JP4754674B2 - 手術用顕微鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、特に脳神経外科等で微細部位の手術に使用される手術用顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、脳神経外科領域では、より微細な手術を確実に行うために、術部を立体で拡大観察する手術用顕微鏡が多く利用されている。さらに、近年では手術を確実に行なうため、手術用顕微鏡観察下のみで行なっていた従来の手術に、内視鏡観察が併用されており、手術用顕微鏡観察像と内視鏡観撮像とを手術用顕微鏡視野内で同時に観察できることが望まれている。また、内視鏡観撮像にとどまらず、術前のCTやMRの画像及び術中の神経モニター等の情報の同時観察も望まれている。
【0003】
従来技術としては、例えば、特開平9−56669号公報、特開平11−258514号公報及び特願平11−288328号が知られている。これらは、術部を観察する第1の観察手段としての顕微鏡観察像の視野内に第2の観察手段の観察像の少なくとも一部が表示され、顕微鏡観察像では観察できない死角部分や組織内部の状態を認識できるようにしたものである。すなわち、液晶フィルタを用いて顕微鏡観察像を遮蔽し、その遮蔽部分へ画像投影を行ない、任意の位置に画像表示可能としたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来技術のものは、内視鏡観察のオリエンテーション操作中に、その画像表示自体が邪魔になったり、逆に大きな画像として観察することができない。
【0005】
この発明は前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、顕微鏡の死角を観察する内視鏡観察画像、ナビゲーション装置による顕微鏡、内視鏡観察位置の画像情報、さらには内視鏡観察方向等の画像情報を各々単独または任意に組み合わせて表示し、術者が手術状況に応じて画像情報が得られ、効率的に手術が遂行できる手術用顕微鏡を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記目的を達成するために、術部を立体観察する鏡体と、前記鏡体の観察像に画像を表示させる視野内表示手段及び又は画像重畳表示手段と、
前記視野内表示手段及び又は画像重畳表示手段に画像情報を表示する表示制御手段と、前記表示制御手段と接続された生検監視モニターと、前記生検監視モニターから出力される画像情報によって患者の状態を検出する比較演算部と、を有し、前記表示制御手段は、前記比較演算部の状態検出結果に基づいて、前記視野内表示手段及び又は画像重畳表示手段への前記画像情報の表示・非表示の制御を行なうことを特徴とする手術用顕微鏡である。
【0007】
請求項2は、請求項1記載の手術用顕微鏡において、前記表示手段は、表示・非表示の制御のスレッシュホールドが設定可能であることを特徴とする。
【0009】
前記構成によれば、操作入力手段の観察部選択及び表示選択を行なうことにより、顕微鏡観察視野内に顕微鏡の死角を観察する内視鏡画像及びナビゲーション画像を選択表示し、表示画面にモニターに表示された処置位置または手術用顕微鏡の観察位置に応じた断層画像、3次元構築画像等を選択的に表示でき、術者が手術状況に応じて画像情報が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の各実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図8は第1の実施形態を示す。図1及び図2は手術用顕微鏡の接眼鏡筒の光学系の構成を示し、図1は双眼接眼鏡筒部の内部構成を示す図で、図2は、図1における側面図で、図中左側観察光学系を示している。
【0012】
図1及び図2に示すように、鏡体(図示しない)の固定ハウジング7の内部には左右一対の結像レンズ8a,8bが配置されており、前記結像レンズ8a,8bは鏡体から出射される左右観察光束を入射させるベく、鏡体の観察光学系と光学的に接続されている。
【0013】
