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JP4702547B2 - 傾斜機能性希土類永久磁石 - Google Patents

傾斜機能性希土類永久磁石 Download PDF

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Description

本発明は、磁石体表層部のみの電気抵抗を高めた傾斜機能を有し、磁気回路内での渦電流の発生を低減させた高性能希土類永久磁石に関する。
Nd−Fe−B系永久磁石は、その優れた磁気特性のために、ますます用途が広がってきている。近年、環境問題への対応から産業機器をはじめ、電気自動車、風力発電などの大型機器へと磁石の応用の幅が広がったことに伴い、Nd−Fe−B系磁石の高性能化とともに、電気抵抗の高い磁石が要求されている。
モータの効率を低下させる原因の1つである渦電流は、主として磁心材に多く発生するが、モータが大型化すると、磁石自信の渦電流も無視できなくなる。特に絶縁膜を挟んで積層した磁心材に穴を開け、そこに永久磁石を擦り込んだ回転子を有するIPMモータでは、磁石が積層板同士の導通を助長してしまい、大きな渦電流が発生してしまう。そこで、絶縁性の樹脂を磁石に被覆する方法が数多く提案されてきたが、磁石を擦り込む際に被覆が剥げ落ちる、あるいは熱膨張を利用して磁石を固定する“焼きばめ”が適応できないという問題があった。
更に、磁石を磁心材と同様に、薄板に加工し、絶縁板を挟んで積層する方法も多く提案されているが、生産性の悪さとコストの上昇という問題から、広く適用されていない。
従って、永久磁石その物の電気抵抗を高める方法が有効であり、これまでに数多くの方法が提案されてきた。Nd−Fe−B系永久磁石は金属材料であるため、電気抵抗は比抵抗で1.6×10-6Ω・mという低い値を示す。従来法では、例えば希土類の酸化物など電気抵抗の高い物質を磁石内に多く分散させて、これらによる電子の散乱を利用して磁石体の抵抗を高めてきた。しかし、これは同時に、磁石の主相であり磁性を担うNd2Fe14B化合物の体積分率を低下させるために、電気抵抗を高めるほど磁気特性の低下が顕著となる問題があった。
なお従来、特許第3471876号公報(特許文献1)には、希土類磁石(希土類元素Rのうち少なくとも1種以上含有)をフッ素系ガス雰囲気中又はフッ素系ガスを含有する雰囲気中でフッ素化処理して、該磁石の表層部にその構成相中のRとのRF3化合物又はROXY化合物(X,Yの各々の値が0<X<1.5でかつ2X+Y=3を満足する)あるいはその両化合物の混合物を形成させ、更には200〜1,200℃の温度で熱処理を施すことからなる耐食性の優れた希土類磁石が開示されている。
特開2003−282312号公報(特許文献2)には、少なくとも、R−Fe−(B,C)系焼結磁石用合金粉末と、希土類元素のフッ素化合物粉末とを混合し、この混合粉末を磁場配向、圧粉成形して焼結すること、この場合、前記混合粉末の中に3〜20重量%の希土類元素(好ましくはDy及び/又はTb)のフッ素化合物を含ませることにより、R−Fe−(B,C)系焼結磁石(但し、Rは希土類元素であり、Rの50%以上はNd及び/又はPrとする)であって、Nd2Fe14B型結晶から主として構成される主相の結晶粒界又は粒界三重点に粒状の粒界相が形成され、前記粒界相が希土類元素のフッ素化合物を含み、前記希土類元素のフッ素化合物の焼結磁石全体に対する含有量が3〜20重量%の範囲にある着磁性が改善されたR−Fe−(B,C)系焼結磁石、特にR−Fe−(B,C)系焼結磁石(但し、Rは希土類元素であり、Rの50%以上はNd及び/又はPrとする)であって、Nd2Fe14B型結晶から主として構成される主相と、希土類元素のフッ素化合物を含む粒界相とを含んで構成され、前記主相中にDy及び/又はTbが含まれ、該主相中に、Dy及び/又はTbの濃度が、該主相全体におけるDy及び/又はTbの濃度の平均値より低い領域が、形成されているR−Fe−(B,C)系焼結磁石が開示されている。
しかし、これらの提案においても、なお、表面電気抵抗の改良の点で十分ではない。
特開2005−11973号公報(特許文献3)には、磁石を減圧槽内に支持し、該減圧槽内で物理的手法によって蒸気又は微粒子化したM元素(但し、Mは、Pr,Dy,Tb,Hoから選ばれる希土類元素の1種又は2種以上)又はM元素を含む合金を、該磁石の表面の全部又は一部に飛来させて成膜し、かつ該磁石の最表面に露出している結晶粒子の半径に相当する深さ以上に該磁石内部にM元素を磁石表面から拡散浸透させることによって、M元素が富化された結晶粒界層を形成すること、この場合、結晶粒界層のM元素の濃度を磁石の表面側ほど高濃度に富化させることにより、磁石表面からのM元素(但し、Mは、Pr,Dy,Tb,Hoから選ばれる希土類元素の1種又は2種以上)の拡散によりM元素が富化した結晶粒界層を有し、保磁力Hcjと磁石全体に占めるM元素含有量が下記の式で表されることを特徴とする、希土類−鉄−ホウ素系磁石が開示されている。
Hcj≧1+0.2×M(但し、0.05≦M≦10)
但し、Hcj:保磁力、単位(MA/m)、M:磁石全体に占めるM元素含有量(質量%)
しかし、この方法は生産性が極端に悪く、実用的でない。
特許第3471876号公報 特開2003−282312号公報 特開2005−11973号公報
