JP4694666B2 - 高反応性ブテンオリゴマーの製造方法 - Google Patents
高反応性ブテンオリゴマーの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する利用分野】
本発明は、重合触媒として三フッ化ホウ素と錯化剤からなる三フッ化ホウ素系錯体触媒を用いる高反応性ブテンオリゴマーの製造方法に関するものである。更に詳しくは、ブテンを重合した後に得られるブテンオリゴマーを無機物で処理することにより、オリゴマーの末端において、有害なフッ素を含むフッ素化末端基の含有量を大幅に低減させ、しかもフッ素化末端基を化学反応性に富む有用な末端ビニリデン基に変換させることを特徴とする、高反応性ブテンオリゴマーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
規則正しい繰り返し構造単位を有し、かつ分子の末端にビニリデン構造を有するブテンオリゴマーは、その構造単位の繰り返しの規則性と特定構造末端基の均一性によって、例えばマレイン酸等と高収率で反応する。この反応で得られるポリブテニル無水コハク酸を更にアミン類で変成した化合物は、潤滑油あるいは燃料油用の添加剤として有用であるところから工業的に大規模に使用されている。
【0003】
このように有用なブテンオリゴマーは、従来イソブテン等のブテンを三フッ化ホウ素系触媒の存在下で重合することにより製造されている(例えば、米国特許第4,152,499号明細書、欧州特許出願公開第145235号明細書など)。
しかしながら、これらの方法で製造されたブテンオリゴマーの中には、多くの場合、三フッ化ホウ素触媒由来のフッ素原子が重量換算で約200ppm残留している。この残留フッ素は、ブテンオリゴマーを潤滑油あるいは燃料油用の添加剤へ誘導する際、またはこれらの燃料添加剤を発動機に使用する際に、分解してフッ化水素を生成し、装置の腐食あるいは環境破壊の原因となる可能性がある。
【0004】
ここで、純粋なイソブテンを原料として重合を行う場合には、実質的にフッ素を含有しないブテンオリゴマーを製造することが可能である。しかしながら、純粋なイソブテンの使用は高価であるため、工業的に魅力があるとはいえない。
一方、工業的に安価に入手し得るブタジエンラフィネートを原料とする場合には、三フッ化ホウ素系触媒を用いる限り、触媒に由来する残留フッ素の生成が避けられない。また、後処理によって残留フッ素を除去しようとすると、ブテンオリゴマーの繰り返し単位の規則性や末端基の均質性が損なわれるという問題が生ずる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、工業的に安価に入手し得るブタジエンラフィネートを原料とし、三フッ化ホウ素系錯体触媒を用いて高反応性ブテンオリゴマーを製造するに際し、末端ビニリデン基の含有量を低下させることなくむしろ増大させ、かつフッ素を実質的に残留させない方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第1は、繰り返し構造単位として下記式〔1〕で表される構造のものを80モル%以上含み、かつ一方の末端基として、下記式〔2〕で表される末端ビニリデン基を有する分子を60モル%以上、および下記式〔3〕で表されるフッ素化末端基を有する分子を0.005〜15モル%含有するブテンオリゴマーを、無機物と接触させて脱フッ化水素処理することにより、式〔3〕で表されるフッ素化末端基を式〔2〕で表される末端ビニリデン基に変換することを特徴とする高反応性ポリブテンの製造方法に関するものである。
【化4】
(式中、nは0以上、好ましくは5以上、更に好ましくは16以上でかつ200以下の整数を表す。)
本発明の第2は、本発明の第1において、無機物がアルミナを含有することを特徴とする高反応性ブテンオリゴマーの製造方法に関する。
本発明の第3は、本発明の第1において、無機物で処理することにより、フッ素化末端基を有する分子を0.05モル%以下、更に好ましくは0.005モル%以下まで低減することを特徴とする高反応性ブテンオリゴマーの製造方法に関する。
本発明の第4は、本発明の第1において、ブテンオリゴマーを無機物で処理する際の接触温度が20〜220℃の範囲、更に好ましくは50〜200℃の範囲であることを特徴とする高反応性ブテンオリゴマーの製造方法に関する。
本発明の第5は、本発明の第1において、ブテンオリゴマーを無機物で処理する際の平均接触時間が1分以上5時間未満であることを特徴とする高反応性ブテンオリゴマーの製造方法に関する。
【0007】
本発明の第6は、下記(I)から(IV)の工程により、繰り返し構造単位として下記式〔1〕で表される構造のものを80モル%以上含み、かつ一方の末端基として、下記式〔2〕で表される末端ビニリデン基を有する分子80モル%以上含むオリゴマーを得ることを特徴とする高反応性ブテンオリゴマーの製造方法に関するものである。
【化5】
(式中、nは0以上、好ましくは5以上、更に好ましくは16以上でかつ200以下の整数を表す。)
(I)三フッ化ホウ素と錯化剤とからなる三フッ化ホウ素系錯体触媒の存在下に、オレフィンを液相重合する工程、
(II)重合後、重合液中に残存する三フッ化ホウ素系錯体触媒を失活させ、水洗する工程、
(III)触媒の失活、水洗後に、式〔1〕で表される繰り返し構造単位を80モル%以上含み、かつ一方の末端基として、式〔2〕で表される末端ビニリデン基を有する分子を60モル%以上、および下記式〔3〕で表されるフッ素化末端基を有する分子を0.005〜15モル%含有するブテンオリゴマーを得る工程、
【化6】
(IV)前記工程(III)で得られるオリゴマーを無機物で処理することにより脱フッ化水素反応を行い、式〔3〕で表されるフッ素化末端基を式〔2〕で表される末端ビニリデン基に変換する工程。
本発明の第7は、本発明の第6において、工程(I)の液相重合における供給原料中のオレフィン濃度が、少なくとも5重量%である高反応性ブテンオリゴマーの製造方法に関する。
