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JP4492854B2 - 眼底カメラ - Google Patents

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JP4492854B2 JP2004105691A JP2004105691A JP4492854B2 JP 4492854 B2 JP4492854 B2 JP 4492854B2 JP 2004105691 A JP2004105691 A JP 2004105691A JP 2004105691 A JP2004105691 A JP 2004105691A JP 4492854 B2 JP4492854 B2 JP 4492854B2
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Description

本発明は、被検眼眼底を撮影する眼底カメラに関する。
眼底カメラでは、被検眼眼底を照明する照明光束を被検眼の瞳孔と略共役位置に配置されたリングスリットによりリング状光束に形成して瞳孔周辺部から被検眼に入射し、瞳孔中心部から眼底反射光を取り出して観察ないし撮影している。また、眼底カメラにおいては、角膜等の反射光によるゴーストやフレアの発生を抑制するため、照明光学系に配置されたリングスリットの内径に当たる遮光点の大きさを瞳孔径の大きさに対応して可変し、さらに撮影可能範囲を制限する絞りを遮光点の大きさに連動して変化させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−199997号
しかしながら、上記従来技術の眼底カメラにおいては、検者が瞳孔径を判断して手動で切換えることの手間の問題、撮影可能範囲を制限する絞りの機構が複雑になるという問題があった。また、眼底の周辺部を撮影する場合、眼球が傾くことにより、リングスリットの結像性能が後極部中心の撮影に比べて劣るため、フレアやゴーストが生じ易くなるが、従来技術の眼底カメラにおいては、これを考慮した対応がなされていなかった。
本発明は、上記従来技術に鑑み、装置構成を複雑にすることなく、被検眼の瞳孔領域の大きさに応じて良好な眼底像を得ることができる眼底カメラを提供することを技術課題とする。また、眼底の周辺部を撮影する場合にも、良好な眼底像を得ることができる眼底カメラを提供することを技術課題とする。
(1) 被検眼の角膜に向けてアライメント用の指標を投影するアライメント指標投影光学系と、被検眼眼底を照明する照明光学系と、該照明光学系に照明された眼底を撮像素子により撮影する撮影光学系と、前記撮影素子により撮影された眼底像を表示する表示手段と、を備え、角膜反射像を用いて被検眼との位置合わせを行い被検眼眼底を撮影する眼底カメラにおいて、被検眼の瞳孔上に位置する撮影光軸を中心に所定の判定範囲を設定し撮影された前記被検眼の瞳孔エッジが前記判定範囲に位置するか否かを判定する判定手段と、被検眼の瞳孔と略共役位置にリング状の照明光束を形成するために前記照明光学系に設けられたリングスリットの内径を前記判定手段の判定結果に基づいて変更させる内径変更手段と、該内径変更手段により変更された前記リングスリットの内径情報に基づいて前記表示手段に表示される眼底像の表示領域を電子的に制限するマスクサイズを変化させるマスク可変手段と、を備えることを特徴とする。
(2) 被検眼眼底を照明する照明光学系と、該照明光学系に照明された眼底を撮像素子により撮影する撮影光学系とを備える眼底カメラにおいて、前記撮影素子により撮影された眼底像を表示する表示手段と、被検眼の瞳孔と略共役位置にリング状の照明光束を形成するために前記照明光学系に設けられた内径可変のリングスリットと、前記リングスリットの内径を変化させる内径可変手段と、被検眼の視線方向を誘導する固視標の呈示位置を変更可能な固視標呈示手段であって、眼底後極部付近を中心として撮影する基準位置と眼底周辺部を撮影する周辺位置とに固視標の呈示位置を変更可能な固視標呈示手段と、該固視標呈示手段の固視標の呈示による被検眼の視線方向を検出又は被検眼の視線方向が誘導される固視標の呈示位置の情報を入力する視線検出・入力手段と、前記内径可変手段によるスリットの内径情報と前記視線検出・入力手段による検出結果又は入力結果とに基づいて前記表示手段に表示される眼底像の表示領域を電子的に制限するマスクサイズを変化させるマスク可変手段と、を備える。
