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JP4741205B2 - 金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム、その製造方法およびこれを利用する医薬 - Google Patents

金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム、その製造方法およびこれを利用する医薬 Download PDF

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本発明は、金属ポルフィリン錯体包埋リポソームに関し、更に詳細には、生体内において抗癌剤あるいは抗酸化剤として作用する金属ポルフィリン錯体包埋リポソームおよびその製造方法に関する。
一般に、生体内で生成される数々の活性酸素種は炎症疾患、神経疾患、動脈硬化、癌、糖尿病等多くの病態に関与しているといわれているが、通常生体では、これらの活性酸素種に対し、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ等のラジカル消去酵素を備えてバランスを保っている。
しかしながら、生体内の癌細胞においてはスーパーオキシドアニオンラジカル(O ・)が多量に存在していることが知られており、これらの酵素活性の低下していることが伺える。
一方、炎症疾患、神経疾患、動脈硬化、糖尿病等の疾病でも、その原因は、SOD、カタラーゼ等のラジカル消去酵素のバランスが崩れ、O ・などの活性種が増加したことによるものとされている。
ところで、金属ポルフィリン錯体は高いSOD活性を示すことが報告されているので、このものを生体内に投与することにより、O ・を初めとする活性酸素種を有効に消去させ、活性酸素のもたらす生体内障害から生体を守ることが予想される。
しかし、金属ポルフィリン錯体を単独で生体内に投与することは、安全性や効果の点から問題も多く、現在まで医薬として利用するに至っていないのが実情である。
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、金属ポルフィリン錯体を安全に生体内に投与することができ、しかも金属ポルフィリン錯体の有するSOD活性を発揮させることのできる手段を提供することをその課題とするものである。
また、現在臨床的に用いられておりながら、副作用が大きな問題となっているシスプラチン(CDDP)やマイトマイシンC(MMC)等の抗癌剤に代わる、癌細胞にのみ選択的に効果を示す抗癌剤や、活性酸素種が関連するといわれる、炎症疾患、神経疾患、動脈硬化、糖尿病等の癌以外の疾患を治療する抗酸化剤の提供もその課題とする。
本発明者らは、癌細胞内に存在しているO ・をターゲットとし、金属ポルフィリン錯体のSOD活性作用を利用してこの濃度を低下させる手段について、種々検討した結果、金属ポルフィリン錯体をリポソームに埋設することにより、優れたSOD活性を有したまま安全に体内に投与可能であり、しかも血液中滞留も可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体とリポソーム形成能を有する脂質とを含有する金属ポルフィリン錯体包埋リポソームであって、前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体が、アニオン系界面活性剤とイオンコンプレックスを形成している状態で存在するとともに前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体部分が前記リポソームの表面または前記脂質の親水部に存在し、前記アニオン系界面活性剤のアルキル側鎖は前記脂質の疎水性部に埋め込まれている金属ポルフィリン錯体包埋リポソームである。
また、本発明は、カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体とアニオン系界面活性剤を反応させてイオンコンプレックスを形成させ、次いで、このイオンコンプレックスとリポソーム形成能を有する脂質とを混合し、超音波処理することにより、前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体が、アニオン系界面活性剤とイオンコンプレックスを形成している状態で存在するとともに前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体部分が前記リポソームの表面または前記脂質の親水部に存在し、前記アニオン系界面活性剤のアルキル側鎖は前記脂質の疎水性部に埋め込まれている金属ポルフィリン錯体包埋リポソームを製造することを特徴とする金属ポルフィリン錯体包埋リポソームの製造方法である。
更に本発明は、カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体とリポソーム形成能を有する脂質とを含有する金属ポルフィリン錯体包埋リポソームであって、前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体が、アニオン系界面活性剤とイオンコンプレックスを形成している状態で存在するとともに前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体部分が前記リポソームの表面または前記脂質の親水部に存在し、前記アニオン系界面活性剤のアルキル側鎖は前記脂質の疎水性部に埋め込まれている金属ポルフィリン錯体包埋リポソームを有効成分として含有する医薬である。
本発明の金属ポルフィリン錯体包埋リポソームは、スーパーオキシドアニオンラジカル(O ・)をターゲットとし、これを確実に低減させることができるものである。
従って、癌細胞中のO ・を低下させて癌の治癒に優れた効果を奏することができ、しかもその効果は選択的であるので、副作用のない新たな抗癌剤として利用可能なものである。
また、本発明の金属ポルフィリン錯体包埋リポソームは、SOD活性を有し、血液中滞留も可能であるという抗酸化剤として優れた効果を有するので、活性酸素のもたらす生体内障害から生体を守ることができるものである。
本明細書中において、「金属ポルフィリン包埋リポソーム」とは、金属ポルフィリン錯体が、リポソームを構成する脂質中に組み込まれ、その一部がリポソーム膜外に出ているか、あるいは全くリポソーム膜内に包含されているものを意味する。
本発明の金属ポルフィリン錯体包埋リポソームは、カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体とアニオン系界面活性剤により形成するイオンコンプレックスと、リポソーム形成能を有する脂質とを含有するものである。
本発明の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム(以下、単に「Pr包埋リポソーム」ということがある)の構成成分であるカチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体とアニオン系界面活性剤により形成するイオンコンプレックス(以下、単に「イオンコンプレックス」という)は、カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体に界面活性剤を反応させることにより調製される。
このイオンコンプレックスを形成する成分の一つであるカチオン化カチオン性ポルフィリン錯体は、置換基としてカチオン性窒素原子を有する基を有するものであり、例えば、次の式(I)(II)または(III)で表すものを挙げることができる。
(式中、RないしRは、N-低級アルキルピリジル基、アルキルアンモニオフェニル基、-アルキルイミダゾリル基から選ばれる基を示し、R11ないしR16は、低級アルキル基または低級アルコキシ基を、R17ないしR18は、N-低級アルキルピリジル基、アルキルアンモニオフェニル基、N-アルキルイミダゾリル基を示し、R21ないしR26は、低級アルキル基または低級アルコキシ基を、R27ないしR28は、アルキルアンモニオフェニル基を示す)
