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JP4634029B2 - 圧電アクチュエータの製造方法およびインクジェット記録ヘッド - Google Patents

圧電アクチュエータの製造方法およびインクジェット記録ヘッド Download PDF

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Description

本発明は、圧電アクチュエータの製造方法およびインクジェット記録ヘッドに関し、より詳しくは、例えば広がり振動、伸び振動、厚み立て振動を利用した圧電アクチュエータの製造方法およびこれを備えたインクジェット記録ヘッドに関する。
従来から、誘電体を利用した製品としては、例えば加速度センサ、ノッキングセンサ、AEセンサ等の圧電センサ、積層コンデンサ、積層インダクタ、積層コンデンサ内蔵基板、積層モジュール基板、燃料噴射用インジェクター、圧電共振子(発振子を含む)、発振器、超音波モーター、超音波振動子、フィルタ、圧電アクチュエータ等の積層電子部品が挙げられる。
これらの積層電子部品の中で、圧電アクチュエータは、電気信号に対する応答速度が10-6秒台と非常に高速であるため、半導体製造装置のXYステージの位置決め用アクチュエータやインクジェットプリンタの記録ヘッドに用いられるアクチュエータ等に応用されている。特に、近年、パーソナルコンピュータの普及やマルチメディアの発達に伴って、情報を記録媒体に出力する記録装置としてインクジェットプリンタの利用が急速に拡大している。
かかるインクジェットプリンタには、インクジェット記録ヘッドが搭載されている。この種の記録ヘッドには、インクが充填されたインク流路内に加圧手段としてのヒーターを備え、ヒーターによりインクを加熱、沸騰させ、インク流路内に発生する気泡によってインクを加圧し、インク吐出孔よりインク流として吐出させるサーマルヘッド方式と、インクが充填されるインク流路の一部の壁を変位素子によって屈曲変位させ、機械的にインク流路内のインクを加圧し、インク吐出孔よりインク流として吐出させる圧電方式が一般に知られている。
圧電方式を利用したインクジェットプリンタに用いられるインクジェット記録ヘッドは、例えば図5示すように、複数のインク流路51が並設され、各インク流路51を仕切る壁として隔壁52を形成した流路部材53上に圧電アクチュエータ54が設けられた構造を有する(特許文献1参照)。
圧電アクチュエータ54は、上面に内部電極60が設けられた振動板55上に、圧電セラミック層56および表面電極57がこの順に積層され、表面電極57が圧電セラミック層56の表面に複数配列されることにより、複数の圧電変位部58が形成されたものである。この圧電アクチュエータ54は、流路部材53上に、インク流路51と表面電極57との位置を揃えて取り付けられている。
上記のようなインクジェット記録ヘッドは、内部電極60と所定の表面電極57との間に電圧を印加して該表面電極57直下の圧電セラミック層56を変位させることにより、インク流路51内のインクを加圧して、流路部材53の底面に開口したインク吐出口59よりインク滴を吐出する。
ところで、圧電アクチュエータ等の積層電子部品を製造するには、まず圧電性セラミックス原料粉末を主成分とする複数のグリーンシートを作製し、これらのうちの少なくとも1枚のグリーンシート表面に内部電極ペーストを塗布し、さらにビア導体を形成するグリーンシートにビアホールを穿孔する。ついで、各グリーンシートのビアホールの位置が揃うように複数のグリーンシートを積層して積層体を作製する。この積層体には、上面から厚み方向に向かって所定の深さまでほぼ一様な大きさのビアホールが形成されている。ついで、このビアホールにビア導体ペーストを充填した後、この積層体を焼成することにより積層電子部品を得ることができる。(特許文献2参照)。
ところが、特許文献2に記載の積層電子部品を製造する際には、前記積層体を焼成することにより反りや凹凸が発生しやすく、特に厚みの薄い積層電子部品の場合に上記のような反りや凹凸の発生がより顕著になるという問題がある。この問題に対して、例えば図6に示すように、表面が平らなセッター61の上に積層体62を載置し、この積層体62の上面に表面が平らな重量体63を載置した状態で、積層体62を焼成するという対策が実施されている。この対策において使用されるセッター61および重量体63としては、一般に多孔質体を用いることが多い。また、符号65はセラミック層を示し、符号66は内部電極を示す。
