JP4595297B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料電池システムに関する。特に、低温環境下における起動を速やかに行うための構造を備えた燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の燃料電池システムにおいて、燃料ガスに水を添加しながら運転する固体高分子型燃料電池を用いたものが知られている。これは例えば制御部において、電池本体の開路電圧を計測し、計測値が予め設定されている設定開路電圧以上であるか否かを判断する。設定開路電圧以上であれば、検出用負荷を投入して電流を取り出し、電圧計で電池本体の電圧を計測する。そして、計測値が設定負荷電圧以上であるか否かを判断する。計測値が設定負荷電圧以上になるまでは、アノード側チャネルには燃料ガスだけが供給される。計測値が設定負荷電圧以上になれば、アノード側チャネルに気液混合物の供給を開始し、外部負荷に対して電力の供給を開始して、通常運転に入る。このように、起動時にアノード側のチャネルが水で閉塞していてもそれをすみやかに解消することによって、アノード層の損傷を防止しつつ起動時間を短縮する起動方法が知られている(例えば、特許文献1、参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−315843号公報
【0004】
【発明が解決しようとしている問題点】
しかしながら、このような固体高分子電解質型燃料電池の起動方法では、氷点下の低温状態でスタックを起動するときに電流を取り出すと、発電により生成した水がスタックのチャネル内で凍結し始めて、反応ガスが電極触媒反応部へ到達するのを阻害するという問題があった。すなわち、低温環境下で燃料電池を起動する際に氷が触媒への供給路を閉塞してしまうと、燃料ガスを供給しても電気化学反応が進まず、発電ができなくなるために燃料電池を起動できない。つまり、一旦チャネルが水で閉塞してしまったら、それを解消することは困難であるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、暖機時間を短縮することにより起動時の生成水の凍結を抑制することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0006】
【問題点を解決するための手段】
燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行う一つあるいは複数のセルを備えた燃料電池と、少なくとも前記燃料電池から取り出す電流または電圧を調整する電気回路と、を備える。また、一つあるいは複数のセルの内部抵抗と反応抵抗とから、氷点下からの起動時に、前記セルの電圧がカーボンの酸化反応が進行する腐食電位を下回らない範囲で、最大の取り出し電流を求める。
【0007】
【作用及び効果】
一つあるいは複数のセルの内部抵抗と反応抵抗とから、氷点下からの起動時に、セルの電圧がカーボンの酸化反応が進行する腐食電位を下回らない範囲で、取り出し電流を最大に設定することで、要求電力に係わらず発電反応が促進される。その結果、燃料電池の自己発熱を促進させることができ、暖機時間を短縮できるので、起動時の生成水が凍結するのを抑制することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態について説明する。燃料電池システムの概略構成を図1を用いて説明する。
【0009】
アノード1aに燃料ガスとして水素を、カソード1cに酸化剤ガスとして空気を供給して発電を行う燃料電池1を備える。また、アノード1aに水素を供給するアノード系2を備え、アノード系2には、水素ガス流量および圧力を調整する水素制御装置3を備える。また、カソード1cに空気を供給するカソード系4を備え、カソード系4には、空気流量および圧力を調整する空気制御装置5を備える。後述するコントローラ11またはその他の制御手段において、所望の起電力を生じるのに必要な水素及び空気を燃料電池1に供給する。発電後の排水素および排空気は、図示しない燃焼器等において燃焼処理した後、システム外部に排出する。または、発電反応に再利用したり、暖機に用いてもよい。
【0010】
また、燃料電池1を、定電流制御回路6、インバータ7を介して負荷8に電気的に接続する。定電流制御回路6として、燃料電池1が負の電圧となるように電流を取り出す(実際には電流を供給する)こともできるものを用いる。定電流制御回路6を制御する手段として、コントローラ11を備える。また、燃料電池1の温度を計測する温度センサ9、電圧を計測する電圧センサ10を備える。温度センサ9としては、例えば、後述するようにセルを構成するセパレータ24に溝を形成し、その溝にガス拡散層23に触れるように配置した熱電対を用いる。
【0011】
コントローラ11では、燃料電池1の温度および電圧に応じて、定電流制御回路6を制御することにより、燃料電池1から取り出す電流を調整する。また、燃料電池1から取り出した電流は、インバータ7において交流に変換され、負荷8に供給される。なお、定電流制御回路6の替わりに、定電圧制御回路を備えて、取り出し電圧を指示してもよい。また、後述するように、低温起動時には、要求電力以上の電力を燃料電池1から取り出す可能性があるので、この電力を蓄電するバッテリ等を備えても良い。またこの電力を熱に変換してスタックを暖めるヒータを備えても良い。
【0012】
次に、燃料電池1の構成を、図2を用いて説明する。本実施形態では、燃料電池1として一つのセルを備えたものを示すが、複数のセルを積層したスタックにより構成してもよい。なお、電圧センサ10では、燃料電池1を構成するセルのセル電圧Vcを計測する。
【0013】
アノード1aおよびカソード1cを、それぞれ触媒層22とガス拡散層23とから構成する。触媒層22を、電解質(ナフィオン)溶液をバインダとして用いて白金触媒をカーボンに担持することにより構成する。電解質膜21を触媒層22で狭持し、さらにその外側からガス拡散層23で狭持することにより膜電極接合体(以下、MEA)を構成する。MEA積層面の外周に沿ってガス漏れを防ぐためのシール26を構成する。
【0014】
MEAのさらに積層方向外側には、セパレータ24を配置する。アノード1A側のセパレータ24aのMEAに対峙する面に形成した溝により水素ガス流路27を構成する。カソード1c側のセパレータ24cのMEAに対峙する面に形成した溝により空気ガス流路28を構成する。また、セパレータ24のガス拡散層23との接触面に溝を設け、前述したように温度センサ9を備える。
【0015】
セパレータ24のさらに積層方向外側にはエンドプレート25を備える。また、積層方向に貫通するボルト29を備え、エンドプレート25の外側から積層方向に所定の圧力をかけることにより燃料電池1を組み立てる。
【0016】
発電時には、アノード系2から供給された水素が水素ガス流路27に分配されて、アノード1aに供給される。水素はガス拡散層23aにおいて、発電面に拡散し、触媒層22aに到達する。ここで、白金を用いた触媒反応(H2→2H++2e-)を生じる。この反応により生じたプロトンは、電解質膜21をアノード1aからカソード1cに向かって移動する。また、カソード系4から供給された空気が空気ガス流路28に分配されてカソード1cに供給される。空気は、ガス拡散層23cにおいて発電面に拡散し、触媒層22cに到達する。ここで、白金を用いた触媒反応(1/2O2+2H++2e-→H2O)を生じる。このように、カソード1cでは、電解質膜21を移動したプロトンと、空気中の酸素とが反応して水が生成される。このような燃料電池1を氷点下の低温状態で起動すると、発電により生成した水が燃料電池1内で凍結し、触媒層22への反応ガスの到達を阻害する可能性がある。