また、9a,9bは前記結像レンズ8a,8bを介した光束を各々90°外方に反射させるミラーで、その出射光軸上にはイメージローテータプリズム10a,10bが配置されている。前記イメージローテータプリズム10a,10bの後方には、両観察光束を各々180°反転させるプリズム11a,11bが配置されており、さらにその後方には前記プリズム11a,11bからの出射光軸を、後述する接眼光学系による観察光軸OL、ORと並行方向に反射させる三角プリズム12a,12bが配置固定されている。三角プリズム12a,12bの後方には、前記結像レンズ8a,8bにより結像された第1の中間結像点13a,13bが位置する。
【0014】
ここで、前記第1の中間結像点13aの近傍には後述する導光手段としてのプリズム14a,14bの上面が略一致するよう設けられるとともに、前記第1の中間結像点13a,13bの後方には像をリレーするリレーレンズ15a,15bが設置固定されている。ここで、前記プリズム11a,11b、三角プリズム12a,12b、リレーレンズ15a,15bは可動ハウジング16内に内蔵されている。
【0015】
前記可動ハウジング16は、接続部17a,17bを介して軸O、すなわち前記プリズム11a,11bの入射光軸まわりに回転可能になっている。また、前記ローテータプリズム10a,10bは図示しないカム機構等により、前記可動ハウジング16の固定ハウジング7に対する回転に対して1/2の角度だけ軸O中心に回転可能になっている。
【0016】
また、符号18a,18bは入射反射面19a,19bと出射反射面20a,20bからなり、前記眼幅調整ハウジング4a,4bに内蔵された反射部材としての平行プリズムである。前記第1の中間結像点13a,13bから前記リレーレンズ15a,15bにより伝達された像は、前記平行プリズム18a,18bの出射反射面20a,20bから各々第2の中間結像点21a,21bに結像される。そして、前記接眼ハウジング5a,5bに内蔵された一対の接眼光学系22a,22bに導かれ、顕微鏡光学観察像として観察光軸OR、OLを構成している。
【0017】
ここで、前記眼幅調整ハウジング4a,4bは、前記可動ハウジング16に対し三角プリズム12a,12bからの出射光軸(図中垂直方向)と略一致した軸周りに回転自在に支持され、また、図2に示すように、抜け止め部材23a,23b(図2では23aのみ図示する。)により軸方向には前記可動ハウジング16に対し不動に支持されている。本構造と前記平行プリズム18a,18bにより、いわゆるジーテントップ眼幅調整機構を構成している。
【0018】
また、図3に示す鏡体4には、対物光学系24と、変倍光学系25と、接眼光学系とが内蔵され、各々左右一対の光路が設けられている。ここで、対物光学系24には焦点可変機構及び焦点距離検出用センサが設けられている。さらに、変倍光学系25には変倍機構及び変倍検出用センサが設けられている。
【0019】
鏡体4にはハーフミラーからなる光路挿入手段26及び画像挿入光学系27が設けられ、この画像挿入光学系27は画像重畳用モニター28から出射した光束をアフォーカル光束にして光路挿入手段26に入射させるようになっている。なお、28aは画像重畳用モニター28に画像信号を送るためのケーブルである。
【0020】
一方、図2に示すように、第1の観察光学系の外側には第2の観察光学系を収納する第2の接眼ハウジング30が設けられている。第2の観察光学系は以下により構成されている。図中左側光路のみであるが、右側光路も同様の構成となっている。31は図示しないコントローラからの制御により、内視鏡等の画像を電子画像として表示する小型LCDモニターで、前記眼幅調整ハウジング4aの下方における可動ハウジング16との間に配置固定されている。
【0021】
32,33は前記LCDモニター31からの出射光軸O2L上に配置されるリレー光学系で、その内部には該光軸O2Lを略90°反射させる、プリズム34が配置されている。
【0022】
また、35は前記プリズム34によって反射せしめられた光軸を前記観察光軸OL方向に向かって偏向させるプリズムで、その出射光軸O2L上には、第2の接眼光学系36が光学的に配置接続されており、前記観察光軸OLとO2Lはその射出瞳位置近傍で各々交差している。
【0023】
図4はLCD光学系の斜視図であり、符号24a,24bは、図示しないコントローラからの制御により、内視鏡等の画像を電子画像として表示する小型LCDモニターである。符号25a,25bは前記LCDモニター24a,24bの出射光軸上に配置される投影光学系としての結像レンズで、LCDモニター24a,24bの画像を前記プリズム14a,14bの上面に結像させるよう配置固定されている。これらLCDモニター24a、結像レンズ25a、プリズム14aはLCD光学系26aを構成している。
