JP4581493B2 - 食器洗い機 - Google Patents

Description

本発明は、食器等の被洗浄物に洗浄水を噴射して洗浄する食器洗い機に関するものである。

従来、一般的な食器洗い機は、洗剤を溶かしながら食器等の被洗浄物に噴射して洗浄を行っていた（例えば、特許文献１参照）。図３は、一般的な食器洗い機を示したもので、以下その構成について説明する。食器洗い機本体は、内部に洗浄槽１を設けており、この洗浄槽１内へ給水手段（給水弁）２により水または湯を供給するようにしている。ここで、その洗浄水の供給は、水位検知手段３を利用して適切な水位に設定し、給水手段２からの給水を自動的に止める。洗浄槽１の底部には排水孔４を設け、この排水孔４に連通し、モータによって駆動される洗浄ポンプ５を取り付け、この洗浄ポンプ５により洗浄水を洗浄槽１の内部に循環するよう構成している。また、排水孔４には残さいを捕集する残さいフィルタ６を具備している。

以上のように構成された食器洗い機について、その動作を以下に説明する。洗浄槽１内に供給された洗浄水は、残さいフィルタ６を通過して洗浄ポンプ５に吸い込まれ、洗浄ポンプ５より洗浄槽１の内底部に設けた洗浄手段（洗浄ノズル）７に供給される。洗浄手段７から噴射された洗浄水は、被洗浄物（食器）８を洗浄した後、再び排水孔４に戻るという経路で循環する。この際、被洗浄物８から脱落した残さい等は、洗浄水とともに残さいフィルタ６に流入し、この残さいフィルタ６を通過できない大きさの残さいは残さいフィルタ６に捕集される。

また、洗浄手段７と洗浄槽１の底部との間には、洗浄水加熱用の加熱手段（ヒータ）９を装備し、洗浄手段７の上方には、被洗浄物８を整然と配置でき、洗浄水を効果的に被洗浄物８に噴射するように構成した食器かご１０を設置して効率的に洗浄を行っている。また、排水ポンプ１１は、洗浄水を機外に排出するものである。さらに、制御手段１２により、給水手段２や洗浄ポンプ５等の電装部品を駆動、制御している。
特開２００３−２１０３７８号公報

しかしながら、このような従来の構成では、食器洗い機で洗浄するすべての汚れに対して洗浄ができるというわけではなかった。特に、直接加熱し焦げ付きのある調理を行う料理に対しては、苦手である。例えば、グラタン、茶碗蒸し等のようなものである。

この解決策として、通常使用時の洗剤濃度より高濃度の洗剤液を被洗浄物に付着させて放置する前処理工程を有するとともに、高温で洗浄することにより、洗浄性能を大幅に向上することができ、従来ではとれなかった料理の汚れを洗浄できるようにすることができる。また、霧化発生動作時間を延ばすことによって、高濃度洗剤液の霧化量を増やし、被洗浄物への付着量を増やすことにより、より汚れの落ちやすさを増大することができ、飛躍的に洗浄性能を向上することができる。

ここで、運転する各コースすべての霧化発生動作時間を延ばすと、各コースの運転時間が一様に延びるともに、消費エネルギーも増大してしまう。

本発明は上記従来の課題を解決するもので、霧化発生手段の動作時間を運転するコース毎に設定し、汚れの種類や運転時間、消費エネルギーなどの点から、使用者の選択肢の幅を広げることにより、使い勝手を大幅に向上した食器洗い機を提供することを目的としている。

