JP4640406B2 - カラーフィルター用インク、カラーフィルター用インクセット、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器 - Google Patents
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Description
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含む材料(着色層形成用組成物)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマスクを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応する塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため、カラーフィルターの製造において形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルターには、その一部のみが着色層として残存するのみで、その大部分が製造工程において除去されることとなる。このため、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく、省資源の観点からも好ましくない。
顔料は、一般に、染料に比べて耐光性等に優れる等の特徴を有しているため、カラーフィルター用インクにおいては、着色剤として、顔料が広く用いられている。また、カラーフィルターの製造においては、通常、光の三原色(赤色、緑色、青色)に対応する3色のインク(カラーフィルター用インク)が用いられる。
一方、本発明者は、カラーフィルターの製造において、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体を用いることにより、C.I.ピグメントグリーン36に比べて、明度、コントラストに優れた緑色の着色部を形成することができることを見出した。しかしながら、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体は、インク中における分散安定性に劣っており、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体を含むカラーフィルター用インクを用いて着色部を形成した場合に、色むら、濃度むら等の発生を、長期間にわたって安定的に防止するのが困難であった。また、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体を含むカラーフィルター用インクを用いた場合、液滴の吐出安定性を十分に優れたものとすることが困難であった。
本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの
製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、
顔料と、溶剤と、硬化性樹脂と、分散剤とを含み、
主顔料として、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体を含むとともに、
副顔料として、スルホン化された顔料誘導体を含み、
前記分散剤として、所定の酸価を有する酸価分散剤と、所定のアミン価を有するアミン
価分散剤とを含み、
前記酸価分散剤の酸価が5〜370KOHmg/gであり、前記アミン価分散剤のアミ
ン価が5〜200KOHmg/gであり、前記酸価分散剤と前記アミン価分散剤との比率
が、重量比で、1:1〜1:9であることを特徴とする。
これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の長期分散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、形成される着色部の明度を特に優れたものとすることができる。
ルエーテルを含むものであることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の長期分散安定性を特に優
れたものとすることができる。
緑色インクとして、本発明のカラーフィルター用インクを備えることを特徴とする。
これにより、吐出安定性に優れるとともに、顔料の長期分散安定性(分散安定性)に優れており、明度、コントラストに優れた画像表示が可能で、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルターの製造に好適に用いることができる、インクジェット方式のカラーフィルター用インクセットを提供することができる。
これにより、明度、コントラストに優れた画像表示が可能で、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルターを提供することができる。
これにより、明度、コントラストに優れた画像表示が可能で、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルターを提供することができる。
これにより、表示部の各部位での色むら、濃度むら等が抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、明度、コントラストに優れた画像表示が可能で、かつ、耐久性にも優れた画像表示装置を提供することができる。
本発明の画像表示装置は、液晶パネルであることが好ましい。
これにより、表示部の各部位での色むら、濃度むら等が抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、明度、コントラストに優れた画像表示が可能で、かつ、耐久性にも優れた画像表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の画像表示装置を備えたことを特徴とする。
これにより、表示部の各部位での色むら、濃度むら等が抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、明度、コントラストに優れた画像表示が可能で、かつ、耐久性にも優れた電子機器を提供することができる。
《カラーフィルター用インク》
本発明のカラーフィルター用インクは、カラーフィルターの製造(カラーフィルターの着色部の形成)に用いられるインクであり、特に、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。
カラーフィルター用インクは、顔料、溶剤、硬化性樹脂を含むものである。
本発明のカラーフィルター用インクにおいて、顔料は、主顔料と副顔料とを含むものである。本発明のカラーフィルター用インクは、主顔料として、ハロゲン化されたフタロシアニン(以下、単に「ハロゲン化フタロシアニン」とも言う)の亜鉛錯体を含み、副顔料として、スルホン化された顔料誘導体(以下、単に「スルホン化顔料誘導体」とも言う)を含む。
主顔料としてのハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体は、中心金属としての亜鉛と、配位子としてのハロゲン化フタロシアニンとを備えている。ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体は、C.I.ピグメントグリーン7やC.I.ピグメントグリーン36に比べて、明度に優れている。このため、ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体を含むカラーフィルター用インクを用いることにより、明度に優れたカラーフィルターを形成することができる。
なお、ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体は、単一の化合物で構成されるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。
上記のように、本発明において、カラーフィルター用インクは、顔料として、ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体(主顔料)に加え、副顔料としてのスルホン化顔料誘導体を含むものである。