より具体的には、上記(I)式において、基R-Rがメチルピリジル基である、5,10,15,20-テトラキス(2-メチルピリジル)ポルフィリン(T2MPyP)、5,10,15,20-テトラキス(3-メチルピリジル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4-メチルピリジル)ポルフィリン(T4MPyP);基R-Rがエチルピリジル基である、5,10,15,20-テトラキス(2-エチルピリジル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(3-エチルピリジル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4-エチルピリジル)ポルフィリン;基R-Rがプロピルピリジル基である、5,10,15,20-テトラキス(2-プロピルピリジル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(3-プロピルピリジル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4-プロピルピリジル)ポルフィリン;基R-Rがブチルピリジル基である、5,10,15,20-テトラキス(2-ブチルピリジル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(3-ブチルピリジル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4-ブチルピリジル)ポルフィリン;基R-Rがメチルアンモニオフェニル基である、5,10,15,20-テトラキス(2-メチルアンモニオフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(3-メチルアンモニオフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4-メチルアンモニオフェニル)ポルフィリン;基R-Rがメチルイミダゾリル基である、5,10,15,20-テトラキス(2-メチルイミダゾリル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(3-メチルイミダゾリル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4-メチルイミダゾリル)ポルフィリン等が挙げられる。
また、上式(II)式において、基R11、R12、R14、R16がメチル、基R13、R15がビニル、基R17、R18がメチルピリジルである、[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(メチルピリジルアミドエチル)ポルフィリン](PPIX-DMPyAm);基R11、R12、R14、R16がメチル、基R13、R15がビニル、基R17、R18がアンモニオフェニルである、[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(アンモニオフェニルアミドエチル)ポルフィリン];基R11、R12、R14、R16がメチル、基R13、R15がビニル、基R17、R18がメチルイミダゾリルである、[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(メチルイミダゾリルアミドエチル)ポルフィリン];基R11、R12、R14、R16がメチル、基R13、R15がメトキシ、基R17、R18がメチルピリジルである、[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジメトキシ-6,7-ジ(メチルピリジルアミドエチル)ポルフィリン];基R11-R16がメチル、基R17、R18がメチルピリジルである、[1,2,3,4,5,8-ヘキサメチル-6,7-ジ(メチルピリジルアミドエチル)ポルフィリン];基R11-R16がエチル、基R17、R18がメチルピリジルである、[1,2,3,4,5,8-ヘキサエチル-6,7-ジ(メチルピリジルアミドエチル)ポルフィリン]等が挙げられる。
更に、上式(III)式において、基R21、R22、R24、R26がメチル、基R23、R25がビニル、基R27、R28がメチルアンモニオである、[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(メチルアンモニオカルボニルエチル)ポルフィリン];基R21、R22、R24、R26がメチル、基R23、R25がメトキシ、基R27、R28がメチルアンモニオである、[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジメトキシ-6,7-ジ(メチルアンモニオカルボニルエチル)ポルフィリン];基R21-R26がメチル、基R27、R28がメチルアンモニオである、[1,2,3,4,5,8-ヘキサメチル-6,7-ジ(メチルアンモニオカルボニルエチル)ポルフィリン];基R21-R26がエチル、基R27、R28がメチルアンモニオである、[1,2,3,4,5,8-ヘキサエチル-6,7-ジ(メチルアンモニオカルボニルエチル)ポルフィリン]等が挙げられる。
これらのカチオン化カチオン性ポルフィリン錯体に配位する金属としては、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、イリジウム(Ir)等が好ましい。
上記のうち、金属が配位した式(I)で表されるカチオン化カチオン性ポルフィリン錯体の合成は、K. Kalyanasundaram, Inorg. Chem., 23, 2453(1984)、 A. D. Adler et al., J. Inorg. Nucl. Chem., 32, 2443(1970)、 T, Yonetani et al., J. Biol. Chem., 245, 2988(1970)、 P. Hambright, Inorg. Chem., 15, 2314(1976)等に記載の方法に準じて行うことができる。
また、金属が配位した式(II)および(III)で表されるカチオン化カチオン性ポルフィリン錯体の合成は、E. Tsuchida, H. Nishide, H. Yokoyama, R. Young, and C. K. Chang, Chem. Lett., 1984, 991等に記載の方法に準じて行うことができる。
なお、上記した金属[5,10,15,20-テトラキス(2-メチルピリジル)ポルフィリン](MT2MPyP)および金属[5,10,15,20-テトラキス(4-メチルピリジル)ポルフィリン](MT4MPyP)の化学構造を示せば下の化(3):MT2MPyPの化学構造式および化(4):MT4MPyPの化学構造式のとおりである。
一方、イオンコンプレックスを形成する別の成分の一つであるアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸のアルカリ金属塩や、アルキル硫酸のアルカリ金属塩が好ましく、その例としては、ラウリン酸(LAS)、ミリスチン酸(MAS)、パルミチン酸(PAS)、ステアリン酸(SAS)、オレイン酸(OAS)等の脂肪酸のアルカリ金属塩や、ドデシル硫酸(SDS)、テトラデシル硫酸(STS)、ヘキサデシル硫酸(SHS)、オクタデシル硫酸(SOS)等のアルキル硫酸のアルカリ金属塩挙げることができる。なお、脂肪酸のアルカリ金属塩や、アルキル硫酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウム、カリウム等が好ましい。
このイオンコンプレックスを形成するには、適当な溶媒中でカチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体とアニオン系界面活性剤を混合すれば良く、カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体とアニオン系界面活性剤との配合比は、それらのモル比で、1:1ないし1:20程度とすれば良い。
このようにして形成されたイオンコンプレックスは、リポソーム形成能を有する脂質(以下、「脂質類」という)と混合し、リポソームを形成させるための常法によりPr包埋リポソームとすることができる。
脂質類としては、大豆レシチン(SBL)、卵黄レシチン(EYL)、ジラウロイルホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、モノオレオイル-モノアルキル-ホスファチジルコリン(MOMAPC)等を単独で含むリン脂質あるいはこれを主成分とし他の成分も含む基質(以下、「混合リン脂質」ということがある)。を挙げることができる。
混合リン脂質の調製にあたり、リン脂質と混合することのできる成分としては、オレイン酸(OAS)等の脂肪酸、ジメチルジテトラデシルアンモニウムブロミド(DTDAB)、Tween-61(TW61)、Tween-80(TW80)等の界面活性剤等を挙げることができる。
特に、DMPC、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)等のリン脂質、DTDAB、ジメチルジヘキサデシルアンモニウムブロミド(DHDAB)等のカチオン性界面活性剤、OAS、SAS等のアニオン性界面活性剤、TW61、TW80等のノニオン性界面活性剤を成分とする混合脂質系より得られるリポソームは、pH感受性リポソームとなる。そして、例えばこのリポソームが癌細胞内に取り込まれると、癌細胞内が低pHであるため、このリポソーム集合体の崩壊が生じ、抗癌剤のより効果的な徐放が促される。このようなpH感受性リポソームにイオンコンプレックスを包埋した系(Pr包埋/pH感受性リポソーム)も合成できる。
