以下に本発明の実施の形態を説明するが、請求項に記載の構成要件と、発明の実施の形態における具体例との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、請求項に記載されている発明をサポートする具体例が、発明の実施の形態に記載されていることを確認するためのものである。したがって、発明の実施の形態中には記載されているが、構成要件に対応するものとして、ここには記載されていない具体例があったとしても、そのことは、その具体例が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、具体例が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その具体例が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
さらに、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明が、請求項に全て記載されていることを意味するものではない。換言すれば、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明であって、この出願の請求項には記載されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により追加される発明の存在を否定するものではない。
請求項1に記載の情報処理装置(例えば、図1の端末1−1)は、ユーザの向きに連動した指向性を有する指向性アンテナ(例えば、図1の指向性アンテナ11−1)と、指向性アンテナを用いて、他の情報処理装置と無線通信を行い、他の情報処理装置のID(Identification)情報を取得するID情報取得手段(例えば、図3の端末情報検出部53)と、ID情報取得手段により取得されたID情報に対応して、他の情報処理装置からの受信電界強度を取得する電界強度取得手段(例えば、図3の受信強度取得部51)と、ID情報に対応付けて、電界強度取得手段により取得された受信電界強度を、複数の他の情報処理装置と通信する際の接続優先度として登録する優先度登録手段(例えば、図3の優先度算出部57)とを備えることを特徴とする。
請求項2に記載の情報処理装置は、ユーザの向きに連動した指向性アンテナの方向情報を入力する方向情報入力手段(例えば、図1の方位測定器14−1)と、指向性アンテナが全方位に掃引されることにより、電界強度取得手段により取得された全方位の受信電界強度、および方向情報入力手段により入力された指向性アンテナの方向情報に基づいて、他の情報処理装置の方向情報または距離情報を推定する端末情報推定手段(例えば、図3の空間情報解析部58)とをさらに備えるようにすることができる。
請求項3に記載の情報処理装置は、方向情報入力手段により入力された指向性アンテナの方向情報の変化を検出する方向変化検出手段(例えば、図3の方向検出部54)をさらに備え、方向変化検出手段により変化が検出された場合、端末情報推定手段により推定された他の情報処理装置の方向情報または距離情報、および、優先度登録手段により登録された接続優先度が更新されるようにすることができる。
請求項4に記載の情報処理装置は、電界強度取得手段により取得された受信電界強度の変化を検出する電界変化検出手段(例えば、図19のステップS62の処理を実行する図3の端末情報検出部53)をさらに備え、電界変化検出手段により変化が検出された場合、端末情報推定手段により推定された他の情報処理装置の方向情報または距離情報、および、優先度登録手段により登録された接続優先度が更新されるようにすることができる。
請求項5に記載の情報処理装置は、複数の他の情報処理装置と通信回線を介して複数のデータを通信する通信手段(例えば、図4の外部通信インタフェース83)と、優先度登録手段により登録された接続優先度に応じて、通信手段による複数のデータの通信を制御する通信制御手段(例えば、図4の通信制御部81)とをさらに備えるようにすることができる。
請求項6に記載の情報処理方法は、ユーザの向きに連動した指向性を有する指向性アンテナを用いて、他の情報処理装置と無線通信を行い、他の情報処理装置のID情報を取得するID情報取得ステップ(例えば、図16のステップS25)と、ID情報取得ステップの処理により取得されたID情報に対応して、他の情報処理装置からの受信電界強度を取得する電界強度取得ステップ(例えば、図16のステップS26)と、ID情報に対応付けて、電界強度取得ステップの処理により取得された受信電界強度を、複数の他の情報処理装置と通信する際の接続優先度として登録する優先度登録ステップ(例えば、図16のステップS27)とを含むことを特徴とする。
なお、請求項7に記載の記録媒体および請求項8に記載のプログラムも、上述した請求項6に記載の情報処理方法と基本的に同様の構成であるため、繰り返しになるのでその説明は省略する。
以下、図を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用した無線通信システムの構成例を示している。
この無線通信システムは、無線通信端末などで構成される端末1−1が、複数の端末1(図1の例の場合、端末1−2および1−3)と一度に通信を行う場合に、端末1−1のユーザaの向きに連動した指向性を有する指向性アンテナ11−1を介して通信相手の端末1−2および1−3から得られる受信電界強度に応じて、複数の端末1間の通信バランスを制御し、複数の端末1と最適に通信を行うようにするものである。なお、以下、端末1−1乃至1−3を個々に区別する必要がない場合、まとめて端末1とも称する。
図1においては、各ユーザの位置がx,y,zの3次元で示されている。ユーザaは、位置A[xa,ya,za]において、端末1−1を携帯しており、端末1−1を用いて、ユーザbおよびユーザcと無線通信を行う。端末1−1には、ユーザaの顔の向きに連動した指向性(ビーム方向)を有する指向性アンテナ11−1、および指向性を有しない無指向性アンテナ12−1が、セレクタ13を介して、端末1−1に接続されている。また、端末1−1には、ユーザaの顔の向きに連動して、ユーザaの顔の向きの方向情報を入力する、例えば、デジタルコンパスなどにより構成される方位測定器14−1も接続されている。
ユーザbは、位置Aとの関係が「相対方位φab,相対距離Dab」である位置B[xb,yb,zb]において、端末1−2を携帯しており、端末1−2を用いて、ユーザaおよびユーザcと無線通信を行う。端末1−2には、無指向性アンテナ12−2が接続されている。なお、相対方向φは、yz平面における相対角度を示している。
ユーザcは、位置Aとの関係が「相対方位φac,相対距離Dac」である位置C[xc,yc,zc]において、端末1−3を携帯しており、端末1−3を用いて、ユーザaおよびユーザbと無線通信を行う。端末1−3には、ユーザcの顔の向きに連動した指向性を有する指向性アンテナ11−3と、ユーザcの顔の向きに連動して、ユーザcの顔の向きの方向を検出する方位測定器14−3が接続されている。
なお、図1の例において、ユーザaを囲む点線は、ユーザaの顔の向き、指向性アンテナ11−1のビーム方向、および、方位測定器14−1が入力する方向情報が連動していることを表しており、同様に、ユーザcを囲む点線は、ユーザcの顔の向き、指向性アンテナ11−3のビーム方向、および、方位測定器14−3が入力する方向情報が連動していることを表している。すなわち、方位測定器14−1は、指向性アンテナ11−1の方向情報を入力し、方向測定器14−3は、指向性アンテナ11−3の方向情報を入力するともいえる。
ユーザaは、端末1−1の指向性アンテナ11−1または無指向性アンテナ12−1を用いて、位置Bに位置するユーザbの端末1−2の無指向性アンテナ12−2、および、位置Cに位置するユーザcの端末1−3の指向性アンテナ11−3を介して、端末1−2および端末1−3と無線通信を行う。
また、ユーザaが操作する端末1−1、ユーザbが操作する端末1−2、および、ユーザcが操作する端末1−3は、インタネットに代表されるネットワーク2に相互に接続されている。この例においては、端末1が3台のみ示されているが、ネットワーク2には、任意の台数の端末1が接続される。
なお、ネットワーク2は、例えば、イーサネット(登録商標)(Ethernet(登録商標))やIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394等を利用したネットワークなどの有線により構成されるネットワークであってもよいし、IEEE802.11a、IEEE802.11b、または、IEEE802.11g等を利用した無線通信により構成されるネットワークであってもよい。すなわち、図1においては、説明の便宜上、ネットワーク2は、各端末1が有するアンテナと離して示されているが、ネットワーク2は、各端末1が有するアンテナにより接続されるものであってもよい。
端末1−1は、端末情報解析部21、記憶部22、内部通信制御部23、出力制御部24、入出力インタフェース25、無線通信回路部26、情報入力部27、および出力部28により構成される。
端末1−1の端末情報解析部21、内部通信処理部23、および出力制御部24は、入出力インタフェース25を介して、入出力インタフェース25に適宜装着される、情報入力部27および出力部28と接続されている。なお、図1においては、図示しないが、入出力インタフェース25には、例えば、マイクロフォンなどで構成される音声入力部、またはヘッドフォンやスピーカなどで構成される音声出力部なども適宜装着される。
すなわち、情報入力部27からの情報は、入出力インタフェース25を介して、端末情報解析部21、内部通信処理部23、または出力制御部24に入力され、内部通信処理部23または出力制御部24からの情報は、入出力インタフェース25を介して、出力部28に出力される。
端末情報解析部21は、無線通信回路部26を制御し、指向性アンテナ11−1または無指向性アンテナ12−1を介して、他の端末(例えば、端末1−2)と無線通信させることにより、端末1−2のID(Identification)情報を取得し、ID情報に基づいて、端末1−2からの受信電界強度(以下、RSSI(Received Signal Strength Indicator)値とも称する)をそれぞれ取得し、取得したRSSI値を接続優先度として、ID情報に対応付けて記憶部22に登録する。
また、端末情報解析部21は、無線通信回路部26を介して取得される全方位のRSSI値、および方位測定器14−1から入力されるユーザaの方向情報に基づいて、端末1−1からの端末1−2の方向情報(すなわち、端末1−1の位置Aからの相対方位φab)や位置情報(端末1−1の位置Aからの相対距離Dab)を推定し、ID情報に対応付けて記憶部22に登録する。
さらに、端末情報解析部21は、無線通信回路部26を介して取得されるRSSI値や、方位測定器14−1から入力されるユーザaの方向情報に変化が検出された場合、記憶部22に登録されている接続優先度、方向情報、または位置情報などを更新する。
