JP4741205B2 - 金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム、その製造方法およびこれを利用する医薬 - Google Patents
金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム、その製造方法およびこれを利用する医薬 Download PDFInfo
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Description
鉄[5,10,15,20-テトラキス(2-メチルピリジル)ポルフィリン](FeT2MPyP)の合成:
(1)プロピオン酸 500mlを100℃まで攪拌・加熱後、2-ピリジルカルボキシアルデヒド 15ml(0.158mol)を加えた。その後、ピロール 12ml(0.173mol)を注射器で少しずつ滴下し、100℃で1時間還流を行って環化縮合した。反応後、室温まで放冷し、溶媒を留去した。中和、洗浄およびカラムクロマトグラフィー(アルミナ basic type I、クロロホルム)を行い、生成物である5,10,15,20-テトラキス(2-ピリジル)ポルフィリンを得た(収量1.1g、収率4.4%)。
1H-NMR δH(CDCl3、ppm):
-2.82(ピロールNHのH、2H)、7.72〜9.14(ピリジンのH、16H)、8.87(ピロールのH、8H)
UV-vis λmax(クロロホルム、nm):
418、513、544、586、645
FAB-Mass(m/z):
619、620
(2)次に、アルゴン(Ar)雰囲気下でジメチルホルムアミド 150mlに上記(1)で得た5,10,15,20-テトラキス(2-ピリジル)ポルフィリン 0.2g(3.2×10−4mol)を加えて溶解させ、さらに、鉄 0.2gと48%臭化水素酸 5mlより得た臭化鉄(FeBr2)を加えて4時間還流した。反応後、室温まで放冷し、溶媒を留去した。
抽出、カラムカラムクロマトグラフィー(アルミナ basic typeI、メタノール)を行い、前駆体の鉄[5,10,15,20-テトラキス(2-ピリジル)ポルフィリン]を得た(収量0.21g、収率94%)。
UV-vis λmax(メタノール、nm):
408、512、566
FAB-Mass(m/z):
672
(3)ジメチルホルムアミド 30ml中に、上記(2)で得た鉄[5,10,15,20-テトラキス(2-ピリジル)ポルフィリン] 0.1gとp-トルエンスルホン酸メチル 6mlとを加え、130℃で5時間還流した。還流後、室温まで放冷し、溶媒を留去した。抽出、カラムクロマトグラフィー(アルミナ basic typeI、メタノール)を行い、目的物質であるFeT2MPyPを得た(収率91%)。
UV-vis λmax(水、nm):
408、584
元素分析(%):
Found. C75.11、H3.97、N17.66、C/N4.25
Calcd. C77.58、H4.24、N18.12、C/N4.28
(4)工程(1)において、2-ピリジルカルボキシアルデヒドを4-ピリジルカルボキシアルデヒドに変える以外は上記(1)工程ないし(3)工程と同様にして鉄[5,10,15,20-テトラキス(4-メチルピリジル)ポルフィリン](FeMT4MPyP)を得た。他の金属[5,10,15,20-テトラキス(2-メチルピリジル)ポルフィリン](MT2MPyP)および他の金属[5,10,15,20-テトラキス(4-メチルピリジル)ポルフィリン](MT4MPyP)も上記に準じて合成できる。
鉄[[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(4-メチルピリジルアミドエチル)]ポルフィリン](FePPIX-DMPyAm)の合成:
(1)鉄[[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(カルボキシルエチル)]ポルフィリン] 500mg(8.1×10−4mol)を含むテトラハイドロフラン/トリエチルアミン溶液(10:1)110mlを冷却し、これにクロロギ酸エチル 0.33ml(2.0×10−3mol)を加えて90分間反応させた。さらに、4-アミノピリジン 0.20g(2.0×10−3mol)を加えてさらに1時間反応させ、その後室温で1晩放置した。
溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー[シリカゲル、メタノール/水(9/1)]、再結晶により精製し、前駆体である鉄[[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-(4-ピリジルアミドエチル)]ポルフィリン]を得た(収量30mg)。
UV-vis λmax(メタノール、nm):
398、485、596、643
FAB-Mass(m/z):
767
(2)次に、上記の前駆体 30mg(3.9×10−5mol)およびp-トルエンスルホン酸メチル 0.75mlをジメチルホルムアミド 20ml中に溶解させて還流(130℃、5時間)した。室温まで冷却し、その後溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー[酸性アルミナ、メタノール]で精製し、目的物質であるFePPIX-DMPyAmを得た(収量30mg)。