しかしながら、焼成の際に積層体62の上面に重量体63を載置すると、ビアホールに充填した導体ペースト64と重量体63の表面とが接触するため、これらが焼成により接着してしまうことがある。このような場合には、焼成により得られる積層電子部品用基板62から重量体63を剥離しなければならない。また、積層電子部品用基板62の厚みが薄くかつセラミック層65の原料中にPbを含む場合には、焼成により反りが発生しやすいだけでなく、Pbが蒸発して圧電特性が変動しやすい。このような反りやPbの蒸発を抑制する目的で、セッターおよび重量体には、多孔質体ではなく表面が緻密なものが使用されている。しかし、表面が緻密なセッターおよび重量体を使用すると、上記の接着問題がより顕著となるため、剥離時の衝撃により積層電子部品用基板62が破損して不良品が多発するという問題がある。
特開平11−34321号公報図1 特開2002−359146号公報
したがって、本発明の目的は、セッターおよび重量体、特に表面が緻密なセッターおよび重量体が積層体の表面に接触した状態で該積層体を焼成しても、不良品の発生が抑制され、高い歩留まりで製造することができる圧電アクチュエータの製造方法およびインクジェット記録ヘッドを提供することである。
上記課題を解決するための本発明の圧電アクチュエータの製造方法およびインクジェット記録ヘッドは、以下の構成からなる。
(1) 誘電体物質を主成分とする複数枚のグリーンシートを作製する第1の工程と、前記グリーンシートの表面に内部電極ペーストを塗布する工程と、前記グリーンシートにビアホールを形成して未充填シートを複数枚作製する工程とを含む第2の工程と、複数枚の前記未充填シートのうち一部の前記未充填シートのビアホールにビア導体ペーストを充填して充填済シートを作製する第3の工程と、前記未充填シートが最上層に配置されかつ前記充填済シートが他の層に配置されるように前記各シートを積層して積層体を作製する第4の工程と、前記積層体をセッターの上に載置し、前記積層体の上面に重量体を載置した状態で、前記積層体を焼成して積層電子部品用基板を得る第5の工程と、前記積層電子部品用基板の最上層に位置する前記未充填シートのビアホールにビア導体ペーストを充填しかつ前記積層電子部品用基板の上面に表面電極パターンを形成した状態で、前記積層電子部品用基板を焼成して圧電アクチュエータを得る第6の工程と、を有することを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
(2) 前記セッターおよび前記重量体の前記積層体と接触する表面が緻密な面である、(1)に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
前記(1)記載の圧電アクチュエータの製造方法によれば、ビア導体ペーストを充填していない未充填シートを表面に配置しかつビア導体ペーストを充填した充填済シートを積層体の内部に配置して焼成するので、充填済シートに充填されたビア導体ペーストがセッターおよび重量体の表面と接着することがない。これにより、焼成後には、セッターおよび重量体を積層電子部品用基板から容易に取り除くことができるので、不良品を低減して歩留まりを向上させることができる。したがって、上記のような製造方法を用いることによって、厚みが100μm以下と薄く焼成時に反りや凹凸が生じやすい積層電子部品用基板であっても、不良品の発生を低減するとともに、反りや凹凸の発生をも抑制することができる。しかも、前記第5の工程において積層体を焼成した後で、表面のビアホールにビア導体を充填するので、ビア導体成分が誘電体層に拡散して圧電特性が低下するのを抑制することができる。
また、グリーンシートの原料中にPbを含む場合には、積層体を焼成する際に反りだけでなくPbの蒸発をも抑制する必要がある。反りとPbの蒸発をともに抑制するには、緻密な面を有するセッターおよび重量体を積層体の表面に載置して焼成するのがよい。したがって、このような場合には、前記(1)記載の製造方法が特に好適である。これにより得られる積層電子部品用基板を用いれば、反りが抑制され、しかも圧電特性のばらつきが小さい圧電アクチュエータを得ることができる。また、この圧電アクチュエータは、上記した製造方法により得られるので、低コストで製造でき、しかも高品質である。
