以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一符号を付し、重複した説明は省略する。また、本実施の形態で用いられる主な数式には、数式(1)から数式(24)までがある。これらの数式については、順次説明していく。また、図19に、数式(1)から数式(24)についてまとめた図を示す。以下の説明では、適宜図19を参照する。
図1は、本発明の実施の形態に係る三次元位置測定装置としての室内監視装置1の模式的斜視図である。室内監視装置1は、第1の平面と前記第1の平面と異なる第2の平面で画成される対象領域としての監視領域に存在する対象物の位置を測定し、典型的には、対象物を監視するように構成されている。本実施の形態では監視領域はトイレ3である。また、第1の平面と第2の平面とは典型的には交差し、さらに典型的には直交する。さらにここでは、第1の平面が床面4に平行な面であり、第2の平面が壁面としての正面壁面5aに平行な面、及び側面壁面5c、側面壁面5dに平行な面である。トイレ3は、床面4に平行な面、正面壁面5aに平行な面、及び側面壁面5c、側面壁面5dに平行な面とで画成される空間である。なお床面4に平行な面は床面4と一致してもよい。また正面壁面5aに平行な面も正面壁面5aと一致してもよい。同様に、側面壁面5c、側面壁面5dに平行な面も側面壁面5c、側面壁面5dと一致してもよい。即ち床面4に平行な面は床面4であってもよいし、正面壁面5aに平行な面は正面壁面5aであってもよい。さらに、側面壁面5c、側面壁面5dに平行な面は側面壁面5c、側面壁面5dであってもよい。本実施の形態では、第1の平面は床面4であり、第2の平面は正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dである。またここで平行とは、およそ平行であることを含む概念である。さらに、この平行な面は、実際の平面だけでなく仮想的な平面を含むものとする。また、前記空間は、典型的にはさらに床面4に対向する天井6と正面壁面5aに対向する裏面壁面5b、及び側面壁面5c、側面壁面5dを有する閉空間である。前記閉空間はトイレ3を形成している。また、対象物は、典型的には、トイレ3でその姿勢を変化させるものである。本実施の形態では、対象物は人物2の場合で説明する。
ここで、本実施の形態で用いるトイレ3について説明する。トイレ3は、床面4と、床面4に直交する(典型的には鉛直に配置される)ように形成された平面が周囲に4面形成されている。平面は、正面壁面5aと(図中手前)、正面壁面5aに対向する裏面壁面5bと(図中奥)、正面壁面5aに直交し、互いに対向する第2の平面としての2つの側面壁面5c(図中右)、5d(図中左)がある。さらに上記各壁面の上部には、床面4とおよそ平行に配置された天井6が形成されている。さらに床面4には、便器7が載置されている。便器7は、床面4の裏面壁面5b近傍に載置されている。さらに、正面壁面5aには、不図示の扉が形成されており、人物2は、この扉により正面壁面5aからトイレ3内に進入、またはトイレ3内から退室できる。なお、本実施の形態では、第1の平面としての床面4に対して、本発明の第2の平面の関係にある平面としては、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dの3面があるが、いずれか1面しかない場合の実施の形態もあり得る。また、本実施の形態では、後述する投影装置11の設置角度等の関係から、裏面壁面5bは、投影装置11によってパターン光が投影される第2の平面ではないが、設置角度等に応じて、裏面壁面5bもパターン光が投影される第2の平面となることがある。
室内監視装置1は、監視領域であるトイレ3の第1の平面としての床面4と前記第2の平面としての正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dにパターンを形成するパターン光を投影する投影装置11と、前記パターン光が投影された、対象物としての人物2の存在するトイレ3を撮像する撮像装置12とを備えている。また室内監視装置1は、演算装置20を備えている。演算装置20は、室内監視装置1全体を制御するものである。投影装置11と撮像装置12は、床面4と正面壁面5aに対向する位置に配置される。さらに言えば、投影装置11と撮像装置12は、天井6と裏面壁面5bの近傍に配置される。本実施の形態では、投影装置11と撮像装置12は、裏面壁面5bのおよそ上部に配置される。また、トイレ3に人物2が存在するときには、パターンは人物2にも投影される。さらに本実施の形態では、投影されるパターンは、図4で後述する略正方格子状に配列された複数の輝点11bで形成される。
さらに、室内監視装置1は、撮像装置12により撮像された像上のパターンの移動を測定する測定手段としての測定装置14を備えている。投影装置11と撮像装置12は、測定装置14に電気的に接続され、測定装置14に制御されている。なお、本実施の形態では、測定装置14は、演算装置20と一体に構成されている。
まず、投影装置11と撮像装置12の設置について説明する。前述のように、投影装置11と撮像装置12は、裏面壁面5bの上方に配置されている。撮像装置12は、投影装置11から間隔dをもって配置されている。なお、投影装置11と撮像装置12の距離(間隔d)を基線長という。基線長は、三角測量法の基線方向の投影装置11と撮像装置12の間隔である。基線方向は、本実施の形態では、およそ床面4且つ正面壁面5aに平行な方向である。
投影装置11と撮像装置12は、それぞれその光軸を、床面4の垂直方向に対して、傾けて設置する。すなわち、図示では、投影装置11と撮像装置12の床面4に対する設置角度として、床面4の垂直方向に対して角度θで傾けた場合を示している。また、さらに、投影装置11と撮像装置12のそれぞれの光軸を、互いに略平行方向に向けて設置している。本実施の形態では、θ≒30°であるが、室内(トイレ3)の縦横比によって適宜定めるが、15〜60°とするとよい。また、本実施の形態では、投影装置11は、光軸が床面4と交差するように配設されている。
なお、本実施の形態では、投影装置11と撮像装置12は、筐体18内に収納されて設置されている。このようにすることで、例えばトイレ3を利用する人物2に撮像装置(CCDカメラ)の設置を意識させずに済む。また、筐体18により投影装置11や撮像装置12を保護することができる。
なお、室内監視装置1は、測定装置14により撮像装置12により撮像された像上のパターンの移動を測定するように構成されているものである。例えば図2に示すように、投影装置11と撮像装置12を天井6のおよそ中央部に、それぞれその光軸を、床面4の垂直方向に向けて配置した場合には、対象物(ここでは人物2)の高さ又は高さ方向の動きが大きくなればなるほど、パターンを形成する輝点の移動量も大きくなる。このため、図6で後述する概念によると、輝点の移動量が大きいと、比較すべき輝点が隣の輝点の基準位置を飛び越してしまう現象が起こることがある。この場合、隣の輝点から移動したと判断され、測定される輝点の移動量は小さいことになってしまう。即ち、正確に輝点の移動量を測定できない。さらに言えば、人物2までの距離を正確に測定出来なくなる場合がある。図2の場合のように、例えばこの現象が人物2の頭部で発生してしまうと、頭部の高さが正確に測定できない。いわば頭部が死角となってしまう。ひいては人物2の存在が正確に測定できなくなってしまう。また、パターン(輝点)の移動量を測定する際の測定範囲と分解能が相反してしまうので、例えば、この飛び越えが発生しないように測定範囲を広げると、十分な分解能が得られなくなる。なお、ここで言う死角とは、例えばパターンの移動を正確に測定できない領域のことである。ひいては撮像装置12の画角内で上記の輝点の飛び越えを発生してしまう領域のことをいう。
このため、室内監視装置1は、投影装置11と撮像装置12を図1で前述したように設置することで、輝点の飛び越えの影響を大幅に低減することができる。例えば、図3に示す場合を説明する。この実施の形態では、第1の平面としての床面4と第2の平面としての正面壁面5a、側面壁面5c(図1参照)、側面壁面5d(図1参照)に基準となるパターンが投影されている。投影装置11と撮像装置12は、便器7の上方に設置されており、例えば、投影装置11と撮像装置12から正面壁面5aまでの距離は、床面4までの距離より小さい。したがって、投影装置11と撮像装置12から正面壁面5aに向かう方向では輝点の飛び越えが発生する領域が小さくなる。すなわち死角は便器7の上方の小さい部分となり、便器7上ではしゃがんだり、便器7に腰掛ける人物2が死角に入る可能性が低くなる。言い換えれば、人物2が立っている場合では、輝点の飛び越えが発生する範囲の外で、輝点が人物2の体に投影されるので、正確な測定が行なえる((a)の状態)。また、人物2が便器7に座っている場合にも、輝点の飛び越えが発生する範囲の外に人物2が存在することになるので、正確な測定が行なえる((b)の状態)。このように、室内監視装置1は、投影装置11と撮像装置12を図1で前述したように設置することで、後述の人物2の状態の判定を安定且つ正確に行なうことができるようになる。
なお、投影装置11と撮像装置12をこのように設置することで、天井6の中央部に設置する場合(図2参照)と比較して、例えばトイレ3の中央に人物2が立った場合に人物2に投影されるパターン(輝点の数)が飛躍的に多くなり、取得できる情報量が増大する。
図4の模式的斜視図を参照して、室内監視装置1に適した投影装置11について説明する。なおここでは、説明のために、監視領域に含まれる撮像装置12に正対する平面を平面102とし、後述のレーザ光束L1を平面102に対して垂直に投射する場合で説明する。なお、正対するとは、例えば真直ぐ対することである。投影装置11は、可干渉性の光束を発生する光束発生手段としての光束発生部105と、ファイバーグレーティング120(以下、単にグレーティング120という)とを備えている。光束発生部105により投射される可干渉性の光束は、典型的には近赤外光レーザである。光束発生部105は、平行光束を発生するように構成されている。光束発生部105は、典型的には不図示のコリメータレンズを含んで構成される半導体レーザ装置であり、発生される平行光束は、レーザ光束L1である。そしてレーザ光束L1は、断面が略円形状の光束である。なお、この略円形状は、略楕円形状を含む概念である。ここで平行光束とは、実質的に平行であればよく、平行に近い光束も含む。
またここでは、グレーティング120は、平面102に平行に(Z軸に直角に)配置される。グレーティング120に、レーザ光束L1を、Z軸方向に入射させる。するとレーザ光束L1は、個々の光ファイバー121により、そのレンズ効果を持つ面内で集光したのち、発散波となって広がって行き、干渉して、投影面である平面102に複数の輝点アレイであるパターン11aが投影される。なお、グレーティング120を平面102に平行に配置するとは、例えば、グレーティング120を構成するFG素子122の各光ファイバー121の軸線を含む平面と、平面102とが平行になるように配置することである。
