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JP4472418B2 - 視野内表示装置 - Google Patents

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JP4472418B2
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Description

本発明は、術部を拡大観察する観察光学系に画像を重畳する手術用顕微鏡装置に用いられる視野内表示装置に係り、特に手術用顕微鏡装置と術具を併用して手術を行う場合に好適な視野内表示装置に関する。
近年、手術の精密化に伴い医師によって観察可能な手術用顕微鏡と術具を併用して手術が行われるようになってきた。
さらに、近年では、観察光学系に画像を重畳した手術用顕微鏡の観察下で、この手術用顕微鏡では観察できない死角部分を観察する内視鏡を併用する手術用顕微鏡システムが開示されている。
このような技術の一例として、例えば、本件出願人による特開2003−070806号公報には、術部の観察像を得る観察光学系と、観察光学系に神経モニタなどの画像を重畳するための重畳表示手段と、観察光学系に別の電子画像を表示するための視野内表示手段をもつ手術用顕微鏡において、重畳表示手段と視野内表示手段の表示方法について記載されている。
前記手術用顕微鏡では、手術用顕微鏡の観察視野での重畳表示手段による重畳画像の表示位置と、該観察視野での視野内表示手段による画像の表示位置とを検出する。そして、重畳表示手段と視野内表示手段の画像が重なる位置に表示されてしまう場合に、重畳表示手段による画像を移動させてそれぞれの画像が重ならないように制御している。
また、前記手術用顕微鏡は、エネルギー処置具を用いる場合には、エネルギー処置具先端周辺と、重畳表示手段による重畳画像が重ならないように該重畳画像を移動させる。さらに、前記手術用顕微鏡は、エネルギー処置具の把持部側にその出力値を重畳表示手段により表示し、必要で情報が観察視野を妨げないように表示している。
一方、特開2001−133696号公報に記載の手術用顕微鏡装置では、術部に露出している腫瘍の蛍光観察画像を、顕微鏡観察像に重畳する構成になっている。この重畳画像を非表示にするには、蛍光画像観察の入力スイッチを押す構成になっている。
特開2001−133696号公報 特開2003−070806号公報
しかしながら、特開2003−070806号公報に記載の手術用顕微鏡では、神経モニタ等の画像を手術用顕微鏡の観察視野に重畳する場合、内視鏡や処置具等の術具を避けるために顕微鏡観察視野内を重畳画像が動き続ける場合があり、術者にとって煩わしかった。
また、特開2001−133696号公報に記載の手術用顕微鏡装置では、露出した腫瘍部を処置する場合には、重畳画像を消すために、蛍光画像観察の入力スイッチを操作しなければならず、術者にとって操作が煩わしかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、観察光学系に対する術具の相対的な位置に合わせて画像重畳手段による重畳画像の表示領域を制限することができる視野内表示装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため請求項1に記載の手術用顕微鏡は、術部を拡大観察する観察光学系を持つ顕微鏡部と、この顕微鏡部に対する術具の相対位置を検出する位置検出手段と、前記観察光学系にて生成される第1の画像に第2の画像を重畳する画像重畳手段とを有する手術用顕微鏡装置に用いられ、前記第1の画像の視野内に所定領域を設定する設定手段と、前記位置検出手段の位置検出結果と前記設定手段で設定した所定領域を比較する比較判定手段と、この比較判定手段の判定結果に応じて前記画像重畳手段の表示領域を制限する表示制限手段と、を具備することを特徴とする。
請求項2に記載の手術用顕微鏡は、請求項1に記載の視野内表示装置であって、前記設定手段は、前記所定領域を予め記録していることを特徴とする。
請求項3に記載の手術用顕微鏡は、請求項1に記載の視野内表示装置であって、前記設定手段は、前記位置検出手段の位置検出結果に応じて、前記所定領域を可変させることを特徴とする。
請求項4に記載の手術用顕微鏡は、請求項1に記載の視野内表示装置であって、前記表示制限手段は、前記画像重畳手段の表示領域の大きさを変更することを特徴とする。
請求項5に記載の手術用顕微鏡は、請求項1に記載の視野内表示装置であって、前記表示制御手段は、前記位置検出手段の位置検出結果に基づいて、前記画像重畳手段の表示領域を変更することを特徴とする。
