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JP4591093B2 - 走査型露光方法 - Google Patents

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Description

本発明は、走査型露光方法に関する。さらに詳しくは、基板上に高精度に露光を行うことが可能な液浸型の走査型露光方法に関する。
半導体素子等の製造においては、例えば、シリコンウェーハ等の基板上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜を形成し、これに所定のパターンを有するマスクを通じて露光光を照射した後に現像することにより、基板上に所定のレジストパターンを形成する露光技術が応用されている。具体的には、例えば、フォトレジスト膜が配設された基板上の各ショット領域に転写するステッパー方式、又は走査型方式(ステップ・アンド・スキャン方式)の露光方法によって露光が行われている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、走査型方式を用いた走査型露光方法は、図4に示すように、所定の形状のパターンが形成されたマスク111は露光光112により照明され、マスク111の像は例えば4:1の投影光学系113を介してステージ116上に設置されている基板114上に結像されるようになっている。マスク111と投影光学系113との間にはスリット115が配置されており、このスリット115の存在によりマスク111の投影領域が制限され、基板114上には、この制限された投影領域が露光される。マスク111を走査することにより投影領域も移動することになるので、マスク111の走査に同期して基板114を走査することにより、マスク111上のパターンが形成された領域(パターン領域)全体を基板114上に転写することが可能となる。
図5は、従来の走査型露光方法において基板(例えば、シリコンウェーハの場合)に露光を行う際の、基板上の各領域における露光の順番及びスリットを走査する方向を示す説明図である。図5に示す基板114においては、マスク111(図4参照)のパターンを転写して、それぞれが一つの又は複数の半導体チップとなる領域(露光領域)に対して、走査型露光を行う順番にa〜pの番号(以下、露光領域a〜露光領域pという)が付されている。また、図5においては、露光領域a〜露光領域pに示す矢印が、基板114を走査する方向、実質的には基板114が設置されているステージ116(図4参照)を駆動する方向を示す。例えば、基板114を露光する際には、最初に露光する露光領域aは、露光領域aに矢印で示すように図面における右方向に基板114を走査し、二番目に露光する露光領域bは左方向、三番目に露光する露光領域cは右方向というように、基板114を走査する方向を順番に変えながら、全ての露光領域上において露光を行う。このような方法を用いることにより、図4に示すように、基板114上の各露光領域を走査して露光する際にその走査経路に無駄がなく、基板114を走査するためのステージ116とマスク111との移動を最短距離で行うことが可能であり、短時間で相対的に正確に走査することができるため、高精度な露光が実現される。
一方、露光装置に用いられる投影光学系の解像度の理論限界値は、使用する露光波長が短く、投影光学系の開口数(NA:Numerical Aperture)が大きいほど高くなる。そのため、集積回路パターンサイズの微細化に伴い露光装置で使用される放射線の波長である露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大してきている。これまでは、露光光源の短波長化、開口数の増大により集積回路の微細化要求に応えてきており、現在では露光光源としてArFエキシマレーザ(波長193nm)を用いた90nm(ハーフピッチ)の量産化が最先端の集積回路では検討されている。
