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JP4752033B2 - タッチパネル及びタッチパネルの製造方法 - Google Patents

タッチパネル及びタッチパネルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はタッチパネル及びタッチパネルの製造方法に関し、特にレーザーパターニングによる透明電極の加工技術に関する。
パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ノートPC、OA機器、医療機器、或いはカーナビゲーションシステム等の電子機器においては、これらのディスプレイに入力手段(ポインティングデバイス)を兼ね備えるためのタッチパネルが広く用いられている。代表的なタッチパネルには、抵抗膜式、電磁誘導方式等のほか、静電容量式(容量結合式とも称される)が知られている。
一般的な静電容量式タッチパネルは、例えば所定の誘電特性を有する2枚の透明樹脂フィルムを有し、それぞれの片面にストライプ状にレーザーパターニングされた透明導電膜(ライン電極)を備える)。そして、当該透明樹脂フィルムを前記ストライプ状の透明導電膜が直交するように対向させつつ、その間に絶縁層を介して構成される。一方の透明樹脂フィルムの透明導電膜が配設されていない片面が入力面となり、当該入力面が外部に露出されるように配設される。
この静電容量式タッチパネルでは、駆動時には各透明導電膜に対し、外部から接続された駆動回路により一定期間ごとに交互に測定電圧を印加する。この状態でユーザーが透明樹脂フィルム上の任意の位置を指で押圧すると、当該押圧位置で、ユーザーの指(接地)、透明樹脂フィルム、各透明導電膜による複数の容量(コンデンサ)構造が形成される。この複数のコンデンサの電流変化をそれぞれ監視し、その最大変化がある位置を入力位置として検出する。これにより、パネル上の前記接触部分の座標を認識し、適切なインターフェイス機能が図られるようになっている。
透明電極付樹脂フィルムのパターニングをレーザーパターニングすることで、湿式法(特許文献1、2)における溶液・排液の管理が不要の他、当該他の方法に比べてアブレーション(固体からの爆発的な粒子放出現象)により微細な加工が可能な利点がある。一方、透明導電膜及び透明樹脂フィルムは本質的に可視光透過率が高く、レーザーのエネルギー吸収率が非透明材料に比べて低い。このため前記パターニングに際してはレーザー強度を比較的に高くして透明導電膜の加工を行う必要があるが、透明導電膜と同時に透明樹脂フィルムも熱影響を受けやすくなり、透明樹脂フィルムが熱損傷を起こす場合がある。
そこで近年では、波長が355nm付近のUVレーザーを第三高調波として用いたレーザーパターニング技術が開発されている(特許文献6)。波長355nmのUVレーザーは透明樹脂フィルムでの吸収率が低く、且つ導電膜での吸収率が高いため、レーザーパワーをそれほど上げなくても、導電膜のみを選択的にレーザーパターニングできる。また短波長で集光性が良好のため、微細なパターニングが可能になっている。
さらに特許文献7には、複数の樹脂フィルム及び透明導電膜を積層してなるフィルム積層体に対し、外部より第三高調波レーザーを照射して、中間層のみを選択的にアブレーションする加工技術が開示されている。この加工技術によれば、PET等の一定の透明樹脂フィルムにレーザーを透過させ、その下の加工対象面にレーザーパワーを集中しやすくなるメリットがある。
特開平4-147526号公報 特開平4-284525号公報 特開平6-214705号公報 特開平2-259727号公報 特開2001-202826号公報 特開2003-37314号公報 特開2004-202498号公報 特開2003-23230号公報
しかしながら、特許文献6及び7等の従来技術をタッチパネルの製造方法に適用するに当たっては、幾つかの課題がある。
現在、市場におけるLCD等のディスプレイの高精細化の動向に伴い、当該ディスプレイに装着されるタッチパネルについても同様に精密化・高精細化が要求されている。そのためには透明樹脂フィルム上にレーザーパターニングされる透明電極を高精細で形成し、且つ、各透明樹脂フィルム毎の透明電極を互いに精度良くアライメントする必要がある。
ここで第三高調波レーザーは前述の通り、樹脂フィルム等に対して熱影響を与えにくい波長であるが、それでも高精細なレーザーパターニングを行う場合、現状では熱影響を十分に回避できない。加えて特許文献7では、一般的なフィルム積層体の中間層を加工する技術が開示されているにすぎず、高精細タッチパネルにそのまま適用すると熱影響幅における透明導電膜の隆起によって光学特性が歪み、視認性やセンシング性能の劣化が問題になることが予想される。
一方、このような高精細な透明電極を透明樹脂フィルム上に形成した場合、各フィルム毎に各々の透明電極同士を従来に比べて一層高度にアライメントする必要があるが、このようなアライメント工程はタッチパネルの製造効率を低下させるおそれがある。よって、前述の熱影響に関する課題との両立を図る対策については十分な考慮がなされていない現状にある。
以上のように、タッチパネル分野において微細なレーザーパターニングを行う上では、未だ解決すべき課題が存在する。
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであって、加工幅が10μm以下の微細な透明電極構造を有しつつ、熱影響を抑制して優れた視認性を有するタッチパネル用透明電極付樹脂フィルムを作製することが可能なタッチパネルの製造方法と、当該方法により作成した透明電極付樹脂フィルムを用いることによって、良好な視認性及び入力性能を呈するタッチパネルを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、透明導電膜にUVレーザーを走査して透明電極をパターニングする加工ステップを経るタッチパネルの製造方法であって、前記加工ステップでは、透明樹脂フィルムに介挿された透明導電膜を備えるワークピースに対し、前記透明樹脂フィルムを介して前記透明導電膜にレーザー照射するとともに、前記透明導電膜における焦点ビーム半径を、加工幅半径よりも大きくなる条件範囲に調節し、前記加工幅に対応する透明導電膜部分をアブレーションするためのレーザー強度を調節し、10μm以下の加工幅でパターニングするものとした。
透明導電膜にUVレーザーを走査して透明電極をパターニングする加工ステップを経るタッチパネルの製造方法であって、前記加工ステップでは、透明樹脂フィルムに介挿された透明導電膜を備えるワークピースに対し、前記樹脂透明樹脂フィルムを介して前記透明導電膜にレーザー照射するとともに、ガウス分布で示すレーザー強度分布におけるピーク強度hの0.65〜0.7倍の強度レベルに対応するビーム幅をw1、ピーク強度hの0.35〜0.4倍の強度レベルに対応するビーム幅をw2とするとき、w1以上w2以下となる範囲に加工幅を調節し、10μm以下の加工幅で対応する透明導電膜部分をアブレーションすることもできる。
さらに前記加工ステップでは、焦点距離を調整することで焦点ビーム半径と加工幅半径とのサイズ比を調節することもできる。
また前記加工ステップでは、加工幅半径wと焦点ビーム半径woとの比w/ woが0.7以下になるように調整することもできる。
さらに前記加工ステップでは、前記UVレーザーとして、波長320nm以上450nm以下のUVレーザーを用いることもできる。
また、前記加工ステップでは、前記UVレーザーとして第三高調波YAGレーザーを用いることもできる。
また、前記加工ステップでは、レーザー照射装置における加工レンズ光学系のレーザー焦点距離f12と、レンズ入射ビーム半径Wの比f12/Wが40以上98以下になるように、パターニング条件を調整することもできる。
なお前記加工ステップでは、レーザーを透過させる具体的な透明樹脂フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアクリル、アクリル、非晶質ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、脂肪族環状ポリオレフィン、ノルボルネン系熱可塑性透明樹脂のうちの一種以上を用いることができる。
一方、前記加工ステップでは、具体的な前記透明導電膜としてアンチモン添加酸化鉛、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム錫、酸化インジウム−酸化錫、スズ酸化膜、銅、アルミニウム、ニッケル、クロムのうちの一種以上を用いることもできる。
さらに前記加工ステップでは、ワークピースとして、透明導電膜に酸化インジウム錫、透明樹脂フィルムにポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる場合において、加工幅半径wと焦点ビーム半径woとの比を1.5以上2.3以下の範囲に設定し、加工幅を5μm以上10μm以下に調節するとともに、ITO 膜に与える1パルス当たりのレーザーエネルギーを0.2μJ/パルス以上1.4μJ/パルス以下の範囲に設定することもできる。
ここで前記ワークピースとして、一対の透明導電膜付樹脂フィルムを互いの透明導電膜が対向するように絶縁層を介して積層したものを用いることができる。
なお、絶縁層としては粘着層を用いることができる。
さらに本発明は、一対の透明電極付樹脂フィルムを、所定間隔を置いて前記各々のフィルム上の透明電極が対向配置されるように積層してなるタッチパネル用フィルム積層体であって、前記一対の透明電極付樹脂フィルムの少なくともいずれかは、前述の本発明の加工ステップにより前記透明導電膜がパターニングされたものとした。
さらに本発明は、透明樹脂フィルムの主面に透明電極を配設してなる透明導電膜付樹脂フィルムを用いた静電容量式タッチパネルであって、前記透明電極付樹脂フィルムは、前述の本発明の加工ステップにより前記透明導電膜がパターニングされたものとした。
