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JP4584127B2 - 熱転写記録システム - Google Patents

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JP4584127B2
JP4584127B2 JP2005344666A JP2005344666A JP4584127B2 JP 4584127 B2 JP4584127 B2 JP 4584127B2 JP 2005344666 A JP2005344666 A JP 2005344666A JP 2005344666 A JP2005344666 A JP 2005344666A JP 4584127 B2 JP4584127 B2 JP 4584127B2
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Description

本発明は熱転写記録システムに関し、特にサーマルヘッドの温度と環境温度とを検出してサーマルヘッドの温度変動を管理するサーマルプリンタを用いた熱転写記録システムに関するものである。
サーマルプリンタでは、サーマルヘッドの温度を検出して、この検出信号に基づきサーマルヘッドに印加される電圧を制御して、温度変動を抑えるようにしている。例えば、特許文献1に示されるように、サーマルヘッドの温度が高くなるとサーマルヘッドの駆動電圧を低くし、逆に温度が低くなるとサーマルヘッドの駆動電圧を高くする。これによって、サーマルヘッドの温度が変化してもヘッドの印加電圧が変わることで熱エネルギー変動が抑えられ、所定の階調に応じた発熱温度が得られるようになる。
また、サーマルヘッドに印加される熱エネルギーは、インクリボン(インクシート),記録紙(感熱受像シート)及びプラテンドラム等に拡散されるため、サーマルヘッドの温度が同じであっても、環境温度の変化によってインクリボンや記録紙に加えられる熱エネルギーが変動し、印画濃度が変化してしまうという問題がある。このため、例えば特許文献2に示されるように、サーマルヘッドの温度を検出するための第1温度検出手段の他に、環境温度を検出する第2温度検出手段を設けて、環境温度変化分も加味した制御を行うようにしている。
しかしながら、図8に示すように、サーマルヘッド2には、抵抗層3及び電極4,5からなる発熱素子6を駆動して一定の熱量を与えても、グレーズ7の温度によって発熱素子6の温度が変動し、一定の濃度が得られないという性質がある。また、サーマルヘッド2の温度を検出するためのサーミスタからなるヘッド温度検出器8は、サーマルヘッド2の製造上の問題から一般的にグレーズ7と接触するように配置することは困難であり、間にセラミック板9やアルミニウム板10などからなる基板11が介在している。このため、ヘッド温度検出器8によってグレーズ7の温度を直接的に検出することができないという問題がある。なお、基板11には放熱板13が取り付けられている。
したがって、従来のものは、サーマルヘッド2のヘッド温度検出器8の出力をグレーズ7の温度データであるかのように扱い、その長周期の温度変動を打ち消すように、サーマルヘッド2の駆動電圧を制御して、サーマルヘッド2に印加される熱量を制御し、所定の画像データにより所定の濃度を得るようにしていた。しかしながら、このような制御方法では、グレーズ7の温度によって熱量を制御したことにはならないため、目標とする濃度が得られないという問題がある。
なお、長周期とは、同じ画像を複数枚印画したときの1枚目とN枚目との期間や、1枚内での印画開始から印画終了までの期間等を周期とするものをいい、これら長周期の温度変動によって1枚目とN枚目との間や、1枚内においても、濃度変動が発生する。また、中周期とは、絵柄による同一画像内の部分的サーマルヘッドの温度変動であって、例えば、高濃度の画像領域のすぐ隣に低濃度の画像領域を記録するような場合に、低濃度域に高濃度域記録時の高いサーマルヘッド温度が影響して発生する温度変動の周期をいう。同一画像内に現れることから、同じ画像を複数枚印画する場合の各プリント間の濃度変動、1枚のプリント内における印画開始端と印画終了端との間の濃度変動(2つをあわせて長周期の濃度変動)よりも周期が必然的に短くなる。
更に、印画する絵柄によってサーマルヘッドへの印加熱エネルギーが大きく変化し、これはグレーズの温度変動となって現れる。このため、絵柄に基づく温度変動によって印画濃度が変化してしまうという問題もある。
特開昭60−240271号公報 特開平2−162060号公報
本発明は上記課題を解決するものであり、サーマルヘッドのグレーズの温度を正確に推測してこれに基づき温度制御を行って印画品質を向上させるようにするとともに絵柄による温度変動を抑えるようにしたサーマルプリンタを用いた、高速処理しても中周期的な濃度変動を抑制しうる熱転写記録システムを提供することを目的とする。
本発明の課題は、下記の手段によって解決された。
[1]インクシートを重ね合わせ、ライン状に設けた各発熱素子を画像データに基づき駆動して画像を感熱転写受像シートに記録するサーマルプリンタを用いる熱転写記録システムであって、前記サーマルプリンタにより各ラインを記録する際のサーマルヘッドのライン記録時の温度変動を画像データから求め、この温度変動を抑えるようにサーマルヘッドの発熱量を制御し、かつ、感熱転写受像シートの受容層が水を主たる媒体として塗布されて形成され、かつ該受容層に熱可塑性樹脂を含有し、該熱可塑性樹脂の少なくとも1種が塩化ビニル系ポリマーであって、該インクシートが、マゼンタ色素層に下記一般式(9)で表される色素、下記一般式(10)で表される色素、および下記一般式(11)で表される色素をそれぞれ含有し、シアン色素層に下記一般式(12)で表される色素、および下記一般式(13)で表される色素をそれぞれ含有することを特徴とする熱転写記録システム。
Figure 0004584127

(一般式(9)中、R 71 およびR 73 は各々独立に水素原子または置換基を表す。R 72 およびR 74 は各々独立に置換基を表す。n11は0〜4の整数を表す。n12は0〜2の整数を表す。ここで、n11が2〜4の整数を表すとき又はn12が2を表すとき、複数のR 74 又は複数のR 72 は各々同じでも異なっていてもよい。)
Figure 0004584127

(一般式(10)中、R 81 は水素原子または置換基を表す。R 82 およびR 84 は各々独立に置換基を表す。n13は0〜4の整数を表す。n14は0〜2の整数を表す。ここで、n13が2〜4の整数を表すとき又はn14が2を表すとき、複数のR 84 又は複数のR 82 は各々同じでも異なっていてもよい。)
Figure 0004584127

(一般式(11)中、R 91 は水素原子または置換基を表す。R 92 は置換基を表す。R 93 およびR 94 は各々独立に水素原子または置換基を表す。n15は0〜2の整数を表す。ここで、n15が2を表すとき複数のR 92 は同じでも異なっていてもよい。Z 1 およびZ 2 は、どちらか一方が=N−であり、他方が=C(R 95 )−を表す。Z 3 およびZ 4 は各々独立に=N−または=C(R 96 )−を表す。ここで、R 95 およびR 96 は各々独立に水素原子または置換基を表す。)
Figure 0004584127

(一般式(12)中、R 101 およびR 102 は各々独立に置換基を表す。R 103 およびR 104 は各々独立に水素原子または置換基を表す。n16およびn17は各々独立に0〜4の整数を表す。ここで、n16が2〜4の整数を表すとき又はn17が2〜4の整数を表すとき、複数のR 101 又は複数のR 102 は各々同じでも異なっていてもよい。)
Figure 0004584127

(一般式(13)中、R 111 およびR 113 は各々独立に水素原子または置換基を表す。R 112 およびR 114 は各々独立に置換基を表す。n18は0〜4の整数を表す。n19は0〜2の整数を表す。ここで、n18が2〜4の整数を表すとき又はn19が2を表すとき、複数のR 114 又は複数のR 112 は各々同じでも異なっていてもよい。)
[2]前記感熱転写受像シートの受容層が、塩化ビニル系ラテックスを含有する受容層であることを特徴とする[1]項に記載の熱転写記録システム。
[3]前記感熱転写受像シートの受容層中の塩化ビニル系ポリマーが、塩化ビニル共重合体であることを特徴とする[1]または[2]項に記載の熱転写記録システム。
[4]前記感熱転写受像シートの受容層にフッ素系離型剤化合物またはシリコーン系離型剤化合物を含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の熱転写記録システム。
[5]前記感熱転写受像シートの受容層に固形ワックスと、フッ素系離型剤化合物またはシリコーン系離型剤化合物を含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の熱転写記録システム。
[6]前記サーマルヘッドに取り付けられサーマルヘッドの温度を検出する第1の温度検出手段と、前記サーマルヘッドが取り付けられる筐体内の温度を検出する第2の温度検出手段とを設け、前記サーマルヘッドを、基板と、基板に形成したグレーズと、グレーズに形成した発熱素子と、基板に取り付けた前記第1の温度検出手段とから構成され、基板から第1温度検出手段までの熱抵抗と大気の熱抵抗との関係から、第1温度検出手段及び第2温度検出手段の温度信号に基づきグレーズ温度を推測し、この推測したグレーズ温度の変動を抑えるようにサーマルヘッドの発熱量を制御することを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の熱転写記録システム。
[7]前記サーマルヘッドの発熱量の制御が、ヘッド駆動電圧を制御して行われることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の熱転写記録システム。
[8]前記サーマルヘッドの発熱量の制御が、画像データに基づく階調表現駆動パルスの幅又は個数を変更して行われることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の熱転写記録システム。
[9]前記サーマルヘッドの発熱量の制御が、バイアスデータに基づくバイアス駆動パルスの幅又は個数を変更して行われることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1項に記載の熱転写記録システム。
[10]前記インクシートのイエロー色素層に、下記一般式(7)で表される色素および下記一般式(8)で表される色素を含有することを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1項に記載の熱転写記録システム。
Figure 0004584127

(一般式(7)中、R 51 およびR 52 は各々独立に置換基を表す。n8は0〜5の整数を表す。n9は0〜4の整数を表す。ここで、n8が2〜5の整数を表すとき又はn9が2〜4の整数を表すとき、複数のR 51 又は複数のR 52 は各々同じでも異なっていてもよい。)
Figure 0004584127

