JP4502412B2 - 多孔質膜およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子で形成された透明性に優れる多孔質膜、この多孔質膜を備えた積層フィルム、および多孔質膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高分子多孔膜は、1960年に非対称な酢酸セルロース膜が作られて以来、急速に発展し、例えば、超純水、飲料水及び工業用水などの水の精製、工業排水及び都市排水の処理、化学工業、薬品工業、食品工業の各工程での物質分離と精製、人工腎臓による血液透析を始めとする医療分野での利用など、その応用分野は際限なく広がっている。このような高分子多孔膜の多くは、スキン層(緻密層)と支持層(多孔層)とで構成された非対称構造を有しており、一般に不透明である。
【0003】
透明性が必要とされる用途において、高分子多孔膜として、例えば、特開昭64-48026号公報には、液晶分子を含浸させた透明多孔質フィルムを上下パネルに挟み込んだ液晶パネルが提案されている。しかし、この文献には、透明多孔質フィルムの材質について記載されていない。
特開平3-159791号公報には、透明性多孔質樹脂層を用いた熱転写記録シートが提案されている。この文献には、多孔質樹脂層を形成する樹脂としてエチレン−塩化ビニル共重合体が記載されているものの、多孔質樹脂層の形成方法については記載されていない。
【0004】
特開平3-96332号公報には、孔径分布曲線におけるピーク孔径が0.06〜2.0μmにあり、表面に高さ0.2μm以上のうねりが5個/4μm未満存在する多孔質層を設けた積層フィルムであって、フィルムの曇価が10%以下である表面多孔質フィルムが提案されている。このフィルムの多孔質層は水分散性ポリマーとコロイダルシリカからなる塗液を塗布し、乾燥することにより形成している。そのため、耐水性が低く、水分散性ポリマーとコロイダルシリカの屈折率の違いにより、透明性も低い。
【0005】
特開平3-145005号公報には、平均孔径が0.01〜0.7μmの独立貫通孔を有する固体高分子多孔性膜の空孔中にイオン導電体を充填してなる電解質薄膜が提案されている。この固体高分子多孔性膜は高分子薄膜に荷電粒子を照射し、荷電粒子が通過した飛跡をアルカリエッチングして孔を形成する方法で作製されている。この方法で得られた多孔質膜は、半透明であり、透明化するためには、膜素材と同程度の屈折率を有する液体で孔を満たす必要がある。
【0006】
特開平4-263982号公報には、基材上に、酢酸セルロースからなる多孔質層を設け、その上層に擬ベーマイトからなる色素の担持層を設けた記録シートが提案されている。前記多孔質膜は、酢酸セルロースをアセトンなどの溶剤に溶解し、適宜過塩素酸マグネシウムなどを加えたコート液を塗布、乾燥することにより形成しており、溶剤の蒸発により過塩素酸マグネシウムなどが析出して透明性が低下する。
【0007】
特開昭61-86251号公報には、基材フィルム層の少なくとも片面に、液体吸収層を積層するとともに、この液体吸収層に多孔質プラスチックシート薄膜層(直径0.01〜0.1μmの孔が多数形成されたポリエチレン又はポリプロピレンフィルム)を熱プレスにより積層した記録用シートが開示されている。しかし、前記多孔質薄膜層の調製方法については記載されていない。
【0008】
一方、高分子多孔膜の製法として、(1)良溶媒と貧溶媒とを用いて高分子をミクロ相分離させる相分離法、(2)高分子を発泡させて孔を形成する発泡法、(3)高分子フィルムを延伸処理する延伸法、(4)放射線を高分子フィルムに照射して孔を形成する放射線照射法、(5)溶媒に可溶な高分子又は無機塩類と前記溶剤に不溶な高分子からなるフィルムを調製し、前記溶剤により可溶成分を抽出除去して孔を形成する抽出法、(6)高分子粒子を部分的に融着したりバインダーなどで固めて粒子間の間隙を孔として利用する焼結法などが知られている。
【0009】
これらの方法のうち相分離法は最も一般的な製法である。例えば、特開平3-246095号公報には、透明プラスチックフィルム基材上に、プラスチック溶液を塗布して湿式凝固することにより多孔性プラスチック表層を形成することが開示されている。この文献では、飽和共重合ポリエステル樹脂のジメチルホルムアミド溶液を、基材に塗布し、水中で凝固させ、さらに熱水中に浸漬して乾燥することにより白色で失透した多孔性プラスチック表層を形成している。
しかし、相分離法では、通常、表面が緻密層、下層が多孔層(ボイド層)となる非対称膜が生成する。そして、ボイド層の孔径が大きく、多孔質膜が不透明化する。また、透明な膜が生成したとしても非多孔質膜であり、細孔を利用する分野では利用できない。このように、高い透明性を維持しつつ多孔質構造の膜又はフィルムを得ることは困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、透明性の高い多孔質膜およびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、透明性およびインク吸収性が高く、かつ耐水性に優れた多孔質膜およびその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、高い透明性の多孔質膜を、高い生産性で製造できる方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため高分子多孔層の製法のうち量産性に優れる乾式相転換法を利用して鋭意検討した結果、特定の溶媒を組み合わせて用いると、透明性に優れた高分子多孔質層が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の積層フィルムは、基材の少なくとも片面に多孔質層が形成されている積層フィルムであって、前記多孔質層が(1)下記(a)〜(c)から選択された少なくとも一種の高分子で構成され、(2)空孔率が10〜60%であり、(3)波長400nmの光線透過率が30%以上であり、かつ(4)ミクロ相分離構造を有する。
(a)酢化度42〜62%、粘度平均重合度50〜800の酢酸セルロース、
(b)(メタ)アクリロニトリル,(メタ)アクリル酸エステル系単量体,ビニルエステル系単量体,複素環式ビニル系単量体,芳香族ビニル単量体,重合性不飽和ジカルボン酸又はその誘導体から選択され、かつ(メタ)アクリロニトリルおよび(メタ)アクリル酸エステル系単量体のうち少なくともいずれか一つの単量体から得られた単独又は共重合体、および
(c)ポリスルホン及びポリエーテルスルホンから選択された少なくとも一種
この多孔質層は、通常、細孔の平均孔径は0.002〜0.35μm、最大孔径0.4μm程度であってもよい。
本発明の積層フィルムは、基材間に、多孔質層が介在していてもよい。
前記積層フィルムは、高分子と、この高分子に対する良溶媒と、この良溶媒よりも沸点が高く、前記高分子に対する貧溶媒とを含むドープを基材に流延又は塗布し、塗膜を乾燥することにより製造できる。
本明細書において、「膜」とは、薄膜、フィルム、シートなどの二次元的構造体を意味する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
[高分子]
本発明の多孔質膜は、高分子で構成されており、通常、ミクロ相分離構造を有している。このミクロ相分離構造は、流延した高分子溶液の組成変化により相分離したゲル相の凝固により形成され、粒子間に形成される細孔の形状は、通常、不定形であり、不規則で非円形である。
【0013】
前記高分子としては、種々の熱可塑性重合体および熱硬化性重合体が使用でき、通常、熱可塑性高分子が使用される。以下の高分子が例示できる。
セルロース誘導体:
セルロースエステル、例えば、セルロースアセテート,セルロースプロピオネート,セルロースブチレート,セルロースアセテートプロピオネート,セルロースアセテートブチレート,セルロースアセテートフタレートなどの有機酸エステル;硝酸セルロース,硫酸セルロース,リン酸セルロースなどの無機酸エステル;硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステルなど
セルロースエーテル、例えば、メチルセルロース,エチルセルロース,イソプロピルセルロース,ブチルセルロース,ベンジルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,カルボキシメチルセルロース,カルボキシエチルセルロース,シアノエチルセルロースなど)
ビニル系重合体:
オレフィン系重合体、例えば、オレフィン類の単独又は共重合体(ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ1−ブテン,ポリイソブテン,ポリブタジエン,ポリイソプレン,ポリアレン,エチレン−プロピレン共重合体など)、オレフィル類と共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体,エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、変性ポリオレフィンなど)
ハロゲン含有ビニル重合体、例えば、ハロゲン含有ビニル単量体の単独又は共重合体(ポリビニルクロライド,ポリビニリデンクロライド,ポリビニルブロマイド,ポリビニルフロライド,ポリビニリデンフロライドなど)、ハロゲン含有ビニル単量体と共重合性単量体との共重合体(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体,塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体,塩化ビニリデン−(メタ)アクリルアミド共重合体,塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸共重合体,塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)
ビニルエステル系重合体又はその誘導体、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール,エチレン−ビニルアルコール共重合体,ポリビニルアセタール系重合体(ポリビニルフォルマール,ポリビニルアセタール,ポリビニルブチラールなど)
スチレン系重合体、例えば、芳香族ビニル単量体(スチレン系単量体)の単独又は共重合体(ポリスチレン,ポリ(α−メチルスチレン),ポリ(4−クロロスチレン)など)、芳香族ビニル単量体と共重合性単量体との共重合体(スチレン−(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステル共重合体,スチレン−無水マレイン酸共重合体,スチレン−マレイミド共重合体など)
アリルアルコール系重合体、例えば、アリルアルコール−C1-6 アルキルビニルエーテル共重合体(アリルアルコール−メチルビニルエーテル共重合体など)ポリビニルケトン類、例えば、ポリビニルメチルケトン,ポリビニルメチルイソブチルケトン,ポリメチルイソプロペニルケトンなど
ポリアルキルビニルエーテル、例えば、ポリメチルビニルエーテル,メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体など
(メタ)アクリル系重合体、例えば、(メタ)アクリル系単量体[(メタ)アクリロニトリル,(メタ)アクリル酸エステル単量体など]の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体[ビニルエステル系単量体,複素環式ビニル系単量体,芳香族ビニル単量体,重合性不飽和ジカルボン酸又はその誘導体などのビニル系単量体]との共重合体
