JP4774768B2 - 静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、並びに、画像形成方法 - Google Patents
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Description
このような状況においてトナーに関して従来提案されているものとしては、例えば、流出開始温度が110℃以下の母体粒子の表面に小粒子を埋設被覆したトナー(例えば、特許文献4参照。)が、分子量3,000〜30,000、ガラス転移点50〜70℃のスチレン−アクリル系芯材の廻りをより高分子量、高ガラス転移点のスチレン系殻材で被包したトナー(例えば特許文献5参照。)が、母体粒子に表面改質用の樹脂微粒子を機械的衝撃により固着させたトナー(例えば、特許文献6参照。)が、融点40〜100℃の飽和脂肪酸または飽和アルコール類からなる芯物質を水に縣濁後、樹脂微粒子によりカプセル化したトナー(例えば、特許文献7参照。)が、低粘度樹脂粒子の表面に熱的に安定な層及びTgが65℃以上の熱可塑性樹脂被覆層を積層したトナー(例えば、特許文献8参照。)が、Tg25〜55℃の樹脂を含有したトナー表面にTg60〜110℃の樹脂微粒子を付着させたトナー(例えば、特許文献9参照。)が、軟化点90〜120℃の線型ポリエステル樹脂とカルナバワックスを用いたトナー(例えば、特許文献10参照。)が、ワックス内包型の重合法トナー(例えば、特許文献11参照。)が、イソシアネート基含有プレポリマーを水系媒体中でアミン類により伸長架橋反応させて形成したトナー表面に微粒子を固着させたトナー(例えば、特許文献12参照。)がそれぞれ提案されている。
(1) 着色剤、結着樹脂、および、フィラーを少なくとも含有するコアシェル型トナーであって、前記トナーのフローテスター1/2流出温度が60℃以上100℃以下であり、前記シェルが熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー、
(2) 少なくとも結着樹脂粒子を含む分散液中で、前記結着樹脂を含む凝集粒子を形成する凝集工程と、前記凝集粒子の表面に熱可塑性樹脂粒子を付着させる付着工程とを含むことを特徴とする上記(1)に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法、
(3) 上記(1)に記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤、
(4) 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程とを含む画像形成方法であって、前記トナーとして上記(1)に記載の静電荷像現像用トナー、または、前記現像剤として上記(3)に記載の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
本発明の静電荷像現像用トナーは、着色剤、結着樹脂、および、フィラーを少なくとも含有するコアシェル型トナーであって、フローテスター1/2流出温度が60℃以上100℃以下であり、前記シェルが熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする。また、本発明の静電荷像現像用トナーは、前記シェル(以下、シェル層ともいう。)に内包されるコア粒子(以下、コアトナーともいう。)が低軟化点樹脂を含有するであり、軟化温度の低い結着樹脂により低温定着性を達成し、かつ、該低軟化点樹脂を含有するコアトナーの表面被覆するシェル層によって熱保管性、潜像保持体表面へのトナーフィルミング防止等の静電荷像現像用トナーとして必要な粉体特性を確保するものである。
<フローテスター1/2流出温度の測定>
島津製作所製 CFT500フローテスターを用いて、ダイ径0.5mm、ダイ長さ0.5mm、圧力10kgf、昇温速度3℃/分で測定することができる。
<フィラーの粒子系測定法>
レーザー回折式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製LA−700)を用いて測定することができる。
<樹脂の平均分子量測定方法>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)(東ソー社製HLC−8120、カラムSuperH3000)を用い、溶媒テトラヒドロフラン(和光純薬製:GPC用THF)、カラムオーブン温度40℃、カラム流量毎分1ml、サンプル濃度0.5%、サンプル注入量0.1mlの条件で測定することができる。測定結果を、予め作成した検量線に基づき、標準ポリスチレン(TOYO SODA社製:標準ポリスチレン試料)に換算した平均分子量として求めることができる。
<結晶性樹脂の融点測定方法>
示差走査熱量計(島津製作所社製:DSC60)を用い、サンプル量8g、昇温速度5℃/分の条件で測定し、得られたチャート紙に記録された融解ピークに相当する温度として求めることができる。なお、複数の融解ピークを示す場合は、その中の最大のピークに相当する温度を融点と見なす(単位:℃)。
<樹脂のガラス転移温度測定方法>
示差走査熱量計(島津製作所社製:DSC60)を用い、サンプル量8g、昇温速度5℃/分の条件で測定することができる。なお、得られたチャート紙に記録された吸熱ピークにおける低温側の肩に相当する温度をガラス転移温度(Tg)とする(単位:℃)。
