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JP4436110B2 - 光学的測定装置及びそれを用いた特異的結合物の光学的測定方法 - Google Patents

光学的測定装置及びそれを用いた特異的結合物の光学的測定方法 Download PDF

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JP4436110B2
JP4436110B2 JP2003378660A JP2003378660A JP4436110B2 JP 4436110 B2 JP4436110 B2 JP 4436110B2 JP 2003378660 A JP2003378660 A JP 2003378660A JP 2003378660 A JP2003378660 A JP 2003378660A JP 4436110 B2 JP4436110 B2 JP 4436110B2
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Description

本発明は、光学的測定装置及びそれを用いた特異的結合物の光学的測定方法に関し、詳
細には、蛍光標識又は光散乱標識が結合された第2の特異的結合メンバーと被測定物質を
結合させ、該被測定物質と第1の特異的結合メンバーと結合させた特異的結合物を導波路
の表面に固定し、導波路の光線入射側縁面に光線を照射し、入射された励起光線により発
生したエバネッセント波成分により、蛍光標識又は光散乱標識によって変換又は散乱され
た蛍光又は散乱光を測定して特異的結合物を測定し、ひいては流体試料中の被測定物質を
測定する光学的測定装置及光学的測定方法に関する。
従来から、光源からの光線を光導波路を通して全反射させながら伝播させ、抗原抗体反
応により光導波路の表面近傍に拘束された蛍光物質をエバネッセント波成分により励起し
、これにより生じる蛍光の強度を測定することにより間接的に免疫反応の程度を測定する
蛍光免疫測定装置の研究が行われている。
測定感度、測定精度の優れた蛍光免疫測定装置として、導入された励起光を全反射させ
ながら伝播させる光導波路の表面において抗原抗体反応を行なわせ、さらに蛍光物質で標
識された物質を反応させ、上記励起光のエバネッセント波成分により励起される蛍光物質
が発する蛍光を光導波路に導入し、全反射させながら伝播させ、光導波路から出射される
蛍光に基づいて免疫反応の程度を測定する蛍光免疫測定装置において、650nm近傍に
吸収のピークがある蛍光物質を用い、635nm近傍の波長の光を励起光として採用した
ことを特徴とする蛍光免疫測定装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平7−63756号公報
しかしながら、上記の蛍光免疫測定装置においては、照射する光線は特定波長のレーザ
光線を特定の角度(導波路内で全反射する角度)で照射しなければならず、白熱電球、キ
セノンランプ等の普通の光源を使用することができないので、装置が大型化し、コストが
高く且つ測定が困難であった。
又、従来は、高感度、高精度の分析を行おうとするとB/F分離が必要であったが、B
/F分離の工程は煩雑な処理が必要であるため、高速で短時間で分析を行うことが出来な
かった
本発明の目的は、上記欠点に鑑み、任意の光源を使用して導波路の光入射側縁面に光線
を照射し、全反射しない励起光線を導波路内で減衰消滅させ、全反射する励起光線のみを
導波路内を反応部まで伝播させ、この励起光線により反応部において発生したエバネッセ
ント波成分により、蛍光標識又は光散乱標識によって変換又は散乱された蛍光又は散乱光
を受光素子で測定することにより、特異的結合物をB/F分離を行わず、高速で感度及び
精度よく測定しうる光学的測定装置及びそれを用いた特異的結合物の光学的測定方法を提
供することにある。
請求項1記載の光学的測定装置は、流体試料中の特異的結合物を光学的に測定する装置
であって、蛍光標識又は光散乱標識が結合された第2の特異的結合メンバーと結合した被
測定物質と、特異的に結合して前記特異的結合物を構成しうる第1の特異的結合メンバー
が、一表面に固定されている反応部と、光線入射側縁面を有する透明な導波路(A)の他
表面に透明な中間層(B)及び光吸収層(C)が順次積層されており、導波路(A)の屈
