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JP4627462B2 - アンカーとその固定方法及びそれを用いた固定構造 - Google Patents

アンカーとその固定方法及びそれを用いた固定構造 Download PDF

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Description

本発明は、コンクリートやモルタル、ブロック等で形成された基礎や壁、柱等の母材に埋設され、母材に被固定物を固定するためのアンカーとその固定方法及びそれを用いた固定構造に関する。
コンクリートやモルタル、ブロック等で形成された基礎や壁、柱等の母材に埋設され、母材に被固定物を固定するためのアンカーには、大きく分けてメカニカルアンカーとケミカルアンカーの二種類がある。
例えば(特許文献1)には、メカニカルアンカーとして、「前端内奥に狭窄底部を設けたピン挿入孔を有し、前端部分に拡開可能な開埋設部を設けると共に、後端部分に雄ねじを設けた筒状のアンカー本体と、ピン挿入孔に挿入した打込みピンとから成るピン打込み式拡開アンカー」が開示されている。
また、(特許文献2)には、ケミカルアンカーとして、「アンカー本体と、該アンカー本体の中心部に穿孔された挿通孔と、該挿通孔に内蔵された硅酸塩水溶液含有カプセルと、該挿通孔に挿通されたインサート部材とからなり、該アンカー本体をコンクリート等の母材のアンカー施工用孔内に打ち込むことにより、該カプセルが破壊され、該母材の施工用孔の内壁が硬化されるようにしたカプセルを具備したアンカー及びその施工方法」が開示されている。
(特許文献3)には、主にメカニカルアンカーを仮止めする手段として、「従来公知の各種ねじ、アンカー等において、その要所に相手部材の孔への挿し込みにより圧縮されて復元力を孔壁へ及ぼす弾性体の突出部を付設したことを特徴とするねじ、アンカー等の仮止め手段」が開示されている。
(特許文献4)には、「アンカーの外周面に基端部から胴部に達するネジ部が設けられ、かつネジ部には基端部から軸方向に切溝が設けられると共に、先端部に先方に拡径状のテーパ部を有し、テーパ部に続く、胴部の外径よりも小径の軸部が段部を介して胴部に続き、さらに軸部には複数本のスリットを有する拡張部材が巻付き嵌合され、拡張部材の外周面には回転止め突起が設けられている樹脂併用アンカー装置」が開示されている。
(特許文献5)には、「埋設部の上端外周に形成された鍔部と、埋設部の中央部に軸芯の長手方向と平行に埋設部の上端から所定深さまで形設された雌ねじ部と、埋設部の中央部に軸芯の長手方向と平行に埋設部の下端から所定高さまで穿設された挿通孔又は埋設部の中央部に軸芯の長手方向と平行に埋設部の下端から所定高さまで形設された仮固定用雌ねじ部と、埋設部の下端に配設された環状仮固定用部材と、挿通孔に挿通され又は仮固定用雌ねじ部に螺合され環状仮固定用部材を拡径させる拡径手段と、を備えたことを特徴とするアンカー」が記載されている。
実開平3−75305号公報 特開平8−135026号公報 実開平3−4919号公報 特開2003−269100号公報 特願2005−10191号公報
しかしながら上記従来の技術では、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)を初めとするメカニカルアンカーは、開埋設部を拡開させ、母材に穿設された下孔の孔壁に開埋設部を直接、当接させてその摩擦力で固定するものであり、引抜き耐力が不十分で、高い引張圧力が加わった場合には、構造物と共にアンカーが抜けてしまい、信頼性に欠けるという課題を有していた。また、ピン打込み式等のように人が叩くことにより開埋設部を拡開させて固定するので、引抜き強度にばらつきが生じ易く、信頼性に欠けるという課題を有していた。更に、下孔の孔壁に開埋設部を直接、当接させて固定するため、コンクリートやモルタル等の母材の縁や薄肉箇所に下孔が穿設され縁空き寸法が少ない場合、孔壁に生じた応力により亀裂やひび割れが発生し易く、強度が不足して信頼性、耐久性に欠けるという課題を有していた。
(2)(特許文献2)を初めとするケミカルアンカーは、アンカーの外周に接着剤を充填して硬化させることにより、その接着力で固定するものであり、硬化後は十分な強度をえることができるが、硬化までに時間を要するので、生産性、施工性に欠けるという課題を有していた。
(3)(特許文献3)のメカニカルアンカーは、孔への挿し込みにより圧縮されて復元力を孔壁へ及ぼす弾性体の突出部を仮止め手段として備えているが、孔へ挿し込む際に突出部が削れたり、引き千切られたりして信頼性に欠けると共に、孔との固定方法が従来のメカニカルアンカーと同じであるため、強度やばらつき等の信頼性や耐久性に関しては、(特許文献1)と同様の課題を有していた。
(4)(特許文献4)の樹脂併用アンカー装置は、機械的にも固着されるため、施工後直ちにボルトに負荷をかけることができるが、部品点数が多く形状が複雑で生産性、施工性に欠けるという課題を有していた。また、拡張部材の外周面に回転止め突起を設けることにより、拡張部材の回転を防止して拡張部材を拡張させて施工穴の内周面に当接させるので、施工穴へ挿し込む際等に回転止め突起が削れたり、欠けたりして破損した場合は、拡張部材を拡張させることができず信頼性に欠けるという課題を有していた。さらに、拡張部材及びテーパ部が穿孔の下方側に向かって拡開しており、アンカー装置を引抜こうとした際に、拡張部材を縮径する方向に力が加わるため、抜け易く信頼性に欠けるという課題を有していた。
(5)(特許文献5)に記載の技術は、本願出願人が出願したものであり、ポリウレタン樹脂や合成ゴム等の弾性体や鉛等の軟質性の金属で形成された環状仮固定用部材を拡径させて母材の下孔に仮固定するので、接着剤が固化する前に次の工程を行うことができ、工期を短縮でき実用性に優れると共に、仮固定時に母材に負担をかけることがなく、縁空き寸法が少ない場所での母材のひび割れ等の発生を防止できる信頼性に優れたアンカーであったが、接着剤を併用しなければ十分な固定力を得ることができず、アンカー単独での固定力の強化による信頼性、汎用性の向上が望まれていた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、コンクリートやモルタル、ブロック等で形成された基礎や壁、柱等の母材に簡単な構成で容易かつ確実に固定でき施工性に優れると共に、接着剤を併用しなくても母材に強固に固定することができ信頼性に優れ、母材と被固定物を確実に緊結でき、高い引抜き耐力を有して耐久性に優れたアンカーの提供、アンカーを容易かつ確実に固定でき、後工程における作業性、信頼性を確保することができる固定方法、及びそれを用いた母材と被固定物の固定を短時間で確実に行なうことができる施工性、生産性に優れた固定構造の提供を目的とする。
上記課題を解決するために本発明のアンカーは、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載のアンカーは、埋設部がコンクリートやモルタル、ブロック等で形成された基礎や壁、柱等の母材に穿設された下孔に埋設され、固定されて、前記母材と被固定物とを緊結するアンカーであって、前記埋設部の上端外周に形成された鍔部と、前記埋設部の中央部に軸芯の長手方向と平行に穿設された中央貫通孔と、前記中央貫通孔の上端側に形設された雌ねじ部と、前記中央貫通孔の下端側に形設された固定用雌ねじ部と、前記埋設部の下端側に下方に向かって縮径してテーパ状に形成された縮径部と、前記縮径部の下端側に配設された環状固定部材と、前記固定用雌ねじ部に螺合され前記環状固定部材の下面に当接して配設された拡径手段と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)埋設部の上端外周に形成された鍔部を有するので、鍔部を母材の上面に係止させて埋設部を保持することができ、下孔の内部にアンカーが埋没することがなく、埋設部のみを確実に下孔に埋設させることができ、アンカーの固定作業を行うことができる。
(2)埋設部の上端外周に形成された鍔部を有するので、埋設部を母材の下孔に挿通する際に、鍔部を利用して埋設部を下孔に押し込むことができ、作業性に優れる。
(3)埋設部の中央部に軸芯の長手方向と平行に中央貫通孔が穿設され、中央貫通孔の上端側に雌ねじ部が形設されていることにより、下孔に埋設され固定されたアンカーに固定ボルトを螺着させることができるので、被固定物の固定孔等に固定ボルトを挿通して母材に固定することができる。
(4)中央貫通孔の下端側に形設された固定用雌ねじ部を有することにより、雌ねじ部側から工具を挿通して容易に固定用雌ねじ部に螺合された拡径手段を回動させることができ、縮径部の下端に配設された環状固定部材を外周方向に拡径させることができる。
(5)環状固定部材を拡径させることにより、環状固定部材の外周を下孔の孔壁に当接させるので、環状固定部材で均等に下孔の孔壁を押圧することができ、確実強固に固定できる。
(6)環状固定部材によりアンカーを母材の下孔に固定できるので、接着剤を併用して固定する場合に、接着剤が完全に固化するのを待つことなく、他のアンカーの固定やその他の作業を行うことができ、作業時間を短縮することができ施工性に優れる。
(7)環状固定部材と共に接着剤を併用して埋設部を母材の下孔に固定した場合、アンカーの引張り強度を向上させることができ、信頼性、耐久性に優れる。
(8)拡径手段を固定用雌ねじ部に螺合することにより環状固定部材を拡径させるので、固定用雌ねじ部における締付力を管理することで容易に環状固定部材の拡径量を調整することができ、ばらつきの少ない略一定の引抜き強度を確保できる。
(9)拡径手段が固定用雌ねじ部に螺合され、環状固定部材が埋設部と拡径手段の間に挟まれるようにして保持されているので、環状固定部材や拡径手段の抜け落ち等を防止でき、取扱いが容易で実用性に優れる。
(10)埋設部の下端側に下方に向かって縮径してテーパ状に形成された縮径部を有するので、拡径手段を回転させるだけで環状固定部材を縮径部に沿って外周方向に広げながら上昇させることができ、環状固定部材の上端部を縮径部の上端近傍で埋設部の外径よりも大径に拡径させ、その外周面を下孔の孔壁に当接させてアンカーを固定することができる。
(11)埋設部の縮径部が、下端に向かって縮径してテーパ状に形成されていることにより、拡径手段で環状固定部材の底部を上方に押圧した際に、環状固定部材を縮径部の外周に沿ってスムーズに上昇させることができると共に、確実に環状固定部材を外周方向に拡径させることができ、固定作業性に優れる。
