JP4755750B2 - 塗料ベース剤及び重防食用塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼構造物、船舶、鋼管等の防食塗料として広く利用されているエポキシ樹脂塗料やウレタン樹脂塗料等の重防食用塗料組成物、及びこれに用いる塗料ベース剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋼構造物、鋼管、船舶、海洋構造物などの重防食用途については、タールエポキシ樹脂塗料、タールウレタン樹脂塗料等のタール系塗料が使用されてきた。これらのタール系塗料は、非常に廉価である他、乾燥硬化性が良好で、水分や酸素に対する優れた環境遮断性に優れ、一度に乾燥膜厚500μm以上厚く塗ることができる。また、耐水性、防食性、耐衝撃性及び塗装作業性にも優れていることから、重防食用塗料として永年にわたり使用され、使用実績も蓄積されている。
【0003】
タール系塗料には、石炭をコールタールピッチで加熱処理した膨潤炭が使用されている。この膨潤炭は、付着性、乾燥性、可とう性が優れており、タール系塗料以外にもコールタールエナメルの主原料として利用されている。また、石炭自体の膨潤について研究されており、N−メチルピロリドン、ピリジン等の芳香族系溶剤で膨潤することが知られている。
【0004】
しかし、タール系塗料に含まれるコールタールは、労働安全衛生法の特定化学物質等予防規則による特別管理物質に該当し、タール系塗料は取り扱いに強い規制を受けることになった。そこで、コールタールに替えてキシレン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂、石油樹脂等のノンタール系改質剤を用いた、いわゆる変性ウレタン樹脂塗料や変性エポキシ樹脂塗料が防食性を要求される用途に使用されるようになった。
【0005】
しかしながら、ノンタール系改質剤を用いた重防食用塗料では、主剤として使用する架橋樹脂と改質剤との相溶性が低く、改質剤の添加量に制約があるため、従来の変性エポキシ樹脂塗料や変性ウレタン樹脂塗料は、付着性などがタール系塗料より低いものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のタール系重防食用塗料の塗装作業性に匹敵する付着性、防食性、耐衝撃性を具備した変性ウレタン樹脂塗料又は変性エポキシ樹脂塗料、及びそれに用いる塗料ベース剤を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述したような石炭を事前にピッチ等の芳香族系重合物で加熱処理した膨潤炭ではなく、塗料主剤としてのエポキシ樹脂やポリオール樹脂に、未処理の石炭粉特に歴青炭を配合する系について、各種変性剤を添加したり、各種溶剤で希釈し、各濃度毎の主剤樹脂及び塗料の流動特性を調査し、塗料としての安定性領域を検討した。その結果、歴青炭に変性剤として芳香族オリゴマー及び芳香族系溶剤を組み合わせることにより、事前の膨潤処理を必要とすることなく、塗料として適した不安定な膨潤状態となり、タールエポキシ樹脂塗料並みのチクソトロピー性を有することを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、(a)1分子中にアルコール性ヒドロキシ基を2個以上含むポリオール樹脂又は1分子中にエポキシ基を2個以上含むエポキシ樹脂からなる主剤、(b)水分3重量%以下、灰分10重量%以下の瀝青炭、(c)芳香族オリゴマー及び(d)芳香族炭化水素系溶剤を必須成分とし、且つ主剤100重量部に対し、瀝青炭5〜200重量部、芳香族オリゴマー5〜200重量部及び(d)芳香族炭化水素系溶剤20〜400重量部を配合してなる塗料ベース剤である。
【0009】
また、本発明は、1分子中にアルコール性ヒドロキシ基を2個以上含むポリオール樹脂を主剤とする上記塗料ベース剤に、イソシアネート系硬化剤を配合してなる二液型重防食用ウレタン樹脂塗料組成物であって、イソシアネート系硬化剤のイソシアネート基(NCO)と塗料ベース剤のヒドロキシル基(OH)のモル比(NCO/OH)が0.2〜2.0である重防食用ウレタン樹脂塗料組成物である。
【0010】
更に、本発明は、1分子中にエポキシ基を2個以上含むエポキシ樹脂を主剤とする上記塗料ベース剤に、アミン系硬化剤を配合する二液型の重防食用エポキシ樹脂塗料組成物であって、アミン系硬化剤のアミノ基(NH2)と塗料ベース剤のエポキシ基(EP)のモル比(NH2/EP)が0.2〜2.0である重防食用エポキシ樹脂塗料組成物である。
