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JP4754746B2 - 棒状担体およびこれを具備するシリンダー反応容器 - Google Patents

棒状担体およびこれを具備するシリンダー反応容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特異的な結合反応を利用する標的物質の検出に使用するための担体および反応容器に関する。特に、核酸のハイブリダイゼーション反応や抗原抗体反応を利用して核酸や免疫関連物質を検出するための担体および反応容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、核酸のハイブリダイゼーション反応を検出するには、主に、DNAチップやDNAアレイが用いられている(「DNAアレイと最新のPCR法」13-25(1999)出版社名)。また、特願平11−336289には単数または複数のキャピラリアレイを用いた装置が開示される。
【0003】
基板の平面にプローブを固相化したマイクロアレイを用いた反応は、核酸検体などの液体試料および多量に必要とする。即ち、多量のアレイ基板を処理するに当たって、各反応の過程で、反応溶液、反応試薬、洗浄用溶液、および標識核酸を含む検体試料等を多量に必要とする。また、既存のアレイテクノロジーでは、反応溶液中の核酸がアレイ基板表面上を拡散する速度には限界があり、反応効率が悪く、従って感度が低下することもある。このようなアレイは開放系の装置であるので、ハンドリングが困難である。また、測定は、検出用の光学系を走査することにより行う。従って、検査時間が長くなり、臨床検査においては致命的な欠陥である。
【0004】
一方、キャピラリをマイクロアレイ基材として用いた場合では、当該キャピラリ内部へのプローブの固相化は、特殊技術が必要であり、その製造には手間が掛かる。また、複数のキャピラリを具備する一体型成形のアレイした場合には高価な装置になってしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の状況に鑑み、本発明の目的は、少ない容量で効率良く反応をおこなうことが可能であり、更に、簡単な構造で且つ安価に製造できる反応用装置を提供することである。また、本発明の更なる目的は、複雑な検出用光学系を用いずに短い時間で検出が達成できる装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための鋭意研究の結果、本発明者らは、以下の手段を見出した。即ち、
棒状の基体と、その表面に固相化されたプローブとを具備する棒状担体;および
棒状の基体の表面にプローブが固相化された棒状担体と、該棒状担体を内包する管状のハウジングとを具備するシリンダー反応容器
である。
【0007】
【発明の実施の形態】
1.棒状担体
本発明の1態様に従うと、その表面にプローブを具備する棒状担体が提供される。このような棒状担体の例を図1に示す。図1に示す棒状担体1は、円柱形(即ち、円形断面棒状)の基体2と、基体2の外側表面に固相化されたプローブ3とを具備する。
【0008】
本発明の態様に従うと、棒状担体の基体2は、例えば、ガラス、セラミック、石英、シリコン、並びにプラスチックおよびシリコーン樹脂等の可撓性樹脂および非可撓性樹脂、並びにゴムおよびシリコーンゴム等の弾性物質等の物質から任意に選択して製造することが可能である。製造方法は、使用する材質に応じて一般的に用いられるそれ自体公知の方法により選択することが可能である。例えば、鍛造加工および押し出し加工等の塑性加工、転造加工、射出成形並びに研削法等により形成し得る。
【0009】
本発明の態様に従うと、本棒状担体1におけるプローブ3の固相化のパターンは、所望に応じて任意に選択し得る。固相化パターンの例を図2に示す。例えば、プローブの固相化パターンは、該基体の周囲を取り囲むように環状にしても(図2a)、当該基体2の外側表面の全体に均等に固相化しても(図2b)、所望に応じて群分けしたプローブを群毎に集積して固相化してもよい(図2cおよびd)。また、群毎に集積する場合の固相化パターンは、線状であっても(図2c)、点状であってもよく(図2d)、該線または点の配置は任意に選択し得る。
【0010】
当該プローブの固相化方法は、プローブの種類および基板の種類に応じてそれ自身公知の一般的に使用される何れかの方法を用いてよい。例えば、点着および光固相化等の固相化方法を使用できる。
【0011】