(12)環状固定部材が、下端に向かって縮径してテーパ状に形成された縮径部の下端側に配設されていることにより、固定時に環状固定部材が上方に向かって拡径するように変形すると共に、埋設部と拡径手段の間に挟まれて一体に固定されているので、埋設部を上方に引抜く外力が加わった際に、環状固定部材の上端側を拡径させる方向に力がかかり、埋設部が抜け難く信頼性に優れる。
ここで、埋設部や拡径手段の材質としては、ステンレス鋼、クロム鋼、鉄鋼、鋳鋼、鋳鉄、カーボン鉄鋼等の鉄製品やアルミニウム合金等の金属製の他、カーボン繊維やボロン繊維、ガラス繊維、金属繊維等の有機や無機の繊維と合成樹脂で成形加工したものが用いられる。金属製の場合、防錆加工されたものが好適に用いられる。これにより、埋設部や拡径手段が錆びつくのを防止でき、組立や分解の作業性を向上できる。
環状固定部材としては、ポリウレタン樹脂,エポキシ樹脂,アクリル樹脂等の合成樹脂製、アクリルニトリルブタジエンゴム,クロロプレンゴム,ブチルゴム,エチレンプロピレンゴム,フッ素ゴム,シリコーンゴム,アクリルゴム等の合成ゴム製、天然ゴム製等の弾性体や鉛等の軟質性の金属、鉄,ステンレス,アルミニウム,銅,黄銅等の硬質性の金属等が好適に用いられる。
拡径手段としては、環状固定部材の中央に穿設された貫通孔に挿通され固定用雌ねじ部に回動自在に保持された固定用ボルト部と、固定用ボルト部の下端側に配設され環状固定部材の下面に当接した押圧部と、を有するものが好適に用いられる。拡径手段の固定用ボルト部と押圧部は一体に形成してもよいし、別々に形成したものをピン嵌合や溶接等により固定してもよい。
固定用ボルト部の頭部には、一文字や十文字、六角形や星形等の工具嵌合部を形成するか、頭部の外形を六角形等の多角形状に形成することが好ましい。これにより、ドライバーやレンチ等の工具で固定用ボルト部を回動させることができ、容易に固定用ボルト部を締付けたり緩めたりすることができ、環状固定部材の拡径量を調整することができる。
固定用雌ねじ部に螺合された拡径手段を回動させることで環状固定部材を拡径させるので、小さな力で容易に変形させることができ、施工性に優れる。特に、環状固定部材として硬質性の金属を用いた場合、下孔に対して強固に固定することができるので、接着剤と併用しなくても十分な引抜き耐力を得ることができ、耐久性に優れる。
尚、拡径手段の固定用ボルト部を締付ける際に、埋設部を保持することにより、アンカーの埋設部の共回りを防止でき施工性に優れる。埋設部を保持する手段としては、固定用ボルト部を回動させるための工具が挿通できるように環状に形成され鍔部の上面を押圧するもの、鍔部の上面に形成した凹部や凸部に嵌合又は係合させるもの、埋設部の雌ねじ部に螺合するもの等が好適に用いられる。
中央貫通孔の孔径は埋設部の上端から下端まで同一でもよいし、雌ねじ部に螺着される固定ボルト及び固定用雌ねじ部に螺着される固定用ボルト部の径に応じて、上端側と下端側で異なる径にしてもよい。雌ねじ部と固定用雌ねじ部との間に、雌ねじを形設しないザグリ部を設けた場合、雌ねじ部に螺着される固定ボルトと固定用雌ねじ部に螺着される拡径手段の固定用ボルト部の頭部が干渉せず、アンカーの破損を防止することができる。このとき、ザグリ部の孔径は雌ねじ部の内径と同等以下で、固定用雌ねじ部の内径と同等以上であればよい。
環状固定部材は、縮径部の最小径とほぼ同等以上の内径に形成された筒状の周壁部を有するものが好適に用いられる。尚、周壁部の下端に環状板を配設した場合、拡径手段の固定用ボルト部を挿通することにより、環状固定部材が前後や左右にぶれ難く、固定作業の安定性に優れる。
尚、環状固定部材と押圧部の間に座金を配設した場合、押圧部と共に環状固定部材が回動するのを防止でき、滑らかに固定用ボルト部を回動させることができるので、確実に環状固定部材を圧縮して拡径させることができ、固定作業性に優れる。
環状固定部材を弾性体で形成する場合、筒状に形成された周壁部の内周に金属製の薄肉部を配設することにより、環状固定部材を拡径させる際に弾性体を内側に巻き込むことがなく、スムーズに縮径部に沿って移動させることができると共に、小さな力で確実に環状固定部材を拡径させることができ、施工性、信頼性に優れる。
また、環状固定部材の外周面や内周面に溝を形成する等して部分的に薄肉部を設けた場合、変形し易く施工性に優れる。
環状固定部材の周壁部の上端内周には上方に向かって拡開したテーパ部や円弧部を形成することが好ましい。拡径手段により環状固定部材を拡径させる際などに、環状固定部材の周壁部の上端が縮径部の外周面に引っ掛ることなくスムーズに上昇できると共に、周壁部の上端が薄肉となって埋設部の外周面と下孔の内周面との間に入り込み易く、アンカー効果を高めることができるためである。
鍔部の外径は母材の下孔の孔径よりも大径とし、埋設部を下孔に挿通する際に確実に平板状の鍔部の底面が母材の上面に係止されるようにする。また、下孔の外周に鍔部の厚さ以上のザグリを形成した場合、鍔部が母材表面に突出せず、被固定物を母材表面全体で支持することができる。
尚、鍔部の外形形状は円形状以外に矩形状や六角形状、八角形状等の多角形状等に形成してもよい。外側に少なくとも一組の平行部を有することにより、スパナ等の工具で容易に鍔部を掴むことができ、埋設部を母材の下孔に挿通する際や拡径手段による固定作業をする際などに埋設部を保持することができ施工性を向上させることができる。
埋設部の少なくとも下孔に埋設される外周表面に突条部や凹凸部を形成した場合、埋設部の外周と下孔の孔壁との間に充填される接着剤のバッファとして機能し、接着面積を広げると共に、接着剤と埋設部の外周表面との食い付きをよくして強固に固定することができる。
突条部や凹凸部としては、連続状の突条や非連続状の突部がランダムに形成されたもの又は螺旋溝等が好適に用いられる。尚、接着剤の種類(粘度)に応じて螺旋溝等の凹凸部の幅や深さを適宜、選択することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアンカーであって、前記環状固定部材が、周壁部の上端に軸方向と平行に形成された複数の分割溝を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)環状固定部材が、周壁部の上端に軸方向と平行に形成された複数の分割溝を備えているので、環状固定部材を縮径部に沿って上昇させる際に、環状固定部材が変形し易く、小さな力で確実に環状固定部材を外周方向に拡径させることができ施工性に優れると共に、環状固定部材の上端部を埋設部と下孔との隙間に圧入して強固に固定することができる。
ここで、分割溝の数は環状固定部材の外径に応じて適宜、選択することができる。一般的に用いられるM8〜M36の固定ボルトに対応する場合には、分割溝の数は2乃至8箇所形成することが好ましい。分割溝が1箇所だけでは環状固定部材を確実に変形させることが困難で、変形が不均一となって固定が不安定になり易く、8箇所より増えるにつれ環状固定部材と下孔との接触面積が低減し、固定力が不十分となって引抜き耐力が低下し易くなる傾向があり、いずれも好ましくない。
環状固定部材としては、前述の弾性体や軟質性又は硬質性の金属或いはこれらを組合せたもの等を用いることができるが、特に硬質性の金属を用いた場合は強固に固定することができ耐久性に優れるので好ましい。
本発明の請求項3に記載のアンカーは、埋設部がコンクリートやモルタル、ブロック等で形成された基礎や壁、柱等の母材に穿設された下孔に埋設され、固定されて、前記母材と被固定物とを緊結するアンカーであって、前記埋設部の上端外周に形成された鍔部と、前記埋設部の中央部に軸芯の長手方向と平行に穿設された中央貫通孔と、前記中央貫通孔の上端側に形設された雌ねじ部と、前記中央貫通孔の下端側に形設された固定用雌ねじ部と、周壁部の下端に軸方向と平行に形成された複数の分割溝を有し前記埋設部の下端側に配設された環状固定部材と、前記固定用雌ねじ部に螺合された固定用ボルト部と前記固定用ボルト部の下端側に下方に向かって拡径して形設され前記環状固定部材の前記周壁部の内側に嵌合された拡径部とを有する拡径手段と、を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1の(1)〜(9)の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)拡径手段が、固定用雌ねじ部に螺合された固定用ボルト部と、固定用ボルト部の下端側に下方に向かって拡径して形設され環状固定部材の周壁部の内側に嵌合された拡径部と、を有するので、固定用ボルト部を回転させるだけで拡径部を上昇させることができ、環状固定部材の周壁部を拡径部に沿って外周方向に押し広げ、その外周面を下孔の孔壁に当接させてアンカーを固定することができる。
(2)拡径手段の拡径部が、下方に向かって拡径して形設されていることにより、固定用ボルト部を回転させた際に、拡径部を環状固定部材の周壁部の内周に沿ってスムーズに上昇させることができると共に、確実に環状固定部材を外周方向に拡径させることができ、固定作業性に優れる。
(3)環状固定部材が、周壁部の下端に軸方向と平行に形成された複数の分割溝を備えているので、拡径手段を上昇させる際に、環状固定部材の周壁部が拡径部に沿って変形し易く、小さな力で容易に環状固定部材を外周方向に拡径させることができ施工性に優れると共に、環状固定部材の下端部の外周面を下孔の孔壁に確実に当接させてアンカーを固定することができる。
ここで、埋設部としては、請求項1と同様のものが好適に用いられる。また、拡径手段の固定用ボルト部も請求項1と同様である。拡径手段の拡径部は、略截頭円錐状や略半球状等の形状に形成する。固定用ボルト部と拡径部は一体に形成してもよいし、別々に形成したものをピン嵌合や溶接等により固定してもよい。
環状固定部材は、拡径手段の拡径部における最小径とほぼ同等以上の内径に形成された筒状の周壁部を有するものが好適に用いられる。尚、この環状固定部材は請求項2の環状固定部材を上下逆さまにしたものと同様であり、材質や分割溝の形成等についても請求項2と同様である。
環状固定部材の周壁部の下端内周に、下方に向かって拡開したテーパ部や円弧部を形成することにより、拡径手段を上昇させる際に、拡径部の外周面が環状固定部材の周壁部に引っ掛ることなくスムーズに移動でき、固定作業性に優れる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載のアンカーであって、前記鍔部の上面に形設されたアンカー保持凹部又は前記鍔部の上面に突設されたアンカー保持凸部の内の少なくともいずれか一方を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)鍔部の上面に穿設されたアンカー保持凹部又は鍔部の上面に突設されたアンカー保持凸部の内の少なくともいずれか一方を有することにより、アンカー保持凹部に嵌合する凸部やアンカー保持凸部に嵌合又は係合する凹部等を備えたアンカー取付用治具で埋設部を保持することができ、拡径手段を回転させて固定を行う際に、埋設部が共回りすることがなく、確実に環状固定部材を拡径させることができ、母材の下孔に強固に固定することができる。