【0017】
そこで、低温起動時には、生成水の凍結により性能が低下する前に、セルを氷点以上に昇温させることにより、燃料電池1の発電停止を防止する。ここでは、要求負荷にかかわらず、燃料電池1の劣化を避けることができる範囲で、最大の電流(以下、最大電流Imax)を取り出すことにより、燃料電池1の自己発熱を促進して暖機時間を短縮する。以下、起動時の制御方法を図3に示したフローチャートを用いて説明する。
【0018】
燃料電池システムの起動を指示する信号を検知したら、本制御を開始する。なお、停止時には、セル温度Tcが氷点に達する前に予め乾燥操作を行うことにより、配管や水素ガス流路27、空気ガス流路28に水が残留して凍結することがないようにしておく。
【0019】
ステップS1において、燃料電池1の温度を計測する。ここでは、温度センサ9を用いてセル温度Tcを計測する。次に、ステップS2において、計測したセル温度Tcが氷点以上か否かを判断する。つまり、燃料電池1内に凍結が生じる可能性があるか否かを判断する。なお、この凍結可能性の判断を、外気温度に応じて行ってもよい。ステップS2において、氷点以上の場合には、ステップS3に進み、通常の起動モードにより起動する。ここでは、通常の起動モードについては省略する。
【0020】
一方、氷点下の場合には低温起動モードを開始する。以下、低温起動モードについて説明する。
【0021】
ステップS4において、アノード1aに水素、カソード1cに空気の供給を開始する。ステップS5において、セル電圧Vcを計測する。次に、ステップS5において、セル電圧Vcが所定電圧V1以上であるか否かを判断する。ここで、所定電圧V1は、電力を取り出すことができるセル状態を示す電圧の下限値、またはそれ以上の値とする。例えば、所定電圧V1を0.9Vとする。なお、スタック構造の場合にはスタック電圧を計測し、これから電力を取り出せるか否かを判断してもよい。セル電圧Vcが所定電圧V1に達していない場合には、ステップS7において所定時間待機し、再びステップS5に戻りセル電圧Vcを計測する。セル電圧Vcが所定電圧V1に達するまでこれを繰り返し、所定電圧V1以上となったら、ステップS8に進む。
【0022】
ステップS8において、燃料電池1から電流の取り出しを開始する。このときの取り出す電流は、取り出し電流Iの初期値であり、温度に対して予め設定しておく。または、例えば15A等の固定値としてもよい。
【0023】
ステップS9において、再び、セル電圧Vcを計測する。ステップS10において、計測されたセル電圧Vcが所定電圧範囲V2であるか否かを判断する。ここで、所定電圧範囲V2を、触媒層22のカーボン劣化を避けることができる電圧の下限値を含むそれ以上の範囲、または、前記下限値近傍のそれ以上の範囲とする。セル電圧Vcがこの所定電圧範囲V2の場合には、カーボン劣化を避けつつ、セルから最大の電流を取り出している状態となる。つまり、セル電圧Vcが所定電圧範囲V2の場合には、取り出し電流Iは、燃料電池1の劣化を避けることができる範囲内での最大電流Imaxに設定されている。
【0024】
なお、ここでは所定電圧範囲V2としているため、このときの取り出し電流Iは、劣化を避けつつ取り出すことができる電流の上限を含む電流値範囲内の値となる。ここでは、所定電圧範囲V2を0.1V〜0.2Vとする。所定電圧範囲V2をある所定電圧値、例えば所定電圧範囲V2の下限値V2iとした場合には、取り出し電流Iは、劣化を避けつつ取り出すことができる電流の上限値となる。
【0025】
セル電圧Vcが所定電圧範囲V2以内ではない場合には、ステップS11に進む。ステップS11においては、セル電圧値Vcに応じて、取り出し電流Iを再設定する。セル電圧Vcが所定電圧範囲V2よりも大きい場合には、システムが許す限りの範囲内で取り出し電流Iを大きく設定する。これにより、発電反応が増加するので、燃料電池1の自己発熱を促進することができる。一方、所定電圧範囲V2より低い場合には、取り出し電流Iを小さく設定する。これにより、セル電圧Vcが所定電圧範囲V2以内となるように制御することができるので、触媒層22のカーボン劣化を避けることができる。このように制御することで、取り出し電流Iを、劣化を避けることができる電流範囲内の最大電流Imaxに設定できるので、燃料電池1の劣化を防ぎつつ、暖機時間を短縮することができる。
【0026】
ステップS11において、取り出し電流Iを設定したら、ステップS9に戻り、再びセル電圧Vcを計測する。セル電圧Vcが所定電圧範囲V2内となるまで繰り返し、所定電圧範囲V2内となったら、ステップS12に進む。なお、セル電圧Vcが所定電圧範囲V2内となったことを検知したら、その後は、次に取り出し電流Iを設定するまでその時点での取り出し電流Iを維持するか、PID等の一般的な制御を行うことが好ましい。
【0027】
ステップS12において、セル温度Tcを計測する。ステップS13において、セル温度Tcが氷点以上か否かを判断する。つまり、生成水の再凍結が生じる可能性があるか否かを判断する。なお、触媒層22の氷が解凍する温度はほぼ0℃であると考えられるが、計測する箇所に基づいて凍結可能性を判断する温度を考慮する必要がある。例えば、MEAでは一般にセパレータ24よりも先に温度が上昇する。このことを考慮して、セパレータ24の温度を計測している場合、セパレータ24の温度が0℃より低い、例えば−0.5℃を検知した時に通常運転に移行するという制御方法を検討することが好ましい。
【0028】
ステップS13において再凍結の可能性があると判断された場合には、ステップS14において所定時間待機してから、ステップS9に戻り、取り出し電流Iを最大電流Imaxに設定する制御を継続する。一方、ステップS13において、再凍結の可能性がないと判断されたら、起動制御を終了して通常の運転モードに移行する。
【0029】
このように、低温環境下から起動において、セル電圧Vcが所定電圧範囲V2内となるように制御しながら最大の電流を取り出して発電反応を行う。これにより、低温起動時に、燃料電池1の劣化を避けた範囲内で取り出し電流を略最大に設定することができるので、燃料電池1の温度を速やかに上昇させることができる。その結果、生成水が凍結して性能が低下する前に、セルを氷点以上に暖機できる頻度を増大することができ、低温始動時にスムーズに発電を開始することができる。
【0030】
なお、ここでは所定電圧範囲V2を0.1〜0.2Vとしているが、この限りではない。所定電圧範囲V2は、カーボン劣化を防ぐために−0.207V以上であることが望ましく、ここでは安全を見て0.1〜0.2Vの間に収まるように高めに設定している。
【0031】