前記(2)記載のように、表面が緻密な面を有するセッターおよび重量体を使用する場合には、前記したビア導体ペーストとセッターおよび重量体との接着の問題が生じやすいので、前記(1)に記載の製造方法が特に好適である。また、セッターおよび重量体の表面が緻密であるので、表面の平坦度が高い圧電アクチュエータを得ることができる。
前記(1)または(2)に記載の製造方法により得られる圧電アクチュエータを、インク吐出孔を有する複数のインク流路が配列された流路部材上に配置したインクジェット記録ヘッドは、上記の積層電子部品基板を備えているので、低コストでかつ高品質である。特に、積層電子部品用基板の厚みが100μm以下と薄いときには大きな変位量が得られるので、高速印刷用のインクジェット記録ヘッドとして使用することができ、高速プリンター用途に好適である。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、誘電体層が圧電性セラミックスからなる場合を例に挙げて説明する。
<積層電子部品用基板>
図1は、本実施形態にかかる積層電子部品用基板を示す断面図である。この積層電子部品用基板11は、複数の圧電セラミック層(誘電体層)12,13,14,24と、これらの圧電セラミック層12,13,14,24の内部に積層された内部電極15,16,25とを備えている。圧電セラミック層12には、表面に露出したビアホール17,18,19が形成され、該ビアホール17,18,19内にはビア導体が充填されていない。これにより、積層体を焼成する際に、該積層体の表面がたとえ緻密な表面を有するセッターおよび重量体に接触した状態であっても、前記したようなビア導体ペーストと重量体とが接触して生じる接着問題が発生することがないので、不良品の発生が抑制され、高い歩留まりで製造することができる。また、圧電セラミック層13には、ビアホール20が形成され、このビアホール20内にビア導体21が充填されている。これにより内部電極15と内部電極16とが電気的に接続されている。
圧電セラミック層12,13,14,24を構成する圧電性セラミックスとしては、圧電性を示すものであれば特に限定されないが、例えばBi層状化合物(層状ペロブスカイト型化合物)、タングステンブロンズ型化合物、Nb系ペロブスカイト型化合物(Nb酸ナトリウムなどのNb酸アルカリ化合物(NAC)、Nb酸バリウムなどのNb酸アルカリ土類化合物(NAEC))、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)、Pbを含有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛等のペロブスカイト型化合物を含有する物質を例示できる。
上記のうち、特に、少なくともPbを含むペロブスカイト型化合物であるのがよい。例えば、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)、Pbを含有するジルコン酸チタン酸鉛(PZT)やチタン酸鉛等を含有する物質が好ましい。特に、Aサイト構成元素としてPbを含有し、かつBサイト構成元素としてZrおよびTiを含有する結晶であるのがよい。このような組成にすることで、高い圧電定数を有する圧電セラミック層が得られる。これら中でもチタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸鉛が、大きな変位を付加する上で好適である。また、圧電性セラミックスがチタン酸ジルコン酸鉛系化合物であるときには、高いd 31 特性を有する圧電アクチュエータを得ることができる。ペロブスカイト型結晶の一例として、PbZrTiO3を好適に使用できる。
また、圧電性セラミックスには、他の酸化物を混合しても良く、さらに、特性に悪影響がない範囲であれば、副成分としてAサイトおよび/またはBサイトに他元素が置換していてもよい。例えば、副成分としてSr、Ba、Ni、Sb、Nb、ZnおよびTeのうち少なくとも1種を含んでいるのが好ましい。これによって、より大きな変位量を有する安定した圧電セラミック層を得ることができる。これらの元素を含む化合物(副成分)としては、例えばZn、Sb、NiおよびTeを添加したPb(Zn1/3Sb2/3)O3およびPb(Ni1/2Te1/2)O3とを固溶してなるものが挙げられる。
