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JP4760325B2 - 固体撮像素子及びその製造方法 - Google Patents

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JP4760325B2 JP2005334848A JP2005334848A JP4760325B2 JP 4760325 B2 JP4760325 B2 JP 4760325B2 JP 2005334848 A JP2005334848 A JP 2005334848A JP 2005334848 A JP2005334848 A JP 2005334848A JP 4760325 B2 JP4760325 B2 JP 4760325B2
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Description

本発明は固体撮像素子及びその製造方法に係り、特に画素内の信号出力トランジスタにリング状ゲート電極を有するトランジスタを用いた固体撮像素子及びその製造方法に関する。
撮像装置に使用される代表的な固体撮像素子としてはCCD(Charge Coupled Device)型撮像素子がある。しかしながら、消費電力の問題から近年の急速な多画素化と高速読出し化の要求に答えるのが困難になってきている。一方、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型撮像素子(以下、CMOSセンサともいう)は、低電圧駆動が可能であり、前記の多画素化と高速読出し化の要求に対応することが容易である。また、製造工程においてCMOSプロセスを使用でき、同一チップ内に駆動回路や処理回路などの周辺回路を混載することが可能であり、小型化にも有利である。このことからCMOS型撮像素子は、ディジタルカメラやビデオカメラ用として、CCDに代わる高性能撮像素子としての注目を浴びつつある。
CMOSセンサについて更に詳しく説明すると、これは従来から知られているローリングシャッタ型CMOSセンサである(例えば、特許文献1参照)。図8は上記の従来のCMOSセンサの一例の等価回路図を示す。同図に示すCMOSセンサは、簡単のため、単位画素1が横方向2画素、縦方向2画素の2×2画素の配置とされている。単位画素1は、被写体像を光電変換するフォトダイオード(PD)2と、信号電荷の増幅用MOS型電界効果トランジスタ(以下、MOSFET)3と、電荷転送用MOSFET4と、リセット用MOSFET5と、選択用MOSFET7とよりなり、電源ライン6がMOSFET3、5のドレインに接続され、増幅用MOSFET3のソースが選択用MOSFET7のドレインに接続されている。
増幅用MOSFET3のゲート電極はフローティングディフュージョン(FD)になっており、フォトダイオード2の電荷が電荷転送用MOSFET4のドレイン−ソースを介して増幅用MOSFET3のゲート電極(FD)に転送される。また、増幅用MOSFET3のゲート電極(FD)の電位は、リセット用MOSFET5によりリセットされる。
選択用MOSFET7がオン状態になると、増幅用MOSFET3のソースを選択用MOSFET7のドレイン・ソースを通して画素出力ライン8に導通させる。画素出力ライン8は定電流供給用MOSFET9のドレインに接続されている。定電流供給用MOSFET9は、増幅用MOSFET3のソースフォロア回路の負荷として作用する。定電流供給用MOSFET9は、ゲート電位供給ライン13のゲート電位により制御される。
また、リセット用制御ライン10、電荷転送用制御ライン11、画素選択用制御ライン12は、それぞれリセット用MOSFET5、電荷転送用MOSFET4、選択用MOSFET7の各ゲート電極に接続されており、その電位はそれぞれパルス供給端子15、14、16から、MOSFET19、20、21のドレイン・ソースをそれぞれ通して供給される。
垂直シフトレジスタ17は、行順次走査のために2×2画素の行を選択する回路で、その垂直シフトレジスタ出力線18−1、18−2が、各行のMOSFET19、20、21のゲート電極に接続されており、パルス供給端子15、14、16の端子に供給されたパルスがどの行の画素を制御するかを決定する。
また、読み出しブロック22は、リセット信号出力を保持する容量23、光信号出力を保持する容量24、どちらの容量に保持するかを選択するスイッチ用MOSFET25及び26、水平出力線27、28に接続されたスイッチ用MOSFET29、30からなる。スイッチ用MOSFET25、26は端子37、38からそのゲート電極に供給されるパルスによりスイッチング制御される。
水平シフトレジスタ34は、2×2画素のうち、どの列の画素の保持信号を水平出力線27、28に出力するかをスイッチ用MOSFET29、30のゲートに接続された水平シフトレジスタ出力線35−1、35−2への出力電位で決定する。また、水平出力線27、28をリセットするための電位を端子33から供給し、リセットのタイミングは端子36から供給するパルスでスイッチ用MOSFET31、32をスイッチング制御して行う。水平出力線27、28は差動アンプ39の入力端子に接続されている。差動アンプ39はリセット信号出力と光信号出力の差をとり、その差信号をアンプ出力端子40からセンサ外に出力する。
次に、図8に示す従来のCMOSセンサの動作について図9のタイミングチャートを併せ参照して説明する。なお、図8中のMOSFETはすべてN型とし、よって、MOSFETはそのゲート電位がハイレベル(High)でオン、ローレベル(Low)でオフとなる。
まず、垂直シフトレジスタ出力線18−1の電位が図9(D)に示すように時刻t1でHighとなり、これにより1行目の画素1が選択される。続いて、パルス供給端子16の入力パルスが図9(C)に示すように時刻t2でHighになり、これにより1行目の画素1の選択用MOSFET7がオン状態になるため、1行目の画素1の増幅用MOSFET3のソースが選択用MOSFET7のドレイン・ソースと画素出力ライン8を通して定電流供給用MOSFET9につながり、ソースフォロア回路を形成する。
この状態で、最初にパルス供給端子15に図9(B)に示すように一定時間Highのパルスが供給され、1行目の画素1のリセット用MOSFET5のドレイン・ソースを通して増幅用MOSFET3のゲート電極(FD)がリセットされる。その後の時刻t3で、パルス供給端子37の入力パルスが図9(I)に示すようにHighになり、スイッチ用MOSFET25をオン状態とし、容量23に1行目の画素1のソースフォロワ回路から出力されたリセット信号出力が保持される。
