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JP4526019B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置とそこに設置される定着装置とに関し、特に、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置及び画像形成装置に関するものである。
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、装置の立ち上がり時間を低減して省エネルギー化することを目的とした、電磁誘導加熱方式による定着装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1等において、電磁誘導加熱方式の定着装置は、主として、加熱ローラ、定着補助ローラ(定着ローラ)、加熱ローラと定着補助ローラとによって張架された定着ベルト(耐熱性ベルト)、加熱ローラに定着ベルトを介して対向する誘導加熱部、定着補助ローラに定着ベルトを介して対向する加圧ローラ等で構成される。誘導加熱部は、幅方向(記録媒体の搬送方向に直交する方向である。)に延設されたコイル部や、コイル部に対向するコア(励磁コイルコア)等で構成される。
そして、定着ベルトは、誘導加熱部との対向位置で加熱される。加熱された定着ベルトは、定着補助ローラ及び加圧ローラの位置に搬送される記録媒体上のトナー像を加熱して定着する。詳しくは、コイル部に高周波の交番電流を流すことで、コイル部の周囲に磁界が形成されて、加熱ローラ表面に渦電流が生じる。加熱ローラに渦電流が生じると、加熱ローラ自身の電気抵抗によってジュール熱が発生する。このジュール熱によって、加熱ローラに巻装された定着ベルトが加熱される。
このような電磁誘導加熱方式を用いた定着装置は、少ないエネルギー消費で短い立ち上げ時間にて、定着ベルトの表面温度(定着温度)を所望の温度まで昇温できることが知られている。
一方、特許文献2等には、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置であって、定着部材(定着ローラ)における非通紙部昇温及び端部温度ダレを防止することを目的として、定着部材内に第1磁性体コアと第2磁性体コアとを設ける技術が開示されている。
詳しくは、第1磁性体コアは幅方向の両端に固定され、第2磁性体コアは軸方向の中央に回動可能に支持されている。そして、通常サイズの記録媒体を通紙する場合には中央部の第2磁性体コアを励磁コイルから離して、小サイズの記録媒体を通紙する場合には中央部の第2磁性体コアを励磁コイルに近づけて、定着部材の幅方向の温度分布を調整する。
また、特許文献3等には、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置であって、定着部材(加熱媒体)における非通紙部昇温を防止することを目的として、定着部材内に定着部材へ届く磁束を遮蔽する磁束遮蔽板を設ける技術が開示されている。
詳しくは、磁束遮蔽板は、誘導コイルの上半分を覆う円弧曲面を有するとともに、回転自在に構成されている。そして、記録媒体のサイズに応じて磁束遮蔽板を回転させることで、非通紙部における磁束を遮蔽して、非通紙部昇温を調整する。
特開2002−123106号公報 特開2003−123961号公報 特開2002−352948号公報
上述した従来の技術は、幅方向サイズの短い記録媒体を連続的に定着した場合に生じる、定着部材の幅方向両端部における温度上昇を効率的に抑止することができなかった。
詳しくは、次の通りである。
一般的な画像形成装置は、幅方向のサイズが異なる数種類の記録媒体に対して、画像形成ができるように構成されている。ここで、幅方向サイズの異なる記録媒体とは、JIS寸法のA列やB列における種々の定形サイズの記録媒体の他に、不定形サイズの記録媒体も含まれる。また、同一サイズ(例えば、A4サイズである。)の記録媒体であっても、長手方向を搬送方向にした場合と、短手方向(長手方向に直交する方向である。)を搬送方向にした場合とでは、幅方向サイズの異なる記録媒体を扱っていることになる。
