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JP4506073B2 - 放電灯点灯装置及び照明装置 - Google Patents

放電灯点灯装置及び照明装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電灯点灯装置に関するものであり、特に複数種類の定格電力の高圧放電灯を点灯させることが可能であり、しかも、各高圧放電灯の定格電力で高圧放電灯を点灯させることが可能な放電灯点灯装置及び照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来例として、たとえば、特開平1−221893号公報のものが挙げられる。この放電灯点灯装置は、対象放電灯が放電灯に流れる電流(以下、放電灯電流という。)が略一定の複数の蛍光灯群であり、この蛍光灯群を点灯させるための1の放電灯点灯装置が、各蛍光灯に流れる電流を一定にするような定電流特性を備えているものである。
【0003】
この従来例の場合、全ての蛍光灯を定格電力で点灯させるためには、各蛍光灯に流れる電流が全て略一定であることが前提となる。
【0004】
また、他の従来例として、たとえば、特公平7−66864号公報のものが挙げられる。この放電灯点灯装置は、対象放電灯が定格電力の異なる複数の蛍光灯であり、各蛍光灯の始動時の始動電圧の違いを判別し、判別した各蛍光灯の種類に応じて、各蛍光灯を定各点灯させている。
【0005】
【特許文献1】
特開平1−221893号公報
【0006】
【特許文献2】
特公平7−66864号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平1−221893号公報のものは、各蛍光灯に流れる電流が全て略一定であることが前提であるが、対象放電灯が高圧放電灯である放電灯点灯装置の場合、高圧放電灯の定格電力点灯時に、高圧放電灯に流れる電流(以下、高圧放電灯電流という。)は大きく異なる場合が多い。
【0008】
ここで、Philips社製の高圧放電灯であるCDMシリーズを例に採る。この高圧放電灯の高圧放電灯電流はそれぞれ、CDM−T35W(定格電力35W)で0.5A、CDM−T70W(定格電力70W)で1Aとなっている。このように、各高圧放電灯電流が大きく異なっている場合には、特開平1−221893号公報に開示されている放電灯点灯装置では、対応できないことになる。
【0009】
また、特公平7−66864号公報のものは、各蛍光灯の始動時の始動電圧がそれぞれ異なることが前提であるが、高圧放電灯の場合、複数種類の高圧放電灯の定格電力がそれぞれ異なっていても、始動時の始動電圧は、ほとんど変わらない場合が多い。したがって、始動電圧の違いを判別して、高圧放電灯の種類を特定することは難しい。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなしたものであり、その目的とするところは、1の放電灯点灯装置で、定格電力の異なる複数の高圧放電灯を判別し、それぞれの高圧放電灯を定格電力で点灯させることができる放電灯点灯装置及び照明装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の放電灯点灯装置は、直流電源と、直流電源からの電力を変換し高圧放電灯に電力を供給する電力変換回路と、電力変換回路の供給電力を制御する点灯制御回路と、を備えた放電灯点灯装置において、放電灯点灯装置は複数種類の高圧放電灯を対象としており、直流電源投入後安定点灯に移行するまでの高圧放電灯の過渡特性が所定の閾値を超えたことを検出する検出手段と、閾値を超えるまでの時間を積算するタイマー手段と、高圧放電灯の始動特性が新品高圧放電灯の初始動時から変化した場合にタイマー手段の積算時間を補正する補正手段と、補正手段により補正されたタイマー手段の積算時間の長短により高圧放電灯の種類を判別するとともに点灯制御回路に制御信号を送信し該高圧放電灯を定格点灯させる判別手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
高圧放電灯の放電開始直後は、管内圧力が低く放電エネルギーによる金属蒸気圧が低いので、発光光束が少ない。そして、高圧放電灯は蛍光灯等に比べ安定点灯に移行するまでに時間がかかる。この過渡時において、過渡特性が所定の閾値に達するまでの時間は、高圧放電灯の種類により異なっており、この時間の長短により高圧放電灯の種類を判別し、点灯制御回路に制御信号を送信することにより該高圧放電灯を定格点灯させる。
【0017】
請求項記載の放電灯点灯装置は、請求項記載の放電灯点灯装置において、高圧放電灯の過渡特性とは、直流電源投入後高圧放電灯が安定点灯に移行するまでの過渡時の電気特性、光学特性又は温度特性であることを特徴とするものである。
【0020】
請求項記載の放電灯点灯装置は、請求項記載の放電灯点灯装置において、電気特性とは、高圧放電灯電圧、高圧放電灯電流又は高圧放電灯電力であることを特徴とするものである。
【0021】
請求項記載の放電灯点灯装置は、請求項記載の放電灯点灯装置において、光学特性とは、高圧放電灯の照度又は色温度であることを特徴とするものである。
【0022】
請求項記載の放電灯点灯装置は、請求項記載の放電灯点灯装置において、温度特性とは、高圧放電灯の最冷点温度、管壁温度又は口金温度であることを特徴とするものである。
【0035】
請求項記載の放電灯点灯装置は、請求項1記載の放電灯点灯装置において、判別手段からの判別信号を受けて点灯制御回路を切り替える切替手段を設けたことを特徴とするものである。
【0036】
請求項記載の放電灯点灯装置は、請求項1記載の放電灯点灯装置において、判別手段が高圧放電灯の種類を判別するまで、高圧放電灯に予め設定した電力のデータを記憶しておく記憶手段を設けたことを特徴とするものである。
【0037】
請求項記載の放電灯点灯装置は、請求項記載の放電灯点灯装置において、予め設定した電力のデータは、複数種類の高圧放電灯のうち、最大又は最小の定格電力のデータであることを特徴とするものである。
【0038】
このような放電灯点灯装置においては、予め設定した電力が定格電力が最大のものであるときに最大定格電力以外の高圧放電灯が接続されると、高圧放電灯に過剰の電力を供給し高圧放電灯が安定点灯に移行するまでの時間が短くなる。また、予め設定した電力が定格電力が最小のものであるときに最小定格電力以外の高圧放電灯が接続されると、高圧放電灯に過剰の電力が供給されず、高圧放電灯の電極の劣化を防止する。
【0039】
請求項記載の放電灯点灯装置は、請求項記載の放電灯点灯装置において、予め設定した電力のデータを切り替える第1の切替手段を設けたことを特徴とするものである。
【0040】
このような放電灯点灯装置においては、第1の切替手段により状況に応じて適宜、高圧放電灯に過剰の電力を供給し高圧放電灯が安定点灯に移行するまでの時間を短くしたり、高圧放電灯に過剰の電力を供給せずに高圧放電灯の電極の劣化を防止する。
【0041】
請求項10記載の放電灯点灯装置は、請求項記載の放電灯点灯装置において、高圧放電灯の始動毎に予め設定した電力のデータを判別された高圧放電灯の定格電力のデータに更新することを特徴とするものである。
【0042】
このような放電灯点灯装置においては、1回目の始動により高圧放電灯の種類を判別すると、2回目の始動以降に1回目の始動の場合と同一の高圧放電灯を点灯させるときには、該高圧放電灯に供給される電力には該高圧放電灯の定格電力が供給される。
【0043】
請求項11記載の放電灯点灯装置は、請求項記載の放電灯点灯装置において、予め設定した電力のデータと、高圧放電灯の再始動時に種類を判別された高圧放電灯の定格電力のデータと、を比較する手段を設け、両者のデータが異なる場合には高圧放電灯を消灯することを特徴とするものである。
【0044】
このような放電灯点灯装置においては、使用者が高圧放電灯を取り替える場合において、取り替え前に装着されていた高圧放電灯と異なるものを装着したときには高圧放電灯が消灯する。
【0045】
請求項12記載の放電灯点灯装置は、請求項1記載の放電灯点灯装置において、複数種類の高圧放電灯の最大定格電力と最小定格電力との比が、(最大定格電力)/(最小定格電力)<2であることを特徴とするものである。
【0046】