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みなされたもので、高い電気抵抗と磁気特性を両立させた傾斜機能を有する希土類永久磁石を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、Nd−Fe−B系焼結磁石に代表されるR−Fe−B系焼結磁石(RはSc及びYを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)に対し、Rのフッ化物を主成分とする粉末を磁石表面近くの空間内に存在させた状態で焼結温度よりも低い温度で加熱することで粉末に含まれていたRとフッ素が共に磁石体に高効率で吸収され、磁石体表面層にのみ電気抵抗の高い酸フッ化物粒子を高密度に分散させ、表面層のみの電気抵抗を高めることで、渦電流の発生が低減され、かつ高い磁気特性を維持できることを見出し、この発明を完成したものである。
即ち、本発明は、下記の渦電流損失を低減した傾斜機能性希土類永久磁石を提供する。
(1)NdとDyとを含む母合金から得られた焼結磁石体の表面からNd、Pr、Dy又はアルカリ土類金属のフッ化物を吸収させることによって得られるか、又はNdを含む母合金から得られた焼結磁石体の表面からPrのフッ化物を吸収させることによって得られ、下記式(1)又は(2)
abcdefg (1)
(R・E)a+bcdefg (2)
(式中、RはSc及びYを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、Eはアルカリ土類金属元素及び希土類元素から選ばれる1種又は2種以上であるが、RとEとが同一元素を含有していてもよく、RとEとが同一元素を含有していない場合は式(1)で表され、RとEとが同一元素を含有している場合は式(2)で表される。TはFe及びCoから選ばれる1種又は2種、AはB及びCから選ばれる1種又は2種、MはAl、Cu、Zn、In、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Hf、Ta、Wの中から選ばれる1種又は2種以上、a〜gは合金の原子%で、a、bは式(1)の場合は、10≦a≦15、0.005≦b≦2であり、式(2)の場合は10.005≦a+b≦17であり、3≦d≦15、0.01≦e≦4、0.04≦f≦4、0.01≦g≦11、残部がcである。)
で示される組成を有する焼結磁石体であって、その構成元素であるFが磁石体中心より磁石体表面に向かって平均的に含有濃度が濃くなるように分布し、かつ該焼結磁石中の(R,E)214A正方晶からなる主相結晶粒の周りを取り囲む結晶粒界部において、結晶粒界に含まれるE/(R+E)の濃度が主相結晶粒中のE/(R+E)濃度より平均的に濃く、更に結晶粒界部の磁石体表面より少なくとも20μmの深さ領域にまで、結晶粒界部に(R,E)の酸フッ化物が存在し、該領域において円相当径が1μm以上の該酸フッ化物粒子が1平方ミリメートル当たり2,000個以上の割合で分散し、かつ当該酸フッ化物が面積分率で1%以上を占め、磁石体表層部の電気抵抗が内部より高いことを特徴とする渦電流損失を低減した傾斜機能性希土類永久磁石。
(2)RがNd及びDyからなり、EがMg、Ca、Pr、Nd、Tb及びDyから選ばれる(1)記載の傾斜機能性希土類永久磁石。
(3)RがNd及び/又はPrを10原子%以上含有することを特徴とする(1)又は(2)記載の傾斜機能性希土類永久磁石。
)TがFeを60原子%以上含有することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の磁石体表層部の電気抵抗が内部より高い、渦電流損失を低減した傾斜機能性希土類永久磁石。
)AがBを80原子%以上含有することを特徴とする(1)乃至()のいずれかに記載の磁石体表層部の電気抵抗が内部より高い、渦電流損失を低減した傾斜機能性希土類永久磁石。
(6)NdとDyとを含む母合金から得られた焼結磁石体の表面に、Nd、Pr、Dy又はアルカリ土類金属のフッ化物の粉末を供給するか、又はNdを含む母合金から得られた焼結磁石体の表面にPrのフッ化物の粉末を供給し、熱処理を行って、下記式(1)又は(2)
a b c d e f g (1)
(R・E) a+b c d e f g (2)
(式中、RはSc及びYを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、Eはアルカリ土類金属元素及び希土類元素から選ばれる1種又は2種以上であるが、RとEとが同一元素を含有していてもよく、RとEとが同一元素を含有していない場合は式(1)で表され、RとEとが同一元素を含有している場合は式(2)で表される。TはFe及びCoから選ばれる1種又は2種、AはB及びCから選ばれる1種又は2種、MはAl、Cu、Zn、In、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Hf、Ta、Wの中から選ばれる1種又は2種以上、a〜gは合金の原子%で、a、bは式(1)の場合は、10≦a≦15、0.005≦b≦2であり、式(2)の場合は10.005≦a+b≦17であり、3≦d≦15、0.01≦e≦4、0.04≦f≦4、0.01≦g≦11、残部がcである。)
で示される組成を有する焼結磁石体であって、その構成元素であるFが磁石体中心より磁石体表面に向かって平均的に含有濃度が濃くなるように分布し、かつ該焼結磁石中の(R,E) 2 14 A正方晶からなる主相結晶粒の周りを取り囲む結晶粒界部において、結晶粒界に含まれるE/(R+E)の濃度が主相結晶粒中のE/(R+E)濃度より平均的に濃く、更に結晶粒界部の磁石体表面より少なくとも20μmの深さ領域にまで、結晶粒界部に(R,E)の酸フッ化物が存在し、該領域において円相当径が1μm以上の該酸フッ化物粒子が1平方ミリメートル当たり2,000個以上の割合で分散し、かつ当該酸フッ化物が面積分率で1%以上を占め、磁石体表層部の電気抵抗が内部より高いことを特徴とする渦電流損失を低減した傾斜機能性希土類永久磁石を得ることを特徴とする希土類永久磁石の製造方法。