本発明の視野内表示装置によれば、観察光学系に対する術具の相対的な位置に合わせて画像重畳手段による重畳画像の表示領域を制限できるので、術者に煩わしさを感じさせることなく、重畳画像の表示が術具の邪魔になるのを防止できる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図8は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は手術用顕微鏡装置のシステム全体の構成を示す斜視図、図2は手術用顕微鏡の鏡体の断面図、図3は手術用顕微鏡装置に用いられる視野内表示装置のブロック図、図4は顕微鏡観察視野内における重畳画像の第1の表示位置を示す説明図、図5は顕微鏡観察視野内における重畳画像の第2の表示位置を示す説明図、図6は顕微鏡観察視野内に表示される画像を示す第1の説明図、図7は顕微鏡観察視野内に表示される画像を示す第2の説明図、図8は顕微鏡観察視野内に表示される画像を示す第3の説明図である。
(構成)
まず、図1を用いて手術用顕微鏡装置の全体構成を説明する。
図1に示すように、手術用顕微鏡装置1は、実体顕微鏡の機能を有する手術用顕微鏡11と、周辺機材としてのトロリ30、内視鏡35、表示用モニタ41等を含でいる。
内視鏡35は、硬性鏡を有し、手術用顕微鏡11の観察像とは異なる観察像を得るようになっている。表示用モニタ41は、内視鏡35の観察画像を表示する表示手段となっている。
次に、手術用顕微鏡11について詳細に説明する。
手術用顕微鏡11は、架台12と、バランスアーム13と、鏡体14とを含んで構成されている。
架台12の上部にはバランスアーム13が配設されている。鏡体14は、センサアーム17に固定され、センサアーム17を介してバランスアーム13に支持されている。
ここで、バランスアーム13には、複数の回動アーム15a〜15dと、6軸の回動軸16a〜16fとが設けられている。さらに、各回動軸16a〜16fには、バランスアーム13の各回動アーム15a〜15dの回動位置を固定するロック状態と、この回動位置のロックを解除するロック解除状態とに切り換える電磁鎖錠(図示しない)が設けられている。鏡体14は、前記電磁鎖錠のロック解除に伴い、バランスアーム13の6軸の各回動軸16a〜16fを中心に空間的に位置移動自在に支持される。
また、鏡体14を固定するセンサアーム17には、鏡体14の位置操作用のグリップ18と、位置検出のための複数の指標19が設けられている。グリップ18には、焦点調整操作用、変倍操作用及びアーム操作用の各操作スイッチが設けられている。また、架台12には鏡体制御部21及びアーム制御部22が内蔵されている。グリップ18の各スイッチは架台12の鏡体制御部21及びアーム制御部22に電気的に接続されている。
架台12の下側からはコード23が演出している。コード23は、一端側が鏡体制御部21及びアーム制御部22に接続され、他端側がフットスイッチ24に接続している。
フットスイッチ24はグリップ18の各スイッチと同様に焦点調整操作用、変倍操作用及びアーム操作用の各スイッチを有する。
トロリ30には、医療機器として、カメラコントロールユニット(以下CCUと呼ぶ)31、処置装置32、ワークステーション33(以下WS33と呼ぶ)、重畳装置34及びモニタ41が搭載されている。
CCU31は、カメラケーブル35aを介して、内視鏡35に接続される。内視鏡35の保持部35bには位置検出のための複数の指標36が設けられている。CCU31は、内視鏡35により撮影された画像を映像信号に変換するユニットである。CCU31は、モニタ41に接続されており、変換した映像信号をモニタ41に映像表示する。
処置装置32は、ケーブル37aを介して、バイポーラ37に接続している。バイポーラ37の保持部37bには位置検出のための複数の指標38が設けられている。処置装置32は、ケーブル37aを介して、バイポーラ37を制御するユニットであり、バイポーラ37に高周波電流を供給するとともに、複数の指標38を発光させるための電力を供給する。
バイポーラ37は、一対の鉗子の間に生体組織を挟み込み、その間に処置装置32からの高周波電流を流すことで生体組織を凝固するものである。
前記指標19,36,38は、本実施の形態の場合、赤外線を発光する発光ダイオードで形成されている。
WS33は、指標19,36,38の位置検出を行うデジタイザ39が接続されている。デジタイザ39には、前記指標19,36,38によって発せられる赤外光を受光する受光カメラ39a,39bが取り付けられている。デジタイザ39は、赤外光の受光結果に基づいて、前記指標19,36,38の位置検出を行う。
WS33は、デジタイザ39による位置検出結果に基づいて、指標19,36,38の位置演算を行う。
