JP4482739B2 - 反応性アクリル系重合体およびその製造方法、硬化性アクリル系重合体、硬化性組成物、硬化体およびこれらの用途 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、新規な重合触媒を用いた重合によって得られる反応性アクリル系重合体、硬化性アクリル系重合体、これらの組成物を用いた硬化性組成物およびこれらの硬化体並びにこれらの用途に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来から、例えばアクリル酸、メタクリル酸、スチレンおよびこれらの誘導体のような重合性二重結合を有する重合性化合物は、ラジカル重合開始剤の存在下に乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法および塊状重合法によって重合可能である。こうしてラジカル重合開始剤により得られる重合物は、成形体、粘着剤、塗料、繊維など種々の用途に利用されるが、得られる重合体の反応性基の導入位置や官能基量が物性を左右することが多い。
【0003】
これら重合法においては、ラジカル重合開始剤を用いて重合を行い、通常は、重合温度、ラジカル重合開始剤量、ラジカル連鎖移動剤としての有機溶剤やメルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー等の連鎖移動係数の高いモノマーあるいはダイマーなどの使用量あるいは種類を適宜調整することにより、重合速度、発熱制御等の重合反応の制御、および、分子量や分子量分布等のポリマー分子設計を行っている。
【0004】
このため得られる重合体の末端部は、ラジカル重合開始剤として用いた化合物、若しくは、連鎖移動剤として用いた化合物、連鎖移動した際の溶剤化合物などの残基が結合しているか、または、不均化停止した際の不飽和基を有すこととなる。つまり、得られる重合体は、末端基までは充分に制御できておらず、種々の末端基を有す重合体の混合物となってしまう。
【0005】
このため従来は、末端基制御と重合反応の制御を充分に制御するために、
1)大量のラジカル重合開始剤を用いる方法、
2)官能基を同じくする少量のラジカル重合開始剤と大量のメルカプタン類の連鎖移動剤を併用する方法などが採用されているが、いずれの処方でも充分な重合体末端基の制御ができないか、若しくは重合反応の制御が困難であったりする。
【0006】
即ち、
1)の方法では、大量のラジカル重合開始剤を用いるため、重合時の発熱が大きく反応の制御が難しく、また、ラジカル重合開始剤同士の副反応や重合開始効率の悪さから、必要とする重合体以外の副生成物が多くなってしまい非効率的である。
【0007】
2)の方法では、正触媒となるラジカル重合開始剤と、負触媒である連鎖移動剤の添加量調整を行わないと重合反応が暴走したり、逆に重合反応が失活する為、制御可能な重合反応とするために複雑な処方となってしまう。しかも、得られる重合体の末端制御においても充分ではない。
このため、重合体の末端を制御する為の理想的な重合開始剤として、重合開始能力が高く、更には重合の連鎖移動停止などの能力も高く、重合反応において効率の良い開始剤が求められる。
【0008】
また、重合方法においても余分な副反応や副生成物が出ない等の視点から、塊状重合法が最も適していると考えられる。
しかしながら、一般に、こうした塊状重合法では、重合反応速度が著しく速く、事実上この塊状重合法を制御することはきわめて困難である。また、重合速度が制御できずに高温度で生成した重合体は、不均化停止により分子の末端基が不安定な状態となったり、低分子量体化したり、逆に先に生成していた重合体からの水素引き抜きなどにより、重合体の分岐化やゲル化が起こりやすい。このため重合体の分子量、分子量分布などの分子設計が困難になることはもとより、重合体の分岐化や不均化停止末端などの生成などにより、精密な分子構造の設計が困難となる。さらに、ゲル化物が急激にかつ大量に生成することがあり、最悪の場合、暴走反応による爆発の危険すらある。
【0009】
こうした中でも、例えば、スチレン、メタクリル酸メチルは、比較的重合速度が遅いという特性を有していることから、塊状重合によっても反応制御が可能であり、古くからその制御法は検討がなされている。そして、こうしたスチレン、メタクリル酸メチル等の塊状重合において、分子量、分子量分布を制御するために、メルカプタンが使用されることがあるが、この場合、使用されるメルカプタンの作用は、重合反応における連鎖移動剤としてのみ作用しており、重合開始においては、重合開始剤の添加もしくは、高温での熱開始重合を利用している。このため、これらの反応で得られる重合体には、重合開始剤由来の化合物が重合体末端に結合しているか、または、熱開始重合の場合には重合体単量体の過酸化物由来の化合物が末端に結合した重合体が含まれるようになり、末端に結合してる化合物の厳密な制御ができていない。また、こうしたメルカプタンを用いた塊状重合反応では、重合中におけるメルカプタン消費速度と、開始剤の消費速度が等速に成らず、重合中にメルカプタンが消費され尽くしても開始剤が反応系に残存している為に、均一に反応を制御することが困難であることが多く、また、塊状重合に供されるモノマーにも制限がある。
【0010】
このような理由から、充分に末端を制御した重合体を得るための重合方法や重合触媒や重合開始剤が、必要とされている。
ところで、重合反応は使用するモノマーによって触媒が異なり、例えばエチレン等の重合触媒としてチタノセンのようなメタロセン化合物が用いられているが、このメタロセン化合物は、光重合において増感剤と共に使用することを除けば、このメタロセン化合物はα-オレフィン以外のモノマーの重合触媒として使用することはほとんど知られていない。特開平9-5996号公報には、付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個有する化合物並びに光重合開始系としてチタノセン化合物および該チタノセン化合物を増感し得る増感剤とを含む光重合組成物において、該組成物がさらに、複素環式チオール化合物を含有するものである光重合性組成物の発明が開示されている。この公報に開示されている発明では、チタノセン化合物は光重合触媒として使用されているのであり、チタノセン化合物を塊状重合の触媒として使用することに関する記載はない。また、この公報に記載されている複素環式チオール化合物は、可視光増感剤である。
【0011】
一般に、チタノセン化合物のようなメタロセン化合物において、硫黄含有化合物は、メタロセン化合物の触媒作用を低減させる化合物であり、上記のように可視光増感剤のような特定の作用効果を示す化合物として硫黄含有化合物を使用することは触媒としてのメタロセン化合物の使用に際しては極めて例外的な使用方法である。即ち、一般には硫黄含有化合物は、触媒としてのメタロセン化合物に対しては触媒毒となる化合物であり、従って、硫黄化合物は、メタロセン化合物を触媒とする反応系に添加されることは通常は考えられない組み合わせである。
【0012】
【発明の目的】
本発明は、メタロセン触媒と分子中に反応性シリル基を少なくとも1つ以上有するチオール類化合物とを用いて重合して得られる、重合体末端基を高度に制御した新規なアクリル系重合体、このアクリル系重合体から得られる硬化性組成物、硬化体およびこれらの用途を提供することを目的としている。
【0013】
【発明の概要】
本発明の反応性アクリル系重合体は、次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール類の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合してなり、
少なくとも1の末端に反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基−S−R0(ただし、R0は反応性シリル基を有する基である)が結合し、かつ、
次式[I]で表される化合物、該式[I]で表される化合物の誘導体および該[I]で表される化合物に含有される金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物または金属を含有することを特徴としている。
また、本発明の反応性アクリル系化合物の製造方法は、次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子内に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール類の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合してなり、得られるアクリル系重合体が少なくとも1の末端に反応性シリル基を有するチオール類から水素原子だ脱離した残基―S-R 0 (ただし、R 0 は、反応性シリル基を有する基である)が結合していることを特徴としている。
【0014】
本発明の硬化性アクリル系重合体は、
次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール類の存在下に、重合性不飽和結 合を有するアクリル系単量体の重合させた重合体であって、少なくとも1の末端に反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基−S−R0(ただし、R0は 反応性シリル基を有する基である)が結合し、かつ、
次式[I]で表される化合物、該式[I]で表される化合物の誘導体および該[I]で表される化合物に含有される金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物または金属を含有する反応性アクリル系重合体を含み、
該反応性アクリル系重合体の主鎖が、下記式[B]で表される繰り返し単位を99重量%以下の量で有すると共に、該式[B]で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位として分子中に1つ以上の反応性シリル基を有する重合性不飽和化合物単量体[D]から誘導される繰り返し単位を1〜50重量%の範囲内の量で有することを特徴としている。
