において、「色度(ΔE)」については、本発明の液晶配向制御用突起を形成する材料を用い、透明基板上に、本発明の液晶配向制御用突起形成時と同じ厚みの層を形成し、パターン状に露光しない以外は本発明の液晶配向制御用突起と同様の工程を経て、測定用のサンプルを作製し、サンプルの色度をC光源にて測定し、無彩色点(x=0.333,y=0.333)からのズレ(ΔE)を求めた。
<金属類微粒子分散液の調製>
各実施例及び比較例に用いられる金属類微粒子分散液を調製した。
(形状異方性銀微粒子分散液の調製)
ゼラチン112部に、蒸留水3,488部を添加し、そして得られた混合物を約47℃まで加熱してゼラチンを溶解した。これに、酢酸カルシウム4.0部および水素化ホウ素カリウム2.0部を添加した。その直後に、蒸留水1000部に溶解した硝酸銀6.0部を、急速に攪拌しながら添加した。蒸留水を添加して、最終重量を5000部に調製した。
次いで生成物をゲル化温度近くまで冷却し、そして小さな穴を通過させて冷却した水の中へ入れ、それにより非常に微細なヌードル(線状のスラリー)を形成した。また、ヌードルが溶融塊を形成するのを防ぐために、水を用いてヌードルを希釈して水1対ヌードル3のヌードルスラリーを作製した。
前記ヌードルスラリー650部に、蒸留水81部に溶解したモノスルホン酸ヒドロキノンカリウム6.5部およびKCl 0.3部を添加した。ヌードルスラリーを約6℃まで冷却した。また、別々の容器に、以下の2種の溶液AおよびBを製造した。
〔溶液A〕
・亜硫酸ナトリウム(無水) 19.5部
・重亜硫酸ナトリウム(無水) 0.98部
・蒸留水 122.0部
〔溶液B〕
・硝酸銀 9.75部
・蒸留水 122.0部
前記溶液AおよびBを混合して、攪拌を続けると消失する白色沈殿を形成させた。次いで直ちに、この混合物を短時間(5分間以内)で急速に攪拌しながら前記ヌードルスラリーに添加した。温度を10℃に維持し、そして全ての可溶性銀塩が核の上に還元されるまで、約80分間反応を進行させた。得られた青色スラリー微粒子を、ナイロンメッシュバック中でスラリーを介して水道水を通過させ、そして約30分間洗浄水がバックを通過するように洗浄し、全ての塩を洗い流した。
ゲルスラリーに分散させて洗浄した青色銀を、溶融した場合に1.5質量%の濃度の銀を有する青色銀分散体が得られる様に、生成物の質量が412部になるまで脱水し銀分散スラリーを調製した(*)。
前記の如くして得られた銀分散スラリー5000gに、分散剤(ラピゾールB−90、日本油脂(株)製)25gとパパイン5質量%水溶液1000gとを添加し37℃で24時間攪拌した。
この液を2000rpmで5分間遠心分離し、銀微粒子を沈降させた。その後、上澄み液を除いた後蒸留水で洗浄して酵素で分解されたゼラチン分解物を除去した。
次いで銀微粒子沈降物をメチルアルコールで洗浄してから乾燥させることで、約85gの銀微粒子の凝集物が得られた。この凝集物73.5gと、ソルスパース20000(アビシア(株)製 分散剤)1.05gおよびメチルエチルケトン264gとを混合した。これをアイガーミルで2時間分散し、形状異方性銀微粒子分散液を得た。形状異方性銀微粒子分散液を電子顕微鏡で観察したところ、数平均粒径が37nmで、平板状の微粒子(形状異方性微粒子)であった。
なお、前記アイガーミル分散はアイガー・ジャパン(株)製「アイガーミルM−50型」(メディア:直径0.6mmジルコニアビーズ、ビーズ充填率70%)を用いて行った。以下のアイガーミル分散も同様である。
(スズ微粒子分散液の調製)
塩化スズ(II)濃度が5質量%の塩化スズの水溶液5kgに、ポリビニルピロリドン(PVP)(ISP製:PVP K−30)200gと分散剤(ラピゾールB−90、日本油脂(株)製)20gとを加え攪拌した。次いで、温度を60℃に保ち、激しく攪拌しながら過剰のヒドラジンを少しずつ添加した。その後、熟成するため30分間放置して還元反応を十分に進め、スズ微粒子を得た。この液を2000rpmで20分間遠心分離し、スズ微粒子を沈降させた。上澄み液を除いた後、蒸留水で洗浄して余分な塩を除去した。次いで、このスズ沈降物をアセトンで洗浄して乾燥させることで約120gのスズ凝集物が得られた。この凝集物95gとソルスパース20000(アビシア(株)製 分散剤)3.5gおよびアセトン520gとを混合した。これをアイガーミルで2時間分散し、スズ微粒子分散液を得た。電子顕微鏡で観察したところ、数平均粒径が56nmで、主に棒状の微粒子(形状異方性微粒子)であった。
(銀スズ合金微粒子分散液の調製)
純水1000mlに酢酸銀63.2g、酢酸スズ(II)34.1g、グルコン酸54gピロリン酸ナトリウム45g、ポリエチレングリコール(分子量3000)2g、および、「E735」(ISP社製、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー)5gを混合して溶解し、溶液1を調製した。
また、別途純水500mlにヒドロキシアセトン42.5gを溶解し、溶液2とした。
25℃に保った溶液1を激しく攪拌しながら、溶液2を2分間かけて添加した。その後緩やかに6時間攪拌を続けた。結果、混合液が黒色に変化して銀スズ合金微粒子が生成した。
ついで、この液を遠心分離して微粒子を沈殿させた。遠心分離は(株)コクサン製の卓上遠心分離機「H−103n」を用いて、2000rpm、30分間の条件でおこなった。この際、液量を150mlに小分けして遠心分離をおこなった。その後、上澄みを捨てて全液量を150mlにし、これに純水1350mlを加えた。この液を15分間攪拌して微粒子を再び分散させた。この操作を2回繰り返し、水相の可溶性物質を除去した。
その後、この液を遠心分離して微粒子を再び沈殿させた。遠心分離は前述の条件と同一の条件でおこなった。更に、前記と同様に上澄みを捨てて全液量を150mlにし、これに純水850mlとアセトン500mlとを加えた。この液を15分間攪拌して銀スズ合金微粒子を再び分散させた。
この後、再び前述の遠心分離を行い、微粒子を沈殿させた。前記と同様に上澄みを捨てて液量を150mlにし、これに純水150mlとアセトン1200mlとを加えた。この液を15分間攪拌して微粒子を再び分散させた。
この液を再び遠心分離した。遠心分離の条件は、時間を90分間に延ばした以外は前述と同じである。
再度上澄みを捨てて全液量を70mlにし、これにアセトン30mlを加えた。
この銀スズ合金分散液をアイガーミルで3時間分散して銀スズ合金微粒子分散液を得た。電子顕微鏡観察したところ、平均粒径は約38nmであり、形状異方性微粒子であった。
(硫化銀微粒子分散液の調製)
酢酸銀95部をジエチルアミノエタノール(DEAE)900部に溶解させた。40℃で激しく攪拌しながら20%硫化ナトリウム水溶液280部を加えた。40℃のまま30分攪拌し、全量濾過した。濾過物を蒸留水およびDEAEで洗浄後、ソルスパース24000GR(アビシア(株)製 分散剤)3.2部とエチルメチルケトン414部とを混ぜ、アイガーミルで2時間分散し、硫化銀微粒子分散液を得た。電子顕微鏡で観察したところ、数平均粒径は31nmであり、棒状の微粒子(形状異方性微粒子)であった。
(銀/硫化銀複合微粒子分散液の調製)
前記<形状異方性銀微粒子分散液の調製>の項目で示した方法に従って調製した1.5%の濃度の銀を有する銀分散スラリー5000部(前記*印参照)を40℃で攪拌しながら、5.0%の硫化ナトリウム水溶液196部を加えた。
前記の如くして得られた銀/硫化銀複合微粒子分散液5000部に、分散剤(ラピゾールB−90、日本油脂(株)製)35部とパパイン5質量%水溶液1000部とを添加し37℃で24時間攪拌した。
この液を2000rpmで5分間遠心分離し、銀/硫化銀微粒子を沈降させた。上澄み液を除いた後蒸留水で洗浄して酵素で分解されたゼラチン分解物を除去した。