(一般式(8)中、R 61 は置換基を表し、R 62 、R 63 およびR 64 は各々独立に水素原子または置換基を表す。n10は0〜4の整数を表す。ここで、n10が2〜4の整数を表すとき複数のR 61 は同じでも異なっていてもよい。)
本発明によれば、各ラインを記録する際のサーマルヘッドのライン記録時の温度変動を画像データから求め、この温度変動を抑えるようにサーマルヘッドの発熱量を制御したから、絵柄によるサーマルヘッドの中周期的な温度変動を抑えることができる。したがって、各ライン記録時の画像データの影響が次のラインの記録時に現れることのないようにすることができ、尾引き等の発生を抑えることができる。特に、特定の感熱受像シートを用いることにより、高速処理を行っても中周期的な濃度変動を抑制することができ、高濃度転写が可能となる。特定の感熱受像シートと特定のインクシートとを併用することで、さらに中周期濃度変動を抑制することができる。
また、サーマルヘッドを、基板と、基板に形成したグレーズと、グレーズに形成した発熱素子と、基板に取り付けた前記第1の温度検出手段とから構成し、基板から第1温度検出手段までの熱抵抗と大気の熱抵抗との関係から、第1温度検出手段及び第2温度検出手段の温度信号に基づきグレーズ温度を推測したから、サーマルヘッド周辺の温度に関係なく、サーマルヘッドの発熱素子の表面温度と近似値であるグレーズ温度をほぼ正確に把握することができる。したがって、画像データに忠実な発熱制御を行うことができ、印画品質を向上することができる。すなわち、サーマルヘッドの構造上、サーミスタ等の温度検出手段をグレーズに直接に取り付けることができないため、従来は、アルミニウム板等の基板の温度をサーマルヘッドの発熱素子の表面温度として用いていた。このため、グレーズの温度によって発熱素子の発熱量を制御したことにならず、目標とする濃度が得られなかったが、これを解消することができる。
また、推測したグレーズ温度の長周期的な変動を抑えるようにサーマルヘッドの発熱量を制御したから、同じ画像を複数枚印画する場合の各プリント間の濃度変動が抑えられるとともに、1枚のプリント内における印画開始端と印画終了端との間の濃度変動(シェーディング)が抑えられ、印画品質を向上することができる。
また、基板から第1温度検出手段までの熱抵抗をrAL、放熱板の熱抵抗をrF、大気の熱抵抗をra、第1温度検出手段付近の温度をTAL、第2温度検出手段付近の温度(環境温度)をTaとしたときに、数式1により、グレーズ温度Tgを求めたから、精度よくグレーズの温度を推測することができる。
また、基板から第1温度検出手段までの熱容量をCALとしたときに、数式2により絵柄による熱量変動分の補正量を求めたから、精度よく絵柄による濃度変動を抑えることができる。
また、サーマルヘッドの発熱量の制御をヘッド駆動電圧を制御して行うから、簡単にグレーズ温度の変動を抑えることができるようになる。また、サーマルヘッドの発熱量の制御を、バイアスデータに基づくバイアスパルスや、画像データに基づく階調表現駆動パルスの幅又は個数を変更して行うから、発熱素子の温度制御をより一層きめ細かく行うことができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の熱転写記録システムに用いられるサーマルプリンタにおいて、各ラインを記録する際のサーマルヘッドのライン記録時の温度変動が画像データから求められる。この温度変動を抑えるようにサーマルヘッドの発熱量が制御される。更に、基板から第1温度検出手段までの熱抵抗と大気の熱抵抗との関係から、第1温度検出手段及び第2温度検出手段の温度信号に基づき定常的なグレーズ温度が推測される。この推測したグレーズ温度に基づきその長周期的な温度変動が抑えられるように、サーマルヘッドの発熱量が制御される。そして、受容層に熱可塑性樹脂を含む特定の感熱転写受像シートを用いることで、中周期的な濃度変動を抑制しつつ高速処理することができる。
まず、本発明の熱転写記録システムに用いられるサーマルプリンタの好ましい一実施態様について、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図の説明において同一の要素には同一の符号を付す。
本発明を実施したモノクロの感熱プリンタの概略を示す図3において、プラテンドラム20は、パルスモータ21で駆動される回転軸22に取り付けられており、プリント時に矢線方向に回転する。このプラテンドラム20の外周には感熱記録材料(感熱受像シート)23が巻き付けられ、その先端部がクランパ24で固定されている。クランパ24はカム機構25より開閉制御されるようになっている。これらプラテンドラム20,パルスモータ21,クランパ24,カム機構25,及び図示しない搬送ローラ対により記録材料搬送部26が構成される。また、プラテンドラム20の外周にはサーマルヘッド2が配置されている。更に、筐体29内には、筐体29内の環境温度を検出するための環境温度検出器36が配置されている。なお、カラー記録を行う場合には、更にマゼンタ定着用紫外線ランプ,イエロー定着用紫外線ランプが、プラテンドラム20の外周に順に配置される。
図3に示すように、サーマルヘッド2の下面には発熱素子アレイ27が設けられている。この発熱素子アレイ27には、多数の発熱素子6(図8参照)が主走査方向にライン状に形成されている。各発熱素子は抵抗素子から構成されており、この発熱素子は、1画素を熱記録する際に、発色の直前まで加熱するバイアス熱エネルギーと、発色濃度に応じた階調表現熱エネルギーとを感熱記録材料23に与える。
図1は感熱プリンタの電気回路を示すものである。ビデオカメラ,ビデオデッキ,テレビゲーム機等からの画像信号は画像入力部30を介して画像処理部31に入力される。画像処理部31はA/D変換や階調補正を行った後に、フレームメモリ32に1フレーム分の画像データを書き込む。
システムコントローラ33はマイクロコンピュータから構成されており、記録材料搬送部26やプリント部28をシーケンス制御して、画像データに基づき感熱記録材料23にモノクロの中間調画像を記録してハードコピィを作成する。
図2は、図8のサーマルヘッド2の自動制御系における等価回路を示している。図2において、
e:発熱素子6の表面温度〔℃〕
g:グレーズ7の温度〔℃〕
AL:ヘッド温度検出器(第1温度検出手段)8付近の温度(基板11の温度)〔℃〕
a:環境温度検出器(第2温度検出手段)36(図1参照)付近の温度(環境温度)〔℃〕
g:グレーズ7の熱抵抗〔℃/kcal/min〕
AL:セラミック板9からアルミニウム板10を介しヘッド温度検出器8までの熱抵抗〔℃/kcal/min〕
F:放熱板13の熱抵抗〔℃/kcal/min〕
a:大気の熱抵抗〔℃/kcal/min〕
g:グレーズ7の熱容量〔kcal/℃〕
AL:セラミック板9からアルミニウム板10を介しヘッド温度検出器8までの熱容量〔kcal/℃〕
a:筐体内の大気による熱源であり、温度Taを持っている〔℃〕
ここで、アルミニウム板10に比べてグレーズ7は微小であり、rg・Cg<<rAL・CALとみなせるから、グレーズ7の温度Tgは次式により求めることができる。
(数式1) Tg={(rAL+rF+ra)・(TAL−Ta)/(rF+ra)}+Ta
グレーズ7の温度Tgは蓄熱すなわちサーマルヘッド2の駆動状態によって変わり、このグレーズ温度Tgは数式1によってヘッド温度検出器8,環境温度検出器36の検出温度から推測することができる。したがって、この推測したグレーズ温度Tgを一定にするように、グレーズ温度Tgの変動をサーマルヘッド2の駆動電圧の中心電圧指令値に加えることで、サーマルヘッド2の長周期の温度変動が抑えられる。これにより長周期の温度変動が濃度変化となって印画に現れないようにすることができる。なお、サーマルヘッド2の基板11の構成が変わることにより、それに対応してグレーズ温度Tgを求める数式も変形される。
図4は、サーマルヘッド2の駆動電圧を自動制御する系のブロック図である。システムコントローラ33は各温度検出器8,36からの温度検出信号TAL,Taに基づき、前記数式1によりグレーズ温度Tgの長周期的な変動を検出し、この変動を無くすように、中心電圧指令値に対する補正電圧値を求める。
また、時間当たりの熱量データQ0を画像データから求め、この時間当たりの熱量データQ0から数式2により絵柄による温度変動分を補正する補正電圧値を求める。ヘッド温度検出器8の温度変動に現れるような熱量Qの変動ΔQは、アルミニウム板10に比べてグレーズ7は微小であり、rg・Cg<<rAL1・CAL1とみなせるから、伝達関数表示すると以下のようになる。この数式2により、温度検出器に現れない中周期の熱エネルギー変動を1ライン分の総熱エネルギー変動から推測することができる。
(数式2) ΔQ={(S・rAL・CAL)/(1+S・rAL・CAL)}・Q0
ただし、rAL:基板からヘッド温度検出器までの熱抵抗〔℃/kcal/min〕、CAL:基板からヘッド温度検出器までの熱容量〔kcal/℃〕である。
前記時間当たりの熱量データQ0は、各ラインの記録に際し、前のラインの画像データに基づく総熱量、総熱量を記録素子の個数で除した平均値、一定以上の濃度となる画像データで駆動された発熱素子の個数のいずれかを用いることが好ましい。また、前記サーマルヘッドが取り付けられる環境温度を環境温度検出器により検出し、前記ヘッド温度検出器と環境温度検出器とによる検出温度に基づきグレーズ温度を下記数式3により推定することが好ましい。
(数式3) Tg={(rAL+rF+ra)・(TAL−Ta)/(rF+ra)}+Ta
ただし、Tg:グレーズの温度〔℃〕、rF:放熱板の熱抵抗〔℃/kcal/min〕、ra:大気の熱抵抗〔℃/kcal/min〕、TAL:ヘッド温度検出器付近の温度〔℃〕、Ta:環境温度検出器付近の温度〔℃〕である。
時間当たりの熱量データQ0は、各ラインの記録に際し、前のラインの画像データGi(iは1〜n(nはサーマルヘッドの発熱素子の総数))から数式4により求める。
(数式4) Q0=ΣGi
なお、熱量データQ0は数式4のような1ライン分記録時の総熱量の他に、数式4をnで除して求めた平均値を用いてもよい。更には、ある程度以上の濃度となる画像データで駆動される発熱素子の個数を用いてもよい。
以上のようにして求めたこれら長周期的な温度変動を抑えるための電圧補正値と、絵柄によって現れる中周期的な温度変動を抑えるための電圧補正値とを、中心電圧指令値に加算することにより、サーマルヘッドの駆動電圧指令値を求める。得られた駆動電圧指令値はアンプ40で増幅されて駆動電圧制御部37に送られる。なお、駆動電圧指令値の算出や増幅はシステムコントローラ33によって行われる。具体的には、システムコントローラ33は、各温度検出器8,36からの温度検出信号TAL,TaをA/D変換器41でデジタル化した後に、CPU42で数式1及び数式2の演算処理を行い駆動電圧指令値を算出する。この後、駆動電圧指令値をD/A変換器43でアナログ化して、駆動電圧制御部37に送る。補正電圧値は数式1又は2に基づきその都度算出する他に、各温度信号の変化に応じて予め補正電圧値を算出しておき、これをルックアップテーブルデータとして記憶してもよく、この場合にはその都度演算を行う必要がなく迅速に補正電圧値を求めることができる。
駆動電圧指令値信号は駆動電圧制御部37の電圧可変回路45に送られる。電圧可変回路45は駆動電圧指令値信号に基づきヘッド電源回路46の発熱素子駆動電圧を変える。これにより、サーマルヘッド2の長周期的な温度変動が抑えられ、これに起因する印画上での濃度変動が少なくなる。すなわち、発熱素子6の表面温度とグレーズ7の温度とはほぼ同じであり、このグレーズ温度Tgに基づき発熱素子6の駆動電圧を制御することにより、各発熱素子6の長周期的な温度変動を抑えることができる。これにより、同じ画像を複数枚印画する場合の1枚目とN枚目との濃度変動やシェーディングの発生が抑えられる。
図5に示すように、プリントコントローラ50はラインメモリ50aを備えており、ラインメモリ50aに書き込まれた1ライン分の画像データを順に読み出して、これら画像データと比較データとをその都度比較してシリアルな階調駆動データを発生させる。この駆動データは記録する場合に「H」となり、記録しない場合に「L」となる。また、この階調駆動データを作成する前に、1ライン分のバイアスデータと比較データとを比較してこの比較データに基づきシリアルなバイアス駆動データを発生させる。このようなシリアルな駆動データはサーマルヘッド駆動部38に送られる。なお、比較データとの比較によりバイアス及び階調駆動データを発生させる方法及び装置については、特開平7−137320号,同7−137321号等に詳しく説明されている。
サーマルヘッド駆動部38は、シリアルな駆動データをクロック信号に基づきシフトレジスタ52でシフトしてパラレル信号に変換する。シフトレジスタ52でパラレルに変換された駆動データはラッチ信号に同期してラッチアレイ53にラッチされる。ANDゲートアレイ54は、プリントコントローラ50内のストローブ信号発生回路51からストローブ信号が入力されている期間内に、駆動データが「H」の場合に「H」の信号を出力する。ANDゲートアレイ54の各出力端子には、トランジスタ551〜55nが接続されている。これらのトランジスタ551〜55nはANDゲートアレイ54の出力が「H」の場合にONとなる。トランジスタ551〜55nには、各発熱素子61〜6nが接続されており、これにより画像データに対応する濃度となるように各発熱素子61〜6nが駆動される。この後、図3に示すように、記録材料搬送部26により、プラテンドラム20を所定量だけ間欠回転して感熱記録材料23を1ライン分送り、以下同様にしてプリント部28及び記録材料搬送部26により次々と各ラインが熱記録される。
次に、本実施態様の感熱プリンタの作用を説明する。図3に示すように、給紙時には、プラテンドラム20はクランパ24がほぼ垂直となった状態のホームポジションで停止している。また、クランパ24が開いた状態にされている。この状態で感熱記録材料23がプラテンドラム20に送られ、その先端がクランパ24を通過するとクランパ24が閉じられ、この後プラテンドラム20が回転を開始する。これにより、プラテンドラム20の外周に感熱記録材料23が巻き付けられる。
システムコントローラ33は感熱記録材料23の記録開始位置にサーマルヘッド2の各発熱素子6が位置すると熱記録を開始する。先ず、プリントコントローラ50はラインメモリ50aの画像データに基づき各発熱素子61〜6nの駆動データを発生させ、これをサーマルヘッド駆動部38に送る。サーマルヘッド駆動部38は、この駆動データに基づき各発熱素子61〜6nを駆動する。なお、階調表現加熱の前に、発色直前の温度になるようにバイアス加熱が行われる。これにより、画像データに対応する濃度で1ライン分の画像が感熱記録される。以下、同様にして、次々と各ラインの画像が記録される。感熱記録が終了すると、プラテンドラム20が逆転する。このプラテンドラム20の逆転により、感熱記録材料23の後端が図示しない分離爪によって給排紙通路に案内され、感熱記録済みの記録材料は排紙トレイに排出される。
各ラインの画像記録によりサーマルヘッド2のグレーズ温度Tgが変動すると、これが各温度検出器8,36からの出力信号に基づき検出され、これに基づきサーマルヘッド2の駆動電圧指令値が求められ、これによって駆動電圧制御部37の電圧可変回路45は発熱素子6への駆動電圧を変更する。これによって、長周期的な温度変動を抑えるように発熱素子6の駆動電圧が制御されるため、複数枚の印画を行う場合の各枚毎の濃度変動や、1枚内のゆるやかな濃度変動を抑えることができる。
また、前のライン記録時に用いた画像データから時間当たりの熱量Q0が求められ、これに基づき数式2により絵柄によるサーマルヘッドの温度変動を抑える駆動電圧指令値が求められ、これによって駆動電圧制御部37の電圧可変回路45は発熱素子6への駆動電圧を変更する。これによって、絵柄による中周期的な温度変動を抑えるように発熱素子6の駆動電圧が制御されるため、各ライン毎の濃度変動が抑えられ、尾引き等の発生を少なくすることができる。
次に、発熱素子6の駆動電圧を変更する代わりに、グレーズ温度Tgの長周期及び中周期的な変動を抑えるように、画像データに基づく階調表現駆動パルスの個数を変更する実施態様について説明する。この場合には、図6に示すように、画像データから求められた階調表現駆動パルスの個数に対し、各温度検出器から得られた温度信号に基づき階調表現駆動パルスの補正パルス数を算出し、これを画像データから得られた階調表現駆動パルスの個数に加算して、実際のパルス総数を算出し、これに基づき階調表現記録する。なお、補正パルス数は数式1,数式2に基づきその都度算出する他に、各温度信号の変化に応じて予め補正パルス数を算出しておき、これをルックアップテーブルデータとして記憶してもよい。
また、階調表現駆動パルスの個数を変更することにより温度変動を抑える代わりに、階調表現駆動パルスの幅を変えることにより温度変動を抑えるようにしてもよい。この場合には、図5に示すストローブ信号発生回路51によりストローブ信号の幅を変えて行う。
また、階調表現駆動パルスの個数や幅を変える他に、図7に示すように、バイアスパルスの個数を変えることで、サーマルヘッドの長周期及び中周期的な温度変動を抑えるようにしてもよい。また、1個のバイアスパルスを用いる場合にはその幅を変更してもよい。更に、多数のバイアスパルスを用いる場合にそのストローブ信号を温度変動に応じて変化させることにより、各バイアスパルスの幅を変更してもよい。
上記温度変動はサーマルヘッド単位で求めたが、中周期的な温度変動を抑える場合に、各発熱素子単位で絵柄による温度変動を求め、この温度変動を抑えるように、各発熱素子毎に画像データ補正量を求め、これに基づき各発熱素子毎に温度変動を抑えるようにしてもよい。また、上記実施態様では、前のライン記録時の画像データを用いたが、これに限定されることなく、前回及び前々回のラインの記録時の画像データも併せて用いてもよい。この場合には直前の画像データに比べてその前の画像データの重み付けを軽くすることが好ましく、これにより中周期的な温度変動をより一層精度良く抑えることができる。
上記実施態様では、モノクロタイプの感熱プリンタに本発明を実施したものであるが、この他にカラー感熱プリンタや、他の昇華型や溶融型の熱転写プリンタに実施してもよい。カラー感熱プリンタの場合には、周知のように、例えばイエロー画像を熱記録した後にこれを光定着させ、次にマゼンタ画像を熱記録した後にこれを光定着させ、最後にシアン画像を熱記録する。この場合には、各色の記録時のサーマルヘッドの温度変動が抑えられるため、色むらの発生を抑えることができる。また、ラインプリンタに限定されることなくシリアルプリンタに本発明を実施してもよい。
次に、本発明の熱転写記録システムに用いられる感熱転写受像シート(受像シート)について説明する。
本発明に用いられる感熱転写受像シートは、支持体上に染料受容層(受容層)が形成されている。受容層と支持体との間には下地層が形成されていることが好ましく、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層が形成される。また、下地層と支持体との間には断熱層が形成されていることが好ましい。さらに、支持体の裏面側にはカール調整層、筆記層、帯電調整層が形成されていることが好ましい。各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で行われる。また、受容層は水を主たる媒体として塗布されて形成されることが好ましい。ここで、水を主たる媒体とするという意味は、水を媒体全体の40質量%以上、好ましくは60〜95質量%含むという意味である。
<受容層>
[熱可塑性樹脂]
本発明において、受容層は、水を主たる媒体として塗布されて形成され、かつ該受容層に熱可塑性樹脂を含有し、該熱可塑性樹脂の少なくとも1種が塩化ビニル系ポリマーである。
容層に使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル・ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー・ポリ酢酸ビニル・エチレン酢酸ビニル共重合体・塩化ビニル酢酸ビニル共重合体・ポリアクリルエステル・ポリスチレン・ポリスチレンアクリル等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール・ポリビニルブチラール・ポリビニルアセタール等のアセタール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリプチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン(プラクセルH−5、商品名、ダイセル化学工業(株)製)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、特開平4−296595号公報や特開2002−264543号公報に記載セルロース系樹脂やセルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、CAB321−0.1、いずれも商品名、イーストマンケミカル社製)等のセルロース系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、尿素樹脂・メラミン樹脂・ベンゾグアナミン樹脂等のポリアミド系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、相溶する範囲内で任意にブレンドし、用いることもできる。特開昭57−169370号、同57−207250号、同60−25793号の各公報等にも受容層を形成した樹脂が開示されている。
上記ポリマー中でもポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルおよびその共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカプロラクトンまたはこれらの混合物を含有することが更に好ましく、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ塩化ビニルおよびその共重合体またはこれらの混合物が特に好ましい。ポリカーボネート、ポリエステル、およびポリ塩化ビニルについて、さらに詳しく説明する。以上のポリマーは、単独又はこれらの混合物として用いることができる。
(ポリエステル系樹脂)
受容層に用いられるポリエステル系樹脂について、さらに詳しく説明する。ポリエステルはジカルボン酸成分(その誘導体含む)とジオール成分(その誘導体を含む)との重縮合により得られるものである。ポリエステル樹脂は、芳香環および/または脂環を含有する。脂環式ポリエステルの技術については、特開平5−238167号公報に記載の技術が染料取り込み能と像の安定性の点で有効である。
ジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、トリメリット酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、それらの2種以上の混合物から選ばれる。好ましくは、イソフタル酸、トリメリット酸、テレフタル酸、またはそれらの2種以上の混合物から選ばれる。ジカルボン酸成分として脂環族を有するものを含有させることは、耐光性向上の観点からより望ましい。より好ましくは、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびイソフタル酸を使用する。ジカルボン酸成分は、イソフタル酸50〜100mol%、トリメリット酸0〜1mol%、テレフタル酸0〜50mol%、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸0〜15mol%の割合で、合計100mol%となるように使用する。
ジオール成分は、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノール、またはそれらの2種以上の混合物から選ぶことができる。好ましくは、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリシクロデカンジメタノールから選ばれる。ジオール成分として脂環成分を含ませるようにすると、耐光性向上の観点からより望ましい。トリシクロデカンジメタノール以外にもシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール等の脂環式ジオール成分を使用することができる。好ましい脂環式ジオール成分はトリシクロデカンジメタノールである。ジオール成分は、エチレングリコール0〜50mol/%、ポリエチレングリコール0〜10mol/%、トリシクロデカンジメタノール0〜90mol/%、好ましくは30〜90mol/%、より好ましくは40〜90mol/%、1,4−ブタンジオール0〜50mol/%、ビスフェノールA 0〜50mol/%の割合で、合計100mol%となるように使用する。
リエステル樹脂は、上記少なくともジカルボン酸成分およびジオール成分を使用し、分子量(重量平均分子量(Mw))約11000以上、好ましくは約15000以上、より好ましくは約17000以上有するように重縮合したものを使用する。分子量があまり低いものを使用すると、形成される受容層の弾性率が低くなり、また耐熱性も足りなくなるので、熱転写シートと受像シートとの離型性を確保することが難しくなる。分子量は、弾性率を上げる観点から大きいほど望ましく、受容層形成時に塗布液溶媒に溶かすことができなくなるとか、受容層を塗布乾燥後に基材シートとの接着性に悪影響が出る等の弊害が生じない限り、特に限定されないが、好ましくは約25000以下、高くても約30000程度となる。なお、エステル樹脂の合成法は、従来公知の方法を使用すればよい。
飽和ポリエステルとしては例えばバイロン200、バイロン290、バイロン600等(いずれも商品名、東洋紡(株)製)、KA−1038C(商品名、荒川化学工業(株)製)、TP220、TP235(いずれも商品名、日本合成化学(株)製)等が用いられる。
(ポリカーボネート)
受容層に用いられるポリカーボネート樹脂について、さらに詳しく説明する。ポリカーボネートは、炭酸とジオールをユニットとするポリエステルを意味し、ジオールにホスゲンを反応させる方法あるいは炭酸エステルを反応させる方法等により合成できる。