【0015】
本発明の硬化性組成物は、
次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール類の存在下に、
重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合してなり、少なくとも1の末端に反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基−S−R0(ただし、R0は 反応性シリル基を有する基である)が結合し、かつ、
次式[I]で表される化合物、該式[I]で表される化合物の誘導体および該[I]で表される化合物に含有される金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物または金属を含有する反応性アクリル系重合体;
および/または
次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール類の存在下に、
重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合してなり、少なくとも1の末端に反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基−S−R0(ただし、R0は反応性シリル基を有する基である)が結合し、かつ、
次式[I]で表される化合物、該式[I]で表される化合物の誘導体および該[I]で表される化合物に含有される金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物または金属を含有する反応性アクリル系重合体を含み、該反応性アクリル系重合体の主鎖が、下記式[B]で表される繰り返し単位を99重量%以下の量で有すると共に、該式[B]で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位として分子中に1つ以上の反応性シリル基を有する重合性不飽和化合物単量体[D]から誘導される繰り返し単位を1〜50重量%の範囲内の量で有する硬化性アクリル系重合体と、
1分子内に2つ以上の反応性シリル基を有する分子量50000以下の化合物[C]とからなることを特徴としている。
【0016】
本発明の硬化体は、
次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有すチオール類の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合してなり、少なくとも1の末端に反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基−S−R0(ただし、R0は反応性シリル基を有する基である)が結合し、かつ、
次式[I]で表される化合物、該式[I]で表される化合物の誘導体および該[I]で表される化合物に含有される金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物または金属を含有する反応性アクリル系重合体;
次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール類の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合させた重合体であって、少なくとも1の末端に反応性シリル基を有す るチオール類から水素原子が脱離した残基−S−R0(ただし、R0は反応性シリル基を有する基である)が結合し、かつ、
次式[I]で表される化合物、該式[I]で表される化合物の誘導体および該[I]で表される化合物に含有される金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物または金属を含有する反応性アクリル系重合体を含み、該反応性アクリル系重合体の主鎖が、下記式[B]で表される繰り返し単位を99重量%以下の量で有すると共に、該式 [B]で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位として分子中に1つ以上の反応性シリル基を有する重合性不飽和化合物単量体[D]から誘導される繰り返し単位を1〜50重量%の範囲内の量で有することを特徴とする硬化性アクリル系重合体;
および
次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール類の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合してなり、少なくとも1の末端に反応性シリル基を 有するチオール類から水素原子が脱離した残基−S−R0(ただし、R0は反応性シリル基を有する基である)が結合し、かつ、 次式[I]で表される化合物、該式[I]で表される化合物の誘導体および該[I]で表される化合物に含有される金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物または金属を含有する反応性アクリル系重合体を含み、該反応性アクリル系重合体の主鎖が、下記式[B]で表される繰り返し単位を99重量%以下の量で有すると共に、該式[B]で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位として分子中に1つ以上の反応性シリル基を有する重合性不飽和化合物単量体[D]から誘導される繰り返し単位を1〜50重量%の範囲内の量で有する硬化性アクリル系重合体と、1分子内に2つ以上の反応性シリル基を有する分子量50000以下の化合物[C]とからなる硬化性組成物よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の重合体あるいは組成物を、自己縮合および/または縮合架橋させてなることを特徴している。
【0017】
【化9】
【0018】
ただし、上記式[I]において、Mは、長周期型周期表4A族、4B族、5A族の金属、クロムおよびルテニウムよりなる群から選ばれる金属であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、置換基を有することもある脂肪族炭化水素基、置換基を有することもある脂環族炭化水素基、置換基を有することもある芳香族炭化水素基および置換基を有することもあるケイ素含有基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の基、若しくは、水素原子または単結合のいずれかであり、さらに、R1およびR2が共同して上記式[I]で表される化合物中の2個の5員環を結合していてもよく、また、複数の隣接するR1またはR2は、共同して環状構造を形成していてもよく、aおよびbは、それぞれ独立に、1〜4の整数であり、Xは水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されていることもある炭化水素基またはハロゲン原子であり、nは0または金属Mの価数−2の整数である。
【0019】
【化10】
【0020】
ただし、上記式[B]において、R7〜R9はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R10は、水素原子、アルカリ金属原子、炭素数1〜22の炭化水素基(該炭化水素基は直鎖状であっても側鎖を有していてもよく、また、該炭化水素基あるいは該炭化水素基の側鎖を形成する基中の水素原子の少なくとも一部が、塩素原子、フッ素原子、1級のアミノ基、2級のアミノ基、3級のアミノ基、4級のアミン塩類基、アミド基、イソシアネート基、アルキレンオキサイド基、ヒドロキシシリル基、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基、クロロシリル基、ブロモシリル基およびグリシジル基よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の極性基、または、反応性官能基で置換されていてもよく、また該炭化水素基は二重結合を有していてもよく、さらに該炭化水素基は、環状構造を有していてもよい)である。
【0021】
さらに、本発明の塗料、接着剤、粘着剤、表面被覆剤、フィルム、シーリング材、高分子シランカップリング剤は、前記の反応性アクリル系重合体、硬化性アクリル系重合体、硬化性組成物および硬化体よりなる群から選ばれる少なくともいずれかの成分を主成分として含有することを特徴としている。
本発明のアクリル系重合体は、上記特定の式[I]で表されるメタロセン系化合物および分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有すチオール類の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合することにより得られる重合体であり、こうして得られたアクリル系重合体は、分子の少なくとも1の末端に使用した反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基−S−R0(ただし、R0は反応性シリル基を有する基である)が結合しており、この残基は反応性を有している。
【0022】
この反応性アクリル系重合体は、主鎖を形成する繰り返し単位として、上記アクリル系単量体から誘導された繰り返し単位[B]を有することが好ましく、さらに、この繰り返し単位[B]以外の繰り返し単位を有していてもよい。
本発明のアクリル系重合体は、分子の少なくとも1の末端に反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基が結合しており、この残基に起因して反応性を有している。さらに、主鎖に上記式[B]で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位として、分子内に1つ以上の反応性シリル基を有する重合性不飽和単量体[D]から誘導される繰り返し単位を特定量導入することにより、このアクリル系重合体は、自己縮合して、あるいは、カップリング剤などと反応して良好に硬化するとの特性を有するようになる。