本発明の第8は、本発明の第6における工程(I)において、三フッ化ホウ素と錯体を形成する錯化剤が、水、アルコール類、エーテル類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、エステル類、有機酸類および酸無水物からなる群から選ばれるものであることを特徴とする高反応性ブテンオリゴマーの製造方法に関する。
本発明の第9は、本発明の第6において、工程(I)で使用する三フッ化ホウ素系錯体触媒において、三フッ化ホウ素と錯化剤のモル比が0.01:1から2:1の範囲であることを特徴とする高反応性ブテンオリゴマーの製造方法に関する。
本発明の第10は、本発明の第6における工程(IV)において使用する無機物がアルミナを含有することを特徴とする高反応性ブテンオリゴマーの製造方法に関する。
本発明の第11は、本発明の第6における工程(IV)において、工程(III)で得られるオリゴマーを無機物で処理することにより、前記式〔3〕で表されるフッ素化末端基を有する分子を0.05モル%以下、更に好ましくは0.005モル%以下まで低減することを特徴とする高反応性ブテンオリゴマーの製造方法に関する。
本発明の第12は、本発明の第6における工程(IV)において、工程(III)で得られるオリゴマーを無機物で処理する際の接触温度が20〜220℃の範囲、更に好ましくは50〜200℃の範囲であることを特徴とする高反応性ブテンオリゴマーの製造方法に関する。
本発明の第13は、本発明の第6における工程(IV)において、工程(III)で得られるオリゴマーを無機物で処理する際の平均接触時間が1分以上5時間未満であることを特徴とする高反応性ブテンオリゴマーの製造方法に関する。
無機物を用いて処理することによりブテンオリゴマーの前記フッ素化末端基が末端ビニリデン基に変換されることは、本発明者らが初めて見出した知見である。
また、本発明の方法によれば、繰り返し構造単位の規則性と末端基の均一性を乱すことなく残留フッ素を低減することができ、更に、無機物で処理することにより、末端ビニリデン基の含有量をむしろ増大させることが可能である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
ブテンオリゴマーの製造は、これまで塩化アルミニウム、塩化アルミニウムアルキル、三フッ化ホウ素などのルイス酸触媒を用いて行われてきたが、多くの場合に末端ビニリデン基を有する分子の含有率は10モル%以下である。しかしながら、例えば前述の米国特許第4,152,499号明細書には、三フッ化ホウ素系錯体触媒を用いてイソブテンを重合すると、末端ビニリデン基を有する分子の含有率が60モル%を超える、いわゆる高反応性ブテンオリゴマーを製造し得ることが開示されている。
【0009】
このようなブテンオリゴマーの末端部におけるビニリデン二重結合の形成については、Puskasらが下記の反応機構を提案している(ジャーナル オブ ポリマーサイエンス: J. Polymer Sci., sympo. No.56, p191- (1976))。
【化7】
【0010】
上記の重合反応によって生じるブテンオリゴマーカチオン(a)は、プロトンの脱離によって対応するブテンオリゴマーに変化する。このときプロトンが脱離する機構の違いによって、生成する二重結合の位置が異なる。
すなわち、末端の2つのメチル基の一方からプロトンが脱離することによって末端ビニリデン基(b)が生成し、一方、内部のメチレン基からプロトンが脱離することによって三置換二重結合(c)が生成する。
また、ブテンオリゴマーカチオン(a)は化学的に不安定であるために、より多くアルキル置換されるようにカチオン転位が生じ、1、3−メチル基転位を受けたブテンオリゴマーカチオン(d)、ならびに、段階的あるいは協奏的に1、2−ヒドリド転位および2、3−メチル基転位を受けたブテンオリゴマーカチオン(e)が生成する。そして、このブテンオリゴマーカチオン(d)および(e)から、それぞれ異なる3種の二重結合異性体が生成する。
また、Puskasらは、上記(d)および(e)が更に転位を起こして二重結合がブテンオリゴマー内部に移動する可能性も指摘している。
【0011】
これらのカチオン中間体からの脱プロトンおよび転位反応はいずれも平衡反応であり、従って可逆的であるが、最終的には熱力学的平衡によって、より安定なアルキル置換が行われる方向に反応が進行するため、内部二重結合を有するブテンオリゴマーの生成が優先する。
しかしながら、無水マレイン酸は、末端ビニリデン基を有するブテンオリゴマーのみと極めて高い反応性を有するが、内部二重結合を有するブテンオリゴマーとはほとんど反応しない。また、このように高い反応性を有する末端ビニリデン基も、反応混合物中に存在するルイス酸触媒と長時間接触することにより、脱プロトンおよびプロトン付加による異性化反応が生じて三置換二重結合に変化することは公知である。
このように、末端ビニリデン基を有するブテンオリゴマーを高得率で製造することは非常に困難な技術であるが、現在も更に高い得率を得るために多くの研究が精力的に行われている。
【0012】
本発明における工程(I)においては、反応器を備えた重合帯域(反応帯域)において、オレフィン供給原料を、三フッ化ホウ素系錯体触媒を用いてバッチ式または流通連続式により液相で重合する。連続反応器としては、撹拌型反応器、ループ型反応器など任意の形式を採用することができる。重合帯域からは未反応成分ならびに生成したブテンオリゴマーおよび三フッ化ホウ素系錯体触媒を含む反応液が流出する。
【0013】
重合に使用するオレフィン供給原料は、例えばエチレンプラントにおいて、ナフサ、灯油、軽油、ブタン等のクラッカーから流出するC4留分からブタジエンを抽出等により除去したもの(ブタジエンラフィネート)である。供給原料には、不飽和成分として約10〜40重量%のブテン−1、約1〜40重量%のブテン−2、約40〜70重量%のイソブテンおよび約0.5重量%以下のブタジエン、ならびに飽和成分として約10〜30重量%のブタン類が含まれる(合計で100重量%)。この組成範囲である限り、供給原料については特に限定されるものではなく、流動接触分解(FCC)装置からの分解生成物などに含有されるイソブテンを含む炭化水素C4留分でもよい。