このような幅方向サイズの異なる記録媒体を定着装置で定着する場合には、記録媒体の幅方向サイズに応じて、定着ベルトの幅方向の温度分布が変動して、温度ムラが生じてしまうことがあった。例えば、幅方向サイズの小さな記録媒体を通紙して定着する場合には、その記録媒体の幅方向サイズに対応する定着ベルトの位置(通紙領域である。)では熱が多く奪われて、その他の位置(非通紙領域である。)に比べて定着温度が低くなる。このような現象は、幅方向サイズの小さな記録媒体を連続的に通紙するような場合に、特に顕著になる。
したがって、定着ベルトの幅方向中央部の定着温度を基準として定着ベルトの幅方向全域の定着温度を制御しようとすると、定着ベルトの幅方向中央部の定着温度は所望の温度に制御できるものの、幅方向両端部の定着温度が上昇してしまうことになる。このように、定着ベルトの幅方向両端部の定着温度が上昇した状態で、幅方向サイズの大きな記録媒体を定着すると、温度上昇位置に対応した記録媒体上にホットオフセットが発生してしまう。さらに、幅方向両端部の定着温度が定着ベルトの耐熱温度を超えた場合には、定着ベルトに熱的破損が生じてしまうことも考えられる。
このような問題を解決するために、上述の特許文献2等では、定着部材(定着ローラ)に内設する磁性体コアを、固定された第1磁性体コアと回動する第2磁性体コアとに分割している。そして、記録媒体が通常サイズか小サイズかによって、第2磁性体コアの位置を変動させている。
ところが、特許文献2等の技術は、2つのサイズ(通常サイズと小サイズとである。)の記録媒体に対応するものであって、3以上のサイズの異なる記録媒体に対応していない。すなわち、通常サイズと小サイズとの中間のサイズの記録媒体を連続的に通紙した場合には、定着部材における中間サイズの非通紙領域で温度上昇が発生することになる。
これに対して、3以上のサイズの異なる記録媒体に対応するために、独立して回動する磁性体コアの数を増やす方策も考えられる。しかし、その場合には、複数用意した磁性体コアを個々に移動制御しなければならないために、装置の構成と制御とが複雑になってコストが高くなる不具合が生じることが考えられる。また、分割した磁性体コアと磁性体コアとの間には隙間が生じるために、その位置に対応した定着部材上の加熱が不充分になる不具合が生じることも考えられる。
これに対して、上述の特許文献3等では、記録媒体のサイズに応じて円弧曲面を有する磁束遮蔽板を回転させて非通紙部における磁束を遮蔽しているので、3以上のサイズの異なる記録媒体に対してもそれぞれ非通紙領域の温度上昇を抑止する効果が期待できる。すなわち、中間サイズの記録媒体に対しても、磁束遮蔽板の回転角度を調整して磁束の遮蔽領域を最適化することで、非通紙領域の温度上昇を抑止する可能性が高い。
ところが、特許文献3等の技術は、磁束遮蔽板が定着部材の内部に設けられるために、磁束遮蔽板とともに定着部材の内部に設けられるコア及び誘導コイルの大きさが制限されることになる。コア及び誘導コイルは、少なくとも磁束遮蔽板の板厚分は、定着部材の内周面から離して設置する必要がある。このために、定着部材を電磁誘導によって加熱するためのエネルギーのロスが生じてしまう。
これに対して、定着部材に対向するコア部に磁束を遮蔽する磁束遮蔽部材を直接的に貼着する方策も考えられる。しかし、その場合にも、貼着した磁束遮蔽部材の厚さ分だけコア部を定着部材に近接できないことになる。また、コア部に対する磁束遮蔽部材の貼付の精度が悪い場合には、非通紙領域の温度上昇を抑止する効果が充分に得られないことになる。さらに、雰囲気温度が高温となることにより磁束遮蔽部材の貼着力が低下して、コア部から剥がれてしまう不具合が生じることも考えられる。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、幅の短い記録媒体を連続的に定着した場合であっても、定着部材の幅方向両端における温度上昇を比較的簡易な構成で効率的に抑止することができる、定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
この発明の請求項1記載の発明にかかる定着装置は、トナー像を加熱して当該トナー像を記録媒体に定着させるとともに、加熱ローラと定着補助ローラとに張架された定着ベルトと、前記加熱ローラに前記定着ベルトを介して対向するように幅方向に延設されるとともに、周方向の中央位置にセンターコアを具備したコイル部と、前記コイル部に前記定着ベルトを介して対向する位置であって前記加熱ローラの内部に配設されるとともに、回転自在に構成されるとともに回転にともない前記コイル部の前記センターコアに対向する外周面の幅方向の長さが漸増又は漸減するように円柱体の外周面の一部が欠切された柱状の内部コアと、を備え、前記内部コアの回転にともない前記コイル部の前記センターコアに対向する前記内部コアの外周面の幅方向の長さを漸増又は漸減させて、前記コイル部による電磁誘導によって加熱される前記定着ベルトの幅方向の加熱範囲を調整するものである。