本発明は上記目的を達成するために、食器等を収容する洗浄槽と、超音波振動子を有し、洗剤液を霧化して前記洗浄槽内に飛散させる霧化発生手段と、内方に前記霧化発生手段を有するとともに前記洗浄槽と隔壁を隔てて形成するとともに前記隔壁の一部を切り欠いて形成される切り欠き部で前記洗浄槽と連通する洗剤液作成部と、前記洗浄槽内に外部配管からの水を供給する給水手段と、前記洗浄槽内の水位を検知する水位検知手段と、各負荷の動作を制御するとともに前記霧化発生手段を駆動させる前処理工程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記洗剤液作成部内に所定量の洗剤が導入された後に前記切り欠き部のみから洗浄水が侵入し、洗剤の一部が洗浄水に溶けて洗剤液が生成され、その後前記洗剤液作成部内の洗剤液を前記霧化発生手段で霧化する前記前処理工程が行われるように制御するとともに、前記前処理工程の時間が異なる複数のコースの運転を制御するものである。

これにより、汚れの種類や運転時間、消費エネルギーなどの点から、使用者が使用したい条件に応じてコースを選択できることにより、使い勝手を大幅に向上するものである。

本発明の食器洗い機は、霧化発生手段の動作時間が異なる複数のコースを運転できることにより、汚れの種類や運転時間、消費エネルギーなどの点から、使用者が使用したい条件に応じてコースを選択できて、使い勝手を大幅に向上した食器洗い機を実現することができる。口紅や紅茶などの油脂系や色素系の汚れには高濃度洗剤液による前処理工程での汚れの分解が効果的であり、比較的軽い汚れの場合や、使用者があらかじめ水で汚染物を流した場合など必ずしも前処理工程が必要とは限らない場合もあるなど、使用者は汚れの種類に応じて本発明の食器洗い機を使い分けることができる。

第１の発明は、食器等を収容する洗浄槽と、超音波振動子を有し、洗剤液を霧化して前記洗浄槽内に飛散させる霧化発生手段と、内方に前記霧化発生手段を有するとともに前記洗浄槽と隔壁を隔てて形成するとともに前記隔壁の一部を切り欠いて形成される切り欠き部で前記洗浄槽と連通する洗剤液作成部と、前記洗浄槽内に外部配管からの水を供給する給水手段と、前記洗浄槽内の水位を検知する水位検知手段と、各負荷の動作を制御するとともに前記霧化発生手段を駆動させる前処理工程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記洗剤液作成部内に所定量の洗剤が導入された後に前記切り欠き部のみから洗浄水が侵入し、洗剤の一部が洗浄水に溶けて洗剤液が生成され、その後前記洗剤液作成部内の洗剤液を前記霧化発生手段で霧化する前記前処理工程が行われるように制御するとともに、前記前処理工程の時間が異なる複数のコースの運転を制御することにより、汚れの種類や運転時間、消費エネルギーなどの点から、使用者が使用したい条件に応じてコースを選択できるため、使い勝手を大幅に向上することができる。

第２の発明は、上記第１の発明において、制御手段は、霧化発生手段を駆動する前処理工程の後に、洗浄工程を行い、前記前処理工程を所定時間行うコースと、前記前処理工程を所定時間の略１．５〜３倍の時間行うコースとを有する構成としたことにより、霧化発生時間をコース別に設定するため、汚れの種類に対して、より効率的に洗浄性能を確保す
ることができる。

第３の発明は、上記第２の発明において、前処理工程を所定時間行うコースにおいて、洗浄工程時の洗浄水の温度を約５０〜６５℃としたことにより、口紅や茶渋など油脂系や色素系の汚れを落とすのに効果的であり、運転時間および消費エネルギーを抑えることができるため、従来落ちにくかった汚れに対してより効率的に洗浄性能を向上することができる。

第４の発明は、上記第２の発明において、前処理工程を所定時間の略１．５〜３倍の時間行うコースにおいて、洗浄工程時の洗浄水の温度を約６５〜８０℃としたことにより、グラタンや茶碗蒸しなどの食器にこびりついた汚れを落とすのに効果的であり、従来落ちにくかった汚れに対して大幅に洗浄性能を向上することができる。

第５の発明は、上記第１〜第４のいずれか１つの発明において、前処理工程の無いコースを有する構成としたことにより、運転時間を短縮したり消費エネルギーを節約したい場合にこのコースを選択することができるため、使い勝手を向上することができる。

