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JP4709020B2 - ソフトウェア転送方法 - Google Patents

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本発明は、ソフトウェア転送方法に関し、更に詳しくは、受動光網PON(Passive Optical Network)における局側装置OLT(Optical Line Terminal)から各加入者接続装置ONT(Optical Network Terminal)へのソフトウェアの転送方法に関する。
インターネット等の広域ネットワークへのアクセス網の1つとして、複数の加入者が光ファイバを共用できる受動光網(PON)システムがある。PONシステムは、それぞれが加入者端末に接続された複数の加入者接続装置(アクセスノード)ONTと、これらの装置に光ファイバで接続された局側装置(アクセスノード終端装置)OLTとからなり、局側装置OLTに接続された光ファイバと、各加入者接続装置ONTに接続される複数の支線光ファイバとを光カプラ(スターカプラ)で結合し、光カプラと局側装置OLTとの間の光ファイバを複数の加入者端末で共用することによって、光ファイバの敷設コストの大幅な削減を可能にしている。
PONシステムには、光ファイバ区間(PON区間)で固定長のATMセルによって情報を伝送するB−PON(Broadband PON)、ギガビットクラスの高速データ転送を可能にするG−PON(Gigabit PON)、イーサネット(登録商標)サービスに適したGE−PON(Giga-Ethernet PON)がある。G−PON(GE−PON)では、可変長フレームの転送が可能となっている。尚、G−PONに関するITU−T勧告としては、例えば、非特許文献1〜非特許文献4がある。
PONシステムにおいて、OLTからの送信フレーム(下りフレーム)は、光カプラで全ての支線光ファイバに分岐される。各加入者接続装置ONTは、受信フレームに含まれる宛先情報に従って、受信処理すべきフレームを判別する。各ONTからの送信フレーム(上りフレーム)は、光カプラで多重化された状態でOLTに到達する。この場合、複数のONTから送信されたフレームが光ファイバ上で衝突しないように、各ONTは、OLTから予め指定された時間帯で支線光ファイバに送信フレームを出力する。
OLTと各ONTとの間で送受信されるデータには、加入者端末が扱うクライアントデータ(例えば、電話、ビデオ、テキストデータ等)と、ONT監視制御データとがある。ONT監視制御データは、後述するように、OLT内に論理的に存在するONT管理制御インタフェースOMCI(ONT Management Control Interface)を経由してPON区間に送信されるため、以下の説明では、ONT監視制御データを含むフレームをOMCIフレームと言う。上記クライアントデータとOMCIフレームは、PON区間に固有のダウンストリームフレームのペイロード部に搭載して、各ONTに送信される。
図2は、G−PONにおいて、各加入者接続装置ONTがOLTから受信するクライアントフレーム50(以下、GEM(G-PON Encapsulation Mode)クライアントフレームと言う)のフォーマットを示す。GEMクライアントフレーム50は、5バイトのGEMヘッダ51と、可変長のGEMペイロード52とからなり、GEMヘッダ51は、宛先加入者接続装置を特定するポートIDを含む。各加入者接続装置ONTは、受信したフレームのGEMヘッダ51が示すポートIDに従って、自ノード宛のフレームを識別し、GEMペイロード52の内容を加入者端末に中継する。
ポートIDには、加入者接続装置を個別に指定するポートIDと、同一光ファイバに接続された全ての加入者接続装置を指定するマルチキャスト用のポートIDとがある。マルチキャスト用のポートIDを適用することによって、OLTは、GEMフレームのペイロード情報を複数のONTに同時に配信することが可能となる。
図3は、OMCIフレーム60のフォーマットを示す。
OMCIフレーム60は、GEMヘッダ61と、OMCIヘッダ62と、メッセージ内容フィールド63とからなり、GEMヘッダ61には、宛先加入者接続装置を特定するポートIDを含む。OMCIのメッセージ内容は、各アクセスノードONTに個別に送信することが前提となっているため、OMCIフレーム60のGEMヘッダ61では、マルチキャスト用のポートIDは規定されていない。
