JP4702773B2 - 水栓装置およびそのシャワーヘッド先端部 - Google Patents
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Description
この給湯器には、給湯管に接続された蛇口と、この蛇口の先端にシャワー散水穴と直流逃し穴を並設したシャワーヘッドを取付けている。そして、給湯器本体からの湯を、シャワー散水穴と直流逃し穴からシャワーとして流すようにしている。これにより、シャワー散水穴で目詰まりが発生しても、中央の直流逃し穴から水圧を逃すことができ、タンクの圧力破壊などを防止している。
前記棒状水用開口部から流出する前記少なくとも一本の棒状水の合計流量と、前記シャワー水用開口部から流出する前記シャワー水の合計流量は、ほぼ同じであるのが好ましい。
前記切換手段は前記シャワーヘッドに設けられた切換スイッチを有しており、この切換スイッチを操作して前記各状態のうちいずれか一つの状態が選択されると、前記切換手段はこの選択した状態になるように前記流路を切換えるのが好ましい。
前記シャワーヘッドは、前記散水部を有するシャワーヘッド先端部と、このシャワーヘッド先端部を支持する支持部とを有し、このシャワーヘッド先端部は独立部品として前記支持部に取付け可能な場合であってもよい。
本発明にかかる水栓装置のシャワーヘッド先端部は、シャワーヘッドの散水部から水槽に水を流すための水栓装置に使用されるシャワーヘッド先端部であって、このシャワーヘッド先端部は、前記散水部を有して独立部品として前記シャワーヘッドの支持部に取付け可能であり、前記シャワーヘッド先端部は、前記散水部に設けられ少なくとも一本の棒状水を流すための棒状水用開口部と、前記散水部に設けられ前記棒状水用開口部の周囲に配置されてシャワー水を流すためのシャワー水用開口部と、前記散水部に前記水を供給するための流路を切換える切換手段とを備え、前記散水部が前記棒状水のみを流す第1の状態と、前記散水部が前記シャワー水のみを流す第2の状態と、前記散水部により前記棒状水を流して前記水槽の底面に着水膜が形成されている状態でこの着水膜上に前記シャワー水を流す第3の状態のうち、いずれか一つの状態を前記切換手段により作り出すようにしている。
図1は、本発明にかかる水栓装置が設けられたシステムキッチンの平面図、図2はシャワーヘッドの斜視図である。図3(A)はシャワーヘッドの部分断面正面図、図3(B)は図3(A)のIII−III線矢視図である。
図4は、水栓装置で棒状水のみを流す第1の状態を示す斜視図、図5は、シャワー水のみを流す第2の状態を示す斜視図、図6は、棒状水とシャワー水の両方を流す第3の状態を示す斜視図である。
キャビネット3は、コンロキャビネット5,一方の調理台キャビネット6,シンクキャビネット7および他方の調理台キャビネット8が順次並設された構成を有しており、ワークトップ9が、キャビネット5〜8の上部を覆って取付けられている。
このように、シンクキャビネット7には、水栓装置1,シンク10,複数の引出しなどが設けられて、単体としての厨房家具が構成されている。これと同様に、コンロキャビネット5はコンロ4,複数の引出しなどを有し、一方の調理台キャビネット6は複数の引出しなどを有し、他方の調理台キャビネット8は食器洗い乾燥機と引出しなどを有している。これにより、システムキッチン2は、単体としての厨房家具が複合した複合厨房家具を構成している。
水栓装置1は、散水部21に設けられた棒状水用開口部22から少なくとも一本(本実施例では、一本)の棒状水23を流してシンク10の底面11に着水膜24を形成している状態で、散水部21に設けられ棒状水用開口部22の周囲に配置されたシャワー水用開口部25から着水膜24上にシャワー水26を流す状態を作り出すことが可能になっている。この使用状態は図6に示されている。
その結果、シャワーヘッド20からシンク10に水を流したときの静音化と水はね防止を実現することができる。なお、本発明で「着水」は、流れた水がある地点(たとえば、シンク10の底面11,洗浄中の調理器具や食器などの表面)に達することをいう。
なお、複数本の棒状水23を棒状水用開口部22から流すようにしてもよい。この場合、棒状水用開口部22から吐出した複数本の合流前棒状水を合流させて一本の棒状水にした後、シンク底面11に着水させるのが好ましい。