【0024】
LCD光学系26a,26bの固定板27Aには前記LCDモニター24a、結像レンズ25a、プリズム14aからなるLCD光学系26aと同様な26bが固定されている。前記固定板27Aには光束を避ける穴部27aが設けられている。前記固定板27Aは駆動手段としてのXYテーブル28aのXテーブル29a上に固定されており、前記Xテーブル29aは光軸と直交する平面をXY方向に移動可能に設けられている。
【0025】
図5はXYテーブル28aの内部構造を示す斜視図及び制御系のブロック図である。前記Xテーブル29aはラック部29a’と軸受け部29a”を備えている。ラック部29a’にはモータ30aの回転軸に固定されたピニオンギア31aが噛み合っている。また、軸受け部29a”にはガイド軸32aが貫通している。前記モータ30aとガイド軸32aは後述するYテーブル33aに固定されている。
【0026】
前記Yテーブル33aはラック部33a’と軸受け部33a”を備えている。
ラック部33a’にはモータ34aの回転軸に固定されたピニオンギア35aが噛み合っている。また、軸受け部33a”にはガイド軸36aが貫通している。
【0027】
前記モータ30aとモータ34aはエンコーダを内蔵すると共に、後述する制御系と電気的に接続されている。すなわち、モータ30aはモータ駆動回路41と接続され、エンコーダはXテーブル位置検出回路42に接続されている。また、モータ34aはモータ駆動回路43と接続され、エンコーダはXテーブル位置検出回路44に接続されている。そして、モータ駆動回路41、Xテーブル位置検出回路42、モータ駆動回路43及びXテーブル位置検出回路44はXYテーブル制御部45に接続されている。
【0028】
一方、51は術者が操作する操作入力手段としての操作部であり、この操作部51にはXYテーブル28aを操作するXYの4方向スイッチ52、観察部選択スイッチ53及び表示選択スイッチ54が設けられている。
【0029】
この操作部51は表示制御部46に接続されているとともに、この表示制御部46には前記XYテーブル制御部45が接続されている。表示制御部46は映像変換回路部37及び視野内映像セレクタ38に接続され、視野内映像セレクタ38は内視鏡TVカメラ58及びナビゲーション装置59に接続されている。映像変換回路部37は表示駆動回路65を介してLCDモニター24a及び表示駆動回路66を介してLCDモニター24bに接続されている。
【0030】
前記表示制御部46には画像観察用映像セレクタ39及びナビゲーション画像重畳用映像セレクタ40が接続されている。画像観察用映像セレクタ39は内視鏡TVカメラ58及びナビゲーション装置59とも接続されており、ナビゲーション画像重畳用映像セレクタ40はナビゲーション装置59と接続されているとともに、神経モニター100と接続されている。
【0031】
画像観察用映像セレクタ39は表示駆動回路67を介してLCDモニター77aに接続されているとともに、表示駆動回路68を介してLCDモニター77bに接続されている。さらに、ナビゲーション画像重畳用映像セレクタ40は表示駆動回路69を介してナビゲーション装置59の表示用モニター69aと接続されている。
【0032】
図6は手術用顕微鏡装置のシステム全体構成を示す斜視図である。図6に示すように、手術用顕微鏡装置は実体顕微鏡を有する手術用顕微鏡101と、この手術用顕微鏡101の観察像とは異なる観察像を得る硬性鏡からなる内視鏡121と、手術用顕微鏡101及び内視鏡121の観察画像を表示させる表示手段としての表示用モニター141を備えている。
【0033】
また、手術用顕微鏡101には架台102と、この架台102の上部に配設されたバランスアーム103と、このバランスアーム103に支持された鏡体104とが設けられている。
【0034】
ここで、バランスアーム103には複数の可動アームと、6軸の回動軸105a〜105fとが設けられている。さらに、各回動軸105a〜105fにはバランスアーム103の各回動アームの回動位置を固定するロック状態と、この回動位置のロックを解除するロック解除状態とに切り換える電磁鎖錠(図示しない)が設けられている。そして、鏡体104の電磁鎖錠のロック/ロック解除の切り換え動作に伴いバランスアーム103の各回動アームの6軸の各回動軸105a〜105fを中心に空間的に位置移動自在に支持されている。