次に、パルス供給端子14に時刻t4で図9(A)に示すようにHighパルスが印加されると、1行目の画素1内の電荷転送用MOSFET4がオンし、1行目の画素1内のフォトダイオード2に蓄積されている電荷が電荷転送用MOSFET4のドレイン・ソースを介して増幅用MOSFET3のゲート電極(FD)に転送される。その後の時刻t5で、パルス供給端子38に図9(J)に示すようにHighパルスが印加されると、容量24に1行目の画素1のソースフォロワ回路から出力された光信号出力が保持される。続いて、パルス供給端子16の入力パルスが図9(C)に示すように、時刻t6でLowになるため、1行目の画素1内の選択用MOSFET7がオフになり、1行目の画素1からの出力はなくなる。
端子36の入力信号はこの間図9(H)に示すようにHighであり、水平出力ライン27、28はリセット状態になっている。しかし、上記の時刻t6で端子36の入力信号が図9(H)に示すようにLowになり、この状態で水平シフトレジスタ出力線35−1に図9(F)に示すHighパルスを印加すると、1列目のスイッチ用MOSFET29、30がそれぞれオンとされるため、1列目の容量23、24の各信号が1列目のスイッチ用MOSFET29、30を通して水平出力ライン27、28にそれぞれ出力されて差動アンプ39に供給される。差動アンプ39は1列目の容量23、24の各信号、すなわち、リセット信号出力と光信号出力との差をとり、増幅用MOSFET3のしきい値ばらつきに起因したノイズを除去した光信号を出力端子40より出力する。
次に、端子36に図9(H)に示す時刻t7でHighパルスを印加すると、水平出力ライン27、28が再びリセットされ、その後水平シフトレジスタ出力線35−2に、図9(G)に示すように時刻t8でHighパルスが印加され、2列目のスイッチ用MOSFET29、30がそれぞれオンとされるため、2列目の容量23、24の各信号が2列目のスイッチ用MOSFET29、30を通して水平出力ライン27、28にそれぞれ出力されて差動アンプ39に供給され、2列目の信号が1列目と同様に差動アンプ39から出力端子40に出力される。
その後、図9(D)に示す時刻t9で垂直シフトレジスタ出力線18−1の電位がLowとなり、1行目の処理が終わる。次に時刻t10で図9(E)に示すように、垂直シフトレジスタ出力線18−2の電位がHighになり、以下1行目と同様な処理が行われ、全画素の読み出しが終了する。
従って、このCMOSセンサの場合、1行目と2行目のフォトダイオード2で光電変換しているタイミングが異なる。このような撮像方式をローリングシャッタ、あるいはフォーカルプレーンと呼ぶ。
特開2003−17677号公報
このような従来のローリングシャッタ型CMOSセンサは、1行ずつ順番に読み出しを行うもので、画素エリアの上部と下部で読み出されるタイミングが異なる。従って、動いているものを撮像した場合、撮像画像が歪むという問題がある。
この問題を避ける方法として、ローリングシャッタ型CMOSセンサの入射光側前方にメカニカルシャッタを設ける方法が考えられる。この方法では、メカニカルシッャタオープン期間に対応して全ラインの1フレーム期間の露光期間を設け、メカニカルシャッタクローズ期間で各1ラインずつ順次に読み出しを行うことにより、露光プロセスと信号読出しプロセスが分離でき、特に被写体が静止画の場合、前記した撮像画像の歪みを避けることができる。
しかし、この場合、メカニカルシャッタを設けることで、機構が複雑化し装置の大型化を招くことになり、またフレーム毎にメカニカルシャッタの開閉制御を行う必要があり、特に動画撮影の場合、制御系の複雑さやシャッタ駆動用の電力が増加するなどの問題があり、動画撮影に適用するのが困難である。
また、上記のCMOSセンサにおいて、基板表面に形成したウェル内に、ウェルとは反対導電型の拡散領域を形成して埋め込みのフォトダイオードを形成する場合、上記のウェルとは反対導電型の不純物を用いたイオン注入法を適用して上記の拡散領域を形成するときに、重量が重い不純物を用いて浅い拡散領域を形成して光電変換効率を高めようとすると、結晶欠陥が起きやすく、その結果、暗電流による雑音が大きく発生してしまう。
本発は以上の点に鑑みなされたもので、フォトダイオードの形成に際して、所定の不純物を用いたイオン注入法を適用することにより、暗電流を抑え低雑音を実現した固体撮像素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、動画を撮像しても撮像画像が歪まない固体撮像素子及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するため、第1の発明は、基板上に絶縁膜を挟んで形成されたリング状ゲート電極と、リング状ゲート電極の中央開口部に対応する基板の位置に設けられた第1導電型のソース領域と、ソース領域を取り囲み、かつ、リング状ゲート電極の外周に達しないように基板に設けられた第2導電型のソース近傍領域と、リング状ゲート電極の中央開口部の内側に対応する基板の位置に中央開口部の内周に沿ってリング状に形成され、ソース近傍領域よりも高い不純物濃度を有してソース近傍領域に接する第2導電型の高濃度領域と、を備えた信号出力用トランジスタと、基板に設けられ、入射した光を電荷に変換して蓄積する光電変換領域と、光電変換領域に蓄積された電荷をソース近傍領域へ転送する電荷転送手段とを含む画素が複数2次元配列されており、ソース領域及び高濃度領域は、リング状ゲート電極をマスクとするイオン注入により、セルフアラインで形成されており、高濃度領域は、ソース近傍領域内のさらにソース領域の近傍位置に形成され、かつ、リング状ゲート電極のソース領域の側端部の内側に形成されており、ソース近傍領域及び高濃度領域はアクセプタ不純物としてボロン、又はドナー不純物としてヒ素をイオン注入した領域であり、かつ、ソース領域はドナー不純物としてヒ素、又はアクセプタ不純物としてボロンをイオン注入した領域であることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するため、第2の発明は、第1の発明の信号出力用トランジスタは基板の表面部に第2導電型の光電変換領域に接して形成された第1導電型のドレイン領域をさらに備え、光電変換領域はアクセプタ不純物としてボロンを、又はドナー不純物としてヒ素をイオン注入した領域であり、かつ、ドレイン領域はドナー不純物としてヒ素を、又はアクセプタ不純物としてボロンをイオン注入した領域であることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するため、第3の発明は、第1の発明において、基板は、半導体基板及び半導体基板上に形成された第1導電型のウェルを備え、
