JP4522687B2 - 超音波撮像方法及び超音波撮像装置 - Google Patents
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Description
図14の(a)は、従来の方式による超音波ビームの送信状態の一例を説明するための模式図であり、図14の(b)は、同様に、超音波ビームの受信状態の一例を説明するための模式図である。この方式においては、送信部に接続された複数のパルサから供給される駆動信号に基づいて、超音波トランスデューサアレイ100に含まれている複数の超音波トランスデューサ101のそれぞれから、超音波パルスが間欠的に送信される。この超音波パルスは、図14の(a)に示すように、超音波トランスデューサアレイ100から被検体に向けて送信され、被検体内を伝播して超音波ビーム102を形成する。超音波ビーム102は、送信位置から近距離の領域においては進行するほど次第に狭くなっていき、焦点Fで最も狭くなり、その後は次第に広がっていく。この超音波ビームが被検体内に存在する反射体によって反射されて超音波エコーが発生し、図14の(b)に示すように、この超音波エコーが超音波トランスデューサアレイ100によって受信される。超音波トランスデューサアレイ100に含まれる複数の超音波トランスデューサ101から出力される検出信号は、受信部に接続されている複数の位相整合演算手段によって所定の遅延が与えられた後に加算され、受信した超音波ビームごとの検出信号が得られる。この例では、3つの受信超音波ビーム103、104及び105が示されている。
図15は、従来の方式による超音波ビームの送受信状態の他の例を説明するための模式図である。この方式においては、超音波トランスデューサアレイ100に複数種類の駆動信号が供給される。これより、複数組のパルサから、超音波トランスデューサアレイ100に含まれる複数の超音波トランスデューサ101に、同時に複数種類の駆動信号が供給される。例えば、図15に示すように、1組のエレメントにA系パルスとB系パルスの2組のタイミングパルスを印加して、超音波ビームAと超音波ビームBの両方を発生する。なお、A系パルスとB系パルスとが重なる場合には、共通パルスとなる。これらの超音波ビームA、Bは、被検体に向けて同時に複数の方向(例えば、2方向)に送信される。
神田浩、他「デジタル超音波技術」,臨床放射線 臨時増刊号,金原出版株式会社,1998年,第43巻,第11号,pp.1248−1252 R.E.デビッドセン、他「リアルタイムボルメトリックイメージングに用いられる2次元ランダムアレイ(TWO-DIMENSIONAL RANDOM ARRAYS FOR REAL TIME VOLUMETRIC IMAGING)」,ウルトラソニック イメージング(ULTRASONIC IMAGING)16,1994年,pp.143−163
図1は、本発明の一実施形態に係る超音波撮像装置の構成を示すブロック図である。この超音波撮像装置は、例えば、人体等の診察用の超音波診断装置や工業用の探傷装置として用いられる。
各パルサ12は、後述するシステム制御部20に内蔵されている発火タイミングコントローラ25の出力信号に基づいて励振して、超音波トランスデューサアレイ10の対応する超音波トランスデューサ11に駆動信号を出力する。各超音波トランスデューサ11は、パルサ12から入力された駆動信号に基づいて超音波パルスを被検体に送信し、被検体から反射された超音波パルスを受信して検出信号を出力する。これらのパルサは、高い繰り返し周期(例えば、3MHz〜10MHz)で連続的に駆動信号を出力できる高速パルサである。
位相整合演算部22a〜22dは、メモリ21に記憶されている検出データの位相を整合するために演算処理を行う。位相整合演算部22a〜22dは、超音波トランスデューサアレイ10から所定の期間内に(同時又はほぼ同時に)並列に送信される超音波ビーム(送信ビーム)の本数に応じて設けられている。ここで、所定の期間とは、具体的には、複数の超音波トランスデューサ11から送信される超音波によって送信ビームを形成するための送信フォーカス処理において用いられるディレイ時間の数倍程度の期間をいう。
位相整合演算部22b〜22dも、位相整合演算部22aと同様に位相整合を行う。
図2に示すように、被検体内の撮像領域は、1つの走査方向について角度θ、即ち、θ×θで見込まれる領域として規定される。本実施形態においては、θ=45°〜90°としている。また、図3は、撮像領域に向けて送信及び受信された超音波ビームの焦点における断面(焦点面)FFを示している。
例えば、θ=60°の場合に、緻密な超音波画像を得るために必要とされる1つの走査方向におけるサンプリングの角度間隔Δθを0.7°とすると、撮像領域全体を走査するために送受信される超音波ビームの本数は、次式により求められる。
(ビームの全本数)=(θ/Δθ)×(θ/Δθ)
=(60/0.7)×(60/0.7)≒7346本 …(1)
0.3/1540=1.948×10−4秒 …(2)
T=(33×10−3)/(1.948×10−4)≒169回 …(3)