しかしながら、さらに微細化が進んだ次世代の65nm(ハーフピッチ)あるいは45nm(ハーフピッチ)についてはArFエキシマレーザの使用のみによる達成は困難であるといわれている。そこで、これらの次世代技術についてはF2エキシマレーザ(波長157nm)、EUV(波長13nm)等の短波長光源の使用が検討されているが、これらの光源の使用については技術的難易度が高く、現状では使用が困難な状況にある。
従来の露光装置では、基板と投影光学系との間の空間には、屈折率が1の空気で満たされている。このとき、この基板と投影光学系との間の空間を屈折率nの媒体で満たした場合、焦点深度は屈折率倍以上に拡大されることが報告されている。また、液体を使うことにより空気の場合では実現できなかったNAの大きな光学系を実現できるために、解像力が向上することが知られている。
このように露光するための光学系のNAを1以上に大きくし、より微細なパターンを転写したり、焦点深度を大きくしたりできる投影露光する方式を液浸型方式といい、このような液浸型方式を用いた露光装置が開示されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
このような液浸型方式の露光装置としては、例えば、特許文献3に記載されているような、露光ビーム(露光光)でマスクを照明し、投影光学系を介してその露光ビームで基板上に露光する投影露光装置において、その投影光学系とその基板との間を満たすように液体を流すとともに、その基板の移動方向に応じてその液体を流す方向を変化させる液体供給装置を備えた液浸型の露光装置を挙げることができる。なお、このような液浸型の露光装置を使用して、上述した走査型露光方法を行う場合には、基板を走査する方向(ステージを駆動する方向)と同一の方向に液体を供給することにより、液体の供給時における気泡の発生や気泡の巻き込みを抑制することができる。このことから、基板の走査方向と液体の供給方向とを同一方向にすることが一般的であり、また、露光装置の高スループットを実現するために、ステージを駆動することによる基板の走査がより少なくなるように、基板上の各露光領域を露光する順番が選択されている。
特開平11−265849号公報 特開平10−303114号公報 国際公開第99/49504号パンフレット 特開2004−207711号公報
しかしながら、液浸型方式を用いた走査型露光方法において、基板の外周部分を含む領域を露光する場合には、基板の外周部分における急激な段差(例えば、基板の厚さに相当する段差)により、液体を供給する方向によっては、基板と投影光学系との間に必要な液体を供給できなくて液浸露光が実現できなかったり、また、供給する液体の流れが乱されてしまい、安定した液体の層流が実現できないなどの問題があった。すなわち、基板と投影光学系との間の空間を通過する液体の流れに乱れが生じ、また、この液体に急激な段差による液流の大きな乱れによる気泡等が含まれてしまうため、液体の均質性が崩れ、正常な露光を行うことができないという問題があった。また、液浸型方式によって露光を行う場合、基板上のフォトレジスト膜の成分が液体に溶出しないように、フォトレジスト膜の上にさらに上層膜(トップコートとも呼ぶ)を設けている場合があるが、基板の外周部分においては、このフォトレジスト膜が露出していることがある。このため、基板の外周部分を液体が通過する際にフォトレジスト膜の成分が液体に溶出することによって、液体中の不純物濃度が変化したり、また露光光の透過率が微妙に変化して最適なドーズ量が局所的に変化したりすることから露光領域の均一な寸法解像性が劣化するという問題があった。また、このような不純物を含んだ液体が投影光学系のレンズに付着した場合には、投影光学系のレンズを汚染してしまい、レンズの寿命を著しく低下させるという懸念が指摘されている。
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、基板上に高精度に露光を行うことが可能な液浸型における走査型露光方法を提供する。