図4は、G−PONにおいて、OLTからONTに送信されるGTC(G-PON Transmission Convergence) TC(Transmission Convergence)ダウンストリームフレーム70のフォーマットを示す。
GTC TCダウンストリームフレーム70は、ヘッダとなるPCBd(Physical Control Block downstream)71と、GTCペイロード72とからなり、全長が38880バイトとなっている。GEMクライアントフレーム50とOMCIフレーム60は、GTC TCダウンストリームフレーム70のペイロード72にマッピングした形で光ファイバ(PON区間)に送信される。
PCBd71の長さは、GTCペイロード72にマッピングされるフレーム個数に比例して、8バイトずつ増加する。GTCペイロード72に含まれるフレーム数が1個の時、PCBd長が最短の38バイトとなる。GTCペイロード72は、38880バイトからPCBd長を引いた長さとなる。OLTは、上記GTC TCダウンストリームフレーム70を光信号に変換して、PON区間に送信する。
ITU-T G.984.1 「Gigabit-capable Passive Optical Networks (GPON): General characteristics」 ITU-T G.984.2 「Gigabit-capable Passive Optical Networks (GPON): Physical Media Dependent (PMD) layer specification」 ITU-T G.984.3 「Gigabit-capable Passive Optical Networks (GPON): Transmission convergence layer specification」 ITU-T G.984.4 「Gigabit-capable Passive Optical Networks (GPON): ONT management and control interface specification」
G−PONシステムにおいて、監視制御装置から各加入者接続装置ONTに遠隔操作でONTソフトウェアファイルを転送(ダウンロード)する場合、先ず、監視制御装置から局側装置OLTにソフトウェアファイルを転送しておき、監視制御装置からのファイル転送指示に応答して、OLTが上記ソフトウェアファイルをONTに転送するようにしている。
OLTからONTへのソフトウェアファイル転送(ダウンロード)は、ONT監視制御の一種であるソフトウェアメンテナンスに該当するため、従来は、OLTがONTソフトウェアをOMCIフレームで各ONTに転送している。但し、OMCIフレームのペイロード(メッセージ内容フィールド63)は32バイトの固定長となっているため、通常は、OLTが、転送すべきONTソフトウェアを32バイト長の複数のデータブロックに分割し、これらのデータブロックを含む複数のOMCIフレームをGTC TCダウンストリームフレーム70にマッピングして、ONTに転送している。
しかしながら、OMCIフレームにはマルチキャスト用のポートIDが規定されていない。そのため、同一のソフトウェアファイルを複数のONTに同時に転送したい場合、OLTは、ONTソフトウェアのデータブロック毎に、GEMヘッダにONTの個別ポートIDを含む複数のOMCIフレームを生成する必要があった。
すなわち、OLTは、図5の(A)に示すように、ONTソフトウェア(ファイル)Dを32バイト長の複数のデータブロックD1〜Dmに分割し、(B)に示すように、各データブロックについて、GEMヘッダ61のポートIDが異なる複数(N個)のOMCIフレームF1(1)〜F1(n)を生成し、N倍化されたOMCIフレームをGTC TCダウンストリームフレーム70に搭載してPON区間に送信する必要があった。
然るに、OMCIフレームは、図3に示したように、32バイトのペイロード長に対して、GEMヘッダとOMCIヘッダで25バイトを必要としているため、ONTソフトウェアの転送用フレームとしてはオーバーヘッドが大き過ぎるという問題があった。
また、GTC TCダウンストリームフレームは、図4で説明したように、GTCペイロード72にマッピングされるフレーム個数に比例して、ヘッダ部(PCBd)71の長さが増加する。GTCペイロード72には、57バイト長のOMCIフレームを最大で597個搭載できるが、この場合、PCBd71は4806バイトとなり、GTC TCダウンストリームフレーム全体の12%を占めてしまう。GTCペイロード72に、597個のOMCIフレームをマッピングした場合、PCBd71とGEMヘッダとOMCIヘッダで、GTC TCダウンストリームフレーム全体の約51%を占めることになり、非常に効率の悪いデータ転送となってしまう。