高圧放電灯の種類によっては、高圧放電灯電圧は等しく定格電力が異なるシリーズがある。このような高圧放電灯では、高圧放電灯電力は高圧放電灯電流に比例することになる。そして、請求項1記載の放電灯点灯装置において、対象高圧放電灯のうち、最小定格電力のものが放電灯点灯装置に接続され、対象高圧放電灯のうちの最大定格電力の高圧放電灯電流を与える場合に、最小定格電力のものにその定格電流の2倍以上の電流を与えると、該高圧放電灯の電極寿命を短くしてしまう場合がある。そこで、上記のように最小定格電力の高圧放電灯に定格電流の2倍以上の電流が流れないようにしておく。
【0047】
請求項13記載の放電灯点灯装置は、請求項記載の放電灯点灯装置において、高圧放電灯の寿命末期を検出する寿命末期検出手段を設け、寿命末期検出手段が高圧放電灯の寿命末期を検出したときに、切替手段が寿命末期の該高圧放電灯の定格電力よりも小さい定格電力の高圧放電灯の電力で、該高圧放電灯が点灯するように点灯制御回路を切り替えることを特徴とするものである。
【0048】
このような放電灯点灯装置においては、高圧放電灯が寿命末期になった場合に、高圧放電灯に供給する電力を抑える。
【0049】
請求項14記載の照明装置は、請求項1ないし13のいずれかに記載の放電灯点灯装置を備え、高圧放電灯を点灯させることを特徴とするものである。
【0050】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
以下、本発明の第1の実施の形態を図1ないし図5を参照して説明する。図1は本実施の形態のブロック図を示しており、図2は本実施の形態の回路図を示している。また、図3は本実施の形態の要部の回路図を示しており、図4は異なる高圧放電灯の過渡特性を検出する検出閾値を示している。さらに、図5は異なる定格電力の高圧放電灯及び照明装置を示している。
【0051】
つぎに、各部の構成を詳述する。
【0052】
直流電源1は、交流電源ACとダイオードブリッジDBとを備えている。
【0053】
交流電源ACは商用の交流電源であり、電圧は、たとえば、100V、200V又は240Vである。
【0054】
ダイオードブリッジDBは、交流電源ACからの交流電圧を脈流状の直流電圧に整流し出力するものである。ここで、交流電源ACの電圧が100Vの場合、ダイオードブリッジの代わりに、たとえば、倍電圧整流回路を用いてもよい。倍電圧整流回路を用いると、交流電源の電圧が実質的に200Vと同等とみなせ、倍電圧整流回路以後に接続されている回路に流れる電流が、ダイオードブリッジを用いた場合と比べ約半分となるので、放電灯点灯装置の効率を上げることができる。
【0055】
また、ダイオードブリッジDBの前段にコンデンサ及びインダクタ等から構成される入力フィルタ回路(図示しない)を挿入してもよい。このような入力フィルタ回路をダイオードブリッジDBの前段に挿入しておくと、交流電源ACからの雑音を後述する電力変換回路2に漏れるのを防止したり、あるいは逆に、電力変換回路2からの雑音が電源側に漏れるのを防止することができる。
【0056】
電力変換回路2は、昇圧チョッパ回路2a1と降圧チョッパ回路2a2とフルブリッジインバータ回路2bとを備えている。
【0057】
昇圧チョッパ回路2a1は、力率改善用であってダイオードブリッジDBからの脈流状の直流電圧を所望の直流電圧に変換し出力するものであり、スイッチング素子Q1、ダイオードD1、インダクタL1及びコンデンサC1から構成されている。そして、スイッチング素子Q1を、たとえば、昇圧チョッパ回路2a1の制御回路IC2a1であるモトローラ社製の集積回路MC34261の1番ピンをスイッチング素子のゲートに接続し制御する。このMC34261の1番ピンは、スイッチング素子Q1の駆動周波数を決定するピンである。
【0058】
ここで昇圧チョッパ回路2a1は、その他、降圧チョッパ、昇降圧チョッパ等であっても構わない。要は、ある直流電圧を別の直流電圧に変換するものであれば、どのような回路構成でも構わない。
【0059】
降圧チョッパ回路2a2は、後述する高圧放電灯3への供給電力を制御するものであり、スイッチング素子Q2、ダイオードD2、インダクタL2及びコンデンサC2から構成されている。そして、スイッチング素子Q2を、たとえば、降圧チョッパ回路2a2の制御回路IC2a2である日本電気製の集積回路μPC1094で制御する。
【0060】
ここで、降圧チョッパ回路2a2は、その他、昇圧チョッパ、昇降圧チョッパ回路等であっても構わない。昇圧チョッパ回路2a1と同様に、要は、ある直流電圧を別の直流電圧に変換するものであれば、どのような回路構成でも構わない。
【0061】
フルブリッジインバータ回路2bは、降圧チョッパ回路2a2からの直流電圧をスイッチング素子Q3ないしQ6のオン/オフ動作により矩形波電圧に変換するものであり、スイッチング素子Q3ないしQ6は、たとえば、電界効果トランジスタから構成されている。本実施の形態ではフルブリッジ型のインバータ回路を採用したが、インバータ回路はその他ハーフブリッジ型、1石型、あるいは、プッシュプル型であってもよい。要は、直流電圧を交流の矩形波電圧に変換するものであれば、どのような回路構成でも構わない。そして、スイッチング素子Q3ないしQ6のゲートa、b、e及びdに、たとえば、フルブリッジインバータ回路2bの制御回路IC2bである三菱電機製の集積回路M63991FPを接続し制御する。
【0062】
イグナイタ回路2cは高圧放電灯3に数kVピークのパルス電圧を与え始動させるものであり、コンデンサやパルストランス等から構成されている。
【0063】
高圧放電灯3は、セラミック又はガラス容器内に不活性ガス(たとえば、アルゴン、クリプトン)や水銀(その他、ナトリウム、カドミウム)蒸気等の放電ガスが封印されており、励起された封入金属に電子が衝突することにより可視光を発生するものである。高圧放電灯3として本実施の形態では、図5(a)、(b)及び(c)に示すような外形寸法が略同一で、発光管内のアーク間距離が5mm、7mm、9mmとそれぞれ異なるメタルハライドランプを考えている。このメタルハライドランプの電気特性は、アーク間距離が5mmのもので、ランプ電力35W、ランプ電圧90V、ランプ電流0.5Aであり、アーク間距離が7mmのもので、ランプ電力70W、ランプ電圧90V、ランプ電流1Aであり、アーク間距離が9mmのもので、ランプ電力150W、ランプ電圧95V、ランプ電流1.8Aである。
【0064】
なお、本実施の形態では、メタルハライドランプを考えたが、高圧放電灯3は高圧ナトリウム灯等のどのようなHIDランプでもよい。
【0065】
そして、図5(d)に示すように、高圧放電灯3の周囲を囲って配光制御を行う一面に開口部18’をもった反射鏡18と、高圧放電灯3装着用のソケット19と電気的に接続されて高圧放電灯3の点灯制御を行う放電灯点灯装置から照明装置が構成されている。もちろん、照明装置はこのような形状のものに限られない。
【0066】
点灯制御回路4は、図2(b)に示すようにコンパレータCOMP1及びコンパレータCOMP2等から構成されており、後述するIla検出回路5aからの信号とコンパレータCOMP1等から構成される発振回路の基準出力信号とを比較し、制御回路IC2a2を介してスイッチング素子Q2を制御する。
【0067】
第1の検出手段5は、図2(a)に示すようにランプ電流を検出するIla検出回路5aとランプ電圧を検出するVla検出回路5bとから構成されている。
【0068】
Vla検出回路5bは、増幅器OPAMP1等から構成されており、図3(a)に示すようにランプ電圧Vlaに比例する抵抗R1と抵抗R2との分圧電圧が抵抗を介して増幅器OPAMP1の反転入力端子に入力されている。そして、ランプ電圧に応じた電圧値としてのランプ電流の目標値電圧Viを生成する。
【0069】
Ila検出回路5aは、増幅器OPAMP2等から構成されており、目標値電圧Viと抵抗R3に流れるランプ電流との誤差に基づく電圧を増幅し、コンパレータCOMP2の非反転入力端子に入力され、コンパレータCOMP2の反転入力端子に入力される基準電圧と比較しスイッチング素子Q2を制御する。
【0070】
タイマー手段6は、図3(a)に示すようにコンパレータCOMP3、ツェナ−ダイオードZD、コンデンサC0及び抵抗R5、R6から構成されている。そして、抵抗R5及び抵抗R6の一端は基準電圧Vccに接続されている。もちろん、タイマー手段6は本実施の形態で示したようなものではなく、たとえば、シグネティクス社製の8ピンタイプのICであるNE555を使用してもよい。このNE555の動作は周知なので詳しい動作説明は省略するが、タイマー時間は、6番ピン(図示しない)のスレッシュホールド電圧がタイマー回路19の電源電圧である8番ピン(図示しない)の電圧の2/3を超えると終了する。
【0071】