このように、ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体(主顔料)とともに、スルホン化顔料誘導体を含むことにより、カラーフィルター用インク中における、ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体(本来、単独では、分散性、分散安定性に劣るハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体)の分散性、分散安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターのコントラスト、明度を非常に優れたものとすることができることを、本発明者は見出した。
スルホン化は、例えば、発煙硫酸、濃硫酸、発煙硫酸と濃硫酸との混合物、硫酸と五酸化リンとの混合物、クロルスルホン酸、亜硫酸水素ナトリウム、塩化スルフリルと塩化アルミニウムとの混合物等のスルホン化剤を用いた芳香族置換反応により、行うことができる。また、芳香族置換反応の際には、必要に応じて、反応系を加熱してもよい。
また、スルホン化の処理においては、必要に応じて、触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸鉄等の硫酸金属塩等を用いることができる。触媒を用いることにより、例えば、好ましくない副反応を防止・抑制、反応条件の緩和、反応速度の上昇等の効果が得られる。
また、スルホン化の処理においては、反応速度を制御(抑制)するために、必要に応じて、反応系に、エチレングリコール、プロピレングリコール、クロロホルム、塩化エチレン、四塩化炭素等を用いてもよい。
本発明において、副顔料は、スルホン化された顔料誘導体であればいかなるものであってもよいが、下記式(I)で示される化学構造を有するものであるのが好ましい。
主顔料を構成するハロゲン化フタロシアニンは、分子全体として、高度な共役系が形成されており、平面的な構造となるのが、エネルギー的に安定している。そして、ハロゲン化フタロシアニンは、平面状の各分子が積層されるように(平行に)配置することにより、各分子間が有する共役系のπ電子が重なり合った、安定した状態になる。このため、主顔料は、本来、凝集し易く、溶剤中に安定的に分散させるのが困難である。
また、カラーフィルター用インク中における副顔料(スルホン化顔料誘導体)の含有率は、特に限定されないが、主顔料:100重量部に対して、0.5〜30重量部であるのが好ましく、7〜28重量部であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の長期分散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の明度、コントラストを特に優れたものとすることができる。これに対し、副顔料(スルホン化顔料誘導体)の含有率が低すぎると、カラーフィルター用インク中における顔料全体の含有率や、溶剤の種類等によっては、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の長期分散安定性を十分に優れたものとするのが困難になる。また、副顔料(スルホン化顔料誘導体)の含有率が高すぎると、相対的に主顔料の含有率が低下するため、目的とする明度に優れた緑色を表現することが困難になる。
なお、スルホン化顔料誘導体(副顔料)は、単一の化合物で構成されるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。
本発明において、カラーフィルター用インクは、顔料として、ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体(主顔料)と、スルホン化顔料誘導体(副顔料)とを含むものであればよいが、これら以外の顔料成分(その他の顔料)を含むものであってもよい。
その他の顔料としては、各種有機顔料、各種無機顔料を用いることができるが、より具体的には、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、さらに具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。すなわち、その他の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー60、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー71、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー101、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー106、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー113、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー116、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー119、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー126、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー152、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー175;C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73;C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド14、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド30、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド37、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド40、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド42、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド50:1、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド57:2、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド90:1、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド101、C.I.ピグメントレッド102、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド106、C.I.ピグメントレッド108、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド113、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド151、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド174、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド265;C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60;C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36;C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7や、これらの誘導体等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
その他の顔料を含む場合、カラーフィルター用インク中におけるその他の顔料の含有率は、特に限定されないが、前述したハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体の含有率、スルホン化顔料誘導体の含有率よりも少ないものであるのが好ましい。
溶剤は、カラーフィルター用インクにおいて、顔料を分散する分散媒として機能するものである。また、溶剤は、後述するようなカラーフィルター用インクの製造方法では、分散媒分散液中において、通常、熱可塑性樹脂を溶解する溶媒として機能するものである。
本発明では、溶剤としては、水溶性溶媒が好ましく使用される。溶剤として水溶性溶媒を用いることにより、上述したような顔料の分散性を特に優れたものとすることができる。水溶性溶剤としては、親水性の溶媒を用いることができ、具体的には、例えば、25℃における水100gに対する溶解度が3g以上の液体を用いることができる。