発電時に、セル電圧Vcが−0.207Vを下回ると、アノード1aにおいてカーボンの酸化反応(C+2H2O→CO2+4H++4e-)が生じる。これにより、触媒を担持するカーボンが消失し、触媒部分で構成されている3相界面(カーボン(電子の通路)、高分子電解質膜(プロトンの通路)、ガス(水素ガスの通路)で構成)が消失する。これにより、アノード1aにおける発電反応を進行させる触媒のサイト数が減少して、結果として燃料電池1の性能が恒久的に低下してしまう。カーボンの酸化反応が進行する腐食電位については、例えばK.Kinoshita, Caarbon,john&Wiley(1998)p.316に記載されている。さらに、セル電圧Vcが−0.207V以下になるとカソード電極1cでカーボンの酸化反応による腐食が生じ、また触媒同士のシンタリングが顕著になる可能性が生じる。
【0032】
図4にセル電圧Vcに応じたセルの劣化特性を示す。図4には、セル電圧Vcが0.3V、0V、−0.3Vとなるように取り出し電流Iを制御した際の劣化特性を示す。ここでは、単位セルがそれぞれの電圧を維持するように約30秒間電流を取り出し、その後、単位セルの電流電圧特性を調べている。図4に示すように、セル電圧Vcを−0.3Vに維持した場合に、セルの劣化が確認される。所定電圧範囲V2をカーボンの劣化が進行する電圧(−0.207V)よりも高く設定し、セル電圧Vcが所定電圧範囲V2以内となるように取り出し電流Iを抑制することで、セルの劣化を防ぐことができる。
【0033】
さらに、ここでは、ステップS13において、セル温度Tcが氷点より高くなった時点で通常運転に移行したがこの限りではない。例えば、図5に示すフローのように、予め図6に示すような通常運転に移行できる電圧電流領域を設定しておき、その領域内に入ったら通常運転に移行すると判断することもできる。
【0034】
つまり、ステップS12−2において、セルの電圧・電流値を確認する。電流値Iは、定電流制御回路6において設定した取り出し電流Iとする。または、取り出し電流Iを計測する電流センサを設けても良い。また、セル電圧Vcは、ステップS9において計測されたセル電圧Vcとしてもよいし、電圧センサ10により再度計測してもよい。ステップS13−2において、通常運転に移行できる電圧電流領域であるか否かを判断する。つまり、図6に示すようなマップを予め記憶しておき、ステップS12−2で確認した電流I、電圧Vcが、図6のハッチング部に当てはまるか否かを判断する。当てはまると判断された場合には、通常運転を開始する。
【0035】
次に、図3に示す制御により燃料電池システムを起動した際の電流・電圧・セル温度の時間変化を図7に示す。ここでは、MEA面積が25cm2の燃料電池1を、氷点下10℃の環境下に放置した後、起動した際の電流・電圧・セル温度の変化を示す。
【0036】
図7(a)に、本実施形態に示した制御に従って燃料電池1を起動した場合の各値の時間変化を示す。つまり、セル電圧Vcを所定電圧範囲V2(=0.1V〜0.2V)に調整して、燃料電池1から最大電流Imaxを取り出す。このように制御することで、セル温度Tcは約1分後に0℃を超えた。
【0037】
図7(b)に比較例を示す。ここでは、起動後、取り出し電流Iを一定、ここでは3Aとする。この場合には、セル温度Tcが氷点より高くなる前に、セル電圧Vcが0Vに達してしまい、発電が続けられなくなった。これは、セル温度Tcが0℃に達する前に生成水が凍結し、水素または空気の供給が遮蔽されたためである。
【0038】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0039】
燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行う一つあるいは複数のセルを備えた燃料電池1を備える。また、少なくとも燃料電池1から取り出す電流を調整する定電流制御回路6を備える。さらに、氷点下からの起動時に、セル電圧Vcがセルの劣化に関与する所定電圧を下回らない範囲で、取り出し電流Iを略最大に設定する取り出し電力設定手段(S11)と、を備える。なお、ここでは所定電圧を所定電圧範囲V2とする。このように、燃料電池1が劣化しない範囲で、取り出し電流Iを略最大に設定することにより、負荷7からの電力要求に関係なく電流を取り出して燃料電池1の自己発熱を促進させることができる。その結果、セルを急速に暖機して、生成水の凍結により性能が低下する前に氷点以上に暖める頻度を増大することができる。
【0040】
所定電圧(所定電圧範囲V2)を、−0.207V以上とする。ここで、取り出し電流Iを上げすぎると、セル電圧が転極すなわち0V以下となってしまう。さらに、−0.207V以下になるとカソード1cでカーボンの酸化反応による腐食が生じ、また触媒同士のシンタリングが顕著になることもある。そこで、所定電圧を−0.207V以上とすることで、セルの劣化を避けることができる。
【0041】
また、燃料電池1の温度を計測する温度センサ9を備え、燃料電池1の温度が所定温度を超えたら、通常運転に移行する。所定温度を、再凍結を避けることができると判断される所定温度とする。所定温度以上となれば、その後、通常運転に移行しても凍結を避けることができ、効率低下を抑制することができる。
【0042】
また、燃料電池1またはセルの電流と電圧の関係が、所定領域に入ったら、通常運転に移行する。セル内の触媒層22の氷が解凍すれば、電流電圧特性が改善されるので、電圧電流特性を計測することにより氷の解凍を検知できる。
【0043】
また、一つあるいは複数のセルの電圧を計測する電圧センサ10を備える。電圧センサ10により計測したセル電圧Vcが所定電圧範囲V2以内となるように取り出し電流Iを設定する。これにより、取り出し電流Iを、燃料電池1が劣化しない範囲内の最大に設定することができる。その結果、暖機時間を短縮することができ、生成水が再凍結する頻度を低減することができる。
【0044】
次に、第2の実施形態について説明する。燃料電池システムおよび燃料電池1の構成を第1の実施形態と同様に図1、2に示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0045】
ここでは、セルの内部抵抗R1と反応抵抗R2の温度依存性を予め実験的に求めておき、起動時のセル温度Tcに基づいて最大電流Imaxを求める。低温起動時に、取り出し電流Iが最大電流Imaxとなるように定電流回路6を制御する。
【0046】
まず、最大電流Imaxの算出方法を説明する。単位セルの等価回路を図8に示す(例えば、春山志朗著 表面技術者のための電気化学 丸善 2001 p.256)。ここでは、単位セルの等価電圧を、セルの内部抵抗R1、反応抵抗R2、拡散抵抗Zwを用いて示している。
【0047】
ここで、電解質膜21とガス拡散層23とセパレータ24のそれぞれの抵抗と、触媒層22・ガス拡散層23・セパレータ24間のそれぞれの接触抵抗と、の合成抵抗により、セルの内部抵抗R1が決定される。このうち、電解質膜21の抵抗Rmは、湿潤度合いや温度により変化する。温度については、次式(1)のような依存性がある。
【0048】
【数1】
【0049】
ただし、T[K]は膜の温度、EAは定数、A(λ)は電解質膜21の含水率に依存した定数である。セルの内部抵抗R1は、以下のように表すことができる。
【0050】
【数2】
【0051】
ただし、rは電解質膜21の抵抗Rm以外のガス拡散層23、セパレータ24の抵抗、触媒層22・ガス拡散層23・セパレータ24間の接触抵抗の和とする。ここでrは温度依存性があるが、電解質膜21の抵抗Rmの変化に比べてこの依存性はかなり小さく、温度によらず一定と近似することができる。
【0052】
一方、触媒層22の抵抗である反応抵抗R2は以下のように示される。
