JP4498498B2 - 両面金属張積層板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマー(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーと略称することがある)からなるフィルム(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーフィルムと略称することがある)を使用した両面金属張積層板を連続して製造する方法および該方法により得られる両面金属張積層板に関する。本発明により得られる両面金属張積層板は、その電気絶縁材として用いる熱可塑性液晶ポリマーフィルムに由来した優れた寸法安定性、低吸湿性、耐熱性、耐薬品性および電気的性質を有しており、フレキシブル配線板や半導体実装用回路基板材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱可塑性液晶ポリマーフィルムを用いてプリント配線板等に使用される金属張積層板を製造する場合、真空熱プレス装置を使用して、その2枚の熱平盤の間に所定の大きさに裁断された熱可塑性液晶ポリマーフィルムと金属箔を重ねて置き、真空状態で加熱圧着している(バッチ式真空熱プレス積層法)。しかしながら、真空熱プレス積層法は枚葉式であるため、材料を重ねて置く時間、1回のプレス時間、プレス後の材料取り出し時間などが長くなり、金属張積層板1枚当たりの生産速度が遅くなって、コストが高く付く。また、生産速度を高めるために、同時に多数枚を製造できるように設備を改善すると、設備が大型化して設備費が高くなり好ましくない。したがって、この問題を解決し、低コストで金属張積層板を提供できる連続的な製造方法の開発が求められている。
【0003】
そこで、金属張積層板を連続的に製造する方法が提案されてきた。例えば、(1)熱可塑性液晶ポリマーフィルムと金属箔とを重ね合せた状態で最初に、加熱されたロールと接触させ、次いでゴム製ロールまたはゴム被覆ロールにより加圧する方法(特開平5−42603号公報参照)、(2)2枚の金属板を走行させながら、金属板加熱用ロールに接触させて加熱し、該加熱された金属板にフィルム状樹脂を仮接着した後、2枚の金属板を非接触加熱手段により加熱して合わせながら加熱接着用ロール間に導入し、通過させて加熱接着する方法(特許第2561958号公報参照)などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記(1)の方法では、熱可塑性液晶ポリマーフィルムと金属箔との仮積層体が最初に加熱されたロールに接触した際に、急激な金属箔の熱膨張により歪みが生じて皺が発生し、その外観が悪化した状態でゴムロールで加圧されると、その皺が積層体に残ってしまうという欠点がある。また、上記(2)の方法では、加熱された金属板にフィルム状樹脂を仮接着する段階で、幅方向にフィルム状樹脂が自己収縮するために、仮接着後のフィルム状樹脂積層幅に変動が発生する。加えて、2枚の金属板を非接触加熱手段により加熱しているため、湾曲して端部に皺が発生するという欠点がある。
【0005】
しかして、本発明の目的は、外観が良好で、十分な接着力を有し、かつ寸法安定性が良好な両面金属張積層板を連続して低コストで製造し得る方法を提供することにある。
また本発明の他の目的は、品質の良好な両面金属張積層板を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、加熱ロール間圧着により両面金属張積層板を製造するに際し、2枚の金属シートをそれぞれ予熱した後に、加熱ロールに接触させ、該加熱ロール上を搬送させて無緊張状態にし、次いでそれらの間に熱可塑性液晶ポリマーフィルムを挟んで加熱ロール間に搬送して圧着することにより、外観が良好で、十分な接着力を有し、かつ寸法安定性が良好な両面金属張積層板が連続して得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの両面に金属シートが接合されてなる両面金属張積層板を加熱ロール間圧着により製造する方法において、(1)2枚の金属シートが加熱ロールに接触する前にそれぞれ予熱される第1工程、(2)第1工程を経た2枚の100〜250℃の温度に予熱された金属シートがそれぞれ1対をなす別個の加熱ロールに、1対の加熱ロールの接点を基準にして70〜200°の角度θで接触して、該加熱ロール上を搬送されながら、熱膨張して無緊張状態になる第2工程、および(3)第2工程により無緊張状態となり、1対をなす別個の加熱ロール上をそれぞれ搬送される2枚の金属シートとその間に搬送される上記フィルムとが、加熱ロール間で圧着されて一体化し、得られた積層板が加熱ロール間から搬出される第3工程を行うことを特徴とする両面金属張積層板の製造方法である。また、本発明は、熱可塑性液晶ポリマーフィルムが金属シート間に挟まれてなり、上記の製造方法により製造される両面金属張積層板である。