【0023】
即ち、本発明者は、アクリル系モノマーの各種重合について検討を重ねた結果、メタロセン化合物と反応性シリル基を有するチオール類とを併用することにより、良好な特性を有する重合物を得ることができることを見出した。更に触媒としてメタロセン化合物と反応性シリル基を有するチオール類とを使用した各種重合により得られる重合体には、少なくとも一部の分子端部に、反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基である−S−R0(R0は上記と同様の意味である、以下同様)が結合しており、この基−S−R0中に存在するシリル基は、硬化剤に対して反応性を有しており、この重合体の末端にある活性基と硬化剤とが反応して、本発明の重合体は硬化する。このような特性を利用して、本発明の重合体、硬化性組成物、樹脂硬化体は、単独であるいは組み合わせて、例えば、粘着剤、接着剤、塗料用ビヒクル、プライマー用樹脂、インキ用バインダー、セメントやモルタル、金属、ガラス等の無機材料表面の被覆コーティング樹脂、シート成形品(通気性シート、保護シート、遮水シート、制振シート、転写シート、調光シート、帯電防止シート、導電シート、養生シート、遮音シート、遮光シート、化粧シート、マーキングシート、難燃シート)、フィルム成形品(マーキング、保護フィルム、インキ定着フィルム、ラミネートフィルム)、発泡体(硬質、軟質、半硬質、難燃)、反応性可塑剤、可塑剤、希釈剤、相溶化剤、ポリマー型のシランカップリング剤、シリカ被覆剤、中間原料として、シリコン樹脂のグラフト剤やブロック剤、シリコンゴムの変性剤等としての変性樹脂用原料、マクロマーとしての各種ブロックポリマーなどの樹脂用原料または、改質用原料、添加剤、更には、繊維改質剤、繊維表面処理剤、紙加工剤、紙改質剤、界面活性剤、分散安定剤、分散媒、溶剤、粘度調整剤、吸着剤、毛髪処理剤、トナー用添加剤、帯電制御剤、帯電防止剤、低収縮剤、防曇剤、防汚剤、親水性付与剤、親油性付与剤、医薬担体、農薬用担体、化粧品用配合剤、滑剤、ポリマーアロイ用添加剤、ゲルコート剤、FRP用樹脂、FRP樹脂用添加剤、人工大理石用樹脂、人工大理石用樹脂添加剤、注入成型品用樹脂、UV・EV硬化樹脂用原料、粘着付与剤、各種バインダー(磁気記録媒体、鋳造用、焼成体用、グラスファイバーサイジング材)、RIM用ウレタン改質剤、合わせガラス用樹脂、制振材、遮音材、分離膜用樹脂、防音材、吸音材、人工皮革、人工皮膚、合成皮革、各種工業用部品、日用品、トイレタリー用成型品、アクリルシリコンゴム、アクリルシリコンゴム改質剤、アクリルシリコンフォーム改質剤、シリコンゴム改質剤、シリコンフォーム可塑剤、シリコンフォーム改質剤、アクリルゴム改質剤などとして使用することができる。
【0024】
【発明の具体的な説明】
次に本発明の反応性アクリル系重合体およびその製造方法、硬化性アクリル系重合体、硬化性組成物、硬化体およびこれらの用途について具体的に説明する。
本発明の反応性アクリル系重合体および硬化性アクリル系重合体は、触媒として、次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子内に反応性シリル基を 有するチオール類を使用し、この触媒の存在下に、重合性不飽和化合物を重合して得られる重合体である。そして、この重合体には、少なくとも1の末端に触媒として使用した反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基(−S−R0)が結合している。ここでは、
R0は反応性シリル基を有する基である。
【0025】
本発明で重合触媒として使用される有機金属化合物は、次式[I]で表すことができる。
【0026】
【化11】
【0027】
ただし、上記式[I]において、Mは、周期律表4A属、4B属、5A属の金属、クロムおよびルテニウムよりなる群から選ばれる金属である。具体的にはMは、チタン、ジルコニウム、クロム、ルテニウム、バナジウム、パラジウム、錫などである。
また、式[I]において、R1およびR2は、それぞれ独立に、
置換基を有することもある脂肪族炭化水素基、
置換基を有することもある脂環族炭化水素基、
置換基を有することもある芳香族炭化水素基、
および
置換基を有することもあるケイ素含有基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の基、水素原子または単結合のいずれかである。
【0028】
さらに、R1およびR2が共同して該2個の5員環を結合していてもよく、また、複数の隣接するR1またはR2は、共同して環状構造を形成していてもよい。
また、式[I]において、aおよびbは、それぞれ独立に、1〜4の整数であり、
Xは塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子または水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されていることもある炭化水素基であり、
nは0または金属Mの価数−2の整数である。
【0029】
このような有機金属化合物の例としては、ジシクロペンタジエン-Ti-ジクロライド、ジシクロペンタジエン-Ti-ビスフェニル、ジシクロペンタジエン-Ti-ビス-2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニ-1-イル、ジシクロペンタジエン-Ti-ビス-2,3,5,6- テトラフルオロフェニ-1-イル、ジシクロペンタジエン-Ti-ビス-2,5,6-トリフルオロフェニ-1-イル、ジシクロペンタジエン-Ti-ビス-2,6-ジフルオロフェニ-1-イル、ジシクロペンタジエン-Ti-ビス-2,4-ジフルオロフェニ-1-イル、ジメチルシクロペンタジエニル-Ti-ビス-2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニ-1-イル、ジメチルシクロペンタジエニル-Ti-ビス-2,3,5,6-テトラフルオロフェニ-1-イル、ジメチルシクロペンタジエニル-Ti-ビス-2,6-ジフルオロフェニ-1-イル、ジメチルシクロペンタジエニル-Ti-ビス-2,6-ジフルオロ-3-(ピル-1-イル)-フェニ-1-イルのようなチタノセン化合物;
ジシクロペンタジエニル-Zr-ジクロライド、ジシクロペンタジエン-Zr-ビスフェニル、ジシクロペンタジエン-Zr-ビス-2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニ-1-イル、ジシクロペンタジエン-Zr-ビス-2,3,5,6-テトラフルオロフェニ-1-イル、ジシクロペンタジエン-Zr-ビス-2,5,6-トリフルオロフェニ-1-イル、ジシクロペンタジエン-Zr-ビス-2,6-ジフルオロフェニ-1-イル、ジシクロペンタジエン-Zr-ビス-2,4- ジフルオロフェニ-1-イル、ジメチルシクロペンタジエニル-Zr-ビス-2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニ-1-イル、ジメチルシクロペンタジエニル-Zr-ビス-2,3,5,6-テトラフルオロフェニ-1-イル、ジメチルシクロペンタジエニル-Zr-ビス-2,6-ジフルオロフェニ-1-イル、ジメチルシクロペンタジエニル-Zr-ビス-2,6-ジフルオロ-3-(ピル-1-イル)-フェニ-1-イル)のようなジルコノセン化合物;
ジシクロペンタジエニル-V-クロライド、ビスメチルシクロペンタジエニル-V-クロライド、ビスペンタメチルシクロペンタジエニル-V-クロライド、
ジシクロペンタジエニル-Ru-クロライド、
ジシクロペンタジエニル-Cr-クロライドなどを挙げることができる。これらの有機金属化合物は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0030】
この有機金属化合物は、通常の触媒量で使用することができ、具体的には、重合させようとする重合性不飽和化合物100重量部に対して、通常は1〜0.001重量部、好ましくは0.01〜0.005重量部の量で使用される。
また、本発明で上記有機金属化合物と共に使用されるチオール類は、反応性シリル基を有するチオール類であり、通常この反応性シリル基を有するチオール類は次の式HS−R0で表される化合物である。
【0031】
ここでR0はシリル基を有する基であり、具体的には、3-メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、3-メルカプトプロピル−トリエトキシシラン、3-メルカプトプロピル−モノメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピル−モノフェニルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピル−ジメチルモノメトキシシラン、3-メルカプトプロピル−モノメチルジエトキシシラン、4-メルカプトブチル−トリメトキシシランおよび3-メルカプトブチル−トリメトキシシランを挙げることができる。
【0032】
このような反応性シリル基を有するチオール類は、反応に際して主として有機金属化合物によって水素原子が引き抜かれて、・S−R0ラジカルが生じ、このラジカルが形成されるポリマーの少なくとも1の末端に導入されるものと考えられる。そして、このようにしてポリマーの末端に導入された反応性シリル基は、この反応によって活性を失うことなく、導入されたシリル基の有する活性がそのまま保持される。
【0033】
