JP4495920B2 - セントラル換気設備構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の階を有する建物内の換気をするためのセントラル換気設備構造に関する。
【0002】
【背景技術】
建物内部の空調におけるエネルギー損失を少なくするために、建物内外の空気の出入りを遮断するという理由から、あるいは、建物外から建物内への遮音性の向上という理由から、近年の建物は高気密・高断熱化傾向にある。このような高気密・高断熱建物は、冷暖房効率および遮音性の向上が図られる反面、建物内で発生する汚染空気が滞留し、建物内環境の悪化を招いてきた。また、建物内外の空気の流れを遮断することは、湿気を含んだ空気による結露を生じさせ、木材等の建材の腐朽を促進させてきた。このような事情から、建物外部から外気を取込み、建物内部の空気と交換する換気設備の重要性が叫ばれてきた。
【0003】
このような換気設備として、セントラル換気設備が利用されつつある。これは、換気ユニットから複数の建物内空間と建物外部とを連通するように配管し、建物外部から外気を導入して建物内部に供給し、かつ、建物内部の空気を建物外部に排気して換気をするものである。このようなセントラル換気設備の換気ユニットは、複数の階を備える建物においては、上階または下階の天井懐に設けるのが一般的である。(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
また、換気設備として、下屋の小屋裏に換気扇を設け、その小屋裏の換気を行って湿度調節をし、これにより結露等による木材等の住宅建材の腐朽を防止するという技術がある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−331277号公報(第2項、図1)
【特許文献2】
特開2002−22236号公報(第3項、図1)
【特許文献3】
実願昭60−10575号(実開昭61−127337号)のマイクロフィルム(図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような特許文献1および特許文献2のセントラル換気設備では、換気ユニットを上階または下階の天井懐に設けるので、高さの低い天井内部でのセントラル換気設備設置の施工が煩雑となり、施工費用の増大を招くという課題がある。また、既に建てられた建物に対しては、建物内部への配管作業が複雑となる。既に建てられた建物への設置は、そもそもセントラル換気設備を設置することを考慮されていない天井懐に換気ユニットを設置することとなる。従って、セントラル換気設備の既建造物への設置は困難であるという課題がある。
【0007】
また、特許文献3のように、小屋裏に換気扇を設けて換気するという換気設備は、セントラル換気として必要な建物の内部居住空間全体の換気を意図するものではない。
【0008】
ここで、下屋を有する複数階の建物があり、この建物において、合理的に設置できるセントラル換気設備の構造が望まれている。
【0009】
本発明の目的は、下屋を備えた建物において、設置作業を容易に行うことができるセントラル換気設備構造を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のセントラル換気設備構造は、上階部6および下階部5を有する建物1の居住空間を換気するために、前記建物内と外部との間を連通した配管と、前記配管に設けられるとともに外部の空気を前記建物内に取り込み、前記建物内の空気を前記建物外に排出する換気ユニット41とを備えたセントラル換気設備構造であって、前記建物は、前記下階部の上方に位置し、かつ、前記上階部に隣接する下屋3を備え、前記換気ユニットは、前記下屋の小屋裏31に設けられ、前記配管は、一端が前記換気ユニットに接続され、他端が前記建物外に開口し、前記換気ユニットにより吸引される前記外部の空気が内部を流通する外気吸入管42と、一端が前記換気ユニットに接続され、当該換気ユニットから略水平方向に延出して、他端が前記上階部に開口し、当該換気ユニットにより吸引された前記外部の空気を前記上階部に供給する外気供給管43と、一端が前記換気ユニットの下部に接続され、当該換気ユニットから垂下して、他端が前記下階部に開口し、当該換気ユニットにより吸引される前記建物内の空気が内部を流通する内気吸入管44と、一端が前記換気ユニットに接続され、他端が前記建物外に開口し、当該換気ユニットにより吸引された前記建物内の空気を前記建物外に排出する内気排出管45とを有することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、本来用途の無い下屋の小屋裏に換気ユニットを設置するので、小屋裏の有効活用ができ、建物内に存在するデッドスペースをなくすことができる。