【0011】
本発明は、(a)主剤、(b)瀝青炭、(c)芳香族オリゴマー及び(d)芳香族炭化水素系溶剤を必須成分とする塗料ベース剤、並びにこの塗料ベース剤と(e)硬化剤とからなる重防食用塗料組成物であるが、まず、これらに共通する成分である(b)成分である瀝青炭について説明する。
【0012】
本発明で使用する瀝青炭は、高炉コークス、鋳物用コークス等の冶金用コークス製造の原料炭などとして用いられる炭化度の高い石炭である。瀝青炭には、非粘結性炭の他、弱粘結性炭、粘着性炭、強粘結性炭等の粘結性炭があるが、本発明に使用する瀝青炭は粘結性炭特に強粘結性炭が好ましい。この瀝青炭を100〜200℃で乾燥、粉砕して使用する。通常、瀝青炭は5〜20重量%の水分を含んでおり、そのまま使用すると硬化剤のイソシアネートが水と反応するため、ポリオールとの架橋反応が進まず、十分な防食性や塗膜強度が出にくくなる。そのため、瀝青炭の水分は、少ないほど好ましく、3重量%以下であることが必要である。また、瀝青炭の灰分も少ないものが好ましく、多いものは粉砕しにくく、塗料製造段階でも十分な分散ができないため、灰分は10重量%以下であることが必要である。粉末度は通常の塗料成分と同程度でよいが、例えば実質的に50μm以下であり、平均粒径としては5〜20μm程度にするとよい。
【0013】
また、(c)成分の芳香族オリゴマーとしては、変性エポキシ樹脂塗料等の重防食用塗料に使用されるインデン−クマロン樹脂、キシレン樹脂、C9系樹脂、フェノールノボラック樹脂、スチレン化フェノール、ナフタリン系オリゴマーなどの芳香環骨格が主体となっている重量平均分子量が100〜5000程度の樹脂が挙げられる。芳香族オリゴマーは歴青炭の充填効果を高め、オリゴマー自体の性能例えば塗膜の耐水性、耐衝撃性、可撓性を発揮し易くなる。分子量が200未満ではオリゴマーとしての性能を発揮しずらくなり、塗膜から滲み出し(ブリード)たり塗膜の形成がしずらくなる。5000を超えると、粘着性が強くなりすぎてチキソトロピーが低くなり施工性が悪くなる。芳香族オリゴマーは200重量部を超えて含有すると、ブリードが起きたり塗膜の密着性が悪くなり、好ましくは10〜100重量部、より好ましくは20〜80重量部である。
【0014】
(d)成分の芳香族炭化水素系溶剤は、(b)成分の歴青炭と(a)成分の芳香族オリゴマーとをなじませるためであり、特にキシレン、トルエンなどが好ましい。芳香族炭化水素系溶剤は、加熱処理することなく歴青炭の特に表面を安定なゲル(半溶解)状態とし、タールエポキシ塗料並みのチクソトロピー性を発揮できるようになる。脂肪族系溶剤やケトン系溶剤のみでは歴青炭とのなじみが悪く、こうしたチクソトロピー性を発揮できない。芳香族炭化水素系溶剤が400重量部を超えると、顔料などを均一に分散した塗料として得ることができず、粘着性が低すぎて垂れてしまうし、チクソトロピー性や付着性も不十分となる。好ましくは、芳香族炭化水素系溶剤を20〜100重量部にするとよい。なお、必要に応じて、芳香族炭化水素系溶剤に、例えばメチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン系溶剤、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等の脂肪族エステル系溶剤、又はこれらの混合溶剤などを配合してもよい。
【0015】
次に、(a)成分の主剤としては、ポリオール樹脂又はエポキシ樹脂が使用される。主剤としてのポリオール樹脂は、架橋塗膜を形成することが可能な2個以上のアルコール性水酸基を1分子中にもつ通常のポリオールでよく、水酸基(OH)当量が100〜2000程度のものであれば液状樹脂、固形樹脂を問わず使用できる。また、各種の変性ポリオール、例えばビスフェノールA型エポキシ骨格を有するエポキシポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ひまし油ポリオールでもよく、更にはキレート変性ポリオールや、これらの混合系でもよい。特に、防食性の観点からエポキシポリオールが好ましい。