画素は、第1導電型のウェル、及び第1導電型のウェルにおける所定の第1の領域とは異なる第2の領域に形成されて第1導電型のウェルに接続する第2導電型の光電変換領域を有し、電荷を蓄積するフォトダイオードと、第1の領域上に絶縁膜を挟んで形成されたリング状ゲート電極と、リング状ゲート電極の中央開口部に対応する第1導電型のウェル内の第1の領域に形成された第1導電型の第1ソース部であるソース領域と、ソース領域の周囲にリング状ゲート電極の外周に達しないように第1導電型のウェル内の第1の領域に形成されてソース領域に接続しフォトダイオードから転送された電荷を蓄積する第2導電型のソース近傍領域と、第1導電型のウェルにおける第1の領域とは異なる第3の領域にソース領域及びソース近傍領域に離間して形成された第1導電型の第1ドレイン部とを有し、ソース近傍領域に蓄積された電荷を撮像信号として出力する信号出力用トランジスタと、第1の領域上に絶縁膜を介して形成されてリング状ゲート電極の一部を覆う転送ゲート電極を有し、光電変換領域を第2ソース部とし、ソース近傍領域を第2ドレイン部とし、フォトダイオードに蓄積された電荷を信号出力用トランジスタへ全画素一斉に転送する電荷転送手段と、を備え、
リング状ゲート電極及び転送ゲート電極の絶縁膜を介した直下の領域であって、かつ、光電変換領域とソース近傍領域との間の領域には第1導電型のウェルのみが存在しており、光電変換領域に蓄積された電荷は、リング状ゲート電極下と転送ゲート電極下とで第1導電型のウェルにバリアとなる電位差が生じないようにリング状ゲート電極の電位及び転送ゲート電極の電位がそれぞれ制御されることにより、第1導電型のウェルのみを介してソース近傍領域に全画素一斉に転送され、電荷が撮像信号として出力された後のソース近傍領域は、リング状ゲート電極の電位及び転送ゲート電極の電位が第1ドレイン部の電位以下の電位で、リセットされることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するため、第4の発明は、第3の発明における第1ドレイン部が光電変換領域に接しており、光電変換領域はアクセプタ不純物としてボロンを、又はドナー不純物としてヒ素をイオン注入した領域であり、かつ、第1ドレイン部はドナー不純物としてヒ素を、又はアクセプタ不純物としてボロンをイオン注入した領域であることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するため、第5の発明は、第1導電型の基板部の所定の領域にアクセプタ不純物としてボロンを、又はドナー不純物としてヒ素をイオン注入し、光電変換領域に入射した光が光電変換されて生成された電荷を蓄積する第2導電型のソース近傍領域を形成するソース近傍領域形成ステップと、第2導電型のソース近傍領域に中央開口部が位置するように、第1導電型の基板部上に絶縁膜を挟んでリング状ゲート電極を形成するリング状ゲート電極形成ステップと、リング状ゲート電極をマスクとして、アクセプタ不純物としてボロンを、又はドナー不純物としてヒ素をイオン注入し、第1導電型の基板部の表面部第2導電型のソース近傍領域内に第2導電型の第1高濃度領域を形成する第1高濃度領域形成ステップと、リング状ゲート電極をマスクとして、ドナー不純物としてヒ素を、又はアクセプタ不純物としてボロンをイオン注入し、第1導電型の基板部における第2導電型の第1高濃度領域上に第1導電型の第2高濃度領域を形成する第2高濃度領域形成ステップと、リング状ゲート電極の中央開口部の内周面にリング状のサイドスペーサを形成するサイドスペーサ形成ステップと、リング状ゲート電極及びサイドスペーサをマスクとして、ドナー不純物としてヒ素を、又はアクセプタ不純物としてボロンをイオン注入し、第1導電型の第2高濃度領域と一体とされて第2導電型のソース近傍領域に接すると共に、第2導電型の第1高濃度領域をリング状にする第1導電型の第3高濃度領域を形成する第3高濃度領域形成ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、グローバルシャッタ機能を有するので、動画撮影時の画像歪を防止し、静止画撮影時ではメカニカルシャッタ機構を用いることなく画像歪無しの撮影画像をえることができる。
また、本発明によれば、光電変換領域や信号出力用トランジスタのソース近傍領域を、アクセプタ不純物としてBFよりも結晶欠陥ができにくいボロンを使用してイオン注入により形成するか、あるいは、ドナー不純物としてリンよりも格子歪みやストレスが発生し難いヒ素を使用してイオン注入により形成するようにしたため、暗電流低減ができ、その結果低雑音の構成の固体撮像素子を実現できる。
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。図1(A)は本発明になる固体撮像素子の一実施の形態の1画素分の平面図、同図(B)は同図(A)のX−X’線に沿う縦断面図を示す。本実施の形態で使用する基板は、図1(B)に示すように、p+基板上41にp-型エピタキシャル層42を成長させてある。p-型エピタキシャル層42内にnウェル43があり、nウェル43上にはゲート酸化膜44を挟んで第1のゲート電極として、平面形状がリング状のゲート電極45が形成されている。
図1(B)に示すように、リング状ゲート電極45の中央開口部のnウェル43表面には、n+型のソース領域46があり、ソース領域46に隣接してソース領域46を取り囲むようにp型のソース近傍領域47が形成されている。ソース近傍p型領域47はリング状ゲート電極45の外周部に達していない。ソース領域46、ソース近傍p型領域47と離れたnウェル43の表面にはn+型のドレイン領域48がある。
また、図1(B)に示すように、リング状ゲート電極45の外周部より外側のnウェル43の中には、p-型領域49が形成され、同図(A)に示す埋め込みフォトダイオード50を形成している。埋め込みフォトダイオード50を構成するp-型領域49とリング状ゲート電極45の間の基板上には、ゲート絶縁膜44を挟んで第2のゲート電極として転送ゲート電極51が形成されている。