ポリスルホン系重合体:
ポリスルホン,ポリエーテルスルホンなど
ポリオキシド系重合体:
ポリオキシメチレンやポリオキシメチレンコポリマー(ポリアセタール樹脂),ポリオキシエチレン,ポリオキシプロピレン,ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体など
ポリアミドおよびポリイミド系重合体:
ポリアミド(ナイロン6,ナイロン66,ナイロン11,ナイロン12,ナイロン6/11,ナイロン6/12など),ポリエステルアミド,ポリイミド,ポリアミドイミドなど
ポリエステル系重合体(飽和ポリエステルなど):
ポリC2-6アルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレートなど),ポリC2-6アルキレンナフタレート(ポリエチレンナフタレートなど)、コポリエステル(ジオール成分及びテレフタル酸の少なくとも一部が、エチレングリコール,プロピレングリコール,ブタンジオール,ヘキサンジオール,ポリオキシC2-4アルキレングリコール,シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分,フタル酸,イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸またはその酸無水物,アジピン酸などのC6-12脂肪族ジカルボン酸などの他のジオール成分またはジカルボン酸成分で置換したポリアルキレンテレフタレート系コポリエステルやポリアルキレンナフタレート系コポリエステルなど)
ポリカーボネート:
芳香族ポリカーボネート(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)
他の重合体:
熱可塑性ウレタン系重合体(ジオール成分としてポリエステルジオール,ポリエーテルジオールなどを用いたポリウレタンなど),ポリエーテルエーテルケトン,ポリエーテルエステル,ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンスルフィド,ポリエチレンイミンなど
これらの高分子は単独でまたは二種以上混合して使用できる。
【0014】
好ましい高分子には、セルロース誘導体、ビニル系重合体およびポリスルホン系重合体から選択された少なくとも一種の重合体が含まれる。
好ましいセルロース誘導体は、セルロースエステル、例えば、セルロース有機酸エステル(例えば、炭素数2〜4程度の有機酸とのエステル)、特にセルロースアセテート(セルロースジアセテートやセルローストリアセテートなど)が含まれる。
【0015】
セルロース誘導体(セルロースエステルなど)の粘度平均重合度は、例えば、50〜800、好ましくは75〜500、さらに好ましくは100〜250(特に100〜200)程度である。粘度平均重合度100〜190程度のセルロースアセテートも有効に使用できる。
【0016】
セルロースアセテートなどのセルロースエステルの粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斎藤秀夫、繊維学会誌、第18巻1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。すなわち、メチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)の混合溶液に精秤したセルロースエステルを溶解し、所定の濃度c(2.00g/L)の溶液を調整する。この溶液をオストワルド粘度計に注入し、25℃で粘度計の刻線間を溶液が通過する時間(秒)tを測定する。一方、前記混合溶剤単独についても上記と同様にして通過する時間(秒)t0 を測定し、下記式に従って、粘度平均重合度を算出する。
ηrel=t/t0
[η]=(lnηrel)/c
DP=[η]/(6×10-4)
(式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0 は溶媒の通過時間(秒)、cは溶液のセルロースエステル濃度(g/L)、ηrelは相対粘度、[η]は極限粘度、DPは平均重合度を示す)
セルロース誘導体の平均置換度は、1〜3程度の範囲から選択できる。例えば、好ましいセルロースアセテートでは、例えば、平均酢化度42〜62%(43〜60%)程度、好ましくは42〜57%程度である。置換度(酢化度)が小さすぎると溶媒に対する溶解度が低下する。また、粘度平均重合度が小さすぎると多孔質膜の孔径が小さくなり、非多孔質膜となりやすく、大きすぎると孔径が大きくなり多孔質膜は不透明化しやすい。
【0017】
ビニル系重合体のうち、(メタ)アクリロニトリル系重合体および(メタ)アクリル酸エステル系重合体が好ましい。すなわち、(メタ)アクリロニトリル,(メタ)アクリル酸エステル系単量体から選択された少なくとも一種の(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、この(メタ)アクリル系単量体と他の共重合性単量体[ビニルエステル系単量体,複素環式ビニル系単量体,芳香族ビニル単量体,重合性不飽和ジカルボン酸又はその誘導体などから選択された少なくとも一種の単量体]との共重合体が好ましい。
【0018】
(メタ)アクリロニトリル系重合体には、ポリアクリロニトリル、ポリメタアクリロニトリル,(メタ)アクリロニトリルと共重合性単量体との共重合体が含まれる。前記共重合性単量体としては、例えば、ビニルエステル系単量体(ギ酸ビニル,酢酸ビニル,プロピオン酸ビニルなど)、(メタ)アクリル系単量体[(メタ)アクリル酸,(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸ヘキシル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル,(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル,(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート,ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート,ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアルキルアミノ−アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドなど]、複素環式ビニル系単量体(ビニルピロリドン,ビニルピリジン,ビニルピペリジン,ビニルイミダゾール,ビニルカルバゾールなどの窒素原子,酸素原子およびイオウ原子から選択された少なくとも一種のヘテロ原子を含む5〜6員複素環式ビニル系単量体など)、芳香族ビニル単量体(スチレン,ビニルトルエン,α−メチルスチレンなど)、重合性不飽和ジカルボン酸又はその誘導体(イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸,フマル酸,これらの低級アルキルエステル又は酸無水物,マレイミド,N−アルキルマレイミド,N−フェニルマレイミドなど)などが例示できる。これらの共重合性単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましい共重合性単量体には、ビニルエステル系単量体(酢酸ビニルなど)、(メタ)アクリル系単量体[(メタ)アクリル酸,(メタ)アクリル酸C1-8 アルキルエステル、C1-4 アルキルアミノ−C2-4 アルキル(メタ)アクリレートなど]、窒素含有複素環式ビニル系単量体(ビニルピロリドンなど)又はこれらの組合わせが含まれる。
【0019】
(メタ)アクリロニトリル系共重合体としては、例えば、アクリロニトリル−ビニルピロリドン共重合体、アクリロニトリル−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−C1-8 アルキル(メタ)アクリレート共重合体(アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体など)、アクリロニトリル−ビニルピロリドン−C1-8 アルキル(メタ)アクリレート共重合体、アクリロニトリル−酢酸ビニル−C1-8 アルキル(メタ)アクリレート共重合体、アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−C1-8 アルキル(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体などが例示できる。
【0020】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体としては、前記(メタ)アクリル酸エステルの単独又は共重合体[例えば、ポリ(メタ)アクリル酸,ポリ(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステルの単独又は共重合体(ポリ(メタ)アクリル酸メチル,ポリ(メタ)アクリル酸エチル,ポリ(メタ)アクリル酸ブチル,メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体などの(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステル−(メタ)アクリル酸共重合体,メタクリル酸メチル−アクリル酸C1-10アルキルエステル共重合体などのメタクリル酸C1-10アルキルエステル−アクリル酸C1-10アルキルエステル共重合体など]、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体(ビニルエステル系単量体,芳香族ビニル単量体,重合性不飽和ジカルボン酸又はその誘導体など)との共重合体[例えば、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体などの(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステル−スチレン共重合体,メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体などの(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステル−(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体など]などが例示できる。
【0021】
本発明の特色は、多孔質膜(特にミクロ相分離構造を有する多孔質膜)であるにも拘わらず、透明性が高い点にある。すなわち、波長400nmでの多孔質膜の光線透過率は、30%以上(すなわち30〜100%)、好ましくは35〜100%、さらに好ましくは50〜100%(例えば、55〜100%)、特に60〜100%、特に70〜100%程度であり、光線透過率80〜100%程度という高い透明性を有する多孔質膜も得られる。
【0022】
また、多孔質膜の細孔の最大孔径は0.5μm以下(特に0.4μm以下)であり、平均孔径は、0.002〜0.35μm(例えば、0.004〜0.3μm)、好ましくは0.005〜0.3μm(例えば0.007〜0.2μm)、さらに好ましくは0.01〜0.2μm(例えば0.05〜0.2μm)程度である。