【0035】
また、鏡体104には、センサアーム106と、この鏡体104の位置操作用のグリップ107とが設けられている。このグリップ107には焦点調整用、変倍操作用、アーム操作用の各操作スイッチが設けられている。
【0036】
また、手術用顕微鏡101には鏡体制御部111及びアーム制御部112が内蔵されている。グリップ107の各スイッチには鏡体制御部111及びアーム制御部112に接続されている。さらに、これらの鏡体制御部111及びアーム制御部112にはグリップ107の各スイッチと同様に焦点調整用、変倍操作用の各スイッチを有するフットスイッチ113が設けられている。
【0037】
また、前記内視鏡121は手術台(図示しない)に取り付けられたスコープホルダ122により支持されている。このスコープホルダ122は複数の可動アーム123を備えた多関節アームによって構成され、各可動アーム123間の関節部がそれぞれ回動可能に連結されている。そして、内視鏡121はこのスコープホルダ122によって移動自在に支持されている。
【0038】
さらに、スコープホルダ122の各回動部にはスコープホルダ122の各可動アーム123の回動位置を固定するロック状態と、この回動位置のロックを解除するロック解除状態とに切り換える電磁鎖錠が設けられている。そして、内視鏡121はこのスコープホルダ122の電磁鎖錠のロック/ロック解除の切り換え動作に伴い移動可能に支持されている。
【0039】
また、各回動部の電磁鎖錠は各々スコープホルダ駆動制御部124に接続されている。さらに、スコープホルダ122の先端部には電磁鎖錠操作用のスイッチ122Aが設けられている。このスイッチ122Aはスコープホルダ駆動制御部124に接続されている。さらに、内視鏡121にはTVカメラ125と、略V字状の内視鏡用センサアーム126とが取り付けられている。
【0040】
また、手術用顕微鏡101及び内視鏡121の観察位置を検出する撮影装置としてのデジタイザ134が設けられている。このデジタイザ134は手術用顕微鏡101の鏡体104におけるセンサアーム106及び内視鏡121におけるセンサアーム126とを検出することにより、手術用顕微鏡101及び内視鏡121の観察位置を検出するようになっている。
【0041】
デジタイザ134はナビゲーション装置59が接続されている。このナビゲーション装置59には診断画像用のメモリ装置が内蔵され、診断画像との相関処理手段も備えている。さらに、ナビゲーション装置59には表示用モニター141と、インターフェースユニット136とが接続されている。そして、デジタイザ134による画像情報がナビゲーション装置59に入力され、患者頭部に取り付けられた基準指標との相関をナビゲーション装置59で算出するようになっている。
【0042】
前述した構成によれば、術者は図示しない架台アームを操作して鏡体を所望の位置に配置固定し、さらに可動ハウジング16を軸O周りに回転させ、術者の眼の位置に接眼光学系22a,22bを配置する。この時、固定ハウジング7内のイメージローテータプリズム10a,10bが可動ハウジング16の軸Oまわりの回転に対して1/2の回転が行われる。
【0043】
術部を発した光は、鏡体内の図示しない拡大光学系を介して、結像レンズ8a,8bに入射される。左右の光束はイメージローテータプリズム10a,10bを介すことで、可動ハウジング16の軸Oまわりの回転による像の回転が補正される。その後、プリズム11a,11b及び三角プリズム12a,12bで反射され、第1の中間結像点13a,13bにて結像する。
【0044】
その後、リレーレンズ15a,15bにより伝達され、平行プリズム18a,18bにより反射された後、第2の中間結像点にて再度結像する。そして接眼光学系22a,22bに導かれ、術者によって所望の拡大倍率で立体観察が行われる。左右の観察光軸OL〜OR間の距離と術者の眼幅がずれていて立体観察できない場合は、接眼鏡筒4aおよび4bを回転させることで、左右の観察光軸OL、ORと術者の眼幅に合わせるいわゆる眼幅調整を行う。
【0045】
一方、内視鏡観察像や、CT、MRなどの画像を顕微像と同時に観察したい場合は、術者は操作部51を操作して、LCDモニター24a,24bに表示させる。この時、LCDモニター24a,24bを発した光は結像レンズ25a,25bによりプリズム14a,14bの上面上にて結像される。プリズム14a,14bの上面は第1の結像点近傍にあるため図7に示すように顕微鏡観察視野O上に内視鏡画像Mが表示される。
