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JP4628618B2 - 撮像光学系 - Google Patents

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JP4628618B2
JP4628618B2 JP2001294142A JP2001294142A JP4628618B2 JP 4628618 B2 JP4628618 B2 JP 4628618B2 JP 2001294142 A JP2001294142 A JP 2001294142A JP 2001294142 A JP2001294142 A JP 2001294142A JP 4628618 B2 JP4628618 B2 JP 4628618B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中心光束が光軸と略平行となる光束域に配置される、光軸に対して略直交する平面を有する光学部材を撮像素子の前段に備えた撮像光学系に関し、特に、表面反射率が比較的高い撮像素子を使用するビデオカメラやデジタルカメラのゴースト防止に好適な撮像光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
撮像光学系においては、様々な目的のために光学系内に平行光束部が設けられている。例えば、この平行光束部にアフォーカル光学系を挿入しレンズ系全体の焦点距離を変化させる場合もあるが、分割プリズムを挿入し光束の一部をファインダ系に導いたり、オートフォーカスのための測距光学系に導いたり、別の結像系に利用したりすることも行われている。さらに、フィルタなど画像に特殊な効果を与える光学部材を挿入する場合もある。
【0003】
このように平行光束部に、フィルタやプリズムなどの光軸に対して略直交する平面を有する光学部材(以下、これを平面部材と称する)を挿入する場合には、撮像素子の表面と平面部材の平面との反射によるゴーストが問題となる。ゴーストは、撮像面において結像された光の一部が、撮像面を第1反射面として撮像光学系に戻され、撮像光学系内で1回ないしそれ以上反射されて再び撮像面に達するために発生するものである。特に、CCDなどの撮像素子はフィルム等に比べ表面反射率が高いので、素子表面からの反射光が強くなりやすい。
【0004】
図5は、ゴーストの発生を説明するための模式図である。図5において模式的に表された撮像光学系はレンズL〜Lを備え、光束を撮像素子の撮像面1上の結像位置Pに集束させる。また、このレンズLとレンズLの間の平行光束部Cに、平面部材としてハーフプリズム2が配設され、光束はこのハーフプリズム2により第1撮像面側と第2撮像面側に分割される。
【0005】
ここで、問題となるゴーストは、光束平行部C中に光軸に対して略直交する平面が存在する場合、撮像面1からの反射光束がこの平面で反射した後、全く同じ経路を通って再び撮像面1に到達することにより生じる。例えば、l方向に進む主光線は、撮像素子へ入射した後、一部が反射され、l、l方向に進み、光束平行部Cに配された光軸に対して略直交する平面である、ハーフプリズム2の第1撮像面側平面3や物体側平面4でさらにその一部が再反射され、全く同じ経路を逆行してl、l方向に進み再び撮像面1に達する。
【0006】
図6は、この場合に生じる、撮像面1上に結像されるゴーストの様子を示している。像とゴーストの位置を示すため、水平方向および垂直方向の中心に水平軸Hおよび垂直軸Vを記載している。図6(a)は、撮像面1の中心位置に光量の大きな対象を撮影する場合である。この場合、この対象の像Pは撮像面の中心位置に結像され、そのゴーストGも対象とほぼ同等の形状で撮像面中心付近に発生する。図6(b)は、撮像面1の中心から離れた位置に光量の大きな対象を撮影する場合である。この場合、この対象の像Pは中心から離れた位置に結像され、そのゴーストGは対象とほぼ同等の形状で撮像面中心点に関して対象の像Pと点対称となる位置に発生する。
【0007】
CCDなどの撮像素子を用い、光束平行部Cに光軸に対して略直交する平面が存在する場合、いずれの表面も反射率が高いので、光量の大きな対象を撮影した場合に上記のように発生するゴーストはかなり光量が大きくなってしまい、そのままでは表示画像内に大きな欠陥部が存在することになりかねない。
【0008】
