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JP4579627B2 - 回転機の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、位置センサを用いることなく回転機を可変速に駆動するための回転機の制御装置に関するものである。
従来の、例えば特許文献1の回転機の制御装置では、回転機の回転位置を演算するために、電機子電圧から、直列接続された電機子抵抗と電機子インダクタンスとに電機子電流を流した際に発生する降下電圧値を減じることにより得られる信号を演算する。
この信号に対し、直流ゲインが1の低域通過フィルタF(s)としてα/(s+α)を考え(1−F(s))/s=1/(s+α)なるフィルタを用意し、フィルタリング処理する。このフィルタリング処理した信号を残電圧値として得る。
この残電圧値は、回転子磁束を低域遮断フィルタs/(s+α)でフィルタリング処理した信号であることから、この残電圧値に基づき回転子位置を演算している。
また、従来の、例えば特許文献2の回転機の制御装置は、基本的には一次磁束制御法により同期電動機を指令信号通りに駆動制御するものであり、電機子電流のγ軸成分とδ軸成分iγ、iδからd−q軸とγ−δ軸のずれの角度φ(偏角:φ=(δ−π/2))を推定し、偏角φを0にするような角周波数ω1で、かつ、τe=τe*となる電機子電流が流れるような電圧vγ*、vδ*に相当する三相交流電圧を出力するようにインバータ装置を動作させている。
特開平10−094298号公報(5頁[数5]、図10) 特開2002−186299号公報(5頁[0020]、図10)
以上のように、従来の回転機の制御装置にあっては、いずれも制御対象を回転子磁束とし、この回転子磁束に対応する誘起電圧を求めるために、電機子抵抗値と電機子インダクタンス値とが必要となる。
ところで、回転機、特に同期機では、定格電流以下でも電流振幅によって磁気飽和が生じることが多く、電機子インダクタンス値がこの磁気飽和により大きく変化する。
この結果、制御対象とする回転子磁束が正確に得られず、円滑で安定した動作特性が得られないという問題点があった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、円滑で安定した動作特性が得られる回転機の制御装置を得ることを目的としている。
この発明に係る回転機の制御装置は、位置センサを用いることなく回転機を可変速に駆動する回転機の制御装置であって、三相の電力変換器の電圧で駆動される上記回転機、この回転機の各相電流を検出する電流検出手段、この電流検出手段からの各相電流検出値を静止直交2軸電流検出値に変換する三相/二相変換器、この三相/二相変換器からの静止直交2軸電流検出値と上記回転機の電機子抵抗値とから電機子抵抗の電圧降下を演算する電圧降下演算手段、上記電力変換器への静止直交2軸電圧指令と上記電圧降下演算手段からの電圧降下演算値との差分電圧を演算する差分電圧演算手段、この差分電圧演算手段からの差分電圧演算値を積分して得られる総磁束を演算する総磁束演算手段、この総磁束演算手段からの上記総磁束演算値とともに回転する回転直交2軸の上記静止直交2軸からの位相角情報を演算する位相角情報演算手段、上記位相角情報を使用して上記静止直交2軸電流検出値を回転直交2軸電流検出値に変換する静止/回転座標変換器、総磁束指令とトルク指令と上記総磁束演算手段からの総磁束演算値とに基づき上記総磁束指令が上記総磁束演算値に一致するように回転直交2軸電流指令を演算し、上記回転直交2軸電流指令が上記静止/回転座標変換器からの回転直交2軸電流検出値に一致するように回転直交2軸電圧指令を演算する電圧指令演算手段、上記位相角情報を使用して上記回転直交2軸電圧指令を上記静止直交2軸電圧指令に変換する回転/静止座標変換器、および上記静止直交2軸電圧指令を各相電圧指令に変換して上記電力変換器に出力する二相/三相変換器を備えたものである。
この発明に係る回転機の制御装置にあっては、静止直交2軸電流検出値と電機子抵抗値とから電機子抵抗の電圧降下を演算し、静止直交2軸電圧指令と上記電圧降下演算値との差分電圧を演算し、この差分電圧演算値を積分して得られる総磁束およびこの総磁束から演算される位相角情報に基づき静止回転座標相互間の変換や回転機の制御を行うようにしたので、制御対象となる総磁束および位相角情報を求めるのに、磁気飽和で大きく変動する電機子インダクタンス値を使用する必要がなくなり、円滑で安定した動作特性が得られる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による回転機の制御装置を示す構成図である。電力変換器であるインバータ1は、回転機である同期機2に三相の電圧を印加する。電流検出手段である電流検出器3は、同期機2に流れる相電流iu、ivを検出する。
なお、図1では、電流検出器3として、インバータ1と同期機2とを接続する結線を流れる電流をCT等により検出するものを記載しているが、他の公知の手法、例えば、母線電流などインバータ1内部に流れる電流から相電流を検出しても良い。
iu+iv+iw=0の関係が成立するので、u、v2相分の検出電流からw相の電流も求めることができる。
三相/二相変換器4Aは、電流検出器3から求められた3相電流iu、iv、iwを
静止直交2軸(a−b軸)上の電流ia、ibに座標変換する。電圧降下演算手段である電圧降下演算器5は、乗算器6によって構成する。電圧降下演算器5は、乗算器6によって、三相/二相変換器4Aから得た静止直交2軸(a−b軸)上の電流ia、ibに電機子抵抗Rを乗算し、R・ia、R・ibを出力する。
差分電圧演算手段である減算器7は、静止直交2軸(a−b軸)上の電圧指令va*、vb*から、電圧降下演算器5で得た電機子抵抗による電圧降下R・ia、R・ibを減算して差分電圧を出力する。
総磁束演算手段である総磁束演算器8は、減算器7が出力した差分電圧に基づき制御座標軸を演算すると同時に、磁束振幅Φを演算する。
即ち、本実施の形態では、制御座標軸を回転直交2軸(d−q軸)で与える。静止直交2軸を基準にした制御座標軸の位相をθ[rad]とする。即ち、回転直交2軸(d−q軸)のd軸と、静止直交2軸(a−b軸)のa軸との位相差がθ[rad]である。
本願明細書では、この位相差θを位相角情報ととらえており、更に具体的にこの実施の形態1では、この位相角情報を、余弦cosθと正弦sinθとで出力している。
従って、総磁束演算器8は、磁束振幅Φを演算する総磁束演算手段としての機能と、位相θのcosθとsinθとを演算する位相角情報演算手段としての機能とを有している。
静止/回転座標変換器9は、総磁束演算器8からのcosθとsinθとに基づいて、静止直交2軸(a−b軸)上の電流ia、ibを、回転直交2軸(d−q軸)上の電流id、iqに座標変換する。