更に、上述したN倍化されたOMCIフレームをGTC TCダウンストリームフレーム70で転送する方式の場合、各ONTから見ると、自ノード宛の有効OMCIフレームは、受信フレームの1/Nに過ぎず、且つ、1つの有効OMCIフレームから32バイトのデータしか抽出されないため、大容量ソフトウェアのダウンロードに長時間を要するという問題がある。
本発明の目的は、G−PONシステムにおいて、複数の加入者接続装置ONTに大容量のONTソフトウェアファイルを効率的に転送できる改良されたソフトウェア転送方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のソフトウェア転送方法は、局側装置OLTが、上記複数の加入者接続装置ONTに配布すべきソフトウェアを複数のデータブロックに分割し、各データブロックをヘッダ部にマルチキャスト用のポートIDを含むクライアントフレームのペイロード部に搭載し、該クライアントフレームをPON区間に固有のダウンストリームフレームのペイロード部に搭載して上記光ファイバに送出し、上記ダウンストリームフレームを受信した各ONTが、ヘッダ部にマルチキャスト用ポートIDを含むクライアントフレームから抽出したデータブロックをソフトウェアファイル用メモリに格納することを特徴とする。
具体的に言うと、上記クライアントフレームは、GEM(G-PON Encapsulation Mode)クライアントフレームであり、OLTからPON区間に送信されるダウンストリームフレームは、GTC TCダウンストリームフレームである。本発明の好ましい実施例では、OLTが、ONTに転送すべきソフトウェアファイルを最大で38837バイト長のデータブロックに分割し、各GTC TCダウンストリームフレームのペイロードに、ソフトウェア転送用として単一のGEMクライアントフレームを搭載する。
本発明によれば、PON区間のダウンストリームフレームにおけるペイロードを有効に利用できるため、OLTからONTへのソフトウェアの転送(ダウンロード)を短時間で完了できる。
図1は、本発明が適用されるG−PONシステムの1例を概略的に示した図である。
G−PONシステムは、局側装置OLT10と、複数の加入者接続装置ONT20(20−1〜20−n)と、監視制御装置30とからなる。各ONT20は、OLT10に接続された光ファイバ40から光カプラ42で分岐された支線光ファイバ41(41−1〜41−n)に接続されている。
OLT10は、光ファイバ40および広域ネットワークNW1に接続された第1の信号処理部11と、この信号処理部11にONT管理制御インタフェ−ス(OMCI)12で接続された制御部13と、制御部13が制御網NW2を介して監視制御装置30と交信するための第2の信号処理部14と、ONTソフトウェアファイルを格納するためのメモリ15とからなり、第1の信号処理部11は、例えば、各ONTへの送信時間帯の割当て機能と、ONTからの受信フレームの終端と広域ネットワークNW1への転送機能と、広域ネットワークNW1からの受信フレーム(パケット)またはONT監視制御フレームを含む下りPONフレーム(GTC TCダウンストリームフレーム70)の生成機能を備えている。
各ONT20は、支線光ファイバ41に接続された信号処理部21と、この信号処理部21にONT管理制御インタフェ−ス(OMCI)22で接続された制御部23と、信号処理部21に接続された加入者端末、例えば、電話機24A、ビデオ端末24B、データ端末24Cと、ONTソフトウェアファイルを格納するためのメモリ25とからなる。
信号処理部21は、加入者端末からの送信データをOLTから指定された時間帯で支線光ファイバに送信し、下りPONフレーム(GTC TCダウンストリームフレーム70)から抽出したGEMクライアントフレームまたはOMCIフレームのGEMヘッダが示すポートIDから、自ノードで受信処理すべきフレームを識別する。信号処理部21は、GEMヘッダに自ポートIDをもつOMCIフレームは、制御部23に転送し、GEMヘッダに自ポートIDをもつGEMクライアントフレームは、ペイロードの内容を抽出して、加入者端末24A〜24Cに出力する。
本発明では、後述するように、OLT10が、ONTソフトウェアファイルを複数のデータブロックに分割し、各データブロックをGEMヘッダにマルチキャスト用ポートIDを含むGEMクライアントフレームでONTに送信するようにしている。信号処理部21は、GEMヘッダにマルチキャスト用ポートIDをもつGEMクライアントフレームを受信すると、これを制御部23に転送する。制御部23は、上記GEMクライアントフレームのペイロードからデータブロックを抽出し、これを次々とメモリ25に格納して、ONTソフトウェアファイルを構成する。