このような反応性シリル基を有するチオール類HS−R0から水素原子が脱離することにより、・S−R0が生じ、このラジカルが重合性不飽和化合物に結合して活性化することにより重合が開始する。そして、本発明で使用される有機金属化合物は、この反応性シリル基を有するチオール類HS−R0から水素原子を引き抜き、反応性シリル基を有するチオール類を活性化するために使用される。従って、反応性シリル基を有するチオール類を単独で使用したのでは、重合率が著しく低く、即ち、重合性不飽和化合物は、反応性シリル基を有するチオール類単独では実質的に反応しない。そして、有機金属化合物は、上述のように主として反応性シリル基を有するチオール類を活性化するために使用され、通常は、用いたのと同一の構造の有機金属化合物、即ち、前記式[I]で表される化合物として存在するが、その一部は、反応性シリル基を有するチオール類、重合性不飽和化合物およびこれらの誘導体と結合していることもあり、また、反応の進行と共に、この有機金属化合物が分解して金属が反応系に含有されることもある。
【0034】
上記反応性シリル基を有するチオール類の使用量は得ようとする重合体の特性を考慮して適宜設定することができる。即ち、反応系における反応性シリル基を有するチオール濃度が増大すると単位時間あたりの重合率が高くなり、また、到達重合率も高くなる。この際、有機金属化合物の量が多くなると単位時間あたりの重合率が高くなるが、到達重合率には大きな影響を及ぼさない。また、有機金属化合物の使用量は、得られる重合体の分子量に対してほとんど影響を与えないが、この有機金属化合物を使用しないと、反応は有効には進行しない。さらに、チオール類の使用量を多くすると重合速度が高くなる。こうした傾向から、本発明の触媒において、有機金属化合物が反応全体において活性化触媒的に作用し、チオール類は、重合開始作用がある(重合開始種的に作用する)と考えられる。このように本発明の触媒において、反応性シリル基を有するチオール類の使用量は、分子量、重合率の律則となっていると考えられる。
【0035】
従って、反応性シリル基を有するチオール類の使用量は、得ようとする重合体の分子量、重合速度等を考慮して適宜設定することができるが、反応を円滑に進め、かつ反応を暴走させないためには、有機金属化合物と反応性シリル基を有するチオール類とは通常は100:1〜1:50000の範囲内のモル比、好ましくは10:1〜1:10000のモル比で使用される。
【0036】
なお、この反応性シリル基を有するチオール類は、反応開始時に全量添加することもできるし、反応性シリル基を有するチオール類を最初に加えて、所望の時間反応させた後、さらに反応性シリル基を有するチオール類を追加添加することもできるし、反応性シリル基を有するチオール類と重合性不飽和化合物の両者を追加添加することもできる。このように反応性シリル基を有するチオール類の追加添加、あるいは、反応性シリル基を有するチオール類と重合性不飽和化合物との追加添加により、重合率が向上する。
【0037】
本発明の反応性アクリル系重合体は、上記特定の式[I]で表される有機金属化合物と反応性シリル基を有するチオール類とを用いて重合性不飽和化合物を反応させることにより得られるものであるが、この反応性シリル基を有するチオール類に加えて、本発明では、さらに、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、ターシャリードデシルメルカプタン、ノルマルドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のチオール基以外の官能基を有しないアルキルチオール類、フェニルメルカプタン、ベンジルメルカプタン等のチオール基以外の官能基を有しない芳香族系チオール類等のチオール化合物や、β-メルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノール,チオフェノールなどのような、チオール基以外にも官能基を有するチオール類、更には、トリチオグリセリンやペンタエリスリトールをβ−メルカプトプロピオン酸にてエステル化した多官能チオール化合物、また、ポリサルファイド系ポリマーのような活性のチオール基を有すポリマー型チオールを併用することも可能である。
【0038】
さらに、本発明では、重合開始触媒としての上記有機金属化合物および反応性シリル基を有するチオール類以外に、重合速度や重合度を調整することを目的として、ジスルフィド化合物、トリスルフィド化合物、テトラスルフィド化合物を使用することができる。
ここで使用することができる重合調整剤として使用されるジスルフィド化合物、トリスルフィド化合物、テトラスルフィド化合物の例としては、ジエチルトリスルフィド、ジブチルテトラスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ジスルフィド、ビス(4-ヒドロキシブチル)テトラスルフィド、ビス(3-ヒドロキシプロピル)トリスルフィド、ビス(3-カルボキシプロピル)トリスルフィド、ビス(3-カルボキシプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-プロピルトリメトキシシラン)ジスルフィド、ビス(3-プロピルトリエトキシシラン)テトラスルフィドなどを挙げることができる。これらのスルフィド化合物は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。このようなスルフィド化合物は、本発明の重合において、重合を失活させない程度に使用することができ、具体的には、重合させようとする重合性不飽和化合物100重量部に対して、通常は50〜0重量部、好ましくは20〜0.005重量部の量で使用される。
【0039】
本発明の反応性アクリル系重合体を形成する主鎖は、以下に記載するような重合性不飽和化合物を重合させることにより形成される。このような重合性不飽和化合物の例としては、次式[A]および[A−1]〜[A−2]で表され重合性不飽和化合物を挙げることができる。
【0040】
【化12】
【0041】
ただし、上記式[A]において、R7〜R9はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R10は、水素原子、アルカリ金属原子、炭素数1〜22の炭化水素基(該炭化水素基は直鎖状であっても側鎖を有していてもよく、また、該炭化水素基あるいは該炭化水素基の側鎖を形成する基中の水素原子の少なくとも一部が、塩素原子、フッ素原子、1級のアミノ基、2級のアミノ基、3級のアミノ基、4級のアミン塩類基、アミド基、イソシアネート基、アルキレンオキサイド基、ヒドロキシシリル基、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基、クロロシリル基、ブロモシリル基およびグリシジル基よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の極性基、または、反応性官能基で置換されていてもよく、また該炭化水素基は二重結合を有していてもよく、さらに該炭化水素基は、環状構造を有していてもよい)である。即ち、このR10の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルエーテル基を挙げることができる。この基R10を構成する水素原子の少なくとも一部は、ハロゲン原子、スルホン酸基、グリシジル基等で置換されていてもよい。
【0042】
【化13】
【0043】
ただし、式[A−1]において、R11〜R13は、前記R7〜R9と同じ意味であり、R14は、水酸基、−CO−NH2基、−CN基、グリシジル基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、アリルエーテル基、アルキルエーテル基のいずれかの基である。この基R14を構成する水素原子の少なくとも一部は、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。また、この基R14は、アルキレングリコールから誘導される構成単位、メチロール基、アルコキシアミド基を有する基であってもよい。
【0044】
【化14】
【0045】
ただし、式[A−2]において、R15およびR17は、前記R7〜R9と同じ意味であり、R16およびR18は、それぞれ独立に、カルボキシル基、水酸基、−CO−NH2基、−CN基、グリシジル基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基のいずれかの基である。この基R16およびR18を構成する水素原子の少なくとも一部は、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。また、この基R16およびR18はR15およびR17の結合した2個の炭素原子と共同して環状構造を形成していてもよく、この環状構造が2重結合を有していてもよい。
【0046】
このような重合性不飽和化合物の具体例としては、以下に示す化合物を挙げることができる。
アクリル酸およびアクリル酸アルカリ金属塩などの塩;
メタアクリル酸およびメタクリル酸アルカリ金属塩などの塩;
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシルのようなアクリル酸アルキルエステル;
アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジルのようなアクリル酸アリールエステル;
アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸プロポキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸エトキシプロピルのようなアクリル酸アルコキシアルキル;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシルのようなメタアクリル酸アルキルエステル;
メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジルのようなメタクリル酸アリールエステル;
メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸プロポキシエチル、メタクリル酸ブトキシエチル、メタクリル酸エトキシプロピルのようなメタクリル酸アルコキシアルキル;
エチレングリコールのジアクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジアクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジアクリル酸エステル、プロピレングリコールのジアクリル酸エスエル、ジプロピレングリコールのジアクリル酸エスエル、トリプロピレングリコールのジアクリル酸エステルのような(ポリ)アルキレングリコールのジアクリル酸エステル;
エチレングリコールのジメタクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジメタクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジアクリル酸エステル、プロピレングリコールのジメタクリル酸エスエル、ジプロピレングリコールのジメタクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジメタクリル酸エステルのような(ポリ)アルキレングリコールのジメタアクリル酸エステル;
トリメチロールプロパントリアクリル酸エステルのような多価アクリル酸エステル;
トリメチロールプロパントリメタクリル酸エステルのような多価メタクリル酸エステル;
アクリロニトリル;メタクリロニトリル;酢酸ビニル;塩化ビニリデン;
アクリル酸-2-クロロエチル、メタクリル酸-2-クロロエチルのようなハロゲン化ビニル化合物;
アクリル酸シクロヘキシルのような脂環式アルコールのアクリル酸エステル;
メタクリル酸シクロヘキシルのような脂環式アルコールのメタクリル酸エステル;
2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物;
アクリロイルアジリジン、メタクリロイルアジリジン、アクリル酸-2-アジリジニルエチル、メタクリル酸-2-アジリジニルエチルのようなアジリジン基含有重合性化合物;
アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル、アクリル酸グリシジルエーテル、アクリル酸-2-エチルグリシジルエーテル、メタクリル酸-2-エチルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有ビニル単量体;
アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸またはメタクリル酸とポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニル化合物;
フッ素置換メタクリル酸アルキルエステル、フッ素置換アクリル酸アルキルエステル等の含フッ素ビニル単量体;
(メタ)アクリル酸を除く、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸、これらの塩並びにこれらの(部分)エステル化合物および酸無水物;
2-クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニル単量体;
メタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-メトキシエチルメタクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミドのようなアミド基含有ビニル単量体;
ならびに、
エチルデンノルボルネン、イソプレン、ペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、クロロプレン、ブタジエン、メチルブタジエン、シクロブタジエン、メチルブタジエンのようなジエン化合物。
【0047】
その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類等(例えば、フッ素系モノマー、シリコン含有モノマー、マクロモノマー、スチレン、シリコン等)を例示することができる。
これらの重合性不飽和化合物は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらの重合性不飽和化合物は、反応条件において、液体であっても固体であってもよく、また気体であってもよいが、操作の簡便さから反応の際に液体であるモノマーを用いることが好ましい。
【0048】
本発明の重合体は、有機金属化合物と反応性シリル基を有するチオール類とからなる重合用触媒の存在下に、重合性不飽和化合物の各種重合法によって得られる重合体であり、少なくとも1の分子末端に、反応性シリル基を有するチオール類から硫黄原子に結合した水素が脱離した・S−R0が結合している。
上記のような重合性不飽和化合物を重合させることにより、使用する重合性不飽和化合物に対応して、その主鎖中には、例えば次式[B]および[B−1]〜[B−2]で表される繰り返し単位が形成される。
【0049】
【化15】
【0050】
ただし、上記式[B]において、R7〜R9はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R10は、水素原子、アルカリ金属原子、炭素数1〜22の炭化水素基(該炭化水素基は直鎖状であっても側鎖を有していてもよく、また、該炭化水素基あるいは該炭化水素基の側鎖を形成する基中の水素原子の少なくとも一部が、塩素原子、フッ素原子、1級のアミノ基、2級のアミノ基、3級のアミノ基、4級のアミン塩類基、アミド基、イソシアネート基、アルキレンオキサイド基、ヒドロキシシリル基、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基、クロロシリル基、ブロモシリル基およびグリシジル基よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の極性基、または、反応性官能基で置換されていてもよく、また該炭化水素基は二重結合を有していてもよく、さらに該炭化水素基は、環状構造を有していてもよい)である。即ち、このR10の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルエーテル基を挙げることができる。この基R10を構成する水素原子の少なくとも一部は、ハロゲン原子、スルホン酸基、グリシジル基等で置換されていてもよい。
【0051】
【化16】
【0052】
ただし、式[B−1]において、R11〜R13は、前記R7〜R9と同じ意味であり、R14は、水酸基、−CO−NH2基、−CN基、グリシジル基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、アリルエーテル基、アルキルエーテル基のいずれかの基である。この基R14を構成する水素原子の少なくとも一部は、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。また、この基R14は、アルキレングリコールから誘導される構成単位、アルコキシシリル基、アルキルアルコキシシリル基、メチロール基、アルコキシアミド基を有する基であってもよい。
【0053】
【化17】
【0054】
ただし、式[B−2]において、R15およびR17は、前記R7〜R9と同じ意味であり、R16およびR18は、それぞれ独立に、カルボキシル基、水酸基、−CO−NH2基、−CN基、グリシジル基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基のいずれかの基である。この基R16およびR18を構成する水素原子の少なくとも一部は、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。また、この基R16およびR18はR15およびR17の結合した2個の炭素原子と共同して環状構造を形成していてもよく、この環状構造が2重結合を有していてもよい。
【0055】
また、本発明の反応性アクリル系重合体を製造するに際して、反応性シリル基を有する重合性不飽和単量体[D]を共重合させることができる。
ここで使用される反応性シリル基を有する重合性不飽和単量体[D]は、例えば次式で表すことができる。
【0056】
【化18】
【0057】
ただし、上記式において、R21、R23は前記R7〜R9と同じ意味であり、R22は、水素原子、ハロゲン原子、−CN基、グリシジル基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、アリルエーテル基、アルキルエーテル基、アルコキシシリル基、アルキルアルコキシシリル基のいずれかの基または原子である。この基R22が水素原子、ハロゲン原子以外の基である場合において、この基を構成する水素原子の少なくとも一部は、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。また、この基R22は、アルキレングリコールから誘導される構成単位、アルコキシシリル基、アルキルアルコキシシリル基、メチロール基、アルコキシアミド基を有する基であってもよい。また、R24は、-CO-O-、-CH2-、-C2H4-、-CO-O-C2H4-、-CO-O-C2H4-O-等の2価の基または単結合である。さらに、R25、R26、R27はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、水素原子、ハロゲン原子のいずれかである。
【0058】
上記式[D]で表される化合物を共重合させることにより、次式[D−1]で表される繰り返し単位が主鎖に導入される。
【0059】
【化19】
【0060】
ただし、上記式[D−1]において、R21〜R27は、上記式[D]におけるのと同じ意味である。