本発明のトナーは、フィラーを含有する。フィラーは、トナーのコアまたはシェルのどちらか一方に含有されていても、コアおよびシェルの両方に含有されていてもよいが、コアまたはシェルのどちらか一方に含有されているのが好ましい。ここにおいて、フィラーとは熱不溶融性か、または、実質的に定着実温度域よりも高い100℃以上のガラス転移点を持つ樹脂粒子である有機樹脂粒子、および/または、無機粒子を意味する。本発明に用いることのできるフィラーとしては、有機樹脂粒子、または、無機粒子を用いることができる。さらに、これらを併用して用いることもできる。
有機樹脂粒子の体積平均粒径としては、1〜300nmが好ましく、5〜200nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。なお、体積平均粒径は、例えば、透過電子顕微鏡(TEM)により観察・写真撮影して、写真から任意の有機樹脂粒子500個の粒径を測定して、その平均値を取ることにより求めることができる。
疎水化処理された粒子を用いると高湿度下での帯電量を向上させる事ができ、結果として帯電の環境安定性を向上させる事ができるので好ましい。
本発明のトナーのシェルは、熱可塑性樹脂を含有する。熱可塑性樹脂とは、ガラス転移温度が室温以上、100℃以下の樹脂を意味する。
シェルに用いる材料としては、熱不溶融性か、または、実質的に定着実温度域よりも高い100℃以上のガラス転移点を持つ樹脂粒子である有機樹脂粒子および/または無機粒子を含有させてもよい。
シェルにフィラーを含有させる場合、シェル構造はフィラーの隙間に熱可塑性樹脂が存在し、熱可塑性樹脂によりコア成分が覆い隠されているものであるが、フィラー粒子がトナーの最表面に多く存在し、コア表面に熱可塑性樹脂が多く存在する構造がより好ましい。さらにフィラーの粒径は10nm〜300nmが好ましく、10nm〜150nmがより好ましい。上記範囲であると、フィラーがトナー表面を均一にカバーでき、また、トナー表面の凹凸が適度で流動化剤の効果が十分に得られ、トナー流動性が良好であり、シェル形成時のハンドリングが容易であり好ましい。
シェル量は、コアトナーに対して5〜50重量%が好ましい。上記範囲であると、定着温度が上昇せず、熱保管性も良好である。
フィラーを本発明のトナーのシェル中に含む場合、シェル中のフィラー量は、特に限りはないが、30重量%以上とすることで、トナー保管時、および、機内使用時、50℃を越える程度の温度がトナーにかかったときに、内部が軟化してもシェル層がトナー表面の硬さを保持し、熱保管性、潜像保持体表面へのトナーフィルミング防止等の静電荷像現像用トナーとして必要な粉体特性を確保できる。シェルに併用する熱可塑性樹脂は、コアの低軟化成分を覆い隠しトナー表面への低軟化成分の移動を抑止すると共に、フィラーとフィラー、フィラーとコアトナーの結着を増し、トナー表面からのフィラーの脱落剥がれを防止し、信頼性を高める働きをしていると考えられる。
本発明のシェルに用いることのできる熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が55℃以上の非結晶性樹脂を用いることが好ましく、高速機の機内温度上昇、長期保管時の余裕を考慮すると、ガラス転移温度は60℃以上がより好ましい。非結晶性樹脂の分子量は、特に限定されないが、通常、重量平均分子量は5,000以上が好ましい。樹脂の分子量が過度に小さいと、現像器攪拌中の破砕、定着ラティチュードの減少等が生じるおそれがある。尚、非結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)を用いた熱分析測定において、結晶融解に伴う吸熱ピークが存在しない樹脂であり、常温固体で、ガラス転移温度以上の温度において熱可塑化するものを指す。
非結晶性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル系樹脂等を挙げることができる。中でも、ポリエステル樹脂は、通常、ジカルボン酸成分とジオール成分との中から好適なものを選択して組合せ、例えば、エステル交換法又は重縮合法等、従来公知の方法を用いて合成することができる。
本発明のトナーのコアは、結着樹脂を含有する。コアに用いる結着樹脂は、融点が100℃以下の結晶性樹脂や、ガラス転移温度が60℃以下の非結晶性樹脂を用いるのが好ましい。また、シェルに用いる材料としては、前記フィラーを含有させてもよい。
フィラーを本発明のトナーのコア中に含む場合、コア中のフィラー量は、特に限りはないが、10重量%以上とすることで、トナー保管時、および、機内使用時、50℃を越える程度の温度がトナーにかかったときに、コアの過度な軟化をコア中に分散した粒子の構造粘性により抑制することができる。このため、熱保管性、潜像保持体表面へのトナーフィルミング防止等の静電荷像現像用トナーとして必要な粉体特性を確保できる。
また、フィラー量を40重量%以下にすることで、コアの熱溶融性が保たれ、定着温度が上昇せず、画像平滑性が良好であり好ましい。
本発明に用いることのできる結着樹脂としては、トナーの溶融特性をフローテスター1/2流出温度が100℃以下の範囲にするため、結晶性樹脂および/または非結晶性樹脂を用いるのが好ましく、結晶性樹脂を用いるのがより好ましい。
以下、本発明に用いることのできるコア部の結着樹脂について説明する。
本発明において、トナーの溶融特性をフローテスター1/2流出温度が100℃以下の範囲にするためには、結着樹脂として結晶性樹脂を用いることがより好ましい。本発明において、結晶性樹脂とは、融点を有する樹脂であり、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)を用いた熱分析測定において吸熱ピークを有する樹脂を指している。結晶性樹脂の融点は40℃以上が好ましく、60℃以上が特に好ましい。但し、100℃以下が好ましく、90℃以下が特に好ましい。また、低温定着性のためには該結晶性樹脂の融点が60℃以上95℃以下であることが好ましい。