【0008】
本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーフィルムの原料は、特に限定されるものではないが、その具体例として、以下に例示する(1)から(4)に分類される化合物およびその誘導体から導かれる公知のサーモトロピック液晶ポリエステルおよびサーモトロピック液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。但し、光学的に異方性の溶融相を形成し得るポリマーを得るためには、各々の原料化合物の組み合わせには適当な範囲があることは言うまでもない。
【0009】
(1)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化合物(代表例は表1参照)
【0010】
【表1】
【0011】
(2)芳香族または脂肪族ジカルボン酸(代表例は表2参照)
【0012】
【表2】
【0013】
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表例は表3参照)
【0014】
【表3】
【0015】
(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参照)
【0016】
【表4】
【0017】
これらの原料化合物から得られる熱可塑性液晶ポリマーの代表例として表5に示す構造単位を有する共重合体(a)〜(e)を挙げることができる。
【0018】
【表5】
【0019】
また、熱可塑性液晶ポリマーとしては、フィルムの所望の耐熱性および加工性を得る目的においては、約200〜約400℃の範囲内、とりわけ約250〜約350℃の範囲内に融点を有するものが好ましいが、フィルム製造の観点からは、比較的低い融点を有するものが好ましい。
【0020】
本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、熱可塑性液晶ポリマーを押出成形して得られる。任意の押出成形法が適用できるが、周知のTダイ法、ラミネート体延伸法、インフレーション法などが工業的に有利である。特にインフレーション法やラミネート体延伸法では、フィルムの機械軸方向(以下、MD方向と略す)だけでなく、これと直交する方向(以下、TD方向と略す)にも応力が加えられるため、MD方向とTD方向における機械的性質および熱的性質のバランスのとれたフィルムが得られるので、より好適に用いられる。
【0021】
本発明に使用される金属シートの材質としては、電気的接続に使用されるような金属などから選択され、例えば金、銀、銅、ニッケル、アルミニウムなどが挙げられる。これらの中でも特に銅が好ましい。銅としては、圧延法や電気分解法によって製造されるいずれのものでも使用することができるが、電気分解法によって製造される表面粗さの大きいものが好ましい。金属シートには、銅箔に通常施される酸洗浄などの化学表面処理などが本発明が奏する効果が損なわれない範囲内で施されていてもよい。金属シートの厚さとしては、7〜100μmの範囲が好ましく、9〜75μmの範囲内がより好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の両面金属張積層板の製造方法を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の両面金属張積層板の製造方法を模式的に示した図であり、2枚の金属シート2、2が加熱ロール3、3に接触する前にそれぞれ赤外線ヒーターなどの非接触加熱手段4、4により予熱され、次いで1対をなす別個の加熱ロール3、3に接触して、該加熱ロール上を搬送されながら、熱膨張して無緊張状態になり、かかる2枚の金属シート2、2とその間に搬送される熱可塑性液晶ポリマーフィルム1とが、加熱ロール3、3間で圧着されて一体化し、得られた両面金属張積層板5が加熱ロール間から搬出される過程を示す。
【0023】
上記の加熱ロールは、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点より50℃低い温度から該融点より5℃低い温度までの範囲内の表面温度を有しているのが好ましい。ロールとしては、例えば金属ロール、ゴムロール、ゴムやポリイミドなどの樹脂が表面にコーティングされた金属ロールなどが使用される。ロールの直径は35〜45cmの範囲が好ましく、1対のロールの直径はほぼ同じであるのがより好ましい。