具体的には、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミンをビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノポラックフェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂に付加反応させて得たエポキシポリオール、メタクリル酸のヒドロキシエステル等アルコール性水酸基を有するアクリルモノマーをビニル重合させて得たアクリルポリオール、フタル酸等の2塩基酸とグリセリン等の多価アルコールを重縮合させて得たポリエステルポリオール及び多価アルコールやビスフェノールA等の多価フェノール類にエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加重合させて得たポリエーテルポリオールなどが挙げられる。特に、コストと性能のバランスの点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂にアルカノールアミン、特にジイソプロパノールアミンを付加反応させたエポキシポリオールが好ましい。
【0016】
また、主剤としてのエポキシ樹脂は、架橋塗膜を形成することが可能な2個以上のエポキシ基をもつ通常のエポキシ樹脂でよく、エポキシ当量が180〜2200からなるものを液状樹脂、固形樹脂を問わず使用できる。特に、各種の変性エポキシ樹脂、例えばビスフェノールA型(2,2'-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン型)、ビスフェノールF型(ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン型)エポキシ樹脂、更にはキレート変性エポキシ樹脂や、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、プロピレンオキサイド変性エポキシ樹脂、スルフィド含有エポキシ樹脂等の特殊エポキシ樹脂などを単独で使用してもよいし、2種以上を混合系で使用してもよい。また、無溶剤型塗料とする場合は、低粘度化のために各種モノグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル等の反応性希釈剤を併用することができるが、この場合2個以上のエポキシ基を有する化合物は主剤として扱う。
【0017】
(a)成分の主剤と(b)成分の瀝青炭との配合割合は、主剤100重量部に対し、瀝青炭5〜100重量部、好ましくは20〜60重量部である。瀝青炭が5重量部に満たないと防食性能の向上が少なく、コスト的にも不利となる。一方、100重量部を超えると比重が小さく架橋樹脂による瀝青炭表面の濡れ性が悪くなり、塗膜に空隙ができるため密着力や塗膜強度が低下する。
【0018】
本発明の重防食用塗料組成物は、上記の塗料ベース剤に(e)成分の硬化剤を配合したものであるが、その使用の態様により顔料や種々の添加剤や溶剤を配合することができる。
【0019】
本発明の重防食用塗料組成物は、重防食用ウレタン樹脂塗料組成物と重防食用エポキシ樹脂塗料組成物の2種類がある。重防食用ウレタン樹脂塗料組成物は、塗料ベース剤として1分子中にアルコール性ヒドロキシ基を2個以上含むポリオール樹脂を主剤とする前記塗料ベース剤を使用し、(e)成分の硬化剤としてイソシアネート系硬化剤を必須成分として配合するものである。一方、重防食用エポキシ樹脂塗料組成物は、塗料ベース剤として1分子中にエポキシ基を2個以上含むエポキシ樹脂を主剤とする前記塗料ベース剤を使用し、(e)成分の硬化剤としてアミン系硬化剤を必須成分として配合するものである。
【0020】
重防食用ウレタン樹脂塗料組成物に配合するイソシアネート硬化剤としては、イソシアネート基を1分子中に2個以上有する化合物であればよく、汎用型、難黄変型(紫外線暴露下での変色性)、無黄変型(紫外線暴露下での変色性)など広く適用できる。汎用型としては、トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略称する)、TDIのトリメチロールプロパン(以下、TMPと略称する)アダクト物、TDIの3量化物であるイソシアヌレート、4,4'-ジフェニルジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略称する)、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(以下、ポリメリックMDIと略称する)などが挙げられる。また、難黄変型としては、キシリレンジイソシアネート(以下、XDIと略称する)が挙げられる。更に、無黄変型としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略称する)、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略称する)、水添XDI及び水添MDIなどが挙げられる。特に、コストと性能のバランスの点から、TDIのTMPアダクト物及びポリメリックMDIが好ましい。