監視制御装置30は、制御網NW2を介してOLT10と交信するための信号処理部31と、この信号処理部31に接続された制御部33と、オペレータインタフェースとなる入出力装置34と、ONTソフトウェアファイルを格納するためのメモリ35とからなっている。
メモリの既にONTソフトウェアファイルが格納された状態で、監視制御装置30のオペレータが、入出力装置34からファイル名を指定してOLT10へのファイル転送を指令すると、制御部33が、メモリ35からONT20(20−1〜20−n)にダウンロードすべきONTソフトウェアファイルを読み出し、信号処理部31を介して、OLT10宛のアドレスをもつ所定のフレーム形式で、制御網NW2に送信する。
OLT10の第2の信号処理部14は、制御網NW2からの上記フレームを受信すると、これを制御部13に入力する。制御部13、受信フレームから抽出したONTソフトウェアをメモリ15に格納する。ONTソフトウェアファイルが大容量の場合、監視制御装置30は、ソフトウェアファイルを複数のデータブロックに分割し、ONTソフトウェアファイルを複数のフレームでOLT10に送信する。
監視制御装置30のオペレータが、入出力装置34から、ファイル名とポートIDを指定してONTへのファイル転送を指示すると、制御部33が、OLT10宛のアドレスをもつファイル転送指示用の制御メッセージを生成し、信号処理部31を介して制御網NW2に送信する。上記制御メッセージは、OLT10に転送され、第2の信号処理部14から制御部13に入力される。
制御部13は、上記制御メッセージを受信すると、指定されたファイル名をもつソフトウェアファイルをメモリ15から読み出し、後述するように、ペイロードに上記ソフトウェアファイルを含むGEMクライアントフレームを生成する。この後、制御部13は、ONT管理制御インタフェ−ス(OMCI)12を介して第1の信号処理部11に、上記GEMクライアントフレームのONTへの転送を指令する。第1の信号処理部11は、このGEMクライアントフレームをGTC TCダウンストリームフレームのペイロードに搭載して、光ファイバ40に送出する。
ソフトウェアファイルが、1つのGEMクライアントフレームでは転送できない大容量の場合、制御部13は、ソフトウェアファイルを所定サイズの複数のデータブロックに分割し、それぞれが1つのデータブロックを含む複数のGEMクライアントフレームを生成する。監視制御装置30からの制御メッセージで、特定ONTへのファイル転送を指示されていた場合、制御部13は、GEMヘッダに特定ONTのポートIDを含むGEMクライアントフレームを生成する。上記制御メッセージで、光ファイバ40に接続された全てのONTへのファイル転送が指示されていた場合、制御部13は、GEMヘッダにONT20−1〜20−nのマルチキャストポートIDを含むGEMクライアントフレームを生成する。
本実施例では、ONTソフトウェアをONT20−1〜20−nにマルチキャストする場合について説明する。
ONTソフトウェアを光ファイバ40に接続された全てのONTに転送する場合、OLT10(制御部13)は、図6に示すように、ONTソフトウェア(ファイル)Dを固定長の複数のデータブロックD1、D2、・・・に分割し、それぞれがGEMペイロード52に1つのデータブロックを含む一連のGEMクライアントフレーム50を生成する。最後のデータブロックDjは、端数バイト長のデータブロックとなる。本発明の好ましい実施例では、ONTソフトウェアは、38837バイト長のデータブロックD1、D2、・・・に分割される。
各データブロック長を38837バイトにすると、GTC TCダウンストリームフレーム70のGTCペイロード72を最も効率的に利用することが可能となる。すなわち、GTC TCダウンストリームフレーム70は、GTCペイロード72に含まれるフレーム個数が増えるに従って、ヘッダ部(PCBd)71の長さが8バイトずつ増加するため、GTCペイロード72に含まれるフレームを1個にした時、GTCペイロード長を最大値38842バイトにできる。
各データブロック長を38837バイトにすると、このデータブロックをペイロード52に含むGEMクライアントフレームの長さが、5バイトのGEMヘッダ51を加えて、上記GTCのペイロード長38842に一致する。この場合、PCBd71とGEMヘッダ51によるロスを最小にして、PON区間で最も効率的にONTソフトウェアを転送できる。