また、本発明は、絶縁層の両主面に複数の透明電極がそれぞれ配設されてなるフィルム積層体を備える静電容量式タッチパネルであって、前記絶縁層の少なくともいずれかの前記主面の透明電極は、請求項11から12のいずれかに記載の加工ステップによりパターニングされたものとした。
以上の特徴を有する本発明のタッチパネルの製造方法によれば、以下の各効果が奏される。
第一に、本発明によれば、レーザーパターニングに際してUVレーザー(例えば355nmの紫外線波長からなる第三高調波YAGレーザー)を用いることにより、透明樹脂フィルム上の透明導電膜のみに選択的にレーザーのエネルギー吸収を行うことができる。このため、例えばITO膜付PETフィルムにおけるITO膜を加工する場合には、PETフィルムを損傷することなく、専らITOのみを選択的に蒸発気化(アブレーション)することができる。
また第二に、焦点ビーム半径woに対して加工幅半径wを小さくし、レーザー強度(ガウス分布におけるピーク値)を弱めてパターニングすることにより、加工幅の外側におけるレーザー強度が十分低くなる。このため、加工幅の外縁に形成される熱影響幅が小さくなる。これにより、ITOの加工幅に面するエッジ付近において、いわゆる「盛り上がり」部分が発生しにくくなる。また、これに加えてアブレーションされる透明導電膜部分とこれ以外の膜部分との境界線の連続性、直線性等が良好に保たれ、焼損による変色を起こすこともない。
また、レーザー加工した透明電極付樹脂フィルムを用いた場合、形式的には図15(c)のように、透明導電膜(ここではITO膜)が両面に存在しない領域X1、ITO膜が裏表いずれか一方のみに存在する領域X2、並びにマトリクス状の透明電極群12b、22bの交差領域X3が存在するが、電極幅及び電極ギャップが、通常の人間の視認限界を下回る10μm以下の幅で形成され、このような透かし位置から眺めてもフィルム上で実際上の視認性の歪みを生じることはない。これにより、高精細なLCD等の画像が損なわれることなく表示され、良好な画像表示性能を呈することができる。
また、熱影響幅が小さく抑えられているので、タッチパネルの光学歪みが抑えられ、LCD等のディスプレイと組み合わせた場合に、画像表示性能や視認性が損なわれることはない。
さらに、本発明ではレーザー加工のワークピースとして積層体を用い、上記効果を得ることができるものである。従ってレーザー加工前に各透明樹脂フィルムは予め透明導電膜とともに積層されているため、第三の効果として、レーザーパターニング後に、前記透明導電膜を加工してなる透明電極の各々をアライメントするステップが不要である。この効果は、透明電極付樹脂フィルムを積層してなるタッチパネルにおいては製造効率を向上させる上で極めて有用であり、また高精細なタッチパネルを作製する場合には飛躍的に優れたメリットとなる。さらに加工対象面がワークピースの内側に位置し、外部に露出しないため、導電膜が取り扱いにより損傷するのを防止する効果がある。また、レーザー照射の際、透明導電膜が蒸発気化する時に発生するデブリ等が飛散しないため、当該デブリによる短絡等の問題を効果的に抑制することができる。
なお、本願で言及する透明導電膜付樹脂フィルムにおける透明導電膜の透明性の定義としては,可視域(波長約400nm以上800nm以下)の範囲において、樹脂フィルム自体の光透過率を100[%]とした場合に膜の平均透過率が80%以上であるものとする。
また本願で言及する「焦点ビーム半径」とは、焦点の集光ビームにおいて、ガウス分布のピーク値の1/e2強度を有する円の半径であり、焦点における実質的なレーザースポットの半径を指す。従って、例えば仮に集光レンズの収差によりレーザースポット外縁付近にぼやけが生じても、ぼやけた領域を含むレーザースポット半径を焦点ビーム半径とするのではなく、あくまでガウス分布で定義される半径を指すものとする。
本願における「レーザー強度」とは、レーザーパワー、レーザーエネルギー、レーザーエネルギー密度等によって総合的に決定される強度を指す。
また、「UVレーザー」とは、本願発明では、波長320nm以上450nm以下のレーザーを指すものとする。
本願における「アブレーション」とは、パルスレーザーアブレーション(PLA;Pulse Laser Abration)を意味し、レーザエネルギーを受けた透明導電膜が急激に蒸発気化する現象を指す。本願では、透明導電膜における加工対象面が樹脂フィルムや粘着層との間で密閉されているので、大気開放型でのアブレーションとは異なるプロセスとなりうるが、両者は実質的には同一のアブレーションであると考えられる。
以下に、本発明の各実施の形態及び実施例を説明するが、当然ながら本発明はこれらの形式に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
<実施の形態1>
(パターニング装置の構成)
図1は、本発明の透明電極付樹脂フィルムを作成するために使用するレーザー加工装置(レーザートリミング装置)1の模式的な構成を示す図である。図2は、当該装置の機能ブロック図である。
まず図1に示すように、当該装置1は、xyテーブル10、レーザー照射システム2とを組み合わせてなる。
矩形状の台座11の上には、xyテーブル10を上から跨ぐように、逆U字状のアングル材を組み合わせたブリッジ部12が配設される。当該ブリッジ部12には、ネジ等の手段により加工ヘッド100が配設される。
xyテーブル10は、これに載置されるワークピースWP(前駆フィルム積層体)の送り手段であって、台座11の上に順次積層されたy軸テーブル13、x軸テーブル14よりなる。当該両テーブル13、14は、パーソナルコンピュータを利用した制御装置3によるデジタル制御により、それぞれボールネジ131、141(141は不図示)と当該両ボールネジ131、141に取り付けられた個々のサーボモータ(不図示)の回転駆動を受け、互いにy軸或いはx軸方向へ独立して精密に往復移動できる。これによりx軸テーブル14は、ブリッジ部12に対して相対的に2次元平面に沿って移動可能になっている。
サイズ例として、xyテーブル10の寸法は430mm×330mm、最大ワーク速度500mm/sec、位置決め精度±0.005mmとすることができる。
レーザー照射システム2は、レーザービーム照射装置20、ビーム伝送系201、加工ヘッド100等で構成される。
レーザービーム照射装置20は、図2の機能ブロック図に示すように、箱形筐体内部にYAGレーザー発振器210、第三高調波(THG)発生器211、アテネータ(減衰器)212、ビームエキスパンダ(EXP)213を内蔵し、制御装置3により駆動が制御されるようになっている。
YAGレーザー発振器210は、Nd:YAGパルスレーザーによる出力を基本とする。さらに、第三高調波発生器211との組み合わせにより、平均出力1W〜6W、パルス繰り返し周波数15〜300kHzの仕様例とすることができる。
第三高調波発生器211は、1010W/cm2以上のパワー密度を有するレーザーについて振動数の次数を3に調整するものである。本実施の形態1では、第三高調波を利用して所定のパワー密度を確保する。
アテネータ212は、レーザー出力の減衰手段としての役目をなす。本発明では、YAGレーザー発振器の出力を相当程度減衰して微細なレーザーパターニングに供するため、細やかな調節を行う目的でアテネータ212を使用している。しかしながら、例えばYAGレーザー発振器側で出力を調整できる場合には、当該アテネータ212は不要である。
ビームエキスパンダー(EXP)213は、後述の光学レンズA、Bの開口に合わせ、ビームの発散角を小さくし、ビームの径を拡大する役目をなす。
ビーム伝送系201は、外装を遮蔽部材で覆ってなる長尺体であって、レーザービーム照射装置20から出力されるレーザーを加工ヘッド100まで誘導する役目をなす。
なお、ビーム伝送系201は光学レンズ、ミラー等を組み合わせた構成である。
加工ヘッド100の下流側には、ブリッジ部12に取着するための角柱状の筐体内部に、不図示の光学系が内蔵されてなる。
加工ヘッド100内部には、2群ズームレンズとして2枚の光学レンズA、B(不図示)が所定間隔dで収納されている。そして当該レンズA、Bの間隙dを調節することで、所謂ズームレンズの原理により(後述式1を参照)、z-z’方向に沿って、レーザーの焦点距離f12を調節することができる。
以上の構成を持つレーザー照射システム2では、駆動時には図2に示すように、YAGレーザー発振器210によって発生したレーザーが、第三高調波発生器211及びアテネータ212を経てビームエキスパンダー213に導入される。その後は光学レンズA、Bを経て、ワークピースWP上の加工対象面に照射される。このとき、x軸テーブル14をxy軸方向(図1ではx-x’方向及びy-y’方向)に沿って2次元的に動かすことで、レーザーがワークピースWP中の加工対象面に対して走査されながら照射でき、ライン状のアブレーションが行える(図6(b)を参照)。ここで本実施の形態1では、10μm以下の微細な加工幅で、x軸テーブル14に載置されたワークピースWPの内部における特定の透明導電膜を選択的にアブレーションできるようになっている。
なお、ズームレンズは2群に限らず、例えば4群等の構成としてもよい。
(ワークピースWPについて)
本実施の形態1のワークピースWPは、加工対象面の透明導電膜が外部に露出していない積層体構造を有するものであり、タッチパネル用の前駆フィルム積層体である。その構成は以下のものが例示できる。
当該ワークピースWPは、透明樹脂フィルム(レーザー出射側)、透明導電膜(レーザー出射側)、粘着層、透明導電膜(レーザー入射側)、透明樹脂フィルム(レーザー入射側)を同順に積層して構成される。すなわち各透明導電膜は粘着層を含めた樹脂フィルム材料に介挿された構成となっている。