さらに、多孔質膜の空孔率は、例えば、10〜60%(例えば、15〜50%)、好ましくは15〜55%、さらに好ましくは20〜50%程度である。
【0023】
多孔質膜の膜厚は、特に制限されず用途に応じて選択でき、例えば、1〜100μm、好ましくは2〜70μm、さらに好ましくは3〜50μm程度である。膜厚が小さすぎると強度、耐水性が不十分であり、厚すぎると用途によっては透明性が低下する虞がある。
【0024】
[多孔質膜の製造方法]
本発明の多孔質膜は、ミクロ相分離法、例えば、高分子の良溶媒溶液を流延又は塗布し、高分子に対する貧溶媒に浸漬する湿式相分離法で製造することも可能であるものの、乾式相転換法、すなわち、高分子と、この高分子に対する良溶媒と、前記高分子に対する貧溶媒とを含む均一なドープを基材に流延又は塗布し、溶媒を蒸発させてミクロ相分離を生じさせることにより製造できる。特に、乾式相転換法では、良溶媒よりも沸点の高い溶媒(高沸点溶媒)を貧溶媒として使用することが肝要である。
【0025】
上記乾式相分離プロセスにおいて、多孔質膜の孔径を制御し、高い透明性を得るには、良溶媒と貧溶媒の選定が重要である。
良溶媒としては、高分子の種類などに応じて、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンなどのC3-5 ジアルキルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル類(ギ酸エチルなどのギ酸C1-4 アルキルエステル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸C1-4 アルキルエステル、プロピオン酸エチル、乳酸エチルなど)、エーテル類(1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン,テトラヒドロピラン,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,ジメトキシエタンなどの環状又は鎖状C4-6 エーテル)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのC1-4 アルキル−セロソルブ)、セロソルブアセテート類(メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのC1-4 アルキル−セロソルブアセテート)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、塩化エチレンなど)、アミド類(ホルムアミド,アセトアミドなどのアシルアミド類、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド,N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのモノ又はジC1-4 アシルアミド類)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなどのジC1-3 アルキルスルホキシド)、ニトリル類(アセトニトリル、クロロアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどC1-6 アルキルニトリル,ベンゾニトリルなど)、有機酸類(ギ酸、酢酸、プロピオン酸など)、有機酸無水物(無水マレイン酸、無水酢酸など)、およびこれらの混合物から選択できる。良溶媒は、ニトロ化合物(ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパンなど)、低級アルコール類(メタノール、エタノールなどのC1-4 アルコール、ジアセトンアルコールなど)を含んでいてもよい。
【0026】
良溶媒は高分子の種類に応じて選択できる。より具体的には、セルロース誘導体の好ましい良溶媒には、メチルエチルケトンなどのC3-5 ジアルキルケトン類(特にアセトン、メチルエチルケトン)、酢酸エチルなどの酢酸C1-4 アルキルエステル類(特に酢酸メチル、酢酸エチル)、ジオキサン、ジメトキシエタンなどの環状又は鎖状C4-6 エーテル類、メチルセロソルブなどのC1-4 アルキル−セロソルブ類(特にメチルセロソルブ、エチルセロソルブ)、メチルセロソルブアセテートなどのC1-4 アルキル−セロソルブアセテート類(特にメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)およびこれらの混合溶媒などが含まれる。セルロース誘導体がセルロースアセテートである場合、特に好ましい良溶媒には少なくともC1-2 アルキル−セロソルブ類(中でもメチルセロソルブ)を含む溶媒が含まれる。
【0027】
ビニル系重合体のうちアクリロニトリル系重合体の好ましい良溶媒には、アミド類(ホルムアミド,N,N−ジメチルホルムアミド,アセトアミド,N,N−ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、エーテル類(テトラヒドロフラン,テトラヒドロピラン,1,4−ジオキサンなどの環状エーテルなど)、ニトリル類(アセトニトリル,クロロアセトニトリル、プロピオニトリル,ブチロニトリル,マロニトリル、フマロニトリルなど)、有機酸無水物(無水マレイン酸、無水酢酸など)およびこれらの混合溶媒が含まれる。好ましい良溶媒は、少なくともアミド類(特にN,N−ジメチルホルムアミドなど)を含んでいる。
【0028】
ビニル系重合体のうち(メタ)アクリル酸系重合体の好ましい良溶媒には、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンなどのC3-5ジアルキルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル類(ギ酸エチルなどのギ酸C1-4アルキルエステル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸C1-4アルキルエステル、プロピオン酸エチル、乳酸エチルなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、塩化エチレンなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、エーテル類(テトラヒドロフラン,1,4−ジオキサンなどの環状エーテルなど)およびこれらの混合溶媒などが含まれる。
【0029】
ポリスルホン系重合体の好ましい良溶媒には、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)およびこれらの混合溶媒などが含まれる。
【0030】
良溶媒の沸点は、35〜200℃(例えば、35〜180℃)、好ましくは35〜170℃(例えば、35〜160℃)、さらに好ましくは40〜160℃(例えば、40〜125℃)程度の範囲から選択でき、通常、35〜150℃(例えば、35〜130℃)程度である。
【0031】
貧溶媒とは、高分子に対する溶解性がないか、又は溶解性の低い溶媒を意味し、前記良溶媒よりも沸点が高ければいずれの溶媒も使用できる。そのため貧溶媒の種類は、特に制限されない。貧溶媒としては、例えば、エステル類(ギ酸アミル、ギ酸イソアミルなどのギ酸C5-8 アルキルエステル、酢酸ブチル,酢酸アミル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル,酢酸3−メトキシブチル,酢酸3−エトキシブチル,プロピオン酸ブチル,プロピオン酸3−メトキシブチルなどのC1-4アルコキシ基を有していてもよいC2-4脂肪族カルボン酸C3-10アルキルエステル(例えば、C1-4アルコキシ基を有していてもよい酢酸C4-10アルキルエステル)、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピルなどの安息香酸C1-4アルキルエステル類)、アルコール類(シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ジメチルシクロヘキサノール、シクロオクタノールなどのC1-4アルキル基が置換していてもよいC4-8シクロアルカノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキシルアルコールなどのC5-8アルコール類、2−ブトキシエタノール,3−ブトキシプロパノールなどのC2-6アルコキシ−C1-4アルコール類、フルフリルアルコールなどの複素環式アルコールなど)、ケトン類(メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノンなどのC3-10ジアルキルケトン(特にC6-10ジアルキルケトン)、アセトニルアセトン、アセトフェノンなど)、エーテル類(メチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ジブチルエーテル、ベンジルエチルエーテルなどのC7-10エーテル)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン,オクタン,ノナン,デカンなどのC5-20脂肪族炭化水素類)およびこれらの混合物が例示できる。
【0032】
セルロース誘導体の好ましい貧溶媒には、エステル類(ギ酸C5-8アルキルエステル、安息香酸C1-4アルキルエステルなど)、C4-8シクロアルカノール、C6-10ジアルキルケトンおよびC7-10エーテルから選択された少なくとも一種の溶媒、特に少なくともC5-7シクロアルカノール(中でもシクロヘキサノール類)を含む溶媒が含まれる。シクロヘキサノール類には、シクロヘキサノール,メチルシクロヘキサノール、ジメチルシクロヘキサノールなどのモノ又はジC1-2アルキル置換体が含まれる。
【0033】
アクリロニトリル系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、ポリスルホン系重合体の好ましい貧溶媒には、C1-4アルコキシ基を有していてもよい酢酸アルキルエステル(酢酸3−メトキシブチル、酢酸3−メトキシペンチルなどの酢酸C1-4アルコキシC3-7アルキルエステルなど)、2−ブトキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノールなどのC4-8アルコキシC1-4アルキルアルコール、ケトン類(メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルイソペンチルケトンなどのC6-10ジアルキルケトン、アセトニルアセトン、アセトフェノン)などが含まれる。
【0034】
貧溶媒の沸点は、通常、100〜230℃、好ましくは120〜200℃程度である。貧溶媒は、通常、前記良溶媒よりも20℃以上(20〜60℃程度)、好ましくは30〜50℃程度高い沸点を有している。
【0035】
良溶媒と貧溶媒との割合は、高分子の均一溶液を形成できる限り特に制限されず、通常、良溶媒100重量部に対して貧溶媒1〜50重量部(例えば、3〜50重量部)、好ましくは2〜40重量部(例えば、5〜40重量部)、さらに好ましくは3〜35重量部(例えば、10〜35重量部)程度であり、通常、3〜30重量部程度である。
さらに、ドープ液の高分子の含有量は、高分子の重合度などに応じて選択でき、例えば、5〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、特に5〜20重量%(例えば、5〜15重量%)程度である。
【0036】