【0046】
すなわち、顕微鏡観察視野O上に内視鏡画像Mを表示する場合には制御部51の表示選択スイッチ54によって内視鏡TVカメラ58(内視鏡画像)とナビゲーション装置59(ナビゲーション画像)を選択する。
【0047】
また、表示選択スイッチ54によって内視鏡TVカメラ58(内視鏡画像)を選択した状態で、操作部51の観察部選択スイッチ53をONすると、4方向スイッチ52がステップモードとなり、OFFするとフリーモードとなる。4方向スイッチ52を選択的にON操作してXYテーブル28aを駆動する。4方向スイッチ52の操作によりモータ駆動回路41を介してモータ30aを駆動すると、ピニオンギア31aが回転する。前記Xテーブル29aはYテーブル33aに固定されたガイド軸32aにより軸受け部29a”が支持されており、ピニオンギア31aの回転力をラック部29a’が受けることでガイド軸32aに沿ってX方向に動く。これによりXテーブル29a上に固定された固定板27Aも動き、プリズム14aが第1の中間結像点13a上で動き、この結果、内視鏡画像MがX方向に動く。
【0048】
4方向スイッチ52の操作によりモータ駆動回路43を介してモータ34aを駆動すると、ピニオンギア35aが回転する。Yテーブル33aはXテーブル29aに固定されたガイド軸36aにより軸受け部33a”が支持されており、ピニオンギア35aの回転力をラック部33a’が受けることでガイド軸36aに沿ってY方向に動く。これによりYテーブル33a上のXテーブル29aに固定された固定板27Aも動き、プリズム14aが第1の中間結像点13a上で動き、この結果、内視鏡画像MがY方向に動く。
【0049】
図7は顕微鏡観察視野Oを示す。操作部51の観察部選択スイッチ53及び表示選択スイッチ54を操作し、顕微鏡観察視野O内に顕微鏡の死角を観察する内視鏡観察像M及び顕微鏡観察視野内にて観察される内視鏡121の像Pと、さらにナビゲーションによる内視鏡121の斜視方向(矢印)Rを選択表示し、表示画面にLCDモニター24a,24bに表示された処置位置または手術用顕微鏡の観察位置に応じた断層画像、3次元構築画像を表示したものである。
【0050】
すなわち、LCDモニター24a,24bの表示画面にはその時の3方向の断層画像(Sagital Coronal Axialの各断層画像情報)140a〜140cと、それらを基に作成される3次元構築画像(3D)140dとがそれぞれ表示される。この3次元構築画像140dは、顕微鏡観察位置検出に基づき、観察点、観察方向、さらには術前等のシミュレーション結果に従うターゲット(設定病変部)等の重畳画像である。なお、LCDモニター24a,24bの表示画面の側部には顕微鏡観察位置検出装置のデータ表示領域140eが配置されている。従って、顕微鏡の接眼光学系を覗くことにより術部の顕微鏡観察像とLCDモニター24a,24bの表示画像が同時に観察できる。このとき、LCDモニター24a,24bには3次元構築画像140dが表示され、LCDモニター24a,24bの表示画像に(3D)の文字が表示される。
【0051】
図8は顕微鏡観察視野Oを示し、操作部51の観察部選択スイッチ53及び表示選択スイッチ54を操作し、顕微鏡観察視野O内にLCDモニター24a,24bによる処置位置または手術用顕微鏡の観察位置に応じた断層画像と3次元構築画像及び内視鏡121による内視鏡画像M、さらにナビゲーション装置59による術前診断画像による腫瘍の外形表示Sを選択表示した場合である。
【0052】
顕微鏡観察視野O内にはLCDモニター24a,24bの表示された画像、すなわち断層画像140a〜140cと3次元構築画像(3D)140d及びLCDモニター69aに表示された画像、すなわち内視鏡121の斜視方向(矢印)Rが重畳表示される。また表示画面にはその時の内視鏡観察像Mが表示される。
【0053】
図9〜図12は第2の実施形態を示し、神経モニター100(脳神経の機能をチェックする術中診断機器)の波形を監視する手段を設け、その結果に従って顕微鏡観察視野O内に表示を行なうことができるようにしたものである。
【0054】