本発明によれば、磁気回路内での渦電流の発生を低減させた傾斜機能性希土類永久磁石を提供することができる。
本発明の希土類永久磁石は、R−Fe−B系(RはSc及びYを含む希土類元素)焼結磁石体にその表面からE成分(Eはアルカリ土類金属元素及び希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)及びフッ素原子を吸収させることによって得られるもので、下記式(1)又は(2)で示される組成を有しているものである。
abcdefg (1)
(R・E)a+bcdefg (2)
ここで、RはSc及びYを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、Eはアルカリ土類金属元素及び希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、TはFe及びCoから選ばれる1種又は2種、AはB及びCから選ばれる1種又は2種、MはAl、Cu、Zn、In、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Hf、Ta、Wの中から選ばれる1種又は2種以上である。この場合、RとEとは重複し得、RとEとが同一元素を含有する場合を許容する。RとEとが同一元素を含有していない場合、希土類永久磁石は式(1)で表され、RとEとが同一元素を含有している場合は式(2)で表される。
また、a〜gは合金の原子%で、式(1)の場合、10≦a≦15、0.005≦b≦2であり、式(2)の場合、10.005≦a+b≦17であり、3≦d≦15、0.01≦e≦4、0.04≦f≦4、0.01≦g≦11、残部がcである。
この場合、Rとしては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb及びLuが挙げられ、好ましくはNd、Pr、Dyを主体とし、R中Nd及び/又はPrが10原子%以上、より好ましくは50原子%以上含有することが好ましい。
一方、Eとしては、アルカリ土類金属元素及び希土類元素から選ばれる1種又は2種以上であり、具体的にはMg、Ca、Sr、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb及びLu、好ましくはMg、Ca、Pr、Nd、Tb及びDy、更に好ましくはCa、Pr、Nd及びDyが挙げられる。
Rの含有量aは10〜15原子%、特に12〜15原子%である。また、Eの含有量bは0.005〜2原子%、より好ましくは0.01〜2原子%、更に好ましくは0.02〜1.5原子%である。
更に、TはFe及び/又はCoであるが、好ましくは60原子%以上、特に70原子%以上であり、この場合、Coは0原子%であってもよいが、残留磁束密度の温度安定性を向上させるなどの点で1原子%以上、より好ましくは3原子%以上、特に5原子%以上含有してもよい。
Aは、上述した通り、B及び/又はCであるが、AはBを80原子%以上、特に85原子%以上含有していることが好ましい。Aの量dは3〜15原子%であるが、好ましくは4〜12原子%、より好ましくは5〜8原子%である。
F(フッ素)の含有量eは、0.01〜4原子%であるが、好ましくは0.02〜3.5原子%、特に0.05〜3.5原子%であり、フッ素含有量が少なすぎると、保磁力増大の効果が認められなくなり、多すぎると、粒界相が変質し、保磁力が減少する。
O(酸素)の含有量fは0.04〜4原子%であるが、好ましくは0.04〜3.5原子%、特に0.04〜3原子%である。
更に、他金属元素Mの含有量gは、上述した通り0.01〜11原子%であるが、好ましくは0.01〜8原子%、特に0.02〜5原子%であり、0.05原子%以上、特に0.1原子%以上含まれていてもよい。
この場合、本発明の希土類永久磁石は、その焼結磁石体のF(フッ素)が、当該磁石体の中心より磁石体表面に向かって平均的にFの含有濃度が濃くなるように分布している。つまり、磁石体の表面部においてFの濃度が最も高く、中心に向かってその濃度が漸次低下していくものである。なお、該磁石体の中心部において、Fは存在しなくてもよく、結晶粒界部の磁石体表面から少なくとも20μmの深さまでの領域において、その結晶粒界部にR及びEの酸フッ化物、典型的には(R1-xx)OF[xは0〜1の数]が存在していればよい。また、該焼結磁石中のいわゆる(R,E)214A正方晶からなる主相結晶粒の周りを取り囲む結晶粒界部において、結晶粒界に含まれるE/(R+E)の濃度が主相結晶粒中のE/(R+E)濃度より平均的に濃くなっているものである。
ここで、本発明の永久磁石においては、上述したように、結晶粒界部の磁石体表面より少なくとも20μmの深さ領域にまで、結晶粒界部に(R,E)の酸フッ化物が存在しているものであるが、この場合該領域において円相当径が1μm以上の該酸フッ化物粒子が1平方ミリメートル当たり2,000個以上、好ましくは3,000個以上、更に好ましくは4,000〜20,000個の割合で分散し、かつ当該酸フッ化物が面積分率で1%以上、好ましくは2%以上、更に好ましくは2.5〜10%を占めるものである。なお、粒子の個数及び面積分率の測定は、EPMAの組成像を画像処理することで円相当径が1μm以上の酸フッ化物を検出し、測定した。
本発明の希土類永久磁石は、特にR−Fe−B系焼結磁石体表面にE及びF(フッ素)を含有する粉末を供給し、熱処理することによって得ることができる。
ここで、上記R−Fe−B系焼結磁石体は、常法に従い、母合金を粗粉砕、微粉砕、成形、焼結させることにより得ることができる。