第1の判別手段7は、図3(a)に示すようにラッチ回路RS、コンパレータCOMP4、スイッチSW、ダイオードD0、基準電圧Vc及び抵抗R3、R4、Rw70、Rw150とから構成されている。
【0072】
つぎに、本実施の形態の動作を図2ないし図4及び図8を参照して動作を説明する。ここで、図3(b)―(1)は、放電灯点灯装置が70Wを出力するときに定格電力が70WのHIDランプ及び150WのHIDランプをそれぞれ接続したときのランプ電圧Vlaの変化を示しており、図3(b)―(2)は、放電灯点灯装置に150WのHIDランプが接続されたときのコンパレータCOMP3、コンパレータCOMP4及びラッチ回路RSのQ出力を示しており、さらに図3(b)―(3)は、放電灯点灯装置に70WのHIDランプが接続されたときのコンパレータCOMP3、コンパレータCOMP4及びラッチ回路RSのQ出力を示している。
【0073】
いま、放電灯点灯装置に定格電力が70WのHIDランプが接続されている場合を考える。また、図8に示すt=0とt=t1との間にコンデンサC0の充電電圧がコンパレータCOMP3の閾値電圧を超え、コンパレータCOMP3はオンするものとする。
【0074】
交流電源ACが投入されると、昇圧チョッパ回路2a1、降圧チョッパ回路2a2及びフルブリッジインバータ回路2bに電力が供給され、スイッチング素子Q3ないしQ6のオン/オフ動作を開始する。
【0075】
すると、HIDランプに電力が供給され、ランプ電圧は図8(A)に示すように上昇を開始する。また、交流電源ACの投入と同時にコンデンサC0の充電が開始される、そして図8に示すt=0とt=t1との間の時間にコンパレータCOMP3がオンする。
【0076】
つぎに、t=t1にてランプ電圧がVcに達すると、コンパレータCOMP4の非反転入力が反転入力Vcよりも大きくなり、コンパレータCOMP4がオンする。すると、ラッチ回路RSのセット入力Sにハイ信号が入力され、ラッチ回路RSの出力Qがハイ信号を出力する。ここで、コンパレータCOMP3は既にオンしているので、コンパレータCOMP4は抵抗R4を介してスイッチSWをオンさせる。すると、Ila検出回路5aに入力される電流は抵抗R3//(抵抗Rw70+抵抗Rw150)で決まる値となる。すなわち、図4に示すように目標値電圧Viが定格電力が70WのHIDランプの電圧となり、この目標値電圧Viにより点灯制御回路4によりに定格電力が70WのHIDランプを定格電力の70Wで点灯させる。
【0077】
また、放電灯点灯装置に定格電力が150WのHIDランプが接続されている場合には、ランプ電圧はVcに達しないので、コンパレータCOMP4がオフし、ラッチ回路RSの出力Qがロー信号を出力するので、スイッチSWはオフとなり、Ila検出回路5aに入力される電流は抵抗R3+抵抗Rw150で決まる値となる。すなわち、図4に示すように目標値電圧Viが定格電力が150WのHIDランプの電圧となり、この目標値電圧Viにより点灯制御回路4によりに定格電力が70WのHIDランプを定格電力の150Wで点灯させる。つまり、定格電力150WのHIDランプが定格電力で点灯することになる。
【0078】
ここで、高圧放電灯の種類に応じて、スイッチSW、抵抗Rw70及び抵抗Rw150の数を適宜増加させると、定格電力の異なる複数の高圧放電灯を該高圧放電灯の定格電力で点灯できることになる。
【0079】
以上のようにして、1の放電灯点灯装置により高圧放電灯の種類に応じて各高圧放電灯をそれぞれ定格点灯させることができるのである。
【0080】
なお、本実施の形態で示した制御回路4、Ila検出回路5a及びVla検出回路5bは一例であり、このような作用効果を奏するものであれば、本実施の形態の回路構成に限られず他の回路構成であってもよい。
【0081】
(実施例2)
以下、本発明の第2の実施の形態を図6ないし図8を参照して説明する。図6は本実施の形態の回路図を示しており、図7は高圧放電灯の始動特性を示している。また、図8は他の高圧放電灯の始動特性を示している。ここで、第1の実施の形態と同一構成には同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0082】
図6に示した放電灯点灯装置と図3(a)に示した放電灯点灯装置との相違点は、図6に示した放電灯点灯装置では、点灯制御回路4、Ila検出回路5a、Vla検出回路5b及びタイマー手段6をマイコンMCで構成した点である。そして、このようなマイクロプロセッサ等により構成されている演算回路(CPU)、メモリ及びインターフェイス回路を備えたマイコンMCとして、本実施の形態では、STマイクロエレクトロニクス製のST72Gシリーズを用いている。
【0083】
つぎに、1の放電灯点灯装置に接続される可能性のある複数種類の高圧放電灯のどれかが放電灯点灯装置に接続された場合に、該高圧放電灯を定格点灯させるための動作態様を説明する。
【0084】
一般に、HIDランプは放電開始直後の管内圧力が低く、放電エネルギーによる金属蒸気圧が低いので発光光束が少ない。図7は、放電灯点灯装置で高圧放電灯を点灯させた場合において、該高圧放電灯が定格点灯するまでのHIDランプのランプ電流及びランプ電圧の経時変化を示す特性図である。図7に示すように、HIDランプの起動直後(経過時間:0〜t1)は、ランプ電圧が小さく、ランプ電流が大きい状態、すなわち、ランプのインピーダンスは数Ω程度の低インピーダンスの状態となっている。そして、安定点灯へ移行するにつれて(経過時間:t1〜t2)徐々にインピーダンスが大きくなり、安定点灯時(経過時間:t2〜)のランプのインピーダンスは数百Ω程度となる。このように、HIDランプは瞬時に安定点灯状態に移行しない。この安定点灯状態に移行するまでの時間は数分程度かかる。そして、このHIDランプの特性を利用して検出手段5で直流電源投入後安定点灯に移行するまでの上記過渡期間の高圧放電灯3の過渡特性が所定の閾値を超えたことを検出し、タイマー手段6で閾値を超えるまでの時間を積算し、判別手段7でタイマー手段の積算時間により高圧放電灯3の種類を判別するとともに点灯制御回路4に制御信号を送信し該高圧放電灯を定格点灯させるのである。
【0085】
一例として、定格電力が70Wと150WのHIDランプを考える。図8は、各HIDランプの経過時間tに対するランプ電圧Vlaの変化を示している。そして、図8(A)は、放電灯点灯装置が70Wの電力を出力するときに定格電力が70WのHIDランプを接続した場合、図8(B)は、放電灯点灯装置が70Wの電力を出力するときに定格電力が150WのHIDランプを接続した場合のランプ電圧Vlaの特性図をそれぞれ示している。図8(B)に示すように放電灯点灯装置が70Wの電力を出力するときに定格電力が150WのHIDランプを接続した場合には、HIDランプのランプ電圧の立ち上がりは、図8(A)の70WのHIDランプを接続した場合に比べ遅くなる。ここで、検出手段5により所定の閾値電圧Vaを設けておき、この閾値電圧Vaに達するまでの時間をタイマー手段6により積算する。この例の場合においては、定格電力が70WのHIDランプが閾値電圧Vaに達するまでの時間は、図8(A)に示すようにt=t1であり、定格電力が150WのHIDランプが閾値電圧Vaに達するまでの時間は図8(B)に示すようにt=t2である。すなわち、この時間の差異により、HIDランプの種類を判別することができる。
【0086】
上述のようにHIDランプのような高圧放電灯では、安定点灯に移行するまでの時間が蛍光灯等と比較して長いために、定格電力の異なる各HIDランプが所定の閾値電圧に達するまでの時間差が明確である。このように時間差が明確であるために高圧放電灯の種類を判別しやすいのである。
【0087】
つぎに、判別手段7には、放電灯点灯装置がある電力を出力するように設定されている場合において、あるHIDランプが放電灯点灯装置に接続され、点灯させたときに、該HIDランプのランプ電圧が閾値電圧Vaに達するまでの時間を予め記憶している。
【0088】
すなわち、判別手段7には、放電灯点灯装置が70Wの電力を出力するときに定格電力が70WのHIDランプを接続した場合に閾値電圧Vaに達するまでの時間(以下、t(70、70)という。)、放電灯点灯装置が70Wの電力を出力するときに定格電力が150WのHIDランプを接続した場合に閾値電圧Vaに達するまでの時間t(70、150)、放電灯点灯装置が150Wの電力を出力するときに定格電力が70WのHIDランプを接続した場合に閾値電圧Vaに達するまでの時間t(150、70)、放電灯点灯装置が150Wの電力を出力するときに定格電力が150WのHIDランプを接続した場合に閾値電圧Vaに達するまでの時間t(150、150)の値を予め全て記憶しており、これらの値とタイマー手段6が積算した値とを比較し、高圧放電灯の種類を特定する。この例では、t(70、150)=t2となると、判別手段7は定格電力が150WのHIDランプが接続されたと判断し、点灯制御回路4に制御信号を送信し、放電灯点灯装置の出力を150Wになるように制御する。