[1]基板に投影するパターンが形成されたマスクを所定の幅のスリットで制限し、前記基板を前記マスクと相対的に走査して、前記スリットを通過した露光光を投影する投影光学系、及び、前記投影光学系と前記基板との間の空間に供給する液体を介して、前記基板上の複数の領域に、順次前記パターンを形成する液浸型の走査型露光方法であって、前記基板の外周部分を含む領域(外周領域)を走査して露光する際に、前記基板を、前記基板の中心を含み且つ前記基板を走査する方向と直交する前記基板の中心軸に近い側から、前記基板の外周側に向けて相対的に走査し、且つ、前記基板上の前記外周領域以外の領域を露光する際には、前記投影光学系と前記基板との前記露光光の光軸と一致する方向の相対的な位置を調節しながら露光を行い、前記基板上の前記外周領域を露光する際には、前記投影光学系と前記基板との前記露光光の光軸と一致する方向の相対的な位置を固定して、又は、一つ前の領域若しくは隣接する領域を露光した情報を元に前記投影光学系と前記基板との前記露光光の光軸と一致する方向の相対的な位置を調節しながら露光を行うとともに、前記液体を、前記基板の前記中心軸に近い側から供給し、前記投影光学系と前記基板との間の前記空間を通過させて、前記基板の外周側において回収する走査型露光方法。
]前記投影光学系と前記基板との間の前記空間に供給する液体が水である前記[1]に記載の走査型露光方法。
]前記投影光学系と前記基板との間の前記空間に供給する液体が水よりも屈折率の高い有機物液体である前記[1]に記載の走査型露光方法。
本発明の走査型露光方法によれば、基板をマスクと相対的に走査して、投影光学系、及び投影光学系と基板の間に満たした液体を介して、基板上の複数の領域に順次露光を行う液浸型の走査型露光を行うに際し、特に、基板の外周部分を含む領域において高精度に露光を行うことができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜、変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
図1は、本発明の走査型露光方法の一の実施の形態の露光の工程を模式的に示す説明図であり、図2は、本発明の走査型露光方法の一の実施の形態における基板を走査する方向を示す説明図である。図1においては、基板5を保持するための保持手段2(例えば、ステージ)、所定のパターンが形成されたマスク12、マスク12に露光光を照明するための照明光学系11、マスク12を所定の幅に制限するスリット3、保持手段2に保持された基板5に所定のパターンを投影するための露光光を照射する投影光学系13、及び保持手段2に保持された基板5と投影光学系13との間の空間6に液体7を満たすための液体供給手段4、を備えた露光装置1を用いた場合の例を示している。なお、図1においては、露光光の光軸と一致する方向をZ方向とし、マスク12と基板5とが同期移動する走査方向をX方向とし、この走査方向に直交する方向をY方向とする。
本発明の走査型露光方法は、図1に示すように、基板5に投影するパターンが形成されたマスク12を所定の幅(7mm程度)のスリット3で制限し、この基板5をマスク12と相対的に走査して、基板5上の複数の領域に、順次パターンを形成する走査型露光方法であり、さらに、投影光学系13と基板5との間の空間6には液体7を供給し、投影光学系13、及び、投影光学系13と基板5との間の空間6に供給する液体7を介して露光を行う液浸型方式の走査型露光方法である。本実施の形態の走査型露光方法は、液浸型方式による投影露光を採用しているため、投影光学系13のパターンの像の焦点深度を、空気中における焦点深度の約n倍以上に拡大することができ、高NAを実現できるので微細な回路等のパターンを、高い解像度で形成することができる。
本実施の形態の走査型露光方法においては、図1及び図2に示すように、基板5の外周部分を含む領域(外周領域)を走査して露光する際に、基板5を、基板5の中心を含み且つ基板5を走査する方向と直交する基板5の中心軸9に近い側から、この基板5の外周側に向けてマスク12と相対的に走査するとともに、投影光学系13と基板5との間の空間6に供給する液体7を、基板5の中心軸9に近い側から供給し、投影光学系13と基板5との間の空間6を通過させて、基板5の外周側において回収する走査型露光方法である。図2に示す基板5上の矢印が、基板5を走査する方向、及び液体7(図1参照)を供給する方向を示している。なお、基板5上の露光領域の数や分割する形状については特に制限はなく、基板5の大きさや露光領域の大きさ(即ち、形成するチップの大きさ)等により適宜選択することができる。また、本実施の形態の走査型露光方法における基板5とは、例えば、シリコンウェーハ、液晶等のディスプレイ素子用のガラスプレート、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウェーハ、あるいは露光装置で用いられる合成石英等からなるマスクやレチクル等を指す。