折率をnw 、中間層(B)の屈折率をnm 、流体試料の屈折率をns とすると、各屈折率
が下記式(1)を満足することを特徴とする。
w >nm ≧ns ・・・(1)
上記導波路(A)は、一側面が光線入射側縁面となされ、光源から光線入射側縁面に入
射された励起光線が全反射しながら一表面に形成されている反応部まで伝播するのである
から、光学的に透明な材料からなるフィルム、シート状物又は板状体である。
上記光学的に透明な材料としては、例えば、ガラス、石英、アクリル系樹脂、フッ素樹
脂、ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、エポキシ樹
脂、シリコン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド樹脂及びそのフッ素化物等が挙げら
れ、ガラス、石英、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂及びポリスチレン系樹脂が好
ましい。
上記アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチルメタアクリレート(屈折率=1.4
90)、ポリベンジルメタクリレート(屈折率=1.568)、ポリフェニルメタクリレ
ート(屈折率=1.571)、ポリ1−フェニルエチルメタクリレート(屈折率=1.5
49)、ポリシクロヘキシルメタクリレート(屈折率=1.507)、メチルメタアクリ
レート−ベンジルメタクリレート共重合体、メチルメタアクリレート−フェニルメタクリ
レート共重合体、メチルメタアクリレート−1,1,2−トリフルオロエチルメタクリレ
ート共重合体、メチルメタアクリレート−スチレン共重合体等が挙げられる。
導波路(A)の屈折率nw は流体試料の屈折率ns より大きくなければならず、流体試
料が水溶液の場合、水の屈折率は1.33であるから、nw >1.33であり、好ましく
は、nw >1.49である。
導波路(A)の厚みは、一般に5μm〜2mmが好ましく、より好ましくは0.1〜1
mmである。光源の大きさは導波路の厚みと同等程度が好ましく、光源が導波路より大き
い場合は、レンズ等によって導波路の厚みと同等程度に集光して用いても良い。
上記反応部には、蛍光標識又は光散乱標識が結合された第2の特異的結合メンバーと結
合した被測定物質と、特異的に結合して前記特異的結合物を構成しうる第1の特異的結合
メンバーが固定されている。
上記第1の特異的結合メンバーは、測定すべき被測定物質により異なるが、例えば、酵
素、微生物、抗原、抗体、抗体断片、レクチン、レセプター、イオノフォア、プロトンポ
ンプ、生体膜、人工生体素子、DNAの分子、RNAの分子、タンパク質、糖鎖、糖タン
パク質、メタロプロティンよりなる群から選ばれた1 種もしくはこれらの混合物等が挙げ
られる。
上記第1の特異的結合メンバーを反応部に固定する方法は、従来公知の任意の方法が採
用されてよく、例えば、反応部表面に上記第1の特異的結合メンバーと共有結合しうる反
応基を有する合成樹脂の層を被覆し、上記第1の特異的結合メンバーと共有結合させる方
法、タンパク質等の上記第1の特異的結合メンバーが吸着しうる化合物層を反応部表面に
被覆し、上記第1の特異的結合メンバーを吸着させる方法等が挙げられる。
上記蛍光標識は、光線の照射を受けた際に光線を変換することにより蛍光を発生する物
質であり、例えば、光線の照射を受けた際に蛍光を発生する化合物、この蛍光を発生する
化合物を含有する合成樹脂粒子等が挙げられる。
上記蛍光を発生する化合物としては、例えば、フルオレインイソチオシアネート、フル
オレセイン、フルオレセインN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、6−(((4−(
4,4−ジフルオロ−5−(2−チエニル)4−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−5−イ
ンダセン−3−イル)フェノキシ)アセチル)アミノ)ヘキサン酸、スクシンイミジルエ
ステル、4−アセトアミド−4’−イソシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、
7−アミノ−4−メチルクマリン、7-アミノ-4- トリメチルクマリン、N−(4−アニリ
ノ−1−ナフチル)マレイミド、ダンシルクロライド、4’6−ジアミジノ−2−フェニ