【0053】
【数3】
【0054】
ただし、ηは触媒活性化過電圧、iは電流密度である。なお、触媒活性化過電圧ηと電流密度iは、以下のターフェル式の関係がある。
【0055】
【数4】
【0056】
ただし、αは通過係数、zは価数、Fはファラデー定数、Rは気体定数、i0は交換電流密度である。なお、交換電流密度i0は、以下の温度依存性がある。
【0057】
【数5】
【0058】
ただし、k0は反応定数、Ecは活性化エネルギであり、これらは温度に依存しない。式(3)〜(5)から反応抵抗R2を算出することができる。
【0059】
拡散抵抗Zwについては、基本的には温度依存性がなく、予め電流1A/cm2付近の電流電圧特性を測定しておくことにより実験的に求められる。あるいは、通常運転時の電流と電圧の特性値の履歴 から推定してもよい。この場合には、運転毎の変化を反映してより正確な値として設定することができる。
【0060】
取り出し電流Iを、セル電圧Vcが許容電圧範囲V2より小さい値とならないように設定する。ここでは、例えば所定電圧範囲V2の下限値V2i(=0.1V)を下回らない範囲に設定するには、取り出し電流Iの電流密度iを次式の範囲に設定する。
【0061】
【数6】
【0062】
ここで、Erは可逆電位で、1.2〜1.3V程度である。各定数を、予め実験等により求めておき記憶しておく。ここでは、A(λ)、EA、r、α、z、k0、Ec、Zwを予め求めておき、記憶しておく。セル温度Tcを計測して電流密度iが(6)式となる範囲での最大電流Imaxを求め、取り出し電流Iをこれに設定する。
【0063】
すなわち、上述の式の各定数を実験的に求め、セルの内部抵抗R1と反応抵抗R2の温度依存性を予め関連付けておけば、起動時のセル温度Tcに基づいて、最大電流Imaxを求めることができる。これにより、燃料電池1が劣化するのを避けつつ、つまり、セル電圧Vcが下限電圧V2iを下回るのを避けつつ、取り出し電流Iを最大に設定することができる。これにより、効率良く暖機を行って、セル温度Tcが氷点以上となるまでの時間を短縮することができる。
【0064】
次に、燃料電池システムの起動時の制御方法を図9のフローチャートを用いて説明する。
【0065】
ステップS21〜S24においては、ステップS1〜S4と同様とする。反応ガスの供給を開始したら、ステップS25において、セル温度Tcを計測する。ステップS26において、上述したようにセル温度Tcに基づいて、最大電流Imaxを算出する。ステップS27〜S29においては、ステップS5〜S7と同様に、セル電圧Vcが所定電圧V1以上となるまで待機する。
【0066】
セル電圧Vcが所定電圧V1以上となったら、ステップS30において、電流の取り出しを開始する。ここでは、取り出し電流Iを、ステップS26において算出した最大電流Imaxに設定する。ステップS31において、セル温度Tcを計測する。ステップS32において、セル温度Tcが氷点以上であるか否かを判断する。氷点以上でない場合には、セル内で凍結が生じる可能性がある。そこで、ステップS33に進み、ステップS31で計測したセル温度Tcに基づいて、最大電流Imaxを再び算出し、取り出し電流Iを再設定する。次に、ステップS34において、所定時間待機したら、ステップS31に戻り、再びセル温度Tcを計測する。これを繰り返して、ステップS32において、セル温度Tcが氷点以上となったら、セル内の凍結の可能性がないので、本フロ−を終了して通常の運転モードに移行する。
【0067】
このように制御することで、電流取り出し開始直後から、燃料電池1を劣化しない範囲でできるだけ多くの電流を取り出し、発電反応を促進することができる。そのため、暖機時間を短縮することができるので、セル内で凍結が生じる頻度を低減することができる。
【0068】
なお、ステップS31以降の制御として、ステップS9〜S14の制御を行っても良い。この場合には、第1の実施形態と同様に、セルの劣化を引き起こさないように、セル電圧Vcを監視しつつ、取り出し電流Iを最大に設定することができる。
【0069】
図10に、セル温度Tcに応じた電圧・電流特性を示す。ここでは、セル温度Tcが−5℃、−10℃、−15℃の場合を示す。図10に示すように、セル温度Tcが小さくなるほど性能が低下する。そこで最大電流Imaxをセル電圧Tcに応じて設定し、これを取り出し電流Iとすることで、セル電圧Vcを過剰に低下することによりセルが劣化するのを避けることができ、かつ、暖機を促進させることができる。
【0070】
例えば、上述した式(1)〜(6)における定数A、EA、r、α、z、k0、Ec、Zwを予め実験で求め、Tc=−10℃とした場合に、セルの性能を低下させない最大電流Imaxは、例えば300mA/cm2と算出された。
【0071】
次に、本実施形態の効果を説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0072】
一つあるいは複数のセルの内部抵抗R1と反応抵抗R2とから、セル電圧Vcが所定電圧V2iを下回らない範囲で、最大電流Imaxを求める最大電力検出手段(S26)を備える。これにより、燃料電池1の劣化を避けつつ、燃料電池1から取り出す電流を最大に設定することができる。これにより、暖機時間を短縮することができ、生成水が再凍結する頻度を低減することができる。
【0073】
通常運転時の電流と電圧の特性値からセルの拡散抵抗Zwを推測し、内部抵抗R1と反応抵抗R2と拡散抵抗Zwとから、セル電圧Vcが所定電圧V2iを下回らない範囲で、最大電流Imaxを求める。拡散抵抗Zwは温度依存性がそれほどないので、通常運転時の電流電圧特性から求めて記憶しておき、これによる電圧降下分を最大電流Imaxの決定の際に反映させることにより、正確に最大電流Imaxを求めることができる。
【0074】
また、一つあるいは複数のセル温度を計測する温度センサ9を備える。内部抵抗R1と反応抵抗R2の温度依存性を予め求めておき、起動時のセル温度Tcに基づいて、最大電流Imaxを求める。このように、温度依存性を予め求めておき、セル温度Tcに応じて内部抵抗R1および反応抵抗R2を設定することで、簡単な計測により最大電流Imaxを求めることができる。
【0075】
次に、第3の実施形態について説明する。燃料電池システムの概略構成を図11に示す。以下、第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0076】
燃料電池システムを、第1の実施形態と同様に構成する。ただし、セルの内部抵抗R1を計測する内部抵抗計測器を備える。例えば、高周波電流を印加する発振器と、電圧応答を検出する検出器からなる高周波インピーダンス計測器31を備える。ここでは、周波数1kHz、電流振幅7mAの高周波インピーダンス計測器31を備える。
【0077】
高周波電流を流しての計測は燃料ガスを流していないときにも計測できる。なお、高周波電流の周波数は500Hz以上10kHz以下が好ましい。500Hz以下の場合には触媒層22の影響が現れ、10kHz以上の場合には、計測リード線のインダクタンスが現れてしまうためである。
【0078】
式(1)において、定数A(λ)は、電解質膜21の湿潤状態に応じて変化する。そこで、ここでは、内部抵抗R1を計測することにより、内部抵抗R1を、定数A(λ)の変動を考慮した値とする。
【0079】