図9は神経モニター監視のブロック図であり、設定入力部151は比較演算部152を介して映像変換部153に接続されている。神経モニター100は比較演算部152及び映像変換部153と接続されているとともに、比較演算部152は映像変換部153と接続する表示制御部154と接続されている。
【0055】
図10は神経モニター表示フローチャートを示し、図11は顕微鏡観察視野Oを示す。図10に示すように、ステップS1で表示する状態の設定を行ない、ステップS2で単位時間当たりの振幅回数が減るか否かを見る。そして、YESの場合、ステップS3に移り、監視モニター波形を表示する。ステップS2でNOの場合にはピーク値が設定以下となるか否かを見る。そして、YESの場合、監視モニター波形を表示する。ステップS4でNOの場合にはステップS2に戻る。
【0056】
図11は顕微鏡観察視野O内に「NERVE」の文字が重畳表示され、電子画像に神経モニター100の波形Qが表示された状態を示す。従って、顕微鏡の接眼光学系を覗くことにより手術用顕微鏡の観察位置に応じた断層画像、さらには3次元構築画像及び内視鏡121の像Pと同時に電子画像の監視モニター波形を観察できる。従って、脳神経等の付近の処置を行なう際にも、神経モニター100による監視を容易にでき、確実な手術が遂行できる。
【0057】
図12は顕微鏡観察視野O内に内視鏡121の像Pと同時に神経モニター100の波形Qが表示され、電子画像に手術用顕微鏡の観察位置に応じた断層画像、さらには3次元構築画像が表示された状態を示す。従って、顕微鏡の接眼光学系を覗くことにより手術用顕微鏡の観察位置に応じた断層画像、さらには3次元構築画像及び内視鏡121の像Pと同時に電子画像の監視モニター波形を観察できる。従って、脳神経等の付近の処置を行なう際にも、神経モニター100による監視を容易にでき、確実な手術が遂行できる。
【0058】
図13及び図14は第3の実施形態を示し、手術中に術者に直接指示を得るために、手術室で撮影する顕微鏡観察画像をカンファレンスルーム等へも送信し、ペンタッチで入力画像情報を手術室の顕微鏡の画像表示にて表示させることができるようにしたものである。
【0059】
すなわち、図13中、155は手術室であり、156はカンファレンスルームであり、壁157によって仕切られている。手術室155で撮影する顕微鏡観察画像はインターフェース158からカンファレンスルーム156の画像合成装置159を介してモニター160に送信され、図14に示すように、モニター160に顕微鏡観察画像が表示される。画像合成装置159にはペン型入力具161が設けられ、モニター160にペンタッチで指示画像162を入力することにより、術者に指示をすることができる。従って、術者は経験豊富なドクターからの指示を簡単かつ的確に受けることができ、臨機応変な対応をも行なうことができる。
【0060】
図15〜図17は第4の実施形態を示し、操作入力用のメニュー画面を顕微鏡視野内に表示させ、表示画像の選択操作を行なうようにしたものである。
【0061】
図15はメニュー操作フローチャートであり、図16はPinPへのメニュー表示状態を示し、図17はメニュー重畳表示状態を示す。図15に示すように、ステップS1で、例えばフットスイッチ等によってメニューSWがONされたか否かを判断し、YESの場合にはステップS2に進み、ステップS1でNOの場合にはスタートに戻る。ステップS2で、PinPが表示中であるか否かを判断する。YESの場合にはステップS3に進み、重畳表示が表示中か否かを判断し、YESの場合にはステップ4に進んでメニューを合成して重畳表示し、NOの場合にはステップ5に進んでメニューを重畳表示する。
【0062】
ステップS2でNOの場合にはステップS6に進んでPinPにメニューを表示し、さらにステップS7に進んで操作によるカーソルを移動する。さらに、ステップS8で操作入力による表示変更を行なった後、ステップS9でEXIT選択を行なって終了する。
【0063】
従って、図17に示すように、顕微鏡観察視野O内に「MENU」の文字とともにメニュー内容と手術用顕微鏡の観察位置に応じた断層画像、さらには3次元構築画像が重畳表示され、電子画像には顕微鏡観察像が表示される。
【0064】
このように術者自身が顕微鏡視野内のPinP、重畳画像、画像観察の表示選択操作を行なえるため、効率的に必要な画像情報の選択、表示、観察を行ないながら手術を遂行できる。
【0065】
