JP4639058B2 - ねじ切り加工装置 - Google Patents
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図14(a),(b)に示すように、ワーク500に対してねじ切り加工を行う場合、主軸(図示しない)を回転中心としてワーク500を回転させ、アプローチ部から、ワーク500の周部に対して加工工具510を接触させながら、ワーク500の回転に同期させて主軸の軸心Oに平行なZ軸方向に加工工具510を移動させて有効ねじ部を形成する。なお、図14(b)は、有効ねじ部側の端部から見た側面図であり、矢印は、ワーク500の回転方向を示している。そして、有効ねじ部の加工サイクル終了点付近では、加工工具510をねじ溝から、引き抜くため、Z軸方向と直交するX軸方向の切り上げ動作を行うようにしている(図15(a)〜(c)参照)。
又、「到達目標主軸回転数」は、不完全ねじ部領域で到達する目標値である主軸回転数である。
請求項3の発明によれば、有効ねじ部領域では主軸回転数を一定にして制御し、不完全ねじ部領域では、主軸回転数を徐々に減少するように変化させることにより、請求項1と同様の効果を容易に実現できる。
数値制御旋盤10は、図1に示すように、Z軸を回転中心として回転自在な主軸20を有しており、主軸20には爪30が、その中心を該主軸20に一致させた形で主軸20と共に回転駆動自在に設けられている。爪30にはねじを切削加工すべきワークWが、該主軸20の回転軸であるZ軸を回転中心として回転自在な形で把持固定されている。主軸20には該主軸20を回転駆動させ得る主軸モータ230が接続されている。主軸モータ230は、主軸駆動手段に相当する。又、主軸20には該主軸20の回転検出器であるパルスエンコーダ等からなる角度検出器122が、取付けられている。角度検出器122は、主軸モータ230が一定角度回転する毎にパルス信号を発生し、主軸制御部170へフィードバックする。この主軸モータ230及び爪30を備えた主軸20は、ベッド(図示略)に配設されている。
次に、本実施形態の数値制御旋盤10の作用を説明する。図3〜4は、NC装置100が実行するねじ切り加工で行われるZ軸送り速度パターンの決定のためのフローチャートであり、ねじ切り加工を行う前に、操作盤185の図示しないスタートボタンの操作がされると、主制御部110により、実行される。なお、本実施形態では、1条ねじのねじ切り加工について説明するが、ねじ条数に限定されるものではない。
S10では、操作盤185を操作して、ワークWの材質が入力されると、そのワークW材質に応じて、記憶部195に格納されたパラメータが読み込まれる。すなわち、操作盤185にて、ワークWの材質が選択されると、記憶部195に格納したデータベースからその材質に応じたパラメータが一義的に読み込まれる。
(Z軸送り速度パターンA)
図7(a)は、Z軸送り速度パターンAを示しており、有効ねじ部領域及び不完全ねじ部領域とも、Z軸送り速度は一定値に保持される。なお、この場合のZ軸送り速度は、目標主軸回転数SとねじのリードFの積である。
図7(b)は、Z軸送り速度パターンBを示しており、有効ねじ部領域においては、Z軸送り速度は一定値に保持される。なお、この領域のZ軸送り速度は、目標主軸回転数SとねじのリードFの積である。又、不完全ねじ部領域の全域、すなわち、有効ねじ部領域の終点(=不完全ねじ部領域の始点)から不完全ねじ部領域の終点まで(加工時間ΔT中の領域)の間、Z軸送り速度は、図7(b)に示すように、傾きAs・F(主軸加減速度とねじリードの積)で徐々に減速するように設定されている。