さらに、棒状水用開口部22から流出したときの合流前棒状水の数が三本以上(好ましくは、四本)であれば、複数の合流前棒状水が合流して一本の棒状水23になったとき流れが一様化して安定するので好ましい。
棒状水用開口部22に設けられて棒状水23を吐出させるための開口は、内周面が円筒形(または、ほぼ円筒形)で水の流れが整えられて一様化するので、整った流れの棒状水23を得ることができる。
まず、図5に示す第2の状態では、散水部21から吐出したシャワー水26は、流下しシンク10の底面11に直接衝突して着水する。その結果、水はねが発生する。また、シンク底面11上のシャワーエリアの内方およびその周辺では、内部に空気を含んだ多数の水泡が発生して水が激しく波打ちながら滞留することにより、滞留部28が形成される。
散水部21から吐出される水の全量がシャワー水26になっているので、シャワー水26の流速が速く、またシャワー水26による水の壁が形成されている。したがって、シンク底面11でのシャワーエリア内では、水泡がこもってシャワーエリア外に出にくくなり、より一層、水や水泡が滞留して滞留部28を成長させている。
シャワー水26がシンク底面11に直接衝突するときの音や、たくさんの水泡が破裂するときの音などが合わさって、「ザーッ」という耳障りな大きな音が発生する。また、シャワー水26が周囲に飛び散って、シンク10の内周面,シンク外部の調理台およびユーザーの衣服などを濡らしてしまう。
棒状水23がシンク底面11に着水すると着水膜24が形成されるが、着水膜24では、水流30は滞留することなく流れの一様化した層流となってほぼ放射状に広がって流れていく。
棒状水23の着水時には水泡は発生せず、着水膜24にも水泡はほとんど含まれていない。その結果、シンク底面11に棒状水23が着水することによる音や水はねは、ほとんど発生しない。
こうして、シンク底面11に着水膜24が形成されている状態で、散水部21によりシャワー水26を着水膜24上に流す。すると、着水膜24がシンク底面11上に形成されているので、シャワー水26は、シンク底面11に直接衝突せずに着水膜24の水と合流する。
もともと着水膜24を形成する水流30は、着水地点Pを中心としてほぼ放射状に流れているので、着水膜24に着水したシャワー水26もすぐに水流30に乗ってこの水流30と一緒になってほぼ放射状に流れる。
その結果、着水膜24に着水したシャワー水26は、シャワーエリア内に滞留することなく、着水膜24の水流30により外方に押し出される。また、シャワー水26の着水時に若干の水泡が発生した場合でも、この水泡は、シャワーエリアに滞留することなく、着水膜24の水流30により直ちにシャワーエリア外に押し出される。
このような原理により、本発明では、図6に示す第3の状態における棒状水23とシャワー水26の両方の流れの過程において、音が発生したり水はねが生じたりする恐れはない。
なお、第3の状態では、シャワー水26より棒状水23の方が若干先行して吐出するようにすれば、蛇口を開けた瞬間から音の発生と水はねを防止できるので好ましい。
このように、ユーザーはその作業の内容に応じて、第1の状態,第2の状態および第3の状態のうちいずれか一つの状態を、切換手段27で自在に切換えて作り出すことができるので、水栓装置1の使い勝手がよい。
そして、この変形例にかかる水栓装置は、図4に示すように散水部21が棒状水23のみを流す第1の状態と、図6に示すように散水部21により棒状水23を流してシンク10の底面11に着水膜24が形成されている状態でこの着水膜24上にシャワー水26を流す第3の状態のうち、いずれか一方の状態を切換手段27により作り出すようにしている。
この変形例によれば、散水部21がシャワー水26のみを流す第2の状態(図5)を作り出すことはできないが、第1の状態と第3の状態のうちいずれか一方の状態を作り出すことができる。
したがって、第1の状態にすれば、棒状水23のみを流してペットボトルや瓶に水を入れる作業などができ、また、第3の状態にすれば、棒状水23とシャワー水26の両方を流して静音化と水はね防止が可能になる。
もし仮に、棒状水23の流量が少ないと、着水膜24の厚みが薄くなって、シャワー水26がシンク底面11に直接着水する恐れがある。これとは逆に、シャワー水26の合計流量が少ないと、シャワー水26の流速が遅くなって調理器具や食器などを十分に洗浄できなくなる可能性がある。
したがって、棒状水23の流量とシャワー水26の合計流量がほぼ同じであるのが好ましい。