記憶部22には、端末情報解析部21により登録された通信相手(端末1−2および1−3)の接続優先度、方向情報、および位置情報などがID情報に対応付けて端末情報リストとして登録される。
内部通信処理部23は、ネットワーク2を介して、端末1−2および端末1−3からのデータを受信すると、記憶部22に記憶される接続優先度を参照し、参照した接続優先度に応じて、端末1−1内部において、端末1−2と1−3との通信バランスを制御する。すなわち、例えば、通信中のデータが音声データであれば、複数端末1のうち、接続優先度の高い端末からの音声データの音量を大きく出力するように通信バランスを制御したり、また、映像データであれば、接続優先度の低い端末1からの映像データを間引いて出力するように制御する。
出力制御部24は、情報入力部27から入力されるユーザの指示に対応して、あるいは、記憶部22の端末情報リストを監視しており、端末情報リストが登録されたり、自己または通信相手の方向や位置の変化に応じて更新されると、各端末の接続優先度をユーザに通知するための画面データなどを生成し、入出力インタフェース25を介して、出力部28を構成するモニタなどに出力させる。
無線通信回路部26は、端末情報解析部21からの制御のもと、送信電力強度を設定し、指向性アンテナ11−1または無指向性アンテナ12−1を介して、他の端末1(例えば、端末1−2)と通信し、端末1−2から受信された情報を端末情報解析部21に供給したり、端末情報解析部21からの情報を、指向性アンテナ11−1または無指向性アンテナ12−1を介して、他の端末1に送信する。また、無線通信回路部26は、端末情報解析部21からの制御のもと、RSSI値を端末情報解析部21に供給する。
情報入力部27は、キーボードやマウスなどで構成され、ユーザの操作に対応した操作信号を、入出力インタフェース25を介して、端末情報解析部21、内部通信処理部23、および出力制御部24に入力する。
出力部28は、出力制御部24や内部通信処理部23から入出力インタフェース25を介して入力されるデータに対応して、映像を表示するモニタや、点灯するLED(Light Emitting Diode)などで構成される。
なお、端末1−2および1−3の構成例についてはアンテナの構成が異なるだけであり、端末1−1の構成例と同様であるので、その説明は省略する。この端末1は、携帯端末で構成することができることはもちろん、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、その他のPDA(Personal Digital Assistant)機器や、AV(Audio Visual)機器や家電(家庭用電化製品)などのCE(Consumer Electronics)機器などで構成することもできる。
また、以下、指向性アンテナ11−1および11−3、並びに、無指向性アンテナ12−1および12−2を個々に区別する必要がない場合、まとめて指向性アンテナ11並びに無指向性アンテナ12とも称する。
図2は、図1の指向性アンテナ、無指向性アンテナ、および方向測定器を内蔵するヘッドセットの構成例を示している。
図2の例においては、x,y,zの3次元空間座標の中心にユーザaの頭部が示されている。ユーザaの顔は、正面方向Fa(図中左方向)を向いており、ユーザaの頭部には、ヘッドセット31が装着されている。
ヘッドセット31は、アンテナ部41、ヘッドフォン部42、およびマイクロフォン部43により構成されており、図2において、それらは、アンテナ部41A、ヘッドフォン部42A、およびマイクロフォン部43Aとして拡大して吹き出し型に示されている。
アンテナ部41Aには、ユーザaの頭部と同じ3次元空間座標の中心に位置し(すなわち、同じ空間座標を有し)、同じ方向情報を有する無指向性アンテナ12が内蔵されている。なお、無指向性アンテナ12を中心とする円41Bは、無指向性アンテナ12のアンテナ特性を表しており、そのアンテナ特性は、ビームの強さが全方位に対して一定であること、すなわち、無指向性アンテナ12のビーム方向に指向性がないことを表している。
ヘッドフォン部42Aには、ユーザaに音声を出力するヘッドフォン(例えば、後述する図4の音声出力部91)と、ユーザaの頭部と同じ3次元空間座標の中心に位置し、同じ方向情報を有する方向測定器14が内蔵されている。
マイクロフォン部43Aには、ユーザaが発する音声に対応する音声データを入力するマイクロフォン(例えば、後述する図4の音声入力部92)と、ユーザaの頭部と同じ3次元空間座標の中心に位置し、同じ方向情報を有する指向性アンテナ11が内蔵されている。なお、指向性アンテナ11を中心とする歪な円43Bは、指向性アンテナ11のアンテナ特性を表しており、指向性アンテナ11は、アンテナ特性として、ユーザの顔の正面方向Faと同じ方向であるビーム正面方向F11に対してビームの強さが最大となり、逆に、ビーム正面方向F11と逆方向に対しては、ビームの強さが最小となる指向性を有することを表している。
すなわち、図2の無指向性アンテナ12、方向測定器14、および指向性アンテナ11は、ユーザaの頭部と同じ3次元空間と同じ方向情報を持ち、ユーザaの顔の動作(振り向くなど)に連動して、ユーザaの正面方向Faと同じ方向を向くように構成されている。
したがって、これらの無指向性アンテナ12、方向測定器14、および指向性アンテナ11をヘッドセット31に内蔵させることにより、例えば、ユーザaの顔の正面方向Faと、指向性アンテナ11のビームの強さが最大となるビーム正面方向F11が同じ方向を向くように固定される。これにより、ユーザaの顔の向きと、無指向性アンテナ12、方向測定器14、および指向性アンテナ11が示す方向を一致させることができる。
図3は、端末1の端末情報解析部の詳細な構成例を示している。なお、図3の例においては、端末1−1を例とし、通信相手を端末1−2として説明する。
図3の例において、端末情報解析部21は、受信強度取得部51、情報送受信部52、端末情報検出部53、方向検出部54、情報設定部55、情報取得制御部56、優先度算出部57、および空間情報解析部58により構成される。
受信強度取得部51は、端末情報検出部53の制御のもと、無線通信回路部26よりRSSI値を取得する。情報送受信部52は、無線通信回路部26を介して、他の端末1−2からの情報を受信したり、情報取得制御部56からの端末1−1の設定情報などを送信する。
端末情報検出部53は、情報送受信部52を介して入力される情報から、その情報を送信してきた端末1−2のID情報(例えば、MAC(Media Access Control Address)アドレス)を取得し、そのときのRSSI値を、受信強度取得部51を制御し、無線通信回路部26から取得させ、取得した端末1−2のID情報と、ID情報に対応するRSSI値を優先度算出部57に供給する。
方向検出部54は、情報取得制御部56からの指示に応じて、方向測定器26から入力される方向情報を、端末1−1の基準方向として設定するとともに、情報取得制御部56に供給する。また、方向検出部54は、方向測定器26から入力される方向の変化を検出した場合、変化が検出された端末1−1の方向情報を、情報取得制御部56に供給する。
なお、方向検出部54は、自己の端末の方向設定時の方向に対して変化を検出するため、予めキャリブレーション処理として、基準方向を設定する。具体的には、方向検出部54は、端末1−1の起動またはリセット時に、方向測定器26を規定の基準位置に適応させたり、方向測定器26からの情報に基づいて、基準方向を設定し、その後、方向測定器26からの情報と基準方向に基づいて、方向の変化を検出する。
情報設定部55は、特性情報設定部61および空間情報設定部62から構成される。特性情報設定部61は、情報入力部27から入力されるユーザaの指示に応じて、セレクタ13を制御し、使用するアンテナを、指向性アンテナ11または無指向性アンテナ12に切り換えさせたり、無線通信回路部26の送信電力強度を設定するとともに、ユーザの指示に応じて、通信の開始や終了などを情報取得制御部56に通知する。このとき、特性情報設定部61は、設定した送信電力強度やアンテナの情報を、情報取得制御部56に供給する。
空間情報設定部62は、情報入力部27から入力されるユーザaの指示に応じて、基準空間を定義し、基準空間の情報を、空間情報解析部58に供給する。すなわち、空間情報設定部62は、ユーザaにより設定された送信電力強度などに基づいた大きさの基準空間を定義し、基準空間の情報を、空間情報解析部58に供給する。
情報取得制御部56は、方向検出部54からの端末1−1の方向情報を優先度算出部57に供給する。情報取得制御部56は、方向検出部54により設定された端末1−1の基準方向、並びに、特性情報設定部61からの送信電力強度およびアンテナの情報を、空間情報解析部58に供給する。なお、情報取得制御部56は、必要に応じて、端末1−1の設定情報として、方向情報、送信電力強度、およびアンテナの情報などを情報送受信部52に供給し、他の端末1−2に送信させたり、情報送受信部52を介して、他の端末1−2の設定情報なども受信し、空間情報解析部58に供給する。
優先度算出部57は、端末情報検出部53からのRSSI値を接続優先度として、端末情報検出部53からの端末1−2のID情報および情報取得制御部56からの端末1−1方向情報に対応付けて記憶部22の端末情報リストに登録する。優先度算出部57は、端末1−2のID情報、RSSI値、および対応する端末1−1の方向情報を、空間情報解析部58に供給する。
空間情報解析部58は、情報取得制御部56からの端末1−1の方向情報、送信電力強度およびアンテナの情報などを、空間情報設定部62より供給された基準空間に反映させる。空間情報解析部58は、必要に応じて、他の端末1−2の設定情報も基準空間に反映させる。
空間情報解析部58には、優先度算出部57より、端末1−2のID情報、RSSI値、対応する端末1−1の方向情報が供給される。空間情報解析部58は、基準空間を参照し、端末1−1の全方向に対応する端末1−2のRSSI値に基づいて、端末1−2の方向情報を推定し、最大となる端末1−2のRSSI値に基づいて、端末1−2の距離情報を推定し、推定した端末1−2の方向情報および距離情報を、ID情報に対応付けて記憶部22の端末情報リストに登録する。
図4は、端末1の内部通信処理部の詳細な構成例を示している。図4の例の場合、例えば、複数の端末1間でネットワーク2を介して相互に音声データを通信するチャット(会話)において、それぞれの音声データの音量が、対応する接続優先度に応じて制御される、すなわち、通信における音量バランスが調整される場合を説明する。なお、図4の例においても、端末1−1を例とし、通信相手を端末1−2(または端末1−3)として説明する。
内部通信処理部23は、通信制御部81、優先度情報取得部82、外部通信インタフェース(I/F)83、コーディック部84、音量調整部85、混合器86、および分配器87により構成される。また、図4の例においては、入出力インタフェース25には、他のユーザの音声データに対応する音声を出力するヘッドフォンなどからなる音声出力部91、および、ユーザの音声を集音し、音声に対応するデータを入力するマイクロフォンからなる音声入力部92もさらに装着されている。