ドレイン領域48、リング状ゲート電極45、ソース領域46、転送ゲート電極51には、それぞれメタル配線52、53、54、55が接続されている。また、各構成の上部は図1(B)に示すように、絶縁層で被覆され、更にその上に遮光膜56が形成されている。遮光膜56のフォトダイオード50の垂直方向の上部に対応する位置には開口部57が穿設されている。この遮光膜56は金属、あるいは有機膜等で形成される。光は、開口部57を通して埋め込みフォトダイオード50に達して光電変換される。
次に、CMOSセンサの画素構造と撮像素子全体の構造について、電気回路で表現した図2と共に説明する。同図において、まず、画素はm行n列に画素敷き詰め領域61に配置されている。図2ではこれらm行n列の画素のうち、s行t列の一画素62を代表として等価回路で表現している。この画素62は、リング状ゲートMOSFET63と、フォトダイオード64と、転送ゲートMOSFET65とからなり、リング状ゲートMOSFET63のドレインがフォトダイオード64のn側端子とドレイン電極配線66(図1の52に相当)に接続され、転送ゲートMOSFET65のソースがフォトダイオード64のp側端子に接続され、ドレインがリング状ゲートMOSFET63のバックゲートに接続されている。
なお、上記のリング状ゲートMOSFET63は、図1(B)ではリング状ゲート電極45直下のソース近傍p型領域47をゲート領域とし、n型のソース領域46及びn型のドレイン領域48を有するnチャネルMOSFETである。また、上記の転送ゲートMOSFET65は、図1(B)では転送ゲート電極51直下のnウェル43をゲート領域、フォトダイオード50の埋め込みのp型領域49をソース領域、ソース近傍p型領域47をドレイン領域とするpチャネルMOSFETである。
図2において、m行n列の各画素から1フレーム分の信号を読み出すために、まず読み出しを始める合図を出すフレームスタート信号を発生させる回路67がある。このフレームスタート信号は撮像素子の外から与えられてもよい。このフレームスタート信号は垂直シフトレジスタ68に供給される。垂直シフトレジスタ68は、m行n列の各画素のうちの何行目の画素を読み出すかの信号を出力する。
各行の画素はリング状ゲートMOSFET63等のリング状ゲート電極、転送ゲートMOSFET65等の転送ゲート電極、リング状ゲートMOSFET63等のドレイン電極の電位を制御する制御回路に接続されており、これらの制御回路は垂直レジスタ68の出力信号が供給される。例えば、s行目の各画素のリング状ゲート電極は、リング状ゲート電極配線69(図1の53に相当)を介してリング状ゲート電位制御回路70に接続され、各画素の転送ゲート電極は、転送ゲート電極配線71(図1の55に相当)を介して転送ゲート電位制御回路72に接続され、各画素のドレイン電極は、ドレイン電極配線66(図1の52に相当)を介してドレイン電位制御回路73に接続されている。上記の各制御回路70、72、73には垂直シフトレジスタ68の出力信号が供給される。
なお、リング状ゲート電極は、行毎に制御するので横方向に配線するが、転送ゲート電極は全画素で一斉に制御するので、配線方向は問わず、縦方向でもよい。ここでは横方向に配線するものとして表現する。ドレイン電位制御回路73は、全画素一斉に制御するが、行毎に制御する可能性もあるので、フレームスタート信号と垂直レジスタ68の両方と接続して表現している。
画素62のリング状ゲートMOSFET63のソース電極は、ソース電極配線74(図1の54に相当)を介して2分岐され、一方はスイッチSW1を介してソース電極電位を制御するソース電位制御回路75に接続され、他方はスイッチSW2を介して信号読み出し回路76に接続されている。信号を読み出すときにはスイッチSW1をオフ、スイッチSW2をオンにし、ソース電位を制御する時にはスイッチSW1をオン、スイッチSW2をオフにする。信号は縦方向に出すので、ソース電極の配線方向は縦にする。
信号読み出し回路76は次のように構成されている。画素62の出力はリング状ゲートMOSFET63のソースから行われ、出力線74には負荷、例えば電流源77が繋がっている。従って、ソースフォロア回路となっている。電流源77にはキャパシタC1とキャパシタC2の各一端がスイッチsc1とスイッチsc2を介して繋がっている。他端が接地されているキャパシタC1、C2の各一端は、また差動アンプ78の反転入力端子と非反転入力端子に繋がっており、両キャパシタC1及びC2の電位差を差動アンプ78から出力するようになっている。
このような信号読み出し回路76はCDS回路(相関二重サンプリング回路)と呼ばれ、ここに描かれた方式以外にも種々の回路が提案されており、この回路に限るわけではない。信号読み出し回路76から出力された信号は、出力スイッチswtを介して出力される。同じ列にある出力スイッチswtは、水平シフトレジスタ79から出力される信号によりスイッチング制御される。
次に、図2に示すCMOSセンサの駆動方法について、図3のタイミングチャートと共に説明する。まず、図3(1)に示す期間では、埋め込みのフォトダイオード(図1(A)の50、図2の64等)に光が入射し、光電変換効果により電子・ホール対が発生し、フォトダイオードの埋め込みp-型領域49にホールが蓄積される。このとき転送ゲート電極51の電位はドレイン電位Vddと同じになっており、転送ゲートMOSFET65はオフ状態である。これらの蓄積は、前フレームの読み出し操作が行われている時に同時に実行されている。
続く図3(2)に示す期間では、前フレームの読み出しが終了すると、同図(A)に示すように新しいフレームスタート信号が発信されて、次のフレームの読み出しが始まる。最初に行うのは全画素一斉にフォトダイオード(図1(A)の50、図2の64等)からリング状ゲート電極(図1の45)のソース近傍p型領域(図1の47)にホールを転送することである。そのため、図3(B)に示すように転送ゲート電位制御回路72から出力される転送ゲート制御信号がVddからLow2に下がり、転送ゲート電極(図1の51)の電位がLow2となり、転送ゲートMOSFET65がオン状態になる。
このとき、リング状ゲート電位制御回路70により制御されるリング状ゲート電極配線69の電位は、図3(C)に示すように、LowからLow1になるが、Low2の方がLow1よりも大きい。Low1はLowと同じでもよい。最も簡便にはLow1=Low=0(V)に設定する。