結晶性樹脂の融点が上記範囲であると、トナーの保存時や使用時に、トナーがブロッキングを起こさず低温定着性が達成でき好ましい。
結晶性樹脂の融点を60℃〜95℃とした場合、ガラス転移点は室温以下となるために、結晶性樹脂の溶融時の粘度は、ガラス転移温度が50〜70℃の非結晶性樹脂に比較して同分子量では溶融粘度過少となりやすい。
したがって、例えば、従来の非結晶性樹脂よりもより高分子量化した結晶性樹脂を用いる、あるいは、イオン架橋(凝集合一法中に生成する結晶性樹脂分子鎖と金属イオン凝集剤によるイオン架橋等)によりトナーの溶融粘度を高粘度化させることが好ましい。これにより定着時のホットオフセットを防止することができる。結晶性樹脂の溶融粘度は50Pa・s以上が好ましく、より好ましくは100Pa・s以上である。また、溶融粘度の上限は、定着温度の点から100,000Pa・s以下が好ましい。
結晶性樹脂の融点は、JIS K 7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。複数の融解ピークを示す場合は、その中の最大の融解ピークを融点と見なす。
ポリエステル系樹脂の具体例としては、ポリ−1,2−シクロプロペンジメチレンイソフタレート、ポリデカメチレンアジペート、ポリデカメチレンアゼレート、ポリデカメチレンオキサート、ポリデカメチレンセバケート、ポリデカメチレンサクシネート、ポリアイコサメチレンマロネート、ポリエチレン−p−(カルボフェノキシ)ブチレート、ポリエチレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデカノエート、ポリエチレン−p−フェニレンジアセテート、ポリエチレンセバケート、ポリエチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデカノエート、ポリヘキサメチレンオキサレート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリヘキサメチレンスベレート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレンアジペート、ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレンマロネート等が挙げられる。
本発明において、トナー溶融特性をフローテスター1/2流出温度が100℃以下の範囲にするためには、結着樹脂としてガラス転移温度が60℃以下の非結晶性樹脂を用いることが好ましい。非結晶性樹脂の分子量は、特に限定されないが、通常、重量平均分子量は5,000以上100,000以下が好ましい。樹脂の分子量が上記範囲であると、定着像の強度が十分で、現像器攪拌中の破砕等が生じず、定着温度も上昇せず好ましい。
本発明のトナーには、着色剤が含有される。着色剤としては特に限定されず、公知の着色剤を使用することができ、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、ランプブラック、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコイルブルー、メチレンブルークロライド、銅フタロシアニン、キノリンイエロー、クロームイエロー、デュポンオイルレッド、オリエントオイルレッド、ローズベンガル、マラカイトグリーンオキサレート、ニグロシン染料、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3などが挙げられる。
本発明のトナーを磁性トナーとして用いる場合は、結着樹脂中に磁性粉を含有させてもよい。このような磁性粉としては、磁場中で磁化される物質を用いる。具体的には、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性粉末、又は、フェライト、マグネタイト等化合物を使用できる。
本発明のトナーは耐久性や粉体流動性などを向上させる目的で、トナーに微粒子が外添されることが好ましい。外添される微粒子としては、前述のフィラーとして用いられる有機樹脂粒子および無機粒子を好ましく挙げることができる。
本発明のトナーには、通常、種々の公知の添加剤を併用することができる。公知の添加剤としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、離型剤、帯電制御剤等が挙げられる。
離型剤としてはワックスが挙げられ、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂、ロジン類、ライスワックス、カルナバワックス等が挙げられる。これらのワックスの融点は、40℃〜150℃が好ましく、60℃〜110℃がより好ましい。ワックスの使用量は、特に限定されないが、通常、静電荷像現像用トナー中に、0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上の濃度で使用される。但し、20重量%以下が好ましい。上記範囲であると、特にオイルレス定着において剥離不良とならず、トナーの流動性が良好で、カラー画質および信頼性に優れ好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂粒子を含む分散液中で、前記結着樹脂を含む凝集粒子を形成する凝集工程と、前記凝集粒子の表面に熱可塑性樹脂粒子を付着させる付着工程とを含むことを特徴とする。フィラーをコア中に含有させる場合は、前記凝集工程で公知の方法により添加するのが好ましく、フィラーをシェル中に含有させる場合は、前記付着工程で公知の方法により添加するのが好ましい。