このZ軸送り速度パターンBが選択された場合、有効ねじ部領域において、主制御部110は、ロータリエンコーダ126Zの検出信号に基づいて加工工具400の実際のZ軸位置を算出し、算出した実際のZ軸位置に基づいて有効ねじ部の切削加工が終了したか否かを、Z軸送り速度パターンAを選択したときと同様に判定する。主制御部110は、加工工具400の実際のZ軸位置が有効ねじ部の終点のZ軸位置の場合、有効ねじ部の切削加工が終了したと判定し、この有効ねじ部の切削加工が終了した時点tbからは、主制御部110は、不完全ねじ部の切削を開始するように、主軸制御部170、X軸制御部130、及びZ軸制御部140を制御する。
図7(c)は、Z軸送り速度パターンCを示しており、有効ねじ部領域の始点から始まる一部の領域においては、Z軸送り速度は一定値に保持される。なお、この領域のZ軸送り速度は、目標主軸回転数SとねじのリードFの積である。又、有効ねじ部領域の前記一部においては、該一部の領域の終点から、有効ねじ部領域の終点までは、傾きAs・F(主軸加減速度とねじリードの積)で徐々に減速するように設定されている。さらに、不完全ねじ部領域の全域では、Z軸送り速度は、図7(c)に示すように、傾きAs・F(主軸加減速度とねじリードの積)で徐々に減速し、不完全ねじ部領域の終点で、S0・F(主軸最低回転数S0とねじのリードFの積)に達するように設定されている。
図7(d)は、Z軸送り速度パターンDを示しており、有効ねじ部領域の始点から始まる一部の領域においては、Z軸送り速度は一定値に保持される。なお、この場合のZ軸送り速度は、目標主軸回転数SとねじのリードFの積である。又、有効ねじ部領域の一部において、前記一部の領域の終点から、有効ねじ部領域の終点までは、傾きAs・F(主軸加減速度とねじリードの積)で徐々に減速するように設定され、かつ、有効ねじ部領域の終点に達したときに、Z軸送り速度が、S0・F(主軸最低回転数S0とねじのリードFの積)の速度となるように設定されている。さらに、不完全ねじ部領域の全域では、Z軸送り速度を、図7(d)に示すように、S0・F(主軸最低回転数S0とねじのリードFの積)にして一定に保持される。
(1) 図6は、主制御部110の制御により行われるZ軸位置と主軸回転角度の補間パターンを示し、縦軸が主軸回転角度(rad)、横軸がZ軸位置である。本実施形態の場合、有効ねじ部領域は勿論のこと、不完全ねじ部領域においても、主軸20の回転と、Z軸の送りを同期補間して、ピッチPを一定とし、すなわち、ねじリードを一定とする。なお、ねじリードL(ねじを一回転したときにねじの軸方向に動く距離)とピッチPとの関係は、1条ねじの場合は、L=P、であり、2条ねじの場合は、L=2Pとなる。すなわち、L=nP、(nはねじの条数)の関係にある。本実施形態では、1条ねじのねじ切り加工である。
本実施形態では、有効ねじ部領域において、Z軸送り速度を切削開始時点t1からtc1までは、Z軸送り速度を一定に保持する。この場合、Z軸送り速度を従来のS1・Fよりも速いS2・Fにする。そして、tc1〜t4(=tc2)〜t5(不完全ねじ部領域の終点)までは、傾きAs・(主軸加減速度)で徐々に減速する。この場合、主軸回転数も同様に図8(c)に示すパターンとなる。この場合、従来のS1よりも速い主軸回転数S2で主軸20が回転されるため、有効ねじ部領域の加工時間を短くでき、有効ねじ部領域と不完全ねじ部領域の加工時間を短縮できる効果がある。
(3) なお、Z軸送り速度パターンBが選択され、主軸回転数が主軸回転数パターンB1で制御される場合においても、上記と同様の理由から、上記(1)、(2))の効果を奏する。
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定するものではない。例えば下記のようにしてもよい。
20…主軸