また、本実施の形態では、WS33は、図2に示す対物光学系位置検出部63及び変倍光学系位置検出部64の検出結果に基づいて、顕微鏡観察視野の範囲の算出する演算を行う。
さらに、WS33は、算出した顕微鏡観察視野と指標19,36,38の位置より、顕微鏡観察視野に対する内視鏡35及びバイポーラ37の挿入状態のデータを作成して重畳装置34に供給する。
重畳装置34は、顕微鏡観察視野に図3に示す神経モニタ42の画像を重畳するための装置である。
次に、図2を用いて鏡体14について詳細に説明する。
図2に示すように、鏡体14は、キャビネット50の内側に、対物光学系51、左右の変倍光学系52L、52R、左右の画像挿入ハーフミラー53L,53R、左右の結像レンズ54L,54R、左右の接眼レンズ55L,55R、左右の液晶ディスプレイ(以下、LCDと呼ぶ)61L,61R、左右のレンズ62L,62R、対物光学系位置検出部63及び変倍光学系位置検出部64を配設したものである。
キャビネット50は、筒状の鏡筒部71を基本構造とし、鏡筒部71の基端側に双眼接眼部72を設け、鏡筒部71の左右に突出して左右の収納部73L,73Rを設けている。
鏡筒部71には、被写体側(先端側)から順に対物光学系51、左右の変倍光学系52L,52R、左右の画像挿入ハーフミラー53L,53R及び左右の結像レンズ54L,54Rが配置されている。双眼接眼部72には、左右の接眼レンズ55L,55Rが取り付けられている。
対物光学系51は、最も術部側に配置され、術部からの左右の光束A1L,A1Rを左右の変倍光学系52L,52Rに導く。左右の変倍光学系52L,52Rは、鏡体14の顕微鏡としての倍率を変倍可能にするためのものである。
左の変倍光学系52Lは、対物光学系51からの左の光束を、変倍可能な状態で、左の画像挿入ハーフミラー53Lに導く。左の変倍光学系52Lからの左の光束の光軸S1L上には、被写体側から順に左の画像挿入ハーフミラー53L、左の結像レンズ54L及び左の接眼レンズ55Lが配置されている。
右の変倍光学系52Rは、対物光学系51からの右の光束を、変倍可能な状態で、右の画像挿入ハーフミラー53Rに導く。変倍光学系52Rからの右の光束の光軸S1R上には、被写体側から順に右の画像挿入ハーフミラー53R、右の結像レンズ54R及び右の接眼レンズ55Rが配置されている。
このような構造により、対物光学系51、左右の変倍光学系52L,52R、左右の結像レンズ54L,54R及び左右の接眼レンズ55L,55Rは、立体観察光学系を構成している。左右の変倍光学系52L,52Rと左右の結像レンズ54L,54Rの中間には、重畳画像を観察光学系に挿入する左右の画像挿入ハーフミラー53L,53Rが設けられている。
一方、左の収納部73Lは、左の画像挿入ハーフミラー53Lの左側方に配置している。左の収納部73Lには、奥側から順に左のLCD61Lと左のレンズ62Lが収納されている。
右の収納部73Rは、右の画像挿入ハーフミラー53Rの右側方に配置している。右の収納部73Rには、奥側から順に右のLCD61Rと右のレンズ62Rが収納されている。
左右の収納部73L,73Rには、それぞれ貫通孔74L,74Rが形成されている。貫通孔74L,74Rには、それぞれLCD61L,61Rからのコード75L,75Rが挿入されている。LCD75L,75Rは、コード75L,75Rを介して図1の重畳装置34に接続されている。
また、LCD61L,LCD61Rは、バックライトを有しており、表面に重畳装置34による重畳画像を表示する。
左右のレンズ62L,62Rは、左右のLCD61L,LCD61Rの画像を左右の画像挿入ハーフミラー53L,53Rに画像を導く。
また、対物光学系51は、フットスイッチ24及びグリップ18に設けられた焦点調整操作用の操作スイッチにより、鏡筒部71の中心軸S2に沿って移動可能になっている。対物光学系位置検出部63は、対物光学系51の位置検出を行う。
左右の変倍光学系52L,52Rは、フットスイッチ24及びグリップ18に設けられた変倍操作用の操作スイッチにより、それぞれ光軸S1L,S1R沿って同時に移動可能になっている。変倍光学系位置検出部64は、左右の変倍光学系52L,52Rの位置検出を行う。
鏡体14は、左右の変倍光学系52L,52Rを移動させて、倍率を変化させると、顕微鏡観察視野の範囲が変化する。
また、鏡体14は、左右の変倍光学系52L、52R、左右の結像レンズ54L,54R及び左右の接眼レンズ55L,55Rを術部に対して固定した状態で対物光学系51を動かして焦点調整を行うが、この場合、有る程度倍率が変化し、顕微鏡観察視野の範囲が変化する。