(2)鍔部の上面にアンカー保持凹部やアンカー保持凸部を有することにより、雌ねじ部に固定ボルト等の雄ねじを螺着する際にも、アンカー保持凹部やアンカー保持凸部を保持して埋設部の共回りを防ぐことができ、雌ねじ部と雄ねじを確実かつ強固に固定することができる。
ここで、アンカー保持凹部は鍔部の上面に穿設した2以上の円形状や長円形状等の孔により形成するものが好ましい。また、アンカー保持凸部は鍔部の上面に配設した2以上のピン状の突起や、鍔部の上面に突設した外側に少なくとも一組の平行部を有する突起等により形成するものが好ましい。
アンカー取付用治具には、拡径手段の固定用ボルト部を回動させるための工具が挿通できるように少なくとも中央部に開口部を形成する。鍔部がアンカー保持凹部を有する場合は、アンカー取付用治具の裏面にアンカー保持凹部に嵌合される凸部を形成する。鍔部がピン状の突起で形成されたアンカー保持凸部を有する場合は、アンカー取付用治具の裏面にアンカー保持凸部が嵌合される孔状の凹部を形成する。また、鍔部が外側に少なくとも一組の平行部を有する突起で形成されたアンカー保持凸部を有する場合は、アンカー取付用治具にアンカー保持凸部の形状に合わせて嵌合又は係合できる開口部を形成する。
特に、アンカー取付用治具の開口部を側方で開口するようにコ字形等に形成した場合、アンカーに固定ボルト等の雄ねじを螺着した後でも、容易に側方からアンカー取付用治具を取外すことができ施工性に優れる。
請求項5に記載の発明は、アンカーの固定方法であって、前記母材に下孔を穿設する下孔穿設工程と、前記下孔に請求項1乃至4の内いずれか1項に記載のアンカーの前記埋設部を挿通するアンカー埋設工程と、前記拡径手段を回動することにより前記環状固定部材を拡径させ前記環状固定部材の外周を前記下孔の孔壁に当接させる固定工程と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)母材に下孔を穿設する下孔穿設工程を有するので、アンカーの埋設部の長さに合わせて下孔を穿設することができ、埋設部が母材表面から突出するのを防止でき、母材と被固定物とを確実に固定することができる。
(2)アンカー埋設工程により下孔にアンカーの埋設部を挿通して埋設すると共に、固定工程により拡径手段で環状固定部材を拡径させ環状固定部材の外周を下孔の孔壁に当接させるので、アンカーの埋設部を母材の下孔に確実に固定することができる。
(3)固定工程により環状固定部材でアンカーを母材の下孔に固定できるので、接着剤を併用して固定する場合に、接着剤が完全に固化するのを待つことなく、埋設部の雌ねじ部に固定ボルト等を螺着し、母材に被固定物の固定を行なうことができる。
ここで、下孔穿設工程ではハンマードリルビットやダイヤモンド、超鋼チップのコアホルソー等の刃先を用いてハンマードリルや回転ドリル等で母材に下孔を穿設する。下孔穿設工程の後工程として、ブラシやブロワー等により下孔の内部に溜まった切粉や水分を除去する下孔清掃工程を行なうことが好ましい。これにより、下孔へのアンカーの埋設部の挿通を容易にして確実に埋設部を所定深さまで埋設することができる。また、接着剤を充填する接着剤充填工程を有する場合、埋設部の外周面を接着剤で斑なく覆うことができ、アンカーの引抜き強度を確保することができ、信頼性を向上させることができる。下孔穿設工程を予め工場等で行なった場合、下孔の加工精度に優れると共に、現場での作業工数を低減でき、生産性を向上させることができる。
アンカー埋設工程ではアンカーの埋設部を母材の下孔に挿通して埋設させる。アンカーの埋設部の上端外周に鍔部が形成されているので、鍔部の下面が母材の表面に当接するまで埋設部を挿通することにより、鍔部を下孔の開口周縁部に係止させることができ、母材の表面でアンカーを支持することができる。特に、鍔部の底面部にテーパ部が形成されている場合、下孔の中心とアンカーの中心が自動的に位置合わせされると共に、テーパ部が下孔の開口周縁部に当接して安定に保持されるので、後工程における作業性を向上させることができる。
尚、必要に応じて下孔の外周にザグリを形成したり、アンカーを下孔に叩き込んだりして、鍔部の上面と母材の表面が面一になるようにしてもよい。これにより、母材の表面に凹凸がなく、母材の全面で確実に被固定物を支持することができ、固定安定性に優れる。
固定工程では、拡径手段により環状固定部材を拡径させ、その外周を下孔の孔壁に当接させる。拡径手段を回動させて上昇させることにより、環状固定部材を外周方向に拡径させるので、下孔の深さによらず略一定の拡径量を得ることができ、確実な固定が可能で信頼性、施工性に優れる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のアンカーの固定方法であって、前記アンカー埋設工程の前工程として前記下孔に接着剤を充填する接着剤充填工程を備えている構成を有している。
この構成により、請求項5の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)下孔に接着剤を充填する接着剤充填工程を有するので、下孔に埋設された埋設部の外周面を接着剤で強固に固定することができ、アンカーの引抜き強度を向上させることができる。
(2)下孔に接着剤を充填する接着剤充填工程を有するので、埋設部の外周と下孔の孔壁との間を接着剤で埋めることができ、雨水や空気中の水分が浸入するのを防止でき、アンカーの埋設部の腐食を防止でき耐久性を向上させることができる。
ここで、前述の下孔穿設工程には下孔の孔壁(内周面)をワイヤーブラシ等で削る等して、表面を荒らす下孔粗面化工程を設けてもよい。下孔の孔壁を荒らして凹凸を形成することにより、接着剤充填工程において下孔に充填される接着剤と下孔の孔壁表面との食い付きをよくして接着剤硬化後の足掛け具の引抜き強度を効果的に向上させることができる。下孔粗面化工程は人手でワイヤーブラシ等を回動させて行ってもよいし、ワイヤーブラシ等の軸部をドリル等の電動工具の先端に装着し電動で回動させて行ってもよい。
接着剤充填工程で充填する接着剤としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ビニルウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を主成分とする有機系やセポルトランドメント、アルミナセメント等を主成分とする無機系の接着剤が好適に用いられる。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載のアンカーの固定方法であって、前記アンカー埋設工程の前工程又は後工程として前記アンカーの前記雌ねじ部若しくは前記アンカー保持凹部又は前記アンカー保持凸部にアンカー取付用治具を装着するアンカー取付用治具装着工程を有し、前記固定工程が前記アンカー取付用治具を保持して前記アンカーの回転を防止するアンカー回り止め工程を備えている構成を有している。
この構成により、請求項5又は6の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)アンカー埋設工程の前工程又は後工程としてアンカーの雌ねじ部若しくはアンカー保持凹部又はアンカー保持凸部にアンカー取付用治具を装着するアンカー取付用治具装着工程を有し、固定工程がアンカー取付用治具を保持してアンカーの回転を防止するアンカー回り止め工程を有するので、拡径手段を回動させる際に、拡径手段と埋設部が共回りすることがなく、確実に環状固定部材を変形させて拡径させることができ、アンカーを固定することができる。
(2)アンカー埋設工程の前工程としてアンカーの雌ねじ部若しくはアンカー保持凹部又はアンカー保持凸部にアンカー取付用治具を装着するアンカー取付用治具装着工程を有する場合、アンカー埋設工程においてアンカーの埋設部を母材の下孔に挿通させる際に、アンカー取付用治具を利用してアンカーを保持することができ、容易にアンカーの埋設を行うことができる。
ここで、アンカー取付用治具をアンカーの雌ねじ部に装着する手段としては、合成ゴムやポリウレタン等の弾性体を雌ねじ部の内径に嵌合させるものや雄ねじを螺合して固定するもの等を用いることができる。特に、アンカー取付用治具をアンカーの雌ねじ部に螺合するものはアンカーを強固に保持することができ、アンカーの回転をより確実に防止できる。固定工程においては、固定用ボルト部を上から見て左回りに回転させることにより拡径手段を上昇させ、環状固定部材を拡径させるので、アンカー取付用治具が緩むことがなく施工性に優れる。
また、アンカー取付用治具をアンカー保持凹部又はアンカー保持凸部に装着するものは着脱が容易で施工性に優れる。
アンカー取付用治具が、雌ねじ部に螺合される回り止め雄ねじ部と、回り止め雄ねじ部の上部に形設された回り止め頭部と、回り止め雄ねじ部及び回り止め頭部に貫通して穿設された工具挿通孔と、を備えている構成を有している場合、人手又は工具により容易にアンカーの雌ねじ部に螺合して固定することができ、アンカーの拡径手段を回動させる際に、拡径手段とアンカーが共回りすることがなく、確実に環状固定部材を変形させて拡径させることができ、アンカーを固定することができる。また、回り止め頭部を工具等で簡単かつ確実に保持することができ、作業性を向上させることができると共に、アンカーの拡径手段を回動させる際に、工具を工具挿通孔から挿通して容易に拡径手段を回動させることができる。
アンカー取付用治具は、回り止め雄ねじ部、回り止め頭部、工具挿通孔の大きさが異なるものを複数種類、用意することにより、アンカーの雌ねじ部の寸法に合わせて使い分けることができる。
回り止め頭部を六角形等の多角形状に形成することにより、レンチやスパナ等の工具でアンカー取付用治具を介してアンカーを保持することができ、アンカーとアンカーの拡径手段が共回りするのを防止できる。
回り止め雄ねじ部及び回り止め頭部を貫通する工具挿通孔はアンカーの雌ねじ部に連通するように回り止め雄ねじ部及び回り止め頭部の軸芯に沿って穿設される。これにより、ドライバーや略L字型又は略T字型に形成されたレンチ等の工具の軸部を工具挿通孔からアンカーの雌ねじ部に挿通することができ、工具の先端を拡径手段の固定用ボルト部の頭部や工具嵌合部に嵌合させて回動させることができ、容易に固定作業を行なうことができる。