ジオール成分としては、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ノナンジオール、4,4’−ビシクロ(2,2,2)ヘプト−2−イリデンビスフェノール、4,4’−(オクタヒドロ−4,7−メタノ−5H−インデン−5−イリデン)ビスフェノール及び2,2’,6,6’−テトラクロロビスフェノールAが挙げられ、ビスフェノールA、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオールが好ましく、ビスフェノールA、エチレングリコール、ブタンジオールがより好ましく、ビスフェノールA、エチレングリコールが特に好ましい。本発明において使用されるポリカーボネートは、上記の1種ジオール成分を少なくとも使用するが、複数のジオールを混合して使用してもよい。
リカーボネートの特に好ましい態様であるビスフェノールA−ポリカーボネートについて、詳しく説明する。ビスフェノールA−ポリカーボネートを中心とする未変性のポリカーボネートの技術は米国特許第4,695,286号明細書に記載されている。リカーボネートは分子量(重量平均分子量(Mw))約1000以上、好ましくは約3000以上、より好ましくは約5000以上、特に好ましくは約10000以上の重縮合したものを使用する。Makrolon−5700(商品名、Bayer AG)及びLEXAN−141(商品名、General Electric社)等のポリカーボネートを例として挙げることができる。
ビスフェノールAとエチレングリコールのようなジオールを混合して変性ポリカーボネートの技術が米国特許第4,927,803号明細書に記載されている。ポリエーテルブロック単位は、炭素原子数2〜約10個の線状脂肪族ジオールから形成することができるが、エチレングリコールから形成されたものが好ましい。ましい実施態様では、ポリエーテルブロック単位は数分子量約4,000〜約50,000を有し、またビスフェノールA−ポリカーボネートブロック単位は数分子量約15,000〜約250,000を有する。ブロックコポリマー全体の分子量は、約30,000〜約300,000であることが好ましい。Makrolon KL3−1013(商品名、Bayer AG)を例として挙げることができる。
これらの未変性および変性ビスフェノールA−ポリカーボネートを混合することも好ましく、未変性ビスフェノールA−ポリカーボネートとポリエーテル変性ポリカーボネートとを質量比80:20〜10:90で配合することが好ましく、耐指紋性向上の観点から質量比50:50〜40:60の質量比が特に好ましい。未変性および変性ビスフェノールA−ポリカーボネートのブレンド技術に関しては特開平6−227160号公報にも記載されている。
受容層に使用される熱可塑性樹脂の好ましい実施態様として、上記ポリカーボネートと上記ポリエステルのブレンド系をあげることができる。このブレンド系では、ポリカーボネートとポリエステルの相溶性が確保できることが好ましい。ポリエステルは、好ましくは、約40〜約100℃のガラス転移点(Tg)を示し、またポリカーボネートは約100〜約200℃のTgを示す。ポリエステルは、好ましくは、ポリカーボネートよりも低いTgを示し、そしてポリカーボネートに対してポリマー可塑剤として作用する。最終のポリエステル/ポリカーボネートブレンドのTgは、好ましくは40℃〜100℃である。より高いTgのポリエステル及びポリカーボネートのポリマーも、可塑剤を添加することで有用となりうる。
さらなる好ましい実施態様では、未変性ビスフェノールA−ポリカーボネートとポリエステルポリマーとを、最終ブレンドのTgを望ましい値にし、しかもコストを最小限に抑えるような質量比でブレンドする。ポリカーボネートとポリエステルポリマーとは、約75:25〜25:75の質量比で都合よく配合することができるが、約60:40〜約40:60の質量比で配合するとより好ましい。特開平6−227161号公報にはポリカーボネートとポリエステルとのブレンド系の技術が開示されている。
受容層に用いられるポリカーボネートにおいて、ポリマー末端が少なくとも2個のヒドロキシル基を有する平均分子量約1000〜約10,000ポリカーボネートとヒドロキシル基と反応する架橋剤との反応により、受容層に架橋ポリマー網状構造を形成させてもよい。特開平6−155933号公報のように、多官能性イソシアネートなどの架橋剤を技術も開示され、転写後の色素供与体への粘着性を改良できる。さらに特開平8−39942号公報に開示の技術のように、ポリカーボネートとイソシアネートの架橋反応の際、ジブチル錫ジアセテートを用いた感熱色素転写用色素受容要素を構成とする技術が開示されており、架橋反応の促進のみならず画像安定性や耐指紋性などを改良できる。
(ポリ塩化ビニル共重合体)
受容層に用いられるポリ塩化ビニル共重合体について、さらに詳しく説明する。ポリ塩化ビニル共重合体は塩化ビニル成分含有率85〜97質量%で重合度200〜800のものが好ましい。塩化ビニルと共重合するモノマーには特に限定はなく、塩化ビニルと共重合できればよく、酢酸ビニルが特に好ましい。したがって、容層には塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が優れているが、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は必ずしも塩化ビニル成分と酢酸ビニル成分のみの共重合体である場合に限らず、本発明の目的を妨げない範囲のビニルアルコール成分、マレイン酸成分等を含むものであってもよい。このような塩化ビニルと酢酸ビニルを主単量体とする共重合体を構成する他の単量体成分としては、ビニルアルコール、プロピオン酸ビニルなどのビニルアルコール誘導体、アクリル酸およびメタクリル酸およびそれらのメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシルエステルなどのアクリル酸およびメタクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチルなどのマレイン酸誘導体、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレンなどが挙げられる。共重合体中にしめる塩化ビニルおよび酢酸ビニルの成分は任意の比率で良いが、塩化ビニル成分が共重合体中で50質量%以上であるのが好ましい。また、先にげた塩化ビニルや酢酸ビニル以外の成分は10質量%以下であるのが好ましい。
このような塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、SOLBIN C、SOLBIN CL、SOLBIN CH、SOLBIN CN、SOLBIN C5、SOLBIN M、SOLBIN MF、SOLBIN A、SOLBIN AL、SOLBIN TA5R、SOLBIN TAO、SOLBIN MK6、SOLBIN TA2(いずれも商品名、日信化学工業(株)製)、エスレックA、エスレックC、エスレックM(いずれも商品名、積水化学工業(株)製)、ビニライトVAGH、ビニライトVYHH、ビニライトVMCH、ビニライトVYHD、ビニライトVYLF、ビニライトVYNS、ビニライトVMCC、ビニライトVMCA、ビニライトVAGD、ビニライトVERR、ビニライトVROH(いずれも商品名、ユニオンカーバイド社製)、デンカビニル1000GKT、デンカビニル1000L、デンカビニル1000CK、デンカビニル1000A、デンカビニル1000LK2、デンカビニル1000AS、デンカビニル1000MT2、デンカビニル1000CSK、デンカビニル1000CS、デンカビニル1000GK、デンカビニル1000GSK、デンカビニル1000GS、デンカビニル1000LT3、デンカビニル1000D、デンカビニル1000W(いずれも商品名、電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
[可塑剤]
受容層の感度を良くするため、可塑剤を添加することもできる。このような可塑剤としては、フタル酸エステル、リン酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステルなどのモノメリック型の可塑剤、アジピン酸、セバシン酸などとプロピレングリコールなどが重合したポリエステル型可塑剤など、一般的に塩化ビニル樹脂用の可塑剤として用いることのできるものがあげられる。先にあげた可塑剤は一般に低分子量であるが、他に塩化ビニルの高分子可塑剤として使用されるオレフィン系特殊共重合樹脂も使用することができる。このような用途に用いられる樹脂として、エルバロイ741、エルバロイ742、エルバロイHP443、エルバロイHP553、エルバロイEP4015、エルバロイEP4043、エルバロイEP4051(いずれも商品名、三井・デュポンポリケミカル(株)製)などで市販されているものを使用することができる。このような可塑剤は、樹脂に対し100質量%程度添加することもできるが、印画物のにじみ等の点でその使用量は30質量%以下であるのが好ましい
受容層は、溶剤塗布によらずに、上記ポリマー樹脂の溶融物を押し出しコーティングすることによってキャストすることができる。この押し出しコーティングの技術はエンサイクロピィーディア・オブ・ポリマー・サイエンス・アンド・テクニークス(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering),第3巻(John Wiley,New York),1985年,563頁や、第6巻,1986年,608頁に記載されている。特開平7−179075号公報にも感熱色素転写材用に関する技術が開示されており、本技術も好適に使用することができる。ポリマー樹脂としては、シクロヘキサンジカルボキシレートとエチレングリコール/ビスフェノールA−ジエタノールの50/50モル%混合物(COPOL;登録商標)とを縮合して得られたコポリマーが特に好ましい。
[離型剤]
熱転写受像シートの受像面に充分な剥離性能がない場合には、画像形成時にサーマルヘッドによる熱によってインクシート(熱転写シート)と熱転写受像シート(受像シート)が融着し、剥離時に大きな剥離音が発生したり、また、染料層が層ごと転写されたり、受容層が基材から剥離するいわゆる異状転写の問題が発生する。上記の如き剥離性の問題を解決する方法としては、各種離型剤を受容層中に内添する方法若しくは、受容層の上に別途離型層を設ける方法とが知られている。本発明では、画像印画時の熱転写シートと受像シートとの離型性をより確実に確保するために、離型剤を受容層に使用することが好ましい。
離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー等の固形ワックス類;シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびその他当該技術分野で公知の離型剤を使用することができ、フッ素系界面活性剤等に代表されるフッ素系化合物、シリコーン系界面活性剤、シリコーンオイル及び/又はその硬化物等のシリコーン系化合物が好ましく用いられる。
シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイル、および変性シリコーンオイルやその硬化物が使用できる。ストレートシリコーンオイルには、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルがあり、ジメチルシリコーンオイルとしては、KF96−10、KF96−100、KF96−1000、KF96H−10000、KF96H−12500、KF96H−100000(いずれも商品名、信越化学工業(株)製)等を挙げられ、ジメチルシリコーンオイルとしては、KF50−100、KF54、KF56(いずれも商品名、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
変性シリコーンオイルは、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルに分類できる。反応性シリコーンオイルには、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、ヒドロキシ変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、片末端反応性・異種官能基変性がある。アミノ変性シリコーンオイルとしては、KF−393、KF−857、KF−858、X−22−3680、X−22−3801C、KF−8010、X−22−161A、KF−8012(いずれも商品名、信越化学工業(株)製)等が挙げられ、エポキシ変性シリコーンオイルとしては、KF−100T、KF−101、KF−60−164、KF−103、X−22−343、X−22−3000T(いずれも商品名、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。カルボキシル変性シリコーンオイルとしては、X−22−162C(商品名、信越化学工業(株)製)等が挙げられ、ヒドロキシ変性シリコーンオイルとしては、X−22−160AS、KF−6001、KF−6002、KF−6003、X−22−170DX、X−22−176DX、X−22−176D、X−22−176DF(いずれも商品名、信越化学工業(株)製)等が挙げられ、メタクリル変性シリコーンオイルとしては、X−22−164A、X−22−164C、X−24−8201、X−22−174D、X−22−2426(いずれも商品名、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
反応性シリコーンオイルとしては、硬化させて使用することもでき、反応硬化型、光硬化型、触媒硬化型等に分類できる。このなかで反応硬化型のシリコーンオイルが特に好ましく、反応硬化型シリコーンオイルとしては、アミノ変性シリコーンオイルとエポキシ変性シリコーンオイルとを反応硬化させたものが好ましい。また、触媒硬化型あるいは光硬化型シリコーンオイルとしては、KS−705F−PS、KS−705F−PS−1、KS−770−PL−3〔触媒硬化型シリコーンオイル:いずれも商品名、信越化学工業(株)製〕、KS−720、KS−774−PL−3〔光硬化型シリコーンオイル:いずれも商品名、信越化学工業(株)製〕等が挙げられる。これら硬化型シリコーンオイルの添加量は受像層を構成する樹脂の0.5〜30質量%が好ましい。離型剤は、ポリエステル樹脂100質量部に対して2〜4質量%、好ましくは2〜3質量%程度使用する。その量が少なすぎると、離型性を確実に確保することができず、また多すぎると保護層が受像シートに転写しなくなってしまう。
非反応性シリコーンオイルとしては、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、フッ素変性等がある。ポリエーテル変性シリコーン(KF−6012、商品名、信越化学工業(株)製)が挙げられ、メチルスチル変性シリコーンシリコーンオイルとしては、(24−510、商品名、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。また、下記一般式1〜3のいずれかで表される変性シリコーンも使用することができる。
Figure 0004584127
一般式1中、Rは水素原子、またはアリール基、若しくはシクロアルキル基で置換されても良い直鎖または分岐のアルキル基を表す。m、nは2000以下の整数を表し、a、bは30以下の整数を表す。
Figure 0004584127
一般式2中、Rは水素原子、またはアリール基、若しくはシクロアルキル基で置換されても良い直鎖または分岐のアルキル基を表す。mは2000以下の整数を表し、a、bは30以下の整数を表す。
Figure 0004584127
一般式3中、Rは水素原子、またはアリール基、若しくはシクロアルキル基で置換されても良い直鎖または分岐のアルキル基を表す。m、nは2000以下の整数を表し、a、bは30以下の整数を表す。
上記のようなシリコーンオイルは「シリコーンハンドブック」(日刊工業新聞社刊)に記載されており、硬化型シリコーンオイルの硬化技術として、特開平8−108636号公報や特開2002−264543号公報に記載の技術が好ましく使用できる。
なお、単色印画のハイライト部で染料バインダーが受容層に取られる異状転写を起こすことがある。また、従来、付加重合型シリコーンは、触媒の存在下で硬化反応を進行させるのが一般的であり、硬化触媒としては、鉄族、白金族の8族遷移金属錯体のほとんど全てが有効であることが知られているが、一般には白金化合物が最も効率がよく、通常はシリコーンオイルに可溶の白金錯体である白金触媒が好ましく使用される。反応に必要な添加量としては、1〜100ppm程度で充分である。
この白金触媒は、N、P、S等を含む有機化合物、Sn、Pb、Hg、Bi、As等の重金属イオン性化合物、アセチレン基等、多重結合を含む有機化合物と強い相互作用を持つ為、上記化合物(触媒毒)と共に使用すると、触媒としてのヒドロシリル化能力を失ってしまい、硬化触媒としての機能を果たさなくなるため、シリコーンの硬化不良を起こすという欠点を持っている(「シリコーンハンドブック」日刊工業新聞社)。よって、このような硬化不良の付加重合型シリコーンでは、受容層において使用しても、全く剥離性能を発揮しない。活性水素と反応する硬化剤として、イソシアネート化合物を使用することが考えられるが、このイソシアネート化合物や、その触媒である有機錫化合物は、白金触媒の触媒毒にあたる。従って、従来においては、付加重合型シリコーンは、イソシネート化合物と併用されることがなく、よって、イソシアネート化合物で硬化することにより剥離性能を発揮する活性水素を有する変性シリコーンと併用されることはなかった。
しかしながら、1)活性水素と反応する硬化剤の反応基当量と、熱可塑性樹脂及び活性水素を有する変性シリコーン両方の反応基当量との比を1:1〜10:1とし、2)付加重合型シリコーンに対する白金触媒量を、白金触媒の白金原子として100〜10000ppmとすることにより、付加重合型シリコーンの硬化疎外を防止することができる。上記1)の活性水素と反応する硬化剤の反応基当量が1以下の場合には、活性水素を有するシリコーンと、熱可塑性樹脂の活性水素との硬化量が小さく、良好な剥離性能が得られない。逆に、当量比が10以上の場合には、受容層塗工液のインキの使用可能時間が短く実質上使用できない。また、2)の白金触媒量が、100ppm以下の場合には、触媒毒で活性が失われ、10000ppm以上の場合には、受容層塗工液のインキ使用可能時間が短く使用できないものとなる。
受容層の塗布量は、0.5〜10g/m2(固形分換算、以下本発明における塗布量は特に断りのない限り、固形分換算の数値である。)が好ましい。
<離型層>
硬化変性シリコーンオイルは、受容層に添加しなくとも、離型層として受容層の上に形成しても良い。この場合は、受容層として、上述した様な熱可塑性樹脂を一種類以上使用して形成しても良く、またシリコーンを添加した受容層を使用しても良い。この離型層は、硬化型変性シリコーンを含有してなるが、使用するシリコーンの種類や使用方法は、受容層に使用する場合と同様である。また、触媒や遅延剤を使用する場合も、受容層中に添加するのと同様である。離型層は、シリコーンのみにより形成しても良いし、バインダー樹脂として、相溶性のよい樹脂と混合して使用しても良い。この離型層の厚みは、0.001〜1g/m2程度である。
フッ素系界面活性剤としては、Fluorad FC−430、FC−431(いずれも商品名、3M社製)が挙げられる。
<下地層>
受容層と支持体との間には下地層が形成されていることが好ましく、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層が形成される。これらの層については、例えば特許第3585599号明細書、特許第2925244号明細書などに記載されたものと同様にして形成することができる。
<断熱層>
断熱層(発泡層)は、サーマルヘッドを用いた加熱転写時における熱から支持体を保護する役割を果たす。また、高いクッション性を有するので、基材として紙を用いた場合であっても、印字感度の高い熱転写受像シートを得ることができる。
断熱層は樹脂と発泡剤とから形成される。断熱層の樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、変性オレフィン樹脂等公知の樹脂、あるいはそれらをブレンドしたものが使用できる。これらの樹脂を有機溶剤または水に溶解および/または分散させたものを塗工することにより断熱層を形成するが、断熱層塗工液は、発泡剤に影響を与えない水系塗工液であるのが好ましく、例えば、水溶性、水分散性、もしくはSBRラテックス、ウレタン系エマルジョン、ポリエステルエマルジョン、酢酸ビニルおよびその共重合体のエマルジョン、アクリルおよびアクリルスチレン等のアクリルの共重合体のエマルジョン、塩化ビニルエマルジョン等のエマルジョン、またはこれらのディスパージョン等を用いることができるが、発泡剤として、後述するマイクロスフェアを使用する場合には、上述の樹脂中、酢酸ビニルおよびその共重合体のエマルジョン、アクリルおよびアクリルスチレン等のアクリルの共重合体のエマルジョンを使用するのが好ましい。
これらの樹脂は、共重合させるモノマーの種類およびその配合比を変化させることにより、ガラス転移点や柔軟性、造膜性を容易にコントロールすることができる為、可塑剤や造膜助剤を添加しなくても所望する物性が得られる点、膜形成後の各種環境においての保存時に色の変化が少ない点、物性の経時変化が少ない点で適している。また、上述の樹脂中、SBRラテックスは、一般にガラス転移点が低くブロッキングを起こしやすく、膜形成後や保存中に黄変が生じやすいために好ましくない。ウレタン系エマルジョンは、NMP、DMF等の溶剤を含むものが多く、発泡剤に悪影響を与えやすいため好ましくない。ポリエステルエマルジョンまたはディスパージョンや塩化ビニルエマルジョンは、一般にガラス転移点が高く、マイクロスフェアの発泡性が悪くなるため好ましくない。また柔らかいものもあるが、これらは可塑剤の添加によって柔軟性を付与しているため、好ましくは使用されることがない。
発泡剤の発泡性能は、樹脂の硬さに大きく影響される。発泡剤が望ましい発泡倍率まで発泡する為には、ガラス転移点が−30〜20℃、又は、最低造膜温度が20℃以下のものが望ましい。ガラス転移点が20℃以上のものは、柔軟性が不足し発泡剤の発泡性能が低下してしまう。また、ガラス転移点が−30℃以下のものは、粘着性に起因するブロッキング(発泡層形成後の基材を巻き取った際に発泡層と基材の裏面にて発生)を起こしたり、熱転写受像シートをカットする際に、不良(受像シートを裁断する際に、カッターの刃に発泡層の樹脂がこびりついて、外観が悪くなる、又、裁断の寸法にくるいが生じる等)が発生したりすることがある。また、最低造膜温度が20℃以上のものは、塗工・乾燥時に造膜不良を起こし、表面のヒビ割れなどの不具合が生じる。
発泡剤としては、加熱により分解して、酸素、炭酸ガス、窒素等のガスを発生するジニトロペンタメチレンテトラメン、ジアゾアミノベンゼン、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボアミド等の分解型発泡剤、ブタン、ペンタン等の低沸点液体をポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等の樹脂で覆ってマイクロカプセルとしたマイクロスフェア等公知の発泡剤が挙げられる。これらの中でも、ブタン、ペンタン等の低沸点液体をポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等の樹脂で覆ってマイクロカプセルとしたマイクロスフェアが好ましく使用される。これらの発泡剤は、発泡層形成後加熱により発泡し、発泡後は高いクッション性および断熱性を有する。これら発泡剤の使用量は、発泡層を形成する樹脂100質量部当たり0.5〜100質量部の範囲が好ましい。0.5質量部以下では、発泡層のクッション性が低く発泡層形成の効果が得られない。100質量部以上では、発泡後の中空率が大きくなりすぎ、発泡層の機械的強度が低下して、通常の取扱いに耐えられなくなる。また、発泡層表面が平滑さを失い、外観、印画品質に悪影響を及ぼす。また発泡層全体の厚さは、30〜100μmが好ましい。30μm以下の場合は、クッション性や断熱性が不足し、100μm以上の場合は、発泡層の効果が向上せずに強度が低下してしまう。また、発泡剤の粒径としては、発泡前の体積平均粒径が5〜15μm程度のもの、発泡後の粒径が20〜50μmのものが好ましい。発泡前の体積平均粒径が5μm以下、発泡後の粒径が20μm以下のものは、クッション効果が低く、発泡前の体積平均粒径が15μm以上、発泡後の粒径が20〜50μm以上のものは、発泡層表面を凹凸にし、ひいては形成された画像の画像品質に悪影響を及ぼす為好ましくない。
発泡剤の中でも特に好ましくは、隔壁の軟化温度および発泡開始温度が100℃以下、最適発泡温度(加熱時間1分間で、最も発泡倍率が高くなる温度)が140℃以下の低温発泡型のマイクロスフェアを用いて、発泡時の加熱条件をなるべく低いものとするのが好ましい。発泡温度の低いマイクロスフェアを用いることにより、発泡時の基材の熱シワやカールを防止することができる。この発泡温度の低いマイクロスフェアは、隔壁を形成するポリ塩化ビニリデンやポリアクリロニトリルなどの熱可塑性樹脂の配合量を調節することにより得ることができる。体積平均粒径は5〜15μmである。このマイクロスフェアを用いた発泡層は、発泡により得られる気泡が独立気泡であること、加熱のみの簡単な工程で発泡すること、マイクロスフェアの配合量で発泡層の厚さが容易に制御できることなどの利点がある。
しかし、このマイクロスフェアは有機溶剤に弱く、発泡層として有機溶剤を使用した塗工液を使用すると、マイクロスフェアの隔壁が侵食されてしまい、発泡性が低下してしまう。従って、上記の様なマイクロスフェアを使用した場合には、隔壁を侵すような有機溶剤、例えばアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル系、メタノール、エタノール等の低級アルコール等の有機溶剤を含まない水系の塗工液を使用するのが良い。従って水系の塗工液、具体的には、水溶性か水分散性の樹脂を使用したもの、もしくは樹脂のエマルジョン、好ましくはアクリルスチレンエマルジョンや変成酢酸ビニルエマルジョンを用いるのが良い。また、水系の塗工液にて発泡層を形成しても、助溶剤や造膜助剤、可塑剤としてNMP、DMF、セロソルブ等の高沸点高極性溶媒を添加したものは、マイクロスフェアに影響を与えるので、使用する水性樹脂の組成、高沸点溶媒添加量を把握し、マイクロカプセルに悪影響がないか確認する等の注意が必要である。