このため、本実施の形態では、対物光学系位置検出部63及び変倍光学系位置検出部64の検出結果を重畳装置34を介してWS33に供給して、WS33に顕微鏡観察視野の範囲を検出させている。
次に、図3を用いてLCD61L,61Rに重畳画像を表示する重畳装置34について詳細に説明する。
図3に示すように、重畳装置34は、設定領域記録部81と、比較演算部82と、画像制御部83とで構成されている。
設定領域記録部81は、顕微鏡観察視野内における重畳画像の表示禁止領域を記録する。第1の実施の形態では、表示禁止領域が所定領域となっている。
設定領域記録部81は、比較演算部82の第1の入力側に接続され、比較演算部82に表示禁止領域を示すデータを供給する。
比較演算部82の第2の入力側には図1に示したWS33が接続されている。比較演算部82の出力側は画像制御部83の第1の入力側に接続されている。比較演算部82は、WS33が算出した顕微鏡観察視野に対する内視鏡35及びバイポーラ37の挿入状態のデータと、設定領域記録部81が設定する表示禁止領域の位置のデータとを比較し、この比較結果を画像制御部83の第1の入力側に供給する。
一方、神経モニタ42は、図示しない患者の神経反応を検出して出力する。神経モニタ42の出力側は、重畳装置34の画像制御部83の第2の入力側に接続されている。
画像制御部83の出力側には、前述の鏡体14に内臓されたLCD61L,61Rが接続されている。
画像制御部83は、比較演算部82からの比較結果に基づいて神経モニタ42からの重畳画像の画像修正を行いLCD61L,61Rに表示する。
このような構成により、対物光学系51と、左右の変倍光学系52L,52Rと、左右の結像レンズ54L,54Rと、左右の接眼レンズ55L,55Rとは、術部を拡大観察する観察光学系となっている。
鏡体14は、観察光学系を持つ顕微鏡部となっている。
WS33と、デジタイザ39と、対物光学系位置検出部63と、変倍光学系位置検出部64とは、前記顕微鏡部に対する術具の相対位置を検出する位置検出手段となっている。
重畳装置34と、左右の画像挿入ハーフミラー53L,53Rと、左右の液晶ディスプレイ(以下、LCDと呼ぶ)61L,61Rと、左右のレンズ62L,62Rとは、観察光学系に画像を重畳する画像重畳手段となっている。
重畳装置34は、手術用顕微鏡装置に用いられる視野内表示装置となっている。
設定領域記録部81は、前記観察光学系の観察視野内に所定領域を設定する設定手段となっている。設定領域記録部81は、予め所定領域が記録されている。
比較演算部82は、前記位置検出手段の位置検出結果と前記設定手段で設定した所定領域を比較する比較判定手段となっている。
画像制御部83は、この比較判定手段の判定結果に応じて前記画像重畳手段の表示領域を制限する表示制限手段となっている。この場合、画像制御部83は、前記比較判定手段の位置検出結果に基づいて、表示領域の大きさを変更することで、表示領域を変更している。
(作用)
以下、図4乃至図8を参照して第1の実施の形態の手術用顕微鏡装置1の使用方法について説明する。
まず、術者は、術部の観察を行うため手術用顕微鏡装置1の鏡体14を所望の位置に移動させる。
この後、術者は、フットスイッチ24の焦点調整操作用の操作スイッチ、変倍操作用の操作スイッチを操作して、鏡体14の焦点(フォーカス)及び変倍(ズーム)の調整を行い、術部の観察を行う。
次に、鏡体14の顕微鏡観察視野内の特定の領域に内視鏡35及びバイポーラ37が挿入されていない状態の作用を説明する。
術者は、図3に示した神経モニタ42による観察を行うために、神経モニタ42に設けられた図示しないスイッチと重畳装置34に設けられたに図示しないスイッチを押す。
これにより、神経モニタ42による画像は、重畳装置34の画像制御部83に伝達される。画像制御部83には、神経モニタ42の画像に対応した顕微鏡観察視野内における重畳画像の表示位置が2種類設定されている。
この2種類の重畳画像の表示位置は、図4及び図5に示す顕微鏡観察視野100内の斜線領域101、102に示す領域である。図4の斜線領域101より図5の斜線領域102のほうが大きい画像表示が可能である。また、図4及び図5には、表示禁止領域110を破線で示している。
図3に示した画像制御部83に入力された神経モニタ42の画像は、LCD61L,61Rに伝達される。LCD61L,61Rに伝達された画像は、図2に示した左右のレンズ62L,62Rを介して、左右の画像挿入ハーフミラー53L,53Rに導かれる。左右の画像挿入ハーフミラー53L,53Rは、それぞれ左右の変倍光学系52L,52Rからの術部の像に、それぞれ左右のレンズ62L,62RからのLCD61L,61Rに表示された画像を重畳して、左右の結像レンズ54L,54Rを介して左右の接眼レンズ55L,55Rに伝達する。
