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JP4799769B2 - GaP系発光ダイオード - Google Patents

GaP系発光ダイオード Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リン化硼素系半導体層のpn接合を利用して、電流阻止或いは電流狭窄の機能を実現した積層構造を具備したIII−V族化合物半導体発光素子を構成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
リン化ガリウム(GaP)系III−V族化合物半導体を発光層として利用する発光素子として例えば、リン化ガリウム(GaP)緑色帯発光ダイオード(LED)が公知である(寺本 巖著、「半導体デバイス概論」((株)培風館、1995年3月30日発行初版、118〜121頁参照)。また、III−V族化合物半導体発光素子の別の例として砒化リン化ガリウム(GaAs1-XX:0≦X≦1)黄色帯LEDが知れている(上記の「半導体デバイス概論」、114〜116頁参照)。また、最近では、III族窒化物半導体の一種である窒化リン化ガリウム混晶(GaN1-XX:0≦X≦1)を発光層とする青紫色帯窒化ガリウム系LEDが開発されている(2001年(平成13年)年春季第48回応用物理学関係連合講演会講演予稿集、No.1、425頁、31a−M−2参照)。
【0003】
従来より、例えば、GaPLEDは主に液相エピタキシャル(LPE)手段により成膜した数ミクロンメーター(μm)或いは数十μm程度の厚い膜を利用して構成されている(G.B.STRINGFELLOW他編著、”High Brightness Light Emitting Diodes”(ACADEMIC PRESS(San Diego,U.S.A.、1997)、6〜7頁参照)。また、従来のGaAs1-XX(0≦X≦1)LEDはハイドライド(hydride)気相成長手段により成膜した数μmから数十μmの厚膜を利用して構成されている(上記の”High Brightness LightEmitting Diodes”、47〜48頁参照)。これらの従来のGaP系LEDでは、発光層とLED駆動電流を供給するために発光部の表面上方に設けられる表面電極との中間に厚膜が配置される構成となっている。即ち、厚膜の配置により、表面電極と発光層との距離を大きく隔てている構造となっている。このため、駆動電流は発光層に到達する以前に厚膜内部で横方向に拡散させられ、発光領域に都合良く駆動電流を分散できる構成となっている。
【0004】
一方で、有機金属熱分解気相成長(MOCVD)手段による薄膜を利用するLEDにあっては、表面電極と発光領域との距離はGaP系LED程、大ではないのが一般的である。このため、LED駆動電流は横方向に拡散するよりも、表面電極の直下の発光領域(所謂、表面電極の射影(shadow)領域)に短絡的に流入してしまうため、発光領域の拡張を充分に達成できない。従来より、高輝度化を達成するための一手段として、LED駆動電流を外部視野方向に開口された発光領域(開口発光領域)に流通させる技術手段が知れている(上記の”High Brightness Light Emitting Diodes”、178〜180頁参照)。この方法の目的は、LED駆動電流を限定された領域、即ち、開口発光領域に優先的に集中的に流通させる作用を有する電流阻止層を配置することをもって達成されている。
【0005】
LEDにあっては、電流阻止層は、素子駆動電流を供給するために発光部上に設けられる台座(pad)電極等の表面電極の下方に敷設されるのが通常である。例えば、リン化アルミニウム・ガリウム・インジウム混晶((AlXGa1-XYIn1-YP:0≦X≦1、0<Y<1)系LEDにあって、電流ブロック(block)層とも呼称される電流阻止層は、表面電極の発光部への射影領域(上記の開口発光領域以外の素子領域に相当する)に配置するのが一般的となっている(Appl.Phys.Lett.,61(15)(1992)、1775〜1777頁参照)。
【0006】
電流阻止層は、例えば、クラッド(障壁)層と発光層との接合構造からなる発光部の構成層とのpn接合構造をもって従来から構成されている(上記の”High Brightness Light Emitting Diodes”、178〜180頁参照)。例えば、従来の(Al1-XGaXYIn1-YP(0≦X≦1、0<Y<1)系LEDにあっては、電流阻止層をp形(Al0.49Ga0.510.50In0.50P発光層に接合するn形(Al0.60Ga0.400.50In0.50Pクラッド層内部にマグネシウム(Mg)をイオン注入して形成したpn接合構造から構成する例がある(特開平7−326793号公報参照)。また、ダブルヘテロ接合(DH)構造発光部の一構成層であるp形(Al0.7Ga0.30.5In0.5P上部クラッド(clad)層とn形(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pブロック層とのpn接合構造より電流阻止機能層が構成されている(上記のAppl.Phys.Lett.,61(1992)参照)。
【0007】
一方、従来のIII−V族化合物半導体レーザーダイオード(LD)に於いても、LEDの電流阻止層と類似の作用を発揮する機能層として電流狭窄層が利用されている(上記の「半導体デバイス概論」、126〜127頁参照)。最近では、電流狭窄層をリン化硼素(BP)から構成する技術例が開示されている(特開平10−242569号公報参照)。リン化硼素の室温禁止帯幅として、従来より2エレクトロンボルト(eV)の値が通用している(▲1▼上記の「半導体デバイス概論」、28頁、▲2▼RCA Review,25(1964)、159〜167頁、及び▲3▼Z.anorg.allg.chem.,349(1967)、151〜157頁参照)。上記の電流狭窄層も、室温での禁止帯幅を2.0eVとするリン化硼素から構成されるものとなっている(特開平2−275682号公報、特開平10−247760号、特開平10−247761号公報参照)。
【0008】
また、リン化硼素はフィリップスのイオン結合度が0.006と低い(フィリップス著、「半導体結合論」((株)吉岡書店、1985年7月25日発行、第3刷)、49〜51頁参照)。また、例えば、砒化硼素(BAs)に至っては0.002とイオン結合度は更に小さい(上記の「半導体結合論」、49〜51頁参照)。従って、リン化砒素(BP)系III−V族化合物半導体からは、電流阻止層をなすpn接合構造を得られ易い特徴を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
GaP系LEDは、同一の素材からなる半導体層の同種(ホモ:homo)接合型構造から構成されている。キャリアの「閉じ込め」効果(上記の「半導体デバイス概論」、124〜125頁参照)に因る発光強度の向上が期待できる異種(ヘテロ:hetero)接合型構造のGaP系LEDは実用化されてはいない。ましてや、例えば、上記のリン化硼素系半導体層の特性を活用して構成された電流阻止機能構造を備えたGaP系LEDを得るための技術は開示されていないのが現状である。従来のホモ接合型GaP系LEDに比較して、より発光強度に優れるGaP系LEDを得るためには、発光部をヘテロ接合構造より構成する、あるいは、電流阻止作用を発揮するに有効な機能構造を構成するための技術措置を施すのが肝要となっている。
【0010】
また、従来より電流阻止層を構成するに利用されているリン化硼素系半導体層の禁止帯幅は2eVと低いが故に、緑色帯等の短波長可視光に対して不透明であるため、吸収による発光強度の損失が大となってしまう欠点があった(上記の▲1▼特開平2−288388号公報参照)。例えば、レーザー光を電流狭窄部位を透過させずに水平方向に発振させる構造を採るLDでは、電流狭窄層による吸収は発振光の強度に然したる影響を及ぼさない。一方、LDとは相違して、発光を電流阻止作用を有する機能部位の構成層を透過させて外部視野方向に取り出す構造となっているのが一般的なLEDの構造である。従って、この様な低い禁止帯幅の半導体層から電流阻止層を構成すると、発光が吸収され、高発光強度のLEDを得るには不都合となる問題点がある。
【0011】
従来では、例えば、禁止帯幅が2.7eV以上と充分に大きく、電流阻止機能を果たすpn接合構造体を構成するに好都合となる伝導形(pn)制御が可能で、結晶の質も良好であると云う条件を満足する半導体材料は存在しないとされている(上記の特開平10−247760号公報参照)。このため、従来に於いては、禁止帯幅を2eVとするリン化硼素と、窒化アルミニウム(AlN)系混晶との超格子構造を作製して、室温禁止帯幅を2eV以上とする構造体を得る技術が開示されている(上記の特開平2−275682号参照)。しかし、この従来技術手段では、敢えて、超格子構造を形成する必要に迫られる煩雑な問題点を有している。
【0012】
本発明は、上記の従来技術の欠点を克服するべくなされたもので、(ア)電流阻止機能を発揮する、ホモ接合型或いはヘテロ接合型の発光部を備えたGaP系LEDを構成するための技術、また、(イ)電流阻止機能構造を伝導性の制御を容易に行えるリン化硼素系半導体層を利用して構成するための技術、及び(ウ)短波長可視波長領域の発光を透過するに好都合に作用する禁止帯幅の大きなリン化硼素系半導体層を提供するための技術を提示することを主たる趣旨とするものである。
【0013】
また、本発明は、上記の提示技術を基に構成された電流阻止機能構造を具備するGaP系LED、並びに同GaP系LEDを用いたランプ(lamp)及びそのランプを利用してなる光源を提供するものである。併せて、本発明は、特に、緑色帯或いは黄色帯の可視光を都合良く透過する禁止帯幅の大きなリン化硼素系半導体層を簡便に形成するための製造方法を提供すると共に、上記のGaP系LED、ランプ、及び光源を形成するための製造方法を提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、裏面に裏面電極を備えた導電性の結晶基板と、基板上に積層されたGaP系半導体からなる発光層を含む発光部と、発光部上に表面電極を備えたGaP系発光LEDにあって、次記の1.乃至19.に記載の特徴を有するGaP系LEDを提供するものである。特に、下記の1.〜4.に記載の発明では、GaP系LEDに好適となる電流阻止機能部の構成手段及び配置手段を提供するものである。
1.裏面に裏面電極を備えた導電性の結晶基板と、基板上に積層されたリン化ガリウム(GaP)系半導体からなる発光層を含む発光部と、発光部上に表面電極を備えたGaP系発光ダイオードに於いて、表面電極の射影領域に、発光部の一構成層に接合して、第1の含硼素III−V族化合物半導体層が設けられ、第1の含硼素III−V族化合物半導体層に接合して、第2の含硼素III−V族化合物半導体層が備えられていることを特徴とするGaP系発光ダイオード。
2.第2の含硼素III−V族化合物半導体層が、第1の含硼素III−V族化合物半導体層と反対の伝導形の導電層から構成されていることを特徴とする前記1.に記載のGaP系発光ダイオード。
3.上記の射影領域に、第1の含硼素III−V族化合物半導体層と、第1の含硼素III−V族化合物半導体層に接合する発光部の一構成層とで構成されるpn接合構造が備えられていることを特徴とする前記1.または2.に記載のGaP系発光ダイオード。
4.上記の射影領域に在る第1の含硼素III−V族化合物半導体層の表面と、上記の射影領域以外の素子領域に露呈した発光部の一構成層の表面とを被覆する、第2の含硼素III−V族化合物半導体層が備えられていることを特徴とする前記1.乃至3.に記載のGaP系発光ダイオード。
【0015】