110…主制御部(制御手段、加工長演算手段)
170…主軸制御部
230…主軸モータ(主軸駆動手段)
320…Z軸送りモータ(第1駆動手段)
350…X軸送りモータ(第2駆動手段)
340…刃物台
400…加工工具
W…ワーク
Claims (9)
- ワークを保持する主軸と、前記主軸を回転駆動する主軸駆動手段と、加工工具を備えた刃物台と、前記主軸及び刃物台の少なくともいずれか一方を前記主軸の軸心と平行な第1軸方向へ移動するように駆動する第1駆動手段と、前記主軸及び刃物台の少なくともいずれか一方を、前記第1軸方向と直交する第2軸方向に駆動する第2駆動手段と、前記主軸駆動手段、第1駆動手段及び前記第2駆動手段をそれぞれ制御駆動する制御手段と、を有し、前記主軸と、前記刃物台を相対移動させることによって、該刃物台の加工工具により前記主軸に保持されたワークに有効ねじ部と不完全ねじ部を有するねじを形成し得るねじ切り加工装置において、前記制御手段は、少なくとも不完全ねじ部領域を加工する場合の主軸回転数を徐々に減速するように変化させるように前記主軸駆動手段を制御するとともに、前記第1駆動手段と第2駆動手段のうち、少なくとも第1駆動手段を、前記主軸駆動手段とともに同期補間して制御することを特徴とするねじ切り加工装置。
- 前記制御手段は、前記有効ねじ部領域のねじのピッチと不完全ねじ部領域のねじのピッチが同じとなるように前記第1駆動手段と第2駆動手段のうち、少なくとも第1駆動手段と、主軸駆動手段を同期補間して制御することを特徴とする請求項1に記載のねじ切り加工装置。
- ワークを保持する主軸と、前記主軸を回転駆動する主軸駆動手段と、加工工具を備えた刃物台と、前記主軸及び刃物台の少なくともいずれか一方を前記主軸の軸心と平行な第1軸方向へ移動するように駆動する第1駆動手段と、前記主軸及び刃物台の少なくともいずれか一方を、前記第1軸方向と直交する第2軸方向に駆動する第2駆動手段と、前記主軸駆動手段、第1駆動手段及び前記第2駆動手段をそれぞれ制御駆動する制御手段と、を有し、前記主軸と、前記刃物台を相対移動させることによって、該刃物台の加工工具により前記主軸に保持されたワークに有効ねじ部と不完全ねじ部を有するねじを形成し得るねじ切り加工装置において、
前記制御手段は、前記加工工具にて前記ワークを加工する有効ねじ部領域と不完全ねじ部領域のうち、有効ねじ部領域では主軸回転数を一定にして制御し、不完全ねじ部領域では、主軸回転数を徐々に減少するように変化させることを特徴とするねじ切り加工装置。 - ワークを保持する主軸と、前記主軸を回転駆動する主軸駆動手段と、加工工具を備えた刃物台と、前記主軸及び刃物台の少なくともいずれか一方を前記主軸の軸心と平行な第1軸方向へ移動するように駆動する第1駆動手段と、前記主軸及び刃物台の少なくともいずれか一方を、前記第1軸方向と直交する第2軸方向に駆動する第2駆動手段と、前記主軸駆動手段、第1駆動手段及び前記第2駆動手段をそれぞれ制御駆動する制御手段と、を有し、前記主軸と、前記刃物台を相対移動させることによって、該刃物台の加工工具により前記主軸に保持されたワークに有効ねじ部と不完全ねじ部を有するねじを形成し得るねじ切り加工装置において、
前記制御手段は、前記加工工具にて前記ワークを加工する有効ねじ部領域と不完全ねじ部領域のうち、有効ねじ部領域では主軸回転数を一定にして制御した後、該主軸回転数を徐々に減少するように制御し、不完全ねじ部領域では、前記有効ねじ部領域から継続して主軸回転数を徐々に減少するように変化させることを特徴とするねじ切り加工装置。 - ワークを保持する主軸と、前記主軸を回転駆動する主軸駆動手段と、加工工具を備えた刃物台と、前記主軸及び刃物台の少なくともいずれか一方を前記主軸の軸心と平行な第1軸方向へ移動するように駆動する第1駆動手段と、前記主軸及び刃物台の少なくともいずれか一方を、前記第1軸方向と直交する第2軸方向に駆動する第2駆動手段と、前記主軸駆動手段、第1駆動手段及び前記第2駆動手段をそれぞれ制御駆動する制御手段と、を有し、前記主軸と、前記刃物台を相対移動させることによって、該刃物台の加工工具により前記主軸に保持されたワークに有効ねじ部と不完全ねじ部を有するねじを形成し得るねじ切り加工装置において、