ドープ液は、高分子5〜30重量%程度の良溶媒溶液100重量部に対して、貧溶媒3〜40重量部程度を含んでいる。ドープ液は、好ましくは、高分子5〜20重量%(特に5〜15重量%)程度の良溶媒溶液100重量部に対して、析出を抑制しつつ、貧溶媒3〜40重量部(好ましくは3〜30重量部)程度を添加することにより調製できる。
【0037】
ドープ液(塗布液)には、多孔質膜の特性を損なわない範囲で慣用の添加剤、例えば、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤,紫外線吸収剤,熱安定剤など)、帯電防止剤、アンチブロッキング剤などを添加してもよい。
【0038】
ドープ液は、慣用の流延又は塗布方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター、コンマコーター、グラビアコーター、シルクスクリーンコーター法などにより、基材のうち少なくとも一方の面に流延又は塗布される。
前記基材としては、紙、塗工紙、不織布、プラスチックフィルム、ガラス、セラミックス、金属などが挙げられる。好ましい基材は、離型紙,少なくともプラスチックフィルムで構成された単層又は複合フィルムである。
基材は不透明や半透明であってもよいが、多孔質膜の透明性を有効に利用するためには、基材は、通常、透明である。
【0039】
プラスチックフィルムを構成するポリマーとしては、例えば、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリアルキレンナフタレートなど)、ポリアミド(ポリアミド6、ポリアミド6/6、ポリアミド6/10、ポリアミド6/12など)、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエステル、これらの共重合体、ブレンド物、架橋物などが挙げられる。これらのフィルムのうち、ポリオレフィン(特にポリプロピレン)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリアミドなどを用いる場合が多い。
プラスチックフィルムには、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、顔料などの慣用の添加剤を添加してもよい。また、多孔質膜との接着性を向上させるため、コロナ放電処理やアンダーコート処理などを行ってもよい。
【0040】
本発明の透明な高分子多孔質膜の製造方法においては、先ず、高分子と、この高分子に対する良溶媒、良溶媒よりも高沸点であり、かつ前記高分子に対する貧溶媒とを含むドープ液を基材上に塗布する。
そして、塗布されたドープ液を乾燥する乾燥工程では、沸点の低い良溶媒が優先的に蒸発する。この良溶媒の蒸発の進行に伴い、ドープ液中の高分子の溶解性が低下し、高分子はミセル(ゲル相)を形成して貧溶媒相と相分離する。さらに乾燥が進むと、ミセルが接触し網目構造が形成され、貧溶媒の蒸発の完了により、多孔質膜又は多孔質フィルムが形成される。
【0041】
そのため、乾燥条件も重要である。すなわち、塗布されたドープ液の乾燥工程では、一段で乾燥してもよいが、先ず低温で乾燥して、沸点の低い良溶媒を蒸発させ(例えば、実質的に沸点の低い良溶媒の蒸発を完了させ)、次いで高温での乾燥により残存する貧溶媒の蒸発を行う二段階乾燥を行うのが好ましい。二段階乾燥の乾燥条件は使用する良溶媒、貧溶媒の種類に応じて選択でき、一般に、一段目の乾燥は、温度10〜100℃(好ましくは20〜70℃、例えば、20〜60℃)程度で30秒〜60分(好ましくは1〜60分)程度行い、二段目の乾燥は、一段目の温度よりも高い温度、例えば、温度50〜150℃(好ましくは60〜130℃)程度で2秒〜30分(例えば2秒〜10分)程度行うのが好ましい。二段目の乾燥温度は、通常、一段目の温度よりも20℃以上(20〜120℃、好ましくは50〜110℃程度)高い温度から選択できる。また、一段目の乾燥は相対湿度50〜100%RH(好ましくは70〜100%RH)の高湿度雰囲気下で行うことが好ましい。
乾燥後、基材から剥離することにより、透明性の高い多孔質膜またフィルムが得られる。
【0042】
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、前記基材の少なくとも片面に多孔質膜が形成されている。このような積層フィルムは、前記の方法により基材上に形成した多孔質膜を、剥離することなく製造することができる。
さらに、本発明の積層フィルムには、一対の基材間に多孔質層が介在する積層フィルムも含まれる。このような積層フィルムは、基材上に多孔質膜を形成し、必要に応じて接着剤層を介して、前記多孔質膜上にさらに基材を積層することにより得ることができる。
【0043】
このような積層フィルムの多孔質層には、液晶分子、イオン導電体、2色性色素などの機能材料を含浸又は分散させ、機能フィルム(液晶性フィルム、導電性フィルムや多色偏光板など)として利用することができる。また、反射性金属体上に前記透明多孔質膜を積層することにより、光の干渉により着色する光学干渉フィルムとしても利用できる。
【0044】
本発明の多孔質膜は優れた透明性を有している。そのため、透明性が要求される広範な用途、例えば、結晶光学素子、記録用シート、機能フィルム材料、分離膜、酵素などを含浸させた分析素子などに使用できる。例えば、多孔質構造の膜又はフィルムを、インクジェットなどによる記録用シートのインク受像層に適用すると、インク吸収性を高めることができる。
[記録用シート]
この記録用シートは、図1に示されるように、基材1と、この基材の少なくとも一方の面に形成されたインク吸収層2と、このインク吸収層上に形成され、かつ細孔4を有する多孔質層3とで構成されている。前記記録用シートの受像層は、前記インク吸収層2と多孔質層3とで構成されている。
【0045】
前記基材としては、前記例示の基材が使用できる。基材の厚みは、用途に応じて選択でき、通常、5〜250μm、好ましくは10〜200μm程度であり、OHP用フィルムの厚みは、例えば、50〜200μm程度である。
前記基材の少なくとも一方の面に形成されたインク吸収層は、インクを吸収可能な物質で構成されている限り特に制限はない。前記インク吸収層は重合体で構成でき、重合体としては、例えば、天然高分子又はその誘導体、セルロース誘導体、オレフィン系重合体、アクリル系重合体、スチレン系重合体、ビニル系重合体(酢酸ビニル系共重合体、ビニルエーテル系重合体など)、ビニルアルコール系重合体、ポリアルキレンオキサイド、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスルホン、エポキシドから誘導される重合体などが挙げられる。これらの重合体は、親水性基(カルボキシル基,スルホン酸基などの酸性基又はそれらの塩,塩基性基又はその塩)を有していてもよい。
【0046】
インク吸収層は、特に水溶性高分子又は水不溶性であって吸水性を有する高分子(親水性高分子)の塗布層であるのが好ましい。
水溶性高分子又は水不溶性であって吸水性を有する高分子(親水性高分子)としては、親水性天然高分子又はその誘導体(澱粉、コーンスターチ、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン、デキストリンなど)、セルロース誘導体(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルローススルフェート、シアノエチルセルロースなど)、ビニルアルコール系重合体(ポリビニルアルコール,エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、エチレン系重合体(エチレン−無水マレイン酸共重合体など)、酢酸ビニル系共重合体(酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体など)、ポリエチレンオキサイド、カルボキシル基又はスルホン酸基を有する重合体又はその塩[アクリル系重合体[ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩(アンモニウム,ナトリウムなどのアルカリ金属塩),メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体,アクリル酸−ポリビニルアルコール共重合体など]、ビニルエーテル系重合体(ポリビニルメチルエーテル,ポリビニルイソブチルエーテルなどのポリビニルアルキルエーテル,メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体など)、スチレン系重合体(スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムなど)、ポリビニルスルホン酸ナトリウムなど]、窒素含有重合体(又はカチオン性ポリマー)又はその塩(ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩、ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンなど)、水分散性高分子(例えば、アクリル樹脂エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体ラテックス、ポリエステルエマルジョンなど)などが挙げられる。これらの親水性高分子は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの高分子のうち、セルロース誘導体(特にヒドロキシエチルセルロースなど)、ビニルアルコール系重合体(特にポリビニルアルコールなど)、ビニル系重合体(特に酢酸ビニル系共重合体など)、ポリビニルピロリドンなどが好ましく、特に酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体などの酢酸ビニル系共重合体が好ましい。
【0047】
前記酢酸ビニル系共重合体は、酢酸ビニルと他の共重合性モノマーとの共重合体であり、その部分ケン化物(例えば、ケン化度10〜90%程度の部分ケン化物)なども含まれる。共重合性モノマーとしては、例えば、オレフィン類又はジエン類(エチレン、プロピレン、ブタジエンなど)、マレイン酸ジアルキルエステル、(メタ)アクリル系単量体[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ含有(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有アクリレート、(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニルなど]、アリル系単量体(アリルアルコール,アリルイソシアネート,アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマーなど)、スルホン酸基又はその塩を含有するモノマー(スチレンスルホン酸およびそのナトリウム塩など)、カルボキシル基又はその塩を含有するモノマー((メタ)アクリル酸、クロトン酸,マレイン酸モノアルキルエステルなどのカルボキシル基又はその塩(ナトリウム塩など)など)、酸無水物基を含有するモノマー(無水マレイン酸など)、ビニル系単量体(ビニルイソシアネート、スチレンなどの芳香族ビニル単量体、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾールなどの複素環式ビニルアミン類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルトリスアルコキシラン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン含有ビニル単量体など)などが挙げられる。これらの共重合性モノマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0048】