水溶性溶剤の具体例としては、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のグリコールエーテル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
沸点が180℃以上の水溶性有機溶剤の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルグリコール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、1,3−ブチレングリコールジアセテートおよびジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。溶剤としては、これらの高沸点有機溶媒の中でも、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。これにより、副顔料が溶剤に対して適度な親和性を示すため、主顔料粒子の表面を、副顔料が被覆した構造をとり易くなり、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の長期分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料の含有率を高くした場合であっても、顔料の長期分散安定性を十分に優れたものとすることができる。また、後述するような方法でカラーフィルター用インクを製造する場合においては、カラーフィルター用インクを効率よく製造することができ、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができる。上記のような効果は、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートのうち、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを用いた場合に特に顕著に発揮される。
非水溶性溶媒としては、例えば、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒等を用いることができる。
非水溶性のエステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、酢酸−3−メトキシブチル、エチルグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、モノクロロ酢酸メチル、モノクロロ酢酸エチル、モノクロロ酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ブチルカルビトールアセテート、乳酸ブチル、エチル−3−エトキシプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸プロピル等が挙げられる。
また、上記のほか、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類も用いることができる。
カラーフィルター用インクは、一般に、形成される着色部の基板に対する密着性を向上させる等の目的で、硬化性樹脂(バインダー樹脂)を含んでいる。また、インクジェット法によるインク付与工程の後工程での、薬品塗布や洗浄による悪影響を防止するため、バインダー樹脂には、耐溶剤性が要求される。そこで、本発明では、バインダー樹脂として硬化性樹脂を用いる。硬化性樹脂は、一般に、硬化後の、基板に対する密着性に優れている。したがって、バインダー樹脂として硬化性樹脂を用いることにより、カラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。
特に、硬化性樹脂として、エポキシ系樹脂を用いた場合、以下のような効果が得られる。すなわち、エポキシ系樹脂は、透明性が高く、硬度が高いものであるとともに、熱収縮量が小さいため、着色部の基板への密着性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを構成する硬化性樹脂としては、エポキシ系樹脂の中でも、特に、シリルアセテート構造(SiOCOCH3)と、エポキシ構造とを有するエポキシ系樹脂を用いることにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の長期分散安定性を特に優れたものとすることができる。特に、高温環境下に置かれた際の、顔料粒子の長期分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターを用いて表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。カラーフィルター用インクを構成する顔料、溶剤、硬化性樹脂以外の成分としては、例えば、分散剤、熱可塑性樹脂等が挙げられる。
分散剤は、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散性を向上させるのに寄与する成分である。カラーフィルター用インクが分散剤を含むことにより、顔料の分散性、分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、分散剤を用いることにより、後述するような製造方法の微分散工程において、分散剤分散液中に添加された顔料粒子(微分散されていない比較的粒径の大きい顔料粒子)の表面に、分散剤が付着(吸着)し、当該顔料粒子(微分散されていない比較的粒径の大きい顔料粒子)の分散剤分散液中における分散性を優れたものとすることができる。これにより、微分散工程における微分散処理を効率よく行うことができ、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができるとともに、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子(微分散された顔料微粒子)の長期分散安定性を特に優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの明度、コントラストを特に優れたものとすることができる。
また、酸価分散剤は、所定のアミン価を有していないもの、すなわち、アミン価が零であるのが好ましい。
また、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、酸価分散剤とアミン価分散剤との使用比率(固形分換算したときの使用比率)は、重量比で、1:1〜1:9であるのが好ましく、1:2〜1:5であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インク中における分散剤の含有率は、特に限定されないが、2.5〜10.2wt%であるのが好ましく、3.2〜9.2wt%であるのがより好ましい。
カラーフィルター用インクは、熱可塑性樹脂を含むものであってもよい。これにより、カラーフィルターインク中における顔料粒子の分散性を特に優れたものとすることができる。特に、後述するような製造方法において、予備分散工程で、熱可塑性樹脂を用いることにより、カラーフィルターインク中における顔料粒子の分散安定性を非常に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インク中における熱可塑性樹脂の含有率は、特に限定されないが、1.5〜7.7wt%であるのが好ましく、2.1〜7.2wt%であるのがより好ましい。
本発明のカラーフィルター用インクは、上記以外の成分をふくむものであってもよい。このような成分としては、例えば、染料、各種架橋剤、重合促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等が挙げられる。
本発明のカラーフィルター用インクは、顔料粒子が均一に微分散しており、顔料粒子の長期間にわたる分散安定性(長期分散安定性)に優れている。このため、カラーフィルター用インクの経時的な特性変化が効果的に防止され、例えば、長期間にわたって、均一な着色濃度の着色部(カラーフィルター)の形成等に好適に適用することができ、形成されるカラーフィルターにおける色むら、濃度むらの発生等を効果的に防止することができる。また、顔料粒子が微分散しているため、顔料の発色性に優れており、例えば、明度の高いカラーフィルターの形成に好適に用いることができる。