また、混合リン脂質として、リン脂質に周知のコレステロール(Chol)等を加えたものや、リン脂質にポリエチレングリコールまたはその誘導体を加えたものを挙げることができる。
上記イオンコンプレックスと脂質類からPr包埋リポソーム形成させるには、まず、これら成分を適当な溶媒中に取り、これを十分混合させることが必要である。
リポソーム形成に当たっての、イオンコンプレックスと脂質類の使用量は、イオンコンプレックス1モルに対し、脂質類を10から500モル、特に50から300モルとすることが好ましい。
リポソームの形成は、既に公知の方法により行うことができ、例えば、上記両成分を揮発性溶媒中に溶解、混合した後、揮発性溶媒のみを揮散、除去し、次いでこれに適当な水性溶媒、例えば、精製水、生理食塩水等を加え、激しく攪拌したり、超音波処理すことによりPr包埋リポソームとすることができる。
なお、必要により、水性溶媒に代えて医薬的に有効な成分を溶解した溶液や、ある種の培地等を使用することができ、これらを内包したPr包埋リポソームを得ることもできる。
かくして得られたPr包埋リポソームは、後記のようにその構造解析を蛍光スペクトルや動的光散乱測定等を用いて行った結果、図1に示すように、カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体部分はリポソームの表面または脂質等の親水部に存在し、界面活性剤のアルキル側鎖は脂質の疎水性部に埋め込まれていることが示された。
また、リポソームの粒径は100nm以下であり、体内に取り込まれた際、細胞に到達可能な大きさであることがわかった。
更に、後記するように、Pr包埋リポソームの抗癌特性試験を行った結果、当該リポソームの原料である単純なカチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体を投与した場合に比べ、Pr包埋リポソームを使用した場合の効果が優れており、この効果は、現在抗癌剤として使用されているシスプラチン(CDDP)やマイトマイシンC(MMC)より格段に高いことが示された。
更にまた、Pr包埋リポソームのSOD活性を評価したところ、このものは当該リポソームの原料である単純なカチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体と同等のSOD活性を示すことがわかり、血中滞留型のSOD化合物になり得ることがわかった。
以上のように、本発明のPr包埋リポソームは、優れた抗癌作用を有するものであり、癌治療の分野において抗癌剤として使用可能なものである。
従って、癌患者にこのPr包埋リポソームを直接投与、静脈内投与、皮下投与等により投与することによって当該患者の癌を治療することができる。
同様、本発明のPr包埋リポソームは、優れた抗酸化作用を有し、活性酸素のもたらす生体内障害、例えば、炎症疾患、神経疾患、動脈硬化、糖尿病から生体を守ることができる。
従って、このものを炎症疾患、神経疾患、動脈硬化または糖尿患者に、直接投与、静脈内投与、皮下投与等により投与することによって当該患者の癌を治療することができる。
以下に、実施例および試験例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
実 施 例 1
鉄[5,10,15,20-テトラキス(2-メチルピリジル)ポルフィリン](FeT2MPyP)の合成:
(1)プロピオン酸 500mlを100℃まで攪拌・加熱後、2-ピリジルカルボキシアルデヒド 15ml(0.158mol)を加えた。その後、ピロール 12ml(0.173mol)を注射器で少しずつ滴下し、100℃で1時間還流を行って環化縮合した。反応後、室温まで放冷し、溶媒を留去した。中和、洗浄およびカラムクロマトグラフィー(アルミナ basic type I、クロロホルム)を行い、生成物である5,10,15,20-テトラキス(2-ピリジル)ポルフィリンを得た(収量1.1g、収率4.4%)。
H-NMR δ(CDCl、ppm):
-2.82(ピロールNHのH、2H)、7.72〜9.14(ピリジンのH、16H)、8.87(ピロールのH、8H)
UV-vis λmax(クロロホルム、nm):
418、513、544、586、645
FAB-Mass(m/z):
619、620
(2)次に、アルゴン(Ar)雰囲気下でジメチルホルムアミド 150mlに上記(1)で得た5,10,15,20-テトラキス(2-ピリジル)ポルフィリン 0.2g(3.2×10−4mol)を加えて溶解させ、さらに、鉄 0.2gと48%臭化水素酸 5mlより得た臭化鉄(FeBr)を加えて4時間還流した。反応後、室温まで放冷し、溶媒を留去した。
抽出、カラムカラムクロマトグラフィー(アルミナ basic typeI、メタノール)を行い、前駆体の鉄[5,10,15,20-テトラキス(2-ピリジル)ポルフィリン]を得た(収量0.21g、収率94%)。
UV-vis λmax(メタノール、nm):
408、512、566
FAB-Mass(m/z):
672
(3)ジメチルホルムアミド 30ml中に、上記(2)で得た鉄[5,10,15,20-テトラキス(2-ピリジル)ポルフィリン] 0.1gとp-トルエンスルホン酸メチル 6mlとを加え、130℃で5時間還流した。還流後、室温まで放冷し、溶媒を留去した。抽出、カラムクロマトグラフィー(アルミナ basic typeI、メタノール)を行い、目的物質であるFeT2MPyPを得た(収率91%)。
UV-vis λmax(水、nm):
408、584
元素分析(%):
Found. C75.11、H3.97、N17.66、C/N4.25
Calcd. C77.58、H4.24、N18.12、C/N4.28
(4)工程(1)において、2-ピリジルカルボキシアルデヒドを4-ピリジルカルボキシアルデヒドに変える以外は上記(1)工程ないし(3)工程と同様にして鉄[5,10,15,20-テトラキス(4-メチルピリジル)ポルフィリン](FeMT4MPyP)を得た。他の金属[5,10,15,20-テトラキス(2-メチルピリジル)ポルフィリン](MT2MPyP)および他の金属[5,10,15,20-テトラキス(4-メチルピリジル)ポルフィリン](MT4MPyP)も上記に準じて合成できる。
実 施 例 2
鉄[[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(4-メチルピリジルアミドエチル)]ポルフィリン](FePPIX-DMPyAm)の合成:
(1)鉄[[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(カルボキシルエチル)]ポルフィリン] 500mg(8.1×10−4mol)を含むテトラハイドロフラン/トリエチルアミン溶液(10:1)110mlを冷却し、これにクロロギ酸エチル 0.33ml(2.0×10−3mol)を加えて90分間反応させた。さらに、4-アミノピリジン 0.20g(2.0×10−3mol)を加えてさらに1時間反応させ、その後室温で1晩放置した。
溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー[シリカゲル、メタノール/水(9/1)]、再結晶により精製し、前駆体である鉄[[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-(4-ピリジルアミドエチル)]ポルフィリン]を得た(収量30mg)。
UV-vis λmax(メタノール、nm):
398、485、596、643
FAB-Mass(m/z):
767
(2)次に、上記の前駆体 30mg(3.9×10−5mol)およびp-トルエンスルホン酸メチル 0.75mlをジメチルホルムアミド 20ml中に溶解させて還流(130℃、5時間)した。室温まで冷却し、その後溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー[酸性アルミナ、メタノール]で精製し、目的物質であるFePPIX-DMPyAmを得た(収量30mg)。
UV-vis λmax(メタノール、nm):
398、481、579
FAB-Mass(m/z):
797
