JP4725145B2 - 合金めっき方法および合金めっき装置 - Google Patents
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一方、第2の従来例の方法では、複数の電解槽を用意しておきそれらの間で薬液を循環させなければならず、多くのスペースを必要とするほか薬液循環システムの構築が必要になるなど装置の大規模化、複雑化を伴い、装置が高価なものになってしまう。
本発明の課題は、上述した従来技術の問題点を解決することであって、その目的は、鉛フリーはんだ等の合金めっきを、大規模で複雑な装置を必要とすることなく、かつ、管理コストの増大を招くことなく行い得るようにすることである。
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、電解めっき法にて被めっき対象に合金をめっきする合金めっき方法であって、合金を構成する全ての金属元素を個別の可溶性固体陽極として同一のめっき槽内に配置し、それぞれの可溶性固体陽極に間欠的に電流を供給し、複数の可溶性固体陽極に同時に間欠的電流が供給されている時間の和は、一つの可溶性固体陽極にのみ間欠的電流が供給されている時間の和の1/10以下であることを特徴とする合金めっき方法、が提供される。
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、電解めっき法にて被めっき対象に合金をめっきする合金めっき装置であって、合金を構成する全ての金属元素を個別の可溶性固体陽極として同一のめっき槽内に配置し、それぞれの可溶性固体陽極に間欠的に電流を供給することができる電源装置を具備し、複数の可溶性固体陽極に同時に間欠的電流が供給されている時間の和は、一つの可溶性固体陽極にのみ間欠的電流が供給されている時間の和の1/10以下であることを特徴とする合金めっき装置、が提供される。
図1は、本発明の第1の実施の形態のめっき装置の概略構成図であって、本実施の形態は、二元合金のめっき装置に係るものである。説明に先立ち、目的とする合金を構成する金属をM、Nとし、構成金属Mの方が、構成金属Nよりも標準電極電位が貴であるものとする。
めっき槽1内には、目的とするめっき合金に対応しためっき液2が満たされており、めっき液2の中には、被めっき材からなる陰極3、合金を構成する金属のうち標準電極電位が貴な方の金属Mの純物質からなる可溶性陽極4、および、合金を構成する金属のうち標準電極電位が卑な方の金属Nの純物質からなる可溶性陽極5が浸漬されている。陰極3と可溶性陽極4、陰極3と可溶性陽極5の間にはそれぞれ独立して整流器a1、a2が配置されている。
上記のめっき装置を用いて、合金めっきを行う場合にそれぞれの可溶性陽極に供給する電流が同時に重なることがないよう制御することにより、同時に複数の可溶性陽極に電流が供給されることを防止することができる。このように、各可溶性陽極に独立して電流を供給することにより、標準電極電位が貴な金属と、標準電極電位が卑な金属を任意の割合でめっき液中に溶出させることが可能となる。
本実施の形態により、合金を構成する金属材料M、Nそれぞれの供給を全て可溶性陽極にて行うことが可能となる。合金めっき皮膜生成に消費された金属イオンは可溶性陽極の溶出により補われ、化合物の溶液として補給せずともめっき液中の金属イオン濃度はほぼ一定に保たれるため、めっき液管理は格段に容易になる。また、本発明によれば、一つのめっき槽1内において、両方の金属イオンを供給することができるため、めっき装置を極めて簡素に構成することができる。よって、本発明によれば、合金めっきに係る装置コストおよびランニングコストを大幅に削減することができる。
図2に示した例では矩形波を各陽極に印加していたが、可溶性陽極4および可溶性陽極5に供給する電流プロファイルは矩形波に限らず任意の曲線で表される波形に変更してもよい。また、供給する電流は必ずしも1方向のみに流れる必要はなく、一時的にマイナス方向に流れる場合があってもよい。また、本実施の形態においては、それぞれの可溶性陽極に供給する電流が時間的に重なることがないようにすることが基本であるが、若干の時間両方の電極へ同時に電流の供給が行われることを排除するものではない。この場合に、複数の電極に同時に電流が供給されている時間の合計が、一の電極にのみ電流を供給している時間の合計の1/10以下とすることが望ましい。また、電流供給の切り換えは同期して行うことが基本であるが、若干の時間いずれの陽極に対しても電流が供給されることがないように制御してもよい。
図3〜図5に示される実施の形態では、陰極3−陽極4、5間の電流の供給は直流電源によって行っていたが、これを整流器に置き換えてもよい。この場合、必ずしも制御極付きの整流器を用いなくてもよい。