供給原料は、イソブテンの含有量が大きいほど好ましい。しかし、例えばブタジエンラフィネート中のイソブテンの量は多い場合でも70重量%である。ブタジエンは、存在する場合でも通常その量は不純物程度の少量である。また原料中の水分は、通常10ppm以下に調整するが、数10ppm程度の水分が含まれていても特に支障なく重合を行うことができる。
【0014】
重合反応の温度は、−100℃〜+50℃の範囲であり、好ましくは−40℃〜+10℃の範囲である。低温になるほど、イソブテンを含有する液状炭化水素のオレフィン成分の転化率が抑制される。一方、高温になると転化率が抑制されるとともに異性化や転位反応等の副反応が起こり、本発明の目的生成物を得ることが困難になる。
【0015】
触媒投入量としては、供給原料中のオレフィン成分1モルに対し0.1〜500ミリモルの三フッ化ホウ素が必要である。本発明における分子量制御は、反応温度と触媒投入量の調節によって行うことができる。
【0016】
重合反応はバッチ式でも連続式でもよいが、工業的生産の点からは、連続式による方が経済的かつ効率的である。連続式では錯体触媒と供給原料との接触時間が重要であり、本発明による重合反応では、三フッ化ホウ素系錯体触媒と供給原料の接触時間が、5分〜4時間の範囲であることが望ましい。接触時間が5分未満では十分なイソブテン成分の転化率が得られず、逆に4時間を超えると経済的な損失も多く、また触媒と長時間接触させることによって生成した末端ビニリデン基の異性化や転位反応等の副反応が促進されるため、いずれも好ましくない。
【0017】
本発明において使用することができる錯体触媒の錯化剤としては、三フッ化ホウ素と配位して触媒機能を発揮することが可能な、水、アルコール類、エーテル類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、エステル類、有機酸類あるいは酸無水物等の含酸素化合物や含窒素化合物などの極性化合物が例示される。
【0018】
更に本発明に好適な三フッ化ホウ素系錯体触媒を形成する錯化剤の具体例を次に示すが、これらに限定されるものではない。
すなわち、アルコール類としては、芳香族あるいはC1〜C20の脂肪族アルコールが用いられ、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノールあるいはベンジルアルコール、シクロヘキサノール等が挙げられる。上記C1〜C20の炭素骨格は、分岐度に制限がなく、直鎖アルキル基、sec−、tert−等の分岐アルキル基または脂環式アルキル基、あるいは環を含むアルキル基であっても差し支えない。
【0019】
エーテル類としては、芳香族あるいはC1〜C20の脂肪族の炭化水素基を有するエーテルが用いられ、具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルブチルエーテル、エチルブチルエーテル、プロピルブチルエーテル、ジペンチルエーテル、あるいは、フェニルメチルエーテル、フェニルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル等が挙げられる。上記C1〜C20の炭素骨格は、分岐度に制限がなく、直鎖アルキル基、sec−、tert−等の分岐アルキル基または脂環式アルキル基、あるいは環を含むアルキル基であっても差し支えない。
【0020】
フェノール類としては1〜3価フェノールが適当であり、具体的には、フェノール、クレゾール等が好ましい。
【0021】
ケトン類としては、芳香族あるいはC1〜C6の脂肪族の炭化水素基を有するケトンが用いられ、具体的には、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、あるいはシクロヘキサノン等が挙げられる。上記C1〜C6の炭素骨格は、分岐度に制限がなく、直鎖アルキル基、sec−、tert−等の分岐アルキル基または脂環式アルキル基、あるいは環を含むアルキル基であっても差し支えない。
【0022】
エステル類としては、芳香族あるいはC1〜C6の脂肪族のアルコール成分と、芳香族あるいはC1〜C6の脂肪族のカルボン酸またはリン酸成分とによってエステル結合を形成したものが用いられ、具体的には、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、ヘキサン酸エチル、安息香酸エチル等、およびトリブチルリン酸エステル等のリン酸の完全エステル等が挙げられる。上記C1〜C6の炭素骨格は、分岐度に制限がなく、直鎖アルキル基、sec−、tert−等の分岐アルキル基または脂環式アルキル基、あるいは環を含むアルキル基であっても差し支えない。
【0023】
有機酸類としては、芳香族あるいはC1〜C6の脂肪族のカルボン酸またはそのフッ素置換体、リン酸、およびリン酸と芳香族あるいはC1〜C6の脂肪族のアルコール成分との部分エステルが用いられ、具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、しゅう酸、マロン酸、安息香酸、ジエチルリン酸エステル等が挙げられる。上記C1〜C6の炭素骨格は、分岐度に制限がなく、直鎖アルキル基、sec−、tert−等の分岐アルキル基または脂環式アルキル基、あるいは環を含むアルキル基であっても差し支えない。
以上の錯化剤は、それぞれの錯体系において1種類のみを用いてもよく、また、2種類以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。錯体触媒自体の製造は従来公知の方法に従って製造することができる。
【0024】