また、天井および床下よりスペースの広い小屋裏に換気ユニットを設けるので、設置の施工を容易にすることができるだけでなく、既に建てられた建物に対してもセントラル換気設備の設置が可能である。
【0012】
換気ユニットを下屋の小屋裏に設け、外気吸入管と、小屋裏に隣接した上階部に対して、建物外部から取り込んだ外気を供給するための外気供給管と、建物内を流通した流通空気を取り込むための内気吸入管と、内気排出管とを設置し、それらを換気ユニットに接続するだけで、設置工事を終えることができる。また、上階の天井懐にセントラル換気設備の換気ユニットを設けた場合に比べ、内気吸入管などの配管の管長が短くなることから、下階部からの建物内の流通空気を吸入する換気ユニットの力を抑えることができる。
【0013】
また、前記配管は、一端が前記換気ユニットに接続され、当該換気ユニットから略水平方向に延出して、他端が前記上階部に開口し、当該換気ユニットにより吸引された前記外部の空気を前記上階部に供給する外気供給管43を備える。
この発明によれば、上階の建物内部に開口した外気供給口へと外気を導く配管を上下方向に曲折せずに設置できるので、配管作業を容易にできるという効果がある。
【0014】
本発明では、前記建物内の空気を吸入する内気吸入口44Aは、前記換気ユニットに一つ設けられ、前記内気吸入口は前記下階部5の天井52に設けられていることが好ましい。
この発明によれば、内気吸入口は一つであるので、外気供給口から供給された空気が建物内を流通し、内気吸入口へ導かれる空気の流れが互いに干渉しないので、換気効率を向上することができる。また、外気供給口から上階部内部に導入された空気は、下階部に設けられた内気吸入口へと導かれ、建物内に設けられた階段等を利用して上下階を流通することとなるので、換気効率が向上する。
【0015】
本発明では、前記外気吸入管および前記内気排出管は、前記下屋の軒下32に開口していることが好ましい。
この発明によれば、建物内のデッドスペースであった下屋の軒下を有効活用できるだけでなく、外気吸入口および内気排出口を目立たなくすることができるので、建物の外観が損なわれることを防ぐことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2には、本発明の第一実施形態におけるセントラル換気設備構造が示されており、図3には第一実施形態におけるセントラル換気設備構造の要部が示されている。以下、第一実施形態におけるセントラル換気設備構造を説明する。
【0019】
図1〜図3において、建物1は、内外の空気の流れを遮断し、空調におけるエネルギー損失を少なくするために、気密性および断熱性を高めた高気密・高断熱住宅である。
建物1は、基礎2上に設けられた下階部である一階部5と、上階部である二階部6と、一階部5と二階部6とを接続する階段7と、屋根8と、一階部5と水平方向に隣り合った下屋3とを備えている。
一階部5には、一階居室51、一階天井52、および、一階天井懐53が設けられている。二階部6には、二階居室61が二室並んで設けられている。また、下屋3の上には小屋裏31および軒下32が設けられている。この小屋裏31には、小屋裏31と二階部6とに挟まれた側壁62近傍に、換気装置4が設けられている。なお、第一実施形態では、二階居室61は、それぞれ小屋裏31と隣接している。
【0020】
換気装置4は、建物1の外部から外気を吸入し、小屋裏31に隣接した二階居室61に取り込んだ外気を供給し、一階居室51から建物1内を流通した空気を吸入し、建物1外部に排気する構成のセントラル換気装置である。換気装置4は、建物1内外の換気を行う換気ユニット41と、建物1内に外気を供給する給気系の配管および建物1外に建物1内の流通空気を排気する排気系の配管とを備えている。
【0021】