特に、Aサイト構成元素として、さらにアルカリ土類元素を含有することが望ましい。アルカリ土類元素としては特にBa、Srが高い変位を得られる点で好ましく、Baを0.02〜0.08モル、Srを0.02〜0.12モル含むことが、特に正方晶組成が主体の組成の場合に大きな変位を得るのに有利である。これにより、比誘電率が向上する結果、さらに高い圧電定数を得ることが可能となる。例えば、Pb1-x-ySrxBay(Zn1/3Sb2/3a(Ni1/2Te1/2bZr1-a-b-cTic3+α質量%Pb1/2NbO3(0≦x≦0.14、0≦y≦0.14、0.05≦a≦0.1、0.002≦b≦0.01、0.44≦c≦0.50、α=0.1〜1.0)で表される化合物を例示できる。
積層電子部品用基板11の厚みは、特に限定されないが、100μm以下、好ましくは80μm以下、より好ましくは65μm以下、さらに好ましくは50μm以下であるのがよい。これにより、大きな変位量を有する圧電アクチュエータを得ることができる。一方、厚みの下限値は、十分な強度を有し、取り扱い時および作動中の破壊を防止するために、3μm、好ましくは5μm、より好ましくは10μm、さらに好ましくは20μmであるのがよい。
圧電セラミック層12,13,14,24の厚みは、上限が50μm、好ましくは15μm、より好ましくは11μmであるのがよく、下限が3μm、好ましくは5μm、より好ましくは10μmであるのがよい。厚みが3〜50μmであることにより、大きな変位を得ることができるとともに、製造時や作動時の破壊を防止できる十分な機械的強度を備えることができる。
内部電極15,16,25は、Agを含有しているのが好ましく、特にAg−Pd合金であるのがより好ましい。Ag−Pd合金の場合には、電極材料中のAgの比率が90体積%以上であり、残部がPdであるのがよい。これにより、電極の収縮が抑制され、アクチュエータ焼成時の圧縮残留応力を抑制することができる。内部電極15,16,25の厚みとしては、導電性を有しかつ変位を妨げない程度である必要があり、一般に、0.5〜5μm程度であり、好ましくは1〜4μmであるのがよい。ビア導体21は、少なくとも2種の導体で構成されているのが好ましい。これにより、例えばビア導体21をAg−Pd合金とAgで構成する場合、高価なPdの使用量を低減することができる。
次に、圧電性セラミックスとしてPbZrTiO3系ペロブスカイト型化合物を用いた場合を例に挙げて、積層電子部品用基板11の製造方法について説明する。図2(a)〜(f)は、積層電子部品用基板11の製造工程を示す断面図である。同図に示すように、積層電子部品用基板11は、以下のようにして製造することができる。
(第1の工程)
圧電性セラミックス原料粉末として、Pb23、ZrO2、TiO2、BaCO3、ZnO、SrCO3、Sb23、NiO、TeO2を準備する。これらを、ペロブスカイト型結晶の化学量論組成に相当するPb量よりも多くなるようにPbを加えた組成に調整し混合する。特に、Aサイト過剰比が1.005〜1.04、特に1.01〜1.03になるように調整することが、優れた圧電特性を維持する点で好ましい。得られた混合粉末を、有機バインダー等の必要な添加物と混合してスラリーを作製し、このスラリーをロールコーター法、スリットコーター法などの一般的なテープ成形法によりテープ状に成形することにより、圧電性セラミックス原料粉末(誘電体物質)を主成分とする複数のグリーンシート12,13,14,24を作製する(図2(a))。
(第2の工程)
第1の工程で作製したグリーンシート13,14,24の表面に内部電極ペースト15,16,25をスクリーン印刷法などによりそれぞれ塗布する(図2(b):塗布工程)。内部電極ペーストは、前記した電極成分に有機バインダー等を混合したものである。ついで、第1の工程および塗布工程で作製したグリーンシートのうち、ビア導体を形成するグリーンシート12,13にビアホール17,18,19,20を穿孔して未充填シート12,13を作製する(図2(c):穿孔工程)。なお、上記塗布工程を行う前に穿孔工程を実施してもよい。
(第3の工程)
第2の工程で作製した未充填シート12,13のうち、未充填シート13のビアホール20にビア導体ペースト21を充填して充填済シート13を作製する(図2(d))。
(第4の工程)
未充填シート12が表面(最上層)に配置されかつ充填済シート13が積層体11a内部に配置されるように、第1〜3の工程で作製した各シート12,13,14,24を積層して積層体11aを作製する(図2(e))。ついで、上記グリーンシートと実質的に同一組成の拘束用シートを、積層体11aの両面あるいは片面に配置し、加圧密着を行う。
(第5の工程)