本発明によれば、装置構成を複雑にすることなく、被検眼の瞳孔領域の大きさに応じてフレアのない良好な眼底像を得ることができる。また、被検眼の周辺部を撮影する場合にも良好な眼底像を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は実施形態である無散瞳型の眼底カメラの概略構成図である。
眼底カメラは、基台1と、ジョイスティック4の操作により基台1に対して左右方向(X方向)及び前後方向(Z方向)に移動可能な移動台2と、移動台2に対して左右・上下・前後方向(Z方向)にそれぞれ三次元移動可能な撮影部3と、被検者の顔を支持するために基台1に固設された顔支持ユニット5を備える。6は撮影部3を上下方向に移動するY駆動部であり、7は撮影部3を左右前後に移動するXZ駆動部である。XZ駆動部7は、Yテーブルの上にZ方向に移動可能なZテーブルを配置し、Zテーブルの上にX方向に移動可能なXテーブルを配置し、Xテーブルの上に撮影部3を配置し、Zテーブル及びXテーブルをそれぞれモータ駆動することにより撮影部3をXY方向に移動する。Y駆動部6はYテーブルをモータにより上下駆動することにより、撮影部3をY方向に移動する。この種の三次元駆動機構は周知の機構とすることができる。なお、撮影部3はジョイスティック4の回転操作によりY駆動部6が作動し、上下移動する。撮影部3の検者側には観察像や撮影像を表示するモニタ8が設けられている。
図2は、撮影部3に収納される光学系及び制御系の概略構成図である。光学系は、照明光学系10、眼底観察・撮影光学系30、フォーカス指標投影光学系40、アライメント指標投影光学系50、前眼部観察光学系60、固視標光学系70から大別構成されている。
照明光学系10は、観察照明光学系と撮影照明光学系とからなる。撮影照明光学系は、フラッシュランプ等の撮影光源14、コンデンサレンズ15、リング状の開口を有する大リングスリット17a、リレーレンズ18、ミラー19、中心部に黒点を有する黒点板20、リレーレンズ21、孔あきミラー22、対物レンズ25を有する。大リングスリット17aは、被検眼瞳孔と共役位置に設けられている。また、大リングスリット17aは、ソレノイド26の駆動により、リング状の光束の内径が大リングスリット17aよりも小さな小リングスリット17bに交換可能に配置されている。小リングスリット17bは被検眼が小瞳孔の場合に、瞳孔を通過する光束を増やすために使用される。なお、リングスリットの内径可変の構成としては、本実施形態では内径が異なるものを選択的に切換えるものとしたが、リングスリット自体は一つとし、水晶体と共役位置に置かれた遮光点の大きさを変える構成も含まれるものである。
また、観察照明光学系は、ハロゲンランプ等の光源11、波長750nm以上の近赤外光を透過する赤外フィルタ12、コンデンサレンズ13、コンデンサレンズ13とリングスリット17a(17b)との間に配置されたダイクロイックミラー16、リングスリット17a(17b)から対物レンズ25までの光学系を有する。ダイクロイックミラー16は、赤外光を反射し可視光を透過する特性を持つ。
眼底観察・撮影光学系30は、対物レンズ25、孔あきミラー22の開口近傍に位置する撮影絞り31、光軸方向に移動可能なフォーカシングレンズ32、結像レンズ33、赤外光反射、可視光透過の特性を有するダイクロイックミラー34を備え、撮影光学系と眼底観察光学系は対物レンズ25と撮影絞り31から結像レンズ33までの光学系を共用する。撮影絞り31は対物レンズ25に関して被検眼Eの瞳孔と略共役な位置に配置されている。フォーカシングレンズ32は、モータを備える移動機構39により光軸方向に移動される。ダイクロイックミラー34の透過方向には、可視域に感度を有する撮影用のカラーCCDカメラ35が配置されている。ダイクロイックミラー34の反射方向の光路には、赤外反射、可視光透過のダイクロイックミラー37、リレーレンズ36、赤外域に感度を有する観察用CCDカメラ38が配置されている。