三フッ化ホウ素と錯化剤とのモル比は、0.01:1から2:1の範囲であることが好ましい。錯化剤に対する三フッ化ホウ素のモル比が0.01未満では触媒活性が低すぎ、目的とするオレフィンの重合を行うことができない。また、モル比が2を超えると、三フッ化ホウ素が錯化剤に比べて過剰になり、ルイス酸触媒の活性が強くなりすぎて、ビニリデンオリゴマーの含有率の低下を招く。
【0025】
ブテンオリゴマーの製造における工業的な採算性を考慮すると、供給原料、例えばブタジエンラフィネート中のイソブテン成分の転化率がより高いことが望ましいが、本発明の条件を採用することにより、イソブテンの転化率として約60〜100%を達成することが可能である。
【0026】
以上の工程(I)の重合帯から未反応成分ならびに生成したブテンオリゴマーおよび三フッ化ホウ素系錯体触媒を含む反応液が流出してくるが、次に、工程(II)において、それらの反応液中の三フッ化ホウ素触媒に失活処理を施す。
失活処理としては、一般に水、アルコール、アセトニトリル、あるいはアンモニア等の塩基性物質を用いて失活した後、水洗除去する方法を用いることができる。
【0027】
次いで、工程(III)において、錯体触媒を失活させ洗浄除去した有機相を分離する。更に有機層から減圧蒸留により未反応の供給原料と炭素数24以下の軽質分を留去することによって、製品としてのブテンオリゴマーを得る。
以上のようにして、重合触媒として三フッ化ホウ素系錯体触媒を用い、イソブテンを含有するC4炭化水素留分を液相重合することにより、有用な物性を有するブテンオリゴマーを得ることができる。
【0028】
上記のブテンオリゴマーの分子骨格、および末端基のオレフィン構造の種類とその含有率については、本発明者らの先の出願(特願平10−76708号)に述べた方法に準拠して測定を行った。
ブテンオリゴマーの分子骨格に関連しては、近年、NMRによる分析技術の大きな進歩により、有機高分子化合物中の炭素骨格の連結情報を知ることのできる測定法が開発されている。この測定法は2次元スペクトルの1種であり、炭素−水素間の連結および炭素−炭素間の連結を調べる手法であって、HSQC(1H Detected Single Quantum Coherence)法や INADEQUATE(Incredible Natural Abundance Double Quantum Transfer Experiment)法が挙げられる。
【0029】
本発明で得られるブテンオリゴマーについて、図1に HSQC法による結果の例を、図2に INADEQUATE法で測定した結果の例を示す。
HSQC法では、横軸に1H−NMRの化学シフトを、縦軸に13C−NMRの化学シフトをとれば、1H−NMRのピークと13C−NMRのピークが交差している点がその対応する炭素と水素が連結していることを示しており、これによって分子中の炭素−水素間の連結を知ることができる。
また、INADEQUATE法では、横軸に13C−NMRの化学シフトを、縦軸に炭素の振動数をとり、横軸上のピークに対応する炭素の振動数を縦軸上に求める。その位置から図に示すように横軸に平行に直線を引くと、その線上にある点に該当する炭素のピークが最初の炭素と連結した炭素である。同様の操作を繰り返し、それらの炭素を順次配列させていくと、1分子中の炭素−炭素間の連結、すなわち炭素骨格を知ることができる。
【0030】
HSQC法および INADEQUATE法の測定から、本発明のブテンオリゴマーは、繰り返し構造単位の数の80%以上が下記式〔1〕に示す構造のもので構成されていることが判った。なお、通常末端基の一方は tert−ブチル基である。また、式〔1〕に示す繰り返し構造単位の数nは0以上、好ましくは5以上、更に好ましくは16以上であり、上限値は200である。
【化8】
上記のように、本発明により得られるブテンオリゴマーの分子は、繰り返し構造単位全体の80%以上が完全な直線状態を有する分子構造で形成されており、この構造のものは潤滑油添加剤および燃料清浄剤の助剤用の原料として有用である。
【0031】
このようにイソブテン骨格によって規則的に連結したポリマー構造を有するブテンオリゴマーの分子量は、数平均分子量(Mn)として500〜15,000の範囲にあり、しかも、GPC測定による分散度(Mw/Mn)の値が1.0〜2.5の範囲にあることから狭い分子量分布を有することがわかる。このように分子量分布が狭いことにより、一定の粘度のものを得ることが可能である。
【0032】
次に、末端基のオレフィン構造の種類とその含有率について述べる。
本発明のブテンオリゴマーにおいても、前述のPuskasらが提案する重合機構に従って、各種の二重結合異性体が存在することが判明した。潤滑油添加剤等の性能の向上を図るためには、ブテンオリゴマーの末端基のオレフィン構造が問題になる。
ブテンオリゴマー中の1対のオレフィン炭素は、13C−NMRの化学シフト約110〜150ppmの領域においてそれぞれ固有の化学シフト値で検出され、図1に示すように、下記式〔2〕で表されるビニリデン構造のオレフィン炭素は114.4ppmおよび143.3ppmのピークに、また下記式〔4〕で表される三置換構造のオレフィン炭素は127.7ppmおよび135.4ppmのピークにそれぞれ対応する。更に、各検出ピークの相対高さの積分強度比によって、各二重結合形式の相対割合を示すことができる。
【化9】
【0033】
本発明で製造されるブテンオリゴマーは、末端ビニリデン構造を有する分子を少なくとも60モル%以上含み、好ましくは80モル%以上含むものである。このように末端ビニリデン構造を多量に含むために、本発明のブテンオリゴマーを原料に用いると、マレイン化やヒドロホルミル化等を行う場合の変性率が向上し、例えばマレイン化反応によりポリブテニルコハク酸イミドを高収率で製造することが可能である。
【0034】
しかしながら、ここで最大の問題は、ブテンオリゴマーの末端基が、ビニリデン等の二重結合類のみで構成されているのではなく、下記式〔3〕で表されるフッ素化末端基構造を有するものが副生することである。
【化10】
【0035】