一方、ソース電位制御回路75からスイッチSW1を介してソース電極配線74からリング状ゲートMOSFET63のソースに供給されるソース電位をはじめとする、全画素のソース電位は図3(D)に示すように電位S1に設定される。S1>Low1であり、これにより、リング状ゲートMOSFET63がオフのままであり、電流が流れないようにする。この結果、全画素のフォトダイオードに蓄積された電荷(ホール)が、対応する画素のリング状ゲート電極の下に一斉に転送される。
図1(B)に示すリング状ゲート電極45の下の領域で、ソース近傍p型領域47が最もポテンシャルが低いので、フォトダイオードに蓄積されていたホールはリング状ゲートMOSFET63のバックゲートであるソース近傍p型領域47に達し、そこに蓄積される。ホールが蓄積される結果、ソース近傍p型領域47の電位が上昇する。
続いて、図3(3)に示す期間では、同図(B)に示すように転送ゲート電極が再びVddになり、転送ゲートMOSFET65がオフになる。これにより、フォトダイオード(図1(A)の50、図2の64等)では再び光電変換効果により電子・ホール対が発生し、フォトダイオードの埋め込みp-型領域49にホールが蓄積され始める。この蓄積動作は次の電荷転送時まで続けられる。
一方、読み出し操作は行単位で順番に行われるので、1行目〜(s−1)行目を読み出す期間(3)では、リング状ゲート電極の電位は図3(C)に示すようにLowの状態で、ソース近傍p型領域47にホールを蓄積したまま待機状態となる。ソース電位は他の行からの信号読み出しが行われている間、その画素からの信号の値により、様々な値をとり得る。また、リング状ゲート電極電位は行毎に様々な値をとり得るが、s行目ではLowに設定され、リング状ゲートMOSFET63がオフ状態である。
続く図3(4)〜(6)に示す期間では、画素の信号読み出しが行われる。s行目t列目の画素62について代表してこの信号読み出し動作について説明するに、まず、ソース近傍p型領域47にホールを蓄積した状態で、図3(E)に示す垂直シフトレジスタ68の出力信号が、同図(H)に示すようにローレベルである期間(4)において、リング状ゲート電位制御回路70からリング状ゲート電極配線69に出力される制御信号により、リング状ゲート電極45の電位を図3(K)に示すように、LowからVg1に上げる。
ここで、上記の電位Vg1は、前述した各電位Low、Low1、Vddとの間に
Low≦Low1≦Vg1≦Vdd (ただし、Low<Vdd)
なる不等式が成立する電位である。また、上記の期間(4)ではスイッチSW1が図3(I)に示すようにオフ、スイッチSW2が同図(J)に示すようにオン、スイッチsc1が同図(M)に示すようにオン、スイッチsc2が同図(N)に示すようにオフとされる。この結果、リング状ゲートMOSFET63のソースに接続されたソースフォロア回路が働き、リング状ゲートMOSFET63のソース電位は、図3(L)に示すように期間(4)ではS2(=Vg1−Vth1)となる。ここで、Vth1とはバックゲート(ソース近傍p型領域47)にホールがある状態での、リング状ゲートMOSFET63のしきい値電圧である。このソース電位S2がオンとされているスイッチsc1を通してキャパシタC1に記憶される。
続く図3(5)に示す期間では、リング状ゲート電位制御回路70からリング状ゲート電極配線69に出力される制御信号により、リング状ゲート電極45の電位を図3(K)に示すようにHigh1に上げると同時に、同図(I)、(J)に示すようにスイッチSW1をオン、スイッチSW2をオフとすると共に、ソース電位制御回路75から出力されるソース電位を同図(L)に示すようにHighsに上げる。ここで、High1、Highs>Low1である。
上記の電位High1及びHighsの値は同じであっても異なっていてもよいが、設計の簡単のためにはHigh1、Highs≦Vddが望ましい。簡便な設定では、High1=Highs=Vddとする。また、リング状ゲートMOSFET63がオンして電流が流れないような電位設定にすることが望ましい。この結果、ソース近傍p型領域47のポテンシャルが上昇し、nウェル43のバリアを越えてホールがエピタキシャル層42に排出される(リセット)。
続く図3(6)に示す期間では、再び前記期間(4)と同じ信号読み出し状態にする。ただし、期間(4)とは異なり、図3(M)、(N)に示すように、スイッチsc1はオフ、スイッチsc2はオンとする。リング状ゲート電極は図3(K)に示すように期間(4)と同じVg1とする。しかし、この期間(6)では直前の期間(5)でホールが基板に排出されていて、ソース近傍p型領域47にはホールが存在しないので、リング状ゲートMOSFET63のソース電位は、図3(L)に示すように期間(6)ではS0(=Vg1−Vth0)となる。ここでVth0は、バックゲート(ソース近傍p型領域47)にホールがない状態でのリング状ゲートMOSFET63のしきい値電圧である。
このソース電位S0はオンとされたスイッチsc2を介してキャパシタC2に記憶される。差動アンプ78はキャパシタC1とC2の電位差を出力する。すなわち、差動アンプ78は(Vth0−Vth1)を出力する。この出力値(Vth0−Vth1)は、ホール電荷によるしきい値変化分である。その後、水平シフトレジスタ79から出力される図3(F)に示すパルスのうち、同図(O)に示すt列目の出力パルスに基づき、図2の出力スイッチswtがオンとされ、このswtのオン期間に図3(P)にハッチングにより模式的に示すように、差動アンプ78からのホール電荷によるしきい値変化分が画素62の出力信号Voutとしてセンサ外へ出力される。
続いて、図3に(7)で示す期間では、再びリング状ゲート電極45の電位を図3(B)に示すようにLowにし、ソース近傍p型領域47にはホールがない状態で、全ての行の信号処理が終了するまで(s+1行〜n行の画素の読み出しが終了するまで)待機する。これらの読み出し期間中、フォトダイオード64では光電変換効果によるホールの蓄積が進行している。その後、前記期間(1)に戻って、ホールの転送から繰り返す。これにより、各画素から図3(G)に示す出力信号が読み出される。
上記の図1(A)、(B)に示す構成の固体撮像装置は、リング状のゲート電極45を持つリング状ゲートMOSFET63が増幅用MOSFETであり、図2に示したように各画素内に増幅用MOSFETを持つという意味で、CMOSセンサの一種である。そして、このCMOSセンサは、埋め込みのp-型領域49に蓄積された電荷(ホール)が、対応する画素のリング状ゲート電極45の下のソース近傍p型領域47に一斉に転送されるようにすることで、グローバルシャッタを実現している。