また本発明のGaP系発光ダイオードは、上記の1.乃至4.に記載の基本的構成に加えて、
5.第2の含硼素III−V族化合物半導体層を、接合をなす発光部の一構成層と同一の伝導形の導電層とすることを特徴とする。
上記の発明は、第2の含硼素III−V族化合物半導体層を発光部の構成層とヘテロ接合するヘテロ接合層として利用して、ヘテロ接合構造のGaP系LEDを提供するものである。
【0016】
また本発明GaP系発光ダイオードは、前記1.乃至5.に記載の発明の構成に加えて、
6.第2の含硼素III−V族化合物半導体層の平面積を、第1の含硼素III−V族化合物半導体層の平面積を越えて大としたことを特徴とする。
上記の発明は、第2の含硼素III−V族化合物半導体層を発光部構成層とのヘテロ接合層として備え、且つ表面電極より供給される駆動電流を開口発光領域に広範囲に拡散させる電流拡散層として利用したGaP系LEDを提供する。
また本発明は、電流阻止機能部位の設置領域を徒に大とすることなく、開口発光領域の不要な縮小を抑制するため、
7.第1の含硼素III−V族化合物半導体層の平面積(S:cm2)を表面電極の最大の平面積(S0:cm2)に対し、関係式0.7≦S/S0≦1.5で示される範囲としたことを特徴とする前記6.に記載のGaP系発光ダイオード
を提供する。
【0017】
また、次の8.及び9.に記載の発明は、発光部の一構成層に格子整合する含硼素III−V族化合物半導体層からヘテロ接合層を構成する技術手段を利用したGaP系LEDに関するものである。
8.第1の含硼素III−V族化合物半導体層が、接合させる発光部の一構成層と同一の格子定数を有する格子整合層から構成されていることを特徴とする上記の1.乃至7.の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオード。
9.第2の含硼素III−V族化合物半導体層が、接合させる発光部の一構成層と同一の格子定数を有する格子整合層から構成されていることを特徴とする上記の1.乃至8.の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオード
【0018】
また、上記の1.乃至9.に記載の発明の構成に加えて、
10.第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層が、非晶質層または多結晶層から構成されていることを特徴とするGaP系発光ダイオードでは、熱的変質が回避された発光部を備えたGaP系LEDが提供される。
【0019】
また、本発明では、含硼素III−V族化合物半導体層をリン化硼素系半導体層から構成した次の11.乃至15.項に記載のGaP系LEDを提供する。特に、14.及び15.項では、障壁層として好都合に利用できる禁止帯幅の大きなリン化硼素系半導体層を備えたGaP系LEDを提供する。すなわち本発明は、
11.第1の含硼素III−V族化合物半導体層が、リン化硼素(BP)系半導体層から構成されていることを特徴とする前記1.乃至10.の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオード。
12.第2の含硼素III−V族化合物半導体層が、リン化硼素(BP)系半導体層から構成されていることを特徴とする前記1.乃至11.の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオード。
13.第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層が、同一のリン化硼素(BP)系半導体層から構成されていることを特徴とする前記1.乃至12.の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオード。
14.第1または第2の含硼素III−V族化合物半導体層が、室温での禁止帯幅を3.0±0.2eVとするリン化硼素を基材として構成されていることを特徴とする前記1.乃至13.の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオード。
15.第1または第2の含硼素III−V族化合物半導体層が、室温での禁止帯幅を3.0±0.2eVとする単量体のリン化硼素層から構成されていることを特徴とする前記1.乃至14.の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオード。
である。
【0020】
また本発明では、上記の1.乃至15.項に記載の発明の構成に加えて、次の16.及び19.項に記載の特定されたGaP系半導体材料からなる発光層を備えたGaP系LEDを提供する。すなわち本発明は、
16.発光部に備えられている発光層が、砒化リン化ガリウム(GaAs1-XX0<X≦1)から構成されていることを特徴とする前記1.乃至15.の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオード。
17.発光層とする砒化リン化ガリウム(GaAs1-XX0<X≦1)には、窒素(N)が添加されていることを特徴とする前記16.に記載のGaP系発光ダイオード。
18.発光部に備えられている発光層が、窒化リン化ガリウム(GaN1-XX0<X≦1)から構成されていることを特徴とする前記1.乃至15.の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオード。
19.第2の含硼素III−V族化合物半導体層を、発光層に接合する障壁層として設けられていることを特徴とする16.乃至18.の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオードである。
【0021】
また本発明は、上記の1.〜19.項に係わるGaP系発光ダイオードを利用した次の20.及び21.項に記載のランプあるいは光源である。
20.前記1.乃至19.の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオードを用いたランプ。
21.前記20.に記載のGaP系発光ダイオードを用いたランプから作製された光源。
【0022】
また本発明では、上記の1.乃至19.項に記載のGaP系発光ダイオードを製造するために、次の22.乃至26.項に記載のGaP系発光ダイオードの製造方法を提供する。すなわち本発明は、
22.導電性結晶基板上の、発光部の一構成層上に第1の含硼素III−V族化合物半導体層を形成し、発光部上に設ける表面電極の射影領域以外の素子領域に在る第1の含硼素III−V族化合物半導体層を除去した後に、射影領域に残置された第1の含硼素III−V族化合物半導体層の表面と素子領域に露呈した発光部の一構成層の表面とを被覆する第2の含硼素III−V族化合物半導体層を形成することを特徴とする前記1.乃至19.の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオードの製造方法。
23.導電性結晶基板上に発光部を形成した後、発光部の構成層よりも低温で第1の含硼素III−V族化合物半導体層を形成することを特徴とする前記22.に記載のGaP系発光ダイオードの製造方法。
24.導電性結晶基板上に発光部と第1の含硼素III−V族化合物半導体層を形成した後、発光部の構成層よりも低温で第2の含硼素III−V族化合物半導体層を形成することを特徴とする前記22.または23.に記載のGaP系発光ダイオードの製造方法。
25.第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層を同一の温度で形成することを特徴とする前記22.乃至24.の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオードの製造方法。
26.第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層を、250℃以上750℃以下の温度で形成することを特徴とする前記22.乃至25.の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオードの製造方法。
である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明に係わるGaP系発光ダイオードは、基板上に積層させた積層構造体を母材として構成する。基板材料としては、半導体単結晶が好適に利用できる。例えば、珪素単結晶(シリコン:Si)や炭化珪素(SiC)等のIV族半導体単結晶が基板として利用できる。また、砒化ガリウム(GaAs)やリン化ガリウム(GaP)或いはリン化硼素(BP)(J.Electrochem.Soc.,120(1973)、p.p.802〜806.参照)、または窒化ガリウム(GaN)等のIII−V族化合物半導体単結晶が利用できる。特に、格子整合性の観点からして、GaAs1-XX(0≦X≦1)層を発光層として備えたGaP系LEDには、GaAs単結晶が好適な基板である。同じく、GaP層を発光層とするGaP系LEDは、GaP単結晶を基板として好適に構成できる。また、サファイア(α−Al23単結晶)や酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物単結晶、或いは、モリブデン(Mo)などの高融点金属類を基板として利用できる。基板となす単結晶の厚さ、面方位等はLED用途積層構造体の構成層との格子定数を勘案して適宣、選択できる。
【0024】
基板上には、例えば、III−V族化合物半導体からなる緩衝(buffer)層を介して発光層を備えた発光部を構成する。緩衝層は例えば、低温で成長させた非晶質層或いは多結晶層から構成できる。また、例えば、超格子構造層から構成できる。特に、基板材料と積層構造体の構成層とが格子不整合である場合、歪超格子構造の緩衝層は、格子の不整合性を緩和して結晶性に優れう得る積層構造体構成層をもたらすに貢献できる。また、層厚方向に組成の勾配を付した組成勾配層から構成される緩衝層も、格子不整合性を緩和するに有効に作用する。発光部を緩衝層に直接、接合させて設ける構成の場合、発光部より出射される発光を充分に透過できる禁止帯幅の大きな材料から緩衝層を構成すると、外部への発光の取り出し効率を向上でき、高輝度のGaP系LEDを得るに有利となる。緩衝層上に設けられる、発光を反射する半導体層を重層させてなる半導体多層膜反射鏡(伊賀、小山共著、「面発光レーザ」((株)オーム社、1990年9月25日第1版第1刷発行)、181〜184頁参照)を介して発光部を設けることもできる。
【0025】
発光部とは発光を出射するための機能部位であり発光層、または単一ヘテロ(SH)接合構造型では発光層と障壁(クラッド)層、または二重ヘテロ(DH)接合構造では発光層と上部クラッド層と下部クラッド層から構成する。発光層はp形或いはn形の導電層から構成する。SH接合構造にあって、クラッド層は発光層と反対の伝導形の導電層から構成する。DH接合構造は、p形クラッド層とn形クラッド層とで発光層を挟持して発光部を構成する。本発明に係わるGaP系LEDの発光層は所望の発光波長に相応する遷移エネルギーを与えるGaP結晶から構成する。また、発光波長に対応する禁止帯幅を有するGaAs1-XXから構成する。
【0026】
発光層は量子井戸(quantum well)構造からも構成できる。例えば、単一量子井戸(SQW)構造または多重量子井戸(MQW)から構成できる。また例えば、歪超格子構造と量子井戸構造との接合体をもって発光層とすることもできる。
【0027】