アンカー取付用治具が、回り止め頭部に連設された把持部を備えている場合、アンカー取付用治具をアンカーに装着する際に、工具を用いることなくアンカー取付用治具の回り止め雄ねじ部とアンカーの雌ねじ部を人手で螺合させて固定することができる。また、把持部を握ってアンカーを母材の下孔に挿通させることができ、アンカー埋設工程の作業性を向上させることができる。さらに、母材の下孔にアンカーを埋設した後に、把持部を握るか、把持部を母材に押えつけることにより、アンカーを保持することができるので、拡径手段による固定時にアンカーが共回りするのを防止できる。
把持部は回り止め頭部の中心側から外側に向かって一箇所又は放射状に二箇所以上、設けることができる。把持部は回り止め頭部と一体に形成してもよいし、把持部に回り止め頭部に係合する係合孔を穿設し着脱自在に配設してもよい。尚、アンカー取付用治具の回り止め雄ねじ部をアンカーの雌ねじ部に螺合し、アンカーを母材の下孔に埋設した状態で、把持部の底面が母材の表面と面一になることが好ましい。これにより、把持部を母材に押しつけるようにしてアンカーを保持することができ施工性に優れる。
アンカー取付用治具装着工程において、アンカー取付用治具の下面とアンカーの鍔部の上面との間に、アンカーの鍔部の外径よりも大きな軟質性の合成ゴムや合成樹脂等で形成された保護シートを配設した場合、母材の下孔に充填され溢れた接着剤がアンカー取付用治具に付着するのを防止でき、施工性及びアンカー取付用治具のメンテナンス性に優れる。保護シートの形状としては、円形状や矩形状のものが生産性に優れ好ましいが、鍔部の外径よりも大きく接着剤の付着を防止できる形状であればどのような形状でも構わない。保護シートの略中央部には、少なくとも埋設部の雌ねじ部の内径よりも大きな挿入孔を形成する。また、鍔部にアンカー保持凹部又はアンカー保持凸部が形成されている場合には、アンカー保持凹部又はアンカー保持凸部に相当する位置も開口させる。これにより、保護シートを介してアンカー取付用治具を雌ねじ部やアンカー保持凹部又はアンカー保持凸部に装着することができると共に、挿入孔から工具を挿通して拡径手段の固定用ボルト部を回動させることができる。
尚、保護シートは固定工程が終了し、アンカー取付用治具を取外した後に取除いてもよいが、保護シートの挿入孔から固定ボルト等の雄ねじを挿入して埋設部の雌ねじ部に螺着させることができるので、そのまま残しておいてもよい。
保護シートはアンカー取付用治具装着工程において、アンカー取付用治具の下面とアンカーの鍔部の上面との間に配設する以外に、アンカー埋設工程において、アンカーの鍔部の下面と母材表面との間に配設することもできる。この場合、保護シートの挿入孔をアンカーの埋設部の外径と同等以上の孔径に形成することで容易に埋設部を挿通することができる。また、鍔部の底面部にテーパ部が形成されている場合、保護シートの挿入孔周縁に鍔部のテーパ部に合わせてテーパ面を形成してもよい。これにより、鍔部と保護シートを密着させることができ、埋設部の外周と挿入孔との隙間から保護シートの表面側へ接着剤が溢れ出すのを防止でき施工性に優れる。
また、保護シートを透明又は半透明の材料で形成した場合、目視で接着剤の溢れ出しを確認することができ、接着剤の充填不良を未然に防ぐことができる。
請求項8に記載の発明は、アンカーを用いた固定構造であって、前記母材に穿設された前記下孔に埋設され固定された請求項1乃至4の内いずれか1項に記載のアンカーと、前記アンカーの前記雌ねじ部に螺着された固定ボルトと、前記固定ボルトにより前記アンカーを介して前記母材に緊結固定された前記被固定物と、を備えている。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)アンカーが母材に穿設された下孔に埋設され固定されているので、アンカーの雌ねじ部に螺着された固定ボルトによりアンカーを介して被固定物を母材に対して緊結固定することができる。
(2)アンカーの雌ねじ部に螺着された固定ボルトにより、アンカーを介して被固定物が母材と固定されているので、接着剤を併用する場合に下孔に充填された接着剤が完全に硬化していなくても被固定物が移動することがなく、作業を進めることができ、工期を短縮することができる。
(3)アンカーの雌ねじ部に螺着された固定ボルトにより、アンカーを介して被固定物が母材と固定されているので、接着剤を併用する場合に放置するだけで時間経過と共に接着剤が未硬化状態から硬化状態に変化して被固定物と母材を強固に固定することができる。
以上のように、本発明のアンカーとその固定方法及びそれを用いた固定構造によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)埋設部の上端外周に形成された鍔部を有するので、鍔部を母材の上面に係止させて埋設部を保持することができ、下孔の内部にアンカーが埋没することがなく、埋設部のみを確実に下孔に埋設させることができ、アンカーの固定作業を行うことができる施工性、信頼性に優れたアンカーを提供することができる。
(2)埋設部の上端外周に形成された鍔部を有するので、埋設部を母材の下孔に挿通する際に、鍔部を利用して埋設部を下孔に押し込むことができ、作業性に優れたアンカーを提供することができる。
(3)雌ねじ部から工具を挿通して容易に拡径手段の締付作業を行うことができ、埋設部の下端に配設された環状固定部材を外周方向に拡径させることができる施工性に優れたアンカーを提供することができる。
(4)環状固定部材を拡径させることにより、環状固定部材の外周を下孔の孔壁に当接させるので、環状固定部材で均等に下孔の孔壁を押圧することができ、確実強固に固定できる信頼性に優れたアンカーを提供することができる。
(5)環状固定部材によりアンカーを母材の下孔に固定できるので、接着剤を併用して固定する場合に、接着剤が完全に固化するのを待つことなく、他のアンカーの固定やその他の作業を行うことができ、作業時間を短縮することができる施工性に優れたアンカーを提供することができる。
(6)拡径手段の固定用雌ねじ部における締付力を管理することで容易に環状固定部材の拡径量を調整することができ、ばらつきの少ない略一定の引抜き強度を確保できる施工性、信頼性に優れたアンカーを提供することができる。
(7)拡径手段を回転させるだけで環状固定部材を縮径部に沿って上昇させることができ、環状固定部材の上端部を縮径部の上端近傍で埋設部の外径よりも大径に拡径させ、その外周面を下孔の孔壁に当接させてアンカーを固定することができる施工性に優れたアンカーを提供することができる。
(8)拡径手段で環状固定部材の底部を上方に押圧した際に、環状固定部材を下端に向かって縮径して形成された縮径部の外周に沿ってスムーズに上昇させることができると共に、確実に環状固定部材を外周方向に拡径させることができる固定作業性に優れたアンカーを提供することができる。
(9)環状固定部材が埋設部と拡径手段の間に挟まれることにより、環状固定部材の上端部が上方に向かって拡径するように変形して固定されるので、埋設部を上方に引抜く外力が加わった際に、環状固定部材の上端側を拡径させる方向に力がかかり、埋設部が抜け難く信頼性に優れたアンカーを提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)周壁部の上端側に軸方向と平行に複数の分割溝が形成された環状固定部材は、縮径部に沿って上昇することにより容易に外周方向に拡径すると共に、周壁部の上端側が埋設部と下孔との隙間に圧入されて強固に固定され、埋設部の引抜き耐力を向上させることができる施工性、信頼性に優れたアンカーを提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1の(1)〜(6)の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)固定用ボルト部を回転させるだけで拡径部を上昇させることができ、環状固定部材の周壁部を拡径部に沿って外周方向に押し広げ、その外周面を下孔の孔壁に当接させてアンカーを固定することができる施工性に優れたアンカーを提供することができる。
(2)固定用ボルト部を回転させた際に、下方に向かって拡径して形設された拡径部を環状固定部材の周壁部の内周面に沿ってスムーズに上昇させることができ、確実に環状固定部材を外周方向に拡径させることができる固定作業性に優れたアンカーを提供することができる。
(3)周壁部の下端に軸方向と平行に形成された複数の分割溝が形成された環状固定部材は、拡径手段を上昇させることにより容易に外周方向に拡径し、下端部の外周面を下孔の孔壁に確実に当接させてアンカーを固定することができる施工性、信頼性に優れたアンカーを提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)鍔部の上面に穿設されたアンカー保持凹部や鍔部の上面に突設されたアンカー保持凸部にアンカー取付用治具の凸部や凹部を嵌合又は係合することにより、簡便に埋設部を保持することができ、拡径手段を回転させて固定を行う際に、埋設部の共回りを防止でき、確実に環状固定部材を拡径させ、母材の下孔に強固に固定することができる施工性、信頼性に優れたアンカーを提供することができる。
(2)雌ねじ部に固定ボルト等の雄ねじを螺着する際に、アンカー保持凹部やアンカー保持凸部を保持することができるので、埋設部の共回りを防ぐことができ、雌ねじ部と固定用ボルト等の雄ねじを確実かつ強固に固定することができる固定の信頼性に優れたアンカーを提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)アンカー埋設工程においてアンカーの埋設部を下孔に挿通し埋設すると共に、固定工程において拡径手段で環状固定部材を拡径させ、その外周を下孔の孔壁に当接させアンカーの埋設部を母材の下孔に確実に固定することができるので、接着剤を併用して固定する場合でも、接着剤の固化を待つ必要がなく、埋設部の雌ねじ部に固定ボルト等を螺着し、母材に被固定物の固定を行なうことができる施工性に優れたアンカーの固定方法を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)下孔に接着剤を充填する接着剤充填工程を有するので、下孔に埋設された埋設部の外周面を接着剤で強固に固定することができ、アンカーの引抜き強度を向上させることができる信頼性に優れたアンカーの固定方法を提供することができる。