前記透明樹脂フィルム材料には、一定の弾力性及び透明性を有する各種プラスチックフィルムが使用できるが、本発明では略355nm付近に比較的高い吸収率を有さない材料を用いる必要がある。レーザー照射時に透明樹脂フィルム下層にある透明導電膜を選択的にアブレーションするためである。透明樹脂フィルムの厚みとしては、通例のように20〜500μmのものを用いることができる。
具体的なプラスチックフィルムの材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネイト(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリアクリル(PAC)、アクリル、非晶質ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、脂肪族環状ポリオレフィン、ノルボルネン系の熱可塑性透明樹脂など、またはそれらの積層体などが挙げられる。
粘着層としては、前記透明樹脂フィルムと同様の一般的な市販材料が適用できる。具体的な材料としては、アクリル系粘着材、シリコン系粘着材、天然ゴム系粘着材が挙げられる。ただし、レーザー照射波長の吸収による変質、変色が無いものとする。層厚みとしては、通例は10〜150μmのものが用いられる。
なお本実施の形態1におけるワークピースWPでは、レーザー入射側及び出射側の各々の透明導電膜を絶縁しつつ積層させるために粘着層を用いているが、その粘着性は必須ではないので、粘着性を持たない透明樹脂フィルムを利用しても良い。
ワークピースWPに用いられる樹脂フィルムは、透明性と弾性を有することが要求される。これは後述するように、ワークピースWP中で加工対象面のITO材料を蒸発気化させ、その際に空隙を生じさせるためである。
透明導電膜としては、一般的な材料を用いることができるが、本発明では略355nm付近に高い吸収率を有する材料を用いる。
例えば、ITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウム錫)、アンチモン添加酸化鉛、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系等の透明導電材料、或いは、スズ酸化膜、銅、アルミニウム、ニッケル、クロムなどが考えられる。またこれらの合金であってもよいし、異なる材料を重ねて形成してもよい。このうち1種だけを使用するようにしてもよい。
透明樹脂フィルム上への透明導電膜の成膜は、透明導電膜材料の特質・膜厚等の条件に応じて、 スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD法、あるいは、CVD法、塗装法、印刷法等のいずれかの方法が適宜選択される。
上記ワークピースWPでは、1対の透明導電膜付樹脂フィルムを粘着層を介して各透明導電膜が対向配置された構成としたが、この構成に限定されない。例えば、粘着層(或いは透明樹脂フィルム)の両面にそれぞれ透明導電膜を形成し、各々の透明導電膜の上に別途透明樹脂フィルムを積層する構成であってもよい。また、粘着層の片面に透明導電膜を形成し、他方の面には前記透明導電膜付樹脂フィルムを配設するようにしてもよい。
(レーザー加工ステップ)
次に、ワークピースWPのレーザー加工ステップについて説明する。ここではワークピースWP中の入射側透明導電膜を加工対象とする。
本実施の形態1のレーザー加工ステップでは、基本的には以下に示すサブステップとして、加工幅調節ステップ及びレーザー強度調節ステップの手順を順次実施することができる。
なお、加工ステップに際しては、当然ながら、透明導電膜の材料、厚み、周辺温度、xyテーブルによるワーク速度、レーザーパルス繰り返し周波数等の条件を別途設定する必要がある。本発明では、まず、これらの条件を予め大まかに設定したのち、後述の加工幅調節ステップ、レーザー強度調節ステップを行うことが好適である。
(加工幅調節ステップ)
ワークピースWPにおいて、レーザー入射側ITO膜上の加工対象面(以下、単に「加工対象面」という。)に照射されるレーザーの焦点ビーム半径woが加工幅半径wよりも大きくなる条件範囲において、加工幅が10μm以下の所定の値になるように、焦点距離を調節する。
ここで波長355nmのYAGレーザーの第3高調波を用いれば、レーザー入射側PETフィルムに与える熱影響を低減でき、且つ、これより長波長のレーザーに比べて集光性が良好である分、微細加工に好適である。またワークピースWPの構成要素に透明導電膜付樹脂フィルムとしてITO膜付PETフィルムを用いる場合には、ITOとPETフィルムとの吸収率の差を利用して、専らITO膜のみを選択的に効率よく加工することができるメリットがある。
加工ヘッド100を用いた焦点位置における焦点ビーム半径woは、レンズ間隙dを変化させて調節することができる。すなわち、レーザー入射側PETフィルムの直下における前記加工対象面には常にレーザー焦点が位置するように保ちつつ、レンズ間隙dを変化させて焦点距離f12を調節する。
ここで加工ヘッド100におけるレンズA、Bの各焦点距離をf1、f2とするとき、当該レンズA、Bによる合成レンズの焦点距離f12は、公知の関係式1に基づいて調節される(例えば「光学部品の使い方と留意点」末田哲夫著、オプトロニクス社、図2.43 を参照)。

<関係式1> f12= f1f2/(f1+f2-d)

当式1に示すように、レンズA、Bの間隔dを長くすると焦点距離f12は長くなる。
一方、焦点ビーム半径woは、焦点距離f12とビーム発散角θの関係式2に基づいて調節できる。

<関係式2> 焦点ビーム半径wo = f12θ (但し、θについては後述の関係式4の関係が存在する)

ここで、図3はレーザー強度分布とビーム径との関係を示すグラフである。図3(a)に示すように、ワークピースWP上の加工対象面におけるレーザー強度はガウス分布をなしており、一般に焦点ビーム半径woは図3(b)に示すように、当該ガウス分布の中心からピーク値の1/e2の強度における入射ビームを集光レンズで集光した場合の焦点半径として定義される(例えば「光学のすすめ」図15-6、オプトロニクス社 を参照)。
従来のレーザーパターニング加工では、焦点ビーム半径wo及び加工幅半径wは、実際上は互いに同等のサイズを有する関係にある。これは従来のレーザー加工ではアブレーション面積が比較的大面積であって、そのため可能な限りレーザー強度を確保し(従ってガウス分布のピーク値の絶対値はアブレーション対象物の加工閾値より相当に大きく設定される)、加工幅を確保する要求があったことに由来する。
一方、本願発明ではこのような大面積のアブレーションは不要であり、逆に10μm以下の微細面積についてレーザー加工をなす技術である。この点で本発明は、以下に示す特有の条件設定を行っており、従来のレーザー加工技術と明確な差異がある。
以上の関係式1、2によれば、レンズ間隙dが長くなれば焦点距離f12が長くなり、且つ焦点ビーム半径woが大きくなる。
一方、レンズ間隙dが短くなれば、焦点距離f12も短くなり、且つ、焦点ビーム半径woが小さくなる。
このようにズームレンズのレンズ間隙dを調整することで、最終的に所望の焦点ビーム半径woを調節することができる。
このとき、レーザー強度を一定に保って焦点距離を長くすることで、焦点ビーム半径wo(=1/e2)が拡大され、ガウス分布の波形が緩やかになる。また、レーザー強度を漸減させるとガウス分布のピーク値が低くなる。このとき、レーザー強度が相当程度低くなれば、ガウス分布のピーク値は、透明導電膜の加工閾値よりは高いが、当該閾値付近にピーク値を持つガウス分布が形成される。そしてワークピースWPの加工対象面では、図6(a)に示すように、レーザー強度が1/e2の領域である焦点ビーム径2woの内側に、加工幅が現れる。
具体的には、ガウス分布のピーク値に対して透明導電膜の加工閾値が前記ピーク値の35%〜40%以上65%〜70%以下の範囲になるように設定すれば、加工幅が焦点ビームの内側に現れることが分かっている。これを言い換えると、レーザー強度のガウス分布におけるピーク強度hの0.65〜0.7倍の強度レベルに対応するビーム幅をw1、ピーク強度hの0.35〜0.4倍の強度レベルに対応するビーム幅をw2とするとき、前記ガウス分布においてw1以上w2以下の条件範囲に収まるように加工幅を調節して、当該加工幅に対応する透明導電膜部分をアブレーションすればよい。
以上の手法に基づくことにより、焦点ビーム半径woを拡大・縮小調節することで、ワークピースWP内部に中間層として密閉された状態にある入射側透明導電膜において所望の加工幅が設定できる。
(レーザー強度調節ステップ)
次に、前記所定の値に調節した加工幅に対応するレーザー強度を決定する。レーザー強度は基本的にはワークピースWPの加工対象面に与える単位面積当たりのトータルのレーザーエネルギーで調整できる。実際には、パルス繰り返し周波数(Hz)、パルスのビームオーバラップ比(%)、ワーク速度(mm/sec)等の複数のパラメータにより総合的に調整される。
上記加工幅調節ステップが一応完了したら、次に、レーザー発振器或いはアテネータによりレーザーパワーを調節する。一般にレーザー強度を低くすると、ガウス分布のピーク値も低くなり、加工幅半径wは小さくなる。この調整を適宜行うと、前記ピーク値の対応位置を中心する焦点ビーム半径woの内部において、woよりも小さい加工幅半径wの範囲に限定して、アブレーション加工に必要十分なレーザー強度を集中できる。
なお、ワークピースWPの材料特性、加工条件等によっては、このような加工幅調節ステップの調節を一度で行うことが難しい場合もある。この場合は、加工幅調節ステップと、レーザー強度調節ステップとを繰り返し行うことで、最終的な加工幅の設定値とレーザー強度を決定することが望ましい。
発明者らが検討した結果では、ワークピースWPに透明電極付樹脂フィルムとして、ITO膜を成膜したPETフィルムを用いる場合、加工幅調節ステップにおいては、加工幅半径wと焦点ビーム半径woとの比を1.5 以上2.3 以下の範囲に設定し、加工幅を5μm以上10μm以下に調節するのが好適である。一方、上記レーザー強度調節ステップでは、ITO 膜に与える1パルス当たりのレーザーエネルギーを0.2μJ/パルス以上1.4μJ/パルス以下の範囲に設定することが望ましい。