また、対物レンズ25と孔あきミラー22の間には、光路分岐部材としての挿脱可能なダイクロイックミラー(波長選択性ミラー)24が斜設されており、さらにダイクロイックミラー24と孔あきミラーの22の間には、ダイクロイックミラー24による光軸ずれを補正するための平行板ガラス23が挿脱可能に斜設されている。ダイクロイックミラー24は、アライメント指標投影光学系50及び前眼部照明光源58の波長光(中心波長940nm)を反射し、観察用照明の波長光及びフォーカス指標投影光学系40等の光源波長(中心波長880nm)を含む波長900nm以下を透過する特性を有する。平行板ガラス23は、ダイクロイックミラー24とほぼ同じ厚さで、かつほぼ同じ屈折率を有する。また、図3に示すように、ダイクロイックミラー24と平行板ガラス23は、眼底観察・撮影光学系の光軸L1に対して対照に同じ傾斜角度θを有するように配置されている。撮影時には、ダイクロイックミラー24と平行板ガラス23は挿脱機構66により連動して跳ね上げられ、光路外に退避する。挿脱機構66は、ソレノイドとカム等により構成することができる。
フォーカス指標投影光学系40は、赤外光源41、スリット指標板42、このスリット指標板42に取り付けられた2つの偏角プリズム43、照明光学系10の光路に斜設されたハーフミラー44を備える。光源41、スリット指標板42は、フォーカシングレンズ32と連動して移動機構39により光軸方向に移動される。
フォーカス指標投影光学系40のスリット指標板42の光束は、偏角プリズム43を介してハーフミラー44により反射された後、リレーレンズ21、孔あきミラー22、平行板ガラス23、ダイクロイックミラー24、対物レンズ25を経て被検眼Eの眼底に投影される。眼底のフォーカスが合っていないとき、スリット指標板42の指標像は分離され、フォーカスが合っているときに一致して投影される。
アライメント指標投影光学系50は、対物レンズ25の光軸を中心に左右対称に配置された2組の第1指標投影光学系と、この第1指標投影光学系より狭い角度に配置された光軸を持ち光軸L1が通る垂直平面を挟んで左右対称に配置された2組の第2指標投影光学系を備える。2組の第1指標投影光学系は、中心波長940nmの赤外光を発する光源51、コリメーティングレンズ52をそれぞれ持ち、略平行光束の光により被検眼に無限遠の視標を投影する。一方、2組の第2指標投影光学系は、中心波長940nmの赤外光を発する光源52を持ち、発散光束により被検眼に有限遠の視標を投影する。なお、図2の光学系は側面から見たときのものを示すが、アライメント指標投影光学系50は実際には左右方向に配置されたものである。図5(a),(b)は、このアライメント指標投影光学系50により前眼部像Fに形成される指標像の状態を示しており、指標像Ma,Mbは第1指標投影光学系(光源51及びコリメーティングレンズ52)による無限遠の指標像であり、指標像Mc,Mdは第2指標投影光学系(光源53)による有限遠の指標像である。指標像Mc,Mdは、指標像Ma,Mbよりも下側に形成されるように、その第2指標投影光学系が構成されている。
また、孔あきミラー22の穴周辺には、ワーキングドットを形成するための2つの赤外光源55(中心波長880nm)が光軸L1を中心に左右対称に配置されている。なお、光源55としては、光ファイバの端面を孔あきミラー22の近傍位置に配置し、その光ファイバに赤外光を導くものとして構成することもできる。光源55は、被検眼Eと対物レンズ25との作動距離が適切になったとき、角膜の曲率半径の1/2となる距離が共役位置となるように配置されている。
前眼部観察光学系60は、ダイクロイックミラー24の反射側に、フィールドレンズ61、ミラー62、絞り63、リレーレンズ64、赤外域の感度を持つCCDカメラ65を備える。また、CCDカメラ65はアライメント指標の検出手段を兼ね、中心波長940nmの赤外光を発する前眼部照明光源58により照明された前眼部とアライメント指標が撮像される。アライメント指標の検出手段は、前眼部撮像と兼用すると有利であるが、専用のものを設けても良い。