また、グレーティング120は、2つのFG素子122を含んで構成される。本実施の形態では、各FG素子122の平面は、互いに平行である。以下、各FG素子122の平面を素子平面という。また、本実施の形態では、2つのFG素子122の光ファイバー121の軸線は、互いにほぼ直交している。
FG素子122は、例えば、直径が数10ミクロン、長さ10mm程度の光ファイバー121を数10〜数100本程度、平行にシート状に並べて構成したものである。また、2つのFG素子122は、接触して配置してもよいし、それぞれの素子平面の法線方向に距離を空けて配置してもよい。この場合には、2つのFG素子122の互いの距離は、パターン11aの投影に差支えない程度とする。レーザ光束L1は、典型的には、グレーティング120の素子平面に対して垂直に入射させる。
このように、投影装置11は、2つのFG素子122を含んで構成されたグレーティング120が光学系となるので、複雑な光学系を必要とすることなく、光学筐体を小型化できる。さらに投影装置11は、グレーティング120を用いることで、単純な構成で、複数のパターン光としての輝点11bをパターン11aとして監視領域に投影できる。なお、パターン11aは、典型的には正方格子状に配列された複数の輝点11bである。また、パターン11aは、FG素子122に入射した光束の光軸が平面102に垂直な場合、光軸付近では正方格子状に配列された複数の輝点11bとなるが、光軸から離れるにしたがって、格子の間隔に若干のズレを生じる。また、輝点の形状は楕円形を含む略円形である。
図1に戻って説明する。撮像装置12は、典型的にはCCDカメラである。撮像装置12は、結像光学系13a(図6参照)と撮像素子15(図6参照)を有するものである。撮像素子15は、典型的にはCCD撮像素子である。また、撮像素子15として、CCDの他にCMOS構造の素子が最近盛んに発表されており、それらも当然使用可能である。特にこれらの中には、素子自体にフレーム間差算や二値化の機能を備えたものがあり、これらの素子の使用は好適である。
撮像装置12は、前述の光束発生部105(図4参照)により発生されるレーザ光束L1の波長の周辺部以外の波長の光を減光するフィルタ13b(図6参照)を備えるとよい。フィルタ13bは、典型的には干渉フィルタ等の光学フィルタであり、結像光学系13aの光軸上に配置するとよい。このようにすると、撮像装置12は、撮像素子15に受光する光のうち、投影装置11より投影されたパターン11aの光の強度が相対的にあがるので、外乱光による影響を軽減できる。また、光束発生部105により発生されるレーザ光束L1は、典型的には赤外光レーザの光束である。また、レーザ光束L1は、継続的に照射してもよいし、断続的に照射してもよい。断続的に照射する場合には、撮像装置12による撮像を、照射のタイミングに同期させて行うようにする。
図5は、本発明の実施の形態に係る室内監視装置1の構成例を示すブロック図である。本図を参照して、室内監視装置1の構成例について説明する。前述のように、演算装置20は、測定装置14と一体に構成されている。さらにここでは、測定装置14は、後述の制御部21に一体に構成される。そして投影装置11と、撮像装置12は、測定装置14に電気的に接続されており、制御されている。本実施の形態では、演算装置20は、投影装置11と、撮像装置12に対し遠隔的に配置されている。具体的には、例えば、トイレ3とは別の部屋に設置される。また演算装置20は、典型的にはパソコン等のコンピュータである。なお本実施の形態では、演算装置20は、投影装置11と撮像装置12と別に設置する場合で説明するが、投影装置11と撮像装置12のどちらか一方又は両方と一体に設置してもよく、例えば投影装置11と撮像装置12が収納された筐体18内に収納して設置してもよい。
演算装置20は、上述したように、室内監視装置1を制御する制御部21を有している。さらに制御部21には、記憶部31が接続されている。記憶部31は、撮像装置12から取得した像を時系列的に記憶するようにするとよい。また記憶部31には算出された情報等のデータが記憶できる。なお、記憶部31は、像そのものではなく、像中の輝点(重心)位置(人物不在の時の基準位置と、各時点のデータとしての輝点位置)か、輝点位置から計算した空間内の3次元位置を記憶するように構成してもよい。この場合、像そのものを記憶するよりもメモリが節約できて好適である。
制御部21は、前述した測定装置14と、測定装置14により測定されたパターンの移動に基づいて、人物2の状態を判定する判定手段としての状態判定部23と、パターン光11bの投影範囲に比較して十分に広いものと仮想した仮想平面8(図9参照)に投光され、投影装置11と撮像装置12との光学配置に基づいて算出される仮想のパターン光の位置と、実際に撮像されるパターン光の位置とを比較して、測定装置14が撮像装置12により撮像された像上のパターンの移動を測定する際の正面壁面5a(図1参照)、側面壁面5c(図1参照)、側面壁面5d(図1参照)上での基準の位置を算出する基準位置算出手段としての基準位置算出部24とを含んで構成されている。
さらに、制御部21は、投影装置11と撮像装置12との光学配置に基づいて算出される、床面4(図1参照)上での投影装置11の光軸上のパターン光11bが撮像されるべき位置と、床面4(図1参照)上に実際に投影され、撮像装置12によって撮像されたパターン光11bであって、床面4(図1参照)上での前記投影装置11の光軸上のパターン光11bが撮像されるべき位置に最も近いパターン光11bの位置に基づいて、投影装置11の光軸の傾きを補正する光軸角補正手段としての光軸角度補正部25と、床面4上の実際のパターンに関してハフ変換を実行して第1の角度ピークを算出し、前記仮想平面8(図9参照)上の一定範囲の仮想のパターン光によって形成される仮想のパターンに関してハフ変換を実行して、投影装置11を投影装置11の光軸周りに一定角度回転させる毎に第2の角度ピークを算出し、第1の角度ピークと第2の角度ピークとが略一致した際の、光軸周りの回転角を、投影装置11の実際の回転角として設定する回転角算出手段としての回転角算出部26を含んで構成される。さらに、制御部21は、各基準の位置の正面壁面5a(図1参照)、側面壁面5c(図1参照)、側面壁面5d(図1参照)に垂直な方向の位置に関する頻度ヒストグラムに応じて正面壁面5a(図1参照)、側面壁面5c(図1参照)、側面壁面5d(図1参照)の位置を特定する第2の平面特定手段としての壁面特定部27を含んで構成される。
また、制御部21は、状態判定部23が人物2が危険な状態であると判定した際に、警報を発する警報手段としての警報装置41に警報信号を送信する警報信号部28を含んで構成される。制御部21には、状態判定部23の判定結果を出力する情報出力手段としてのディスプレイ40と、室内監視装置1を操作するための情報を入力する入力装置35が接続されている。ディスプレイ40は典型的にはLCDである。入力装置35は例えばタッチパネル、キーボードあるいはマウスである。本図では、入力装置35は、演算装置20に外付けするものとして図示されているが、内蔵されていてもよい。さらに、制御部21には、警報信号部28を介して警報装置41によって発せられる警報を解除するための警報解除手段としての警報解除ボタン42と、状態判定部23が人物2が危険な状態ではないと判定している際に、何らかの事情により人物2の意思で警報装置41に警報を発せさせるための緊急通報ボタン43とが接続されている。
以下、各構成について詳細に説明する。
まず測定装置14について説明する。測定装置14は、撮像装置12で撮像された像上のパターンの移動を測定するものである。測定装置14は、撮像装置12で撮像した像を取得できるように構成されている。なお、測定装置14は、撮像装置12で撮像した像を例えばデータとして、さらに典型的にはデジタルデータとして取得する。さらに測定装置14は、撮像装置12により撮像された像上の各輝点の移動を測定するように構成されている。なおここでは、投影された輝点も撮像された像上の輝点の像も、便宜上単に輝点という。またここでは、輝点の移動を測定するとは、輝点の移動の量(以下移動量という)を測定することをいう。さらに、測定される輝点の移動量は、輝点の移動方向を含む概念である。即ち、測定される輝点の移動量には、移動した方向の情報も含まれるものとする。さらにここでは、測定装置14は、測定したパターンの移動に基づいて、人物2に投影されたパターンを形成する各輝点の三次元座標を算出するように構成される。
さらに、測定装置14は、トイレ3に人物2が存在しないときに床面4(図1参照)と正面壁面5a(図1参照)、側面壁面5c(図1参照)、側面壁面5d(図1参照)に投影されたパターン光としての輝点を基準として、パターンを形成する各輝点の移動を測定するように構成されている。
さらに、測定装置14は、測定されたパターンの移動に基づいて、投影装置11と撮像装置12の各位置及び設置角度と、床面4と正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dの各位置とに応じた人物2に投影されたパターン光の三次元位置としての三次元座標を算出するように構成されている。
ここで、測定装置14による輝点(パターン)の移動の測定について詳述する。測定装置14は、撮像装置12からそれぞれ取得した異なる2時点の像に基づいて、輝点の移動を測定するように構成されている。異なる2時点は、任意の時点(現在)と、トイレ3に人物2が存在しないときの時点とする。以下、任意の時点(現在)で取得した像を取得像、トイレ3に人物2が存在しない時点に取得した像を基準像として説明する。すなわち、輝点(パターン)の移動は、基準像を基準として測定される。なお、基準像は、記憶部31内に保存される。
なお、取得像の取得間隔は、例えば装置の処理速度や、上述のように検出したい移動の内容により適宜決めるとよいが、例えば0.1〜3秒、好ましくは0.1〜0.5秒程度とするとよい。ここでは0.1〜0.25秒とする。また、より短い時間間隔で像を取得し、平均化またはフィルタリングの処理を行うことで、例えばランダムノイズの影響を低減できるので有効である。
ここで、取得像と基準像は、例えば撮像装置12により撮像された像であるが、それぞれの像上での、輝点の位置情報も含む概念である。即ち、取得像と基準像は、各々の時点で、投影装置11の投影により形成されたパターン11a(図6参照)の像である。なお、本実施の形態では、基準像は、例えば、いわゆる像としてではなく、各輝点の位置に関する、座標等の位置情報の形で、記憶部31に保存される。このようにすると、後述する輝点の移動量を測定する際に、例えば輝点の座標や方向を比較するだけで済むので処理が単純になる。さらに、ここでは、輝点の位置は、輝点の重心位置とする。このようにすることで、僅かな輝点の移動も測定することができる。