また、反応抵抗R2、ここでは交換電流密度i0をセル間で検出する交換電流密度計測器を備える。交換電流密度計測器としては、前述した高周波インピーダンス計測器31と、電圧センサ32、電流センサ33を備える。高周波インピーダンスとともに、電流電圧特性をモニタすることにより交換電流密度i0を検出する。ここでは電流センサ33をモニタし、所定の低電流密度領域で、数点のセル電圧Vcを計測することにより、電流電圧特性を検出する。
【0080】
式(5)において、反応定数k0は、触媒の劣化状態に応じて変化する。そこで、交換電流密度i0を計測することにより、反応抵抗R2を反応定数k0の変動を考慮した値とする。
【0081】
つまり、内部抵抗R1と交換電流密度i0を計測することにより、セル温度Tcの変化に加えて、A(λ)、k0のセル状態に応じた変動を考慮した最大電流Imaxを求めることができる。
【0082】
次に、停止・起動時の制御方法を図12に示したフローチャートを用いて説明する。図12(a)を停止時、図12(b)を起動時のフローチャートとする。
【0083】
停止信号を検知したら図12(a)の停止フローを開始する。このとき、取り出し電流Iおよびセル電圧Vcの値は常時モニタしておく。ここでは、停止時に反応抵抗R2を求めるための計測、つまり交換電流密度i0の計測を行う。
【0084】
ステップS31において、取り出し電流Iの低下を開始する。ステップS32において、電流値200mA/cm2となった時点で電圧値を記憶する。ステップS33において、電流値50mA/cm2となった時点で電圧値を記憶する。ステップS34において、電流値20mA/cm2となった時点で電圧値を記憶する。ステップS35において、電流値5mA/cm2となった時点で電圧値を記憶する。ステップS36において、高周波インピーダンスを計測する。ステップS37において、セル温度Tcを計測する。
【0085】
ステップS38において電流を停止する。ステップS39において、ステップS32〜S37の検出結果を用いて、交換電流密度i0を近似的に算出する。後述するようなターフェルプロットを行うことにより交換電流密度i0を求める。さらに、交換電流密度i0から反応定数k0を算出し、記憶しておく。ステップS40において、セルの乾燥を行う。ここでは、乾燥した、もしくは、低湿度の空気および水素ガスを所定時間、例えば10分間流通させることにより、各電極1a、1cを乾燥させる。その後、ステップS41において空気および水素ガスの供給を停止して燃料電池システムを停止する。
【0086】
このように、停止制御においては、ステップS36において高周波インピーダンスを計測すると共に、ステップS32〜S35において、低電流密度領域の電圧電流特性をモニタする。この検出結果を用いて、ステップS39において、交換電流密度i0を求める。
【0087】
例えば、温度70℃で通常運転している状態から燃料電池システムを停止した場合の交換電流密度i0を算出する際の電流電圧特性を図13に示す。
【0088】
図13(a)には、低電流領域の電圧電流特性を、(b)には、電流の対数をX軸、電圧をY軸としてプロット(ターフェルプロット)したグラフを示す。破線を検出電圧値、実線を検出電圧値に内部抵抗R1による電圧降下分を補正した値とする。ステップS36で計測した高周波インピーダンスから、それぞれの電流密度における内部抵抗R1による電圧降下を算出して補正する。なお、電流密度が200mA/cm2から5mA/cm2に低下する際の温度は一定とし、ステップS36においては、この温度における内部抵抗R1を計測している。
【0089】
このように、ターフェルプロットした図13(b)において、交換電流密度i0は切片から求めることができる。ただし、反応ガスが十分存在する状態で計測する。なお、拡散抵抗Zwによる電圧降下量は低電流領域で小さく、無視できる。
【0090】
ここでは電流密度200mA/cm2までの数点によりターフェルプロットを行ったが、この限りではない。さらに低い電流領域、例えば1mA/cm2〜10mA/cm2でプロットを行ってもよい。この場合には、電解質膜21やガス拡散層23の抵抗に相当するセルの内部抵抗R1による電圧降下は無視できる。よって、内部抵抗R1による電圧降下の補正を行う必要はなく、電圧電流特性をモニタする際に高周波インピーダンスを計測する(S36)必要はない。なお、電流密度200mA/cm2以上では拡散抵抗Zwの影響がでてくる。そのため、図13(b)に示すように直線から電圧値が外れてくるので、交換電流密度i0の計測には好ましくない。
【0091】
また、セル電圧Vcをモニタしておき、例えば、0.7V、0.75V、0.8Vのときの電流Iを計測し、ターフェルプロットして交換電流密度i0を算出してもよい。
【0092】
このように、運転停止時に交換電流密度i0を検出した後、燃料電池システムを起動する際の制御方法を図12(b)のフローチャートを用いて説明する。
【0093】
燃料電池システムの起動信号を検知したら本フローを開始する。ステップS51〜S54を、S1〜S4と同様とする。反応ガスの供給を開始したら、ステップS55において、内部抵抗R1の検出を行う。ここでは、1kHzの高周波インピーダンスを計測して内部抵抗R1とする。
【0094】
次に、ステップS56において、最大電流Imaxを算出する。具体的には、ステップS39で求めた反応定数k0と、起動時のセル温度Tcから反応抵抗R2を算出し、これと内部抵抗R1とから最大電流Imaxを算出する。
【0095】
ステップS57〜S59において、ステップS5〜S7と同様に、セル電圧Vcが所定電圧V1以上となるまで待機する。所定電圧V1以上となったら、ステップS60において電流の取り出しを開始する。このときの取り出し電流Iを、ステップS56で算出した最大電流Imaxに設定する。これにより、電流取り出し開始時点から、燃料電池1の劣化を引き起こさない範囲内で、最大の電流を取り出すことができ、暖機時間を短縮することができる。なお、拡散抵抗Zwを予め求めておき、これを考慮して最大電流Imaxを算出してもよい。
【0096】
以下、ステップS61〜S66においては、ステップS9〜S14と同様に、セル電圧Vcが所定電圧範囲V2以内に維持されるように取り出し電流Iを設定することにより、より多くの反応を生じて燃料電池1の暖機を促進する。または、ステップS61以降を、ステップS31〜S34と同様とし、セル温度Tcに応じて設定した最大電流Imaxを取り出し電流Iに設定してもよい。ただし、この場合には、ステップS56において最大電流Imaxを求めた際の内部抵抗R1、R2に応じた定数k0、A(λ)を用いて、セル温度Tcに応じた内部抵抗R1、反応抵抗R2を再度算出し、最大電流Imaxを設定する。
【0097】
このように、停止時に計測した交換電流密度i0から反応定数k0を算出し、起動時に内部抵抗R1を計測して最大電流Imaxを求める。反応定数k0は、主に触媒の劣化に応じて変化するため、停止時と起動時とでその値はほぼ一致する。おこで、停止時に測定した反応定数k0を用いて、起動時のセル温度Tcに応じた交流電流密度i0、ひいては、反応抵抗R2を求める。なお、ここでは停止時に交換電流密度i0の計測を行ったが、起動時に行うこともできる。
【0098】