本発明に従うと、棒状担体1は、基体2を形成した後でプローブ3を固相化してもよい。或いは、基体2を複数のパーツを組み合わせて構成することも可能であり、その場合、各パーツにプローブ3を固相化した後で、それらを組み合わせて一体化し基体2としてもよい。
【0012】
当該棒状担体外径の寸法は、所望する反応の種類および使用できる試料の容量等に応じて任意に選択することが可能であるが、0.1cmから10cmでよく、0.5cmから1.0cmがより好ましい。
【0013】
ここで使用される「プローブ」の語は、検出しようとする標的物質に高親和性に結合し、それによって標的物質を検出または回収することができる物質を示す。プローブとして使用できる物質は、これに限定するものではないが、例えば、抗原(または抗原決定基)、抗体、オリゴ糖類、レクチンおよび標的核酸に相補的なポリヌクレオチド等を使用することが可能である。
【0014】
ここで「標的核酸」は、任意の単純ヌクレオチド及び/又は修飾ヌクレオチドからなるポリヌクレオチドであり得る。標的核酸は、本方法の実施者が自由に選択することができる。標的核酸は、典型的には、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNA等のDNA、並びにmRNA、全RNA、hnRNA、及び合成RNA等のRNAである。「単純ヌクレオチド」には、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、及びウラシルが含まれる。「修飾ヌクレオチド」には、例えば、イノシン、アセチルシチジン、メチルアデノシン、メチルグアノシンを含むリン酸エステル等が含まれる。
【0015】
本発明の態様に従うと、このような棒状担体を使用する場合、試験管、ビーカーおよびその他の容器に対して1容器当たり1本ずつ配置して、または1容器に対して複数の棒状担体を配置して使用し得る。該棒状担体は、使用する容器内で安定して配置されるように、支持手段を有してもよい。また、複数の棒状担体を1容器中で用いる場合には、各棒状担体を夫々に独立して支持するために、それを支えるような支持手段を用いてもよい。支持手段は、間仕切りおよびフック等の手段を利用し得る。また該支持は、該プローブの固相化されていない部分を利用しても、支持用部材を棒状担体に更に付け加えてもよい。例えば、そのような支持用部材は、基体2の芯または芯に平行して該基体2から突出するような棒状部材等であってもよい。
【0016】
本発明の態様に従うと、棒状担体1は、その内部に空洞を有する管状であってもよい。その場合、当該内腔に、ヒーター等の棒状担体1を加熱することが可能な加熱体を具備させてもよい。また、棒状担体1の外部に配置したヒーター等の加熱手段からの熱を、該棒状担体1に伝えることが可能な伝熱体を具備させてもよい。例えば、そのような伝熱体は、金属、水および空気等を用いたドライバス、ウェットバスおよびエアバス等であってもよい。
【0017】
上述の例は円柱形、即ち、基体2の長手方向に垂直な断面の形状が円である棒状担体1を示した。しかしながら、当該断面形状は、楕円および矩形であってもよい。その場合、長手方向に垂直な断面の形状が矩形であること以外は、円形断面棒状担体と同様に設計および変更が可能である。同様に、プローブの固相化パターンも、断面形状が円である場合と同様に任意に選択することが可能である。
【0018】
2.シリンダー反応容器
本発明のもう1つの態様に従うと、棒状の基体の表面にプローブを具備する棒状担体と、該棒状担体を内包する管状のハウジングとを具備するシリンダー反応容器が提供される。このようなシリンダー反応容器の例を図3に示す。シリンダー反応容器4は、棒状担体5と、棒状担体5の少なくとも一部を取り囲む管状のハウジング6を具備する。
【0019】
本発明の態様に従うと、当該シリンダー反応容器4に具備される棒状担体は、上述した通りの担体でよい。
【0020】
該ハウジング6は、例えば、ガラス、シリコン、石英、プラスチック、セラミックおよびシリコーン樹脂等の可撓性樹脂および非可撓性樹脂、並びにゴムおよびシリコーンゴム等の弾性物質等の物質から任意に選択して製造することが可能である。製造方法は、材質に応じて一般的に使用されるそれ自体公知の方法により行うことが可能である。また、ハウジング6は透明であっても不透明であってもよいが、しかし、光透過性であることが好ましい。光透過性であることによって、棒状担体5上での反応を検出するのに有利である。
【0021】
図3から明かであるように、該ハウジング6の内径は、棒状担体5の外径よりも大きく、棒状担体5とハウジング6の間には、流体が含まれ且つそれが流動および/または貫流できるだけの空間が存在する。従って、棒状担体5の大きさに応じて該ハウジング6の寸法は選択および変更できるが、例えば、0.2cm〜11cmでよく、好ましくは0.6cm〜1.1cmである。