(3)工程(1)の鉄[[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(カルボキシルエチル)]ポルフィリン]に代え、他の金属[[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(カルボキシルエチル)]ポルフィリン]を使用し、工程(1)および工程(2)と同様にして他の金属[[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(4-メチルピリジルアミドエチル)]ポルフィリン](MPPIX-DMPyAm)を合成することができる。
実 施 例 3
マンガン[5,10,15,20-テトラキス(4-メチルピリジル)ポルフィリン](MnT4MPyP)の合成:
(1)プロピオン酸 500ml中に4-ピリジルカルボキシアルデヒド 15mlを加えて加温し、100℃になった後にピロール12mlを加えて1時間還流した。反応後、放冷、エバポレーション、中和および洗浄を行った。その後、カラムクロマトグラフィー(塩基性アルミナ、クロロホルム)等で生成し、紫色結晶として5,10,15,20-テトラキス(4-ピリジル)ポルフィリンを得た(収量1.68g、収率7.08%)。
H-NMR δ(CDCl、ppm):
-2.9(ピロールNHのH、2H)、8.2〜9.1(ピリジンのH、16H)、8.9(ピロールのH、8H)
UV-vis λmax(クロロホルム、nm):
417、513、546、589、641
FAB-Mass(m/z):
619、620
(2)次に、上記(1)で得た5,10,15,20-テトラキス(4-ピリジル)ポルフィリン 100mgを含むジメチルホルムアミド溶液 100mlを、アルゴン(Ar)置換した後、酢酸マンガン・四水和物 370mgを加えて、Ar下で3時間還流した。反応後、放冷、エバポレーション、抽出、減圧乾燥等を行い、マンガン[5,10,15,20-テトラキス(4-ピリジル)ポルフィリン]を得た(収量81.8mg、収率75.2%)。
UV-vis λmax(クロロホルム、nm):
477、579、611
FAB-Mass(m/z):
672
(3)次に、上記のマンガン[5,10,15,20-テトラキス(4-ピリジル)ポルフィリン] 200mgとp-トルエンスルホン酸メチル 12mlとを反応させた(120℃、5時間)。反応後、放冷、抽出等を行い、カラムクロマトグラフィー[(1)酸性アルミナおよび(2)塩基性アルミナ、メタノール]を行い、目的物質であるMnT4MPyPを得た(収量153mg)。
UV-vis λmax(水、nm):
462、559、636
(4)工程(1)において、4-ピリジルカルボキシアルデヒドを2-ピリジルカルボキシアルデヒドに変える以外は上記(1)工程ないし(3)工程と同様にしてマンガン[5,10,15,20-テトラキス(2-メチルピリジル)ポルフィリン](MnT2MPyP)を得た。他の金属[5,10,15,20-テトラキス(4-メチルピリジル)ポルフィリン](MT4MPyP)および他の金属[5,10,15,20-テトラキス(2-メチルピリジル)ポルフィリン](MT2MPyP)も上記と同様にして合成できる。
実 施 例 4
マンガン[[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(4-メチルピリジルアミドエチル)]ポルフィリン](MnPPIX-DMPyAm)の合成:
(1)EC法[例えば、 E. Tsuchida, H. Nishide, H. Yokoyama, R. Young and C. K. Chang, Chem. Lett., 1984, 991等]に基づき、1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(カルボキシルエチル)]ポルフィリン(プロトホルフィリンIX) 1gとクロロギ酸エチル 2mlをテトラヒドロフラン/トリエチルアミン(250/3ml)中、0℃で1時間反応させ、酸クロライド体を得た。
この酸クロライド体と4-アミノピリジン 1.68gを同一条件で2時間反応させ、さらに、室温で終夜反応させた。反応後、エバポレーション、カラムクロマトグラフィー[シリカゲル、メタノール/クロロホルム(1/9)]を行い、[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(4-ピリジルアミドエチル)]ポルフィリンを得た(収量0.469g、収率68.4%)。
UV-vis λmax(クロロホルム、nm):
407、506、542、575、629
FAB-Mass(m/z):
715
(2)次に、[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(4-ピリジルアミドエチル)]ポルフィリン 200mgを含むジメチルホルムアミド溶液 200mlをAr置換した後、酢酸マンガン・四水和物 686mgを加えて、Ar下で6時間還流した。反応後、放冷、エバポレーション、洗浄、減圧乾燥等を行い、マンガン[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(4-ピリジルアミドエチル)]ポルフィリンを得た(収量0.106mg、収率45.7%)。
UV-vis λmax(クロロホルム、nm):
387、465、557、621
(3)更に、上記のマンガン錯体200mgとp-トルエンスルホン酸メチルを9mlとを反応させた(140℃、6時間)。反応後、放冷、抽出等を行い、カラムクロマトグラフィー(酸性アルミナ、メタノール)を行い、目的物質であるMnPPIX-DMPyAm[収量80.5mg、収率37.5%]を得た。
UV-vis λmax(水、nm):
389、467、556、622
実 施 例 5
Pr包埋リポソームの合成(その1):
試験管に、実施例2で得たFePPIX-DMPyAm 1μmolおよび脂質であるジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC) 200μmolを取り、更に少量のメタノールを用いて混合した。溶媒を留去して薄膜を形成させた後、そこに生理食塩水 10ml加え、超音波処理(Ar下、氷浴中、30W、30min、プローブ型超音波照射装置)を行った。超音波処理後、静置(室温、1hr)および濾過滅菌(0.22μmφ)を行い、FePPIX-DMPyAmを包埋したDMPCリポソーム(本発明品1)を得た。
同様、実施例4で得たMnPPIX-DMPyAmとDMPCを用い、MnPPIX-DMPyAmを包埋したDMPCリポソーム(本発明品2)を得た。
実 施 例 6
Pr包埋リポソームの合成(その2):
(1)カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体であり、実施例1で得られたFeT2MPyP1.4mg(1μmol)と、界面活性剤であるSAS0.3mg(1μmol)を試験管に取り、これに溶媒としてメタノール5mlを加えて混合し、イオンコンプレックス1(FeT2MPyP+1SAS)を調製した。
また、上記のSAS 1μmolに代え、SAS 1.2mg(4μmol)およびOAS 1.2mg(4μmol)を用い、それぞれイオンコンプレックス2(FeT2MPyP+4SAS)およびイオンコンプレックス3(FeT2MPyP+4OAS)を得た。
同様に、カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体として、FeT4MPyP、MnT2MPyP、MnT4MPyP、FeT2MPyP+MnT2MPyP(モル比1:1)、FeT4MPyP+MnT4MPyP(モル比1:1)を用い、界面活性剤として、SAS、OASを用い、表1に示すようなイオンコンプレックス4-14を調製した。
(2)次に、試験管に上記のイオンコンプレックス1(1μmol)と、脂質であるDMPC 0.135g(200μmol)を取り、溶媒として少量のクロロホルムを用いて混合した。溶媒を留去して薄膜を形成させた後、そこに生理食塩水 10ml加え、超音波処理(Ar下、氷浴中、30W、30min、プローブ型超音波照射装置)を行った。超音波処理後、静置(室温、1hr)および濾過滅菌(0.22μmφ)し、Pr包埋リポソーム(FeT2MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム;本発明品3)を得た。
同様、イオンコンプレックス2とDMPC、イオンコンプレックス4とDMPC、イオンコンプレックス5とDMPCを用い、Pr包埋リポソーム(FeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム/本発明品4;MnT4MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム/本発明品5;MnT4MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム/本発明品6)を得た。