固視標呈示光学系70は、赤色の光源74、開口穴が形成された8個の固視標71を持つ視標板72、リレーレンズ75を備え、ダイクロイックミラー34を介してダイクロイックミラー34から対物レンズ25までの観察光学系30の光路を共用する。固視標71は、右眼の後極部付近を撮影中心に導く開口穴を持つ固視標71a、左眼の後極部付近を撮影中心に導く開口穴を持つ固視標71b、周辺部を撮影するように視線を導く開口穴を持つ6個の固視標71c〜71hで構成されている(図4参照)。モータ73により各固視標71a〜71hが選択的に光源74の前に配置される。
上記の光学系において、前眼部照明光源58により照明された前眼部は、対物レンズ25、ダイクロイックミラー24及びフィールドレンズ61からリレーレンズ64の光学系を介してCCDカメラ65に受光される。また、観察用の光源11を発した光束は、赤外フィルタ12により赤外光束とされ、コンデンサレンズ13、ダイクロイックミラー16により反射されてリングスリット17を照明する。リングスリット17を透過した光は、リレーレンズ18、ミラー19、黒点板20、リレーレンズ21を経て孔あきミラー22に達する。孔あきミラー22で反射された光は、平行板ガラス23、ダイクロイックミラー24を透過し、対物レンズ25により被検眼Eの瞳孔付近で一旦収束した後、拡散して被検眼眼底部を照明する。撮影用照明光源14を発した光束は、コンデンサレンズ15を経た後、観察用照光束と同様な光路を経て被検眼眼底を照明する。
観察照明光で照明された眼底からの反射光は、対物レンズ25、ダイクロイックミラー24、平行板ガラス23、孔あきミラー22の開口部、撮影絞り31、フォーカシングレンズ32、結像レンズ33、ダイクロイックミラー34、ダイクロイックミラー37、リレーレンズ36を介してCCDカメラ38に結像する。このとき、図3に示すように、眼底観察・撮影光学系の光軸L1は、ダイクロイックミラー24が挿入されていることにより偏位した光軸L1aとなるが、平行板ガラス23の配置によりその偏位が戻される。このため、CCDカメラ65による前眼部の撮像とCCDカメラ38による眼底の撮像とが、同時に良好に行えるようになる。
ここで、平行板ガラス23が無い場合、偏位した光軸L1aは撮影絞り31の中心を通らなくなる。この場合には、前眼部で反射されるリング照明光の中心と撮影絞り31の中心とがずれることになり、アライメントが完了した状態でも眼底観察用のCCDカメラ38に前眼部での反射光が入射するようになる。このため、その観察象にフレア光が生じ易くなり、良好な眼底観察像が得られず、フォーカス指標の検出も正確に行えなくなる。
撮影時には、ダイクロイックミラー24と平行板ガラス23は挿脱機構66により光路外に退避され、撮影用照明光で照明された眼底からの反射光は、対物レンズ25、孔あきミラー22、撮影絞り31、フォーカシングレンズ32、ダイクロイックミラー34を経て、撮影用のCCDカメラ35に結像する。なお、CCDカメラ35が観察用のカメラを兼用する構成とすることも可能である。
CCDカメラ65、38、35の出力は画像処理部80に接続されている。画像処理部80はCCDカメラ65に撮像された前眼部の画像からアライメント指標や瞳孔領域を検出処理し、CCDカメラ38に撮像された眼底画像からフォーカス指標を検出処理する。また、画像処理部80はモニタ8に接続され、その表示画像を制御する。制御部81には画像処理部80、Y駆動部6、XZ駆動部7、ジョイスティック4、ソレノイド26、移動機構39、挿脱機構66、モータ73、撮影スイッチ83、各種の操作スイッチを持つスイッチ部84、各光源等が接続されている。
上記のような構成を持つ装置の動作を説明する。アライメント時は、ダイクロイックミラー24と平行板ガラス23は眼底観察・撮影光学系30の光路に挿入されている。前眼部照明光源58により照明された前眼部は、対物レンズ25、ダイクロイックミラー24及びフィールドレンズ61からリレーレンズ64の光学系を介してCCDカメラ65により受光され、モニタ8にはCCDカメラ65に撮像された前眼部像が表示される。検者は、モニタ8に表示された前眼部像を観察し、ジョイスティック4の操作により撮影部3を被検眼に対して粗くアライメント調整する。前眼部像がモニタ8に現われるようになると、図5(a)に示すように、4つの指標像Ma,Mb,Mc,Mdも現われるようになる。なお、図5において、Na,Nb,Nc,Ndはそれぞれライン状のレチクルマークであり、Neは撮影に必要な瞳孔径を示すリングマークであり、これらは画像処理部80により電気的に形成されたものである。図5(b)に示すように、このレチクルマークNa,Nb,Nc,Ndにそれぞれの指標像Ma,Mb,Mc,Mdが位置するように、撮影部3を左右上下に移動する。また、前後方向(作動距離方向)は、指標像のピントを合わせるように撮影部3を移動させる。