UV-vis λmax(メタノール、nm):
398、481、579
FAB-Mass(m/z):
797
(3)工程(1)の鉄[[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(カルボキシルエチル)]ポルフィリン]に代え、他の金属[[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(カルボキシルエチル)]ポルフィリン]を使用し、工程(1)および工程(2)と同様にして他の金属[[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(4-メチルピリジルアミドエチル)]ポルフィリン](MPPIX-DMPyAm)を合成することができる。
マンガン[5,10,15,20-テトラキス(4-メチルピリジル)ポルフィリン](MnT4MPyP)の合成:
(1)プロピオン酸 500ml中に4-ピリジルカルボキシアルデヒド 15mlを加えて加温し、100℃になった後にピロール12mlを加えて1時間還流した。反応後、放冷、エバポレーション、中和および洗浄を行った。その後、カラムクロマトグラフィー(塩基性アルミナ、クロロホルム)等で生成し、紫色結晶として5,10,15,20-テトラキス(4-ピリジル)ポルフィリンを得た(収量1.68g、収率7.08%)。
1H-NMR δH(CDCl3、ppm):
-2.9(ピロールNHのH、2H)、8.2〜9.1(ピリジンのH、16H)、8.9(ピロールのH、8H)
UV-vis λmax(クロロホルム、nm):
417、513、546、589、641
FAB-Mass(m/z):
619、620
(2)次に、上記(1)で得た5,10,15,20-テトラキス(4-ピリジル)ポルフィリン 100mgを含むジメチルホルムアミド溶液 100mlを、アルゴン(Ar)置換した後、酢酸マンガン・四水和物 370mgを加えて、Ar下で3時間還流した。反応後、放冷、エバポレーション、抽出、減圧乾燥等を行い、マンガン[5,10,15,20-テトラキス(4-ピリジル)ポルフィリン]を得た(収量81.8mg、収率75.2%)。
UV-vis λmax(クロロホルム、nm):
477、579、611
FAB-Mass(m/z):
672
(3)次に、上記のマンガン[5,10,15,20-テトラキス(4-ピリジル)ポルフィリン] 200mgとp-トルエンスルホン酸メチル 12mlとを反応させた(120℃、5時間)。反応後、放冷、抽出等を行い、カラムクロマトグラフィー[(1)酸性アルミナおよび(2)塩基性アルミナ、メタノール]を行い、目的物質であるMnT4MPyPを得た(収量153mg)。
UV-vis λmax(水、nm):
462、559、636
(4)工程(1)において、4-ピリジルカルボキシアルデヒドを2-ピリジルカルボキシアルデヒドに変える以外は上記(1)工程ないし(3)工程と同様にしてマンガン[5,10,15,20-テトラキス(2-メチルピリジル)ポルフィリン](MnT2MPyP)を得た。他の金属[5,10,15,20-テトラキス(4-メチルピリジル)ポルフィリン](MT4MPyP)および他の金属[5,10,15,20-テトラキス(2-メチルピリジル)ポルフィリン](MT2MPyP)も上記と同様にして合成できる。
マンガン[[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(4-メチルピリジルアミドエチル)]ポルフィリン](MnPPIX-DMPyAm)の合成:
(1)EC法[例えば、 E. Tsuchida, H. Nishide, H. Yokoyama, R. Young and C. K. Chang, Chem. Lett., 1984, 991等]に基づき、1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(カルボキシルエチル)]ポルフィリン(プロトホルフィリンIX) 1gとクロロギ酸エチル 2mlをテトラヒドロフラン/トリエチルアミン(250/3ml)中、0℃で1時間反応させ、酸クロライド体を得た。
この酸クロライド体と4-アミノピリジン 1.68gを同一条件で2時間反応させ、さらに、室温で終夜反応させた。反応後、エバポレーション、カラムクロマトグラフィー[シリカゲル、メタノール/クロロホルム(1/9)]を行い、[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(4-ピリジルアミドエチル)]ポルフィリンを得た(収量0.469g、収率68.4%)。
UV-vis λmax(クロロホルム、nm):
407、506、542、575、629
FAB-Mass(m/z):
715
(2)次に、[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(4-ピリジルアミドエチル)]ポルフィリン 200mgを含むジメチルホルムアミド溶液 200mlをAr置換した後、酢酸マンガン・四水和物 686mgを加えて、Ar下で6時間還流した。反応後、放冷、エバポレーション、洗浄、減圧乾燥等を行い、マンガン[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(4-ピリジルアミドエチル)]ポルフィリンを得た(収量0.106mg、収率45.7%)。