次いで銀微粒子沈降物をメチルアルコールで洗浄してから乾燥させた凝集物60.5部とソルスパース20000(アビシア(株)製 分散剤)3.2部とメチルエチルケトン264部とを混合した。これをアイガーミルで2時間分散し、銀/硫化銀複合微粒子分散液を得た。電子顕微鏡で観察したところ、数平均粒径64nmで、平板状の微粒子(形状異方性微粒子)であった。
(球形銀分散液の調製)
以下の組成を混合し、水溶液を調製した。
〔組成〕
・硝酸銀 186部
・蒸留水 1000部
・ポリビニルピロリドン(ISP製:PVP K−30) 80部
・ソルスパース20000(アビシア(株)製、分散剤) 12部
得られた水溶液を激しく攪拌しながら水素化ホウ素ナトリウム31部を加え、さらに15分間激しく攪拌し、銀微粒子を得た。この液を2000rpmで20分間遠心分離し、銀微粒子を沈降させた。上澄み液を除いた後、蒸留水で洗浄して余分な塩を除去した。ついでこの銀沈降物をアセトンで洗浄して乾燥させた。得られた銀沈降物60部とソルスパース20000(アビシア(株)製、分散剤)2.3部と、アセトン247部とを混合し、10分間1000W、40KHzの超音波を照射することにより、銀微粒子分散液を得た。電子顕微鏡で観察したところ、数平均粒径は12nmであり、球状粒子であった。
[実施例1]
《液晶表示装置の作製》
〈樹脂転写材料の作製〉
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方CU1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液CU1を塗布、乾燥させた。次に、下記処方PC1から成る中間層用塗布液PC1を塗布、乾燥させた。更に、下記表1に記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物K1を塗布、乾燥させ、該仮支持体の上に乾燥膜厚が14.6μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、乾燥膜厚が2.4μmの感光性樹脂層と、を設け、更に、感光性樹脂層の上から保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。
こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)とブラック(K)の感光性樹脂層とが一体となった感光性樹脂転写材料を作製し、サンプル名を感光性樹脂転写材料K1とした。
−熱可塑性樹脂層用塗布液CU1の組成(処方CU1)−
下記組成を混合して熱可塑性樹脂層用塗布液CU1を得た。
・メタノール 11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.36部
・メチルエチルケトン 52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 5.83部
(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、重量平均分子量=10万、Tg≒70℃)
・スチレン/アクリル酸共重合体 13.6部
(共重合組成比(モル比)=63/37、重量平均分子量=1万、Tg≒100℃)
・ビスフェノールAにペンタエチレングリコールモノメタクリートを2当量脱水縮合した化合物(新中村化学工業(株)製、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン) 9.1部
・界面活性剤1 0.54部
(大日本インキ化学工業製、商品名:メガファックF780F)
前記界面活性剤1の組成は以下の通りである。
・C613CH2CH2OCOCH=CH2:40部と、H(O(CH3)CHCH27OCOCH=CH2:55部と、H(OCH2CH27OCOCH=CH2:5部と、の共重合体(重量平均分子量3万) 30部
・メチルエチルケトン 70部
−中間層用塗布液PC1の組成(処方PC1)−
下記組成を混合して中間層用塗布液PC1を得た。
〔組成〕
・ポリビニルアルコール 2.90部
(鹸化度82%、重合度500、(株)クラレ製、PVA−405)
・ポリビニルピロリドン(ISP製、PVP K−30) 1.49部
・ポリプロピレングリコール 0.32部
(旭電化(株)製、アデカポリエーテルG−300)
・メタノール 42.9部
・蒸留水 52.4部
次に、前記黒色の感光性樹脂転写材料K1の作製において用いた前記着色感光性樹脂組成物K1を、下記表1に記載の組成よりなる下記着色感光性樹脂組成物R1、G1およびB1に変更し、それ以外は前記と同様の方法により、感光性樹脂転写材料R1、G1およびB1を作製した。
(ブラック(K)画像の形成)
無アルカリガラス基板に調製したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、更に純水シャワー洗浄をした。その後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基板を基板予備加熱装置で、100℃で2分加熱した。
前記感光性樹脂転写材料K1の保護フィルムを剥離後、ラミネーター((株)日立インダストリイズ社製(LamicII型))を用い、前記100℃で2分間加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分でラミネートした。
仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティ型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)とを垂直に立てた状態で、露光マスク面と該熱可塑性樹脂層との間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cm2でパターン露光した。
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%と、ポリプロピレングリコール、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびステアリルエーテルを合計で0.1質量%と、残部純水の組成で調合し、保管しておいた原液を、純水で12倍(該原液を1質量部と純水を11質量部の割合で混合)に希釈した液)にて30℃50秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し熱可塑性樹脂層と酸素遮断膜とを除去した。引き続き、この基板上面にエアを吹きかけて液切りした後、純水をシャワーにより10秒間吹き付け、純水シャワー洗浄し、エアを吹きかけて基板上の液だまりを減らした。
引き続き炭酸Na系現像液(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットルの炭酸ナトリウム、5質量%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、安定剤含有;商品名:T−CD1、富士写真フイルム(株)製)を用い、29℃30秒、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し感光性樹脂層を現像しパターニング画素を得た。