第６の発明は、上記第１〜第５のいずれか１つの発明において、前処理工程の次にすすぎ工程を行うコースを有する構成としたことにより、前処理工程を少ない水で運転することができるため、大幅な節水を実現でき、エネルギー効率を向上することができる。

以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来例と同じ構成のものは同一符号を付して説明を省略する。また、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。

（実施の形態１）
図１は、本発明の実施の形態１における食器洗い機の縦断面図、図２は、霧化発生手段の縦断面図（要部拡大縦断面図）である。図１において、洗剤液作成部１３は、洗浄槽１の前端の一辺に沿った位置に、洗浄槽１と隔壁１４を隔てて形成し、隔壁１４の一部を切り欠いて洗浄槽２と連通しており、その内方に、洗剤液作成部１３内で作成した洗剤液を霧化するための霧化発生手段１５を配置している。

霧化発生手段１５は、図２に示すように、下面に超音波振動子（霧化発生用振動子）１６を配置し、この超音波振動子１６の振動面の上方に封入液体１７を封入した容器１８を配置し、封入液体１７と容器１８とで構成する振動伝達物質を介して、容器１８の超音波振動子１６に対向した面、すなわち、霧化発生面１９を振動させ、洗剤液作成部１３内の洗剤液を霧化するよう構成している。

さらに、洗剤液作成部１３の上方には蓋部２０を配し、蓋部２０は霧化発生面１９を上方から覆うカバー部２１と洗剤を洗浄作成部１３に導入する傾斜部２２とで構成しており、カバー部２１には霧化した洗剤液を飛散するための孔部２３を設けている。また、運転するコースをドア部２４に設けた操作表示部２５でボタン操作により選択することができ、運転コースとしては、霧化発生手段１５を駆動させる前処理工程の時間が１５分で、かつ洗い工程の洗浄水温度が約８０℃のコース、前処理工程の時間が８分で、かつ洗い工程の洗浄水温度が約６０℃のコース、前処理工程が無いコース、前処理工程の後、排水および給水をし、すすぎ工程を運転するコースを含む各コースを設定可能としている。

以上のように構成した食器洗い機について、その動作、作用を説明する。傾斜部２２上に所定量の洗剤を投入すると、この傾斜に沿って洗剤液作成部１３内に洗剤が導入される。次に、動作を開始すると、給水手段２を開いて所定量の水量の洗浄水を給水する。洗浄
水は、洗浄槽１より隔壁１４の切り欠き部１４ａを通って、洗剤液作成部１３に浸入し、洗剤の一部が洗浄水に溶ける。

水位検知手段３が水位を検知した時点で、制御手段２６によって給水手段２が閉じ、給水が停止し、水位が決定する。このときの水位は、加熱手段９の上端面よりも上方である。この時点において、超音波振動子１６を駆動すると、その振動が封入液体１７を伝播し、封入液体１７と容器１８を介して、霧化発生面１９を振動させる。このとき、霧化発生面１９の位置は、超音波振動子１６の振動振幅が最大になる位置に配置しておくと、霧化発生面１９を大きく振動させることができる。

この振動により、さらに上面にある洗浄水を振動させて、洗浄水を霧化し、同時に、洗剤液作成部１３にセットした洗剤も溶かしながら、孔部２３を通して洗浄槽１内に高濃度の洗剤液を飛散させる。さらに、加熱手段９により洗浄水を加熱し、洗浄槽１内に対流を発生させることで、高濃度の洗剤液の霧を洗浄槽１内に対流させ、この高濃度の洗剤液をより効率的に被洗浄物８に付着させることができる。

洗浄工程の前処理工程として、上述のように、霧化発生手段１５より洗浄槽１内に高濃度の洗剤液を飛散させ、この高濃度の洗剤液を被洗浄物８に付着させ、その状態で放置すると、高濃度の洗剤液が被洗浄物８に付着している汚れを化学的に分解する。次に、前処理工程の後、洗浄工程では、前処理工程で高濃度洗剤液により特定の汚れを分解した後の汚れに対して、従来の食器洗い機としての洗浄を行う。