本発明では、発光部上に含硼素III−V族化合物半導体層から構成されるpn接合構造を設ける。含硼素III−V族化合物半導体には、例えば、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γ1- δAsδ(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0≦δ≦1)で表記されるIII−V族化合物半導体がある。また、例えば、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γ1- δδ(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1)で表記される窒素を含むIII−V族化合物半導体がある。具体的には、リン化アルミニウム・硼素混晶(BαAlβP:0<α≦1、α+β=1)、リン化硼素・ガリウム混晶(BαGaγP:0<α≦1、α+γ=1)或いはリン化硼素・インジウム混晶(BαIn1- αP:0<α≦1)が例示できる。また、例えば、窒化リン化硼素(BP1-XX:0<X<1)などの複数のV族元素を構成元素とする複V族III族窒化物半導体が例示できる。
【0028】
前述の如くリン化硼素(BP)または砒化硼素(BAs)は、イオン結合性が低い(上記の「半導体結合論」、49〜51頁参照)。また、その結晶型は硫化亜鉛鉱型(spharelite)(上記の「半導体結合論」、14〜15頁参照)であり、立方晶特有の価電子帯の縮帯構造を保有している(生駒 英明、生駒俊明共著、「化合物半導体の基礎物性入門」((株)培風館、1991年9月10日発行初版)、17頁参照)。このため、伝導層、特にp形の導電層を得られ易い利点がある。従って、硼素と、リン(P)または砒素(As)を構成元素として含む含硼素III−V族化合物半導体層からは、都合良く電流阻止作用を発揮す機能部位(pn接合型電流阻止層)を構成できる。
【0029】
電流阻止層は、本発明の第1の実施形態では、第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層を接合させて構成する。此処では、発光部の構成層に接合する層を第1の含硼素III−V族化合物半導体層と仮称する。例えば、発光部の構成層上に高抵抗の第1の含硼素III−V族化合物半導層を接合させる。次に、第1の含硼素III−V族化合物半導体層に導電性の第2の含硼素III−V族化合物半導体層を接合させる。高抵抗の第1の含硼素III−V族化合物半導体層は、上方に設けられる表面電極から表面電極の直下の発光部へのLED駆動電流の短絡的流通を阻止する作用を発揮する。導電性の第2の含硼素III−V族化合物半導体層は、高抵抗の第1の含硼素III−V族化合物半導体層の作用によって阻止された駆動電流を、表面電極の直下以外の領域に分散して流通させる作用を有する。即ち、高抵抗層と導電層の含硼素III−V族化合物半導体層とを接合させることにより、電流阻止機能を発揮する構造を構成できる。
【0030】
導電性の第2の含硼素III−V族化合物半導体層よりも約2桁、望ましくは3桁以上高い抵抗を有する高抵抗層から第1のIII−V族化合物半導体層を構成すると、電流阻止機能をより効果的に発揮できる部位を構成できる。高抵抗の第1の含硼素III−V族化合物半導体層の抵抗は、望ましくは100オーム(Ω)以上、更に望ましくは1キロオーム(kΩ)以上である。また、例えば、抵抗率を103Ω・cm以上とする絶縁層からも構成できる。抵抗率(=比抵抗)は例えば、通常のホール(Hall)効果測定手段等により測定できる。第1の含硼素III−V族化合物半導体層を導電層とし、第2の含硼素III−V族化合物半導体層を高抵抗層或いは絶縁層としても電流阻止層を構成できる。しかし、この接合構造では、特に、高抵抗の第2の含硼素III−V族化合物半導体層上に表面電極を設置する構成では、表面電極の接触抵抗が増加し、しいては、LEDの順方向電圧(所謂、Vf)が増加するため好ましい構成とは成り難い。
【0031】
本発明の第2の実施形態では、電流阻止機能部位をpn接合構造から構成する。pn接合構造は、伝導形を相違する第1と第2の含硼素III−V族化合物半導体層を接合させて構成する。例えば、n形の含硼素III−V族化合物半導体層と、p形の含硼素III−V族化合物半導体層との接合構成からpn接合を構成する。pn接合構造は、そのキャリア濃度(正孔濃度或いは電子濃度)に於ける零(0)バイアスでの空乏層(depletion layer)の深さを越えた層厚の含硼素III−V族化合物半導体層から構成するのが望ましい。空乏層の深さは、キャリア濃度の増加と共に減少し、キャリア濃度、比誘電率等を利用して算出できる(A.S.Groov著、「Physics and Technology of Semiconductor Devices」(John Wiley & Sons、Inc.,1967、159頁参照)。ちなみに、含硼素III−V族化合物半導体の一種であるリン化硼素(BP)(Nature、179(No.4569)(1957)、1075頁参照)の比誘電率は約8.02と予想されている(W.A.ハリソン著、「固体の電子構造と物性(上巻)」(現代工学社、1987年5月30日発行二版)、122頁参照)。
【0032】
電流阻止機能部は、LED駆動電流を供給するリード線を結線するための台座(pad)電極等の表面電極の直下の射影領域に設ける。射影領域とは鉛直方向への台座電極の写影領域を指し、その領域の最大の平面積は表面電極の最大の水平断面積に等しいものとなる。本発明の第3の実施形態では、発光部の一構成層とそれに接合させる第1の含硼素III−V族化合物半導体層とでpn接合構造を構成する。例えば、p形クラッド層にn形の第1の含硼素III−V族化合物半導体層を接合させてpn接合構造を構成する。また、例えば、n形GaP発光層にはp形の第1の含硼素III−V族化合物半導体層を接合させてpn接合構造を構成する。本発明の第3の実施形態に記載の発明に係わるpn接合構造は、第2の実施形態に係わるpn接合構造と同様の電流阻止機能作用を果たすが、pn接合構造体の構成要素を相違するものである。即ち、本発明の第3の実施形態に記載の発明では、発光部の一構成層を利用して簡便に電流阻止用pn接合構造を構成しているのを特徴としている。
【0033】
高抵抗層或いはpn接合構造からなる電流阻止機能部位を構成するにあって、第1の含硼素III−V族化合物半導体層に接合させる第2の含硼素III−V族化合物半導体層を表面電極の射影領域以外の表面を被覆する様に設けると、LED駆動電流を開口発光領域に広範囲に拡散させられる利点がある。即ち、電流阻止機能部位を設けることに依って、射影領域に在る発光部への短絡的な流通を抑止された駆動電流を第2の含硼素III−V族化合物半導体層の導電性を利用して開口発光領域に有効に分散、拡散できる。このため、光電変換効率に優れ、且つ高輝度のGaP系LEDを得るに効果がある。特に、本発明の第4の実施形態の発明では、第1の含硼素III−V族化合物半導体層の表面を被覆する様に第2の含硼素III−V族化合物半導体層を設け、第2の含硼素III−V族化合物半導体層上に表面電極を設ける構成とするのが好適である。この様な構成では、第2の含硼素III−V族化合物半導体層の導電性を利用して、同層内の水平方向にLED駆動電流を分散でき、従って、開口発光領域に優先的に且つ集中的に流通させられる効果がある。
【0034】
例えば、発光層と障壁層とのpn接合型ヘテロ接合構造発光部にあって、開口領域に於いて第2の含硼素III−V族化合物半導体層を障壁層に接合させて設ける場合、障壁層と同一の伝導形の導電層から第2の含硼素III−V族化合物半導体層を構成すれば、開口発光領域での発光部構成層とのpn接合の形成を回避できる。このため、素子駆動電流の開口発光領域を介して、開放発光領域に万遍なく供給することができる。従って、本発明の第5の実施形態では、第2の含硼素III−V族化合物半導体層を、それと接合する発光層の一構成層、特に障壁層と同一の伝導形の導電層から構成することとして、高輝度のGaP系LEDを獲得するものである。尚、発光層に直接、第2の含硼素III−V族化合物半導体層を接合させる構成に於いては、第2の含硼素III−V族化合物半導体層の伝導形は発光層と同一或いは相違しても差し支えはない。例えば、リン化ガリウム(GaP)のホモ(homo)接合構造発光部を備えたGaP系LEDにあっては、n形のGaP発光層にp形の第2の含硼素III−V族化合物半導体層を接合させて発光部を構成することができる。
【0035】
特に、第2の含硼素III−V族化合物半導体層を、下方で接合する第1の含硼素III−V族化合物半導体層の表面の平面積を越えて大とする領域に配置することにより、LED駆動電流を分散できる領域を拡張できる。第2の含硼素III−V族化合物半導体層が敷設されている平面領域を大とする程、LED駆動電流を分散、拡散できる領域は広範囲となる。従って、本発明の第6の実施形態では、例えば、第1の含硼素III−V族化合物半導体層の表面を被覆しつつ、第2の含硼素III−V族化合物半導体層を開口発光領域の全面或いは略全面に敷設するのを好適とする。
【0036】
逆に、電流阻止機能部を構成する第1の含硼素III−V族化合物半導体層の設置平面積を徒に大とすると、LED駆動電流の通流が阻止される領域が増加するため、高輝度のGaP系LEDを得るに不都合となる。表面電極の最大の平面積(=S0:cm2)に対し、直下に配置する第1の含硼素III−V族化合物半導体層の平面積(=S:cm2)の比率(=S/S0)を例えば、2とすると一定の素子形成領域に占める電流阻止機能部の領域が大となる反面、開口発光領域の表面積が顕著に縮小されるため、高輝度のGaP系LEDを得るに不都合となる。また、S/S0が例えば、0.5以下となると、電流阻止機能を充分に発揮できず、多くのLED駆動電流を効率的に開口発光領域に流通できず高輝度のGaP系LEDを得るに不利となる。好適なS/S0の範囲は、0.7≦S/S0≦1.5である。本発明の第7の実施形態の一例として、直径を120μmとする円形の表面台座電極(S0≒1.1×10-4cm2)に対し、その直下の射影領域に直径を140μmとする第1の含硼素III−V族化合物半導体層(S≒1.5×10-4cm2;S/S0≒1.4)を配置する例が挙げられる。
【0037】
第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層から電流阻止機能部位を構成するに際し、下地層となる発光部の一構成層に格子整合する含硼素III−V族化合物半導体材料から構成すると、特に結晶性に優れる第1の含硼素III−V族化合物半導体層を得られる。即ち、本発明の第8の実施形態は、格子ミスマッチ(mismatch)に因るミスフィット(misfit)転位等の結晶欠陥の発生を抑制しつつ、良質の第1の含硼素III−V族化合物半導体層をもたらすことを目的としている。
【0038】
また、本発明の第9の実施形態では、第2の含硼素III−V族化合物半導体層を第1の含硼素III−V族化合物半導体層に格子整合する材料から構成することとする。接合させる発光部の一構成層に格子整合する第2の含硼素III−V族化合物半導体層をもって、開口発光領域を被覆すれば、発光部の内部への格子不整合に起因する結晶欠陥の導入を回避できるため、発光部構成層の結晶品質を良好に維持できる効果が上げられる。また、第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層を互いに格子整合の関係にある材料から構成することにより、例えば、良好な電流阻止作用を発揮できる整流性に優れるpn接合構造を構成できる利点がある。
【0039】