この設定範囲において、加工幅を6μm以上8μm以下にする最適条件は、レーザーエネルギーを0.3μJ/パルス以上0.6μJ/パルス以下の範囲に設定することである。
以上の本実施の形態1におけるレーザーパターニングの実行時によれば、xyテーブル10に載置されたワークピースWPに対して加工ヘッド100より波長355nmのレーザーが照射されると、レーザーはレーザー入射側PETフィルム中を透過し、その下層のレーザー入射側ITO膜に当該レーザーエネルギーが集中される。当該レーザー入射側ITO膜はこのエネルギー照射により加熱され、照射部分のITOがワークピースWP中において急激に蒸発気化する。
このときレーザー入射側PETフィルムは、ITOの急激な蒸発気化に伴う体積膨張により緩やかに弾性変形し、レーザー入射側PETフィルムと粘着層との間に一定体積の空隙が形成される。蒸発気化されたITOは、当該空隙内部に充満し、当該蒸発気化に伴う気圧上昇によって前記弾性変形したレーザー入射側PETフィルム或いは粘着層の表面に押圧され、当該表面に存在する細かな凹部に嵌り込む微粒子として吸着される(図7(b)の粘着層X3の形状を参照)。その結果、飛散吸着されたITO微粒子は一様な膜形態を保てずに互いに導通が遮断され、実質的に当該レーザーパターニングによって導通遮断される。前記空隙はITO微粒子の経時的な冷却により縮小する。
なお、このITO微粒子の吸着効果を高めるために、PETフィルム及び粘着層の少なくともいずれかの表面は、微多孔構造とするのが望ましい。また、フィルム材料としては、ITOの蒸発気化時に弾性変形する必要があるため、樹脂材料に比べて弾性の小さい部材(一般的な板ガラス等)は破損のおそれがあるため用いられない点に留意する。
レーザー入射側PETフィルム或いは粘着層の表面に吸着したITO微粒子は、元素分析(例えば定性分析SEM-EDX)の元素マッピングにより実際に確認することが可能である。
このような一連のレーザーパターニングにおいて、本実施の形態1では以下の各効果が奏される。
第一に、355nmの紫外線波長からなる第三高調波YAGレーザーをパルス照射して走査することによって、前駆フィルム積層体をワークピースWPとする場合であっても、レーザー入射側及び出射側PETフィルムを実質的に損傷することなく、レーザー入射側PETフィルムの下層であるレーザー入射側ITO膜のみを専ら選択的にアブレーションすることができる(図6(b))。具体的には、YAG-THGレーザー(355nm)の光子エネルギーが80kcal/molであるのに対し、C-C結合の分解エネルギーが84kcal/molである。このため、透明導電膜を担持するフィルム材料がPETのように炭素成分を含む有機材料であっても、レーザーエネルギーはこれを分解するには至らないため、実質的に熱損傷することがない。
なお、ここでいう「実質的に熱損傷することがない」とは、肉眼でのフィルムの熱損傷が確認できないほどに熱影響が小さい程度を指す。
また図4のグラフに示すように、355nmのUVレーザーに対する吸収率はPETフィルムとITO膜との間で明確な差が存在する。これにより、ワークピースWPに対して355nmのUVレーザーを照射すれば、PETフィルムにおいてレーザーを透過させつつ、ITO膜で相対的にレーザーを吸収させることができるので、この点からもPETフィルム上のITO膜を選択的にアブレーションさせることができる。
ここで、本願発明者らの検討によれば図5のグラフに示すように、ITO膜とPETフィルムとの間にハードコート層等の別材料を設けても、同様にITO膜を選択的にアブレーションできることが分かっている。この場合、当該別材料は355nmのUVレーザーに対して透過性を有することが前提となる。
第二の効果として、焦点ビーム半径woに対して加工幅半径wを小さくし、レーザー強度を弱めてパターニングすることにより、ガウス分布の裾付近におけるレーザー強度が、加工幅半径wにおける加工閾値に比べて十分に低くなる。このため、アブレーションされるITO材料による噴流が加工幅付近のITO材料に及んでも、前記噴流およびITO材料の溶融幅が従来のレーザー強度の場合に比べてそれほど大きくないため、実質的に隆起を生じる熱影響幅が小さく抑えられる。この効果は、ワークピースWPにおける密閉系でのアブレーションを行う本実施の形態1でも良好に得られるものである。
このため、本発明のレーザーパターニングで作製した透明電極付樹脂フィルムをタッチパネルに用いる場合には、他の構成フィルムと積層した場合において物理的・光学的歪みが生じにくく、良好な視認性が確保される。
さらに上記条件でパターニングすることにより、余分なレーザー強度が低減されるため、アブレーション時に溶融した透明導電膜が焼損したり、加工部分とアブレーション部分との境界が不明確で直線状にならずギザギザ状になったり、前記境界付近の膜部分が黒く変色するといった問題も回避される。本発明では、このような作用によっても優れた視認性が発揮されることとなる。
なおワークピースWP中には、レーザー入射側及びレーザー出射側に合計2つのITO膜が存在するが、本実施の形態1でアブレーション対象となる加工対象面はレーザー入射側ITO膜に対して設定される。ワークピースWPに入射したレーザービームのエネルギーはレーザー入射側のITO膜のアブレーションに消費され、レーザー出射側のITO膜に入射するレーザービームのエネルギーはアブレーション閾値以下になるので、レーザーパターニング中にレーザー出射側ITO膜にレーザーが当たっても不要なパターニング加工が行われることはない。レーザー入射側及びレーザー出射側のいずれのITO膜も加工する場合には、順次ワークピースWPを裏返してxyテーブル10上にセットすればよい。または光学系を工夫することにより、各ITO膜に対して個別にレーザーを照射することもできる。
さらに第三の効果として、本実施の形態1ではワークピースWPとして前駆フィルム積層体を用いることがでできるため、従来のようにレーザーパターニングして得た透明導電膜付樹脂フィルムを2枚用意して、これを所定の位置関係で貼り合わせるステップが不要である。この効果は、透明電極付きフィルムを積層してなるタッチパネルにおいては製造効率を向上させる上で極めて有用であり、また高精細なタッチパネルを作製する上でも優れたメリットとなる。また、加工対象面がワークピースWPの内層に位置し、外部に露出しないため、透明導電膜が取り扱いにより損傷するのを防止する効果がある。
さらにレーザー照射の際、透明導電膜が蒸発する時に発生するデブリ(微細な塵)等が飛散しないため、当該デブリによる短絡等の問題を効果的に抑制することができる。
[実施例等実験と最適条件の選定について]
以下、本発明のレーザーパターニング加工実施時の最適な設定条件を調査すべく、各種実験を行った。
(実験1;第三高調波(波長355nm)レーザーの優位性確認実験)
まず、レーザー波長とフィルムの加工特性の関係、及びパターニング加工に最適なレーザー波長を調べた。
具体的には最も実用的とされるQスイッチLD励起Nd:YAGレーザーを想定し、3種の波長のレーザー(比較例1;1064nm、比較例2;532nm、比較例3;355nmの各種レーザー)を用い、加工幅9〜10μmのパターニング実験を行った。従来では焦点ビーム径Doと加工幅はほぼ等しくしているので、焦点ビーム径Doが10μm以下になるように光学系を設定した。
ワークピースWPには実施の形態1と同様にフィルム積層体(透明樹脂フィルム(ビーム出射側)、透明導電膜(ビーム出射側)、粘着層、透明導電膜(レーザー入射側)、透明樹脂フィルム(レーザー入射側)を同順に積層して構成される)を用いた。また加工対象はレーザー入射側の透明導電膜とした。
このときの実施条件は以下の通りである。
加工レンズに対する入射ビームの直径は3波長とも一定値(5mm)とした。
比較例1;波長1064nm、加工レンズの焦点距離f12=35mm、焦点ビーム径D09.5=μm
比較例2;波長532nm、加工レンズの焦点距離f12=70mm、焦点ビーム径Do 9.5=μm
比較例3;波長355nm、加工レンズの焦点距離f12=100mm、焦点ビーム径Do 9=μm
<<実験結果>>
比較例1(波長1064nm)では、加工対象面が焦点位置のとき加工幅9〜10μmの除去加工ができたが、加工対象面が垂直方向に40μm程度変動しただけで加工幅が細くなった。これは、加工対象面が焦点位置からずれることにより、加工対象面でのビーム径が大きくなったためであり、比較例1の条件設定では若干の条件変動により、加工対象面の仕上がりに差が生じる可能性が考えられる。
一方、比較例2の条件においても、加工幅9μm以上10μm以下の範囲で透明導電膜を除去できることは確認された。
しかしながら、比較例1、2において10μm以下の加工幅を形成すると、加工幅付近のレーザー入射側及びレーザー出射側PETフィルムがともに一部溶融変形する現象が見られた。これは引例1、2ではPETフィルムでのエネルギー吸収量が高く、透明導電膜の加工と同時にレーザー入射側及びレーザー出射側のいずれのPETフィルムも熱影響を受けてしまうことに起因すると考えられる。
なお、比較例1及び2を含め、一般の加工システムの垂直方向に対する加工対象面の変動許容値は±100μm程度である。従って、これらの場合は、加工対象面の変動補償機能を利用しなければ、有効な加工幅10μm未満の除去加工ができない。
これに対し、比較例3(波長355nm)では、加工対象面が垂直方向に100μm変動しても加工幅はほとんど変化しなかった。また、加工幅付近におけるPETフィルムの溶融変形も比較例3では確認されなかった。
従って、比較例3の条件に基づけば、レーザー入射側及びレーザー出射側PETフィルムを実質的に熱損傷させることなく、透明導電膜のみを細線加工できることが確認された。
加工幅10μm未満の除去加工には比較例3(波長355nm)の条件が有効である。