従来、液浸型方式を用いた走査型露光方法において、基板の外周部分を含む領域を露光する場合には、基板の外周部分における急激な段差により、基板と投影光学系との間に供給する液体の流れが乱されて、露光条件が変化して正常な露光を行うことができなかった。本実施の形態の走査型露光方法においては、図1及び図2に示すように、基板5を、基板5の中心軸9に近い側から、この基板5の外周側に向けて走査するとともに、投影光学系13と基板5との間の空間6に供給する液体7を、基板5の中心軸9に近い側から供給し、投影光学系13と基板5との間の空間6を通過させて、基板5の外周側において回収することにより、少なくとも基板5の上においては空間6における液体7の流れをより正常な状態に保って露光を行うことができる。基板5上の複数の領域に順次露光を行う場合には、露光の連続性が重要であり、例えば、基板5の外周側において正常な露光が行われない場合には、パターンの細りによるパターン飛びなどが発生して欠陥発生の原因となり、さらには、隣接する他の領域にまで悪影響を与えることがある。本実施の形態の走査型露光方法においては、従来の露光方法において、あまり露光の精度が高くない基板5の外周部分を含む領域における精度を向上させることが可能であることから、同一サイズの基板5から製造できるチップの個数を増加させて、歩留まりを向上させることも可能である。なお、図2においては、基板5上の全ての外周領域に対して、基板5を走査する方向を示す矢印が記載されているが、本実施の形態の走査型露光方法においては、これらの全ての外周領域において露光を行う必要は必ずしもない。すなわち、基板5等の状態や露光の条件等に応じて、実際に露光を行う外周領域を適宜選択し、これらの外周領域において基板5を走査する方向を決定すればよい。
また、従来の液浸型方式を用いた走査型露光方法においては、基板の外周部分を液体が通過する際に液体が汚染されたり、液体に不純物が溶出したりすることから液体の屈折率が変化したり、露光光の液体中における局所的な透過率が変化してパターン寸法制御性が劣化するという問題があったが、本実施の形態の走査型露光方法においては、液体7は、基板5の外周側に向けて流れるため、液体7が汚染されたとしても、この液体7が再び基板5上を通過することはなく、基板5や投影光学系13のレンズの汚染を有効に防止することができる。
なお、所定の露光領域において、基板5の走査を開始する側と終了する側が基板5の中心軸9をまたぐ場合はどちらの方向に走査してもよい。
また、本実施の形態の走査型露光方法においては、基板5上の外周領域以外の領域を露光する際には、焦点(Focus)を最適にするために投影光学系13と基板5との相対的な位置、すなわち、Z方向の位置を調節しながら露光を行い、基板5上の外周領域を露光する際には、投影光学系13と基板5との相対的な位置を固定して、又は、一つ前の領域(具体的には、一つ前に露光した領域)若しくは隣接する領域を露光した情報、具体的には、これら領域におけるZ方向の情報を元に、投影光学系13と基板5との相対的な位置を調節しながら露光を行う。
従来、走査型露光を行う際には、基板5表面の微小な凹凸や歪み等により生じる露光への影響を軽減するために、投影光学系13と基板5との相対的な位置を調節しながら露光を行うことがあった。このようにして露光を行うことにより露光の精度を向上させることが可能となる。しかしながら、基板5の外周部分を含む領域を露光する場合においては、この露光領域に基板5が存在しない部位があるために、投影光学系13と基板5との相対的な位置の調節が困難であったり、また、このような領域においては、露光の連続性を得るために実際に露光は行うが実際にはチップとして使用しないことがあるため、基板5上の外周領域を露光する際には、正確な位置の調節が必要ではないことがある。