JP4438675B2 - ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Description
この従来装置では、パーキングブレーキを作動させる場合、運転者の駐車ブレーキ操作によりモータを回転させて制動力を発生させるのと同時に、前記ロック機構をロック動作状態として制動力を自己保持している。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、車両停止保持システム作動時の制動力の信頼性を向上することができるブレーキ制御装置を提供することを目的としている。
図1は、本発明の実施形態を示す概略構成図であり、図中、符号1は図示しない車両の各輪と一体に回転する回転体としてのディスクロータに、その両側から一対の摩擦部材としてのブレーキパッドを押圧して制動力を発生する摩擦式のブレーキアクチュエータである。このブレーキアクチュエータ1は、図2に示すように、キャリパ2内に、ピストン3を摺動自在に支持するシリンダ4が形成されている。前記ピストン3は一端が閉じた円筒状に形成され、ピストン3の内周にはナット5が固定され、このとき、ナット5と共にボールねじを構成するねじシャフト6の軸がピストン3の軸と一致するように配置されている。
つまり、パーキングブレーキスイッチが操作(AUTOモードorマニュアルモード)され且つ車速がゼロ若しくは略ゼロであるとき、車両停止保持要求があると判断して、現在の車両状態に基づいて車両を停止保持するのに必要な所定押付力(目標押付力)F*を算出し、この目標押付力F*を発生させるようにモータ9を駆動するための制動力指令値を出力する。これにより、車両を停止保持可能な制動力を車両に発生させる。
このように、パーキングブレーキ作動時にブレーキパッド7a及び7bとディスクロータ8との間の異物検出を行うことで、異物が噛み込んだままロック機構11が作動されることを防止する。
具体的には、ストロークセンサ21からのストローク量ST、車速センサ23からの車速V、パーキングブレーキスイッチ24からのスイッチ信号SWを読み込む。
ステップS3では、異物噛み込みフラグFAが、異物が噛み込んでいることを示す“1”にセットされているか否かを判定し、FA=1であるときには後述するステップS8に移行し、FA=0であるときには、異物が噛み込んでいないと判断してステップS4に移行する。
また、ステップS7では、車両を停止保持するのに必要な目標押付力F*を発生するための制動力指令値を出力することで、パーキングブレーキの作動を開始してからステップS8に移行する。
ブレーキパッド7a及び7bとディスクロータ8との間に異物が噛み込んでいる場合には、図中破線に示すように、異物分のストロークが小さくなる。したがって、車両を停止保持するのに必要な目標押付力F*に達したときのピストンストローク実測値STと、本来目標押付力F*を発生するのに必要な目標ストローク値ST*とを比較することで、異物が噛み込んでいるか否かを判断することができる。
このステップS8の判定により、ピストンストロークの実測値とマップ値とが一致しており、異物が噛み込んでいないと判断されたときには、ステップS9に移行して異物噛み込みフラグFAを“0”にリセットしてからステップS10に移行し、ロック機構11を作動するためのロック指令値を出力してタイマ割込み処理を終了する。
次いでステップS12に移行して、ピストン位置がストローク0に戻っているか否かを判定し、ストローク0でない場合にはステップS13に移行して、ストロークフラグFBを“1”にセットしてからタイマ割込み処理を終了する。
ステップS15では、再度モータ9を回転させて目標押付力F*を発生させるための制動力指令値を出力することでパーキングブレーキの作動を復帰する。次いで、ステップS16に移行して、異物噛み込みフラグFAを“1”にセットしてからタイマ割込み処理を終了する。
図3のステップS8の処理が異物検出手段に対応し、ステップS10の処理が制動力保持手段に対応し、ステップS11〜S15の処理が異物除去手段に対応し、ステップS12の処理が押付量減少手段に対応し、ステップS15の処理が押付量増加手段に対応している。
今、ブレーキパッド7a及び7bとディスクロータ8との間に異物が噛み込んでいない状態で、パーキングブレーキの作動要求があったとする。この場合には、ステップS4の判定によりステップS7に移行し、モータ9が回転することによりブレーキパッド7a及び7bに目標押付力F*が生じ、車両の停止保持に必要な制動力が発生されてパーキングブレーキの作動が開始される。このとき、異物が噛み込んでいないことから、ピストンストロークの実測値STとマップ値ST*とが一致する。これによりステップS8の判定で異物が噛み込んでいない正常状態であると判断されるので、ステップS10でロック機構11が作動される。これにより、モータ9のロータの回転がロックされるので、停止制動力を発生した状態でパーキングブレーキがロックされる。