また、請求項2記載の発明にかかる定着装置は、上記請求項1に記載の発明において、前記定着補助ローラは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して対向する位置に配設されたものである。
また、請求項3記載の発明にかかる定着装置は、トナー像を加熱して当該トナー像を記録媒体に定着させるとともに、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに当接する定着ローラと、前記定着ローラの外周面に対向するように幅方向に延設されるとともに、周方向の中央位置にセンターコアを具備したコイル部と、前記コイル部に前記定着ローラを介して対向する位置であって前記定着ローラの内部に配設されるとともに、回転自在に構成されるとともに回転にともない前記コイル部の前記センターコアに対向する外周面の幅方向の長さが漸増又は漸減するように円柱体の外周面の一部が欠切された柱状の内部コアと、を備え、前記内部コアの回転にともない前記コイル部の前記センターコアに対向する前記内部コアの外周面の幅方向の長さを漸増又は漸減させて、前記コイル部による電磁誘導によって加熱される前記定着ローラの幅方向の加熱範囲を調整するものである。
また、請求項4記載の発明にかかる定着装置は、上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記記録媒体の幅方向の大きさに応じて前記内部コアの前記幅方向の長さを漸増又は漸減させて前記加熱範囲を調整するものである。
また、請求項5記載の発明にかかる定着装置は、上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記内部コアは、フェライトからなるものである。
また、請求項6記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置を備えたものである。
本発明は、コイル部に対向する対向範囲を可変できるように構成されたコア部を設けて、その対向範囲を可変して定着部材の幅方向の加熱範囲を調整している。これにより、幅の短い記録媒体を連続的に定着した場合であっても、定着部材の幅方向両端における温度上昇が比較的簡易な構成で効率的に抑止される、定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1〜図6にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのレーザープリンタの装置本体、3は画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム18上に照射する露光部、4は装置本体1に着脱自在に設置される作像部としてのプロセスカートリッジ、7は感光体ドラム18上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10は出力画像が載置される排紙トレイ、11、12は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、13は記録媒体Pを転写部7に搬送するレジストローラ、15は主として給紙部11、12の記録媒体Pとは異なるサイズの記録媒体Pを搬送する際に用いる手差し給紙部、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置を示す。
図1を参照して、画像形成装置における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、露光部3(書込部)から、画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、プロセスカートリッジ4の感光体ドラム18上に向けて発せられる。感光体ドラム18は図中の反時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム18上に画像情報に対応したトナー像が形成される。
その後、感光体ドラム18上に形成されたトナー像は、転写部7で、レジストローラ13により搬送された記録媒体P上に転写される。