本発明の反応性アクリル系重合体の主鎖には、上記式[D−1]で表される繰り返し単位は、全繰り返し単位中に1〜50重量%の量で導入されていることが好ましく、さらに5〜30重量%の量で導入されていることが特に好ましい(この導入率は、モノマー換算値である)。このような量で繰り返し単位[D−1]を導入することにより、この反応性アクリル系重合体は、自己反応硬化性を有するようになると共に、例えば反応性のアルコキシシリル基を有すシランカップリング剤、シラノール化合物、テトラエトキシチタン等のアルコキシ金属や、金属アルコレート等の金属キレート化物、シリコーン樹脂のようなアルコキシシリル基を有す樹脂組成物と反応して硬化体を良好に形成することができるようになる。なお、上記式[D−1]で表される繰り返し単位は、化合物[D]を用いることにより導入できるほか、アクリル系重合体を調製した後、反応性シリル基を有する化合物と得られたアクリル系重合体とを反応させることによっても導入することが可能である。
【0061】
上記のような式[D−1]で表される繰り返し単位を形成可能な単量体[D]の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ-ビニル-モノクロロジメトキシシラン、γ-ビニル-トリクロロシラン、γ-ビニル-ジクロロ-モノメチルシラン等のビニル基に反応性シリル基が直接導入されたビニル化合物単量体;
γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルモノメチルジメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の反応性の高い(メタ)アクリロイル基に反応性シリル基が導入されているアクリル系単量体;
更には、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン等のように重合性不飽和基を有す化合物に反応性シリル基が導入されている重合性単量体を挙げることができる。
【0062】
上記反応性アクリル系重合体、特に上記式[D−1]で表される繰り返し単位を有する硬化性アクリル系重合体は、式[I]で表される化合物および反応性シリル基を有するチオール類の存在下に、上記重合性不飽和化合物を(共)重合させることにより製造することができる。この反応は溶媒、分散媒の有無に拘わらず行うことが出来るが、反応性シリル基の安定性の面から、非水系の重合が好適である。
【0063】
この重合反応は、通常は、不活性ガス雰囲気中で行われ、通常のラジカル重合法で行われる条件を使用することができる。従って、この重合反応系には、酸素のような活性ガスは存在しない。ここで使用される不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスおよび炭酸ガスを挙げることができる。
なお、本発明は、上記のように特定の有機金属化合物と反応性シリル基を有するチオール類との存在下に、重合性不飽和化合物を重合させることにより得られる、少なくとも1の末端(多くの場合重合体のほとんどの末端)に反応性シリル基を有するチオール類から硫黄原子に結合している水素原子が脱離した残基(−S−R0)が結合している重合体である。
【0064】
この重合において、触媒として使用される上述の式[I]で表される有機金属化合物と反応性シリル基を有するチオール類とからなる重合用触媒は、通常の触媒量で使用することができるが、上記重合性不飽和化合物の不飽和基モル数1モルに対し、式[I]で表される有機金属化合物は通常は0.0000001〜0.0001モル、好ましくは、使用する反応性シリル基を有するチオール類のモル数に合わせ、有機金属化合物と反応性シリル基を有するチオール類とのモル比が10:1〜1:10000になるように使用する。反応性シリル基を有するチオール類は、通常は0.00001〜0.7モル、好ましくは0.0001〜0.5モルの範囲内で使用される。
【0065】
こうした重合反応は、重合性不飽和化合物の種類によって、加熱あるいは加温下に行うこともできるし、冷却しながら行うこともできるが、この重合反応温度は0〜150℃の範囲内に設定することが好ましく、さらに25〜120℃の範囲内に設定することが特に好ましい。重合反応温度を上記範囲内に設定することにより、反応を暴走させることなく安定に進行させることができる。使用する重合性不飽和化合物の不飽和基の活性にもよるが、比較的重合性の高いアクリル酸エステル系の重合性不飽和化合物を用いた場合でも、反応温度を0℃以下とした場合、式[I]で表す有機金属化合物および反応性シリル基を有するチオール類の触媒としての活性が低くなり、充分な重合率を達成するために必要な時間が長くなり、効率が悪い。さらに、スチレン型不飽和化合物のように重合活性が低い化合物を用いた場合でも、25℃以上の条件であれば、充分な重合率を達成することができる。
【0066】
また、反応温度を150℃以上とした場合は重合反応中に著しい発熱による暴走反応の危険性が生ずる。重合温度を120℃以下と設定することにより反応を暴走させることなく、反応の円滑な進行を維持することができる。
本発明の重合において、反応時間は、重合率、分子量等を考慮して適宜設定することができるが、例えば上記のような条件では反応時間は、通常は2〜12時間、好ましくは2〜8時間の範囲内に設定することが好ましい。
【0067】
この重合反応は、反応物の温度を下げ、さらに好ましくはベンゾキノンなどの重合反応停止剤を添加することにより停止することができる。上記の ように重合を行うことにより、通常は40%以上、好ましくは60%以上の重合率の重合体が得られる。
また、得られた重合体について、ゲルパーミエーション クロマトグラフィ(GPC)
を用いて測定した重量平均分子量(Mw)は、通常は500〜1000000、好ましくは1000〜300000の範囲内にあり、数平均分子量(Mn)は、通常は500〜1000000、好ましくは1000〜100000の範囲内にある。また、分散指数(=重量平均分子量/数平均分子量)は、通常は1.02〜9.0、好ましくは1.2〜3.0の範囲内にある。
【0068】
本発明の重合触媒を用いて重合させることにより得られる重合体中には、特に脱灰工程を設けない場合には、有機金属化合物が混在している。また、得られる重合体の分子の末端の少なくとも一部には、用いたチオール類から誘導される硫黄含有基が結合している。即ち、上記のような触媒を用いた重合では、重合開始種として、反応性シリル基を有するチオール類を用いているが、通常これら反応性シリル基を有するチオール類は単独では重合開始種としての活性を有していない。しかし、式[I]で表される有機金属化合物を用いた場合、反応性シリル基を有するチオール化合物から誘導され得る反応性シリル基を有するチオール基が、有機金属触媒により重合開始可能な活性種となり、モノマーに対し開始種となり得る。この為、この反応においてモノマー量に対する反応性シリル基を有するチオール類の量が増大することにより、単位時間当たりの重合率は向上する。そして、得られる重合体の重合開始末端には、用いた反応性シリル基を有するチオール類から誘導される硫黄含有基が結合することとなる。但し、ここで用いた反応性シリル基を有するチオール類は、重合開始種として作用する以外に、連鎖移動剤としても作用しており、反応性シリル基を有するチオール類の量により、分子量(重合度)および重合率が大きく左右される。これらの現象から推察するに、本反応での重合の進行および、停止は、ラジカル重合であると推察できる。また、連鎖移動により水素引き抜きをされた反応性シリル基を有するチオール類の有するチオラジカル(・S)は、再び、重合開始種として、モノマーを攻撃する。この為、本重合法にて得られるポリマーは、反応性シリル基を有するチオール類の使用量に拘わらず、生成した重合体の末端に、用いた反応性シリル基を有するチオール類から誘導される硫黄含有基が結合することとなる。
【0069】
本発明の反応系は、アルコールなどの極性有機溶媒や、水などの分散媒中においても、溶液重合や塊状重合で行った場合と同様に重合ができることから、重合における反応はラジカル反応が支配的と考えられる。その為、得られる重合体の反応停止末端は、シリル基を有するチオール類による連鎖移動による水素、または、ラジカル化したチオラジカルを有すチオール類および成長ポリマーラジカルとのラジカルカップリングによるシリル基を有するチオール類から誘導される硫黄含有基であると考えられる。
【0070】
得られる重合体中には、有機金属化合物が、そのままの形で、あるいは他の有機基と結合して、さらには金属として残留する。また、反応性シリル基を有するチオール類は、直接重合体の生成反応に寄与し、自らが分解しながら反応が進行することから、反応性シリル基を有するチオール類から誘導される末端基が、重合体末端に導入される。
【0071】
このように末端に結合している反応性シリル基を有するチオール類から誘導される基中の反応性シリル基の活性は上記重合によって損なわれることはなく、調製された重合体においてもその活性は保持される。
上記の推定および反応進行は、本発明の反応における種々の現象から本発明者が最も合理的に推定できると考えているものであり、本発明がこれによって限定されるものではないことは勿論である。
【0072】
また、本発明の硬化性アクリル系重合体は、
上記式[I]で表されるメタロセン化合物および分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール類の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体の重合させた重合体であって、少なくとも1の末端にチオール類から水素原子が脱離した残基−S−R0(ただし、R0は反応性シリル基を有する基である)が結合している反応性アクリル系重合体を含み、該反応性アクリル系重合体の主鎖が、上記式[B]で表される繰り返し単位を99重量%以下、好ましくは95〜70重量%の量で有すると共に、この式[B]で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位として分子中に1つ以上の反応性シリル基を有する重合性不飽和化合物単量体[D]から誘導される繰り返し単位を1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲内の量で有する。