また、イオンコンプレックス4と卵黄レシチン(EYL)より、MnT4MPyP+1SAS包埋EYLリポソーム(本発明品7)を得た。
実 施 例 7
Pr包埋/pH感受性リポソームの合成:
(1)ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジメチルジテトラデシルアンモニウムブロミド(DTDAB)、オレイン酸(OAS)、Tween-61(TW61)、Tween-80(TW80)等を用い、表2に示す混合脂質A〜Dを調製した。
(2)表2に示す混合脂質AないしD、202μmolと、実施例6で得たイオンコンプレックス1 1μmolとを用い、pH感受性Pr包埋リポソーム(本発明品8〜11)を実施例6(2)と同様にして調製した。
実 施 例 8
Pr包埋リポソームの合成(その4):
表1に示すイオンコンプレックス3 1μmolと、 表2に示す脂質A、BおよびD 200μmolを、表3に示す組み合わせて用い、以下実施例6(2)と同様にしてpH感受性Pr包埋リポソーム(本発明品12〜14)調製した。
実 施 例 9
Pr包埋リポソームの透過型電子顕微鏡(TEM)観察:
Pr包埋リポソームの形態、粒径等を評価するため、凍結割断レプリカ法による透過型電子顕微鏡(TEM)観察(JEOL、JEM-1200EX)を行った。実施例6で得たFeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム(本発明品4)のTEM観察より、粒径が100nm以下の二分子膜小胞体であるリポソームが形成されていることがわかり、さらに、精査すると20〜30nm程度および50〜60nmmin程度の平均粒径といった2つの粒径分布を有する二分子膜小胞体(リポソーム)が観測された。
実 施 例 10
Pr包埋リポソームの動的光散乱測定(その1):
Pr包埋リポソームの粒径および粒径分布を測定するため動的光散乱測定( Nicomp 370、Particle Sizing System)を行った。例えば、実施例9に従い合成したFeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム(本発明品4)の動的光散乱測定より、体積分布では平均粒径24.6nmのものが61.2%、58.4nmのものが38.8%の2種類存在していた(数分布では平均粒径23.2nmのものが94.5%、52.5nmのものが5.5%)。この結果はTEM観察による粒径分布の結果と対応した。
また、実施例5ないし6で合成したPr包埋リポソームの動的光散乱測定結果を表4に示す。
表4より、どのPr包埋リポソームの平均粒径も100nm以下であり、体内に投与した場合毛細血管内皮を越えて目的の細胞に到達可能であることが明らかとなった。
実 施 例 11
Pr包埋リポソームの動的光散乱測定(その2):
実施例10と同様にして、実施例6に従い合成したMnT4MPyP-1SAS包埋DMPCリポソーム(本発明品5)およびMnT4MPyP-4SAS包埋DMPCリポソーム(本発明品6)について動的光散乱測定を行った。
この結果、本発明品5の平均粒径は29nm(分布割合が99.8%で、残りは平均粒径173nmのものが0.2%程度)、本発明品6の平均粒径は29nm(分布割合が99.7%で、残りは平均粒径171nmのものが0.3%程度)であり、いずれもその平均粒径100nm以下であって生体内投与しても問題の無い大きさであった。
実 施 例 12
Pr包埋リポソームの蛍光スペクトル測定:
(1)Pr包埋リポソームにおいて、包埋したポルフィリン錯体がリポソーム内のどの位置に存在しているかを評価するため、Pr包埋リポソームの蛍光スペクトル測定(島津製作所、RF-5300PC)を行った。
この測定においては、金属ポルフィリン錯体は一般に蛍光消光するため、金属ポルフィリン錯体に代え、金属挿入を行っていないカチオン化カチオン性金属フリーポルフィリン錯体(以下、「金属フリー錯体」という)を実施例1、2等に準じて合成し、これを蛍光プローブとして用いた。また、金属フリー錯体包埋リポソームの合成は実施例5〜6に準じて行った。(以下、金属フリー錯体の略号としては、Mの代わりにカチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体の略号中のMを、Hに代えて示す。例えば、金属[5,10,15,20-テトラキス(2-メチルピリジル)ポルフィリン](MT2MPyP)の金属フリー錯体はHT2MPyPと、金属[5,10,15,20-テトラキス(4-メチルピリジル)ポルフィリン](MT4MPyP)の金属フリー体ではHT4MPyPと示す。)
上記のようにして、調製したカチオン化カチオン性金属フリー錯体包埋リポソーム、例えば、HT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソームおよびHT2MPyP+4SAS 含有各種溶液におけるHT2MPyPの蛍光スペクトル測定(励起波長456nm、測定波長範囲500〜800nm)を行ったところ、HT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム水溶液では642nmにピークを有する蛍光スペクトル(642nmでの相対蛍光強度43%)が得られ、メタノール(47%)、エタノール(54%)、プロパノール(54%)、ブタノール(55%)、エチレングリコール(63%)等の各種溶媒中でのHT2MPyPの蛍光スペクトルも同様のスペクトル波形および強度であった。しかし、水でのHT2MPyPの蛍光スペクトルは642nm付近のピークがブロードし、強度も大きく低下した(11%)。
これより、リポソームに包埋されたHT2MPyPは上記のアルコール類と類似の極性環境に存在し、二分子膜の親水部付近に存在すると考えられる。また、HT2MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム、HT2MPyP+4OAS包埋混合脂質Dリポソームの結果も同様であった。
一方、HT4MPyP-4SAS包埋DMPCリポソーム溶液でのHT4MPyPの蛍光スペクトルは、650nm付近にピークを示し、そのピーク強度は水およびメタノール中でのHT4MPyPの蛍光強度の中間であった(蛍光強度 水<包埋リポソーム溶液<メタノール)。これより、HT4MPyP-4SAS包埋DMPCリポソーム溶液のHT4MPyPは水環境に存在するものよりもやや非極性な(やや疎水的な)環境に存在すると判断される。
(2)次に、リポソームの二分子膜親水部付近に存在して二分子膜の極性、流動性等の指標となる蛍光プローブである8-アニリノ-1-ナフタレンスルホン酸(ANS)を用いた蛍光スペクトル測定を行った。まず、メタノール、メタノール/クロロホルムおよびANS包埋DMPCリポソーム(ポルフィリン錯体は包埋されていない)溶液中でのANSの蛍光スペクトルは、どれも485nm(励起波長385nm)にピークを示す類似のスペクトルとなった。次に、ポルフィリン錯体とANSを一緒に包埋したDMPCリポソーム溶液中でのANSの蛍光スペクトルを測定したところ、485nmではなく450および500nmの2つのピークを示し、これら2つのピーク蛍光強度も485nmでのそれに比べて減少した。この付近にポルフィリン錯体のSoret帯の吸収ピークが存在することより、ANSとポルフィリン錯体の相互作用が生じたと考えられ、ポルフィリン錯体はANS近傍に存在すると考えられる。これらのことよりリポソームに包埋されたHT2MPyPは上記のアルコール類と類似の極性環境に存在し、二分子膜の親水部付近に存在すると考えられる。
実 施 例 13
Pr包埋リポソームの蛍光偏光解消測定(その1):
蛍光プローブとして二分子膜の親水部近傍に存在する8-アニリノ-1-ナフタレンスルホン酸(ANS、50μM)を用いたPr包埋リポソームにおける蛍光偏光解消測定(島津製作所、RF-5300PCおよびRF-540/5000用偏光測定付属装置;測定温度範囲5〜45℃、励起波385nm、蛍光波長510nm)を行った。
ANSを含有したDMPCリポソーム(ブランク) の蛍光偏光解消測定の温度-偏光度の関係では、DMPCリポソーム二分子膜の相転移温度(Tc=23℃)付近で蛍光偏光度の減少がみられた。これに対し、ANSを含有した本発明品3(FeT2MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム)の蛍光偏光解消測定の温度-偏光度の関係では、上記のブランクと同様にTc付近で蛍光偏光度の減少が見られたが、その減少の度合いは小さいものであった。この度合いの低下はFeT2MPyPとSASのイオンコンプレックスとDMPCの相互作用に基づくものであり、当該イオンコンプレックスがDMPCリポソーム二分子膜中に存在することを裏付けている。また、pH感受性FeT2MPyP+4OAS包埋混合脂質Dリポソームでの結果も同様であった。