【0089】
以上のようにして、1の放電灯点灯装置により高圧放電灯の種類に応じて各高圧放電灯をそれぞれ定格点灯させることができるのである。
【0090】
また、図1と同一構成にて1の放電灯点灯装置により高圧放電灯の種類に応じて各高圧放電灯をそれぞれ定格点灯させる他の手法を説明する。
【0091】
上述したように放電灯点灯装置が70Wの電力を出力するときに定格電力が150WのHIDランプを接続した場合のランプ電圧Vlaの立ち上がりは、定格電力が150WのHIDランプを接続した場合に比べて遅くなる。ここで同一時間が経過後のランプ電圧Vlaの差に着目する。図8に示すようにt=t1におけるランプ電圧Vlaは、定格電力が150WのHIDランプを接続した場合にはVbとなり、定格電力が70WのHIDランプを接続した場合にはVaとなる。すなわち、このランプ電圧Vlaの差により、高圧放電灯の種類を判別するのである。
【0092】
つぎに、判別手段7には放電灯点灯装置がある電力を出力するように設定されている場合において、あるHIDランプが接続し点灯したときに所定の時間での該HIDランプのランプ電圧を予め記憶している。
【0093】
このように放電灯点灯装置の出力電力と対象となるHIDランプの定格電力の種々の組合せを判別手段7に含まれるメモリに予め記憶し、タイマー手段6が積算したt=t1のランプ電圧値を検出手段5が検出し判別手段7に含まれるマイクロプロセッサにより該メモリの記憶値と該ランプ電圧値とを比較して、HIDランプの種類を判別することができる。
【0094】
判別後、HIDランプの種類に応じた点灯制御に切り替えるために判別手段7は点灯制御回路4に制御信号を送信し、放電灯点灯装置の出力電力を切り替える。
【0095】
以上のようにして、1の放電灯点灯装置により高圧放電灯の種類に応じて各高圧放電灯をそれぞれ定格点灯させることができるのである。
【0096】
上述したように本実施の発明によれば、プログラムを設定するだけで上述した検出手段5、タイマー手段6及び判別手段7を簡単に構成することができる。また、このように制御手段を全てマイコン化すると、放電灯点灯装置をコンパクトにすることができる。
【0097】
ここで、図8に示す各HIDランプの経過時間の変化に対するランプ電圧の変化、すなわち、曲線の微分値(曲線の傾き)を経過時間毎に測定して、その微分値から高圧放電灯の種類を判別してもよい。
【0098】
なお、本実施の形態では、放電灯点灯装置の負荷として、高圧放電灯を考えたが、もちろん、本実施の形態で考えた特性を有するものであれば、高圧放電灯に限られず、蛍光灯であってもよいし、他の放電灯であってもよい。
【0099】
また、本実施の形態では、検出手段5で直流電源投入後安定点灯に移行するまでの上記過渡期間の高圧放電灯の過渡特性値を検出し、タイマー手段6で経過時間を積算し、判別手段7でタイマー手段6の積算時間と検出手段5とで検出された過渡特性値により高圧放電灯の種類を判別したが、検出するものは、高圧放電灯電圧に限られず、他の電気特性(高圧放電灯電流、高圧放電灯電力、さらには、高圧放電灯の発光効率(ルーメン毎ワット))、光学特性(高圧放電灯の照度又は色温度、さらには、輝度、光束、光度)、あるいは、温度特性(高圧放電灯の最冷点温度、管壁温度又は口金温度)を検出し高圧放電灯の種類を判別してもよい。要は、高圧放電灯の定格電力が異なることにより、他の高圧放電灯と差別化できる特性であれば、いかなる特性を検出してもよい。
【0100】
たとえば、高圧放電灯3の安定点灯時に、色温度の違いにより接続された高圧放電灯3の種類を判別する場合を考える。
【0101】
放電灯点灯装置が70Wの電力を出力し、定格電力70Wランプを接続したときの色温度Tc(70、70)とし、同点灯装置に定格電力150Wランプを接続したときの色温度Tc(70、150)とし、さらに、放電灯点灯装置が150Wの電力を出力し、定格電力70Wランプを接続したときの色温度Tc(150、70)、同点灯装置に定格電力150Wランプを接続したときの色温度Tc(150、150)の値を判別手段7に予め全て記憶しておく。そして、検出手段5には色温度センサを備え、安定点灯時の色温度を検出する。つぎに、予め記憶している値と色温度センサによる検出値を比較し、判別手段7が高圧放電灯3の種類を判断し、高圧放電灯3に適切な電力供給ができるように点灯制御回路4に制御信号を送信し、点灯制御を切り替えてもよい。
【0102】
以下に、松下電器産業製のセラミックメタルハライドランプ「パナビーム」で色温度3500K(WW)のものを実測した値を示す。
Tc(70、70)=3400K
Tc(70、150)=3800K
Tc(150、70)=3800K
Tc(150、150)=3400K
これは、発光管内に封入されて発光に寄与する複数のハロゲン化合物の蒸気圧が、定格電力供給時に所定の温度でそれぞれが狙いの蒸気圧になって、定格の色温度になるが、過剰な電力が供給され所定の温度より高い状態や、定格に比して供給電力が不足し所定の温度より低い状態では、封入された複数のハロゲン化合物の蒸気圧のバランスが定格電力時のそれと異なるため生じるのである。これはハロゲン化合物各々の温度特性が異なるためである。
【0103】
色温度の定格値3500Kに対して、100Kほど低めにばらついているが、定格電力以上、もしくは定格電力以下で点灯させた場合、定格値より200〜300Kほどずれており、バラツキよりズレが大きいので負荷判別を行い負荷に適した制御切り替えが可能である。
【0104】
また、高圧放電灯3の安定点灯時に、高圧放電灯3の種類を判別する別の例として、光色によって高圧放電灯3の種類を判別するパラメータとして、黒体軌跡からの色ズレ度合いを示すDuv値が挙げられる。
【0105】
放電灯点灯装置が70Wの電力を出力し、定格電力70Wランプを接続したときのDuv値Duv(70、70)、同点灯装置に定格電力150Wランプを接続したときの色温度Duv値Duv(70、150)、さらに放電灯点灯装置が150Wの電力を出力し、定格電力70Wランプを接続したときの色温度Duv値Duv(150、70)、同点灯装置に定格電力150Wランプを接続したときの色温度Duv値Duv(150、150)の値を予め全て判別手段7にはDuvセンサを備え、安定点灯時のDuv値を検出を検出し、上記と同様に高圧放電灯3の種類を判別してもよい。
【0106】
以下に、松下電器産業製セラミックメタルハライドランプ「パナビーム」で色温度3500K(WW)のものを実測した値を示す。
Duv(70、70)=0.0086
Duv(70、150)=0.0125
Duv(150、70)=0.0128
Duv(150、150)=0.0002
定格電力供給時のDuv値、つまりDuv(70、70)やDuv(150、150)に対して、定格電力以上、もしくは定格電力以下で点灯させた場合、Duv値は定格電力供給時の値に比べはるかに大きく(1.5倍〜60倍)黒体軌跡からのズレが大きい。したがって、Duv値の検出により高圧放電灯3の種類の判別を行い、高圧放電灯3の種類に適した制御切り替えが可能である。
【0107】
なお、上記説明で特に言及していない回路構成、作用、効果等は第1の実施の形態と同様である。
【0108】
(実施例3)
以下、本発明の第3の実施の形態を図9及び図10を参照して説明する。図9は本実施の形態のブロック図を示しており、図10は高圧放電灯電圧と放電灯点灯装置との関係を示している。ここで、第1の実施の形態と同一構成には同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0109】
図9に示す放電灯点灯装置は、図1に示す放電灯点灯装置において、高圧放電灯3が安定点灯に移行した後の高圧放電灯3の定常特性の差異を検出する第1の検出手段8と、第1の検出手段8の検出を受けて高圧放電灯3の種類を判別し該高圧放電灯3を定格点灯させる第1の判別手段9と、を備えた構成としている。
【0110】
以下、1の放電灯点灯装置に接続される可能性のある複数種類の高圧放電灯のどれかが放電灯点灯装置に接続された場合に、該高圧放電灯3を定格点灯させるための動作態様について説明する。
【0111】