引き続き洗浄剤(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名「T−SD1」(富士写真フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈して用い、33℃で20秒、コーン型ノズル圧力0.02MPaでシャワーで吹きかけ、更にナイロン毛を有する回転ブラシにより形成された画像を擦って残渣除去を行い、ブラック(K)の画像を得た。その後、更に、該基板に対して樹脂層の側から超高圧水銀灯で500mJ/cm2の光でポスト露光し、その後220℃で15分熱処理した。
このブラック(K)画像を形成した基板を再び、前記の様にブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置により100℃で2分加熱した。
(レッド(R)画素の形成)
前記感光性樹脂転写材料K1を用い、ブラック(K)画像を形成した基板上に、前記感光性樹脂転写材料K1と同様の工程で、レッド(R)の画素を得た。但し露光量は40mJ/cm2、炭酸Na系現像液による現像は35℃で35秒とした。
前記感光性樹脂層R1膜厚は2.0μmであり、顔料C.I.ピグメント・レッド254およびC.I.ピグメント・レッド177の塗布量はそれぞれ、0.88g/m2、0.22g/m2であった。
このレッド(R)画素を形成した基板を再び、前記の様にブラシで洗浄し、純水シャワーで洗浄した後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置により100℃で2分間加熱した。
(グリーン(G)画素の形成)
前記感光性樹脂転写材料G1を用い、前記レッド(R)画素を形成した基板上に、前記感光性樹脂転写材料R1と同様の工程で、グリーン(G)の画素を得た。但し露光量は40mJ/cm2、炭酸Na系現像液による現像は34℃で45秒とした。
前記感光性樹脂層G1の膜厚は2.0μmであり、顔料C.I.ピグメント・グリーン36およびC.I.ピグメント・イエロー150の塗布量はそれぞれ、1.12g/m2、0.48g/m2であった。
レッド(R)とグリーン(G)の画像を形成した基板を再び、前記の様にブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置により100℃で2分加熱した。
(ブルー(B)画素の形成)
前記感光性樹脂転写材料B1を用い、前記レッド(R)画素とグリーン(G)画素とを形成した基板上に、前記感光性樹脂転写材料R1と同様の工程で、ブルー(B)の画素を得た。但し露光量は30mJ/cm2、炭酸Na系現像液による現像は36℃で40秒とした。
該感光性樹脂層B1膜厚は2.0μmであり、顔料C.I.ピグメント・ブルー15:6およびC.I.ピグメント・バイオレット23の塗布量はそれぞれ、0.63g/m2、0.07g/m2であった。
このR、G、BおよびKの画像を形成した基板を240℃で50分ベークして、目的のカラーフィルターを得た。
更に得られたカラーフィルター上に透明電極膜をITOのスパッタリングにより形成した。
ここで、下記表1に記載の着色感光性樹脂組成物K1、R1、G1、B1の調製について説明する。
−着色感光性樹脂組成物K1の調製−
着色感光性樹脂組成物K1は、まず表1に記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを計り取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、メチルエチルケトン、バインダー1、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、界面活性剤1を計り取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌することによって得られた。
尚、前記表1に記載の着色感光性組成物K1のうち、K顔料分散剤、バインダー1、DPHA液の組成を以下に示す。
〔K顔料分散物1の組成〕
・カーボンブラック(NIPX35、デグサ社製) 13.1部
・N,N’−ビス−(3−ジエチルアミノプロピル)−5−{4−[2−オキソ−1−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルカルバモイル)−プロピルアゾ]−ベンゾイルアミノ}−イソフタルアミド
0.65部
・ポリマー 6.72部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸
=72/28モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3.7万)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.53部
〔バインダー1の組成〕
・ポリマー 27部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸
=78/22モル比のランダム共重合物、重量平均分子量4.4万)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
〔DPHA液の組成〕
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 76部
(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、
日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA)
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 24部
−着色感光性樹脂組成物R1の調製−
表1に記載の着色感光性樹脂組成物R1は、まず、表1に記載の量のR顔料分散物1、R顔料分散物2、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを計り取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpm10分間攪拌した。次いで、表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、フェノチアジンを計り取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150rpm20分間攪拌した。更に、表1に記載の量のED152(燐酸エステル系特殊活性剤、楠本化成(株)製、「HIPLAAD ED152」)を計り取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpm30分間攪拌し、更に、表1に記載の量の界面活性剤1を計りとり、温度24℃(±2℃)で添加して30rpm30分間攪拌した後、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得られた。
前記表1におけるR顔料分散物1、R顔料分散物2、バインダー2の組成を下記に示す。
〔R顔料分散物1の組成〕
・C.I.ピグメント・レッド254(商品名:Irgaphor Red B−CF、
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 8部
・N,N’−ビス−(3−ジエチルアミノプロピル)−5−{4−[2−オキソ−1−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルカルバモイル)−プロピルアゾ]−ベンゾイルアミノ}−イソフタルアミド
0.8部
・ポリマー 8部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸
=72/28モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3.7万)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 83.2部