溶剤を用いずに低軟化点樹脂成分の露出を防止するシェル形成トナー製法としては、例えば特開平6−342224号公報のような微粒子を機械的に固着させる方法等があるが、生産性等の考慮から、水中においてシェル化を行う凝集合一法の微粒子後添加法(特開平11−143125号公報)、コアトナー作製後に微粒子後添加法を用いてシェル化する方法が好ましい。
本発明の静電荷像現像剤は、本発明のトナーとキャリアとを組み合わせて調製することができる。
キャリアとしては、特に限定されないが、通常、鉄粉、フェライト、酸化鉄粉、ニッケル等の磁性体粒子;磁性体粒子を芯材としてその表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ロジン系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂などの樹脂やステアリン酸等のワックスで被覆し、樹脂被覆層を形成させてなる樹脂被覆キャリア;結着樹脂中に磁性体粒子を分散させてなる磁性体分散型キャリア等が挙げられる。中でも、樹脂被覆キャリアは、トナーの帯電性やキャリア全体の抵抗を樹脂被覆層の構成により制御可能となるため特に好ましい。
本発明の静電荷像現像剤における本発明のトナーとキャリアとの混合割合は、通常、キャリア100重量部に対して、トナー2〜10重量部である。また、現像剤の調製方法は、特に限定されないが、例えば、Vブレンダー等で混合する方法等が挙げられる。
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程とを含む画像形成方法であって、前記トナーとして本発明の静電荷像現像用トナー、または、前記現像剤として本発明の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする。
電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する(現像工程)。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。さらに、被転写体表面に転写されたトナー像は、定着機により熱定着され、最終的なトナー像が形成される。
尚、前記定着機による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常、前記定着機における定着部材に離型剤が供給される。
本発明のトナー又は現像剤を、例えば、市販の電子写真複写機(富士ゼロックス社製 DocuCentre Color500)を用いて画像出し(富士ゼロックス社製C2紙、15g/m2)を行い、未定着画像を得、ついで、外部定着器(DocuCentre Color400 フリーベルトニップフューザー)を用いて、定着温度を70℃から220℃の間で段階的に上昇させながら画像の定着性、ホットオフセット性を評価することができる。なお、低温定着性は、未定着のソリッド画像(25mm×25mm)を定着した後、一定荷重の重りを用いて折り曲げ、その部分の画像抜けの幅が0.5mmとなる温度を最低定着温度として、低温定着性の指標とする。より具体的な前記最低定着温度としては、120℃以下である。
潜像保持体上に現像されたトナーのうち未転写トナーとして潜像保持体上に残ったトナーは、クリーニングブレードや、クリーニングロール等により回収される。この際に、トナーは潜像保持体表面に押圧されながらクリーニングされるため、表面に前記低軟化点樹脂成分が露出しているトナーは、摩擦熱が加わって潜像保持体表面にフィルミングしてしまい、結果として画像欠陥を引き起こしてしまう。本発明のトナーは、前記低軟化点樹脂成分がシェル層に内包されているのに加え、フィラーをコアに有する場合は、トナー表面が実質的に軟化しないフィラーにより硬さを保つため、また、フィラーをシェルに有する場合は、コアの過度な軟化をコア中に分散した粒子の構造粘性により抑制できトナーがつぶれにくいため、クリーニング性を向上しフィルミングを防止し、優れた画像信頼性を提供できる。
複数の攪拌翼を有する攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管を備えた反応容器中に、イオン交換水334重量部を加え、反応容器内を十分に窒素置換した。反応容器中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム16重量部と、スチレンモノマー70重量部、アクリル酸モノマー15重量部、及びジビニルベンゼンモノマー20重量部の混合物と、過硫酸ナトリウム1.5重量部とを加えて、十分に攪拌して混合溶液を得た(樹脂分濃度30%)。混合溶液を250rpm程度で攪拌しながら、約80℃で約5時間攪拌反応させた。架橋粒子P1は、ほぼ球形粒子であり、体積平均粒径は0.065μmであった。なお、粒子の平均粒径は、日機装(株)製:マイクロトラックUPA9340で測定した。
・RX50(日本アエロジル社製 表面疎水化処理シリカ 40nm) 100重量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK) 5重量部
・イオン交換水 895重量部
上記のイオン交換水895重量部にアニオン界面活性剤を混合した後、その水溶液にシリカ粒子を徐々に添加して、シリカ分散液(F2)を得た。(フィラー固形分濃度10%)
・スチレン 370重量部
・n−ブチルアクリレート 30重量部
・アクリル酸 4重量部
・ドデカンチオール 24重量部