このため、基板5上の外周領域を露光する際には、投影光学系13と基板5とのZ方向の相対的な位置を固定して、又は、一つ前の領域を露光した情報若しくは隣接する領域を露光した情報、具体的には、これら領域におけるZ方向の情報を元に、投影光学系13と基板5とのZ方向の相対的な位置を調節しながら露光を行うことで、実際にチップとして使用する領域における露光精度を低下させることなく、露光の工程を簡略化することができる。なお、実際に基板5上の複数の領域に対して露光を行うに際し、例えば、まず、外周部分を含まない正常な露光領域(チップとして使用可能な領域)を全て露光した後に、外周部分を含む周辺部の欠けた露光領域(外周領域)を順番に露光してもよい。
図1に示すように、本実施の形態の走査型露光方法においては、投影光学系13と基板5との間の空間6に供給する液体7を、基板5の中心軸9(図2参照)に近い側から供給し、投影光学系13と基板5との間の空間6を通過させて、基板5の外周側において回収する、Local Fill法(局所液浸方式)と呼ばれる液浸型方式を用いている。このため、例えば、媒体となる液体に基板を浸漬させるmooving pool法やseimming stage法と呼ばれる液浸型方式と比較して、使用する液体7の量を少なくすることができる。
投影光学系13と基板5との間の空間6に供給する液体7について特に制限はなく、水、例えば、純水を用いてもよいし、水よりも屈折率の高い有機物液体を用いてよい。水は、安価であるとともに入手が容易でもあり、さらに安全性においても優れた液体である。また、水よりも屈折率の高い有機物液体を用いた場合には、焦点深度をさらに大きくし、より微細なパターンを転写することが可能である。例えば、有機物液体であるデカリン等の脂環式炭化水素化合物等は、ArFエキシマレーザの波長193nmにおける屈折率nが1.64程度であり、次世代の液浸型露光方法における液浸露光用液体として好適に用いることができる。なお、この脂環式炭化水素化合物(デカリン等)は、一般的なレジスト材料やフッ化カルシウムに対する反応性が極めて小さいものであるから、純水では問題になり得たレジスト膜からの酸等の溶出に起因する現像後のパターンの欠陥や、レンズの汚染・浸食が発生し難い。従って、電子デバイスの歩留まりを向上させ得るとともに、露光装置の保護・メンテナンスにかかる労役・コストも抑えられる。
ここで、本実施の形態の走査型露光方法について、各工程毎にさらに詳細に説明する。まず、図1及び図2に示すような、露光を行うための基板5を用意する。本実施の形態の走査型露光方法において使用する基板5は、シリコンウェーハであり、シリコンウェーハの上には被エッチング膜が形成されている場合が多い。基板5の表面にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜が形成された基板5を使用する。なお、本実施の形態の走査型露光方法に使用する基板5においては、特に限定されることはないが、フォトレジスト膜の下側(基板5の表面とフォトレジスト膜との間)に、単一又は複数の膜から構成された下層膜が配設されていてもよく、また、フォトレジスト膜の表面には、例えば、基板と投影光学系との間の空間に供給する液体に溶出することない材料から構成された上層膜が形成されていてもよい。なお、上層膜の材料としては、露光光の波長に対して十分な透過性を有し、且つフォトレジスト膜とインターミキシングを起こすことのないものであることが好ましい。フォトレジスト膜、下層膜、上層膜等を形成する方法については特に制限はないが、例えば、スピンコート法等によって形成することができる。また、シリコンウェーハの場合、基板5(シリコンウェーハ)の外周部分の2mm程度はフォトレジスト膜等の塗布膜を除去してある場合が多い。このようにすることで、基板5の外周部分と接触するロボットアームなどへの汚染を低減している。
このような基板5を、図1に示すように、露光装置1の保持手段2(例えば、ステージ)に保持し、アライメントマーク等を用いて位置関係や回転などを測定した後、所定の場所に位置決めする。一方、所定のレジストパターンに対応するパターンが形成されたマスク12を、露光装置1のマスクステージ16上に保持する。
