JP4715500B2 - アンテナ装置 - Google Patents

Description

本発明は、携帯機との間で通信を行い、車両ドアなどの施錠・開錠を遠隔制御する遠隔制御装置に用いられるアンテナ装置に関するものである。

近年、車両ドアなどの施錠・開錠を携帯機と車両に搭載されたアンテナ装置との間で通信を行い遠隔制御する遠隔制御装置が普及しつつある。

このような遠隔制御装置に用いられる従来のアンテナ装置について、図５を用いて説明する。

図５は従来のアンテナ装置の断面図であり、同図において、１は略箱状のケースで、ケース１は非導電材料製で、上面に開口部１Ａを有して形成されると共に、左側面には外部への引出端子２Ａ，２Ｂが一体成型され埋め込まれている。

そして、３はアンテナ体で、アンテナ体３は、フェライトコア３Ａとフェライトコア３Ａの外周に巻回されたコイル３Ｂおよびコイル３Ｂに直列に接続されたコンデンサ３Ｃとで形成されると共に、コイル３Ｂの巻き始めは引出端子２Ａに、その巻き終りはコンデンサ３Ｃの一端に、このコンデンサ３Ｃの他端は引出端子２Ｂにそれぞれ接続されケース１内に収容されている。

また、引出端子２Ａ，２Ｂはケース１の外部でリード線５にそれぞれ接続されている。ここで、引出端子２Ａ，２Ｂとリード線５の各接続部は熱収縮チューブ９で外部に露出しないように施され、このリード線５の後方が中継コネクタ（図示せず）を経由して車両に搭載された車載機（図示せず）に配線されている。

さらに、６はシリコン樹脂やエポキシ樹脂などの充填剤で、充填剤６はアンテナ体３をケース１内に封入するように充填され、その後所定の温度で硬化されてアンテナ体３をケース１内に固着している。

そして、下面開口の蓋４の側面に設けられた係止孔４Ａがケース１の爪部１Ｂに係止されることで、蓋４によりケース１の開口部１Ａを塞いでアンテナ装置１０が構成されている。

以上の構成において、使用者の携帯する図示しない携帯機と車両ドアのドア取っ手内などに配置された該アンテナ装置１０との間で電波信号により通信を行い、車両に搭載された車載機がアンテナ装置１０からの受信信号を解読して車両ドアの施錠や解錠を遠隔操作するものであった。

なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献１が知られている。
特開２００１−３４５６１５号公報

しかしながら、上記従来のアンテナ装置１０においては、該アンテナ装置１０がドア取っ手内などに配置されており、ドア取っ手内に進入する雨水や洗車の際などの洗い水がアンテナ装置１０のアンテナ体３のところまで浸水するのを防止するため、充填剤６を充填し、さらに硬化させてアンテナ体３をケース１内に固着している。

ここで、充填剤６は単に充填・硬化させれば良いというものではなく、充填の際混入する空気が気泡となって残らないように充填剤６が硬化するまでに真空中などで減圧するなどして脱泡する必要があるため、アンテナ装置１０の製造に長時間を要するという課題があった。

本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、充填剤を用いることなくアンテナ体への浸水を防止でき、製造が容易にできるアンテナ装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために本発明のアンテナ装置は、以下の構成を有するものである。

本発明の請求項１に記載の発明は、一側面に開口部を有する略筒状のケースと、このケース内に収容されるアンテナ体と、このアンテナ体に電気的に接続され外部に延出するリード線と、前記アンテナ体を前記ケース内に封入するように前記ケースの開口部を閉塞する閉栓体とからなり、前記閉栓体は、前記ケースの開口部の開口を塞ぐ閉口部とこの閉口部から略垂直に凸状で環状の嵌合部が形成された蓋と、前記嵌合部に嵌め合わされる凹状が形成され弾性を有するパッキンとによって一体に形成されてなり、前記閉栓体の前記パッキンの外周に設けた起伏部が圧縮されて前記ケースの開口部との間を防水する第１防水部と、前記パッキンの内周に設けた起伏部が圧縮されて前記リード線との間を防水する第２防水部を設け、前記蓋の嵌合部を前記パッキンの第１防水部と前記第２防水部との間に配置したアンテナ装置を構成したものであり、該閉栓体は蓋とパッキンを嵌め合わせて２つの防水部を形成し、これらの防水部で外部からの浸水がケース内に入ることを防止できるため、従来必要とした充填剤が不要になり製造の容易なアンテナ装置を得ることができるという作用を有する。

請求項２に記載の発明は、請求項１記載の発明において、閉栓体に設けた突起部でアンテナ体をケース内の所定の位置に位置決めして、アンテナ体がケース内でガタつくのを防止できるという作用を有する。

以上のように本発明によれば、閉栓体でケース内への浸水を防止できることによって、従来必要とした充填剤が不要にできるアンテナ装置を得ることができるという有利な効果が得られる。

