JP4703922B2 - 蛋白質の精製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂質を含有するヒト血漿由来の蛋白質沈殿画分、特にハプトグロ沈殿画分ビンから、迅速且つ簡便に脂質を除去する蛋白質の精製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医薬として用いられるヒト血漿由来の蛋白質には種々のものがあるが、それらは生理活性の分離、副作用の抑制などの観点からいずれもできる限り精製されたものであることが望ましい。ハプトグロビンは分子量8万5千〜40万のヒト血漿由来の蛋白質の一種であり、遊離しているヘモグロビンと特異的に結合して複合体を形成し、代謝経路である肝臓に運ばれる。しかしハプトグロビンの量が遊離のヘモグロビン量よりも少ないと、遊離ヘモグロビンが血漿中に存在することになり、その結果としてヘモグロビン血症やヘモグロビン尿症などを引き起こす。火傷、輸血、外科手術の際には、溶血により大量の遊離ヘモグロビンが組織や血中に生成してくるので、それによって引き起こされるヘモグロビン血症やヘモグロビン尿症の予防、治療のためにハプトグロビンの投与は有効とされている。ハプトグロビンは、たとえばヒト血漿のα−およびβ−グロブリン画分より抽出精製されることが知られている(日本国特許第958774号)。ところで、当該画分には脂質等の夾雑物(例えば、リポ蛋白など)が含まれているために、当該画分の水溶液は混濁している。そこで、その水溶液を清澄化して、その後の操作を円滑に進めることが必要となる。この方法としては、ヒト血漿のα−およびβ−グロブリン画分の水溶液にアクリノールを添加して夾雑物を沈殿させ、上清を回収した後、アクリノールを除くために透析又は吸着処理を行う方法、又はコロイド珪酸と接触させる方法(特開昭63−17899)が知られている。しかしこれらの方法は、操作が複雑であり、効果も十分ではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況のもとに、本発明は、脂質を含むヒト血漿由来の蛋白質溶液から簡便且つ迅速に脂質を分離、除去して、脂質含量が低減された蛋白質、特にハプトグロビンを迅速且つ簡便に取得することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため種々研究を重ねた結果、原料として例えば、コーンの低温エタノール分画法による第IV、IV−1またはIV−4画分を、水溶性ポリマーを含む緩衝液と接触させると、脂質は溶解せず蛋白質は溶解してくるので、その上清から蛋白質、特にハプトグロビンを採取するという方法によって、容易且つ迅速に脂質含量の低減された蛋白質画分が得られることを知見し、その知見に基づいてさらに研究を重ねて本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)コーンの低温エタノール分画法による第IV−4沈殿画分を水溶性ポリマーを含む緩衝液と接触させ、その上清から蛋白質を採取することを特徴とする蛋白質の精製法、
(2)蛋白質がハプトグロビンである(1)記載の精製法、
(3)水溶性ポリマーが分子量400〜10000のポリオキシエチレングリコールである(1)又は(2)記載の精製法、
(4)緩衝液がリン酸緩衝液、酢酸緩衝液およびクエン酸緩衝液から選ばれた少なくとも1種である(1)又は(2)記載の精製法、および
(5)水溶性ポリマーを含む緩衝液が、水溶性ポリマーを0.5〜10.0w/v%含む0.1〜300mM濃度の緩衝液である(1)又は(2)記載の精製法、
である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の原料として用いられるヒト血漿由来の蛋白質画分は、α−およびβ−グロブリン画分、コーン低温エタノール分画法の第IV、IV-1、IV−4等の各沈殿画分から調製することができる。これらの蛋白質沈殿画分は、通常コレステロール、リン脂質等の脂質を比較的豊富に含んでいることが多い。
【0007】