実 施 例 14
Pr包埋リポソームの蛍光偏光解消測定(その2):
蛍光プローブとして二分子膜の親水部近傍に存在するANS(50μM)を用いたPr包埋リポソームにおける蛍光偏光解消測定(島津製作所、RF-5300PCおよびRF-540/5000用偏光測定付属装置;測定温度範囲5〜45℃、励起波385nm、蛍光波長510nm)を行った。
ANSを含有したDMPCリポソーム(ブランク) の蛍光偏光解消測定の温度-偏光度の関係(逆シグモイダル曲線)より、DMPCリポソーム二分子膜のゲル-液晶相転移温度(Tc)は約23℃となった。ANSを含有した本発明品5(MnT4MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム)の蛍光偏光解消測定の温度-偏光度の関係は、上記のブランクに比べやや低温側に移行し、縦軸の偏光度もゲル領域で減少した。これらのことは、MnT4MPyPとSASのイオンコンプレックスとDMPCとの相互作用に基づくものであり、当該イオンコンプレックスがDMPCリポソーム二分子膜中に存在することを裏付けている。
実 施 例 15
Pr包埋リポソームの抗癌特性試験(その1):
本発明のPr包埋リポソームの抗癌特性を、アラマー・ブルー(Alamar Blue )法を用いた殺細胞試験(細胞死試験)により調べた。
試験試料としては、FeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム系(本発明品4、FeT2MPyP濃度0、12.5、25、50、100μM)を、参照試料としては、対応するカチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体(FeT2MPyP)およびイオンコンプレックス系(FeT2MPyP+4SAS)を用いた。また、細胞としては、マウス肺ガン癌細胞[Lewis Lung Carcinoma(LLC)、理研ジーンバンク)を用いた。
試験は、10%のFBSを加えたDMEM培地で、マウス肺ガン癌細胞を培養し、次いで細胞数計測および細胞濃度調製を行った細胞懸濁液を96ウェルプレートの各ウェルに加え(100μl/well、細胞数1×10cell/well)、二酸化炭素インキュベーター(CO5%)内で24時間培養した。ウェルプレート内の培地を除去後、予め調製しておいた各濃度の試料溶液を添加し(100l/well、試料濃度0〜100μM)、さらにCOインキュベーター内で24時間インキュベートした。
濾過滅菌したアラマー・ブルー溶液を、10μl/wellで添加し、さらに5時間インキュベートした。その後、マイクロプレートリーダーを用いて吸光度測定(測定波長570nmおよび参照波長600nm)を行った。
この結果、図2のように本発明のPr包埋リポソーム(リポソーム系)はカチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体(FeT2MPyP)およびイオンコンプレックス系に比べてより良い抗癌特性を示した。
実 施 例 16
Pr包埋リポソームの抗癌特性試験(その2):
本発明のPr包埋リポソームの抗癌特性を、実施例15と同様、アラマー・ブルー(Alamar Blue )法を用いた殺細胞試験(細胞死試験)により調べた。
本試験の試験試料としては、各種のPr包埋リポソーム(金属ポルフィリン錯体濃度0、12.5、25、50、100μM)を用い、参照試料としては、上記Pr包埋リポソームの成分である金属ポルフィリン錯体(濃度0、12.5、25、50、100μM)およびリポソーム(濃度、2500、5000、10000、20000μM)を用いた。(どちらもPr包埋リポソームの濃度に対応させた。)
また、比較試料としては、現在用いられている抗癌剤であるシスプラチン(CDDP、濃度0、10、20、40、80μM)およびマイトマイシンC(MCC、濃度0、7.5、15、30、60μM)等を用いた。実施例15と同様に試験したところ、次のような結果が得られた。
まず、金属ポルフィリン錯体としてFeT2MPyPを用いた系での結果は、図3および図4に示されるが、図3からは、参照試料であるFeT2MPyP、イオンコンプレックスであるFeT2MPyP+1SASおよびFeT2MPyP+4SAS並びに公知の抗癌剤であるCDDPおよびMMCのどれもが、添加濃度の増大と共にLLCの細胞生存率の低下が見られ、特に、FeT2MPyP濃度25μM以上におけるFeT2MPyP、FeT2MPyP+1SASおよびFeT2MPyP+4SASのLLC細胞生存率はCDDPおよびMMCのそれらに比べ低くかった示される。一方図4からは、試験試料であるFeT2MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム(本発明品3)およびFeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム(本発明品4)が高い殺細胞作用を有し、これは参照試料であるFeT2MPyP+1SASイオンコンプレックス、FeT2MPyP+4SASイオンコンプレックス、CDDPおよびMMCよりも優れたものであった。
これら、FeT2MPyP+1SAS包埋DMPCリポソームおよびFeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソームのどちらでも、添加濃度の増大と共にLLC細胞生存率の低下が見られ、添加濃度25μM以上で細胞生存率0%となっていた。
このように、Pr包埋リポソームであるFeT2MPyP+1SAS包埋DMPCリポソームおよびFeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソームは、金属ポルフィリンのイオンコンプレックス、カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体および現在使用されている抗癌剤と比べ、最も効果的な抗癌特性を示している(例えば、添加濃度50μMにおいて抗癌特性は現在使用されている抗癌剤<イオンコンプレックス<カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体<Pr包埋リポソームの順に増大している)。これより、Pr包埋リポソームは優れた抗癌剤であるといえる。
実 施 例 17
Pr包埋リポソームの抗癌特性試験(その3):
pH感受性のPr包埋リポソームの抗癌特性を、実施例15と同様、アラマー・ブルー(Alamar Blue )法を用いた殺細胞試験(細胞死試験)により調べた。
試験試料としては、pH感受性であるFeT2MPyP+4OAS包埋混合脂質4リポソーム(本発明品14)およびFeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム(本発明品4)(濃度:0、12.5、25、50、100μM)を、また、比較試料としては、現在用いられている抗癌剤であるシスプラチン(CDDP、濃度0、10、20、40、80μM)およびマイトマイシンC(MCC、濃度0、7.5、15、30、60μM)を用いた。
この結果を図5に示すが、FeT2MPyP+4OAS包埋混合脂質Dリポソームが最も効果的な抗癌特性を示し、FeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソームがこれに次ぐものであった(例えば、添加濃度12.5μMにおいて抗癌特性はCDDPおよびMMC<FeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム<FeT2MPyP+4OAS包埋混合脂質Dリポソームの順に増大している)。
特に、FeT2MPyP+4OAS包埋混合脂質Dリポソームでは、12.5μMといった低濃度添加でも細胞生存率がほぼ0%となっていることから、本発明のカチオン化カチオン性Pr包埋リポソームは優れた抗癌剤として利用可能であることが見い出された。
実 施 例 18
金属ポルフィリン錯体と過酸化水素(H)の相互作用:
一般に、大過剰の過酸化水素(H)存在下において、低分子の金属ポルフィリン錯体はポルフィリン環が露出しているため、Hと頻度高く相互作用するので分解し易いことが報告されている[ R. F. Pasternack and B. Halliwell, J. Am. Chem. Soc., 101, 1026 (1979)]。ここで、低分子系金属ポルフィリンであるMnT4MPyP、リポソーム(高分子)系であるMnT4MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム(本発明品5)およびマンガン[5,10,15,20-テトラ(3-フリル)ポルフィリン][MnT3FuP]包埋DMPCリポソーム1)(比較品)とHの相互作用をUV-vis測定より検討した。すなわち、Hとの相互作用および分解に基づくポルフィリン錯体Soret帯吸収ピーク(463nm)の減衰曲線測定およびその減衰曲線からの半減期(t1/2)の算出より評価した。なお、参考として銅/亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ(Cu/Zn-SOD)の結果も合わせて示す。なお、H濃度は金属ポルフィリン錯体濃度に対して大過剰の1000倍とした。 これらの結果を表5に示す。