ルインドール、5−(4,6−ジクロトリアジン−2−イル)アミノフルオレセイン、4
,4’−ジイソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、エオシンイソチオシ
アネート、エリトロシンB、フルオレサミン、フルオレセイン−5(6)−カルボキシア
ミドカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、5−イソチオシアネート(is
othiosyanante)ジアセテート、4−メチルウンベリフェロン、o−フタル
ジアルデヒド、QFITC、ローダミンBイソチオシアネート、硫酸ローダミン101酸
クロライド、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、2’,7’−ジフルオロフル
オレセイン、シアニン系色素、ローダミン、希土類金属錯体等が挙げられ、発光寿命の長
い希土類金属錯体が好適に使用される。
上記希土類金属錯体を構成する希土類金属としては、例えば、スカンジウム、イットリ
ウム、及び、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム、プロメチウム、サマリウ
ム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウ
ム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等のランタノイド族金属等が挙げられ、サマ
リウム、ユウロピウム、テルビウム及びジスプロシウムが好適に使用される。
上記希土類金属と共に希土類金属錯体を構成するリガンドとしては、希土類金属と反応
して蛍光を発生する希土類金属錯体を構成しうるものであれば、特に限定されず、例えば
、エチレンジアミン四酢酸類、4,7−ビス−(クロロスルフォフェニル)−1,10−
フェナントロリン−2,9−ジカルボキシリックアシッド、4,4’−ビス−1”,1”
,1”,2”,2”,3”,3”−ヘプタフルオロ−4”,6”−ヘキサンジオン−6”
−イル)−クロロスルホ−o−テルフェニル、ヘキサフルオロアセチルアセトン、トリフ
ェニルホスフィンオキシド、ジフェニルスルホキシド、1,10−フェナントロリン等が
挙げられる。
上記蛍光を発生する化合物を含有する合成樹脂粒子は、蛍光を発生する化合物を流体試
料に溶解した場合に比較し、発生する蛍光の強度が流体試料中の共存物質によって低下さ
れることが少ないので好ましい。
上記蛍光を発生する化合物を合成樹脂粒子に含有させる方法は従来公知の任意の方法が
採用されてよく、例えば、蛍光を発生する化合物の存在下で重合性モノマーを乳化重合、
懸濁重合等の重合方法で重合する方法が挙げられる。
上記重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルト
ルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、
i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアクリレート類;(メタ)アクリ
ロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等のハロゲン化ビニル化
合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルなどが挙げられる。
上記重合性モノマーは、これらの重合性モノマーを重合する際に一般に共重合されてい
る単官能性モノマーや多官能性モノマーが共重合されてよく、単官能性モノマーとしては
、例えば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、グリシジルアクリレート等が挙げられ
、多官能性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記合成樹脂粒子中の蛍光を発生する化合物の含有量は、少なくなると蛍光の発生量が
少なくなり測定感度が低下し、多くなると蛍光を発生する化合物を溶解しているのと同様
になるので、合成樹脂粒子中5〜80重量%が好ましく、より好ましくは15〜60重量
%である。
上記合成樹脂粒子は大きくなるとさはなるべく小さいのが好ましく、10μm以下が好