UV-vis λmax(クロロホルム、nm):
387、465、557、621
(3)更に、上記のマンガン錯体200mgとp-トルエンスルホン酸メチルを9mlとを反応させた(140℃、6時間)。反応後、放冷、抽出等を行い、カラムクロマトグラフィー(酸性アルミナ、メタノール)を行い、目的物質であるMnPPIX-DMPyAm[収量80.5mg、収率37.5%]を得た。
UV-vis λmax(水、nm):
389、467、556、622
Pr包埋リポソームの合成(その1):
試験管に、実施例2で得たFePPIX-DMPyAm 1μmolおよび脂質であるジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC) 200μmolを取り、更に少量のメタノールを用いて混合した。溶媒を留去して薄膜を形成させた後、そこに生理食塩水 10ml加え、超音波処理(Ar下、氷浴中、30W、30min、プローブ型超音波照射装置)を行った。超音波処理後、静置(室温、1hr)および濾過滅菌(0.22μmφ)を行い、FePPIX-DMPyAmを包埋したDMPCリポソーム(本発明品1)を得た。
同様、実施例4で得たMnPPIX-DMPyAmとDMPCを用い、MnPPIX-DMPyAmを包埋したDMPCリポソーム(本発明品2)を得た。
Pr包埋リポソームの合成(その2):
(1)カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体であり、実施例1で得られたFeT2MPyP1.4mg(1μmol)と、界面活性剤であるSAS0.3mg(1μmol)を試験管に取り、これに溶媒としてメタノール5mlを加えて混合し、イオンコンプレックス1(FeT2MPyP+1SAS)を調製した。
また、上記のSAS 1μmolに代え、SAS 1.2mg(4μmol)およびOAS 1.2mg(4μmol)を用い、それぞれイオンコンプレックス2(FeT2MPyP+4SAS)およびイオンコンプレックス3(FeT2MPyP+4OAS)を得た。
同様に、カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体として、FeT4MPyP、MnT2MPyP、MnT4MPyP、FeT2MPyP+MnT2MPyP(モル比1:1)、FeT4MPyP+MnT4MPyP(モル比1:1)を用い、界面活性剤として、SAS、OASを用い、表1に示すようなイオンコンプレックス4-14を調製した。
同様、イオンコンプレックス2とDMPC、イオンコンプレックス4とDMPC、イオンコンプレックス5とDMPCを用い、Pr包埋リポソーム(FeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム/本発明品4;MnT4MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム/本発明品5;MnT4MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム/本発明品6)を得た。
また、イオンコンプレックス4と卵黄レシチン(EYL)より、MnT4MPyP+1SAS包埋EYLリポソーム(本発明品7)を得た。
Pr包埋/pH感受性リポソームの合成:
(1)ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジメチルジテトラデシルアンモニウムブロミド(DTDAB)、オレイン酸(OAS)、Tween-61(TW61)、Tween-80(TW80)等を用い、表2に示す混合脂質A〜Dを調製した。
Pr包埋リポソームの合成(その4):
表1に示すイオンコンプレックス3 1μmolと、 表2に示す脂質A、BおよびD 200μmolを、表3に示す組み合わせて用い、以下実施例6(2)と同様にしてpH感受性Pr包埋リポソーム(本発明品12〜14)調製した。
Pr包埋リポソームの透過型電子顕微鏡(TEM)観察:
Pr包埋リポソームの形態、粒径等を評価するため、凍結割断レプリカ法による透過型電子顕微鏡(TEM)観察(JEOL、JEM-1200EX)を行った。実施例6で得たFeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム(本発明品4)のTEM観察より、粒径が100nm以下の二分子膜小胞体であるリポソームが形成されていることがわかり、さらに、精査すると20〜30nm程度および50〜60nmmin程度の平均粒径といった2つの粒径分布を有する二分子膜小胞体(リポソーム)が観測された。
Pr包埋リポソームの動的光散乱測定(その1):
Pr包埋リポソームの粒径および粒径分布を測定するため動的光散乱測定( Nicomp 370、Particle Sizing System)を行った。例えば、実施例9に従い合成したFeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム(本発明品4)の動的光散乱測定より、体積分布では平均粒径24.6nmのものが61.2%、58.4nmのものが38.8%の2種類存在していた(数分布では平均粒径23.2nmのものが94.5%、52.5nmのものが5.5%)。この結果はTEM観察による粒径分布の結果と対応した。