従来、ゴースト防止の方法としては、例えば平面部材に反射防止コートを付加する方法が知られている。特開2000−36917号公報には平面フィルタの表面に反射防止コートを施すことにより反射光を減らす手法が記載されている。しかしこの手法では、0.1〜0.2%程度の反射光は残ってしまうため、車のライトや太陽光など光量の大きい対象を撮影する場合には反射光も強くなり、無視できないゴーストとなって画面に現れる。したがって、ビデオカメラやデジタルカメラにおいて要求される性能が高度になると、この程度の残存反射率であっても許容し難いものとなる。
そのため、従来、高性能を要求される結像光学系においてはゴースト防止のために実際には、光軸に対して略直交する平面を有する光学部材は、中心光束が光軸と略平行となる光束域に配置し難いという設計上の制約となっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ゴースト防止の別の方法として、平面部材の表面を非平面形状にする方法も提案されている。例えば、上記公報や特開2000−249820号公報には単体の板状フィルタを湾曲形状に形成することが記載されている。しかしこのようなフィルタは加工も難しく、また、新規に作成する必要があるので既存のフィルタを使用する場合に比ベコストがかかるという問題がある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、撮像素子の前段の、中心光束が光軸と略平行となる光束域に、光軸に対して略直交する平面を有する光学部材を配置する場合にも、ゴーストを防止し得るような撮像光学系を、簡易な構成により、かつ安価に提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の撮像光学系は、撮像素子の前段の、中心光束が光軸と略平行となる光束域に配置される、該光軸に対して略直交する平面を少なくとも1つ有する光学部材を備えた撮像光学系において、この光学部材の少なくとも1つの前記平面にこの光学部材と光学的に同等の硝材を用いたゴースト防止部材が密接され該光学部材と該ゴースト防止部材とで密接体が構成され、該ゴースト防止部材は一方の面が前記密接面とされ他方の面が曲面とされていることを特徴とするものである。
【0012】
前記ゴースト防止部材の前記曲面は、曲率半径の大きなレンズ面とされていることが好ましい。また、前記ゴースト防止部材が下記条件式(1)を満足するように構成されていることが好ましい。
7<|R|/fmr<20 ……(1)
ここで、fmr:密接体より像側に位置するレンズ全体の焦点距離
R:ゴースト防止部材のレンズ面の曲率半径
【0013】
また、前記ゴースト防止部材が前記光学部材に接合されていることが好ましい。また、前記ゴースト防止部材が下記条件式(2)を満足するように構成されていることが好ましい。
1.5<n<1.6 ……(2)
ここで、n:ゴースト防止部材のd線における屈折率
【0014】
また、前記光学部材の両面が光軸に対して略直交する平面とされている場合に、該両平面に各々前記ゴースト防止部材が密接されていてもよい。
【0015】
さらに、前記光学部材の前記両平面に、他方の面が曲率半径の大きなレンズ面とされた前記ゴースト防止部材が各々密接され、これらの両ゴースト防止部材および前記光学部材からなる前記密接体の全体の屈折力が略ゼロになるように前記両ゴースト防止部材のレンズ面の曲率半径が設定されていることが好ましい。
【0016】
また、前記光学部材がハーフプリズムとされ、このハーフプリズムにより分割される光束の入射側平面および複数の射出側平面に、各々前記ゴースト防止部材が密接されていてもよい。
【0017】
なお、上記「密接」とは、例えば、両側または片側から押圧されていたり接着剤を用いて接合されることにより、空気層を介さずに当接されている状態のことを表している。
【0018】
また、上記「密接体」とは、密接された複数の部材全体を表すものである。
【0019】
また、上記「光学的に同等」とは、少なくとも屈折率が略等しいことを表しているが、さらに、アッベ数などの他の光学定数も略等しいことが望ましい。
【0020】
