JP4658620B2 - 構造部材、構造部材の形成方法 - Google Patents
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また、例えば、強度と振動吸収等、複数の特性を満足することが要求される場合、金属とゴムを組み合わせることも行われており、このような材料は、多機能材料と称されることもある。
このようなFRP材料においても、金属、ポリエチレン、ガラスウールやロックウール等と組み合わせることで、目的に応じた特性を発揮できる多機能材料が種々提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
また、異種材料を接着剤等で貼り合わせたのでは、双方の材料間の接合強度が弱く、長期にわたる使用の間に双方の材料が剥離してしまい、耐久性に問題が生じることもある。
このような構造部材は、強化繊維から形成された強化繊維基材と、ゴム系材料またはウレタン材料からなるシートを型の表面に沿わせた状態で積層する工程と、強化繊維基材およびシートを、気密性を有する気密シートで覆い、気密シートの外周部を型に対して気密にシールする工程と、気密シートと型の間の空間の雰囲気を吸引し、空間を負圧とする工程と、空間に樹脂を注入し、空間内の強化繊維基材に樹脂を含浸させる工程と、を含む構造部材の形成方法により形成できる。
つまり、強化繊維基材に樹脂を含浸させることによって第一の層を構成する複合材料を形成する工程で、強化繊維基材とともにシートをセットし、ここに樹脂を注入することで、複合材料の形成と同時に、注入した樹脂によって複合材料とシートを一体に接合できる。
このような樹脂としては、複合材料を構成するのに用いられる、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂のいずれかを用いるのが好ましい。
このようにして形成された構造部材は、第二の層に、一方向に連続する溝が一以上形成され、樹脂が溝に充填された構成を有することになる。
特に、このように電波透過性能を有した構造部材は、一般に電波反射率が高くなってしまう、全体として平面形状を有するものを形成する場合に好適である。本発明の構造部材によれば、平面においても、電波透過率を70%以上とできるからである。
図1は、本実施の形態における多機能材料(構造部材)100の構成を説明するための図である。
図1(a)に示すように、多機能材料100は、所定形状に成形されており、FRP層(第一の層)110と、電波や音等を吸収(減衰)する吸収層(第二の層)120とが厚さ方向に積層されて一体化した構成を有している。
例えば、図4(a)に示すように、FRP層110、吸収層120を互い違いに側方に突出させ、突出させた端部にピン孔150を形成する。そして、多機能材料100同士を連結するときには、図4(b)に示すように、一方の多機能材料100の端部と、他方の多機能材料100の端部を噛み合わせて、FRP層110、吸収層120のそれぞれのピン孔150を合致させた状態でピン151をピン孔150に刺し込む。これにより、パネル状の多機能材料100を容易かつ確実に連結できる。
もちろん、パネル状の多機能材料100同士を連結するための構造はこれに限るものではなく、適宜他の構成を採用することができる。
本実施の形態において、多機能材料100は、真空成形法によって形成する。
図5は、真空成形法により多機能材料100を形成するための成形装置10の構成を示すものである。
成形装置10は、FRP部材の形成に用いられるもので、型11と、シート状のバッグ材(気密シート)12を備えており、通常のFRP部材の形成の際には、型11とバッグ材12とで強化繊維基材111を挟み込んだ状態で型11とバッグ材12の間の空間Sに樹脂112を導入して強化繊維基材111に樹脂を含浸させることでFRP部材を形成する。
この成形装置10において、型11は、形成すべきFRP部材の形状に応じた成形面11aを有している。図1において成形面11aは略平面状とされているが、もちろん、形成すべきFRP部材の形状に応じ、湾曲面や凹凸面等、成形面11aを様々な形状とすることができる。また、バッグ材12は、ゴム系材料等、可撓性と気密性を有した材料で形成されている。このバッグ材12は、その外周部を、シール材13を介して型11の成形面11aに固定できるようになっている。
さらに、成形装置10は、型11の成形面11aとバッグ材12の内面との間の空間Sに樹脂112を注入するための樹脂注入機構(図示無し)と、空間Sの雰囲気を吸引するための吸引機構(図示無し)とを備えている。
まず、図5に示すように、型11の成形面11a上に、FRP層110を構成する強化繊維基材111を沿わせた状態でセットし、さらに強化繊維基材111上に吸収層120を構成する吸収シート121を重ねてセットする。さらに、重ねた強化繊維基材111および吸収シート121に、バッグ材12を被せてセットし、その外周部を型11に対し気密にシールする。
しかる後は、得られた積層物に熱を加える等して樹脂112を硬化させることで、所定形状の多機能材料100を形成することができる。このようにして、強化繊維基材111に含浸した樹脂112が硬化するFRP層110が形成される。また、強化繊維基材111と吸収シート121の間に介在する樹脂112によって接着層130が形成され、これによってFRP層110と吸収シート121が積層状態で一体化される。したがって、この後、バッグ材12を型11から取り外し、成形された多機能材料100を取り出せばよい。
このようにして形成される多機能材料100は、図6(c)に示すように、吸収層120を形成する吸収シート121の溝122に、接着層130を形成する樹脂112が入り込んだ構成を有することになる。これによって、吸収層120とFRP層110の剥離強度を高める効果もある。さらに、溝122を、FRP層110から離間するにしたがいその幅が大きくなるような、いわゆる逆テーパ状の断面を有するものとすれば、吸収層120とFRP層110の剥離強度はさらに高くなる。
しかも、FRP層110と吸収層120は、FRP層110を構成する樹脂112によって一体に接合されているため、FRP層110を形成する工程で、同時に吸収層120を積層・接合することができ、非常に効率良く多機能材料100を形成することができる。
また、多機能材料100を形成するには、真空成形法を用いるようにしたので、樹脂112の充填、およびFRP層110に対する樹脂112の含浸を迅速かつ確実に行うことができる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
Claims (5)
- 強化繊維基材に樹脂が含浸されることで形成された第一の層と、
前記第一の層に積層され、前記第一の層を構成する前記樹脂により前記第一の層に接合された、ゴム系材料またはウレタン材料からなる第二の層と、
一端が前記第二の層側から前記第一の層に挿入されて当該第一の層を非貫通とし、他端が前記第一の層側から前記第二の層に挿入されて当該第二の層を非貫通とすることで、前記第一の層と前記第二の層の双方に埋め込まれ、前記第一の層と前記第二の層の接合強度を補強する補強部材と、
を備えることを特徴とする構造部材。 - 前記樹脂が、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の構造部材。
- 前記第二の層に、一方向に連続する溝が一以上形成され、前記樹脂が前記溝に充填されていることを特徴とする請求項1または2に記載の構造部材。
- 全体として平面形状を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の構造部材。
- 電波透過率が70%以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の構造部材。
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