この場合、母合金は、R、T、A、Mを含有する。RはSc及びYを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上で、具体的にはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb及びLuが挙げられ、好ましくはNd、Pr、Dyを主体とする。これらSc及びYを含む希土類元素は合金全体の10〜15原子%、特に12〜15原子%であることが好ましく、更に好ましくはR中にNdとPrあるいはそのいずれか1種を全Rに対して10原子%以上、特に50原子%以上含有することが好適である。TはFe及びCoから選ばれる1種又は2種で、Feは合金全体の50原子%以上、特に65原子%以上含有することが好ましい。AはB及びCから選ばれる1種又は2種で、Bは合金全体の2〜15原子%、特に3〜8原子%含有することが好ましい。MはAl、Cu、Zn、In、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Hf、Ta、Wの中から選ばれる1種又は2種以上を0.01〜11原子%、特に0.1〜5原子%含有してもよい。残部はN、O等の不可避的な不純物である。
母合金は原料金属あるいは合金を真空あるいは不活性ガス、好ましくはAr雰囲気中で溶解したのち、平型やブックモールドに鋳込む、あるいはストリップキャストにより鋳造することで得られる。また、本系合金の主相であるR2Fe14B化合物組成に近い合金と焼結温度で液相助剤となるRリッチな合金とを別々に作製し、粗粉砕後に秤量混合する、いわゆる2合金法も本発明には適用可能である。但し、主相組成に近い合金に対して、鋳造時の冷却速度や合金組成に依存してα−Feが残存しやすく、R2Fe14B化合物相の量を増やす目的で必要に応じて均質化処理を施す。その条件は真空あるいはAr雰囲気中にて700〜1,200℃で1時間以上熱処理する。液相助剤となるRリッチな合金については上記鋳造法のほかに、いわゆる液体急冷法やストリップキャスト法も適用できる。
上記合金は、通常0.05〜3mm、特に0.05〜1.5mmに粗粉砕される。粗粉砕工程にはブラウンミルあるいは水素粉砕が用いられ、ストリップキャストにより作製された合金の場合は水素粉砕が好ましい。粗粉は、例えば高圧窒素を用いたジェットミルにより通常0.2〜30μm、特に0.5〜20μmに微粉砕される。この時、高圧窒素に微量の酸素を混合することで、焼結体の酸素量が制御される。インゴット作製時に混入する酸素と微粉から焼結体に到るまでに吸収した酸素とを合わせて、最終的な焼結体に含まれる酸素量は0.04〜4原子%、特に0.04〜3.5原子%であることが好ましい。
微粉末は磁界中圧縮成形機で成形され、焼結炉に投入される。焼結は真空あるいは不活性ガス雰囲気中、通常900〜1,250℃、特に1,000〜1,100℃で行われる。得られた焼結磁石は、正方晶R2Fe14B化合物を主相として60〜99体積%、特に好ましくは80〜98体積%含有し、残部は0.5〜20体積%のRに富む相、0〜10体積%のBに富む相、0.1〜10体積%のRの酸化物及び不可避的不純物により生成した炭化物、窒化物、水酸化物のうち少なくとも1種あるいはこれらの混合物又は複合物からなる。
得られた焼結ブロックは所定形状に研削される。この後、本発明の特徴である磁石体表層部の電気抵抗が内部よりも高い物理的構造を付与するために、E及びフッ素原子を磁石体表面から吸収させる。
処理法の一例として、E及びフッ素原子を含む粉末を上記焼結磁石体表面に存在させ、磁石と粉末は真空あるいはAr、He等の不活性ガス雰囲気中で焼結温度(Tsと称する)以下の温度、好ましくは200〜(Ts−5)℃、特に250〜(Ts−10)℃で、0.5〜100時間、特に1〜50時間熱処理する。この処理によりE及びフッ素は、磁石表面から磁石内に吸収され、磁石内に存在していたRの酸化物はFと反応して酸フッ化物へと化学変化する。
なお、磁石内に存在するRの酸フッ化物とは、好ましくはROFであるが、これ以外のROmn(m、nは任意の正数)や、金属元素によりRの一部を置換したあるいは安定化されたもの等、本発明の効果を達成することができるRと酸素とフッ素を含む酸フッ化物を指す。
この時、磁石体内に吸収されるF量は、用いる粉末の組成、粒度、処理時に磁石表面を囲む空間内に存在させる割合、磁石の比表面積、処理温度・時間によって変化するが、0.01〜4原子%であることが好ましいが、特に磁石体の結晶粒界部に存在する円相当径が1μm以上の該酸フッ化物粒子の存在比率を1mm2当たり2,000個以上、特に3,000個以上とする点から0.02〜3.5原子%であることがより好ましく、更に好ましくは0.05〜3.5原子%であり、このため磁石体表面にFを0.03〜30mg/cm2、特に0.15〜15mg/cm2供給、吸収させることが好ましい。
なお、上述した通り、磁石体表面から少なくとも20μm以上の領域において、結晶粒界部に存在する円相当径が1μm以上の酸フッ化物の存在比率は、1平方ミリメートル当たり2,000個以上であるが、酸フッ化物が存在する領域の磁石体表面からの深さは磁石含有酸素濃度により制御することができる。かかる点から、磁石含有酸素濃度は0.04〜4原子%、より好ましくは0.04〜3.5原子%、更に好ましくは0.04〜3原子%とすることが推奨される。酸フッ化物が存在する領域の磁石体表面からの深さ、酸フッ化物の粒径及び酸フッ化物の存在比率が上記範囲外であると効果的に比電気抵抗を増大できないため好ましくない。