【0021】
ここで、イソシアネート硬化剤の配合量は、NCO/OHモル比で0.2〜2.0、塗膜性能の面から0.5〜1.0が好ましい。本発明のウレタン樹脂塗料組成物は、顔料、揺変剤、溶剤などを混合分散させてなる塗料ベース剤と、イソシアネート系硬化剤との二液から配合調製することがよく、使用前は2液となっていて、使用直前に混合して調製することがよい。
【0022】
重防食用エポキシ樹脂塗料組成物に配合するアミン系硬化剤としては、ポリアミド系硬化剤、脂肪族若しくは芳香族アミン、又はこれらの各種変性アミン(マンニッヒ変性、アダクト変性等)、ケチミン系硬化剤などを使用できる。
【0023】
アミン系の硬化剤の配合量は、アミノ基(NH2)/エポキシ基(EP)モル比で0.2〜2.0、塗膜性能の面から0.5〜1.0が好ましい。本発明のエポキシ樹脂塗料組成物は、顔料、揺変剤、溶剤などを混合分散させた塗料ベース剤と、イソシアネート系硬化剤との二液から配合調製することがよく、使用前は2液となっていて、使用直前に混合して調製することがよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の重防食用塗料組成物は、塗料ベース剤と硬化剤の二液から構成されるが、顔料、揺変剤等の添加剤は、塗料ベース剤に混合分散することが好ましい。顔料としては、着色顔料、体質顔料や防錆顔料などが挙げられる。着色顔料としては、例えば酸化チタンやカーボンブラック、ベンガラ等の無機系着色顔料が挙げられ、体質顔料としては、例えばタルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、シリカ、マイカなどが挙げられる。また、ステンレス、MIO等の鱗片状顔料も使用できる。防錆顔料としては、例えばアルカリ性顔料である亜酸化鉛、鉛丹など、酸化性防錆顔料であるジンククロメート、ストロンチウムクロメートなど、安定な化合物による防錆被膜層を形成するリン酸亜鉛、リンモリブデン酸亜鉛、リン酸アルミニウムなどが挙げられる。
【0025】
本発明の塗料ベース剤や塗料組成物には、その他各種添加剤を配合することができる。例えば、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、タレ止め剤、脱水剤等の添加剤が使用できる。なお、揺変剤は、塗装1回当たりの膜厚を大きくし、塗膜のタレを小さくし、更に塗装中の粘度を小さくし作業性を高める目的で添加されるものであり、具体的には酸化ポリエチレンワックス、脂肪酸アマイドワックス、有機ベントナイトなどが使用できる。
【0026】
本発明の重防食用塗料組成物は、使用に際して、二液型としては、例えば次のように適用できる。すなわち、主剤、瀝青炭、芳香族オリゴマー、芳香族炭化水素系溶剤を含む溶剤及び顔料その他通常の各種添加剤等をボールミル等で所定の割合で混合分散させて塗料ベース剤を製造したのち、この塗料ベース剤に、例えば芳香族炭化水素系、脂肪族エステル系等の溶剤とともに硬化剤を配合し、撹袢、混合して重防食塗料を調製することができる。そして、この調製した重防食塗料を、被塗装物の外面に適宜の乾燥膜厚み300μm程度となるようにエアレス塗装機又は刷毛などで塗装し、塗膜を硬化させることにより、目的とする塗膜を形成することができる。
【0027】
なお、従来の芳香族オリゴマーを配合したノンタール系塗料では、主剤の架橋樹脂との相溶性が低く芳香族オリゴマーの添加量に制約があった。これに対し、本発明の重防食用塗料組成物は、歴青炭を配合することにより、芳香族オリゴマーとのゲル化状態を形成させ、芳香族オリゴマーの添加量を増やすことが可能となった。それによって、空隙を埋め緻密な塗膜が形成され、防食に必要な耐水性、接着性、耐衝撃性に寄与する改質剤の効果を十分引き出すことができるものと考えられる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。なお、特に断りのない限り、部は重量部を表し、%は重量%を表す。