好ましい共重合性モノマーには、親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホン酸基やこれらの塩、ヒドロキシル基、エーテル基など)を有する親水性モノマーが含まれ、特にエーテル基、なかでもオキシアルキレン単位を有するビニルモノマー、例えば、アルキレンオキサイドの単位(付加モル)数が1〜100、好ましくは2〜80(例えば、5〜80)、さらに好ましくは5〜70(例えば、10〜50)程度の(メタ)アクリル酸エステルやアリルエーテルなどが使用できる。
オキシアルキレン単位を有するビニルモノマーには、例えば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、トリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリブロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルなどが含まれる。これらのビニルモノマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいモノマーには、オキシアルキレン単位がオキシエチレン単位であるビニル単量体である(メタ)アクリレート、特にポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル(なかでもポリオキシエチレンアリルエーテル)が含まれる。
【0049】
共重合性モノマーの割合は、画像の鮮明性、耐水性などを損なわない範囲で選択でき、例えば、モノマー全体の0.1〜50モル%、好ましくは1〜30モル%、さらに好ましくは2.5〜25モル%(例えば、3〜20モル%)程度である。
なお、酢酸ビニルとポリオキシアルキレン単位を有するビニル単量体との共重合体(変性酢酸ビニル系樹脂)は、例えば、日本合成化学(株)から商品名「OKS−7158G」などとして入手できる。
【0050】
他の好ましい高分子には、エポキシ基を有する親水性高分子が含まれる。エポキシ基含有高分子は、(1)エポキシ基を有する単量体単位を有する単独又は共重合体、(2)樹脂のエポキシ化によるエポキシ化樹脂などのいずれであってもよい。エポキシ基含有単量体としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、メタアリルグリシジルエーテル、1−アリルオキシ−3,4−エポキシブタン、1−(3−ブテニルオキシ)−2,3−エポキシプロパン、4−ビニル−1−シクロへキセン−1,2エポキシドなどが例示できる。これらのエポキシ含有単量体は、単独で又は二種以上使用できる。好ましいエポキシ含有単量体には、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートなどが含まれる。
エポキシ含有単量体と共重合可能な共重合性モノマーとしては、酢酸ビニルや前記例示の共重合性モノマー、特に、ビニルエステル類(酢酸ビニルなど)、ビニルピロリドン、(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル酸C1-8 アルキルエステルなど)、カルボキシル基又はその塩を含有する単量体((メタ)アクリル酸又はその塩など)が使用できる。なお、前記高分子においてビニルエステル類の単位は、加水分解によりビニルアルコール単位を構成してもよい。
エポキシ基を含有する単量体の使用量(含有量)は、単量体全体に対して0.01〜10モル%(例えば、0.01〜5モル%)、好ましくは0.1〜3モル%(例えば、0.2〜2.5モル%)、特に0.2〜2モル%程度である。
【0051】
前記エポキシ基含有樹脂(2)において、親水性高分子をエポキシ化する方法としては、活性水素原子(例えば、水酸基,アミノ基,カルボキシル基など)を有する吸水性高分子又は水溶性高分子にエピクロルヒドリンを反応させ、エポキシ基を導入する方法などが採用できる。
エポキシ基の導入量は、前記と同様に、高分子全体に対して0.01〜10モル%(例えば、0.01〜5モル%)、好ましくは0.1〜3モル%(例えば、0.2〜2.5モル%)、さらに好ましくは0.2〜2モル%程度である。
【0052】
エポキシ基を有する好ましい高分子は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性アクリル系樹脂(例えば、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩,(メタ)アクリル酸C1-8 アルキルエステル−(メタ)アクリル酸共重合体又はその塩などのカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂又はその塩)から選択された少なくとも一種で構成できる。
【0053】
耐水性を向上させるため、前記インク吸収層には架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、例えば、有機系架橋剤[アミノ樹脂(尿素樹脂、グアナミン樹脂、メラミン樹脂など)、エポキシ系化合物、アミン化合物[エチレンジアミン,ヘキサメチレンジアミン,ポリオキシアルキレン型ジアミン又はポリアミン(すなわちポリエーテル型ジアミン又はポリアミン)などの脂肪族,脂環族,芳香族ジアミン又はポリアミン]、多価カルボン酸又は酸無水物、ポリイソシアネート、ブロック型ポリイソシアネートなど]、無機系架橋剤[ホウ酸又はホウ酸塩(硼砂など)、ジルコニウム化合物(例えば、ハロゲン化物、硫酸などの無機酸や酢酸などの有機酸との塩など)、チタニウム化合物(例えば、テトラエトキシチタネートなどのアルコキシドなど)、アルミニウム化合物(例えば、トリメトキシアルミネートなどのアルコキシドなど)、リン化合物(例えば、亜リン酸エステル、ビスフェノールA変性ポリリン酸など)、シランカップリング剤(アルコキシ基、グリシジル基などの反応性官能基を有するシリコーン化合物)など]などが例示できる。これらの架橋剤は単独で又は二種以上使用できる。
これらの架橋剤のうちポリイソシアネートを用いる場合が多く、エポキシ基含有高分子を用いる場合には、多価カルボン酸又は酸無水物類、アミン類(第1級又は第2級アミンなど)などのエポキシ硬化剤を用いる場合が多い。
【0054】
架橋剤の添加量は、重合体の種類などに応じて選択でき、例えば、重合体100の重量部に対して0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部程度である。
【0055】
また、インク吸収層は、粉粒体(顔料など)とバインダー樹脂とで構成してもよい。具体的な粉粒体としては、例えば、無機粉粒体[ホワイトカーボン、微粒子状珪酸カルシウム、ゼオライト、アミノ珪酸マグネシウム、焼成珪成土、微粒子状炭酸マグネシウム、微粒子状アルミナ、単一粒子が複数個凝集したウニ状又は球状の軽質炭酸カルシウムなどの多孔質粉粒体や顔料、タルク、カオリン、クレー、デラミカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、セリサイト、ベントナイト、スメクタイトなどの鉱物質粉粒体など]、有機粉粒体[ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの架橋又は非架僑有機微粒子、微小中空粒子などの有機質粉粒体など]が挙げられる。これらの粉粒体は1種又は2種以上適宜選択して併用可能である。
バインダー樹脂としては前記の水溶性高分子又は親水性高分子が使用できる。
【0056】
粉粒体とバインダー樹脂との割合は、得られる塗布液の操作特性(例えば、粘度、流動性)及び得られるインク吸収層の特性(例えば、インク吸収性、インクにじみ)により選択でき、バインダー樹脂100重量部に対して粉粒体0.1〜80重量部、好ましくは0.2〜50重量部程度である。
【0057】
インク吸収層の厚みは、用途に応じて選択でき、例えば、5〜50μm、好ましくは10〜30μm程度であり、通常、5〜30μm程度である。
【0058】
前記インク吸収層の上に形成された多孔質層は、水性インクに対して濡れ性を有し、かつ孔中に水性インクが浸透可能であれば特に制限されない。前記多孔質層は、前記のように、種々のポリマーで構成できる。
【0059】
好ましい多孔質層は、水性インクに対する濡れ性が高く、孔中に水性インクが侵入するに十分な親水性表面を有している。このような多孔質層は、親水性重合体又は親水化処理された重合体で構成できる。なお、親水性重合体又は親水化処理された重合体とは、接触角が80°未満(好ましくは0〜60°、特に0〜40°程度)の重合体を意味する。接触角とは、室温で、重合体面上の水滴の広がりが停止した状態で、水滴の表面と重合体面との交点において、水滴に対する接線と重合体面との間の角度である。
【0060】
親水性重合体としては、例示の重合体(前記インク吸収層と同様の親水性高分子、多孔質膜用の重合体)が使用できる。より具体的には、親水性重合体としては、例えば、セルロース誘導体、ビニル系重合体[(メタ)アクリロニトリル系重合体、(メタ)アクリル系重合体、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル及びその完全又は部分ケン化物(ポリビニルアルコールなど)、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びその完全又は部分ケン化物、ポリアルキルビニルエーテル、カルボキシル基含有重合体又はその塩など]、ポリアルキレンオキサイド(ポリエチレングリコールなど)、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどが挙げられる。これらの親水性重合体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0061】
なお、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、フッ素樹脂などの疎水性重合体であっても、界面活性剤、湿潤剤などの添加や塗布、プラズマ処理、コロナ放電処理などの処理により表面に親水性を付与することができ、このような親水性が付与された疎水性重合体も前記親水性重合体に含まれる。
【0062】
記録用シートにおいて、多孔質層の平均孔径は、例えば、0.001〜10μm(例えば、0.005〜10μm)、好ましくは0.005〜5μm(例えば、0.01〜5μm)、さらに好ましくは0.005〜2.5μm(例えば、0.005〜1μm)程度であってもよい。平均孔径が0.001μm未満では、インク吸収性がさほど改善されず、10μmを越えると耐水性や印字品質が低下しやすい。
【0063】
多孔質層は透明,半透明又は不透明のいずれであってもよい。透明性の高い多孔質層は、細孔の最大孔径が0.4μm以下であり、平均孔径が、0.01〜0.35μm(例えば、0.04〜0.3μm)、好ましくは0.05〜0.3μm(例えば、0.05〜0.2μm),さらに好ましくは0.07〜0.2μm程度である。