通信制御部81は、情報入力部27から入力されるユーザの指示または優先度情報取得部82からの通知に対応して、外部通信インタフェース83を制御し、外部通信回線11−2を介して、通信相手の端末1−2と通信を行わせる。また、外部通信インタフェース83により受信された端末1−2のID情報を優先度情報取得部82に供給し、ID情報に対応する端末1−2の接続優先度を取得させ、音量調整部85を制御し、優先度情報取得部82からの端末1−2の接続優先度に応じた音量に調整させる。
優先度情報取得部82は、記憶部22の端末情報リストを監視し、端末情報リストが登録されると、通信制御部81に通知する。また、優先度情報取得部82は、通信制御部81から供給されるID情報に対応する接続優先度を記憶部22から取得し、取得した接続優先度を通信制御部81に供給する。その後、優先度情報取得部82は、通信制御部81から供給されたID情報に対応する接続優先度を監視し、接続優先度が変更されたと判定した場合、変更された接続優先度を取得し、取得した接続優先度を通信制御部81に供給する。
外部通信インタフェース83は、データ受信部101およびデータ送信部102により構成され、通信制御部81の制御のもと、ネットワーク2を介して、通信相手の端末と接続(回線を確立)し、音声データを送受信する。データ受信部101は、ネットワーク2を介して音声データを受信すると、受信した音声データをコーディック部84に供給するとともに、その音声データに付加されている端末1−2のID情報を取り出し、取り出したID情報を通信制御部81に供給する。データ送信部102は、通信制御部81の制御のもと、コーディック部84により符号化された音声データを、ネットワーク2を介して対応する端末1−2に送信する。
コーディック部84は、復号部103および符号化部104により構成される。復号部103は、データ受信部101により受信された音声データ(デジタルデータ)を復号し、復号された音声データ(アナログデータ)を音量調整部85に供給する。符号化部104は、音量調整部85により音量が調整された音声データ(アナログデータ)を符号化し、符号化された音声データ(デジタルデータ)をデータ送信部102に供給する。
音量調整部85は、出力音量調整部105および入力音量調整部106により構成され、通信制御部81の制御のもと、接続優先度に応じた音量バランスになるように(すなわち、接続優先度に応じた重み付けをして)、入力されるデータの音量調整を行う。出力音量調整部105は、復号部103からの音声データを、通信制御部81の制御のもと、優先度情報取得部82からの各端末の接続優先度に応じた音量に調整することにより、端末1−2より受信された音声データの音量バランスを制御し、混合器86に出力する。入力音量調整部106は、分配器87からの音声データを、通信制御部81の制御のもと、優先度情報取得部82からの端末の接続優先度に応じた音量に調整することにより、送信される音声データの音量バランスを制御し、符号化部104に出力する。
なお、図4の例の場合、データ受信部101は、端末1−2(ユーザb)からの音声データAb1を受信するデータ受信部101−1、端末1−3(ユーザc)からの音声データAc1を受信するデータ受信部101−2、…として、通信相手に応じて分けて構成されており、データ送信部102は、端末1−2に対しての音声データAb2を送信するデータ送信部102−1、端末1−3に対しての音声データAc2を送信するデータ送信部102−2、…として、通信相手に応じて分けて構成されている。
また、出力音量調整部105は、端末1−2からの音声データAb1の音量を調整する出力音量調整部105−1、端末1−3からの音声データAc1の音量を調整する出力音量調整部105−2、…として、通信相手に応じて分けて構成されており、入力音量調整部106は、端末1−2に対しての音声データAb2の音量を調整する入力音量調整部106−1、端末1−3に対しての音声データAc2の音量を調整する入力音量調整部106−2、…として、通信相手に応じて分けて構成されている。
すなわち、データ受信部101−1は、端末1−2からの音声データAb1を受信し、復号部103を介して、出力音量調整部105−1に供給する。出力音量調整部105−1は、端末1−2からの音声データAb1の音量を、端末1−2の接続優先度に応じて調整し、混合器86に供給する。データ受信部101−2は、端末1−3からの音声データAc1を受信し、復号部103を介して、出力音量調整部105−2に供給する。出力音量調整部105−2は、端末1−3からの音声データAc1の音量を、端末1−3の接続優先度に応じて調整し、混合器86に供給する。
また、入力音量調整部106−1は、分配器87からの音声データの音量を、端末1−2の接続優先度に応じて調整し、音声データAb2として、符号化部104を介して、データ送信部102−1に供給する。データ送信部102−1は、端末1−2に対しての音声データAb2を、対応する端末1−2に送信する。入力音量調整部106−2は、分配器87からの音声データの音量を、端末1−3の接続優先度に応じて調整し、音声データAc2として、符号化部104を介して、データ送信部102−2に供給する。データ送信部102−2は、端末1−3に対しての音声データAc2を、対応する端末1−3に送信する。
混合器86は、出力音量調整部105−1、105−2、…からの音量が調整された音声データを混合し、混合した音声データを、入出力インタフェース25を介して、音声出力部91から出力させる。分配器87は、音声入力部92から入力された音声データを、入出力インタフェース25を介して入力し、入力音量調整部106−1、106−2、…に分配する。
図5は、記憶部22に記憶される端末情報リストの構成例を示している。
図5の例の場合、端末情報リストは、端末1を操作するユーザの「ユーザ名」、優先度算出部57により算出された「接続優先度」、接続を優先する「順位」、および端末の位置情報である「位置」により構成される。
例えば、「ユーザb」は、接続優先度が「100」で、順位が「1」であり、「ユーザc」は、接続優先度が「65」で、順位が「2」であることが示されている。
次に、図6および図7を参照して、図1の指向性アンテナ11の特性(放射パターン)について説明する。なお、以下、説明の便宜上、z次元が省略された、すなわち、3次元のうち、x,yの2次元空間を例に説明するが、本発明は、実際の3次元空間の場合にも適用される。
図6は、2次元のxy平面において、各方位(θ)に対する、指向性アンテナ11の放射パターン131と、無指向性アンテナ12の放射パターン132を示している。なお、図6のxy平面の原点は、各アンテナの位置を示し、xy平面の各円は、−50(原点)から、外側に向かう毎に−10刻みの利得[dBi]を表している。
図7は、縦軸を利得[dBi]とし、横軸を方位θ[deg]としたグラフにおいて、指向性アンテナ11の放射パターン131と、無指向性アンテナ12の放射パターン132を示している。
指向性アンテナ11は、ビーム正面方向F11の方位(0度)に対しては、利得が略3[dBi]と最も大きく、ビーム正面方向F11の方位から、自己(指向性アンテナ11)を中心として、背面方向に回動するにつれて、利得がだんだん小さくなり、背面方向(180度)の方位に対しては、利得が略−40[dBi]と急激に凹んだ形状からなる指向性の放射パターン131を有している。
これに対して、無指向性アンテナ12は、無指向であるので、その利得が、どの方位に対しても一定で同じ大きさ(0[dBi])である放射パターン132を有している。
すなわち、端末1において、無指向性アンテナ12を用いて無線通信する場合には、どの方向にも一様の利得があるが、指向性アンテナ11を用いて通信する場合には、ビーム正面方向F11に対しての利得が最も大きく、背面方向に対しての利得が最も小さい。
したがって、このような特性(放射パターン)を有する指向性アンテナ11のビーム正面方向とユーザaの顔の向きを連動させることにより、ユーザaの顔が向いた方向に対しての指向性アンテナ11の利得を大きくすることができる。すなわち、端末1において接続優先度として登録される受信電界強度(RSSI値)を大きくすることができる。なお、自由空間における受信電界強度PR[dBm]は、次の式(1)で表される。
受信電界強度(RSSI値)PR = PT+GT+−L+GR ・・・(1)
ここで、PTは、送信端末の送信電力強度[dBm]を表し、Lは、自由空間における電波伝搬損失[dB]を表す。また、GTは、送信端末から受信端末方向への送信アンテナ絶対利得を表し、GRは、受信端末から送信端末方向への受信アンテナ絶対利得を表す。なお、電界強度の式においては、+は、乗算を表し、−は、除算を表す。
図8は、ユーザaの顔の向きと各アンテナのビーム方向の連動の例を示している。図8を参照して、ユーザaの顔の向きと各アンテナのビーム方向の連動についてさらに具体的に説明する。
図8の例においては、ユーザaの顔の向きを表す空間座標121と、空間座標121と同様に構成され、ユーザaの顔の向きに連動するように設定された指向性アンテナ11および無指向性アンテナ12の放射パターンを表す空間座標122が示されている。空間座標121および122は、y軸において、図中上方向が0度を表し、360度の方位(θ)が0度から時計回りに設定されている。
空間座標121の中心(原点)には、ユーザaとユーザaの方向を検出する方位測定器14がともに、0度の方位を正面方向Fa、90度の方位を右方向Ra、180度の方位を背面方向Ba、270度の方位を左方向Laとして配置されている。
空間座標122の中心(原点)には、ビーム正面方向F11に、大きい利得を有する放射パターン131を持つ指向性アンテナ11と、全方位に対して同じ利得を有する放射パターン132を持つ無指向性アンテナ12が、0度の方位をビーム正面方向F11、90度の方位をビーム右方向R11、180度の方位をビーム背面方向B11、270度の方位をビーム左方向L11として配置されている。
したがって、ユーザaの正面方向Faが0度の方位に向いている場合には、指向性アンテナ11および無指向性アンテナ12のビーム正面方向F11も連動して、0度の方位を向くので、0度の方位に対しての利得が大きくなる。これにより、0度の方位にいる他の端末から取得されるRSSI値が最も大きくなる。なお、このとき、ユーザaの背面方向Baで、ビーム背面方向B11である180度の方位に対しての利得は、最も小さくなり、180度の方位にいる他の端末から取得されるRSSI値が最も小さくなる。
例えば、ユーザaの正面方向Faが90度の方位に振り向き、90度の方位を正面方向Faにした場合には、指向性アンテナ11および無指向性アンテナ12のビーム正面方向F11も連動して、90度の方位を向くので、90度の方位に対しての利得が大きくなる。これにより、90度の方位にいる他の端末から取得されるRSSI値が最も大きくなる。なお、このとき、ユーザaの背面方向Baで、ビーム背面方向B11である270度の方位に対しての利得は、最も小さくなり、270度の方位にいる他の端末から取得されるRSSI値が最も小さくなる。