保持手段2は、基板5上の所定領域毎に順次露光を行うことができるように、保持した基板5を所定の方向に任意の距離だけ正確に移動させることができるように構成されたものであることが好ましく、従来公知の露光装置に用いられる保持手段を好適に用いることができる。図1に示す保持手段2は、露光光の光軸と一致する方向(Z方向)の位置及び傾斜角を制御するZステージ18と、このZステージ18を支持し、Z方向に垂直な平面内におけて、マスク12と基板5とが同期移動する走査方向(X方向)と、この走査方向に直交する方向(Y方向)とに駆動可能なXYステージ19と、このXYステージ19を支持する基台20とを有するものである。なお、基板5は、その裏面を吸着等により固定する基板ホルダ(図示せず)に保持されて、Zステージ18上に保持される。なお、図示は省略するが、保持手段2は、Zステージ18の位置を計測するための移動鏡及びレーザ干渉計、Zステージ18及びXYステージ19を駆動するためのステージ駆動部、また、このステージ駆動部等を制御するための制御部等をさらに有するものであってもよい。
このZステージ18は、Z方向におけるフォーカス位置、及び傾斜角を制御して基板5上の表面をオートフォーカス方式、及びオートレベリングで投影光学系13の像面に合わせ込み、XYステージ19は基板5のX方向及びY方向の位置決めを行う。Zステージ18の二次元的な位置及び回転角は、移動鏡(図示せず)の位置としてレーザ干渉計(図示せず)によって計測され、得られた計測結果に基づいて制御部(図示せず)からステージ駆動部(図示せず)に制御情報が送られ、ステージ駆動部(図示せず)がZステージ18及びXYステージ19を駆動する。
次に、液体7を供給するための液体供給手段4により、基板5上の露光を行う一の領域に液体7を供給して、基板5と投影光学系13との間の空間6に液体7を通過させる。図1においては、この液体供給手段4は、基板5と投影光学系13との間の空間6に、基板5の走査方向と平行に液体7を供給する液体供給部14と、空間6に供給した液体7を回収する液体回収部15とを有するものであり、例えば、液体供給部14は、液体7を貯留する供給タンク21と、供給する液体7の流路となる供給流路23とを有し、また、液体回収部15は、回収した液体7を貯留する回収タンク22と、回収する液体7の流路となる回収流路24とを有している。液体7は、液体供給部14から供給流路23を介して空間6に対して単位時間当たり所定量だけ供給され、回収流路24を介して液体回収部15へ、同じく単位時間当たり所定量が回収される。これにより、投影光学系13の先端面と基板5との間の空間6に液体7が満たされる。なお、供給流路と回収流路とを投影光学系13の先端部の中心に対して180°回転した配置には、図3に示すように、供給流路23と回収流路24とは反対の方向(図1における左から右への方向)に液体7を供給するための、末端が三つに分岐した第二の供給流路25と、末端が二つに分岐された第二の回収流路26とが配置されている。供給流路23と回収流路24とはY方向に交互に配列され、第二の供給流路25と第二の回収流路26とはY方向に交互に配列される。そして、第二の供給流路25は供給流路23と同じく液体供給部14に接続され、第二の回収流路26は液体回収部15に接続されている。
本実施の形態の走査型露光方法においては、例えば、図1に示すように、上述した基板5上の一の露光領域に、基板5の外周部分を含む場合には、基板5を、基板5の中心を含み且つ基板5を走査する方向と直交する基板5の中心軸9(図2参照)に近い側から、基板5の外周側に向けて相対的に走査するとともに、液体7を、基板5の中心軸9(図2参照)に近い側から供給し、投影光学系13と基板5との間の空間6を通過させて、基板5の外周側において回収する。このように、本実施の形態においては、露光を行う領域毎に基板5の形状を確認し、基板5の外周部分を含む場合(例えば、露光領域の一部に基板5が無い領域がある場合など)には、上述したそれぞれの方向を決定する。なお、液体7を供給する方向については、基本的に基板5を走査する方向と同一の方向とするめ、液体7を供給する方向と基板5の走査方向とは同時に決定される。露光を行う領域に、基板5の外周部分が含まれない場合には、連続して露光を行う際に基板5の走査が極力少なくなるように、周囲の露光領域の状態を勘案し、基板5の走査方向と液体7を供給する方向とを決定することが好ましい。