図18〜図20は第5の実施形態を示し、図18は図3に示す鏡体の変形例を示す断面図、図19は顕微鏡観察視野を示す図、図20はバイポーラ処置装置のブロック図である。図18に示すように、鏡体4内の光路に設けられた光路挿入光学系26を挟んでLCDモニター28と反対側には結像レンズ170を介してTVカメラの撮像素子171が設けられている。
【0066】
TVカメラの撮像素子171によるTVカメラ撮像範囲172と画像重畳させる画像重畳範囲173とを異なる範囲とし、TVカメラ撮像範囲172より画像重畳範囲173を大きく設定している。そして、TVカメラにより撮影されない情報表示範囲174にVTRでの録画状況の確認表示を行なうとともに、処置機器の情報を表示するようにしたものである。
【0067】
処置機器としては、例えば図20に示すバイポーラ175であり、このバイポーラ175はフットスイッチ176を有するコントローラ177に接続されている。コントローラ177はインターフェース178を介して表示制御部179に接続されている。また、VTR180もインターフェース181を介して表示制御部179に接続されている。
【0068】
このように構成することによってVTR180による録画時に、情報表示範囲174に「REC」の文字を表示し、TVカメラ撮像範囲172にバイポーラ175の出力を表示することができる。
【0069】
従って、顕微鏡の接眼光学系を覗くことにより顕微鏡観察視野内にVTRでの記録状態、処置機器の状態を確認することができる。
【0070】
前述した各実施の形態によれば、次のような構成が得られる。
【0071】
(付記1)術部を立体観察する鏡体と、前記鏡体の左右の観察像に画像を表示させる視野内表示手段と、前記鏡体内に重畳表示を行なう画像重畳手段とを有する手術用顕微鏡において、前記視野内表示手段における各モニターと、画像観察手段における各モニターの表示制御用としてすべてのモニターに各々表示駆動手段を有し、各々の表示駆動手段の操作入力手段とを備えたことを特徴とする手術用顕微鏡。
【0072】
(付記2)術部を立体観察する鏡体と、前記鏡体の左右の観察像に画像を表示させる視野内表示手段と、前記鏡体内に重畳表示を行なう画像重畳手段と、前記鏡体の接眼光学系と異なる画像観察手段とを有する手術用顕微鏡において、前記視野内表示手段における各モニター、画像観察手段における各モニター、画像重畳手段のモニターの表示制御用に、すべてのモニターに各々表示駆動手段を有し、各々の表示駆動手段の操作入力手段とを備えたことを特徴とする手術用顕微鏡。
【0073】
(付記3)術部を立体観察する鏡体と、前記鏡体の左右の観察像に画像を表示させる視野内表示手段と、前記鏡体の光学観察像に重畳させる画像重畳手段と、前記鏡体の接眼光学系と異なる画像観察手段とを有する手術用顕微鏡において、前記視野内表示手段における各モニター、画像観察手段における各モニター、画像重畳手段のモニターの表示制御用に、各々表示駆動手段を有し、各々の表示画像を選択する画像セレクターと、選択された画像を対応するモニターへ表示すべく表示制御手段と、前記表示制御手段の操作入力手段とを備えたことを特徴とする手術用顕微鏡。
【0074】
(付記4)前記表示駆動手段が、モニター駆動回路であることを特徴とする付記1,2または3記載の手術用顕微鏡。
【0075】
(付記5)前記表示制御手段が、モニター駆動回路であることを特徴とする付記3記載の手術用顕微鏡。
【0076】
(付記6)術部を立体観察する鏡体と、前記鏡体の左右の観察像に画像を表示させる視野内表示手段と、前記鏡体内に重畳表示を行なう画像重畳手段とを有する手術用顕微鏡において、前記視野内表示手段における各モニター、画像観察手段における各モニターの表示制御用として、すべてのモニターに各々表示駆動手段の操作入力手段と、生体監視モニターと接続される表示制御手段とを備えたことを特徴とする手術用顕微鏡。
【0077】
(付記7)前記表示制御手段は、生体監視モニターからの信号の変化を検出する手段と、その結果により表示駆動手段に表示画像情報を送信し表示を行なうことを特徴とする付記6記載の手術用顕微鏡。
【0078】
(付記8)前記生体監視モニターは、神経モニター装置であることを特徴とする付記6記載の手術用顕微鏡。
【0079】
(付記9)前記表示制御手段は、神経モニターからの出力の変化を検出する手段と、その結果に応じて、重畳表示を行なう画像重畳手段に表示させることを特徴とする付記6記載の手術用顕微鏡。
【0080】