<支持体>
支持体には、コート紙やWP紙(両面ラミネート紙)等を用いることができる。
−コート紙−
前記コート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムラテックス又は高分子材料を片面又は両面に塗工した紙であり、用途に応じて、塗工量が異なる。このようなコート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙等が挙げられる。
前記原紙等の表面に塗工する樹脂としては、熱可塑性樹脂を使用することが適当である。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、以下の(イ)〜(チ)の熱可塑性樹脂を例示することができる。
(イ)ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、エチレンやプロピレン等のオレフィンと、他のビニルモノマーとの共重合体樹脂や、アクリル樹脂等が挙げられる。
(ロ)エステル結合を有する熱可塑性樹脂である。例えば、ジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、アルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基などが置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等が挙げられる。
具体的には、特開昭59−101395号公報、同63−7971号公報、同63−7972号公報、同63−7973号公報、同60−294862号公報などに記載のものを挙げることができる。
また、市販品としては、東洋紡(株)製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130;花王(株)製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010;ユニチカ(株)製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、KZA−7049、KZA−1449;日本合成化学工業(株)製のポリエスターTP−220、R−188;星光化学工業(株)製のハイロスシリーズの各種熱可塑性樹脂(いずれも商品名)等が挙げられる。
(ハ)ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
(ニ)ポリアミド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
(ホ)ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
(ヘ)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
(ト)ポリビニルブチラール等の、ポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂等が挙げられる。
(チ)ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
なお、前記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、前記熱可塑性樹脂には、増白剤、導電剤、填料、酸化チタン、群青、カーボンブラック等の顔料や染料等を必要に応じて含有させておくことができる。
−ラミネート紙−
前記ラミネート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴム又は高分子シート又はフィルム等をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリオレフィンは、一般に低密度ポリエチレンを用いて形成することが多いが、支持体の耐熱性を向上させるために、ポリプロピレン、ポリプロピレンとポリエチレンとのブレンド、高密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンド等を用いるのが好ましい。特に、コストや、ラミネート適性等の点から、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いるのが最も好ましい。
前記高密度ポリエチレンと、前記低密度ポリエチレンとのブレンドは、例えば、ブレンド比率(質量比)1/9〜9/1で用いられる。該ブレンド比率としては、2/8〜8/2が好ましく、3/7〜7/3がより好ましい。該支持体の両面に熱可塑性樹脂層を形成する場合、支持体の裏面は、例えば、高密度ポリエチレン、或いは高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いて形成されるのが好ましい。ポリエチレンの分子量としては、特に制限はないが、メルトインデックスが、高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれについても、1.0〜40g/10分の間のものであって、押出し適性を有するものが好ましい。
尚、これらのシート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。
前記支持体の厚みとしては、25μm〜300μmが好ましく、50μm〜260μmがより好ましく、75μm〜220μmが更に好ましい。該支持体の剛度としては、種々のものがその目的に応じて使用することが可能であり、写真画質の電子写真用受像シート用の支持体としては、カラー銀塩写真用の支持体に近いものが好ましい。
<カール調整層>
支持体がそのまま露出していると環境中の湿度・温度により感熱転写受像シートがカールしてしまうことがあるため、支持体の裏面側にカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層は、受像シートのカールを防止するだけでなく防水の役割も果たす。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
<筆記層・帯電調整層>
筆記層・帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号明細書などに記載されたものと同様にして形成することができる。
また、感熱転写受像シートは、支持体を適宜選択することにより、熱転写記録可能な枚葉またはロール状の感熱転写受像シート、カード類、透過型原稿作成用シート等の各種用途に適用することもできる。
次に、本発明に用いられるインクシート(感熱転写シート)について説明する。
熱転写画像形成の際に、上述した感熱転写受像シートと併せて使用されるインクシートは、支持体上に拡散転写染料を含む色素層を設けたものである。色素層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で行われる。
本発明の感熱転写受像シートの受容層は、塩化ビニル系ポリマーを含むものであり、この場合のインクシートの色素層に含有する色素は、後述する。
最初に、感熱転写受像シートの受容層にポリエステル及び/又はポリカーボネート系ポリマーを含む場合について説明する。
前記感熱転写受像シートの受容層にポリエステル及び/又はポリカーボネート系ポリマーを含む場合、いられるインクシートの色素層には、イエロー色素として前記一般式(1)又は(3)で表される少なくとも1種の色素を含むことが好ましく、マゼンタ色素として前記一般式(4)又は(5)で表される少なくとも1種の色素を含むことが好ましく、シアン色素として前記一般式(6)で表される少なくとも1種の色素を含むことが好ましい。
Figure 0004584127
一般式(1)中、R1、R2およびR3は各々独立に水素原子または置換基を表す。
ここで該置換基をさらに詳しく説明する。該置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基(環数は問わない)を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基(環数は問わない)を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、スルファモイル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールもしくはヘテロ環アゾ基、イミド基を挙げることができ、それぞれの基はさらに置換基を有していても良い。
以下に、前記R1、R2、R3をさらに詳しく説明する。
1、R2およびR3で表されるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。中でも塩素原子、臭素原子が好ましく、特に塩素原子が好ましい。
1、R2又はR3で表されるアルキル基にはシクロアルキル基およびビシクロアルキル基が含まれる。アルキル基としては直鎖、分岐の置換もしくは無置換のアルキル基が含まれる。直鎖、分岐の置換もしくは無置換のアルキル基は炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。例としてはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、または2−エチルヘキシルを挙げることができる。シクロアルキル基としては置換もしくは無置換のシクロアルキル基が含まれる。置換もしくは無置換のシクロアルキル基は、炭素数3〜30のシクロアルキル基が好ましい。例としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシルを挙げることができる。ビシクロアルキル基としては、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例として、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)を挙げることができる。さらに環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。
1、R2又はR3で表されるアルケニル基にはシクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基が含まれる。アルケニル基としては直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。アルケニル基としては、炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基が好ましい。例としてはビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイルを挙げることができる。シクロアルケニル基としては、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基が好ましい。例としては、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルが挙げられる。ビシクロアルケニル基としては、置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基が含まれる。ビシクロアルケニル基としては炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基が好ましい。例として、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イルを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアルキニル基は、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル、またはプロパルギルが挙げられる。
1、R2又はR3で表されるアリール基は、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、例えば、フェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニルが挙げられる。
1、R2又はR3で表されるヘテロ環基は、5又は6員の置換もしくは無置換の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基が好ましく、それらはさらに縮環していてもよい。更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。ヘテロ環基の例には、置換位置を限定しないで例示(すなわち、環として例示)すると、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。
1、R2又はR3で表されるアルコキシ基は、置換もしくは無置換のアルコキシ基が含まれる。置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、炭素原子数が1〜30のアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシおよび3−カルボキシプロポキシなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアリールオキシ基は、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基が好ましい。アリールオキシ基の例には、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基が好ましい。アシルオキシ基の例には、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるカルバモイルオキシ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基が好ましい。カルバモイルオキシ基の例には、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアルコキシカルボニルオキシ基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。アルコキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアリールオキシカルボニルオキシ基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアミノ基はアルキアミノ基、アリールアミノ基を含む。アミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基が好ましい。アミノ基の例には、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、ヒドロキシエチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、スルフォエチルアミノ、3,5−ジカルボキシアニリノなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアシルアミノ基は、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基が好ましい。アシルアミノ基の例には、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアミノカルボニルアミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基が好ましい。アミノカルボニルアミノ基の例には、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアルコキシカルボニルアミノ基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアリールオキシカルボニルアミノ基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるスルファモイルアミノ基は、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基が好ましい。スルファモイルアミノ基の例には、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基が好ましい。アルキルスルホニルアミノ基およびアリールスルホニルアミノ基の例には、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアルキルチオ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基が好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるスルファモイル基は、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基が好ましい。スルファモイル基の例には、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)などを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアルキルもしくはアリールスルフィニル基は、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基が好ましい。アルキルもしくはアリールスルフィニル基の例には、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニルなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアルキルもしくはアリールスルホニル基は、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基が好ましい。アルキルもしくはアリールスルホニル基の例には、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアシル基は、ホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基が好ましい。アシル基の例には、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、2−フリルカルボニルなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアリールオキシカルボニル基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基が好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニルなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアルコキシカルボニル基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基が好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニルなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるカルバモイル基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基が好ましい。カルバモイル基の例には、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイルなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるアリールもしくはヘテロ環アゾ基は、例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾなどを挙げることができる。
1、R2又はR3で表されるイミド基は、例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミドなどを挙げることができる。
1およびR2は、好ましくは各々独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環基、置換または無置換のアシルアミノ基、置換または無置換のアミノカルボニルアミノ基、置換または無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、または置換または無置換のアミノ基であり、より好ましくは水素原子、置換または無置換のアルキル基である。
3は、好ましくは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環基である。より好ましくは水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基である。
1は、結合している両端の炭素原子と共にヘテロ環を形成する原子団を表す。A1は酸性核を形成する原子群である場合が特に好ましい。James編,The Theory of the Photographic Process,第4版,マクミラン社,1977年,第198頁、およびF.M.Harmer著,Heterocyclic Compounds−Cyanine Dyes and Related Compounds,John&Wiley&Sons,New York,London,1964年刊により定義され、好ましくは、A1は5員または6員の含窒素複素環を形成する原子群を表わす。これらはさらにベンゼン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環などで縮環されていてもよい。A1により形成される環(核)としては、具体的には、2−ピラゾリン−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、イミダゾリン−5−オン、ヒダントイン、2または4−チオヒダントイン、2−イミノオキサゾリジン−4−オン、2−オキサゾリン−5−オン、2−チオオキサゾリン−2,4−ジオン、イソローダニン、ローダニン、インダン−1,3−ジオン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、インドリン−2−オン、インドリン−3−オン、2−オキソインダゾリウム、5,7−ジオキソ−6,7−ジヒドロチアゾロ〔3,2−a〕ピリミジン、3,4−ジヒドロイソキノリン−4−オン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、クマリン−2,4−ジオン、インダゾリン−2−オン、ピリド[1,2−a]ピリミジン−1,3−ジオン、ピラゾロ〔1,5−b〕キナゾロン、ピラゾロピリドン、3−ジシアノメチリデニル−3−フェニルプロピオニトリル、メルドラム酸などの核が挙げられ、好ましくは、2−ピラゾリン−5−オンである。これらはさらに置換基を有していても良い。
1は、両端の炭素原子、窒素原子と共に、ヘテロ環を形成する原子団を表す。B1は各々5員または6員の含窒素複素環を形成する原子群が好ましい。これらはさらにベンゼン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環などで縮環されていてもよい。B1としては炭素数3〜25のオキサゾール核(例えば、3−メチルオキサゾール−2−イル)、炭素数3〜25のチアゾール核(例えば、3−メチルチアゾール−2−イル)、炭素数3〜25のイミダゾール核(例えば、1,3−ジエチルイミダゾール−2−イル)、炭素数10〜30のインドレニン核(例えば、3,3−ジメチルインドレニン)、炭素数9〜25のキノリン核(例えば、1−メチルキノリン−2−イル)、炭素数3〜25のセレナゾール核(例えば、3−メチルベンゾセレナゾール−2−イル)、炭素数5〜25のピリジン核(例えば、2−ピリジル)、チアゾリン核、オキサゾリン核、セレナゾリン核、テルラゾリン核、テルラゾール核、ベンゾテルラゾール核、イミダゾリン核、イミダゾ[4,5−キノキザリン]核、オキサジアゾール核、チアジアゾール核、テトラゾール核、ピリミジン核を形成する原子団を挙げることができる。これらはさらに置換基を有していても良い。
上記一般式(1)で表される色素のうち、好ましくは下記一般式(2)で表される色素である。以下、下記一般式(2)で表される色素について詳細に説明する。
Figure 0004584127
一般式(2)中、R1、R2およびR3はそれぞれ一般式(1)中のR1、R2およびR3と同義であり、好ましい範囲も同じである。R4、R5、R6、R7およびR8は各々独立に水素原子または置換基を表す。該置換基としては、前述したR1、R2およびR3で説明したものが挙げられる。n1は0〜4の整数を表し、n2は0〜5の整数を表す。ここで、n1が2〜4の整数を表すとき又はn2が2〜5の整数を表すとき、複数のR4又は複数のR8は各々同じでも異なっていてもよい。
4およびR8は、好ましくは各々独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、スルファモイル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環基であり、より好ましくは置換または無置換のアルキル基である。
5およびR6は、好ましくは一般式(1)におけるR1、R2と同様であり、より好ましくは各々独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環基であり、さらに好ましくは水素原子、置換または無置換のアルキル基である。
7は、好ましくは、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアシルアミノ基であり、より好ましくは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアシルアミノ基である。
一般式(2)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