図7に示した例では矩形波を各陽極に印加していたが、可溶性陽極4ないし可溶性陽極6に供給する電流プロファイルは矩形波に限らず任意の曲線で表される波形に変更してもよい。また、供給する電流は必ずしも1方向のみに流れる必要はなく、一時的にマイナス方向に流れる場合があってもよい。また、本実施の形態においては、それぞれの可溶性陽極に供給する電流が時間的に重なることがないようにすることが基本であるが、若干の時間両方の電極へ同時に電流の供給が行われることを排除するものではない。この場合に、複数の電極に同時に電流が供給されている時間の合計が、一の電極にのみ電流を供給している時間の合計の1/10以下とすることが望ましい。また、電流供給の切り換えは同期して行うことが基本であるが、若干の時間いずれの陽極に対しても電流が供給されることがないように制御してもよい。
図9〜図11に示される実施の形態では、陰極3−陽極4、5間の電流の供給は直流電源によって行っていたが、これを整流器に置き換えてもよい。この場合、必ずしも制御極付きの整流器を用いなくてもよい。
被めっき物が半導体リードフレームのように表裏がありしかも比較的面積が広い場合、可溶性陽極4および可溶性陽極5が1個ずつの第1の実施の形態のめっき装置では、均一の合金組成を実現することが困難になる。本実施の形態は、これに対処したものであって、貴な金属用の可溶性陽極および卑な金属用の可溶性陽極を、それぞれ可溶性陽極41〜46および可溶性陽極51〜56の6個ずつの陽極に分割し、それらを交互に配置しかつ陰極3を中心としてこれを取り囲むように陽極群を配置さする。このように構成することにより、被めっき物の部位による合金めっきの品質のばらつきを抑えることができる。なお、本実施の形態において可溶性陽極の分割数や形状などは、被めっき物の形状等に応じて適宜変更できるものである。また、可溶性陽極の供給方式も適宜に変更できるものである。例えば、チタンケースにボール状の可溶性陽極を入れ、ケース側に整流器を接続することにより間接的に陽極に電流を供給するようにしてもよい。この点は、他の実施の形態についても同様である。
合金を構成するそれぞれの金属からなる陽極に交互に電流を印加する場合、電気が流れていない側(電気回路的に浮いている電極)には電流が流れている側から溶出した金属が析出してしまう場合がある(すなわち、陽極間で電流が流れてしまう)。連続的にこの現象が続くと、本来純物質からなるはずの陽極が2種の金属の合金と同じような状態となり、液中の金属濃度を安定に保つことができなくなる。この対策として、本実施の形態のめっき装置では、合金を構成するそれぞれの金属からなる可溶性陽極41〜46および可溶性陽極51〜56の間にそれぞれ絶縁壁7を配置し、陽極同士の間で電流が流れ別の金属が析出するのを防止する。
図14に示されるように、本実施の形態においては、陰極3と可溶性陽極41〜46との間には電源b1とスイッチs1が、また陰極3と可溶性陽極51〜56との間には電源b2とスイッチs2が接続されている。可溶性陽極を構成する2種の金属の標準電極電位差が大きい場合、標準電極電位が貴な金属側にはより高い電圧を印加することが望ましい。そこで、本実施の形態では、貴な金属の可溶性陽極41〜46に電流を供給する電源b1の電源電圧の方が、卑な金属の可溶性陽極51〜56に電流を供給する電源b2の電源電圧より高く設定されている。スイッチs1とs2とは相補的に動作させてもよい。また、両方のスイッチを閉成させておくこともできる。更には、一方のスイッチのみを開・閉動作させるようにしてもよい(他方のスイッチは連続閉成)。
スイッチs1を常時閉成させるように動作させる場合、貴な金属の可溶性陽極41〜46と卑な金属の可溶性陽極51〜56とを同一の配置構成とすると、所望の組成比の合金が得られない可能性がある。この点に対処には、可溶性陽極41〜46−陰極間の抵抗を可溶性陽極51〜56−陰極間のそれより高くして電流を調整するようにすればよい。具体的方策としては、下記の(a)、(b)のいずれかあるいは両方の手段を講じることが考えられる。
(a)図14に示されるように、可溶性陽極41〜46を囲むように絶縁壁を設ける。
(b)可溶性陽極41〜46の形状や分割個数を可溶性陽極51〜56のそれとは異ならせる。
2 めっき液
3 被めっき物からなる陰極
4、41〜46 標準電極電位が貴な金属Mからなる可溶性陽極
5、51〜56 標準電極電位が卑な金属Nからなる可溶性陽極
6 標準電極電位が中間的な金属Rからなる可溶性陽極
7 絶縁壁
a1〜a3 整流器
b1〜b3 電源
s1〜s3 スイッチ
Claims (17)
- 電解めっき法にて被めっき対象に合金をめっきする合金めっき方法であって、合金を構成する全ての金属元素を個別の可溶性固体陽極として同一のめっき槽内に配置し、複数の可溶性固体陽極に同時に電流が供給されることがない態様にてそれぞれの可溶性固体陽極に間欠的に電流を供給することを特徴とする合金めっき方法。