また、実施例5ないし6で合成したPr包埋リポソームの動的光散乱測定結果を表4に示す。
Pr包埋リポソームの動的光散乱測定(その2):
実施例10と同様にして、実施例6に従い合成したMnT4MPyP-1SAS包埋DMPCリポソーム(本発明品5)およびMnT4MPyP-4SAS包埋DMPCリポソーム(本発明品6)について動的光散乱測定を行った。
この結果、本発明品5の平均粒径は29nm(分布割合が99.8%で、残りは平均粒径173nmのものが0.2%程度)、本発明品6の平均粒径は29nm(分布割合が99.7%で、残りは平均粒径171nmのものが0.3%程度)であり、いずれもその平均粒径100nm以下であって生体内投与しても問題の無い大きさであった。
Pr包埋リポソームの蛍光スペクトル測定:
(1)Pr包埋リポソームにおいて、包埋したポルフィリン錯体がリポソーム内のどの位置に存在しているかを評価するため、Pr包埋リポソームの蛍光スペクトル測定(島津製作所、RF-5300PC)を行った。
この測定においては、金属ポルフィリン錯体は一般に蛍光消光するため、金属ポルフィリン錯体に代え、金属挿入を行っていないカチオン化カチオン性金属フリーポルフィリン錯体(以下、「金属フリー錯体」という)を実施例1、2等に準じて合成し、これを蛍光プローブとして用いた。また、金属フリー錯体包埋リポソームの合成は実施例5〜6に準じて行った。(以下、金属フリー錯体の略号としては、Mの代わりにカチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体の略号中のMを、H2に代えて示す。例えば、金属[5,10,15,20-テトラキス(2-メチルピリジル)ポルフィリン](MT2MPyP)の金属フリー錯体はH2T2MPyPと、金属[5,10,15,20-テトラキス(4-メチルピリジル)ポルフィリン](MT4MPyP)の金属フリー体ではH2T4MPyPと示す。)
上記のようにして、調製したカチオン化カチオン性金属フリー錯体包埋リポソーム、例えば、H2T2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソームおよびH2T2MPyP+4SAS 含有各種溶液におけるH2T2MPyPの蛍光スペクトル測定(励起波長456nm、測定波長範囲500〜800nm)を行ったところ、H2T2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム水溶液では642nmにピークを有する蛍光スペクトル(642nmでの相対蛍光強度43%)が得られ、メタノール(47%)、エタノール(54%)、プロパノール(54%)、ブタノール(55%)、エチレングリコール(63%)等の各種溶媒中でのH2T2MPyPの蛍光スペクトルも同様のスペクトル波形および強度であった。しかし、水でのH2T2MPyPの蛍光スペクトルは642nm付近のピークがブロードし、強度も大きく低下した(11%)。
これより、リポソームに包埋されたH2T2MPyPは上記のアルコール類と類似の極性環境に存在し、二分子膜の親水部付近に存在すると考えられる。また、H2T2MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム、H2T2MPyP+4OAS包埋混合脂質Dリポソームの結果も同様であった。
一方、H2T4MPyP-4SAS包埋DMPCリポソーム溶液でのH2T4MPyPの蛍光スペクトルは、650nm付近にピークを示し、そのピーク強度は水およびメタノール中でのH2T4MPyPの蛍光強度の中間であった(蛍光強度 水<包埋リポソーム溶液<メタノール)。これより、H2T4MPyP-4SAS包埋DMPCリポソーム溶液のH2T4MPyPは水環境に存在するものよりもやや非極性な(やや疎水的な)環境に存在すると判断される。
(2)次に、リポソームの二分子膜親水部付近に存在して二分子膜の極性、流動性等の指標となる蛍光プローブである8-アニリノ-1-ナフタレンスルホン酸(ANS)を用いた蛍光スペクトル測定を行った。まず、メタノール、メタノール/クロロホルムおよびANS包埋DMPCリポソーム(ポルフィリン錯体は包埋されていない)溶液中でのANSの蛍光スペクトルは、どれも485nm(励起波長385nm)にピークを示す類似のスペクトルとなった。次に、ポルフィリン錯体とANSを一緒に包埋したDMPCリポソーム溶液中でのANSの蛍光スペクトルを測定したところ、485nmではなく450および500nmの2つのピークを示し、これら2つのピーク蛍光強度も485nmでのそれに比べて減少した。この付近にポルフィリン錯体のSoret帯の吸収ピークが存在することより、ANSとポルフィリン錯体の相互作用が生じたと考えられ、ポルフィリン錯体はANS近傍に存在すると考えられる。これらのことよりリポソームに包埋されたH2T2MPyPは上記のアルコール類と類似の極性環境に存在し、二分子膜の親水部付近に存在すると考えられる。
Pr包埋リポソームの蛍光偏光解消測定(その1):