また、上記「曲率半径の大きなレンズ面」とは、収差が発生することなく、平行光束に影響を与えない程度のパワーを有する面であることを表している。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示す実施形態(実施例1のものを代表させて示している)の撮像光学系は、模式的に表されたレンズL〜Lにより光束を撮像素子の撮像面1上の結像位置Pに集束させるものである。このレンズLとレンズLの間の、中心光束が光軸と略平行となる平行光束部Cにハーフプリズム2が配設され、光束はこのハーフプリズム2により第1撮像面側と第2撮像面側に分割されて出射される。ここで、このハーフプリズム2は、物体側と第1撮像面側の両面3、4が光軸に対して略直交する平面とされた光学部材(平面部材)である。この平面部材の両平面3、4には各々ゴースト防止部材5、6が密接され、この平面部材と両ゴースト防止部材5、6とで密接体を構成している。このゴースト防止部材5、6は、各々、この平面部材と光学的に同等の硝材を材料とされ、密接面と反対側の面は曲率半径の大きなレンズ面とされている。
【0022】
ここで、上記「密接」とは、前述したように、両側または片側から押圧されていたり接着剤を用いて接合されることにより、空気層を介さずに当接されている状態のことを表しており、接合を含む概念である。また、上記「曲率半径の大きなレンズ面」とは、収差が発生することなく、平行光束に影響を与えない程度のパワーを有する面であることを表しているが、このような影響を与えない程度のパワーは、光学系の性能や各面の曲率によって変化するものであって、必ずしも具体的数値として表されるものではない。
【0023】
このような構成によるゴースト防止効果について、ゴースト防止部材5を代表として説明する。図1に示される撮像光学系において、撮像面1からの反射光束は、例えば、l方向に進む主光線は、撮像素子へ入射した後、一部が反射され、l、l方向に進み、ゴースト防止部材5のレンズ面でさらにその一部が再反射される。この面はレンズ面(図1においては凸面)であるので、主光線はl、l方向に進む。すなわち、この主光線は平面部材の第1撮像面側平面3で再反射されるのでなくゴースト防止部材5のレンズ面で再反射されるので、撮像面1からレンズ面へと向かう主光線と全く同じ経路を逆行することはない。したがって、たとえこれらの再反射光の一部が再び撮像面1に到達するとしても、生じる光像は画像に影響を与えにくい。
【0024】
図2は、この場合に生じる、撮像面1上に現れる光像の様子を示している。像と光像の位置を示すため、水平方向および垂直方向の中心に水平軸Hおよび垂直軸Vを記載している。図2(a)は、撮像面1の中心位置に光量の大きな対象を撮影する場合である。この場合、この対象の像Pは撮像面中心に結像され、それによる光像Dも撮像面中心付近に発生する。しかしながら、再反射光は撮像面1からレンズ面へと向かう主光線と全く同じ経路を通っているわけではないので、対象の像Pよりかなり拡散されて広範囲にわたる拡散光像Dとして撮像面1上に現れる。図2(b)は、撮像面1の中心から離れた位置に光量の大きな対象を撮影する場合である。この場合、この対象の像Pは中心から離れた位置に結像され、それによる光像Dは撮像面中心点に関して対象の像Pと点対称となる位置付近に現れる。しかしながら、再反射光は撮像面1からレンズ面へと向かう主光線と全く同じ経路を通っているわけではないので、対象の像Pよりかなり拡散されて広範囲にわたる拡散光像Dとして撮像面1上に現れる。
【0025】
このように本実施形態によれば、平行光束部C中に配置される平面部材を備えた撮像光学系において、平面部材の平面3にゴースト防止部材5が密接されているので、撮像面1からの反射光束がゴースト防止部材5のレンズ面で再反射された場合にもこの光束は撮像面1からレンズ面へと向かう反射光束と全く同じ経路を逆行することはない。したがって、たとえこの再反射された光の一部が再び撮像面1に入射されたとしても、画面上では対象物とほぼ同等の形状にはならず、画面上で認識できないほどの広範囲に広がる拡散光像とすることができる。また、ゴースト防止部材5はこの平面部材と光学的に同等の硝材を材料とされているので、平面部材の平面3とゴースト防止部材5との密接面での反射を考慮する必要がない。
【0026】
なお、図1においてゴースト防止部材5のレンズ面は凸面とされているが、このレンズ面は凹面とされていてもよい。この場合にも、再反射光は全く同じ経路を通って撮像面1に戻されるわけではないので、撮像面上では対象物とほぼ同等の形状になることはなく、画面上で認識できないほどの広範囲に広がる拡散光像とすることができる。
【0027】