〔R顔料分散物2の組成〕
・C.I.ピグメント・レッド 177(商品名:Cromophtal Red A2B、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 18部
・ポリマー 12部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3.7万)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 70部
〔バインダー2の組成〕
・ポリマー 27部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート
=38/25/37モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3万)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
尚、前記組成物を、モーターミル「M−50」(アイガー・ジャパン社製)と、直径0.5mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで分散し、顔料分散液を調製した。
−着色感光性樹脂組成物G1の調製−
表1に記載の着色感光性樹脂組成物G1は、まず、表1に記載の量のG顔料分散物1、Y顔料分散物1、および、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを計り取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpm10分間攪拌した。次いで、前記表1に記載の量のメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、バインダー1、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、フェノチアジンを計り取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150rpm30分間攪拌した。更に、前記表1に記載の量の界面活性剤1を計り取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpm5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって着色感光性樹脂組成物G1が得られた。
前記表1におけるG顔料分散物1、Y顔料分散物1の組成を以下に示す。
・G顔料分散物1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製の「商品名:GT−2」)
・Y顔料分散物1(御国色素社製、商品名:CFエローEX3393)
−着色感光性樹脂組成物B1の調製−
表1に記載の着色感光性樹脂組成物B1は、まず、前記表1に記載の量のB顔料分散物1、B顔料分散物2、および、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを計り取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpm10分間攪拌した。次いで、前記表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー3、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、フェノチアジンを計り取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpm30分間攪拌した。更に、前記表1に記載の量の界面活性剤1を計り取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpm5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって着色感光性樹脂組成物B1が得られた。
前記表1におけるB顔料分散物1、B顔料分散物2およびバインダー3の組成を以下に示す。
・B顔料分散物1(御国色素社製、商品名:CFブルーEX3357)
・B顔料分散物2(御国色素社製、商品名:CFブルーEX3383)
〔バインダー3の組成〕
・ポリマー 27部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート
=36/22/42モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3万)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
〈液晶配向制御用突起用感光性転写材料の作製〉
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体上に前記処方CU1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液CU1を塗布、乾燥させ、乾燥膜厚が15μmの熱可塑性樹脂層を設けた。
次に、前記熱可塑性樹脂層上に前記処方PC1からなる中間層用塗布液PC1を塗布、乾燥させ、乾燥膜厚が1.6μmの中間層を設けた。
前記中間層上に、下記処方T1からなる液晶配向制御用突起用感光性樹脂層用塗布液T1を塗布、乾燥させ、乾燥膜厚が2.0μmの液晶配向制御用突起用感光性樹脂層を設けた。
−液晶配向制御用突起用感光性樹脂層用塗布液T1の組成(処方T1)−
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 37.9部
(モル比=73/27 重量平均分子量30000)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 29.1部
・ビス[4−[N−[4−(4,6−ビストリクロロメチル−s−トリアジン−2−イル)フェニル]カルバモイル]フェニル]セバケート 1.7部
・前記形状異方性銀微粒子分散液 512.3部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 560部
・メチルエチルケトン 280部
・前記界面活性剤1 0.04部
更に、前記液晶配向制御用突起用感光性樹脂層表面に厚さ12μmのポリプロピレン製のフィルムをカバーフィルムとして貼り付け、仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、中間層、液晶配向制御用突起用感光性樹脂層、カバーフィルムがこの順に積層された転写材料を作製した。
(液晶配向制御用突起の形成)
前記より得た液晶配向制御用突起用転写材料からカバーフィルムを剥がし、その感光性樹脂層の表面と前記カラーフィルター側基板のITO膜が設けられた側の表面とを重ね合わせ、ラミネータ((株)日立インダストリイズ社製(LamicII型))を用いて、線圧100N/cm、温度130℃、搬送速度2.2m/分の条件下で貼り合わせた。その後、転写材料の仮支持体のみを熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、除去した。この状態では、カラーフィルター側基板上に、感光性樹脂層、中間層、熱可塑性樹脂層がこの順に積層されている。
次に、最外層である熱可塑性樹脂層の上方に、フォトマスクが熱可塑性樹脂層の表面から100μmの距離となる様にプロキシミティ露光機を配置し、該フォトマスクを介して超高圧水銀灯により照射エネルギー100mJ/cm2でプロキシミティ露光した。その後、前記ブラック(K)画像形成に用いたものと同様のトリエタノールアミン水溶液を、シャワー式現像装置にて30℃で30秒間基板に噴霧して、熱可塑性樹脂層および中間層を溶解除去した。この段階では、感光性樹脂層は実質的に現像はされていなかった。