一方、内部抵抗R1は、セル温度Tcに応じて変化するため、停止時と起動時でその値は一致しない。このため、ここでは、起動時の計測値を用いている。または、停止時に内部抵抗R1を計測し、これから電解質膜21の湿度に応じて変化する定数A(λ)を求め、この定数A(λ)を用いて起動時のセル温度Tcに応じた内部抵抗R1を求めても良い。ここで、定数A(λ)は、停止時と起動時とで、電解質膜21の湿潤度に差がない場合には、一致する。
【0099】
また、ステップS39において、反応定数k0を求めているがこの限りではない。例えば、各計測を停止時に行って、反応定数k0は、起動時の交換電流密度i0、ひいては反応抵抗R2を算出する際に計算しても良い。
【0100】
ここで、内部抵抗R1および反応抵抗R2を求めるための計測を行うタイミングの例を、図14に示す。
【0101】
図14(A)には、上記本実施形態におけるタイミングを示す。つまり、停止時に、交換電流密度i0、ひいては反応抵抗R2を求めるための計測を行う。起動時には、内部抵抗R1を求めるための計測を行う。これにより、セル温度Tcおよびセル状態、ここでは電解質膜21の湿潤度、触媒の劣化の程度を考慮して、適切な最大電流Imaxを設定することができる。
【0102】
図14(B)には、起動時に、内部抵抗R1と反応抵抗R2を求めるための計測を行う。ここでは、反応ガスの供給開始後、電流の取り出しを開始するまでに計測を行う。これにより、停止動作を速やかに終了できる。このとき、反応抵抗R2を求める計測においては、セル温度Tcについての補正を行う必要がないので、ターフェルプロットから求めた交換電流密度i0から反応定数k0を求めずに、直接、反応抵抗R2を求めることができる。
【0103】
図14(C)には、通常運転中に反応抵抗R2を求めるための計測を行う場合を示す。なお、内部抵抗R1の計測は(A)と同様に起動時に行う。これにより、停止操作を速やかに行うことができる。なお、反応定数k0は、触媒の劣化状態により変化する。触媒の劣化状態は経年的には変化するが、通常運転中と運転停止時ではさほど変化しないので、起動時の最大電流Imaxの算出にさほど影響を与えることはない。通常運転中の計測値から反応定数k0を求め、これから、起動時のセル温度Tcに応じた反応抵抗R2を求める。
【0104】
図14(D)には、停止時の乾燥操作後に、内部抵抗R1を計測する場合を示す。なお、反応抵抗R2を求めるための計測は、(A)と同様に停止時とする。乾燥後と起動直後の電解質膜21の湿潤度が大きく変化しない場合には、乾燥後に計測した内部抵抗R1から定数A(λ)を求め、起動時にセル温度Tcに応じた内部抵抗R1を算出する。これにより、起動時に、2〜3秒を要する高周波インピーダンスの計測を行う必要がなくなり、起動時間を短縮することができる。
【0105】
ここで、破線矢印で示すように、(D)において、さらに外気温度を計測する計測器を備え、運転停止後、セル温度Tcが外気まで下がって、燃料電池1に残留する水分の凍結が開始すると予測される所定時間後に内部抵抗R1を算出してもよい。これにより、起動時の電解質膜21の湿潤状態により近い定数A(λ)を計測することができ、内部抵抗R1を正確に算出することができる。
【0106】
図14(E)には、燃料電池システム停止後に温度が所定温度、例えば氷点まで低下した時に、内部抵抗R1と反応抵抗R2を求めるための計測を行う場合を示す。この場合には、計測するのはその後氷点下から起動するときに限られるので、氷点以上の環境から起動するときには計測する必要がなくなり、計測のための消費電力を抑えることができる。
【0107】
次に、本実施形態の効果を説明する。以下、第2の実施形態とは異なる効果のみを説明する。
【0108】
一つあるいは複数のセルの内部抵抗R1を求めるための計測を行う内部抵抗計測手段と、一つあるいは複数のセルの反応抵抗R2を求めるための計測を行う反応抵抗計測手段と、を備える。少なくとも氷点下からの起動直後の最大電流Imaxを、内部抵抗計測手段および反応抵抗計測手段を用いて求める。定数A(λ)については電解質膜21の湿潤状態により、反応定数k0については触媒の劣化状態により変動する。そこで、内部抵抗R1と反応抵抗R2とを計測により求めることで、セル状態の変化に伴う内部抵抗R1および反応抵抗R2の変動を考慮して最大電流Imaxを求めることができる。よって、より正確に取り出し電流Iを、劣化を避ける範囲で略最大に設定することができる。
【0109】
ここでは内部抵抗計測手段として、高周波電流を印加する発振器と、電圧応答を検知する検出器から構成される高周波インピーダンス計測器31を用いる。これにより、内部抵抗R1を計測することができる。また、反応抵抗計測手段として、燃料電池1の直流電流を計測する電流センサ33と、セル電圧Vcを計測する電圧センサ32と、高周波インピーダンス計測器31を用いる。燃料ガスと酸化剤ガスが燃料電池内1に存在している時に、反応抵抗R2を求めるための計測を行うことができる。
【0110】
また、停止時に、セル内を乾燥させるための乾燥操作を行う。停止時に、反応抵抗R2を求める計測を行い、停止時の乾燥操作後に内部抵抗R1を求めるための計測を行う。氷点下で発電を開始する前、ここでは停止運転中にセル内の水を取り除いておかなければならず、この操作によって電解質膜21や触媒層22の状態が変化し、内部抵抗R1が変化することがある。よって乾燥後に内部抵抗R1を求めるための計測をすることにより、より正確に最大電流Imaxを求めることができる。
【0111】
または、外気温度を計測する外気温度計測手段を備え、運転停止後、燃料電池1の温度が外気温度まで低下し、セル内に残っていたガス中の水分が凝結する所定時間後に、内部抵抗R1を求めるための計測を行う。運転停止後、しばらく放置しておくと、燃料電池1の温度が下がるにつれて、セル内に残留したガスに含まれる水分が凝結する。これにより、触媒層22に水分が付着し、電解質膜21に吸収されて、定数A(λ)が変動する。そこで、スタック運転終了後に所定時間が経過した後に計測することにより、計測時と起動時の電解質膜21の湿潤状態を同じとすることができ、より正確に最大電流Imaxを求めることができる。
【0112】
または、一つあるいは複数のセルの温度を計測する温度センサ9を備える。運転停止後に、次に起動するまでに温度が低下して所定温度となったときに、内部抵抗R1を求めるための計測と反応抵抗R2を求めるための計測とを行う。ここでは所定温度を凍結が生じる可能性がある温度とする。これにより、計測を行うのは、その後氷点下からの起動を行う場合に限ることができる。つまり、氷点以上の環境から起動させるときには計測の必要がなく、消費電力を抑えることができる。
【0113】
または、起動時に、燃料ガスおよび酸化剤ガスの燃料電池1への供給を開始した後、かつ、電流の取り出しを開始する前に、内部抵抗R1を求めるための計測と反応抵抗R2を求めるための計測を行う。このように、起動直前に計測を行うことにより正確な判定ができ、複雑な温度換算を行う必要がない。
【0114】
次に、第4の実施形態について説明する。燃料電池システムの概略構成を図15に示す。以下、第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0115】
セルの内部抵抗R1を計測する内部抵抗計測器としては、高周波電流を印加する発振器と、電圧応答を検出する検出器からなる高周波インピーダンス計測器31aを備える。ここでは、周波数1kHz電流振幅7mAの高周波インピーダンス計測器31aを備える。
【0116】