具体的に好ましい組み合わせの例は、R1が水素原子、R2が水素原子、R3が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R4が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R5が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R6が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R7が置換もしくは無置換の炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、R8が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基または塩素原子、n1が0〜3の整数、n2が0〜3の整数である組み合わせである。より好ましい組み合わせの例は、R1が水素原子、R2が水素原子、R3が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R5が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R6が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R7が置換もしくは無置換の炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、n1およびn2がともに0である組み合わせである。
一般式(3)で表される色素について、詳細に説明する。
Figure 0004584127
一般式(3)中、R11、R13およびR14は各々独立に水素原子または置換基を表し、R12は置換基を表す。R11〜R14における置換基としては、前述したR1、R2およびR3で説明したものが挙げられる。A2は結合している両端の炭素原子と共にヘテロ環を形成する原子団を表す。n3は0〜4の整数を表す。ここで、n3が2〜4の整数を表すとき複数のR12は同じでも異なっていてもよい。
11は、好ましくは、一般式(1)のR1と同様である。より好ましくは、水素原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基である。最も好ましくは水素原子である。
12は、好ましくは、一般式(2)のR4、R8と同様である。より好ましくは、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子である。
13、R14は、好ましくは、一般式(1)のR3で述べたものを挙げることができ、好ましい範囲もR3と同じである。より好ましくは水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基である。
2は具体例には、一般式(1)のA1で述べたものを挙げることができ、好ましい置換基も同じである。
一般式(3)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
具体的に好ましい組み合わせの例は、A2が置換基を有する2−ピラゾリン−5−オン、R11が水素原子、R12が炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、R13が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R14が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、n3が0〜2の整数である組み合わせである。より好ましい組み合わせの例は、A2が置換基を有する2−ピラゾリン−5−オン、R11が水素原子、R12が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、R13が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R14が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、n3が0または1である組み合わせである。
一般式(4)で表される色素について、詳細に説明する。
Figure 0004584127
一般式(4)中、Dは、ジアゾニウム塩由来の芳香環基または芳香族へテロ環基を表す。R15は置換基を表し、R16およびR17は各々独立に水素原子または置換基を表す。R15〜R17における置換基としては、前述したR1、R2、及びR3で説明したものが挙げられる。n4は0〜4の整数を表す。ここで、n4が2〜4の整数を表すとき複数のR15は同じでも異なっていてもよい。
ここで、アゾ色素について詳細に説明する。アゾ色素は、アリールもしくは、ヘテロアリールジアゾニウム塩(ジアゾ成分)と、そのジアゾニウム塩とアゾカップリング反応して色素を生成する酸性の水素原子を有した化合物(カプラー成分)を反応させて合成する色素である。
Dは、ジアゾニウム塩から誘導可能な、芳香環基または芳香族へテロ環基であり、該芳香環基または芳香族へテロ環基は置換基を有していてもよい。つまり、Dはジアゾ成分である。ジアゾ成分とは、アミノ基を置換基として有するヘテロ環化合物または、ベンゼン誘導体をジアゾ化合物(ジアゾニウム塩)に変換し、カプラーとのジアゾカップリング反応により導入できる部分構造のことであり、アゾ色素の分野では頻繁に使用される概念である。言い換えれば、ジアゾ化反応が可能であるアミノ置換された芳香族ヘテロ環化合物または、芳香族化合物のアミノ基を取り去り一価の基とした置換基である。
芳香族ヘテロ環基の例としては、置換位置を限定しないで例示(すなわち、環として例示)すると、ピロール環、ピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、ベンゾチアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイソチアゾール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、インドール環、キノリン環、プリン環、カルバゾール環、アクリジン環を挙げる事ができる。好ましくはイソチアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環である。各複素環はさらに置換基を有していてもよく、さらに縮環していてもよい。
芳香族基としては、例えばフェニル基、ナフチル基が挙げられ、置換基を有していてもよく、さらに縮環していてもよい。
15は、好ましくは、一般式(1)のR1と同様である。より好ましくは、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基である。
16及びR17は、好ましくは、一般式(1)のR3で述べたものを挙げることができ、好ましい範囲もR3と同じである。より好ましくは水素原子、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基である。
一般式(4)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
具体的に好ましい組み合わせの例は、Dが置換基を有するイソチアゾール環から誘導される一価の基または置換基を有する1,3,4−チアジアゾール環から誘導される一価の基、R15がアシルアミノ基、R16が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R17が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、n4が0〜4の整数である組み合わせである。より好ましい組み合わせの例は、Dが置換基を有するイソチアゾール環から誘導される一価の基または置換基を有する1,3,4−チアジアゾール環から誘導される一価の基、R15がアシルアミノ基、R16が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R17が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、n4が1、R15の置換位置がアゾ基に対してo−位である組み合わせである。
一般式(5)で表される色素について、詳細に説明する。
Figure 0004584127
一般式(5)中、A3は、結合している両端の炭素原子と共にヘテロ環を形成する原子団を表す。EWG1は電子求引性基を表し、R18は置換基を表し、R19およびR20は各々独立に水素原子または置換基を表し、R18〜R20における置換基としては、前述したR1、R2およびR3で説明したものが挙げられる。n5は0〜4の整数を表す。ここで、n5が2〜4の整数を表すとき複数のR18は同じでも異なっていてもよい。
3の具体例には、一般式(1)のA1で述べたものを挙げることができ、好ましい置換基も同じである。
EWG1は、Hammettの置換基定数σp値が0以上の電子求引性基が置換を表す。EWG1はσp値が0.30以上の電子求引性基が好ましく、0.45以上の電子求引性基が更に好ましく、0.60以上の電子求引性基が特に好ましい。σp値が0.60以上の電子求引性基の例は、ニトロ基、シアノ基、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、トリフルオロアセチル基、ジメチルアミノスルホニル基、スルファモイル基などが挙げられ、σp値が0.45以上の電子求引性基の例は、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルボキシ基が挙げられ、σp値が0.30以上の電子求引性基の例はスルホ基、カルバモイル基が挙げられる。より好ましくは、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基であり、さらに好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基であり、最も好ましくはシアノ基、カルバモイル基である。
ここで、Hammettの置換基定数σp値について若干説明する。Hammett則は、ベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。Hammett則で求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版,1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊122号,96〜103頁,1979年(南光堂)に詳しい。なお、本明細書において各置換基をHammettの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもHammett則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、前記一般式中には、ベンゼン誘導体ではないものも含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本明細書においてσp値をこのような意味で使用する。
18の好ましい例には、一般式(2)のR4、R8で述べたような置換基が挙げられる。より好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基である。
19及びR20の好ましい例には一般式(1)のR3で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。より好ましくは各々独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは、無置換のアリール基、置換もしくは、無置換のへテロ環基であり、さらに好ましくは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基である。
一般式(5)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
具体的に好ましい組み合わせの例は、A3が置換基を有する2−ピラゾリン−5−オン環を形成する基、EWG1がシアノ基、R18が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、R19が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R20が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、n5が0〜4の整数である組み合わせである。より好ましい組み合わせの例は、A3が置換基を有する2−ピラゾリン−5−オン環を形成する基、EWGがシアノ基、R19が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R20が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、n5が0である組み合わせである。
一般式(6)で表される色素について、詳細に説明する。
Figure 0004584127
一般式(6)中、EWG2は電子求引性基を表し、R21およびR24は各々独立に置換基を表し、R22、R23およびR25は各々独立に置換基を表し、R21〜R25における置換基としては、前述したR1、R2及びR3で説明したものが挙げられる。n6、n7は各々独立に0〜4の整数を表す。ここで、n6が2〜4の整数を表すとき又はn7が2〜4の整数を表すとき、複数のR21又は複数のR24は各々同じでも異なっていてもよい。
EWG2は具体例には、一般式(5)のEWG1で述べたものを挙げることができ、好ましい範囲も同じである。EWG2はσp値が0.30以上の電子求引性基が好ましく、0.45以上の電子求引性基がより好ましい。具体的により好ましくはシアノ基、炭素数1〜6の置換もしくは無置換カルバモイル基であり、さらに好ましくは無置換のカルバモイル基である。
21、R24、R25の例には、一般式(2)のR4、R8で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。より好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、アシルアミノ基があり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、アシルアミノ基である。最も好ましくは水素原子である。
22及びR23の例には、一般式(1)のR3で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。より好ましくは水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基である。
一般式(6)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
具体的に好ましい組み合わせの例は、EWG2が置換カルバモイル基、R21が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R22が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R23が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R24が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R25が水素原子、n6が0〜4の整数、n7が0〜4の整数である組み合わせである。より好ましい組み合わせの例は、EWG2が置換カルバモイル基、R22が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R23が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R25が水素原子、n6とn7がともに0である組み合わせである。
本発明においては、前記感熱転写受像シートの受容層塩化ビニル系ポリマーを含、本発明に用いられるインクシートの色素層には、イエロー色素として記一般式(7)又は(8)で表される少なくとも1種の色素を含むことが好ましく、マゼンタ色素として記一般式(9)、(10)又は(11)のいずれかで表される少なくとも1種の色素を含むことが好ましく、シアン色素として記一般式(12)又は(13)で表される少なくとも1種の色素を含むことが好ましいが、本発明においては、マゼンタ色素層に下記一般式(9)で表される色素、下記一般式(10)で表される色素、および下記一般式(11)で表される色素をそれぞれ含有し、シアン色素層に下記一般式(12)で表される色素、および下記一般式(13)で表される色素をそれぞれ含有することを必須とする
一般式(7)で表される色素について、詳細に説明する。
Figure 0004584127
一般式(7)中、R51およびR52は各々独立に置換基を表し、該置換基としては、前述したR1、R2およびR3で説明したものが挙げられる。n8は0〜5の整数を表し、n9は、0〜4の整数を表す。ここで、n8が2〜5の整数を表すとき又はn9が2〜4の整数を表すとき、複数のR51又は複数のR52は各々同じでも異なっていてもよい。
51の例には、一般式(2)のR4、R8で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。より好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基である。最も好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
52の例には、一般式(2)のR4、R8で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。好ましくは炭素数6〜10のアリールオキシカルボニル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のカルバモイル基であり、より好ましくは置換カルバモイル基である。
一般式(7)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
具体的に好ましい組み合わせの例は、R51が炭素数1〜6のアルキル基、R52が置換もしくは無置換のカルバモイル基または炭素数6〜10のアリールオキシカルボニル基または炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、n8が0〜3の整数、n9が0〜3の整数である組み合わせである。より好ましい組み合わせの例は、R51が炭素数1〜6のアルキル基、R52が置換もしくは無置換のカルバモイル基または炭素数6〜10のアリールオキシカルボニル基または炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、n8が0〜2の整数、n9が0〜2の整数である組み合わせである。さらに好ましい組み合わせの例は、R51が炭素数1〜6のアルキル基、R52が置換もしくは無置換のカルバモイル基または炭素数6〜10のアリールオキシカルボニル基または炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、n8が0または1、n9が0〜2の整数である組み合わせである。
一般式(8)で表される色素について、詳細に説明する。
Figure 0004584127
一般式(8)中、R61は置換基を表す。R62、R63およびR64は各々独立に水素原子または置換基を表す。R61〜R64における置換基としては前述したR1、R2、及びR3で説明したものが挙げられる。n10は0〜4の整数を表す。ここで、n10が2〜4の整数を表すとき複数のR61は同じでも異なっていてもよい。
61の例には、一般式(2)のR4、R8で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。より好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基である。最も好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
62、R63の例には、一般式(1)のR3で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。より好ましくは水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基である。
64の例には、一般式(1)のR1、R2で述べたような置換基が挙げられる。好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
一般式(8)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
具体的に好ましい組み合わせの例は、R61が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R62が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R63が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R64が水素原子、n10が0〜4の整数である組み合わせである。より好ましい組み合わせの例は、R61が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R62が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R63が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R64が水素原子、n10が0または1である組み合わせである。
一般式(9)または(10)で表される色素について、詳細に説明する。
Figure 0004584127
一般式(9)中、R71およびR73は各々独立に水素原子または置換基を表し、R72およびR74は各々独立に置換基を表す。n11は0〜4の整数を表す。n12は0〜2の整数を表す。ここで、n11が2〜4の整数を表すとき又はn12が2を表すとき、複数のR74又は複数のR72は各々同じでも異なっていてもよい。R71〜R74における置換基としては、前述したR1、R2およびR3で説明したものが挙げられる。
71、R73の例としては、一般式(1)のR3で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。より好ましくは水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、さらに好ましくは、水素原子である。
72、R74の例としては、一般式(2)のR4、R8で述べたような置換基が挙げられる。好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基であり、より好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基である。各基は置換基を有していてもよい。
Figure 0004584127
一般式(10)中、R81は水素原子または置換基を表す。R82、R84は各々独立に置換基を表す。n13は0〜4の整数を表し、n14は0〜2の整数を表す。ここで、n13が2〜4の整数を表すとき又はn14が2を表すとき、複数のR84又は複数のR82は各々同じでも異なっていてもよい。R81、R82、R84における置換基としては、前述したR1、R2、及びR3で説明したものが挙げられる。
81の例としては、一般式(1)のR3で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。より好ましくは水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、さらに好ましくは、水素原子である。
82、R84の例としては、一般式(2)のR4、R8で述べたような置換基が挙げられる。好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基であり、より好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基である。各基は置換基を有していてもよい。
一般式(9)または(10)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
具体的に一般式(9)における置換基の好ましい組み合わせの例は、R71が水素原子、R72がアリールオキシ基、R73が水素原子、n11が0、n12が0〜2の整数である組み合わせである。より好ましい組み合わせは、R71が水素原子、R72がアリールオキシ基、R73が水素原子、n11が0、n12が2である組み合わせである。
具体的に一般式(10)における置換基の好ましい組み合わせ例は、R81が水素原子、かつR82がアリールオキシ基、n13が1または2、n14が0である組み合わせである。より好ましい組み合わせは、R81が水素原子、かつR82がアリールオキシ基、n13が1、n14が0である組み合わせである。さらに好ましい組み合わせは、R81が水素原子、かつR82がアリールオキシ基、n13が1、n14が0であり、R82がアミノ基に対してo−位に置換された組み合わせである。
一般式(11)で表される色素について、詳細に説明する。
Figure 0004584127
一般式(11)中、R91は水素原子または置換基を表す。R93およびR94は各々独立に水素原子または置換基を表す。R92は置換基を表す。n15は0〜2の整数を表す。ここで、n15が2を表すとき複数のR92は同じでも異なっていてもよい。Z1、Z2は、どちら一方が=N−であり、他方が=C(R95)−を表す。Z3、Z4は各々独立に=N−または=C(R96)−を表す。R95およびR96は各々独立に水素原子または置換基を表す。R91〜R96における置換基としては、前述したR1、R2およびR3で説明したものが挙げられる。