・四臭化炭素 4重量部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6重量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)10重量部をイオン交換水560重量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。こうして、体積平均粒径が100nm、ガラス転移点が59℃、重量平均分子量(Mw)が15,000である樹脂粒子を分散させてなる無定形スチレンアクリル高分子分散液(SR1)(樹脂粒子濃度:40重量%)を調製した。
加熱乾燥した三口フラスコに、1,10−ドデカン二酸 90.5mol%、及びイソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム 2mol%、5−t−ブチルイソフタル酸 7.5mol%の酸成分、および、1,9−ノナンジオール 100mol%と、触媒としてTi(OBu)4(酸成分に対し、0.014重量%)とを入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて過剰なエチレングリコールを除去し、220℃まで徐々に昇温を行い4時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量25,000になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(C1)を得た。
<樹脂合成方法>
撹拌器、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2mol付加物113.5重量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物260.5重量部、エチレングリコール5重量部、テレフタル酸ジメチルエステル161重量部、ドデセニルコハク酸47重量部、トリメリット酸トリメチルエステル3重量部、ジブチルスズオキシド3重量部を投入し、反応容器内部を乾燥窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、約200℃で約4時間撹拌反応させ、さらに温度を約240℃に昇温して約5時間撹拌反応させて、ガラス転移温度が65℃、重量平均分子量(Mw)が15,000である非晶性PES樹脂A1を得た。
<分散液の調製>
非晶性PES樹脂A1 200重量部及びイオン交換水700重量部をアンモニア水によりpH8に調整し、ユーロテック社乳化機キャビトロンCD1010を高温高圧型に改造した分散機を用いて、140℃で混合し、固形分濃度10%、樹脂分散液中の粒子の中心径0.7μmの非晶性樹脂分散液BA1(樹脂粒子濃度:20重量%)を調製した。
ガラス転移点が60℃、重量平均分子量(Mw)が15,000である樹脂粒子を分散させてなる無定形ポリエステル高分子分散液を調製した。
<樹脂合成方法>
撹拌器、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2mol付加物107.5重量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物247.5重量部、ブタンジオール5.0重量部、エチレングリコール5重量部、テレフタル酸ジメチルエステル161重量部、ドデセニルコハク酸47重量部、トリメリット酸トリメチルエステル3重量部、ジブチルスズオキシド3重量部を投入し、反応容器内部を乾燥窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、約200℃で約5時間撹拌反応させ、さらに温度を約240℃に昇温して約4時間撹拌反応させて、ガラス転移温度が65℃、重量平均分子量(Mw)が15,000である非晶性PES樹脂A2を得た。
<分散液の調製>
非晶性PES樹脂A2 200重量部及びイオン交換水700重量部をアンモニア水によりpH8に調整し、ユーロテック社乳化機キャビトロンCD1010を高温高圧型に改造した分散機を用いて、140℃で混合し、固形分濃度10%、樹脂分散液中の粒子の中心径0.7μmの非晶性樹脂分散液BA2(樹脂粒子濃度:20重量%)を調製した。
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)性:HNP9,融点77℃) 50重量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK) 5重量部
・イオン交換水 195重量部
以上を110℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、体積平均粒径が210nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(離型剤濃度:25重量%)を調製した。
・シアン顔料(大日精化(株)製、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン)) 1,000重量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR) 150重量部
・イオン交換水 9,000重量部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の体積平均粒径は、0.15μm、着色剤粒子濃度は23重量%であった。
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(BC1) 2,380重量部
・着色剤分散液 60.9重量部
・離形剤分散液 210重量部