ここで図5は、透明導電膜とフィルム基材の分光透過率について計測した結果を示す図である。当図では、PETフィルム、ハードコート(HC)層を設けたPETフィルム、PET表面にハードコート層及びITO膜を順次積層した導電膜付フィルムの各分光透過率を示す。
当図から明らかなように、比較例3(波長355nm)は、比較例1(波長1064nm)、比較例2(波長532nm)と比べて、透明導電物質でのビーム吸収量が大きいが、PETフィルムでのビーム吸収量は小さい。このビーム吸収量の差があるため、比較例3ではレーザー入射側及びレーザー出射側PETフィルムを溶融変形させずに、透明導電膜のみを加工幅9-10μmで除去することが可能である。
しかしながら、除去加工周辺の透明導電膜の熱影響幅について観測した結果、比較例1〜3のいずれも熱影響幅は2.5μm以上となり、均一な加工対象面を形成できないことが明らかにされた。すなわち比較例3においては、レーザー入射側及びレーザー出射側PETフィルムの熱損傷は防止できるが、透明導電膜の熱影響幅を抑制できない。
高精密画像表示に係るタッチパネルに用いるためには、熱影響許容幅を約1.5μmに抑える必要があるとされており、比較例3をベースにして、この問題をさらに解決する必要があることが分かった。
(実験2;エネルギー分布及び熱影響幅の関係並びにレーザー加工に伴うフィルムの熱損傷についての確認実験)
次に、加工幅10μm未満の除去加工ができ、且つ、透明導電膜の熱影響幅を許容幅1.5μm以下にできる条件を見出すため、前記比較例3をベースとして、パルスエネルギーと加工幅との関係および加工幅と熱影響幅との関係を調査した。
実験条件は、以下の通りとした。
実施例1;波長355nm、加工レンズへの入射ビームの直径5mm、加工レンズの焦点距離f12=100mm、 焦点ビーム径D0=9μm
この実験結果を、図8(パルスエネルギーと加工幅の関係)及び図9(加工幅と熱影響幅の関係)に示す。
図8に示すように、焦点ビーム径Doが9μmの場合、パルスエネルギー(μJ)は0.8であるが、図9のように加工幅を制御することによって、熱影響幅を変化させることができる。このパルスエネルギーと加工幅の関係は、図9に示すように線形性を示し、十分にコントロール可能である。当該曲線に従い、加工幅とパルスエネルギーとは比例関係にあることが確認される。
一方、図9に示すように、加工幅が小さい領域(4〜6μm)では、透明導電膜の熱影響幅は0.9μm付近で略一定であることが確認される。そして、加工幅が6μmから大きくなるにつれて熱影響幅が徐々に増大する。当図では、例えば加工幅が7.5μmのとき、熱影響幅は約1.5μmである。この現象は、加工幅が小さい領域ではITOの溶融幅(除去加工強度閾値と溶融強度閾値の幅)が小さく、略一定に保たれ、加工幅が大きい領域ではITOの溶融幅が大きくなるためと考えられる。
従って、熱影響幅を小さくするには、加工幅のエッジ付近(除去加工強度閾値)におけるレーザー強度のガウス分布における勾配(図3(a)を参照)を大きくすることが有効である。
本発明では、加工幅のエッジ付近をビーム強度勾配の大きい位置、1/e2強度直径の80%以下にすることにより、熱影響幅を小さくできることが、別の実験により明らかになった。この実験結果では加工幅が焦点ビーム径Do(1/e2強度直径)の80%(7.2μm)のときの熱影響幅は1.35μmであった。
ここで所定の加工幅でレーザーパターニングした後のレーザー出射側の透明導電膜の損傷を観察した結果を示す。
加工幅6.5μm以上ではレーザー出射側の透明導電膜に明らかな損傷が見られたが、加工幅6.0μmでは、当該損傷はわずかに見られる程度に収まった。一方、加工幅5.5μm以下では当該損傷は全く観察されなかった。
そこで、次に加工幅5.5μmと6.0μmの中間の加工幅5.75μmについて同様の実験を行ったところ、レーザー出射側の透明導電膜に熱損傷は観察されなかった。
以上の結果から、レーザー出射側の透明導電膜を実質的に熱損傷させずに、レーザー入射側の透明導電膜の熱影響幅を1.5μm以下まで絞るためには、加工幅を焦点ビーム径Doの65%以下にすることが有効であると考えられる。
なお、本願発明者らの行った別の実験では、焦点ビーム径Doに対する加工幅が小さくなるほど、加工幅変化量及びパルスエネルギー変化量が大きくなることが明らかにされた。すなわち、焦点ビーム径Doは小さすぎるとかえってレーザーパターニングに悪影響が生じうる。除去加工の安定性を考慮すると、加工幅は焦点ビーム径Doの45%以上が最も適切且つ有効であり、実用的である。
よって、加工幅10μm未満の除去加工をするためには、加工幅を焦点ビーム径Doの45%以上の範囲に設定すべきである。言い換えると、加工対象面の焦点における焦点ビーム径Doを22.2μm未満にすれば、10μm未満の加工幅を実現できると思われる。
(実験3;加工対象面の変動と加工幅の関係についての確認実験)
次に、実際の加工バラツキを考慮して、加工対象面が焦点位置から±100μm程度変動しても安定な加工ができる集光光学系の条件を求めるために、一定のパルスエネルギーにおける加工対象面のビーム径Dと加工幅の関係を調べた。実験条件は以下の通りとした。
<実験3−1>
実施例2;波長355nm、加工レンズへの入射ビームの直径5mm、加工レンズの焦点距離f12=100mm、焦点ビーム径Do=9μm、焦点位置での加工幅を5.4μm(焦点ビーム径Doの60%)とした。
当該実験にあたり、加工対象面を焦点位置から垂直方向にずらすことによって加工対象面のビーム径Dを変えた。
この実施結果を図10に示す。
当図に示すように、加工対象面のビーム径Dが大きくなるにつれて、加工幅が減少するのが確認された。
実際の加工時におけるビームオーバラップ比が実用的な値50%の時の加工幅減少許容値は80%程度である。ビーム径比(D/Do)が1.12倍になると加工幅は80%に減少している。加工対象面が垂直方向に焦点距離f12から±100μm変動しても安定な(すなわち加工幅が80%以内の)加工をするためには、加工対象面のビーム径Dの変動を1.12倍以下に抑えなければならない。
ここで、焦点近傍のガウスビームの集光特性は、焦点からの距離をzとすると、
<関係式3> w2=wo 2[1+(λz/πw0 2)2]
で表される。
また、焦点ビーム半径woは、前記関係式2で表され、
さらに、ビーム発散角θは
<関係式4> θ=λ/πW (W:入射ビーム半径)
で表される。
上記各関係式2〜4の適用によれば、波長λ=0.355μm、z=100μm、w/wo≦1.12を満足する場合の最適な加工光学系の焦点ビーム径Do(2 wo)は、
9.47μm≦2wo≦16.7μm
となる。
また、(焦点距離f12/入射ビーム半径W)は 、
41.9 ≦f12/W ≦ 63.3
となる。
<実験3−2>
実施例3;実施例2との違いとして、焦点位置での加工幅を5.9μm(焦点ビーム径Doの65%)とした。
この実施結果を図11に示す。
当図に示すように、ビーム径比(D/Do)が1.14倍になると加工幅は80%に減少することが確認された。
また、上記各関係式2〜4によれば、波長λ=0.355μm、z=100μm、w/ wo≦1.25を満足する場合の最適な焦点ビーム径Do(2wo)は
9.09μm≦2wo≦15.4μm
となる。また、(焦点距離f12/入射ビーム半径W)は
40.2 ≦f12/W ≦ 68.1となる。
<実験3−3>
実施例4;実施例2との違いとして、焦点位置での加工幅を4.1μm(焦点ビーム径Doの45%)とした。
そして加工対象面を焦点位置からずらしながら、加工幅が3.2μm(80%)に減少する加工対象面のビーム径Dを求めた。この実施結果を図12に示す。
当図に示されるように、加工幅が80%(3.2μm)に減少するときのビーム径Dは略9.4μm(w/wo=1.04)であった。
また、上記各関係式2〜4によれば、波長λ=0.355μm、z=100μm、w/ wo≦1.04を満足する場合の最適な焦点ビーム径Do(2 wo)は12.6μm≦2wo≦22.2μmで、(焦点距離f12/入射ビーム半径W)は55.7 ≦f12/W ≦ 98.2となる。
以上の実験3−1〜3−3より、加工対象面が±100μm程度変動しても安定な加工ができる集光光学系の最適条件(焦点距離f12/入射ビーム半径W)は、40.2 ≦ f12/W ≦ 98.2であると言える。
(実験4)
次に、保護フィルム(PETフィルム)、ITO膜、粘着膜を順次積層してなる積層体構造の実験用ワークピースを作製し、保護フィルム側からITO膜を加工幅10μm以下でレーザーパターニングする(電気抵抗特性を変化させる)場合において、保護フィルム及び粘着膜が熱影響を実質的に受けない加工条件を調査した。図7(a)はレーザー加工前、図7(b)はレーザーパターニング後の様子を示す部分断面図である。X1、X2、X3がそれぞれPETフィルム、ITO膜、粘着層を表す。
粘着膜は、実際にITO膜付PETフィルムでタッチパネルを製造する際に用いる材料を選択した。レーザー波長は355nmおよび532 nmの二種類に設定した。
実験方法は、所定の出力及び繰り返し周波数でレーザービームを発振させ、xyテーブル上に載置した実験用ワークピースを所定のワーク速度で直線加工し、粘着膜の両端に位置するITO膜の電気抵抗を測定することによって、当該実験用ワークピースの中間層であるITO膜の改質の有無を確認した。
また、レーザーパターニング後の表面状態、加工幅、加工深さについては、高倍率CCDカメラおよび共焦点顕微鏡を用いて確認した。
その結果、上記いずれの波長のレーザー照射によっても、図7(b)に示されるように、レーザー照射を受けたITO部分が急激に蒸発気化し、当該ITO膜X2と粘着層X3との間での内圧上昇に伴って粘着層X3が湾曲状に変形し、空隙X4が形成されたのが確認できた。蒸発気化したITO微粒子は、前記湾曲した粘着層表面X5の凹部に分散して吸着されたものと解される。