7346/169≒43 …(4)
即ち、被検体内の撮像領域に向けて1回につき43本の超音波ビームを並行して送受信し、これを169回繰り返すことにより、1ボリュームあたりのデータ取得時間内に、撮像領域全体に関する画像データを収集できることになる。
ISL(ΔθTB)=0.2/(ΔθTB+1)+0.8/(ΔθTB 2+1)
…(5)
θ/nt≧20° …(6)
式(6)を変形すると、次式が得られる。
nt≦θ/20°=0.05・θ …(7)
θ=45°の場合、nt≦2.25 …(8a)
θ=60°の場合、nt≦3.00 …(8b)
θ=85°の場合、nt≦4.25 …(8c)
θ=90°の場合、nt≦4.50 …(8d)
(処理時間)=(クロック数)×(ステップ数)×(データ数)…(9)
ここで、ステップ数は、一般的には、読出し、加算、書込みの3ステップである。また、データ数は、(素子数)×(検出タイミング数)で表される。この検出タイミング数とは、単位時間に超音波エコーの検出信号を取り込む回数のことであり、距離分解能を意味する。例えば、検出タイミング数を2倍にすると、検出信号を取り込む時間間隔は1/2になる。即ち、被検体の深さ方向に関する画像データを取得する距離間隔を1/2にすることになり、それは距離分解能を2倍に向上させることを意味する。
(1×10−8)×3×(3000×512)=0.046秒
一方、それぞれの素子において受信された信号を100MHzのクロック信号でパラレル処理する場合には、処理時間は次のようになる。
(1×10−8)×3×512=15.4×10−6秒 …(10)
(1.948×10−4)/(15.4×10−6)≒13回 …(11)
即ち、受信された超音波エコーの受信焦点を形成するための演算を、13回行うことができる。
ここで、図7を参照すると、図7は、1本の送信ビームTBに対応する超音波エコーを複数の受信ビームRBとして分割受信する場合に、焦点面FFにおける複数の受信焦点の配置を示している。1本の送信ビームに対して、1つの走査方向における受信ビームの本数をnrとし、全受信ビームの本数をnr2で表す。図7の場合には、nr=4であり、nr2=16である。図7においては、受信焦点が正方格子状に配列されているが、図8及び図9に示すように、受信焦点が正方格子状に配列されていなくても良い。図8の場合には、nr2=7であり、図9の場合には、nr2=14である。
送信ビーム径φTB≒受信ビーム径φRB
+受信ビーム間隔L×(1方向における受信ビーム数nr−1)…(12)
ここで、本実施形態においては、受信ビーム間のクロストークを軽減するために、受信ビーム径φRBを、(音圧のピークの半値)−6dBにおける値に設定している。また、受信ビーム間隔Lとは、隣接する2つの受信ビームの中心間の距離のことである。例えば、径3.5°の受信ビームが、ビーム間隔0.94°ごとに、4×4に配列されているものとして分割受信する場合に、送信ビーム径は、次のようになる。
φTB=3.5+0.94×(4−1)≒6.3°
φTB ∝ A/φS …(13)
これより、nr=4の場合には、次の関係が導かれる。ここで、φS(nr)は、送信ビーム径φTB(nr)を送信する際に使用される超音波トランスデューサアレイの径を示しており、φS(4)は、送信ビーム径φTB(4)を送信する際に使用される超音波トランスデューサアレイの径を示している。
φTB(nr)/φTB(4)=φS(4)/φS(nr)
従って、送信ビームのエネルギーITB(nr)は、次のように求められる。ここで、I0は定数である。
ITB(nr)=I0×φS(nr)/φS(4)
=I0×φTB(4)/φTB(nr)
σTB(nr)=ITB(nr)/φTB(nr) …(14)
図10は、式(14)に基づいて作成された受信ビームの本数と送信ビームのエネルギー密度との関係を示している。図10に示すように、受信ビームの本数を増やすほど、送信ビームのエネルギー密度は低下している。即ち、受信ビームの本数に合わせて送信ビームの径を大きくするためには、超音波ビームを形成する超音波トランスデューサアレイの開口を小さくする必要があるので、使用される超音波トランスデューサの数が減る。従って、送信ビーム全体の出力が低下して、送信ビームのエネルギー密度が低くなるので、分割受信されたそれぞれの受信ビームのレベルも落ちてしまう。以上より、1本の送信ビームに対応する超音波エコーを分割受信する場合には、受信ビームの本数を16本以下、即ち、nr=2〜4とすることが望ましい。
SLN(θ,nr)={trunc(nt(θ))・nr}2 …(15)
又は、
SLN(θ,nr)={trunc(nt(θ))2}・nr2 …(16)
ここで、trunc(x)は、xの小数点以下を切り捨てて整数化することを意味する。また、nt(θ)は、式(7)によって求められる値である。
SLN(θ,nr)≧(θ/Δθ)2/169 …(17)