一方、転写部7に搬送される記録媒体Pは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部11、12、15のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部11が選択されたものとする。)。なお、複数の給紙部11、12には、それぞれ、異なるサイズの記録媒体Pや、搬送方向の異なる同一サイズの記録媒体Pが、収納されている。
そして、給紙部11に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。その後、記録媒体Pは、搬送経路Kを通過してレジストローラ13の位置に達する。そして、レジストローラ13の位置に達した記録媒体Pは、感光体ドラム18上に形成されたトナー像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7に向けて搬送される。
そして、転写工程後の記録媒体Pは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達した記録媒体Pは、定着ベルトと加圧ローラとの間に送入されて、定着ベルトから受ける熱と加圧ローラから受ける圧力とによってトナー像が定着される。トナー像が定着された記録媒体Pは、定着ベルトと加圧ローラとの間から送出された後に、出力画像として画像形成装置本体1から排出されて、排紙トレイ10上に載置される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、図2にて、画像形成装置本体1に設置される定着装置20の構成・動作について詳述する。
図2に示すように、定着装置20は、主として、定着補助ローラ21、定着ベルト22、加熱ローラ23、誘導加熱部24、加圧ローラ30、サーモスタット37、オイル塗布ローラ34、ガイド板35、分離板36等で構成される。
ここで、定着補助ローラ21は、その表面にシリコーンゴム等の弾性層が形成されていて、不図示の駆動部によって図2の反時計方向に回転駆動される。
加熱ローラ23は、SUS304等の非磁性材料からなる円筒体であって、図の反時計方向に回転する。加熱ローラ23の内部には、フェライト等の強磁性体からなる内部コア28(コア部)が設置されている。コア部としての内部コア28は、定着ベルト22を介してコイル部25に対向している。内部コア28の回転駆動は、加熱ローラ23の回転駆動とは別におこなわれる。加熱ローラ23及び内部コア28の構成・動作については、後で詳しく説明する。
定着部材としての定着ベルト22は、加熱ローラ23と定着補助ローラ21とに張架・支持されている。定着ベルト22は、基材上に発熱層、弾性層、離型層が形成された、多層構造の無端ベルトである。
定着ベルト22の基材は、耐熱樹脂材料からなり、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PES(ポリエーテルスルフォン)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、フッ素樹脂等を用いることができる。発熱層としては、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、コバルト、クロム、アルミニウム、金、白金、銀、スズ、パラジウム、これらのうち複数の金属からなる合金、等を用いることができる。弾性層としては、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等を用いることができる。離型層としては、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)等のフッ素樹脂、又はこれらの樹脂の混合物等を用いることができる。
誘導加熱部24は、コイル部25、コア26、コイルガイド27等で構成される。
ここで、コイル部25は、支持ローラ23に巻装された定着ベルト22の外周面を覆うように、細線を束ねたリッツ線を巻回して幅方向(図2の紙面垂直方向である。)に延設したものである。コイルガイド27は、耐熱性の高い樹脂材料等からなり、コイル部25を保持するとともに、誘導加熱部24のフレームとして機能する。コア26は、比透磁率が2500程度のフェライト等の強磁性体からなり、センターコア26aやサイドコア26bが設けられている。コア26は、幅方向に延設されたコイル部25に対向するように設置される。センターコア26aは、コイル部25の周方向のほぼ中央位置にある。コイル部25は、不図示の高周波電源部に接続されていて、高周波電源部から10k〜1MHzの交番電流が印加される。