【0073】
この硬化性アクリル系重合体は、上記式[B]で表される繰り返し単位を有し、さらに、上記式[D]で表される重合性不飽和化合物単量体から誘導される繰り返し単位を有するが、さらに、例えば[B−1]および[B−2]で表される繰り返し単位、その他(エチレンやプロピレンなどの2、3量体)などの反応性不飽和結合を有する単量体から誘導される繰り返し単位を有していても良い。これらの他の単量体から誘導される繰り返し単位の共重合量は、通常は0〜40重量%、好ましくは0〜20重量%である。なお、本発明における重合量は、(共)重合体中における各繰り返し単位の共重合量は、全体を100重量%としたときの値である。
【0074】
このような硬化性アクリル系重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した重量平均分子量(Mw)は、通 常は500〜1000000、好ましくは1000〜300000の範囲内にあり、数平均分子量(Mn)は、通常は500〜1000000、好ましくは1000〜100000の範囲内にある。また、分散指数(=重量平均分子量/数平均分子量)は、通常は1.02〜9.0、好ましくは1.2〜3.0の範囲 内にある。
【0075】
このような硬化性アクリル系重合体は、溶剤を含んだ状態もしくは、樹脂分として100%の状態で、通常は粘稠な液体であるが、硬化剤等を配合して反応させることにより硬化する。そして、この硬化体は、弾性および可撓性を有している。
上記のような繰り返し単位を有し、重合体の末端にシリル基を有するチオール類から誘導される成分単位を有するアクリル系重合体は、主鎖中に導入された式[D]に由来する反応性シリル基および分子末端に導入された反応性シリル基は、高い反応性を有しており、この硬化性アクリル系重合体は、自己縮合反応、縮合架橋反応、あるいは、自己縮合反応と縮合架橋反応とを併合させることにより、硬化するとの特性を有している。
【0076】
本発明の硬化性アクリル系重合体は、単独で重合硬化することができるし、また、反応促進触媒を用いて反応硬化させることができる。すなわち、本発明の硬化性アクリル系重合体を硬化する際に使用する反応促進触媒としては、アミン類、スズ系金属触媒、チタン系金属触媒、ビスマス系金属触媒およびアルミニウム系金属触媒を挙げることができる。
【0077】
本発明で反応促進触媒として使用可能なアミン類の例としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、アニリンおよびパラトルイジン等の塩基性アミノ基を有す化合物を挙げることができ、スズ系金属触媒の例としては、ジブチルスズジラウレート、ビス-アセチルアセトナト-ジブチルスズ、ジブチルスズジマレエートおよびジマレエートスズ等の4価または2価の有機スズ系化合物を挙げることができ、チタン系金属触媒の例としては、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、ジメチル-ジメトキシチタンおよびジブチルチタンを挙げることができ、ビスマス系金属触媒の例としては、ジブチル-ジラウレートビスマスおよびビス-アセチルアセトナト-ジブチルビスマス等の有機ビスマス化合物を挙げることができ、アルミニウム系金属触媒の例としては、トリアセチルアセトナトアルミニウム、モノブトキシ-ジアセチルアセトナトアルミニウムおよびモノアセト酢酸エチル-ビスアセチルアセトナトアルミニウム等のアルミニウムキレート類を挙げることができる。これらの反応促進触媒は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。このような反応促進触媒は、式[I]で表される化合物100重量部に対して、通常は10〜0.001重量部、好ましくは1〜0.01重量部の範囲内の量で使用することができる。
【0078】
上記の硬化性重合体は、1分子内に2つ以上の反応性シリル基を有する分子量50000以下、好ましくは分子量100〜1000の化合物[C]と共に使用することによりこれらと反応して硬化するとの特性を有する。このような1分子内に2つ以上の反応性シリル基を有する特定の分子量を有する化合物[C]は、通常はシランカップリング剤として知られており、本発明では、一般にシランカップリング剤として用いられている化合物を使用することができる。
【0079】
ここで使用することができるシランカップリング剤に特に制限はないが、この硬化性アクリル系重合体と共に使用することが好ましいシランカップリング剤の例としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメトキシシランおよびγ-クロロプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
【0080】
これらのシランカップリング剤は、硬化性アクリル系重合体100重量部に対して、通常は0.1〜200重量部、好ましくは1〜50重量部の範囲内の量で使用することができる。
このようなシランカップリング剤に上述のアクリル系重合体を少量づつ添加することにより、アクリル系重合体にシランカップリング剤の有する反応性シリル基の一部が結合して、アクリル系重合体に反応性シランカップリング剤をその活性を損なうことことなく導入することができる。
【0081】
本発明の硬化性組成物は、上述した反応性アクリル系重合体および/または硬化性アクリル系重合体と、
上記1分子内に2つ以上の反応性シリル基を有する分子量50000以下の化合物[C](すなわちシランカップリング剤)とからなる。
このような本発明の硬化性組成物は、上記成分を混合することにより、あるいは大気中の水分を吸収しながら架橋構造を形成することにより硬化するとの特性を有する。この硬化反応は室温で進行することから、本発明の硬化性組成物では、貯蔵中あるいは移送中など、この組成物を使用する前に硬化することがなく、しかも、使用の際には迅速に硬化することが好ましく、通常は反応性あるいは硬化性アクリル系重合体が大気と接触しないように梱包すると共に、反応促進触媒、シランカップリング剤と、硬化性組成物あるいは硬化性アクリル系重合体とが接触しないように個別に梱包されていることが好ましい。こうした別包された各成分は、使用前に開封されて混合して使用する。
【0082】
なお、本発明の硬化性組成物には、有機溶媒が含有されていないことが好ましいが、必要により、有機溶媒が含有されていてもよい。また、本発明の硬化性組成物には、上記成分のほかに、粘度調製剤、粘度調整用溶剤、可塑剤、炭酸カルシウムなどの充填剤、表面処理済みのシリカ、酸化防止剤、UV吸収剤、ラジカルトラップ剤、消泡剤、タレ防止剤、ワキ防止剤、チキソ剤、顔料、染料などを配合することもできる。
【0083】
本発明の硬化体は、上記反応性アクリル系重合体、硬化性アクリル系重合体、および硬化性組成物のいずれかまたはこれらを組み合わせて使用し、これら自己縮合により、あるいは配合成分により架橋反応により硬化した硬化物である。
この硬化体は、通常は用いたアクリル系単量体の組成により、高い硬度を有す剛性体から、柔らかく軟質性の重合物となり、いずれの重合体も良好な弾性と可撓性とを有している。さらにアクリル系単量体、低分子アクリル系重合体、その他の重合性成分とさらに反応するとの特性を有している。
【0084】
しかもこの硬化体は、塊状重合または溶液重合により製造されることから、乳化重合、分散重合等により製造される重合体に含有されている分散剤、界面活性剤などの親水性成分を有しておらず、優れた耐水性を有し、しかもこの優れた耐水性が経時的に変化しにくい。
本発明の反応性アクリル系重合体、硬化性アクリル系重合体、硬化性組成物および硬化体には、触媒として使用される式[I]で表される有機金属化合物、あるいは、この有機金属化合物を構成する有機金属、この金属が他の成分と結合した化合物、あるいは金属が使用した触媒量に対応した量で残留している。この有機金属化合物、金属あるいはこの金属を含む化合物は、得られた重合体を有機溶媒などに溶解して有機金属化合物を分離するなど、通常の脱灰工程により除去することもできるが、シリル基を有するチオール類が存在しなければ、有効な反応触媒としては機能しないこと、この有機金属化合物の量が非常に少量であることから、特にこの有機金属化合物を分離することを必要とするものではないが、必要により脱灰して除去することもできる。
【0085】
上述した本発明の反応性アクリル系重合体、硬化性アクリル系重合体、硬化性組成物および硬化体は、それぞれ単独であるいはこれらを組み合わせて、種々の用途における主成分として使用することができる。
すなわち、本発明の反応性アクリル系重合体、硬化性アクリル系重合体、硬化性組成物および硬化体は、弾性および可撓性を有する樹脂であり、しかもその分子量や樹脂溶液中の樹脂濃度などを調整することにより、ペレット状の固形物から粘稠な液体まで様々な形態で得られる。しかも、この重合体は反応性シリル基を有するチオール類等に起因する反応性を有していることから、この重合体は依然として反応性を有しており、反応促進触媒、カップリング剤により、あるいは自己縮合して反応硬化させることができる。
【0086】
そして、本発明の重合体あるいは硬化体は、塊状重合または溶液重合により製造されることから、乳化重合、分散重合等により製造される重合体に含有されている分散剤、界面活性剤などの親水性成分を含有してない。
このため本発明の重合体あるいは硬化体を主成分として用いて得られた硬化物は、良好な耐水性を示し、さらに非常に緻密な硬化物であり、しかも可撓性を有すると共に弾性を有するというアクリル系重合体として極めて特異的な性状を示す。
【0087】
本発明では、こうしたこの重合体あるいは硬化体の有する特異的特性を利用して、この重合体あるいは硬化体を種々の用途を提供する。
