JP4776875B2 - 映像表示装置、投射型表示装置 - Google Patents
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Description
例えばプロジェクタを用いて映像を鑑賞する場合、映像の視認性を高める方法として、周囲の明るさに応じて映像信号を伸長する方法が考えられるが、この場合、伸長量が大きくなると、ハイライト部の白つぶれや色味の変化といった不自然さを視聴者に感じさせることがある。逆に暗い環境下では、映像が明るすぎることは反って映像の視認性を悪化させる要因となるため、信号強度を弱める必要があるが、信号強度を過度に低下させると、今度は黒つぶれなどの階調表現力の低下が生じ、やはり視聴者に違和感を与えることになる。
一方、住環境に関する最近の研究(例えば照明学会誌 第87巻、第2号、p.105〜p.112)では、空間の明るさ感について、空間の周辺領域を明るくすることが空間全体の明るさ感の向上につながるとの報告がでている。
このような背景から、本発明者は、以下の着想を得た。
本構成によれば、画面中央部では画質を優先し、画面周辺部では画質よりも明るさ調節に重きをおいて画像処理を行なうなど、画像処理にメリハリをつけることで、映像の明るさと映像の再現性の双方を最適に調節することができる。具体的には、画面中央部に比べて画面周辺部の映像を大きく変調することで、視聴者にとって主だった情報を高い再現性で表現するとともに、画面の明るさ感を簡単に調節することができる。この場合、画面全体としての映像の連続性を確保するために、上記信号処理手段は、上記映像の変調量を画面内で略連続的に変化させることが望ましい。
前述のように、映像は周囲の照明条件等によって見やすい明るさが異なる。例えば、明るい環境下ではより明るい表示が求められるが、暗い環境下では、映像が明るすぎることは反って視認性を悪化させる。このため、例えば映像を暗い環境下で視聴する場合には、画面周辺部の映像信号を低階調側に変調することで、映像の明るさ感を抑制することができる。逆に映像を明るい環境下で視聴する場合には、画面周辺部の映像信号を高階調側に変調することで、映像の明るさ感を増すことができる。また、このように画面周辺領域を明るくした場合には、画面外の領域との対比効果により、その境界線がより鮮明になるため、映像の存在感を高める効果も期待できる。
上述の信号処理を環境の明るさのみに基づいて行なった場合には、映像によっては色つぶれが生じる場合がある。特に画面周辺部の映像は画面中央部に比べて大きく変調されるため、このような色つぶれが顕在化する虞がある。このため、映像信号に基づいて映像の明るさを検出し、この映像の明るさ情報に基づいて、変調後の映像信号が概ね表示可能な階調範囲内に留まるように変調量を調節することで、画質の劣化を防止することができる。
(a)映像信号に所定の補正係数を乗算する。
(b)映像信号に所定のオフセットを加算又は減算する。
(c)映像信号にトーンカーブ変調を加える。
(d)映像表示領域を構成するそれぞれの画素が、白表示用のドットを含む複数の異なる色相のドットからなる場合において、白表示用ドットの点灯数又は各白表示用ドットの階調を調節する。
本構成によれば、再現性が高く視認性に優れた投射表示を実現することができる。
以下、図1〜図8を参照しながら本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は本発明の投射型表示装置の概略構成を示す図、図2はその駆動回路の構成を示すブロック図、図3〜図8はその駆動方法を説明するための図である。
本実施の形態の投射型表示装置は、R(赤)、G(緑)、B(青)の異なる色毎に透過型液晶ライトバルブを備えた3板式の投射型カラー液晶表示装置である。図1はこの投射型液晶表示装置を示す概略構成図であって、図中、符号1は照明装置、2は光源、3,4はフライアイレンズ(均一照明手段)、13,14はダイクロイックミラー、15,16,17は反射ミラー、22,23,24は液晶ライトバルブ(映像表示装置)、25はクロスダイクロイックプリズム、26は投射レンズ(投射手段)を示している。