加圧ローラ30は、アルミニウム、銅、ステンレス等からなる円筒部材上にフッ素ゴム、シリコーンゴム等の弾性層が形成されたものである。加圧ローラ30の弾性層は、肉厚が1〜5mmで、アスカー硬度が20〜50度となるように形成されている。加圧ローラ30は、定着ベルト22を介して定着補助ローラ21に当接している。そして、定着ベルト22と加圧ローラ30との当接部(定着ニップ部である。)に、記録媒体Pが搬送される。
定着ベルト22と加圧ローラ30との当接部の入口側には、記録媒体Pの搬送を案内するガイド板35が配設されている。
定着ベルト22と加圧ローラ30との当接部の出口側には、記録媒体Pの搬送を案内するとともに定着ベルト22に対する記録媒体Pの分離を促進する分離板36が配設されている。
定着ベルト22の外周面の一部には、オイル塗布ローラ34が当接している。オイル塗布ローラ34は、定着ベルト22上にシリコーンオイル等のオイルを供給する。これにより、定着ベルト22上におけるトナー離型性がさらに担保される。なお、オイル塗布ローラ34には、その表面上の汚れを除去するクリーニングローラ33が当接されている。
加熱ローラ23の外周面の一部には、サーモスタット37が当接されている。そして、加熱ローラ23上の表面温度が所定の温度を超えた場合には、サーモスタット37によって誘導加熱部24への通電が切断される。これにより、誘導加熱部24による加熱ローラ23の過熱が制限される。
なお、図示は省略するが、定着ベルト22の外周面にはサーミスタが当接されている。そして、サーミスタによって、定着ベルト22上の表面温度(定着温度)が検知されて、インバータ回路を備えた誘導加熱部24における出力が調整される。こうして、定着ベルト22上の定着温度が一定に保たれる。
このように構成された定着装置20は、次のように動作する。
定着補助ローラ21の回転駆動によって、定着ベルト22は図2中の矢印方向に周回するとともに、加熱ローラ23も反時計方向に回転して、加圧ローラ30も矢印方向に回転する。定着ベルト22は、誘導加熱部24との対向位置で加熱される。詳しくは、コイル部25に高周波の交番電流を流すことで、コア26と内部コア28との間に磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このとき、加熱ローラ23表面と定着ベルト22の発熱層とに渦電流が生じて、加熱ローラ23及び発熱層の電気抵抗によってジュール熱が発生する。こうして、定着ベルト22は、発熱した加熱ローラ23から受ける熱と、自身の発熱層の発熱と、によって加熱される。
その後、誘導加熱部24によって発熱した定着ベルト22表面は、加圧ローラ30との当接部に達する。そして、搬送される記録媒体P上のトナー像Tを加熱して溶融する。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、ガイド板35に案内されながら定着ベルト22と加圧ローラ30との間に送入される(矢印Yの搬送方向の移動である。)。そして、定着ベルト22から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ベルト22と加圧ローラ30との間から送出される。
図3〜図6にて、本実施の形態1において特徴的な、内部コア28の構成・動作について、詳しく説明する。
図3は、図2の定着装置20に設置された加熱ローラ23を誘導加熱部24側から幅方向にみた図であって、加熱ローラ23の内部を示す図である。図4は、加熱ローラ23内に設置された内部コア28を示す斜視図である。
図3及び図4を参照して、円筒状の加熱ローラ23の内には、内部コア28が回転自在に設置されている。
詳しくは、図4を参照して、コア部としての内部コア28は、円柱体の外周面の一部を欠切した柱状部材であって、その両端には軸部28bが挿設されている。すなわち、コア部28は、外周面が欠切されていない非欠切部28a1(幅方向中央部である。)と、外周面が欠切された欠切部28a2(幅方向両端部である。)と、を備えている。欠切部28a2は、円柱体の両端において円弧曲面を切り取るように形成されたものである。