被洗浄物８の汚れにおいては、従来では落ちにくかった汚れとして、口紅や茶渋などの油脂系や色素系の汚れ、グラタンや茶碗蒸しなどの被洗浄物へのこびりついたものなどがあるが、前者は、上述の高濃度洗剤液による前処理工程での汚れの分解が効果的であり、後者は、前処理工程をより強化することに加えて、温度や機械力（洗浄手段７からの洗浄水の噴射の勢い）が非常に効果的である。また、ごく軽い汚れの場合には、前処理工程でほとんどの汚れを分解した後、すすぎ工程で落とせる場合もある。さらに、実際に使用する条件の中には、比較的軽い汚れの場合や、使用者があらかじめ水で汚染物を流した場合など必ずしも前処理工程が必要とは限らない場合もある。

本発明の食器洗い機は、使用者が操作表示部２５でコースを自由に選択できることにより、汚れの種類や運転時間、消費エネルギーに応じて使い分けができる。これにより、大幅に洗浄性能を向上させるとともに、使い勝手を向上した食器洗い機を実現することができる。

以上のように、本発明にかかる食器洗い機は、霧化発生手段の動作時間が異なる複数のコースの運転を行うことにより、使用者が汚れの種類や運転時間、消費エネルギーの条件に応じて使い分けができ、洗浄性能と使い勝手を大幅に向上することが可能となるので、食器等の被洗浄物に洗浄水を噴射して洗浄する食器洗い機等として有用である。

本発明の実施の形態１の食器洗い機の縦断面図 同食器洗い機の要部拡大断面図 従来の食器洗い機の縦断面図

１ 洗浄槽
２ 給水手段（給水弁）
３ 水位検知手段
７ 洗浄手段（洗浄ノズル）
９ 加熱手段（ヒータ）
１５ 霧化発生手段
２６ 制御手段

Claims (6)

1. 食器等を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽内に配置した洗浄手段と、超音波振動子を有し、洗剤液を霧化して前記洗浄槽内に飛散させる霧化発生手段と、内方に前記霧化発生手段を有するとともに前記洗浄槽と隔壁を隔てて形成するとともに前記隔壁の一部を切り欠いて形成される切り欠き部で前記洗浄槽と連通する洗剤液作成部と、前記洗浄槽内に外部配管からの水を供給する給水手段と、前記洗浄槽内の水位を検知する水位検知手段と、各負荷の動作を制御するとともに前記霧化発生手段を駆動させる前処理工程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記洗剤液作成部内に所定量の洗剤が導入された後に前記切り欠き部のみから洗浄水が侵入し、洗剤の一部が洗浄水に溶けて洗剤液が生成され、その後前記洗剤液作成部内の洗剤液を前記霧化発生手段で霧化する前記前処理工程が行われるように制御するとともに、前記前処理工程の時間が異なる複数のコースの運転を制御する食器洗い機。
2. 制御手段は、前処理工程の後に、洗浄工程を行い、前記前処理工程を所定時間行うコースと、前記前処理工程を前記所定時間の略１．５〜３倍の時間行うコースとを有する請求項１記載の食器洗い機。
3. 前処理工程を所定時間行うコースにおいて、洗浄工程時の洗浄水の温度を約５０〜６５℃とした請求項２記載の食器洗い機。
4. 前処理工程を所定時間の略１．５〜３倍の時間行うコースにおいて、洗浄工程時の洗浄水の温度を約６５〜８０℃とした請求項２に記載の食器洗い機。
5. 前処理工程の無いコースを有する請求項１〜４のいずれか１項に記載の食器洗い機。
6. 前処理工程の次にすすぎ工程を行うコースを有する請求項１〜５のいずれか１項に記載の食器洗い機。

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