本実施の形態でも第1の実施の形態と同様に、一例として、1の放電灯点灯装置で定格電力が70Wと150WのHIDランプをそれぞれ定格点灯させる場合を考える。そして、放電灯点灯装置の出力電力の初期設定としては、70Wの電力が出力されるように設定されているものとする。
【0112】
図10は、各HIDランプが安定点灯した後の、放電灯点灯装置の出力特性とランプ電圧特性とを示している。すなわち、図10の動作点Aは放電灯点灯装置が70Wの電力を出力するときに定格電力が70WのHIDランプを接続した場合、動作点Bは放電灯点灯装置が70Wの電力を出力するときに定格電力が150WのHIDランプを接続した場合、動作点Cは放電灯点灯装置が150Wの電力を出力するときに定格電力が150WのHIDランプを接続した場合をそれぞれ示している。
【0113】
図5(a)、(b)及び(c)に示したような高圧放電灯は、定格点灯時のランプ電圧は全て略90Vとなっている。したがって、動作点Aと動作点Cとのランプ電圧値は等しくV1となる。
【0114】
そして上述したように、放電灯点灯装置は初期の状態においては、70Wの電力を出力するように設定されている。この放電灯点灯装置に定格電力が150WのHIDランプを接続し安定点灯に移行した場合、ランプ電圧はV2(≠V1)となる。ここで、安定点灯に移行した後の任意の時間t=t1において、第1の検出手段8はランプ電圧を検出して検出電圧を第1の判別手段9に送信する。第1の判別手段9には、放電灯点灯装置が70Wの電力を出力するときに定格電力が70WのHIDランプを接続した場合に示す電力(以下、W(70、70)という。)、放電灯点灯装置が70Wの電力を出力するときに定格電力が150WのHIDランプを接続した場合に示す電力W(70、150)、放電灯点灯装置が150Wの電力を出力するときに定格電力が70WのHIDランプを接続した場合に示す電力W(150、70)、放電灯点灯装置が150Wの電力を出力するときに定格電力が150WのHIDランプを接続した場合に示す電力W(150、150)の値を予め全て記憶しており、これらの値と、第1の検出手段8が検出した検出電圧と、を比較し、高圧放電灯の種類を特定する。この例の場合では、W2=W(70、150)なので、第1の判別手段9は、定格電力が150WのHIDランプが接続されたと判断し、t=t1で点灯制御回路4に制御信号を送信し、放電灯点灯装置の出力を150Wに制御する。このようにして、定格電力が150WのHIDランプを定格点灯させるのである。
【0115】
実測値の一例を挙げると、動作点Aでのランプ電圧V1=86.0Vで、動作点Bでのランプ電圧V2=73.2Vであり、電圧差が12.8Vと大きいので高圧放電灯の種類を特定することができる。
【0116】
また、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、検出するものは高圧放電灯電力に限られず、他の電気特性(高圧放電灯電流、高圧放電灯電圧、さらには、高圧放電灯の発光効率(ルーメン毎ワット))、光学特性(高圧放電灯の照度又は色温度、さらには、輝度、光束、光度)、あるいは、温度特性(高圧放電灯の最冷点温度、管壁温度又は口金温度)でもよい。要は、高圧放電灯の定格電力が異なることにより、他の高圧放電灯と差別化できる特性であれば、いかなる特性を検出してもよい。そして、該特性のデータを予め第1の判別手段9に記憶させておき、高圧放電灯の種類を特定すればよい。
【0117】
さらにまた、高圧放電灯の種類の誤判別を防止し、放電灯の種類を確実に特定するために、たとえば、別途タイマー回路等を設けておき、一定時間毎に高圧放電灯の電圧を再度検出し、判別を繰り返してもよい。
【0118】
なお、上記説明で特に言及していない回路構成、作用、効果等は第1の実施の形態と同様である。
【0119】
(実施例4)
以下、本発明の第4の実施の形態を図11及び図12を参照して説明する。図11は本実施の形態のブロック図を示しており、図12は本実施の形態の動作を示している。ここで、第1の実施の形態と同一構成には同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0120】
図11に示す放電灯点灯装置は、図1に示す放電灯点灯装置において、タイマー手段の積算時間を補正する第1の補正手段10を付加した構成としている。
【0121】
放電灯点灯装置を再始動した場合には、高圧放電灯3の温度は上昇しており、したがって、初始動時よりも点灯しやすい状態となっている。すなわち、図12(A)に示すように検出手段5に設けた所定の閾値電圧Vaに達するまでの時間t=t1は、初始動時の閾値電圧Vaに達するまでの時間t=t2と比較して、短くなる。したがって、この場合は第1の補正手段10により(t2−t1)の時間を補正してやると、再始動時の高圧放電灯の種類の判別間違いを防止することができる。
【0122】
また、本実施の形態の応用例として、図1に示す放電灯点灯装置に、タイマー手段の積算時間を補正する第2の補正手段を付加し、高圧放電灯の経時変化による始動時の閾値電圧Vaに達するまでの時間を補正することもできる。高圧放電灯は、経時変化により電極の劣化やバルブに封印されているガス圧が変化し、通常、新品時と始動特性が異なってくる。この場合において、閾値電圧Vaに達するまでの時間を補正してやると経時変化により始動特性が初期時から変化した場合においても、高圧放電灯の種類の判別間違いを防止することができる。
【0123】
なお、上記説明で特に言及していない回路構成、作用、効果等は第1の実施の形態と同様である。
【0124】
(実施例5)
以下、本発明の第5の実施の形態を図13を参照して説明する。図13は本実施の形態のブロック図を示している。ここで、第1の実施の形態と同一構成には同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0125】
図13に示す放電灯点灯装置は、図1に示す放電灯点灯装置において、高圧放電灯3が安定点灯に移行した後の高圧放電灯3の音響共鳴周波数を検出する第2の検出手段11と、第2の検出手段11の音響共鳴周波数の検出を受けて高圧放電灯3の種類を判別し該高圧放電灯を定格点灯させる第2の判別手段12と、を付加した構成としている。また、電力変換回路2が高圧放電灯3に供給する電力は高周波電力とする。
【0126】
HIDランプの一種であるメタルハライドランプは、放電管の中に種々のメタルハライド(ハロゲン化金属)を封入したランプであり、封入する金属の組合せを選択することによって種々の光を得ることができる。このメタルハライドランプを高周波で点灯すると、音響的共鳴現象が生じることがある。この音響的共鳴現象とは、放電管中の金属蒸気ガスの疎密波により音響振動が生じ、これが高周波電力と共鳴する現象である。メタルハライドランプでは、音響共鳴周波数は高周波点灯時に広い周波数帯域に分布し、また、放電管の形状、封入蒸気圧に依存する。そして、メタルハライドランプにこの音響的共鳴現象が発生すると、ランプ電流、ランプ電圧及びランプ電力が周期的又は非周期的に変動し、ランプにチラツキが発生したり、ランプが立ち消えを起こす場合がある。
【0127】
そして、一般的な傾向としては、顕著に発生する音響共鳴周波数の基本周波数は、定格電力の小さいメタルハライドランプの方がより周波数は高い。このメタルハライドランプの定格電力の違いによる音響共鳴周波数の違いを利用して、該メタルハライドランプの種類を判別できることになる。本実施の形態においても、例として定格電力が70Wと150Wのメタルハライドランプを考える。また、1の放電灯点灯装置に接続される可能性のある複数種類の高圧放電灯のどれかが放電灯点灯装置に接続された場合に、該高圧放電灯を特定するための手法は、第1の実施の形態と同様である。
【0128】
すなわち、第2の判別手段12には、第1の実施の形態と同様に、放電灯点灯装置が70Wの電力を出力するときに定格電力が70Wのメタルハライドランプを接続した場合の音響共鳴周波数の基本周波数等のf(70、70)、f(70、150)、f(150、70)、f(150、150)の値を予め全て記憶させておき、たとえば、放電灯点灯装置が70Wの電力を出力するときに定格電力が150Wのメタルハライドランプを接続した場合の音響共鳴周波数の基本周波数を第2の検出手段11で検出し、互いの周波数を比較することにより、該高圧放電灯の種類を特定し、高圧放電灯の種類を特定した後は音響共鳴周波数よりも低い周波数帯で該高圧放電灯を定格点灯させるのである。また、音響共鳴周波数の代わりに高圧放電灯の光出力変動(チラツキや立ち消え)を検出してもよい。
【0129】
ここで、メタルハライドランプの種類の誤判別を防止し、ランプの種類を確実に特定するために、たとえば、別途タイマー回路等を設けておき、一定時間毎に音響共鳴周波数を検出してもよい。