瀝青炭として、K−9炭(ロシア産、水分0.34%、灰分9.7%、炭化度88.8%)、池島炭(日本産、水分1.56%、灰分6.3%、炭化度81.3%)を使用した。瀝青炭は約150℃のロータリーキルンで乾燥したのち、アトマイザーで粉砕し、粉砕度が実質的に50μm以下で、平均粒径が10μm程度のものを使用した。なお、水分と灰分は乾燥粉砕後に測定したものである。
また、芳香族オリゴマーとして、クマロン樹脂(新日鐵化学製、エスクロン、固形、重量平均分子量750〜800)、フェノールノボラック樹脂(新日鐵化学製、エスキッド、液状、重量平均分子量200〜500)、C9系石油樹脂(日石化学製、ネオポリマーE−100、固形、重量平均分子量800)及びキシレン樹脂(三菱ガス化学製、ニカノールLLL、液状、重量平均分子量300〜350)を使用した。
【0029】
実施例1
主剤のポリオールとして、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成製、エポトートYD−128)にジイソプロパノールアミン(市販特級試薬)を付加反応させて得たヒドロキシ基当量が202g/eqであるエポキシポリオールの50%溶液(トルエン:MEK:MIBK=50:30:20部の混合溶剤)を使用した。このエポキシポリオール50%溶液200部(エポキシポリオール100部)、瀝青炭としてK−9炭40部、扁平タルク360部、クマロン樹脂120部、溶剤としてトルエン60部とメチルエチルケトン(MEK)60部を配合し、ディスパーで分散して塗料ベース剤を調製した。
硬化剤としては、ポリイソシアネートとしてイソシアネート基当量が323g/eqであるトリレンジイソシアネート(TDI)のトリメチロールプロパンアダクト物75%酢酸エチル溶液(武田薬品工業製、タケネートD−103H)を使用した。
前記塗料ベース剤に前記硬化剤をNCO基/エポキシポリオール樹脂のOH基の配合量が0.8(モル比)になるように配合し、撹拌混合して塗料を調製したのち、エアレス塗装機でブラスト鋼板に塗装しで試験片を調製した。また、耐屈曲性用にはサンドペーパーによる処理を行った鋼鈑に刷毛塗りをして試験片を調製した。
調製した塗料の評価は、JIS K5400に準じて行った。なお、(1)密着性(2)耐衝撃性については下記により評価した。配合及び評価結果を表1に示す。
(1)密着性:JIS K5400 9.1の耐塩水噴霧性試験1カ月実施後の塗膜の密着力で評価した。密着力測定はASTM D 4541に準拠し、引張り試験機のクロスヘッドスピードは5mm/分とした。
(2)耐衝撃性:JIS K5400 8.3.2のデュポン式の衝撃試験に準拠し、500gのおもりを50cmから試験片に落下したとき塗膜の割れ・はがれがあるかどうかを評価した。評価基準は次のとおりである。
○ : 塗膜の割れ・はがれなし
× : 塗膜の割れ・はがれあり
【0030】
実施例2
実施例1のK−9炭を10部、扁平タルク390部とした以外は、実施例1と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表1に示す。
【0031】
実施例1のK−9炭を80部、扁平タルク320部とした以外は、実施例1と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表1に示す。
【0032】
実施例4
実施例1のクマロン樹脂の代わりにフェノールノボラック樹脂120部を使用した以外は、実施例1と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表1に示す。
【0033】
実施例5
実施例1のクマロン樹脂の代わりにC9系石油樹脂120部を使用した以外は実施例1と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表1に示す。
【0034】
実施例6
実施例1のクマロン樹脂の代わりにキシレン樹脂120部を使用した以外は、実施例1と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表1に示す。
【0035】
実施例7
実施例1のクマロン樹脂を180部とした以外は、実施例1と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表1に示す。
【0036】
実施例8