【0024】
上記の第1工程は、金属シートを予熱することによって、金属シートが加熱ロールに接触する際に急激に膨張することを緩和する工程である。かかる工程により、金属シートは加熱ロールにより急激な熱膨張を受けることがなく、歪みが発生せず、また巻出部の張力を増加させても、金属シートの外観に変化が生じることはない。予熱操作は、赤外線ヒーターなどの非接触加熱手段により行うのが好ましい。予熱温度は、金属シートの材質、熱膨張係数や厚さを考慮して設定する必要があり、例えば、電気分解法により製造される厚さ18μm、幅400mmの銅箔を使用する場合には、150〜250℃程度の温度が好ましい。予熱工程の雰囲気は使用する金属シートの材質により選択すればよく、空気中の酸素により酸化され易い材質の場合には窒素などの不活性雰囲気が好ましい。
【0025】
第2工程は、金属シートが加熱ロールに接触して、加熱ロール上で無緊張状態になる工程である。金属シートは、加熱ロール上で自らの熱膨張により寸法が増大し、十分に熱膨張が緩和されて、加熱ロールとの摩擦により進行方向への張力が伝わらなくなり、無緊張状態となる。金属シートが加熱ロールと接触する角度θは、1対の加熱ロールの接点を基準にして70〜200°の範囲が必要であり、170〜200°の範囲が好ましい。第1工程および第2工程により、予熱された金属シートの温度は、100〜250℃の範囲になるのが必要であり、100〜200℃の範囲になるのが好ましい。本発明においては、予熱温度、加熱ロールの直径とその回転速度、金属シートの加熱ロールとの接触角度θなどを調整することにより、加熱ロール間での圧着に至るまでに、金属シートを加熱ロール上で無緊張状態とする。
【0026】
金属シートを予熱する第1工程がない場合には、金属シートが加熱ロールに接触した瞬間に急激に熱膨張して歪みを生じる。急激な熱膨張による歪みを防ぐために、巻出部の張力を増加させる場合にはスジ状の歪みが生じ、張力を減少させる場合にはスジ状の歪みは解消されるが、蛇行現象が発生し、長尺の両面金属張積層板を製造することができなくなる。
【0027】
第3工程は、加熱ロール上で無緊張状態となった2枚の金属シートとその間に挟まれる熱可塑性液晶ポリマーフィルムとが、加熱ロール間で圧着される工程である。圧着温度は上記の加熱ロールの表面温度に等しい。圧着温度が熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点よりも50℃を超えて低い温度である場合には、熱可塑性液晶ポリマーフィルムと金属シートとが全く接着しないか、または接着したとしても両者の積層体は剥離し易いものとなり実用に耐えない。また、圧着温度が熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点よりも5℃低い温度を超えて高い場合には、圧着時において該フィルムを構成する熱可塑性液晶ポリマーの流れや金属シートからのはみ出しが生じる。上記の無緊張状態となった2枚の金属シートは加熱ロール間での圧着時に寸法変化は生じず、熱可塑性液晶ポリマーフィルムへの影響はなく、該フィルムの性能は維持される。
【0028】
また、第3工程において加熱ロール間で熱可塑性液晶ポリマーフィルムおよび金属シートに加えられる圧力は、加圧部位で実質的に変形が生じないロール同士の組み合わせである場合には、線圧換算で5Kg/cm以上であることが十分な接着力を発現させる上で好ましい。加熱ロールが表面にゴムなどのコーティング層を有する場合には、コーティング層の材質、加熱ロールに加える力などにより、加圧時に該コーティング層が変形するので、加熱ロールによって熱可塑性液晶ポリマーフィルムおよび金属シートに加えられる圧力は、面圧換算において20Kg/cm2以上であることが好ましい。かかる場合には、十分な接着力を斑の発生を抑制して発現させることができる。圧力の上限は特に限定されるものではないが、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの加圧時の流れや金属シートからのはみ出しが無い状態で積層体の接着力を十分に発現させるには、線圧換算で400Kg/cmを越えないか、または上記面圧換算で200Kg/cm2を越えないことが望ましい。加熱ロールの表面温度が低い温度領域にある場合には、上記圧力を越えても熱可塑性液晶ポリマーフィルムの流れや金属シートのはみ出しがなくなるのはいうまでもない。
【0029】
なお、加熱ロールの線圧とは、加熱ロールに付与した力(圧着荷重)を加熱ロールの有効幅で除した値である。また、上記の面圧とは、圧着時に加熱ロールの変形により形成される加圧面の面積で圧着荷重を除した値である。