CCDカメラ65で撮像された4つの指標像Ma〜Mdが画像処理部80により検出されるようになると、制御部81はこれらの指標像に基づいてアライメント基準に対する偏位量(位置ずれ)を求める。制御部81は、指標像Ma,Mbの中間位置を角膜頂点位置Moとして、XY方向のアライメント基準位置Oに対する偏位量Δdを求める。そして、この偏位量Δdがアライメント完了の許容範囲に入るように、XZ駆動部7及びY駆動部6の駆動制御による自動アライメントを作動する。
また、Z方向のアライメント状態は、指標像Ma,Mbの間隔と指標像Mc,Mdの間隔とを比較することにより検出される。これは、無限遠光源と有限遠光源とにより角膜反射像を形成した場合、作動距離が変化しても無限遠の光源による角膜反射像の像高さは変化しないが、有限遠光源による像高さは作動距離の変化に伴って変化するという特性を利用するものである(この詳細は特開平6−46999号公報参照)。Z方向についても、XY方向と同じ考えで、Z方向のアライメント基準位置に対する偏位量を求め、その偏位量がアライメント完了の許容範囲に入るようにXZ駆動部7の駆動制御による自動アライメントを作動する。
XYZ方向のアライメント状態がアライメント完了の条件を満足したら、制御部81は自動アライメントの作動を停止する。このとき、CCDカメラ65で撮像された前眼部像から瞳孔領域の大きさと視線方向が画像処理部80により検出され、瞳孔領域の大きさ情報を基にリングスリット17a,17bの切換えが制御され、またリングスリット17a,17bの切換えと視線方向の情報を基に、モニタ8に表示する眼底像の表示領域を電子的に制限するマスクのサイズが制御される。
図6は、右眼のアライメントを完了させたときにCCDカメラ65で撮像される前眼部像の例である。まず、リングスリット17a,17bの切換えは、前眼部像Fから検出される瞳孔エッジ(すなわち瞳孔領域)Puが判定エリアT2より外側に有るか否かよって判定される。瞳孔エッジPuは、簡易的には、撮影光軸である画像中心を基準に左右方向及び上下方向で検出される4点の瞳孔エッジを使用しても良い。判定エリアT2は、例えば、光軸中心に直径4mmとして設定されているものである。瞳孔エッジPuが判定エリアT2より外側にあれば、大リングスリット17aでも十分にリング照明光束が瞳孔を通して眼内に入射するので、大リングスリット17aを使用するものとして判定される。一方、瞳孔エッジPuが判定エリアT2より内側にある場合は、大リングスリット17aのままであると、眼底画像の中心部が暗くなる。これは、画角0°付近に照明光の成分が眼底に照明されないことによっておきる。したがって、この場合には、小リングスリット17bを使用するものとして判定される。
尚、リングスリット17a,17bの切換えは、上記の様に瞳孔領域を検出して自動的に行う他、リングスリット17a,17bの切換えを行うスイッチ84a,84bにより、瞳孔径の大きさに応じてリングスリット17a,17bの切換えを行うこともできる。
視線方向については、前眼部像Fから検出される瞳孔中心P1と指標像Ma,Mbの中間位置である角膜頂点位置Moとの距離Rが視線判定距離T1を超えるか否かで、後極部付近を中心とした撮影か周辺部の撮影かが判定される。視線判定距離T1は、被検者の視線方向が撮影光軸方向か周辺方向かの境界を示す値で、予めメモリ85に記憶されている。瞳孔中心P1は、例えば、瞳孔エッジの重心位置として求める。簡易的には、画像中心を基準に左右方向及び上下方向で瞳孔エッジを検出し、その検出された4点の重心位置として求めることができる。瞳孔中心P1と角膜頂点位置Moとの距離Rが視線判定距離T1を超えなければ、視線方向は撮影光軸に導かれているものとして、後極部付近を中心とした撮影であると判定される。すなわち、固視標71aが呈示されている状態である。一方、瞳孔中心P1と角膜頂点位置Moとの距離Rが視線判定距離T1を超えている場合は、周辺部の撮影であると判定される。この場合は、周辺撮影用に固視標71c〜71hの何れかが呈示されている状態である。