青色光・緑色光反射のダイクロイックミラー13は、光源2からの光束のうちの赤色光LRを透過させるとともに、青色光LBと緑色光LGとを反射させるものである。ダイクロイックミラー13を透過した赤色光LRは反射ミラー17で反射されて赤色光用液晶ライトバルブ22に入射される。一方、ダイクロイックミラー13で反射した色光のうち、緑色光LGは緑色光反射用のダイクロイックミラー14によって反射され、緑色光用液晶ライトバルブ23に入射される。一方、青色光LBはダイクロイックミラー14も透過し、リレーレンズ18、反射ミラー15、リレーレンズ19、反射ミラー16、リレーレンズ20からなるリレー系21を経て青色光用液晶ライトバルブ24に入射される。
図2は本実施の形態の投射型液晶表示装置30の駆動回路の構成を示すブロック図である。
本実施の形態では、図2に示すように、アナログ信号として入力された映像信号はADコンバータ31を経てデジタル信号処理回路である信号処理部(信号処理手段)32に入力される。信号処理部32では、視聴環境の明るさに基づいて映像の変調量が決定され、この変調量に応じて映像信号が適当な階調範囲に変調される。ここで、信号処理の方法としては、以下の3種類が考えられる。
この方法は、入力信号の階調に対して出力信号の階調を線形に変化させる方法である。この方法では、補正係数が1より大きい場合(図中実線で示す)には、映像の階調範囲は高階調側に拡大され、映像は全体的に明るくなる。逆に補正係数が1より小さい場合(図中点線で示す)には、映像の階調範囲は低階調側に圧縮され、映像は全体的に暗くなる。
この方法は、映像の階調レベルを全体的に底上げする方法である。この方法では、オフセットが正の場合(図中実線で示す)には、映像の階調範囲は高階調側にシフトし、映像は全体的に明るくなる。逆にオフセットが負の場合(図中点線で示す)には、映像の階調範囲は低階調側にシフトし、映像は全体的に暗くなる。
この方法は、入力信号の階調に対して出力信号の階調を非線形に変化させる方法である。ここで、「トーンカーブ」とは、入力信号の階調を横軸、出力信号の階調を縦軸にとったときの、入力に対する出力の階調変化を表わすカーブをいい、このトーンカーブに基づいた信号処理をトーンカーブ変調という。この方法では、例えば図中実線で示すように、トーンカーブが傾き45°の直線(図中一点鎖線で示す)よりも上側に位置する場合(例えば、トーンカーブが、低階調側で傾きが急峻で且つ高階調側で傾きがなだらかな上凸の曲線である場合)には、映像の階調範囲は高階調側に拡大され、映像は全体的に明るくなる。逆に、図中点線で示すように、トーンカーブが傾き45°の直線よりも下側に位置する場合(例えば、トーンカーブが、低階調側で傾きがなだらかで且つ高階調側で傾きが急峻な下凸の曲線である場合)には、映像の階調範囲は低階調側に圧縮され、映像は全体的に暗くなる。このトーンカーブ変調では、上記(a)の方法に比べて、映像の明るさやコントラストの調節をきめ細かく行なうことができる。
また、本実施形態では、信号処理の方法として上記(a)の方法を用いた場合について説明する。
[1]表示映像非適応型の制御
まず、非適応型の制御、すなわち映像情報に依らずに、環境の明るさのみによって映像の明るさ感を制御する場合について考える。
この場合、信号処理部32では、まず、図4に示すような2種類の補正レベル曲線A1,A2(直線を含む)を用いて画面中心部と画面端部の映像の補正レベル(補正係数)a1,a2が独立に設定される。この補正レベル曲線は、光センサ等(図示略)により検出された視聴環境の明るさLと映像の補正係数aとの関係を規定したものである。これらの曲線A1,A2では、視聴環境が明るくなる(即ち、Lが大きくなる)に従って補正係数aが大きくなるように規定されている。また、曲線A1,A2の傾斜は異なり、曲線A1は曲線A2よりも傾斜の緩やかな曲線とされている。
次に、適応型の制御、すなわちハイライト部の白つぶれ及び暗部の黒つぶれの発生を未然に防ぐように映像信号に適応した明るさ制御を行う場合について考える。
この場合、信号処理部32では、まず、画面中心部の映像の補正係数a1が視聴環境の明るさに基づいて設定される。具体的には、補正係数a1は図4の補正レベル曲線A1と同様の曲線を用いて設定される。また、画面端部の映像の補正係数a2が、映像の明るさ及び視聴環境の明るさに基づいて設定される。ここで、映像の明るさを検出する方法としては、例えば次の2通りが考えられる。