本発明の第10の実施形態に記載の発明によれば、発光部の構成層の結晶性や構成層相互の接合界面特性の熱的変質を抑制しつつ、第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層から電流阻止機能部位を構成できる。例えば、pn接合構造のpn接合界面の秩序性の熱的変性を回避するために、第10の実施形態では、低温で成膜した非晶質或いは多結晶の含硼素III−V族化合物半導体層から電流阻止機能部位を構成するのが特徴である。例えば、含硼素III−V族化合物半導体層として砒化硼素(BAs)を例に挙げるに、250℃〜750℃の低温度領域で成膜した非晶質を主体とする第1の砒化硼素層と、同じく非晶質を主体としてなる第2の砒化硼素層とで電流阻止機能部位を構成する。例えば、アルキル(alkyl)硼素化合物/ホスフィン(PH3)原料系MOCVD手段に依れば、上記の低温度範囲内に於いて、大凡、500℃を越える高温では多結晶の含硼素III−V族化合物半導体層が得られ易くなる。一方、成膜温度を低温とする程、非晶質を主体とする含硼素III−V族化合物半導体層が得られ易くなる。含硼素リン化硼素系半導体層が非晶質層或いは多結晶層であるかは一般的なX線回折法や電子線回折法等に依り解析できる。非晶質或いは多結晶の含硼素III−V族化合物半導体層は、約50nm〜約1000nm程度の層厚であるのが適する。層厚を好適な範囲内とするリン化硼素系III−V族化合物半導体層は、例えば、熱膨張率の差異に起因する格子歪を緩和して、発光層の結晶性を良好に保持する作用をも発揮する。
【0040】
MOCVD手段において、例えば、発光層となすリン化ガリウム(GaP)層の一般的な成膜温度は775℃〜825℃である(J.Crystal Growth、56(1982)、382〜388頁参照)。これに対し、発光部の構成層の成膜温度よりも低温で電流阻止機能部位を構成する手段に依れば、発光部構成層の特性の熱的劣化を防止しつつ、例えば、整流特性に優れるpn接合構造を構成できる利点がある。特に、第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層を同一の温度で成膜することにより、成膜温度の変化に伴い発光部の構成層が被る熱的歪等を低減でき、従って、例えば、良好な整流特性を発現できるpn接合構造から電流阻止機能部位を構成できる利点がある。
【0041】
本発明の第11の実施形態では、第1の含硼素III−V族化合物半導体層をリン化硼素(BP)系半導体層から構成することとする。リン化硼素系半導体とは、構成元素として硼素(B)及びリン(P)を含むIII−V族化合物半導体である。具体的には、上記の如く例えば、リン化アルミニウム・硼素混晶(BαAlβP:0<α≦1,α+β=1)やリン化硼素・ガリウム混晶(BαGaγP:0<α≦1,α+γ=1)である。また、例えば、窒化リン化硼素(BP1-XX:0<X<1)などの複数のV族元素を含む複V族III−V族化合物半導体である。リン化硼素(BP)は上記の如くイオン結合性が低い(上記の「半導体結合論」、49〜51頁参照)。このため、BPを母体材料としてなるBP系半導体からは、導電性の第1の含硼素III−V族化合物半導体層を簡便に構成できる利点がある。また、BP系半導体では、例えば、酸素(O)を添加することにより、高抵抗の第1の含硼素III−V族化合物半導体層をも簡便に構成できる利点がある。
【0042】
本発明の第12の実施形態では、第2の含硼素III−V族化合物半導体層をリン化硼素系半導体層から構成する。上記の如く、リン化硼素系半導体とは、構成元素として硼素(B)及びリン(P)を含むIII−V族化合物半導体である。具体的には、上記の如く例えば、リン化アルミニウム・硼素混晶(BαAlβP:0<α≦1,α+β=1)やリン化硼素・ガリウム混晶(BαGaγP:0<α≦1,α+γ=1)である。また、例えば、窒化リン化硼素(BP1-XX:0<X<1)などの複数のV族元素を含む複V族III−V族化合物半導体である。リン化硼素(BP)は、砒化硼素(BAs)程ではないが、前述の如くイオン結合性が低い(上記の「半導体結合論」、49〜51頁参照)。このため、BPを母体材料としてなるBP系半導体からは、導電性の第2の含硼素III−V族化合物半導体層を簡便に構成できる利点がある。また、砒化硼素(融点>1000℃)に比較して、BPは高融点である(>3000℃)(上記の「半導体デバイス概論」、28頁参照)。従って、成膜環境下に於ける被熱に因っても、接合特性の劣化を来さない例えば、pn接合構造をもたらす第2の含硼素III−V族化合物半導体層がもたらされる利点がある。
【0043】
また、本発明に係わる第13の実施形態では、第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層を同一のリン化硼素系半導体層から構成する。即ち、格子定数を同一とするリン化硼素系半導体層から電流阻止機能を果たすpn接合構造を構成する。この構成に依る電流阻止機能部位は、格子の不整合性に起因する結晶性の悪化を回避して、結晶性に優れたリン化硼素系半導体層から構成されるため、良好な電流阻止機能を発揮する。例えば、第1及び第2のリン化硼素系半導体層を何れも単量体のリン化硼素(boron monophosphide)として電流阻止機能部位を構成する。3種の構成元素からなる3元、或いは4種の構成元素からなる4元半導体混晶等よりも、2元結晶は一般には簡易に形成できる(上記の「半導体デバイス概論」、24頁参照)。従って、リン化硼素(BP)2元結晶層を利用すれば、簡便に電流阻止機能部位を構成できる利点がある。
【0044】
本発明に係わるリン化硼素系半導体層は、例えば、MOCVD法(Inst.Phys.Conf.Ser.,No.129(IOP Publishing Ltd.,1993)、157〜162頁参照)、分子線エピタキシャル(MBE)法(J.Solid State Chem.,133(1997)、269〜272頁参照)、ハライド(halide)法(▲1▼「日本結晶成長学会誌」、Vol.24、No.2(1997)、150頁及び▲2▼J.Appl.Phys.,42(1)(1971)、420〜424頁参照)、及びハイドライド(hydride)法等の気相成長手段に依って成膜できる。これらの成長手段により成膜するに際し、成長原料、特に、硼素源の供給量を増減させれば、成膜速度を調整できる。また、層厚は成膜時間を調整して制御できる。例えば、MOCVD手段に依り、リン化硼素系半導体層を成膜するには、トリエチル硼素((C253B)/ボラン(BH3)/ホスフィン(PH3)系、或いはトリエチル硼素/ジボラン(B26)/ホスフィン系、または、トリエチル硼素とターシャリィブチル(tert.−buthyl)ホスフィン等の有機リン化合物とを含む系等の常圧(略大気圧)或いは減圧成長反応系を利用できる。
【0045】
リン化硼素系半導体層は不純物を故意に添加しないアンドープ(undope)層から構成できる。また、リン化硼素系半導体層を成膜する際に、n形或いはp形不純物を添加すると、所望の抵抗を有するリン化硼素系半導体層を得ることができる。例えば、II族に属する亜鉛(Zn)やマグネシウム(Mg)を添加すればp形のリン化硼素系半導体層が得られる。また、珪素(Si)や錫(Sn)等の第IV族元素を添加すれば、n形のリン化硼素系半導体層が得られる。また、硫黄(S)やセレン(Se)の添加によってもn形リン化硼素系半導体層を得ることができる。第VI族の元素であるが、酸素(O)をドーピングすると高抵抗の含酸素リン化硼素系半導体層を構成できる。単結晶の含酸素リン化硼素系半導体層を得るには、成膜温度は700℃を越える高温とするのが望ましい。但し、1200℃を越える高温とするとB132等の多量体の発生が顕著となり(J.Amer.Ceramic Soc.,47(1964)p.p.44−46.参照)、均質なリン化硼素系半導体層が得られ難くなるため好ましくない。
【0046】
また、成膜されたリン化硼素系半導体層の表面からこれらの不純物をイオン(ion)注入に依って添加することもできる。上記の気相成長手段では、酸素の存在に因り多結晶のリン化硼素層が形成され易い特徴がある(特開2000−351692号公報参照)。一旦、成膜されたリン化硼素系半導体層に不純物を注入し、その後のアニール(anneal)により注入に因る損傷を回復させると共に注入イオンの電気的活性化を図るイオン注入法は、半導体層の多結晶化を促進させずに酸素を添加でき得て利便である。ドーピングまたはイオン注入の何れの不純物を添加するための手段に依るにしても、過度に元素を添加するとリン化硼素系半導体層の結晶性は損なわれるため、不純物の添加量は大凡、原子濃度にして5×1019cm-3以下に止めておくのが望ましい。リン化硼素系半導体層内の不純物濃度は、例えば、一般的な2次イオン質量分析法(SIMS)等の分析手段により定量できる。
【0047】
本発明の第14の実施形態では、室温での禁止帯幅を2.8eV以上3.2eV以下とするリン化硼素を基材として構成した含硼素III−V族化合物半導体層から電流阻止機能部位を構成する。特に、本発明の第15の実施形態では、室温での禁止帯幅を2.8eV以上3.2eV以下とする単量体のリン化硼素層から含硼素III−V族化合物半導体層を構成する。禁止帯幅は例えば、複素誘電率の虚数部(=ε2)の波長依存性から求められる。複素誘電率の虚数部(ε2=2・η・k)はエリプソメーター(ellipsometer)等の偏光解析手段により測定された屈折率(=η)及び消衰係数(=k)から算出できる(「III−V族化合物半導体」((株)培風館、1994年5月20日発行初版、170〜171頁参照)。
【0048】
室温での禁止帯幅を3.0±0.2eV以下とするリン化硼素(BP)は特に、成長速度と原料の供給比率の双方を規程された範囲内に設定することにより形成できる(特願2001−158282号明細書参照)。成長速度は、好ましくは、毎分20Å以上で300Å以下とする(上記の特願2001−158282号参照)。成長速度を20Å/min未満の遅い速度とすると、成長層表面からのリン(P)構成元素或いはその化合物が脱離、揮発を充分に抑止できず、成膜が果たせない場合がある。300Å/minを越える速い成長速度に設定すると、得られる禁止帯幅の値が不安定となり好ましくはない。また、成長速度を徒に速くすると多結晶の結晶層となり易い傾向にあり、単結晶層を得るには不都合となる。
【0049】
また、成長速度と併せて、原料の供給比率を好ましくは15以上で60以下の範囲に規定する。BP層を形成する場合にあって、原料の供給比率とは、成長反応系への硼素(B)源の供給量に対するリン(P)源の供給量の比率である。また、BP系混晶を形成する場合にあっては、硼素(B)を含むIII族源の合計の供給量に対する、リン(P)を含むV族源の合計の供給量の比率である。リン化硼素・インジウム(BαIn1- αP:0<α≦1)混晶を形成する場合を例にすれば、成長反応系に供給するガリウム(Ga)源とインジウム(In)源の総量に対する、リン(P)源の供給量の比率である。即ち、所謂、V/III比率である。V/III比率を15未満と小とすると、成長層表面が乱雑となり望ましくはない。また、V/III比率を60を越えて極端に大とすると、化学量論的に観てリン(P)が富裕な状態である成長層が形成され易くなる。過剰なリン(P)は、結晶格子で硼素(B)が占有すべき位置に入り込み、ドナー(donor)として働くとされる(庄野 克房著、「超LSI時代の半導体技術100集(5)」((株)オーム社、昭和59年5月1日発行、電子雑誌エレクトロニクス第29巻第5号(昭和59年5月号)付録、121頁参照)。化学量論的組成がリン(P)の富裕側に移行してしまえば、低抵抗のp形結晶層の形成に支障を来すので不都合である。
【0050】
本発明に係わる電流阻止機能部位を構成するリン化硼素系半導体層は、禁止帯幅を3.0±0.2eVとする上記のリン化硼素を利用して構成する。例えば、禁止帯幅を約2.3eVとするリン化ガリウム(GaP)(上記の「III−V族化合物半導体」、150頁参照)と、禁止帯幅を3.1eVとするリン化硼素(BP)からは、室温での禁止帯幅を約2.8eVとする、リン化硼素・ガリウム混晶(B0.62Ga0.38P)を形成できる。因みに、禁止帯幅を2.0eVとする従来のBPを利用したのでは、最大でもGaPの禁止帯幅である2.3eV未満の低い禁止帯幅のBαGa1- αP(0<α≦1)混晶しか形成できない。