次に、上述したようなカラーフィルター用インクの製造方法の好適な実施形態について、説明する。
本実施形態の製造方法は、分散剤と、熱可塑性樹脂と、溶剤とを含む混合物を攪拌することにより、溶剤中に分散剤を分散させた分散剤分散液を得る予備分散工程と、分散剤分散液に顔料を添加し、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行い、顔料分散体を得る微分散工程と、顔料分散体と硬化性樹脂とを混合する硬化性樹脂混合工程とを有する。
予備分散工程においては、分散剤と、熱可塑性樹脂と、溶剤とを含む混合物を攪拌することにより、溶剤中に分散剤を分散させた分散剤分散液を調製する。これにより、分散剤の会合状態を解いた(ほぐした)状態とすることができる。
このように、本実施形態では、後に詳述する顔料を微分散させる処理に先立ち、顔料を含まない混合物を予備分散することで、最終的に、顔料粒子が均一かつ安定的に分散し、吐出安定性が特に優れたカラーフィルター用インクを得ることができる。
また、本工程で調製する分散剤分散液中における熱可塑性樹脂の含有率は、特に限定されないが、6〜30wt%であるのが好ましく、8〜26wt%であるのがより好ましい。熱可塑性樹脂の含有率が前記範囲内の値であると、前述したような効果がより顕著に発揮される。
また、本工程で調製する分散剤分散液中における溶剤の含有率は、特に限定されないが、40〜80wt%であるのが好ましく、53〜75wt%であるのがより好ましい。溶剤の含有率が前記範囲内の値であると、前述したような効果がより顕著に発揮される。
本工程で用いることのできる攪拌機としては、例えば、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間は、特に限定されないが、1〜30分間であるのが好ましく、3〜20分間であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を十分に優れたものとしつつ、分散剤の会合状態をより効果的に解くことができ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
次に、上記工程で得られた分散剤分散液に顔料を添加し、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行う(微分散工程)。
このように、本実施形態では、顔料を添加するのに先立ち、上記のような予備分散工程を設けるとともに、顔料を微分散させる工程(微分散工程)において無機ビーズを多段で添加する。微分散工程において、無機ビーズを多段で添加することにより、顔料の微粒化の効率を優れたものとすることができ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子を十分に小さいものとすることができる。特に、上述したようなハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体(主顔料)およびスルホン化顔料誘導体(副顔料)を併用することによる効果と、予備分散工程および多段での微分散工程を有する方法を用いることによる効果とが、相乗的に作用し合い、最終的に得られるカラーフィルター用インクは、顔料の分散安定性、および、液滴の吐出安定性が、非常に優れたものとなり、非常に優れた明度、コントラストのカラーフィルターの製造に用いることができるもののとなる。
本工程で用いる無機ビーズ(第1の無機ビーズ、第2の無機ビーズ)は、無機材料で構成されたものであればいかなる材料で構成されたものであってもよいが、無機ビーズの好適な例としては、ジルコニア製のビーズ(例えば、Toray ceram 粉砕ボール(商品名)、株式会社東レ製)等が挙げられる。
本工程では、まず、前述した予備分散工程で調製した分散剤分散液に顔料(主顔料および副顔料)を添加し、所定の粒径の第1の無機ビーズを用いて一次微分散する第1の処理を行う。
第1の処理で用いる第1の無機ビーズは、第2の処理で用いる第2の無機ビーズよりも粒径の大きいものであるのが好ましい。これにより、微分散工程全体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。
分散剤分散液に添加する顔料の使用量は、特に限定されないが、分散剤分散液100重量部に対し、12重量部以上であるのが好ましく、18〜35重量部であるのがより好ましい。
第1の処理は、顔料、第1の無機ビーズを分散剤分散液に添加した状態で、各種攪拌機を用いて攪拌することにより行うことができる。
第1の処理で用いることのできる攪拌機としては、例えば、パールミル等のメディア型分散機や、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
また、第1の処理での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)をより効率よく進行させることができる。また、熱可塑性樹脂等の熱等による劣化、変性等を確実に防止することができる。
第1の処理を行った後、第2の無機ビーズを用いた第2の処理を行う。これにより、顔料粒子が十分に微分散した顔料分散体が得られる。
第2の処理は第1の無機ビーズを含む状態で行うものであってもよいが、第2の処理に先立ち、第1の無機ビーズを除去するのが好ましい。これにより、第2の処理における顔料の微粒化(微分散)の効率を特に優れたものとすることができる。第1の無機ビーズの除去は、例えば、ろ過等の方法により、容易かつ確実に行うことができる。
第2の処理は、各種攪拌機を用いて行うことができる。
第2の処理で用いることのできる攪拌機としては、例えば、パールミル等のメディア型分散機や、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
また、第2の処理での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)をより効率よく進行させることができる。また、熱可塑性樹脂等の熱等による劣化、変性等を確実に防止することができる。
なお、微分散工程(例えば、第1の処理、第2の処理)においては、必要に応じて、例えば、溶剤による希釈等の処理を行ってもよい。
上記のような微分散工程で得られた顔料分散体を、硬化性樹脂と混合する(硬化性樹脂混合工程)。これにより、カラーフィルター用インクが得られる。
本工程は、第2の処理で用いた第2の無機ビーズを除去した状態で行うのが好ましい。第2の無機ビーズの除去は、例えば、ろ過等の方法により、容易かつ確実に行うことができる。
本工程で用いることのできる攪拌機としては、例えば、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間(本工程の処理時間)は、特に限定されないが、1〜60分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。
なお、本工程では、前記工程で用いた溶剤とは異なる組成の液体を添加してもよい。これにより、前述した予備分散工程での分散剤の分散、および、微分散工程での顔料粒子の微分散を好適に行いつつ、所望の特性を有するカラーフィルター用インクを確実に得ることができる。
上述したようなカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。カラーフィルターは、通常、フルカラー表示に対応するため、複数色の着色部(通常は、光の三原色に対応するRGBの3色)を有している。そして、これら複数色の着色部の形成には、それぞれに対応する色の複数種のカラーフィルター用インクが用いられる。すなわち、カラーフィルターの製造には、複数色のカラーフィルター用インクを備えるインクセットが用いられる。本発明において、インクセットは、上述したような、主顔料としてのハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体と、副顔料としてのスルホン化顔料誘導体とを含む本発明のカラーフィルター用インクと、他色のインク(カラーフィルター用インク)とを備えたものである。ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体と、スルホン化顔料誘導体とを含む本発明のカラーフィルター用インクは、通常、緑色の着色部の形成に用いられるものである。したがって、インクセットは、本発明のカラーフィルター用インクに加え、例えば、赤色の着色部の形成に用いられるインク(カラーフィルター用インク)、青色の着色部の形成に用いられるインク(カラーフィルター用インク)を備えている。インクセットが備える他色のインク(本発明のカラーフィルター用インク以外のインク)は、いかなる方法により製造されたものであってもよいが、前述したような本発明のカラーフィルター用インクセットの製造方法と同様の方法(顔料の種類を変更した以外は同様の方法)により製造されたものであるのが好ましい。これにより、より高いレベルで、各色間での、液滴の吐出安定性等のばらつきを抑制することができ、より信頼性の高いカラーフィルターを製造することができる。