ここで空隙X4の幅は10μm以下であり、且つ、その膨張高さも数μmであって非常に微細であるため、外部から肉眼で観察しても実質的に影響は見られなかった。また、レーザー照射による熱を受けて粘着層X3中に複数の気泡X6が発生しているが、共焦点顕微鏡を用いて粘着層X3を観察したところ実質的な熱損傷はなく、実質的に透明性が損なわれるレベルには達していないことが分かった。
なお、当該実験用ワークピースでは粘着層X3が湾曲され、その表面にITO微粒子が吸着された構成となっているが、当該実験用ワークピースを裏返して、PETフィルム側からITO膜にレーザ照射すると、PEフィルムが湾曲し、ほぼ同様の結果となることが確認された。すなわち、粘着層X3の代わりに所定の弾力性を持つPET等別の樹脂フィルムを用いても、同様の結果を得ることができる。
空隙X3の規模は問わないが、ITO微粒子を粘着層X3の表面X5に良好に保持させるためには、当該表面X5の面積を或程度確保できるだけのサイズであることが好適である。
粘着層または樹脂フィルムを滑らかに湾曲させるためには、ITO膜蒸発気化による内圧上昇に伴い、湾曲可能な弾力性を持つものを選択すべきと解される。
以上の観察から、本発明のレーザーパターニングによれば、視認性を損なうことなく良好且つ微細な透明電極のパターニングが実現でき、タッチパネルの製造場面において優れた効果を発揮できるものと期待される。
<実施の形態2>
(静電容量式タッチパネルの構成)
図13は、本発明の実施の形態2にかかる静電容量式タッチパネル4(以下、「タッチパネル4」と言う。)の構成例を示す組図である。
図13に示されるように、タッチパネル4は、紙面上から下へ順に、偏光板43、粘着層442、第一の透明電極付樹脂フィルム401、粘着層443、第二の透明電極付樹脂フィルム402、粘着層444、支持体451、粘着層445を積層してなる。
当該タッチパネル4は、 使用時にはLCD装置の構成要素となる、LCD本体433(透明導電層、カラーフィルタ、液晶分子層、TFT基板、透明導電層が積層されたユニット)が積層され、全体としてLCD一体型タッチパネル装置が構成されるようになっている。当該タッチパネル装置は、ここでは車載用として、カーナビゲーションシステムへの用途を想定したものである。
なお、当該タッチパネル装置は、上記以外の各種用途に利用できることは言うまでもない。例えば、ノートパソコンや携帯電話、携帯情報端末機器、カーナビゲーションシステム等で使用が想定される、高精細化タッチパネル付ディスプレイ(液晶ディスプレイ一体型タッチパネル装置)等への適用が想定される。
偏光板43は、例えば厚み0.2mmの直線偏光板からなるものであって、粘着層442を介して前記第一の透明電極付樹脂フィルム401における透明樹脂フィルム411上に全面貼着され、外部に露出するようになっている。当該偏光板43は、タッチパネル内部へ入射される可視光に起因する反射光量を当該偏光板を設けない場合に比べて約半分以下にまで抑制する。また、透明電極群12b、22bの配設構造(センシングパターン)を外部より見えにくくし、視認性を向上させる役目もなす。
上記偏光板43を用いて視認性を向上させるために、透明樹脂フィルム411、421として光等方性基板或いは位相差性基板が用いられる。なお、実際には低コスト化等の理由で偏光板を積層しない構成のタッチパネルもあるが、その場合は透明樹脂フィルム411、421に低コストのフィルム基板を用いることができる。
第一及び第二の透明電極付樹脂フィルム401、402は、当該タッチパネルの主たる構成要素であって、タッチパネル駆動時におけるセンシングができるように、既知の静電容量を持つ透明樹脂フィルム(ここではPETフィルム)411、421の一方の主面に、既知の抵抗値(面抵抗)を持つ材料(ここではITO)からなる透明電極群12b、22bが形成されてなる。
当該第一及び第二の透明電極付樹脂フィルム401、402は、互いの透明電極群12b、22bが対向するように配置され、間に粘着層443を介して積層され、フィルム積層体400が構成されている。
ここで、透明樹脂フィルム411、421の表面には、パターニング等の加熱時におけるオリゴマ発生の防止対策としてアクリル系樹脂コート層を配設することが好適である。さらに、ペンや指が前記表面に接触することがある場合には、透明性、耐擦傷性、耐摩耗性、ノングレア性等向上のため、ハードコート皮膜等を設けることが望ましい。
また透明電極群12b、22bを形成する前に、透明樹脂フィルム411、421の表面に透明性や密着性等を向上させるためのアンダーコート層を設けてもよい。
ここで、本発明の透明電極膜付フィルムに使用可能な透明導電膜材料については実施の形態1において説明したが、本実施の形態2におけるタッチパネルの透明電極群12b、22bの材料には、小型電子機器等への応用を考慮すると、抵抗値の低いものが好適である。
透明電極群12b、22bはタッチパネル4のセンサートレースとして作用するものであって、図13に示すように、粘着層443を介して対向する透明樹脂フィルム411、421の主面にストライプ状に併設された複数の帯状電極(ライン電極12a1〜12an、22a1〜22an)から構成されている。
ライン電極12a1〜12an、22a1〜22anは、本願特有のレーザーパターニングにより、非常に微細なストライプ状に加工されている。電極の延伸方向を粘着層443を挟んで直交させるように配設することで、ライン電極12a1〜12an、22a1〜22anによる直交マトリクスが構成される。このような電極の構造は、本発明の実施の形態1で例示したレーザー加工装置1によって10μm以下の微細な加工幅でパターニングされたものである。当然ながらパターニングはストライプ状に限らず、レーザー加工装置1において予めどのような形状でも設定しておくことが可能である。
ここでは一例として、ライン電極12a1〜12an、22a1〜22anの幅は、最小幅を300μm、最大幅を4458μmに設定することができる。一方、ライン電極12a1〜12an、22a1〜22anの隣接する電極ギャップは、最小間隙を700μmに設定することができる。
各ライン電極12a1〜12an、22a1〜22anには、これらに外部電力を給電するための引き出し回路(不図示)が接続されるが、この引き出し回路も前記透明導電材料を用い、透明樹脂フィルム411、421の各表面に所定のパターニングを施して配設することができる。この引き出し回路を介し、各ライン電極12a1〜12an、22a1〜22anに測定電圧を印加し、ユーザーによる入力時の電圧変化を検出するための公知の専用コントローラが接続される。
タッチパネルの透明電極群12b、22bとしては、ある程度の透明性を向上させるためのアンダーコート層を設けてもよい。アンダーコート層は、光屈折率が異なる2つの層により構成されるが、このうち低屈折率層が、高屈折率層よりも透明電極群12b、22bに近い位置になるように配置する。
なお図13の構成例では、透明樹脂フィルム411、421のそれぞれの片面に透明電極群12b、22bを配設する例を示したが、本発明はこの構成に限定されず、例えば1枚の透明電極付樹脂フィルム(光等方性基板)の一方の面に透明電極群12b、他方の面に透明電極群22bを配設するようにしてもよい。ただしこの場合、透明電極群12b、22bを傷つけないよう、成膜ステップ、加工ステップでの当該基板の取り扱いに注意する必要がある。
粘着層442、444、445は、ここでは透明の絶縁材料、もしくは透明接着剤からなるものであって、その上下の層を全面貼着する絶縁層をなすように配される。当該絶縁層には、前記粘着層442、444、445の他、基材として別途フィルム等を用いてもよい。
支持体451は、タッチパネル4の剛性を付与するためのものであって、厚み0.2mm以上0.5mm以下のガラス板、またはこれに準ずる硬度を持つ樹脂材料で構成することができる。当該支持体451は、粘着層444、445で全面貼着することで良好な剛性を発揮することができる。なお、タッチパネル4の剛性がそれほど問題にならない等の場合は、支持体451の配設を省くことも可能である。
次に、以上の構成を有するタッチパネル4の入力検出原理(静電容量式)について説明する。図14は、入力検出原理を示す模式図である。
駆動時において、前記専用コントローラは、引き出し回路を介して この引き出し回路を介し、各x方向に延伸されたライン電極12a1〜12an及びy方向に延伸されたライン電極22a1〜22anに対し、それぞれ一定時間ごと(xyごと)に交互に測定電圧を印加する。
この状態でユーザーが偏光板3にタッチすると、図13に示すように、ユーザーの指、透明樹脂フィルム411、421(及びここでは偏光板43、粘着層442も含む)、ライン電極12a1〜12anの間に、当該ライン電極12a1〜12anの数に対応して複数の容量(コンデンサ)が形成される。図14では説明の容易化のためライン電極12a1〜12a5で形成されるコンデンサC1〜C5を模式的に図示している。
なお、当図ではx方向に延伸されたライン電極12a1〜12anの間に測定電圧が印加された場合に形成されるコンデンサC1〜C5を示しているが、y方向に延伸されたライン電極22a1〜22anに測定電圧が印加される場合にも同様の原理によって複数のコンデンサが形成される。
このようなコンデンサは、指の位置と各ライン電極との距離に応じて容量が異なり、当該距離が最も小さい場所が測定電圧が振幅の最大となる場所となる。従って前記専用コントローラは図14の場合、すなわちライン電極12a1〜12anの間に測定電圧が印加された場合に、この測定電圧の変化が最大となる場所を特定することにより、タッチ位置のy方向の座標を特定する。
次に、上記と同様のプロセスで、y方向に延伸されたライン電極22a1〜22anに測定電圧を印加し、そのときの測定電圧の最大値を検出したラインを特定することで、タッチ位置のx方向の座標を特定する。
以上のプロセスにより、入力検出がなされる。タッチパネル4ではこのような検出ステップを交互に繰り返すことにより、逐次的にユーザーからの入力情報を獲得し、GUI(Graphical User Interface)としての機能を発揮するようになっている。