これにより、術者は、図6に示すように、顕微鏡観察視野100内に表示される顕微鏡観察像111と、図3に示した神経モニタ42による重畳画像112を観察する。このときの重畳画像112は図5に示した領域102に投影されている。
次に、術者は、顕微鏡観察像の死角を観察するために、図1に示す内視鏡35を把持し、術部に挿入する。内視鏡35の位置検出は、指標36をデジタイザ39が検出し、その検出結果をWS33で演算することで行われている。同様に顕微鏡の鏡体14の位置検出は、指標19をデジタイザ39が検出し、その検出結果をWS33で演算することで行われている。すなわち、WS33は鏡体14にて観察される顕微鏡観察視野100に対し内視鏡35がどの程度挿入されているかを検出している。この検出結果は、図3に示す重畳装置34の比較演算部82へ伝達される。
比較演算部82は、設定領域記録部81より、顕微鏡観察視野の所定領域のデータを読み出す。この所定領域のデータは、図4及び図5に示す顕微鏡観察視野100の点線部の表示禁止領域110を示している。この実施の形態では、この表示禁止領域110は変更できない規定値として設定されている。
そして、比較演算部82は、WS33による顕微鏡観察視野に対する内視鏡35の挿入状態と、設定領域記録部81の設定する表示禁止領域110との位置を比較する。
図7に示すように、顕微鏡観察視野100における内視鏡35の位置が表示禁止領域110より外側にある場合には、次のように処理を行う。
このとき、比較演算部82は、画像制御部83に制御信号を供給しない。したがって、画像制御部83は、図3に示した神経モニタ42からの画像を、図5に示した表示領域102に投影すべくLCD61L,61Rに伝達して表示する。
これにより、術者は、図7に示すように、内視鏡35と、顕微鏡観察視野100内に表示される顕微鏡観察像111と、図3に示した神経モニタ42による重畳画像112とを観察する。このときの重畳画像112は図5に示した領域102に投影されている。
図8に示すように、顕微鏡観察視野100における内視鏡35の位置が、表示禁止領域110の内側に入った場合には、次のように処理を行う。
このとき、図3に示した比較演算部82は、画像制御部83に制御信号を伝達する。画像制御部83は制御信号を受け取ると、神経モニタ42からの画像を図4に示した表示領域101に投影すべく画像の縮小加工を行い、LCD61L,61Rに伝達して表示する。
これにより、図8に示すように、術者が観察する顕微鏡観察視野100には、表示禁止領域110の外に、図3に示した神経モニタ42の比較的小さい画像113が表示される。術者は、顕微鏡観察視野100の中心部の視野を広く保って、観察を行う。
また、第1の実施の形態では、顕微鏡観察視野100において、バイポーラ37が表示禁止領域110の内側に入った場合にも、図3に示した神経モニタ42からの画像を図4に示した表示領域101に投影すべく画像の縮小加工を行い、LCD61L,61Rに伝達して表示する。
(効果)
このような第1の実施の形態によれば、術具としての内視鏡35やバイポーラ37を術部に挿入していない場合、及び術具が顕微鏡観察視野100の表示禁止領域110の外にある場合には、図7に示すように、顕微鏡観察視野100内のより広い領域を使って、さまざまな情報を高い解像度で観察することができる。
一方、術具を術部に挿入して顕微鏡観察視野100の表示禁止領域110に挿入した場合には、視野内の重畳画像の表示が顕微鏡観察視野100の中心部の表示禁止領域110に入らないため、術具の操作を行いやくすることができる。
即ち、第1の実施の形態では、手術用顕微鏡11の観察光学系に対する術具の相対的な位置に合わせて画像重畳手段による重畳画像の表示領域を制限できるので、術者に煩わしさを感じさせることなく、重畳画像の表示が術具の邪魔になるのを防止できる。
尚、第1の実施の形態では、キャビネット50を術部に対して固定したまま、対物レンズ51を移動させることでフォーカス調整を行うとともに、変倍機構としての左右の変倍光学系52L,52Rを移動させて変倍調整が可能な鏡体14を用いたため、WS33は、対物光学系位置検出部63及び変倍光学系位置検出部64と検出結果に基づいて、顕微鏡観察視野の範囲の算出する必要があったが、変倍機構を設けずキャビネットに対して全てのレンズを固定し、キャビネットを被写体に対して移動させて焦点調整を行う鏡体では、顕微鏡観察視野が常に一定なので、WS33は、予め記憶した顕微鏡観察視野のデータを用いて顕微鏡観察視野に対する内視鏡35の挿入状態のデータを作成すればよい。
また、第1の実施の形態では、術具として内視鏡35、バイポーラ37を用いたが、生検針等、他の術具を用いてもよい。