換気ユニット41には、建物1外部から取り入れる空気、および、建物1内から建物1外部に排気される空気を互いに熱交換するための図示しない全熱交換機が設けられている。この全熱交換機を備えることによって、例えば、夏季であれば温度と湿度を下げ、冬季であれば両者を上げることができるようになっている。また、換気ユニット41には、換気を行うための図示しないファンと防塵フィルタが設けられている。これらのファンは、給気系および排気系の配管42〜45に応じて設けられており、防塵フィルタは、これら配管の換気ユニット41側に設けられている。なお、換気ユニット41による建物1内外への外気の供給・排出量は、建物1の住人等が当該風を感じることがほとんどない程度の快適な流量としている。
換気ユニット41は、図1〜3に示すように、側壁62近傍で、二つ設けられた二階居室61の中間に位置するように配置されている。
【0022】
給気系の配管は、建物1外部から外気を取り込むための外気吸入管42と、取込まれた外気を建物1内に供給するための外気供給管43とから構成される。
【0023】
外気吸入管42は、下屋3の軒下32に開口した外気吸入口42Aを介して、建物1外部と換気ユニット41とを連通しており、外気吸入口42Aから取り込んだ空気を換気ユニット41に導くものである。外気吸入口42Aには、その開口部分に図示しないガラリが設けられており、外気を取り込む際に、小動物や異物等が侵入しないようになっている。
この構成から、換気ユニット41内に設けられたファンにより、建物1外の空気は、外気吸入口42Aを介して外気吸入管42を経て吸入される。
【0024】
外気供給管43は、換気ユニット41に二本接続されており、それぞれの外気供給管43は、換気ユニット41から略水平方向に延出している。外気供給管43の一端は、小屋裏31に隣接したそれぞれ別の二階居室61に開口し、外気供給口43Aを形成している。これにより、それぞれの外気供給口43Aは、側壁62の二階居室61側下部に開口している。これらの外気供給口43Aは、異物等の侵入防止のためにガラリ46によって覆われている。
この構成により、外気吸入管42で取り込まれた建物1外部の空気は、換気ユニット41のファンにより外気供給管43に送られ、外気供給口43Aを介して建物1内部に供給される。
【0025】
排気系の配管は、建物1内部からの流通空気の取り込むための内気吸入管44と、取り込んだ建物1内部の空気を建物1外部に排気するための内気排出管45とから構成されている。
【0026】
内気吸入管44は、換気ユニット41の下部に設けられ、その一端は換気ユニット41の直下に位置する一階居室51の一階天井52に一つだけ開口しており、内気吸入口44Aを形成している。また、この内気吸入口44Aは、異物等の侵入を防ぐため、ガラリ47によって覆われている。
この構成により、外気供給管43によって換気ユニット41から建物1内に供給された外気は、建物1内部を流通し、内気吸入口44Aから内気吸入管44を経て換気ユニット41に吸入される。
【0027】
内気排出管45は、換気ユニット41から建物1外部に向かって延出し、建物1外部に開口して内気排出口45Aを形成している。この内気排出口45Aには、小動物や異物等が侵入しないように図示しないガラリが設けられている。なお、内気排出口45Aは、外気吸入口42Aと同様に、下屋3の軒下32に開口している。
この構成により、内気吸入管44で吸入された建物1内を流通した空気は、換気ユニット41により、内気排出管45に送風され、内気排出口45Aを経て建物1外部に排気される。
【0028】
前述のような第一実施形態によれば、次のような効果がある。
【0029】
(1)換気装置4の換気ユニット41を下屋3の小屋裏31に設けたので、本来用途の無い小屋裏31を有効活用することができ、建物1内のデッドスペースをなくすことができる。また、小屋裏31は天井懐よりスペースが広いので、換気ユニット41の設置を容易にすることができる。さらに、小屋裏31のスペースが広いことから、換気装置4の設置が考慮されていない、下屋3を備えた既建造物に対しても換気装置4の後付け設置が可能である。
【0030】
(2)建物1の居室に対する配管に関しては、小屋裏31に隣接した建物1の居室に対して外気供給管43や内気吸入管44を設置し、小屋裏31に設けた換気ユニット41に接続するだけで、配管工事を終えることができる。また、上階である二階部6の天井懐に換気ユニット41を設け、内気吸入口44Aが一階天井52に開口している場合に比べ、内気吸入管44の管長が短くなることから、建物1の内部を流通する空気を一階部5から吸入する換気ユニット41の吸引力を抑えることができる。同様に、一階部5の床下に換気ユニット41を設けた場合と比較しても、配管の管長を短くできるだけでなく、外気の供給および内気の吸入に要する換気ユニット41の力を抑えることができる。