本発明では脂質を含む原料蛋白質を先ず水溶性ポリマーを含む緩衝液と接触させる。この操作により、蛋白質は緩衝液中に溶解し、脂質は液中に不溶物として残存してくる。水溶性ポリマーは、分子中に水酸基等の親水性基を有し、水と混じり合う性質を有するポリマーであり、ポリエチレングリコール(分子量400〜10,000)、デキストラン、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどが例として挙げられるが、好ましいものは分子量1000〜6000のポリエチレングリコールである。緩衝液はリン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液などが挙げられるが、リン酸緩衝液やリン酸−NaCl緩衝液が好ましい。緩衝液のpHは、通常4.5〜7.0、好ましくは4.8〜6.0である。また混合液中の緩衝液の濃度は、0.1〜300mM、好ましくは、1〜100mM、さらに好ましくは5〜50mMである。
【0008】
水溶性ポリマーを含む緩衝液中の水溶性ポリマーの濃度は、通常0.5〜10%(w/v)、好ましくは2〜6%(w/v)である。接触は、1分〜2時間、好ましくは10分〜1時間行う。接触時の温度は、常温又は冷却下に行うのがよい。接触は、回分式でもよく、また連続式でもよい。このようにして得られた液から脂質を含む不溶物を除去する。不溶物の除去は、どのような方法でもよいが、通常フィルターによる濾過又は遠心分離が好ましい。
【0009】
濾液に、例えば、硫酸アンモニウムを加え、沈殿物を採取する。沈殿物を水に溶解し、いわゆるウイルス不活化のための加熱処理(通常50〜70℃、1〜24時間)を行う。
加熱処理した液を、必要により陰イオン交換クロマトグラフィーにかけて精製する。得られた蛋白質溶液、とくにハプトグロビン溶液は、さらに公知の製剤化技術を組み合わせることにより、臨床上適応できる蛋白製剤、特にハプトグロビン製剤とすることができる。例えば、安定化剤、賦形剤等の添加、小分け分注、透析、限外濾過、凍結乾燥等を施すことができる。
【0010】
【実施例】
以下に実施例、比較例および実験例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1
ヒト血漿由来のコーン低温エタノール分画法で分画したIV−4沈殿画分各14gに、PEG4000を0〜10w/v%含む20mMリン酸−10mMNaCl緩衝液(pH4.9)15ミリリットルを加えて、室温下約15分攪拌し、フィルターで濾過して濾液を採取した。
【0011】
比較例1
PEG4000を含まない20mMリン酸−10mMNaCl緩衝液(pH4.9)を用いて実施例1と同様の方法で抽出操作を行った。
試験例1
実施例1および比較例1で得られた濾液中の総リン脂質、コレステロールの量および蛋白(ハプトグロビン)量を測定し、〔表1〕に示す結果を得た。
【0012】
【表1】
上記〔表1〕から明らかなように、リン酸−NaCl緩衝液単独使用に比して、PEG4000を併用した場合は、脂質含量が大幅に低減された。
【0013】
【発明の効果】
本発明は、ヒト血漿由来の蛋白質画分、特にコーン低温エタノール分画法による第IV−4沈殿画分等を、水溶性ポリマーを含む緩衝液で処理(抽出)するだけで、簡便且つ迅速に脂質含量の低減された蛋白質溶液を得ることができる。
Claims (5)
- コーンの低温エタノール分画法による第IV−4沈殿画分を水溶性ポリマーを含む緩衝液と接触させ、その上清から蛋白質を採取することを特徴とする蛋白質の精製法。
- 蛋白質がハプトグロビンである請求項1記載の精製法。
- 水溶性ポリマーが分子量400〜10000のポリオキシエチレングリコールである請求項1又は2記載の精製法。
- 緩衝液がリン酸緩衝液、酢酸緩衝液およびクエン酸緩衝液から選ばれた少なくとも1種である請求項1又は2記載の精製法。
- 水溶性ポリマーを含む緩衝液が、水溶性ポリマーを0.5〜10.0w/v%含む0.1〜300mM濃度の緩衝液である請求項1又は2記載の精製法。
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