なお、図3の期間(5)のリセット時のソース電極配線74の電位供給は、ソース電位制御回路75から供給する以外の次の方法もある。すなわち、上記期間(5)でスイッチSW1、SW2をともにオフとして、ソース電極配線74をフローティングにする。ここでリング状ゲート電極配線69の電位をHigh1とすると、リング状ゲートMOSFET63がオン状態となり、ソース電極にドレインから電流が供給され、ソース電極電位が上昇する。この結果、ソース近傍p型領域47のポテンシャルが持ち上げられ、nウェル43のバリアを越えて、ホールがp型エピタキシャル層42に排出される(リセット)。ホールが完全に排出されたときのソース電極電位は、High1−Vth0になる。この方法では、ソース電位制御回路75のうち、Highsを供給するトランジスタを削減することができ、その結果、チップ面積を減らすことができる。
このように、図1に示した構造の本実施の形態の固体撮像素子によれば、全画素のフォトダイオード50へ入射した光で発生し全画素同時に蓄積された電荷は、全画素の転送ゲートMOSFET65を一斉にオンすることにより、リング状ゲートMOSFET63の中央開口部下のソース近傍p型領域47(リング状ゲートMOSFET63のバックゲート)に転送される。このとき、すべての画素で同時に電荷を転送することができるために、一括シャッタ(グローバルシャッタ)が可能となる。
そして、リング状ゲートMOSFETのソース近傍p型領域47に転送された電荷は、電荷の量に応じ、リング状ゲートMOSFET63のしきい値電圧をシフトさせるが、このときリング状ゲートMOSFET63のリング状ゲート電極を適当な電位にし、ソース・ドレインに電流を流し、ソースに負荷をつなぐことにより、電荷の量に応じたしきい値電圧の変化として光出力信号を得ることができる。また、リング状ゲートMOSFET63のソース近傍p型領域47に蓄積された電荷は、ソースの電位を高くすることにより、直ぐ下のnウェル領域43の電位を乗り越え基板42へ排出され、リセットをすることができる。この時、リング状ゲートMOSFET63のソース近傍p型領域47に蓄積された電荷はすべて基板42へ排出されるためにリセットノイズの発生を抑えることができる。
また、この実施の形態は、グローバルシャッタ機能を有するので、動きのある被写体を撮像しても画像歪みの無い撮像画像が得られる。すなわち、この実施の形態の固体撮像素子に対する露光は各ライン毎にタイミングがずれることなく同一の1フレーム期間で行われる。これは図3の期間(1)に当たる。
一定期間の露光後、転送ゲート(図2の転送ゲートMOSFET65等)により、全画素の電荷が一斉に各画素の所定領域(図2のリング状ゲートMOSFET63のバックゲート、図1のソース近傍p型領域47)に転送される。これは図3の期間(2)に当たる。その後、読み出し回路により、読み出し期間内で、順次各画素からの信号が読み出される。これは図3の期間(3)〜(7)に当たる。
これにより、移動する被写体を撮像した場合でも、本実施の形態ではメカニカルシャッタを用いなくても撮像画像は同一時刻で露光した画像であるので、被写体の画像と異なる画像歪みは発生しない。従って、本実施の形態によれば、動きの速い被写体を撮影した場合でも、撮影した画像は歪みや変形なく正確な画像が得られる。
図4は本発明になる固体撮像素子の他の実施の形態の一画素分の縦断面図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。本実施の形態の上面図は図1(A)と同一である。本実施の形態は、図1に示した実施の形態と同様に、グローバルシャッタ機能を有するものであるが、本実施の形態と図1に示した実施の形態との構造の違いは、図4に示すように、本実施の形態ではソース近傍p型領域47の内側に、リング状のp+領域81が形成されている点である。このp+領域81は、ソース近傍p型領域47に転送される電荷をp+領域81に集中させて、電荷によるしきい値変化の効果を大きくし、感度を向上するために設けられる。
また、ソース近傍p型領域47内のp+領域81は、リング状ゲート電極45の下になく、リング状ゲート電極45の中心開口部の内側に設けられている。このようにすると、後述するように、p+領域81をリング状ゲート電極45によるセルフアラインで作ることができ、マスクを使ってp+領域81を作るよりも格段に面積ばらつきが少なくなり、画素毎の特性ばらつきを小さくできる。
以上は本発明になる固体撮像素子の構造に関する実施の形態の説明であるが、本発明は、上記の構造の固体撮像素子のフォトダイオード50やソース近傍p型領域47などの製法に特徴がある。そこで、次に、図4に示した固体撮像素子の製造方法について、図5乃至図7と共に説明する。まず、図5及び図6と共にソース近傍p型領域47及びその周辺の構造の製造方法について説明する。ここでは、簡単のため、既にnウェル43が形成されているものとする。この状態で、図5(A)に示すように、レジスト83のフォトプロセスによりp型領域を作る部分84を取り除き、酸化膜82を通してnウェル43中にアクセプタ不純物のイオン注入を行い、ソース近傍p型領域47を作る。
次に、基板表面の酸化膜82を除去した後、図5(B)に示すように、新たにゲート酸化膜85(図4の44に相当)を形成し、その上に公知の方法で、リング状ゲート電極86(図4の45に相当)を形成する。続いて、図5(C)に示すように、リング状ゲート電極86をマスクにして、ソース近傍p型領域47よりも浅いところに、87で示すアクセプタ不純物のイオン注入を行い、p+領域88を形成する。
続いて、同じくリング状ゲート電極86をマスクにして、図6(A)に示すように、p+領域88よりも浅い、基板表面にドナー不純物89のイオン注入より、n+層90を形成する。次に、図6(B)に示すように、リング状ゲート電極86の内壁に公知の方法でLDDサイドスペーサ91を形成する。
そして、図6(C)に示すように、LDDサイドスペーサ91を通して高濃度のドナー注入92を行い、n+型のソース領域93(図4の46に相当)を形成する。これにより、ソース近傍p型領域47内にリング状のp+領域94(図4の81に相当)が形成される。このように、本実施の形態では、ゲート酸化膜85とLDDサイドスペーサ91のセルフアラインでソース近傍p型領域47の内側に、リング状のp+領域94(81)を形成できるので、非常に高精度の製造が可能となる。