ましく、より好ましくは20nm〜500nmであり、更に好ましくは30nm〜200
nmである。
このような粒子径の小さい合成樹脂粒子を合成するには、重合性モノマーの微小液滴を
作製し重合すればよく、例えば、重合性モノマーと乳化剤、分散剤、重合開始剤等の必要
成分との混合液をホモジナイザー、マイクロミキサー、マイクロチャンネル等に供給して
微小液滴を作製し常法に従って重合すればよい。
上記光散乱標識は、光線の照射を受けた際に光線を散乱しうる化合物又は微粒子であり
、例えば、金,銀など金属のコロイド微粒子凝集体、CdS、CdSeなどのカルコゲナ
イト微粒子、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂など
のポリマー微粒子、シリカゲル、アルミナ、酸化チタンなどの無機酸化物微粒子、これら
の2種以上の組合せによるコアシェル微粒子等が挙げられる。又、上記ポリマー微粒子及
び無機酸化物微粒子は、染色されていてもよいし、蛍光分子や金属ナノ粒子が分散されて
いてもよい。
上記光散乱標識粒子の大きさは、特に限定されるものではないが、一般に10nm〜1
0μmであり、好ましくは50nm〜500nmであり、更に好ましくは70〜200n
mである。
上記第2の特異的結合メンバーは、測定すべき被測定物質に特異的に結合しうるもので
あり、第1の特異的結合メンバーと第2の特異的結合メンバーの間に被測定物質をサンド
ウィッチすることができるものである。
従って、第2の特異的結合メンバーとしては、被測定物質及び第1の特異的結合メンバ
ーに対応して異なるが、例えば、酵素、微生物、抗原、抗体、抗体断片、レクチン、レセ
プター、イオノフォア、プロトンポンプ、生体膜、人工生体素子、DNAの分子、RNA
の分子、タンパク質、糖鎖、糖タンパク質、メタロプロティンよりなる群から選ばれた1
種もしくはこれらの混合物等が挙げられる。
従って、免疫測定方法の場合には、被測定物質が抗体又は抗原であり、第1の特異的結
合メンバーと第2の特異的結合メンバーとしては、それに特異的に反応する抗原又は抗体
が使用される。
光源から光線入射側縁面に入射された励起光線が導波路(A)内を全反射しながら一表
面に形成されている反応部まで伝播する間に全反射しない励起光線を減衰消滅するのであ
るから、励起光線は反応部に伝播するまでに導波路(A)内でなるべく多く反射するのが
好ましい。
従って、上記反応部から光線入射側縁面までの距離は、励起光線が導波路(A)内を全
反射して伝播する1往復の距離の2倍以上であることが好ましく、より好ましくは20倍
以上である。
上記透明な中間層(B)は、導波路(A)の他表面に積層され、導波路(A)を伝播し
てくる励起光線のうち全反射しない励起光線が入光する層であるから、透明で屈折率nm
が下記式(1)を満足する必要がある。
w >nm ≧ns ・・・(1)
即ち、中間層(B)の屈折率nm が、導波路(A)の屈折率nw より大きくなると、導
波路(A)に導入された励起光線の全てが導波路(A)内を全反射せず、中間層(B)に
入射するようになり、又、流体試料の屈折率ns が導波路(A)の屈折率nw より大きく
なると、反応部において励起光線が流体試料に漏れ出し、漏れ出した励起光線により流体
試料中の浮遊蛍光標識又は光散乱標識が変換又は散乱され、蛍光又は散乱光が発生するか
らである。
更に、流体試料の屈折率ns が中間層(B)の屈折率nm より大きくなると、導波路(
A)と中間層(B)との間では全反射しているけれども、導波路(A)と流体試料との間
では全反射せず、導波路(A)から流体試料に漏れ出す励起光線が存在することになり、
漏れ出した励起光線により流体試料中の浮遊蛍光標識又は光散乱標識が変換又は散乱され
、蛍光又は散乱光が発生するからである。
上記透明な中間層(B)を構成する材料としては、フッ素化エポキシ系樹脂、フッ素化
アクリル系樹脂、水等が挙げられ、流体試料の屈折率ns と中間層(B)の屈折率nm
同一であると、流体試料が供給された反応部において、導波路(A)内で全反射しない光
線が全て中間層(B)に吸収できるので流体試料の屈折率ns とほぼ同一の屈折率を有す
る物質が好ましく、流体試料の屈折率ns の10%以内の屈折率を有する物質が好ましい
中間層(B)の厚みは特に限定されるものではないが、薄くなると水等の液体を導入し
にくくなり、厚くなると導波路(A)と光吸収層(C)との積層が困難になるので、0.