蛍光プローブとして二分子膜の親水部近傍に存在する8-アニリノ-1-ナフタレンスルホン酸(ANS、50μM)を用いたPr包埋リポソームにおける蛍光偏光解消測定(島津製作所、RF-5300PCおよびRF-540/5000用偏光測定付属装置;測定温度範囲5〜45℃、励起波385nm、蛍光波長510nm)を行った。
ANSを含有したDMPCリポソーム(ブランク) の蛍光偏光解消測定の温度-偏光度の関係では、DMPCリポソーム二分子膜の相転移温度(Tc=23℃)付近で蛍光偏光度の減少がみられた。これに対し、ANSを含有した本発明品3(FeT2MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム)の蛍光偏光解消測定の温度-偏光度の関係では、上記のブランクと同様にTc付近で蛍光偏光度の減少が見られたが、その減少の度合いは小さいものであった。この度合いの低下はFeT2MPyPとSASのイオンコンプレックスとDMPCの相互作用に基づくものであり、当該イオンコンプレックスがDMPCリポソーム二分子膜中に存在することを裏付けている。また、pH感受性FeT2MPyP+4OAS包埋混合脂質Dリポソームでの結果も同様であった。
Pr包埋リポソームの蛍光偏光解消測定(その2):
蛍光プローブとして二分子膜の親水部近傍に存在するANS(50μM)を用いたPr包埋リポソームにおける蛍光偏光解消測定(島津製作所、RF-5300PCおよびRF-540/5000用偏光測定付属装置;測定温度範囲5〜45℃、励起波385nm、蛍光波長510nm)を行った。
ANSを含有したDMPCリポソーム(ブランク) の蛍光偏光解消測定の温度-偏光度の関係(逆シグモイダル曲線)より、DMPCリポソーム二分子膜のゲル-液晶相転移温度(Tc)は約23℃となった。ANSを含有した本発明品5(MnT4MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム)の蛍光偏光解消測定の温度-偏光度の関係は、上記のブランクに比べやや低温側に移行し、縦軸の偏光度もゲル領域で減少した。これらのことは、MnT4MPyPとSASのイオンコンプレックスとDMPCとの相互作用に基づくものであり、当該イオンコンプレックスがDMPCリポソーム二分子膜中に存在することを裏付けている。
Pr包埋リポソームの抗癌特性試験(その1):
本発明のPr包埋リポソームの抗癌特性を、アラマー・ブルー(Alamar Blue )法を用いた殺細胞試験(細胞死試験)により調べた。
試験試料としては、FeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム系(本発明品4、FeT2MPyP濃度0、12.5、25、50、100μM)を、参照試料としては、対応するカチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体(FeT2MPyP)およびイオンコンプレックス系(FeT2MPyP+4SAS)を用いた。また、細胞としては、マウス肺ガン癌細胞[Lewis Lung Carcinoma(LLC)、理研ジーンバンク)を用いた。
試験は、10%のFBSを加えたDMEM培地で、マウス肺ガン癌細胞を培養し、次いで細胞数計測および細胞濃度調製を行った細胞懸濁液を96ウェルプレートの各ウェルに加え(100μl/well、細胞数1×104cell/well)、二酸化炭素インキュベーター(CO25%)内で24時間培養した。ウェルプレート内の培地を除去後、予め調製しておいた各濃度の試料溶液を添加し(100l/well、試料濃度0〜100μM)、さらにCO2インキュベーター内で24時間インキュベートした。
濾過滅菌したアラマー・ブルー溶液を、10μl/wellで添加し、さらに5時間インキュベートした。その後、マイクロプレートリーダーを用いて吸光度測定(測定波長570nmおよび参照波長600nm)を行った。
この結果、図2のように本発明のPr包埋リポソーム(リポソーム系)はカチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体(FeT2MPyP)およびイオンコンプレックス系に比べてより良い抗癌特性を示した。
Pr包埋リポソームの抗癌特性試験(その2):
本発明のPr包埋リポソームの抗癌特性を、実施例15と同様、アラマー・ブルー(Alamar Blue )法を用いた殺細胞試験(細胞死試験)により調べた。
本試験の試験試料としては、各種のPr包埋リポソーム(金属ポルフィリン錯体濃度0、12.5、25、50、100μM)を用い、参照試料としては、上記Pr包埋リポソームの成分である金属ポルフィリン錯体(濃度0、12.5、25、50、100μM)およびリポソーム(濃度、2500、5000、10000、20000μM)を用いた。(どちらもPr包埋リポソームの濃度に対応させた。)
また、比較試料としては、現在用いられている抗癌剤であるシスプラチン(CDDP、濃度0、10、20、40、80μM)およびマイトマイシンC(MCC、濃度0、7.5、15、30、60μM)等を用いた。実施例15と同様に試験したところ、次のような結果が得られた。