引き続き前記ブラック(K)画像形成に用いたものと同様の炭酸Na系現像液を用い、29℃30秒、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し感光性樹脂層を現像しパターニング画素を得た。
引き続き前記ブラック(K)画像形成に用いたものと同様の洗浄剤を用い、33℃20秒、コーン型ノズル圧力0.02MPaでシャワーとナイロン毛とを有する回転ブラシにより残渣除去を行った。すると、カラーフィルター側基板上には、所望の形状にパターニングされた感光性樹脂層よりなる液晶配向制御用突起が形成された。次いで、該液晶配向制御用突起が形成されたカラーフィルター側基板を240℃下で50分ベークすることにより、カラーフィルター側基板上に黒色液晶配向制御用突起を形成することができた。黒色液晶配向制御用突起の形状は、走査型電子顕微鏡により観察した結果、線幅14.1μm、中央部高さ約1.5μmの蒲鉾型の断面形状を有していた。
更に、前記より得たカラーフィルター側基板に対して、駆動側基板および液晶材料を組合せることによって液晶表示素子を作製した。即ち、駆動側基板として、TFTと画素電極(導電層)とが配列形成されたTFT基板を準備し、該TFT基板の画素電極等が設けられた側の表面と、前記より得た、カラーフィルター側基板の黒色液晶配向制御用突起が形成された側の表面とが対向する様に配置し、スペーサー材を設置して間隙を有して固定した。この間隙に液晶材料を封入し、画像表示を担う液晶層を設けることにより、導電層と基板との間に液晶配向制御用突起を備える本発明の20インチの液晶表示装置を作製した。下記の表示性能について評価した。下記結果を表2に示す。
〔評価〕
<コントラスト>
上記実施例、比較例で作製した液晶表示装置を黒表示させたときの輝度と、白表示させたときの輝度との差を測定し、下記表2にその結果を示した。
黒白コントラストの測定には、TOPCON CORPORATION JAPAN社製「BM−5」を輝度計として用い、これを表示装置表面から垂直方向50cmの距離のところに測定角は2°に設定して設置して測定した。また、測定は暗室で行った。
<ムラ>
まず、液晶表示装置にグレイのテスト信号を入力し、目視およびルーペにて観察して、ムラの発生の有無を判断した。目視でもルーペでもムラの発生が認められないものを「5」とし、ルーペでのみムラが認められるものを「4」とし、目視でわずかにムラが認められるものを「3」とし、目視でムラが認められるものを「2」とし、目視でムラが目立つものを「1」とした。
<総合評価>
以上の評価項目から判断される表示装置の表示性能評価。従来に比べて、特に優れると判断されるものを「◎」とし、優れると判断されるものを「○」とし、やや優れると判断されるものを「○△」とし、どちらかといえば優れると判断されるものを「△」とし、完全に性能が劣るものや従来と同等以下であると判断されるものを「×」とした。
[実施例2]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液の添加量を246.8部に変更し、更に、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを80mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例3]
実施例1と同様の方法でカラーフィルターを作製し、この上に透明電極膜をITOのスパッタリングにより形成した。
(液晶配向制御用突起の形成)
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液の添加量を136.0部に変更した液晶配向制御用突起用感光性黒色樹脂層用塗布液を、スリットコーターにより前記カラーフィルター基板のITO上に塗布し、乾燥した。
次に、前記液晶配向制御用突起用感光性黒色樹脂層上に前記処方PC1の中間層用塗布液を用いて、乾燥膜厚が1.6μmの中間層を設けた。
次に、マスク幅が14μmのフォトマスクが感光性樹脂層の表面から100μmの距離となる様にプロキシミティ露光機を配置し、該フォトマスクを介して超高圧水銀灯により照射エネルギー60mJ/cm2でプロキシミティ露光した。その後、KOH水溶液(KOH、ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロマテリアルズ(株)製)シャワー式現像装置にて30℃で40秒間基板に噴霧して感光性樹脂層の不要部を現像除去した。すると、カラーフィルター側基板上には、所望の形状にパターニングされた感光性樹脂層よりなる液晶配向制御用突起が形成された。次いで、該構造体が形成されたカラーフィルター側基板を240℃下で50分ベークすることにより、カラーフィルター側基板上に液晶配向制御用突起を形成することができた。更に、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例4]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液の添加量を95.0部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを50mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例5]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液の添加量を75.2部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを40mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例6〕
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液の添加量を44.4部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを40mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例7]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液の添加量を25.6部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを30mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例8]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、前記スズ微粒子分散液479.2部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを80mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例9]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、前記スズ微粒子分散液317.4部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを70mJ/cm2に、変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例10]
《液晶表示装置の作製》