91は、好ましくは、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環基、置換もしくは無置換のアミノ基であり、より好ましくは置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基である。
92の例としては、一般式(2)のR4、R8で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。より好ましくは、水素原子、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基である。
93、R94の例としては、一般式(1)のR3で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。より好ましくは水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、さらに好ましくは置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基である。
95の例としては、一般式(2)のR4、R8で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。より好ましくは、水素原子、置換または無置換のアルキル基である。
一般式(11)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
具体的な好ましい組み合わせの例は、Z1が=C(R95)−または=N−、Z2が=N−または=C(R95)−、Z3が=C(R96)−、Z4が=N−、R91が置換もしくは無置換のアルキル基、R92が置換もしくは無置換のアルキル基、R93が置換もしくは無置換のアルキル基、R94が置換もしくは無置換のアルキル基、R95が水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基、R96が水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基、n15が0である組み合わせである。より好ましい組み合わせの例は、Z1が=C(R95)−、Z2が=N−、Z3が=C(R96)−、Z4が=N−、R91が置換もしくは無置換のアルキル基、R92が置換もしくは無置換のアルキル基、R93が置換もしくは無置換のアルキル基、R94が置換もしくは無置換のアルキル基、R95が水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基、R96が水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基、n15が0である組み合わせである。
一般式(12)または(13)で表される色素について、詳細に説明する。
Figure 0004584127
101およびR102は各々独立に置換基を表し、R103およびR104は各々独立に水素原子または置換基を表す。R101〜R104における置換基としては、前述したR1、R2およびR3で説明したものが挙げられる。n16およびn17は各々独立に0〜4の整数を表す。ここで、n16が2〜4の整数を表すとき又はn17が2〜4の整数を表すとき、複数のR101又は複数のR102は各々同じでも異なっていてもよい。
101の例としては、一般式(2)のR4、R8で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。より好ましくはアミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、置換または無置換のアルキル基、ハロゲン原子またはアシルアミノ基であり、さらに好ましくはアシルアミノ基である。好ましい置換位置としては、=Oに対してo−位にアシルアミノ基が置換されているものである。
102の例としては、一般式(2)のR4、R8で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。より好ましくは、置換または無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基である。
103、R104の例としては、一般式(1)のR3で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。より好ましくは置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基であり、さらに好ましくは置換もしくは無置換のアルキル基である。
具体的な好ましい組み合わせの例は、R101が塩素原子または置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基またはアシルアミノ基、R102が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、R103が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R104が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、n16が0〜4の整数、n17が0〜2の整数である組み合わせである。より好ましい組み合わせの例は、R101が塩素原子または置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基またはアシルアミノ基(置換位値がカルボニルに対してo−位)、R102が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、R103が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R104が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、n16が1〜3の整数、n17が0または1である組み合わせである。
Figure 0004584127
一般式(13)中、R111およびR113は各々独立に水素原子または置換基を表す。R112およびR114は各々独立に置換基を表す。n18は、0〜4の整数を表し、n19は、0〜2の整数を表す。ここで、n18が2〜4の整数を表すとき又はn19が2を表すとき、複数のR114又は複数のR112は各々同じでも異なっていてもよい。R111〜R114における置換基としては、前述したR1、R2およびR3で説明したものが挙げられる。
111、R113の例としては、一般式(1)のR3で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。より好ましくは水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基である。
112、R114の例としては、水素原子や一般式(2)のR4、R8で述べたような置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。より好ましくは水素原子である。
一般式(12)または(13)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
具体的な好ましい組み合わせの例は、R111が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基、R113が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基、n18およびn19がともに0である組み合わせである。より好ましい組み合わせの例は、R111が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R113が置換もしくは置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基、n18およびn19がともに0である組み合わせである。
以下に、一般式(1)、(3)(6)のいずれかで表される色素の具体例とともに、本発明の一般式(7)〜(13)のいずれかで表される色素の具体例を以下に示すが本発明に用いられる一般式(7)〜(13)のいずれかで表される色素は、下記の例に限定されるものではない。なお、一般式(1)、(3)〜(6)のいずれかで表される色素の具体例((1)−1〜(1)−3、(3)−1〜(3)−3、(4)−1〜(4)−4、(5)−1〜(5)−4、(6)−1〜(6)−5)はいずれも参考例である。
Figure 0004584127
Figure 0004584127
Figure 0004584127
Figure 0004584127
Figure 0004584127
Figure 0004584127
Figure 0004584127
Figure 0004584127
Figure 0004584127
Figure 0004584127
Figure 0004584127
前記一般式(1)〜(13)で表される色素のうち、市販されていないものに関しては、米国特許第4,757,046号、同第3,770,370号、独国特許第2316755号、特開2004−51873号、特開平7−137455号、特開昭61−31292号の各公報もしくは明細書、ならびに、J.Chem.Soc.Perkin transfer I,2047(1977)、Champan著,「Merocyanine Dye−Doner Element Used in thermal Dye Transfer」に記載の方法に準じて合成することができる。
前記一般式(1)〜(13)で表される色素は、インクシートの色素層中にそれぞれ10〜90質量%含有されることが好ましく、20〜80質量%含有されることがより好ましい。
インクシートの色素層の塗布量は、0.1〜1.0g/m2(固形分換算、以下本発明における塗布量は特に断りのない限り、固形分換算の数値である。)が好ましく、更に好ましくは0.15〜0.60g/m2である。色素層の膜厚は0.1〜2.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.1〜1.0μmである。
インクシートの支持体には、感熱転写受像シートの支持体と同様のものを用いることができ、ポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。
前記支持体の厚みとしては、1〜10μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。
画像形成方法は例えば特開2005−88545号公報などに記載された方法と同様にして行うことができる。本発明では、消費者にプリント物を提供するまでの時間を短縮するという観点から、プリント時間は15秒未満が好ましく、5〜12秒がより好ましい。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中で、部または%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
[インクシートの作製]
(インクシートD1の作製)
厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ルミラー、商品名、東レ(株)製)を基材フィルムとして用いた。そのフィルム背面側に耐熱スリップ層(厚み1μm)を形成し、かつ表面側に下記組成のイエロー、マゼンタ、シアン組成物をそれぞれ単色に塗布(乾膜時の塗布量1g/m2)した。
イエローインキ
色素(1)−1 2.2部
色素(3)−1 2.3部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90部
マゼンタインキ
色素(4)−1 2.2部
色素(5)−1 2.3部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90部
シアンインキ
色素(6)−1 2.2部
色素(6)−4 2.3部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90部
(インクシートD2の作製)
各単色のインク層のみ下記組成とし、それ以外は試料D1と同様に作製した。
イエローインキ
色素(1)−2 2.2部
色素(3)−2 2.3部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90部
マゼンタインキ
色素(4)−2 2.2部
色素(5)−2 2.3部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90部
シアンインキ
色素(6)−2 2.2部
色素(6)−5 2.3部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90部
(インクシートD3の作製)
各単色のインク層のみ下記組成とし、それ以外は試料D1と同様に作製した。
イエローインキ
色素(7)−1 2.5部
色素(8)−1 2.0部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90部
マゼンタインキ
色素(9)−1 1.0部
色素(10)−1 1.0部
色素(11)−1 2.5部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90部
シアンインキ
色素(12)−1 2.0部
色素(13)−1 2.5部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90部
(インクシートD4の作製)
各単色のインク層のみ下記組成とし、それ以外は試料D1と同様に作製した。
イエローインキ
色素(7)−2 2.5部
色素(8)−2 2.0部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90部
マゼンタインキ
色素(9)−2 1.0部
色素(10)−2 1.0部
色素(11)−2 2.5部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90部
シアンインキ
色素(12)−2 2.0部
色素(13)−2 2.5部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90部
[受像シートの作製]
(受像シートR1の作製)
支持体として合成紙(ユポFPG200、厚さ200μm、商品名、(株)ユポ・コーポレーション製)を用い、この一方の面に下記組成の白色中間層、受容層の順にバーコーターにより塗布を行った。それぞれの乾燥時の塗布量は白色中間層1.0g/m2、受容層4.0g/m2となるように塗布を行い、乾燥は各層110℃、30秒間行った。
白色中間層
ポリエステル樹脂(バイロン200、商品名、東洋紡(株)製) 10質量部
蛍光増白剤 1質量部
(Uvitex OB、商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
酸化チタン 30質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
受容層
塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂 100質量部
(ソルバインA、商品名、日信化学工業(株)製)
アミノ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22−3050C)
エポキシ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22−300E)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 400質量部
(受像シートR2の作製)
受容層のみ下記組成とし、それ以外は受像シートR1と同様に作製した。
受容層
ポリエステル樹脂 100質量部
(バイロン200、商品名、東洋紡(株)製)
アミノ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22−3050C)
エポキシ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22−300E)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 400質量部
(受像シートR3の作製)
受容層を下記組成のものと変更して、100℃、2分間で行った。それ以外は、受像シートR1と同様に作製した。
受容層
塩化ビニル系ラテックス 1100量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製)
モンタン酸エステルワックス(J537、商品名、中京油脂(株)製) 100量部
フッ素系界面活性剤 1質量部
(Fluorad FC−170C、商品名、3M Corporation製)
ポリビニルアルコール(PVA−105、商品名、クラレ(株)製) 25質量部
蒸留水 1000質量部
(受像シートR4の作製)
受容層を下記組成のものと変更して、それ以外は受像シートR3と同様に作製した。
受容層
ポリエステルラテックス 2180質量部
(バイロナールMD−1480、商品名、東洋紡(株)製)
モンタン酸エステルワックス(J537、商品名、中京油脂(株)製) 100量部
フッ素系界面活性剤 1質量部
(Fluorad FC−170C、商品名、3M Corporation製)
ポリビニルアルコール(PVA−105、商品名、クラレ(株)製) 25質量部
蒸留水 500質量部
(受像シートR5の作製)
受容層を下記組成のものと変更して、それ以外は受像シートR3と同様に作製した。
受容層
SBRラテックス 910質量部
(LX−416、商品名、日本ゼオン(株)製)
モンタン酸エステルワックス(J537、商品名、中京油脂(株)製) 100量部
フッ素系界面活性剤 1質量部
(Fluorad FC−170C、商品名、3M Corporation製)
ポリビニルアルコール(PVA−105、商品名、クラレ(株)製) 25質量部
蒸留水 1000質量部
(受像シートR6の作製)
受容層を下記組成のものと変更して、それ以外は受像シートR1と同様に作製した。
受容層
ポリカーボネート樹脂 30質量部
(LEXAN−141、商品名、General Electric社製)
ポリエステル樹脂 70質量部
(バイロン200、商品名、東洋紡(株)製)
アミノ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22−3050C)
エポキシ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22−300E)
塩化メチレン 400質量部
(受像シートR7の作製)
受容層を下記組成のものと変更して、それ以外は受像シートR1と同様に作製した。
受容層
ポリブチルアクリレート(Aldrich社製) 30質量部
ポリメチルメタクリレート(Aldrich社製) 70質量部
アミノ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22−3050C)
エポキシ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22−300E)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 400質量部
(受像シートR8の作製)
受容層を下記組成のものと変更して、それ以外は受像シートR1と同様に作製した。
受容層
ポリビニルアセテート(Aldrich社製) 70質量部
ポリスチレン(Aldrich社製) 30質量部
アミノ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22−3050C)
エポキシ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22−300E)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 400質量部
(受像シートR9の作製)
受容層を下記組成のものと変更して、それ以外は受像シートR3と同様に作製した。鹸化度の高いポリビニルアルコールは、結晶性が高く実質的に熱可塑性を示さない素材の例である。
受容層
フッ素系界面活性剤 1質量部
(Fluorad FC−170C、商品名、3M Corporation製)
ポリビニルアルコール(PVA−105、商品名、クラレ(株)製) 150質量部
蒸留水 1000質量部
[熱転写記録]
前記のインクシートD1〜D4と受像シートR1〜R9とを、前者のインク層と後者の受容層とが接するように重ね合わせ、熱転写型プリンタA又はBを用いて画像出力した。ここで、熱転写型プリンタAとして本明細書の図3に記載された熱記録装置を用い、熱転写型プリンタBとして、サーマルプリンタにより各ラインを記録する際のサーマルヘッドのライン記録時の温度変動を画像データから求め、この温度変動を抑えるようにサーマルヘッドの発熱量を制御する手段を搭載していない熱転写型プリンタを用いた。
出力画像は一般的な5シーンの画像を各々30枚用い、画像評価は各画像の画質及び濃度のバラつきを3人の観察者の観察により行い、以下のように評価した。
◎:ほとんど変化が見られない。
○:僅かに変化が見られるが、実質上変化がない。
△:僅かに変化が見られ、バラつきが認識できる。
×:明らかにバラつきが見られる。
更に熱転写型プリンタAと熱転写型プリンタBとの最高濃度出力時の制御電圧を15%上げ、この制御電圧で出力したときに最高濃度が元の条件での最高濃度と同じ値になるように搬送速度を速め、高速処理試験を行った。
出力画像は、搬送方向に、最高濃度、最低濃度が繰り返しパターンになった画像を用いて、尾引きを評価した。
○:尾引きがほとんど観測されない。
△:尾引きが観測される
×:明らかに尾引きが観測され、許容できない。
それぞれの結果を表1〜4に示す。表1は熱転写型プリンタAを用いた濃度のバラつきの結果を示し、表2は熱転写型プリンタBを用いた濃度のバラつきの結果を示す。また、表3は熱転写型プリンタAを用いた高速処理での尾引きの結果を示し、表4は熱転写型プリンタBを用いた高速処理での尾引きの結果を示す。
Figure 0004584127
Figure 0004584127
Figure 0004584127
Figure 0004584127
表1および表2の結果から明らかなように、熱転写型プリンタBを用いて出力した画像はいずれも画質及び濃度のバラつきが大きく(試料111〜419)、また熱転写型プリンタAを用いて出力した画像であっても、受容層に熱可塑性樹脂を含まない受像シートR9を用いた場合は画質及び濃度のバラつきが大きかった(試料109、209、309、409)。
これに対し、熱転写型プリンタAを用いて受容層に熱可塑性樹脂を含む受像シートに出力する本発明の熱転写記録システムによる画像は画質及び濃度のバラつきが小さかった(試料101〜108、試料201〜208、試料301〜308、試料401〜408)。さらに、前記熱可塑性樹脂としてポリエステル系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーまたは塩化ビニル系ポリマーを含む受像シートR1〜R4及びR6を用いた試料101〜104、試料106、試料201〜204、試料206、試料301〜304、試料306、試料401〜404、試料406はバラつきが更に小さかった。特に、前記熱可塑性樹脂としてポリエステル及び/又はポリカーボネート系ポリマーを含む受像シートR2、R4又はR6と前記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される色素を少なくとも1種含むインクシートD1又はD2とを併用した試料102、試料104、試料106、試料202、試料204及び試料206、並びに前記熱可塑性樹脂として塩化ビニル系ポリマーを含む受像シートR1又はR3と前記一般式(7)〜(13)のいずれかで表される色素を少なくとも1種含むインクシートD3又はD4とを併用した試料301、試料303、試料401及び試料403は、最も画像のバラつきが小さかった。
また、表3および表4の結果から明らかなように、熱転写型プリンタBを用いて高速処理を行い出力した画像ではいずれも許容できないレベルの明らかな尾引きが観察され(試料111〜419)、また熱転写型プリンタAを用いて出力した画像であっても、受容層に熱可塑性樹脂を含まない受像シートR9を用いて高速処理を行い出力した場合では、許容できないレベルの明らかな尾引きが観察された(試料109、209、309、409)。
これに対し、熱転写型プリンタAを用いて受容層に熱可塑性樹脂を含む受像シートに出力する本発明の熱転写記録システムによる画像においては高速処理しても中周期的な濃度変動を抑制することができた(試料101〜108、試料201〜208、試料301〜308、試料401〜408)。
特に、前記熱可塑性樹脂としてポリエステル系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーまたは塩化ビニル系ポリマーを含む受像シートR1〜R4及びR6を用いた試料101〜104、試料106、試料201〜204、試料206、試料301〜304、試料306、試料401〜404、試料406では、尾引きがほとんど観察されなかった。
本発明を実施した感熱プリンタの電気的構成の要部を示すブロック図である。 同感熱プリンタのサーマルヘッドの自動制御系における等価回路を示す線図である。 同感熱プリンタの機械的構成を示す概略図である。 サーマルヘッドの駆動電圧を自動制御する系における特性を示すブロック図である。 サーマルヘッド駆動部を示すブロック図である。 画像データを修正して長周期及び中周期の温度変動を無くすようにした他の実施態様における自動制御系の特性を示すブロック図である。 バイアスパルス数データを修正して長周期及び中周期の温度変動を無くすようにした他の実施態様における自動制御系の特性を示すブロック図である。 サーマルヘッドの発熱素子を拡大して示す断面図である。
符号の説明
2 サーマルヘッド
6 発熱素子
7 グレーズ
8 ヘッド温度検出器
11 基板
20 プラテンドラム
23 感熱記録材料(感熱受像シート)
27 発熱素子アレイ
29 筐体
36 環境温度検出器
37 駆動電圧制御部
38 サーマルヘッド駆動部