同様のゴースト防止効果を得るために、前述した公報記載の従来例のように平面部材の平面部に直接曲率を付けることも1つの方法ではある。しかしながら、フィルタやプリズムといった光学部材へのこのような加工は難しく、また、軸ずれ調整も難しい。さらに、新規にこのような部材を作成するには、既存のフィルタやプリズムを使用する場合に比べコストがかかる。本実施形態によれば、片面が平面のレンズを既存の平面部材に密接させるという簡易な構成により、安価にゴーストを防止することができるので有利である。
【0028】
なお、光軸に対して略直交する平面を複数有する光学部材には、少なくとも1つの平面に対しゴースト防止部材を密接させることによっても、そのレンズ面で反射される光が全く同じ経路を通って撮像面1に戻ることはないので、ゴースト防止効果を得ることができる。この面は平面部材の物体側の平面であってもよい。
【0029】
しかし望ましくは、平面部材の、光軸に対して略直交するいずれの平面にもゴースト防止部材を密接させ、いずれの面で反射される光も全く同じ経路を通って撮像面1に戻ることがないように構成することが有効である。図1において各ゴースト防止部材5、6のレンズ面は前述したように、平行光束に影響を与えない程度のパワーを有する、曲率半径の大きなレンズ面とされているので、撮像面1からの反射光束のうち第1撮像面側に配されたゴースト防止部材5を透過した光束は略平行光束として平面部材を透過する。したがって、本実施形態のように平面部材の物体側平面4にもゴースト防止部材6が密接され、撮像面1からの反射光束のうち平面部材を透過した光束がゴースト防止部材6のレンズ面において再反射されるように構成されていることがゴースト防止のためには好ましい。
【0030】
また、ゴースト防止部材5、6の平面でない側の面はレンズ面に限られず単なる曲面とされていてもよい。この場合にもゴースト防止部材5、6の曲面で再反射される光束は同じ経路を通ることが殆どないので、たとえこれらの再反射光の一部が再び撮像面1に到達するとしても、画面上では対象物とほぼ同等の形状にはならず、ゴースト防止効果を有する。
【0031】
しかし、望ましくは、ゴースト防止部材5、6の平面でない側の面は、平行光束を再反射する場合にも同じ光路で逆行することがなく、かつ収差を発生させることなく平行光束に影響を与えない程度のパワーを有する、曲率半径の大きなレンズ面とされている方が設計、製造の上からも好ましい。
【0032】
より望ましくは、ゴースト防止部材5、6は下記条件式(1)を満足するように構成する。
7<|R|/fmr<20 ……(1)
ここで、fmr:密接体より像側に位置するレンズ全体の焦点距離
R:ゴースト防止部材のレンズ面の曲率半径
【0033】
上記条件式(1)は、ゴースト防止部材5、6のレンズ面の曲率半径を、密接体より像側に位置するレンズ全体(図1においてはレンズL)の焦点距離との関係で規定する条件式であり、ゴースト防止部材5、6のレンズ面を、ゴーストとなるおそれのある再反射光を有効に散乱しつつ組み込まれている本体レンズの光学的な性能に影響を与えないような曲率半径とするための数値限定である。この上限値を越えるとゴーストとなるおそれのある再反射光が有効に散乱されなくなり、この下限値を越えると本体レンズの光学性能の劣化が無視できないほど大きくなる。
【0034】
また、ゴースト防止部材5、6は相対する平面3、4と接着剤を用いて容易に接着され得る。なお、接合されるゴースト防止部材5、6は、下記条件式(2)を満足するように構成されていることが好ましい。
1.5<n<1.6 ……(2)
ここで、n:ゴースト防止部材のd線における屈折率
【0035】
上記条件式(2)は、ゴースト防止部材5、6のd線における屈折率を規定する条件式であり、接合面での反射によるゴーストの発生を抑えるための数値限定である。一般に接着剤の屈折率はこの範囲にあるため、ゴースト防止部材5、6に使用する硝材もこの範囲のものを使用することが望ましい。この数値範囲を外れると、接着剤に対する平面部材とゴースト防止部材5、6との屈折率の差が大きくなりすぎ接合面での反射光が多くなり、目立つゴーストが若干発生するおそれがある。
【0036】
なお、本発明の撮像光学系としては種々の態様の変更が可能であり、例えば撮像光学系を構成するレンズの形状、およびレンズの枚数は適宜選択し得る。また、平面部材はハーフプリズム2に限られるものではなく、平行光束中に配される、光軸に対して略直交する平面を少なくとも1つ有する任意の光学部材に、ゴースト防止部材を密接させて本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