6〜1000μmが好ましい。
上記光吸収層(C)は、中間層(B)に入光してきた励起光線を吸光する層であり、吸
光することにより、導波路(A)内の全反射しない励起光線が減衰消滅されるのであれば
よく、例えば、表面あるいは内部全体に着色された、特に、カーボン等の黒色の顔料で着
色された金属あるいは合成樹脂の層が好ましい。
上記合成樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン
系樹脂、アクリル系樹脂、ABS樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエ
ステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系
樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂が挙げられる。
着色は、上記合成樹脂に着色剤を練りこんでもよいし、合成樹脂層の表面に着色剤層を
積層してもよく、該着色剤としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染
料レーキ系等の有機系着色剤;カーボンブラック、酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫
化物・セレン化物系、フェロシアン化物等の無機系着色剤が挙げられ、カーボンブラック
が好ましい。
請求項6記載の特異的結合物の光学的測定方法は、蛍光標識又は光散乱標識が結合され
た第2の特異的結合メンバーと、被測定物質を含む流体試料を、請求項1〜5項のいずれ
か1項記載の光学的測定装置の反応部に供給し、被測定物質を介して、蛍光標識又は光散
乱標識が結合された第2の特異的結合メンバーと、反応部に固定された第1の特異的結合
メンバーとを結合させ、特異的結合物を形成した後、光線入射側縁面に光線を照射し、入
射された励起光線を導波路(A)内を全反射して反応部まで伝播させ、この励起光線によ
り反応部において発生したエバネッセント波成分により、蛍光標識又は光散乱標識によっ
て変換又は散乱された蛍光又は散乱光を受光素子で測定することを特徴とする。
次に、請求項6記載の特異的結合物の光学的測定方法を図面を参照して説明する。図1
は、光学的測定装置をもちいて特異的結合物の光学的測定方法の1例を示す模式図であり
、図2は、蛍光標識又は光散乱標識が結合された第2の特異的結合メンバーと、被測定物
質被測定物質と、第1の特異的結合メンバーが結合した特異的結合物が反応部表面に固定
されている状態を示す模式図である。
図中1は光学的測定装置であり、光線入射側縁面11を有する透明な導波路(A)と透
明な中間層(B)及び光吸収層(C)が積層されて形成されている。導波路(A)の光線
入射側縁面11と対向面付近の一表面12に第1の特異的結合メンバー5が固定された反
応部13が形成されている。15はスペーサーであり、導波路(A)の他表面14の端部
と光吸収層(C)の端部を接着し、水16が注入されて中間層(B)が形成されている。
上記特異的結合物の光学的測定方法において、最初の工程は、蛍光標識又は光散乱標識
が結合された第2の特異的結合メンバーと、被測定物質を含む流体試料を、請求項1〜5
項のいずれか1項記載の光学的測定装置の反応部に供給し、被測定物質を介して、蛍光標
識又は光散乱標識が結合された第2の特異的結合メンバーと、反応部に固定された第1の
特異的結合メンバーとを結合させ、特異的結合物を形成する工程である。
即ち、流体試料2に含まれる被測定物質6よりも多量の、蛍光標識又は光散乱標識8が
結合された第2の特異的結合メンバー7と、被測定物質6を含む流体試料を反応部13に
供給すると、被測定物質6は、蛍光標識又は光散乱標識8が結合された第2の特異的結合
メンバー7と特異的に結合するとともに、反応部13に固定された第1の特異的結合メン
バー5とも特異的に結合し、蛍光標識又は光散乱標識8が結合された第2の特異的結合メ
ンバー7と被測定物質6と第1の特異的結合メンバー5が結合した特異的結合物9が形成
される。
そして、第1の特異的結合メンバー5は反応部13に固定されているので、特異的結合
物9は反応部13に固定されている。又、過剰の蛍光標識又は光散乱標識8が結合された
第2の特異的結合メンバー7は流体試料2中に浮遊している。
次に、光源3から光線入射側縁面11に励起光線を照射し、導波路(A)内を全反射し
