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JP4647140B2 - 管端の成形方法 - Google Patents

管端の成形方法 Download PDF

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JP4647140B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の消音器等に用いられる管、特に断面楕円形状、あるいは長方形状をなす管のように、断面において長軸方向と短軸方向とを有する扁平な管の端部の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の車両においては、消音器を構成する管として断面楕円形状をなす管が多用されている。これは、断面楕円形状の管が長軸方向と短軸方向とを有しており、短軸方向を上下方向に向けることにより、断面積の割に上下方向の幅を狭くすることができるというレイアウト上の有利性を有しているからである。
【0003】
ところで、消音器に接続される排気管は、断面円形をなしているのみならず、消音器を構成する楕円管より小径になっている。そこで、図16〜図18に示すように、消音器を構成する楕円管Aの両端部には、テーパ状をなす先細り部a及び断面円形で一様な直径を有する接続部bをスピニング加工によって形成し、接続部bに排気管(図示せず)を嵌合させて接続するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
楕円管Aの端部にスピニング加工によってテーパ状の先細り部aを形成すると、図17に示すように、楕円管Aのうちの短軸方向における外周と先細り部aの大径側端部外周との交差部に短軸方向に突出する突出部cが形成される。そして、この突出部cが車両の他の部材に干渉するという問題がある。このような問題を回避するために、先細り部aの加工後には、突出部cを凹ませてほぼ平坦にするという後加工が一般に行われている。しかし、突出部cの突出量dが過度に大きいと、後加工終了後に突出部cがあった箇所が逆に凹んでしまったり、先細り部aに皺がよるという波打ち現象が生じることがあった。そこで、突出量dを出きる限り小さくすることが要望されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記要望に応えるためになされたものであり、直交する2方向の長さが異なる断面形状を有する素管の端部外周に成形具を押し付けつつ素管の回転軸線を中心として相対回転させるとともに、成形具を素管の中央側から端縁側へ向かうにしたがって素管の回転軸線に接近するように移動させることにより、素管の端部に中央側から端縁側へ向かうにしたがって小径となる断面円形の先細り部を成形する方法において、上記先細り部の母線が中凹の凹曲線になるよう、上記先細り部の上記素管の軸線に対する傾斜角度を素管の中央側から端縁側へ向かうにしたがって漸次小さくしたことを特徴としている。
この場合、上記成形具による成形工程を複数回にわたって繰り返し、各成形工程毎に上記先細り部を上記素管の中央側から順次仕上げるようにしてもよく、あるいは上記成形具による成形工程を複数回にわたって繰り返すことにより、上記素管の端部を成形工程毎に小径にし、最終成形工程において上記上記先細り部全体を成形するようにしてもよい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図1〜図15を参照して説明する。
まず、この発明に係る管端の成形方法によって成形された消音器のケーシング1を図1〜図3に基づいて説明すると、このケーシング1は、断面楕円形状をなす素管2の両端部をこの発明に係る成形方法によって成形したものであり、素管2の両端部には、先細り部3と接続部4とが素管2の中央側から端部側へ向かって順次形成されている。
【0007】
先細り部3は、その軸線を素管2の軸線と一致させて形成されており、素管2の中央側から先端側へ向かうにしたがって漸次細くなっている。しかも、先細り部3の細くなる割合は、素管2の中央側で大きく、中央側から先端(端縁)側へ向かうにしたがって漸次小さくなっている。換言すれば、素管2の軸線に対する先細り部3の傾斜角度が、素管2の中央側で大きく、中央側から先端側へ向かうにしたがって漸次小さくなっている。この結果、先細り部3の外周面の母線(先細り部3の中心線を含む平面と先細り部3の外周面との交線)は、中凹の凹曲線状になっている。