図7は、本発明によるソフトウェアファイル転送のシーケンス図を示す。
監視制御装置30(制御部33)は、オペレータからOLTへのファイル転送指令を受けると、この指令で指定されたONTソフトウェアファイルをメモリ35から読み出し、所定の通信メッセージ形式でOLT10に転送する(SQ1)。OLT10は、受信メッセージから抽出したONTソフトウェアファイルをメモリ15に格納(S1)した後、監視制御装置30に受信応答を返送する(SQ2)。ソフトウェアファイルが大容量の場合、ONTソフトウェアファイルの転送は、複数のメッセージに分割してOLT10に転送される。
ONTソフトウェアファイルのOLT10への転送が完了すると、監視制御装置30は、ファイル名とポートIDを指定した制御メッセージによって、OLT10にONTソフトウェアファイルの転送を指示する(SQ3)。ここでは、ポートIDとして、ONT20−1〜20−nのマルチキャスト用ポートIDが指定される。但し、監視制御装置30は、マルチキャスト用ポートIDを指定する代わりに、光ファイバ40の識別子を指定してもよい。この場合、マルチキャスト用ポートIDへの変換は、OLT10側で行う。
OLT10は、上記ONTソフトウェアファイルの転送指示を受信すると、メモリ15からONTソフトウェアファイルを読み出し、図6で説明したように、ONTソフトウェアファイルを複数のデータブロックに分割して、データブロック順にGEMクライアントフレーム50を生成する(S2)。OLT10は、次に、このGEMクライアントフレーム50をペイロードに含むGTC TCダウンストリームフレーム70を生成し(S3)、これを光ファイバ40に送信する(SQ4)。
上記GTC TCダウンストリームフレーム70は、光ファイバ40から支線光ファイバ41−1〜41−nに分岐され、複数のONT20−1〜20−nに到達する。各ONT20は、受信したGTC TCダウンストリームフレームのペイロードに含まれるGEMクライアントフレームのヘッダ51が示すポートIDを確認する(S11)。ポートIDがマルチキャスト用であることを検出すると、各ONT20は、GEMペイロードに含まれるソフトウェアデータブロックをソフトウェア用メモリ25に格納し(S12)、OLT10に、上記GEMクライアントフレームを受信したことを示す応答メッセージを返送する(SQ5)。
OLT10は、光ファイバ40に接続された全てのONTから応答メッセージを受信すると、送信すべきデータブロックの有無をチェックし(S4)、未送信のデータブロックが在れば、GEMクライアントフレーム50を生成し(S2)、これをGTC TCダウンストリーム70に載せて(S3)、光ファイバ40に送信する(SQ4)。ONTソフトウェアの全データブロックの転送が完了すると、OLT10は、監視制御装置30にファイル転送の完了通知メッセージを送信する(SQ6)。
本実施例によれば、GTC TCダウンストリームフレームとGEMフレームのペイロードを有効に利用して、且つ、GTC TCダウンストリームフレームに内容的に重複したGEMフレームを含むことなく、複数のONTにソフトウェアファイルを転送できるため、ONTのソフトウェアメンテナンスを短時間で効率的に完了することが可能となる。
GTCペイロードの利用率を最大にするために、ソフトウェアを38837バイト長のデータブロックに分割した場合、GTC TCダウンストリームフレームのペイロードが、ソフトウェア転送用のGEMクライアントフレームで占有されるため、他のユーザフレームを転送できなくなる。従って、ONTへのソフトウェア転送のために、GTC TCダウンストリームが連続的に使用されると、OLTの第1の信号処理部11がネットワークNW1から受信したデータパケットを転送できなくなり、受信バッファが溢れる可能性がある。
上記受信バッファ溢れを回避するためには、信号処理部11が、受信バッファのデータ蓄積状況から、ソフトウェア転送用のGEMクライアントフレームの送信可否を判断し、制御部13から信号処理部11へのGEMクライアントフレームの送出を制御するようにすればよい。
これに代わる方法として、制御部13からソフトウェアの転送要求があった時、信号処理部11から制御部13に、ソフトウェア転送用のGEMクライアントフレームのペイロード長を指定し、制御部13が指定されたペイロード長でソフトウェアデータブロックを送信するようにしてもよい。この場合、GTC TCダウンストリームフレームのペイロードをソフトウェア転送用のGEMクライアントフレームと通常のユーザデータ用のGEMクライアントフレームで共用できるため、受信バッファの蓄積データを継続的に排出することが可能となる。