【0031】
(3)外気供給管43は、換気ユニット41から略水平方向に延出して形成されているので、外気供給管43を二階居室61の天井に開口させる場合のように、外気供給管43を上下方向に曲折して配置しないので、配管作業を容易にすることができる。また、建物1に複数の二階居室61が小屋裏31に隣接して設けられている場合において、二階居室61の中間に換気ユニット41を配置すれば、外気供給管43の管長を短くすることができる。また、外気供給口43Aは、建物1内の居室ごとに設けられるので、居室ごとに外気が供給され、建物1全体の換気効率を向上することができる。
【0032】
(4)内気吸入口44Aは、外気供給管43が設けられた二階部6とは別の階である一階部5の一階天井52にただ一つだけ設けられているので、建物1内を流通する空気の流れが互いに干渉しない。すなわち、内気吸入口44Aを1つ、別の階に設けたことで、建物1全体の空気の流れが集約する。このため、建物1内に供給された空気は、外気供給口43Aが設けられた二階居室61から、階段7を経て一階部5に流通し、一階居室51の内気吸入口44Aへと干渉せずに流れることとなるので、建物1内の換気効率が向上する。また、内気吸入口44Aを換気ユニット41の直下に設けることにより、内気吸入管44の管長を必要最低限の長さとすることができる。
【0033】
(5)外気吸入管42および内気排出管45は、下屋3の軒下32に開口しているので、建物1内のデッドスペースであった下屋3の軒下32を有効活用できる。また、軒下32に外気吸入口42Aおよび内気排出口45Aが開口していることにより、開口部が建物1外部において目立たないので、換気装置4の設置によって建物1の外観が損なわれることを防ぐことができる。
【0034】
次に、本発明の第二実施形態を図4に基づいて説明する。なお、第二実施形態の説明において、第一実施形態と同一または相当と思われる構成に関しては、同じ符号を付し、説明を省略もしくは簡略する。
【0035】
図4には、第二実施形態におけるセントラル換気設備構造が示されている。第二実施形態では、建物1には、小屋裏31と二階居室61との間に、廊下や物置などの非居室空間63が設けられている。外気を二階居室61に供給する外気供給管431は、換気ユニット41から側壁62に向かって水平方向に延出し、その側壁62に沿って略垂下した後、一階天井懐53に配置されている。この外気供給管431の一端は、二階居室61に開口しており、外気供給口431Aを形成している。なお、外気供給管431は、換気ユニット41から略垂下して一階天井懐53に設けられる構成でもよい。
このような第二実施形態によれば、前記第一実施形態の(1)、(4)および(5)と同様の作用効果を奏することができるほかに、次の作用効果を奏することができる。
すなわち、(6)一階天井懐53に外気供給管431を配置したので、下屋3と二階居室61が隣接していなくても、外気を供給することができる。また、一階天井懐53は、本来、デッドスペースであるので、建物1の内部空間の有効活用を図ることができる。
【0036】
次に、本発明の第三実施形態を図5に基づいて説明する。なお、第三実施形態の説明において、第一実施形態および第二実施形態と同一または相当と思われる構成に関しては、同じ符号を付し、説明を省略もしくは簡略する。
【0037】
図5には、第三実施形態におけるセントラル換気設備構造が示されている。第三実施形態では、建物1は複数の一階居室51を備えている。外気を一階居室51および二階居室61に供給する外気供給管432は、一階天井懐53に配置され、一端は換気ユニット41に接続されている。外気供給管432の他端は、一階居室51の一階天井52および二階居室61に開口し、それぞれ外気供給口432Aを形成している。なお、図5では、外気供給管432は、換気ユニット41から側壁62に向かって水平方向に延出した後、略垂下しているが、換気ユニット41から略垂下して一階天井懐53に設けられる構成でもよい。
このような第三実施形態によれば、前記第一、第二実施形態の(1)、(5)、(6)と同様の作用効果を奏することができるほか、次の作用効果を奏することができる。
すなわち、(7)一階天井懐53に外気供給管432を配置し、一階居室51の一階天井52に外気供給口432Aを形成したので、複数の一階居室51を備えた建物1において、それぞれの居室に外気を供給できる。また、前記第二実施形態と同様に、建物1内のデッドスペースの有効活用を図ることができるほか、二階居室61に対しても同様の配管を行えば、一階部5および二階部6に複数の居室を有する建物1内部の居室すべてに外気を供給することができる。