これまでにおいても、ブテンオリゴマー中に、三フッ化ホウ素触媒由来のフッ素原子が約200ppm残留することは公知であった。この場合、フッ素原子の含有量は、製品のブテンポリマーを WICKBOLD燃焼(JIS K−2541)および比色フッ素定量分析法(JIS K−0101.31)によって分析し、試料全体の重量に対する含有フッ素原子の重量から算出している。このため、従来はフッ素原子が無機性フッ素であるか有機性フッ素化合物由来であるかについて不明瞭であった。ただし、重合帯域から流出した未反応成分ならびに生成したブテンオリゴマーおよび三フッ化ホウ素系錯体触媒を含む反応液を、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性物質で失活させ、無機性フッ素化合物を水洗して除去する方法を採用しているため、残留するフッ素は、無機性フッ素化合物ではなく、三フッ化ホウ素触媒由来のフッ素原子が脱離してブテンオリゴマー中に取り込まれた有機性フッ素化合物に由来すると推測されていた。
【0036】
本発明者らは、上記のフッ素化合物を、実験室的に広く用いられているシリカクロマト分離によって単離することに成功し、その結果、三フッ化ホウ素の分解により脱離したフッ素原子が有機性フッ素化合物としてブテンオリゴマー中に結合していることを明らかにすることができた。
また、ここで単離した有機性フッ素化合物について、後に実施例において述べるようにNMR解析を行ったところ、オリゴマーの繰り返し構造単位の数の80%以上が式〔1〕に示す構造からなり、一方の末端基が下記式〔3〕で表わされる末端三級フッ素化物で構成されていることが判明した。
【化11】
更に、このフッ素化物の分子量分布は、GPC分析の結果、前述のビニリデン等のオレフィン末端を有するブテンオリゴマーと基本的に同一であることが確認された。
【0037】
従って、製品中に含まれる末端フッ素化ブテンオリゴマーのモル数は、以下の手順に従って算出することができる。
まず、前述の WICKBOLD燃焼−比色フッ素定量分析法から含有フッ素原子の濃度割合(通常 ppm 単位)を求め、その値とブテンオリゴマーの平均分子量との積から、製品中に存在する末端フッ素化ブテンオリゴマーの重量が求められる。次に、他の末端基を有するブテンオリゴマーと分子量分布は同一と見なすことができるので、前記で得られた末端フッ素化ブテンオリゴマーの重量を製品の平均分子量で除すことにより末端フッ素化ブテンオリゴマーの存在モル数を算出することができる。
【0038】
以上の結果から、本発明によって製造されるブテンオリゴマーの中には、末端フッ素化ブテンオリゴマーが、0.005〜15モル%の範囲内で存在することが判った。この範囲の末端フッ素化ブテンオリゴマーの含有量は、製品ブテンオリゴマーを直接使用したり、あるいは潤滑油もしくは燃料油用の添加剤として発動機で使用する際に無視できない量であり、商品価値を低下させるものである。
【0039】
ここで、なぜ末端フッ素化ブテンオリゴマーが生成するのかが問題になる。そこで本発明者らは、重合帯域から流出する三フッ化ホウ素系錯体触媒を含む反応液中の三フッ化ホウ素の形態について以下の分析を行った結果、重合前に保持されていた BF3の形態が、フッ素原子が1つ脱離した BF2に変化していることを見出した。この事実および前述の末端フッ素化ブテンオリゴマーの構造特定の結果から、末端フッ素化ブテンオリゴマーの生成機構を提案することが可能になった。
【0040】
三フッ化ホウ素の形態変化の特定においては、当該業界において周知の以下の分析手法を用いた。
すなわち、三フッ化ホウ素またはその錯体を塩化カルシウム水溶液と反応させると、下記反応式に従って1モルの三フッ化ホウ素から3モルの塩酸と1モルのホウ酸が生成する。
2BF3+3CaCl2+6H2O → 2H3BO3+6HCl+3CaF2
生成した塩酸を水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウム等の既知規定度のアルカリ水溶液で滴定することにより存在フッ素濃度を知ることができる。
更に、下記反応式に従って生成するホウ酸を、JIS K8863−1991のホウ酸含有量の試験法に準拠して測定することにより、存在するホウ素濃度を知ることができる。すなわち、ホウ酸がマンニトールと水溶性の強酸性錯体を形成する性質を利用する手法であり、生成する強酸性錯体を既知規定度のアルカリ水溶液で滴定することによってホウ酸含有量を知ることができ、その値から存在するホウ素濃度を求める。
【0041】
本発明におけるフッ化ホウ素の実際的な特定手法は、以下の通りである。まず、フッ化ホウ素系錯体触媒を含有する重合液を直接採取して、その液を密閉容器内で塩化カルシウム水溶液中に吸収させる。次いで、その吸収液について上述の2段の滴定を行い、フッ素とホウ素の含有量を調べ、両原子の組成比を求めた。その結果、本発明において得られる反応液中のフッ化ホウ素の形態については、いずれの場合においても、フッ素とホウ素の原子比が2:1であり、重合前には BF3の形態であったものが BF2の形態に変化していることが確認された。
【0042】
上記三フッ化ホウ素系錯体触媒によるブタジエンラフィネート原料の重合においては、三フッ化ホウ素の形態変化とそれに伴う末端フッ素化ブテンポリマーの生成とを、下記の生成機構に従って説明することができる。
【化12】
【0043】
上記生成機構において、ブテンオリゴマーの重合成長は、ブタジエンラフィネート原料のオレフィン類に対して、BF3系錯体触媒が配位することによって進行する。次いで、重合成長によって生じるブテンオリゴマーカチオンは、化学的に不安定であるため、プロトンが脱離する機構(経路−1)と、錯体触媒の分解により生成したフッ素アニオンが挿入される機構(経路−2)の2通りの重合停止機構が考えられる。
経路−1の機構に従う場合には、Puskasらの提案としてすでに紹介した通り、上記式に示すようにメチル基のプロトンが脱離することによって末端ビニリデン基を有するブテンオリゴマーが生成するか、あるいは、内部のメチレン基のプロトンが脱離することによって三置換二重結合を有するブテンオリゴマーが生成する。