ソフトウェア転送用のGEMクライアントフレームのペイロード長は、信号処理部11における受信バッファのデータ蓄積状況に応じて、信号処理部11から制御部13に、GTC TCダウンストリームフレーム毎に動的に指定するようにしてもよい。この場合、指定ペイロード長がゼロの時は、ソフトウェア転送用のGEMクライアントフレームの送信が抑制され、最大長(38837バイト)の時は、GTC TCダウンストリームフレームがソフトウェア転送用に占有され、最大長よりも少ない時は、GTC TCダウンストリームフレームが、ソフトウェア転送用のGEMクライアントフレームと通常のユーザデータ用のGEMクライアントフレームで共用されることになる。
本発明が適用されるG−PONシステムの1例を示す構成図。 GEMクライアントフレームのフォーマット図。 OMCIフレームのフォーマット図。 GTC TCダウンストリームフレームのフォーマット図。 従来のソフトウェアファイル転送におけるデータブロックと通信フレームとの関係を説明するための図。 本発明のソフトウェアファイル転送におけるデータブロックと通信フレームとの関係を説明するための図。 本発明によるソフトウェアファイル転送のシーケンス図。
符号の説明
10:局側装置OLT、20加入者接続装置ONT、30:監視制御装置、40:光ファイバ、41:支線光ファイバ、42:光カプラ、11、14、21、31:信号処理部、13、23、33:制御部、15、25、35:ONTソフトウェアファイル用メモリ、50:GEMクライアントフレーム、60:OMCIフレーム、70:GTC TCダウンストリームフレーム。

Claims (5)

  1. 局側装置(OLT)と複数の加入者接続装置(ONT)とが受動光網(PON)で接続され、上記OLTから任意のONT宛に、ユーザデータは可変長のクライアントフレームに搭載し、監視制御データは、宛先ONTをマルチキャスト用のポートIDでは指定できない固定長の監視制御フレームに搭載し、上記クライアントフレームと制御監視フレームをPON区間に固有のダウンストリームフレームのペイロード部に搭載して送信するようにしたPONシステムにおけるソフトウェアの転送方法であって、

    上記OLTが、上記ONTに配布すべきソフトウェアを上記監視制御フレームのペイロードよりも大きいバイト長をもつ複数のデータブロックに分割し、上記ソフトウェアが上記複数のONTに配布されるソフトウェアの場合、上記各データブロックをヘッダ部にマルチキャスト用のポートIDを含むクライアントフレームのペイロード部に搭載し、該クライアントフレームをPON区間に固有のダウンストリームフレームのペイロード部に搭載して上記受動光網の光ファイバに送出し、
    上記ダウンストリームフレームを受信した各ONTが、ヘッダ部にマルチキャスト用ポートIDを含むクライアントフレームから上記データブロックを抽出し、該データブロックをソフトウェアファイル用メモリに格納することを特徴とするソフトウェアの転送方法。
  2. 前記クライアントフレームが、GEM(G-PON Encapsulation Mode)クライアントフレームであり、
    前記監視制御フレームが、OMCI(ONT Management Control Interface)フレームであり、
    前記OLTからPON区間に送信されるダウンストリームフレームが、GTC(G-PON Transmission Convergence)TCダウンストリームフレームであることを特徴とする請求項1に記載のソフトウェアの転送方法。
  3. 前記各GTC TCダウンストリームフレームが、ソフトウェア転送用として単一のGEMクライアントフレームを含むことを特徴とする請求項2に記載のソフトウェアの転送方法。
  4. 前記OLTが、前記ソフトウェアファイルを最大38837バイト長のデータブロックに分割することを特徴とする請求項3に記載のソフトウェアの転送方法。
  5. 前記OLTが、前記受動光網に転送すべきデータパケットの蓄積状況に応じて、前記ソフトウェアのデータブロックが搭載されるクライアントフレームのペイロード長、または前記ソフトウェアのデータブロックが搭載されたクライアントフレームの前記ダウンストリームフレームへの搭載を制御することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載のソフトウェアの転送方法。
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