ながら伝播し、反応部13に到達した励起光線により反応部13表面に形成されたエバネ
ッセント波成分により、反応部13に固定された特異的結合物9中の蛍光標識又は光散乱
標識8によって変換又は散乱された蛍光又は散乱光を受光素子4で測定する。尚、31は
スリットであり、光源3からの励起光線が光線入射側縁面11だけに照射されるように設
置されている。
即ち、光源3から矢印Dのように光線入射側縁面11に光線を照射すると、浅い角度を
有する励起光線は、光線Eで示したように、導波路(A)を全反射しながら伝播し、反応
部13に到達する。反応部13に到達した励起光線は、反応部13表面にエバネッセント
場を形成し、反応部13表面に形成されたエバネッセント波成分により、反応部13に固
定された特異的結合物9中の蛍光標識又は光散乱標識8によって変換又は散乱された蛍光
又は散乱光が発生する。
この場合、流体試料2中の浮遊している蛍光標識又は光散乱標識8は、反応部13表面
から離れており、エバネッセント波成分は届かないので蛍光又は散乱光は発生しない。
従って、反応部13で発生した蛍光又は散乱光Gを受光素子4で受光し、電気的処理に
より測定することにより特異的結合物9を測定することができる。又、出光した光線を蛍
光又は散乱光を選択的に透過するフィルターを介して受光してもよい。
一方、深い角度を有する励起光線は、光線Fで示したように、導波路(A)を通り、導
波路(A)の他表面14から中間層(B)に入射し、光吸収層(C)で一部吸収されると
共に一部反射される。反射された光線Fは、再度導波路(A)に入射し、導波路(A)の
一表面12で反射され導波路(A)の他表面14から中間層(B)に入射し、光吸収層(
C)で一部吸収されると共に一部反射される。光線Fは、上記反射及び光吸収が繰り返さ
れ、減衰して消滅してしまう。
上記光源としては、公知の任意の光源が使用可能であり、例えば、レーザー、発光ダイ
オード、フラッシュランプ、アーク灯、白熱電球、蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯等が
挙げられ、光線も任意の光線が使用可能であり、例えば、可視光線、紫外線、赤外線等が
挙げられる。
上記受光素子としては、光線を感知しうる任意の計測装置が使用可能であるが、一般に
フォトダイオード、CMOSカメラ、CCDカメラが好適に使用される。
本発明の光学的測定装置及びそれを用いた特異的結合物の光学的測定方法の構成は上述
の通りであるから、任意の光源を使用して容易に照射することができ、導波路内を全反射
しない励起光線は導波路を伝播する際に減衰消滅され反応部まで到達せず、導波路内を全
反射する励起光線だけが反応部に到達するので、導波路に固定された特異的結合物に存在
する蛍光標識又は光分散標識によって変換又は散乱された蛍光又は分散光しか発生せず、
特異的結合物をB/F分離を行わず、高速で、感度及び精度よく測定することができる。
又、導波路(A)の光線入射側縁面に入射する励起光線の入射角は浅い方が好ましく、
導波路を薄くすることができ、光学的測定装置は薄肉化が可能であり、測定する光線は明
るくなり測定感度が優れている。従って、流体試料中の被測定物質を感度及び精度よく測
定することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
(実施例1)
ヒトヘモグロビンに対するモノクロール抗体とヒトグリコヘモグロビンA1cに対する
モノクロール抗体の作製
ヒトヘモグロビンとヒトグリコヘモグロビンA1cをフロイントコンプリートアジュバ
ントに充分に分散させた溶液(20μg/ml)100μlをBalb/cマウスに2週
間置きに4回免疫した。
免疫終了の2週間後に、免疫されたBalb/cマウスの脾臓を摘出し、106個の脾
細胞を得た。得られた脾細胞をミエローマ細胞とPEG(ポリエチレングリコール)の存
在下で融合させ培養した。増殖した細胞の上澄みを採取しELISA法により各抗体の有
無を調査した。
各抗体が陽性の細胞を限界希釈法により試験し、各抗体を産生している細胞を確認した
。この細胞を大量に培養し、Balb/cマウス腹腔に注射し、2週間後から3日おきに
腹水を採取してヒトヘモグロビンに対するモノクロール抗体とヒトグリコヘモグロビンA
1cに対するモノクロール抗体を得た。
蛍光合成樹脂粒子の作製
ガラス製重合器に、水80重量部とドデシルスルホン酸ナトリウム1.5重量部を供給
し、攪拌してドデシルスルホン酸ナトリウムを溶解した後、スチレン20重量部、希土類
