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JP4575969B2 - 鉄心 - Google Patents

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Description

この発明は、電動機や変成器などの鉄心に関するものであり、詳細には、鋼板等のシートを積層し、積層したシート同士を結合した鉄心、あるいは鋼板等のシートを積層した分割鉄心を形成し、分割鉄心同士を結合した鉄心に関するものである。
従来の鉄心における結合方式は、溶接する、あるいは、特許文献1に示されているように、貫通孔を設けた鋼板等のシートを積層して積層鉄心を形成し、貫通孔に他部品であるピンを挿入することによってシート同士を結合する、あるいは、貫通孔を有する連結部を設けた分割鉄心を形成し、連結部の貫通孔に他部品であるピンを挿入することによって、分割鉄心同士を結合させている。
特開2003−52138号公報(第3〜4頁、図1〜図6)
上記のように、従来の鉄心における結合方式は、専用の溶接機を必要とし、コスト高になるという問題がある。
また、ピンを貫通孔に挿入する場合には、貫通孔の上から下までの長い距離の間を挿入しなければならず、ピンを挿入している途中でピンにかじりなどが発生する可能性があるため、ピンの表面仕上げや外径寸法は高精度に保たなければならないという問題がある。
また、隣接する分割鉄心間の位置精度が必要な場合は、ピンと貫通孔とのクリアランスを高精度にすることが必要になり、その結果コスト高になるという問題がある。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、溶接、あるいは、ピン等の他部品を必要としない結合方式により、低コストの鉄心を得ることを目的とするものである。
また、低コストで分割鉄心間の位置精度を高精度にすることができる鉄心を得ることを目的とするものである。
この発明に係る鉄心は、シートを積層してなる鉄心において、
上記シートを、上記シートから所定形状に分離した分離片と、上記所定形状の孔とを有するものとし、
複数の上記シートを上記所定形状の孔が同軸上に連通するように積層するとともに、
上記各シートに対応した上記分離片が、上記積層方向に隣接するシートとの間に跨るように上記所定形状の孔に嵌合させて、上記シート同士を結合したものである。
この発明に係る鉄心によれば、シート内に、上記シートを分離した分離片で、シート同士を結合するので、溶接やピン等の余分な部材を必要とせず、コストを低減することができる。
実施の形態1.
図1は、この発明に係る鉄心における実施の形態1を示す断面図である。図1に示したように、鋼板等からなるシート1が積層され、各シート1a,1b,1cに後述の半抜き戻しによって分離・形成した円柱形等の分離片2(2a,2b,2c)が孔内に形成され、各シート1a,1b,1c,1dの孔が同軸上に連通し、分離片2(2a,2b,2c)が、それぞれシート1aと1b、シート1bと1c、シート1cと1d間に跨って孔に嵌合し、上下に隣り合うシート1同士を結合している。この例では、シート1dに分離片2を設けていないが、シート1dに分離片2を設けてもよい。
図2は、図1に示した鉄心を製造する工程を示す断面図である。図に従って、製造工程を説明する。
まず、図2(a)に示したように、金型で、シート1に半抜き状態の分離片2と孔を形成する。
次に、図2(b)に示したように、半抜き状態の分離片2をシート1の孔内に戻すことにより、シート1の孔内にシート1から分離された分離片2を形成する。以上、図2(a)及び(b)の工程を半抜き戻しという。
次に、図2(c)に示したように、分離片2が形成されたシート1a,1b,1cと分離片2が完全に打ち抜かれたシート1dを積み重ねる。
次に、図2(d)に示したように、分離片2aをパンチで加圧し、分離片2(2a,2b,2c)を隣接するシートの孔に嵌合させ、分離片2(2a,2b,2c)が、それぞれシート1aと1b、シート1bと1c、シート1cと1dと間に跨るようにする。
以上のようにして、分離片2aがシート1aと1bとを結合し、分離片2bがシート1bと1cとを結合し、分離片2cがシート1cと1dとを結合し、シート1a、1b、1c及び1dが結合された鉄心が得られる。
この実施の形態1によれば、溶接機あるいはピン等の他部品を必要とせず、コストを低減することができる。
また、分離片2a,2bを、隣接するシート1a,1b間に跨るように孔内に嵌合して結合する方式であるので、ピンを用いた場合のように表面仕上げ、クリアランス精度等を考慮する必要はない。
なお、上記図1及び図2の例では、シート1を4枚積み重ねた例を示したが、これに限られるものではなく、必要な複数枚を重ね合わせて同様の鉄心を製造することができる。
実施の形態2.