また、例えば、ユーザaの正面方向Faが180度の方位に振り向き、180度の方位を正面方向Faにした場合には、指向性アンテナ11および無指向性アンテナ12のビーム正面方向F11も連動して、180度の方位を向くので、180度の方位に対しての利得が大きくなる。これにより、180度の方位にいる他の端末から取得されるRSSI値が最も大きくなる。なお、このとき、ユーザaの背面方向Baで、ビーム背面方向B11である0度の方位に対しての利得は、最も小さくなり、0度の方位にいる他の端末から取得されるRSSI値が最も小さくなる。
さらに、例えば、ユーザaの正面方向Faが270度の方位に振り向き、270度の方位を正面方向Faにした場合には、指向性アンテナ11および無指向性アンテナ12のビーム正面方向F11も連動して、270度の方位を向くので、270度の方位に対しての利得が大きくなる。これにより、270度の方位にいる他の端末から取得されるRSSI値が最も大きくなる。なお、このとき、ユーザaの背面方向Baで、ビーム背面方向B11である90度の方位に対しての利得は、最も小さくなり、90度の方位にいる他の端末から取得されるRSSI値が最も小さくなる。
以上のように、ユーザの方向と指向性アンテナのビーム方向を連動させるようにしたので、ユーザの方向に連動して変動するRSSI値を、複数の端末と通信を行う際の接続優先度とし、複数の端末の接続優先度を比較することにより、通信を行う複数の端末の中に、優先順位を付与することができる。すなわち、接続優先度に基づいて、複数の端末間で通信のバランスを制御することができるので、例えば、複数の端末間で会話を同時に行おうとしても、無秩序に混信することを防ぐことができる。
さらに、上述したように、接続優先度であるRSSI値は、ユーザの方向に連動して変動するので、例えば、ユーザが、通信を強く要望するユーザの方向を振り向くといったようなごく自然な動作によって簡単に各端末の接続優先度を調整することができる。
なお、以上においては、x,yの2次元で示されている空間座標を用いて接続優先度を説明したが、上述したように、実際には、実空間は、3次元で構成される。したがって、例えば、3次元の基準空間座標において、ユーザaが他のユーザとあまり接続したくない場合には、yz平面の角度(φ)を下に向ける、すなわち、ユーザaがうつむくといったごく自然な動作によって、簡単に他のユーザの接続優先度を調整することもできる。
図9は、各アンテナにより無線通信を行う複数の端末1が配置される実空間の座標例をx,yの2次元で示している。なお、図9においても、y軸上の図中上方向が0度として設定され、0度から時計回りに360度の方位(θ)が設定されている。
図9の実空間座標には、ユーザaが操作する端末1−1は、ユーザaの正面方向Faを0度の方位に向けて、位置A[0,0](原点)に配置されている。ユーザbが操作する端末1−2は、端末1−1の位置Aとの相対距離Dabが40mで、位置Aとの相対方位θabが315度(−45度)である位置B[xb,yb]に配置されている。
また、ユーザcが操作する端末1−3は、端末1−1の位置Aとの相対距離Dacが30mで、位置Aとの相対方位θacが90度である位置C[xc,yc]に配置されている。ユーザdが操作する端末1−4(図示せず)は、端末1−1の位置Aとの相対距離Dadが25mで、位置Aとの相対方位θadが157.5度である位置D[xd,yd]に配置されている。
さらに、図10に示されるように、位置Aの端末1−1は、正面方向Faに指向性を有する放射パターンfaの指向性アンテナ11を有しており、位置Bの端末1−2、位置Cの端末1−3、および位置Dの端末1−4は、それぞれ無指向性の放射パターンNfb、放射パターンNfc、および放射パターンNfdの無指向性アンテナ12を有している。
このようにして端末1−1乃至端末1−4が配置される実空間座標において、端末1−1は、指向性アンテナ11を全方位に掃引させる。
なお、具体的には、ユーザaが全方位を向くように自転することにより、ユーザaの頭部に装着されるヘッドセット31に内蔵される指向性アンテナ11を全方位に掃引させたり、または、無線通信回路部26などが制御されることにより、指向性アンテナ11のビーム方向を機械的に、または電気的に全方位掃引させる。
これにより、端末1−1は、図11に示されるように、端末1−1のユーザa(すなわち、指向性アンテナ11のビーム方向)の全方位に対応する端末1−2乃至1−4の接続優先度であるRSSI値を取得することができる。
図11は、図10の空間座標の位置Aに配置される端末1−1(ユーザa)の正面方向に対する、端末1−1と、位置B乃至位置Dにそれぞれ配置される端末1−2乃至1−4間の各RSSI値(接続優先度)の遷移を示すグラフである。
図11においては、縦軸がRSSI値[dB]を表し、横軸は、ユーザaの正面方向(矢印Fa)の向き(θ)(すなわち、図9および図10の空間座標において、位置Aのユーザaの正面方向が向いた方位)を表している。なお、図11の例においては、方位(θ)の180度乃至360度は、−180度乃至0度に換算されている。
位置Bに配置される端末1−2は、位置Aに配置される端末1−1との相対距離Dabが40mで、端末1−1との相対方位θabが−45(315)の方位に位置している。したがって、図11に示される端末1−1と端末1−2間のRSSI値Rabは、ユーザaの正面方向Faが−45度の方位を向いたときに−71[dB]と一番高くなり、ユーザaの正面方向Faの向きが、−45度の方位からユーザaを中心に回動していくにつれてだんだん下がっていき、ユーザaの正面方向Faが90度または−180度を向いたときに、略−91[dB]になり、図示されないが、ユーザaの正面方向Faが135度を向いたときに一番低くなる。
同様に、位置Cに配置される端末1−3は、位置Aに配置される端末1−1との相対距離Dacが30mで、端末1−1との相対方位θacが90度の方位に位置している。したがって、図11に示される端末1−1と端末1−3間のRSSI値Racは、ユーザaの正面方向Faが90度の方位を向いたときに略−67[dB]と一番高くなり、ユーザaの正面方向Faの向きが、90度の方位からユーザaを中心に回動していくにつれてだんだん下がっていき、ユーザaの正面方向Faが−45(315)度または−135(225)度を向いたときに、略−89[dB]になり、図示されないが、ユーザaの正面方向Faが−90(270)度を向いたときに一番低くなる。
位置Dに配置される端末1−4は、位置Aに配置される端末1−1との相対距離Dadが25mで、端末1−1との相対方位θadが157.5度の方位に位置している。したがって、図11に示される端末1−1と端末1−4間のRSSI値Radは、ユーザaの正面方向Faが90度の方位を向いたときに略−66[dB]と一番高くなり、ユーザaの正面方向Faの向きが、157.5度の方位からユーザaを中心に回動していくにつれてだんだん下がっていき、ユーザaの正面方向Faが22.5度または−67.5(292.5)度を向いたときに、略−87[dB]になり、図示されないが、ユーザaの正面方向Faが−22.5(337.5)度を向いたときに一番低くなる。
したがって、端末1−1がユーザaの顔の向きと連動する指向性アンテナ11を有している場合の図10の空間座標における端末1−1と各端末間の接続優先度を比較した場合、ユーザaの正面方向Faが−45度の方位(すなわち、位置B(端末1−2)方向)を向いたとき、点線L1上の丸に示されるように、RSSI値Rab(略−71[dB])>>RSSI値Rac(略−89[dB])>RSSI値Rad(−90[dB]以下)となる。
また、ユーザaの正面方向Faが90度の方位(すなわち、位置C(端末1−3)方向)を向いたとき、点線L2上の丸に示されるように、RSSI値Rac(略−67[dB])>RSSI値Rad(略−71[dB])>>RSSI値Rab(略−91[dB])となる。
さらに、ユーザaの正面方向Faが157.5度の方位(すなわち、位置D(端末1−4)方向)を向いたとき、点線L3上の丸に示されるように、RSSI値Rad(略−66[dB])>>RSSI値Rac(略−73[dB])>>RSSI値Rab(−90[dB]以下)となる。
なお、端末1−1がユーザaの顔の向きと連動する指向性アンテナ11を持たない空間座標、すなわち、各端末1−1乃至1−4が無指向性アンテナ12を有する空間座標における端末1−1と各端末間の接続優先度を比較した場合には、ユーザaの正面方向Faの向きは各端末との接続優先度には影響せず、相対距離に応じて、RSSI値Rad(略−66[dB])>RSSI値Rac(略−67[dB])>RSSI値Rab(略−71[dB])となる。
以上のように、指向性アンテナ11より得られる各端末1のRSSI値は、ユーザaの正面方向Faに配置される端末のものが最も大きいので、このRSSI値を、複数端末間での通信における接続優先度として用いることにより、複数の端末間で通信のバランスを制御することができる。例えば、複数の端末間で会話を同時に行おうとしても、無秩序に混信することを防ぐことができる。
さらに、指向性アンテナ11のビーム方向を全方位掃引させ、各端末に対応するRSSI値を取得することにより、各端末に対応する全方位のRSSI値がそれぞれ遷移し、全方位のRSSI値の中で、ユーザaの正面方向Faの方位(すなわち、指向性アンテナ11のビーム方向)に位置する場合の接続優先度が最も高くなることがわかる。すなわち、図10の空間座標において、各端末の全方位のRSSI値の中で、最もRSSI値が高くなる方位に、その端末が位置することがわかる。
したがって、指向性アンテナ11のビーム方向を全方位掃引させることにより得られる各端末の、端末1−1の全方位のRSSI値から、RSSI値が最大となる方向を求め、求められた方向に、対応する端末が存在していると推定することができる。
図12は、図11のグラフを参照することにより、推定された方向情報推定結果の例を示している。
図12の方向情報推定結果は、各端末名と、それぞれの端末に対応して取得される最大RSSI値と、推定される端末1−1からの相対方向情報で構成されており、方向情報推定結果においては、端末1−2は、最大RSSI値が「−71」[dB]であり、相対方向情報が「−45°」の方位であることが示され、端末1−3は、最大RSSI値が「−67」[dB]であり、相対方向情報が「90°」の方位であることが示され、端末1−4は、最大RSSI値が「−66」[dB]であり、相対方向情報が「157.5°」の方位であることが示されている。
すなわち、端末1−1においては、指向性アンテナ11のビーム方向を全方位掃引させることにより、端末1−2が、最大RSSI値−70[dB]となる方位である、端末1−1の位置A(原点)から−45°の相対方位に位置することが推定され、端末1−3が、最大RSSI値−68[dB]となる方位である、端末1−1の位置A(原点)から90°の方位に位置することが推定され、端末1−4が、最大RSSI値−66[dB]となる方位である、端末1−1の位置A(原点)から157.5°の方位に位置することが推定される。