図3を参照して、内部コア28の両端に設けられた軸部28bは、加熱ローラ23の両端面に設けられた軸受(不図示である。)を挿通して、定着装置20のフレームに回転自在に支持されている。一方の軸部28bは、不図示のステッピングモータに連結されている。このような構成によって、内部コア28を所望の角度回転させることができる。内部コア28の回転駆動系は、加熱ローラ23の回転駆動系とは独立した構成になっている。
このような構成により、内部コア28が回転することにより、コイル部25に対向する内部コア28の外周面の幅方向長さ(対向範囲)が漸増又は漸減することになる。
ここで、コイル部25に対向する対向範囲とは、特に、コイル部25の中央位置になるセンターコア26aに対向する内部コア28の外周面の幅方向長さである。
この内部コア28の回転にともない可変される対向範囲は、誘導加熱部24によって加熱される定着ベルト22の幅方向の加熱範囲を可変するためのものである。すなわち、誘導加熱部24のコイル部25(特に、センターコア26aの位置である。)に対向する内部コア28の外周面の幅方向長さに応じて、誘導加熱部24のコア26との間に形成される磁束の密度が増減する。対向する内部コア28の外周面の幅方向長さが大きいときには定着ベルト22の加熱範囲も大きくなって、幅方向長さが小さいときには定着ベルト22の加熱範囲も小さくなる。
図5(A)〜(C)は、加熱ローラ23に内設された内部コア28を回転させた状態を示す断面図(図3のAA断面、BB断面、CC断面の断面図である。)である。図5(A)〜(C)中の破線矢印は、センターコア26aの位置を示す。
図5(A)は、内部コア28の最長の対向範囲(図3の幅L1である。)をコイル部25に対向させた状態を示す。このとき、最長の外周面長さ(L1)に対応する定着ベルト22上が加熱されることになる。
図5(A)の状態は、幅L1の記録媒体Pを連続的に定着する場合に適している。具体的に、画像形成装置で扱う最大幅(例えば、297mm)の記録媒体Pを定着する場合には、内部コア28のコイル部25に対向する外周面長さを上述の状態に固定して、図2で説明した定着工程をおこなう。
図5(B)は、内部コア28の中間の対向範囲(図3の幅L1と幅L2とのほぼ中間である。)をコイル部25に対向させた状態を示す。このとき、中間の外周面長さに対応する定着ベルト22上が加熱されることになる。
図5(B)の状態は、中間幅の記録媒体Pを連続的に定着する場合に適している。具体的に、画像形成装置で扱う中間幅(例えば、210mm)の記録媒体Pを定着する場合には、内部コア28のコイル部25に対向する外周面長さを上述の状態に固定して、図2で説明した定着工程をおこなう。
図5(C)は、内部コア28の最短の対向範囲(図3の幅L2である。)をコイル部25に対向させた状態を示す。このとき、最短の外周面長さ(L2)に対応する定着ベルト22上が加熱されることになる。
図5(C)の状態は、幅L2の記録媒体Pを連続的に定着する場合に適している。具体的に、画像形成装置で扱う最小幅(例えば、148mm)の記録媒体Pを定着する場合には、内部コア28のコイル部25に対向する外周面長さを上述の状態に固定して、図2で説明した定着工程をおこなう。
なお、定着工程がおこなわれる前に、給紙部11、12、15から給紙される記録媒体Pのサイズ(幅方向の大きさ)に係わる情報(例えば、サイズ検知センサの検知情報である。)に基づいて、内部コア28を回転駆動するステッピングモータの回転角度を調整する工程がおこなわれる。
図6は、定着ベルト22上の幅方向の温度分布を示すグラフである。
図6において、横軸は定着ベルト22における幅方向の位置を示し、縦軸は定着ベルト22表面の温度(定着温度)を示す。ここで、横軸の幅方向位置の「0」は、定着ベルト22の幅方向中央位置を示す。実線R1は、内部コア28における対向範囲を最大として定着ベルト22の加熱範囲を最大とした場合(図5(A)の状態である。)の温度分布を示す。実線R2は、内部コア28における対向範囲を最小として定着ベルト22の加熱範囲を最小とした場合(図5(C)の状態である。)の温度分布を示す。
図6に示すように、加熱ローラ23内の内部コア28の外周面長さ(対向範囲)が、通紙される記録媒体Pの幅に応じて可変されることで、記録媒体Pの通紙幅を超えた範囲では、定着ベルト22の温度上昇が生じない。これにより、定着ベルト22の熱的破損が抑止される。このような効果は、図6への図示は省略するが、最大サイズL1と最小サイズL2との間のサイズの種々の記録媒体を通紙する場合にも得られるものである。