また、輝点の移動量は、記憶部31に保存された基準像上の各輝点の位置情報と、取得像上の各輝点の位置情報とを比較することで、輝点の移動量を測定する。なお、それぞれの移動量は、例えば、輝点の位置が移動した画素数(何画素移動したか)を計数することで求められる。このようにすると、後述のように、差分像を生成しないで済むので処理を単純化できる。
なお上記では、輝点の位置情報を比較する場合で説明したが、基準像と取得像との差分像を作成してもよい。この場合、この差分像から対応する輝点の位置に基づいて、輝点の移動量を測定する。このようにすると、移動した輝点のみが差分像上に残るので、処理量を減らすことができる。
さらに、測定装置14により測定された輝点の移動量は、過去一定回数測定された、または過去一定期間内に測定された輝点の移動量の移動平均値、または期間平均値としてもよい。このようにすることで、ランダムノイズや窓から差し込む日光のちらつきなどによる突発的なノイズが軽減でき、測定した輝点の移動量の信頼性が向上する。
なお、投影装置11と撮像装置12とは、ある程度距離を離して設置するとよい。このようにすることで、距離d(基線長d、図13参照)が長くなるので、輝点の移動を敏感に検出できるようになる(検出感度がよくなる)。なお、基線長は長く取ることが好ましいが、短くてもよい。但しこの場合には、小さな動きを検出しにくくなるが、輝点の重心位置を検出するようにすれば、小さな動きの検出も可能である。基線長を短く取ると図2、図3を参照して説明した死角領域が小さくなる。
測定装置14は、以上のような、輝点の移動の測定を、パターン11a(図6参照)を形成する各輝点11b(図6参照)毎に行うように構成される。即ち複数の輝点11bの位置が複数の測定点となる。
図6は、本発明の実施の形態での輝点の移動の概念について説明する概念的斜視図である。ここで、本図を参照して、輝点の移動の概念について説明する。ここでは、解りやすく、対象領域を平面102、対象物を物体103として説明する。さらにここでは、説明のために、前述の基準像と取得像を用いる場合で説明する。なお基準像は、物体103が平面102に存在しないときのパターン11aの像であり、取得像は、物体103が平面102に存在しているときのパターン11aとして説明する。
図中物体103が、平面102上に載置されている。またXY軸を平面102内に置くように、直交座標系XYZがとられており、物体103はXY座標系の第1象限に置かれている。一方、図中Z軸上で平面102の上方には、投影装置11と、撮像装置12とが配置されている。撮像装置12は、投影装置11によりパターン11aが投影された平面102を撮像する。即ち平面102上に載置された物体103を撮像する。
撮像装置12の結像光学系としての結像レンズ13aは、ここでは、その光軸がZ軸に一致するように配置されている。なおここでは、座標系XYZの原点を結像レンズ13aの位置とする。そして、結像レンズ13aは、平面102あるいは物体103上のパターン11aの像を、撮像装置12の撮像素子15の結像面15’(イメージプレーン)に結像する。結像面15’は、結像レンズ13aから距離はl(エル)(結像レンズ13aの焦点とほぼ等しい)の位置に配置されている。結像面15’は、典型的にはZ軸に直交する面である。さらに、結像面15’内に直交座標系uvをとり、Z軸が、uv座標系の原点(0,0,l)を通るようにする。平面102から結像レンズ13aと等距離で、結像レンズ13aからY軸の負の方向に距離d(基線長d)だけ離れたところに、投影装置11が配置されている。即ち、投影装置11の配置された座標は(0,−d,0)である。物体103と平面102には、投影装置11により複数の輝点11bが形成するパターン11aが投影される。なお、v軸方向は、三角測量法の基線方向でもある。
投影装置11により平面102に投影されたパターン11aは、物体103が存在する部分では、物体103に遮られ平面102には到達しない。ここで物体103が存在していれば、平面102上の点102aに投射されるべき輝点11bは、物体103上の点103aに投射される。輝点11bが点102aから点103aに移動したことにより、また結像レンズ13aと投影装置11とが距離d(基線長d)だけ離れているところから、結像面15’上では、点102a’(u,v)に結像すべきところが点103a’(u,v+δ)に結像する。即ち、物体103が存在しない時点と物体103が存在する時点とは、輝点11bの像がv軸方向にδだけ移動することになる。
これは、例えば図7に示すように、撮像素子15の結像面15’に結像した輝点は、高さのある物体103により、δだけv軸方向に移動することになる。
このように、この輝点の移動量δを測定することにより、物体103上の点103aの位置が三次元的に特定できる。即ち、例えば点103aの三次元座標がわかる。このように、ある点が、物体103が存在しなければ結像面15’上に結像すべき点と、結像面15’上の実際の結像位置との差を測定することにより、物体103の三次元座標が測定できる。あるいは、結像レンズ13aから物体103上の各点までの距離が測定できる。また、輝点11bの対応関係が不明にならない程度に、パターン11aのピッチ、即ち輝点11bのピッチを細かくすれば、物体103の三次元座標はそれだけ詳細に測定できることになる。
なお本実施の形態では、横640×縦480ピクセルの画像を取得した場合には、輝点の位置(重心位置)から、縦50ピクセル、横1ピクセルの範囲内に輝点が存在するときに移動量δを測定するようにしている。移動量δが1ピクセル以上であれば、その輝点が移動したものと判断するようにして処理するデータ量を減らすようにしてもよい。
さらに、図6に戻って三次元座標の算出について説明する。三次元座標(X,Y,Z)は、結像レンズ13aから平面102までの距離をhとすると、図19に示す数式(1)、(2)、(3)で算出できる。
以上のようにして、移動量δを算出することで、人物2に投影された輝点の三次元座標を算出でき、対象物の三次元形状情報を得ることができる。
ここで、トイレ3での基準像のパターンを形成する各輝点の三次元座標の算出について説明する。前述のようにここでは、基準像は、トイレ3に人物2が存在しないとき(以下空室時という)の各輝点の位置に関する座標を含む位置情報である。
図8は、本発明の実施の形態でのトイレ3の床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dの境界とトイレ3に人物2が存在しない時に撮像装置12により撮像された像の一例を示す模式的平面図である。ここで、投影装置11、撮像装置12は、実際には上述したように、設置角度として光軸を床面4の垂直方向に対して角度θだけ傾けて設置される(図1参照)。したがって、投影装置11(図1参照)から投影されるパターン11aは、図6で述べたような単純な平面(例えば、図6に示す平面102)に投影されるわけではなく、幾つかの平面、すなわち、本図で示すように、床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dが組み合わさった平面に投影される。輝点(パターン)の移動は、上述したように基準像を基準として測定されることから、各平面上での基準像の位置を算出する必要がある。
そこで、基準位置算出部24は、実際のパターン光11bの投影範囲に比較して十分に広いものと仮想した仮想平面8(図9参照)に投光され、投影装置11と撮像装置12との光学配置に基づいて算出される仮想のパターン光11bの位置と、実際に撮像されるパターン光11bの位置とを比較して、測定装置14が撮像装置12により撮像された像上のパターンの移動を測定する際の正面壁面5a(図1参照)、側面壁面5c(図1参照)、側面壁面5d(図1参照)上での基準の位置、すなわち、基準像を算出するように構成される。
図9は、本発明の実施の形態に係る投影装置11によって投影されるパターン11aの一例を示す図であり、(a)は、トイレ3に投影される場合の模式的斜視図、(b)は、仮想平面8に投影される場合の模式的斜視図である。なお、(a)では、トイレ3室内の様子を見やすくするため、天井6、正面壁面5a、側面壁面5dを想像線により図示してある。
ここで、パターン光11bの投影範囲に比較して十分に広いものと仮想した仮想平面8とは、例えば、図6で述べたような平面102のように、投影装置11から投影されたパターン11aが、当該仮想平面8と交差するような他の平面に遮られたりせずに投影される理想的な平面である。ここでは、仮想平面は、以下で説明する基準位置算出部24による基準像の位置の算出が可能な程度に広い平面であればよい。
仮想平面8は、図9(b)に示すように、本実施の形態では、床面4と略平行な平面であり、投影装置11からの距離が、床面4と投影装置11との距離と略等しい位置にある平面である。また、ここでの投影装置11と撮像装置12は、トイレ3室内に設置される場合と同様に、それぞれその光軸を、床面4の垂直方向に対して角度θだけ傾けて設置されるものとして仮想する。言い換えれば、本実施の形態では、仮想平面8は、トイレ3において正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d、便器7等が取り払われた状態の床面4であって、十分広い面積に拡張された床面4を想定すればよい。仮想平面8に投光される仮想のパターン11aを形成する仮想のパターン光としての輝点11bの結像面15’(図6参照)上での位置は、投影装置11と撮像装置12との光学配置に基づいて算出することができる。
ここで、投影装置11と撮像装置12との光学配置は、少なくとも投影装置11又は撮像装置12に関する床面4に対する設置高さ、ここでは、結像レンズ13a(図6参照)から床面4までの設置高さh、及び上述した設置角度としての光軸の角度θに基づいて定められる。さらに、当該光学配置は、典型的には、設置高さh、光軸角度θに加えて、設計上予め決められる数値、すなわち、基線長dや、撮像装置12の結像面15’(図6参照)と結像レンズ13a(図6参照)との距離l(≒結像レンズ焦点距離、図6参照)、投影装置11のレーザ波長λ、ファイバー径r1、r2、レーザ光がFG素子122(図4参照)を通過する際の出力角度φX、φY等の種々の値によって定まる。したがって、投影装置11と撮像装置12との光学配置に基づいて算出するとは、典型的には、光学配置を決定づけるこれらの種々の数値に基づいて算出することをいう。投影装置11と撮像装置12との光学配置に基づいて算出するというときには、これらの光学配置を決定づける種々の数値の全てを用いて算出する場合だけでなく、該種々の数値のうち少なくとも設置高さh、光軸角度θを含むいくつかの数値を用いて算出する場合を含む。すなわち、光学配置を決定づける数値のうち少なくとも設置高さh、光軸角度θを用いて算出すれば、投影装置11と撮像装置12との光学配置に基づいて算出したということができる。