しかしながら、経路−2の機構に従う場合には、フッ素化末端基を有するブテンオリゴマーと触媒分解物である BF2OR(Rは炭化水素基を示す)が生成する。すなわち、錯体触媒の分解により生成したフッ素アニオンがブテンオリゴマーカチオンに結合する結果、末端フッ素化ブテンオリゴマーが生成し、同時に錯体触媒は分解に伴って BF2OR の形態に変化する。
【0044】
ところで、純粋なイソブテン原料を三フッ化ホウ素系錯体触媒を用いて重合した場合には、実質的にフッ素を含有しないブテンオリゴマーを製造することができる。また、特開平7−268033号公報には、ブタジエンラフィネートを原料とし、三フッ化ホウ素系錯体触媒を用いてブテンオリゴマーを得る重合技術が開示されており、末端ビニリデン基を有する分子の含有量が80モル%であり、かつフッ素原子の含有量を40ppm以下に低減したブテンオリゴマーを得ることができるとしている。しかしながら、このように高い末端ビニリデン構造の含有量を維持し、かつフッ素原子含有量を40ppm以下に低減するために、工業的に安価に入手し得るブタジエンラフィネート中のブテン類を、初期の含有量よりも少なくとも20%以上低いレベルまで水添により減少させる方法を用いている。
【0045】
これらの公知文献からも推測されるように、上記 BF3の形態変化および末端フッ素化ブテンオリゴマーの生成は、ブタジエンラフィネート原料中の特にイソブテン以外のブテン類が重合時に直接影響を及ぼすためであると考えられる。従って、ブタジエンラフィネート原料を使用して三フッ化ホウ素系錯体触媒によりブテンオリゴマーを製造する限り、末端フッ素化ブテンオリゴマーの生成は避けることができない。
【0046】
このように、生成が避け難い末端フッ素化ブテンオリゴマーから、いかにして末端ビニリデン含有量を低下させることなく、残留する末端フッ素化ブテンオリゴマーを除去するかが大きな課題であったが、本発明者らは以下の手段を見出すことにより問題を解決した。
【0047】
すなわち、本発明における工程(IV)において、前記工程(III)で得られるオリゴマーを無機物で処理することにより、下記反応式に示すように、オリゴマーの末端をフッ素化末端基から有用な末端ビニリデン基に変換できることを見出した。
【化13】
【0048】
前記工程(III)で得られるブテンオリゴマーは、フッ素化末端基を有する分子を0.005〜15モル%の範囲で含有しているが、無機物で処理することにより、0.05モル%以下、更に好ましくは0.005モル%以下まで低減することができる。
更に、有害なフッ素化末端基は、この処理によって、有用なビニリデン基および三置換二重結合を有するブテンオリゴマーに変換される。その変換率はほぼ100%であり、ビニリデン基への選択率は80モル%以上である。結果として、有害な末端フッ素化ブテンオリゴマーを除去し得るのみならず、若干であるが末端ビニリデン基を有するブテンオリゴマーの得率を向上させることも可能である。
【0049】
次に、上記無機物処理の方法について詳細に説明する。
工程(IV)において使用する無機物は、脱フッ素作用を行うとともに、ブテンオリゴマーの前記式〔3〕で表されるフッ素化末端基を前記式〔2〕で表される末端ビニリデン基に変換する機能を有する限り特に限定されない。具体的には金属酸化物、より具体的にはアルミニウム原子を含む無機物、さらに具体的にはアルミナを含む無機物である。アルミナを含む無機物としては、アルミナ成分を含むシリカ・アルミナを用いることもできる。また、これらに対し、適宜にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含侵処理することができる。通常はアルミナ含有無機物として、ナトリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の含有量が0.5重量%以下であるアルミナを用いることができる。
また、処理の容易さという工業的見地から考えれば、アルミナ含有無機物は粉末状であるよりも、球状、円柱状、リング状などの形状の成型品の方が好ましい。
【0050】
工程(IV)において、上記のアルミナ含有無機物と接触させるブテンオリゴマーは、繰り返し構造単位として式〔1〕で表される構造のものを80モル%以上含み、かつ、一方の末端基として、式〔2〕で表される末端ビニリデン基を有する分子を60モル%以上、および式〔3〕で表されるフッ素化末端基を有する分子を0.005〜15モル%含有するブテンオリゴマーである限り、特に限定されない。しかしながら、好ましくは上記の製法に従って処理を行ったブテンオリゴマーを用いる。
また、上で説明したブテンオリゴマーに本工程において接触処理を行う場合、ブテンオリゴマーについては触媒の失活が終了していれば、失活および水洗後の蒸留は行っても行わなくてもよい。
ブテンオリゴマーの粘度が高い場合は、アルミナ含有無機物との接触効率を向上させるため、不活性な溶媒で希釈することが好ましい。このような不活性な溶剤としてはノルマルヘキサン、イソヘキサン等の脂肪族炭化水素が好ましい。
【0051】
無機物処理における処理温度は、ブテンオリゴマーの液粘度や無機物の種類によって異なるが、好ましくは20〜220℃の範囲、更に好ましくは50〜200℃の範囲である。この範囲より処理温度が高いと末端ビニリデン基の三置換二重結合への異性化が進行して、有用な末端ビニリデン基の得率が低下し、逆に処理温度が低いと異性化は生じないが、ブテンオリゴマー中の末端フッ素化ブテンオリゴマーの存在量が低下しないため目的を達成することができない。
ブテンオリゴマーの無機物処理を行う際の平均接触時間は、液粘度と処理温度によっても影響されるが、約1分から5時間の範囲である。これより時間が短い場合は接触が不十分であり、長い場合は設備費が増大するため、いずれも好ましくない。
【0052】