〈カラーフィルターの作製〉
−ブラック(K)画像の形成−
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。該基板を120℃3分熱処理して表面状態を安定化させた。
該基板を冷却し23℃に温調後、スリット状ノズルを有すガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・アジア社製、商品名:MH−1600)にて、前記表1に記載の着色感光性樹脂組成物K1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置;東京応化工業(株)製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、120℃3分間プリベークして膜厚2.4μmの感光性樹脂層K1を得た。
超高圧水銀灯を有するプロキシミティ型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)とを垂直に立てた状態で、露光マスク面と該感光性樹脂層との間の距離を200μmに設定し、露光量300mJ/cm2でパターン露光した。
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、感光性樹脂層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(KOH、ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロマテリアルズ(株)製)にて23℃80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しパターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、ブラック(K)の画像を得た。引き続き、220℃で30分間熱処理した。
−レッド(R)画像の形成−
前記ブラック(K)の画像を形成した基板に、前記表1に記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物R2を用い、前記ブラック(K)画像の形成と同様の工程で、熱処理済みレッド(R)画像を形成した。
−グリーン(G)画像の形成−
前記ブラック(K)とレッド(R)との画像を形成した基板に、前記表1に記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物G2を用い、前記ブラック(K)画像の形成と同様の工程で、熱処理済みグリーン(G)画像を形成した。
−ブルー(B)画像の形成−
前記ブラック(K)、レッド(R)およびグリーン(G)の画像を形成した基板に、前記表1に記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物B2を用い、前記ブラック(K)画像の形成と同様の工程で、熱処理済みブルー(B)画像を形成し、目的のカラーフィルターを得た。
尚、着色感光性樹脂組成物R2、G2およびB2の調製方法は、それぞれ前記着色感光性樹脂組成物R1、G1およびB1の調製方法に準ずる。
更に、得られたカラーフィルター上に透明電極膜をITOのスパッタリングにより形成した。
〈液晶配向制御用突起の作製〉
実施例1における処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、前記スズ微粒子分散液182.2部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを60mJ/cm2に変更し、前記カラーフィルターを用いた以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例11]
まず、実施例10と同様にカラーフィルターを形成した。
次いで、実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部をスズ微粒子分散液103.6部に変更した、液晶配向制御用突起用感光性黒色樹脂層用塗布液を、スリットコーターにより前記カラーフィルター基板のITO上に塗布し、乾燥した。更に、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを40mJ/cm2に、変更した以外は実施例3と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した
[実施例12]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、スズ微粒子分散液67.4部に、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを40mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例13]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、スズ微粒子分散液43.0部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを30mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例14]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、銀スズ合金微粒子分散液553.5部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを70mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例15]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、銀スズ合金微粒子分散液410.6部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを60mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例16]
まず、実施例10と同様にカラーフィルターを形成した。
次に、実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、銀スズ合金微粒子分散液244.8部に変更した液晶配向制御用突起用感光性黒色樹脂層用塗布液を、スリットコーターにより前記カラーフィルター基板のITO上に塗布し、乾燥した。