【0008】
一方、接続部4は、その軸線を先細り部3の軸線と一致させて配置されており、断面円形で内外径が一定のストレートな筒状に形成されている。接続部4の内外径は、先細り部3の先端部の内外径と同一になっている。接続部4の内周又は外周には、排気管(図示せず)が嵌合して接続される。
【0009】
次に、上記構成のケーシング1の先細り部3及び接続部4を成形する場合について説明する。先細り部3及び接続部4はスピニング加工によって成形されている。スピニング加工は、成形ロール(成形具)Rを素管2に押し付けつつ素管2の軸線を中心として公転させることにより、先細り部3及び接続部4を成形するものであり、スピニング加工自体は周知である。そこで、スピニング加工についての詳細な説明は省略する。
【0010】
図4〜図9は、素管2の端部に先細り部3及び接続部4をスピニング加工によって成形する場合の一実施の形態を示している。この実施の形態では、素管2の端部の成形、つまり先細り部3及び接続部4の成形が3回の成形工程を経て完了するようになっており、成形は先細り部3の大径側から順次行われるようになっている。
【0011】
すなわち、図4〜図6に示すように、第1成形工程においては、大径側端部3Aと、この大径側端部3Aに対して素管2の端部側に続く第1ストレート部4Aとが成形される。大径側端部3Aは、先細り部3の大径側(素管2の中央側)の端部と同一形状をなしている。一方、第1ストレート部4Aは、断面円形で全長にわたって一様な内外径を有しており、その外径は、素管2の長軸方向の長さ(長軸方向における素管2の外径)と短軸方向の長さ(短軸方向における素管2の外径)とのほぼ中間値に設定されている。第1ストレート部4Aの外径と大径側端部3Aの小径側端縁の外径とは同一である。したがって、第1成形工程において成形される大径側端部3Aの長さは、その小径側端縁の外径が第1ストレート部4Aの外径と同一になる位置によって決定されている。
【0012】
大径側端部3Aは、成形ロールRを素管2の中央側から先端側へ向かうにしたがって素管2の軸線に接近するように移動させることによって成形することができる。勿論、その場合には、先細り部3の細くなる割合が素管2の中央側で大きく、中央側から先端側へ向かうにしたがって漸次小さくなっているので、成形ロールRもそれに合わせて移動させる。一方、第1ストレート部4Aは、成形ロールRを素管2の軸線と平行に移動させることによって成形することができる。
なお、ストレート部4Aの外径が素管2の短軸方向における部分の外径より大径であるので、ストレート部4Aと短軸方向における素管2の外周部との間には、素管2の中央側から先端側へ向かうにしたがって大径になる先太り部5Aが形成される。ただし、この先太り部5Aは、次の第2成形工程で成形加工されて先細り部3の一部になる。したがって、先太り部5Aがケーシング1の一部として残ることはない。
【0013】
第2成形工程が図7〜図9に示されている。この第2成形工程においては、先細り部3のうちの大径側端部3Aに続く中間部3B及びこの中間部3Bに続く第2ストレート4Bが成形される。第2ストレート部4Bは、素管2の短軸方向における部分の外径と接続部4の外径とのほぼ中間値になるように設定されている。第2ストレート部4Bの外径に対応して中間部3Bの長さが規定されている。中間部3B及び第2ストレート部4Bは、それぞれ大径側端部3A及び第1ストレート部4Aと同様にして成形することができる。
【0014】
最終の第3成形工程においては、先細り部3のうちの残りの部分である小径側端部3Cと接続部4とが成形される。小径側端部3Cは、大径側端部3A及び中間部3Bと同様にして成形することができ、接続部4は、第1、第2ストレート部4A,4Bと同様にして成形することができる。
【0015】