また、以上のように各端末の方向を推定するときに求められる最大となるRSSI値から、端末1−1から各端末への距離情報を推定することも可能である。
図13は、RSSI値と伝搬距離dの相関グラフである。この相関グラフを参照して、最大RSSI値からの端末間距離推定方法を詳しく説明する。
伝搬距離dとRSSI値の相関は、上述した受信電界強度を算出する式(1)と、次に表される自由空間における電波伝搬損失Lを算出する次の式(2)を用いることにより求められる次の式(3)で表される。
電波伝搬損失L = 10 log(4πd/λ)2
= 10 log(4πfd/c)2 ・・・(2)
なお、λは、波長[m]を表し、dは、伝搬距離[m]を表し、fは、周波数[Hz]を表し、cは、光速(3.0*108)[m/s]を表す。
伝搬距離d = (c/4πf)*10^(PT−PR+GT+GR/20)
・・・(3)
ここで、例えば、障害物のない自由空間内において、各端末(端末1−2または端末1−2)が、送信周波数2.4GHz帯を使用し、無指向性アンテナ11を用いて送信電力0[dBm]で情報を送信し、各端末から送信された情報が、端末1−1が有するビーム正面方向Faの最大利得が3[dBm]の指向性アンテナ12(例えば、図6)で受信された場合、式(3)は、図13のグラフおよび次の式(4)で表される。なお、このとき、送信電力強度、アンテナ特性、環境ごとの伝搬損失修正値などは、必要に応じて、予め設定されるか、端末間で送信される情報内のヘッダなどに格納され、取得されるものとする。
伝搬距離d = 10^{−(RSSI値+40.2)/20} ・・・(4)
すなわち、図13は、式(4)を表すRSSI値(横軸)と伝搬距離d(縦軸)の相関グラフである。
図13の相関グラフにおいては、例えば、最大RSSI値が−60[dB]の場合、伝搬距離dが略10mであることが示されており、最大RSSI値が−70[dB]の場合、伝搬距離dが略35mであることが示されており、最大RSSI値が−80[dB]の場合、伝搬距離dが略90mであることが示されている。
したがって、式(4)または図13の相関グラフを参照することにより、端末1−1と最大RSSI値が「−71」[dB]である端末1−2との相対距離は、略40mであることが推定される。同様に、端末1−1と最大RSSI値が「−66」[dB]である端末1−3との相対距離は、略30mであり、端末1−1と最大RSSI値が「−67」[dB]である端末1−4との相対距離は、略25mであることが推定される。ただし、多少の誤差はあるものとする。
以上のように、端末1−1においては、指向性アンテナ11のビーム方向を全方位掃引させることにより、最大となるRSSI値を取得するようにしたので、取得された最大となるRSSI値に基づいて、各端末の方向情報および距離情報を推定することができる。また、推定された方向情報および距離情報に基づいて、各端末の位置情報も求めることができる。
なお、上記説明においては、端末1−1のみが指向性アンテナ11を有し、端末1−2乃至1−4は、無指向性アンテナ12を有する場合を説明したが、端末1−1も無指向性アンテナ12を有する場合、または、端末1−2乃至1−4のうちの少なくとも1つの端末が指向性アンテナ12を有する場合もある。これらの場合にも必要に応じて、送信電力強度、アンテナ特性、環境ごとの伝搬損失修正値などは、必要に応じて、予め設定されるか、端末間で送信される情報内のヘッダなどに格納され、取得される。
以上のようにして取得された各端末の接続優先度(RSSI値)、端末位置情報(距離情報および方向情報)は、ID情報に基づいて、図14に示されるようにリスト化され、記憶部22に端末情報リストとして登録される。
図14は、記憶部22に記憶される端末情報リストの構成例を示している。すなわち、図14の端末情報リストは、図5の端末情報リストの他の構成例である。
図14の例の場合、端末情報リストは、各端末のID情報と端末1−1の方向情報に対応付けて、端末を操作するユーザの「ユーザ名」、優先度算出部57により算出された「接続優先度(RSSI値)」、接続する端末の中での接続優先順位を示す「順位」、端末の位置情報である「位置」、端末1−1との相対距離情報である「距離」、端末1−1との相対方向情報である「方向」、端末に接続するための「アドレス」、端末が有する「アンテナ特性」、および、端末の「送信電力強度」などがリスト化されて構成されている。
すなわち、ユーザ名が「ユーザb」の端末1−2は、接続優先度が「100」で、順位が「2」であり、位置が[xb,yb,zb]([x座標,y座標,z座標])で、距離が「Dab」で、方向が(θB,φB)((xy平面の角度,yz平面の角度))で、アドレスが「xx-xx-xx-」であり、アンテナ特性は、fB(θ,φ)であり、送信電力強度が「45」である。
ユーザ名が「ユーザc」の端末1−3は、接続優先度が「65」で、順位が「3」であり、位置が[xc,yc,zc]([x座標,y座標,z座標])で、距離が「Dac」で、方向が(θC,φC)((xy平面の角度,yz平面の角度))で、アドレスが「090-xxxx」であり、アンテナ特性は、fC(θ,φ)であり、送信電力強度が「21」である。
ユーザ名が「ユーザd」の端末1−4は、接続優先度が「123」で、順位が「1」であり、位置が[xd,yd,zd]([x座標,y座標,z座標])で、方向が(θD,φD)((xy平面の角度,yz平面の角度))で、アドレスが「xx-xx-xx-」であり、アンテナ特性は、fD(θ,φ)であり、送信電力強度が「70」である。
すなわち、図14の端末情報リストは、各端末のRSSI値が取得されて、接続優先度として、ID情報に基づいて記憶部22に登録され、さらに、各端末に対応したRSSI値が取得され、必要に応じて、「アンテナ特性」や「送信電力強度」が取得されることにより、式(1)および式(2)に基づいて、各端末の「方向情報」および「位置情報」が推定され、推定された「方向情報」および「位置情報」から、「位置情報」も推定されて、各端末のID情報と端末1−1の方向情報に対応付けて記憶部22に登録されたものである。
そして、記憶部22に登録された端末情報リストは、内部通信処理部23に供給されるとともに、出力制御部24に供給され、入出力インタフェース25を介して、出力部28を構成するモニタに表示される。このとき、出力制御部24は、端末情報リストの情報を、図14の端末情報リストと同じ構成のリスト形式で、あるいは、端末情報リストのうちの一部の情報だけをリスト形式でモニタに表示させたり、図15に示すように、端末1−1が通信する空間座標を、3D(dimension)空間としてCG(Computer Graphics)合成した映像を用いて表示させることもできる。
図15は、モニタに出力される端末情報リストの表示例を示している。
図15の例においては、x,y,zからなる3次元の基準空間座標に、各端末1の端末情報リストの各情報に基づいた位置に配置された各端末1のユーザを象徴するアバタとともに、端末情報リストのうちのユーザ名、位置、方向、アンテナ特性の各情報が表示されている。なお、説明の便宜上、xy平面において、y軸の正方向を0度とし、0度から時計回りに360度の方位を示すものとして説明する。
出力部28には、端末1−1を操作するユーザa、端末1−2を操作するユーザb、端末1−3を操作するユーザc、および端末1−4を操作するユーザdが、マスコット形状のアバタとしてそれぞれ表示されている。また、各ユーザの顔の方向は、アバタの正面方向の向きで表され、各アバタの下部には、各端末が有するアンテナ特性を表す波形パターンが表示されている。
すなわち、基準空間座標の原点には、ユーザaのアバタAAが、その正面方向FaがユーザcのアバタAC向き(略135度方向)に表示され、アバタAAの下部には、ユーザaの端末1−1が用いるアンテナの特性として、正面指向型の指向性アンテナ11の波形パターンfaが凹んだ形状をしている円で表示されている。また、アバタAAの上部には、ユーザ名「ユーザa」と、位置情報「座標値A[0,0,0]」が吹き出し表示されている。
ユーザaのアバタAAの背面方向(略315度)の方位の、ユーザaとの相対距離Dabの位置には、ユーザbのアバタABが、その正面方向Fbが略180度の方位向きに表示され、アバタABの下部には、ユーザbの端末1−2が用いるアンテナの特性として、正円の無指向性アンテナ12の波形パターンNfbが表示されている。また、アバタABの上部には、ユーザ名「ユーザb」と、位置情報「座標値B[xb,yb,zb]」が吹き出し表示されている。
ユーザaのアバタAAの正面方向(略135度)の方位の、ユーザaとの相対距離Dacの位置には、ユーザcのアバタACが、その正面方向Fcが略270度の方位向きに表示され、アバタACの下部には、ユーザcの端末1−3が用いるアンテナの特性として、正円の無指向性アンテナ12の波形パターンNfcが表示されている。また、アバタACの上部には、ユーザ名「ユーザc」と、位置情報「座標値C[xc,yc,zc]」が吹き出し表示されている。
ユーザaのアバタAAの略45度の方位の、ユーザaとの相対距離Danの位置には、ユーザdのアバタADが、その正面方向Fdが端末1−3向き(略225度方向)に表示され、アバタADの下部には、ユーザdの端末1−4が用いるアンテナの特性として、正円の無指向性アンテナ12の波形パターンNfdが表示されている。また、アバタADの上部には、ユーザ名「ユーザd」と、位置情報「座標値D[xn,yn,zn]」が吹き出し表示されている。
なお、図15の例の場合、ユーザaのアバタAAと各アバタとの相対距離は、Dac>Dab>Dadとなっている。
以上のように、記憶部22に登録された端末情報リストの情報、すなわち、接続優先度、端末のアンテナ特性、または最大RSSI値から推定された端末の位置情報などがモニタに表示されるので、ユーザは、各ユーザの位置を知らなくても、表示された端末情報リストの情報をもとに、ユーザの位置情報(方向や距離)を簡単に把握することができる。すなわち、端末1−1のユーザaは、表示された端末情報リストをもとに、通信を行う(電波を発する)相手の位置を探索することができる。すなわち、端末1−1を簡易の測位測距装置としても利用することが可能である。
なお、記憶部22に登録された端末情報リストの情報の出力は、モニタ表示に限らず、例えば、各端末との距離情報に応じた音声信号をヘッドフォンなどから出力させるようにすることもできる。
次に、図16のフローチャートを参照して、端末1−1の端末情報設定処理について説明する。なお、この処理は、情報入力部27からのユーザの操作に対応する操作信号が特性情報設定部61に入力された場合に開始される。
端末1−1を操作するユーザaは、ユーザbが操作する端末1−2、およびユーザcが操作する端末1−3とネットワーク2を介して、複数の端末間でのチャットを行うアプリケーションなどを用いることにより、相互に音声データを通信するため、マウスなどからなる情報入力部27を操作して、端末1−1に通信の開始を指示する。このとき、ユーザaは、必要に応じて、例えば、無線通信に使用するアンテナや送信電力強度などの情報を入力する。