このような透明性の高い多孔質層を備えた記録用シートは、通常、波長400nmでの光線透過率が、55%以上(すなわち55〜100%)、好ましくは60〜100%、さらに好ましくは70〜100%、特に75〜100%程度であり、光線透過率80〜100%程度という高い透明性を有する記録用シートも得ることができ、OHP用シートとして有用である。
【0064】
多孔質層の空孔率は、インク吸収性に応じて選択でき、例えば、10〜70%(例えば、10〜65%)、好ましくは15〜65%(例えば、15〜50%)、さらに好ましくは20〜60%(例えば、20〜45%)程度である。
多孔質層の厚さは用途によって適宜選択でき、例えば、1〜100μm、好ましくは3〜50μm、特に3〜20μm程度である。多孔質層の厚さが1μm未満では、耐水性が不十分であり、100μmを越える場合には、透明性が低下したり、インクの吸収性が低下するおそれがある。
【0065】
[記録用シートの製造方法]
記録用シートは、前記基材の少なくとも片面に、インク吸収層と多孔質層とを順次形成することにより得ることができる。インク吸収層は前記インク吸収性重合体(親水性高分子)を含む塗布液を基材に塗布し乾燥することにより形成できる。インク吸収性層の塗布液は、前記高分子(親水性高分子など)と溶媒(水又は有機溶媒)とで構成され、後述する添加剤を含んでいてもよい。また、多孔質層は前記乾式相転換法を利用して形成できる。
【0066】
乾式相転換法の塗布液における良溶媒と貧溶媒との割合は、重合体の均一溶液を形成できる限り特に制限されず、通常、良溶媒100重量部に対して貧溶媒1〜100重量部、好ましくは2〜75重量部、さらに好ましくは3〜60重量部(例えば、10〜50重量部)程度の範囲から選択できる。なお、貧溶媒の割合が大きくなるにつれて、多孔質層が不透明化する場合が多い。そのため、透明性の高い多孔質層を形成する場合、良溶媒と貧溶媒との割合は、通常、良溶媒100重量部に対して貧溶媒1〜50重量部(例えば、3〜50重量部)、好ましくは2〜40重量部(例えば、5〜40重量部)、さらに好ましくは3〜35重量部(例えば、10〜35重量部)程度であり、通常、3〜30重量部程度である。
さらに、塗布液の重合体の含有量は、前記と同様である。
【0067】
インク吸収層及び/又は多孔質層の塗布液には、インク吸収層及び/又は多孔質層の特性を損なわない範囲で慣用の添加剤、例えば、消泡剤、塗布性改良剤、剤、顔料、アンチブロッキング剤などを添加してもよい。
記録用シートは、インクの小滴を飛翔させて記録するインクジェット方式による記録用シートとして有用であるが、オフセット印刷、フレキソ印刷などの印刷用シート(特に水性インキ用シート)などとしても利用できる。
【0068】
本発明の記録用シートは、インク吸収性、耐水性、アンチブロッキング性に優れ、画像の鮮明性(印字品質)が良好であり、インクジェットによる記録に適している。また、記録用シートは、多孔質層を備えていながら透明性に優れ、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)用に有用である。
【0069】
【発明の効果】
本発明の多孔質膜は、多孔質でありながら透明性が高い。また、乾式相分離法を利用するため、高い透明性の多孔質膜を高い生産性で製造できる。
【0070】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、実施例における透明性、平均孔径および空孔率は、次のようにして評価した。
[透明性]
分光光度計[(株)日立製作所製、分光光度計U−3300]を用い、波長400nmでの光線透過率を測定し透明性の指標とした。
[平均孔径および空孔率]
倍率5000倍で撮影した電子顕微鏡表面写真において、3箇所の所定面積(2cm×2cm)を画像処理装置で処理し、電子顕微鏡表面写真の各孔を真円として孔径を測定し、平均することにより平均孔径を求めた。
空孔率(%)は、計算式(孔の全面積/測定面積)×100により算出した。
【0071】
実施例1
酢酸セルロース(酢化度55%、粘度平均重合度170)8重量%のメチルセロソルブ溶液100重量部に、よく撹拌しながらシクロヘキサノール23.8重量部を添加してドープを作製した。離型紙上に、乾燥後の厚み30μmとなるように塗布し、35℃、90%RHの条件で5分間乾燥した後、100℃で2分間乾燥した。離型紙から剥離したフィルムは、平均孔径0.08μm、空孔率32%の多孔質フィルムであり、光線透過率は82%であり高い透明性を示した。
【0072】
実施例2
酢酸セルロース(酢化度55%、粘度平均重合度180)10重量%のメチルセロソルブ溶液100重量部に、よく撹拌しながらシクロヘキサノール4.8重量部を添加してドープを作製した。離型紙上に、乾燥後の厚み50μmとなるように塗布し、25℃、90%RHの条件で10分間乾燥した後、120℃で3分間乾燥した。離型紙から剥離したフィルムは、平均孔径0.10μm、空孔率45%の多孔質フィルムであり、光線透過率は73%であり高い透明性を示した。
【0073】
実施例3
酢酸セルロース(酢化度55%、粘度平均重合度170)8重量%のメチルセロソルブ溶液100重量部に、よく撹拌しながら4−メチルシクロヘキサノール13.7重量部を添加してドープを作製した。離型紙上に、乾燥後の厚み30μmとなるように塗布し、25℃、90%RHの条件で5分間乾燥した後、120℃で3分間乾燥した。離型紙から剥離したフィルムは、平均孔径0.07μm、空孔率33%の多孔質フィルムであり、光線透過率は81%であり高い透明性を示した。
【0074】
実施例4
酢酸セルロース(酢化度55%、粘度平均重合度170)8重量%のメチルセロソルブ溶液100重量部に、よく撹拌しながら3,5−ジメチルシクロヘキサノール9.2重量部を添加してドープを作製した。離型紙上に、乾燥後の厚み30μmとなるように塗布し、25℃、90%RHの条件で5分間乾燥した後、120℃で3分間乾燥した。離型紙から剥離したフィルムは、平均孔径0.08μm、空孔率35%の多孔質フィルムであり、光線透過率は78%であり高い透明性を示した。
【0075】
実施例5
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、実施例1のドープを、乾燥後の多孔質層の厚みが5μmとなるよう塗布し、35℃、90%RHの条件で5分間乾燥した後、100℃で30秒間乾燥した。得られたフィルムは平均孔径0.08μm、空孔率28%の多孔質層を表面に有する積層フィルムであり、光線透過率は80%であり、高い透明性を示した。
【0076】
実施例6
酢酸セルロース(酢化度44%、粘度平均重合度110)10重量%のメチルセロソルブ溶液100重量部に、よく攪拌しながらシクロヘキサノール15重量部添加してドープを作製した。ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、乾燥後の多孔質層の厚み5μmとなるようにドープを塗布し、25℃、90%RHの条件で10分間乾燥した後、100℃で30秒間乾燥した。さらに、多孔質層上に透明粘着剤を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルムを貼合わせて積層フィルムを得た。多孔質層の平均孔径は0.08μm、空孔率32%であり、積層フィルムの光線透過率は78%で高い透明性を有していた。
【0077】
比較例1
ポリエーテルスルホン18重量%のジメチルスルホキシド溶液を、乾燥後の厚み30μmとなるようにガラス板上に塗布し、25℃の水に1分間浸漬した。ガラス板から剥離し、自然乾燥したフィルムは、表面が緻密層、下層が孔径2〜7μmの多孔質層である非対称構造を有するフィルムであり、白色不透明であった。
【0078】
比較例2
アクリロニトリル−N−ビニルピロリドン共重合体(ダイセル化学工業(株)製,「DUY」、組成モル比98:2)14重量%のジメチルスルホキシド溶液を、乾燥後の厚み30μmとなるようにガラス板上に塗布し、25℃の水に1分間浸漬した。ガラス板から剥離し、自然乾燥したフィルムは、表面が緻密層、下層が孔径1〜5μmの多孔質層である非対称構造を有するフィルムであり、白色不透明であった。
【0079】
実施例7
ポリアクリロニトリル−N−ビニルピロリドン共重合体(ダイセル化学工業(株)製,「DUY」、組成モル比98:2)13重量%のN,N−ジメチルホルムアミド溶液100重量部に、よく攪拌しながら酢酸3−メトキシブチル15重量部を添加してドープを作製した。離型紙上に、乾燥後の厚み30μmとなるよう塗布し、70℃、90%RHの条件で1.5分間乾燥した後、120℃で3分間乾燥した。離型紙から剥離したフィルムは、平均孔径0.3μm、空孔率52%の多孔質フィルムであり、光線透過率は40%で優れた透明性を有していた。なお、離型紙に代えて、ポリビニルアルコールが塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を用いる以外、上記と同様にしても、上記と同様の結果を得た。
【0080】
実施例8
ポリアクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体(東洋紡績(株)製,「PAN−A」、組成モル比95:5)13重量%のN,N−ジメチルホルムアミド溶液100重量部に、よく攪拌しながら酢酸3−メトキシブチル15重量部添加してドープを作製した。離型紙上に、乾燥後の厚み30μmになるよう塗布し、70℃、90%RHの条件で1.5分間乾燥したのち、120℃で3分間乾燥した。離型紙から剥離したフィルムは、平均孔径0.2μm、空孔率33%の多孔質フィルムであり、光線透過率は40%で優れた透明性を有していた。
【0081】
実施例9
ポリアクリロニトリル−酢酸ビニル−ジエチルアミノエチルメタクリレート共重合体(東洋紡績(株)製,「PAN−C」、組成モル比89:8:3)13重量%のN,N−ジメチルホルムアミド溶液100部に、よく攪拌しながら酢酸3−メトキシブチル15重量部添加してドープを作製した。離型紙上に、乾燥後の厚み30μmになるよう塗布し、70℃、90%RHの条件で1.5分間乾燥したのち、120℃で3分間乾燥した。離型紙から剥離したフィルムは、平均孔径0.01μm、空孔率10%の多孔質フィルムであり、光線透過率は41%で優れた透明性を有していた。
【0082】
実施例10
アクリロニトリル−N−ビニルピロリドン共重合体(ダイセル化学工業(株)製,「DUY」、組成モル比98:2)13重量%のN,N−ジメチルホルムアミド溶液100重量部に、よく攪拌しながら2−ブトキシエタノール15重量部添加してドープを作製した。離型紙上に、乾燥後の厚み30μmになるよう塗布し、70℃、90%RHの条件で1.5分間乾燥したのち、120℃で3分間乾燥した。離型紙から剥離したフィルムは、平均孔径0.08μm、空孔率48%の多孔質フィルムであり、光線透過率は39%で優れた透明性を有していた。
【0083】
実施例11
乾燥条件を、温度50℃、湿度90%RHの条件で1.5分間乾燥した後、120℃で3分間乾燥する以外、実施例7と同様にして、平均孔径0.1μm、空孔率30%、光線透過率36%の多孔質フィルムを得た。
【0084】
比較例3
ポリサルホン(Udel社製,P−1700)の1,4−ジオキサン15重量%溶液100重量部に、よく攪拌しながら1,2−ジエトキシエタン2.6重量部を添加して塗布液を作製した。ポリビニルアルコールが塗布されたPETフィルム上に、生成するフィルムの厚みが30μmになるよう塗布し、25℃、95%RHの条件で5分間乾燥したのち、120℃で3分間乾燥した。
得られたフィルムは、平均孔径3μm、空孔率32%の多孔質フィルムであり、光線透過率は2%であった。