上記のようにして先細り部3を成形した場合には、各成形工程において成形された大径側端部3A、中間部3B及び小径側端部3Cとの間(各部分の連結部)に小さい段差が生じることがある。そこで、第3工程の後には、成形ロールRを先細り部3に接触させながらその全体に沿って移動させる仕上げ工程を施すのが望ましい。その場合には、大径側端部3A、中間部3B及び小径側端部3Cについては、仕上げ代を有する状態で成形するのが望ましい。また、成形は、必ずしも3回の成形工程で完了させる必要はなく、1回又は2回、あるいは4回以上の成形工程で完了させるようにしてもよい。
【0016】
上記のように、素管2の軸線に対する先細り部3の外周面の傾斜角度を、素管2の中央側で大きくし、先端側へ向かうにしたがって小さくなるように成形した場合には、素管2の短軸方向の外周と先細り部3の大径側の外周との交差部に形成される突起5の高さdを、後述する実験結果からも明らかなように、先細り部をテーパ状に成形した従来のものに比して大幅に小さくすることができる。
【0017】
次に、この発明に係る成形方法の第2の実施の形態を図10〜図15に基づいて説明する。この実施の形態においても、先細り部3及び接続部4を3回の成形工程を経て成形するようになっている。しかし、この実施の形態では、先細り部3をその大径側から順次成形するのではなく、素管2の端部を第1、第2成形工程毎に順次小径にし、最終工程たる第3成形工程で先細り部3及び接続部4全体の形成を完了するようにしている。
【0018】
すなわち、第2の実施の形態の第1成形工程では、素管2の端部に中央側から端縁側へ向かって第1先細り部6Aおよび第1円筒部7Aが順次成形される。第1先細り部6Aは、素管2の端部をその中央側から端部側へ向かって漸次小径になるように成形することによって形成されており、先細り部3の大径側の端部とほぼ同一形状をなしている。ただし、第1先細り部6Aが始まる始端61は、図10に示すように、先細り部3の始端31より素管2の端部側に位置させられている。つまり、第1先細り部6Aは、先細り部3より素管2の端部側に位置させられている。その結果、第1先細り部6Aの外径は、素管2の軸線方向の同一位置における先細り部3の外径より大径になる。なお、第1先細り部6Aと先細り部3との半径差のほぼ半分が次の第2成形工程における加工代になる。
【0019】
第1円筒部7Aは、断面円形で一定の内外径を有する筒状に形成されており、図12に示すように、その外径は素管2の長軸方向における外径と短軸方向における外径とのほぼ中間の値に設定されている。第1円筒部7Aの外径に対応して第1先細り部6Aの長さが決定されているのは、上記の実施の形態と同様である。また、図11に示すように、第1成形工程が完了した時点においては、素管2の短軸方向における外周面と第1円筒部7Aとの間に、素管2の中央側から第1円筒部7A側へ向かうにしたがって漸次大径になる先太り部8Aが形成されるが、この先太り部8Aも、前述した先太り部5Aと同様に、最終的には先細り部3の一部に成形される。
【0020】
図13〜図15に示す第2成形工程では、第2先細り部6B及び第2円筒部7Bが成形される。第2先細り部6B及び第2円筒部7Bは、先細り部3及び接続部4と第1先細り部6A及び第1円筒部7Aとの中間の形状寸法を有するように加工される。第2成形工程が完了した時点においては、図15に示すように、第2円筒部7Bの外径が素管2の短軸方向の部分の外径より小さくなっている。この結果、第2先細り部6Bが素管2の全周にわたって形成されており、第1成形工程において成形された先太り部8Aは第2先細り部6Bの一部になっている。
【0021】
第2成形工程が完了したら、第3成形工程において、先細り部3及び接続部4が成形加工される。これにより、素管2の管端部の成形が完了する。
【0022】
なお、この実施の形態においても、先細り部3及び接続部4を必ずしも3回の成形工程を経て成形する必要はない。例えば、第3成形工程の完了時に若干の仕上げ代を残し、第3成形工程後に仕上げ成形工程を採用し、この仕上げ成形工程によって先細り部3及び接続部4を成形してもよい。また、素管2の軸線方向への成形ロールRの移動速度を遅くするならば、1回の成形工程で先細り部3及び接続部4を成形することも可能であり、3回以外の複数の成形工程を経て先細り部3及び接続部4を成形することも可能である。
【0023】