【0130】
また、音響共鳴周波数は、メタルハライドランプの放電管径の大小や封入ガスの組成によっても異なり、単にメタルハライドランプの定格電力の相違のみならず、たとえば、製造メーカーの特定等が可能な場合もある。
【0131】
なお、上記説明で特に言及していない回路構成、作用、効果等は第1の実施の形態と同様である。
【0132】
(実施例6)
以下、本発明の第6の実施の形態を図14及び図15を参照して説明する。図14は本実施の形態のブロック図を示しており、図15は本実施の形態の動作を示している。ここで、第1の実施の形態と同一構成には同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0133】
図14に示す放電灯点灯装置は、図1に示す放電灯点灯装置において、高圧放電灯3の第1の電気特性に過渡的な変化を与え、過渡的な変化に対する第2の電気特性の過渡応答を検出する過渡応答検出手段13と、過渡応答検出手段13の検出を受けて高圧放電灯3の種類を判別し該高圧放電灯を定格点灯させる第3の判別手段14と、を付加した構成としている。
【0134】
以下、1の放電灯点灯装置に接続される可能性のある複数種類の高圧放電灯のどれかが放電灯点灯装置に接続された場合に、該高圧放電灯を定格点灯させるための動作態様を説明する。本実施の形態でも第1の実施の形態と同様に、一例として、1の放電灯点灯装置で定格電力が70Wと150WのHIDランプをそれぞれ定格点灯させる場合を考える。さらに、本実施の形態では、一例として、第1の電気特性としてHIDランプのランプ電力、第2の電気特性としてHIDランプのランプ電圧を考える。
【0135】
安定点灯中のHIDランプに、図15(b)に示すようなパルス電力を与えた場合、ランプ電圧は直ちに変化しない。すなわち、HIDランプが熱的な平衡状態に達するまでには、一定のタイムラグが存在する。このときのランプ電圧の変化幅は、図15(a)に示すように、定格電力が小さいものの方が大きい。この変化幅の差を検出し、該HIDランプの種類を判別できることになる。
【0136】
判定手法は、第1の実施の形態等と同様で、第3の判別手段14に各変化幅のデータを記憶させておき、該HIDランプの種類を特定する。
【0137】
ここで、HIDランプの種類の誤判別を防止し、ランプの種類を確実に特定するために、たとえば、別途タイマー回路等を設けておき、一定時間毎に変化幅を検出してもよい。
【0138】
また、本実施の形態では、第1の電気特性としてHIDランプのランプ電力、第2の電気特性としてHIDランプのランプ電圧を考えたが、もちろん、電気特性はこれらに限られない。要は、HIDランプにある電気的なパルス変化を与え、その変化に応答する別の電気特性により、定格の異なるHIDランプの種類を特定することができれば、どのような電気特性でもよい。たとえば、第1の電気特性としてHIDランプのランプ電力、第2の電気特性としてHIDランプのランプ電流としてもよい。
【0139】
なお、上記説明で特に言及していない回路構成、作用、効果等は第1の実施の形態と同様である。
【0140】
(実施例7)
以下、本発明の第7の実施の形態を図16及び図17を参照して説明する。図16は本実施の形態のブロック図を示しており、図17は本実施の形態の動作を示している。ここで、第1の実施の形態と同一構成には同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0141】
図16に示す放電灯点灯装置は、図1に示す放電灯点灯装置において、高圧放電灯の調光制御を行い高圧放電灯が立ち消えするときを検出する立ち消え検出手段15と、立ち消え検出手段15の検出を受けて高圧放電灯の種類を判別し該高圧放電灯を定格点灯させる第4の判別手段16と、を付加した構成としている。
【0142】
以下、1の放電灯点灯装置に接続される可能性のある複数種類の高圧放電灯のどれかが放電灯点灯装置に接続された場合に、該高圧放電灯を定格点灯させるための動作態様を説明する。本実施の形態でも第1の実施の形態と同様に、一例として、1の放電灯点灯装置で定格電力が70Wと150WのHIDランプをそれぞれ定格点灯させる場合を考える。
【0143】
HIDランプの調光の下限は、ランプの種類に拘らず定格電力点灯時の20〜30%程度である。したがって、定格電力の小さいランプの方がより小電力まで調光が可能となる。図17(A)は、定格電力が150WのHIDランプの調光下限の電力を示す。調光下限の電力としては、たとえば、放電灯点灯装置の入力電力でもよい。そして、図17(C)は、定格電力が70WのHIDランプの調光下限の電力を示す。
【0144】
このような放電灯点灯装置において、たとえば、t=t1で、調光制御を行い、入力電力WをW=W3とすると、定格電力が150WのHIDランプが接続されている場合には、該HIDランプは消灯することになる。ところが、定格電力が70WのHIDランプが接続されている場合には、該HIDランプは消灯しない。
【0145】
ランプ電流がゼロになったかどうかで、この調光下限の電力を立ち消え検出手段15で検出し、第1の実施の形態等と同様に、第4の判別手段16が含むメモリに予め記憶させている各HIDランプの調光下限の電力と判別手段16が含むマイクロプロセッサで比較して、該HIDランプの種類を特定し定格点灯させるのである。
【0146】
ここで、HIDランプの種類の誤判別を防止し、ランプの種類を確実に特定するために、たとえば、別途タイマー回路等を設けておき、一定時間毎に検出してもよい。
【0147】
なお、上記説明で特に言及していない回路構成、作用、効果等は第1の実施の形態と同様である。
【0148】
(実施例8)
以下、本発明の第8の実施の形態を図18ないし図21を参照して説明する。図18は本実施の形態のブロック図を示しており、図19は定格電力が70W及び150WのHIDランプの特性図を示している。また、図20はHIDランプ及び放電灯点灯装置の各特性を示している。ここで、第1の実施の形態と同一構成には同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0149】
図18に示す放電灯点灯装置は、直流電源1と、直流電源1からの電力を変換し高圧放電灯3に電力を供給する電力変換回路2と、電力変換回路2の供給電力を制御する点灯制御回路4と、放電灯点灯装置の電源投入時から安定点灯時までの所定の時間での高圧放電灯電圧を検出し高圧放電灯3の種類を判別する判別手段5(高圧放電灯選別手段)と、高圧放電灯3の種類の判別を受けて高圧放電灯3を定格点灯させるために点灯制御回路4を切り替える切替手段20(高圧放電灯選別手段)と、判別手段5が高圧放電灯3の種類を判別するまでに高圧放電灯3に供給するプリセット電力のデータを記憶する記憶手段21と、を備えている。
【0150】
上述したように、一般に、HIDランプは放電開始直後の管内圧力が低く、放電エネルギーによる金属蒸気圧が低いので発光光束が少ない。図7は、HIDランプのランプ電流及びランプ電圧の経時変化を示す特性図である。図2に示すように、HIDランプの起動直後(経過時間:0〜t1)は、ランプ電圧が小さく、ランプ電流が大きい状態、すなわち、ランプのインピーダンスは数Ω程度の低インピーダンスの状態となっている。そして、安定点灯へ移行するにつれて(経過時間:t1〜t2)徐々にインピーダンスが大きくなり、安定点灯時(経過時間:t2〜)のランプのインピーダンスは数百Ω程度となる。
【0151】
このように、HIDランプは瞬時に安定点灯状態に移行しない。判別手段5は、この間の所定の時間でのランプ電圧の大きさによりランプの種類を判別し、制御信号を切替手段20に送信し点灯制御回路4を切り替えることにより、該HIDランプを定格点灯させるのである。
【0152】
一例として、定格電力が70Wと150WのHIDランプを考える。メタルハライドランプ等のHIDランプにおいて、セラミック又はガラス容器内の封印ガスの組成が同じで定格電力が異なるものでは、通常定格ランプ電圧は等しく、定格ランプ電流が異なるように設計されている場合が多い。上記の定格電力が70Wと150WのHIDランプにおいても、定格ランプ電圧は等しいものとする。
【0153】
図19(A)は、放電灯点灯装置が150Wの電力を出力するときに定格電力が70WのHIDランプを接続した場合、図19(B)は、放電灯点灯装置が150Wの電力を出力するときに定格電力が70WのHIDランプを接続し、t=t1に切替手段20により放電灯点灯装置の出力が切り替えられ、放電灯点灯装置が70Wの電力を出力する場合、図19(C)は、放電灯点灯装置が70Wの電力を出力するときに定格電力が70WのHIDランプを接続した場合及び放電灯点灯装置が150Wの電力を出力するときに定格電力が150WのHIDランプを接続した場合の特性図をそれぞれ示している。