【0051】
本発明の第16の実施形態では、発光層に砒化リン化ガリウム(GaAs1-XX:0≦X≦1)を用いてGaP系LEDを構成する。p形及びn形何れの伝導形のGaAs1-XX(0≦X≦1)層からも発光層を構成できる。例えば、珪素(Si)或いはテルル(Te)をドーピングしたn形GaAs0.80.2層から構成できる。また、亜鉛(Zn)と酸素(O)とがドーピングされたp形GaP層から構成できる。GaAs1-XX(0≦X≦1)層は、上記の気相成長手段に加えて、液相エピタキシャル(LPE)手段に依っても成膜できる。
【0052】
特に、本発明の第17の実施形態では、窒素(N)を添加したGaAs1-XX(0≦X≦1)層を発光層として用いてGaP系LEDを構成する。特に、窒素(N)を等電子的トラップ(isoelectronic trap)として添加したGaAs1-XX層は、高い強度の発光を帰結する発光層として有効に利用できる。窒素添加GaAs1-XX発光層は、液相エピタキシャル(LPE)法、ハライド(halide)法またはハイドライド(hydride)法等の気相成長(VPE)手段に依る成膜時にアンモニア(NH3)等を窒素源として窒素を添加すれば得られる。また、有機金属熱分解気相成長(MOCVD)法により成膜時に、アンモニア(NH3)やヒドラジン(N24)類等の窒素化合物を窒素源として窒素を添加すれば得られる。GaAs1-XX(0≦X≦1)発光層に含ませる窒素の原子濃度としては、5×1017cm-3以上で5×1019cm-3の範囲とするのが望ましい。窒素の原子濃度は、例えば、一般的な2次イオン質量分析法(SIMS)等の分析手段により定量できる。
【0053】
本発明の第18の実施形態では、発光層を窒化リン化ガリウム(GaN1-XX:0≦X≦1)から構成する。例えば、窒素組成比を3%(=0.03)とする立方晶のn形GaN0.970.03(格子定数=4.538Å)からは、電流阻止機能部位を構成するリン化硼素(格子定数=4.538Å)層に格子整合する発光層を構成できる。発光層を、電流阻止機能部位をなす含硼素III−V族化合物半導体層に格子整合する材料から構成すると、格子ミスマッチに起因する格子歪の影響に因る発光層の結晶性の劣化を防止できる。このため、発光強度に優れるGaP系LEDを構成できる利点がある。
【0054】
本発明の第19の実施形態では、第2の含硼素III−V族化合物半導体層を、発光層に接合する障壁層として設置してGaP系LEDを構成する。特に、禁止帯幅を3.0±0.2eVとする本発明に係わるリン化硼素系半導体結晶からは、従来のBP系混晶には無い高い禁止帯幅のBP系混晶がもたらされる。この様なBP系混晶層からは、例えば、短波長光を放射するために設けられた発光層に対する障壁層として兼用できる第2の含硼素III−V族化合物半導体層を構成できる。例えば、禁止帯幅を3.0eVとするリン化硼素を基材とした硼素組成比を0.90とするB0.90Al0.10P混晶の室温での禁止帯幅は約2.9eVとなる。この禁止帯幅はGaPのΓ帯のバンドギャップ(=2.77eV;上記の「固体の電子構造と物性 上巻」、269頁参照)を上回るものである。従って、B0.90Al0.10P混晶層からは、第2の含硼素III−V族化合物半導体層を構成できると共に、GaAs1-XX(0≦X≦1)発光層に対するクラッド層を構成できる。また、禁止帯幅を約3.1eVとするリン化硼素層は、GaN0.900.10発光層に対してクラッド作用を及ぼす第2の含硼素III−V族化合物半導体層を構成できる。
【0055】
第2の含硼素III−V族化合物半導体層を発光層に対する障壁(クラッド)層としての作用を発揮できる高い禁止帯幅の材料から構成すれば、簡便にGaP系LEDを構成できる。例えば、発光層上に第1の含硼素III−V族化合物半導体層を堆積し、表面電極の平面積に見合った領域に限り、第1の含硼素III−V族化合物半導体層を残置させた後、残置させた第1の含硼素III−V族化合物半導体層及び開口発光領域に露呈した発光部構成層の表面を被覆する様に第2の含硼素III−V族化合物半導体層を堆積する。この様な積層構成とすれば、第2の含硼素III−V族化合物半導体層は障壁層として機能できるため、発光層に敢えてクラッド層を改めて接合させる迄もなく、簡易にヘテロ接合構造の発光部を構成できる利点がある。
【0056】
また、上記の如くリン化硼素(BP)或いはBP系混晶は閃亜鉛光型の結晶であり、その価電子帯のバンド構造(上記の「化合物半導体の基礎物性入門」参照)からp形層が得られ易い状況にある。従って、例えば、六方晶の窒化ガリウム(h−GaN)とは状況が異なり、p形で低抵抗のクラッド層を簡便に形成できる。立方晶のGa0.75In0.25N発光層からは、発光波長を約443nmとする青紫色の近紫外光が放射されるため、p形B0.90Al0.10P混晶とn形Ga0.75In0.25Nからなるヘテロ接合構造体を利用すれば、青色帯発光をもたらすpn接合型発光部が構成できる。また、別の例として、B0.90Al0.10P混晶とGa0.75In0.25Nとは同一の格子定数(=4.628Å)を有する(立方晶の窒化インジウム(InN)の格子定数は4.98Åとして計算してある:上記の「III−V族化合物半導体」、330頁参照)。即ち、本発明の如くBP系混晶から障壁層を構成することとすれば、発光層に格子整合するクラッド層を構成できるため、格子整合系のヘテロ接合発光部を構成できる。相互に格子整合の関係にある結晶層は格子ミスマッチに起因する結晶欠陥が少なく良質となる。このため、格子整合系の発光部からは高強度の発光が出射されることとなり、高輝度のリン化硼素系半導体発光素子をもたらすに貢献できる。
【0057】
また本発明は、上記のGaP系LEDを用いて製造した高輝度のLEDランプである。例えば、図8に例示する如く、基板11上に本発明に係わる含硼素系III−V族化合物半導体半導体層12を備えたLED10を、台座15上の銀(Ag)或いはアルミニウム(Al)等の金属を鍍金した碗体16の中央部に金属製碗体16と導電性の接合材で固定する。これより、基板11の底面に設けた一極性の裏面電極14を台座15に付属する一端子17に電気的に接続させる。また、ヘテロ接合構造12上に設置した電極13を台座15に付属する他の一方の端子18に結線する。一般的な半導体封止用のエポキシ樹脂19で碗体16を囲繞する様に封止すればLEDランプを構成できる。また、本発明に依れば、約200μm〜約300μm角の小型LEDランプも形成でき、従って、特に、設置容積を小とする表示器等として好適な小型の発光ダイオードランプを構成できる。LED10の表裏面電極13、14は、それらを形成する被形成層に対しオーミック(Ohmic)接触をなす材料から構成できる。例えば、p形Si単結晶基板の裏面に設ける裏面電極は、アルミニウム(Al)、金(Au)等から構成できる。また、n形リン化ガリウム(GaP)単結晶基板の裏面電極材料として、金・ゲルマニウム(Au・Ge)合金等が例示できる。また、p形リン化硼素(BP)障壁層上には、例えば、金・亜鉛(Au・Zn)合金等からなるp形オーミック電極を設けてLEDを構成する。
【0058】
また本発明は、GaP系LEDを備えたランプから作製された光源である。例えば、LEDチップ或いは樹脂封止されたダイオードランプを集合させれば、光源を構成できる。例えば、複数のLEDを電気的に並列に接続させて、例えば、定電圧駆動型の光源を構成できる。また、電気的に直列にダイオードランプを接続して定電流型の光源を構成できる。これらのLEDを利用する光源は、従来の白熱型のランプ光源とは異なり、点灯によりさほど放熱を伴わないため、冷光源として特に有用に利用できる。例えば、冷凍食品の展示用光源として利用できる。また、例えば、屋外表示器、交通信号を提示するための信号器、方向指示器或いは照明機器等に好適に用いられる光源を構成できる。
【0059】
【作用】
本発明の表面電極の射影領域に設けられた第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層からなる接合構造は、表面電極より供給されるLED駆動用電流を射影領域に在る発光部へ短絡的に流通するのを防止する電流阻止作用を発揮する。また、併せて、外部に向けて開口された射影領域以外の開口発光領域に優先的にLED駆動電流を分散、拡散させる作用を有する。
【0060】
本発明の伝導形を相互に逆とする第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層からなるpn接合は、表面電極の射影領域にpn接合からなる電流阻止機能部位をもたらし、表面電極の射影領域に在る発光部へのLED駆動電流の短絡的な流通を防止する作用を有する。
【0061】
本発明の第1の含硼素III−V族化合物半導体層並びに開口発光領域の表面に露呈した発光部の一構成層とを被覆する様に設けられた第2の含硼素III−V族化合物半導体層は、第1の含硼素IIIーV族化合物半導体層と共に電流阻止機能を発揮する部位を構成して、射影流域へのLED駆動電流の流通を防止する作用を発揮すると共に、開口発光領域の広範囲に亘り、駆動電流を拡散させる作用を有する。
【0062】
接合する発光部の一構成層と同一の伝導形の導電層からなる第2の含硼素III−V族化合物半導体層は、開口発光領域での発光部の一構成層とのpn接合の形成を回避して、開口発光領域の略全般に亘り、LED駆動電流を拡散させる作用を有する。
【0063】
第1の含硼素III−V族化合物半導体層を越える平面積を有する第2の含硼素III−V族化合物半導体層は、第1の含硼素III−V族化合物半導体層との接合部で射影領域での流通を阻止されたLED駆動電流を開口発光領域に確実に流通させる作用を有する。
【0064】
表面電極の最大の水平断面積に対し規定された平面積を有する第1の含硼素III−V族化合物半導体層と第2の含硼素III−V族化合物半導体層とからなる電流阻止機能部位は、開口発光領域の表面積を徒に減少させることなく、LED駆動電流を開口発光領域に効率的に流通させる作用を有する。
【0065】
接合させる発光部の一構成層に格子整合する第1の含硼素III−V族化合物半導体層は、格子不整合性に起因する発光部への格子歪や結晶欠陥等の導入を回避して、良好な接合特性を発揮する電流阻止機能部位をもたらす作用を有する。
【0066】
接合させる発光部の一構成層に格子整合する第2の含硼素III−V族化合物半導体層は、開口発光領域に於いて、格子不整合性に起因する発光部への格子歪や結晶欠陥等の導入を回避して、発光部を構成する構成層の結晶性を良好に維持する作用を有する。
【0067】
非晶質または多結晶からなる第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層は、比較的低温で形成できるため、熱的歪等に因る発光部の構成層の熱変質を防止しつつ、電流阻止機能部位をもたらす作用を有する。
【0068】
リン化硼素(BP)系半導体層からなる第1の含硼素III−V族化合物半導体層は、電流阻止作用を発揮するpn接合を、イオン結合性の低さと立方晶閃亜鉛鉱結晶型の価電子帯のバンド構造に依り、簡便にもたらす。
【0069】
特に単量体のリン化硼素(BP)からなる第1の含硼素III−V族化合物半導体層は、格子の整合性により結晶性に優れるため、電流阻止特性に優れる作用を発揮する電流阻止機能部位をもたらす作用を有する。
【0070】
禁止帯幅を3.0±0.2eVとするリン化硼素(BP)系半導体層または単量体のリン化硼素(boron monophosphide)からなる含硼素III−V族化合物半導体層は、電流阻止機能部位をなす一構成層として作用すると共に、ヘテロ接合発光部を構成するための障壁層として作用する。