回転/静止座標変換器10は、同じくcosθとsinθとに基づいて、後述する電圧指令演算器11からの、回転直交2軸(d−q軸)上の電圧指令vd*、vq*を、静止直交2軸(a−b軸)上の電圧指令va*、vb*に座標変換する。
そして、二相/三相変換器4Bは、静止直交2軸(a−b軸)上の電圧指令va*、vb*を、三相電圧指令vu*、vv*、vw*に変換してインバータ1に送出する。
次に、総磁束演算器8の演算原理について説明する。
図2は、静止直交2軸(a−b軸)上で観測した同期機2の磁束に関するベクトル図である。図2において、a軸を基準として回転子磁束の位相はθrである。
更に、同期機2の極対数をPm、回転子磁束の大きさをΦr、
静止直交2軸(a−b軸)上の回転子磁束をφar、φbr、
静止直交2軸(a−b軸)上の電機子反作用磁束をφas、φbs、
静止直交2軸(a−b軸)上のインダクタンスをLa、Lb、
回転子磁束と電機子反作用磁束との総和である総磁束の、静止直交2軸(a−b軸)上での値をφa、φbと定義する。
回転子磁束φar、φbrに関して(1)、(2)式が成り立つ。
φar=Φr・cosθr ・・・(1)
φbr=Φr・sinθr ・・・(2)
電機子反作用磁束φas、φbsに関して、同期機2の電流ia、ibとの間に(3)、(4)式が成り立つ。
φas=La・ia ・・・(3)
φbs=Lb・ib ・・・(4)
図2のベクトル図の関係より、総磁束φa、φbに関して(5)、(6)式が成り立つ。
φa=φas+φar=La・ia+Φr・cosθr ・・・(5)
φb=φbs+φbr=Lb・ib+Φr・sinθr ・・・(6)
同期機2が発生するトルクτについて(7)式が成り立つ。
τ=Pm{(φar・ib−φbr・ia)
+(φas・ib−φbs・ia)} ・・・(7)
(7)式から分かるように、出力トルクτは、回転子磁束ベクトルに対する電流の直交成分と回転子磁束の大きさとの積に比例する項と、電機子反作用ベクトルに対する電流の直交成分と電機子反作用の大きさとの積に比例する項との和である。
(7)式の右辺第2項はリラクタンストルクである。
同期機2のインダクタンスが突極性を持たない場合、即ち、La=Lbの場合、(7)式の右辺第2項は零となる。
(7)式に、(5)、(6)式の関係を代入すると(8)式を得る。
τ=Pm{(φas+φar)・ib−(φbs+φbr)・ia}
=Pm(φa・ib−φb・ia) ・・・(8)
(8)式より、出力トルクτは、総磁束ベクトルに対する電流の直交成分と総磁束ベクトルの大きさとの積に比例することが分かる。
制御座標軸を総磁束ベクトル上に設け、総磁束ベクトルに対する電流の直交成分と、総磁束の大きさとを所望の値に制御すれば、所望のトルクを得ることが可能である。
図3は、静止直交2軸(a−b軸)上で観測した同期機2の電圧に関するベクトル図である。
図3の同期機2の電圧について、(9)式の関係が成り立つ。
「同期機の電圧ベクトル」=「電機子抵抗に起因する電圧降下ベクトル」
+「回転子磁束に起因する誘起電圧ベクトル」
+「電機子反作用に起因する誘起電圧ベクトル」・・・(9)
従来の回転機の制御装置は、回転子磁束の位相θrを制御軸にしていたため、回転子磁束に起因する誘起電圧ベクトルを求める必要があった。回転子磁束に起因する誘起電圧ベクトルを求めるためには、「同期機の電圧ベクトル」から「電機子抵抗に起因する電圧降下ベクトル」と「電機子反作用に起因する誘起電圧ベクトル」とを減算する必要があった。
「電機子抵抗に起因する電圧降下ベクトル」の演算は、電流ベクトルと電機子抵抗値が必要である。そして、「電機子反作用に起因する誘起電圧ベクトル」の演算は、電流ベクトルとインダクタンス値が必要である。
従って、位置検出器を用いない従来の回転機の制御装置は、電機子抵抗値とインダクタンス値とが不可欠であった。
しかるに、既述したように、インダクタンス値は磁気飽和に起因する電流依存性や突極性に起因する回転位置依存性があるので、正確な値の把握は容易ではない。
一方、「総磁束に起因する誘起電圧」に関しては、(10)式の関係が成り立つ。
「総磁束に起因する誘起電圧」=「回転子磁束に起因する誘起電圧ベクトル」
+「電機子反作用に起因する誘起電圧ベクトル」
・・・(10)
従って、同期機2の電圧について、(11)式の関係が成り立つ。
「同期機の電圧」=「電機子抵抗による電圧降下」+「総磁束に起因する誘起電圧」
・・・(11)
本実施の形態における回転機の制御装置は、制御軸を与えるのに総磁束の位相θを求める。この為、先ず、総磁束に起因する誘起電圧ベクトルを求め、該誘起電圧ベクトルから総磁束の位相θを求める。
そして、総磁束に起因する誘起電圧ベクトルを求めるためには、「同期機の電圧ベクトル」から「電機子抵抗に起因する電圧降下ベクトル」を減算するだけでよい。従って、「電機子反作用に起因する誘起電圧ベクトル」の演算が不要であり、インダクタンス値が不要となるわけである。
以上のように、本実施の形態における回転機の制御装置は、インダクタンス値を必要としないので、その結果、インダクタンス値の磁気飽和に起因する電流依存性や突極性に起因する回転位置依存性に関係なく、円滑で安定した所望の制御性能が得られるという効果を奏する。
次に、総磁束演算器8の内部構成の詳細を図4により説明する。この実施の形態1では、フィルタ20により、総磁束に起因する誘起電圧ベクトル、具体的には、va*−R・ia、vb*−R・ibから、総磁束ベクトルφa、φbを作成する。フィルタ20は、(12)式に示す伝達関数を有している。
1/(s+ωc) ・・・(12)
但し、sは、ラプラス演算子、ωcは、カットオフ角周波数で、その内容については、後段で更に詳細に説明する。
フィルタ20の特性は、ラプラス演算子sをjω(jは虚数単位)に置換して考えると、入力信号の角周波数がカットオフ角周波数ωcより十分大きい周波数帯域では1/sに、カットオフ角周波数ωcより十分小さい周波数帯域では1/ωcに漸近することが分かる。従って、フィルタ20は、入力信号の角周波数が無限大のとき出力が零となる、換言すると、無限大周波数信号を遮断するフィルタと言える。
図5は、入力信号の角周波数とフィルタのゲインとの関係を簡略化して示すもので、単なる積分器(1/s)とすると、図に破線で示すように、角周波数が零に近づくとゲインが無限大に近づく。従って、仮に、完全な積分器で総磁束ベクトルを求めるものとすると、特に、角周波数が極低い領域、即ち、例えば、回転機始動直後の極低回転速度の領域では、入力信号にわずかな誤差があっても、フィルタの高いゲインのためその誤差が拡大されて出力され制御に支障を来す懸念がある。
カットオフ角周波数ωcは、以上のような観点から導入したもので、所定の低角周波数帯域において不要な誤差出力を未然に防止せんとするものである。
ところで、上述した入力信号における誤差は、主として、温度変化に基づく電機子抵抗値の変動によるものである。即ち、従来の制御装置では、磁気飽和に起因して大幅に変化し得るインダクタンス(同期機では±50%に変化するものも少なくない)を使用していたのに対し、本願発明では、インダクタンス値を使用せず、簡便で精度良く測定出来る電機子抵抗値のみを使用するが、この電機子抵抗値は、回転機の運転時に想定される温度範囲において±30%程度変化し得る。