C.I.ピグメントレッド177の誘導体、C.I.ピグメントレッド254の誘導体として、下記式(IV)または下記式(V)で示される化合物(誘導体)を含有するものである場合、上述したような効果がさらに顕著に発揮される。
次に、上述したようなカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されるカラーフィルターの一例について説明する。
図1は、本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、カラーフィルター1は、基板11と、上述したカラーフィルター用インクを用いて成形された着色部12とを備えている。着色部12としては、互いに異なる色の第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cが設けられている。そして、隣接する着色部12の間には、隔壁13が設けられている。
基板11は、光透過性を有する板状の部材で、着色部12、隔壁13を保持する機能を有している。
基板11は、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター1を透過する光により、より鮮明な画像を形成することができる。
また、基板11は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより、例えば、カラーフィルター1の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することができる。このような条件を満足する基板11の構成材料としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて形成されたものである。
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インクを用いて形成されたものであるため、各画素間での特性のばらつきが小さく、不本意な混色(複数種のカラーフィルター用インクの混合)等が確実に防止されている。このため、カラーフィルター1は、色むら、濃度むら等の発生が抑制された、信頼性が高いものとなっている。また、カラーフィルター1は、着色部12の発色性に優れ、コントラストに優れたものとなっている。
各着色部12は、後述する隔壁13により囲まれた領域であるセル14内に設けられている。
隣接する着色部12の間には、隔壁(バンク)13が設けられている。これにより、隣接する着色部12同士が混色してしまうのを確実に防止することができ、その結果、鮮明な画像を確実に表示することができる。
隔壁13は、透明な材料で構成されたものであってもよいが、遮光性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、コントラストに優れた画像を表示することができる。隔壁(遮光部)13の色は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい。これにより、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
次に、カラーフィルター1の製造方法の一例について説明する。
図2は、カラーフィルターの製造方法を示す断面図、図3は、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図、図4は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図、図5は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図、図6は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。
まず、基板11を準備する(1a)。本工程で準備する基板11は、洗浄処理が施されたものであるのが好ましい。また、本工程で準備する基板11は、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理が施されたものであってもよい。
次に、基板11の隔壁形成用の感放射線性組成物を基板11の一方の面のほぼ全体に付与し、塗膜3を形成する(1b)。なお、基板11上に感放射線性組成物を付与した後、必要に応じて、プリベーク処理を行ってもよい。プリベーク処理は、例えば、加熱温度:50〜150℃、加熱時間:30〜600秒という条件で行うことができる。
次に、インクジェット方式により、カラーフィルター用インク2を、隔壁13で囲まれたセル14内に付与する(1d)。
本工程は、形成すべき複数色の着色部12に対応する複数種のカラーフィルター用インク2を用いて行う。この際、隔壁13が設けられているため、2種以上のカラーフィルター用インク2が混ざり合うことが確実に防止される。
図3に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101からカラーフィルター用インク2が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)114をキャリッジ105に搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御装置104(移動手段)と、前記工程で隔壁13が形成された基板11(以下、単に「基板11」とも言う。)を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッド114とは、チューブ110で連結されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッド114のそれぞれにカラーフィルター用インク2が圧縮空気によって供給される。
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、カラーフィルター用インク2を付与すべきセル14を有する基板11をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
制御手段112は、カラーフィルター用インク2を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
ノズル列116Bの位置は、ノズル列116Aの位置に対して、ノズルピッチLNPの半分の長さだけX軸方向の正の方向(図5の右方向)にずれている。このため、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズルピッチHXPは、ノズル列116A(またはノズル列116B)のノズルピッチLNPの半分の長さである。
本実施形態の液滴吐出手段103では、基板11のX軸方向の寸法分の長さ全体をカバーするように液滴吐出ヘッド114を配置しているが、本発明における液滴吐出手段は、基板11のX軸方向の寸法分の長さの一部をカバーするようにものでもよい。
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、キャビティ120に対応する振動子124とを含んだ部分を「吐出部127」と表記することもある。この表記によれば、1つの液滴吐出ヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部127を有する。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として、ピエゾ素子の代わりに静電アクチュエータを用いるものでもよい。また、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してカラーフィルター用インクを吐出する構成であってもよい。
次に、セル14内のカラーフィルター用インク2から溶剤(分散媒)を除去し、硬化性樹脂を硬化させることにより固形状の着色部12とする(1e)。これにより、カラーフィルター1が得られる。