情報入力部27は、ユーザの操作に対応する操作信号を、特性情報設定部61および空間情報設定部62に入力する。
これに対応して、特性情報設定部61は、ステップS21において、情報入力部27から入力されるユーザaの指示に応じて、セレクタ13を制御し、使用するアンテナを、例えば、指向性アンテナ11に切り換えさせ、無線通信回路部26の送信電力強度を設定し、無線通信を開始させ、ステップS22に進む。なお、このとき、特性情報設定部61は、設定したアンテナや送信電力強度の情報を、情報取得制御部56に供給する。
また、空間情報設定部62は、情報入力部27から入力されるユーザaの指示に応じて、ステップS22において、基準空間を定義し、基準空間の情報を、空間情報解析部58に供給し、ステップS23に進む。
情報取得制御部56は、特性情報設定部61から、設定したアンテナや送信電力強度の情報が供給されると、ステップS23において、方向検出部54を制御し、方向測定器26から入力される方向情報を取得させ、端末1−1の基準方向として設定させ、取得させた方向情報を、空間情報解析部58に供給し、ステップS24に進む。
空間情報解析部58は、ステップS24において、情報取得制御部56からの送信電力強度、アンテナの情報、および端末1−1の方向情報などを、空間情報設定部62により定義された基準空間に反映させ、ステップS25に進む。
ステップS21において、無線通信回路部26により無線通信が開始されており、情報送受信部52は、他の端末1から情報を受信している。端末情報検出部53は、情報送受信部52より情報を入力し、ステップS25において、入力された情報から、その情報を送信してきた端末1−2のID情報(例えば、MAC(Media Access Control Address)アドレス)を取得し、ステップS26に進み、受信強度取得部51を制御し、そのときのRSSI値(ID情報に対応するRSSI値)を、無線通信回路部26から取得させ、取得した端末1−2のID情報と、ID情報に対応するRSSI値を優先度算出部57に供給し、ステップS27に進む。
優先度算出部57は、ステップS27において、端末情報検出部53からのRSSI値を接続優先度として、端末情報検出部53からの端末1−2のID情報および情報取得制御部56からの端末1−1(自己)の方向情報に対応付けて記憶部22の端末情報リストに登録し、ステップS28に進む。このとき、優先度算出部57は、端末1−2のID情報、RSSI値、および対応する端末1−1の方向情報を、空間情報解析部58に供給する。
なお、内部通信処理部23の優先度情報取得部82は記憶部22の端末情報リストを監視しており、端末情報リストに、接続優先度が登録されると、接続優先度が登録されたことを通信制御部81に通知する。これにより、内部通信処理部23においては、記憶部22に登録された接続優先度に応じて、図20を参照して後述する内部通信制御処理が実行される。
空間情報解析部58は、優先度算出部57から端末1−2のID情報、RSSI値、および対応する端末1−1の方向情報が入力されると、各情報が反映された基準空間を参照し、ステップS28において、端末情報推定処理を実行する。この端末情報推定処理を、図17のフローチャートを参照して説明する。
空間情報解析部58は、図17のステップS31において、特性情報設定部61に、無線通信回路部26を制御させ、指向性アンテナ11のビーム方向を、機械的にまたは電気的に全方位掃引させる。これにより、端末情報検出部53は、受信強度取得部51を制御し、無線通信回路部26から、ID情報に対応した全方位のRSSI値を取得させ、優先度算出部57を介して、空間情報解析部58に各端末の全方位のRSSI値を供給し、ステップS32に進む。
空間情報解析部58は、ステップS32において、各情報が反映された基準空間を参照し、供給された各端末の全方位のRSSI値から、各端末における最大RSSI値を求め、求めた最大RSSI値に基づいて、各端末の方向情報を推定し、ステップS33に進む。すなわち、最大RSSI値の方位に、対応する端末がいることが推定されることにより、端末1−1と対応する端末の相対方位が求められる。
空間情報解析部58は、ステップS33において、各情報が反映された基準空間を参照し、最大RSSI値に基づいて、各端末の距離情報を推定し、ステップS34に進む。すなわち、式(1)と式(2)を用いることにより、伝搬距離とRSSI値の相関(図13)が求められ、伝搬距離とRSSI値の相関において、最大RSSI値の伝搬距離を求めることにより、端末1−1と対応する端末の相対距離が求められる。
ステップS34において、空間情報解析部58は、各情報が反映された基準空間を参照し、ステップS32において推定された方位情報、およびステップS33において推定された距離情報から、各端末の位置情報を推定し、ステップS35に進み、ID情報に対応付けて、推定された方位情報、距離情報、および位置情報などの端末情報を、記憶部22の端末情報リストに登録し、端末情報推定処理を終了し、図16のステップS27に戻り、ステップS28に進む。
出力制御部24は、記憶部22の端末情報リストを監視しており、ステップS27において端末情報リストに接続優先度が登録され、ステップS28において推定された情報が登録されると、ステップS29において、各端末の端末情報リストの情報をユーザに通知するための画面データなどを生成し、入出力インタフェース25を介して、画面データに対応する画面を、出力部28を構成するモニタなどに出力させ、端末情報設定処理を終了する。
以上により、モニタには、図15を参照して上述したような端末情報リストの情報(以下、端末情報の通知画面とも称する)が表示される。
これにより、方向測定器14および指向性アンテナ11を内蔵するヘッドセット31が装着(設置)されているユーザaは、モニタに表示される端末情報の通知画面を参照して、例えば、接続したいユーザの方向を振り向くといったようなごく自然な動作を行ったり、または、情報入力部27を介して、端末1−1の送信電力強度やアンテナの情報などを変更することにより、他の端末との接続優先度を容易に設定することが可能である。
さらに、モニタに表示される端末情報の通知画面により、他のユーザが位置する方向を知ることができるので、他のユーザが位置する方向を知らなかったとしても、上述した自然な動作だけで、他の端末との接続優先度を容易に設定することが可能である。
次に、図18のフローチャートを参照して、図16の端末情報設定処理により登録された端末情報リストの端末情報更新処理を説明する。なお、図18のステップS54乃至S57は、図16のステップS26乃至S29と基本的に同様の処理を行うため、その詳細な説明は、適宜省略される。
この端末情報更新処理は、図20を参照して後述する内部通信制御部24による内部通信制御処理と並行で行われる処理であり、情報入力部27から入力されるユーザaの通信終了を指示する操作信号に基づいて、特性情報設定部53が情報取得制御部54に通信の終了を通知し、情報取得制御部54が通信を終了すると判定するまで、繰り返し続けられる処理である。
ユーザaの頭には、端末1−1に接続される方向測定器14および指向性アンテナ11を内蔵するヘッドセット31が装着(設置)されており、ユーザaは、ネットワーク2を介しての、他の端末と相互に音声データの通信を行いながら、モニタに表示される端末情報の通知画面を参照して、例えば、接続したいユーザがいる(または、いるであろうと推定される)方向を振り向くといったようなごく自然な動作を行ったり、その方向へ移動する。
これに対応して、方向検出部51は、設定された端末1−1の基準方向に基づいて、方向測定器26から入力される方向情報から、端末1−1の方向の変化を検出した場合、方向測定器26から入力される方向情報を情報取得制御部56に供給する。
あるいは、例えば、ユーザaは、モニタに表示される端末情報の通知画面を参照して、情報入力部27を介して、端末1−1の送信電力強度やアンテナの情報などを変更する指示を行う。
これに対応して、特性情報設定部52は、情報入力部27を介して入力されるユーザaの操作信号に応じて、端末1−2の送信電力強度やアンテナの設定をした場合、送信電力強度やアンテナの情報を情報取得制御部56に供給する。
または、例えば、通信相手のユーザbは、端末1−1の場合と同様にして、端末1−2のモニタに表示される端末情報の通知画面を参照して、例えば、ユーザbが、接続したいユーザ(端末)の方向を振り向くといったようなごく自然な動作を行ったり、移動したり、端末1−2の情報入力部27を介して、端末1−2の送信電力強度やアンテナの情報などを変更する指示を行う。
これに対応して、端末1−2において、端末1−2の送信電力強度やアンテナの情報が変更され、それらの設定情報が、指向性アンテナ11、および無線通信回路部26を介して、情報送受信部52に受信される。情報送受信部52は、受信した情報から、設定情報を情報取得制御部56に供給する。
情報取得制御部56は、図18のステップS51において、端末1−1や通信相手の端末1−2の方向情報や設定情報に変化があったと判定するまで待機している。情報取得制御部56は、方向検出部51、特性情報設定部52、および情報送受信部52の少なくとも1つから情報が供給されると、ステップS51において、方向情報または設定情報に変化があったと判定し、方向検出部51、特性情報設定部52、および情報送受信部52の少なくとも1つから供給された情報を、空間情報解析部58に供給し、ステップS52に進む。
空間情報解析部58は、ステップS52において、情報取得制御部56から供給された情報(送信電力強度やアンテナの情報、および端末1−1の方向情報など)を、基準空間に反映させ、ステップS53に進む。
端末情報検出部53は、ステップS53において、受信強度取得部51を制御し、各端末のID情報に対応したRSSI値を無線通信回路部26から取得させ、ID情報、および対応するRSSI値を優先度算出部57に供給し、ステップS54に進む。
優先度算出部57は、ステップS54において、端末情報検出部53からのRSSI値を接続優先度として、端末情報検出部53からの端末1−2のID情報および情報取得制御部56からの端末1−1の方向情報に対応付けて登録し、記憶部22の端末情報リストを更新し、ステップS55に進む。このとき、優先度算出部57は、更新した端末1−2のID情報、RSSI値、および対応する端末1−1の方向情報を、空間情報解析部58に供給する。
空間情報解析部58は、優先度算出部57から端末1−2のID情報、RSSI値、および対応する端末1−1の方向情報が入力されると、各情報が反映された基準空間を参照し、ステップS55において、端末情報推定処理を実行する。この端末情報推定処理は、図17を参照して上述した端末情報推定処理と基本的に同様の処理を行うため、その説明は繰り返しになるので、省略するが、ステップS55の端末情報推定処理により、各端末の全方位のRSSI値が取得され、その中から最大RSSI値が求められ、最大RSSI値に基づいて、各端末の方向情報、距離情報、および位置情報などが推定され、記憶部22の端末情報リストが更新される。