(実施の形態2の特徴について)
本実施の形態2のタッチパネル4は、製造時において、粘着層443の両主面に導電膜付透明樹脂フィルム401、402を配設してなるフィルム積層体400を形成したのち、当該フィルム積層体400に対して外部よりレーザー照射を行うことで、透明樹脂フィルム411又は421下に密閉された前記透明導電膜を順次アブレーションして透明電極群12b、22bがパターニングされた点に特徴を有する。
このレーザーパターニングを行うことにより、従来のように透明電極付樹脂フィルムを一枚ずつ作製したのち、これを粘着層を介して積層する工程や、積層時におけるアライメント調整が不要となり、タッチパネルの優れた製造効率が実現される。
すなわち、従来はいわゆるステップ方式或いはロール・トゥ・ロール(roll to roll)方式により、帯状の透明導電膜付き樹脂フィルムに所定のレーザー照射を行い、透明導電膜を連続的にレーザーパターニングする。この従来方式を利用したタッチパネル製造方法では、樹脂フィルムを所定のサイズに切り出し、配線エリア及び引き出し電極を配設したのち、一対の透明電極付樹脂フィルムを対向配置させる工程が不可欠となる。この際、透明電極のマトリクス配置をなすため、両フィルムの透明電極同士を非常に高い精度でアライメントすることが要求されるが、アライメントは適切なタッチパネル特性を得るために慎重に行う必要があるほか、近年の微細なパターンからなる透明電極においては自ずと限界がある。また、切り出し時に透明導電膜の取り扱いミスにより損傷を生じ、目的のパターニングが不可能になるおそれもある。このような透明導電膜の損傷は、透明導電膜付きフィルムをロール状に巻き取る際に特に問題となるものである。
そこで本願発明のレーザーパターニング方法によれば、各々の透明樹脂フィルム411、421に形成される透明導電膜はフィルム積層体400において予め粘着層433を挟んで一体的にアライメントされているため、透明電極に関するアライメントは専らレーザーパターニング時の調整のみを考慮すればよい。これによって、条件管理の大きな簡素化・合理化を図ることができる。よって、たとえ微細なレーザーパターニングであっても、従来に比べて飛躍的に精度良く加工を実施することができる。
また、フィルム積層体400では、加工対象面となる透明導電膜が外部に露出していないため、製造時に取り扱いミスによる損傷を効果的に低減できる。さらに、レーザーパターニングにおいて透明導電膜が蒸発する時に発生するデブリ等が飛散しないので、蒸発気化したITO微粒子の再付着等の問題を回避することができる。
(フィルム積層体の製造方法)
図15は、前駆フィルム積層体の各透明導電膜を順次レーザーパターニングして、透明電極を形成し、フィルム積層体400を作製するプロセスを示す図である。図15(a)は、第一透明電極付樹脂フィルム401の正面図、図15(b)は第二透明電極付樹脂フィルム402の正面図、図15(c)は当該透明電極同士の配置関係を模式的に示す図である。当該図15では、説明のため前駆フィルム積層体中の各アブレーション対象となる透明導電膜をそれぞれ図示している。
レーザーパターニングに際し、予め前駆フィルム積層体を作製しておく。
フィルム積層体(前駆体)の作製例としては、まず透明導電膜付樹脂フィルム(ITO膜付PETフィルム)を用意する。ITO膜の成膜方法としてはいずれの公知方法を用いてもよいが、ここでは安価で比較的容易に製造できるスパッタ法が好適である。当該フィルム表面には、さらに所定の手順に従い、配線エリア、引き回し電極をそれぞれ配設する。
上記一対の透明導電膜付樹脂フィルム、各々の透明導電膜が対向するように、粘着層433で貼り合わせる。
以上で前駆フィルム積層体が得られる。なお樹脂フィルムの外側には、さらに偏光調整用途等に別途フィルムを設けるようにしてもよい。
続いて上記作製した前駆フィルム積層体をワークピースWPとしてレーザー加工装置のxyテーブルに載置し、レーザーパターニングを行う。
まず、入射側のITO膜からライン電極12a1〜12an(透明電極群12b)を形成するため、実施の形態1の調整条件に基づき、前駆フィルム積層体に対してパルスレーザーを当てる。パルスレーザーはITO膜を罫書くように照射し、加工幅を形成して、加工対象面のITOを細線状にカットする。(図15(a))。
全てのライン電極12a1〜12anを作製したら、前駆フィルム積層体を裏返して再度xyテーブルに載置する。そして、前記と同様の要領で、他方のITO膜からパルスレーザーを照射し、ライン電極22a1〜22anを形成する(図15(b))。
以上のレーザーパターニングにより、フィルム積層体400が完成される。当該フィルム積層体400では肉眼で確認でいないが、模式的には図15(c)のように、第一及び第二透明電極付樹脂フィルム401、402が互いにマトリクスを形成するように配設されている。
当該タッチパネルでは、このように主面方向から見た場合、透明電極群12b、22bのいずれも存在しない領域X1、透明電極群12b、22bのいずれか一方のみ存在する領域X2、並び透明電極群12b、22bの交差領域X3が存在する。しかしながら本実施の形態2のタッチパネルでは、ライン電極22a1〜22an及び電極ギャップが、通常の人間の視認限界を下回る10μm以下の微細な幅で形成されているため、実際に透明樹脂フィルム上から肉眼で眺めた場合に、視認性に問題が生じる可能性は極めて小さい。これにより、高精細なLCD等の画像が損なわれることなく表示され、良好な画像表示性能を呈することができるようになっている。
なお、第一及び第二透明電極付樹脂フィルム401、402 において、フィルム周囲の画像表示部分以外の領域において引き出し電極等を設ける場合、当該引き出し電極等は本願発明のレーザーパターニングを行ってもよいし、公知の広幅のレーザーパターニングを行ってもよい。
また、いわゆる引き出し電極等のパターニングに関しては、レーザーを用いず、各種エッチング等で配設することもできる。引き回し電極は配線エリアでの配設となるので、透明電極群12b、22bよりも抵抗値の低い導電材料などで構成する必要がある。さらに金、銀、銅などの金属ペーストを用いて、低抵抗配線を構成してもよい。実際にはコスト及び性能の観点から銀ペーストを用いることが好適である。
その他、引き回し電極の構成手法としては、スクリーン印刷、グラビア印刷、マスク印刷等のいずれの公知方法を用いてもよい。
<実施の形態3>
(抵抗膜式タッチパネルの構成)
次に、本発明の実施の形態3における抵抗膜式タッチパネル5の構成について、実施の形態2との違いを中心に説明する。
図16は、本発明の実施の形態3にかかるインナータイプ抵抗膜式タッチパネル5の構成と、これに組み合わされるLCDとの構成例を示す断面図である。
図16に示されるタッチパネル5は、上から順に、偏光板310、フィルム積層体500(透明樹脂フィルム511、透明導電膜13b、配線基板510、スペーサ516、透明導電膜23b、透明樹脂フィルム521)を積層してなる。透明樹脂フィルム521の下にはLCDパネルの構成要素となる、LCD本体330と偏光板320とが同順に積層されており、全体としてLCD一体型タッチパネルの構成をなしている。
当該タッチパネル5は、いわゆる「4wire方式」と呼ばれる入力検出方法が採用されており、且つ各透明樹脂フィルム511、521の両方にフィルム材料を用いた「F-Fインナータイプ」と呼ばれる構成であって、ここでは車載用カーナビゲーションシステムへの用途を想定したものである。
偏光板310、320は、例えばそれぞれ厚み0.2mmの染料系直線偏光板からなる。このうち一方の偏光板310は、インナータイプタッチパネルの特徴として、透明樹脂フィルム511表面に積層され、外部に露出するようになっている。これによりタッチパネル内部へ入射される可視光に起因する反射光量を、当該偏光板を設けない場合に比べて約半分以下にまで抑制する作用がなされる。
透明樹脂フィルム521に直接積層される330は、LCD本体部である。これは公知のTFT型LCD基板であって、不図示の透明導電層、カラーフィルタ、液晶分子層、TFT基板、透明導電層が積層されたユニットを構成している。なお、LCD本体330はTFT型以外でもよく、また上記積層構造に限られない。前記偏光板320は、当該LCD本体部20の下に積層されている。
透明導電膜13b、23bは、それぞれ透明樹脂フィルム511、透明樹脂フィルム521の対向表面において一様に所定面積で形成される。透明導電膜13b(23b)のx軸側(y軸側)両端には、y軸方向(x軸方向)に沿って、各透明導電膜13b、23bと配線基板510とを接続するための引き出し電極(不図示)が形成されている。本実施の形態3では、主に当該透明導電膜13b、23bの周囲の引き出し電極の形成に関し、レーザーパターニングが用いられている。
各透明導電膜13b、23bは、一対の透明樹脂フィルム511、521の間において、一定間隔をおいて対向配置される。各透明樹脂フィルム511、521の周囲には、粘着層518が囲繞するように配設される。また一方の透明樹脂フィルム521表面には、高さ約0.05mmのコーン状のリブスペーサ518が多数設けられている。
配線基板510は、PET或いはポリイミド等の樹脂材料で作製されたフレキシブル基板301と、当該基板表面において、Au、Ag、Cuの良好な導電性を持つ材料からなる配線302から305が形成されてなる。
以上の構成で電気配線が為されたタッチパネル5での入力検出原理(4wire方式)は、駆動時において、まずy軸に沿った引き出し電極間に5V程度の直流電圧を印加しておき、ユーザーによる入力がなされるとx軸に沿った引き出し電極を電圧検出電極としてy軸方向の位置データを獲得する。
次に、x軸に沿った引き出し部電極間に電圧印加を行い、y軸に沿った引き出し電極を電圧検出電極とすることでx軸方向の位置データを獲得する。これによりxy両方の座標情報が得られる。タッチパネル5ではこのような検出ステップを交互に繰り返すことにより、逐次的にユーザーからの入力情報を獲得しGUIとしての機能が発揮される。