本工程は、通常、加熱により行うが、本工程においては、例えば、活性エネルギー線の照射や、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く等の処理を行ってもよい。活性エネルギー線を照射することにより、硬化性樹脂の硬化反応を効率よく進行させたり、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、硬化性樹脂の硬化反応を確実に進行させることができ、基板11等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。活性エネルギー線としては、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線、g線、i線、エキシマレーザー等を使用することができる。また、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置くことにより、溶剤(分散媒)をより効率よく除去することができたり、画素(セル)内での着色部の形状を、確実に好ましいものとすることができたり、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、溶剤(分散媒)を確実に除去することができ、基板11等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。
本工程での加熱温度は、特に限定されないが、50〜260℃であるのが好ましく、80〜240℃であるのがより好ましい。
次に、カラーフィルター1を有する画像表示装置(電気光学装置)である液晶表示装置の好適な実施形態について説明する。
図7は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶表示装置60は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1の着色部12が設けられた面側に配された基板(対向基板)66と、カラーフィルター1と基板66との間の空隙に封入された液晶よりなる液晶層62と、カラーフィルター1の基板11の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図7中下側)に設けられた偏光板67と、基板66の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図7中上側)に設けられた偏光板68とを有している。そして、カラーフィルター1の着色部12および隔壁13が設けられた面(着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面)には、共通電極61が設けられており、基板(対向基板)66の液晶層62、カラーフィルター1に対向する面には、カラーフィルター1の各着色部12に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極65が配されている。さらに、共通電極61と液晶層62との間には配向膜64が設けられ、基板66(画素電極65)と液晶層62との間には配向膜63が設けられている。
共通電極61、画素電極65は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたものであり、例えば、ITO等で構成されている。
また、図中省略しているが、各画素電極65に対応するように、複数のスイッチング素子(例えば、TFT:薄膜トランジスタ)が設けられている。そして、各着色部12に対応する各画素電極65について、共通電極61との間での電圧の印加状態を制御することにより、各着色部12(各画素電極65)に対応する領域での、光の透過性を制御することができる。
前述したようなカラーフィルター1を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図8は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
図9は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
例えば、前述した実施形態においては、各色の着色部に対応するカラーフィルター用インクを、セル内に付与した後に、一括で、セル内の各色のカラーフィルター用インクから溶剤(分散媒)を除去し、硬化性樹脂を硬化させるもの、すなわち、着色部形成工程(硬化工程)を1回のみ行うものとして説明したが、インク付与工程および着色部形成工程は、各色に対応して、繰り返し行うものであってもよい。
[1]カラーフィルター用インク(インクセット)の調製
(実施例1)
分散剤としてのディスパービック162:12.96g(36重量部)と、分散剤としてのディスパービック111:4.32g(12重量部)と、熱可塑性樹脂としてのSPCN−17X(昭和高分子社製):28.43g(79重量部)と、溶剤としての1,3−ブチレングリコールジアセテート:61.90g(172重量部)とを、内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌して予備分散を行うことにより、分散剤分散液を得た(予備分散工程)。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
まず、得られた分散剤分散液に、顔料:35.99g(100重量部)を添加し、10分間攪拌を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、顔料としては、式(II)で示される化学構造(ただし、分子内の16個のXのうち、2個が水素原子、4個が塩素原子、10個が臭素原子)を有するハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体(主顔料)の粉末:32.39gと、式(III)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体(副顔料)の粉末:3.60gとの混合物を用いた。また、このとき、分散剤分散液と顔料との混合物中における顔料の含有率が16wt%となるように、溶剤としての1,3−ブチレングリコールジアセテートで希釈した。
次に、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第1の無機ビーズ)を除去し、その後、平均粒径0.1mmの無機ビーズ(第2の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加し、更に30分間攪拌し第2段目の分散処理(第2の処理)を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、このとき、得られる顔料分散体中における顔料の含有率が13wt%となるように、溶剤としての1,3−ブチレングリコールジアセテートで希釈した。
その後、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」(商品名)、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第2の無機ビーズ)を除去し、顔料分散体を得た。
四つ口フラスコに、n−ヘキサン:320重量部、メタアクリル酸:86重量部、トリエチルアミン:111重量部を投入した後、この四つ口フラスコに、温度計、還流冷却器、撹拌機および窒素ガス導入口を取り付けた。この四つ口フラスコを、氷水で冷却しつつ、トリメチルクロルシラン:120重量部を滴下した。この際、反応系内の温度が25℃以下となるようにした。その後、25℃で1時間反応を続けた。次に、トリエチルアミンの塩酸塩を濾別し、得られたろ液から減圧下でn−ヘキサンを除去した後、減圧蒸留にて精製し、シリルアセテート構造を有するエチレン性不飽和単量体を得た。
カラーフィルター用インクの調製に用いる材料の種類・使用量、微分散工程(第1の処理、第2の処理)、硬化性樹脂混合工程の処理条件を表1、表2、表3、表4に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)の調製において、顔料として、式(II)で示される化学構造を有するハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体(主顔料)の粉末:32.39gと、式(III)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体(副顔料)の粉末:3.60gとの混合物の代わりに、式(II)で示される化学構造(ただし、分子内の16個のXのうち、2個が水素原子、4個が塩素原子、10個が臭素原子)を有するハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体(主顔料)の粉末:35.99gを用いた以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。すなわち、本比較例では、緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)の調製において、顔料として、ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体(主顔料)とスルホン化顔料誘導体(副顔料)との混合物の代わりに、ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体(主顔料)のみで構成されたものを用いた。
緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)の調製において、主顔料として、式(II)で示される化学構造を有するハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体の代わりに、C.I.ピグメントグリーン7を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)の調製において、主顔料として、式(II)で示される化学構造を有するハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体の代わりに、C.I.ピグメントグリーン36を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)の調製において、顔料として、式(II)で示される化学構造を有するハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体(主顔料)の粉末:32.39gと、式(III)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体(副顔料)の粉末:3.60gとの混合物の代わりに、式(III)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体(副顔料)の粉末:36.01gを用いた以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。すなわち、本比較例では、緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)の調製において、顔料として、ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体(主顔料)とスルホン化顔料誘導体(副顔料)との混合物の代わりに、スルホン化顔料誘導体のみで構成されたものを用いた。
[2.1]加熱処理後の外観変化
前記各実施例および各比較例の緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)について、50℃の環境下に、14日間放置した後、目視による観察を行い、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:加熱前からの変化が全く認められない。
B:顔料粒子の凝集・沈降がわずかに認められる。
C:顔料粒子の凝集・沈降がはっきりと認められる。
D:顔料粒子の凝集・沈降が顕著に認められる。
前記各実施例および各比較例の緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)について、50℃の環境下に、14日間放置した後の粘度(動粘度)を測定し、製造直後の粘度との差を求めた。すなわち、製造直後の粘度をν0[mPa・s]、50℃の環境下に、14日間放置した後の粘度をν1[mPa・s]としたとき、ν1−ν0で表される値を求めた。このようにして求められた値について、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:ν1−ν0の値が0.2mPa・s未満。
B:ν1−ν0の値が0.2mPa・s以上0.3mPa・s未満。
C:ν1−ν0の値が0.3mPa・s以上0.5mPa・s未満。
D:ν1−ν0の値が0.5mPa・s以上0.7mPa・s未満。
E:ν1−ν0の値が0.7mPa・s以上。
前記各実施例および各比較例で得られた緑色のカラーフィルター用インク(製造直後のカラーフィルター用インク)、および、50℃の環境下に14日間放置した緑色のカラーフィルター用インク(加熱環境下に放置したカラーフィルター用インク)を用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、80000発(80000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された80000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の4段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
A:ズレ量dの平均値が0.04μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.04μm以上0.09μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.09μm以上0.13μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.13μm以上。
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、80000発(80000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの左右両端の指定の2つのノズルについて、吐出された液滴の総重量を求め、上記2つのノズルから吐出された液滴の平均吐出量の差の絶対値ΔW[ng]を求めた。このΔWの、液滴の目標吐出量WT[ng]に対する比率(ΔW/WT)を求め、以下の4段階の基準に従い、評価した。ΔW/WTの値が小さいほど、液滴吐出量の安定性に優れていると言える。
A:ΔW/WTの値が、0.025未満。
B:ΔW/WTの値が、0.025以上0.440未満。
C:ΔW/WTの値が、0.440以上0.750未満。
D:ΔW/WTの値が、0.750以上。
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、8000発(8000滴)の液滴の連続吐出を行い、その後、30秒間、液滴の吐出を中断した(1シーケンス目)。その後、同様に、液滴の連続吐出、および、滴々の吐出の中断の操作を繰り返し行った。液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルについて、1シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W1[ng]と、20シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W20[ng]とを求めた。そして、W1とW20との差の絶対値の、液滴の目標吐出量WT[ng]に対する比率(|W1−W20|/WT)を求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。|W1−W20|/WTの値が小さいほど、間欠印字性能(液滴吐出量の安定性)に優れていると言える。
A:|W1−W20|/WTの値が、0.027未満。
B:|W1−W20|/WTの値が、0.027以上0.650未満。
C:|W1−W20|/WTの値が、0.650以上。
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置、前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて、45%RHの環境下で、液滴吐出装置を84時間、連続で運転させることにより、カラーフィルター用インクセットを構成する各インクの吐出を行った。
B:ノズルの目詰まりの発生率が0.6%未満(ただし、ゼロを除く)であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
C:ノズルの目詰まりの発生率が0.6%以上1.2%未満であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