【0022】
また、棒状担体5とハウジング6との間隙の容量を微量にし、毛細管現象を利用してもよい。例えば、1から数μLになるように、棒状担体5とハウジング6の寸法を設計すればよい。そうすることによって、外部からの圧力または引力を用いることなく、棒状担体5の表面に均一に試料検体、反応試薬および洗浄用溶液等の液体が行き渡り得る。
【0023】
上述では、棒状担体5とハウジング6の内腔の断面の形状を共に円形にした例を示した。このように該ハウジング6の内腔の断面の形状と、該棒状担体5の断面の形状は、同じであってもよい。しかしながら、これに限るものではなく、各断面の形状を異なるように設計してもよい。即ち、両者の断面が共に円形であっても、若しくは共に同じ矩形であってもよい。または棒状担体5の断面が円形である場合に、ハウジング6の内腔断面が矩形であっても、その逆であってもよい。
【0024】
ここで使用される「内包する」の語は、棒状担体の少なくとも一部分を取り囲むことを示す。図3には、棒状担体5とハウジング6の長さは、棒状担体5の長さの方がハウジング6の長さよりも長い例を示している。しかしながらこれに限定されるものではなく、棒状担体とハウジングの長さが等しくても、ハウジングの方が長くてもよい。
【0025】
本発明の態様に従うと、本シリンダー反応容器4を使用する際には、シリンダー反応容器4に具備される棒状担体5および/またはハウジング6を回転または上下運動することが可能である。このようなシリンダー状の反応容器を用いて反応を行うことにより、少ない容量でも均等に且つ効率よく所望する反応が得られる。即ち、反応すべき物質同士の会合機会を高めることが可能である。また、棒状担体5の内部に加熱体または伝熱体を具備させることにより、全てのプローブに対して均一に且つより正確に温度制御を行うことが可能である。
【0026】
また、本発明の態様に従うと、検出に有利な反応容器が提供される。従来の検出においては、検出用の光学系を駆動し走査して検出を実行するのに対して、本発明の態様では、シリンダー反応容器4を駆動すればよい。これにより、検出用の光学系の構成を簡略化でき、且つその制御も容易になる。或いは、点状レーザを照射し、検出用の光学系をX軸方向のみに駆動し、それと同時に、または光学的駆動と交互にシリンダー反応容器4を駆動してもよい。
【0027】
例えば、標識物質を指標として光学的に検出することによって、目的とする反応結果を検出する場合、該棒状担体5をハウジング6から外して検出を行っても、ハウジング6中に配置されたままで検出を行ってもよい。ハウジング6中に棒状担体5を配置したままで検出すれば湿潤状態で検出できる。その場合、ハウジング6を光透過性とすることが有利である。例えば、シリンダー反応容器4の外部からシリンドリカルレンズを用いて線状レーザを照射し、それにより生じる蛍光強度を検出してもよい。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を示して更に本発明を説明する。しかしながら、これらは例示の目的で記載されるものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0029】
例1
棒状担体の例を図4に示す。本例の棒状担体7の基体8は、長手方向に垂直な断面の形状は6角形である。基体8の内部には加熱体9が具備される。基体8を構成する基体の6つの表面には、核酸プローブ10が固相化されている。
【0030】
この棒状担体7の製造は以下のように行い得る。まず、6枚の同じ形状およびサイズからなるガラスの平板に所望の核酸プローブを点着により固相化し、これを加熱体9の周りに隣り合わせて固定する。ここで各平板は何れも同一の固相化用のアドレスが割り当てられているのが、検出結果を解析容易にするので好ましい。このとき各平板同士および各平板と加熱体9とが密着するように固定することが好ましい。かかる6角柱の基体8を用いて検査を実行するには、先ず、基体8を、液体試料を収容してる容器に投入して、各平板の固相化面を同時に或いは順番に試料と接触させればよい。そして、反応後の基体8を各面毎にCCDにより撮像させることによって、蛍光強度等による反応データを取得できる。
【0031】
例2
図5および図6は本発明の第2の実施形態を説明するための図である。
【0032】
図5は、本発明の棒状担体を、一般的に使用される分注装置の分注ノズルの形状に模して、ノズル移送用のノズルアームに装着して使用する例を示した自動化装置の概念図である。