金属錯体(ユウロピウムに配位したヘキサフルオロアセチルアセトン・ トリオクチルフ
ォスフィンオキシド配位子錯体)4重量部及びアゾビスイソブチロニトリル0,15重量
部を供給し、冷却しながらホモジナイザーで高速分散し、乳化液を得た。
得られた乳化液をホモジナイザーで高速分散しながら、窒素置換し、温水で80℃まで
昇温し、80℃で8時間重合して、体積平均粒子径が120nmの蛍光合成樹脂粒子を得
た。
抗ヒトグリコヘモグロビンA1c抗体吸着蛍光合成樹脂粒子の作製
0.05Mグリシン緩衝液(pH8.6)に抗ヒトグリコヘモグロビンA1c抗体を溶
解し、濃度が1mg/mlの抗体溶液を得た。
上記の得られた蛍光合成樹脂粒子を0.05Mグリシン緩衝液(pH8.6)で3回洗
浄した後、蛍光合成樹脂粒子濃度が1.0重量%になるように0.05Mグリシン緩衝液
(pH8.6)に分散し、得られた分散液1mlに対し、得られた抗体溶液0.5mlを
添加し、35℃で1時間攪拌混合した。
次に、牛血清アルブミンの1.0重量%リン酸食塩緩衝液(pH7.2)を1ml添加
し、常温で1時間攪拌混合した後、遠心分離(15000rpm、1時間)し、リン酸食
塩緩衝液(pH7.2)で洗浄した。この遠心分離及び洗浄を3回行った後、得られた抗
ヒトグリコヘモグロビンA1c抗体吸着蛍光合成樹脂粒子に2mlのリン酸食塩緩衝液(
pH7.2)を添加し、超音波ホジナイザーで攪拌し、抗ヒトグリコヘモグロビンA1c
抗体吸着蛍光合成樹脂粒子の分散リン酸食塩緩衝液を得た。
反応部の作製
導波路(A)として、長さ10mm、幅1mm、厚さ100μmの透明ポリメチルメタ
クリレートシートを使用し、ポリメチルメタクリレートシート(導波路(A))の反応部
13の位置を蒸留水で洗浄した後、ヒトヘモグロビンに対するモノクロール抗体及びヒト
グリコヘモグロビンA1cに対するモノクロール抗体を、濃度が1mg/mlになるよう
に0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH9.0)に溶解した緩衝液を、注射針で反応部13表
面に供給し、30℃で1時間静置した。
次に、0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH9.0)で洗浄した後、牛血清アルブミンの1
.0重量%リン酸食塩緩衝液(pH7.2)を供給し、30℃で1時間静置することによ
り、上記モノクロール抗体で被覆されていない反応部13表面を被覆した。
次いで、再度、0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH9.0)で洗浄した後、0.1Mトリ
ス塩酸緩衝液(pH9.0)で被覆してポリメチルメタクリレートシート(導波路(A)
)上に反応部13を形成した。
光学的測定装置の作製
導波路(A)として、上記反応部13が作製された透明ポリメチルメタクリレートシー
トを使用し、光吸収層(C)としてABS樹脂とカーボンブラックよりなる、長さ10m
m、幅3mm、厚さ100μmの黒色ABS樹脂系シートを使用した。
図1に示したように、厚さ0.3mmの黒色ABS樹脂系シート(光吸収層(C))の
一面の周囲に厚さ0.5mmの黒色ABS樹脂系シートよりなるスペーサー15を貼付し
、その上にポリメチルメタクリレートシート(導波路(A))を貼付し、両者によって形
成された空間に注射器で水16を注入して中間層(B)を形成して光学的測定装置を作製
した。
測定用血液試料の作製
被験者の血液を採取後、直ちに全血1ml当りフッ化ナトリウム(血液抗凝固剤)10
mg添加し、次いで、血液3μlを溶血試薬を添加し150倍に希釈して、希釈血液試料
を得た。
尚、溶血試薬は、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(Pharm
aceutical Inc社製、商品名「TritonX−100」)を0.1重量%
と除去試薬としてテトラポリリン酸0.1重量%を溶解してなる0.05Mリン酸緩衝液
(pH6.0)を使用した。
得られた血液試料をA1c専用測定装置(液体クロマトグラフィ、京都第一科学社製、
商品名「Hi−AutoA1cHA−8121」に供給し、ヒトグリコヘモグロビンA1
c濃度を測定し、その結果に基づいて、血液試料に、更に、上記溶血試薬を添加しヒトグ
リコヘモグロビンA1c濃度3%、5%、10%及び12%の測定用血液試料を作製した
測定