【実施例】
<実施例1>
この実施例1に係る撮像光学系は、前述したように図1に示す如き構成とされている。すなわちこの撮像光学系において、平行光束部Cに、物体側と第1撮像面側の両面が光軸に対して略直交する平面3、4とされたハーフプリズム2が配設され、このハーフプリズム2の両平面3、4には各々ゴースト防止部材5、6が接合されている。このゴースト防止部材5、6は、このハーフプリズム2と光学的に同等の硝材を材料とされ、接合面と反対側の面は曲率半径の大きなレンズ面とされている。
【0038】
このような構成により、撮像素子へ入射し反射され、ゴースト防止部材5、6のレンズ面で再反射される光束は、平行光束部Cにおいて全く同じ経路を逆行することはない。したがって、たとえこれらの再反射光の一部が再び撮像面1に到達するとしても、撮像面1上では対象の像よりかなり広範囲に拡散されるため、光量の大きい対象を撮影する場合にもゴーストを防止することができる。
【0039】
さらに、本実施例において、ゴースト防止部材5、6は同一形状の平凸レンズとされている。このように同一形状の部材を用いることにより、部材製造コストが低減される。ただし、同一形状の部材を用いる場合には、レンズ面の曲率が大きくなりすぎると密接体全体で光学的なパワーを有することになり平行光束部Cの平行性が保たれなくなってしまうので、レンズ面の曲率半径を適切に設定することが好ましい。
【0040】
<実施例2>
この実施例2に係る撮像光学系は、図3に示す如き構成とされている。この撮像光学系の構成は図示されるように実施例1のものと略同様とされているので、重複する部分についての説明は省略する。
【0041】
実施例2において、ゴースト防止部材15の形状が平凹レンズとされている点が異なっている。図2には、この平凹レンズによる、撮像面1からの反射光束の主光線の進行方向の一例を、方向l11〜l15として、実施例1における主光線の進行方向l〜lと略同様に示している。
【0042】
また、ハーフプリズム2の両平面3、4に密接されるゴースト防止部材15および16の各レンズ面の曲率半径は、これらの部材とハーフプリズム2とで構成された密接体の全体の屈折力が略ゼロになるように設定されている。このように構成されていることにより、撮像光学系全体としてみたときに、この密接体を配することによる光学系全体の光学性能の変化を考慮する必要がなくなるので、設計、製造が容易になる。
【0043】
なお、本実施例のようにハーフプリズム2の両平面3、4に、密接体の全体の屈折力が略ゼロになるように設定されたゴースト防止部材15、16が密接される場合、そのレンズ面は、本実施例のように物体側のゴースト防止部材16が平凸レンズからなり、第1撮像面側のゴースト防止部材15が平凹レンズからなるように構成されていてもよいし、逆に物体側のゴースト防止部材16が平凹レンズからなり、第1撮像面側のゴースト防止部材15が平凸レンズからなるように構成されていても構わない。
【0044】
<実施例3>
この実施例3に係る撮像光学系は、図4に示す如き構成とされている。この撮像光学系の構成は、図示されるように、ハーフプリズム2を透過して第1撮像面1に至る構成は実施例1のものと略同様とされているので、重複する部分についての説明は省略する。
【0045】
実施例3において、ハーフプリズム2の作用により分離され第2撮像面7に至る光束が射出される平面8にも、ゴースト防止部材9が接合されている点が実施例1と異なっている。この平面8も第1撮像面側射出面3と同様に光軸に対して略直交する平面である。ハーフプリズム2から第2撮像面側に射出された平行光束は、レンズLにより撮像素子の撮像面7上の結像位置P´に集束される。このレンズLもレンズLと同様に模式的に表されたものである。また、ゴースト防止部材9もゴースト防止部材5、6と同様に、このハーフプリズム2と光学的に同等の硝材を材料とされ、接合面と反対側の面は曲率半径の大きなレンズ面とされている。
【0046】
このようにハーフプリズム2には、ハーフプリズム2により分割される光束の入射側平面4および複数の射出側平面3、8に、各々ゴースト防止部材6、5、9が密接されている。したがって、第2撮像面側においても、第1撮像面側と同様に、撮像面7からの反射光束がゴースト防止部材6、9のレンズ面で再反射された場合にも、撮像面7からゴースト防止部材9のレンズ面へと向かう光束と全く同じ経路を逆行することはない。したがって、たとえこれらの再反射光の一部が再び撮像面7に到達するとしても、撮像面7上では対象の像よりかなり広範囲に拡散されるため、光量の大きい対象を撮影する場合にもゴーストを防止することができる。なお、図4には、第2撮像面側における、撮像面7からの反射光束の主光線の進行方向の一例を、方向l〜l10として第1撮像面側の主光線の進行方向l〜lと同様に示している。