また、反応抵抗R2を求めるのに用いる交換電流密度i0を計測するための交換電流密度計測器を備える。ここでは、第3と同様に、前述した高周波インピーダンス計測器31aと、電圧センサ32、電流センサ33を備える。また、低周波電流を印加する発振器と電圧応答を検出する検出器とからなる低周波インピーダンス計測器31bを備える。なお、発振器の周波数が広領域について可変の場合には、高周波インピーダンス計測器31aと低周波インピーダンス計測器31bとを同一としてもよい。
【0117】
ここでは、高周波インピーダンス計測器31aの計測から内部抵抗R1を計測する。また、高周波インピーダンス計測器31a、低周波インピーダンス計測器31b、および、電圧センサ32、電流センサ33によりモニタした電流電圧特性から、交換電流密度i0を計測し、反応抵抗R2を算出する。
【0118】
高周波電流と低周波電流の振幅と位相差を検出し、横軸をインピーダンスの実部に、縦軸をインピーダンスの虚部に−1をかけた値でプロットする(コールコールプロット)と、図16のような半円になる。この半円の直径に相当する抵抗値に膜のガスクロスオーバによる過電圧に対応する抵抗値を加えたものが反応抵抗R2となる。この反応抵抗R2から交換電流密度i0を求める。この計測方法は、ガスは供給しなければならないが、直流電流は微小値あるいは流さなくてもよい。なお、低周波電流の周波数は0.1Hzから10Hzの間で数点であることが好ましい。また、高周波電流に周波数を1kHzとする。
【0119】
次に、図17に示したフローチャートを用いて起動時の制御方法を説明する。なお、停止時には計測を行わず、通常の制御を行う。燃料電池システム起動の信号を検知したら、本フローを開始する。
【0120】
ステップS71〜S77をステップS1〜S7と同様とする。セル電圧Vcが、セルから電力を取り出すことができる所定電圧V1以上となったら、セル電圧Vcを記録してステップS78に進む。可逆電位Er(ここでは1.2Vとする)との差を過電圧VBとする。このVB は膜のクロスオーバにより低下する過電圧である。
【0121】
ステップS78において、低電流密度の電流を取り出す。ここでは取り出し電流Iの電流密度iを5mA/cm2に設定する。ステップS79において、低周波インピーダンスの計測を行う。ここでは、1Hz〜10Hzの周波数を混合したパルス電流をセルに供給し、電圧応答波形を高速フーリエ変換解析(FFT)を行う。例えば、周波数を変えた20点の低周波インピーダンスを計測する。これにより、R1+R2値による電圧降下分を算出する。次に、ステップS80において、高周波インピーダンス、例えば1kHzの高周波インピーダンスを計測する。これによりR1値による電圧降下分を計算する。これらから、反応抵抗R2による電圧降下分を求め、これを過電圧VAとする。また、高周波インピーダンスを内部抵抗R1とする。
【0122】
過電圧VA、VBの和を触媒活性化過電圧ηとして、式(3)、(4)に従って交換電流密度i0を算出する。
【0123】
なお精度は低下するが、ステップS81として、低周波インピーダンスの計測を行う代わりに低電流密度(ここでは、5mA/cm2)に設定した場合におけるセル電圧Vcを計測して可逆電位Er(1.2V)との差を触媒活性化過電圧ηとしても構わない。
【0124】
さらに無負荷電圧Vcと可逆電位Er(1.2V)との差を触媒活性化過電圧η、このときの電流を膜のガスクロスオーバ量から仮定した値としても構わない。
【0125】
さらに、ステップS82において、交換電流密度i0、内部抵抗R1から最大電流Imaxを決定する。ステップS83において、取り出し電流Iを最大電流Imaxとして、電流の取り出しを開始する。以下、第3の実施形態と同様とする。
【0126】
なお、ここでは、内部抵抗R1を求めるための計測と、反応抵抗R2を求めるための計測とを、起動時に行ったがこの限りではない。例えば、図18に示すようなタイミングで行うこともできる。
【0127】
図18(A)には、停止時に反応抵抗R2を求めるための計測を行う。起動時に内部抵抗R1を計測する。図18(B)においては、停止時に、高周波インピーダンス、低周波インピーダンスを計測する。高周波インピーダンスより内部抵抗R1を求め、定数A(λ)を求める。また、起動時に、無負荷電圧を計測して、交換電流密度i0を求める。
【0128】
さらに、図18(C)においては、停止時に、低周波インピーダンスを計測する。また、セル温度Tcが外気温度程度になってから、さらに氷点下になるまでの間に、高周波インピーダンスを計測する。起動時に無負荷時電圧を計測する。図18(d)では、本実施形態と同様に、起動時の反応ガス供給開始から電流取り出し開始までの間に、高周波インピーダンス、低周波インピーダンス、無負荷電圧を計測して最大電流Imaxを設定する。
【0129】
次に本実施形態の効果について説明する。以下、第3の実施形態の効果とは異なる効果のみを説明する。
【0130】
反応抵抗計測手段として、燃料電池1の直流電流を計測する電流センサ33と、セル電圧Vcを計測する電圧センサ32と、高周波電流と低周波電流を印加する発振器と電圧応答を検知する検出器とから構成される交流インピーダンス計測器31a、31bと、を用いる。燃料ガスと酸素剤ガスが燃料電池1内に存在している時に、反応抵抗R2を求めるための計測を行う。これにより、直流電流は微小値あるいは流さなくても計測ができる。
【0131】
次に、第5の実施形態について説明する。燃料電池システムの構成を図19に示す。以下、第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0132】
ここでは燃料電池1として、複数の単位セルを積層することにより構成したスタックを用いる。内部抵抗R1の計測と反応抵抗R2を求めるための計測を、スタックの中央部と、端部の二つのセルについて行う。つまり、スタック中央部近傍のセルに、高周波インピーダンス計測器31A、電圧センサ32A、温度センサ9Aを備える。また、スタック端部近傍のセルに、高周波インピーダンス31B、電圧センサ32B、温度センサ9Bを備える。最大電流Imaxを算出する際には、このスタック中央部と端部のセルのうち、性能の劣る方の値を用いて行う。
以下、第3の実施形態と同様とする。
【0133】
単位セルの場合、セル電圧Vcが0V以下になると電力が取り出せなくなるが、スタックの場合には、例えば10セルのうち6セルは +0.5V、残り4セルは−0.3Vとなった場合、スタック電圧は+1.8Vとなり電力を取り出すことができる。スタック内の一部のセルにおいて生成水の凍結が生じた場合にも、他のセルからの伝熱により凍結したセルが解凍されてセル内の電流電圧特性が回復した時点で、通常運転に移行することができる。
【0134】
しかしこの場合、−0.207V以下になっているセルがあると、このセルで触媒層22の劣化が進んでしまう。よって、スタックを用いる場合には、外部に取り出せるスタック電圧だけでなく 単位セル毎の電圧をモニタして取り出し電流Iを調節する必要がある。例えば、スタック端部のセルを含む複数箇所にセル電圧を計測する電圧センサを備える。電圧を計測するセルは、少なくともスタック端部のエンドプレート25近傍の、生成水を生じ易いセルとするのが好ましい。性能が最も低いセル電圧を基準にして取り出し電流値Iを決定する。また、性能が最も低いセル温度Tcに基づいて通常運転に移行するかどうかを判断する。
【0135】