以上の構成を持つタッチパネル5では、フィルム積層体500中における各透明導電膜13b、23b及び引き出し電極が当該積層構造中においてレーザーパターニングされている。従って、実施の形態2と同様に優れた視認性と製造効率の向上効果が奏されるほか、微細構造の引き出し電極を形成することにより、タッチパネル周囲の配線構造をより小型軽量化できるメリットがある。
(その他の事項)
上記実施の形態1では、Nd:YAGレーザーを用いる構成について例示したが、本発明はこれに限定されるものでなく、Nd:YVO4レーザー、Nd:YLFレーザー又はTi:sapphireレーザー等を用いることができる。
また上記実施の形態1では、ワークピースWPの一方の主面からレーザー入射側の透明導電膜をアブレーションする方法について例示したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えばワークピースWPの両面からそれぞれレーザーを同時照射し、各々のレーザー入射側に近接する透明導電膜を平行してアブレーションするようにしてもよい。このような方法を採用すれば、例えばロール・トゥ・ロール方式により迅速にフィルム積層体を完成でき、且つ大量に保管しておけるので好適である。
本発明は、例えばノートパソコンや携帯電話、携帯情報端末機器、カーナビゲーションシステム等、或いは高精細での使用が想定されるタッチパネル付ディスプレイ(液晶ディスプレイ一体型タッチパネル装置)とその製造方法に利用することが可能である。
本発明の実施の形態1におけるレーザー加工装置の構成図である。 レーザー加工装置の機能ブロック図である。 レーザー強度分布とビーム径との関係を示すグラフである。 フィルム材料と吸収率との関係を示すグラフである。 透明導電膜付樹脂フィルムの透過率特性を示すグラフである。 レーザーパターニングの様子を示す模式図である。 レーザーパターニング前後のワークピースの様子を示す部分断面図である。 パルスエネルギーと加工幅との関係を示すグラフである。 加工幅と熱影響幅との関係を示すグラフである。 ビーム径と加工幅との関係を示すグラフである。 ビーム径と加工幅との関係を示すグラフである。 ビーム径と加工幅との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態2に係る静電容量式タッチパネルの構成図である。 静電容量方式タッチパネルの入力検出原理(静電容量式)を説明するための模式図である。 透明電極のパターニングの様子を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る静電容量式タッチパネルの構成図である。
符号の説明
wo 焦点ビーム半径
w 加工幅半径
1 レーザー加工装置(レーザートリミング装置)
2 レーザー照射システム
4 静電容量式タッチパネル
5 抵抗膜式タッチパネル
10 xyテーブル
11 台座
12 ブリッジ部
12a1〜12an、22a1〜22an ライン電極
12b、22b 透明電極群
13 y軸テーブル
14 x軸テーブル
20 レーザービーム照射装置
100 加工ヘッド
201 ビーム伝送系
211 第三高調波発生器
212 アテネータ
213 ビームエキスパンダー
400、500 フィルム積層体
411 第一の透明電極付樹脂フィルム
421 第二の透明電極付樹脂フィルム
411a、421b 罫書き部分
443、518 粘着層

Claims (15)

  1. 透明導電膜にUVレーザーを走査して透明電極をパターニングする加工ステップを経るタッチパネルの製造方法であって、
    前記加工ステップでは、
    透明樹脂フィルムに介挿された透明導電膜を備えるワークピースに対し、前記透明樹脂フィルムを介して前記透明導電膜にレーザー照射するとともに、
    前記透明導電膜における焦点ビーム半径を、加工幅半径よりも大きくなる条件範囲に調節し、
    前記加工幅に対応する透明導電膜部分をアブレーションするためのレーザー強度を調節し、10μm以下の加工幅でパターニングする
    ことを特徴とするタッチパネルの製造方法。
  2. 透明導電膜にUVレーザーを走査して透明電極をパターニングする加工ステップを経るタッチパネルの製造方法であって、
    前記加工ステップでは、
    透明樹脂フィルムに介挿された透明導電膜を備えるワークピースに対し、前記樹脂透明樹脂フィルムを介して前記透明導電膜にレーザー照射するとともに、
    ガウス分布で示すレーザー強度分布におけるピーク強度hの0.65〜0.7倍の強度レベルに対応するビーム幅をw1、ピーク強度hの0.35〜0.4倍の強度レベルに対応するビーム幅をw2とするとき、w1以上w2以下となる範囲に加工幅を調節し、10μm以下の加工幅で対応する透明導電膜部分をアブレーションする
    ことを特徴とするタッチパネルの製造方法。
  3. 前記加工ステップでは、焦点距離を調整することで焦点ビーム半径と加工幅半径とのサイズ比を調節する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネルの製造方法。
  4. 前記加工ステップでは、加工幅半径wと焦点ビーム半径woとの比w/ woが0.7以下になるように調整する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のタッチパネルの製造方法。
  5. 前記加工ステップでは、前記UVレーザーとして、波長320nm以上450nm以下のUVレーザーを用いる
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のタッチパネルの製造方法。
  6. 前記加工ステップでは、前記UVレーザーとして第三高調波YAGレーザーを用いる
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のタッチパネルの製造方法。
  7. 前記加工ステップでは、レーザー照射装置における加工レンズ光学系のレーザー焦点距離f12と、レンズ入射ビーム半径Wの比f12/Wが40以上98以下になるように、パターニング条件を調整する
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のタッチパネルの製造方法。
  8. 前記加工ステップでは、レーザーを透過させる透明樹脂フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアクリル、アクリル、非晶質ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、脂肪族環状ポリオレフィン、ノルボルネン系熱可塑性透明樹脂のうちの一種以上を用いる
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のタッチパネルの製造方法。
  9. 前記加工ステップでは、前記透明導電膜としてアンチモン添加酸化鉛、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム錫、酸化インジウム−酸化錫、スズ酸化膜、銅、アルミニウム、ニッケル、クロムのうちの一種以上を用いる
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のタッチパネルの製造方法。
  10. 前記加工ステップでは、ワークピースの前記透明導電膜として酸化インジウム錫、前記透明樹脂フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる場合において、
    加工幅半径wと焦点ビーム半径woとの比を1.5以上2.3以下の範囲に設定し、加工幅を5μm以上10μm以下に調節するとともに、透明導電膜に与える1パルス当たりのレーザーエネルギーを0.2μJ/パルス以上1.4μJ/パルス以下の範囲に設定する
    ことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のタッチパネルの製造方法。
  11. 前記ワークピースとして、一対の透明導電膜付樹脂フィルムを互いの透明導電膜が対向するように絶縁層を介して積層したものを用いる
    ことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のタッチパネルの製造方法。
  12. 絶縁層として粘着層を用いる
    ことを特徴とする請求項11に記載のタッチパネルの製造方法。
  13. 一対の透明電極付樹脂フィルムを、所定間隔を置いて前記各々のフィルム上の透明電極が対向配置されるように積層してなるタッチパネル用フィルム積層体であって、
    前記一対の透明電極付樹脂フィルムの少なくともいずれかは、請求項1から12のいずれかに記載の加工ステップにより前記透明導電膜がパターニングされたものである
    ことを特徴とするタッチパネル用フィルム積層体。
  14. 透明樹脂フィルムの主面に透明電極を配設してなる透明導電膜付樹脂フィルムを用いた静電容量式タッチパネルであって、
    前記透明電極付樹脂フィルムは、請求項1から12のいずれかに記載の加工ステップにより前記透明導電膜がパターニングされたものである
    ことを特徴とする静電容量式タッチパネル。
  15. 絶縁層の両主面に複数の透明電極がそれぞれ配設されてなるフィルム積層体を備える静電容量式タッチパネルであって、
    前記絶縁層の少なくともいずれかの前記主面の透明電極は、請求項1から12のいずれかに記載の加工ステップによりパターニングされたものである
    ことを特徴とする静電容量式タッチパネル。
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