ここでは、FG素子122(図4参照)から出力される輝点11bの投影角度は、FG素子122(図4参照)のファイバー径r1、r2とレーザ波長λに依存する。レーザ光がFG素子122を通過すると、回折光として輝点11bが広がるので、基準位置算出部24は、レーザ光がFG素子122(図4参照)を通過する際の出力角度φX、φYを図19に示す数式(4)、(5)で近似して算出することができる。ここで、n、mは正数であり、輝点11bのインデックスである。
さらに、基準位置算出部24は、設置高さh、光軸角度θから図19に示す数式(6)、(7)を用いて、輝点11bのインデックスm、nに対応した仮想の輝点11bの三次元座標に応じた結像面15’(図6参照)上での位置座標uideal,m,n、videal,m,nを算出することができる。基準位置算出部24は、以上のようにして算出した仮想の輝点11b群の結像面15’上での位置座標を基準として、図9(a)に示すように、実際に床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5に投光される輝点11bの実際に撮像される輝点11bの結像面15’(図6参照)上での位置座標ureal,m,n、vreal,m,nから空室時の各輝点11bの仮想の移動量δを算出する。基準位置算出部24は、算出した各移動量δと数式(1)、(2)、(3)(図19参照)から、空室時でのトイレ3の形状に則した、各輝点11bの床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上での移動量の測定のための基準の三次元座標を算出する。
ところで、撮像装置12の光軸と投影装置11の光軸が平行であることが理想であるが、実際にはある程度誤差が生じる。実際の光軸や輝点群は、実際にはこの傾きの影響を受ける。そこで、光軸角度補正部25(図5参照)は、投影装置11と撮像装置12との光学配置に基づいて算出される床面4(図1参照)上での投影装置11の光軸上のパターン光としての輝点11b(図6参照)が撮像されるべき位置uideal,0,0、videal,0,0と、床面4(図1参照)上に実際に投影され、撮像装置12によって撮像されたパターン光としての輝点11bであって、位置uideal,0,0、videal,0,0に最も近い輝点11bの位置に基づいて、投影装置11の光軸の傾きを補正するように構成される。
傾きのない理想の状態における投影装置11のレーザ光軸の結像面15’(図6参照)上での位置座標uideal,光軸、videal,光軸は、設置高さh、光軸角度θ、基線長dに基づいて図19に示す数式(8)、(9)となる。したがって、投影装置11と撮像装置12との光学配置に基づいて算出される床面4(図1参照)上での投影装置11の光軸上の輝点11b(図6参照)が撮像されるべき位置の、結像面15’(図6参照)上での座標uideal,0,0、videal,0,0も、同様に、図19に示す数式(8)、(9)であらわすことができる。実際に取得した輝点群の中で、位置座標uideal,0,0、videal,0,0に最も近い輝点11bの結像面15’(図6参照)上の位置座標をureal、vrealと仮定する。そのときの撮像装置12の光軸とレーザ光軸の傾きGapu、Gapvは、図19に示す数式(10)、(11)と表される。
上述した数式(4)、(5)(図19参照)で算出される出力角度φX、φYにレーザ光軸の傾きGapu、Gapvを補正すると、光軸補正後の出力角度φ’X、φ’Yは、図19に示す数式(12)、(13)で算出することができる。光軸角度補正部25(図5参照)は、以上のようにして、光学配置に基づいて算出される床面4(図1参照)上での投影装置11の光軸上の輝点11b(図6参照)が撮像されるべき位置に応じた結像面15’(図6参照)上での位置座標uideal,0,0、videal,0,0と、床面4上に実際に投影され、床面4上での光軸の位置に最も近い輝点11b(図6参照)の位置に応じた結像面15’(図6参照)上での位置座標ureal、vrealに基づいて、投影装置11と撮像装置12の設置角度、すなわち、予め定められている光学配置としての光軸角度θに対する実際の投影装置11の光軸角度のずれを算出して、投影装置11の光軸の傾きを補正することができる。言い換えれば、投影装置11の光軸と撮像装置12の光軸との平行からのずれの補正量を算出して、投影装置11の光軸の傾きを補正することができる。
基準位置算出部24は、光軸角度補正部25によって算出された出力角度φ’X、φ’Yを用いて、上述した数式(6)、(7)(図19参照)に出力角度φX=φ’X、φY=φ’Yを代入する。これにより、基準位置算出部24は、光軸角度補正部25によって補正された光軸の傾きに応じて、光軸補正後の仮想の輝点11bの結像面15’(図6参照)上での位置座標u’ideal,m,n、v’ideal,m,nを算出し、上述したように、当該位置座標u’ideal,m,n、v’ideal,m,nと実際の位置座標ureal,m,n、vreal,m,nから、各輝点11bの床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上での移動量の測定のための基準の三次元座標を算出することができる。
ここで再び図8を参照する。測定装置14(図5参照)が測定できる輝点移動量δは、上述したような飛び越えが発生しない範囲、すなわち、隣接する輝点までの距離に制限される。そこで、本実施の形態では、この検出範囲を広くするため、投影装置11のFG素子122(図4参照)を基線方向(v軸方向)に対して光軸周りに回転させて使用する。FG素子122を回転させて使用することで、本図に示すように、正方格子状のパターン11aは、基線方向に対して傾きを有することになる。本実施の形態のように、基線方向に対する投影装置11の光軸周りの回転量をFG素子122の回転角αとすると、この回転角αを算出して、当該回転角αに応じて各輝点11bの床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上での移動量の測定のための基準の三次元座標を算出すれば、より正確な、基準の三次元座標とすることができる。従って、より正確な人物2の状態の判別をすることができる。なお、基線方向に対する投影装置11の光軸周りの回転量、すなわち、FG素子122の回転角αは、基線方向に対する正方格子状のパターン11aの回転角ということもできる。また、ここで、投影装置11を光軸周りに回転させて使用するという場合、要するに、正方格子状のパターン11aが基線方向に対して傾きを有するように回転させて使用すればよく、必ずしも、投影装置11の全体を回転させて使用しなくともよい。
そこで、回転角算出部26は、床面4上の実際のパターン11aに関してハフ変換(Hough変換)を実行して第1の角度ピークを算出し、前記仮想平面8(図9参照)上の一定範囲の仮想のパターン光11bによって形成される仮想のパターン11aに関してハフ変換を実行して、投影装置11のFG素子122を投影装置11の光軸周りに一定角度回転させる毎に、すなわち、ここでは0°から180°まで0.1°刻みで仮定したときの各回転角α毎に第2の角度ピークを算出し、第1の角度ピークと第2の角度ピークとが略一致した際の、光軸周りの回転角αを、投影装置11の実際の回転角αとして設定するように構成される。
ここで、仮想平面8(図9参照)上の一定範囲の領域の仮想のパターン11aの三次元座標に応じた結像面15’(図6参照)上での各位置座標は、仮想平面8(図9参照)と同じ平面上に位置する床面4上のパターン11aの三次元座標に応じた結像面15’(図6参照)上での各位置座標とのみ一致しているはずである。したがって、ここでは、仮想平面8(図9参照)上の一定範囲の領域として、図8に示す取得画像のうち、破線で示す床面4を含む床面領域を仮定する。回転角算出部26は、床面4上の実際のパターン11aに関してハフ変換(Hough変換)を実行して第1の角度ピークを算出する。さらに、回転角算出部26は、仮想平面8(図9参照)上の床面領域の仮想のパターン11aに関してハフ変換を実行して第2の角度ピークを算出する。
図10は、本発明の実施の形態に係るハフ変換の概念について説明する図である。ここで、本図を参照してハフ変換について説明する。線図形の解析を行うようなデジタル画像処理において、直線的な線分を見つけ出すことは重要な作業である。係る線分を見つけ出す方法のうち数学的な計算論理をベースとした線分検出方法の一例としてハフ変換がある。ハフ変換は、P.V.C.Houghによって考案された手法であり、直線の検出や円の検出に用いられる。この手法は、多数決原理に基づいており、本実施の形態のように、点(ここでは輝点11b)が線状(ここでは正方格子状)に顕著に分布している場合に有効である。また、複数の直線を同時に検出できる利点もある。
以下、本図を参照してハフ変換の一般的な概略を説明する。一般的に直線の式は、図10に示す数式(a)で表すことができる。ここで、数式(a)中、a0、b0は定数である。この直線上に任意のM個の点、{(x1,y1)、(x2,y2)、・・・、(xM,yM)}を選んだとすると、図10に示す数式(b)が成り立つ。ここで、数式(b)中i=1、2、・・・、Mである。
ここでa0、b0を変数とみなして(a,b)平面を考えると、x−y座標系のある1点(xi,yi)が与えられたとき、 そこを通るすべての直線を表す式は、図10に示す数式(c)となる。
数式(c)で示す直線は、点(xi,yi)ごとに異なるが、 上記のように点(xi,yi)が、数式(a)で示す直線上の点であるとすれば、すべて点(a0、b0)を通るはずである。上記と同じことを極座標系で考えると、x−y座標系のある1点(xi,yi)が与えられたとき、それを通るすべての直線群は、図10に示す数式(d)で表すことができる。
ここで、図10のグラフに示すように、ρは原点から直線への垂線の長さ、θαは当該垂線とx軸との角度である。この場合、ρ、θαの値をρ0、θα0に固定すれば、(x,y)
平面上での1本の直線を特定したことになる。
したがって、ρ0=xcosθα0+ysinθα0上の任意のM個の点、{(x1,y1)、(x2,y2)、・・・、(xM,yM)}に対応する(θα,ρ)平面上の曲線は、全て(θα0、ρ0)で交わる。θαは、−πからπまで有限の範囲を細かく分割すればよく、また、ρもある程度の大きさまで取ればよいので、ハフ変換による直線検出は、(θα,ρ)平面上で実行されるのが一般的である。すなわち、候補点(xi,yi)の集合が与えられたとき、全ての曲線が最も多く交差する点(θα0、ρ0)を見つければ、数式(a)で表す直線を抽出することができる。