無機物処理の方法は、固定床、流動床などの工業的常法を採用することができる。好ましくは固定床流通式により行う。
この処理の後、粘度調整のために溶剤等を使用した場合には、適宜蒸留を行うことによってブテンオリゴマーを得ることができる。
【0053】
上記アルミナ含有無機物で処理した後のアルミナ表面の形態を、X線回折、XPS(光電子分光法)分析等の表面分析により解析した結果、オリゴマー末端がフッ素化物からビニリデン基に変換する際の反応機構は以下のように考えることができる。
【化14】
【0054】
上記反応において、フッ素化末端基がアルミナ処理によってビニリデン基に変換されるのは、次の段階を経るためと考えられる。
まず、アルミナ表面上に存在する Al−O−Al 結合のアルミニウム原子に、末端フッ素化ブテンオリゴマーに存在するフッ素原子が化学吸着する。その後に、上記フッ素原子がアルミニウム上に移行して、アルミナ分解物(A)、(B)を形成することにより、フッ素化末端基が末端ビニリデン基に変化すると考えられる。
また、酸としての活性が高い AlF3化合物は全く検出されなかったことから、上記アルミナ分解物(A)、(B)の状態で処理反応が停止すると考えられる。
【0055】
以上のように、本工程(IV)を実施することにより、工業的に安価に入手し得るブタジエンラフィネートを原料とし三フッ化ホウ素系錯体触媒を用いて、末端フッ素化ブテンオリゴマーを実質的に含有せず、かつ、有用な高反応性末端ビニリデン基の含有量が処理前に比較して減少していないブテンオリゴマーを製造することが可能になった。
すなわち、このブテンオリゴマーは、末端ビニリデン基の含有率が高いために、無水マレイン酸との間で高収率のマレイン化反応が進行する利点を有する。また、実質的に末端フッ素化ブテンオリゴマーを含有しないために、ブテンオリゴマーまたはその誘導体を燃料とともに燃焼する場合においても、大気中へのフッ素の放出が少なく、従って環境汚染のない商品になり得るものである。
【0056】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明する。
<重合反応の供給原料>
イソブテンを含有するブタジエンラフィネート(エチレンクラッカーからのC4留分のブタジエン抽出残)を使用した。C4混合物の組成は以下の通りである(重量%)。
【0057】
<重合装置の仕様および重合手法>
重合反応は、次に示す連続式の重合装置を用いて行った。すなわち、可変式の撹拌機、恒温調節が可能な低温循環冷却装置、原料の供給口、BF3ガス触媒の供給口、錯化剤の供給口、重合温度指示計および排出口を備えた、内容積4リットルのループ式反応器を設置した。
反応器に上記の液化供給原料を毎時4リットルの流量で送入し、イソブテンに対して0.15重量%の BF3ガス、0.14重量%の錯化剤(本実施例では錯化剤としてエタノールを選択)をそれぞれの供給口から定量ポンプにより投入して連続的に重合反応を行った。ブタジエンラフィネート中のイソブテン成分の転化率は、反応前後における原料および反応液のガスクロマトグラフィーによる組成変化から算出した。
反応後に流出する反応液は、引き続き失活槽に導き、残存する BF3錯体触媒が失活するまで希水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、その後有機相を分離した。得られた有機相から減圧蒸留により未反応の供給原料と炭素数24以下の軽質分を留去した。残った生成物から得られたブテンオリゴマーの収率を算出した。
そのブテンポリマーの分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求め、分子骨格および分子末端のオレフィン構造の帰属および定量は、核磁気共鳴装置(NMR)による測定を用いて行った。
【0058】
<無機物処理装置の仕様および処理手法>
容量100ccの固定床容器を用意し、その容器内に予め150℃で2時間減圧乾燥した活性アルミナ(PROCATALYSE社製;商品名:PSG−D25)を充填した。アルミナは、粒子径を0.5mmから1.4mmに調整して使用した。固定床容器は外部熱源によって加熱することが可能であり、各部の内部温度を、0℃から400℃までの範囲において、所定の処理温度に均一に制御し得るようにした。
無機物処理の手法は以下の通りである。
まず重合工程で蒸留精製したブテンオリゴマーをイソパラフィン溶剤で希釈して、粘度が約30ポイズになるように調整し、得られた希釈液を上記の固定床容器に送入し、実験条件に従い各部の処理温度を一定に調節した。通油の空間速度(WHSV)を1h−1に固定し、通油倍数が24の時点のサンプルを採取して分析を行った。
ブテンオリゴマーの分子骨格、および分子末端のオレフィン構造の帰属および定量については、重合工程時と同様に行った。
【0059】
<実施例1〜4、比較例1〜4>
いずれの実験も、上記の重合手法および無機物処理手法に準じて行った。
表1に重合温度および無機物処理温度を示す。
【表1】
【0060】
表2に、重合工程におけるイソブテンの転化率、ブテンポリマーの収率、得られたブテンポリマーの数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)を示す。
【表2】
【0061】
表3に、重合、触媒失活および蒸留精製後のブテンオリゴマーと無機物処理後のブテンオリゴマーにおける、末端ビニリデン基およびフッ素化末端基をそれぞれ有する分子の含有量を示す。
【表3】
なお、各実施例で得られたブテンポリマーは、無機物処理の有無に関わらず、繰り返し構造単位の数の90%以上が式〔1〕に示す構造のものであった。
【0062】
<参考例>
(末端フッ素化ブテンオリゴマーの単離実験)
末端フッ素化ブテンオリゴマーの単離は、以下の手順に従って行った。
まず、実施例1で重合および蒸留精製を行って得た、フッ素化末端基を有する分子を0.62モル%含有するブテンオリゴマー 5,500gを、脱水ノルマルヘキサンにより73重量%になるように希釈した。この混合液を5リットルのセパラブルフラスコに入れ、撹拌しながら混合液中に乾燥シリカゲル(WAKO GEL)500gを投入した。シリカゲルの投入後、24時間撹拌を続けた。