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(BC1)2,380重量部、着色剤分散液60.9重量部、離型剤分散液210重量部、ポリ塩化アルミニウム0.5重量部(和光純薬社製)、イオン交換水100重量部を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、pH4.0に調整した後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、加熱用オイルバス中で65℃まで攪拌しながら加熱した。65℃で3時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、体積平均粒径が約5.0μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。更に1時間、65℃で加熱攪拌を保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、体積平均粒径が約5.5μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
その後、反応生成物をろ過し、2,000部のイオン交換水で洗浄した後、再びろ過を行い、固形分濃度50%のトナー母粒子(1)のトナーケーキ560重量部を得た。
凝集粒子分散液の調整で、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(BC1)及びイオン交換水の代わりに、
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(BC1) 714重量部
・ポリエステル無定形高分子分散液(BA1) 833重量部
・イオン交換水 700重量部
とした以外はトナー母粒子(1)と同様に作製した。
凝集粒子分散液の調整で、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(BC1)及びイオン交換水の代わりに、
・ポリエステル無定形高分子分散液(BA2) 1,190重量部
・イオン交換水 1,000重量部
とした以外はトナー母粒子(1)と同様に作製した。
固形分濃度50%のトナー母粒子(1)のトナーケーキ560重量部を3Lフラスコに入れた後、架橋粒子分散液(F1) 52.2重量部と無定形高分子分散液(SR1) 16.8重量部を添加し、攪拌を開始した。10分後、固形分濃度が35%となる量となるようにイオン交換水を添加した後、0.3mol/Lの硝酸水溶液を徐々に添加することにより、pHを3.0に調整した。30分後、ポリ塩化アルミニウムを0.11重量部(シェル固形分の0.5重量%)添加して、さらに30分後、0.5℃/1分の速度で48℃まで昇温した。48℃で2時間経過した後、0.1℃/1分の速度で57℃まで昇温した。この際のpHは7.3であったため、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加することにより、pH7.5に調整し、10時間加熱を続けた。10時間後、電子顕微鏡(SEM)撮影にてコア粒子表面に付着微粒子の被覆層が形成されていることを確認した後、30分で20℃まで降温した。
冷却後、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm、コールター社製)を用いて測定したところ、体積平均粒径は5.5μmであった。
下記表1の組成に従い、実施例1のコアシェルトナーと同様にして、実施例2〜8及び11、比較例のトナー1〜3のトナーを作製した。
比較例4のトナーは、トナー母粒子(1):結晶性樹脂コアトナーをシェル形成せずにそのまま用いた。
比較例5及び6のトナーは、それぞれ実施例8及び11のコアトナーをシェル形成せずにそのまま用いた。
参考例のトナーは、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(BC1)の代わりに無定形スチレンアクリル高分子分散液(SR1)を用いた以外は、トナー母粒子(1)と同様にして作成し、シェル形成せずにそのまま用いた。
−トナー母粒子(4):結晶性樹脂コアトナーの調製−
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(BC1) 714重量部
・ポリエステル無定形高分子分散液(BA1) 833重量部
・着色剤分散液 44.2重量部
・離形剤分散液 112重量部
上記材料、および、イオン交換水200重量部を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、pH4.0に調整した後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、ポリ塩化アルミニウム5重量部を添加し、加熱用オイルバス中で48℃まで攪拌しながら加熱した。48℃で3時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、体積平均粒径が約5.0μmであるコア成分の凝集粒子が形成されていることが確認された。ここで、架橋粒子分散液(F1)104.5重量部と熱可塑性樹脂分散液(SR1)33.6重量部を徐々に添加し、更に1時間、48℃で加熱攪拌を保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、体積平均粒径が約5.5μm(粒度測定器)である凝集粒子が形成されていることが確認された。この後、pHを水酸化ナトリウム溶液で9.5に調整した後、1℃/分の昇温速度で95℃まで加熱し、さらに1時間保持し、冷却し、実施例9のトナーを得た。光学顕微鏡にて観察すると、体積平均粒径が5.5μm(粒度測定器)である粒子が形成されていることが確認された。この粒子は、透過型電子顕微鏡による断面観察からコアシェル型のトナーとなっていることが確認された。