出力制御部24は、記憶部22の端末情報リストを監視しており、ステップS54において接続優先度により端末情報リストが更新され、ステップS55において推定された情報により端末情報リストが更新されると、ステップS56において、各端末の端末情報リストの情報をユーザに通知するための画面データなどを生成し、入出力インタフェース25を介して、画面データに対応する画面を、出力部28を構成するモニタなどに出力させ、端末情報設定処理を終了する。
以上により、モニタには、更新された端末情報リストの情報(以下、端末情報の通知画面とも称する)が表示される。
次に、図19のフローチャートを参照して、図16の端末情報設定処理により登録された端末情報リストの端末情報更新処理を説明する。なお、図19のステップS63乃至ステップS65は、図16のステップS27乃至S29と基本的に同様の処理を行うため、その詳細な説明は、適宜省略される。
この端末情報更新処理は、図18の端末情報更新処理の他の例であり、図18のステップS51において、方向情報や設定情報に変化があったと判定されていない場合に行われるものとして説明する。すなわち、この端末情報更新処理は、端末1−1の方向情報や設定情報に変化がなく、通信相手の方向情報や設定情報に変化があった場合に対応する処理である。なお、図18および図19の端末情報更新処理は、並行して行われてもよいし、単独で行われてもよい。
例えば、通信相手のユーザbは、端末1−1の場合と同様にして、端末1−2のモニタに表示される端末情報の通知画面を参照して、例えば、ユーザbが、接続したい端末の方向を振り向くといったようなごく自然な動作を行ったり、移動したり、端末1−2の情報入力部27を介して、端末1−2の送信電力強度やアンテナの情報などを変更する指示を行う。これにより、この端末1−2のRSSI値が変化する。
端末情報検出部53は、図19のステップS61において、所定の時間が経過するまで待機しており、所定の時間が経過したと判定した場合、ステップS62に進み、受信強度取得部51を制御し、各端末のID情報に対応したRSSI値を無線通信回路部26から取得させ、各端末のID情報に対応したRSSI値が変化したか否かを判定する。
ステップS62において、端末情報検出部53は、各端末のID情報に対応したRSSI値が変化したと判定した場合、各端末のID情報に対応したRSSI値を、優先度算出部57に供給し、ステップS63に進む。
優先度算出部57は、ステップS63において、端末情報検出部53からのRSSI値を接続優先度として、端末情報検出部53からの端末1−2のID情報および情報取得制御部56からの端末1−1の方向情報に対応付けて登録し、記憶部22の端末情報リストを更新し、ステップS64に進む。このとき、優先度算出部57は、更新した端末1−2のID情報、RSSI値、および対応する端末1−1の方向情報を、空間情報解析部58に供給する。
空間情報解析部58は、優先度算出部57から端末1−2のID情報、RSSI値、および対応する端末1−1の方向情報が入力されると、各情報が反映された基準空間を参照し、ステップS64において、端末情報推定処理を実行する。この端末情報推定処理は、図17を参照して上述した端末情報推定処理と基本的に同様の処理を行うため、その説明は繰り返しになるので、省略するが、ステップS64の端末情報推定処理により、各端末の全方位のRSSI値が取得され、その中から最大RSSI値が求められ、最大RSSI値に基づいて、各端末の方向情報、距離情報、および位置情報などが推定され、記憶部22の端末情報リストが更新される。
出力制御部24は、記憶部22の端末情報リストを監視しており、ステップS63において接続優先度により端末情報リストが更新され、ステップS64において推定された情報により端末情報リストが更新されると、ステップS65において、各端末の端末情報リストの情報をユーザに通知するための画面データなどを生成し、入出力インタフェース25を介して、画面データに対応する画面を、出力部28を構成するモニタなどに出力させ、端末情報設定処理を終了する。
以上により、モニタには、更新された端末情報リストの情報(以下、端末情報の通知画面とも称する)が表示される。
一方、ステップS62において、各端末のID情報に対応したRSSI値が変化していないと判定された場合、端末情報更新処理は終了され、再度所定の時間が経過した場合に再開される。
以上のように、無線通信により得られるRSSI値を、接続優先度として登録するようにしたので、この接続優先度を用いて、複数の通信相手との通信に、重み付けなどの制御を行うことができ、通信相手の端末数が増えた場合であっても、最適な通信品質を得ることができる。すなわち、接続優先度に基づいて、複数の端末間で通信のバランスを制御することができるので、例えば、複数の端末間で会話を同時に行おうとしても、無秩序に混信することを防ぐことができる。
また、全方位のRSSI値を取得し、その中から求められる最大RSSI値に基づいて、端末1−1から見た、各端末の方向情報、距離情報、または位置情報を推定するようにしたので、ユーザの位置を簡単に把握することができる。すなわち、端末1−1のユーザaは、表示されたこれらの端末情報をもとに、通信を行う(電波を発する)相手の位置を探索することができる。すなわち、端末1−1を簡易の測位測距装置としても利用することが可能である。
さらに、これらの端末情報は、端末の方向情報、設定情報、および、取得されるRSSI値の変化に応じて、逐次更新されるので、この接続優先度を用いて、各端末の状態が変わった場合にも、その状態に応じた通信の制御を行うことができる。
また、ユーザは、振り向くなどの自然かつ簡単な動作を行うだけで、接続優先度を変更させること、すなわち、接続優先度に応じて制御される処理を変更させることができる。
次に、図20のフローチャートを参照して、以上のようにして設定される接続優先度を用いての制御処理の例を説明する。
図20の制御処理は、図16の端末情報設定処理により記憶され、更新される端末情報リストに基づいて実行される端末1−1の内部通信制御処理の例である。
上述した図16のステップS27において、優先度算出部57は、端末情報リストを記憶部22に記憶させる。優先度情報取得部82は、記憶部22の端末情報リストを監視し、端末情報リストが登録されると、通信制御部81に通知する。通信制御部81は、優先度情報取得部82からの通知が入力されるのを待機しており、優先度算出部57からの通知が入力されたと判定した場合、図20の内部通信制御処理を開始する。
通信制御部81は、ステップS81において、データ送信部102−1を制御し、通信相手の端末1(例えば、端末1−2)と、外部通信回線11−2を介して接続させる。
このとき、データ送信部102−1は、外部通信回線11−2を介して、端末1−2に対して、端末のID情報を要求する。端末1−2は、端末1−1からの要求を受信すると、外部通信回線11−2を介して、端末1−1に対して、端末1−2のID情報を送信してくる。
データ受信部101−1は、端末1−2から、ID情報を受信し、通信制御部81に供給する。通信制御部81は、データ受信部101−1から端末1−2のID情報を取得し、ステップS83に進み、優先度情報取得部82を制御し、記憶部22の端末情報リストに、端末1−2のID情報があるか否かを判定し、記憶部22の端末情報リストに、端末1−2のID情報がないと判定された場合、ステップS84に進む。
優先度情報取得部82は、ステップS84において、接続優先度が設定されていない端末1−2に、規定の接続優先度を設定し、ステップS85に進む。なお、接続優先度が設定されていない場合、端末との接続を停止させるようにしてもよく、規定の接続優先度を設定するか、接続を停止させるかの設定は、ユーザaが情報入力部27を操作することなどで変更可能とされる。
ステップS83において、記憶部22の端末情報リストに、端末1−2のID情報があると判定された場合、優先度情報取得部82は、端末1−2に対応する接続優先度を取得し、ステップS84をスキップし、ステップS85に進む。
ステップS85において、通信制御部81は、通信候補となるすべての通信相手と接続されたか否かを判定し、通信候補となるすべての通信相手と接続されていないと判定した場合、ステップS81に戻り、次の通信相手(例えば、端末1−3)と、それ以降の処理を繰り返す。
ステップS85において、通信候補となるすべての通信相手と接続されたと判定された場合、通信制御部81は、ステップS86に進み、各端末1から受信される音声データを処理する音量調整部85に対して、優先度情報取得部82により取得(設定)された接続優先度に応じた音量バランス(重み付け)を設定し、ステップS87に進み、外部通信インタフェース83および音声調整部85を制御し、音声情報調整処理を実行する。この音声情報調整処理を、図21のフローチャートを参照して説明する。
外部通信インタフェース83のデータ受信部101−1は、図21のステップS111において、通信制御部81の制御のもと、端末1−2からの音声データを受信し、受信した音声データを復号部103に供給し、ステップS112に進む。
復号部103は、ステップS112において、データ受信部101−1により受信された音声データ(デジタルデータ)を復号し、復号された音声データ(アナログデータ)を音量調整部105−1に供給し、ステップS113に進む。
出力音量調整部105−1は、ステップS113において、復号部103により復号された、端末1−2からの音声データAb1の音量を、ステップS86において通信制御部81により設定された端末1−2の音量バランス(重み付け)に応じて調整し、混合器86に供給し、ステップS114に進む。
なお、ステップS111乃至S113においては、データ受信部101−1が端末1−2からの音声データAb1を受信し、出力音量調整部105−1が処理する例を説明したが、この処理は、端末1−3からの音声データAc1を受信し、処理するデータ受信部101−2および出力音量調整部105−2などにおいても同様に実行される。
混合器86は、ステップS114において、出力音量調整部105−1、105−2、…からの音量が調整された音声データを混合し、混合した音声データを、入出力インタフェース25を介して、音声出力部91から出力させ、音量バランス調整処理を終了する。そして、処理は、図20のステップS87に戻り、ステップS88に進む。
ステップS88において、記憶部22に記憶されている端末情報リストを監視し、通信が確立されている端末のID情報の接続優先度が変更されたか否かを判定し、接続優先度が変更されたと判定した場合、変更された接続優先度を通信制御部81に供給し、ステップS86に戻り、それ以降の処理を繰り返す。すなわち、このステップS86においては、音量調整部85に対して、変更された接続優先度に応じた音量バランスを設定し、以降の処理を繰り返す。