【0030】
本発明により、外観が良好で、接着力および寸法安定性に優れる両面金属張積層板を得るためには、熱可塑性液晶ポリマーフィルムと金属シートとを、該フィルムの融点より50℃低い温度から該融点より5℃低い温度までの範囲内の温度でロール間を通過させて圧着する際に、加熱ロールの回転速度を、その外周の線速度に換算して30m/分以下とすることが好ましく、第2工程での金属シートへの熱伝達を容易にするためには20m/分以下とすることがより好ましい。加熱ロールの回転速度の下限は特に限定されるものではないが、回転速度が低すぎると生産効率の低下を招くので、工業的には0.1m/分より低くしないことが望ましい。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら制限されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点、両面金属張積層板の接着強度、寸法安定性および外観の測定または評価は次のようにして行った。
【0032】
(1)融点
示差走査熱量計を用いて、フィルムの熱挙動を観察して得た。すなわち、供試フィルムを20℃/分の速度で昇温して完全に溶融させた後、溶融物を50℃/分の速度で50℃まで急冷し、再び20℃/分の速度で昇温した時に現れる吸熱ピークの位置を、フィルムの融点として記録した。
【0033】
(2)接着強度
両面金属張積層板から1.0cm幅の剥離試験片を作成し、そのフィルム層を両面接着テープで平板に固定し、JIS C 5016に準じて、180°法により、金属シートを50mm/分の速度で剥離したときの強度を測定した。
【0034】
(3)寸法安定性
寸法安定性は、IPC−TM−650 2.2.4に準じて測定した。
【0035】
(4)外観
両面金属張積層板を目視により観察し、長さ200m以上において皺、スジ、変形が観察されないものを○、長さ1m当たり1個未満の皺、スジ、変形が観察されたものを△、長さ1m当たり1個以上の皺、スジ、変形、未着部分が観察されたものを×として評価した。
【0036】
参考例1
p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共重合物で、融点が280℃である熱可塑性液晶ポリマーを吐出量20Kg/時で溶融押出し、横延伸倍率4.77倍、縦延伸倍率2.09倍の条件でインフレーション製膜した。平均膜厚50μm、膜厚分布±7%の膜厚分布の小さい熱可塑性液晶ポリマーフィルムを得た。
【0037】
実施例1
参考例1で得られた熱可塑性液晶ポリマーフィルムと18μm厚みの電解銅箔(表面粗度7μm)とを図1に示すように配置した。すなわち、銅箔2、2を直径40cmの金属製の加熱ロール3、3に接触させるまでに遠赤外線ヒーター4、4により予熱し、加熱ロール3、3へ2分の1周接触(接触角度180°)となるように沿わせ、また加熱ロール3、3上で無緊張状態となった銅箔2、2間に熱可塑性液晶ポリマーフィルム1を搬送し、加熱ロール3、3間で圧着して、両面金属張積層板5を製造した。遠赤外線ヒーター4、4による予熱温度を170℃に、加熱ロールの表面温度を260℃に設定した。加熱ロール間で熱可塑性液晶ポリマーフィルム1および銅箔2、2に加えられる圧力は線圧換算で240Kg/cmであり、加熱ロールの外周の線速度は1m/分であった。得られた両面金属張積層板の接着強度は0.8Kg/cm以上あり、十分であった。他の評価結果を表6に示す。
【0038】
実施例2
参考例1で得られた熱可塑性液晶ポリマーフィルムと10μm厚みの圧延銅箔(表面粗度0.2μm)とを図1に示すように配置した。すなわち、銅箔2、2を直径40cmの金属製の加熱ロール3、3に接触させるまでに遠赤外線ヒーター4、4により予熱し、加熱ロール3、3へ4分の1周接触(接触角度90°)となるように沿わせ、また加熱ロール3、3上で無緊張状態となった銅箔2、2間に熱可塑性液晶ポリマーフィルム1を搬送し、加熱ロール3、3間で圧着して、両面金属張積層板5を製造した。遠赤外線ヒーター4、4による予熱温度を170℃に、加熱ロールの表面温度を260℃に設定した。加熱ロール間で熱可塑性液晶ポリマーフィルム1および銅箔2、2に加えられる圧力は線圧換算で240Kg/cmであり、加熱ロールの外周の線速度は1m/分であった。得られた両面金属張積層板の接着強度は0.8Kg/cm以上あり、十分であった。他の評価結果を表6に示す。
【0039】
実施例3