【0071】
【実施例】
第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層とからなる電流阻止機能部を備えたGaP系LEDを、次の基本的な積層構成から構成した。単結晶、特に、導電性の単結晶からなる基板101、発光層102、第1の含硼素III−V族化合物半導体層103、第2の含硼素III−V族化合物半導体層104、電流阻止機能部位105の上方に設けた表面電極106、単結晶基板101の裏面に設けたオーミック性の裏面電極107。以下、第1乃至第4の実施例をもって本発明を具体的に説明する。
これらの実施例において、実施例1、実施例2は請求項1に対応し、実施例3は請求項2に対応するものである。
【0072】
(第1実施例)
第1実施例に係わるGaP系LED1Aの断面模式図を図1に示す。また、図2には、LED1Aの平面模式図を示す。尚、以下の第1乃至第4の各実施例に於いて、同じ構成要素については、同一の符号を付してある。
【0073】
本第1実施例では、珪素(Si)ドープn形(100)−リン化ガリウム(GaP)単結晶を基板101とした。発光層102は、一般的な液相エピタキシャル(LPE)手段で950℃〜980℃で成膜した、珪素(Si)ドープn形GaP層から構成した。発光層102のキャリア濃度は約2×1018cm-3であり、層厚は約30μmとした。また、発光層102には、併せて、原子濃度にして約6×1018原子/cm3の窒素(N)を等電子的トラップ(isoelectronic trop)として添加した。発光層102上には、同じく液相エピタキシャル手段に依り、800℃〜900℃で亜鉛(Zn)ドープp形GaP層111を堆積した。p形GaP層111のキャリア濃度は約1×1018cm-3とし、層厚は約15μmとした。
【0074】
第1の含硼素III−V族化合物半導体層103は、トリエチル硼素((C253B)/ホスフィン(PH3)/水素(H2)系常圧MOCVD法により、800℃で成長させた単量体の単結晶のリン化硼素(BP:格子定数≒4.538Å)から構成した。第1の含硼素III−V族化合物半導体層103は、酸素(O)を添加しつつ成膜したため、抵抗を約2.5kΩとする高抵抗層となった。高抵抗の第1の含硼素III−V族化合物半導体層の層厚は約0.4μmに設定した。第1の含硼素III−V族化合物半導体層103の下部には、発光層102をなすGaP(格子定数≒5.450Å)との格子不整合性を緩和して結晶性に優れる第1の含硼素III−V族化合物半導体層を得んがために、上記のMOCVD手段に依り、350℃の低温で成膜したリン化硼素(BP)からなる低温緩衝層108を介在させた。低温緩衝層108は、アンドープ(undope)のn形層で、層厚は約5nmとした。
【0075】
第1の含硼素III−V族化合物半導体層103の成長を終了した後、表面電極106の射影領域109に限り、第1の含硼素III−V族化合物半導体層103を残置させた。公知の写真食刻(フォトリソグラフィー)技術を利用した選択パターニング手段を用いて、射影領域109以外の素子形成領域を占める開口発光領域110に在る第1の含硼素III−V族化合物半導体層103をエッチングにより除去した。残置させた第1の含硼素III−V族化合物半導体層103の平面形状は、表面電極106の水平断面形状と相似の円形とした。その直径は、130μmとした(従って、平面積S≒1.1×10-4cm2)。第1の含硼素III−V族化合物半導体層103をエッチングにより除去するに併せて、開口発光領域に在る低温緩衝層108も併せてエッチングに依り除去した。低温緩衝層108は第1の含硼素III−V族化合物半導体層103と略同一の平面形状に残置させた。不要な第1の含硼素III−V族化合物半導体層103及び低温緩衝層108を除去させるには、アルゴン(Ar)・メタン(CH4)・水素(H2)混合ガスを使用するプラズマエッチング手段を利用した。
【0076】
第1の含硼素III−V族化合物半導体層103及び低温緩衝層108を射影領域109に限定して残置させた状態で、第1の含硼素III−V族化合物半導体層103の表面及び開口発光領域110に露呈した発光層102の表面とを第2の含硼素III−V族化合物半導体層104で被覆した。本第1実施例では、第2の含硼素III−V族化合物半導体層104を室温での禁止帯幅を約3.0eVとする単量体のリン化硼素(BP)から構成した。発光部をなすp形GaP層111と同じくp形の伝導層とするために、第2の含硼素III−V族化合物半導体層10は、上記のMOCVD手段を利用して亜鉛(Zn)をドーピングして成膜した。第2の含硼素III−V族化合物半導体層104のキャリア濃度は約6×1018cm-3とし、層厚は約0.5μmとした。
【0077】
表面電極106の射影領域109に限り残置させた第1の含硼素III−V族化合物半導体層103と、その表面に接合させた第2の含硼素III−V族化合物半導体層104とで電流阻止機能部位105を構成した。本第1実施例に於いて、第1の含硼素III−V族化合物半導体層103は、高抵抗となっているため、表面電極106より供給されるLED駆動電流を射影領域109に在る発光層102へ短絡的に流通するのを防止する機能を担えた。また、第2の含硼素III−V族化合物半導体層104は第1の含硼素III−V族化合物半導体層103によって、射影領域109への流通を阻害された駆動電流を開口発光領域110に拡散させる機能を果した。
【0078】
表面電極106は、射影領域109の上方に、p形の第2の含硼素III−V族化合物半導体層104に接して設けた。円形の射影領域109の中心と表面電極106の中心とは略一致させた。本第1実施例では、表面電極106を直径120μmとする円形で、半導体層104側から順に金・亜鉛(Au・Zn)合金/ニッケル(Ni)/金(Au)の3金属層を重層させた真空蒸着膜から構成した。表面電極106の水平断面積(=S0)は約1.1×10-4cm2となり、射影領域の平面積(=S)との比率(=S/S0)は1となった。n形単結晶基板101の裏面の略全面には、裏面電極107を設けた。本第1実施例では、金(Au)の真空蒸着膜からオーミック性裏面電極107を構成した。
【0079】
表面電極106を台座(pad)電極として結線を施し、LED1Aの表面電極106及び裏面電極107間に順方向に駆動電流を通流して表1に記す発光特性を有するGaP系LEDを得た。表1には、従来のGaP系LEDの特性値を併せて記載する。従来のGaP系LEDとは、第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層103、104からなる電流阻止機能部位105を備えていないこと以外は、本第1実施例と同一の構成からなるLEDである。特に、本発明に係わるGaP系LEDは従来の発光強度の約1.5倍にあたる高強度の発光をもたらした。また、近視野発光パターンの観察に依れば(J.Crystal Growth、221(2000)、652〜656参照)、本第1実施例のGaP系LED1Aの開口発光領域110からの発光は均一であった。これらの良好な発光特性は、第1の含硼素III−V族化合物半導体層に依る電流阻止機能と相俟って、第2の含硼素III−V族化合物半導体層の駆動電流を開口発光領域に拡散させる機能とを備えたGaP系LEDに特徴的に帰結される発光特性である。
【0080】
また、電流阻止機能部位105の設置領域(表面電極106の射影領域)と開口発光領域110との平面積の比率(上記の比率S/S0)を好適としたため、順方向電圧(Vf)の徒な増加が回避された(表1参照)。また、逆方向電圧も良好であった(表1参照)。第1或いは第2の含硼素III−V族化合物半導体層の接合構成からは、発光部との接合界面の無秩序化をもたらさずに良好な接合特性を備えた電流阻止機能部位を備えたGaP系LEDを構成できた。
【0081】
以下の表1に順方向電流を20mAとした際の発光波長、輝度及び順方向電圧の特性値、並びに、逆方向電流値を10μAとした際の逆方向電圧値を、本実施例に係わるLED(表1に「本発明」と略記)と従来のLEDとで対比させて記す。
【0082】
【表1】
Figure 0004799769
【0083】
(第2実施例)
第1実施例とは別の積層構造をもってGaP系LEDを構成する場合を例にして本発明を具体的に説明する。本第2実施例に係わるGaP系LED2Aの断面構造を模式的に図3に示す。
【0084】
GaP系LED2Aは、基本的に次の要素から構成した。
n形GaP単結晶基板101、
n形GaP発光層102、
第1の含硼素III−V族化合物半導体層103、
第2の含硼素III−V族化合物半導体層104、
電流阻止機能部位105の上方に設けた表面電極106、
単結晶基板101の裏面に設けたオーミック性の裏面電極107。
【0085】
本第2実施例では、第1の含硼素III−V族化合物半導体層103をマグネシウム(Mg)ドープのp形リン化硼素(BP)から構成した。また、p形の第1の含硼素III−V族化合物半導体層103をn形GaP発光層102の表面に直接、接合させて設けている点が第1実施例とは異なる。第1の含硼素III−V族化合物半導体層103は禁止帯幅を約3.1eVとするBP結晶層から構成した。第1の含硼素III−V族化合物半導体層103をなすp形BP層のキャリア濃度は約1×1018cm-3とし、層厚は約0.1μmとした。
【0086】
第1の含硼素III−V族化合物半導体層103の成膜を終了した後、第1実施例に記載の如くのエッチング手段に依り、表面電極106の直下の射影領域109に限り第1の含硼素III−V族化合物半導体層103を残置させた。併せて、開口発光領域110には、GaP発光層102の表面を露出させた。これによって第1の含硼素III−V族化合物半導体層103の高抵抗層により電流阻止機能部位105を構成した。
【0087】
電流阻止機能部位105を形成した後、第1の含硼素III−V族化合物半導体層103と同じく第1実施例に記載のMOCVD手段に依り、第1実施例に記載したものと同一の第2の含硼素III−V族化合物半導体層104を射影領域109及び開口発光領域110を被覆する様に設けた。第2の含硼素III−V族化合物半導体層104上には、第1実施例に記載と同一の平面形状と断面積(=S0)を有し、射影領域109の断面積(=S)との比率(=S/S0)を1とする表面電極106を設置した。また、n形単結晶基板101の裏面には、第1実施例と同一の材料からなる裏面電極107を配置して、LED2Aとなした。
【0088】
この様に構成されたLED2Aからは、順方向電流を20mAとした際に、中心波長を約560nmとする黄緑光が発光された。本実施例に係わるLED2Aでは、開口発光領域110に於いて、p形の第2の含硼素III−V族化合物半導体層104とn形GaP発光層102とのpn接合型単一ヘテロ(SH)構造の発光部が構成されているため、従来のGaP系LEDに比較して約2倍の約15ミリカンデラ(mcd)の高発光強度がもたらされることとなった。また、発光波長に対応する遷移エネルギーを越える高い禁止帯幅の第2の含硼素III−V族化合物半導体層104は、障壁層を兼ねて発光を透過できる窓層としての作用を発揮したため、第1実施例のGaP系LED1Aに比してより高輝度のGaP系LED2Aを提供できた。更に、本実施例のLED2Aでは、GaP層を利用した従来のGaPからなるpn接合型ホモ接合構造LEDに時として認められるサイリスタ(thyristor)挙動は認められなかった。本第2実施例では、液相エピタキシャル成長層(本実施例ではn形GaP発光層102)上に接合させる第2の含硼素III−V族化合物半導体層104を、サイリスタを誘因するメルトバック(melt back;”LIGHT EMITTING DIODES”(Prentice−Hall Int.(UK、1987)、50〜51頁参照)を要しないMOCVD手段で成膜して、pn接合構造を構成する技術手段を採り入れているので、サイリスタ挙動を伴わないGaP系LEDを提供できた。