まず、金属ポルフィリン錯体としてFeT2MPyPを用いた系での結果は、図3および図4に示されるが、図3からは、参照試料であるFeT2MPyP、イオンコンプレックスであるFeT2MPyP+1SASおよびFeT2MPyP+4SAS並びに公知の抗癌剤であるCDDPおよびMMCのどれもが、添加濃度の増大と共にLLCの細胞生存率の低下が見られ、特に、FeT2MPyP濃度25μM以上におけるFeT2MPyP、FeT2MPyP+1SASおよびFeT2MPyP+4SASのLLC細胞生存率はCDDPおよびMMCのそれらに比べ低くかった示される。一方図4からは、試験試料であるFeT2MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム(本発明品3)およびFeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム(本発明品4)が高い殺細胞作用を有し、これは参照試料であるFeT2MPyP+1SASイオンコンプレックス、FeT2MPyP+4SASイオンコンプレックス、CDDPおよびMMCよりも優れたものであった。
このように、Pr包埋リポソームであるFeT2MPyP+1SAS包埋DMPCリポソームおよびFeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソームは、金属ポルフィリンのイオンコンプレックス、カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体および現在使用されている抗癌剤と比べ、最も効果的な抗癌特性を示している(例えば、添加濃度50μMにおいて抗癌特性は現在使用されている抗癌剤<イオンコンプレックス<カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体<Pr包埋リポソームの順に増大している)。これより、Pr包埋リポソームは優れた抗癌剤であるといえる。
Pr包埋リポソームの抗癌特性試験(その3):
pH感受性のPr包埋リポソームの抗癌特性を、実施例15と同様、アラマー・ブルー(Alamar Blue )法を用いた殺細胞試験(細胞死試験)により調べた。
試験試料としては、pH感受性であるFeT2MPyP+4OAS包埋混合脂質4リポソーム(本発明品14)およびFeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム(本発明品4)(濃度:0、12.5、25、50、100μM)を、また、比較試料としては、現在用いられている抗癌剤であるシスプラチン(CDDP、濃度0、10、20、40、80μM)およびマイトマイシンC(MCC、濃度0、7.5、15、30、60μM)を用いた。
この結果を図5に示すが、FeT2MPyP+4OAS包埋混合脂質Dリポソームが最も効果的な抗癌特性を示し、FeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソームがこれに次ぐものであった(例えば、添加濃度12.5μMにおいて抗癌特性はCDDPおよびMMC<FeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム<FeT2MPyP+4OAS包埋混合脂質Dリポソームの順に増大している)。
特に、FeT2MPyP+4OAS包埋混合脂質Dリポソームでは、12.5μMといった低濃度添加でも細胞生存率がほぼ0%となっていることから、本発明のカチオン化カチオン性Pr包埋リポソームは優れた抗癌剤として利用可能であることが見い出された。
金属ポルフィリン錯体と過酸化水素(H2O2)の相互作用:
一般に、大過剰の過酸化水素(H2O2)存在下において、低分子の金属ポルフィリン錯体はポルフィリン環が露出しているため、H2O2と頻度高く相互作用するので分解し易いことが報告されている[ R. F. Pasternack and B. Halliwell, J. Am. Chem. Soc., 101, 1026 (1979)]。ここで、低分子系金属ポルフィリンであるMnT4MPyP、リポソーム(高分子)系であるMnT4MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム(本発明品5)およびマンガン[5,10,15,20-テトラ(3-フリル)ポルフィリン][MnT3FuP]包埋DMPCリポソーム1)(比較品)とH2O2の相互作用をUV-vis測定より検討した。すなわち、H2O2との相互作用および分解に基づくポルフィリン錯体Soret帯吸収ピーク(463nm)の減衰曲線測定およびその減衰曲線からの半減期(t1/2)の算出より評価した。なお、参考として銅/亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ(Cu/Zn-SOD)の結果も合わせて示す。なお、H2O2濃度は金属ポルフィリン錯体濃度に対して大過剰の1000倍とした。 これらの結果を表5に示す。
1)疎水性マンガンポルフィリン錯体が、DMPCリポソームの二分子膜疎水部(二分子膜内部)に包埋されたもの。
Pr包埋リポソームのSOD活性評価(その1):