【0033】
ここで、21は棒状担体としてのノズル状チップ、22はノズル状チップを交換可能に保持するノズル保持部、23は液体試料を収容する反応用容器、24はノズルチップを移送および回転するための機構を有するノズルアーム、25はノズルアームおよびノズル保持部に沿って連通する吸排流路を通じて保持されたノズル状チップに吸引および/または吐出用の圧力を定量的に供給する機構を有するシリンジ、26はノズルアームの移送および回転機構を駆動する駆動部、27は各種指示用の入力および検査結果を出力する入出力部、28は鉛直方向に一例に検出用素子が配置されたラインセンサ、29は複数の使用前後のノズル状チップをピックアップし得るように載置するチップ収容部、30は適宜の恒温下にて反応用容器が配置される反応部、31は適宜の測定環境(例えば、暗黒、スリット構造、防振等)下にてノズル状チップからの縦一列分の測定を行う検出部、32はチップ収容部とその上方にノズルアームがXYZ移動できる程度のスペースを有するチップ交換部、33は各処理部(シリンジ25、アーム駆動部26、入出力部27およびラインセンサ28)と電気的に接続して各処理部の駆動および操作を連携制御することによって入出力部からの入力内容に応じた駆動を実行するとともに検出部から送られた測定データを演算して演算結果を入出力部に出力(印刷、画面表示、音声報告等)するための制御部である。
【0034】
従来の分注装置(例えば、特開2001−59848号を参照されたい)においては、ノズルアームの駆動部がノズルアームをXYZ方向に移動したり分注用チップを装着および脱却する機構を具備するが、本例では更にノズルアームの先端側のノズル保持部22近傍部分が回転可能に構成され、制御部からの信号に基づいて所望の速度で回転させるような駆動機構でもある点で新規な構成を有している。
【0035】
図6は、ノズル状チップの好適な構成を示す側面図(図6a)と線B−Bに沿って切った長手方向の断面図(図6b)である。
【0036】
ノズル状チップ41は、本発明の円柱状の基体の変形例であり、例えば、ポリスチレンやポリカーボネート等の樹脂材料で形成され、一般に使用される分注装置のノズル装着部による装着が可能な上部開口部46とシリンジによる液体吸引および吐出が可能な中空構造を要している。また、このノズル状チップ41の頭部42は、図示するように太径の円筒部分と下部に向けて徐々に細くなるテーパ部分とを有しており、下端部44は、液体の吸引と吐出のための小径の開口部分47を有するテーパ部分を主に有している。
【0037】
また、これら頭部42と下端部44の中間部分は、断面が一定の直径(例えば、直径約1mmから約2cm、好ましくは約2mmから約1cm)でもって所望の長さ(例えば、約5mmから約10cm、好ましくは約1cmから5cm)に延長しているプローブ固相化部分43であり、この固相化部分43の円周外面に沿って所望量の核酸プローブを所定の順、好ましくは回転軌跡上に沿って螺旋状に一列に配置して、固相化している。
【0038】
ここで、各核酸ローブの配置順は、環状に複数列に並列配置するようにしてもよい。また、プローブ固相化部分43の断面形状は、断面が一定の幅で組み合わされた多角形状であってもよい。また、核酸プローブをノズル状チップ41の表面に直接固相化する方法以外にも、テープ状若しくは繊維状の細長い(例えば、幅が約3mm以下、好ましくは約1mm以下であり、長さや約1cm以上、好ましくは5cm以上)軟性担体上に固相化したものをプローブ固相化部分43の外周に沿って巻き付けるようにしてもよい。
【0039】
この場合、軟性担体は、プローブ固相化部分43の外周に一度で巻き付けることが可能な幅を有する薄型シートであってもよく、公知のバーコード印刷装置を改良し、印字機構部を圧電素子等の微量印字機構に変更してシート状担体の表面に所望の核酸を固相化するようにしたり、シート状担体の裏面に予め(または印刷後に)粘着剤を設けたり、複数のシート状担体を複数のノズル状チップ41に対して貼付するようにすれば、自動的に核酸検出用の棒状基体を製造することが可能となる。
【0040】
本例の作用を説明すると、まず、使用者が所望の検査項目についての指示を入出力部27の入出手段(例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等)を介して入力すると、入力された指示情報が制御部33に送られて、制御部33が所定の検査を開始出来るようにセットアップした後に、指示情報に応じた制御を行う。セットアップの動作としては、チップ交換部32の各保持部に対して、必要な数および種類のノズル状チップ21が搬出部(図示はせず)から搬出されて保持・収容される。ここで、個々のノズル状21は例えばシリアル番号のようなIDがバーコード等によって付与され、このIDによって常時所在が確認できるとともに、検査終了するまでのナビゲーションを実行するように構成するのが好ましい。搬出動作は、また、ノズルアーム24を後述するように駆動する事によって各ノズル状チップ21を移送および収容させるように実行できる。