【0038】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0039】
前記第一実施形態では、外気供給管43を換気ユニット41から略水平方向に延ばして設け、また、前記第二、第三実施形態では、外気供給管431、432を一階天井懐53に配置したが、本発明は、これらを組み合わせた配管をも含むものである。すなわち、建物1内に配置される配管は、建物1の構造や居室のレイアウトなどを考慮して適宜決定してよい。例えば、下屋3の小屋裏31に隣接した二階居室61と、小屋裏31との間に非居室空間63が設けられるなどして、小屋裏31に隣接していない二階居室61とを備えた建物1があるとする。この場合、小屋裏31に隣接した二階居室61への配管は、換気ユニット41から略水平方向に延出して外気供給管43を設けるようにしてもよい。また、小屋裏31と隣接していない二階居室61への配管は、一階天井懐53に外気供給管431を配置して、それぞれの居室に外気を供給するようにしてもよい。このようにすれば、すべての二階居室61に外気を供給できる。
【0040】
前記各実施形態では、内気吸入口44Aは換気ユニット41の直下に設けるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、内気吸入口44Aの開口位置は、換気効率、下屋3の建物1における位置、および、居室のレイアウトなどから、適宜決めてよい。例えば、複数の一階居室51を備えた建物1において、換気ユニット41の直下が一階居室51の側壁である場合には、内気吸入管44を折り曲げて、該一階居室51の中心の一階天井52に内気吸入口44Aを設けてもよい。なお、内気吸入口44Aを換気ユニット41の直下に開口する構成であれば、内気吸入管44の折り曲げ等の施工が不要であり、また、内気吸入管44の管長を短くするとともに、換気ユニット41の吸引力を抑えることができる。
【0041】
前記各実施形態では、建物1は一階部5および二階部6の二つの階を備えたものとしたが、本発明は、下屋3を備えた三つ以上の階を備えた建物に採用してもよい。例えば、建物1には一階部5と水平方向に隣接した下屋3が設けられ、建物1は三つ以上の階を備えている場合に、本発明を採用してもよい。このような場合、配管は、下屋3の小屋裏31から建物1の側壁内に配置し、三階以上の階に設けられた居室に開口するようにすればよい。また、下屋3が二階部6以上の階に隣接して設けられている場合も同様に、小屋裏31が隣接した階の上階およびそれ以下の下階への配管は、建物1に設けられた側壁内に配置すればよい。
【0042】
前記各実施形態では、配管と換気ユニット41との取付位置は図1〜図5に示す位置に示しているが、本発明はこれに限らない。例えば、内気吸入管44を換気ユニット41の側面に取り付ける構造の換気ユニット41であってもよい。
【0043】
前記各実施形態では、換気ユニット41に外気供給管43、431、432のいずれかを各居室ごとに設けたが、本発明はこれに限らない。すなわち、外気供給管43、431、432は、その中間部で分岐して各居室に開口し、外気を各居室内に供給するような構成であっても構わない。
【0044】
前記各実施形態では、換気ユニット41を設けるのは下屋3の小屋裏31としているが、本発明では、下階部が上階部よりも略水平方向に延出して構成されている建物1に採用しても良い。例えば、延出部分に換気ユニット41を設け配管をすれば、設置の施工を終えることができる。この際、雨、風および直射日光の影響を考慮して、新たに屋根を設けてもよい。
【0045】
前記各実施形態では、配管に設けられる防塵フィルタは、換気ユニット41側に設けられるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、それぞれの配管の開口部に設けてもよい。なお、換気ユニット41に防塵フィルタを設けた場合、防塵フィルタの交換を一箇所で行えるため、交換作業が容易である。
【0046】
【発明の効果】
前述のように、本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0047】