例えば、いま点A:(−2,0)、点B:(0,2)、点C:(4,6)の3点が与えられたとき、それぞれに対して、点A:ρ0=−2cosθα0、点B:ρ0=2sinθα0、点C:ρ0=4cosθα0+6sinθα0が成り立つ。ここで、当該3つの式に関してθα0、ρ0について解くと、θα0=135°、ρ0=√2となる。よってこの3点から抽出される直線はy=x+2となる。
なお、ハフ変換による直線の検出には、例えば、1)線が実線でも、破線でも、一部かすれていても抽出できる、2)線の太さにばらつきがあってもよい、3)画素ごとに独立な写像のため並列処理による高速化が可能、4)線が画像中に何本あっても一括処理できる、等の利点がある。
回転角算出部26は、床面4上の床面領域の実際のパターン11aに関してハフ変換を実行して、第1の角度ピークとして、実際の輝点11b群から抽出される直線の支配的な角度θreal,α0を算出する。さらに、回転角算出部26は、仮想平面8(図9参照)上の床面領域の仮想のパターン11aに関してハフ変換を実行して、第2の角度ピークとして、仮想平面8(図9参照)上の床面領域の仮想の輝点11b群から抽出される直線の支配的な角度θideal,α0を算出する。
ここで、回転角算出部26は、角度θideal,α0を算出する際には、まず、回転角αを、0°から180°まで0.1°刻みで仮定したときの各回転角αについての仮想のパターン11aの位置座標を算出する。具体的には、回転角算出部26は、上述した数式(12)、(13)(図19参照)で算出される光軸補正後の出力角度φ’X、φ’Yに、回転角αを導入することで得られる回転角補正後の出力角度φ’’X、φ’’Yを、図19に示す数式(14)、(15)に基づいて各回転角毎に算出する。回転角算出部26は、出力角度φ’’X、φ’’Yを用いて、上述した数式(6)、(7)(図19参照)に出力角度φX=φ’’X、φY=φ’’Yを代入する。これにより、0°から180°まで0.1°刻みに仮定される各回転角αに応じて、仮想の輝点11bの結像面15’(図6参照)上での各位置座標u’’ideal,m,n、v’’ideal,m,nを算出する。回転角算出部26は、床面領域の仮想の輝点11bにより形成される仮想のパターン11aに関して、0°から180°まで0.1°刻みで仮定したときの各回転角αごとにハフ変換を実行して、角度θideal,α0を算出する。
回転角算出部26は、角度θreal,α0と各回転角毎の角度θideal,α0とを比較して、角度θreal,α0と角度θideal,α0とが、略一致した際の回転角αを、実際のFG素子122の回転角αとして設定する。なお、ここで、角度θreal,α0と角度θideal,α0とが略一致した際の回転角αは、角度θreal,α0と角度θideal,α0とが完全に一致した際の回転角αだけでなく、角度θreal,α0と角度θideal,α0とが最も近い際の回転角αとしてもよい。この場合、当該最も近い場合の回転角を、実際のFG素子122の回転角αとする。ここでは、回転角αを0°から180°まで0.1°刻みに仮定しているので、角度θreal,α0と角度θideal,α0とが最も近い際の回転角を実際の回転角αとしてもほとんど誤差はない。
基準位置算出部24は、回転角算出部26によって設定された実際のFG素子122の回転角αに応じた回転角補正後の出力角度φ’’X、φ’’Yを用いて、上述した数式(6)、(7)(図19参照)に出力角度φX=φ’’X、φY=φ’’Yを代入する。これにより、基準位置算出部24は、回転角算出部26によって設定された実際のFG素子122の回転角αに応じて、回転角補正後の仮想の輝点11bの結像面15’(図6参照)上での位置座標u’’ideal,m,n、v’’ideal,m,nを算出し、上述したように、当該位置座標u’’ideal,m,n、v’’ideal,m,nと実際の位置座標ureal,m,n、vreal,m,nから、各輝点11bの床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上での移動量の測定のための基準の三次元座標を算出することができる。言い換えれば、基準位置算出部24は、回転角算出部26によって設定された実際のFG素子122の回転角αにおける仮想の輝点11bの位置と、実際に撮像されたパターン光輝点11bの位置に基づいて、各輝点11bの床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上での移動量の測定のための基準の三次元座標を算出しているということができる。
なお、基準位置算出部24は、すべての回転角についての出力角度φ’’X、φ’’Yの算出、位置座標u’’ideal,m,n、v’’ideal,m,nの算出、角度θideal,α0の算出をそれぞれ一括で行い、その後、各角度θideal,α0とθreal,α0を比較して実際の回転角αを設定してもよいし、各回転角毎に出力角度φ’’X、φ’’Y、位置座標u’’ideal,m,n、v’’ideal,m,n、角度θideal,α0を算出し、その都度比較を行って回転角αを設定してもよい。各回転角毎にその都度比較を行って回転角αを設定する場合には、適切な回転角αが見つかった場合に、以降の処理を省略することで計算量を軽減することができる。また、基準位置算出部24は、実際の回転角αに応じた各仮想の輝点11bの位置座標u’’ideal,m,n、v’’ideal,m,nを算出する際に、回転角算出部26が実際の回転角αを設定する際に算出した各位置座標u’’ideal,m,n、v’’ideal,m,nを読み出すことで、位置座標u’’ideal,m,n、v’’ideal を算出したものとしても良い。この場合、回転角算出部26が算出した各位置座標u’’ideal,m,n、v’’ideal,m,nを記憶部31(図5参照)に記憶しておくことで、計算量を少なくすることができる。
上述したように、基準位置算出部24によって算出される光軸補正、回転角補正後の仮想の輝点11b群の結像面15’(図6参照)上での位置座標u’’ideal,m,n、v’’ideal,m,nと実際の位置座標ureal,m,n、vreal,m,nから、各輝点11bの仮想の移動量δを算出し、数式(1)、(2)、(3)(図19参照)に代入することで、空室時の各壁面上での輝点11b群の三次元位置、すなわち、床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上での各輝点11bの移動量の測定のための基準となる三次元座標を算出することができる。さらに言えば、床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上での各輝点11bの移動量の測定のための基準となる三次元座標に基づいて、トイレ3を画成する壁面の位置を特定することができる。
ただし、理想的には、壁面上の輝点は、ここでトイレの形状がきれいに表れるはずだが、実際には、ノイズや補正しきれないパラメータの影響により、きれいにトイレの形状が表れない場合がある。
図11は、本発明の実施の形態に係る光軸補正、回転角補正後の仮想の輝点11b群に基づいて算出した床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上での移動量測定の基準位置となる三次元座標をプロットした投影図である。(a)は、正面壁面5a側から裏面壁面5b方向を見た図、(b)は、側面壁面5c側から側面壁面5d方向を見た図である。
壁面特定部27は、各基準の位置の正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dに垂直な方向の位置に関する頻度ヒストグラムに応じて正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dの位置を特定するように構成される。すなわち、本図中下段に示す各平面上の輝点11bの位置の頻度ヒストグラムをとることにより、その頻度の最も大きいところに壁面位置を求めることができる。
ここで、投影装置11、撮像装置12が取り付けられている裏面壁面5bと、設置高さhの基準となっている床面4の位置は既に特定されている。頻度ヒストグラムのピークを取る位置に壁面があるものと推定できることから、図11(a)下段の頻度ヒストグラムより、側面壁面5c、側面壁面5dの位置を特定することができ、両壁面の相対的な位置関係からトイレ3の幅W(図9(a)も参照)を特定することができる。同様に、図11(b)下段の頻度ヒストグラムより、正面壁面5aの値を特定することができ、正面壁面5aと裏面壁面5bとの相対的な位置関係からトイレ3の奥行きD(図9(a)も参照)を特定することができる。
本図中、例えば図11(a)の投影図中に、特定された側面壁面5dよりも外側にプロットされている輝点11bが存在しているが、当該輝点11bは、上述したようにノイズや補正しきれないパラメータの影響による誤差と見ることができる。そこで、本実施の形態では、当該誤差を軽減してより正確な移動量δの測定を行うため、基準位置算出部24は、特定された正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dの位置に基づいて補正された移動量測定の基準位置となる三次元座標を算出するように構成される。
図12は、本発明の実施の形態に係るトイレ3のX軸(図6参照)を通る断面の模式的線図である。なお、本図は、側面壁面5c方向を見るように図示し、便器7や撮像装置12の結像レンズ13a、結像面15’以外の構成等、以下の説明に応じて省略できるものは適宜省略して図示してある。
ここで、特定された正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dの位置に基づいて、各面上での基準となる各輝点11bの三次元座標を算出するには、各輝点11bと結像レンズ13aの中心を結ぶ直線の方程式を求める必要がある。輝点は、結像レンズ13aを通して、結像面15’に結像する。言い換えれば、床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dに投影された輝点は、結像面15’に結像した輝点と結像レンズ13aの中心点を結んだ直線の延長線上にある。したがって、結像面15’上の輝点の位置(Δu,Δv)、結像レンズ13aから結像面15’までの結像レンズ焦点距離lを用いて、結像レンズ13aと輝点を結ぶ直線の方程式が、図19に示す数式(16)と求められる。
数式(16)から、Z=(l/Δu)・X、Y=(Δv/Δu)・Xを導きだし、これを平面方程式の一般的な形aX+bY+cZ=dに代入すると、その平面上の各輝点の三次元座標のうちのX座標が、図19に示す数式(17)で求められる。同様に、数式(16)から、Z=(l/Δv)・Y、X=(Δu/Δv)・Yを導きだし、aX+bY+cZ=dに代入すると、その平面上の各輝点の三次元座標のうちのY座標が、図19に示す数式(18)で求められる。さらに、数式(16)から、X=(Δu/l)・Z、Y=(Δv/l)・Zを導きだし、aX+bY+cZ=dに代入すると、その平面上の各輝点の三次元座標のうちのZ座標が、図19に示す数式(19)で求められる。