(2)下孔に接着剤を充填する接着剤充填工程を有するので、埋設部の外周と下孔の孔壁との間を接着剤で埋めることができ、雨水や空気中の水分が浸入するのを防止でき、アンカーの埋設部の腐食を防止できる信頼性、耐久性に優れたアンカーの固定方法を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項5又は6の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)アンカー埋設工程の前工程又は後工程としてアンカーの雌ねじ部若しくはアンカー保持凹部又はアンカー保持凸部にアンカー取付用治具を装着するアンカー取付用治具装着工程を有し、固定工程がアンカー取付用治具を保持してアンカーの回転を防止するアンカー回り止め工程を有するので、拡径手段を回動させる際に、拡径手段とアンカーが共回りすることがなく、確実に環状固定部材を拡径させることができ、アンカーを固定することができる施工性に優れたアンカーの固定方法を提供することができる。
(2)アンカー埋設工程の前工程としてアンカーの雌ねじ部若しくはアンカー保持凹部又はアンカー保持凸部にアンカー取付用治具を装着するアンカー取付用治具装着工程を有する場合、アンカー埋設工程においてアンカーの埋設部を母材の下孔に挿通させる際に、アンカー取付用治具を利用してアンカーを保持することができ、容易にアンカーの埋設を行なうことができる施工性に優れたアンカーの固定方法を提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)アンカーが母材に穿設された下孔に埋設され固定されているので、アンカーの雌ねじ部に螺着された固定ボルトによりアンカーを介して被固定物を母材に対して緊結固定することができる信頼性に優れたアンカーを用いた固定構造を提供することができる。
(2)アンカーの雌ねじ部に螺着された固定ボルトにより、アンカーを介して被固定物が母材と固定されているので、接着剤を併用する場合に下孔に充填された接着剤が完全に硬化していなくても被固定物が移動することがなく、作業を進めることができ、工期を短縮することができる施工性に優れたアンカーを用いた固定構造を提供することができる。
(3)アンカーの雌ねじ部に螺着された固定ボルトにより、アンカーを介して被固定物が母材と固定されているので、接着剤を併用する場合に放置するだけで時間経過と共に接着剤が未硬化状態から硬化状態に変化して被固定物と母材を強固に固定することができる施工性、信頼性に優れたアンカーを用いた固定構造を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1(a)は本発明の実施の形態1におけるアンカーを示す断面図であり、図1(b)は本発明の実施の形態1におけるアンカーの環状固定部材を示す斜視図である。
図1中、1は実施の形態1におけるアンカー、2はステンレス鋼、クロム鋼、鉄鋼、鋳鋼、鋳鉄、カーボン鉄鋼等の鉄製品やアルミニウム合金等の金属製の他、カーボン繊維やボロン繊維、ガラス繊維、金属繊維等の有機や無機の繊維と合成樹脂で成形加工したアンカー1の埋設部、2aは埋設部2の上端外周に形成された鍔部、2bは鍔部2aの底面部に形成されたテーパ部、2cは埋設部2の外周面に形成された螺旋溝、3aは埋設部2の軸芯の長手方向と平行に穿設された中央貫通孔2dの上端側に形設された雌ねじ部、3bは雌ねじ部3aと後述する固定用雌ねじ部3cとの間で雌ねじが形設されない中央貫通孔2dのザグリ部、3cは中央貫通孔2dの下端側に形設された固定用雌ねじ部、4aは埋設部2の下端側に下方に向かって縮径してテーパ状に形成された縮径部、4bは縮径部4aの下端側に延設して形成された円筒部、5は縮径部4aの下端側に配設され上端部が円筒部4bに嵌合されて保持された環状固定部材、5aは環状固定部材5の周壁部、5bは周壁部5aの上端側から軸方向と平行に形成された複数の分割溝、5cは周壁部5aの上端内周に上方に向かって拡開して形成されたテーパ部、6は環状固定部材5の下端に配設された座金、7は固定用ボルト部7aで埋設部2の固定用雌ねじ部3cに回動自在に保持された拡径手段、7bは固定用ボルト部7aの頭部に形成され拡径手段7を回動させるためのドライバーやレンチ等の工具が嵌合される一文字や十文字、六角形や星形等の工具嵌合部、7cは固定用ボルト部7aの下端側に配設され座金6の下面に当接して環状固定部材5を押圧する拡径手段7の押圧部である。
鍔部2aの外径は埋設部2が埋設される母材の下孔の孔径よりも大径に形成し、埋設部2を下孔に挿通する際に確実に鍔部2aの底面部に形成されたテーパ部2bが母材の上面に係止されるようにした。尚、鍔部2aの外形形状は円形状以外に矩形状や六角形状、八角形状等の多角形状等に形成することができる。
埋設部2の外周表面には螺旋溝2cを形成した。これにより、埋設部2の外周と下孔の孔壁との間に充填される接着剤のバッファとして機能し、接着面積を広げると共に、接着剤と埋設部2の外周表面との食い付きをよくして強固に固定することができる。尚、螺旋溝2c以外に非連続状の凹凸部をランダムに形成したり、複数の突条部を形成したりしてもよい。螺旋溝2c等の凹凸部や突条部の幅や深さは、使用する接着剤の種類(粘度)に応じて適宜、選択することができる。
雌ねじ部3aと固定用雌ねじ部3cの間にザグリ部3bが形成されているので、固定用ボルト部7aの頭部が埋設部2の雌ねじ部3a側に突出することがなく、雌ねじ部3aに螺着される固定ボルトと固定用ボルト部7aの頭部が干渉せず、アンカー1の破損を防止することができる。
本実施の形態では、中央貫通孔2dの孔径は雌ねじ部3aが形設された埋設部2の上端側を大径とし、固定用雌ねじ部3cが形設された埋設部2の下端側を小径としたが、雌ねじ部3aに螺着される固定ボルト及び固定用雌ねじ部3cに螺着される固定用ボルト部7aの径に応じて、適宜選択することができ、同一径とすることもできる。
環状固定部材5の材質としては、ポリウレタン樹脂等の合成樹脂、ブチルゴム,フッ素ゴム等の合成ゴム、天然ゴム等の弾性体や鉛等の軟質性の金属又は鉄,ステンレス等の硬質性の金属或いはこれらを組合せたもの等を用いることができる。特に硬質性の金属を用いた場合は強固に固定することができ耐久性に優れるので好ましい。また、環状固定部材5を弾性体で形成する場合、筒状に形成された周壁部5aの内周に金属製の薄肉部を配設することにより、環状固定部材5を拡径させる際に弾性体を内側に巻き込むことがなく、スムーズに縮径部4aに沿って移動させることができると共に、小さな力で確実に環状固定部材5を拡径させることができ、施工性、信頼性に優れる。
環状固定部材5の周壁部5aの内径は、縮径部4aに延設された円筒部4bの外径とほぼ同等に形成した。これにより、未使用状態や固定前の状態でも環状固定部材5の上端部を円筒部4bに嵌合させて保持することができる。尚、周壁部5aの下端に環状板を固定すると、固定用ボルト部7aを挿通した場合、環状固定部材5が前後や左右にぶれ難く、固定作業の安定性を向上させることができる。
環状固定部材5の周壁部5aの上端内周には、上方に向かって拡開したテーパ部5cを形成した。埋設部2を下孔に埋設した際に、周壁部5aの上端が縮径部4aの外周面に引っ掛ることなくスムーズに移動できると共に、周壁部5aの上端側が薄肉となって埋設部2の外周面と下孔の内周面との間に入り込み易く、アンカー効果を高めるためである。尚、テーパ部5cの代りに円弧部を形成しても同様の作用が得られる。
分割溝5bは2乃至8箇所形成した。分割溝5bが1箇所だけでは環状固定部材5を確実に変形させることが困難で、変形が不均一となって固定が不安定になり易く、8箇所より増えるにつれ環状固定部材5と下孔との接触面積が低減し、固定力が不十分となって引抜き耐力が低下し易くなる傾向があることがわかったためである。尚、この分割溝5bの数は、一般的に用いられるM8〜M36の固定ボルトに対して特に好適であり、環状固定部材5の外径に応じて適宜、選択することができる。
環状固定部材5と拡径手段7の押圧部7cの間に座金6を配設することにより、拡径手段7と共に環状固定部材5が回動するのを防止した。固定用ボルト部7aを滑らかに回動させることができるので、確実に環状固定部材5を圧縮して拡径させることができ、固定作業性に優れる。
拡径手段7の固定用ボルト部7aと押圧部7cは一体に形成してもよいし、別々に形成したものをピン嵌合や溶接等により固定してもよい。
工具嵌合部7bを有するので、ドライバー等を用いて容易に固定用ボルト部7aを回動させることができる。
以上のように形成された実施の形態1のアンカーを用いた固定構造について、図面を用いて説明する。
図2は実施の形態1のアンカーを用いた固定構造を示す要部断面側面図である。
図2中、10はコンクリートやモルタル、ブロック等で形成された基礎や壁、柱等の母材、10aは母材表面、11は母材表面10aに直交して穿設されアンカー1が埋設され固定された下孔、11aは下孔11の孔壁、11bはアンカー1の鍔部2aのテーパ部2bが係止された下孔11の開口周縁部、12は下孔11に充填され埋設部2の外周面の螺旋溝2cと下孔11の孔壁11aとの間を埋める有機系や無機系の接着剤、13はアンカー1の雌ねじ部3aに螺合された固定ボルト、14は固定孔14aに固定ボルト13が挿通され母材10の母材表面10a上に設置された被固定物、14bは被固定物14の裏面に形成されたザグリ、15は固定ボルト13に挿通された座金、16は固定ボルト13に螺着され母材10と被固定物14を固定する固定ナットである。
尚、被固定物14の裏面にザグリ14bが形成されていない場合は、母材表面10aの下孔11の外周にザグリを形成したり、アンカー1を下孔11の内部に叩き込んだりして鍔部2aの上面と母材表面10aを面一にすることもできる。これにより、母材表面10aに凹凸がなく、母材表面10aの全面で確実に被固定物14を支持することができ、固定安定性に優れる。
以上のように構成された実施の形態1のアンカーを用いた固定構造について、以下、その固定方法を図面を用いて説明する。
図3(a)は固定方法の下孔穿設工程を示す要部断面図であり、図3(b)は固定方法の接着剤充填工程を示す要部断面図であり、図3(c)は固定方法のアンカー埋設工程を示す要部断面図である。
まず、下孔穿設工程において、図3(a)に示すように、母材10の母材表面10aに直交する下孔11をハンマードリル等の工具を用いて穿設する。下孔11の孔径はアンカー1の埋設部2及び環状固定部材5の外径よりも大径とし、埋設部2の鍔部2aよりも小径とする。これにより、後工程のアンカー埋設工程において、アンカー1の埋設部2を下孔11に挿通する際に埋設部2及び環状固定部材5が下孔11の孔壁11aに引っ掛かったり、削れたりすることがなく、また、埋設部2の鍔部2aを母材表面10aに係止させ鍔部2aのテーパ部2bを下孔11の開口周縁部11bに当接させて位置決めでき、アンカー1の埋設部2を下孔11に安定して保持できる(図3(c)参照)。