Claims (10)

  1. インクシートを重ね合わせ、ライン状に設けた各発熱素子を画像データに基づき駆動して画像を感熱転写受像シートに記録するサーマルプリンタを用いる熱転写記録システムであって、前記サーマルプリンタにより各ラインを記録する際のサーマルヘッドのライン記録時の温度変動を画像データから求め、この温度変動を抑えるようにサーマルヘッドの発熱量を制御し、かつ、感熱転写受像シートの受容層が水を主たる媒体として塗布されて形成され、かつ該受容層に熱可塑性樹脂を含有し、該熱可塑性樹脂の少なくとも1種が塩化ビニル系ポリマーであって、該インクシートが、マゼンタ色素層に下記一般式(9)で表される色素、下記一般式(10)で表される色素、および下記一般式(11)で表される色素をそれぞれ含有し、シアン色素層に下記一般式(12)で表される色素、および下記一般式(13)で表される色素をそれぞれ含有することを特徴とする熱転写記録システム。
    Figure 0004584127

    (一般式(9)中、R 71 およびR 73 は各々独立に水素原子または置換基を表す。R 72 およびR 74 は各々独立に置換基を表す。n11は0〜4の整数を表す。n12は0〜2の整数を表す。ここで、n11が2〜4の整数を表すとき又はn12が2を表すとき、複数のR 74 又は複数のR 72 は各々同じでも異なっていてもよい。)
    Figure 0004584127