参考例1で得られた熱可塑性液晶ポリマーフィルムと12μm厚みの電解銅箔(表面粗度5μm)とを図1に示すように配置した。すなわち、銅箔2、2を直径40cmの金属製の加熱ロール3、3に接触させるまでに遠赤外線ヒーター4、4により予熱し、加熱ロール3、3へ2分の1周接触(接触角度180°)となるように沿わせ、また加熱ロール3、3上で無緊張状態となった銅箔2、2間に熱可塑性液晶ポリマーフィルム1を搬送し、加熱ロール3、3間で圧着して、両面金属張積層板5を製造した。遠赤外線ヒーター4、4による予熱温度を200℃に、加熱ロールの表面温度を275℃に設定した。加熱ロール間で熱可塑性液晶ポリマーフィルム1および銅箔2、2に加えられる圧力は線圧換算で80Kg/cmであり、加熱ロールの外周の線速度は5m/分であった。得られた両面金属張積層板の接着強度は0.8Kg/cm以上あり、十分であった。他の評価結果を表6に示す。
【0040】
比較例1
図2は、両面金属張積層板に関する本発明とは相違する他の製造方法(予熱工程なし)を模式的に示した図であり、熱可塑性液晶ポリマーフィルム1を金属シート2、2間に挟んで仮接合させた後に、直径40cmの金属製の加熱ロ−ル3、3間に導入して圧着し、両面金属張積層板5とする過程を示す。
【0041】
参考例1で得られた熱可塑性液晶ポリマーフィルムと18μm厚みの電解銅箔(表面粗度7μm)とを図2に示すように配置した。すなわち、熱可塑性液晶ポリマーフィルム1を銅箔2、2間に挟んで仮接合させた後に、直径40cmの金属製の加熱ロ−ル3、3間に導入して圧着し、両面金属張積層板5を製造した。加熱ロール3、3の表面温度は260℃になるように設定した。加熱ロール間で熱可塑性液晶ポリマーフィルムおよび銅箔に加えられる圧力は線圧換算で240Kg/cm、加熱ロールの外周の線速度は1m/分であった。
得られた両面金属張積層板の接着強度は0.6Kg/cm未満であり、不十分であった。また、片面金属張積層板にはしわ、スジ、変形および未着部分が多数観察された。他の評価結果を表6に示す。
【0042】
比較例2
参考例1で得られた熱可塑性液晶ポリマーフィルムと18μm厚みの電解銅箔(表面粗度7μm)とを図1に示すように配置したが、遠赤外線ヒーター4、4による予熱操作を省略した。すなわち、銅箔2、2を直径40cmの金属製の加熱ロール3、3へ4分の1周接触(接触角度90°)となるように沿わせ、銅箔2、2間に熱可塑性液晶ポリマーフィルム1を搬送し、加熱ロール3、3間で圧着して、両面金属張積層板5を製造した。加熱ロールの表面温度を260℃に設定した。加熱ロール間で熱可塑性液晶ポリマーフィルム1および銅箔2、2に加えられる圧力は線圧換算で240Kg/cm、加熱ロールの外周の線速度は1m/分であった。
得られた両面金属張積層板の接着強度は0.8Kg/cm以上あり、十分であったが、片面金属張積層板にはしわ、スジ、変形および未着部分が観察された。他の評価結果を表6に示す。
【0043】
【表6】
【0044】
【発明の効果】
本発明により、加熱圧着部で金属シートの熱膨張による皺発生がなく、外観が良好で、十分な接着力を有し、かつ寸法安定性が良好な両面金属張積層板が連続的に製造される。また、本発明により上記の品質の良好な両面金属張積層板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の両面金属張積層板の製造方法を模式的に示す図である。
【図2】両面金属張積層板に関する本発明とは相違する他の製造方法を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…熱可塑性液晶ポリマーフィルム、2…金属シート、3…加熱ロール、4…非接触加熱手段、5…両面金属張積層板。
Claims (1)
- 光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマーからなるフィルムの両面に金属シートが接合されてなる両面金属張積層板を加熱ロール間圧着により製造する方法において、(1)2枚の金属シートが加熱ロールに接触する前にそれぞれ予熱される第1工程、(2)第1工程を経た2枚の100〜250℃の温度に予熱された金属シートがそれぞれ1対をなす別個の加熱ロールに、1対の加熱ロールの接点を基準にして70〜200°の角度θで接触して、該加熱ロール上を搬送されながら、熱膨張して無緊張状態になる第2工程、および(3)第2工程により無緊張状態となり、1対をなす別個の加熱ロール上をそれぞれ搬送される2枚の金属シートとその間に搬送される上記フィルムとが、加熱ロール間で圧着されて一体化し、得られた積層板が加熱ロール間から搬送される第3工程を行うことを特徴とする両面金属張積層板の製造方法。
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