次に、下孔穿設工程の後工程として、ブラシやブロワー等により下孔11の内部に溜まった切粉や水分等を除去する下孔清掃工程を行なう。これにより、下孔11へのアンカー1の埋設部2の挿通を容易にして確実に埋設部2を所定深さまで埋設することができると共に、後工程の接着剤充填工程で充填する接着剤12で埋設部2の外周面を斑なく覆うことができ、アンカー1の引抜き強度を確保することができ、信頼性を向上させることができる。
尚、下孔穿設工程を予め工場等で行なった場合、下孔11の加工精度に優れると共に、現場での作業工数を低減でき、生産性を向上させることができる。
また、下孔穿設工程には下孔11の孔壁11a(内周面)をワイヤーブラシ等で削る等して、表面を荒らす下孔粗面化工程を設けてもよい。ワイヤーブラシ等の軸部をドリル等の電動工具に装着し回動させることにより、容易に下孔11の孔壁11aを削ることができる。下孔11の孔壁11aを荒らして凹凸を形成することにより、下孔11に充填された接着剤12と下孔11の孔壁11a表面との食い付きをよくして接着剤硬化後のアンカー1の引抜き強度を効果的に向上させることができる。
次に、接着剤充填工程において、図3(b)に示すように、下孔11の内部に接着剤12を充填し、アンカー埋設工程において、図3(c)に示すように、アンカー1の埋設部2を下孔11に挿通する。下孔11にアンカー1の埋設部2が挿通されることにより、接着剤12が埋設部2の外周面の螺旋溝2cと下孔11の孔壁11aとの間に広がって隙間なく充填される。埋設部2の外周面に螺旋溝2cが形成されていることにより、接着面積を広げるとともに接着剤12の硬化後のアンカー効果を向上させることができる。
次に、アンカー取付用治具装着工程においてアンカーに挿着され、アンカー回り止め工程においてアンカーを保持するアンカー取付用治具について説明する。
図4(a)はアンカー取付用治具を示す断面図であり、図4(b)はアンカー取付用治具の背面図である。
図4中、20はアンカー取付用治具装着工程においてアンカー1の雌ねじ部3aに回り止め雄ねじ部21で螺着され、アンカー回り止め工程においてアンカー1を保持するアンカー取付用治具、22はアンカー取付用治具20の回り止め雄ねじ部21の上部に形設された回り止め頭部、23は回り止め頭部22の中心側から外側に向かって放射状に回り止め頭部22と一体に形成されたアンカー取付用治具20の把持部、23aは把持部23の下面に突出して形成されたアンカー取付用治具20の支持用突起、24は回り止め雄ねじ部21及び回り止め頭部22に貫通して穿設されたアンカー取付用治具20の工具挿通孔である。
次に、アンカー取付用治具装着工程及び固定工程について説明する。
図5は固定方法の固定工程を示す要部断面側面図である。
図5中、25はアンカー取付用治具20の工具挿通孔24から挿通され固定用ボルト部7aの頭部に形成された工具嵌合部7bに嵌合され固定用ボルト部7aを回動させる六角レンチ等の固定工程に用いる工具、30はアンカー1の鍔部2aの上面とアンカー取付用治具20の回り止め頭部22の底面との間に配設され母材10の下孔11に充填された接着剤12が母材表面10aに溢れた場合にアンカー取付用治具20に付着するのを防止する合成樹脂製の保護シート、30aは保護シート30の略中央部に埋設部2の雌ねじ部3aの内径よりも大きな孔径に形成された挿入孔である。
まず、アンカー取付用治具装着工程において、アンカー1の鍔部2aの上面とアンカー取付用治具20の回り止め頭部22の底面との間に保護シート30を挟むようにアンカー1の雌ねじ部3aにアンカー取付用治具20の回り止め雄ねじ部21を螺着する。
アンカー取付用治具20が把持部23を有することにより、特別な工具等を用いることなく、人手で把持部23を回動させてアンカー1の雌ねじ部3aとアンカー取付用治具20の回り止め雄ねじ部21を着脱することができる。
保護シート30の形状は、生産性に優れる円形状や矩形状に形成したが、鍔部2aの外径よりも大きく接着剤12の付着を防止できる形状であればどのような形状でも構わない。保護シート30の挿入孔30aの孔径を埋設部2の雌ねじ部3aの内径よりも大きく形成したことにより、保護シート30を介してアンカー取付用治具20を雌ねじ部3aに装着することができると共に、後工程の固定工程において挿入孔30aから工具25を挿通して固定用ボルト部7aを回動させることができる。
本実施の形態ではアンカー取付用治具装着工程をアンカー埋設工程の後工程として行なった。下孔11に埋設したアンカー1にアンカー取付用治具20を装着する場合、最初から強固に螺着しようとすると、アンカー1が共回りしてしまうが、アンカー取付用治具装着工程においては、軽く固定されていればよい。これは、後述するように後工程の固定工程における固定用ボルト部7aの回転方向が、アンカー取付用治具20の締め付け方向と逆になるため、拡径手段7による固定作業を行うことにより、自動的にアンカー取付用治具20も強固に固定されることになるためである。尚、アンカー取付用治具装着工程は、アンカー埋設工程の前工程として行なうこともできる。アンカー埋設工程の前工程としてアンカー取付用治具装着工程を行なう場合、アンカー埋設工程においてアンカー取付用治具20の把持部23を把持してアンカー1の埋設部2を下孔11に埋設させることができ、作業性を向上させることができる。
次に、固定工程において、アンカー取付用治具20の把持部23を保持してアンカー1の回転を防止するアンカー回り止め工程を行った上で、工具25をアンカー取付用治具20の工具挿通孔24から挿通し、固定用ボルト部7aの頭部に形成された工具嵌合部7bに工具25の先端を嵌合し、固定用ボルト部7aを回動させることにより、押圧部7cと共に環状固定部材5を上昇させ、周壁部5aを縮径部4aに沿って外周方向に拡径させ、その外周を下孔11の孔壁11aに当接させてアンカー1の固定を行なう。このとき、固定用ボルト部7aは上から見て左回りに回転させるので、埋設部2の雌ねじ部3aにアンカー取付用治具20の回り止め雄ねじ部21を螺合してアンカー1を保持した際に、回り止め雄ねじ部21の締付方向と拡径手段7の回転方向が逆方向になり、確実に拡径手段7による固定作業を行うことができる。
アンカー取付用治具20の把持部23の底面に支持用突起23aが突設されているので、アンカー回り止め工程及び固定工程において把持部23を母材10の母材表面10aに押しつけるようにしてアンカー取付用治具20を保持することができ施工性に優れる。
特に、支持用突起23aを合成ゴム等の弾性体で形成した場合、母材表面10aの凹凸や段差等の影響を受けることなく支持用突起23aの底面を母材表面10aに確実に押付けることができ、アンカー1の浮き上がりを防止できる。
本実施の形態ではアンカー取付用治具20の把持部23を一文字に形成したが、T字形や十文字に形成してもよい。また、支持用突起23aは全体を弾性体で形成する代りに、金属等で形成した底面に弾性体を貼着してもよい。
尚、保護シート30は固定工程が終了し、アンカー取付用治具20を取外した後に取除いてもよいし、そのまま残しておいてもよい。
また、環状固定部材5を硬質性の金属等で形成することにより、十分な固定強度と引き抜き耐力が得られる場合は、環状固定部材5による機械的固定のみを行って接着剤充填工程を省略することもできる。このとき、保護シート30も不要となる。
次に、アンカー取付用治具の変形例について説明する。
図6(a)はアンカー取付用治具の変形例を示す平面図であり、図6(b)はアンカー取付用治具の変形例を示す断面図である。
図6におけるアンカー取付用治具の変形例が実施の形態1におけるアンカー取付用治具と異なるのは、アンカー取付用治具20aが回り止め頭部22aを人手で回転させ保持するための把持部23を有していない代りに、回り止め頭部22aが六角形に形成され回り止め頭部22aの底部にワッシャー部22bが固設されている点である。
回り止め頭部22aが六角形に形成されていることにより、レンチやスパナ等の工具でアンカー取付用治具20aを保持してアンカー1の回転を防止でき、アンカー1とアンカー1の拡径手段7が共回りするのを防止できる。
また、ワッシャー部22bを有することにより、アンカー取付用治具20aの回り止め雄ねじ部21をアンカー1の雌ねじ部3aに螺着する際に、アンカー1の鍔部2aにワッシャー部22bを当接させることができ、アンカー1の雌ねじ部3aに対してアンカー取付用治具20aを確実に安定して固定できる。
以上のように実施の形態1におけるアンカーによれば、以下の作用を有する。
(1)埋設部2の上端外周に形成された鍔部2aを有するので、鍔部2aを母材表面10aの開口周縁部11bに係止させて埋設部2を保持することができ、下孔11の内部にアンカー1が埋没することがなく、埋設部2のみを確実に下孔11に埋設させることができ、アンカー1の固定作業を行うことができる。
(2)埋設部2の上端外周に形成された鍔部2aを有するので、埋設部2を母材10の下孔11に挿通する際に、鍔部2aを利用して埋設部2を下孔11に押し込むことができ、作業性に優れる。
(3)埋設部2の中央部に軸芯の長手方向と平行に中央貫通孔2dが穿設され、中央貫通孔2dの上端側に雌ねじ部3aが形設されていることにより、下孔11に埋設され固定されたアンカー1に固定ボルト13を螺着させることができるので、被固定物14の固定孔14aに固定ボルト13を挿通して被固定物14を母材10に固定することができる。
(4)中央貫通孔2dの下端側に形設された固定用雌ねじ部3cを有することにより、雌ねじ部3a側から工具25を挿通して容易に固定用雌ねじ部3cに螺合された拡径手段7を回動させることができ、縮径部4aの下端に配設された環状固定部材5を外周方向に拡径させることができる。
(5)環状固定部材5を拡径させることにより、環状固定部材5の外周を下孔11の孔壁11aに当接させるので、環状固定部材5で均等に下孔11の孔壁11aを押圧することができ、確実強固に固定できる。
(6)環状固定部材5によりアンカー1を母材10の下孔11に固定できるので、接着剤12を併用して固定する場合に、接着剤12が完全に固化するのを待つことなく、他のアンカーの固定やその他の作業を行うことができ、作業時間を短縮することができ施工性に優れる。
(7)環状固定部材5と共に接着剤12を併用して埋設部2を母材10の下孔11に固定した場合、アンカー1の引張り強度を向上させることができ、信頼性、耐久性に優れる。
(8)拡径手段7を固定用雌ねじ部3cに螺合することにより環状固定部材5を拡径させるので、固定用雌ねじ部3cにおける締付力を管理することで容易に環状固定部材5の拡径量を調整することができ、ばらつきの少ない略一定の引抜き強度を確保できる。
(9)拡径手段7が固定用雌ねじ部3cに螺合され、環状固定部材5が埋設部2と拡径手段7の間に挟まれるようにして保持されているので、環状固定部材5や拡径手段7の抜け落ち等を防止でき、取扱いが容易で実用性に優れる。