次に、照明光学系11から露光光を照明し、この露光光を、マスク12を通過させ、さらに、スッリト3で制限した後、投影光学系13、及び投影光学系13と基板5との間の空間6に供給する液体7を介して、基板5上の露光を行う領域に投影する。その後、基板5を、マスク12と相対的に走査し、マスク12全体のパターンを予定された露光領域に転写する。
照明光学系11は、マスク12に露光光を照射するための光学系であり、例えば、露光用光源、露光用光源の光の指向性を制御して集光するコンデンサレンズ、マスク12に照射する露光光の形状を調節する視野絞り等を有する照明光学系を好適例として挙げることができる。また、このような照明光学系11としては、図示は省略するが、リレーレンズ、フライアイレンズ、フィルタ、拡散板等をさらに有するものであってもよい。
照明光学系11に用いられる露光用光源から照射する露光光の種類については特に制限はなく、基板5に塗布したフォトレジスト膜、及びフォトレジスト膜とその上層膜との組合わせに応じて、例えば、可視光線、g線やi線等の紫外線、エキシマレーザ等の遠紫外線などでもよい。特に、本実施の形態の露光装置1においては、ArFエキシマレーザ(波長193nm)やKrFエキシマレーザ(波長248nm)を好適に使用することができる。
本実施の形態の走査型露光方法に使用するマスク12としては、従来公知の露光方法に用いられる露光用のマスクを好適に用いることができる。また、マスク12としては、レクチルとして照明光学系11等に配設されたものであってもよい。図1に示す露光装置1に用いられるマスク12は、その位置決めを行うため、所定の方向に移動、微動及び回転可能なマスクステージ16上に保持されている。
投影光学系13は、マスク12のパターンを所定の投影倍率(例えば4:1など)で基板5に投影露光するものであり、例えば、鏡筒の内部に配設された複数の光学素子(例えば、レンズ)から構成された投影光学系を好適例として挙げることができる。さらに、本実施の形態の露光装置1においては、この投影光学系13を構成する光学素子のうち、少なくとも基板5側の光学素子が、フッ化カルシウム(CaF)や石英(fused silica)等のガラス製の平行平板レンズであり、鏡筒の内部に着脱可能に配設されたものであることが好ましい。このように構成することによって、基板5側の光学素子の耐食性を向上させるとともに、基板5側の光学素子の交換が可能となる。なお、露光装置1に用いられる投影光学系13は、投影倍率が1未満の縮小系であってもよいし、投影倍率が1を超える拡大系や投影倍率が1の等倍系であってもよい。
スリット3は、マスク12を所定の幅に制限するためのものであり、基板5とマスク12とを相対的に走査することができるように構成されている。このように基板5とマスク12とを相対的に走査して露光することにより、例えば、投影光学系13のレンズの歪の少ない優れた部分のみをスッリト3によって制限して使用することが可能なため、より高精度の露光を実現することができる。本実施の形態の走査型露光方法においては、スリット3の幅については特に制限はなく、露光の条件や投影光学系13の種類や大きさに応じて決定することができる。
マスク12全体のパターンを基板5の予定された露光領域に転写した後、液体供給部14を停止し液体7の供給を止め、所定時間経過後に(あるいは、液体7が投影光学系13の先端部と基板5との間に存在しなくなったことを確認して)、液体回収部15を停止する。このようにして基板5上の予定された領域の露光を終了し、基板5を他の露光領域における開始位置まで移動し、再度、上述した工程を繰り返す。