前記制御手段は、前記加工工具にて前記ワークを加工する有効ねじ部領域と不完全ねじ部領域のうち、有効ねじ部領域では主軸回転数を一定にして制御した後、該主軸回転数を徐々に減少するように制御し、不完全ねじ部領域では、有効ねじ部領域で一定にした主軸回転数よりも少ない主軸回転数で一定にするように制御することを特徴とするねじ切り加工装置。 - ワークを保持する主軸と、前記主軸を回転駆動する主軸駆動手段と、加工工具を備えた刃物台と、前記主軸及び刃物台の少なくともいずれか一方を前記主軸の軸心と平行な第1軸方向へ移動するように駆動する第1駆動手段と、前記主軸及び刃物台の少なくともいずれか一方を、前記第1軸方向と直交する第2軸方向に駆動する第2駆動手段と、前記主軸駆動手段、第1駆動手段及び前記第2駆動手段をそれぞれ制御駆動する制御手段と、を有し、前記主軸と、前記刃物台を相対移動させることによって、該刃物台の加工工具により前記主軸に保持されたワークに有効ねじ部と不完全ねじ部を有するねじを形成し得るねじ切り加工装置において、
前記不完全ねじ部の加工長を加工長関連パラメータに基づいて算出する加工長演算手段を備え、
該加工長と、前記加工長関連パラメータに含まれる不完全ねじ部の加工長の上限値の大小関係に応じて、制御手段は、有効ねじ部領域と不完全ねじ部領域において主軸回転数を一定に制御するか、或いは、請求項3乃至請求項5のうちいずれかの制御を行うことを特徴とするねじ切り加工装置。 - 前記加工長関連パラメータは、目標主軸回転数、不完全ねじ部領域加工時間、目標主軸加減速度及び不完全ねじ部の加工長の上限値を含み、
前記制御手段は、前記加工長が、前記上限値以下の場合、有効ねじ部領域で、前記目標主軸回転数に応じて主軸回転数を一定にした後、不完全ねじ部領域では前記目標主軸加減速度に基づいて主軸回転数を徐々に減少するように変化させることを特徴とする請求項6に記載のねじ切り加工装置。 - 前記加工長関連パラメータは、有効ねじ部で採用される目標主軸回転数よりも小である不完全ねじ部領域で到達すべき到達目標主軸回転数、不完全ねじ部領域加工時間、目標主軸加減速度及び不完全ねじ部の加工長の上限値を含み、
前記制御手段は、該加工長が前記上限値以下の場合、前記有効ねじ部領域で前記目標主軸回転数に応じて主軸回転数を一定にする制御を行った後、前記目標主軸加減速度に基づいて、前記有効ねじ部領域及び前記不完全ねじ部領域で主軸回転数を徐々に減少するように変化させて、前記到達目標主軸回転数に向かって制御することを特徴とする請求項6に記載のねじ切り加工装置。 - 前記加工長関連パラメータは、有効ねじ部で採用される目標主軸回転数よりも小である不完全ねじ部領域で到達すべき到達目標主軸回転数、不完全ねじ部領域加工時間及び不完全ねじ部の加工長の上限値を含み、
前記制御手段は、該加工長が前記上限値以下の場合、前記有効ねじ部領域では前記目標主軸回転数に応じて主軸回転数を一定する制御を行った後、主軸回転数を徐々に減少するように変化させて前記到達目標主軸回転数に達するよう制御し、不完全ねじ部領域では前記到達目標主軸回転数に基づいた主軸回転数で一定にすることを特徴とする請求項6に記載のねじ切り加工装置。
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