【0089】
(第3実施例)
窒化リン化ガリウム(GaN1-XX:0≦X≦1)からなる発光層を備えたGaP系LEDを構成する場合を例にして本発明を具体的に説明する。
【0090】
図4は本第3実施例に係わるGaP系LED3Aの平面模式図である。また、図5は、図4に示される破線X−X’に沿った断面模式図である。
【0091】
GaP系LED3Aは、基本的に次の要素から構成した。
n形Si単結晶基板101、
n形GaN0.970.03発光層102、
n形の第1の含硼素III−V族化合物半導体層103、
p形の第2の含硼素III−V族化合物半導体層104、
電流阻止機能部位105の上方に設けた表面電極106、
単結晶基板101の裏面に設けたオーミック性の裏面電極107である。
LED3Aでは、第1及び第2の実施例に記載のGaP系LED1A,2Aとは異なり、単結晶基板101をGaPに替えてシリコン(Si単結晶)とし、GaPに代替してGaN0.970.03から発光層102を構成した。
【0092】
n形GaN0.970.03発光層102は、アンチモン(Sb)ドープn形Si単結晶基板101上に設けたリン化硼素(BP)からなる緩衝層を介在させて設けた。緩衝層は、350℃の低温で成膜した非晶質のリン化硼素(BP)(層厚=5nm)からなる低温緩衝層108と、低温緩衝層108上に850℃で重層させたSiドープn形単結晶BP(層厚=0.4μm、キャリア濃度=9×1017cm-3)からなる高温緩衝層112とから構成した(米国特許US−6,069,021号参照)。BP低温緩衝層108を配置すれば、Si単結晶基板101との格子不整合性が緩和されて結晶性に優れる発光層102がもたらされる(上記のUS−6,069,021号参照)。低温緩衝層108及び高温緩衝層112は、(C253B/PH3/H2系常圧MOCVD手段により成長させたが、他の成長手段、例えば、三塩化硼素(BCl3)/三塩化リン(PCl3)/H2反応系ハロゲン気相成長手段(「日本結晶成長学会誌」、Vol.25、No.3(1998)、A28頁参照)に依っても上記の重層構造の緩衝層を形成できる。n形GaN0.970.03発光層102は、上記のリン化硼素(BP)からなる高温緩衝層112上に設けた。
【0093】
n形の立方晶GaN0.970.03(格子定数≒4.538Å)らなる発光層102上には、発光層102と格子整合を果たすMgドープp形リン化硼素層(層厚=0.2μm、キャリア濃度=3×1018cm-3)を障壁(クラッド)層113として積層した。上記のn形BP(格子定数≒4.538Å)高温緩衝層112、n形GaN0.970.03発光層102とp形BP(格子定数≒4.538Å)障壁層113とで格子整合型のpn接合型ダブルヘテロ(DH)構造の発光部を構成した。
【0094】
p形BP障壁層113上には、n形の第1の含硼素III−V族化合物半導体層103を設けた。第1の含硼素III−V族化合物半導体層103は、Siドープn形リン化硼素(層厚=0.2μm、キャリア濃度=2×1018cm-3)から構成した。第1及び第2の実施例に記載の如く、エッチング除去処理を第1の含硼素III−V族化合物半導体層103に施し、表面電極106の射影領域109に限り第1の含硼素III−V族化合物半導体層103を残置させた。一方、開口発光領域110には、p形BP障壁層113の表面を露出させた。これより、射影領域に限り、p形BP障壁層113とn形の第1の含硼素III−V族化合物半導体層103とからなるpn接合構造に依る電流阻止機能部位105を形成した。また、SiドープGaN0.970.03(層厚=0.2μm、キャリア濃度=3×1017cm-3)発光層102及びp形BP障壁層113を、アンモニア(NH3)を窒素(N)源として加えて含む上記のMOCVD手段に依り950℃で成膜したのに対し、第1の含硼素III−V族化合物半導体層103は、より低温の850℃で成膜した。即ち、第1の含硼素III−V族化合物半導体層103を、発光部の構成層112、102、113に格子整合する半導体材料から構成した上に、発光部構成層112、102、113よりも低温で成膜して、発光層102への格子歪或いは熱歪の導入を回避する技術手段を採用した。
【0095】
第1の含硼素III−V族化合物半導体層103並びに開口発光領域110上には、第1の含硼素III−V族化合物半導体層103と同一の850℃で成膜したMgドープp形リン化硼素(層厚=0.2μm、キャリア濃度=2×1018cm-3)からなる第2の含硼素III−V族化合物半導体層104を設けた。BP高温緩衝層112、BP障壁層113及び第1の含硼素III−V族化合物半導体層103と同じく、第2の含硼素III−V族化合物半導体層104は、上記のMOCVD手段により成膜速度を毎分25nmとし、V/III比率(=PH3/(CH33Ga供給比率)を約50として成膜した。この様に成膜条件を選定することにより、上記の各層112、113、103、104は、室温での禁止帯幅を約3.1eVとするBP結晶から構成されるものとなった。
【0096】
射影領域109の上方に相当する第2の含硼素III−V族化合物半導体層104の表面上には、図4に示す平面形状の表面電極106を敷設した。表面電極106は、結線(ボンディング)のため円形の中心電極(直径=120μm)106aとその中心で直交し、開口発光領域110の対角線上に延在させた2本の帯状電極(幅=30μm、長さ=300μm)106bとから構成した。表面電極106a、106bの合計の平面積は、従って、約1.8×10-4cm2となった。本第3実施例の射影領域109は、表面電極106と同一の平面形状と平面積を有している。表面電極106は金・亜鉛(Au95重量%・Zn5重量%)合金膜から構成した。一方、n形Si単結晶基板101の裏面のほぼ全面には、アルミニウム(Al)からなるn形オーミック性の裏面電極107を形成して、GaP系LED3Aとなした。
【0097】
本第3実施例に係わるLED3Aは、20mAの順方向電流の通流時に於いて、発光中心波長を約420nmとする青紫光を放射した。また、開口発光領域110に於ける発光の強度を略均一とするLEDとなった。これは、発光層102上の高禁止帯幅の上部障壁層113と同じくワイドバンドギャップの第1の含硼素III−V族化合物半導体層103とからpn接合構造体を形成したため、電流阻止機能を効率的に達成し、且つ、開口発光領域110の広範囲に優先的に順方向電流を拡散できる構成としたためである。更に、一般的な輻射積分球で測定される発光強度は約18マイクロワット(μW)の高値となった。これは、上部障壁層113及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層104を上記の青紫色帯の発光を充分に透過できる高禁止帯幅のリン化硼素(BP)から構成したことに依る、外部への発光の取り出し効率(例えば、供給電力と発光強度との光電変換効率で表せる)の向上に依るものである。即ち、本発明に依れば、(イ)発光部を格子整合系のDH構造から構成したこと、(ロ)第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層を発光部構成層に格子整合する半導体材料から構成したこと、(ハ)第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層を発光部構成層よりも低温で成膜したこと、並びに(ニ)第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層を上部障壁層113と共に高禁止帯幅の単量体リン化硼素(BP)層から構成したことなどの技術手段上の特徴を反映して、外部への発光の取り出し効率に優れるGaP系LEDを提供できた。
【0098】
(第4実施例)
第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層を砒化リン化硼素(BAs1-XX:0≦X≦1)とし、発光層を窒化リン化ガリウム(GaN1-XX:0≦X≦1)として構成されたGaP系LEDを例にして本発明を具体的に説明する。
【0099】
図6は本第4実施例に係わるGaP系LED4Aの平面模式図である。また、図7は、図6に示される破線Y−Y’に沿った断面模式図である。
【0100】
GaP系LED4Aは、基本的に次の要素から構成した。
p形亜鉛ドープ砒化ガリウム(GaAs)単結晶基板101、
p形GaAs1-XX発光層102、
p形の第1の含硼素III−V族化合物半導体層103、
n形の第2の含硼素III−V族化合物半導体層104、
電流阻止機能部位105の上方に設けた表面電極106、
単結晶基板101の裏面に設けたオーミック性の裏面電極107
である。LED4Aは、第1乃至第3の実施例に記載のLED1A〜3Aとは異なる基板材料と第1及び第2の含硼素III族窒化物半導体層103、104を利用して構成した。
【0101】
図7に示すLED4A用途の積層構造体では、p形GaAs単結晶基板101上に、一般的なガリウム(Ga)/アルシン(AsH3)/PH3反応系ハイドライド気相成長(VPE)手段(上記の「III−V族化合物半導体」、262〜263頁参照)により、GaAs基板101の表面より層厚の増加方向に砒素(As)組成(=1−X)を直線的に低下させ、対応させて、リン組成比(=X)を直線的に増加させる組成勾配を付したGaAs1-XX組成勾配層114を設けた。砒素(As)の組成勾配は、GaAs単結晶基板101との接合界面で1.0とし、それより層厚が6μmに到達する迄に一律に減じ、最終的に0.5に低下させた。経時的に成長系へのPH3に対するAsH3の供給量を減少させて組成勾配を付しつつ、亜鉛(Zn)を添加してp形の組成勾配層114とした。キャリア濃度は大凡、1×1018cm-3とした。
【0102】
GaAs1-XX組成勾配層114上には、同じく上記のハイドライドVPE手段に依り、砒素組成比を0.5と一定とする亜鉛(Zn)と酸素(O)とをドーピングしたp形GaAs0.50.5発光層102を積層させた。発光層102の砒素組成比を組成勾配層114の表面の砒素組成比と同一とすることにより、格子のミスマッチ度が減少し、良質の発光層102が得られた。GaAs1-XX組成勾配層114及び発光層102共に750℃で成膜した。発光層102の層厚は約4μmとし、表面側の約1μmの厚さの領域には窒素をアイソエレクトロニック不純物として添加した。同表面領域に於ける窒素原子の原子濃度は約6×1018cm-3とした。発光層102のキャリア濃度は約4×1017cm-3とした。
【0103】
p形GaAs0.50.5発光層102上には、p形砒化リン化硼素(BAs0.10.9)層からなる第1の含硼素III−V族化合物半導体層103を積層させた。第1の含硼素III−V族化合物半導体層103は、(C253B/AsH3/PH3/H2系常圧MOCVD手段に依る成膜時にMgをドーピングしたp形層(層厚=0.1μm、キャリア濃度=2×10 18 cm -3 とした。第1の含硼素III−V族化合物半導体層103は、発光層102の成膜温度より低温の350℃で成膜した非晶質(amorphous)層とした。このように発光層102への格子歪或いは熱歪の導入を回避する技術手段を採用した。
【0104】
第1乃至第3の実施例に記載の如く、エッチング除去処理を第1の含硼素IIIV族化合物半導体層103に施し、後述する表面電極106の射影領域109に限り第1の含硼素III−V族化合物半導体層103を残置させた。一方、開口発光領域110には、p形GaAs0.50.5発光層102の表面を露出させた。