    (一般式(10)中、R 81 は水素原子または置換基を表す。R 82 およびR 84 は各々独立に置換基を表す。n13は0〜4の整数を表す。n14は0〜2の整数を表す。ここで、n13が2〜4の整数を表すとき又はn14が2を表すとき、複数のR 84 又は複数のR 82 は各々同じでも異なっていてもよい。)
    Figure 0004584127

    (一般式(11)中、R 91 は水素原子または置換基を表す。R 92 は置換基を表す。R 93 およびR 94 は各々独立に水素原子または置換基を表す。n15は0〜2の整数を表す。ここで、n15が2を表すとき複数のR 92 は同じでも異なっていてもよい。Z 1 およびZ 2 は、どちらか一方が=N−であり、他方が=C(R 95 )−を表す。Z 3 およびZ 4 は各々独立に=N−または=C(R 96 )−を表す。ここで、R 95 およびR 96 は各々独立に水素原子または置換基を表す。)
    Figure 0004584127

    (一般式(12)中、R 101 およびR 102 は各々独立に置換基を表す。R 103 およびR 104 は各々独立に水素原子または置換基を表す。n16およびn17は各々独立に0〜4の整数を表す。ここで、n16が2〜4の整数を表すとき又はn17が2〜4の整数を表すとき、複数のR 101 又は複数のR 102 は各々同じでも異なっていてもよい。)
    Figure 0004584127

    (一般式(13)中、R 111 およびR 113 は各々独立に水素原子または置換基を表す。R 112 およびR 114 は各々独立に置換基を表す。n18は0〜4の整数を表す。n19は0〜2の整数を表す。ここで、n18が2〜4の整数を表すとき又はn19が2を表すとき、複数のR 114 又は複数のR 112 は各々同じでも異なっていてもよい。)
  2. 前記感熱転写受像シートの受容層が、塩化ビニル系ラテックスを含有する受容層であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写記録システム。
  3. 前記感熱転写受像シートの受容層中の塩化ビニル系ポリマーが、塩化ビニル共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写記録システム。
  4. 前記感熱転写受像シートの受容層にフッ素系離型剤化合物またはシリコーン系離型剤化合物を含むことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の熱転写記録システム。
  5. 前記感熱転写受像シートの受容層に固形ワックスと、フッ素系離型剤化合物またはシリコーン系離型剤化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱転写記録システム。
  6. 前記サーマルヘッドに取り付けられサーマルヘッドの温度を検出する第1の温度検出手段と、前記サーマルヘッドが取り付けられる筐体内の温度を検出する第2の温度検出手段とを設け、前記サーマルヘッドを、基板と、基板に形成したグレーズと、グレーズに形成した発熱素子と、基板に取り付けた前記第1の温度検出手段とから構成され、基板から第1温度検出手段までの熱抵抗と大気の熱抵抗との関係から、第1温度検出手段及び第2温度検出手段の温度信号に基づきグレーズ温度を推測し、この推測したグレーズ温度の変動を抑えるようにサーマルヘッドの発熱量を制御することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の熱転写記録システム。
  7. 前記サーマルヘッドの発熱量の制御が、ヘッド駆動電圧を制御して行われることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の熱転写記録システム。
  8. 前記サーマルヘッドの発熱量の制御が、画像データに基づく階調表現駆動パルスの幅又は個数を変更して行われることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の熱転写記録システム。
  9. 前記サーマルヘッドの発熱量の制御が、バイアスデータに基づくバイアス駆動パルスの幅又は個数を変更して行われることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の熱転写記録システム。
  10. 前記インクシートのイエロー色素層に、下記一般式(7)で表される色素および下記一般式(8)で表される色素を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱転写記録システム。
    Figure 0004584127

    (一般式(7)中、R 51 およびR 52 は各々独立に置換基を表す。n8は0〜5の整数を表す。n9は0〜4の整数を表す。ここで、n8が2〜5の整数を表すとき又はn9が2〜4の整数を表すとき、複数のR 51 又は複数のR 52 は各々同じでも異なっていてもよい。)
    Figure 0004584127

    (一般式(8)中、R 61 は置換基を表し、R 62 、R 63 およびR 64 は各々独立に水素原子または置換基を表す。n10は0〜4の整数を表す。ここで、n10が2〜4の整数を表すとき複数のR 61 は同じでも異なっていてもよい。)
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