また、上記処理によりE成分も粒界近傍に濃化されるが、この場合、磁石体内に吸収されるE成分の合計量は、0.005〜2原子%、より好ましくは0.01〜2原子%、更に好ましくは0.02〜1.5原子%であり、磁石体表面にE成分を合計で0.07〜70mg/cm2、特に0.35〜35mg/cm2供給、吸収させることが好ましい。
磁石体表面に酸フッ化物が上記範囲内で存在する領域を含んだ比電気抵抗の値は5.0×10-6Ωm以上、好ましくは1.0×10-5Ωm以上である。この場合、磁石体中心部の比電気抵抗は2×10-6Ωm程度で、表面部の比電気抵抗が中心部の2.5倍以上、特に5倍以上であることが好ましい。比電気抵抗が上記範囲外であると、渦電流を効果的に低減できず磁石体の発熱を抑えられない。
なお、本発明の永久磁石において、表面部の渦電流損失は、従来の磁石と比べて約2分の1以下に低減される。
以上のようにして得られたRの酸フッ化物を含む永久磁石材料は、表面から内部に向かって電気抵抗値が変化する傾斜機能を有し、磁気回路内での渦電流の発生を低減させた高性能希土類永久磁石として用いることができ、特にIPMモータ等の磁石として、好適に用いられる。
以下、本発明の具体的態様について実施例及び比較例をもって詳述するが、本発明の内容はこれに限定されるものではない。
[実施例1、比較例1]
純度99質量%以上のNd、Co、Al、Feメタルとフェロボロンを所定量秤量してAr雰囲気中で高周波溶解し、この合金溶湯をAr雰囲気中で銅製単ロールに注湯するストリップキャスト法により薄板状の合金とした。得られた合金の組成はNdが12.8原子%、Coが1.0原子%、Alが0.5原子%、Bが5.8原子%、Feが残部であり、これを合金Aと称する。合金Aに水素を吸蔵させた後、真空排気を行いながら500℃まで加熱して部分的に水素を放出させる、いわゆる水素粉砕により30メッシュ以下の粗粉とした。更に純度99質量%以上のNd、Dy、Fe、Co、Al、Cuメタルとフェロボロンを所定量秤量し、Ar雰囲気中で高周波溶解した後、鋳造した。得られた合金の組成はNdが20原子%、Dyが10原子%、Feが24原子%、Bが6原子%、Alが1原子%、Cuが2原子%、Coが残部であり、これを合金Bと称する。合金Bは窒素雰囲気中、ブラウンミルを用いて30メッシュ以下に粗粉砕された。
続いて、合金A粉末を93質量%、合金B粉末を7質量%秤量して、窒素置換したVブレンダー中で30分間混合した。この混合粉末は高圧窒素ガスを用いたジェットミルにて、粉末の質量中位粒径4μmに微粉砕された。得られた混合微粉末を窒素雰囲気下15kOeの磁界中で配向させながら、約1ton/cm2の圧力で成形した。次いで、この成形体はAr雰囲気の焼結炉内に投入され、1,060℃で2時間焼結して磁石ブロックを作製した。ここまでの工程は低酸素雰囲気下で行い、得られた磁石体の酸素濃度は0.81原子%であった。磁石ブロックはダイヤモンドカッターにより50×50×5mmに全面研削加工された。
研削加工された磁石体をアルカリ溶液で洗浄した後、酸洗浄して乾燥させた。各洗浄の前後には純水による洗浄工程が含まれている。
次に、平均粉末粒径が10μmのフッ化ネオジムを質量分率50%でエタノールと混合し、これに超音波を印加しながら磁石体を1分間浸した。引き上げた磁石は直ちに熱風により乾燥させた。この時のフッ化ネオジムの供給量は0.8mg/cm2であった。これにAr雰囲気中800℃で10時間という条件で吸収処理を施し、更に500℃で1時間時効処理して急冷することで、磁石体を得た。これを磁石体M1と称する。比較のためにフッ化ネオジムを付着させずに熱処理を施した磁石体も作製した。これをP1と称する。
磁石体M1、P1の磁気特性を表1に示した。また、磁石組成を表2に示した。フッ化ネオジムの吸収処理を施していない磁石(P1)の磁気特性に対して本発明による磁石はほぼ同等な磁気特性が得られている。続いて、M1、P1を着磁した後、断熱材により密封し、これをソレノイドコイル内に設置して、コイルに1000kHzで12kA/mの交番磁界を発生させ、磁石体の温度の時間変化を測定することで、渦電流損失を算出した。この結果も表1に併記してある。本発明のM1はP1に対して、半分以下の損失となっている。図1にEPMAによる磁石体M1の表面層におけるNd(図1(a))、O(図1(b))、F(図1(c))の組成像を示す。表面層には多数のNdOF粒子が存在しており、この領域における円相当径が1μm以上のNdOF粒子の分散頻度は4,500個/mm2、面積分率は3.8%であった。更に、磁石体M1、P1を1×1×10mmに研削加工した。このとき、加工前の磁石表面の1つは加工後にも残るように他の5面を研削加工した。続いて、M1の非研削面(1×10mmの面)を180番の紙やすりで湿式研磨した後、1000〜4000番の紙やすりで鏡面に研磨し、その面に対して比抵抗を測定した。図2に、比抵抗と研磨により削られた表面層の厚さの関係を示した。磁石体表面から深さ200μm以上では、従来と同じ低い比抵抗となっている。従って、M1において、表面層に近いほど比抵抗が高められたことが分かり、これにより低い損失が得られた。以上のことから、酸フッ化物を表層部のみに分散させることで、渦電流損失の低減した永久磁石となることが可能となった。
[実施例2、比較例2]
純度99質量%以上のNd、Co、Al、Feメタルとフェロボロンを所定量秤量してAr雰囲気中で高周波溶解し、この合金溶湯をAr雰囲気中で銅製単ロールに注湯するストリップキャスト法により薄板状の合金とした。得られた合金の組成はNdが12.8原子%、Coが1.0原子%、Alが0.5原子%、Bが5.8原子%、Feが残部であり、これを合金Aと称する。合金Aに水素を吸蔵させた後、真空排気を行いながら500℃まで加熱して部分的に水素を放出させる、いわゆる水素粉砕により30メッシュ以下の粗粉とした。更に純度99質量%以上のNd、Dy、Fe、Co、Al、Cuメタルとフェロボロンを所定量秤量し、Ar雰囲気中で高周波溶解した後、鋳造した。得られた合金の組成はNdが20原子%、Dyが10原子%、Feが24原子%、Bが6原子%、Alが1原子%、Cuが2原子%、Coが残部であり、これを合金Bと称する。合金Bは窒素雰囲気中、ブラウンミルを用いて30メッシュ以下に粗粉砕された。