所定時間後に、撹拌を停止して静置分離し、ヘキサンの上澄み液をデカンテーションにより除去した。シリカゲルが主体である下層の固体を、脱水ノルマルヘキサンを用いて十分に洗浄した後にろ過を行った。デカンテーションにより除去した上澄み液と、脱水ノルマルヘキサンによる洗浄液とを合わせて、蒸留により溶媒を留去した。
ろ過および洗浄を行ったシリカゲルについては、脱着液として塩化メチレン溶剤を選択し、シリカゲルに吸着されている物質を大量の塩化メチレンで脱着した。脱着液の蒸留により塩化メチレンを留去したところ、無色透明な粘ちょう物質が得られた。
【0063】
(末端フッ素化ブテンオリゴマーの化学構造決定)
上記のようにして得られた脱着後の粘ちょう物質について、下記のようにNMR測定を行った。構造決定に必要な測定法は、(1)1H−NMR、(2)13C−NMRおよび(3)19F−NMRであり、これらの測定値および解析結果を表4から表6にそれぞれ示す。
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
以上のNMR解析から、一連の単離実験において単離された粘ちょう物質の大部分が、下記に示す化学構造式を有するものであり、繰り返し構造単位の数の80%以上がイソブテン骨格からなり、一方の末端基が末端三級フッ素化物の特定構造で構成されていることが明らかとなった。
【化15】
【0067】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、工業的に安価に入手し得る比較的イソブテン純度が低いブタジエン等の反応原料を使用して、三フッ化ホウ素系錯体触媒で重合し、その後にアルミナを含有する無機物で処理することによって、末端ビニリデン基を有する分子の含有量を低下させることなく、残留フッ素を実質的に含有しない高反応性ブテンオリゴマーを製造することがが可能である。
また、実質的に末端フッ素化ブテンオリゴマーを含有しないために、得られたブテンポリマーまたはその誘導体を燃料とともに燃焼する場合において、大気中へのフッ化水素の放出が少なく、従って環境汚染のない商品を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブテンポリマーの HSQC法による測定結果である。
【図2】ブテンポリマーの INADEQUATE法による測定結果である。
Claims (13)
- 前記無機物がアルミナを含有することを特徴とする請求項1に記載の高反応性ブテンオリゴマーの製造方法。
- 前記無機物で処理することにより、フッ素化末端基を有する分子を0.05モル%以下まで低減することを特徴とする請求項1に記載の高反応性ブテンオリゴマーの製造方法。
- ブテンオリゴマーを無機物で処理する際の接触温度が20〜220℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の高反応性ブテンオリゴマーの製造方法。
- ブテンオリゴマーを無機物で処理する際の平均接触時間が1分以上5時間未満であることを特徴とする請求項1記載の高反応性ブテンオリゴマーの製造方法。
- 下記(I)から(IV)の工程により、繰り返し構造単位として下記式〔1〕で表される構造のものを80モル%以上含み、かつ一方の末端基として、下記式〔2〕で表される末端ビニリデン基を有する分子を80モル%以上含むブテンオリゴマーを得ることを特徴とする高反応性ブテンオリゴマーの製造方法。
(I)三フッ化ホウ素と錯化剤とからなる三フッ化ホウ素系錯体触媒の存在下に、オレフィンを液相重合する工程、(II)重合後、重合液中に残存する三フッ化ホウ素系錯体触媒を失活させ、水洗する工程、(III)触媒の失活、水洗後に、式〔1〕で表される繰り返し構造単位を80モル%以上含み、かつ一方の末端基として、式〔2〕で表される末端ビニリデン基を有する分子を60モル%以上、および下記式〔3〕で表されるフッ素化末端基を有する分子を0.005〜15モル%含有するブテンオリゴマーを得る工程、
- 前記工程(I)の液相重合における供給原料中のオレフィン濃度が、少なくとも5重量%である請求項6に記載の高反応性ブテンオリゴマーの製造方法。
- 前記工程(I)において三フッ化ホウ素と錯体を形成する錯化剤が、水、アルコール類、エーテル類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、エステル類、有機酸類および酸無水物からなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項6に記載の高反応性ブテンオリゴマーの製造方法。
- 前記工程(I)で使用する三フッ化ホウ素系錯体触媒において、三フッ化ホウ素と錯化剤のモル比が0.01:1から2:1の範囲であることを特徴とする請求項6に記載の高反応性ブテンオリゴマーの製造方法。
- 前記工程(IV)において使用する無機物がアルミナを含有することを特徴とする請求項6に記載の高反応性ブテンオリゴマーの製造方法。
- 前記工程(IV)において、工程(III)で得られるオリゴマーを無機物で処理することにより、前記式〔3〕で表されるフッ素化末端基を有する分子を0.05モル%以下まで低減することを特徴とする請求項6に記載の高反応性ブテンオリゴマーの製造方法。
- 前記工程(IV)において、工程(III)で得られるオリゴマーを無機物で処理する際の接触温度が20〜220℃の範囲であることを特徴とする請求項6に記載の高反応性ブテンオリゴマーの製造方法。
- 前記工程(IV)において、工程(III)で得られるオリゴマーを無機物で処理する際の平均接触時間が1分以上5時間未満であることを特徴とする請求項6に記載の高反応性ブテンオリゴマーの製造方法。
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