まず、図1に示す超音波トランスデューサアレイ10から異なる方向に向けて複数の超音波ビームを所定の期間内に送信する。即ち、図1に示すシステム制御部20の発火タイミングコントローラ25の制御に基づいて、複数のパルサ12から超音波トランスデューサアレイ10に含まれる複数の超音波トランスデューサ11に、高い繰り返し周期(例えば、3MHz〜10MHz)で連続的に駆動信号が出力される。その際に、N2個の超音波トランスデューサ11の全てから超音波パルスを送信してもよいし、これらN2個のうちのいくつかに限定して超音波パルスを送信してもよい。また、N2個の超音波トランスデューサを4領域に分割し、それぞれの領域に含まれる複数の超音波トランスデューサから送信される超音波パルスによって、それぞれの領域から1本ずつ超音波ビームを形成するようにしても良い。いずれにしても、超音波トランスデューサアレイから被検体内の測定対象に向けて、4本のビームが送信される。
さらに、隣接する送信ビームとの間隔を保ちながら4本の送信ビーム用いて各領域内を走査し、マルチビーム送信、及び、超音波エコーの分割受信を繰り返す。
11、101 超音波トランスデューサ
12 パルサ
14 レシーバ
15 プリアンプ
16 TGC増幅器
17 A/D変換器
20 システム制御部
21 メモリ
22a〜22d 位相整合演算部
23 表示画像演算部
25 発火タイミングコントローラ
30 モニタ
102、TB1〜TB4 送信ビーム(超音波ビーム)
103〜105、RB1〜RB16 受信ビーム
FF 焦点面
Claims (8)
- 被検体内の測定対象に向けて超音波ビームを送信し、該測定対象から反射される超音波エコーを受信して処理することにより、該測定対象に関する画像情報を得る超音波撮像装置において用いられる超音波撮像方法であって、
制御手段による制御の下で、送信側信号処理手段が複数の超音波トランスデューサに複数の駆動信号をそれぞれ供給することにより、互いに直交する2つの走査方向の各々について角度θで表される撮像領域に向けてnt 2 本の送信ビームを並行して送信するステップ(a)と、
前記複数の超音波トランスデューサからそれぞれ出力され、受信側信号処理手段によって処理された複数の検出信号に基づいて、複数の位相整合手段によって、各々の送信ビームに対してnr 2 本の受信ビームを形成するように位相整合を行うステップ(b)と、
を具備し、前記制御手段によって、nt及びnrが、条件式(nt×nr)2≧(θ/Δθ)2/Tを満たすように設定され、ここで、ntは、送信ビームの角度間隔(θ/nt)≧20°を満たす整数であり、Δθは、各々の走査方向における受信ビームの角度間隔を表し、Tは、前記撮像領域について体積データを1回取得する時間内に超音波ビームを往復させる回数を表す、超音波撮像方法。 - ステップ(b)が、各々の送信ビームに対して16本以下の受信ビームを形成するように複数の検出信号を処理することを含む、請求項1記載の超音波撮像方法。
- 互いに直交する2つの走査方向の各々における撮像領域の角度が60°であり、
ステップ(a)が、4つの方向に向けて4つの送信ビームを並行して送信することを含む、
請求項1記載の超音波撮像方法。 - θ=60°、nt=2、nr=4である、請求項1記載の超音波撮像方法。
- 被検体内の測定対象に向けて超音波ビームを送信し、該測定対象から反射される超音波エコーを受信して処理することにより、該測定対象に関する画像情報を得る超音波撮像装置であって、
駆動信号に従って超音波を送信すると共に、超音波を受信して検出信号を出力する複数の超音波トランスデューサを含む超音波トランスデューサアレイと、
前記複数の超音波トランスデューサに複数の駆動信号をそれぞれ供給する送信側信号処理手段と、
互いに直交する2つの走査方向の各々について角度θで表される撮像領域に向けてnt 2 本の送信ビームを並行して送信するように前記送信側信号処理手段を制御する制御手段と、
前記複数の超音波トランスデューサからそれぞれ出力される複数の検出信号に対して所定の信号処理を施す受信側信号処理手段と、
前記受信側信号処理手段によって処理された検出信号に基づいて、各々の送信ビームに対してnr 2 本の受信ビームを形成するように位相整合を行う複数の位相整合手段と、
を具備し、前記制御手段が、条件式(nt×nr)2≧(θ/Δθ)2/Tを満たすようにnt及びnrを設定し、ここで、ntは、送信ビームの角度間隔(θ/nt)≧20°を満たす整数であり、Δθは、各々の走査方向における受信ビームの角度間隔を表し、Tは、前記撮像領域について体積データを1回取得する時間内に超音波ビームを往復させる回数を表す、超音波撮像装置。 - 前記位相整合手段が、各々の送信ビームに対して16本以下の受信ビームを形成するように位相整合を行う、請求項5記載の超音波撮像装置。
- 互いに直交する2つの走査方向の各々における撮像領域の角度が60°であり、
前記制御手段が、4つの方向に向けて4つの送信ビームを並行して送信するように前記送信側信号処理手段を制御する、
請求項5記載の超音波撮像装置。 - θ=60°、nt=2、nr=4である、請求項5記載の超音波撮像装置。
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