以下、本発明の実施の形態について、図１〜図４を用いて説明する。

（実施の形態）
図１は本発明の一実施の形態によるアンテナ装置の断面図、図２は同分解斜視図、図３は同要部拡大断面図であり、同図において、１１は略筒状のケースで、ケース１１はポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）等の耐熱性および機械的強度に優れる材料を用い、その左側面に開口部１１Ａを有して形成されている。

そして、１３はアンテナ体で、アンテナ体１３は、磁性材料のフェライトコア１３Ａとその外周に巻回されたコイル１３Ｂおよびコイル１３Ｂに直列に接続されるコンデンサ１３Ｃとで主に形成されている。

さらに、フェライトコア１３Ａとコイル１３Ｂの一体品であるコア部１３Ｄは、その一端が内部端子１２Ａ，１２Ｂ，１２Ｃをインサート成型した高耐熱性に優れる液晶ポリマー等の樹脂製の端子台１４に設けられた開口部１４Ａに圧入嵌合されている。

この圧入嵌合は、端子台１４の開口部１４Ａの内壁および外壁１４Ｃに開口方向にスジ状突起のリブ（図示せず）を複数設け、コア部１３Ｄなどの挿入の際、このリブを押し潰しながら圧入できるようにしている。

ここで、図２に示すようにコイル１３Ｂの巻き始めは内部端子１２Ａに接続され、その巻き終りは内部端子１２Ｃに接続されている。さらに、この内部端子１２Ｃを延伸して形成した電極にコンデンサ１３Ｃの一端が接続され、コンデンサ１３Ｃの他端は内部端子１２Ｂを延伸して形成した電極に、それぞれはんだ付け等で接続されている。

そして、内部端子１２Ａ，１２Ｂにはリード線１５が、それぞれ、はんだ付け、カシメまたは溶接などで接続されると共に、リード線１５はパッキン１７の貫通孔１７Ａ、さらに蓋１６に設けた貫通孔１６Ａを通って外部に延出し、その後方は中継コネクタ（図示せず）を経由して車両に搭載された車載機（図示せず）に配線されている。

なお、蓋１６の材料はケース１１と同じＰＢＴ等の耐熱性および機械的強度に優れる材料のものが良く、パッキン１７はエラストマー、ウレタンまたはシリコンなどのゴム材で弾性に優れる樹脂材料のものが好ましい。

ここで、蓋１６とパッキン１７を嵌め合わせ一体品にして形成された閉栓体１９は、図１に示すように、ケース１１の開口部１１Ａの開口を塞ぐ蓋１６の閉口部１６Ｂから略垂直に凸状で環状の嵌合部１６Ｃを形成し、ここにパッキン１７を凹状に嵌め合わせると共に、パッキン１７には、ケース１１の開口部１１Ａ側、つまり外周に略半円凸状で環状の起伏部１７Ｃ、パッキン１７の貫通孔１７Ａ側、つまり内周に略半円凸状で環状の起伏部１７Ｄを設けている。

そして、この閉栓体１９とリード線１５およびアンテナ体１３との一体品である被収容体１８は矢印方向（左側）からケース１１内に収容され、その際各部位は、まず、収容先端のフェライトコア１３Ａがケース１１の底面１１Ｃに当たり、この当たった面（または点）を支点にして閉栓体１９を挿入することで、閉栓体１９がケース１１の開口部１１Ａを塞いでいる。

その結果、閉栓体１９が、パッキン１７の外周に設けた起伏部１７Ｃでケース１１の開口部１１Ａ側に第１防水部Ａ、パッキン１７の内周に設けた起伏部１７Ｄでリード線１５側に第２防水部Ｂを形成して、各部位からの浸水がケース１１内に進入するのを防止してアンテナ装置２０が構成されている。

ここで、図３を用いて閉栓体１９の２つの防水部Ａ，Ｂについて、詳細に説明する。

まず、第１防水部Ａは、パッキン１７の外周に設けた略半円凸状で環状の起伏部１７Ｃの外寸Ｄ２を、ケース１１の開口部１１Ａの内寸Ｄ１より大きくして形成している。

この第１防水部Ａは、蓋１６の凸状で環状に形成された嵌合部１６Ｃにパッキン１７の同じく環状で凹状に形成された嵌合部１７Ｂが嵌め合わされ、この蓋１６とパッキン１７の一体品をケース１１の開口部１１Ａから挿入し、蓋１６の上下に設けた爪部１６Ｄをケース１１の係止孔１１Ｂに係止することで、その防水機能が成される。

また、第２防水部Ｂは、パッキン１７の貫通孔１７Ａ内周に設けた略半円凸状で環状の起伏部１７Ｄの内寸Ｅ２を、リード線１５の外寸Ｅ１より小さくして形成している。そして、貫通孔１７Ａにリード線１５が挿通されることで、その防水機能が成されるものである。

さらに、２つの防水部Ａ，Ｂの位置は、上下に略一直線上に設けているため、ケース１１からの外圧とリード線１５からの内圧による圧縮点が同じ位置にできる。このことで、一直線上に設けない場合に比べ、より防水性を高めることができる。この防水性をより高めるためには、上記Ｄ１＜Ｄ２、Ｅ１＞Ｅ２の寸法差を大きくすることで容易に実現できる。