トイレ3には、床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、5d、便器7の上面の5個の平面が存在すると仮定する。ここで、トイレ3の奥行D、幅W、投影装置11、撮像装置12の設置高さh、光軸角度θ、便器7の高さHseatを入力しておく(図9(a)も参照)。なお、投影装置11、撮像装置12の設置高さhの代わりに、トイレ高さHを用いてもよいが、投影装置11は、床面4の方向に輝点11bを投影しているので、投影装置11よりも上方の壁面は、実質的に輝点11bの移動の測定には関係しない。よって、ここでは設置高さhを用いることとしている。
図19に示す数式(20)、(21)、(22)、(23)、(24)に、床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、5d、便器7の上面の5個の平面の面方程式を示す。ここで、それぞれが、上述した面の方程式aX+bY+cZ=dに相当するものと考え、数式(17)、(18)、(19)のa、b、c、dに、数式(20)、(21)、(22)、(23)、(24)の対応する値を代入すれば、床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、5d、便器7の上面上の輝点11bの三次元座標が、結像面15’上の輝点の位置(Δu,Δv)から求まる。なお、ここで、Δu,Δvは、上述した結像面15’上での実際の輝点の位置座標ureal,m,n、vreal,m,nに相当する。
例えば、床面4上の輝点11bの場合は、a=0、b=−sinθ、c=cosθ、d=hを、数式(17)、(18)、(19)に代入することで、床面4の上面上の輝点11bの三次元座標が算出される。上述したように、すでに各輝点11bの概ねの位置は、各仮想の輝点11bとの比較で求められているので、各輝点11bがいずれの面上にあるかは判っているものとすると、各輝点11bに対応する面方程式としての数式(20)、(21)、(22)、(23)、(24)と、数式(17)、(18)、(19)とを用いて、各輝点11bの床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上での移動量の測定のための基準の輝点の三次元座標を算出することができる。
以上のようにして、基準位置算出部24は、壁面特定部27によって特定された正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dの位置に基づいて補正された移動量測定の基準位置となる輝点の三次元座標を算出することで、ノイズや補正しきれないパラメータの影響による誤差を軽減することができる。
なお、対象物(ここでは人物2)が存在するときの測定装置14による三次元座標の算出は、以下のように行なう。まず、撮像装置12に正対した平面に基準となる輝点が含まれるものとして、数式(1)から数式(3)に従って、当該輝点の基準位置からの移動量δにより、図6に示す座標系での輝点の位置(三次元座標)を求める。次にこの位置を、撮像装置12の結像レンズ13a(図6参照)の主面の位置と光軸の方向θ(図1参照)とから、監視領域(ここではトイレ3)の位置に座標変換する。
状態判定部23(図5参照)は、上述したように、測定装置14により測定されたパターンの移動に基づいて、人物2の状態を判定するように構成される。具体的には、状態判定部23は、測定装置14により得られた人物2の形状又は動きに関する情報、ここでは、パターン11aの移動に関する情報としての形状情報をブロック化して、ニューラルネットワークの入力層に入力することで出力層から得られる出力に基づいて、人物2の状態を判定するように構成されている。なお、状態判定部23により判定する人物2の状態は、典型的には、危険な状態と安全な状態の2種類を含む。危険な状態は、例えば、人物2が倒れている状態等の人物2の身体に異常が起こったと推測できる状態である。
以下、状態判定部23による人物2の姿勢の判定について説明する。
図13は、本発明の実施の形態に用いる形状情報と、形状情報をブロック化した情報の一例を示す模式図である。本図中、上段に形状情報、下段にブロック化した情報を図示する。なお、本図(a)は、人物2が立っている姿勢を示す模式図、(b)は、人物2が便器7の上面に座っている姿勢を示す模式図、(c)は、人物2が倒れている姿勢を示す模式図である。また、本図では、形状情報、形状情報をブロック化した情報を、判りやすくするため、これらの情報を床面4、便器7の位置、形状を表示した画像に重ね合わせ、側面壁面5d側から見た画像として示している。
ここで、上述した測定装置14は、算出された人物2に投影された各輝点の三次元座標に基づいて、人物2の形状情報を生成するように構成されている。形状情報とは、人物2の形状を示す情報であり、ここでは、測定装置14で算出された人物2に投影された各輝点の三次元座標を、移動した全輝点について、トイレ3室内の三次元空間にプロットした情報である。
状態判定部23は、さらに、測定装置14が生成した形状情報をブロック化するように構成されている。さらに言えば、状態判定部23は、形状情報を、投影される輝点の間隔よりも広い領域のブロック毎の情報に変換する。具体例としては、トイレ3内の空間を所定の間隔に区切った領域をブロックとして、そのブロック内にある形状情報をまとめた情報量の少ないデータに変換する。所定の間隔は、例えばトイレ3内で15cm程度に相当する間隔である。ここでは、ブロックは、トイレ3の空間を15cmの立方体のメッシュ状に分割して、幅方向に6個×高さ方向に14個×奥行方向に12個、計1008個にブロック化した。ブロック毎の情報は例えば2進数データで示すとよい。この場合には、例えばブロック内に形状情報(輝点)があれば1、全く無ければ0、といったように変換するとよい。
さらに、状態判定部23は、前記ブロック化した情報をニューラルネットワークに入力することで、人物2の状態の判定結果を得るように構成されている。本実施の形態では、ニューラルネットワークに入力することで得られる人物2の状態の判定結果は、「危険な状態」、「安全な状態」の2つの状態である。ニューラルネットワークは、典型的にはフィードフォワード型ニューラルネットワークである。
図14のブロック図に、状態判定部23による人物2の状態の判定の概念を示す。
ここでニューラルネットワークについて説明する。ニューラルネットワークモデルは、人間の脳での情報処理メカニズムをヒントに考案された情報処理モデルである。本実施の形態では、ニューラルネットワークのモデルの1つであるフィードフォワード型ネットワークにおいてバックプロパゲーションアルゴリズム(誤差逆伝播アルゴリズム)を用いて結合の重みを学習する場合で説明する。
バックプロパゲーションアルゴリズムについて説明する。図15に示すように、ニューラルネットワークモデルは、ユニットと呼ばれる多入力、1出力素子がシナプス結合と呼ばれる、一方向だけに信号が伝わり、ある重みを持った結合で結ばれている。また、ユニットはそれらの重みと入力値を掛けた値の総和を入力とし、応答関数f(x)による変形の後、出力される。この出力が各ユニットの状態となる。今回は応答関数f(x)には、準線形の飽和型の特性をもたせるため、シグモイド関数を用いた。
また、図16に示すように、図15のユニットが、入力層、中間層、出力層からなる階層構造で結ばれたネットワークを多層パーセプトロンと言う。そして、このネットワークから出されたデータを正解である教師信号と比較して、その誤差を極小化させるように、入力層、中間層、出力層を相互に関連づける重み係数としての各結合の重みWiを変更、更新することにより、ネットワークに学習させる方法をバックプロパゲ−ションアルゴリズムという。バックプロパゲ−ションアルゴリズムは、各入力に対する出力と、理想の出力(教師信号)の誤差を用いて、ユニット間の重みWiを更新(学習)していくものである。また、バックプロパゲ−ションアルゴリズムは、複雑な入出力関係を学習することが可能な方法であると言われている。
図17に示すように、状態判定部23は、以上ようなニューラルネットワークを用いて人物2の状態を判定する。なおここでは、学習済みのニューラルネットワークのデータにより、人物2の状態の判定を行う場合を示している。またニューラルネットワークへの入力は、図13で前述したブロック化した情報である。さらに、各ブロックの出力が各入力層Sの出力に相当する。すなわち、ここでは、入力層Sの数は、ブロックの数と等しい1008個である。また、中間層Aの数は、例えば、2〜5個程度、ここでは3個である。出力層Rは安全ノード、危険ノードの2個とした。
状態判定部23は、安全ノードの出力が危険ノードの出力よりも高い値を示したときは、トイレ3内の人物2は安全な状態であると判定し、逆に危険ノードの出力が安全ノードの出力よりも高い値を示したときは、危険な状態であると判定する。例えば、本図では、安全な状態の一例として、図13(a)に示した人物2が「立っている」場合の情報が入力されると、出力層Rの中で、安全ノードの方が危険ノードよりも高い値を持ち、入力データが「安全な状態」であることがわかる。
なお、ここでは、まず最初に、ニューラルネットワークの学習段階として、模擬トイレを用いて、被験者に実際にトイレを利用する姿勢と、転倒時の姿勢の演技を行い、その中から、安全な状態2500シーンの形状情報と、危険な状態2500シーンの形状情報とを抽出し、学習セットとする。そして、教師信号として、安全な状態の形状情報については、安全ノードに1、危険ノードに0を、逆に危険な状態の形状情報については、安全ノードに0、危険ノードに1を与え、バックプロパゲ−ションアルゴリズムにて各結合の重みWiを設定する。なお、1シーンは、1つの取得像に応じた画像データであり、したがって、例えば、2500シーンの形状情報を取得するという場合には、2500個の取得像に応じた画像データを取得するということである。
ここで、再び図5を参照する。状態判定部23は、上述のように、学習させたデータにより、トイレ3室内の人物2の安否の判定を行う。状態判定部23は、人物2が危険な状態であると判定し、当該危険な状態が、例えば3秒から60秒、好ましくは5秒から15秒、ここでは、5秒以上続いた場合に、上述した警報信号部28に危険信号を送信する。警報信号部28は、危険信号を受信すると、当該警報信号部28に接続され、トイレ3内に設置されている警報装置41に警報信号を送信する。警報装置41は、例えば、音声や警報音等を発生させるスピーカによって構成されており、警報信号を受信すると、音声や警報音等を発生させ、トイレ3内の人物2に警報を発する。なお、警報装置41は、スピーカでなくても警報を発せられるものであればなんでもよく、例えば、文字情報等によって警報を発するモニタなどでもよい。