続いて、合金A粉末を93質量%、合金B粉末を7質量%秤量して、窒素置換したVブレンダー中で30分間混合した。この混合粉末は高圧窒素ガスを用いたジェットミルにて、粉末の質量中位粒径4μmに微粉砕された。得られた混合微粉末を窒素雰囲気下15kOeの磁界中で配向させながら、約1ton/cm2の圧力で成形した。次いで、この成形体はAr雰囲気の焼結炉内に投入され、1,060℃で2時間焼結して磁石ブロックを作製した。ここまでの工程は低酸素雰囲気下で行い、得られた磁石体の酸素濃度は0.73原子%であった。磁石ブロックはダイヤモンドカッターにより50×50×5mmに全面研削加工された。
研削加工された磁石体をアルカリ溶液で洗浄した後、酸洗浄して乾燥させた。各洗浄の前後には純水による洗浄工程が含まれている。
次に、平均粉末粒径が5μmのフッ化ディスプロシウムを質量分率50%でエタノールと混合し、これに超音波を印加しながら磁石体を1分間浸した。引き上げた磁石は直ちに熱風により乾燥させた。この時のフッ化ディスプロシウムの供給量は1.1mg/cm2であった。これにAr雰囲気中900℃で1時間という条件で吸収処理を施し、更に500℃で1時間時効処理して急冷することで、磁石体を得た。これを磁石体M2と称する。比較のためにフッ化ディスプロシウムを付着させずに熱処理を施した磁石体も作製した。これをP2と称する。
磁石体M2、P2の磁気特性を表1に示した。また、磁石組成を表2に示した。フッ化ディスプロシウムの吸収処理を施していない磁石(P2)の磁気特性と比較して、本発明による磁石はほぼ同等な残留磁束密度と、より高い保磁力が得られている。続いて、実施例1と同じ方法で、渦電流損失を測定した。この結果も表1に併記してある。本発明のM2はP2の6.86Wと比較して半分以下である2.41Wという低い値を示している。EPMAにより磁石体M2の表面層における各元素の濃度分布を測定した結果、実施例1と同様な形態で多数のROF粒子が存在していた。
[実施例3、比較例3]
純度99質量%以上のNd、Co、Al、Feメタルとフェロボロンを所定量秤量してAr雰囲気中で高周波溶解し、この合金溶湯をAr雰囲気中で銅製単ロールに注湯するストリップキャスト法により薄板状の合金とした。得られた合金の組成はNdが13.5原子%、Coが1.0原子%、Alが0.5原子%、Bが5.8原子%、Feが残部であった。この合金に水素を吸蔵させた後、真空排気を行いながら500℃まで加熱して部分的に水素を放出させる、いわゆる水素粉砕により30メッシュ以下の粗粉とした。
続いて、粗粉は高圧窒素ガスを用いたジェットミルにて、粉末の質量中位粒径4μmに微粉砕された。得られた混合微粉末を窒素雰囲気下15kOeの磁界中で配向させながら、約1ton/cm2の圧力で成形した。次いで、この成形体はAr雰囲気の焼結炉内に投入され、1,060℃で2時間焼結し磁石ブロックを作製した。ここまでの工程は低酸素雰囲気下で行い、得られた磁石体の酸素濃度は0.89原子%であった。磁石ブロックはダイヤモンドカッターにより50×50×5mm寸法に全面研削加工された。
次に、平均粉末粒径が5μmのフッ化プラセオジムを質量分率50%でエタノールと混合し、これに超音波を印加しながら磁石体を1分間浸した。引き上げた磁石は直ちに熱風により乾燥させた。この時のフッ化プラセオジムの供給量は0.9mg/cm2であった。これにAr雰囲気中900℃で5時間という条件で吸収処理を施し、更に500℃で1時間時効処理して急冷することで、磁石体を得た。これを磁石体M3と称する。比較のためにフッ化プラセオジムを付着させずに熱処理を施した磁石体も作製した。これをP3と称する。
磁石体M3、P3の磁気特性を表1に示した。また、磁石組成を表2に示した。フッ化プラセオジムの吸収処理を施していない磁石(P3)の磁気特性と比較して、本発明による磁石はほぼ同等な残留磁束密度と、より高い保磁力が得られている。続いて、実施例1と同じ方法で、渦電流損失を測定した。この結果も表1に併記してある。本発明のM3はP3と比較して半分以下の低い値を示している。EPMAにより磁石体M3の表面層における各元素の濃度分布を測定した結果、実施例1と同様な形態で多数のROF粒子が存在していた。
[実施例4、比較例4]
純度99質量%以上のNd、Co、Al、Feメタルとフェロボロンを所定量秤量してAr雰囲気中で高周波溶解し、この合金溶湯をAr雰囲気中で銅製単ロールに注湯するストリップキャスト法により薄板状の合金とした。得られた合金の組成はNdが12.8原子%、Coが1.0原子%、Alが0.5原子%、Bが5.8原子%、Feが残部であり、これを合金Aと称する。合金Aに水素を吸蔵させた後、真空排気を行いながら500℃まで加熱して部分的に水素を放出させる、いわゆる水素粉砕により30メッシュ以下の粗粉とした。更に純度99質量%以上のNd、Dy、Fe、Co、Al、Cuメタルとフェロボロンを所定量秤量し、Ar雰囲気中で高周波溶解した後、鋳造した。得られた合金の組成はNdが20原子%、Dyが10原子%、Feが24原子%、Bが6原子%、Alが1原子%、Cuが2原子%、Coが残部であり、これを合金Bと称する。合金Bは窒素雰囲気中、ブラウンミルを用いて30メッシュ以下に粗粉砕された。