図9乃至図13は本発明の第2の実施の形態に係り、図9は手術用顕微鏡装置に用いられる視野内表示装置のブロック図、図10は術前画像を示す説明図、図11は腫瘍の術前画像を示す説明図、図12は顕微鏡観察視野内に表示される画像を示す第1の説明図、図13は顕微鏡観察視野内に表示される画像を示す第2の説明図である。
本発明の第2の実施の形態の説明において、図9乃至図13に示していない構成要素は、図1乃至図8に示した第1の実施の形態と同様になっているので、第1の実施の形態と異なる部分のみ説明する。
(構成)
図9において、第2の実施の形態のWS133及び重畳装置134は、顕微鏡観察視野に術前画像を重畳表示するように構成している。
WS133は、第1の実施の形態のWS33と同様に、算出した顕微鏡観察視野と指標19,36,38の位置より、顕微鏡観察視野に対する内視鏡35及びバイポーラ37の挿入状態のデータを作成して重畳装置134に供給する。
重畳装置134は、設定領域記録部181と、比較演算部182と、画像制御部183とで構成されている。
設定領域記録部181は、顕微鏡観察視野内における重畳画像の表示禁止領域を記録する。設定領域記録部181は、比較演算部182の第1の入力側に接続され、比較演算部182に表示禁止領域を示すデータを供給する。
比較演算部182は、WS133が算出した顕微鏡観察視野に対する内視鏡35の挿入状態のデータと、設定領域記録部181が設定する表示禁止領域の位置のデータを比較し、この比較結果を画像制御部183の第1の入力側に供給する。
一方、WS133は、術者の操作に基づいて、事前に断層撮影装置等により撮影した得られた術前画像から顕微鏡観察位置の平面画像を抽出して重畳装置134の画像制御部183の第2の入力側に導く。
画像制御部183は、比較演算部182からの比較結果に基づいてWS133からの重畳画像の画像修正を行いLCD61L,61Rに表示する。
(作用)
以下、図10乃至図13を参照して第1の実施の形態の手術用顕微鏡装置1の使用方法について説明する。
術者は、図10に示すように、事前に術前画像191の中より、処置対象となる腫瘍192をWS133により選択する。
これにより、WS133は、記録されている術前画像191から、顕微鏡観察位置193の術前画像を抽出して、図11に示す平面画像194を作成する。平面画像194には、事前に選択された腫瘍の術前画像195が表示される。
WS133で生成された平面画像194は、重畳装置134の画像制御部183に伝達される。画像制御部183に入力された平面画像194は、LCD61L,61Rに伝達され表示される。
この後、術者は、腫瘍の処置を行うために、バイポーラ37を術部に挿入する。
この場合、WS133は、第1の実施の形態と同様にデジタイザ39によりバイポーラ37に付けられた指標38を検出している。
WS133は、このバイポーラ37の図12に示す顕微鏡観察視野100に対する位置演算結果を比較演算部182に伝達する。
比較演算部182は、顕微鏡観察視野100の表示禁止領域110とバイポーラ37の位置演算結果を比較する。
バイポーラ37が表示禁止領域110の外側に有る場合には、術者は、図12に示すように、バイポーラ37と重畳されている腫瘍の術前画像196を観察することになる。この術前画像196は、図11に示す術前画像195により表示されたものである。
なお、図12の表示禁止領域110を示す点線は、説明に必要となるため描いたもので、術者には観察されるものではない。
これにより、術者は、腫瘍の位置をバイポーラ37による処置の前に確認を行う。
図13に示すように、バイポーラ37が表示禁止領域110の内側に有る場合には、比較演算部182は、画像制御部183に制御信号を伝達する。画像制御部183では表示禁止領域110の内側に対応する図11に示す平面画像194の出力を止める。これにより、LCD61L,61Rには、画像が伝達されないため、図13に示す顕微鏡観察視野100には実際の術部の腫瘍197が観察される。
術者は、腫瘍の位置を確認した後、腫瘍の術前画像196とバイポーラ37の先端が重なることなく、バイポーラ37による処置を行う。
(効果)
このような第2の実施の形態によれば、腫瘍の処置の際には、重畳画像としての腫瘍の術前画像196が消えるのため、処置具としてのバイポーラ37と重畳画像が重ならない。このため、バイポーラ37の先端が、はっきりと見え、処置を行いやすい。また、表示禁止領域110に対するバイポーラ37の挿脱により、重畳画像のオンオフが行うため、処置において重畳画像を消す手間が不要となる。