シャワーヘッド20には、第1の状態を示す第1のマークM1と、第2の状態を示す第2のマークM2と、第3の状態を示す第3のマークM3が、切換スイッチ29の操作位置に対応して表示されている。
したがって、切換スイッチ29において、第1のマークM1に対応する位置を押せば第1の状態が選択され、第2のマークM2に対応する位置を押せば第2の状態が選択され、切換スイッチ29を中間の位置に位置決めすれば、第3のマークM3に示すように第3の状態が選択される。
切換スイッチ29は、係合,嵌合など機械的なスイッチ機構により、第1のマークM1,第2のマークM2,第3のマークM3にそれぞれ対応する各位置に内部的に位置決め保持されるようになっており、また、ユーザーにとって、所望の状態に簡単に切り換えができる構造を有している。
このように、切換スイッチ29を操作すれば、第1の状態から第3の状態のうちの任意の状態を容易に選択することができる。また、三つのマークM1〜M3は、各状態を具体的に表すイラストになっているので、切換スイッチ29を容易に且つ間違えることなく操作することができる。
シャワーヘッド20は、本体部13に取付けられ、本体部13を中心としてそのまわりに所定の角度範囲で揺動可能である。シャワーヘッド20は、散水部21を有するシャワーヘッド先端部40と、シャワーヘッド先端部40を支持する支持部41とを有している。支持部41の根元は、本体部13に接続されている。
図7(A),(B)に示すように、切換手段27aは、シャワーヘッド20に設けられた切換スイッチ29aを有しており、切換スイッチ29aは、回動操作可能なレバーを有している。また、水栓装置は、水の浄化のためのカートリッジを内蔵することにより浄水の機能も有しているが、この浄水の機能を有していない場合であってもよい。
切換手段27aは、切換スイッチ29aのレバーを操作して、上述の第1の状態ないし第3の状態(または、変形例の場合には、第1の状態と第3の状態)のうちいずれか一つの状態、または浄水の状態が選択されると、切換手段27aは、この選択した状態になるように流路を切換えることができる。
切換手段27aの表示部45には、透明な窓があり、選択した状態がこの窓の中に表示されるようになっている。たとえば、レバーを操作して図8(A)の状態にすれば棒状水のみを流す第1の状態となり、図8(B)の状態にすれば棒状水とシャワー水の両方を流す第3の状態となり、図8(C)の状態にすればシャワー水のみを流す第2の状態となり、図8(D)の状態にすれば浄水を行う状態になる。
このように、切換スイッチ29aに回動操作可能なレバーを設けてレバーのストロークを大きくしたので、切換スイッチ29aで選択可能な数を多く(この変形例では、四つ)することができる。
このように、シャワーヘッド先端部40を独立部品とすれば、既存の水栓装置1において、シャワーヘッド先端部のみを本発明のシャワーヘッド先端部40に取替えれば、本発明の作用効果を奏する。こうすれば、水栓装置1全体の取替えが不要になるので、改造工事が不要になり、システムキッチン2自体の構造を改造する必要もない。
シャワーヘッド先端部40は、散水部21に設けられた棒状水用開口部22から少なくとも一本の棒状水23を流してシンク10の底面11に着水膜24を形成している状態で、散水部21に設けられ棒状水用開口部22の周囲に配置されたシャワー水用開口部25から着水膜24上にシャワー水26を流す状態を作り出すことが可能である。これにより、上述の水栓装置1と同じ作用効果を奏する。
図9は、本実験における測定条件を示す説明図である。図9に示すように、システムキッチン2には本発明の水栓装置1が設けられ、人Mがシンク10の前に立っている状態で測定した。各寸法および距離は図9に示す通りであり、試験条件は下記の通りである。
・試験室の壁:コンクリート壁またはモルタル壁
・試験室の暗騒音:34dB(A)
・水栓装置1:図2ないし図6に示す構成。
・シンク10:裏面には防音材を貼り付け。
・シンク10の排水口部:吸水性のスポンジを置く。
・着水位置:シンク10の中心位置
・人M(対象像):30代ないし50代の女性とする。
・人Mの立ち位置:
前後方向;システムキッチン2の前縁から100mm
横方向 ;シンク10の中央
・測定箇所:人Mの耳の高さ位置(1548mm)