更に、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを50mJ/cm2に、変更した以外は実施例3と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例17]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、銀スズ合金微粒子分散液185.0部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを40mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例18]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、銀スズ合金微粒子分散液150.7部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを40mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例19]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、銀スズ合金微粒子分散液101.4部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを30mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例20]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、硫化銀微粒子分散液271.2部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを60mJ/cm2に、変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例21]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、硫化銀微粒子分散液218.1部に、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを50mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例22]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、硫化銀微粒子分散液156.1部に、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを40mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例23]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、硫化銀微粒子分散液113.2部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを40mJ/cm2に、変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例24]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、銀/硫化銀複合微粒子分散液73.1部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを30mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例25]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、銀/硫化銀複合微粒子分散液918.9部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを60mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例26]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、銀/硫化銀複合微粒子分散液511.6部に、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを50mJ/cm2に、変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例27]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、銀/硫化銀複合微粒子分散液354.5部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを50mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例28]
実施例1において、処方T1を下記処方T2に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを150mJ/cm2に変更し、現像方法を下記の方法に変更し、更に、下記のように液晶配向制御用突起を研磨した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
<液晶配向制御用突起用感光性樹脂層用塗布液T2の組成(処方T2)>
・クレゾールノボラック樹脂A(m/p=60/40、MW=2600) 19部
・クレゾールノボラック樹脂B(m/p=80/20、MW=2200) 19部
(「m/p」はクレゾールノボラック樹脂中のメタ−位/パラ−位のモル比率を示し、「MW」は重量平均分子量を示す。)
・4’−t−オクチルフェニルナフトキノンジアジド−5−スルホネート 12部
・銀/硫化銀分散 219.6部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 560部
・メチルエチルケトン 280部
・前記界面活性剤1 0.04部
(大日本インキ化学工業製、商品名:メガファックF780F)
−現像方法−
トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%と、ポリプロピレングリコール、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびステアリルエーテルを合計で0.1質量%と、残部純水の組成で調合し、保管しておいた原液を、純水で12倍(該原液を1質量部と純水を11質量部の割合で混合)に希釈した液))にて30℃で50秒間、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し熱可塑性樹脂層と酸素遮断膜とを除去した。
その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を、シャワー式現像装置にて33℃で30秒間基板に噴霧しながら現像し、感光性樹脂層の不要部を現像除去し、液晶配向制御用突起パターンを得た。
−研磨−
平盤研磨機のプレートに研磨パッドとしてJIS硬度85のポリウレタン発泡布を貼り、研磨液として一次粒子0.1〜1.0μm(二次粒子30〜80μm)のアルミナ研磨剤を分散させた研磨液を用い、研磨パッド上にこの研磨液を滴下し、ここにカラーフィルター基板の液晶配向制御用突起が形成された面を対向させて研磨をおこなった。研磨圧は、1.5×104Pa、回転数は30rpmで、液晶配向制御用突起の縦断面形状を蒲鉾様に形成した。
[実施例29]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、銀/硫化銀複合微粒子分散液159.1.5部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを30mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[実施例30]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液の添加量を22.6部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを30mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の「チラつき」および液晶配向制御用突起の「比誘電率」を下記のように評価した。結果を下記表3に示す。