D:ノズルの目詰まりの発生率が1.2%以上、または、クリーニングによる目詰まりの解消が不可能。
なお、上記の評価は、各実施例および各比較例について、同様の条件で行った。
前記各実施例および各比較例で得られたカラーフィルター用インク(製造直後のカラーフィルター用インク)、および、50℃の環境下に14日間放置したカラーフィルター用インク(加熱環境下に放置したカラーフィルター用インク)を用いて、以下のようにして、カラーフィルターを製造した。
次に、カーボンブラックを含む隔壁形成用の感放射線性組成物を、洗浄済の基板の一方の面の全体に付与し、塗膜を形成した。
次に、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒という条件でプリベーク処理を行った。
上記のような方法を用いて、各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて、それぞれ、5000枚のカラーフィルターを製造した。
上記のようにして得られた各カラーフィルターを用いて、以下のような評価を行った。
[5.1]色むら、濃度むら
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、5000枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図7に示すような液晶表示装置を製造した。
A:色むら、濃度むらが全く認められない。
B:色むら、濃度むらがほとんど認められない。
C:色むら、濃度むらがわずかに認められる。
D:色むら、濃度むらがはっきりと認められる。
E:色むら、濃度むらが顕著に認められる。
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、1〜10枚目、および、4990〜4999枚目に製造されたカラーフィルターを用意し、暗室で、緑色の単色表示、白色の単色表示を行い、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。その結果から、各実施例および各比較例について、それぞれ、1〜10枚目、4990〜4999枚目に製造されたカラーフィルター(合計20枚のカラーフィルター)で最大となる色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:色差(ΔE)が2.1未満。
B:色差(ΔE)が2.1以上3.1未満。
C:色差(ΔE)が3.1以上4.1未満。
D:色差(ΔE)が4.1以上5.1未満。
E:色差(ΔE)が5.1以上。
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、1001〜1010枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図7に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、緑色の単色表示、白色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)が発生していないことを確認した。
取り外した各カラーフィルターを、20℃の環境下に1.5時間、次いで、60℃の環境下に2時間、次いで、20℃の環境下に1.5時間、次いで、−10℃の環境下に3時間静置した。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計15回繰り返した(合計120時間)。
その後、これらのカラーフィルターを用いて、再び、図7に示すような液晶表示装置を組み立てた。
A:光漏れ(白抜け、輝点)の発生したカラーフィルターはない。
B:1〜2枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
C:3〜5枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
D:6〜9枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
E:10枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
前記各実施例および各比較例で得られた緑色のカラーフィルター用インク(製造直後のカラーフィルター用インク)、および、50℃の環境下に14日間放置した緑色のカラーフィルター用インク(加熱環境下に放置したカラーフィルター用インク)を用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
着色膜の形成は、ガラス板への液滴吐出後、ホットプレート上にて120℃で7分間の加熱処理を施し、さらに250℃のオーブン内で0.5時間加熱処理を施すことにより、行った。カラーフィルター用インクの吐出量は、形成される着色膜の厚さが1.5μmとなるように、調整した。
A:CRが11000以上。
B:CRが5500以上11000未満。
C:CRが5500未満。
前記コントラストの評価に用いた、緑色の着色膜が形成されたガラス板について、色度計(ミノルタ社製、CM−3700d)を用いて、xyY表色法による三刺激値を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:明度Yが63.0以上。
B:明度Yが61.0以上63.0未満。
C:明度Yが59.0以上61.0未満。
D:明度Yが57.5以上59.0未満。
E:明度Yが57.5未満。
なお、上記の評価においては、各カラーフィルター、各ガラス板について、同様の条件で観察、測定を行った。
これらの結果を表5に示す。なお、表中、製造直後のカラーフィルター用インクを「加熱前」と示し、50℃の環境下に14日間放置したカラーフィルター用インク(加熱環境下に放置したカラーフィルター用インク)を「加熱後」と示した。
また、市販の液晶テレビを分解し、液晶表示装置部分を、上記のようにして製造したものと交換して、上記と同様の評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
Claims (10)
- インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用イ
ンクであって、
顔料と、溶剤と、硬化性樹脂と、分散剤とを含み、
主顔料として、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体を含むとともに、
副顔料として、スルホン化された顔料誘導体を含み、
前記分散剤として、所定の酸価を有する酸価分散剤と、所定のアミン価を有するアミン
価分散剤とを含み、
前記酸価分散剤の酸価が5〜370KOHmg/gであり、前記アミン価分散剤のアミ
ン価が5〜200KOHmg/gであり、前記酸価分散剤と前記アミン価分散剤との比率
が、重量比で、1:1〜1:9であることを特徴とするカラーフィルター用インク。 - 前記主顔料:100重量部に対する、前記顔料誘導体の含有率が、0.5〜30重量部
である請求項1または2に記載のカラーフィルター用インク。 - 前記溶剤としてジエチレングリコールジブチルエーテルを含むものである請求項1ない
し3のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。 - 異なる複数色のカラーフィルター用インクを備えるカラーフィルター用インクセットで
あって、
緑色インクとして、請求項1ないし4のいずれかに記載のカラーフィルター用インクを
備えることを特徴とするカラーフィルター用インクセット。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載のカラーフィルター用インクを用いて製造されたこ
とを特徴とするカラーフィルター。 - 請求項5に記載のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたことを特徴とす
るカラーフィルター。 - 請求項6または7に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする画像表示装置。
- 画像表示装置は、液晶パネルである請求項8に記載の画像表示装置。
- 請求項8または9に記載の画像表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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