図3は、この発明に係る鉄心における実施の形態2を示す断面図である。この実施の形態2は、シートを積み重ねて形成した分割鉄心同士を結合するものである。
図3に示したように、分割鉄心3aは、交互に連結部となる突出部4aを形成するようにシート1aを積み重ねてなり、同様に、分割鉄心3bは、交互に連結部となる突出部4bを形成するようにシート1bを積み重ねてなる。突出部(連結部)4aと突出部(連結部)4bとが重なり合っている。各突出部4a,4bに、それぞれ円柱形等の分離片2a,2bが設けられ、分離片2a,2bは、隣接する突出部4a,4b間に跨るように、隣接するシートの孔に嵌合されて、隣接する突出部4a,4b同士が結合されている。この突出部4a,4b同士の結合によって、分割鉄心3aと分割鉄心3bとが結合されている。
図4は、この実施の形態2における分割鉄心3a,3bの結合工程を説明する断面図である。図4(a)に示したように、分離片2a,2bは、上記実施の形態1と同様、半抜き戻しによって形成し、図4(b)に示したように、分割鉄心3a,3bの突出部4a,4bを相互に重ね合わせた後、図4(c)に示したように、分離片2aをパンチ5で加圧し、分離片2a,2bを隣接するシートの孔に嵌合し、突出部4a,4b間に跨るようにする。
以上のようにして、分離片2a、2bが突出部4aと突出部4bとを結合し、分割鉄心3aと分割鉄心3bとが結合された鉄心が得られる。
この実施の形態2によれば、溶接機あるいはピン等の他部品を必要とせず、コストを低減することができる。
また、分離片2a,2bを、隣接するシートの孔に嵌合し、突出部4a,4b間に跨るようにして結合する方式であるので、ピンを用いた場合のように表面仕上げ、クリアランス精度等を考慮する必要なく、分割鉄心3a,3bの位置精度を高精度にすることができる。
なお、この実施の形態2では、1枚のシートで突出部を形成したが、図5に示したように、複数枚(図では3枚)のシート1a,1bをそれぞれ重ね合わせた突出部(連結部)4a,4bを形成してもよい。
実施の形態3.
図6は、この発明に係る鉄心における実施の形態3を示す断面図であり、実施の形態2と同一符号は同一部分または相当部分を示す。
上記実施の形態2では、全シートに分離片を設けたが、必ずしも、全シートに分離片を設ける必要はない。例えば、分割鉄心の各シートが、上記実施の形態1のように、連結部以外の位置で、カシメあるいは分離片によって結合されているような場合、図6に示されているように、分離片2a,2bが設けられていないシート1a,1bがあってもよく、これらのシート1a,1bの上方及び下方のシート1a,1bの連結部で分割鉄心3aと分割鉄心3bとは結合される。
実施の形態4.
図7は、この発明に係る鉄心における実施の形態4を示す断面図であり、実施の形態2と同一符号は同一部分または相当部分を示す。
積層するシートの枚数が多い場合には、パンチで分離片2a,2bを加圧する加圧力が大きくなり、大型のプレス機が必要になる場合がある。
このような場合には、図7(a)及び(b)に示したように、少数枚数の分割鉄心3a,3bを結合した結合体を形成し、図7(a)に示したように、一方の結合体は分離片2aまたは2bを下方に突出させておき、図7(c)に示したように、突出した分離片2aまたは2bを他方の結合体の孔に嵌合させて多数枚のシート1a,1a´,1b,1b´からなる鉄心を作製することができる。
この実施の形態4によれば、積層するシートの枚数が多い場合でも、パンチで分離片2a,2bを加圧する加圧力を小さくすることができる。
なお、図7では、結合体が2つの場合を示したが、結合体が3つ以上の場合でも、2つの場合と同様にして結合体を結合することができる。
実施の形態5.
図8乃至図13は、上記実施の形態2乃至4の結合方法で得られる鉄心の具体例を示す図であり、図8(a)、(c)は平面図、図8(b)、(d)はそれぞれA−A,B−B断面図、図9(a)、(c)は平面図、図9(b)はA−A断面図、ず10及び図11は平面図、図12(a)は平面図、図12(b)はA−A断面図、図13は平面図である。また、実施の形態2と同一符号は同一部分または相当部分を示す。
図8は、矩形状の鉄心の例である。図8(a)及び(b)に示したように、短冊状の複数枚のシート1を長手方向両側に突出部4を設けるように積み重ねた分割鉄心6を作製する。各突出部4には矩形の分離片2が形成されている。
図8(c)及び(d)に示したように、横方向の分割鉄心6aと縦方向の分割鉄心6bの突出部4を相互に突出部4間の間隙に嵌合し、分離片2a,2bをパンチで加圧して、分割鉄心6a,6bが結合された矩形状の鉄心を得る。
図8においては、分離片2a,2bを矩形にしているので、分割鉄心6a,6b同士が回転することなく、矩形状が保たれる。
図9は、回転電機の固定子の例である。図9(a)及び(b)に示したように、一方の端面が半円形の凸部6eで、他方の端面が半円形の凸部6eと嵌合する半円形の凹部6fであり半円形の凸部6eに矩形の分離片2を形成した継鉄部6dと、継鉄部6d中央部から突出した磁極ティース6cとを有するシート1を、半円形の凸部6eが交互に逆向きになるように積み重ねた分割鉄心6を作製する。