このように、内部コア28の外周面長さが可変されることで定着ベルト22の加熱範囲が変動するのは、コイル部25に対してほぼ平行に対向する内部コア28の外周面の大きさに応じて、コア26と内部コア28との間に形成される磁束の密度が変動するためである。すなわち、コイル部25に欠切部28a2が対向した状態では、その位置における磁束密度が低くなって、定着ベルト22の加熱効率が低くなる。
以上説明したように、本実施の形態1では、コイル部25に対向する対向範囲を可変できるように構成された内部コア28を加熱ローラ23内に設けて、その対向範囲を可変して定着ベルト22の幅方向の加熱範囲を調整している。これにより、幅の短い記録媒体P(中間サイズの記録媒体を含む。)を連続的に定着した場合であっても、定着ベルト22の幅方向両端における温度上昇を確実に抑止することができる。
特に、本実施の形態1では、磁束遮蔽部材等を用いることなく、内部コア28を欠切部28a2を有する柱状部材としてその周方向の姿勢を調整することで、定着ベルト22の加熱範囲を調整している。そのため、比較的構造が簡易であって低廉な定着装置になる。また、内部コア28を加熱ローラ23の内周面に近接することができるために、電磁誘導加熱によるエネルギーのロスが小さくなって、効率的な定着装置となる。さらに、上述の内部コア28の形状はコイル部25に対する対向範囲をアナログ的に漸増又は漸減できるために、種々のサイズの記録媒体Pに対して非通紙領域の温度上昇を抑止する定着装置となる。
なお、本実施の形態1では、加圧ローラ30が定着ベルト22を介して定着補助ローラ21に当接するように、定着装置20を構成した。これに対して、加熱ローラ23(又は定着補助ローラ21)から定着補助ローラ21(又は加熱ローラ23)に至る定着ベルト22表面に加圧ローラ30が当接するように、定着装置20を構成することもできる。このような定着装置に対しても、コイル部25に対する対向範囲を可変する内部コア28を設けることで、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
実施の形態2.
図7にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図7は、実施の形態2における定着装置を示す断面図である。本実施の形態2の定着装置は、定着部材として定着ローラ31を用いている点が、定着部材として定着ベルトを用いている前記実施の形態1のものとは相違する。
図7に示すように、実施の形態2の定着装置20は、主として、定着ローラ31(定着部材)、加圧ローラ30、誘導加熱部24等で構成される。
定着ローラ31は、発熱層31a、シリコーンゴム等からなる弾性層、フッ素化合物等からなる離型層、等で構成される。定着ローラ31の内部は、中空構造になっていて、内部コア28が回転自在に設置されている。定着ローラ31に内設された内部コア28は、前記実施の形態1のものと同様に、円柱体の外周面の一部を欠切してなる柱状部材である。
誘導加熱部24は、前記実施の形態1と同様に、コイル部25、コア26、コイルガイド27等からなる。そして、コイル部25に10k〜1MHzの交番電流が供給されることで、コア26と内部コア28との間に磁力線が形成されて、電磁誘導により定着ローラ31が加熱される。このようにして、加熱された定着ローラ31は、矢印方向から搬送される記録媒体P上のトナー像を加熱・溶融して記録媒体Pに定着する。
本実施の形態2においても、前記実施の形態1と同様に、通紙される記録媒体Pの幅方向の大きさに応じて、コイル部25に対向する内部コア28の外周面長さが可変される。これにより、定着ローラ31における幅方向の加熱範囲が、通紙される記録媒体Pの通紙領域にほぼ一致される。
以上説明したように、本実施の形態2においては、コイル部25に対向する対向範囲を可変できるように構成された内部コア28を定着ローラ31内に設けて、その対向範囲を可変して定着ローラ31の幅方向の加熱範囲を調整している。これにより、幅の短い記録媒体P(中間サイズの記録媒体を含む。)を連続的に定着した場合であっても、定着ローラ31の幅方向両端における温度上昇を確実に抑止することができる。
なお、本願において、定着装置20の「コア部」とは、電磁誘導加熱に寄与する対向する双方のコア部をいう。したがって、定着装置20のコア部は、誘導加熱部24のコア26と、加熱ローラ23に内設された内部コア28と、である。