加圧密着を行った積層体11aを表面が緻密で平らなセッター22の上に載置し、この積層体11aの上面に表面が緻密で平らな重量体23を載置した状態で、積層体11aを焼成炉の内部に配置し、高濃度酸素雰囲気下で焼成温度900℃以上、特に1000〜1100℃で焼成する(図2(f))。これにより、積層体11a中のPbの蒸発により組成が上記ペロブスカイト組成よりもPb不足になるのを防止することができ、その結果、組成比Pb/(Ti+Zr)比のバラツキが0.02以下の積層電子部品用基板11を得ることができる。焼成時の酸素濃度は、80%以上、特に90%以上、更には95%以上、より好適には98%以上であることが、Pbの蒸発を抑制し、密度のバラツキを低減する点で好ましい。
<圧電アクチュエータ>
次に、本発明の一実施形態にかかる圧電アクチュエータについて説明する。図3は、本実施形態の圧電アクチュエータを示す断面図である。この圧電アクチュエータ31は、上記した積層電子部品用基板11と、この基板11における圧電セラミック層12の表面に配列された複数の表面電極35と、ビア導体17,18,19に接続された引出電極36とを備え、ビアホール17,18,19にはビア導体32,33,34が充填されている。
表面電極35の材質としては、導電性を有するものならば何れでもよく、Au、Ag、Pd、Pt、Cu、Alやそれらの合金などが用いられる。表面電極35の厚みは、導電性を有しかつ変位を妨げない程度である必要があり、一般に、0.5〜5μm程度であり、特に1〜4μmが好ましい。引出電極36の材質は、表面電極35と同様のものを使用することができる。
ビア導体20,32,33,34の材質としては、内部電極15,16,25や表面電極35と同様のものを使用することができる。ビア導体ペーストは、前記電極成分に有機バインダー等を混合したものである。
圧電アクチュエータ31は、以下のようにして製造することができる。すなわち、前記した第1〜第5の工程で示した積層電子部品用基板11の製造方法に加えて、以下の第6の工程を実施する。
(第6の工程)
第1〜第5の工程により得られる積層電子部品用基板11における表面(最上層)のビアホール17,18,19にビア導体ペーストを充填した後、この基板11における誘電体層12の表面に複数の表面電極パターンと引出電極パターンとを形成し、600〜800℃で焼成する。これにより、圧電アクチュエータ31を得ることができる。
<インクジェット記録ヘッド>
次に、圧電アクチュエータ31を備えたインクジェット記録ヘッドについて説明する。図4は、このインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。同図に示すように、このインクジェット記録ヘッドは、圧電アクチュエータ31を、インク吐出孔42を有する複数のインク流路43が配列された流路部材41上に、インク流路43と表面電極35との位置を揃えて取り付けたものである。
流路部材41は圧延法等によって得られ、インク吐出孔42およびインク流路43はエッチングにより所定の形状に加工されて設けられる。この流路部材41は、Fe−Cr系、Fe−Ni系、WC−TiC系の群から選ばれる少なくとも1種によって形成されていることが望ましく、特にインクに対する耐食性の優れた材質からなることが望ましく、Fe−Cr系がより好ましい。
圧電アクチュエータ31と流路部材41とは、例えば接着層を介して積層接着することができる。接着層としては、周知のものを使用することができるが、圧電アクチュエータ31や流路部材41への影響を及ぼさないために、熱硬化温度が100〜250℃のエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂の群から選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂系の接着剤を用いるのがよい。このような接着層を用いて熱硬化温度にまで加熱することによって、圧電アクチュエータ31と流路部材41とを加熱接合することができ、これによりインクジェット記録ヘッドを得ることができる。
複数の表面電極35は、それぞれ図示しない外部の電子制御回路に独立して接続されている。内部電極15,16は、ビア導体20,32,33,34および引出電極36を介して、グランド電位に接続されている。そして、内部電極15,16と所定の表面電極35との間に電圧が印加されると、電圧が印加された表面電極35直下の圧電セラミック層12が変位してインク流路43内のインクが加圧され、インク吐出孔42よりインク滴が吐出される。