そこで、この温度変化に伴う電機子抵抗値の変化に電流値を乗算した電圧変化を、「電機子抵抗設定誤差に起因する誤差電圧」と定義すると、この「誤差電圧」は、上述したように抵抗誤差と電流振幅との積であり、周波数依存性はない。一方、「総磁束に起因する誘起電圧」は、誘起電圧であり、おおよそ回転速度、従って角周波数に比例する。
この結果、極低い角周波数では、「電機子抵抗設定誤差に起因する誤差電圧」が「総磁束に起因する誘起電圧」よりも大きく、高い角周波数では「電機子抵抗設定誤差に起因する誤差電圧」が「総磁束に起因する誘起電圧」よりも小さくなる。そして、「電機子抵抗設定誤差に起因する誤差電圧」と「総磁束に起因する誘起電圧」との大きさが近くなる角周波数が、両者の境界に位置することになる。
本願発明では、この境界にあたる角周波数を、カットオフ角周波数ωcと設定し、フィルタ20は、このωc以下では、積分器としての動作を停止してゲインがほぼ一定の増幅器としての動作となり、上述したとおり、誤差電圧の有害な拡大を防止している。
ここで、回転機の具体的な諸元に基づいて、カットオフ角周波数を設定する要領について図6を参照して説明する。
ここでは、定格電圧200V、定格周波数60Hz、定格電流10A、電機子抵抗0.5Ωの回転機について説明する。
定格運転をする場合、電流振幅は10Aとなる。そして、総磁束に起因する誘起電圧は、図に示すように、周波数に比例し、0Hzで0V、定格周波数60Hzで約200Vとなる。
一方、電機子抵抗に起因する電圧降下ベクトルは、電機子抵抗と電流振幅との積で、この回転機の場合、0.5Ω×10A=5Vとなる。この電圧降下ベクトルは周波数の関数ではなく、即ち、図6に示すように、周波数に拘わらず一定となる。
電機子抵抗設定誤差に起因する誤差電圧は、電機子抵抗設定誤差と電流振幅との積で、電機子抵抗は温度によって変化する。この回転機において、約75度の温度変化が発生する仮定すると、75度の温度変化で電機子抵抗は約30%変化し、電機子抵抗設定誤差は0.5Ω×30%=0.15Ωとなる。
従って、電機子抵抗設定誤差に起因する誤差電圧は、0.15Ω×10A=1.5Vとなり、この誤差電圧も図6に示すように、周波数に拘わらず一定となる。
図6から、「電機子抵抗設定誤差に起因する誤差電圧」と「総磁束に起因する誘起電圧」の大きさが近くなると考えられる周波数は、0.45Hzとなり、カットオフ角周波数ωcは、2π・0.45=2.87[rad/s]に設定する。
先に、図5では、フィルタ20のゲイン特性は、ωcで折れ線状に変化するものと概略的に示されているが、一般的な条件では曲線的に変化し、このωc近傍の変曲部分を考慮し、運転周波数の下限をωcの5倍とすると、運転範囲は、2.25〜60Hzで設定することになる。
以上のように、カットオフ角周波数ωcは、実用上、定格角周波数に対して十分低い値に設定出来、このωc近傍の変曲部分を考慮しても、実用上ほぼ支障のない運転周波数範囲を確保出来ることが分かる。
換言すると、実用上必要な運転周波数範囲において、フィルタ20により総磁束を求める演算が、回転機での温度変化に基づく「電機子抵抗設定誤差に起因する誤差電圧」による有害な影響を受けることなく円滑に実行される訳である。
図4の説明に戻り、総磁束振幅演算器21は、フィルタ20からのφaの二乗と、φbの二乗との和の平方根を求め、総磁束振幅Φとして出力する。除算器22は、φaを総磁束振幅Φで除算し、総磁束ベクトル位相の余弦cosθを出力する。除算器23は、φbを総磁束振幅Φで除算し、総磁束ベクトル位相の正弦sinθを出力する。
以上のように、総磁束演算器8は、インバータ1が印加する静止直交2軸上の電圧指令va*、vb*と電圧降下演算器5の出力の差分に基づき、制御座標軸の余弦cosθと正弦sinθを演算する。
次に、電圧指令演算器11の内部構成の詳細を図7により説明する。図において、総磁束振幅指令発生器30は、予め設定した総磁束振幅指令Φ*を出力する。減算器31は、総磁束振幅指令Φ*から総磁束演算器8が出力する総磁束振幅Φを減算し、総磁束振幅偏差として出力する。増幅器32は、減算器31からの総磁束振幅偏差を増幅して、回転直交2軸(d−q軸)上のd軸電流指令id*を出力する。
ここでは、増幅器32は、総磁束振幅偏差をKf倍して積分する増幅動作を行う。
減算器33は、増幅器32の出力であるd軸電流指令id*から、座標変換器9の出力であるd軸電流idを減算し、d軸電流偏差として出力する。増幅器34は、減算器33からのd軸電流偏差を増幅して、回転直交2軸(d−q軸)上のd軸電圧指令vd*を出力する。
ゲイン演算器35は、総磁束振幅指令発生器30からの総磁束振幅指令Φ*を極対数Pm倍する。除算器36は、トルク指令τ*をゲイン演算器35からの出力(Pm・Φ*)で除算し、回転直交2軸(d−q軸)上のq軸電流指令iq*を出力する。
減算器37は、除算器36の出力であるq軸電流指令iq*から座標変換器9の出力であるq軸電流iqを減算し、q軸電流偏差として出力する。増幅器38は、減算器37からのq軸電流偏差を増幅して、回転直交2軸(d−q軸)上のq軸電圧指令vq*を出力する。
以上の構成により、電圧指令演算器11は、総磁束演算器8が出力する制御座標軸上において、インバータ1が出力すべき電圧指令vd*、vq*を演算する。
従来の回転機の制御装置では、制御座標軸の演算にインダクタンス値が必要であったので、磁気飽和などに起因して回転機のインダクタンスが変化すると安定に回転機を制御することができない問題があった。また、制御座標軸の演算に必要なインダクタンス値は、テスタや、安定化電源による直流電圧印加といった簡単な測定では得られないという問題があった。
これに対して、本実施の形態1における回転機の制御装置は、総磁束ベクトル上に制御座標軸を設けた。そして、総磁束ベクトルは、電機子抵抗だけ既知であれば、演算することができる。従って、磁気飽和などに起因して回転機のインダクタンスが変化しても、円滑安定に回転機を制御することができる効果がある。
また、電機子抵抗はテスタや直流電圧印加などで簡単に測定できる。従って、本実施の形態1における回転機の制御装置は、簡単に測定できる定数だけで制御座標軸の演算ができる効果がある。
また、「総磁束に起因する誘起電圧」≫「電機子抵抗に起因する電圧降下ベクトル」が成り立つ場合、「同期機の電圧ベクトル」≒「総磁束に起因する誘起電圧」が成り立つ。
本実施の形態1における回転機の制御装置は、総磁束ベクトル振幅Φが総磁束振幅指令発生器30が出力する総磁束振幅指令Φ*に一致するように回転機を制御するので、回転機が発生するトルクに拘わらず、「同期機の電圧ベクトル」を所望の振幅にすることができる。
総磁束振幅指令Φ*を所望の値に設定すれば電圧の振幅も所望の値にできるので、電圧飽和が懸念される高回転域でも安定に制御できる効果がある。
実施の形態2.