【0085】
実施例12
ポリメチルメタクリレート(Scientific Polymer Products社製)13重量%のN,N−ジメチルホルムアミド溶液100重量部に、よく攪拌しながら酢酸3−メトキシブチル15重量部を添加してドープを作製した。離型紙上に、乾燥後の厚み30μmになるよう塗布し、60℃、95%RHの条件で1.5分間乾燥した後、120℃で3分間乾燥した。離型紙から剥離したフィルムは、平均孔径0.15μm、空孔率45%の多孔質フィルムであり、光線透過率は75%であり高い透明性を示した。
【0086】
実施例13
ポリエーテルスルホン(住友化学工業(株)社製)14重量%のN,N−ジメチルホルムアミド溶液100重量部に、よく攪拌しながら酢酸3−メトキシブチル15重量部を添加してドープを作製した。離型紙上に、乾燥後の厚み30μmになるよう塗布し、60℃、95%RHの条件で1.5分間乾燥した後、120℃で3分間乾燥した。離型紙から剥離したフィルムは、平均孔径0.05μm、空孔率30%の多孔質フィルムであり、光線透過率は80%であり高い透明性を示した。
【0087】
[記録用シートとしての評価]
以下の実施例及び比較例で得られた積層フィルムについて記録用シートとしての下記の特性を調べた。
インクジェットプリンター(キャノン(株)製、BJC−420J)を使用し、得られた記録シートに、シアン、イエロー、マゼンダ、ブラックの各々の色をベタで印字し、記録画像を形成した。
[インク吸収性]
印字した後、一定時間ごとに印字部上に複写機(PPC)用コピー紙を載せ、コピー用紙の上から荷重(250g/cm2 )を10秒間かけた後、コピー紙を剥し、インクの裏移りの程度を目視で判断し、裏移りが認められなくなるまでの時間を基準にしてインク吸収性を評価した。
[耐水性]
印字した後、印字部を、水を含ませた綿棒で3往復拭き、下記の基準で、インクの取れ具合を目視で判断したる。
◎ 変化なし
○ インクが少し取れ、印字部が薄くなる
× 拭いた部分の印字部が完全に取れる
[画像の鮮明性]
イエローベースと、このベース上にマゼンタライン(幅100μm)を印字後、顕微鏡で50倍に拡大し、ドットを観察し、下記の基準で評価した。
◎ ドットがほとんど滲んでいない
○ ドットが少し滲み、実測値が120μmより大きくなっている
× ドットが滲み、隣接するイエローとマゼンタのドットの境目が判別できない
[耐ブロッキング性]
記録用シートを2枚以上重ねて、荷重(40g/cm2 )をかけて温度40℃、湿度90%RHの条件下で1日間保存し、下記の基準で評価した。
◎ マッティングおよびブロッキングがない
○ マッティングが認められるもののブロッキングしていない
× ブロッキングしている。
【0088】
実施例14
厚さ100μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)製、メリネックス705)に、変性酢酸ビニル系共重合体(日本合成化学製、OKS−7158G)の15重量%水溶液を塗布し、120℃で3分間乾燥することにより、厚さ15μmのインク吸収層を形成した。酢酸セルロース(平均酢化度:55、粘度平均重合度:170)のメチルセロソルブ8重量%溶液100重量部にシクロヘキサノール23.8重量部を添加して塗布液(ドープ)を調製した。この塗布液を前記インク吸収層上に塗布し、温度35℃、湿度90%RHの雰囲気下で5分間乾燥したのち、120℃で3分間乾燥し、平均孔径0.08μm、空孔率32%、厚さ5μmの多孔質層を形成した。
得られた記録用シートの波長400nmの光線透過率は78%であり、優れた透明性を有していた。
【0089】
実施例15
厚さ100μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)製、メリネックス705)に、変性酢酸ビニル系共重合体(日本合成化学製、OKS−7158G)の15重量%水溶液を塗布し、120℃で3分間乾燥することにより、厚さ15μmのインク吸収層を形成した。酢酸セルロース(平均酢化度:55、粘度平均重合度:170)のメチルセロソルブ8重量%溶液100重量部にシクロヘキサノール45重量部を添加して塗布液(ドープ)を調製し、この塗布液を前記インク吸収層上に塗布し、温度35℃、湿度90%RHの雰囲気下で5分間乾燥したのち、120℃で3分間乾燥し、平均孔径1.1μm、空孔率55%、厚さ5μmの白色多孔質膜を形成した。
【0090】
比較例4
厚さ100μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)製、メリネックス705)に、変性酢酸ビニル系共重合体(日本合成化学製、OKS−7158G)の15重量%水溶液を塗布し、120℃で3分間乾燥して厚さ15μmのインク吸収層を形成した。
【0091】
実施例16
厚さ100μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)製、メリネックス705)に、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量:360000)の10重量%水溶液を塗布し、120℃で3分間乾燥することにより、厚さ10μmのインク吸収層を形成した。酢酸セルロース(平均酢化度:55、粘度平均重合度:170)のメチルセロソルブ8重量%溶液100重量部に、4−メチルシクロヘキサノール13.7重量部を添加して塗布液(ドープ)を調製した。この塗布液を前記インク吸収層上に塗布し、温度25℃、湿度90%RHの雰囲気下で5分間乾燥したのち、120℃で3分間乾燥し、平均孔径0.07μm、空孔率33%、厚さ7μmの多孔質層を形成した。
得られた記録用シートの波長400nmでの光線透過率は78%であり、優れた透明性を有していた。
【0092】
実施例17
厚さ100μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)製、メリネックス705)に、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量:360000)の10重量%水溶液を塗布し、120℃で3分間乾燥することにより、厚さ10μmのインク吸収層を形成した。酢酸セルロース(平均酢化度:44、粘度平均重合度:110)2重量部と酢酸セルロース(平均酢化度:55、粘度平均重合度:180)8重量部とメチルセロソルブ90重量部からなる溶液に、シクロヘキサノール45.5重量部を添加して塗布液(ドープ)を調製した。この塗布液を前記インク吸収層上に塗布し、温度25℃、湿度90%RHの雰囲気下で10分間乾燥したのち、120℃で3分間乾燥し、平均孔径0.8μm、空孔率53%、厚さ10μmの白色多孔質層を形成した。
【0093】
比較例5
厚さ100μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)製、メリネックス705)に、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量:360000)の10重量%水溶液を塗布し、120℃で3分間乾燥することにより、厚さ10μmのインク吸収層を形成した。
【0094】
実施例18
厚さ100μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)製、メリネックス705)に、ポリビニルアルコール/アリルグリシジルエーテル共重合体(以下、PVA/AGE共重合体という。PVA部のケン化度:80%、共重合組成比:PVA/AGE=99.5/0.5(モル比)、重合度:500)の10重量%水溶液100重量部にポリオキシプロピレン−α,ω−ジアミン(分子量:230)の5重量%水溶液2重量部を添加して調製した塗布液を塗布し、120℃で10分間乾燥することにより、厚さ10μmのインク吸収層を形成した。酢酸セルロース(平均酢化度:55、粘度平均重合度:180)のメチルセロソルブ10重量%溶液100重量部に、シクロヘキサノール4.8重量部を添加して塗布液(ドープ)を調製した。この塗布液を前記インク吸収層上に塗布し、温度25℃、湿度90%RHの雰囲気下で10分間乾燥したのち、120℃で3分間乾燥し、平均孔径0.10μm、空孔率45%、厚さ10μmの多孔質層を形成した。
得られた記録用シートの波長400nmでの光線透過率は71%であり、優れた透明性を有していた。
【0095】
実施例19
厚さ100μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)製、メリネックス705)に、PVA/AGE共重合体(PVA部のケン化度:80%、共重合組成比:PVA/AGE=99.5/0.5(モル比)、重合度:500)の10重量%水溶液100重量部にポリオキシプロピレン−α,ω−ジアミン(分子量:230)の5重量%水溶液2重量部を添加して調製した塗布液を塗布し、120℃で10分間乾燥することにより、厚さ10μmのインク吸収層を形成した。酢酸セルロース(平均酢化度:55、粘度平均重合度:170)のジメトキシエタン5重量%溶液100重量部にギ酸アミル22.3重量部を添加して塗布液(ドープ)を調製した。この塗布液を前記インク吸収層上に塗布し、温度25℃、湿度70%RHの雰囲気下で5分間乾燥したのち、120℃で3分間乾燥し、平均孔径1.5μm、空孔率60%、厚さ5μmの白色多孔質層を形成した。
【0096】
比較例6
厚さ100μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)製、メリネックス705)に、PVA/AGE共重合体(PVA部のケン化度:80%、共重合組成比:PVA/AGE=99.5/0.5(モル比)、重合度:500)の10重量%水溶液100重量部にポリオキシプロピレン−α,ω−ジアミン(分子量:230)の5重量%水溶液2重量部を添加して調製した塗布液を塗布し、120℃で10分間乾燥することにより、厚さ10μmのインク吸収層を形成した。
【0097】
実施例20
厚さ100μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)製、メリネックス705)に、PVA/AGE共重合体(PVA部のケン化度:80%、共重合組成比:PVA/AGE=99.5/0.5(モル比)、重合度:500)の10重量%水溶液100重量部にヘキサメチレンジアミンの5重量%水溶液1重量部を添加して調製した塗布液を塗布し、120℃で10分間乾燥することにより、厚さ10μmのインク吸収層を形成した。酢酸セルロース(平均酢化度:55、粘度平均重合度:170)のメチルセロソルブ8重量%溶液100重量部に、3,5−ジメチルシクロヘキサノール9.2重量部を添加して塗布液(ドープ)を調製した。この塗布液を前記インク吸収層上に塗布し、温度25℃、湿度90%RHの雰囲気下で10分間乾燥したのち、120℃で3分間乾燥し、平均孔径0.08μm、空孔率35%、厚さ10μmの多孔質層を形成した。
得られた記録用シートの波長400nmでの光線透過率は76%であり、優れた透明性を有していた。
【0098】
実施例21