ところで、パーキングブレーキのロック中に、制動力の変化をセンシングすることにより、異物粉砕等により制動力が低下したことを検知して、ブレーキ圧の増圧制御を行い制動力の信頼性を向上させることも考えられるが、この場合、一度ロックした機構を解除させた後にブレーキ圧を増圧しなければならない。したがって、電源オフ時のように、ロック機構の作動システムがダウンしている場合には対応することができないという問題がある。
このように、上記第1の実施形態では、異物が噛み込んでいる場合には、その異物を除去する処理を行ってからパーキングブレーキをロックするので、ロック中に異物が粉砕することに起因する制動力の低下を防止することができ、パーキングブレーキ作動時の制動力の信頼性を向上することができる。
さらに、異物の噛み込みを検知したときには、一旦ブレーキパッドの押付量を零に戻し、その後、再度目標押付力を発生させる押付量まで増加し、これを前記ピストンストロークの実測値とマップ値とが一致するまで繰り返すので、確実に異物を除去することができる。
なお、上記第1の実施形態においては、ステップS8の異物噛み込み検知処理として、ピストンストロークの実測値と予め格納されたマップ値との比較のみを行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図7に示すように、前回のブレーキ作動時のピストンストロークとの比較を追加するようにしてもよい。
また、上記第1の実施形態においては、ステップS11でピストンストロークを0へ戻す場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ブレーキパッドとディスクロータとの間に異物以上の隙間を発生させる程度にピストンストロークを戻すようにしてもよい。
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態において、異物が噛み込んでいると判断したとき、その異物除去処理の許可判断をするようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態の異物検知除去処理のフローチャートを図8に示すように、図3に示す第1の実施形態の異物検知除去処理において、ステップS11の前に、車速Vが零であるか否かを判定するステップS21と走行路が平坦路又はサービスブレーキがON状態であるか否かを判定するステップS22とを追加すると共に、ステップS21又はS22の判定がNoであるときにパーキングブレーキの目標押付力F*を増加補正するステップS23と、ロック機構11を作動してパーキングブレーキをロックするステップS24とを追加していることを除いては、図3と同様の処理を行うため、その詳細な説明は省略する。
ステップS22では、走行路面が平坦路であるか、又はサービスブレーキON状態であるか否かを判定し、平坦路であるかサービスブレーキがON状態であるときには前記ステップS11に移行し、それ以外の場合にはステップS23に移行する。
ステップS23では、パーキングブレーキの目標押付力F*を増加補正する。つまり、ブレーキパッド7a及び7bの押し付け力を所定量増加させるようにモータ9を駆動するための制動力指令値を出力する。ここで、上記所定量とは、パーキングブレーキロック中に異物が粉砕して制動力が低下した場合であっても、車両停止保持するために必要な制動力を確保することができる程度に設定する。
今、ブレーキパッド7a及び7bとディスクロータ8との間に異物が噛み込んでいる状態で、パーキングブレーキの作動要求があり、ステップS7でパーキングブレーキが開始されたものとする。このとき、車速V=0で平坦路に停車中であるとすると、ステップS21及びS22の判定により異物除去処理が許可されて、前述したブレーキパッド7a及び7bの押付量の減少及び増加を繰り返し、異物を除去した後でロック機構11を作動してパーキングブレーキの制動力を保持する。
また、車速V=0で傾斜路に停車中であるとすると、ステップS22の判定により異物除去処理を許可できないと判断してステップS23に移行し、パーキングブレーキの目標制押付力F*を増加補正するための制動力指令値をモータ9に対して出力することで、ブレーキパッド7a及び7bの押し付け力が増加される。そして、ステップS24でロック機構11が作動されて、増加補正されたパーキングブレーキの制動力が保持される。