以上のリングスリット17a,17bの切換え判定と視線方向の検出とに基づいて、モニタ8に表示する眼底像の表示領域を電子的に制限する画像マスクのサイズは、図7のように制御される。後極部付近を中心とした撮影の場合(瞳孔中心P1と角膜頂点位置Moとの距離が視線判定距離T1を超えない場合)で、且つ大リングスリット17aを使用した場合には、図7(a)のように、マスクサイズを画角45°に相当する大マスク90aとされる。後極部付近を中心とした撮影の場合で、且つ小リングスリット17bを使用した場合には、図7(b)のように、マスクサイズを画角37°に相当する小マスク90bとする。
周辺撮影の場合(瞳孔中心P1と角膜頂点位置Moとの距離Rが視線判定距離T1を超えている場合)における画像マスクのサイズについて説明する。通常の後極部付近を中心とした撮影では、図8(a)のように撮影光学系の軸L1と眼の軸と一致しているが、周辺撮影の場合には、図8(b)のよう眼球が傾き、後極部中心の撮影に比べてリングスリットの結像性能が劣る。このため、後極部中心の撮影に比べて、眼底撮影の外周部には水晶体の反射光によるフレアが生じ易くなる。この対応として、周辺撮影の場合には、瞳孔領域の大きさに応じてリングスリット17a,17bを切換えると共に、後極部付近を中心とした撮影に対して、さらに画像マスクのサイズを小さくする。すなわち、周辺撮影の場合で、且つ大リングスリット17aを使用した場合には、図7(c)のように、マスクサイズを大マスク90aよりやや小さい画角42°に相当する中マスク90cとする。周辺撮影の場合で、且つ小リングスリット17bを使用した場合には、図7(d)のように、マスクサイズを小マスク90aよりさらに小さい画角34°に相当するマスク90dとする。なお、図7(c)及び(d)は、乳頭部が左側に位置させるように、周辺撮影用の固視標71を選択したれ例である。
上記では、周辺撮影か後極部付近中心かの判定を、画像処理部80が前眼部像に基づいて検出することで行ったが、もちろん、固視標呈示位置の入力信号である固視標71a〜71hの選択信号をそのまま使用しても良い。
また、上記ではアライメント完了検出時に、CCDカメラ65により撮像された瞳孔領域を判定エリアT2と比較することによりリングスリット及びマスクサイズの切換えを判断をしたが、これに限らず、撮影された瞳孔を画像処理部80によって2値化し、2値化した画像から瞳孔径を測定して、メモリ等に記憶された瞳孔径の閾値と比較することによって、瞳孔径の大小の判断をしてリングスリット及びマスクサイズを変更しても良い。
アライメント完了後の動作を説明する。撮影部3の移動によりアライメントが完了すると、モニタ8の表示画像が前眼部像から眼底像に自動的に切換えられる。このとき、上記で説明したように、瞳孔領域の大きさの検出情報を基に照明光学系10にはリングスリット17a又は17bが配置され、このリングスリット17a,17bの切換え判定と視線方向の検出(固視標呈示位置の入力情報)とに基づいて、モニタ8に表示される眼底観察像のマスクサイズが図7(a)〜(d)の何れかに変えられる。また、CCDカメラ38で撮像されるフォーカス指標像の検出を基に、オートフォーカスが実行される。
図9は、CCDカメラ38で撮像される眼底像の例であり、眼底像Rの中心にフォーカス視標投影光学系40によるフォーカス指標像S1、S2が投影されている。フォーカス指標像S1,S2は、フォーカスが合っていないときには分離され、フォーカスが合っているときに一致して投影される。フォーカス指標像S1,S2は、画像処理部80により検出処理され、その分離情報が制御部81に送られる。制御部81はフォーカス指標象S1,S2の分離情報を基に、両者が一致するように移動機構39を駆動制御して眼底のフォーカス合わせを行う。フォーカス合わせは検者の操作により手動でも可能である。