次に、素管1の短軸方向の外周と先細り部の外周との交差部に生じる突出部の高さを低くすることができるというこの発明の効果を確認するために行った実験結果を紹介する。この実験においては、先細り部3の母線を凹曲線にする一方、比較対象たる従来の先細り部aの母線を直線にした点を除き、本件発明と比較従来例とで実験条件を同一にした。実験条件は次のとおりである。素管2としては、外周面の長軸方向の長さが158mm、短軸方向の長さが94mm、肉厚が1.5mmである素管を用いた。また、本件発明及び従来例の先細り部3,aの長さLを60mmとし、先細り部3,aの小径側端部の外径(接続部4の外径D)を65mmとした。このようにした結果、従来のものでは先細り部aの傾斜角度θが36°であったのに対し、本件発明では、素管2の中央側及び接続部4側における各端部の傾斜角度がそれぞれ76°と14°とになり、母線の曲率半径は、ほぼ100mmになった。また、素管2の軸線方向における成形ロールRの送り速度を3000mm/minとし、公転速度を550rpmとした。
【0024】
このような条件の下で先細り部3,a及び接続部4,bを成形したところ、従来のものでは、突起cの高さd1が7mm程度であったのに対し、本件発明では、突起5の高さd2が5mmになった。したがって、突起5の高さを約30%程度低くすることができた。
【0025】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態は、断面楕円形状の素管2を成形したものであるが、この発明は、断面長方形、菱形、台形、二等辺三角形等の各種の素管に適用することができる。
また、上記の実施の形態においては、成形ロールRを素管2の回りに回転させているが、各成形ロールRの周方向の位置を固定し、素管2を成形ロールRに対して回転させるようにしてもよい。さらに、成形ロールRを3個用いているが、1個又は3個以外の複数個用いてもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、素管の短軸方向における外周面と先細り部との交差部に形成される突起の高さを低くすることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る成形方法によって成形された消音器のケーシングの一例を示す平面図である。
【図2】同ケーシングの正面図である。
【図3】図1のX矢視図である。
【図4】この発明の一実施の形態の第1成形工程を示す平面図である。
【図5】同正面図である。
【図6】図4のX矢視図である。
【図7】同実施の形態の第2成形工程を示す平面図である。
【図8】同正面図である。
【図9】図7のX矢視図である。
【図10】この発明の他の実施の形態の第1成形工程を示す平面図である。
【図11】同正面図である。
【図12】図10のX矢視図である。
【図13】同実施の形態の第2成形工程を示す平面図である。
【図14】同正面図である。
【図15】図13のX矢視図である。
【図16】従来の成形方法で成形された消音器のケーシングの一例を示す平面図である。
【図17】同ケーシングの正面図である。
【図18】図16のX矢視図である。
【符号の説明】
R 成形ロール(成形具)
1 ケーシング
2 素管
3 先細り部

Claims (3)

  1. 直交する2方向の長さが異なる断面形状を有する素管の端部外周に成形具を押し付けつつ素管の回転軸線を中心として相対回転させるとともに、成形具を素管の中央側から端縁側へ向かうにしたがって素管の回転軸線に接近するように移動させることにより、素管の端部に中央側から端縁側へ向かうにしたがって小径となる断面円形の先細り部を成形する方法において、
    上記先細り部の母線が中凹の凹曲線になるよう、上記先細り部の上記素管の軸線に対する傾斜角度を素管の中央側から端縁側へ向かうにしたがって漸次小さくしたことを特徴とする管端の成形方法。
  2. 上記成形具による成形工程を複数回にわたって繰り返し、各成形工程毎に上記先細り部を上記素管の中央側から順次仕上げることを特徴とする請求項1に記載の管端の成形方法。
  3. 上記成形具による成形工程を複数回にわたって繰り返すことにより、上記素管の端部を成形工程毎に小径にし、最終成形工程において上記先細り部全体を成形することを特徴とする請求項1に記載の管端の成形方法。
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