ステップS88において、接続優先度が変更されていないと判定した場合、ステップS89に進み、情報入力部27から入力されるユーザaの通信終了を指示する操作信号に基づいて、情報取得制御部54が通信を終了するか否かを判定し、情報取得制御部54が通信を終了しないと判定した場合、ステップS87に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
すなわち、この場合、変更されていない接続優先度に応じた音声バランス調整処理が実行される。
ステップS89において、通信制御部81は、情報入力部27から入力されるユーザaの通信終了を指示する操作信号に基づいて、通信を終了すると判定した場合、各端末と接続を停止し、内部通信制御処理を終了する。
また、図22のフローチャートを参照して、図20のステップS87の音量バランス調整処理の例を説明する。すなわち、図22の処理は、図21の音量バランス調整処理の他の例である。
分配器87は、ステップS131において、音声入力部92から入出力インタフェース25を介して入力される、ユーザaの音声に対応する音声データを、入力音量調整部106−1、106−2、…に分配し、ステップS132に進む。
入力音量調整部106−1は、ステップS132において、分配器87からの音声データの音量を、ステップS86において通信制御部81により設定された端末1−2の音量バランス(重み付け)に応じて調整し、端末1−2に対しての音声データAb2として、符号化部104に供給し、ステップS133に進む。
ステップS133において、符号化部104は、音量調整部85により音量が調整された音声データ(アナログデータ)を符号化し、符号化された音声データ(デジタルデータ)をデータ送信部102−1に供給し、ステップS134に進む。
ステップS134において、データ送信部102−1は、通信制御部81の制御のもと、符号化部104により符号化された音声データを、外部通信回線11−2を介して対応する端末1−2に送信する。
なお、ステップS132乃至S134においては、入力音量調整部106−1が端末1−2に対しての音声データAb2を処理し、データ送信部102−1が端末1−2に送信する例を説明したが、この処理は、端末1−3に対しての音声データAc2を処理し、送信する入力音量調整部106−2およびデータ送信部102−2などにおいても同様に実行され、音量バランス調整処理を終了する。そして、処理は、図20のステップS87に戻り、ステップS88に進む。
以上のように、複数の端末との通信を行う際に、求められた各端末の接続優先度に応じて、重み付けをして通信するデータの制御などを行うことにより、複数の端末とであっても、混信してしまうことが抑制され、最適な通信を行うことができる。
また、ユーザが振り向いたり、方向ボタンを操作するなどの簡単な操作で、通信途中においても、接続優先度が変わった場合にも、それに対応した通信の制御を行うことができる。
なお、図21および図22の例においては、複数の通信相手から受信され、出力される音声データ、または入力され、複数の通信相手に送信される音声データ(すなわち、複数の通信相手と送受信される音声データ)の音量調整の制御の例を説明したが、音声データに限らず、この接続優先度は、例えば、複数の通信相手と送受信される映像データの透明度の制御や、映像データを子画面表示する場合の子画面の大きさの制御、または、映像データの解像度の制御などの制御にも用いることができる。
また、上記説明においては、端末情報リストのうち、接続優先度を用いた場合を説明したが、端末情報リストの情報は、どの情報を用いるようにしてもよい。例えば、推定距離や、推定方向情報などを用いて、上述した内部通信制御処理を行うようにすることも可能である。
さらに、上記処理の説明においては、ユーザからの通信開始の指示に応じて、図16の端末情報設定処理が開始され、端末情報設定処理により端末情報リストが記憶されたことに応じて、図20の内部通信制御処理が開始されるように説明したが、それらの処理は、ユーザからの開始指示に応じて、別途開始するようにしてもよい。すなわち、ユーザからの端末情報設定開始の指示に応じて、図16の端末情報設定処理が開始され、その後、例えば、モニタに表示される端末情報リストを確認したユーザからの通信開始の指示に応じて、図20の内部通信制御処理が開始されるようにしてもよい。
以上のように、ユーザの方向と指向性アンテナのビーム方向を連動させるようにしたので、ユーザの方向に連動して変動するRSSI値を、複数の端末と通信を行う際の接続優先度とし、複数の端末の接続優先度を比較することにより、通信を行う複数の端末の中に、優先順位を付与することができ、コミュニケーション中の時々刻々と変化する状況に対して逐次最適な制御を簡単に行うことができる。
すなわち、接続優先度に基づいて、例えば、音声データの音量バランスを調整したり、画像データの解像度などを調整したりする、複数の端末間で通信のバランスの制御ができるので、複数端末間においても、無秩序な混信などが抑制され、快適な通信を行うことができる。
また、指向性アンテナをユーザの顔の方向と連動させるようにしたので、接続優先度であるRSSI値が、ユーザの方向に連動して変動する。これにより、例えば、ユーザが、通信を強く要望するユーザの方向を振り向くといったようなごく自然な動作によって簡単に各端末の接続優先度を調整することができる。
以上の効果は、通常、人間同士がカクテルパーティなどの特定空間内で会話する場合の効果と類似している。すなわち、人間の正面方向に指向性を持つ口(送信アンテナ)と耳(受信アンテナ)を用いて、お互いを正面方向に見て極力近づくなどの自然な動作により、特定のユーザ間で優先的な会話を行うことができる。
さらに、指向性アンテナのビーム方向を全方位掃引させることにより、最大となるRSSI値を取得するようにしたので、取得された最大となるRSSI値に基づいて、各端末の方向情報および距離情報を推定することができる。これにより、相手の位置を探索することができるので、本発明を適用した装置を簡易の測位測距装置としても利用することが可能である。
なお、上記説明においては、説明の便宜上、アンテナによる無線通信とネットワーク2を介しての通信の2つの通信路に分けて説明したため、端末1においては、機能別に、情報送受信部52と外部通信インタフェース83と分けて構成するようにしたが、アンテナによる無線通信とネットワーク2を介しての通信を分ける必要がない場合)は、1つの通信部として構成するようにしてもよい。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。この場合、例えば、図1の端末1−1乃至1−3は、図23に示されるようなパーソナルコンピュータ401により構成される。
図23において、CPU(Central Processing Unit)411は、ROM(Read Only Memory) 412に記憶されているプログラム、または、記憶部418からRAM(Random Access Memory)413にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM413にはまた、CPU411が各種の処理を実行する上において必要なデータなどが適宜記憶される。
CPU411、ROM412、およびRAM413は、バス414を介して相互に接続されている。このバス414にはまた、入出力インタフェース415も接続されている。
入出力インタフェース415には、キーボード、マウスなどよりなる入力部416、CRT(Cathode Ray Tube),LCD(Liquid Crystal Display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部417、ハードディスクなどより構成される記憶部418、モデム、ターミナルアダプタなどより構成される通信部419が接続されている。通信部419は、無線などのネットワークを介しての通信処理を行う。
入出力インタフェース415にはまた、必要に応じてドライブ420が接続され、磁気ディスク421、光ディスク422、光磁気ディスク423、或いは半導体メモリ424などが適宜装着され、それから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部418にインストールされる。
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば、汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
なお、このプログラムは、全体として上述した一連の処理を実行できれば、その形態は特に限定されない。例えば、上述した各ブロックのそれぞれに対応するモジュールのそれぞれからなるモジュール構成とされてもよいし、幾つかのブロックの機能の一部または全部が組み合わされたモジュール、若しくは、ブロックの機能が分割されたモジュールからなるモジュール構成とされてもよい。或いは、単に1つのアルゴリズムを有するプログラムでもよい。
このプログラムが記録される記録媒体は、図23に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク421(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク422(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク423(MD(Mini-Disk)(商標)を含む)、もしくは半導体メモリ424などよりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM412や、記憶部418に含まれるハードディスクなどで構成される。
ここで、本明細書において、コンピュータに各種の処理を行わせるためのプログラムを記述する処理ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
また、プログラムは、1のコンピュータにより処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであってもよい。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであってもよい。
なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
1−1乃至1−3 端末,2 ネットワーク,11−1,11−3 指向性アンテナ,12−1,12−2 無指向性アンテナ,14−1,14−3 方位測定器,21 端末情報解析部,22 記憶部,23 内部通信処理部,24 出力制御部,25 入出力インタフェース,26 無線通信回路部,27 情報入力部,28 出力部,31 ヘッドセット,51 受信強度取得部,52 情報送受信部,53 端末情報検出部,54 方向検出部,55 情報設定部,56 情報取得制御部,57 優先度算出部,58 空間情報解析部,61特性情報設定部,62 空間情報設定部,81 通信制御部,82 優先度情報取得部,83 外部通信インタフェース,84 コーディック部,85 音声調整部,86 混合器,87 分配器,91 音声出力部,92 音声入力部