先の実施の形態1では、総磁束演算器8において、総磁束に起因する誘起電圧、即ち、減算器7の出力をフィルタ20へ入力していた。これに対し、本実施の形態2では、総磁束演算器8に替わる総磁束演算器8aにおいて、総磁束に起因する誘起電圧をフィルタ20へ入力するの代わりに、零角周波数信号および無限大角周波数信号を遮断する、sに関して分母2次、分子1次のフィルタ20aへ入力する。それ以外の構成については図1と同一である。
図8は、本発明の実施の形態2による総磁束演算器8aの構成を示す図である。図4と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。
フィルタ20aは、(13)式に示す伝達関数を有している。
s/(s+2ζ・ωc・s+ωc) ・・・(13)
但し、ζは任意の正数であり、この数値の設定については、更に後段で触れる。
前掲の図5に、フィルタ20aについての、入力信号の角周波数とフィルタのゲインとの関係を簡略化して示す。
フィルタ20aの特性は、入力信号の角周波数がカットオフ角周波数ωcより十分大きい周波数帯域では1/sに、カットオフ角周波数ωcより十分小さい周波数帯域では零に漸近することが分かる。従って、フィルタ20aは、入力信号の角周波数が零および無限大のとき出力が零となる、換言すると、零角周波数信号および無限大角周波数信号を遮断するフィルタと言える。
角周波数がカットオフ角周波数ωc以下となったとき、先の実施の形態1のフィルタ20を使用した場合は、フィルタのゲインがωcに漸近するが、この実施の形態2のフィルタ20aを使用した場合は、フィルタのゲインが零に漸近するので、実施の形態1で説明した「電機子抵抗設定誤差に起因する誤差電圧」に基づく総磁束演算値への影響を一層抑制することができる。
(13)式の、任意の正数ζを2〜1/√2の範囲で変化させたときのフィルタ20aのボード線図を図9に示す。ここでは、カットオフ角周波数ωcを、10[rad/s]に設定している。
特に、ζ=1/√2の場合、フィルタ20aは2次のバターワース特性の極配置となり、ゲイン特性がカットオフ角周波数ωcでほぼ折れ線状に変化するので、ほぼこのカットオフ角周波数ωc以上のすべての領域を、有効な運転角周波数範囲とすることができる利点がある。
実施の形態3.
先の実施の形態における電圧指令演算器11は、予め設定した総磁束振幅指令Φ*に総磁束演算器8(8a)からの総磁束振幅Φが一致するように制御を行なっていたが、従来のように、先ず回転子磁束振幅指令Φr*を設定し、トルク指令τ*に応じて総磁束振幅指令Φ*を作成するようにしても良い。
本実施の形態3では、図7の電圧指令演算器11の替わりに、図10の電圧指令演算器11bにより構成する。それ以外の構成については先の実施の形態と同一である。
図10は、本発明の実施の形態3による電圧指令演算器11bの構成を示す図である。図7と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するもので再度の説明は省略する。図7と異なるのは、回転子磁束振幅指令Φr*とトルク指令τ*とから総磁束振幅指令Φ*を演算する部分であり、以下、この部分を中心に説明する。
先ず、突極性のない同期機の場合、同期機を高効率で駆動出来ることを目標とすると、電流振幅を最小にすればよいが、この電流振幅を最小にするためには、回転子磁束ベクトルに対して直交成分に電流を発生させれば良い。
図11は、電流振幅を最小に制御している時の同期機1のベクトル図である。回転子磁束ベクトルΦrに直交する電流をiq0とする。電流iq0に起因する電機子反作用はL×iq0である。
回転子磁束Φrと総磁束Φ、電機子反作用L×iq0の間には、図11のベクトル図から(14)、(15)式の関係が成り立つ。
Φr+(L×iq0)=Φ ・・・(14)
∴Φ=√(Φr+(L×iq0)
=√(1+(L×iq0÷Φr))×Φr ・・・(15)
(15)式をマクローリン展開すると(16)式を得る。
Φ=(1+0.5×(L×iq0÷Φr))×Φr ・・・(16)
一方、出力トルクτに関して(17)式が成り立つ。
τ=Pm×Φr×iq0
=Pm×Φ×iq ・・・(17)
(16)、(17)式の関係からiq0を消去すると、(18)式を得る。
Φ=Φr+L×τ÷(2×Pm×Φr) ・・・(18)
本実施の形態3では、回転子磁束振幅指令Φr*と総磁束振幅指令Φ*との間に(18)式の関係を持たせることにより、同期機1の電流ベクトルの振幅を最小にする、従って、同期機の高効率を実現する制御を行う。
図10において、回転子磁束振幅発生器40は、予め設定した同期機1の回転子磁束振幅指令Φr*を出力する。乗算器41は、トルク指令τ*の二乗を演算する。ゲイン演算器42は、所定のゲインを乗算器41の出力に乗算する。加算器43は、回転子磁束振幅発生器40の出力とゲイン演算器42の出力とを加算し、総磁束振幅指令Φ*として出力する。
ゲイン演算器42で設定するゲインとしては、
同期機1が突極性がない場合は、インダクタンスがLであれば、
ゲイン=L÷(2Pm×Φr)で与えると良い。
また、同期機1が突極性がある場合、軸インダクタンスがLqであれば、
ゲイン=Lq÷(2Pm×Φr)で与えると、同期機1の電流ベクトルの振幅を小さくすることが出来る。
以上のように、電圧指令演算器11bは、トルク指令τ*に応じて総磁束振幅指令Φ*の振幅を変化させるので、トルク指令τ*に拘わらず同期機1の電流振幅を小さくできる効果がある。
実施の形態4.