この防水部Ａ，Ｂの各圧縮率は、図３（ｂ）に例示するパッキン１７の起伏部１７Ｃの場合、蓋１６の嵌合部１６Ｃの基部上面Ｃを基準にして、起伏部１７Ｃの圧縮前の初期値ｇはベース高さｈを０．７ｍｍとして１．１ｍｍにし、圧縮後のｇ値が１．１ｍｍから０．８ｍｍになる、つまり約３０％の圧縮率になるように設定している。この圧縮率は、作業性と防水性の兼ね合いから略１０％〜５０％の範囲が好ましい。

また、図２に示すように、蓋１６のケース１１側に設けた突起部１６Ｅをパッキン１７に設けた凹状の突起部１７Ｅに挿入し、このパッキン１７の突起部１７Ｅを端子台１４の側面１４Ｂに弾接させて、アンテナ体１３がケース１１内でガタつくのを防止している。

以上のように構成され、車両ドアのドア取っ手内などに配置されたアンテナ装置２０の動作は、図示しない携帯機から送信された電波信号を受信し、この受信信号で車両ドアを開錠または施錠することは、従来の技術の場合と同様である。

このように本実施の形態によれば、外部からの浸水を防止する閉栓体１９は、蓋１６とパッキン１７を嵌め合わせて２つの防水部Ａ，Ｂを形成し、該防水部Ａ，Ｂでケース１１内への浸水を防止できるアンテナ装置２０を得ることができるものである。

また、パッキン１７の突起部１７Ｅでアンテナ体１３を弾圧しケース１１内の所定の位置に位置決めして、アンテナ体１３がケース１１内でガタつくのを防止すると共に、落下や振動に対する強度を向上している。

なお、本実施の形態においては、パッキン１７側の起伏部１７Ｃ，１７Ｄが防水部Ａ，Ｂを形成するとして説明したが、これに限ることはなく、図４に示すように蓋２６側に起伏部２６Ｄ，２６Ｅを設け、この起伏部２６Ｄ，２６Ｅでパッキン２７側に生じる隆起部２７Ｃ，２７Ｄで防水部Ａ，Ｂを形成するとしても良い。

さらに、以上の説明では防水部Ａ，Ｂを形成するパッキン１７の起伏部１７Ｃ，１７Ｄなどは略半円凸状の形状として説明したが、この形状に限ることはなく、略三角形凸状や略台形凸状などであっても実施は可能である。

本発明によるアンテナ装置は、従来必要な充填剤を用いることなくアンテナ体内への浸水を防止できると共に、製造が容易にできるという効果を有し、車両ドアなどの施錠・開錠を遠隔制御する遠隔制御装置に用いられるアンテナ装置等に有用である。

本発明の一実施の形態によるアンテナ装置の断面図 同分解斜視図 同要部拡大断面図 同別形態による要部拡大断面図 従来のアンテナ装置の断面図

符号の説明

１１ ケース
１１Ａ 開口部（ケース）
１２Ａ，１２Ｂ，１２Ｃ 内部端子
１３ アンテナ体
１３Ａ フェライトコア
１３Ｂ コイル
１３Ｃ コンデンサ
１４ 端子台
１４Ａ 開口部（端子台）
１４Ｂ 側面
１４Ｃ 外壁
１５ リード線
１６ 蓋
１６Ａ 貫通孔
１６Ｂ 閉口部
１６Ｃ 嵌合部
１７ パッキン
１７Ａ 貫通孔
１７Ｃ，１７Ｄ 起伏部
１７Ｅ 突起部
１８ 被収容体
１９ 閉栓体
２０ アンテナ装置
Ａ 第１防水部（起伏部１７Ｃ）
Ｂ 第２防水部（起伏部１７Ｄ）

Claims (2)

1. 一側面に開口部を有する略筒状のケースと、このケース内に収容されるアンテナ体と、このアンテナ体に電気的に接続され外部に延出するリード線と、前記アンテナ体を前記ケース内に封入するように前記ケースの開口部を閉塞する閉栓体とからなり、前記閉栓体は、前記ケースの開口部の開口を塞ぐ閉口部とこの閉口部から略垂直に凸状で環状の嵌合部が形成された蓋と、前記嵌合部に嵌め合わされる凹状が形成され弾性を有するパッキンとによって一体に形成されてなり、前記閉栓体の前記パッキンの外周に設けた起伏部が圧縮されて前記ケースの開口部との間を防水する第１防水部と、前記パッキンの内周に設けた起伏部が圧縮されて前記リード線との間を防水する第２防水部を設け、前記蓋の嵌合部を前記パッキンの第１防水部と前記第２防水部との間に配置したアンテナ装置。
2. 閉栓体に突起部を設け、該突起部でアンテナ体をケース内の所定の位置に位置決めする請求項１記載のアンテナ装置。

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