このようなインクジェット記録ヘッドは、高速で高精度な吐出が可能であり、高速印刷に好適である。また、このようなインクジェット記録ヘッドと、該インクジェット記録ヘッドにインクを供給するインクタンクと、記録紙に印刷するための記録紙搬送機構とを備えたプリンタは、高速・高精度印刷を容易に実現することができる。
以上、本発明の実施形態について示したが、本発明は上述した実施形態のみに限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更や改良したものにも適用できることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、4層の圧電セラミック層の内部に3層の内部電極を配置した場合について説明したが、本発明ではこれらの積層枚数は特に限定されるものではなく、必要に応じて増減することができる。
また、上記実施形態にかかる積層電子部品基板では、最上層の誘電体層におけるビアホールにビア導体が形成されていない場合について説明したが、ビア導体が形成されていないビアホールを最下層の誘電体層に設けてもよく、また最上層と最下層の両層に設けてもよい。
さらに、上記実施形態では、誘電体層が圧電性セラミックスからなる場合について説明したが、本発明では、圧電性セラミックス以外のセラミックス等も使用することができる。また、セラミックスの他、例えば樹脂等も使用可能である。すなわち、本発明は、圧電アクチュエータおよびこれを備えたインクジェット記録ヘッドの他、例えば積層コンデンサ、積層インダクタ、積層コンデンサ内蔵基板、積層モジュール基板、加速度センサ、ノッキングセンサ、AEセンサ、燃料噴射用インジェクター、圧電共振子、発振器、超音波モーター、超音波振動子、フィルタ等にも適用できる。
本発明の一実施形態にかかる積層電子部品用基板を示す断面図である。 (a)〜(f)は、図1の積層電子部品用基板の製造工程を示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる圧電アクチュエータを示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかるインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。 従来のインクジェット記録ヘッドの一例を示す断面図である。 従来の積層電子部品用基板を作製する際における積層体焼成時の状態を示す断面図である。
符号の説明
11 積層電子部品用基板
12,13,14,24 圧電セラミック層
15,16,25 内部電極
17,18,19,20 ビアホール
21,32,33,34 ビア導体
31 圧電アクチュエータ
35 表面電極
36 引出電極
41 流路部材
42 インク吐出孔
43 インク流路

Claims (2)

  1. 誘電体物質を主成分とする複数枚のグリーンシートを作製する第1の工程と、
    前記グリーンシートの表面に内部電極ペーストを塗布する工程と、前記グリーンシートにビアホールを形成して未充填シートを複数枚作製する工程とを含む第2の工程と、
    複数枚の前記未充填シートのうち一部の前記未充填シートのビアホールにビア導体ペーストを充填して充填済シートを作製する第3の工程と、
    前記未充填シートが最上層に配置されかつ前記充填済シートが他の層に配置されるように前記各シートを積層して積層体を作製する第4の工程と、
    前記積層体をセッターの上に載置し、前記積層体の上面に重量体を載置した状態で、前記積層体を焼成して積層電子部品用基板を得る第5の工程と、
    前記積層電子部品用基板の最上層に位置する前記未充填シートのビアホールにビア導体ペーストを充填しかつ前記積層電子部品用基板の上面に表面電極パターンを形成した状態で、前記積層電子部品用基板を焼成して圧電アクチュエータを得る第6の工程と、を有することを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
  2. 前記セッターおよび前記重量体の前記積層体と接触する表面が緻密な面である、請求項1に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
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