先の各実施の形態では、トルク指令に基づいて同期機1をトルク制御していたが、
速度制御器50を設けることにより、同期機1を速度制御することができる。
図12は、本実施の形態における速度制御器50の構成を示す図である。速度制御器50は、回転角速度指令ω*と総磁束演算器8(8a)が出力したcosθ、sinθに基づいて、トルク指令τ*を出力する。
速度制御器50が出力したトルク指令τ*が、電圧指令演算器11(11a)に与えられる。
図12において、角速度演算器51は、総磁束演算器8(8a)が出力したcosθ、sinθに基づいて、角速度ωを出力する。減算器52は、回転角速度指令ω*から角速度演算器51が出力した角速度ωを減算した結果を、速度偏差として出力する。増幅器53は、減算器52からの速度偏差を増幅しトルク指令τ*とて出力する。
図13は、角速度演算器51の内部構成を示す図である。積分器60は、角速度演算器51が出力する角速度ωを積分して、角速度ωの位相θ1を出力する。余弦演算器61は、位相θ1を入力し、その余弦cosθ1を出力する。正弦演算器62は、位相θ1を入力し、その正弦sinθ1を出力する。
乗算器63、乗算器64、減算器65によって(19)式の演算を行い、減算器65の出力として演算結果Δθが与えられる。
Δθ=cosθ×sinθ1−sinθ×cosθ1 ・・・(19)
(19)式の導出過程について説明する。
a軸成分がcosθ、b軸成分がsinθである振幅1のベクトルと総磁束ベクトルとは、振幅が異なるが方向は同一である。
角速度ωの積分値θ1は即ち推定角位置である。同様に、a軸成分がcosθ1、b軸成分がsinθ1である振幅1のベクトルと角位置は、同一方向である。
「a軸成分がcosθ、b軸成分がsinθである振幅1」のベクトルと、「a軸成分がcosθ1、b軸成分がsinθ1である振幅1」のベクトルとの位相差をΔθとするとき、(20)式が成り立つ。
sinΔθ=sin(θ1−θ)
=cosθ×sinθ1−sinθ×cosθ1 ・・・(20)
(20)式で、Δθ≒0と近似すれば、sinΔθ=Δθが成立することから、(20)式から(19)式の関係が導出できる。
そして、増幅器66は位相差Δθを増幅することにより、総磁束ベクトルに基づいた角速度ωを演算することができる。
角速度演算器51は、出力信号である角速度ωを位相角情報(cosθ1、sinθ1)に変換してフィードバックし、入力信号である位相角情報(cosθ、sinθ)との偏差が零となるよう出力する角速度ωを制御する、一種のフィードバック制御回路を構成する。
一般に、cosθ、sinθの情報から位相角θを演算する手段に比較して、位相角θの情報からcosθ、sinθを演算する手段の方が、簡便安価であることから、本実施の形態4の発明によれば、総磁束の角周波数と同一の角速度ωを、総磁束の位相角情報(cosθ、sinθ)から簡便安価に求めることができる。
実施の形態5.
本実施の形態5も、先の実施の形態4と同様、総磁束演算器8(8a)からの位相角情報(cosθ、sinθ)を基に、総磁束の角周波数と同一の角速度ωを簡便安価に求めんとするもので、以下に示すように、ソフトウエアによる論理判断で処理するものである。
即ち、本実施の形態の角速度演算器(図示せず)では、総磁束演算器が出力したcosθ、sinθの符号に基づいて、角速度ωを演算する。以下、本実施の形態の要部となる角速度演算の処理動作の内容について説明する。
図14は、総磁束演算器8(8a)が出力したcosθ、sinθ、および(cosθ+sinθ)/√2、(cosθ−sinθ)/√2、以上4つの位相角信号を、位相角θに沿ってプロットした図である。即ち、図示は省略するが、位相角加減算器を備え、総磁束演算器8からの位相角情報(cosθ、sinθ)を入力し、これらを加減算することにより、(cosθ+sinθ)/√2、(cosθ−sinθ)/√2を演算出力する。なお、単なる加減算値に1/√2を乗算しているのは、信号cosθ、sinθと波高値を一致させるためであって、後述するように、ここでは、正負の符号により判別処理を行うので、その意味では、必ずしも、1/√2を乗算して波高値を一致させる必要はない。
そして、予め、位相角0〜360゜の間を45゜づつの区間に区分し、上記各区間における上記4つの位相角信号の正負の符号を予め記録する符号記録部(図示せず)、および上記4つの位相角信号を入力して各信号の正負の符号を判別し、当該符号の組み合わせと上記符号記録部に記録された各区間における各信号の符号の組み合わせとを比較し両者が一致した区間から位相角θを出力する位相角判別手段(図示せず)を備えている。
図15は、上記位相角判別手段の判別処理動作を示すもので、4つの位相各信号cosθ、sinθ、(cosθ+sinθ)、(cosθ−sinθ)の符号の組合せを示す変数FLAG_Wを演算する流れ図である。
位相角θの区間と、図15の流れ図に従って演算したFLAG_Wとの関係を図16の表に示す。図16を見て判るように、位相角θの区間に応じてFLAG_Wの値が変化する。
そこで、本実施の形態では、図17に示す表によって得られたFLAG_Wに応じて推定位置を演算する。
図18は、回転位置に対する推定回転位置をプロットしたものである。そして、この推定回転位置の変化率を回転角速度ωとする。
以上のように、本実施の形態5では、総磁束演算器が出力した位相角の余弦cosθと正弦sinθに基づき、符号の組合せを示す変数FLAG_Wに基づいて、回転角速度ωを求めるようにしたので、積分演算などを必要としない簡単な場合分け演算だけで済み、回転角速度ωの演算が簡便安価に実現出来る。
実施の形態6.
先の各実施の形態に示す回転機の制御装置では、回転機として同期機を用いた構成としたが、図19に示すように誘導機を用いた構成としても良い。
図19は、本発明の実施の形態6の構成を示す図である。ここでは、同期機2の替わりに誘導機2dを用いている。
全体の構成としては、基本的に、同期機の場合と変わるところがないが、誘導機の場合、一次側回路、二次側回路があり、従来のように、回転子磁束を推定するには、相互インダクタンスや、二次抵抗が必要となる。しかし、本実施の形態では、誘導機の電圧と一次抵抗とから総磁束を演算し、これを制御座標軸に制御するので、相互インダクタンスや二次抵抗の値を必要とせず、同期機に適用される先の各実施の形態の場合と同様、インダクタンス値に影響されない、円滑で安定した制御特性が得られる。
また、フィルタ20(20a)の特性により、総磁束を求める演算が、回転機での温度変化に基づく「一次抵抗設定誤差に起因する誤差電圧」による有害な影響を受けることなく円滑に実行されるという既述した効果も、この実施の形態6の場合も全く同様に発揮される訳である。
実施の形態7.