参考例31]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液の添加量を235.2部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを80mJ/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の「チラつき」および液晶配向制御用突起の「比誘電率」を下記のように評価した。結果を下記表3に示す。
<比誘電率>
「比誘電率」については、まず、本発明の液晶配向制御用突起を形成する材料を用い、ITO蒸着基板上に、本発明の液晶配向制御用突起形成時と同じ厚みの層を形成し、パターン状に露光しない以外は本発明の液晶配向制御用突起と同様の工程を経て、測定用のサンプル(膜状)を作製した。そして、サンプルの所定面積に金を蒸着することでコンデンサーを形成し、その静電容量を測定し、比誘電率(ε)を算出した。
<チラつき>
液晶表示装置にグレイのテスト信号を入力させた時に、目視およびルーペにて観察し、チラつきの発生程度を判断した。
[比較例1]
実施例1において、処方T1を下記処方T3に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを150mJ/cm2に、変更し、実施例28と同様の方法で現像し、液晶配向制御用突起を研磨した以外は、実施例1と同様の方法で液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
<液晶配向制御用突起用感光性樹脂層用塗布液T3の組成(処方T3)>
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 600部
・クレゾールノボラック樹脂A(m/p=60/40、MW=2600) 30部
・クレゾールノボラック樹脂B(m/p=80/20、MW=2200) 30部
(「m/p」はクレゾールノボラック樹脂中のメタ−位/パラ−位のモル比率を示し、「MW」は重量平均分子量を示す。)
・4’−t−オクチルフェニルナフトキノンジアジド−5−スルホネート 18部
・ビクトリアピュアブルーの5%メタノール溶液 2.0部
・前記界面活性剤1 0.05部
(大日本インキ化学工業製、商品名:メガファックF780F)
[比較例2]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、前記K顔料分散物1:119.1部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを100mJ/cm2に、変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[比較例3]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を前記K顔料分散物1:82.5部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを100mJ/cm2に、変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[比較例4]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を前記K顔料分散物1:40.9部に、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを100mJ/cm2に、変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。
[比較例5]
実施例1において、処方T1中の形状異方性銀微粒子分散液512.3部を、前記前記球形銀微粒子分散液347.6部に変更し、超高圧水銀灯によるプロキシミティ露光の照射エネルギーを100mJ/cm2に、変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の表示性能を実施例1と同様に評価した。比較例5の液晶表示装置は、画面が黄色く着色されていた。
前記表2からわかるように、本発明の液晶配向制御用突起を用いた液晶表示装置は、コントラストに優れ、ムラの発生が抑制されていた。これに対し、比較例の液晶表示装置は、コントラストが低く、ムラが発生し、総合評価にも劣るものであった。
また、前記表3からわかるように、比誘電率(ε)が増えると、その増え幅に伴ってチラつきが発生することがわかった。
液晶配向制御用突起の斜面部分を説明するための概略図である。 蒲鉾様の縦断面形状を説明するための説明図である。 蒲鉾様の縦断面形状を有する液晶配向制御用突起のSEM画像である。 本発明の液晶配向制御用突起を説明するための概略断面図である。
符号の説明
1 液晶配向制御用突起
2,3,6 電極
4 液晶層
5 液晶分子

Claims (13)

  1. 液晶分子の配向制御に用いられる液晶配向制御用突起であって、色度の無彩色点(x=0.333,y=0.333)からのズレがΔEで30以内であり、且つ、金属類微粒子を含有し、
    前記金属類微粒子の数平均粒径が10〜150nmであり、
    前記金属類微粒子を形成する金属が、銀、金、スズ、ニッケル、白金、およびコバルトの少なくとも1種を含み、
    液晶配向制御用突起中の金属類微粒子含有量は、0.5〜10体積%であり、
    比誘電率が2.0〜6.0であることを特徴とする液晶配向制御用突起。
  2. 前記金属類微粒子が、金属微粒子、合金微粒子、金属化合物微粒子、および、金属と金属化合物との複合微粒子、から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の液晶配向制御用突起。
  3. 光学濃度が0.5以上10以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶配向制御用突起。
  4. 前記金属類微粒子が、形状異方性微粒子であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶配向制御用突起。
  5. 前記金属類微粒子が、銀微粒子であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶配向制御用突起。
  6. 断面形状が蒲鉾様であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶配向制御用突起。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶配向制御用突起の作製に用いられる組成物であって、少なくとも、(A)金属類微粒子、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)重合性モノマーおよび(D)光重合開始剤または光重合開始剤系を含有することを特徴とする組成物。
  8. 仮支持体上に、少なくとも1層の樹脂層を有する樹脂転写材料であって、前記樹脂層が請求項に記載の組成物を含むことを特徴とする樹脂転写材料。
  9. 請求項に記載の樹脂転写材料をラミネーターにより基板に貼り付ける工程を含むことを特徴とする液晶配向制御用突起の製造方法。
  10. 請求項に記載の組成物をスリット状ノズルにより塗布する工程を含むことを特徴とする、液晶配向制御用突起の製造方法。
  11. 請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶配向制御用突起を備えたことを特徴とする液晶表示装置用基板。
  12. 請求項11に記載の液晶表示装置用基板を有することを特徴とする液晶表示素子。
  13. 請求項11に記載の液晶表示装置用基板を有することを特徴とする液晶表示装置。
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