実施例1のK−9炭を80部、クマロン樹脂を180部、扁平タルク320部とした以外は、実施例1と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表1に示す。
【0037】
実施例9
実施例1のK−9炭の代わりに池島炭40部、クマロン樹脂180部を使用した以外は、実施例1と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表1に示す。
【0038】
実施例10
実施例1のK−9炭の代わりに池島炭80部、クマロン樹脂180部、扁平タルク320部を使用した以外は、実施例1と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表1に示す。
【0039】
比較例1
実施例1のK−9炭を使用せず、扁平タルク400部を使用した以外は、実施例1と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表2に示す。
【0040】
比較例2
比較例1の扁平タルクを320部とした以外は、比較例1と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表2に示す。
【0041】
比較例3
比較例1のクマロン樹脂を180部とした以外は、比較例1と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表2に示す。
【0042】
比較例4
比較例1の扁平タルクを320部、クマロン樹脂180部とした以外は、比較例1と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表2に示す。
【0043】
比較例5
比較例1のクマロン樹脂の代わりにフェノールノボラック樹脂120部を使用した以外は、比較例1と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表2に示す。
【0044】
比較例6
比較例1のクマロン樹脂の代わりにC9系石油樹脂120部を使用した以外は比較例1と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表2に示す。
【0045】
比較例7
比較例1のクマロン樹脂の代わりにキシレン樹脂120部を使用した以外は、比較例1と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表2に示す。
【0046】
実施例11
塗料ベース樹脂としてエポキシ樹脂(東都化成製、エポトートYD−014、エポキシ当量950)100部、瀝青炭としてK−9炭30部、クマロン樹脂90部、顔料として扁平タルク370部、溶剤としてトルエン150部とMEK80部を配合し、ディスパーで分散して塗料ベース剤を調製した。
この塗料ベース剤に、硬化剤として変性ポリアミドアミン(大日本インキ化学工業(株)製、商品名、ラッカマイドTD−973)をアミノ基(NH2)/エポキシ基のモル比が0.8になるように配合し、撹拌混合して塗料を調製したのち、エアレス塗装機でブラスト鋼板に塗装しで試験片を調製した。
得られた塗料の評価を実施例1と同様の評価方法により行った。配合及び評価結果を表3に示す。
【0047】
実施例12
実施例11のK−9炭を12部、扁平タルク388部とした以外は、実施例11と同様の方法で塗料を調製し評価を行った。配合及び評価結果を表3に示す。
【0048】
実施例13
実施例11のK−9炭を70部、扁平タルク330部とした以外は、実施例11と同様の方法で塗料を調製し評価を行った。配合及び評価結果を表3に示す。
【0049】
実施例14
実施例11のクマロン樹脂の代わりにフェノールノボラック樹脂90部とした以外は、実施例11と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表3に示す。
【0050】
実施例15
実施例11のクマロン樹脂の代わりにC9系石油樹脂90部を使用した以外は、実施例11と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表3に示す。
【0051】
実施例16
実施例11のクマロン樹脂の代わりにキシレン樹脂90部を使用した以外は、実施例11と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表3に示す。
【0052】
実施例17