例えば0〜255の256ステップの階調数を含む映像信号を想定する。連続した映像を構成する任意の1フレームに着目した場合、そのフレームに含まれる画素データの階調数毎の出現数分布(ヒストグラム)が、図7(a)のようになったとする。この図の場合、ヒストグラムに含まれる最も明るい階調数が190であるので、この階調数190を映像の明るさとして検出する。この方法は、入力される映像信号に対し、最も忠実に明るさを検出できる方法である。
例えば映像信号の出現数分布が図7(b)のようであった場合、ヒストグラムより明るい側から10%の領域をとる。10%に相当するところの階調数が230であったとすると、この階調数230を映像の明るさとする。図7(b)に示したヒストグラムのように、階調数255の近傍に突発的なピークがあった場合、上記(a)の方法を採用すれば、階調数255が映像の明るさとなる。しかしながら、この突発的なピーク部分は画面全体における情報としてはあまり意味をなしていない。これに対して、階調数230を映像の明るさとする本方法は、画面全体の中で情報として意味を持つ領域によって判定する方法と言うことができる。なお、上記の割合は2〜50%程度の範囲で変化させてもよい。
例えば、明るい環境下で映像を視聴する場合(図4において明るさLがL0よりも大きい場合)には、
a1 = 255/LP
a2 = b*255/LP (ただしb>1)
のように補正係数が設定される。このとき、LPは図8(a)に示したように下限値Iを設定し、LP≧Iとすると、過度の伸長処理によって映像が不自然な見え方になることを回避することができる。
逆に暗い環境下で映像を視聴する場合(図4において明るさLがL0よりも小さい場合)には、画面端部の補正係数を画面中央部の補正係数a1よりも小さい範囲の値とする。具体的には、
a1 = I/LP
a2 = b*I/LP (ただしb<1)
ここで、Iは図8(b)に示したように階調補正を行う映像の明るさの下限値であり、過度の補正による映像の黒つぶれを回避することができる。
このように映像の明るさ情報に基づいて画像処理を行なうことで、画面周辺部の色つぶれを極力回避することができる。
使用者が好みに応じて画面中央部及び画面周辺部の映像の補正係数を制御できるようにする。この場合、使用者が、コントローラ等の外部入力手段を用いて補正係数の値を直接数値によって指定する構成としてもよいし、補正係数の値をいくつかの選択肢の中から選択する構成としてもよい。この際、画面中心部部及び画面端部の双方について変調量を入力することもできるし、これらの内のいずれか一方を上記[1],[2]の方法によって規定し、もう一方を使用者が入力するようにしてもよい。
このように使用者が明るさの微調節を行なえるようにすることで、使用者にとって最適な設定を行なうことができる。
また、本実施形態では、画面中心部から画面端部にかけて映像の補正係数を略連続的に変化させているため、画面内における映像の連続性が損なわれることはない。
次に、図9〜図12を参照しながら本発明の第2の実施形態について説明する。
図9は、本発明の映像表示装置の概略構成を示す図、図10はその1画素の構成を拡大して示す図であって、(a)はその断面図、(b)はその平面図である。また、図11はその駆動回路の要部構成を示すブロック図、図12はその駆動方法を説明するための図である。なお、本実施形態では図4を流用する。
TFTアレイ基板40の上には、ITO等からなる画素電極41がマトリクス状に複数配列形成されている。本実施形態では、後述のR(赤色),G(緑色),B(青色),W(白色)の各色のカラーフィルタに対応して、1画素P内に4つの画素電極41、即ち、赤色用画素電極41r,緑色用画素電極41g,青色用画素電極41b,白色用画素電極41wが並置されている。すなわち、本実施形態では、1画素PはR,G,B,Wの4ドットで構成されている。そして、基板40の上には、これらの画素電極41(41r,41g,41b,41w)を覆うようにポリイミド等からなる配向膜42が設けられている。なお、図9,図10では画素電極41の通電制御を行なうためのスイッチング素子や走査線,信号線等の図示を省略している。
本実施形態では、アナログ信号として入力された映像信号は、ADコンバータ(図示略)を経てデジタル信号処理回路である信号処理部(信号処理手段)60に入力される。信号処理部60では、視聴環境の明るさに基づいて映像の変調量が決定され、この変調量に応じて映像信号が適当な階調範囲に変調される。