Pr包埋リポソームのSOD活性(すなわち、O2 −・消去活性)をマッコード、フライドビッチらおよびバトラーらのチトクロームc法により評価した[(1) J. M. Mccord and I. Fridovich, J. Biol. Chem., 244, 6049 (1969) および (2) J. Butler, W. H. Kopenol, E. Margoliash, J. Biol. Chem., 257, 10747 (1982)]。具体的には下記のように行った。金属ポルフィリン濃度で0〜1000μMのPr包埋リポソーム溶液(A溶液)を5水準以上調製した。次に、0.3mMキサンチン水溶液、60μMチトクロームc水溶液およびpH7.8、30mMリン酸緩衝水溶液を各20ml取り、さらに、純水24mlを加えて混合溶液(B溶液)を得た。このB溶液 2.1mlにA溶液 0.3mlと純水 0.2mlを加えて放置(25℃、10min)した。放置後の混合溶液に7μg/mlカタラーゼ水溶液 0.1ml、25U/mlキサンチンオキシダーゼ(XOD)水溶液 0.3mlをすばやく混合して550nm(フェロチトクロームc生成に基づく吸収ピーク)におけるUV-visの経時測定を行った(最終的な試験溶液の各成分の濃度は、金属ポルフィリン錯体0〜100μM、キサンチン0.05mM、XOD2.5U/ml、チトクロームc10μMおよびカタラーゼ0.23μg/mlである。)。また、Pr包埋リポソーム無添加系(ブランク)でも同様に測定した。これらUV-visの経時測定における「時間-550nmでの吸光度」の関係よりPr包埋リポソーム無添加系および添加系でのフェロチトクロームc生成速度(viおよびvo)を求め、さらに、下式から阻害率(IC)を算出し、最終的に、「金属ポルフィリン錯体濃度-IC」の関係よりIC=50%おける金属ポルフィリン濃度(IC50)を求めてこれをSOD活性の指標とした(IC50が小さいほど高いSOD活性を示す)。なお、参照として対応するイオンコンプレックス(MnT4MPyP+1SAS等)についても同様にSOD活性を評価した。
阻害率(IC)=1-(vi/vo)
vo:Pr包埋リポソーム無添加系でのフェロチトクロームc生成速度
vi:Pr包埋リポソーム添加系でのフェロチトクロームc生成速度
表6に各種金属ポルフィリン錯体系のIC50を示す。なお、MnT4MPyPのIC50はフライドビッチらの文献値を示した[ I. Batinic-Haberle, L. Benov, and I. Fridovich, J. Biol. Chem., 273, 24251 (1998)]。
Pr包埋リポソームのSOD活性評価(その2):
Pr包埋リポソームのSOD活性(すなわち、O2 −・消去活性)をリレイ(Riley)らのストップドフロー法により評価した[ D. P. Riley, W. L. Rivers, and R. H. Weiss, Anal. Biochem., 196, 344 (1991)]。具体的には下記のように行った。36℃において,O2 −・発生源である超酸化カリウムを含むジメチルスルホキシド溶液と各種濃度のPr包埋リポソームを含む60mMHEPES/HEPESNa緩衝溶液(pH8.1)を急速混合し、O2 −・に基づく245nmの吸光度の減衰(O2 −・消失反応の減衰曲線)を経時的に測定した。この減衰曲線より「ln(吸光度)-時間」の関係を求め、さらに、この関係の傾きより見かけの速度定数を算出した。最終的に、「金属ポルフィリン錯体濃度-見かけの速度定数」関係の傾きよりO2 −・消失反応の速度定数(kcat)を求めた。 なお、参照としてイオンコンプレックス(MnT4MPyP+1SAS等)についても同様にSOD活性を評価した。
表7に各種金属ポルフィリン錯体系のkcatを示す。なお、MnT4MPyPのkcatはオオセ、カワカミらの文献値で示した[ T. Ohse, S. Nagaoka, Y. Arakawa, H. Kawakami, and K. Nakamura, J. Inorg. Biochem., 85, 201 (2001)]。
Pr包埋リポソームのSOD活性評価(その3):
Pr包埋リポソームを代表とする各種金属ポルフィリン錯体のSOD活性の比較を行った。試料としてMnT4MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム(MnT4MPyP/リポソーム系)、MnT3FuP包埋DMPCリポソーム(MnT3FuP/リポソーム系)およびMnT4MPyPを用い、チトクロームc法およびストップドフロー法より評価した。なお、試料調製および測定は実施例19および20と同様である。
表8に各種金属ポルフィリン錯体のSOD活性の指標であるkcatおよびIC50を示す。
Claims (15)
- カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体とリポソーム形成能を有する脂質とを含有する金属ポルフィリン錯体包埋リポソームであって、前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体が、アニオン系界面活性剤とイオンコンプレックスを形成している状態で存在するとともに前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体部分が前記リポソームの表面または前記脂質の親水部に存在し、前記アニオン系界面活性剤のアルキル側鎖は前記脂質の疎水性部に埋め込まれていることを特徴とする金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
- カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体が、次式(I)、(II)または(III)
で表されるものであることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。 - カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体が、金属[5,10,15,20-テトラキス(2-メチルピリジル)ポルフィリン](MT2MPyP)、金属[5,10,15,20-テトラキス(4-メチルピリジル)ポルフィリン](MT4MPyP)または金属[[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(4-メチルピリジルアミドエチル)]ポルフィリン](MPPIX-DMPyAm)の1種または2種以上であり、当該錯体の金属部分(M)が、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)またはイリジウム(Ir)であることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
- アニオン系界面活性剤が、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ドデシル硫酸、テトラデシル硫酸、ヘキサデシル硫酸若しくはオクタデシル硫酸またはそれらの塩であることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
- リポソーム形成能を有する脂質が、リン脂質であることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
- リポソーム形成能を有する脂質が、大豆レシチン(SBL)、卵黄レシチン(EYL)、ジラウロイルホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)およびモノオレオイル-モノアルキル-ホスファチジルコリン(MOMAPC)から選ばれるリン脂質の1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
- リポソーム形成能を有する脂質が、リン脂質とコレステロールの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
- リポソーム形成能を有する脂質が、リン脂質とポリエチレングリコールまたはその誘導体との混合物であることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
- リポソーム形成能を有する脂質が、リン脂質とOAS、ジメチルジテトラデシルアンモニウムブロミド(DTDAB)、Tween-61(TW61)またはTween-80(TW80)から選ばれる界面活性剤との混合物であることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
- 粒径が100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
- カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体とアニオン系界面活性剤を反応させてイオンコンプレックスを形成させ、次いで、このイオンコンプレックスとリポソーム形成能を有する脂質とを混合し、超音波処理することにより、前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体が、アニオン系界面活性剤とイオンコンプレックスを形成している状態で存在するとともに前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体部分が前記リポソームの表面または前記脂質の親水部に存在し、前記アニオン系界面活性剤のアルキル側鎖は前記脂質の疎水性部に埋め込まれている金属ポルフィリン錯体包埋リポソームを製造することを特徴とする金属ポルフィリン錯体包埋リポソームの製造方法。
- カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体とリポソーム形成能を有する脂質とを含有する金属ポルフィリン錯体包埋リポソームであって、前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体が、アニオン系界面活性剤とイオンコンプレックスを形成している状態で存在するとともに前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体部分が前記リポソームの表面または前記脂質の親水部に存在し、前記アニオン系界面活性剤のアルキル側鎖は前記脂質の疎水性部に埋め込まれている金属ポルフィリン錯体包埋リポソームを有効成分として含有することを特徴とする医薬。
- 抗癌剤であることを特徴とする請求項12に記載の医薬。
- 抗酸化剤であることを特徴とする請求項12に記載の医薬。
- 炎症疾患、神経疾患、動脈硬化または糖尿病の治療用薬剤であることを特徴とする請求項12に記載の医薬。
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