以上のようにして本実施の形態の走査型露光方法においては、基板5の外周部分を含む領域(外周領域)を走査して露光する際に、基板5を、基板5の中心を含み且つ基板5を走査する方向と直交する基板5の中心軸9(図2参照)に近い側から、基板5の外周側に向けて相対的に走査するとともに、液体7を、基板5の中心軸9(図2参照)に近い側から供給し、投影光学系13と基板5との間の空間6を通過させて、基板5の外周側において回収するため、液体7をより安定した状態で、投影光学系13と基板5との間の空間6を通過させることが可能となり、基板5上、特に、基板5の外周部分を含む領域においても、高精度にレジストパターンを形成することができる。また、液体7が外周部分において汚染されたとしても、より素早く回収することが可能であり、また、液体7が外周部分を通過した後に再び基板5上を通過することがないため、基板5や投影光学系13のレンズの汚染を有効に防止することができる。なお、露光の順番であるが、先に、完全な四角形を保つ露光領域を順番に露光した後に、それらのZ方向の位置情報を用いながら外周部分を含む完全な四角形で無い露光領域(外周領域)を順番に本発明の趣旨を用いながら露光してもよい。
本発明の走査型露光方法は、基板上に高精度に露光を行うことができることから、半導体素子等の製造方法において利用することができる。特に、基板上の外周部分を含む領域においての精度を向上させることが可能なため、例えば、同一サイズの基板から正常な状態で製造できるチップの個数を増加させて、歩留まりを向上させることもできる。
本発明の走査型露光方法の一の実施の形態の露光の工程を模式的に示す説明図である。 本発明の走査型露光方法の一の実施の形態におけるスリットを走査する方向を示す説明図である。 本発明の走査型露光方法の一の実施の形態における、投影光学系と基板との間の空間に液体を供給する方法を示す説明図である。 従来の走査型露光方法を説明する説明図である。 従来の走査型露光方法において基板に露光を行う際の、基板上の各領域における露光の順番及びスリットを走査する方向を示す説明図である。
符号の説明
1…露光装置、2…保持手段、3…スリット、4…液体供給手段、5…基板、6…空間、7…液体、9…中心軸、11…照明光学系、12…マスク、13…投影光学系、14…液体供給部、15…液体回収部、16…マスクステージ、18…Zステージ、19…XYステージ、20…基台、21…供給タンク、22…回収タンク、23…供給流路、24…回収流路、25…第二の供給流路、26…第二の回収流路、111…マスク、112…露光光、113…投影光学系、114…基板、115…スリット、116…ステージ、a,b,c,d,e,f,g,h,i,j,k,l,m,n,o,p…露光領域。

Claims (3)

  1. 基板に投影するパターンが形成されたマスクを所定の幅のスリットで制限し、前記基板を前記マスクと相対的に走査して、前記スリットを通過した露光光を投影する投影光学系、及び、前記投影光学系と前記基板との間の空間に供給する液体を介して、前記基板上の複数の領域に、順次前記パターンを形成する液浸型の走査型露光方法であって、
    前記基板の外周部分を含む領域(外周領域)を走査して露光する際に、前記基板を、前記基板の中心を含み且つ前記基板を走査する方向と直交する前記基板の中心軸に近い側から、前記基板の外周側に向けて相対的に走査し、且つ、前記基板上の前記外周領域以外の領域を露光する際には、前記投影光学系と前記基板との前記露光光の光軸と一致する方向の相対的な位置を調節しながら露光を行い、前記基板上の前記外周領域を露光する際には、前記投影光学系と前記基板との前記露光光の光軸と一致する方向の相対的な位置を固定して、又は、一つ前の領域若しくは隣接する領域を露光した情報を元に前記投影光学系と前記基板との前記露光光の光軸と一致する方向の相対的な位置を調節しながら露光を行うとともに、前記液体を、前記基板の前記中心軸に近い側から供給し、前記投影光学系と前記基板との間の前記空間を通過させて、前記基板の外周側において回収する走査型露光方法。
  2. 前記投影光学系と前記基板との間の前記空間に供給する液体が水である請求項1に記載の走査型露光方法。
  3. 前記投影光学系と前記基板との間の前記空間に供給する液体が水よりも屈折率の高い有機物液体である請求項1に記載の走査型露光方法。
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