図14乃至図17は本発明の第3の実施の形態に係り、図14は手術用顕微鏡装置に用いられる視野内表示装置のブロック図、図15は顕微鏡観察視野内に表示される画像を示す第1の説明図、図16はバイポーラの先端の設定領域を示す説明図、図17は顕微鏡観察視野内に表示される画像を示す第2の説明図である。
本発明の第3の実施の形態の説明において、図14乃至図17に示していない構成要素は、図1乃至図8に示した第1の実施の形態と同様になっているので、第1の実施の形態と異なる部分のみ説明する。
(構成)
図14において、WS233は、第2の実施の形態のWS133と同様に、顕微鏡観察視野に対する内視鏡35及びバイポーラ37の挿入状態のデータを作成して重畳装置234の比較演算部282に供給する。また、WS233は、術者の操作に基づいて、術前画像から顕微鏡観察位置の腫瘍の平面画像を抽出して重畳装置234の画像制御部283の第2の入力側に導く。さらに、WS233は、腫瘍の平面画像の位置データを比較演算部282に供給する。
重畳装置234は、先端半径記録部281と、比較演算部282と、画像制御部283とで構成されている。
先端半径記録部281は、図16及び図17に示すバイポーラ37の先端半径に対応した設定領域297の半径データを記録している。先端半径記録部281は、比較演算部282の第1の入力側に接続され、比較演算部282に設定領域297の半径データを供給する。
設定領域297の半径データは、図示しない設定部により、術者が任意の半径で設定し、先端半径記録部281に記録することが可能である。
設定領域297の半径データを取得した比較演算部182は、WS233から伝達されたバイポーラ先端位置情報をもとに、バイポーラ37の先端に設定領域297が位置するように顕微鏡観察視野に対する設定領域297の範囲を示す位置データ設定する。
比較演算部282は、重畳画像の腫瘍の位置データとバイポーラ37の先端の設定領域297の位置データの位置を比較し、この比較結果を画像制御部283の入力側に供給する。
画像制御部283は、比較演算部282からの比較結果に基づいてWS233からの重畳画像の画像修正を行いLCD61L,61Rに表示する。
(作用)
以下、図15乃至図17を参照して第3の実施の形態の手術用顕微鏡装置1の使用方法について説明する。
術者は、第2の実施の形態と同様に、術前画像から処置対象となる腫瘍を選択し、腫瘍の平面画像をLCD61L,61Rに表示する。
次に、術者は、腫瘍部を処置するためにバイポーラ37を術部に挿入する。
これにより、図15に示すように、顕微鏡観察視野100の顕微鏡観察像290には、挿入されているバイポーラ37と、重畳装置234による腫瘍の重畳画像296が表示されている。
第2の実施の形態と同様に、デジタイザ39は、バイポーラ37に付けられた指標38を検出し、この位置検出結果をWS233に伝達し、WS233は、バイポーラ37の先端位置の位置検出を行う。
演算されたバイポーラ37の先端位置は、比較演算部282に伝達される。比較演算部282は、先端半径記録部281から、バイポーラ37の先端半径に対応した設定領域297の半径データを取得する。
設定領域297の半径データを取得した比較演算部282は、WS233から伝達されたバイポーラ先端位置情報をもとに、図16に示すように、バイポーラ37の先端に設定領域297が位置するように、設定領域297の範囲を示す位置データ設定する。
比較演算部282は、図15に示す腫瘍の重畳画像296の位置データと図16に示すバイポーラ37の先端の設定領域297の位置データを比較する。腫瘍の重畳画像296と設定領域297の位置が重なると、比較演算部282は、所定の位置の画像を消す制御信号を画像制御部283に伝達する。
画像制御部283では、この制御信号をもとに、重畳画像を消す。これにより、顕微鏡観察像290には、図17に示すようにバイポーラ37の先端部位の設定領域297のデータに重畳画像296が表示されない。
この状態で、術者は、顕微鏡光学像にて、バイポーラ37の先端と腫瘍を確認しながら、処置を行う。
(効果)
このような第3の実施の形態によれば、腫瘍の処置の際に、バイポーラ37の先端の周りの領域では、重畳画像296としての腫瘍の術前画像が消えるのため、第3の実施の形態と同様の効果が得られるとともに、バイポーラ37の先端の周りの領域以外では、腫瘍の術前画像を表示させることができるので、処置が行いやすい。
[付記]
以上詳述したような本発明の実施の形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
(付記項1) 術部を拡大観察する観察光学系を持つ顕微鏡部と、この顕微鏡部に対する術具の相対位置を検出する位置検出手段と、前記観察光学系に画像を重畳する画像重畳手段とを有する手術用顕微鏡装置に用いられ、