また、表1の組成に従い、実施例9のトナーと同様に実施例10のトナーを作製した。
(トナーの特性評価方法)
1)フローテスター1/2流出温度の測定
島津製作所製 CFT500フローテスターを用いて、ダイ径0.5mm、ダイ長さ0.5mm、圧力10kgf、昇温速度3℃/分で測定した。
2)粒度分布
トナーの粒度分布は分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積、数、それぞれに小径側から累積分布を描き、体積平均粒径、数平均粒径を求めた。なお、累積16%となる粒径を体積平均粒径D16%径、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50%径、また累積84%となる粒径を体積平均粒径D84%径と定義した。
トナーの粒度分布はコールターカウンターTA−II型機(コールター社製)を用いて体積粒度を測定し、次式より求めた。
粒度分布={(D50%径/D84%径)+(D16%径/D50%径)}/2
尚、トナーの粒径は体積粒度のD50%径を用いた。また、トナーの数平均粒径は累積50%となる粒径を用いた。
3)粒径
トナーの粒径はコールターカウンターTA−II型機(ベックマンーコールター社製)を用いて体積平均粒径および数平均粒径を測定した。
トナーそれぞれに外添剤として100重量部に球状シリカ(平均1次粒径140nm、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.90)2.5重量部を加え、20Lヘンシェルミキサーで周速40m/s×10分間ブレンドし、その後ルチル型酸化チタン(1次粒径20nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)1.2重量部を加え、更に周速40m/s×5分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、静電荷像現像用トナーを得た。
ついで、これらトナーそれぞれ5重量部と樹脂被覆されたフェライト粒子(体積平均粒径35μm)100重量部を混合して二成分現像剤を調整した。
これを市販の電子写真複写機(富士ゼロックス社製 DocuCentre Color500)を用いて画像出し(富士ゼロックス社製C2紙、15g/m2)を行い、未定着画像を得た。
直径約10cmの53μmの篩分網にトナーを2g秤量して、トナー飛散防止のため上部カバーを覆い被せた後、55℃湿度50%の条件下24時間静置したのち、ホソカワ粉体工学研究所製パウダーテスターにて約90秒間振動させ、篩上のトナー量を計測した。この際、53μm篩分網の網上残量が0.5g以上の場合を、熱保管性が不十分なトナーと判断(×)、網上残量が0.2g以上0.5g未満を使用可能レベル(○)、0.2g未満をより保管性に優れる(◎)とした。
毎分A4サイズの用紙を16枚カラー印刷できる富士ゼロックス製 DocuCentre Color500を用いて、1万枚の連続印刷を行った後、潜像保持体上のトナーフィルミング発生状況の有無、画像欠損の有無を観察した。
表2に、最低定着温度、55℃トナー保管性、フィルミングの評価結果を示す。実施例のトナーは、定着温度が低く、かつ、トナー熱保管性が良い上に潜像保持体上のフィルミングの発生も抑えることが出来た。フィルミングによる画像欠損も発生しなかった。
比較例1、2、3のトナーは、シェル層にフィラーを含有していないために、トナーの熱保管性とフィルミング性に劣っており、また、潜像保持体上のフィルミングが発生し、画像欠損も発生し実使用に耐えられないものであった。参考例のトナーは従来通常範囲の1/2流出温度(125℃)とガラス転移温度(65℃)をもつものであるが、トナーの熱保管性、耐フィルミング性は優れるが、しかし、低温定着は達成できなかった。
・R805(日本アエロジル社製 表面疎水化処理シリカ 16nm) 100重量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK) 5重量部
・イオン交換水 895重量部
上記のイオン交換水895重量部にアニオン界面活性剤を混合した後、その水溶液にシリカ粒子を徐々に添加して、シリカ分散液(F3)を得た。
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(BC1) 2,142重量部
・架橋粒子水分散液(F1) 79.3重量部
・着色剤分散液 44.2重量部
・離形剤分散液 112重量部
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(BC1)2,142重量部、架橋粒子水分散液(F1) 79.3重量部、着色剤分散液60.9重量部、離型剤分散液112重量部、ポリ塩化アルミニウム0.5重量部(和光純薬社製)、イオン交換水100重量部、を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、pH4.0に調整した後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、加熱用オイルバス中で65℃まで攪拌しながら加熱した。65℃で3時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、体積平均粒径が約5.0μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。更に1時間、65℃で加熱攪拌を保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、体積平均粒径が約5.5μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