曲線Cは、散水部21により棒状水23を流してシンク10の底面11に着水膜24が形成されている状態で、この着水膜24上にシャワー水26を流す第3の状態のときの、測定箇所における着水音を示している。
シャワー水26のみを流す第2の状態では、曲線Bに示すように、着水音の平均は60dBであった。これに対して、散水部21により棒状水23とシャワー水26の両方を流す第3の状態にすれば、曲線Cに示すように、着水音の平均値は43dBまで大きく低下して、静音化を実現できることが分かる。
図11に示すように、シャワー水26のみを流す第2の状態では、シャワー水26の流速が速いので、汚れ,泡切れなどに関しては、棒状水23とシャワー水26の両方を流す第3の状態より洗浄性は優れている。ところが、水はねが起こって衣服が濡れる場合がある。
これに対して、棒状水23とシャワー水26の両方を流す第3の状態では、汚れや泡切れの洗浄性に関しては第2の状態より劣るが、水はね防止に関しては、食器,特に鍋などを洗っても水はねが起こらず衣服が濡れることはない。
したがって、水栓装置1を使用して行う作業の内容に応じて、第2の状態と第3の状態とさらには棒状水23のみを流す第1の状態も使い分ければ、常に最適な状態で水栓装置1を使用することができる。
散水部21から流す水の状態を切換手段27で自在に且つ容易に切換えることができるので、水栓装置1はユーザーにとって使い勝手がよい。
なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
10 シンク(水槽)
11 底面
20 シャワーヘッド
21 散水部
22 棒状水用開口部
23 棒状水
24 着水膜
25 シャワー水用開口部
26 シャワー水
27,27a 切換手段
29,29a 切換スイッチ
40 シャワーヘッド先端部
41 支持部
Claims (5)
- シャワーヘッドの散水部から水槽に水を流すための水栓装置であって、
前記散水部に設けられ少なくとも一本の棒状水を流すための棒状水用開口部と、
前記散水部に設けられ前記棒状水用開口部の周囲に配置されてシャワー水を流すためのシャワー水用開口部と、
前記散水部に前記水を供給するための流路を切換える切換手段とを備え、
前記散水部が前記棒状水のみを流す第1の状態と、前記散水部が前記シャワー水のみを流す第2の状態と、前記散水部により前記棒状水を流して前記水槽の底面に着水膜が形成されている状態でこの着水膜上に前記シャワー水を流す第3の状態のうち、いずれか一つの状態を前記切換手段により作り出すようにしたことを特徴とする水栓装置。 - 請求項1に記載の水栓装置であって、前記棒状水用開口部から流出する前記少なくとも一本の棒状水の合計流量と、前記シャワー水用開口部から流出する前記シャワー水の合計流量は、ほぼ同じであることを特徴とする水栓装置。
- 請求項1または2に記載の水栓装置であって、
前記切換手段は前記シャワーヘッドに設けられた切換スイッチを有しており、この切換スイッチを操作して前記各状態のうちいずれか一つの状態が選択されると、前記切換手段はこの選択した状態になるように前記流路を切換えることを特徴とする水栓装置。 - 請求項1,2または3に記載の水栓装置であって、
前記シャワーヘッドは、前記散水部を有するシャワーヘッド先端部と、このシャワーヘッド先端部を支持する支持部とを有し、このシャワーヘッド先端部は独立部品として前記支持部に取付け可能であることを特徴とする水栓装置。 - シャワーヘッドの散水部から水槽に水を流すための水栓装置に使用されるシャワーヘッド先端部であって、
このシャワーヘッド先端部は、前記散水部を有して独立部品として前記シャワーヘッドの支持部に取付け可能であり、
前記シャワーヘッド先端部は、
前記散水部に設けられ少なくとも一本の棒状水を流すための棒状水用開口部と、
前記散水部に設けられ前記棒状水用開口部の周囲に配置されてシャワー水を流すためのシャワー水用開口部と、
前記散水部に前記水を供給するための流路を切換える切換手段とを備え、
前記散水部が前記棒状水のみを流す第1の状態と、前記散水部が前記シャワー水のみを流す第2の状態と、前記散水部により前記棒状水を流して前記水槽の底面に着水膜が形成されている状態でこの着水膜上に前記シャワー水を流す第3の状態のうち、いずれか一つの状態を前記切換手段により作り出すようにしたことを特徴とする水栓装置のシャワーヘッド先端部。
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