【0047】
本実施例において、ゴースト防止部材5、6、9は同一形状のレンズとすることが可能である。このように同一形状の部材を用いることにより、部材製造コストが低減される。ただし同一形状の部材を用いる場合には、前述したとおり、レンズ面の曲率半径を適切に設定することが好ましい。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の撮像光学系によれば、平行光束部に配置される平面部材に、他方の面が曲面とされこの平面部材と光学的に同等の硝材を用いたゴースト防止部材が密接されていることにより、撮像素子の表面で反射されゴースト防止部材のレンズ面で再反射される光束は、たとえその一部が再び撮像面に到達するとしても対象の像よりかなり広範囲に拡散される。したがって本発明の撮像光学系によれば、ゴースト防止部材を既存の平面部材に密接させるという簡易な構成により、安価に、ゴーストを防止し得る撮像光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る撮像光学系の構成図
【図2】実施例1の撮像光学系により撮像素子上に現れる拡散光像を示す図
【図3】本発明の実施例2に係る撮像光学系の構成図
【図4】本発明の実施例3に係る撮像光学系の構成図
【図5】ゴーストの発生を説明するための図
【図6】図5の撮像光学系により撮像素子上に発生するゴーストを示す図
【符号の説明】
〜L レンズ
1、7 撮像面
2 ハーフプリズム(平面部材)
3、4、8 光軸に対し略直交する平面
5、6、9、15、16 ゴースト防止部材
X 光軸
C 平行光束部
P、P´、P、P、P、P 結像位置
、D 拡散光像
、G ゴースト
〜l15 光束進行方向

Claims (7)

  1. 撮像素子の前段の、中心光束が光軸と略平行となる光束域に配置される、該光軸に対して略直交する平面を少なくとも1つ有する光学部材を備えた撮像光学系において、この光学部材の少なくとも1つの前記平面にこの光学部材と光学的に同等の硝材を用いたゴースト防止部材が密接され該光学部材と該ゴースト防止部材とで密接体が構成され、該ゴースト防止部材は一方の面が前記密接面とされ他方の面が曲面とされていることを特徴とする撮像光学系。
  2. 前記ゴースト防止部材が下記条件式(1)を満足するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の撮像光学系。
    7<|R|/fmr<20 ……(1)
    ここで、
    fmr:密接体より像側に位置するレンズ全体の焦点距離
    R:ゴースト防止部材のレンズ面の曲率半径
  3. 前記ゴースト防止部材が前記光学部材に接合されていることを特徴とする請求項1または2記載の撮像光学系。
  4. 前記ゴースト防止部材が下記条件式(2)を満足するように構成されたことを特徴とする請求項3記載の撮像光学系。
    1.5<nd<1.6 ……(2)
    ここで、
    nd:ゴースト防止部材のd線における屈折率
  5. 前記光学部材の両面が光軸に対して略直交する平面とされ、該両平面に各々前記ゴースト防止部材が密接されていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の撮像光学系。
  6. 前記光学部材の前記両平面に、他方の面が曲率半径の大きなレンズ面とされた前記ゴースト防止部材が各々密接され、これらの両ゴースト防止部材および前記光学部材からなる前記密接体の全体の屈折力が略ゼロになるように前記両ゴースト防止部材のレンズ面の曲率半径が設定されていることを特徴とする請求項5記載の撮像光学系。
  7. 前記光学部材がハーフプリズムとされ、このハーフプリズムにより分割される光束の入射側平面および複数の射出側平面に、各々前記ゴースト防止部材が密接されていることを特徴とする請求項5または6記載の撮像光学系。
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