既述した各実施の形態においては、総磁束を求める演算が、回転機での温度変化に基づく「電機子抵抗設定誤差に起因する誤差電圧」による有害な影響を受けることなく円滑に実行されるよう、カットオフ角周波数ωcを備えたフィルタ20、20aにより総磁束を演算する構成とした。しかし、これは見方を変えると、少なくとも、カットオフ角周波数ωcより小さい角周波数帯域では、総磁束演算器内部のフィルタ演算が積分動作をしないということである。従って、カットオフ角周波数ωcより小さい角周波数帯域では、総磁束演算ができない、とも言える。
なお、実用上は先の実施の形態1の図6で例示したように、フィルタゲイン特性を考慮してωcの5倍を運転角周波数範囲の下限と設定する場合は、適正な総磁束演算が出来ないとする範囲がカットオフ角周波数ωc以下のという範囲より拡大することになる。
現実には、回転機の速度が、起動後上記運転範囲の下限値に相当する速度に達する迄は短時間であるとして実用上問題はないが、この間を更に安定良く制御する必要がある場合は、既述した構成のみでは十分とは言えない。
この実施の形態7は、以上のような低速度域でも安定した運転制御を可能とするためのものである。
図20は、本発明の実施の形態7による回転機の制御装置を示す構成図である。図21は、図20の位相演算器70の内部構成を示す図である。
ここで、カットオフ角周波数ωc以上で設定する上記運転範囲の下限に相当する角周波数を初動角周波数、角速度を初動角速度と定義する。そして、位相演算器70は、回転機がこの初動角速度に至る段階で、総磁束演算器8に替わって位相角情報(cosθ、sinθ)を作成するものである。
図22は、この実施の形態7における運転パターンを示す図である。図において、起動時刻0秒から1秒(第1の設定時間)までは、0Hz→2.25Hzに直線的に上昇する速度指令を予め設定し、これに従い自ら位相角情報を作成するフィードフォワード制御期間(第1の期間)、時刻1秒から3秒まで(第2の設定時間)は、速度指令は、2.25Hz一定とし、それまでのフィードフォワード制御から、既述した制御装置では運転範囲内の制御と称していたフィードバック制御へ移行させる動作を行う切換制御期間(第2の期間)としている。
なお、初動角速度に相当する2.25Hzという値は、先の実施の形態1の図6で例示した運転範囲の下限値とした値である。
切換制御期間を経ると、速度指令は任意に選択設定出来ることになる。
図20に戻り、図20では、図1の構成に位相演算器70とスイッチ80、81とを追加している。そして、図22のフィードフォワード制御期間と切換制御期間では、スイッチ80、81は、位相演算器70の出力を選択する。また、フィードバック制御期間は、スイッチ80、81は、総磁束演算器8の出力を選択する。
図21により、位相演算器70の構成について説明する。座標変換器71は、総磁束演算器8(8a)が演算した静止直交2軸上の総磁束のa軸成分φaとb軸成分φbとを入力し、位相演算器70が出力するcosθ、sinθに基づいて、回転直交2軸上の総磁束のd軸成分φdとq軸成分φqとを出力する。
スイッチ72は、フィードフォワード制御時は、座標変換器71からの総磁束d軸成分φqを出力し、切換制御時は零を出力する。一次遅れフィルタ73は、スイッチ72からの出力を入力して一次遅れ演算を行い、q軸磁束指令φq*を出力する。減算器74は、q軸磁束指令φq*から回転直交2軸上の総磁束のq軸成分φqを減算しその偏差を出力する。増幅器75は、減算器74の出力を修正角速度dwとして増幅して出力する。
減算器76は、角速度指令ω*から修正角速度dwを減算し速度偏差を出力する。積分器77は、減算器76からの速度偏差を積分して位相角θを出力する。余弦演算器78は、位相角θの余弦を演算し、cosθを出力する。正弦演算器79は、位相角θの正弦を演算し、sinθを出力する。
次に、本実施の形態7での動作を説明する。先ず、フィードフォワード制御期間について説明する。このとき、スイッチ72はφqを選択するので、減算器74の出力は零となる。従って、減算器76へのフィードバック信号はなく、図22に示された、0から直線的に上昇する速度指令ω*を入力として、積分器77、余弦演算器78および正弦演算器79によりフィードフォワード制御でcosθ、sinθを作成し、総磁束演算器8に替わって座標変換器9、10に送出する。なお、この間、d軸電流指令id*
は、総磁束演算器8からの総磁束Φに基づき電圧指令演算器11(図7参照)で作成されることになるが、この間の総磁束の演算値の信頼性は低いので、回転機が図22で設定したパターンで起動し加速出来るよう、別途設定したid*を与えるようにするのが望ましい。トルク指令τ*は任意に設定可能であり、零としてもよい。
1秒が経過し、切換制御期間に入ると、スイッチ72は切り替わって零を選択し、減算器74の出力は、座標変換器71からのφqになる。なお、この切換に伴うショックを緩和するよう一次遅れフィルタ73が挿入されている。
速度指令ω*は予め設定しておいた速度パターンにより与える。別途に与えられた電流指令id*は徐々に零へ漸近させる。トルク指令τ*は、所定の値に設定する。速度制御器を利用する場合は、速度制御器の出力をトルク指令τ*として与える。
座標変換器71は、総磁束演算器8により得られた総磁束成分φa、φbを、フィードフォワード制御で作成されたcosθ、sinθによって、回転直交2軸上の磁束成分φqに座標変換しているが、切換制御に移行すると、増幅器75の入力が磁束成分φqになるので、増幅器75は、磁束成分φqが零に収斂するように修正角速度dwを補正する作用を行う。
図23に、切換制御時の制御座標軸と総磁束ベクトルの一例を示す。図に示すように、総磁束ベクトルと制御座標軸のd軸とが一致していない場合、制御座標軸から観測すると磁束成分φqが現れる。総磁束ベクトルが制御座標軸よりも進んでいる場合、φqは正、総磁束ベクトルが制御座標軸よりも遅れている場合、φqは負となる。
位相演算器70は、この関係に基づき増幅器75の動作により、φqが正であれば位相角θの位相が進むように補正し、また、φqが負であれば位相角θの位相が遅れるように補正する。
なお、図22では、切換制御に移行後、φqが零になるまでの十分な時間として切換制御期間を2秒間として一律に設定しているが、このφqを監視し、これが零に近い所定の設定値以下になったことを検出して切換制御を終了し、フィードバック制御、即ち、本来の総磁束演算器8からcosθ,sinθを送出する回路に切り替えるようにしてもよい。この場合、φqの状況に応じて、切換制御期間を短縮して本来のフィードバック制御に早く移行し得る、という利点がある。
なお、図22の説明では、フィルタゲイン特性、特に、カットオフ角周波数ωc付近の変曲特性を考慮し、初動角速度として、この事例で設定されたカットオフ角周波数ωcの5倍の2.25Hzに設定した。
しかし、先の実施の形態2で説明したように、フィルタ20aの特性が、2次のバターワース特性の極配置(図9参照)となるものとすれば、上記初動角速度をカットオフ角周波数ωc以上の範囲で上例の値より低く設定出来、その分、予め設定する必要があるフィードフォワードおよび切換制御の期間、速度指令範囲を少なく出来、任意に速度指令を設定出来る範囲を拡大することが出来るという利点がある。
以上のように、本実施の形態7における回転機の制御装置では、速度を零からスムーズに立ち上げるフィードフォワード制御と、フィードフォワード制御からフィードバック制御への円滑な移行を実現する切換制御を行うようにしたので、回転機のすべての速度範囲における円滑な制御が実現するという効果がある。