前記観察光学系の観察視野内に所定領域を設定する設定手段と、
前記位置検出手段の位置検出結果と前記設定手段で設定した所定領域を比較する比較判定手段と、
この比較判定手段の判定結果に応じて前記画像重畳手段の表示領域を制限する表示制限手段と、
を具備することを特徴とする視野内表示装置。
(付記項2) 前記設定手段は、前記所定領域を予め記録していることを特徴とする付記項1に記載の視野内表示装置。
(付記項3) 前記設定手段は、前記位置検出手段の位置検出結果に応じて、前記所定領域を可変させることを特徴とする付記項1に記載の視野内表示装置。
(付記項4) 前記表示制限手段は、前記画像重畳手段の表示領域の大きさを変更することを特徴とする付記項1に記載の視野内表示装置。
(付記項5) 前記表示制御手段は、前記位置検出手段の位置検出結果に基づいて、前記画像重畳手段の表示領域を変更することを特徴とする付記項1に記載の視野内表示装置。
(付記項6) 前記術具は、内視鏡であることを特徴とする付記項1に記載の視野内表示装置。
(付記項7) 前記術具は、バイポーラであることを特徴とする付記項1に記載の視野内表示装置。
本発明の第1の実施の形態に係る手術用顕微鏡装置のシステム全体の構成を示す斜視図。 本発明の第1の実施の形態に係る手術用顕微鏡の鏡体の断面図。 本発明の第1の実施の形態に係る手術用顕微鏡装置に用いられる視野内表示装置のブロック図。 本発明の第1の実施の形態に係る顕微鏡観察視野内における神経モニタに対応した画像の第1の表示位置を示す説明図。 本発明の第1の実施の形態に係る顕微鏡観察視野内における神経モニタに対応した画像の第2の表示位置を示す説明図。 本発明の第1の実施の形態に係る顕微鏡観察視野内に表示される画像を示す第1の説明図。 本発明の第1の実施の形態に係る顕微鏡観察視野内に表示される画像を示す第2の説明図。 本発明の第1の実施の形態に係る顕微鏡観察視野内に表示される画像を示す第3の説明図。 本発明の第2の実施の形態に係る手術用顕微鏡装置に用いられる視野内表示装置のブロック図。 本発明の第2の実施の形態に係る術前画像を示す説明図。 本発明の第2の実施の形態に係る腫瘍の術前画像を示す説明図。 本発明の第2の実施の形態に係る顕微鏡観察視野内に表示される画像を示す第2の説明図。 本発明の第2の実施の形態に係る顕微鏡観察視野内に表示される画像を示す第3の説明図。 本発明の第3の実施の形態に係る手術用顕微鏡装置に用いられる視野内表示装置のブロック図。 本発明の第3の実施の形態に係る顕微鏡観察視野内に表示される画像を示す第1の説明図。 本発明の第3の実施の形態に係るバイポーラの先端の設定領域を示す説明図。 本発明の第3の実施の形態に係る顕微鏡観察視野内に表示される画像を示す第2の説明図。
符号の説明
1 …手術用顕微鏡装置
11 …手術用顕微鏡
12 …架台
13 …バランスアーム
14 …鏡体
17 …センサアーム
19,36,38 …指標
30 …トロリ
31 …カメラコントロールユニット
32 …処置装置
33 …ワークステーション
34 …重畳装置
35 …内視鏡
37 …バイポーラ
39 …デジタイザ
41 …モニタ
61L,61R …LCD
81 …設定領域記録部
82 …比較演算部
83 …画像制御部

代理人 弁理士 伊 藤 進

Claims (5)

  1. 術部を拡大観察する観察光学系を持つ顕微鏡部と、この顕微鏡部に対する術具の相対位置を検出する位置検出手段と、前記観察光学系にて生成される第1の画像に第2の画像を重畳する画像重畳手段とを有する手術用顕微鏡装置に用いられ、
    前記第1の画像の視野内に所定領域を設定する設定手段と、
    前記位置検出手段の位置検出結果と前記設定手段で設定した所定領域を比較する比較判定手段と、
    この比較判定手段の判定結果に応じて前記画像重畳手段の表示領域を制限する表示制限手段と、
    を具備することを特徴とする視野内表示装置。
  2. 前記設定手段は、前記所定領域を予め記録していることを特徴とする請求項1に記載の視野内表示装置。
  3. 前記設定手段は、前記位置検出手段の位置検出結果に応じて、前記所定領域を可変させることを特徴とする請求項1に記載の視野内表示装置。
  4. 前記表示制限手段は、前記画像重畳手段の表示領域の大きさを変更することを特徴とする請求項1に記載の視野内表示装置。
  5. 前記表示制御手段は、前記位置検出手段の位置検出結果に基づいて、前記画像重畳手段の表示領域を変更することを特徴とする請求項1に記載の視野内表示装置。
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