図9(c)に示したように、隣り合う分割鉄心6における継鉄部6dの半円形の凸部6eと半円形の凹部6fとを嵌合させて、順次円形に配置し、分離片2をパンチで加圧して分割鉄心6同士を結合した固定子鉄心を得る。
図9においては、分離片2を矩形にしているので、分割鉄心6が回転することなく、円形状が保たれる。
図10は、回転電機の固定子の他の例である。図10においては、分割鉄心6は図9の例と同じ形状であるが、分割鉄心6はカシメ部7で直線状に連結されており、両端の分割鉄心6の半円形の凸部6eに分離片2が形成されている。分割鉄心6同士はカシメ部7で相互に折曲できるようになっている。
図11に示したように、直線状に連結された分割鉄心6をカシメ部7で折曲させて円形にして、両端の半円形の凸部6eを互いに重ね合わせ、分離片2をパンチで加圧して、直線状に連結した分割鉄心6の列を円形に結合した鉄心を得る。
図12は、リング状の鉄心の例である。図12に示したように、円弧状で一方の端面が半円形の凸部6eで、他方の端面が半円形の凸部6eと嵌合する半円形の凹部6fであり半円形の凸部6eに円形の分離片2を形成したシート1を、半円形の凸部6eが交互に逆向きになるように積み重ねた分割鉄心6を作製する。
隣り合う分割鉄心6における半円形の凸部6eと半円形の凹部6fとを嵌合させて、順次円形に配置し、分離片2をパンチで加圧して分割鉄心6同士を結合した固定子鉄心を得る。
図12のリング状の鉄心では、3箇所の分離片2で分割鉄心6同士を結合し、結合部で分割鉄心6同士を折曲して直線上に並べコイルの巻線を行い、巻線終了後、分割鉄心6を円形に並ぶようにして残る分離片2の結合を行い、円形の鉄心を得ることができる。ここでは、分割鉄心6同士を直線上に並べることによって、巻線作業が容易になる。
図13(a)は、図8において分離片2を円形にした例であり、図13(b)は、図9において分離片2を円形にした例である。図13(a)では、分離片2の結合部で分割鉄心6a,6bを回転させて直線状に並べてコイルの巻線を行うことができるので、巻線作業が容易になる。また、図13(b)では、分離片2の結合部で分割鉄心6a,6bを回転させて円形を逆に反らせて、コイルを巻回する磁極ティース6c間を大きく広げることができるので巻線作業が容易になる。
この発明に係る鉄心は、モータ等の回転電機、変成器等の鉄心に対して有効に利用することができる。
この発明に係る鉄心における実施の形態1を示す断面図である。 図1に示した鉄心を製造する工程を示す断面図である。 この発明に係る鉄心における実施の形態2を示す断面図である。 実施の形態2における分割鉄心の結合工程を説明する断面図である。 この発明に係る鉄心における実施の形態2の別形態を示す断面図である。 この発明に係る鉄心における実施の形態3を示す断面図である。 この発明に係る鉄心における実施の形態4を示す断面図である。 実施の形態2乃至4の結合方法で得られる鉄心の具体的な例を示す図である。 実施の形態2乃至4の結合方法で得られる鉄心の具体的な例を示す図である。 実施の形態2乃至4の結合方法で得られる鉄心の具体的な例を示す図である。 実施の形態2乃至4の結合方法で得られる鉄心の具体的な例を示す図である。 実施の形態2乃至4の結合方法で得られる鉄心の具体的な例を示す図である。 実施の形態2乃至4の結合方法で得られる鉄心の具体的な例を示す図である。
符号の説明
1,1a,1a´,1b,1b´,1c,1d シート、2,2a,2c 分離片、
3,3a,3b 分割鉄心、4,4a,4b 突出部、5 パンチ、
6,6a,6b 鉄心、6c 磁極ティース、6d 継鉄部、6e 凸部、6f 凹部、
7 カシメ部。

Claims (6)

  1. シートを積層してなる鉄心において、
    上記シートを、上記シートから所定形状に分離した分離片と、上記所定形状の孔とを有するものとし、
    複数の上記シートを上記所定形状の孔が同軸上に連通するように積層するとともに、
    上記各シートに対応した上記分離片が、上記積層方向に隣接するシートとの間に跨るように上記所定形状の孔に嵌合されて、上記シート同士を結合したことを特徴とする鉄心。
  2. 上記鉄心が、シートを積層した複数の分割鉄心を結合してなり、上記分割鉄心のシート端部同士を重ね合わせた上記結合のための連結部を形成し、上記連結部のシート端部に上記分離片を形成したことを特徴とする請求項1に記載の鉄心。
  3. 上記分割鉄心のシート同士が、上記連結部以外の位置で結合され、上記シートの複数枚には、上記分離片が形成されていないことを特徴とする請求項2に記載の鉄心。
  4. 上記分割鉄心のシート端部同士が交互に重ね合わせられ、上記分離片が上記シート端部のそれぞれに形成されていることを特徴とする請求項2に記載の鉄心。
  5. 上記分離片が円形柱であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉄心。
  6. 上記分離片が多角形柱であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉄心。
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