さて、ソース近傍p型領域47とその内部のp+領域94(81)に使うアクセプタ不純物(p型不純物)のイオン注入種には、ボロン(B:ホウ素)とフッ化ホウ素(BF)が考えられる。これらを比較すると、BFの方が重量が重いために、アクセプタ不純物としてBFを用いた方が浅く注入できるという利点がある。特にp+領域94(81)を浅く作ることができれば、蓄積されたホールを電気信号に変換する変換効率が向上する。
ところが、一方でBFの方がボロンに比べて結晶欠陥ができ易いという問題がある。この結晶欠陥の起き易さについては定量的な検討が十分なされているとはいえない。しかし、例えば、特開平10−242071号公報では不純物拡散についてシミュレーションとSIMS(Secondary Ionization Mass Spectrometer)分析による実測を比較して、おおよそBFの方がボロンよりも3倍欠陥が発生し易いと見積もっている。ソース近傍p型領域47はホールを最大1フレーム分の時間蓄積するところなので、結晶欠陥はなるべく起こらないようにした方がよい。
そこで、本実施の形態ではソース近傍p型領域47とその内部のp+領域94(81)に使うアクセプタ不純物(p型不純物)のイオン注入種として、BFを使わず、ボロンを用い、それを低エネルギーで注入する。例えば、p+型領域94(81)については、5〜30KeVという低エネルギーでイオン注入する。ソース近傍p型領域47全体のアクセプタ不純物のイオン注入に関しては、その加速エネルギーはボロンで例えば50〜150KeVでよく、通常よく使う範囲を用いる。
一方、p+領域94(81)よりも浅い領域に注入するドナー不純物(n型不純物)は、リン(P)よりもヒ素(As)の方が良い。これはリンを使うと格子歪みやストレスが発生し、欠陥が発生し易いという問題があるためである(例えば、特開2004−47985号公報参照)。従って、ホールが集中するp+領域94(81)に直に接しているn+領域93(46)をイオン注入法を適用して形成するには、ドナー不純物としてヒ素を使う方がよい。
一方、リング状ゲート電極外45のnウェル43中には、上記のp+領域94(81)の形成とは別工程にて、埋め込みのフォトダイオード50を構成するp-型領域49が形成される。このフォトダイオードの製造方法について、図7と共に説明する。
図7において、リング状ゲート電極45及び転送ゲート電極51が、まだ無い状態で、ゲート酸化膜の替わりに犠牲酸化膜96が基板表面全面に、例えば10nmの膜厚で被覆された状態にて、領域Iを露光して開口部を領域Iに作り、その開口部を通してドナー不純物を領域I注入範囲にイオン注入してnウェル43の領域Iの部分を形成する。nウェル43の領域Iの部分は基板表面から深くなっているので、ドナー不純物としてリン(P)を用い、500keV〜2MeV程度の高エネルギーイオン注入を行う。
続いて、図7の領域IIを露光してレジストの領域IIの範囲に開口部を作り、その開口部を通してドナー不純物を領域II注入範囲にイオン注入してnウェル43の領域IIの部分を形成する。このnウェル43の領域IIの部分は、深さ方向に広く分布しているので、イオン注入は1回ではなく、エネルギーを変えて複数回行われる。領域IIの部分の深い所は領域Iと同じように、高エネルギーでイオン注入を行う。
続いて、図7の領域IIIを露光して、レジストの領域IIIの範囲に開口部を作り、その開口部を通してドナー不純物を領域III注入範囲にイオン注入してnウェル43の領域IIIの部分を形成した後、図7の領域IVを露光して、レジストの領域IVの範囲に開口部を作り、その開口部を通してドナー不純物を領域IV注入範囲にイオン注入してnウェル43の領域IVの部分を形成する。
その後、レジストを全面被覆して、そのレジストの図7の埋め込みp−注入領域範囲を露光して開口部を作り、その開口部を通してアクセプタ不純物を低濃度イオン注入して埋め込みのp-領域49を作成する。注入条件としては、例えばボロンを20〜100keVの加速エネルギーで、ドーズ量1E12cm−2〜2E13cm−2の範囲で行う。すなわち、本実施の形態では、埋め込みフォトダイオード50を形成しているp-領域49を作成するには、アクセプタ不純物としてBFではなく、ボロンを用いたイオン注入で形成されており、その結果、低雑音のフォトダイオードが形成される。
その後、埋め込みp-領域49の基板表面に、ドナー不純物としてヒ素を高濃度イオン注入してn+型のドレイン領域48を形成する。このn+型のドレイン領域48はヒ素を用いたイオン注入で形成されており、低雑音である。
なお、本発明は上記の実施の形態の導電型を逆とした場合も成立する。その場合、p型のウェルやドレイン領域をイオン注入により形成する際、アクセプタ不純物としてボロンを用い、n-型の埋め込み領域を形成する際には、ヒ素をイオン注入して形成する。このときのヒ素の注入条件としては、例えば50〜200keVの加速エネルギーで、ドーズ量1E12cm−2〜2E13cm−2の範囲で行う。これにより、低雑音のフォトダイオードを形成できる。
本発明の固体撮像素子の一画素の構造を説明する平面図と断面図である。 本発明の固体撮像素子の一実施の形態の全体構成を電気等価回路で示した図である。 図2の固体撮像素子の動作を説明するタイミングチャートである。 本発明の固体撮像素子の他の実施の形態の断面図である。 図4中のソース近傍p型領域及びその周辺の構造の製造方法を説明する素子断面図(その1)である。 図4中のソース近傍p型領域及びその周辺の構造の製造方法を説明する素子断面図(その2)である。 本発明の固体撮像素子の埋め込みのフォトダイオードの製造方法を説明する素子断面模式図である。 従来のローリングシャッタ型CMOSセンサの全体構成を電気等価回路で説明する図である。 図8のCMOSセンサの動作を説明するタイミングチャートである。
符号の説明
43 nウェル
45 リング状ゲート電極
46、93 n型ソース領域
47 ソース近傍p型領域
48 n型ドレイン領域
49 埋め込みp型領域
50、64 フォトダイオード
51 転送ゲート電極
52、66 ドレイン電極配線
53、69 リング状ゲート電極配線
54、74 ソース電極配線(出力線)
55、71 転送ゲート電極配線
61 画素敷き詰め領域
62 画素
63 リング状ゲートMOSFET
65 転送ゲートMOSFET
81、94 p+領域


Claims (5)