【0041】
次に、所定の検査順に沿ってノズルアーム24をXYZ移動させることによって、検査すべき核酸プローブが固相化されたノズル状チップ21をノズルアーム24の保持部22に装着して、反応部30の所定位置に位置決めされた反応用容器23の真上にノズル状チップ21を移送する。
【0042】
ここで、反応用容器23の上部開口部分は、ノズル状チップ21の頭部のテーパ部分によって、ノズル状チップ21を反応用容器23中に宙吊り状態で保持し得る程度に狭い直径となっている。ノズル状チップ21の頭部のテーパ部分は、単に段差状になっていてもよい。
【0043】
また、反応用容器23中には、事前に検査すべき液体試料が必要量収容されている。ここで、反応用容器23中に収容される液体試料の収容量は、好ましくは、ノズル状チップ21が宙吊り状態で保持された際に、ノズル状チップ21のプローブ固相化領域(図6を参照されたい)が十分に浸漬し且つ容器から溢れない程度に設定するものとする。
【0044】
また、反応用容器23は、通常、別途の分注装置によって、1以上の患者から採血等した元試料を前処理(核酸抽出、濃度調整等)し、必要個数の反応用容器23に対して順次に定量的分配が行われるとともに、患者ないし検査項目毎のID情報を入れたバーコードが貼付された状態で、適宜の搬送手段によって反応部30へと順番に搬入されるものであるが、公知の自動化手段で実行できるので、詳しい内容は省略する。なお、反応部30は、公知の温度制御手段によって適宜の反応温度に恒温制御されているものとする。
【0045】
次に、制御部33の制御に基づいて、ノズル状チップ21が反応用容器23に収容された液体試料中に侵入し且つチップ頭部が容器の上部開口部分に当接する若干上方の位置までノズルアーム24を下降させて停止する。このとき、制御部33は、ノズル状チップ21が液状試料中に侵入して停止するまでの下降動作に合わせて、シリンジ25を吸引側に駆動して、チップ内に液体試料を吸引することによってチップの温度を速やかに所望の反応温度に恒温化することができる。また、ノズルアーム25の下降の停止後にも、吸引と吐出を繰り返すように制御部33がシリンジ25を制御すれば、撹拌作用も生じる。
【0046】
次に、ノズルアーム25の下降を停止させた状態で、制御部33は、駆動部26を制御してノズルチップ21を液体試料中で所定時間の間、適宜の速度(例えば、毎秒1回転から10回転)で回転させることによって、少ない液量でも満遍なく撹拌を行う。なお、この停止状態において、ノズルアーム21からノズル状チップを脱却させて、所定の反応時間の間、反応用容器中に保持するようにして、反応時間が終了したら再度ノズル状チップを装着するようにしてもよい。また、反応部33における反応条件(温度、時間等)は検査項目応じて異なる場合があるので、制御部33による制御も適宜変更できるように構成するのが好ましい。
【0047】
次に、制御部33は、ノズル状チップ21に固相化された核酸プローブと液体試料の反応終了した時期に、ノズルアーム25を上昇させてチップを容器上方に移送するとともに、検出部31のラインセンサ28の近傍に位置決めする。このとき、ラインセンサ28の縦方向の各検出用素子に対して、ノズル状チップ21のプローブ固相化領域の縦一列が直面するように停止制御される。ここにおいて、制御部33は、ノズルアーム25およびラインセンサを制御して、ノズル状チップ21を検出可能な速度で少なくとも1回転させながら、ラインセンサ28による測定を連続的に実行することによって、チップ上の各種核酸プローブに関する反応結果を測定し、その測定データを制御部33に送るものである。しかして、制御部33は、検出部31から送られた測定データを逐次演算処理して、入出力部27の出力手段(例えば、液晶画面、プリンター)に演算結果を送るとともに、この演算結果を所定のフォーマットに沿って画面表示および/または印刷する。
【0048】
最後に、ノズル状チップ21についての測定を終了した時機に、制御部33はノズルアーム25を駆動して、チップ交換部32に移動させ、チップ収容部30の保持可能な空き部分の上方にノズル状チップ21を位置決めした後に下降させ、チップの脱却を実行させることによって、1つの検査を終了する。