1)疎水性マンガンポルフィリン錯体が、DMPCリポソームの二分子膜疎水部(二分子膜内部)に包埋されたもの。
これより、t1/2はCu/Zn-SOD<MnT4MPyP=MnT4MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム<MnT3FuP包埋DMPCリポソームの順に増加した。MnT4MPyPは低分子系のためポルフィリン環が露出してHと頻度高く相互作用するので分解し易く、MnT3FuP包埋DMPCリポソームは高分子系のためポルフィリン環が露出しておらずHと頻度高く相互作用しないので分解し難い。しかしながら、MnT4MPyP+1SAS包埋DMPCリポソームのt1/2はほぼMnT4MPyPのそれに類似し、MnT3FuP包埋DMPCリポソームのt1/2の1/10であった。これは、DMPCリポソーム二分子膜中のMnT4MPyPおよびMnT3FuPの包埋部位が異なるためと考えられ、MnT4MPyPはリポソーム二分子膜中の親水部(または表層近傍)に、および、MnT3FuPはその疎水部に存在するためと考えられる。この結果は、実施例12および14の結果と対応している。また、MnT4MPyP+1SAS包埋DMPCリポソームのt1/2はCu/Zn-SODのそれに比べて大きく、Cu/Zn-SODに比べてH耐性を有することも示唆された。
実 施 例 19
Pr包埋リポソームのSOD活性評価(その1):
Pr包埋リポソームのSOD活性(すなわち、O ・消去活性)をマッコード、フライドビッチらおよびバトラーらのチトクロームc法により評価した[(1) J. M. Mccord and I. Fridovich, J. Biol. Chem., 244, 6049 (1969) および (2) J. Butler, W. H. Kopenol, E. Margoliash, J. Biol. Chem., 257, 10747 (1982)]。具体的には下記のように行った。金属ポルフィリン濃度で0〜1000μMのPr包埋リポソーム溶液(A溶液)を5水準以上調製した。次に、0.3mMキサンチン水溶液、60μMチトクロームc水溶液およびpH7.8、30mMリン酸緩衝水溶液を各20ml取り、さらに、純水24mlを加えて混合溶液(B溶液)を得た。このB溶液 2.1mlにA溶液 0.3mlと純水 0.2mlを加えて放置(25℃、10min)した。放置後の混合溶液に7μg/mlカタラーゼ水溶液 0.1ml、25U/mlキサンチンオキシダーゼ(XOD)水溶液 0.3mlをすばやく混合して550nm(フェロチトクロームc生成に基づく吸収ピーク)におけるUV-visの経時測定を行った(最終的な試験溶液の各成分の濃度は、金属ポルフィリン錯体0〜100μM、キサンチン0.05mM、XOD2.5U/ml、チトクロームc10μMおよびカタラーゼ0.23μg/mlである。)。また、Pr包埋リポソーム無添加系(ブランク)でも同様に測定した。これらUV-visの経時測定における「時間-550nmでの吸光度」の関係よりPr包埋リポソーム無添加系および添加系でのフェロチトクロームc生成速度(viおよびvo)を求め、さらに、下式から阻害率(IC)を算出し、最終的に、「金属ポルフィリン錯体濃度-IC」の関係よりIC=50%おける金属ポルフィリン濃度(IC50)を求めてこれをSOD活性の指標とした(IC50が小さいほど高いSOD活性を示す)。なお、参照として対応するイオンコンプレックス(MnT4MPyP+1SAS等)についても同様にSOD活性を評価した。
阻害率(IC)=1-(vi/vo)
vo:Pr包埋リポソーム無添加系でのフェロチトクロームc生成速度
vi:Pr包埋リポソーム添加系でのフェロチトクロームc生成速度
表6に各種金属ポルフィリン錯体系のIC50を示す。なお、MnT4MPyPのIC50はフライドビッチらの文献値を示した[ I. Batinic-Haberle, L. Benov, and I. Fridovich, J. Biol. Chem., 273, 24251 (1998)]。
この結果より、MnT4MPyP+1SAS包埋DMPCリポソームおよびMnT4MPyP+4SAS包埋DMPCリポソームのIC50は低分子系[MnT4MPyP(文献値)およびMnT4MPyP+1SAS]のそれらと類似となり、効果的なSOD活性を示していた。
実 施 例 20
Pr包埋リポソームのSOD活性評価(その2):
Pr包埋リポソームのSOD活性(すなわち、O ・消去活性)をリレイ(Riley)らのストップドフロー法により評価した[ D. P. Riley, W. L. Rivers, and R. H. Weiss, Anal. Biochem., 196, 344 (1991)]。具体的には下記のように行った。36℃において,O ・発生源である超酸化カリウムを含むジメチルスルホキシド溶液と各種濃度のPr包埋リポソームを含む60mMHEPES/HEPESNa緩衝溶液(pH8.1)を急速混合し、O ・に基づく245nmの吸光度の減衰(O ・消失反応の減衰曲線)を経時的に測定した。この減衰曲線より「ln(吸光度)-時間」の関係を求め、さらに、この関係の傾きより見かけの速度定数を算出した。最終的に、「金属ポルフィリン錯体濃度-見かけの速度定数」関係の傾きよりO ・消失反応の速度定数(kcat)を求めた。 なお、参照としてイオンコンプレックス(MnT4MPyP+1SAS等)についても同様にSOD活性を評価した。
表7に各種金属ポルフィリン錯体系のkcatを示す。なお、MnT4MPyPのkcatはオオセ、カワカミらの文献値で示した[ T. Ohse, S. Nagaoka, Y. Arakawa, H. Kawakami, and K. Nakamura, J. Inorg. Biochem., 85, 201 (2001)]。
この結果、MnT4MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム、MnT4MPyP+4SAS包埋DMPCリポソームおよびMnT4MPyP+1SAS包埋EYLリポソームのkcatは低分子系[MnT4MPyP(文献値)、MnT4MPyP+1SASおよびMnT4MPyP+4SAS]のそれらと近く、効果的なSOD活性を示していた。
実 施 例 21
Pr包埋リポソームのSOD活性評価(その3):
Pr包埋リポソームを代表とする各種金属ポルフィリン錯体のSOD活性の比較を行った。試料としてMnT4MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム(MnT4MPyP/リポソーム系)、MnT3FuP包埋DMPCリポソーム(MnT3FuP/リポソーム系)およびMnT4MPyPを用い、チトクロームc法およびストップドフロー法より評価した。なお、試料調製および測定は実施例19および20と同様である。
表8に各種金属ポルフィリン錯体のSOD活性の指標であるkcatおよびIC50を示す。
MnT4MPyPのkcatおよびIC50は表6および同表で示した文献値と一致し、本評価の妥当性を示している。さらに、kcatはMnT3FuP/リポソーム系<MnT4MPyP/リポソーム系<MnT4MPyPの順に増加、かつ、IC50はkcatはMnT3FuP/リポソーム系>MnT4MPyP/リポソーム系>MnT4MPyPの順に減少しており、これら2つの評価法は対応している。また、MnT4MPyP/リポソーム系のkcatおよびIC50がMnT4MPyPのそれらに類似し、MnT3FuP/リポソーム系のそれらに類似しないという結果は、実施例16、17および18の結果に対応している。いづれにせよ、MnT4MPyP/リポソーム系(MnT4MPyP+1SAS包埋DMPCリポソーム、MnT4MPyP+4SAS包埋DMPCリポソーム、MnT4MPyP+1SAS包埋EYLリポソーム等)は、効果的なSOD活性を示し、有効な抗酸化剤となりうることを示している。