上記各実施の形態では、コア部としての内部コア28を、対向範囲が可変できるように構成することで、定着部材の加熱範囲を調整した。これに対して、コア部としてのコア26について、コイル部25に対する対向範囲を可変できるように構成して、定着部材の加熱範囲を調整することもできる。
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、上記各実施の形態の中で示唆した以外にも、上記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。 図1の画像形成装置に設置される定着装置を示す断面図である。 図2の定着装置に設置される加熱ローラの内部を示す図である。 図3の加熱ローラに内設された内部コアを示す斜視図である。 図3の加熱ローラに内設された内部コアを回転させた状態を示す断面図である。 図2の定着装置における、定着ベルト上の幅方向の温度分布を示すグラフである。 この発明の実施の形態2における定着装置を示す断面図である。
符号の説明
1 画像形成装置本体(装置本体)、 3 露光部、 4 作像部、
7 転写部、 10 排紙トレイ、 11、12 給紙部、
20 定着装置、 21 定着補助ローラ、 22 定着ベルト(定着部材)、
23 加熱ローラ、 24 誘導加熱部、 25 コイル部、
26 コア、 26a センターコア、 26b サイドコア、
28 内部コア(コア部)、 28a1 非欠切部、 28a2 欠切部、
28b 軸部、 30 加圧ローラ、
31 定着ローラ(定着部材)、 P 記録媒体。

Claims (6)

  1. トナー像を加熱して当該トナー像を記録媒体に定着させるとともに、加熱ローラと定着補助ローラとに張架された定着ベルトと、
    前記加熱ローラに前記定着ベルトを介して対向するように幅方向に延設されるとともに、周方向の中央位置にセンターコアを具備したコイル部と、
    前記コイル部に前記定着ベルトを介して対向する位置であって前記加熱ローラの内部に配設されるとともに、回転自在に構成されるとともに回転にともない前記コイル部の前記センターコアに対向する外周面の幅方向の長さが漸増又は漸減するように円柱体の外周面の一部が欠切された柱状の内部コアと、
    を備え、
    前記内部コアの回転にともない前記コイル部の前記センターコアに対向する前記内部コアの外周面の幅方向の長さを漸増又は漸減させて、前記コイル部による電磁誘導によって加熱される前記定着ベルトの幅方向の加熱範囲を調整することを特徴とする定着装置。
  2. 前記定着補助ローラは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して対向する位置に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. トナー像を加熱して当該トナー像を記録媒体に定着させるとともに、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに当接する定着ローラと、
    前記定着ローラの外周面に対向するように幅方向に延設されるとともに、周方向の中央位置にセンターコアを具備したコイル部と、
    前記コイル部に前記定着ローラを介して対向する位置であって前記定着ローラの内部に配設されるとともに、回転自在に構成されるとともに回転にともない前記コイル部の前記センターコアに対向する外周面の幅方向の長さが漸増又は漸減するように円柱体の外周面の一部が欠切された柱状の内部コアと、
    を備え、
    前記内部コアの回転にともない前記コイル部の前記センターコアに対向する前記内部コアの外周面の幅方向の長さを漸増又は漸減させて、前記コイル部による電磁誘導によって加熱される前記定着ローラの幅方向の加熱範囲を調整することを特徴とする定着装置。
  4. 前記記録媒体の幅方向の大きさに応じて前記内部コアの前記幅方向の長さを漸増又は漸減させて前記加熱範囲を調整することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
  5. 前記内部コアは、フェライトからなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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