厚さ100μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)製、メリネックス705)に、PVA/AGE共重合体(PVA部のケン化度:80%、共重合組成比:PVA/AGE=99.5/0.5(モル比)、重合度:500)の10重量%水溶液100重量部にヘキサメチレンジアミンの5重量%水溶液1重量部を添加して調製した塗布液を塗布し、120℃で10分間乾燥することにより、厚さ10μmのインク吸収層を形成した。酢酸セルロース(平均酢化度:55、粘度平均重合度:170)のメチルセロソルブ5重量%溶液100重量部に、安息香酸エチル36.8重量部を添加して塗布液(ドープ)を調製した。この塗布液を前記インク吸収層上に塗布し、温度25℃、湿度80%RHの雰囲気下で10分間乾燥したのち、130℃で10分間乾燥し、平均孔径1.7μm、空孔率58%、厚さ7μmの白色多孔質層を形成した。
【0099】
比較例7
厚さ100μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)製、メリネックス705)に、PVA/AGE共重合体(PVA部のケン化度:80%、共重合組成比:PVA/AGE=99.5/0.5(モル比)、重合度:500)の10重量%水溶液100重量部にヘキサメチレンジアミンの5重量%水溶液1重量部を添加して調製した塗布液を塗布し、120℃で10分間乾燥することにより、厚さ10μmのインク吸収層を形成した。
【0100】
実施例22
厚さ100μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)製、メリネックス705)に、合成非結晶シリカ(サイロイド74、富士デビィソン社製)100重量部、ポリビニルアルコール(PVA−613、クラレ(株)製)40重量部、カチオン性樹脂(ポリフィクス601、昭和高分子(株)製)20重量部からなる固形分濃度14重量%の水性塗布液を塗布し、120℃で10分間乾燥することにより、厚さ10μmのインク吸収層を形成した。酢酸セルロース(平均酢化度:55、粘度平均重合度:170)のメチルセロソルブ8重量%溶液100重量部に、ジイソブチルケトン32.4重量部を添加して塗布液(ドープ)を調製した。この塗布液を前記インク吸収層上に塗布し、温度25℃、湿度80%RHの雰囲気下で15分間乾燥したのち、120℃で3分間乾燥し、平均孔径1.8μm、空孔率55%、厚さ10μmの白色多孔質層を形成した。
【0101】
比較例8
厚さ100μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)製、メリネックス705)に、合成非結晶シリカ(サイロイド74、富士デビィソン社製)100重量部、ポリビニルアルコール(PVA−613、クラレ(株)製)40重量部、カチオン性樹脂(ポリフィクス601、昭和高分子(株)製)20重量部からなる固形分濃度14重量%の水性塗布液を塗布し、120℃で10分間乾燥することにより、厚さ10μmのインク吸収層を形成した。
【0102】
そして、実施例及び比較例で得られた記録用シートの特性を評価したところ、表に示す結果を得た。
【0103】
【表1】
表1から明らかなように、実施例の記録用シートを用いると、インク吸収性、画像の鮮明性が良好であり、耐水性、耐ブロッキング性も高い。これに対して、比較例の記録用シートを用いると、インク吸収性、画像の鮮明性は比較的良好であるものの、耐水性、耐ブロッキング性が十分でない。
【0104】
前記実施例7〜実施例11および比較例3について、記録用シートとしての評価結果を表2に示す。なお、実施例7〜実施例11および比較例3においては、耐水性および印刷性を次のようにして評価した。
[耐水性]
印字部を30℃の水に1分間浸漬した後、垂直に引き上げ、水を良く切り乾燥した。乾燥後、下記の基準で印字部を目視で評価した。
○ 印字部が完全に残っている
△ 印字部に滲みが認められる
× 印字部が残っていない
[印刷状態]
下記の基準で印字部の印刷状態を目視で評価した。
○ 印字部が均一に印字されている
△ 印字部に滲みが認められる
× 印字部の滲みが大きい
【0105】
【表2】
実施例23
厚さ100μmの易接着処理済ポリエチレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)製、メリネックス705)に、変性酢酸ビニル系共重合体(日本合成化学工業(株)製,OKS−7158G)の15重量%水溶液を塗布し、120℃で3分間乾燥することにより、厚さ15μmのインク吸収層を形成した。
【0106】
ポリメチルメタクリレート(Scientific Polymer Products社製)13重量%のN,N−ジメチルホルムアミド溶液100重量部に、よく攪拌しながら酢酸3−メトキシブチル15重量部を添加して塗布液(ドープ)を作製した。この塗布液を前記インク吸収層上に塗布し、温度60℃、湿度95%RHの条件で1.5分間乾燥した後、120℃で3分間乾燥し、平均孔径0.15μm、空孔率45%、厚み10μmの多孔質層を形成した。
得られた記録用シートの波長400nmでの光線透過率は72%であり、優れた透明性を有していた。
また、記録用シートとしての評価を行ったところ、インク吸収性:1分,耐水性:◎,画像の鮮明性:◎,耐ブロッキング性:◎であった。
【0107】
実施例24
厚さ100μmの易接着処理済ポリエチレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)製、メリネックス705)に、変性酢酸ビニル系共重合体(日本合成化学工業(株)製,OKS−7158G)の15重量%水溶液を塗布し、120℃で3分間乾燥することにより、厚さ15μmのインク吸収層を形成した。ポリエーテルスルホン(住友化学工業(株)社製,P4800)14重量%のN,N−ジメチルホルムアミド溶液100重量部に、よく攪拌しながら酢酸3−メトキシブチル15重量部を添加して塗布液(ドープ)を作製した。この塗布液を前記インク吸収層上に塗布し、温度60℃、湿度95%RHの条件で1.5分間乾燥した後、120℃で3分間乾燥し、平均孔径0.05μm、空孔率30%、厚み10μmの多孔質層を形成した。
得られた記録用シートの波長400nmでの光線透過率は75%であり、優れた透明性を有していた。
また、記録用シートとしての評価を行ったところ、インク吸収性:1分,耐水性:◎,画像の鮮明性:◎,耐ブロッキング性:◎であった。
【0108】
比較例9
酢酸セルロース(酢化度55%、平均重合度170)8重量%のアセトン溶液を、乾燥後の厚み30μmとなるようにガラス板上に塗布し、25℃の水に1分間浸漬した。ガラス板から剥離し、自然乾燥したフィルムは、表面が緻密層、下層が孔径3〜8μmの多孔質層である非対称構造を有するフィルムであり、白色不透明であった。
【0109】
比較例10
酢酸セルロース(酢化度55%、平均重合度:170)8重量%のアセトン溶液を、離型紙上に、乾燥後の厚み30μmとなるように塗布し、40℃、50%RHの条件で5分乾燥した後、120℃で3分間乾燥した。離型紙から剥離し、自然乾燥したフィルムは、光線透過率85%で高い透明性を示したが、非多孔質フィルムであった。
【0110】
比較例11
アクリロニトリル−N−ビニルピロリドン共重合体(ダイセル化学工業(株)製,「DUY」、組成モル比98:2)14重量%のジメチルスルホキシド溶液を、離型紙上に、乾燥後の厚み30μmとなるように塗布し、70℃、90%RHの条件で1.5分間乾燥した後、120℃で3分間乾燥した。離型紙から剥離し、自然乾燥したフィルムは、光線透過率82%で高い透明性を示したが、非多孔質フィルムであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施形態の一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は実施例1の多孔質フィルムの断面を示す電子顕微鏡写真(図面代用写真)である。
【図3】図3は実施例1の多孔質フィルムの表面を示す電子顕微鏡写真(図面代用写真)である。
【図4】図4は実施例7の多孔質フィルムの表面を示す電子顕微鏡写真(図面代用写真)である。
【符号の説明】
1:基材
2:インク吸収層
3:多孔質層
4:孔
Claims (13)
- 基材の少なくとも片面に多孔質層が形成されている積層フィルムであって、前記多孔質層が(1)下記(a)〜(c)から選択された少なくとも一種の高分子で構成され、(2)空孔率が10〜60%であり、(3)波長400nmの光線透過率が30%以上であり、かつ(4)ミクロ相分離構造を有する積層フィルム。
(a)酢化度42〜62%、粘度平均重合度50〜800の酢酸セルロース、
(b)(メタ)アクリロニトリル,(メタ)アクリル酸エステル系単量体,ビニルエステル系単量体,複素環式ビニル系単量体,芳香族ビニル単量体,重合性不飽和ジカルボン酸又はその誘導体から選択され、かつ(メタ)アクリロニトリルおよび(メタ)アクリル酸エステル系単量体のうち少なくともいずれか一つの単量体から得られた単独又は共重合体、および
(c)ポリスルホン及びポリエーテルスルホンから選択された少なくとも一種 - 多孔質層が平均孔径0.002〜0.35μm、最大孔径0.4μm以下の細孔を有する請求項1記載の積層フィルム。
- 多孔質層の波長400nmの光線透過率が50%以上である請求項1記載の積層フィルム。
- 基材間に、多孔質層が介在する請求項1記載の積層フィルム。
- 高分子と、この高分子に対する良溶媒と、この良溶媒よりも沸点が高く、前記高分子に対する貧溶媒とを含むドープを基材に流延又は塗布し、塗膜を乾燥する請求項1記載の積層フィルムの製造方法。
- ドープが、高分子と、ケトン類、エステル類、エーテル類、セロソルブ類、セロソルブアセテート類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、ニトロ化合物、アミド類、スルホキシド類、およびニトリル類から選択され、かつ沸点が35〜200℃である少なくとも一種の良溶媒と、エステル類、アルコール類、ケトン類、エーテル類および脂肪族炭化水素類から選択され、かつ沸点が100〜230℃である少なくとも一種の貧溶媒とを含む請求項5記載の積層フィルムの製造方法。
- ドープが、C3−5ジアルキルケトン、酢酸C1−4アルキルエステル、環状又は鎖状C4−6エーテル、C1−4アルキル−セロソルブ、C1−4アルキル−セロソルブアセテート、モノ又はジC1−4アシルアミド、ジC1−3アルキルスルホキシド、およびC1−6アルキルニトリルから選択された少なくとも一種の良溶媒と、ギ酸C5−8アルキルエステル、C1−4アルコキシ基を有していてもよいC2−4脂肪族カルボン酸−C3−10アルキルエステル、安息香酸C1−4アルキルエステル、アルキル基を有していてもよいC4−8シクロアルカノール、C2−6アルコキシ−C1−4アルコール、C6−10ジアルキルケトン、C7−10エーテルおよびC5−20脂肪族炭化水素類から選択された少なくとも一種の貧溶媒とを含む請求項5記載の積層フィルムの製造方法。
- 良溶媒と貧溶媒との沸点差が20〜60℃である請求項5記載の積層フィルムの製造方法。
- 温度10〜100℃、湿度50〜90%RHの条件下で30秒〜60分乾燥した後、前記温度よりも高温度でさらに2秒〜30分乾燥する請求項5記載の積層フィルムの製造方法。
- 貧溶媒の割合が、良溶媒100重量部に対して1〜50重量部である請求項5記載の積層フィルムの製造方法。
- ドープが、高分子5〜30重量%の良溶媒溶液100重量部に対して、貧溶媒3〜40重量部を含む請求項5記載の積層フィルムの製造方法。
- 請求項1記載の積層フィルムで構成された記録用シートであって、基材と多孔質層との間に、さらにインク吸収層が介在する記録用シート。
- 多孔質層の平均孔径が0.001〜10μmである請求項12記載の記録用シート。
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