図1は、Pr包埋リポソームの構成を模式的に示した図面で、左側より1分子のMTnMPyP(n=2、4)と4分子の界面活性剤より成るイオンコンプレックス、1分子のMTnMPyP(n=2、4)と1分子の界面活性剤より成るイオンコンプレックスおよびMPPIX-DMPyAmを示す。 図2は、FeT2MPyP、イオンコンプレックス系およびリポソーム系の抗癌特性試験の結果を示す図面である。図中、■は、FeT2MPyPの結果を、●は、イオンコンプレックス系の結果を、▲はリポソーム系の結果をそれぞれ示す。 図3は、FeT2MPyP、イオンコンプレックス系であるFeT2MPyP+1SASおよびFeT2MPyP+4SAS並びに公知の抗癌剤であるCDDPおよびMMCの抗癌特性試験における添加濃度-細胞生存率の関係を示すグラフである。図中、△はFeT2MPyPの結果を、■は、FeT2MPyP+1SASイオンコンプレックスの結果を、◆は、FeT2MPyP+4SASイオンコンプレックスの結果を、□はCDDの結果を、◇はMMCの結果をそれぞれ示す。 図4は、図3のイオンコンプレックスおよび公知抗癌剤の他、FeT2MPyP+1SAS包埋DMPCリポソームおよびFeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソームの抗癌特性試験における添加濃度-細胞生存率の関係を記入したグラフである。図中、●は、FeT2MPyP+1SAS包埋DMPCリポソームの結果を、▲は、FeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソームの結果を、■は、FeT2MPyP+1SASイオンコンプレックスの結果を、◆はFeT2MPyP+4SASイオンコンプレックスの結果をそれぞれ示し、□は、CDDの結果を、◇はMMCの結果を示す。 図5は、FeT2MPyP+4OAS包埋混合脂質DリポソームリポソームおよびFeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソームの抗癌特性試験における添加濃度-細胞生存率の関係を示すグラフである。図中、○は、FeT2MPyP+4OAS包埋混合脂質Dリポソームの結果、▲は、FeT2MPyP+4SAS包埋DMPCリポソームの結果、□は、CDDの結果、◇はMMCの結果をそれぞれ示す。

Claims (15)

  1. カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体とリポソーム形成能を有する脂質とを含有する金属ポルフィリン錯体包埋リポソームであって、前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体が、アニオン系界面活性剤とイオンコンプレックスを形成している状態で存在するとともに前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体部分が前記リポソームの表面または前記脂質の親水部に存在し、前記アニオン系界面活性剤のアルキル側鎖は前記脂質の疎水性部に埋め込まれていることを特徴とする金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
  2. カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体が、次式(I)、(II)または(III)
    (式中、R1ないしR4は、N-低級アルキルピリジル基、アルキルアンモニオフェニル基、N-アルキルイミダゾリル基から選ばれる基を示し、R11ないしR16は、低級アルキル基または低級アルコキシ基を、R17ないしR18は、N-低級アルキルピリジル基、アルキルアンモニオフェニル基、N-アルキルイミダゾリル基を示し、R21ないしR26は、低級アルキル基または低級アルコキシ基を、R27ないしR28は、アルキルアンモニオフェニル基を示す)
    で表されるものであることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
  3. カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体が、金属[5,10,15,20-テトラキス(2-メチルピリジル)ポルフィリン](MT2MPyP)、金属[5,10,15,20-テトラキス(4-メチルピリジル)ポルフィリン](MT4MPyP)または金属[[1,3,5,8-テトラメチル-2,4-ジビニル-6,7-ジ(4-メチルピリジルアミドエチル)]ポルフィリン](MPPIX-DMPyAm)の1種または2種以上であり、当該錯体の金属部分(M)が、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)またはイリジウム(Ir)であることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
  4. アニオン系界面活性剤が、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ドデシル硫酸、テトラデシル硫酸、ヘキサデシル硫酸若しくはオクタデシル硫酸またはそれらの塩であることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
  5. リポソーム形成能を有する脂質が、リン脂質であることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
  6. リポソーム形成能を有する脂質が、大豆レシチン(SBL)、卵黄レシチン(EYL)、ジラウロイルホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)およびモノオレオイル-モノアルキル-ホスファチジルコリン(MOMAPC)から選ばれるリン脂質の1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
  7. リポソーム形成能を有する脂質が、リン脂質とコレステロールの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
  8. リポソーム形成能を有する脂質が、リン脂質とポリエチレングリコールまたはその誘導体との混合物であることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
  9. リポソーム形成能を有する脂質が、リン脂質とOAS、ジメチルジテトラデシルアンモニウムブロミド(DTDAB)、Tween-61(TW61)またはTween-80(TW80)から選ばれる界面活性剤との混合物であることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
  10. 粒径が100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体包埋リポソーム。
  11. カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体とアニオン系界面活性剤を反応させてイオンコンプレックスを形成させ、次いで、このイオンコンプレックスとリポソーム形成能を有する脂質とを混合し、超音波処理することにより、前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体が、アニオン系界面活性剤とイオンコンプレックスを形成している状態で存在するとともに前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体部分が前記リポソームの表面または前記脂質の親水部に存在し、前記アニオン系界面活性剤のアルキル側鎖は前記脂質の疎水性部に埋め込まれている金属ポルフィリン錯体包埋リポソームを製造することを特徴とする金属ポルフィリン錯体包埋リポソームの製造方法。
  12. カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体とリポソーム形成能を有する脂質とを含有する金属ポルフィリン錯体包埋リポソームであって、前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体が、アニオン系界面活性剤とイオンコンプレックスを形成している状態で存在するとともに前記カチオン化カチオン性金属ポルフィリン錯体部分が前記リポソームの表面または前記脂質の親水部に存在し、前記アニオン系界面活性剤のアルキル側鎖は前記脂質の疎水性部に埋め込まれている金属ポルフィリン錯体包埋リポソームを有効成分として含有することを特徴とする医薬。
  13. 抗癌剤であることを特徴とする請求項12に記載の医薬。
  14. 抗酸化剤であることを特徴とする請求項12に記載の医薬。
  15. 炎症疾患、神経疾患、動脈硬化または糖尿病の治療用薬剤であることを特徴とする請求項12に記載の医薬。
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