続いて、合金A粉末を88質量%、合金B粉末を12質量%秤量して、窒素置換したVブレンダー中で30分間混合した。この混合粉末は高圧窒素ガスを用いたジェットミルにて、粉末の質量中位粒径5.5μmに微粉砕された。得られた混合微粉末を窒素雰囲気下15kOeの磁界中で配向させながら、約1ton/cm2の圧力で成形した。次いで、この成形体はAr雰囲気の焼結炉内に投入され、1,060℃で2時間焼結して磁石ブロックを作製した。ここまでの工程は酸素濃度21%雰囲気下で行い、得られた磁石体の酸素濃度は2.4原子%であった。磁石ブロックはダイヤモンドカッターにより50×50×5mmに全面研削加工された。
研削加工された磁石体をアルカリ溶液で洗浄した後、酸洗浄して乾燥させた。各洗浄の前後には純水による洗浄工程が含まれている。
次に、平均粉末粒径が5μmのフッ化ディスプロシウムを質量分率50%でエタノールと混合し、これに超音波を印加しながら磁石体を1分間浸した。引き上げた磁石は直ちに熱風により乾燥させた。この時のフッ化ディスプロシウムの供給量は1.4mg/cm2であった。これにAr雰囲気中900℃で1時間という条件で吸収処理を施し、更に500℃で1時間時効処理して急冷することで、磁石体を得た。これを磁石体M4と称する。比較のためにフッ化ディスプロシウムを付着させずに熱処理を施した磁石体も作製した。これをP4と称する。
磁石体M4、P4の磁気特性を表1に示した。また、磁石組成を表2に示した。フッ化ディスプロシウムの吸収処理を施していない磁石(P4)の磁気特性と比較して、本発明による磁石はほぼ同等な残留磁束密度と、より高い保磁力が得られている。続いて、実施例1と同じ方法で、渦電流損失を測定した。この結果も表1に併記してある。本発明のM4はP4の5.53Wと比較して半分以下である2.25Wという低い値を示している。図3にEPMAによる磁石体M4の表面層におけるNd(図3(d))、O(図3(e))、F(図3(f))の組成像を示す。表面層には多数のNdOF粒子が存在しており、この領域における分散頻度は3,200個/mm2、面積率は8.5%であった。更に、実施例1と同様の方法で比抵抗を測定した。図4に、比抵抗と研磨により削られた表面層の厚さの関係を示した。磁石体表面から深さ170μm以上では、従来と同じ低い比抵抗となっている。
[実施例5、比較例5]
純度99質量%以上のNd、Co、Al、Feメタルとフェロボロンを所定量秤量してAr雰囲気中で高周波溶解し、この合金溶湯をAr雰囲気中で銅製単ロールに注湯するストリップキャスト法により薄板状の合金とした。得られた合金の組成はNdが12.8原子%、Coが1.0原子%、Alが0.5原子%、Bが5.8原子%、Feが残部であり、これを合金Aと称する。合金Aに水素を吸蔵させた後、真空排気を行いながら500℃まで加熱して部分的に水素を放出させる、いわゆる水素粉砕により30メッシュ以下の粗粉とした。更に純度99質量%以上のNd、Dy、Fe、Co、Al、Cuメタルとフェロボロンを所定量秤量し、Ar雰囲気中で高周波溶解した後、鋳造した。得られた合金の組成はNdが20原子%、Dyが10原子%、Feが24原子%、Bが6原子%、Alが1原子%、Cuが2原子%、Coが残部であり、これを合金Bと称する。合金Bは窒素雰囲気中、ブラウンミルを用いて30メッシュ以下に粗粉砕された。
続いて、合金A粉末を93質量%、合金B粉末を7質量%秤量して、窒素置換したVブレンダー中で30分間混合した。この混合粉末は高圧窒素ガスを用いたジェットミルにて、粉末の質量中位粒径4μmに微粉砕された。得られた混合微粉末を窒素雰囲気下15kOeの磁界中で配向させながら、約1ton/cm2の圧力で成形した。次いで、この成形体はAr雰囲気の焼結炉内に投入され、1,060℃で2時間焼結して磁石ブロックを作製した。ここまでの工程は低酸素雰囲気下で行い、得られた磁石体の酸素濃度は0.73原子%であった。磁石ブロックはダイヤモンドカッターにより50×50×5mmに全面研削加工された。
研削加工された磁石体をアルカリ溶液で洗浄した後、酸洗浄して乾燥させた。各洗浄の前後には純水による洗浄工程が含まれている。
次に、平均粉末粒径が10μmのフッ化カルシウムを質量分率50%でエタノールと混合し、これに超音波を印加しながら磁石体を1分間浸した。引き上げた磁石は直ちに熱風により乾燥させた。この時のフッ化カルシウムの供給量は0.7mg/cm2であった。これにAr雰囲気中900℃で1時間という条件で吸収処理を施し、更に500℃で1時間時効処理して急冷することで、磁石体を得た。これを磁石体M5と称する。比較のためにフッ化カルシウムを付着させずに熱処理を施した磁石体も作製した。これをP5と称する。
磁石体M5、P5の磁気特性を表1に示した。また、磁石組成を表2に示した。フッ化カルシウムの吸収処理を施していない磁石(P5)の磁気特性と比較して、本発明による磁石はほぼ同等な残留磁束密度と保磁力が得られている。続いて、実施例1と同じ方法で、渦電流損失を測定した。この結果も表1に併記してある。本発明のM5はP5の6.95Wと比較して半分以下である2.44Wという低い値を示している。EPMAにより磁石体M5の表面層における各元素の濃度分布を測定した結果、実施例1と同様な形態で多数のROF粒子が存在していた。
注1:磁石素材のR及びEに含まれている共通元素の合計量
注2:式(1)又は(2)中のMに相当する元素の合計量
分析値は、希土類元素・アルカリ土類金属元素については、実施例、比較例と同等の試料を王水によって全量溶かし、ICP法により求めた。酸素については不活性ガス融解赤外吸収測定法で、フッ素については水蒸気蒸留−アルフッソン比色法で求めた。