なお、ここでは、第3実施形態についてスタックを採用した場合について説明したが、この限りではない。第2〜4実施形態のいずれの燃料電池1について、スタックを用いてもよい。なお、第1の実施形態についてもスタックを用いることはできるが、上述したように、いずれのセルについても許容電圧範囲以下とならないように制御する必要がある。
【0136】
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第3の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0137】
燃料電池1を、複数の前記セルを積層するスタック構造により構成し、前記スタック端部のセルを含むスタックの複数の箇所のセルのうち、性能が最も悪いセルに基づいて、取り出し電流または電圧を設定する。このように、最も起動時の温度が上昇し難いスタック端部のセルを含む複数のセルのうち最も性能の悪いセルを基準として取り出し電流Iを設定するので、取り出し電流Iを大きくし過ぎることにより燃料電池1が劣化するのを確実に防ぐことができる。
【0138】
なお、上記実施の形態においては、取り出し電流について設定したが、取り出される電力が電圧によって調整される場合には、取り出し電圧について同様に設定することができる。
【0139】
このように、本発明は上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で様々な変更が為し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に用いる燃料電池システムの概略構成図である。
【図2】第1の実施形態に用いる燃料電池の概略構成図である。
【図3】第1の実施形態に用いる起動制御のフローチャートである。
【図4】取り出し電流を変化させた場合の電圧電流特性である。
【図5】第1の実施形態に用いる起動制御の別の例を示すフローチャートである。
【図6】通常運転時への移行可能性を示す電圧電流特性である。
【図7】第1の実施形態における電力制御とそれによる温度変化を示す図である。
【図8】第2の実施形態におけるセルの等価回路図である。
【図9】第2の実施形態に用いる起動制御のフローチャートである。
【図10】セル温度が変化した場合の電圧電流特性である。
【図11】第3の実施形態に用いる燃料電池システムの概略構成図である。
【図12】第3の実施形態における停止・起動制御のフローチャートである。
【図13】低電流領域における電圧電流特性とターフェルプロットを示す図である。
【図14】第3の実施形態における計測のタイミングの例を示す図である。
【図15】第4の実施形態に用いる燃料電池システムの概略構成図である。
【図16】反応抵抗検出方法におけるコールコールプロットを示す図である。
【図17】第4の実施形態における起動制御のフローチャートである。
【図18】第4の実施形態における計測のタイミングの例を示す図である。
【図19】第5の実施形態に用いる燃料電池システムの概略構成図である。
【符号の説明】
1 燃料電池
6 定電流制御回路(電気回路)
9 温度センサ(温度計測手段、セル温度計測手段)
10 電圧センサ(電圧計測手段)
31 高周波インピーダンス計測器(高周波インピーダンス計測手段)
31a 高周波インピーダンス計測器(交流インピーダンス計測手段)
31b 低周波インピーダンス計測器(交流インピーダンス計測手段)
32 電圧センサ(電圧計測手段)
33 電流センサ(電流検出手段)
S11、S33 電力設定手段
S26、S56、S82 最大電力検出手段
Claims (11)
- 燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行う一つあるいは複数のセルを備えた燃料電池と、
少なくとも前記燃料電池から取り出す電流または電圧を調整する電気回路と、を備え、
一つあるいは複数のセルの内部抵抗と反応抵抗とから、
氷点下からの起動時に、前記セルの電圧がカーボンの酸化反応が進行する腐食電位を下回らない範囲で、最大の取り出し電流を求める、ことを特徴とする燃料電池システム。 - 通常運転時の電流と電圧の特性値から前記セルの拡散抵抗を推測し、
前記内部抵抗と前記反応抵抗と前記拡散抵抗とから、前記セル電圧がカーボンの酸化反応が進行する腐食電位を下回らない範囲で、最大の取り出し電流を求める、請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記一つあるいは複数のセル温度を計測するセル温度計測手段を備え、
前記内部抵抗と前記反応抵抗の温度依存性を予め求めておき、
起動時のセル温度に基づいて、最大の取り出し電流を求める請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記一つあるいは複数のセルの内部抵抗を求めるための計測を行う内部抵抗計測手段と、
前記一つあるいは複数のセルの反応抵抗を求めるための計測を行う反応抵抗計測手段と、を備え、
少なくとも氷点下からの起動直後の最大の取り出し電流を、前記内部抵抗計測手段および前記反応抵抗計測手段を用いて求める請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記内部抵抗計測手段として、高周波電流を印加する発振器と、電圧応答を検知する検出器から構成される高周波インピーダンス計測手段を用いる請求項4に記載の燃料電池システム。
- 前記反応抵抗計測手段として、前記燃料電池の直流電流を計測する電流計測手段と、前記セルの電圧を計測する電圧計測手段と、前記内部抵抗計測器と、を用い、
燃料ガスと酸化剤ガスが前記燃料電池内に存在している時に、前記反応抵抗を求めるための計測を行う請求項4または5に記載の燃料電池システム。 - 前記反応抵抗計測手段として、前記燃料電池の直流電流を計測する電流計測手段と、前記セルの電圧を計測する電圧計測手段と、高周波電流と低周波電流を印加する発振器と電圧応答を検知する検出器とから構成される交流インピーダンス計測手段と、を用い、
燃料ガスと酸素剤ガスが前記燃料電池内に存在している時に、前記反応抵抗を求めるための計測を行う請求項4または5に記載の燃料電池システム。 - 停止時に、前記セル内を乾燥させるための乾燥操作を行い、
停止時に、前記反応抵抗を求める計測を行い、さらに、停止時の乾燥操作後に前記内部抵抗を求めるための計測を行う請求項4に記載の燃料電池システム。 - 外気温度を計測する外気温度計測手段を備え、
運転停止後、前記燃料電池の温度が外気温度まで低下し、前記セル内に残っていたガス中の水分が凝結する所定時間後に、前記内部抵抗を求めるための計測を行う請求項4に記載の燃料電池システム。 - 前記一つあるいは複数のセルの温度を計測するセル温度計測手段を備え、
運転停止後に、次に起動するまでに温度が低下して所定温度となったときに、前記反応抵抗を求めるための計測と前記内部抵抗を求めるための計測とを行う請求項4に記載の燃料電池システム。 - 燃料電池システム起動時に、燃料ガスおよび酸化剤ガスの前記燃料電池への供給を開始した後、かつ、電流の取り出しを開始する前に、前記内部抵抗を求めるための計測と前記反応抵抗を求めるための計測を行う請求項4に記載の燃料電池システム。
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