実施例11のクマロン樹脂150部とした以外は、実施例11と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表3に示す。
【0053】
実施例18
実施例11のK−9炭70部、扁平タルク330部、クマロン樹脂150部とした以外は、実施例11と同様の方法で塗料を調製し評価を行った。配合及び評価結果を表3に示す。
【0054】
実施例19
実施例11のK−9炭の代わりに池島炭30部、クマロン樹脂150部を使用した以外は、実施例11と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表3に示す。
【0055】
実施例20
実施例11のK−9炭の代わりに池島炭70部、扁平タルク330部、クマロン樹脂150部を使用した以外は、実施例11と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表3に示す。
【0056】
比較例8
実施例11のK−9炭を使用せず、扁平タルク400部を使用した以外は、実施例11と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表4に示す。
【0057】
比較例9
比較例8の扁平タルクを330部とした以外は、比較例8と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表4に示す。
【0058】
比較例10
比較例8のクマロン樹脂を150部とした以外は、比較例8と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表4に示す。
【0059】
比較例11
比較例8のクマロン樹脂を150部、扁平タルクを330部とした以外は、比較例8と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表4に示す。
【0060】
比較例12
比較例8のクマロン樹脂の代わりにフェノールノボラック樹脂90部を使用した以外は、比較例8と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表4に示す。
【0061】
比較例13
比較例8のクマロン樹脂の代わりにC9系石油樹脂90部を使用した以外は、比較例8と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表4に示す。
【0062】
比較例14
比較例8のクマロン樹脂の代わりにキシレン樹脂90部を使用した以外は、比較例8と同様の方法で塗料を調製し、評価を行った。配合及び評価結果を表4に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【発明の効果】
本発明は、従来の変性エポキシ樹脂塗料又は変性ウレタン樹脂塗料に瀝青炭を配合することにより、改質剤である芳香族オリゴマーとのゲル化状態を形成し、空隙を埋め緻密な塗膜が形成され、防食に必要な耐水性、接着性、耐衝撃性に寄与する改質剤の効果を十分引き出すことができた。
Claims (3)
- (a)1分子中にアルコール性ヒドロキシ基を2個以上含むポリオール樹脂又は1分子中にエポキシ基を2個以上含むエポキシ樹脂からなる主剤、(b)水分3重量%以下、灰分10重量%以下の粉砕された瀝青炭、(c)芳香族オリゴマー及び(d)芳香族炭化水素系溶剤を必須成分とし、且つ主剤100重量部に対し、瀝青炭5〜200重量部、芳香族オリゴマー5〜200重量部及び芳香族炭化水素系溶剤20〜400重量部を配合してなる塗料ベース剤。
- 1分子中にアルコール性ヒドロキシ基を2個以上含むポリオール樹脂を主剤とする請求項1記載の塗料ベース剤に、イソシアネート系硬化剤を配合してなる二液型重防食用ウレタン樹脂塗料組成物であって、イソシアネート系硬化剤のイソシアネート基(NCO)と塗料ベース剤のヒドロキシル基(OH)のモル比(NCO/OH)が0.2〜2.0である重防食用ウレタン樹脂塗料組成物。
- 1分子中にエポキシ基を2個以上含むエポキシ樹脂を主剤とする請求項1記載の塗料ベース剤に、アミン系硬化剤を配合する二液型の重防食用エポキシ樹脂塗料組成物であって、アミン系硬化剤のアミノ基(NH2)と塗料ベース剤のエポキシ基(EP)のモル比(NH2/EP)が0.2〜2.0である重防食用エポキシ樹脂塗料組成物。
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