実施例1において作製された磁石体M1のNd組成像(a)、O組成像(b)、及びF組成像(c)を示した図である。 実施例1において作製された磁石体M1における比抵抗と磁石表面からの深さの関係を示す図である。 実施例4において作製された磁石体M4のNd組成像(d)、O組成像(e)、及びF組成像(f)を示した図である。 実施例4において作製された磁石体M4における比抵抗と磁石表面からの深さの関係を示す図である。

Claims (6)

  1. NdとDyとを含む母合金から得られた焼結磁石体の表面からNd、Pr、Dy又はアルカリ土類金属のフッ化物を吸収させることによって得られるか、又はNdを含む母合金から得られた焼結磁石体の表面からPrのフッ化物を吸収させることによって得られ、下記式(1)又は(2)
    abcdefg (1)
    (R・E)a+bcdefg (2)
    (式中、RはSc及びYを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、Eはアルカリ土類金属元素及び希土類元素から選ばれる1種又は2種以上であるが、RとEとが同一元素を含有していてもよく、RとEとが同一元素を含有していない場合は式(1)で表され、RとEとが同一元素を含有している場合は式(2)で表される。TはFe及びCoから選ばれる1種又は2種、AはB及びCから選ばれる1種又は2種、MはAl、Cu、Zn、In、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Hf、Ta、Wの中から選ばれる1種又は2種以上、a〜gは合金の原子%で、a、bは式(1)の場合は、10≦a≦15、0.005≦b≦2であり、式(2)の場合は10.005≦a+b≦17であり、3≦d≦15、0.01≦e≦4、0.04≦f≦4、0.01≦g≦11、残部がcである。)
    で示される組成を有する焼結磁石体であって、その構成元素であるFが磁石体中心より磁石体表面に向かって平均的に含有濃度が濃くなるように分布し、かつ該焼結磁石中の(R,E)214A正方晶からなる主相結晶粒の周りを取り囲む結晶粒界部において、結晶粒界に含まれるE/(R+E)の濃度が主相結晶粒中のE/(R+E)濃度より平均的に濃く、更に結晶粒界部の磁石体表面より少なくとも20μmの深さ領域にまで、結晶粒界部に(R,E)の酸フッ化物が存在し、該領域において円相当径が1μm以上の該酸フッ化物粒子が1平方ミリメートル当たり2,000個以上の割合で分散し、かつ当該酸フッ化物が面積分率で1%以上を占め、磁石体表層部の電気抵抗が内部より高いことを特徴とする渦電流損失を低減した傾斜機能性希土類永久磁石。
  2. RがNd及びDyからなり、EがMg、Ca、Pr、Nd、Tb及びDyから選ばれる請求項1記載の傾斜機能性希土類永久磁石。
  3. RがNd及び/又はPrを10原子%以上含有することを特徴とする請求項1又は2記載の傾斜機能性希土類永久磁石。
  4. TがFeを60原子%以上含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁石体表層部の電気抵抗が内部より高い、渦電流損失を低減した傾斜機能性希土類永久磁石。
  5. AがBを80原子%以上含有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の磁石体表層部の電気抵抗が内部より高い、渦電流損失を低減した傾斜機能性希土類永久磁石。
  6. NdとDyとを含む母合金から得られた焼結磁石体の表面に、Nd、Pr、Dy又はアルカリ土類金属のフッ化物の粉末を供給するか、又はNdを含む母合金から得られた焼結磁石体の表面にPrのフッ化物の粉末を供給し、熱処理を行って、下記式(1)又は(2)
    a b c d e f g (1)
    (R・E) a+b c d e f g (2)
    (式中、RはSc及びYを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、Eはアルカリ土類金属元素及び希土類元素から選ばれる1種又は2種以上であるが、RとEとが同一元素を含有していてもよく、RとEとが同一元素を含有していない場合は式(1)で表され、RとEとが同一元素を含有している場合は式(2)で表される。TはFe及びCoから選ばれる1種又は2種、AはB及びCから選ばれる1種又は2種、MはAl、Cu、Zn、In、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Hf、Ta、Wの中から選ばれる1種又は2種以上、a〜gは合金の原子%で、a、bは式(1)の場合は、10≦a≦15、0.005≦b≦2であり、式(2)の場合は10.005≦a+b≦17であり、3≦d≦15、0.01≦e≦4、0.04≦f≦4、0.01≦g≦11、残部がcである。)
    で示される組成を有する焼結磁石体であって、その構成元素であるFが磁石体中心より磁石体表面に向かって平均的に含有濃度が濃くなるように分布し、かつ該焼結磁石中の(R,E) 2 14 A正方晶からなる主相結晶粒の周りを取り囲む結晶粒界部において、結晶粒界に含まれるE/(R+E)の濃度が主相結晶粒中のE/(R+E)濃度より平均的に濃く、更に結晶粒界部の磁石体表面より少なくとも20μmの深さ領域にまで、結晶粒界部に(R,E)の酸フッ化物が存在し、該領域において円相当径が1μm以上の該酸フッ化物粒子が1平方ミリメートル当たり2,000個以上の割合で分散し、かつ当該酸フッ化物が面積分率で1%以上を占め、磁石体表層部の電気抵抗が内部より高いことを特徴とする渦電流損失を低減した傾斜機能性希土類永久磁石を得ることを特徴とする希土類永久磁石の製造方法。
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