【0154】
放電灯点灯装置が70Wの電力を出力するときに定格電力が70WのHIDランプを接続した場合と、電力を150W出力するときの放電灯点灯装置に定格電力が150WのHIDランプを接続した場合と、では安定点灯状態に移行するまでの時間は通常略等しく設計されている。したがって、両者ともに図19(C)のような特性図となる。
【0155】
以下、ランプの種類を判別する具体的な判別態様を示す。
【0156】
点灯制御回路4の設定により初期状態においては、放電灯点灯装置は電力を150W出力するものとし、この状態で放電灯点灯装置に定格電力が70WのHIDランプを接続された場合を考える。t=0の電源投入と同時に、ランプ電圧Vlaは図19(A)のように上昇する。そして、安定点灯するまでの所定の時間t=t1において、判別手段5はランプ電圧Vlaの大きさV2を検出する。上述したように、放電灯点灯装置が70Wの電力を出力し、かつ定格電力が70WのHIDランプが接続されている場合の特性図は図19(B)であり、この場合、所定の時間t=t1におけるランプ電圧Vlaの大きさはV1なので、判別手段5は、接続されているHIDランプを定格電力が70Wのものと判断し、所定の時間t=t1において制御信号を切替手段20に送信し点灯制御回路4を切り替える。すなわち、点灯ポイントを図19(1)→(2)のように変化させる。そして、切り替えられた後に安定点灯状態に至ると、定格電力が70Wのものは70Wで定格点灯されるのである。このようにして、判別手段5は、高圧放電灯の種類を判別し、該高圧放電灯を定格点灯させるのである。
【0157】
つぎに、切替手段20は上述のように、判別手段5からの制御信号を受けて、各高圧放電灯が定格点灯するように、制御回路4を切り替えるものである。
【0158】
そして最後に記憶手段21は、放電点灯装置に電源が投入され、判別手段5が高圧放電灯3の種類を判別するまでの0≦t≦t1の間に、所定の電力(以下、プリセット電力という。)で高圧放電灯を点灯させるためのプリセット電力のデータを記憶しておくものである。図19を例に挙げると、上述したように初期状態では、放電灯点灯装置は電力を150W出力するように設定されており、この状態で放電灯点灯装置に定格電力が70WのHIDランプを接続したとする。判別手段5が該高圧放電灯を定格電力が70Wであることを判別するまでは、該高圧放電灯には、150Wの電力が供給されることになるが、この150Wが本放電灯点灯装置のプリセット電力であり、このプリセット電力のデータを記憶手段21が記憶していると、どのような高圧放電灯が放電灯点灯装置に接続されても、電源投入時は常に150Wの電力が供給されることになる。
【0159】
つぎに、本実施例において、高圧放電灯の種類を判別し該高圧放電灯を定格点灯させるための動作について説明する。ここで、本実施例の動作を説明するためのHIDランプとして、上記の定格電力が70Wと150Wのものを考える。
【0160】
上述したようにHIDランプは安定点灯に移行するまでに時間がかかり、その間の所定の時間でのランプ電圧の大きさで高圧放電灯の種類を判別することは説明したが、これを図20を用いて別の観点から説明する。
【0161】
図20は、定格電力が70Wと150Wのランプ電流―電圧特性((C)、(D))及び70Wと150Wを出力する放電灯点灯装置の特性((A)、(B))をそれぞれ示す特性図である。また、上記と同様に初期状態において放電灯点灯装置は電力を150W出力するものとし、この状態で定格電力が70WのHIDランプを接続されたとする。
【0162】
t=0で、放電灯点灯装置に電源が投入されると、この状態でHIDランプは、低インピーダンスなので、図20(B)のカーブに沿って矢印(1)に示すようにランプ電流が立ち上がる。そして、ランプ電圧が上昇していき(図20の矢印(2))、t=t1で判別手段5により、放電灯点灯装置の出力が150Wから70Wへと切り替わる(図20の矢印(3))。そして、図20の矢印(4)、(5)へ動作ポイントが移動していき、定格電力が70Wのランプ電流―電圧特性(C)と70Wを出力する放電灯点灯装置の特性(A)の交点であるA1で安定点灯する。
【0163】
なお、本実施の形態の応用例として、図21に示すように、プリセット電力を切り替える第1の切替手段22を別途設けてもよい。この第1の切替手段22の切り替え態様は、たとえば、リモコン等を用いて遠隔操作を行ってもよいし、手動でもよい。
【0164】
図21に示すような放電灯点灯装置によれば、たとえば、新しいHIDランプの場合には通常、照度の立ち上がりが遅いので、これを補正するために第1の切替手段22により、接続される可能性のある最大定格電力のHIDランプの電力にプリセット電力を設定しておき、照度の立ち上がり速度を補正する。また、長時間使用したHIDランプの場合には、ランプの寿命を重視するために第1の切替手段22により、接続される可能性のある最小定格電力のHIDランプの電力にプリセット電力を設定しておき、電極へのストレスを軽減することが可能となる。
【0165】
また、本実施の形態の他の応用例として、高圧放電灯の始動毎に、記憶手段に記憶されているプリセット電力のデータを該高圧放電灯の定格電力のデータに更新してもよい。
【0166】
このような放電灯点灯装置によれば、1回目の始動により高圧放電灯の種類を判別すると、2回目以降に1回目に始動させた高圧放電灯と同一の高圧放電灯を始動させる場合に、プリセット電力が該高圧放電灯の定格電力となっているので、該高圧放電灯に過剰の電力を供給し、該高圧放電灯にストレスを与えることがなくなる、という効果を奏する。
【0167】
ここで、上記のような定格ランプ電圧が等しく定格電力が異なるものでは、定格電力は定格ランプ電流に比例することになる。そして、対象ランプのうち、最小定格電力のものが放電灯点灯装置に接続され、対象ランプのうち最大定格電力のランプ電流を与える場合に、最小定格電力のものにその定格ランプ電流の2倍以上の電流を流してしまうと、ランプの種類によっては電極寿命を短くしてしまう場合がある。そこで、最小定格電力のランプに定格ランプ電流の2倍以上の電流が流れないように、たとえば、リミッタ回路等を設けておき、流れる電流を制限してもよい。
【0168】
本実施の形態において、プリセット電力として接続される可能性のある最大定格電力に設定しておくと、最大定格電力以外の高圧放電灯には過剰に電力が供給されることになり、該高圧放電灯が安定点灯に移行するまでの時間を短くすることができる。これにより、高圧放電灯の照度の立ち上がりが速い快適な照明装置を提供できることになる。また、本実施の形態において、プリセット電力を接続される可能性のある最小定格電力に設定しておくと、最小定格電力以外の高圧放電灯には、判別手段5が動作するまでは、少ない電力が供給されることになり、高圧放電灯の電極劣化を防止する効果を奏する。
【0169】
なお、本実施の形態では、電源投入時から安定点灯時までの所定の時間において高圧放電灯電圧を検出し高圧放電灯の種類を判別したが、もちろん、安定点灯時以降の高圧放電灯電圧を検出し高圧放電灯の種類を判別しても構わない。
【0170】
また、本実施の形態では、放電灯点灯装置の負荷として、高圧放電灯を考えたが、もちろん、本実施の形態で考えた特性を有するものであれば、高圧放電灯に限られず、蛍光灯であってもよいし、他の放電灯であってもよい。
【0171】
さらにまた、本実施の形態では、放電灯点灯装置の電源投入時から安定点灯時までの所定の時間での高圧放電灯電圧を検出し高圧放電灯の種類を判別したが、検出するものは、高圧放電灯電圧に限られず、他の電気特性(高圧放電灯電流、高圧放電灯電力、さらには、高圧放電灯の発光効率(ルーメン毎ワット))、光学特性(高圧放電灯の照度又は色温度、さらには、輝度、光束、光度)、あるいは、温度特性(高圧放電灯の最冷点温度、管壁温度又は口金温度)でもよい。要は、高圧放電灯の定格電力が異なることにより、他の高圧放電灯と差別化できる特性であれば、いかなる特性を検出してもよい。
【0172】
(実施例9)
以下、本発明の第9の実施の形態を図22を参照して説明する。図22は本実施の形態のブロック図を示している。ここで、第1の実施の形態と同一構成には同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0173】