(10)埋設部2の下端側に下方に向かって縮径してテーパ状に形成された縮径部4aを有するので、拡径手段7を回転させるだけで環状固定部材5を縮径部4aに沿って外周方向に広げながら上昇させることができ、環状固定部材5の上端部を縮径部4aの上端近傍で埋設部2の外径よりも大径に拡径させ、その外周面を下孔11の孔壁11aに当接させてアンカーを固定することができる。
(11)埋設部2の縮径部4aが、下端に向かって縮径してテーパ状に形成されていることにより、拡径手段7で環状固定部材5の底部を上方に押圧した際に、環状固定部材5を縮径部4aの外周に沿ってスムーズに上昇させることができると共に、確実に環状固定部材5を外周方向に拡径させることができ、固定作業性に優れる。
(12)環状固定部材5が、下端に向かって縮径してテーパ状に形成された縮径部4aの下端側に配設されていることにより、固定時に環状固定部材5が上方に向かって拡径するように変形すると共に、埋設部2と拡径手段7の間に挟まれて一体に固定されているので、埋設部2を上方に引抜く外力が加わった際に、環状固定部材5の上端側を拡径させる方向に力がかかり、埋設部2が抜け難く信頼性に優れる。
(13)固定用ボルト部7aの頭部に一文字や十文字、六角形や星形等の工具嵌合部7bを形成することにより、ドライバーやレンチ等の工具25で固定用ボルト部7aを回動させることができ、容易に固定用ボルト部7aを締付けたり緩めたりすることができ、環状固定部材5の拡径量を調整することができる。
(14)鍔部2aの底面部に形成されたテーパ部2bを有することにより、母材10の下孔11に容易に埋設部2を位置合わせすることができ、環状固定部材5を拡径させた際に環状固定部材5の外周を均等に母材10の下孔11に当接させることができるので、より確実に母材10の下孔11に対して埋設部2を固定することができる。
(15)環状固定部材5が、周壁部5aの上端に軸方向と平行に形成された複数の分割溝5bを備えているので、環状固定部材5を縮径部4aに沿って上昇させる際に、環状固定部材5が変形し易く、小さな力で確実に環状固定部材5を外周方向に拡径させることができ施工性に優れると共に、環状固定部材5の上端部を埋設部2と下孔11との隙間に圧入して強固に固定することができる。
実施の形態1におけるアンカーを用いた固定構造によれば、以下の作用を有する。
(1)アンカー1が母材10に穿設された下孔11に埋設され固定されているので、アンカー1の雌ねじ部3aに螺着された固定ボルト13と固定ボルト13に螺着された固定ナット16によりアンカー1を介して被固定物14を母材10に対して緊結固定することができる。
(2)アンカー1の雌ねじ部3aに螺着された固定ボルト13と固定ボルト13に螺着された固定ナット16により、アンカー1を介して被固定物14が母材10と固定されているので、下孔11に充填された接着剤12が完全に硬化していなくても被固定物14が移動することがなく、作業を進めることができ、工期を短縮することができる。
(3)アンカー1の雌ねじ部3aに螺着された固定ボルト13と固定ボルト13に螺着された固定ナット16により、アンカー1を介して被固定物14が母材10と固定されているので、放置するだけで時間経過と共に接着剤12が硬化し、アンカー1が仮固定状態から固定状態に変化して被固定物14と母材10を強固に固定することができる。
実施の形態1におけるアンカーの固定方法によれば、以下の作用を有する。
(1)母材10に下孔11を穿設する下孔穿設工程を有するので、アンカー1の埋設部2の長さに合わせて下孔11を穿設することができ、埋設部2が母材表面10aから突出するのを防止でき、母材10と被固定物14とを確実に固定することができる。
(2)下孔11に接着剤12を充填する接着剤充填工程を有するので、下孔11に固定されたアンカー1の埋設部2の外周面を接着剤12で強固に固定することができ、アンカー1の引抜き強度を向上させることができる。
(3)下孔11に接着剤12を充填する接着剤充填工程を有するので、アンカー1の外周と下孔11の孔壁11aとの間を接着剤12で埋めることができ、雨水や空気中の水分が浸入するのを防止でき、アンカー1の腐食を防止でき耐久性を向上させることができる。
(4)アンカー埋設工程により下孔11にアンカー1の埋設部2を挿通して埋設すると共に、固定工程により拡径手段7で環状固定部材5を拡径させその外周を下孔11の孔壁11aに当接させるので、アンカー1の埋設部2を母材10の下孔11に確実に固定することができ、接着剤充填工程で充填された接着剤12が固化する前に埋設部2の雌ねじ部3aに固定ボルト13を螺着することができ、母材10に被固定物14の固定を行なうことができる。
(5)鍔部2aの底面部にテーパ部2bが形成されていることにより、下孔11の中心とアンカー1の中心が自動的に位置合わせされると共に、テーパ部2bが下孔11の開口周縁部11bに当接して安定に保持されるので、後工程における作業性を向上させることができる。
(6)アンカー埋設工程の前工程又は後工程としてアンカー1の雌ねじ部3aにアンカー取付用治具20、20aを装着するアンカー取付用治具装着工程を有し、固定工程がアンカー取付用治具20、20aを保持してアンカー1の回転を防止するアンカー回り止め工程を有するので、拡径手段7を回動させる際に、拡径手段7と埋設部2が共回りすることがなく、確実に環状固定部材5を変形させて拡径させることができ、アンカー1を固定することができる。
(7)アンカー埋設工程の前工程としてアンカー1の雌ねじ部3aにアンカー取付用治具20、20aを装着するアンカー取付用治具装着工程を行った場合、アンカー埋設工程においてアンカー1の埋設部2を母材10の下孔11に挿通させる際に、アンカー取付用治具20、20aを利用してアンカー1を保持することができ、容易にアンカー1の埋設を行うことができる。
(8)アンカー取付用治具装着工程において、アンカー1の鍔部2aとアンカー取付用治具20との間に保護シート30を挟むようにアンカー取付用治具20を螺着することにより、母材10の下孔11に充填された接着剤12が母材表面10aに溢れた場合でも、接着剤12がアンカー取付用治具1に付着するのを防止でき、施工性、メンテナンス性に優れる。
(実施の形態2)
図7(a)は実施の形態2におけるアンカーを示す平面図であり、図7(b)は実施の形態2におけるアンカーを示す断面図である。
図7において実施の形態2におけるアンカーが実施の形態1と異なるのは、アンカー1aの鍔部2aの上面に穿設された2つの円形状のアンカー保持凹部2eを有する点である。
実施の形態2におけるアンカーの固定方法は実施の形態1と同様であり、アンカー取付用治具装着工程においてアンカーに装着されるアンカー取付用治具が異なるだけなので、アンカー取付用治具のみについて説明する。
図8はアンカー取付用治具を示す背面側斜視図である。
図8中、35は実施の形態2におけるアンカー1aの固定工程に用いるアンカー取付用治具、35aはアンカー取付用治具35の把持部、35bは把持部35aの端部に側部が開放して形成されたアンカー取付用治具35の開口部、36は開口部35bの両側でアンカー取付用治具35の裏面35cに突設されアンカー1aのアンカー保持凹部2eに嵌合される凸部である。
アンカー1aのアンカー保持凹部2eにアンカー取付用治具35の凸部36を嵌合させることにより、埋設部2を保持することができる。アンカー保持凹部2eに凸部36を嵌合させるだけなので着脱が容易で施工性に優れる。
アンカー取付用治具35が開口部35bを有することにより、拡径手段7を回動させるための工具を挿通でき、拡径手段7を回転させて固定を行う際に、埋設部2が共回りすることがなく、確実に環状固定部材5を拡径させることができる。また、雌ねじ部3aに固定ボルト13等の雄ねじを螺着させる際にも、埋設部2を保持して共回りを防止できるので、雌ねじ部3aと固定ボルト13等の雄ねじを確実かつ強固に固定することができる。特に、アンカー取付用治具35の開口部35bの一部が側方で開口しているので、アンカー1aに固定ボルト13等の雄ねじを螺着した後でも、容易に側方からアンカー取付用治具35を取外すことができ施工性に優れる。
尚、アンカー1aは実施の形態1と同様に前述のアンカー取付用治具20又は20aを用いて固定工程を行うこともできる。
図9(a)は実施の形態2におけるアンカーの変形例を示す平面図であり、図9(b)は実施の形態2におけるアンカーの変形例を示す断面図である。
図9の変形例が実施の形態2におけるアンカーと異なるのは、アンカー1bがアンカー保持凹部2eの代りに鍔部2aの上面に突設されたアンカー保持凸部2fを有する点である。
アンカー保持凸部2fの外側に一組の平行部を形成したことにより、アンカー取付用治具35等の開口部35bをアンカー保持凸部2fの外側に係合又は嵌合して埋設部2を保持することができ、実施の形態2のアンカー1aと同様に固定を行うことができる。
本実施の形態ではアンカー保持凸部2fの外側に一組の平行部を形成したが、アンカー保持凸部2fは、外形を矩形状や六角形等に形成してもよいし、複数のピン状の突起を突設して形成してもよい。
以上のように実施の形態2におけるアンカーによれば、実施の形態1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)鍔部2aの上面に穿設されたアンカー保持凹部2e又は鍔部2aの上面に突設されたアンカー保持凸部2fの内の少なくともいずれか一方を有することにより、アンカー保持凹部2eに嵌合する凸部36やアンカー保持凸部2fに嵌合又は係合する開口部35bを備えたアンカー取付用治具35等で埋設部2を保持することができ、拡径手段7を回転させて固定を行う際に、埋設部2が共回りすることがなく、確実に環状固定部材5を拡径させることができ、母材10の下孔11に強固に固定することができる。
(2)鍔部2aの上面にアンカー保持凹部2eやアンカー保持凸部2fを有することにより、雌ねじ部3aに固定ボルト13等の雄ねじを螺着する際にも、アンカー保持凹部2eやアンカー保持凸部2fを保持して埋設部2の共回りを防ぐことができ、雌ねじ部3aと固定ボルト13等の雄ねじを確実かつ強固に固定することができる。
(実施の形態3)
図10(a)は実施の形態3におけるアンカーの固定方法のアンカー埋設工程を示す平面図であり、図10(b)は実施の形態3におけるアンカーの固定方法のアンカー埋設工程を示す要部断面図である。
図10において実施の形態3におけるアンカーが実施の形態1又は2と異なるのは、アンカー1cの鍔部2aの外形が円形ではなく、アンカー保持凹部2eやアンカー保持凸部2fの代りに鍔部2aの外側の一部に形成された一組の平行部2gを有する点である。