このように、上記第2の実施形態では、異物が噛み込んでいると判断したとき、その異物の除去処理を許可するか否かを判定するので、車速が0でない場合には、ブレーキ作動を優先することができ、確実に車両を停止状態に移行することができると共に異物除去処理のためにブレーキパッドの押し付け力が解除されることに起因する制動力発生遅れを回避することができる。
さらに、車速が0であっても、サービスブレーキがOFF状態であるときには、異物除去処理を許可しないので、ブレーキ作動を優先して、異物除去処理のためにブレーキパッドの押し付け力が解除されることに起因する車両の動き出しを防止することができる。
なお、上記各実施形態においては、摩擦式ブレーキアクチュエータとして、ディスクロータをブレーキパッドで挟圧して制動力を発生させるディスクブレーキを適用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ブレーキドラムの内周面にブレーキシューを押圧して制動力を発生させるドラムブレーキを適用するようにしてもよい。電動ブレーキでも油圧ブレーキでもよい。
2 キャリパ
3 ピストン
4 シリンダ
5 ナット
6 ねじシャフト
7a,7b ブレーキパッド
8 ディスクロータ
9 モータ
10 減速機
11 ロック機構
20 コントロールユニット
21 ストロークセンサ
22 踏力センサ
23 車速センサ
24 パーキングブレーキスイッチ
Claims (10)
- 車両停止保持要求があるとき、運転者の制動操作と独立して、駆動源によって摩擦部材を車軸と一体に回転する回転体へ押し付けることで、車両を停止保持可能な所定押付力を発生させる摩擦式ブレーキアクチュエータと、前記駆動源のエネルギーを不要として前記摩擦式ブレーキアクチュエータの所定押付力を保持可能なロック手段とを備えるブレーキ制御装置において、
前記摩擦式ブレーキアクチュエータで前記所定押付力を発生するとき、前記摩擦部材と前記回転体との間の異物を検出する異物検出手段と、該異物検出手段で異物を検出したとき、当該異物を除去する異物除去手段と、前記摩擦式ブレーキアクチュエータで前記所定押付力を発生しており且つ前記異物検出手段で異物が非検出であるとき、前記ロック手段を制御して前記所定押付力を保持する制動力保持手段とを備えることを特徴とするブレーキ制御装置。 - 前記摩擦部材の押付量を検出する押付量検出手段を有し、前記異物検出手段は、所定の押付力を発生するために必要とする目標押付量と、前記所定の押付力を発生しているときの前記押付量検出手段で検出した実押付量とが不一致であるとき、異物があると判定することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
- 前記目標押付量は、車両を停止保持可能な所定押付力を発生するために必要な前記摩擦部材の押付量であることを特徴とする請求項2に記載のブレーキ制御装置。
- 前記目標押付量は、前回の車両を停止保持可能な所定押付力を発生した時の前記摩擦部材の押付量であることを特徴とする請求項2に記載のブレーキ制御装置。
- 左右輪の摩擦部材の押付量を検出する押付量検出手段を各々有し、前記異物検出手段は、前記押付量検出手段で各々検出した左右輪の押付量に差があるとき、異物があると判定することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
- 前記異物除去手段は、前記摩擦部材の押付量を減少させる押付量減少手段と、該押付量減少手段で前記摩擦部材の押付量を減少した後、当該押付量を、再度前記所定押付力を発生させる押付量まで増加させる押付量増加手段とを備えることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載のブレーキ制御装置。
- 前記異物除去手段による異物除去の許可を判断する除去許可判断手段を有し、該除去許可判断手段で異物除去を許可されたときのみ、前記異物除去手段により異物を除去することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のブレーキ制御装置。
- 前記除去許可判断手段で異物除去を非許可されたとき、前記所定押付力を増加補正する制動力増加手段を備えることを特徴とする請求項7に記載のブレーキ制御装置。
- 前記除去許可判断手段は、車速が零、且つ走行路が平坦路であるとき、前記異物除去手段による異物除去を許可することを特徴とする請求項7又は8に記載のブレーキ制御装置。
- 前記除去許可判断手段は、車速が零、且つサービスブレーキが作動状態であるとき、前記異物除去手段による異物除去を許可することを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載のブレーキ制御装置。
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