【0049】
このようにして、複数の検査を繰り返し実行することによって、複数のノズル状チップ25に関する検査を自動的に実行することができる。
【0050】
なお、ノズルアーム25は、複数のノズル状チップ21を処理するために複数本設けてもよいし、反応部30における反応時間を利用して、複数のノズル状チップ21について共通のノズルアーム25を移送するようにしてもよい。
【0051】
また、チップ交換部32と反応部30の間、反応部30と検出部31の間および検出部31とチップ交換部32の間の各種動作をそれぞれ別々に行うノズルアーム25を設けて、処理の効率化を図ってもよい。
【0052】
なお、本発明は、上述した態様以外にも様々の変更が可能である。例えば、ノズル装着用の頭部以外は、中空構造でなく、単に棒状としてもよく、液体試料や液体試薬に浸漬するだけで反応させるようにしてもよい。また、撹拌動作をノズル状チップの上下動によって実行してもよい。また、反応用容器23の内径がノズル状チップ21のプローブ固相化領域の外径より若干大きい程度のサイズのものを使用することにより、ノズル状チップを侵入させたときに少量の液体試料等でもって充分にプローブ固相化領域を浸透することも可能となる。
【0053】
また、反応部30と検出部31の間に洗浄槽を配置してノズル状チップ21の内外壁を洗浄してから検出部31での測定を行ってもよい。
【0054】
また、検査項目に応じて、更なる別の液体試薬(例えば、蛍光物質、酵素等で標識化された核酸プローブ、標識化抗体等)を1種類以上個別に収容する複数の試薬容器を同一または異なる反応部に配置することによって、所要の順番で液体試料および液体試薬と反応させるようにノズル状チップを移送することができる。この場合、所望量の液体試料および/または液体試薬をノズル状チップ21の内空部分に吸引して、反応部の同一容器で吐出することにより、複数反応成分を同時に混合反応させることができるので、PCR反応リガーゼ反応等のワンステップの多段階反応も実行できる。
【0055】
【発明の効果】
上述のような本発明により、少ない容量で効率良く反応を達成することが可能であり、簡単な構造で且つ安価に製造できる反応用装置が提供される。また本装置によれば、複雑な検出用光学系を用いずとも短時間で検出が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の態様に従う棒状担体の例を示す図。
【図2】本発明の態様に従うプローブ固相パターンの例を示す図。
【図3】本発明の態様に従うシリンダー反応容器の例を示す図。
【図4】本発明の態様に従う棒状担体の例を示す図。
【図5】本発明に態様に従う自動化装置の例を示す概念図。
【図6】本発明の態様に従うノズル状チップの例を示す図。
【符号の説明】
1.棒状担体 2.基体 3.プローブ 4.シリンダー反応容器 5.棒状担体 6.ハウジング 7.棒状担体 8.基体 9.加熱体 10.プローブ

Claims (6)

  1. プローブ固相化担体であって、
    筒状基体であり、
    当該筒状基体の一端に下部開口部を有する下端部、
    前記下端部と連続した中間部、および
    前記中間部と連続して当該筒状基体の他端に上部開口部を有する頭部であり、当該プローブ固相化担体を交換可能に保持するノズルアームのノズル装着部を、前記上部開口部から当該下端部方向に向けて、当該頭部内部に着脱可能に嵌合する頭部
    を含む基体と、
    前記基体の外側面に固相化された標的物質に特異的に結合するプローブと
    を具備するプローブ固相化担体。
  2. 前記基体の長手方向に垂直な断面の形状が円、楕円および矩形からなる群より選択される請求項1に記載のプローブ固相化担体。
  3. 前記プローブが、抗原、抗体およびポリヌクレオチドからなる群より選択されることを特徴とする請求項1または2の何れか1項に記載のプローブ固相化担体。
  4. 前記基体の内部に加熱体または伝熱体が具備されることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のプローブ固相化担体。
  5. 請求項1から4の何れか1項に記載のプローブ固相化担体と、前記プローブ固相化担体を内包する管状のハウジングとを具備するシリンダー反応容器。
  6. 前記中間部の外側面に沿って螺旋状に前記プローブが固相化されている請求項1から5の何れか1項に記載のプローブ固相化担体。
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