これにより、専用のアンカー取付用治具20、20a、35等を用いることなくスパナ等の汎用の工具を鍔部2aの平行部2gに係合して埋設部2を保持することができ、実施の形態1におけるアンカー1又は実施の形態2におけるアンカー1a、1bと同様に固定を行うことができる。
本実施の形態では鍔部2aの外側に一組の平行部2gを形成したが、鍔部2aの外形を矩形状や六角形等に形成してもよい。
次に、実施の形態3におけるアンカーの固定方法について説明する。
図10において、実施の形態3におけるアンカーの固定方法が実施の形態1又は2と異なるのは、アンカー埋設工程において、アンカー1cの鍔部2aの下面と母材表面10aとの間に保護シート30が配設されている点である。この場合、保護シート30の挿入孔30aをアンカー1cの埋設部2の外径と同等以上の孔径に形成することで容易に埋設部2を挿通することができる。
保護シート30は軟質性の合成ゴムや合成樹脂等で形成されているので、挿入孔30a周縁が鍔部2aのテーパ部2bに沿うように変形し、テーパ面30bで鍔部2aと保護シート30を密着させることができ、埋設部2の外周と挿入孔30aとの隙間から保護シート30の表面側へ接着剤12が溢れ出すのを防止でき施工性に優れる。尚、保護シート30の挿入孔30a周縁に、予め鍔部2aのテーパ部2bに合わせてテーパ面30bを形成してもよい。
また、保護シート30を透明又は半透明の材料で形成した場合、目視で接着剤12の溢れ出しを確認することができるので、接着剤12の充填不良を未然に防ぐことができ信頼性に優れる。
尚、アンカー1cは実施の形態1と同様に前述のアンカー取付用治具20又は20aを用いて固定工程を行うこともできる。
以上のように実施の形態3におけるアンカーによれば、実施の形態1又は2の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)鍔部2aの外側に少なくとも一組の平行部2gを有することにより、スパナ等の工具で容易に鍔部2aを掴むことができ、埋設部2を母材10の下孔11に挿通する際や拡径手段7による固定をする際などに埋設部2を固定することができ汎用性、施工性を向上させることができる。
実施の形態3におけるアンカーの固定方法によれば、実施の形態1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)アンカー埋設工程において、アンカー1cの鍔部2aの下面と母材表面10aとの間に保護シート30を配設することにより、母材10の下孔11に充填され溢れた接着剤12が鍔部2aの表面付近に付着するのを防止でき施工性に優れる。特に、保護シート30の挿入孔30a周縁にテーパ面30bが形成されることにより、保護シート30を鍔部2aのテーパ部2bに合わせて密着させることができ、埋設部2の外周と挿入孔30aとの隙間から保護シート30の表面側へ接着剤12が溢れ出すのを防止でき信頼性に優れる。
(実施の形態4)
図11(a)は実施の形態4におけるアンカーを示す断面図であり、図11(b)は実施の形態4におけるアンカーの固定状態を示す断面図である。
図11において実施の形態4におけるアンカーが実施の形態1と異なるのは、アンカー1dの環状固定部材5が実施の形態1と上下逆さまに配設されている点と、拡径手段27が固定用ボルト部7aの下端側に下方に向かって拡径して形設され環状固定部材5の周壁部5aの内側に嵌合された略截頭円錐状の拡径部27aを有する点である。
実施の形態4におけるアンカーの固定方法は実施の形態1と同様であり、固定工程における環状固定部材5の変形の仕方が異なるだけである。
固定工程において、アンカー取付用治具20又は20aでアンカー1dの回転を防止するアンカー回り止め工程を行った上で、工具25をアンカー取付用治具20の工具挿通孔24から挿通し、固定用ボルト部7aの頭部に形成された工具嵌合部7bに工具25の先端を嵌合し、固定用ボルト部7aを回動させることにより、拡径部27aを上昇させ、環状固定部材5の周壁部5aを拡径部27aに沿って外周方向に拡径させ、その外周を下孔11の孔壁11aに当接させてアンカー1dの固定を行なう。
尚、アンカー1dの鍔部2aの上面には、実施の形態2と同様のアンカー保持凹部2eやアンカー保持凸部2fを設けたり、実施の形態3と同様に鍔部2aの外側の一部に一組の平行部2gを形成したりしてもよい。このとき、実施の形態2又は実施の形態3と同様にアンカー取付用治具20、20a以外にアンカー取付用治具35やスパナ等の汎用の工具を用いて、アンカー回り止め工程や固定工程を行うことができる。
本発明は、コンクリートやモルタル、ブロック等で形成された基礎や壁、柱等の母材に簡単な構成で容易かつ確実に固定でき施工性に優れると共に、接着剤を併用しなくても母材に強固に固定することができ信頼性に優れ、母材と被固定物を確実に緊結でき、高い引抜き耐力を有して耐久性に優れたアンカーの提供、アンカーを容易かつ確実に固定でき、後工程における作業性、信頼性を確保することができる固定方法、及びそれを用いた母材と被固定物の固定を短時間で確実に行なうことができる施工性、生産性に優れた固定構造の提供を行なうものであって、工期を短縮できると共に、汎用性、耐久性を向上させることができる。
(a)実施の形態1におけるアンカーを示す側面図 (b)実施の形態1におけるアンカーの環状固定部材を示す斜視図 実施の形態1のアンカーを用いた固定構造を示す要部断面側面図 (a)固定方法の下孔穿設工程を示す要部断面図 (b)固定方法の接着剤充填工程を示す要部断面図 (c)固定方法のアンカー埋設工程を示す要部断面図 (a)アンカー取付用治具を示す断面図 (b)アンカー取付用治具の背面図 固定方法の固定工程を示す要部断面側面図 (a)アンカー取付用治具の変形例を示す平面図 (b)アンカー取付用治具の変形例を示す断面図 (a)実施の形態2におけるアンカーを示す平面図 (b)実施の形態2におけるアンカーを示す断面図 アンカー取付用治具を示す背面側斜視図 (a)実施の形態2におけるアンカーの変形例を示す平面図 (b)実施の形態2におけるアンカーの変形例を示す断面図 (a)実施の形態3におけるアンカーの固定方法のアンカー埋設工程を示す平面図 (b)実施の形態3におけるアンカーの固定方法のアンカー埋設工程を示す要部断面図 (a)実施の形態4におけるアンカーを示す断面図 (b)実施の形態4におけるアンカーの固定状態を示す断面図
符号の説明
1、1a、1b、1c、1d アンカー
2 埋設部
2a 鍔部
2b テーパ部
2c 螺旋溝
2d 中央貫通孔
2e アンカー保持凹部
2f アンカー保持凸部
2g 平行部
3a 雌ねじ部
3b ザグリ部
3c 固定用雌ねじ部
4a 縮径部
4b 円筒部
5 環状固定部材
5a 周壁部
5b 分割溝
5c テーパ部
6 座金
7、27 拡径手段
7a 固定用ボルト部
7b 工具嵌合部
7c 押圧部
10 母材
10a 母材表面
11 下孔
11a 孔壁
11b 開口周縁部
12 接着剤
13 固定ボルト
14 被固定物
14a 固定孔
14b ザグリ
15 座金
16 固定ナット
20、20a、35 アンカー取付用治具
21 回り止め雄ねじ部
22、22a 回り止め頭部
22b ワッシャー部
23、35a 把持部
23a 支持用突起
24 工具挿通孔
25 工具
27a 拡径部
30 保護シート
30a 挿入孔
30b テーパ面
35b 開口部
35c 裏面
36 凸部

Claims (8)

  1. 埋設部がコンクリートやモルタル、ブロック等で形成された基礎や壁、柱等の母材に穿設された下孔に埋設され、固定されて、前記母材と被固定物とを緊結するアンカーであって、前記埋設部の上端外周に形成された鍔部と、前記埋設部の中央部に軸芯の長手方向と平行に穿設された中央貫通孔と、前記中央貫通孔の上端側に形設された雌ねじ部と、前記中央貫通孔の下端側に形設された固定用雌ねじ部と、前記埋設部の下端側に下方に向かって縮径してテーパ状に形成された縮径部と、前記縮径部の下端側に配設された環状固定部材と、前記固定用雌ねじ部に螺合され前記環状固定部材の下面に当接して配設された拡径手段と、を備えたことを特徴とするアンカー。
  2. 前記環状固定部材が、周壁部の上端に軸方向と平行に形成された複数の分割溝を備えていることを特徴とする請求項1に記載のアンカー。
  3. 埋設部がコンクリートやモルタル、ブロック等で形成された基礎や壁、柱等の母材に穿設された下孔に埋設され、固定されて、前記母材と被固定物とを緊結するアンカーであって、前記埋設部の上端外周に形成された鍔部と、前記埋設部の中央部に軸芯の長手方向と平行に穿設された中央貫通孔と、前記中央貫通孔の上端側に形設された雌ねじ部と、前記中央貫通孔の下端側に形設された固定用雌ねじ部と、周壁部の下端に軸方向と平行に形成された複数の分割溝を有し前記埋設部の下端側に配設された環状固定部材と、前記固定用雌ねじ部に螺合された固定用ボルト部と前記固定用ボルト部の下端側に下方に向かって拡径して形設され前記環状固定部材の前記周壁部の内側に嵌合された拡径部とを有する拡径手段と、を備えたことを特徴とするアンカー。
  4. 前記鍔部の上面に形設されたアンカー保持凹部又は前記鍔部の上面に突設されたアンカー保持凸部の内の少なくともいずれか一方を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載のアンカー。
  5. 前記母材に下孔を穿設する下孔穿設工程と、前記下孔に請求項1乃至4の内いずれか1項に記載のアンカーの前記埋設部を挿通するアンカー埋設工程と、前記拡径手段を回動することにより前記環状固定部材を拡径させ前記環状固定部材の外周を前記下孔の孔壁に当接させる固定工程と、を有することを特徴とするアンカーの固定方法。
  6. 前記アンカー埋設工程の前工程として前記下孔に接着剤を充填する接着剤充填工程を有することを特徴とする請求項5に記載のアンカーの固定方法。
  7. 前記アンカー埋設工程の前工程又は後工程として前記アンカーの前記雌ねじ部若しくは前記アンカー保持凹部又は前記アンカー保持凸部にアンカー取付用治具を装着するアンカー取付用治具装着工程を有し、前記固定工程が前記アンカー取付用治具を保持して前記アンカーの回転を防止するアンカー回り止め工程を有することを特徴とする請求項5又は6に記載のアンカーの固定方法。
  8. 前記母材に穿設された前記下孔に埋設され固定された請求項1乃至4の内いずれか1項に記載のアンカーと、前記アンカーの前記雌ねじ部に螺着された固定ボルトと、前記固定ボルトにより前記アンカーを介して前記母材に緊結固定された前記被固定物と、を有することを特徴とするアンカーを用いた固定構造。
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