図22に示す放電灯点灯装置は、図21に示す放電灯点灯装置において、プリセット電力のデータと、高圧放電灯の再始動時に判別手段で判別された高圧放電灯の定格電力のデータと、を比較する比較手段17を付加した構成としている。そして、プリセット電力のデータと判別手段で判別された高圧放電灯の定格電力のデータとが異なる場合には、高圧放電灯を消灯させるものである。
【0174】
このような放電灯点灯装置によれば、使用者が高圧放電灯3を取り替えた場合に、以前に装着されていた高圧放電灯3と異なる種類の高圧放電灯3を誤って装着したときには、高圧放電灯3が消灯し、使用者に高圧放電灯3の種類を間違ったことを知らせるお知らせ機能の働きをすることができる。
【0175】
なお、上記説明で特に言及していない回路構成、作用、効果等は第1の実施の形態と同様である。
【0176】
(実施例10)
以下、本発明の第10の実施の形態を図23を参照して説明する。図23は本実施の形態のブロック図を示している。ここで、第1の実施の形態と同一構成には同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0177】
図23に示す放電灯点灯装置は、図18に示す放電灯点灯装置において、高圧放電灯の寿命末期を検出する寿命末期検出手段10を付加した構成としている。
【0178】
高圧放電灯3が寿命末期になった場合に、寿命末期検出手段10が高圧放電灯3の寿命末期を検出し、寿命末期検出手段10の検出動作を受けて、切替手段20が複数種類の高圧放電灯のうち、最小の定格電力で、該高圧放電灯が点灯するように点灯制御回路4を切り替える。したがって、高圧放電灯3が寿命末期になった場合においても、高圧放電灯3に供給する電力を抑えることができる。これにより、高圧放電灯3の寿命末期時にも放電灯点灯装置に過剰の電力を供給するのを防ぐことができ、たとえば、放電灯点灯装置を構成する電子部品に熱的な損傷を与えるのを防ぐことができる。
【0179】
なお、上記説明で特に言及していない回路構成、作用、効果等は第1の実施の形態と同様である。
【0181】
【発明の効果】
請求項1記載の放電灯点灯装置によれば、高圧放電灯の種類の判別間違いを防止しつつ、該高圧放電灯を定格点灯させることができる。
【0182】
請求項2ないし5のいずれかに記載の放電灯点灯装置によれば、高圧放電灯の放電開始直後は、管内圧力が低く放電エネルギーによる金属蒸気圧が低いので、発光光束が少ない。そして、高圧放電灯は蛍光灯等に比べ安定点灯に移行するまでに時間がかかる。この過渡時において、所定の積算時間経過後であって直流電源投入後安定点灯に移行するまでに達する高圧放電灯の過渡特性は、高圧放電灯の種類により異なっており、この所定の積算時間経過後に達した高圧放電灯の過渡特性により高圧放電灯の種類を判別し、点灯制御回路に制御信号を送信することにより該高圧放電灯を定格点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態を示す回路図である。
【図3a】第1の実施の形態の要部を示す回路図である。
【図3b】第1の実施の形態の動作を示す図である。
【図4】異なる高圧放電灯の過渡特性を検出する検出閾値を示す図である。
【図5】異なる定格電力の高圧放電灯及び照明装置を示す図である。
【図6】第2の実施の形態を示す回路図である。
【図7】高圧放電灯の始動特性を示す特性図である。
【図8】高圧放電灯の始動特性を示す他の特性図である。
【図9】第3の実施の形態を示すブロック図である。
【図10】高圧放電灯電圧と放電灯点灯装置との関係を示す図である。
【図11】第4の実施の形態を示すブロック図である。
【図12】第4の実施の形態の動作を説明するための特性図である。
【図13】第5の実施の形態を示すブロック図である。
【図14】第6の実施の形態を示すブロック図である。
【図15】第6の実施の形態の動作を説明するための特性図である。
【図16】第7の実施の形態を示すブロック図である。
【図17】第7の実施の形態の動作を説明するための特性図である。
【図18】第8の実施の形態を示すブロック図である。
【図19】第8の実施の形態において定格電力が70W及び150WのHIDランプの特性図である。
【図20】第8の実施の形態においてHIDランプ及び放電灯点灯装置の各特性を示す特性図である。
【図21】第8の実施の形態の応用例を示すブロック図である。
【図22】第9の実施の形態を示すブロック図である。
【図23】第10の実施の形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 直流電源
2 電力変換回路
3 高圧放電灯
4 点灯制御回路
5 検出手段(定格点灯実現手段)
6 タイマー手段(定格点灯実現手段)
7 判別手段(定格点灯実現手段)
8 第1の検出手段(定格点灯実現手段)
9 第1の判別手段(定格点灯実現手段)
10 第1の補正手段
11 第2の検出手段
12 第2の判別手段
13 過渡応答検出手段
14 第3の判別手段
15 立ち消え検出手段
16 第4の判別手段
17 比較手段
20 切替手段
21 記憶手段
22 第1の切替手段

Claims (14)

  1. 直流電源と、直流電源からの電力を変換し高圧放電灯に電力を供給する電力変換回路と、電力変換回路の供給電力を制御する点灯制御回路と、を備えた放電灯点灯装置において、放電灯点灯装置は複数種類の高圧放電灯を対象としており、直流電源投入後安定点灯に移行するまでの高圧放電灯の過渡特性が所定の閾値を超えたことを検出する検出手段と、閾値を超えるまでの時間を積算するタイマー手段と、高圧放電灯の始動特性が新品高圧放電灯の初始動時から変化した場合にタイマー手段の積算時間を補正する補正手段と、補正手段により補正されたタイマー手段の積算時間の長短により高圧放電灯の種類を判別するとともに点灯制御回路に制御信号を送信し該高圧放電灯を定格点灯させる判別手段と、を備えたことを特徴とする放電灯点灯装置。
  2. 高圧放電灯の過渡特性とは、直流電源投入後高圧放電灯が安定点灯に移行するまでの過渡時の電気特性、光学特性又は温度特性であることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
  3. 電気特性とは、高圧放電灯電圧、高圧放電灯電流又は高圧放電灯電力であることを特徴とする請求項2記載の放電灯点灯装置。
  4. 光学特性とは、高圧放電灯の照度又は色温度であることを特徴とする請求項2記載の放電灯点灯装置。
  5. 温度特性とは、高圧放電灯の最冷点温度、管壁温度又は口金温度であることを特徴とする請求項2記載の放電灯点灯装置。
  6. 判別手段からの判別信号を受けて点灯制御回路を切り替える切替手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
  7. 判別手段が高圧放電灯の種類を判別するまで、高圧放電灯に予め設定した電力のデータを記憶しておく記憶手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
  8. 予め設定した電力のデータは、複数種類の高圧放電灯のうち、最大又は最小の定格電力のデータであることを特徴とする請求項記載の放電灯点灯装置。
  9. 予め設定した電力のデータを切り替える第1の切替手段を設けたことを特徴とする請求項記載の放電灯点灯装置。
  10. 高圧放電灯の始動毎に予め設定した電力のデータを判別された高圧放電灯の定格電力のデータに更新することを特徴とする請求項記載の放電灯点灯装置。
  11. 予め設定した電力のデータと、高圧放電灯の再始動時に種類を判別された高圧放電灯の定格電力のデータと、を比較する手段を設け、両者のデータが異なる場合には高圧放電灯を消灯することを特徴とする請求項記載の放電灯点灯装置。
  12. 複数種類の高圧放電灯の最大定格電力と最小定格電力との比が、(最大定格電力)/(最小定格電力)<2であることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
  13. 高圧放電灯の寿命末期を検出する寿命末期検出手段を設け、寿命末期検出手段が高圧放電灯の寿命末期を検出したときに、切替手段が寿命末期の該高圧放電灯の定格電力よりも小さい定格電力の高圧放電灯の電力で、該高圧放電灯が点灯するように点灯制御回路を切り替えることを特徴とする請求項記載の放電灯点灯装置。
  14. 請求項1ないし13のいずれかに記載の放電灯点灯装置を備え、高圧放電灯を点灯させることを特徴とする照明装置。
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