さらに、警報信号部28には、トイレ3内に設置される警報解除ボタン42と緊急通報ボタン43とが接続されている。警報解除ボタン42は、例えば、警報装置41によって警報が発せられた際に、実際には人物2が安全な状態であった場合、すなわち、状態判定部23による危険な状態の判定が誤っていた場合に、人物2が当該警報解除ボタン42を押すことで、警報解除信号を警報信号部28に送信するように構成される。警報信号部28は、警報解除信号を受信すると警報を解除する。
警報信号部28は、例えば3秒から30秒、好ましくは5秒から10秒、ここでは、7秒間警報が解除されなかった場合には、通報信号を通報装置(不図示)に送信し、例えば、別室に待機している医師や看護士等に対して人物2が危険な状態であることを通報する。緊急通報ボタン43は、状態判定部23による状態の判定には関係なく、人物2が当該緊急通報ボタン43を押すことで、緊急通報信号を警報信号部28に送信するように構成される。警報信号部28は、緊急通報信号を受信すると、同様に通報信号を通報装置(不図示)に送信する。
図18は、本発明の実施の形態に係る室内監視装置1による処理工程の概略を示すフロー図である。本図を参照して室内監視装置1による床面4と床面4とは異なる正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dで画成されるトイレ3に存在する人物2の位置を測定する方法、ここでは位置を測定して、人物2の状態を監視する方法について説明する。なお、室内監視装置1の構成については適宜図5又は図9を参照する。なお、室内監視装置1の構成の説明と重複する説明はできる限り省略するものとする。
まず、投影工程として、トイレ3の床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dに対して、投影装置11によるパターン11aを形成するパターン光(輝点)11bの投影を開始し(S100)、撮像工程として、パターン光(輝点)11bが投影されたトイレ3の撮像装置12による撮像を開始する(S102)。投影装置11によるパターン光(輝点)11bの投影は、監視が終了するまで継続される。撮像装置12による撮像も、同様に、監視が終了するまで0.1〜0.25秒程度の取得間隔で継続される。また、ここでは、トイレ3は空室の状態、すなわち、人物2が存在しない状態であり、後述する第2の基準位置算出工程(S112)までは、当該空室の状態で各工程は実行される。言い換えれば、第2の基準位置算出工程(S112)までの各処理は、室内監視装置1の自動設定のための処理と言うことができる。
次に、光軸角度補正工程として、光軸角度補正部25によって、投影装置11と撮像装置12との光学配置に基づいて算出される、床面4上での投影装置11の光軸上のパターン光11bが撮像されるべき位置と、床面4上に実際に投影され、撮像装置12によって撮像されたパターン光11bであって、床面4上での投影装置11の光軸上のパターン光11bが撮像されるべき位置に最も近いパターン光11bの位置に基づいて、投影装置11の光軸の傾きを補正する(S104)。
さらに、回転角算出工程として、回転角算出部26によって、床面4上の床面領域の実際のパターン11aに関してハフ変換を実行して、第1の角度ピークとして、床面4上の実際の輝点11b群から抽出される直線の支配的な角度θreal,α0を算出する。さらに、仮想平面8上の床面領域の仮想のパターン11aに関してハフ変換を実行して、投影装置11のFG素子122を投影装置11の光軸周りに0°から180°まで0.1°刻みで仮定したときの各回転角α毎に、第2の角度ピークとして、仮想平面8上の床面領域の仮想の輝点11b群から抽出される直線の支配的な角度θideal,α0を算出する。角度θreal,α0と各回転角α毎の角度θideal,α0とが略一致した際の、光軸周りの回転角αを、投影装置11の実際の回転角αとして設定する(S106)。
次に、第1の基準位置算出工程として、基準位置算出部24によって、パターン光11bの投影範囲に比較して十分に広いものと仮想した仮想平面8(図9参照)に投光され、投影装置11と撮像装置12との光学配置に基づいて算出される光軸補正、回転角補正後の仮想のパターン光(輝点)11bの位置を算出する。さらに、光軸補正、回転角補正後の仮想のパターン光(輝点)11bの位置と実際に撮像されるパターン光11bの位置とを比較して、測定装置14が撮像装置12により撮像された像上のパターンの移動を測定する際の正面壁面5a(図1参照)、側面壁面5c(図1参照)、側面壁面5d(図1参照)上での基準の位置を算出する。すなわち、基準像を算出し、各輝点11bの床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上での移動量の測定のための基準の三次元座標を算出する(S108)。
次に、壁面特定工程として、壁面特定部27によって、各基準の位置の正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dに垂直な方向の位置に関する頻度ヒストグラム(図11参照)に応じて正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dの位置を特定する。すなわち、各平面上の輝点11bの位置の頻度ヒストグラムをとることにより、その頻度の最も大きいところに壁面位置を求める(S110)。
続いて、第2の基準位置算出工程として、基準位置算出部24によって、特定された正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dの位置に基づいて補正された移動量測定の基準位置となる三次元座標を算出する(S112)。以上で室内監視装置1の自動設定のための処理は終了する。以降の処理は、トイレ3内に人物2が存在する状態で実行される。
次に、測定工程として、以上のようにして算出した、トイレ3が空室時の各輝点11bの床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上でのパターン光(輝点)11bの三次元座標を基準として、測定装置14によって、撮像装置12で実際に撮像された像上の各パターン光(輝点)11bの移動量δを測定する。さらに、測定した当該移動量に基づいて人物2に投影された各パターン光(輝点)11bの三次元座標を算出し、人物2の形状情報(図13参照)を生成する(S114)。
さらに、状態判定工程として、状態判定部23によって、測定装置14が生成した形状情報をブロック化し(図13参照)、ニューラルネットワークの入力層S(図17参照)に入力することで出力層R(図17参照)から得られる出力に基づいて、人物2の状態を判定する(S116)。
状態判定部23は、出力層Rの安全ノードの出力が危険ノードの出力よりも高い値を示したときは、トイレ3内の人物2は安全な状態であると判定し(S118;NO)、S120に移行して、さらに監視を継続する場合(S120;YES)は、測定工程(S114)に戻って、以降の各処理を繰り返し実行する。監視を継続しない場合(S120;NO)には、監視を終了する。
出力層Rの危険ノードの出力が安全ノードの出力よりも高い値を示したときは、危険な状態であると判定し(S118;YES)、危険な状態が5秒以上継続したか否かを判定する(S122)。5秒以上継続していない場合(S122;NO)は、測定工程(S114)に戻って、以降の各処理を繰り返し実行する。5秒以上継続していない場合(S122;YES)は、状態判定部23は、警報信号部28に危険信号を送信し、次段の警報発報工程(S124)に移行する。
警報発報工程では、危険信号を受信した警報信号部28によって、警報装置41に警報信号が送信され、当該警報装置41によってトイレ3内の人物2に対して警報が発せられる(S124)。続いて、警報信号部28によって、人物2が当該警報解除ボタン42を押すことで、警報が解除されたか否かを判断し(S126)、警報が解除されたと判断した場合(S126;YES)は、S120に移行して、さらに監視を継続する場合(S120;YES)は、測定工程(S114)に戻って、以降の各処理を繰り返し実行する。監視を継続しない場合(S120;NO)には、監視を終了する。
警報が解除されていないと判断した場合(S126;NO)は、警報信号部28によって、警報が解除されない期間が、7秒間以上継続したか否かを判断し(S128)、7秒間以上継続していない場合に(S128;NO)は、S126に戻って、以降の各処理を繰り返し実行する。
7秒間以上継続した場合に(S128;YES)は、通報工程として、警報信号部28によって、通報装置(不図示)に通報信号を送信し、例えば、別室に待機している医師や看護士等に対して人物2が危険な状態であることを通報し(S130)、監視を終了する。
なお、ここで、演算装置20の各部での各処理、上述の方法は、コンピュータにインストールして、該コンピュータを室内監視装置として作動させ、各処理を実行するようにコンピュータを制御するソフトウエアプログラムとして実現することが可能であり、係るソフトウエアプログラムを記録する記録媒体としても実現可能である。ソフトウエアプログラムはコンピュータ内蔵のプログラム部(不図示)に記録されて使用されても良く、外付けの記憶装置やCD−ROMに記録され、プログラム部(不図示)に読み出されて使用されても良く、またインターネットからプログラム部(不図示)にダウンロードされて使用されても良い。
以上で説明した本発明の実施の形態に係る室内監視装置1又はソフトウエアプログラムによれば、基準位置算出部24は、パターン光11bの投影範囲に比較して十分に広いものと仮想した仮想平面8に投光され、投影装置11と撮像装置12との光学配置に基づいて算出される仮想のパターン光の位置と、実際に撮像されるパターン光11bの位置とを比較して、測定装置14が撮像装置12により撮像された像上のパターンの移動を測定する際の床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上での各輝点11bの基準の位置を算出するように構成される。したがって、例えば、監視する空間の形状や広さ、空間内に設置されているもの、便座の位置、大きさや形状等の種々の条件にあわせて、装置の設置の度に基本的な初期設定を手動で行う必要がなく、装置の設置作業を簡略化することのできる室内監視装置1又はソフトウエアプログラムを提供することができる。