本実施形態では、より簡便に映像の明るさ感を制御するために、R、G,B,Wの全ドットの映像信号を変調するのではなく、Wドットの映像信号のみを変調する。ここで、映像の変調量の決定方法としては、上記第1実施形態と同様に、表示映像非適応型の方法と、表示映像適応型の方法の2通りが考えられるが、本実施形態では前者、即ち、表示映像非適応型の場合について説明する。
図12に映像の表示位置と白画像の階調数との関係を示す。なお、図12は、明るい環境下で映像を視聴する場合(図4において明るさLがL0よりも大きい場合)における両者の関係を示している。
このように本実施形態では、Wドットの映像の変調量を画面中央部と画面周辺部とで異ならせ、映像の明るさを主に画面周辺部のWドットの階調変化によって調節しているため、視聴者にとって主だった情報を高い再現性で表現することができる。また、本実施形態では、画面中心部から画面端部にかけて映像の補正係数を略連続的に変化させているため、画面内における映像の連続性が損なわれることはない。
例えば、上記第1実施形態では、投射型表示装置として、透過型の液晶ライトバルブを用いた例を示した。しかし、本発明の技術的範囲はこのような透過型のものに限定されず、例えばLCOS等の反射型の投射型表示装置、或いはMEMS技術に基づくミラー方式の空間光変調装置を用いた投射型表示装置に対して本発明を適用することも可能である。
同様に、上記第2実施形態では、映像表示装置として液晶表示装置を例に挙げたが、本発明はこれに限らず、エレクトロルミネッセンス表示装置等の自発光型の表示デバイスや電気泳動表示装置等の反射型の表示装置等に適用することも可能である。また、上記第2実施形態に示した画素構造はほんの一例であり、本発明では、映像表示領域を構成する画素が白表示用のドット(Wドット)を含む複数の異なる色相のドットからなればよく、このようなWドットを含む構成であれば上述の4ドットの構成に限られない。
Claims (9)
- 信号処理によって映像の階調を変調可能な信号処理手段を備え、
上記信号処理手段は、前記映像を視聴する環境の明るさが所定の明るさよりも大きい明るい環境下で視聴する場合には、画面周辺部の映像信号を画面中央部の映像信号に比べて高階調側に変調し、前記映像を視聴する環境の明るさが所定の明るさよりも小さい暗い環境下で視聴する場合には、画面周辺部の映像信号を画面中央部の映像信号に比べて低階調側に変調することにより、映像を実際に観察者が観察する表示画面において画面中央部と画面周辺部の映像の明るさが異なるように、画面中央部と画面周辺部で映像の変調量を異ならせることを特徴とする、映像表示装置。 - 上記信号処理手段は、画面中央部に比べて画面周辺部の映像を大きく変調することを特徴とする、請求項1記載の映像表示装置。
- 上記信号処理手段は、上記映像の変調量を映像信号に基づいて検出された映像の明るさに基づいて設定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の映像表示装置。
- 上記信号処理手段は、上記映像の変調量を画面内で略連続的に変化させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項に記載の映像表示装置。
- 上記信号処理は、映像信号に所定の補正係数を乗算することにより行なわれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載の映像表示装置。
- 上記信号処理は、映像信号に所定のオフセットを加算又は減算することにより行なわれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載の映像表示装置。
- 上記信号処理は、映像信号にトーンカーブ変調を加えることにより行なわれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載の映像表示装置。
- 映像表示領域を構成するそれぞれの画素が、白表示用のドットを含む複数の異なる色相のドットからなり、
上記信号処理は、白表示用ドットの点灯数又は各白表示用ドットの階調を調節することにより行なわれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載の映像表示装置。 - 請求項1〜8のいずれかの項に記載の映像表示装置と、この映像表示装置で形成された映像を投射する投射レンズとを備えたことを特徴とする、投射型表示装置。
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