得られた測定用血液試料に、過剰の抗ヒトグリコヘモグロビンA1c抗体吸着蛍光合成
樹脂粒子の分散リン酸食塩緩衝液を供給、混合した後、5分間静置し、得られた混合液5
0mlを光学的測定装置の反応部13に供給した。
光源3としてフィラメント径が1mmのキセノンランプを使用して0.1J/Flas
hの光線を2000回/秒の間隔で1000回照射し、受光素子4としてフォトダイオー
ドを使用し、反応部2から出光してきた波長650nm付近の光線の強度を測定した。
得られた光線強度とヒトグリコヘモグロビンA1c濃度をグラフにプロットしたところ
直線のグラフが得られ、上記光学的測定装置でヒトグリコヘモグロビンA1c濃度を測定
することができることが分かった。
光学的測定装置をもちいて特異的結合物の光学的測定方法の1例を示す模式図である。 蛍光標識又は光散乱標識が結合された第2の特異的結合メンバーと、被測定物質と、第1の特異的結合メンバーが結合した特異的結合物が反応部表面に固定されている状態を示す模式図である。
符号の説明
1 光学的測定装置
A 導波路
B 中間層
C 光吸収層
2 流体試料
3 光源
4 受光素子
5 第1の特異的結合メンバー
6 被測定物質
7 第2の特異的結合メンバー
8 蛍光標識又は光散乱標識
9 特異的結合物
11 光線入射側縁面
13 反応部

Claims (9)

  1. 流体試料中の特異的結合物を光学的に測定する装置であって、蛍光標識又は光散乱標識が結合された第2の特異的結合メンバーと結合した被測定物質と、特異的に結合して前記特異的結合物を構成しうる第1の特異的結合メンバーが固定されている反応部を一表面に有し、かつ、一側面に光線入射側縁面を有する透明な導波路(A)、導波路(A)の他表面に透明な中間層(B)及び光吸収層(C)が順次積層されており、導波路(A)の屈折率をnw 、中間層(B)の屈折率をnm 、流体試料の屈折率をns とすると、各屈折率が下記式(1)を満足することを特徴とする光学的測定装置。
    w >nm ≧ns ・・・(1)
  2. 導波路(A)が、ガラス、石英、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂及びポリスチ
    レン系樹脂よりなる群から選ばれた材料よりなることを特徴とする請求項1記載の光学的
    測定装置。
  3. 中間層(B)が、流体試料の屈折率をns とほぼ同一の屈折率を有する物質であること
    を特徴とする請求項1又は2記載の光学的測定装置。
  4. 光吸収層(C)が、黒色の層であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光学的
    測定装置。
  5. 導波路(A)の光線入射側縁面から反応部までの距離が、入射された励起光線が導波路
    (A)内を全反射して伝播する1往復の距離の2倍以上であることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれか1項記載の光学的測定装置。
  6. 蛍光標識又は光散乱標識が結合された第2の特異的結合メンバーと、被測定物質を含む
    流体試料を、請求項1〜5項のいずれか1項記載の光学的測定装置の反応部に供給し、被
    測定物質を介して、蛍光標識又は光散乱標識が結合された第2の特異的結合メンバーと、
    反応部に固定された第1の特異的結合メンバーとを結合させ、特異的結合物を形成した後
    、光線入射側縁面に光線を照射し、入射された励起光線を導波路(A)内を全反射して反
    応部まで伝播させ、この励起光線により反応部において発生したエバネッセント波成分に
    より、蛍光標識又は光散乱標識によって変換又は散乱された蛍光又は散乱光を受光素子で
    測定することを特徴とする特異的結合物の光学的測定方法。
  7. 被測定物質が抗体又は抗原であり、第1の特異的結合メンバーと第2の特異的結合メン
    バーはそれに特異的に結合する抗原又は抗体であることを特徴とする請求項6記載の特異
    的結合物の光学的測定方法。
  8. 蛍光標識が、希土類金属錯体であることを特徴とする請求項6又は7記載の特異的結合
    物の光学的測定方法。
  9. 蛍光標識が、蛍光を発生する化合物を含有する合成樹脂粒子であることを特徴とする請
    求項6、7又は8記載の特異的結合物の光学的測定方法。
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