- 電解めっき法にて被めっき対象に合金をめっきする合金めっき方法であって、合金を構成する全ての金属元素を個別の可溶性固体陽極として同一のめっき槽内に配置し、それぞれの可溶性固体陽極に間欠的に電流を供給し、複数の可溶性固体陽極に同時に間欠的電流が供給されている時間の和は、一つの可溶性固体陽極にのみ間欠的電流が供給されている時間の和の1/10以下であることを特徴とする合金めっき方法。
- 一つの可溶性固体陽極には、常時微弱電流が流されており、この微弱電流に重畳されて間欠的電流が供給されることを特徴とする請求項1または2に記載の合金めっき方法。
- 標準電極電位の高い金属元素の可溶性固体陽極には相対的に高い電圧を印加し標準電極電位の低い金属元素の可溶性固体陽極には相対的に低い電圧を印加することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の合金めっき方法。
- 電解めっき法にて被めっき対象に合金をめっきする合金めっき方法であって、合金を構成する全ての金属元素を個別の可溶性固体陽極として同一のめっき槽内に配置し、各可溶性固体陽極間に絶縁壁を配置し、標準電極電位の高い金属元素の可溶性固体陽極には相対的に高い電圧を印加し標準電極電位の低い金属元素の可溶性固体陽極には相対的に低い電圧を印加することを特徴とする合金めっき方法。
- 各可溶性固体陽極の形状および大きさ並びに前記絶縁壁の形状を調整することにより各可溶性固体陽極に流れる電流が調整されることを特徴とする請求項5に記載の合金めっき方法。
- めっきされる合金が鉛フリー半田であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の合金めっき方法。
- めっきされる合金がSn−Bi、Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cuの中のいずれかであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の合金めっき方法。
- 電解めっき法にて被めっき対象に合金をめっきする合金めっき装置であって、合金を構成する全ての金属元素を個別の可溶性固体陽極として同一のめっき槽内に配置し、複数の可溶性固体陽極に同時に電流が供給されることがない態様にてそれぞれの可溶性固体陽極に間欠的に電流を供給することができる電源装置を具備したことを特徴とする合金めっき装置。
- 電解めっき法にて被めっき対象に合金をめっきする合金めっき装置であって、合金を構成する全ての金属元素を個別の可溶性固体陽極として同一のめっき槽内に配置し、それぞれの可溶性固体陽極に間欠的に電流を供給することができる電源装置を具備し、複数の可溶性固体陽極に同時に間欠的電流が供給されている時間の和は、一つの可溶性固体陽極にのみ間欠的電流が供給されている時間の和の1/10以下であることを特徴とする合金めっき装置。
- 前記電源装置が、陰極と各可溶性固体陽極との間に接続された制御極付整流器により、または、整流器とその整流器の接続を各可溶性固体陽極に切り換えるスイッチにより構成されていることを特徴とする請求項9または10に記載の合金めっき装置。
- 前記電源装置が、各可溶性固体陽極毎に設けられた直流電源、または、全可溶性固体陽極に共通に設けられた直流電源と、その直流電源の各可溶性固体陽極への接続を制御するスイッチを備えていることを特徴とする請求項9または10に記載の合金めっき装置。
- 一つの可溶性固体陽極には、常時微弱電流を流す電源が備えられていることを特徴とする請求項9から12のいずれかに記載の合金めっき装置。
- 電解めっき法にて被めっき対象に合金をめっきする合金めっき装置であって、合金を構成する各金属元素よりそれぞれ構成された可溶性固体陽極が同一のめっき槽内に配置され、各可溶性固体陽極間に絶縁壁が配置され、標準電極電位の高い金属元素の可溶性固体陽極には相対的に高い電圧の電源が接続され標準電極電位の低い金属元素の可溶性固体陽極には相対的に低い電圧の電源が接続されていることを特徴とする合金めっき装置。
- 各可溶性固体陽極間には、可溶性固体陽極相互間に流れる電流を抑制する絶縁壁が配置されていることを特徴とする請求項9から13のいずれかに記載の合金めっき装置。
- 各可溶性固体陽極が複数に分割されていることを特徴とする請求項9から15のいずれかに記載の合金めっき装置。
- 陰極を囲むように複数に分割された可溶性固体陽極が配置されていることを特徴とする請求項9から16のいずれかに記載の合金めっき装置。
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