その後、反応生成物をろ過し、2,000重量部のイオン交換水で洗浄した後、再びろ過を行い、固形分濃度50%の実施例12のトナー母粒子のトナーケーキ560重量部を得た。
表3の組成に従い、実施例13、14、16、17、比較例7〜9のトナーを実施例12のコアトナーと同様にして作製した。
実施例15のトナーは、溶融混練法を用いて表3の材料をブレンドし、粉砕分級することで5.8μmのトナーを得、その後、このトナー100重量部を界面活性剤ネオゲンRK3重量部とイオン交換水897重量部とを混合した液に分散し、ろ過を行い、固形分濃度50%の実施例15のトナー母粒子のトナーケーキ560重量部を得た。
固形分濃度50%のトナー母粒子(5)のトナーケーキ560部を3Lフラスコに入れた後、無定形高分子分散液(SR1)112重量部を添加し、攪拌を開始した。10分後、固形分濃度が35%となる量となるようにイオン交換水を添加した後、0.3mol/Lの硝酸水溶液を徐々に添加することにより、pHを3.0に調整した。30分後、ポリ塩化アルミニウムを0.11重量部(シェル固形分の0.5重量%)添加して、さらに30分後、0.5℃/1分の速度で48℃まで昇温した。48℃で2時間経過した後、0.1℃/1分の速度で57℃まで昇温した。この際のpHは7.3であったため、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加することにより、pH7.5に調整し、10時間加熱を続けた。10時間後、電子顕微鏡(SEM)撮影にてコア粒子表面に付着微粒子の被覆層が形成されていることを確認した後、30分で20℃まで降温した。
冷却後、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm、ベックマン−コールター社製)を用いて測定したところ、体積平均粒径は5.7μmであった。
表3の組成に従い、実施例12のコアシェルトナーと同様にして、実施例13〜17、比較例7〜9のトナーを作製した。
比較例10のトナーは、トナー母粒子(5):結晶性樹脂コアトナーをシェル形成せずにそのまま用いた。
比較例11及び12のトナーは、それぞれ実施例16及び17のコアトナーをシェル形成せずにそのまま用いた。
表4に、最低定着温度、55℃トナー保管性、フィルミングの評価結果を示す。実施例のトナーは、定着温度が低く、かつ、トナー熱保管性が良い上に潜像保持体上のフィルミングの発生も抑えることが出来た。フィルミングによる画像欠損も発生しなかった。
比較例7〜9のトナーは、コアにフィラーを含有していないために、トナーの熱保管性とフィルミング性に劣っており、また、潜像保持体上にフィルミングが発生し、画像欠損も発生し実使用に耐えられないものであった。参考例のトナーは従来通常範囲の1/2流出温度(125℃)とガラス転移温度(65℃)をもつものであるが、トナーの熱保管性、耐フィルミング性は優れるが、しかし、低温定着は達成できなかった。
下記表5の組成に従い、実施例18のコアトナーを実施例12のコアトナーと同様にして作製した。続いて、得られたコアトナーを、下記表5の組成に従い、実施例1のコアシェルトナーと同様にシェル層を形成し、実施例18のトナーを得た。
得られた実施例18のトナーに、前述した静電荷像現像用トナーの調整をおこない、得られた静電荷像現像用トナーに対し定着性、熱保管性、フィルミングについて前述した方法により評価を行った。評価結果を、以下の表6に示す。
表6に、最低定着温度、55℃トナー保管性、フィルミングの評価結果を示す。コア及びシェルの両方にフィラーを含有する実施例18のトナーは、定着温度が低く、かつ、トナー熱保管性が良い上に潜像保持体上のフィルミングの発生も抑えることが出来た。フィルミングによる画像欠損も発生しなかった。
Claims (5)
- 着色剤、結着樹脂、および、フィラーを少なくとも含有するコアシェル型トナーであって、
前記トナーのフローテスター1/2流出温度が60℃以上100℃以下であり、
前記シェルが熱可塑性樹脂を含有し、
前記フィラーがコアまたはシェルのどちらか一方に含有されており、
前記フィラーをコア中に含有する場合、コア中のフィラーの含有量が10重量%以上40重量%以下であり、前記フィラーをシェル中に含有する場合、シェル中のフィラーの含有量が30重量%以上80重量%以下であり、
前記フィラーが、有機樹脂粒子であることを特徴とする
静電荷像現像用トナー。 - 前記フィラーが、架橋構造を有している有機樹脂粒子である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 少なくとも結着樹脂粒子を含む分散液中で、前記結着樹脂を含む凝集粒子を形成する凝集工程と、
前記凝集粒子の表面に熱可塑性樹脂粒子を付着させる付着工程と
を含むことを特徴とする
請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤。
- 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と
を含む画像形成方法であって、
前記トナーとして請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー、または、前記現像剤として請求項4に記載の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする
画像形成方法。
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