また、この発明の各変形例において、総磁束演算手段は、差分電圧演算値を入力信号とし、この入力信号の角周波数が無限大のとき出力が零となるフィルタで構成されているので、上記フィルタにより差分電圧からの総磁束の演算が可能となる。
また、上記フィルタは、下式の伝達関数を有するものとしたので、実用上必要な運転角周波数範囲において、上記フィルタにより総磁束を求める演算が、回転機での温度変化に基づく「電機子抵抗設定誤差に起因する誤差電圧」による有害な影響を受けることなく円滑に実行される。
1/(s+ωc)
但し、
s:ラプラス演算子
ωc:カットオフ角周波数
また、総磁束演算手段は、差分電圧演算値を入力信号とし、この入力信号の角周波数が無限大および零のとき出力が零となるフィルタで構成されているので、上記フィルタにより差分電圧からの総磁束の演算が可能となる。
また、上記フィルタは、下式の伝達関数を有するものとしたので、実用上必要な運転角周波数範囲において、上記フィルタにより総磁束を求める演算が、回転機での温度変化に基づく「電機子抵抗設定誤差に起因する誤差電圧」による有害な影響を受けることなく円滑に実行される。
s/(s+2ζ・ωc・s+ωc
但し、
s:ラプラス演算子
ωc:カットオフ角周波数
ζ:任意の正数
また、上記任意の正数として、ζ=1/√2に設定したので、回転機の有効な運転角周波数範囲を拡大することが出来る。
また、電機子抵抗値と回転機の定格電流値との積から求まる電機子抵抗の電圧降下が上記回転機で設定される所定の温度変化範囲に対応して変化する電圧降下変化量をΔV、上記回転機の定格周波数frで定格電圧値Vrとなり周波数fに比例する総磁束に起因する誘起電圧をv=Vr・f/frとしたとき、上記両電圧を等しいとする条件から下式で得られる周波数f=fcを求め、ωc=2π・fcとして、上記カットオフ角周波数を設定したので、回転機の温度変化に伴う総磁束演算値への影響を確実に抑制することが出来る。
f=fc=fr・ΔV/Vr
また、位相角情報から角速度を演算する角速度演算手段、および角速度指令と上記角速度演算値との偏差を入力し上記偏差が零になるようトルク指令を演算して電圧指令演算手段に出力するトルク指令演算手段を備えたので、角速度指令に基づく回転機の制御は可能となる。
また、位相角情報がcosθとsinθとで与えられる場合、
各速度演算手段は、上記角速度演算値を積分して位相角θ1を出力する積分器、上記位相角θ1を入力して余弦cosθ1と正弦sinθ1とを出力する余弦正弦演算器、上記cosθとsinθ1とを乗算した値から上記sinθとcosθ1とを乗算した値を減算することにより位相角偏差Δθを演算する位相角偏差演算器、および上記位相角偏差Δθを入力し上記偏差が零になるよう上記角速度演算値を出力する増幅器を備えたので、総磁束の角周波数と同一の角速度、総磁束の位相角情報(cosθ、sinθ)から簡便安価に求めることができる。
また、位相角情報がcosθとsinθとで与えられる場合、
上記位相角情報から(cosθ+sinθ)と(cosθ−sinθ)とを演算する位相角加減算器、位相角0〜360゜の間を45゜づつの区間に区分し、上記各区間における上記cosθ、sinθ、(cosθ+sinθ)および(cosθ−sinθ)の4つの位相角信号の正負の符号を予め記録する符号記録部、および上記4つの位相角信号を入力して各信号の正負の符号を判別し、当該符号の組み合わせと上記符号記録部に記録された各区間における各信号の符号の組み合わせとを比較し両者が一致した区間から位相角θを出力する位相角判別手段を備えたので、総磁束の角周波数と同一の角速度、総磁束の位相角情報(cosθ、sinθ)から簡便安価に求めることができる。
また、回転機が始動しその角速度が、カットオフ角周波数以上で設定した初動角周波数に相当する初動角速度に至る段階で位相角情報演算手段に替わって位相角情報(初動位相角情報)を送出する初動位相角情報演算手段を備え、
上記初動位相角情報演算手段は、上記始動時から所定の第1の設定時間が経過するまでの第1の期間で零から上記初動角速度値に達し、その後所定の第2の設定時間が経過するまでの第2の期間では上記初動角速度値を保持する角速度指令を発生する初動角速度指令発生器、上記初動位相角情報を使用して上記総磁束演算手段からの総磁束演算値の静止直交2軸成分φa、φbを回転直交2軸成分φd、φqに変換する初動静止/回転座標変換器、上記第1の期間では上記初動静止/回転座標変換器からの総磁束q軸成分φqを上記第2の期間では零をそれぞれ総磁束q軸成分指令φq*として出力する総磁束指令発生器、この総磁束指令発生器からの総磁束q軸成分指令φq*と上記初動静止/回転座標変換器からの総磁束q軸成分φqとの偏差を増幅して修正角速度として出力する増幅器、および上記初動角速度指令発生器からの角速度指令と上記増幅器からの修正角速度との偏差を入力して上記初動位相角情報を出力する位相角演算器を備えたものとし、
上記第1の期間では、上記角速度指令に基づくフィードフォワード制御で初動位相角情報を作成し、上記第2の期間では、上記総磁束q軸成分φqが零に収斂するように初動位相角情報を作成し、上記第2の期間経過後は、上記初動位相角情報演算手段に替わって元の上記位相角情報演算手段から位相角情報を送出するようにしたので、回転機のすべての速度範囲における円滑な制御が実現するという効果がある。
また、上記第2の期間内であっても、上記総磁束q軸成分φqが所定の設定値以下になったときは、当該時点以降、上記初動位相角情報演算手段に替わって元の上記位相角情報演算手段から位相角情報を送出するようにしたので、予め設定する必要があるフィードフォワードおよび切換制御の期間、速度指令範囲を少なく出来、任意に速度指令を設定出来る範囲を拡大することが出来るという利点がある。
この発明になる回転機の制御装置は、同期機、誘導機等各種回転機の制御に広く適用することが出来る。
この発明の実施の形態1における回転機の制御装置を示す構成図である。 静止直交2軸上で観測した同期機の磁束に関するベクトル図である。 静止直交2軸上で観測した同期機の電圧に関するベクトル図である。 総磁束演算器8の内部構成を示す図である。 入力信号の角周波数とフィルタのゲインとの関係を示す特性図である。 回転機の具体的な諸元に基づいて、カットオフ角周波数を設定する要領を説明する図である。 電圧指令演算器11の内部構成を示す図である。 この発明の実施の形態2における回転機の制御装置の総磁束演算器8aの内部構成を示す図である。 フィルタ20aのζを変化させたときのボード線図を示す特性図である。 この発明の実施の形態3における回転機の制御装置の電圧指令演算器11bの内部構成を示す図である。 電流振幅を最小に制御しているときの同期機のベクトル図である。 この発明の実施の形態4における回転機の制御装置の速度制御器50の内部構成を示す図である。 角速度演算器51の内部構成を示す図である。 この発明の実施の形態5の回転機の制御装置において、総磁束演算器8(8a)から求まる4つの位相角信号を、位相角に沿ってプロットした図である。 4つの位相角信号の符号の組み合わせを示す変数FLAG_Wを演算する流れ図である。 位相角の区間と変数FLAG_Wとの関係を示す図である。 変数FLAG_Wと推定回転位置との関係を示す図である。 回転位置に対する推定回転位置をプロットした図である。 この発明の実施の形態6における回転機の制御装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態7における回転機の制御装置を示す構成図である。 位相演算器70の内部構成を示す図である。 実施の形態7の運転パターンを示す図である。 切換制御時の制御座標軸と総磁束ベクトルの一例を示す図である。