請求項1記載の発明によれば、換気装置の換気ユニットを、本来用途のない下屋の小屋裏に設けるので、建物内のデッドスペースをなくすことができる。また、小屋裏は天井懐よりスペースが広いので、換気ユニットの設置を容易にすることができ、既建造物に対しても換気設備を後付け設置できる。建物の居室に対する配管に関しては、小屋裏に隣接した建物の居室に対して外気供給管や内気吸入管を設置し、小屋裏の設けた換気ユニットに接続するだけで、配管作業を終えることができる。
【0048】
請求項2記載の発明によれば、外気供給管を換気ユニットから略水平方向に設けるので、配管を上下方向に曲折させる必要がなく、配管の施工を容易にすることができる。
【0049】
請求項3記載の発明によれば、内気吸入口は、外気供給口が設けられた階とは別の階に一つ設けられているので、外気供給口から供給された空気が、階段などを利用して別の階に設けられた内気吸入口へと建物内を流通し、その空気の流れは互いに干渉しないので、換気効率を向上することができる。
【0050】
請求項4記載の発明によれば、下階部の天井懐に外気供給管を配置し、外気供給口を上階部の居室に開口させるので、上階部の居室のレイアウトに合わせて配管することができる。そして、デッドスペースであった下階部の天井懐を有効活用することができる。
【0051】
請求項5記載の発明によれば、下階部の天井懐に外気供給管を配置し、外気供給口を下階部の居室の天井に開口させるので、下階部の居室のレイアウトに合わせて配管することができる。そして、デッドスペースであった下階部の天井懐を有効活用することができる。
【0052】
請求項6記載の発明によれば、外気吸入管および内気排出管は、下屋の軒下に開口しているので、建物内のデッドスペースであった下屋の軒下を有効活用できるだけでなく、外気吸入口および内気排出口を目立たなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一実施形態に係るセントラル換気設備構造を示す概要斜視図。
【図2】 前記第一実施形態のセントラル換気設備構造を示す断面図。
【図3】 前記第一実施形態のセントラル換気設備構造の要部を示す断面図。
【図4】 本発明の第二実施形態に係るセントラル換気設備構造を示す断面図。
【図5】 本発明の第三実施形態に係るセントラル換気設備構造を示す断面図。
【符号の説明】
1…建物
3…下屋
4…換気装置(セントラル換気設備構造)
5…一階部(下階部)
6…二階部(上階部)
31…小屋裏
32…軒下
41…換気ユニット
42…外気吸入管
43、431、432…外気供給管
45…内気排出管
51…一階居室(下階部の居室)
52…一階天井(天井)
53…一階天井懐(天井懐)
61…二階居室(上階部の居室)
63…非居室空間
44A…内気吸入口
Claims (3)
- 上階部および下階部を有する建物の居住空間を換気するために、前記建物内と外部との間を連通した配管と、前記配管に設けられるとともに外部の空気を前記建物内に取り込み、前記建物内の空気を前記建物外に排出する換気ユニットとを備えたセントラル換気設備構造であって、
前記建物は、前記下階部の上方に位置し、かつ、前記上階部に隣接する下屋を備え、
前記換気ユニットは、前記下屋の小屋裏に設けられ、
前記配管は、
一端が前記換気ユニットに接続され、他端が前記建物外に開口し、前記換気ユニットにより吸引される前記外部の空気が内部を流通する外気吸入管と、
一端が前記換気ユニットに接続され、当該換気ユニットから略水平方向に延出して、他端が前記上階部に開口し、当該換気ユニットにより吸引された前記外部の空気を前記上階部に供給する外気供給管と、
一端が前記換気ユニットの下部に接続され、当該換気ユニットから垂下して、他端が前記下階部に開口し、当該換気ユニットにより吸引される前記建物内の空気が内部を流通する内気吸入管と、
一端が前記換気ユニットに接続され、他端が前記建物外に開口し、当該換気ユニットにより吸引された前記建物内の空気を前記建物外に排出する内気排出管とを有することを特徴とするセントラル換気設備構造。 - 請求項1に記載のセントラル換気設備構造において、
前記建物内の空気を吸入する内気吸入口は、前記換気ユニットに一つ設けられ、
前記内気吸入口は、前記下階部の天井に設けられていることを特徴とするセントラル換気設備構造。 - 請求項1または請求項2に記載のセントラル換気設備構造において、
前記外気吸入管および前記内気排出管は、前記下屋の軒下に開口していることを特徴とするセントラル換気設備構造。
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