さらに、光軸角度補正部25は、投影装置11と撮像装置12との光学配置に基づいて算出される、床面4上での投影装置11の光軸上のパターン光11bが撮像されるべき位置と、床面4上に実際に投影され、撮像装置12によって撮像されたパターン光11bであって、床面4上での投影装置11の光軸上のパターン光11bが撮像されるべき位置に最も近いパターン光11bの位置に基づいて、投影装置11の光軸の傾きを補正するように構成される。したがって、撮像装置12の光軸と投影装置11の光軸との傾きの誤差を補正することができ、基準位置算出部24は、補正された投影装置11の光軸の傾きに応じた光軸角度補正後の仮想のパターン光(輝点)11bに基づいて、パターンの移動を測定する際の床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上での各輝点11bの基準の位置を算出することで、当該傾きの影響を排除することができる。したがって、移動の測定をより正確に行うことができ、結果的に、状態判定部23による人物2の状態の判定もより正確に行うことができる。
また、回転角算出部26は、床面4上の実際のパターン11aに関してハフ変換を実行して第1の角度ピークを算出し、前記仮想平面8上の一定範囲の仮想のパターン光11bによって形成される仮想のパターン11aに関してハフ変換を実行して、投影装置11のFG素子122を投影装置11の光軸周りに一定角度回転させる毎に第2の角度ピークを算出する。回転角算出部26は、第1の角度ピークと第2の角度ピークとが略一致した際の、光軸周りの回転角αを、投影装置11の実際の回転角αとして設定することができる。したがって、基準位置算出部24は、設定された回転角αに応じた回転角補正後の仮想のパターン光(輝点)11bに基づいて、パターンの移動を測定する際の床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上での各輝点11bの基準の位置を算出することで、当該回転角αの影響を排除することができる。したがって、測定装置14(図5参照)による輝点移動量δの測定において、上述したような飛び越えが発生しない範囲、すなわち、検出範囲を広くとるために、投影装置11のFG素子122(図4参照)を基線方向(v軸方向)に対して回転させて使用しても、移動の測定を正確に行うことができる。結果的に、状態判定部23による人物2の状態の判定もより正確に行うことができる。
さらに、壁面特定部27は、以上のようにして算出されたパターン光(輝点)11bの各基準の位置の正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dに垂直な方向の位置に関する頻度ヒストグラム(図11参照)に応じて正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dの位置を特定する。基準位置算出部24は、壁面特定部27によって特定された正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dの位置に基づいて、補正されたパターンの移動を測定する際の床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上での各輝点11bの基準の位置を算出する。これにより、基準の位置の算出におけるノイズや補正しきれないパラメータの影響による誤差を軽減することができる。
また、以上のように、本実施の形態の室内監視装置1は、トイレ3の床面4と正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上にパターンを形成するパターン光を投影する投影装置11と、前記パターン光が投影された、対象物としての人物2の存在するトイレ3を撮像する撮像装置12と、トイレ3に人物2が存在しないときに床面4と正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5dに投影されたパターン光を基準として、撮像された像上のパターンの移動を測定し、該測定されたパターンの移動に基づいて、人物2に投影されたパターン光の三次元位置を算出する測定装置14を備える。
このように構成されていることで、例えばトイレ3に人物2が存在することにより、人物2にパターンが投影されることで、撮像装置12により撮像された像上でパターンが移動し、さらにこの移動量を測定することで、人物2の形状を測定できる。これにより、トイレ3に存在する人物2をより正確に監視できる。
さらに、投影装置11と撮像装置12は、床面4と正面壁面5aに対向する位置に配置されるので、例えば必要な測定範囲と分解能を容易に確保できる。さらに言えばパターンを形成する輝点の移動量を測定する際に発生する輝点の飛び越えの影響を大幅に低減できる。しかも、トイレ3の人物2に多くの輝点が当り、多くの位置情報(三次元座標)を得ることができる。
また、室内監視装置1は、測定装置14により測定されたパターンの移動に基づいて、人物2の状態を判定する状態判定部23を備え、状態判定部23は、測定装置14により測定されたパターンの移動に関する情報としての形状情報をブロック化して、ニューラルネットワークに入力することで、判定結果を得るように構成されている。
このように構成することで、例えば状態判定部23は、測定装置14で算出された人物2に投影された各輝点の三次元座標に基づいた人物2の形状情報を、さらにブロック化するので、ニューラルネットワークに入力する情報量を少なくできる。即ち処理が容易になる。また、人物2の状態の判定結果をニューラルネットワークに入力することで得るので、人物2の状態に対して判定を行う系の応答を最適化し、トイレ3に存在する人物2をより正確に監視できる。
また、室内監視装置は、トイレ3に人物2が進入し、人物2がどのような状態にあるか、また退出したかといった一連の動きを単純な装置で追従することができる。このように室内監視装置1は、例えば、人物2の状態を判断して、人物2が倒れたとかどうかといった監視を非常に容易に行なうことができる。さらに簡易な装置で高速処理が可能である。
なお、本発明の実施の形態である室内監視装置1又はソフトウエアプログラムは、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、三次元位置測定装置として室内監視装置1である場合で説明したが、これに限られない。なお、監視は測定を含む概念であり、例えば本実施の形態の室内監視装置1は、対象物の位置分布を測定することもできる。
また、以上の説明では、基準位置算出部24は、光軸角度補正、回転角補正後の仮想のパターン光(輝点)11bに基づいて、パターンの移動を測定する際の床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上での各輝点11bの基準の位置を算出し、さらに、床面4、正面壁面5a、側面壁面5c、側面壁面5d上での各輝点11bの位置を特定し、当該特定された位置に基づいて、補正された当該基準の位置を算出するものとして説明した。しかしながら、光軸角度補正、回転角補正、壁面位置特定後の補正の3つの補正を、必ず行う必要はなく、例えば、3つの補正のうちの2つを組み合わせてもよい。ただし、上記3つの補正を行った方が、基準位置の算出をより正確に行うことができることはいうまでもない。
また、以上の説明では、第1の平面は床面4であるものとして説明したが、例えば、投影装置11、撮像装置12の光軸が正面壁面5aと交差するように配設されている場合には、正面壁面5aを第1の平面、床面4、側面壁面5c、側面壁面5dを第2の平面としてもよい。この場合、光学配置として結像レンズ13aから床面4までの設置高さhの代わりに、結像レンズ13aから正面壁面5aまでの水平方向の距離が分かっていればよい。また、この場合、仮想平面8は、正面壁面5aを含むようなパターン光11bの投影範囲に比較して十分に広い平面を仮想すればよい。
また、光軸角度補正部25(図5参照)は、投影装置11と撮像装置12の設置角度、すなわち、予め定められている光学配置としての光軸角度θに対する実際の投影装置11の光軸角度のずれを算出して、投影装置11の光軸の傾きを補正するものとして説明したが、予め定められている光学配置としての光軸角度θに対する実際の撮像装置12の光軸角度のずれを算出して、撮像装置12の光軸の傾きを補正してもよいし、投影装置11、撮像装置12両方の光軸の傾きを補正してもよい。ただし、本実施の形態のように、撮像装置12の光軸角度のずれを補正しなくとも、設置高さh等は、撮像装置12の光軸角度が若干ずれている程度であれば、大きな誤差にはならないので、特に問題はない。
なお、以上の説明では、状態判定部23は、測定装置14により得られた前記対象物の形状又は動きに関する情報としての測定されたパターンの移動に関する情報をブロック化して、ニューラルネットワークの入力層S(図17参照)に入力するものとして説明したが、必ずブロック化しなければならないわけではない。例えば、壁以外で検出した輝点群の重心位置や慣性主軸の方向などをニューラルネットの入力パラメータとすることができる。また、測定装置14により得られた前記対象物の動きに関する情報を用いて入力する際も、必ずしもブロック化する必要はない。
また、以上の説明では入力装置35、ディスプレイ40を備えるものとして説明したが、これらの代わりにより単純な構成として、装置の操作上、リセットや装置の起動・終了を行うスイッチ類と、その状況を表示する何らかのインジケータを備える構成としても良い。
なお、ニューラルネットについては、各層のノード数を識別対象の特性に応じて吟味する必要がある。入力層S数は、人物2の状態の判定にどの程度の空間分解能が必要かで決まっており、以上の説明では、ブロックの数と等しく1008個とした。出力層Rの数は識別したいカテゴリ数で決まっている。以上の説明では、安全ノード、危険ノードの2個とした。中間層Aの数は、判定が可能な範囲でできるだけ少ないことが望ましく、これが多すぎると、未学習の入力パターンに対する判定が正しく得られないケースが多くなる、すなわち、汎化能力が低くなる場合がある。以上の説明では、3個とした。
出力層Rの数は、安全ノード、危険ノードの2個としたが、例えば、人物2が立っている状態、座っている状態、倒れている状態の様に、人物2の姿勢に関してカテゴリ分けして、その姿勢から安全、危険を判定するように構成しても良い。
また、以上で用いた階層型のニューラルネットの代わりに、自己組織化マップ型のニューラルネットを用いることができる場合がある。これは、階層型とは異なり、基本的には入力層Sと出力層Rのみ構造で、入力パターンに対して、出力層Rで最も高い出力を得たノードとその周囲のノードが更に高い出力を得られるように結合を強めていく、教師無し学習を行うニューラルネットである。多くの学習パターンを提示している内に、自然に、類似した入力パターンに対して、出力層の近い位置のノードが発火するようになる。したがって、出力層Rのノード位置を安全、危険の判定に対応させることで、判定機能を持たせることができる。