1 インバータ、2 同期機、2d 誘導機、3 電流検出器、
4A 三相/二相変換器、4B 二相/三相変換器、5 電圧降下演算器、
8,8a 総磁束演算器、9,10 座標変換器、11,11b 電圧指令演算器、
20,20a フィルタ、総磁束振幅指令発生器、40 回転子磁束振幅発生器、
42 ゲイン演算器、50 速度制御器、51 角速度演算器、70 位相演算器、
71 座標変換器。

Claims (12)

  1. 位置センサを用いることなく回転機を可変速に駆動する回転機の制御装置であって、
    三相の電力変換器の電圧で駆動される上記回転機、この回転機の各相電流を検出する電流検出手段、この電流検出手段からの各相電流検出値を静止直交2軸電流検出値に変換する三相/二相変換器、この三相/二相変換器からの静止直交2軸電流検出値と上記回転機の電機子抵抗値とから電機子抵抗の電圧降下を演算する電圧降下演算手段、上記電力変換器への静止直交2軸電圧指令と上記電圧降下演算手段からの電圧降下演算値との差分電圧を演算する差分電圧演算手段、この差分電圧演算手段からの差分電圧演算値を積分して得られる総磁束を演算する総磁束演算手段、この総磁束演算手段からの上記総磁束演算値とともに回転する回転直交2軸の上記静止直交2軸からの位相角情報を演算する位相角情報演算手段、上記位相角情報を使用して上記静止直交2軸電流検出値を回転直交2軸電流検出値に変換する静止/回転座標変換器、総磁束指令とトルク指令と上記総磁束演算手段からの総磁束演算値とに基づき上記総磁束指令が上記総磁束演算値に一致するように回転直交2軸電流指令を演算し、上記回転直交2軸電流指令が上記静止/回転座標変換器からの回転直交2軸電流検出値に一致するように回転直交2軸電圧指令を演算する電圧指令演算手段、上記位相角情報を使用して上記回転直交2軸電圧指令を上記静止直交2軸電圧指令に変換する回転/静止座標変換器、および上記静止直交2軸電圧指令を各相電圧指令に変換して上記電力変換器に出力する二相/三相変換器を備えた回転機の制御装置。
  2. 上記総磁束演算手段は、上記差分電圧演算値を入力信号とし、この入力信号の角周波数が無限大のとき出力が零となるフィルタで構成されたことを特徴とする請求項1記載の回転機の制御装置。
  3. 上記フィルタは、下式の伝達関数を有するものとしたことを特徴とする請求項2記載の回転機の制御装置。
    1/(s+ωc)
    但し、
    s:ラプラス演算子
    ωc:カットオフ角周波数
  4. 上記総磁束演算手段は、上記差分電圧演算値を入力信号とし、この入力信号の角周波数が無限大および零のとき出力が零となるフィルタで構成されたことを特徴とする請求項1記載の回転機の制御装置。
  5. 上記フィルタは、下式の伝達関数を有するものとしたことを特徴とする請求項4記載の回転機の制御装置。
    s/(s +2ζ・ωc・s+ωc
    但し、
    s:ラプラス演算子
    ωc:カットオフ角周波数
    ζ:任意の正数
  6. 上記任意の正数として、ζ=1/√2に設定したことを特徴とする請求項5記載の回転機の制御装置。
  7. 上記電機子抵抗値と上記回転機の定格電流値との積から求まる電機子抵抗の電圧降下が上記回転機で設定される所定の温度変化範囲に対応して変化する電圧降下変化量をΔV、上記回転機の定格周波数frで定格電圧値Vrとなり周波数fに比例する上記総磁束に起因する誘起電圧をv=Vr・f/frとしたとき、上記両電圧を等しいとする条件から下式で得られる周波数f=fcを求め、ωc=2π・fcとして、上記カットオフ角周波数を設定したことを特徴とする請求項3、5または6のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
    f=fc=fr・ΔV/Vr
  8. 上記位相角情報から角速度を演算する角速度演算手段、および角速度指令と上記角速度演算値との偏差を入力し上記偏差が零になるよう上記トルク指令を演算して上記電圧指令演算手段に出力するトルク指令演算手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  9. 上記位相角情報がcosθとsinθとで与えられる場合、
    上記各速度演算手段は、上記角速度演算値を積分して位相角θ1を出力する積分器、上記位相角θ1を入力して余弦cosθ1と正弦sinθ1とを出力する余弦正弦演算器、上記cosθとsinθ1とを乗算した値から上記sinθとcosθ1とを乗算した値を減算することにより位相角偏差Δθを演算する位相角偏差演算器、および上記位相角偏差Δθを入力し上記偏差が零になるよう上記角速度演算値を出力する増幅器を備えたことを特徴とする請求項8記載の回転機の制御装置。
  10. 上記位相角情報がcosθとsinθとで与えられる場合、
    上記位相角情報から(cosθ+sinθ)と(cosθ−sinθ)とを演算する位相角加減算器、位相角0〜360゜の間を45゜づつの区間に区分し、上記各区間における上記cosθ、sinθ、(cosθ+sinθ)および(cosθ−sinθ)の4つの位相角信号の正負の符号を予め記録する符号記録部、および上記4つの位相角信号を入力して各信号の正負の符号を判別し、当該符号の組み合わせと上記符号記録部に記録された各区間における各信号の符号の組み合わせとを比較し両者が一致した区間から位相角θを出力する位相角判別手段を備えたことを特徴とする請求項8記載の回転機の制御装置。
  11. 上記回転機が始動しその角速度が、上記カットオフ角周波数以上で設定した初動角周波数に相当する初動角速度に至る段階で上記位相角情報演算手段に替わって位相角情報(初動位相角情報)を送出する初動位相角情報演算手段を備え、
    上記初動位相角情報演算手段は、上記始動時から所定の第1の設定時間が経過するまでの第1の期間で零から上記初動角速度値に達し、その後所定の第2の設定時間が経過するまでの第2の期間では上記初動角速度値を保持する角速度指令を発生する初動角速度指令発生器、上記初動位相角情報を使用して上記総磁束演算手段からの総磁束演算値の静止直交2軸成分φa、φbを回転直交2軸成分φd、φqに変換する初動静止/回転座標変換器、上記第1の期間では上記初動静止/回転座標変換器からの総磁束q軸成分φqを上記第2の期間では零をそれぞれ総磁束q軸成分指令φq*として出力する総磁束指令発生器、この総磁束指令発生器からの総磁束q軸成分指令φq*と上記初動静止/回転座標変換器からの総磁束q軸成分φqとの偏差を増幅して修正角速度として出力する増幅器、および上記初動角速度指令発生器からの角速度指令と上記増幅器からの修正角速度との偏差を入力して上記初動位相角情報を出力する位相角演算器を備えたものとし、
    上記第1の期間では、上記角速度指令に基づくフィードフォワード制御で初動位相角情報を作成し、上記第2の期間では、上記総磁束q軸成分φqが零に収斂するように初動位相角情報を作成し、上記第2の期間経過後は、上記初動位相角情報演算手段に替わって元の上記位相角情報演算手段から位相角情報を送出するようにしたことを特徴とする請求項3、5ないし10のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  12. 上記第2の期間内であっても、上記総磁束q軸成分φqが所定の設定値以下になったときは、当該時点以降、上記初動位相角情報演算手段に替わって元の上記位相角情報演算手段から位相角情報を送出するようにしたことを特徴とする請求項11記載の回転機の制御装置。
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