検者は、モニタ8に表示される眼底像を観察し、フレア等の有無を確認し、必要に応じてジョイスティック4等を操作することでアライメントの微調整を行う。その後、撮影スイッチ83を押すことにより撮影が実行される。制御部81は挿脱機構66を駆動することによりダイクロイックミラー24及び平行板ガラス23を光路から離脱させると共に、撮影光源14を発光する。撮影光源14の発光により、眼底は可視光により照明され、眼底からの反射光は対物レンズ25、孔あきミラー22の開口部、撮影絞り31、フォーカシングレンズ32、結像レンズ33、ダイクロイックミラー34を経てCCDカメラ35に結像する。モニタ8の表示は画像処理部80によってCCDカメラ35で撮影されたカラーの眼底画像に切換えられる。このとき表示される眼底像においても、観察像と同じく、マスクサイズが図7(a)〜(d)の何れかに変えられる。また、CCDカメラ35で撮影された眼底像は、マスクサイズのデータと共にメモリ85に記憶される。外部への眼底像データの出力時には、マスクサイズのデータと共に送られる。このため、別のモニタで表示するときも、マスクサイズのデータを使用してモニタ8と同じように、電子的にマスクを掛けた状態の眼底像とすることが可能になる。なお、メモリ85に記憶する眼底像自体をマスクサイズのデータに基づいてトリミングしたものにしても良い。
本発明に係る無散瞳型の眼底カメラの構成図である。 撮影部に収納される光学系及び制御系の概略構成図である。 光路分岐部材によって生じる光軸ずれと、平行板ガラスによる光軸ずれの補正を説明する図である。 固視標の構成を説明する図である。 前眼部観察用のCCDカメラで撮像された前眼部像を示す図である。 視線方向と瞳孔径の判定を説明する図である。 眼底像の表示領域を制限する画像マスクのサイズを説明する図である。 撮影光学系の軸と眼の軸の関係を説明する図である。 モニタに表示された眼底画像を示す図である。
符号の説明
8 モニタ
10 照明光学系
17a 大リングスリット
17b 小リングスリット
26 ソレノイド
35 CCDカメラ
38 CCDカメラ
71 固視標
71a〜h 固視標
72 視標板
73 モータ
80 画像処理部
81 制御部


Claims (2)

  1. 被検眼の角膜に向けてアライメント用の指標を投影するアライメント指標投影光学系と、被検眼眼底を照明する照明光学系と、該照明光学系に照明された眼底を撮像素子により撮影する撮影光学系と、前記撮影素子により撮影された眼底像を表示する表示手段と、を備え、角膜反射像を用いて被検眼との位置合わせを行い被検眼眼底を撮影する眼底カメラにおいて、被検眼の瞳孔上に位置する撮影光軸を中心に所定の判定範囲を設定し撮影された前記被検眼の瞳孔エッジが前記判定範囲に位置するか否かを判定する判定手段と、被検眼の瞳孔と略共役位置にリング状の照明光束を形成するために前記照明光学系に設けられたリングスリットの内径を前記判定手段の判定結果に基づいて変更させる内径変更手段と、該内径変更手段により変更された前記リングスリットの内径情報に基づいて前記表示手段に表示される眼底像の表示領域を電子的に制限するマスクサイズを変化させるマスク可変手段と、を備えることを特徴とする眼底カメラ。
  2. 被検眼眼底を照明する照明光学系と、該照明光学系に照明された眼底を撮像素子により撮影する撮影光学系とを備える眼底カメラにおいて、前記撮影素子により撮影された眼底像を表示する表示手段と、被検眼の瞳孔と略共役位置にリング状の照明光束を形成するために前記照明光学系に設けられた内径可変のリングスリットと、前記リングスリットの内径を変化させる内径可変手段と、被検眼の視線方向を誘導する固視標の呈示位置を変更可能な固視標呈示手段であって、眼底後極部付近を中心として撮影する基準位置と眼底周辺部を撮影する周辺位置とに固視標の呈示位置を変更可能な固視標呈示手段と、該固視標呈示手段の固視標の呈示による被検眼の視線方向を検出又は被検眼の視線方向が誘導される固視標の呈示位置の情報を入力する視線検出・入力手段と、前記内径可変手段によるスリットの内径情報と前記視線検出・入力手段による検出結果又は入力結果とに基づいて前記表示手段に表示される眼底像の表示領域を電子的に制限するマスクサイズを変化させるマスク可変手段と、を備えることを特徴とする眼底カメラ。
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