(付記10)術部を立体観察する鏡体と、前記鏡体内に重畳表示を行なう画像重畳手段と、前記鏡体の接眼光学系からなる画像観察手段とを有する手術用顕微鏡において、前記画像観察手段における各モニターと、画像重畳手段におけるモニターへの表示制御用として、すべてのモニターに各々表示駆動手段を有し、各々の表示駆動手段の操作入力手段と、前記顕微鏡観察像を撮像する手段と、その撮影画像への合成手段と、その合成手段の出力を接続するインターフェースとを備えたことを特徴とする手術用顕微鏡。
【0081】
(付記11)術部を立体観察する鏡体と、前記鏡体の左右の観察像に画像を表示させる視野内表示手段と、前記鏡体内に重畳表示を行なう画像重畳手段とを有する手術用顕微鏡において、前記視野内表示手段における各モニターと、画像観察手段における各モニターの表示制御用として、すべてのモニターに各々表示駆動手段を有し、各々の表示駆動手段の操作入力手段と、操作入力手段の状態を表示する操作用画像を構成する手段とを備えたことを特徴とする手術用顕微鏡。
【0082】
(付記12)前記表示制御部は、視野内表示手段の表示に応じて前記操作用画像を表示する手段を選択することを特徴とする付記11記載の手術用顕微鏡。
【0083】
(付記13)術部を立体観察する鏡体と、前記鏡体内に重畳表示を行なう画像重畳手段と、前記鏡体に設けた撮像光学系とを有する手術用顕微鏡において、顕微鏡観察像に対する前記画像重畳手段における表示範囲と前記撮像光学系による撮影範囲とが異なることを特徴とする手術用顕微鏡。
【0084】
(付記14)前記画像重畳手段における表示範囲は、前記撮像光学系による撮影範囲より大きいことを特徴とする付記13記載の手術用顕微鏡。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、顕微鏡の死角を観察する内視鏡観察画像、ナビゲーション装置による顕微鏡、内視鏡観察位置の画像情報、さらには内視鏡観察方向等の画像情報を各々単独または任意に組み合わせて表示し、術者が手術状況に応じて画像情報が得られ、効率的に手術が遂行できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態を示し、手術用顕微鏡の双眼接眼鏡筒部の光学構成を示す図。
【図2】同実施形態を示し、図1における図中左側観察光学系を示す側面図。
【図3】同実施形態の鏡体の縦断面図。
【図4】同実施形態を示し、LCD光学系の斜視図。
【図5】同実施形態を示し、XYテーブルの斜視及び制御系のブロック図。
【図6】同実施形態を示し、手術用顕微鏡システムの全体構成図。
【図7】同実施形態を示し、顕微鏡観察視野の作用説明図。
【図8】同実施形態を示し、顕微鏡観察視野の作用説明図。
【図9】この発明の第2の実施形態を示す神経モニター監視ブロック図。
【図10】同実施形態を示し、監視モニター表示のフローチャート図。
【図11】同実施形態を示し、顕微鏡観察視野の作用説明図。
【図12】同実施形態を示し、顕微鏡観察視野の作用説明図。
【図13】この発明の第3の実施形態を示すブロック図。
【図14】同実施形態の顕微鏡観察視野の作用説明図。
【図15】この発明の第4の実施形態を示すフローチャート図。
【図16】同実施形態のメニュー表示を示す図。
【図17】同実施形態の顕微鏡観察視野の作用説明図。
【図18】この発明の第5の実施形態を示す鏡体の縦断面図。
【図19】同実施形態の顕微鏡観察視野の作用説明図。
【図20】同実施形態のブロック図。
【符号の説明】
24a,24b,77a,77b,69a…LCDモニター
65,66,67,68,69…表示駆動回路
51…操作部(操作入力手段)
Claims (1)
- 術部を立体観察する鏡体と、
前記鏡体の観察像に画像を表示させる視野内表示手段及び又は画像重畳表示手段と、
前記視野内表示手段及び又は画像重畳表示手段に画像情報を表示する表示制御手段と、
前記表示制御手段と接続された生検監視モニターと、
前記生検監視モニターから出力される画像情報によって患者の状態を検出する比較演算部と、
を有し、
前記表示制御手段は、前記比較演算部の状態検出結果に基づいて、前記視野内表示手段及び又は画像重畳表示手段への前記画像情報の表示・非表示の制御を行なうことを特徴とする手術用顕微鏡。
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