【0105】
第1の含硼素III−V族化合物半導体層103並びに開口発光領域110上には、第1の含硼素III−V族化合物半導体層103と同一の350℃で成膜したSiドープn形リン化硼素(層厚=0.2μm、キャリア濃度=8×10 17 cm -3 からなる第2の含硼素III−V族化合物半導体層104を設けた。非晶質の第2の含硼素III−V族化合物半導体層104は、上記のMOCVD手段により成膜速度を毎分15nmとし、V/III比率(=PH3/(CH33Ga供給比率)を約30として成膜した。この様に成膜条件を選定することにより、第2のIII−V族化合物半導体層104を禁止帯幅を約3.0eVとするBP結晶から構成した。
【0106】
射影領域109の上方に相当する第2の含硼素III−V族化合物半導体層104の表面上には、図6に示す如く、素子形成領域の対角方向に2つの表面電極106を敷設した。表面電極106は、2辺の等辺をLED4Aの端面に平行して配置した直角二等辺三角形状のAu・Zn合金膜から構成した。三角形状の表面電極106の各等辺の長さは、120μmとし、従って、表面電極106の合計の平面積(=S0)は約1.4×10-4cm2となった。一方、本第4実施例の射影領域109は、等辺の長さを130μmとする、表面電極106と相似形の直角二等辺三角形状とした。射影領域109は、表面電極106の直下の2箇所に、平面形状の頂点を一致させて配置した。2箇所の射影領域109の合計の平面積(=S)は約1.7×10-4cm2となり、表面電極106の断面積(=S0)に対する射影領域109の平面積(=S)の比率(=S/S0)は約1.2となった。一方、p形GaAs単結晶基板101の裏面の略全面には、アルミニウム(Al)・アンチモン(Sb)合金真空蒸着膜からなるp形オーミック性の裏面電極107を形成して、GaP系LED4Aとなした。
【0107】
本第4実施例に係わるLED4Aからは、20mAの順方向電流の通流時に於いて、発光中心波長を約650nmとする赤色光が放射された。上記の第1乃至第3実施例に記載の各LED1A〜3Aと同じく、開口発光領域110に於ける発光の強度を略均一とするLEDとなった。これは第1の含硼素III−V族化合物半導体層103の高抵抗層により電流阻止機能を達成でき、且つ、開口発光領域110の広範囲に優先的に順方向電流を拡散できる構成としたためである。更に、一般的な輻射積分球で測定される発光強度は約10マイクロワット(μW)の高値となった。これは、第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層103,104を、発光層102に比較して低温で成膜したことにより、被熱に因る発光層102の結晶性の熱的変性を抑制し、且つ無秩序化を防止しつつ良好なヘテロ接合界面が形成され得たためである。また、開口発光領域110上に赤色発光を透過するに充分な高禁止帯幅のBP系混晶層からなる第2のIII−V族化合物半導体104を設けたことに依り、外部への発光の取り出し効率が向上したことに依るものである。
【0108】
【発明の効果】
本発明に依れば、例えば、高抵抗の第1の含硼素III−V族化合物半導体層と、導電性の第2の含硼素III−V族化合物半導体層との接合から構成される電流阻止機能部位を表面電極直下の射影領域に配置し、尚且つ、第2のIII−V族化合物半導体層を外部視野方向に開口された発光領域(開口発光領域)の略全面に設置することとしたので、高抵抗の第1のIII−V族化合物半導体層に依り流通を阻害されたLED駆動電流を開口発光領域に集中的に高密度に流通させられるため、高い発光強度のリン化ガリウム(GaP)系LEDを提供できる。
【0109】
また、本発明に依れば、互いに伝導形を反対とする第1及び第2のIII−V族化合物半導体層との接合、即ち、pn接合から電流阻止機能部位を構成することし、且つ導電性の第2のIII−V族化合物半導体層を開口発光領域の略全面に設置する構成としたので、LED駆動電流の射影領域への流通を防止でき、且つ駆動電流を開口発光領域に優先的に流通できるため、高い発光強度のGaP系LEDを提供できる。
【0110】
特に、本発明では、発光部を構成する一構成層を利用して、第1の含硼素III−V族化合物半導体層とでpn接合を構成することとしたので、電流阻止機能を発揮できる部位を簡易に構成できるため、光電変換効率に優れる高い発光強度のGaP系LEDを簡便に提供できる。
【0111】
また特に本発明に依れば、第2の含硼素III−V族化合物半導体層を、それを接合させる発光部の一構成層と同一の伝導形の半導体層から構成することとしたので、開口発光領域に於いてpn接合体の形成を回避でき、このため、開口発光領域に有効にLED駆動電流を流通できるため、高発光強度のGaP系LEDを提供できる。
【0112】
本発明に依れば、第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層からなる電流阻止機能部位の水平断面積を、表面電極の水平断面積に対して規定された比率の範囲内としたので、開口発光領域へLED駆動電流を拡散できる構成を備えた、順方向電圧の低い高発光強度のGaP系LEDを提供できる。また、特に、禁止帯幅の大きなIII−V族化合物半導体層から構成された電流阻止機能部位は、逆方向耐圧にも優れるGaP系LEDをもたらすに効果を奏する。
【0113】
本発明に依れば、第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層を高い禁止帯幅を有するリン化硼素系半導体層、特に、リン化硼素から構成することとしたので、電流阻止機能部位に併せて、発光を透過するに好都合となる発光を透過する窓層としての機能を備えた高発光強度のGaP系LEDを提供できる。特に、高強度の短波長可視光を発光できる窒化リン化ガリウム、或いは窒素を等電子的捕獲中心として含む砒化リン化ガリウムからなる発光層上に、第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層から構成される電流阻止機能と発光透過機能とを併せ持つ部位を具備させることにより高輝度のGaP系LEDを提供できる。
【0114】
本発明に依れば、第1、第2の含硼素III−V族化合物半導体層を発光部の構成層よりも低温で形成できる非晶質層または多結晶層から構成することとしたので、発光層等の発光部構成層に印加される熱歪を抑制でき、発光層等の結晶性を良好に維持できるため、高発光強度のGaP系LEDを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に記載のLEDの断面模式図である。
【図2】第1実施例に記載のLEDの平面模式図である。
【図3】第2実施例に記載のLEDの断面模式図である。
【図4】第3実施例に記載のLEDの平面模式図である。
【図5】第3実施例に記載のLEDの断面模式図である。
【図6】第4実施例に記載のLEDの平面模式図である。
【図7】第4実施例に記載のLEDの断面模式図である。
【図8】本発明に係わるLEDランプの断面模式図である。
【符号の説明】
1A、2A、3A、4A、10 GaP系LED
11 基板
12 含硼素III−V族化合物半導体層
13 表面電極
14 裏面電極
15 台座
16 碗体
17、18 端子
19 エポキシ樹脂
101 単結晶基板
102 GaP系発光層
103 第1の含硼素III−V族化合物半導体層
104 第2の含硼素III−V族化合物半導体層
105 電流阻止機能部位
106 表面電極
106a 中心電極
106b 帯状電極
107 裏面電極
108 低温緩衝層
109 表面電極の射影領域
110 素子形成領域の開口発光領域
111 p形GaP層
112 高温緩衝層
113 障壁層
114 組成勾配層

Claims (13)

  1. 裏面に裏面電極を備えた導電性の結晶基板と、基板上に積層されたリン化ガリウム(GaP)系半導体からなる発光層を含む発光部と、発光部上に表面電極を備えたGaP系発光ダイオードに於いて、表面電極の射影領域に、発光部の一構成層上に接合して、第1のp型リン化硼素(BP)系半導体層が設けられ、第1のp型リン化硼素(BP)系半導体層上及び射影領域以外の発光部の一構成層上に接合して、第1のp型リン化硼素よりも低抵抗の第2のp型リン化硼素(BP)系半導体層が備えられていて、第1及び第2のp型リン化硼素(BP)系半導体層が、室温での禁止帯幅を3.0±0.2エレクトロンボルト(eV)とするリン化硼素(BP)を基材として構成されていることを特徴とするGaP系発光ダイオード。
  2. 裏面に裏面電極を備えた導電性の結晶基板と、基板上に積層されたリン化ガリウム(GaP)系半導体からなる発光層を含む発光部と、発光部上に表面電極を備えたGaP系発光ダイオードに於いて、表面電極の射影領域に、発光部の一構成層上に接合して、第1のリン化硼素(BP)系半導体層が設けられ、第1のリン化硼素(BP)系半導体層上及び射影領域以外の発光部の一構成層上に接合して、第2のリン化硼素(BP)系半導体層が備えられていて第1のリン化硼素(BP)系半導体層と発光部の一構成層とが、電流阻止機能をなすpn接合され、第1及び第2のリン化硼素(BP)系半導体層が、室温での禁止帯幅を3.0±0.2エレクトロンボルト(eV)とするリン化硼素(BP)を基材として構成されていることを特徴とするGaP系発光ダイオード。
  3. 第2のリン化硼素(BP)系半導体層の平面積を、第1のリン化硼素(BP)系半導体層を越えて大としたことを特徴とする請求項1または2に記載のGaP系発光ダイオード。
  4. 第1のリン化硼素(BP)系半導体層の平面積(S:cm2)を表面電極の最大の平面積(S0:cm2)に対し、関係式0.7≦S/S0≦1.5で示される範囲としたことを特徴とする請求項3に記載のGaP系発光ダイオード。
  5. 第1のリン化硼素(BP)系半導体層が、接合させる発光部の一構成層と同一の格子定数を有する格子整合層から構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオード。
  6. 第2のリン化硼素(BP)系半導体層が、接合させる発光部の一構成層と同一の格子定数を有する格子整合層から構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオード。
  7. 第1及び第2のリン化硼素(BP)系半導体層が、非晶質層または多結晶層から構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオード。
  8. 第1及び第2の含硼素III−V族化合物半導体層が、格子定数を同一とするリン化硼素(BP)系半導体層から構成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオード。
  9. 発光部に備えられている発光層が、砒化リン化ガリウム(GaAs1-XX:0<X≦1)から構成されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオード。
  10. 発光層とする砒化リン化ガリウム(GaAs1-XX:0<X≦1)には、窒素(N)が添加されていることを特徴とする請求項9に記載のGaP系発光ダイオード。
  11. 発光部に備えられている発光層が、窒化リン化ガリウム(GaN1-XX:0<X≦1)から構成されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオード。
  12. 請求項1乃至11の何れか1項に記載のGaP系発光ダイオードを用いたランプ。
  13. 請求項12に記載のGaP系発光ダイオードを用いたランプから作製された光源。
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