  1. 基板上に絶縁膜を挟んで形成されたリング状ゲート電極と、前記リング状ゲート電極の中央開口部に対応する前記基板の位置に設けられた第1導電型のソース領域と、前記ソース領域を取り囲み、かつ、前記リング状ゲート電極の外周に達しないように前記基板に設けられた第2導電型のソース近傍領域と、前記リング状ゲート電極の前記中央開口部の内側に対応する前記基板の位置に前記中央開口部の内周に沿ってリング状に形成され、前記ソース近傍領域よりも高い不純物濃度を有して前記ソース近傍領域に接する第2導電型の高濃度領域と、を備えた信号出力用トランジスタと、
    前記基板に設けられ、入射した光を電荷に変換して蓄積する光電変換領域と、
    前記光電変換領域に蓄積された前記電荷を前記ソース近傍領域へ転送する電荷転送手段と、
    を含む画素が複数2次元配列されており、
    前記ソース領域及び前記高濃度領域は、前記リング状ゲート電極をマスクとするイオン注入により、セルフアラインで形成されており、
    前記高濃度領域は、前記ソース近傍領域内のさらに前記ソース領域の近傍位置に形成され、かつ、前記リング状ゲート電極の前記ソース領域の側端部の内側に形成されており、
    前記ソース近傍領域及び前記高濃度領域はアクセプタ不純物としてボロン、又はドナー不純物としてヒ素をイオン注入した領域であり、かつ、前記ソース領域はドナー不純物としてヒ素、又はアクセプタ不純物としてボロンをイオン注入した領域であることを特徴とする固体撮像素子。
  2. 前記信号出力用トランジスタは前記基板の表面部に第2導電型の前記光電変換領域に接して形成された第1導電型のドレイン領域をさらに備え、
    前記光電変換領域はアクセプタ不純物としてボロンを、又はドナー不純物としてヒ素をイオン注入した領域であり、かつ、前記ドレイン領域はドナー不純物としてヒ素を、又はアクセプタ不純物としてボロンをイオン注入した領域であることを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子。
  3. 前記基板は、半導体基板及び前記半導体基板上に形成された第1導電型のウェルを備え、
    前記画素は、
    前記第1導電型のウェル、及び前記第1導電型のウェルにおける所定の第1の領域とは異なる第2の領域に形成されて前記第1導電型のウェルに接続する第2導電型の前記光電変換領域を有し、前記電荷を蓄積するフォトダイオードと、
    前記第1の領域上に前記絶縁膜を挟んで形成された前記リング状ゲート電極と、前記リング状ゲート電極の中央開口部に対応する前記第1導電型のウェル内の前記第1の領域に形成された第1導電型の第1ソース部である前記ソース領域と、前記ソース領域の周囲に前記リング状ゲート電極の外周に達しないように前記第1導電型のウェル内の前記第1の領域に形成されて前記ソース領域に接続し前記フォトダイオードから転送された電荷を蓄積する第2導電型の前記ソース近傍領域と、前記第1導電型のウェルにおける前記第1の領域とは異なる第3の領域に前記ソース領域及び前記ソース近傍領域に離間して形成された第1導電型の第1ドレイン部とを有し、前記ソース近傍領域に蓄積された電荷を撮像信号として出力する前記信号出力用トランジスタと、
    前記第1の領域上に前記絶縁膜を介して形成されて前記リング状ゲート電極の一部を覆う転送ゲート電極を有し、前記光電変換領域を第2ソース部とし、前記ソース近傍領域を第2ドレイン部とし、前記フォトダイオードに蓄積された電荷を前記信号出力用トランジスタへ全画素一斉に転送する前記電荷転送手段と、
    を備え、
    前記リング状ゲート電極及び前記転送ゲート電極の前記絶縁膜を介した直下の領域であって、かつ、前記光電変換領域と前記ソース近傍領域との間の領域には前記第1導電型のウェルのみが存在しており、
    前記光電変換領域に蓄積された電荷は、前記リング状ゲート電極下と前記転送ゲート電極下とで前記第1導電型のウェルにバリアとなる電位差が生じないように前記リング状ゲート電極の電位及び前記転送ゲート電極の電位がそれぞれ制御されることにより、前記第1導電型のウェルのみを介して前記ソース近傍領域に全画素一斉に転送され、
    前記電荷が前記撮像信号として出力された後の前記ソース近傍領域は、前記リング状ゲート電極の電位及び前記転送ゲート電極の電位が前記第1ドレイン部の電位以下の電位で、リセットされることを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子。
  4. 前記第1ドレイン部は前記光電変換領域に接しており、
    前記光電変換領域はアクセプタ不純物としてボロンを、又はドナー不純物としてヒ素をイオン注入した領域であり、かつ、前記第1ドレイン部はドナー不純物としてヒ素を、又はアクセプタ不純物としてボロンをイオン注入した領域であることを特徴とする請求項3記載の固体撮像素子。
  5. 第1導電型の基板部の所定の領域にアクセプタ不純物としてボロンを、又はドナー不純物としてヒ素をイオン注入し、光電変換領域に入射した光が光電変換されて生成された電荷を蓄積する第2導電型のソース近傍領域を形成するソース近傍領域形成ステップと、
    前記第2導電型のソース近傍領域に中央開口部が位置するように、前記第1導電型の基板部上に絶縁膜を挟んでリング状ゲート電極を形成するリング状ゲート電極形成ステップと、
    前記リング状ゲート電極をマスクとして、アクセプタ不純物としてボロンを、又はドナー不純物としてヒ素をイオン注入し、前記第1導電型の基板部の表面部前記第2導電型のソース近傍領域内に第2導電型の第1高濃度領域を形成する第1高濃度領域形成ステップと、
    前記リング状ゲート電極をマスクとして、ドナー不純物としてヒ素を、又はアクセプタ不純物としてボロンをイオン注入し、前記第1導電型の基板部における前記第2導電型の第1高濃度領域上に第1導電型の第2高濃度領域を形成する第2高濃度領域形成ステップと、
    前記リング状ゲート電極の中央開口部の内周面にリング状のサイドスペーサを形成するサイドスペーサ形成ステップと、
    前記リング状ゲート電極及び前記サイドスペーサをマスクとして、ドナー不純物としてヒ素を、又はアクセプタ不純物としてボロンをイオン注入し、前記第1導電型の第2高濃度領域と一体とされて前記第2導電型のソース近傍領域に接すると共に、前記第2導電型の第1高濃度領域をリング状にする第1導電型の第3高濃度領域を形成する第3高濃度領域形成ステップと、
    を含むことを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
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