本発明の塗料は、前記の反応性アクリル系重合体、硬化性アクリル系重合体、硬化性組成物、硬化体の少なくともいずれかを主成分として含有するものであり、通常は染料あるいは顔料などの色材を含有している。本発明の塗料は、有機溶媒に上記成分を溶解もしくは分散したものであってもよいが、塊状重合にて得られた重合体も分子量が充分小さい場合、粘稠な液体であることから、無溶剤型の塗料とすることができる。そして、この溶媒を実質的に含有しない塗料は、粘稠な液体であり、通常は、良好なセルフレベリング性を有している。
【0088】
本発明の接着剤は、前記の反応性アクリル系重合体、硬化性アクリル系重合体、硬化性組成物、硬化体の少なくともいずれかを主成分として含有している。この接着剤は、反応硬化性の接着剤であり、しかも硬化体が可撓性および弾性を有することが多く、従って本発明の接着剤によれば、接着により生ずる内部応力を拡散することができる。
【0089】
本発明の粘着剤は、同様に、前記の反応性アクリル系重合体、硬化性アクリル系重合体、硬化性組成物、硬化体の少なくともいずれかを主成分として含有するものであり、他の接着剤中などに配合することにより、良好なタック性を付与することができる。
本発明の表面被覆剤は、前記の反応性アクリル系重合体、硬化性アクリル系重合体、硬化性組成物、硬化体の少なくともいずれかを主成分として含有するものであり、被覆される対象の表面に薄膜を形成して被覆対象物の表面を保護する。特に本発明の表面被覆剤は、可撓性および弾性を有することから、被覆対象物が可動部を有するようなもの、あるいはその形態が変化するものであっても良好に被覆することができる。また、本発明の表面被覆剤は、良好な透明性を有していることから、被覆対象物の色調などを損なうことなく、被覆することができる。更には、アクリル樹脂の骨格と、架橋点となるシロキサンの骨格を有すことによって、良好な耐熱性、耐候性、耐薬品性、耐UV変色性を示す。また、反応活性点として、活性の高いアルコキシシリル基を有していることから、ガラスやコンクリート、鋼板等の無機材料表面にも従来にない良好な接着性を有している。
【0090】
本発明のフィルムは、前記の反応性アクリル系重合体、硬化性アクリル系重合体、硬化性組成物、硬化体の少なくともいずれかを主成分として含有するものであり、透明性に優れていると共に、このフィルムは可撓性および弾性を有している。また、アクリルの骨格とシロキサンの架橋点を有していることから、優れた耐光性を有す。
【0091】
本発明のシーリング剤は、前記の反応性アクリル系重合体、硬化性アクリル系重合体、硬化性組成物、硬化体の少なくともいずれかを主成分として含有するものであり、必要により、充填剤、タレ防止剤、顔料、酸化防止剤等を配合することができる。本発明のシーリング剤は、実質的に有機溶媒を含有せず、自己硬化することから、非常に密閉性がよい。また、このシーリング剤は、可撓性および弾性を有することから、形態追随性がよく、シーリングされる部分の形態に拘わらず非常に高い精度でシーリングをすることができる。
【0092】
また、本発明の高分子シランカップリング剤は、前記の反応性アクリル系重合体、硬化性アクリル系重合体、硬化性組成物、硬化体の少なくともいずれかを主成分として含有するものであり、この高分子シランカップリング剤は、重合性アクリル単量体の組成や極性基を調整することにより、複数の官能基を有すカップリング剤となり、通常のシランカップリング剤を複数用いて、接着信頼性を向上させずとも、この高分子シランカップリング剤を用いることで、充分な接着信頼性を得ることができる。また、この高分子シランカップリング剤を用いた樹脂は、通常のシランカップリング剤を用いた樹脂と比べて、有機化合物に対する遮蔽効果が向上するため、プライマーとしての効果を有している。すなわち、本発明の高分子シランカップリング剤は、通常のシランカップリング剤に比べ。添加効果が大きく、良好なカップリング効果が得られる。
る。
【0093】
本発明の反応性アクリル系重合体、硬化性アクリル系重合体、硬化性組成物、硬化体の用途は、上記詳述したものに限らず、さらに、本発明の重合体が、硬化性を有するとの特性を利用した用途、あるいは、硬化体の弾性を利用した用途、さらにこの重合体が粘稠な液体であることを利用した用途等の使用することができる。例えば、粘着剤、接着剤、塗料用ビヒクル、プライマー用樹脂、インキ用バインダー、セメントやモルタル、金属、ガラス等の無機材料表面の被覆コーティング樹脂、シート成形品(例;通気性シート、保護シート、遮水シート、制振シート、転写シート、調光シート、帯電防止シート、導電シート、養生シート、遮音シート、遮光シート、化粧シート、マーキングシート、難燃シート)、フィルム成形品(例;マーキングフィルム、保護フィルム、インキ定着フィルム、ラミネートフィルム)、発泡体(硬質発泡体、軟質発泡体、半硬質発泡体、難燃発泡体などを含む)、反応性可塑剤、可塑剤、希釈剤、相溶化剤、ポリマー型のシランカップリング剤、シリカ被覆剤、中間原料として、シリコン樹脂のグラフト剤やブロック剤、シリコンゴムの変性剤等としての変性樹脂用原料、マクロマーとしての各種ブロックポリマーなどの樹脂用原料または、改質用原料、添加剤、更には、繊維改質剤、繊維表面処理剤、紙加工剤、紙改質剤、界面活性剤、分散安定剤、分散媒、溶剤、粘度調整剤、吸着剤、毛髪処理剤、トナー用添加剤、帯電制御剤、帯電防止剤、低収縮剤、防曇剤、防汚剤、親水性付与剤、親油性付与剤、医薬担体、農薬用担体、化粧品用配合剤、滑剤、ポリマーアロイ用添加剤、ゲルコート剤、FRP用樹脂、FRP樹脂用添加剤、人工大理石用樹脂、人工大理石用樹脂添加剤、注入成型品用樹脂、UV・EV硬化樹脂用原料、粘着付与剤、各種バインダー(例;磁気記録媒体用バインダー、鋳造用バインダー、焼成体用バインダー、グラスファイバーサイジング材用バインダー)、RIM用ウレタン改質剤、合わせガラス用樹脂、制振材、遮音材、分離膜用樹脂、防音材、吸音材、人工皮革、人工皮膚、合成皮革、各種工業用部品、日用品、トイレタリー用成型品、アクリルシリコンゴム、アクリルシリコンゴム改質剤、アクリルシリコンフォーム改質剤、シリコンゴム改質剤、シリコンフォーム可塑剤、シリコンフォーム改質剤、アクリルゴム改質剤などとして使用することができる。
【0094】
【発明の効果】
本発明の反応性アクリル系重合体、硬化性アクリル系重合体、硬化性組成物および硬化体は、所謂メタロセン系化合物である式[I]で表される有機金属化合物と反応性シリル基を有するチオール類とを用いて、重合性不飽和結合を有する化合物を重合させたアクリル系重合体を基本とするものであり、重合体の少なくとも1の末端には反応性シリル基を有するチオール類に由来する成分単位が結合している。この成分単位が導入された重合体において、導入されたシリル基は、導入反応によってもその反応性が損なわれることなく、反応性シリル基は依然として活性である。従って、重合体の末端に導入された反応性シリル基を有するチオール類に由来する反応性シリル基を利用して、このアクリル系重合体に架橋反応を形成することができ、こうして架橋反応を形成することにより、このアクリル系重合体を硬化させることができる。
【0095】
また、主鎖に反応性シリル基を有する基を導入した重合体は、上記のような反応性シリル基を有するチオール類に由来する分子末端の反応性シリル基に加えて、主鎖も反応活性を有するようになり、このアクリル系重合体の有する硬化性はさらに良好なものとなる。
本発明の反応性アクリル系重合体あるいは硬化性アクリル系重合体は、シランカップリング剤のように他と架橋構造をより容易に形成することができる化合物と結合し、こうして他の架橋剤に由来する構造を導入することにより、その反応硬化性はさらに向上する。
【0096】
本発明の反応性アクリル系重合体および硬化性アクリル系重合体は、通常は、粘稠な液体であり、他の成分と容易に混合することができる。
そして、この粘稠な液体であるとの特性を利用して、溶剤を実質的に含有しない、塗料、接着剤、粘着剤、シーリング剤、高分子シランカップリング剤などとして使用することができる。また、この重合体が架橋硬化するとの特性を利用して、シーリング剤、フィルム、表面被覆剤などとして使用することができる。
【0097】
特に本発明の硬化体は、弾性を有すると共に可撓性を有しており、従来のアクリル系重合体とは著しく異なる特性を有している。
また、本発明では、特定の有機金属化合物と反応性シリル基を有するチオール類からなる触媒を用いて重合性不飽和結合含有化合物を塊状重合することにより得られるものであり、こうした触媒を用いることにより、従来は反応が暴走して制御することができなかった反応性の高い単量体を用いて実質的に反応溶媒を使用することなく塊状重合によって重合体を得ることもでき、また、得られた重合体は反応性を有する新規な重合体となる。
【0098】
【実施例】
次に本発明の実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0099】
【実施例1】
重合体の製造
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却管を備えたフラスコに、メチルメタクリレート100重量部と、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン20重量部、及び金属触媒としてルテノセンジクロライド0.1重量部を仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を80℃に加熱した。
【0100】
次いで、充分に窒素ガス置換した3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン20重量部を攪拌下にフラスコ内に一気に添加した。3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン20重量部を添加後、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が80℃に維持できるように、加熱および冷却を4時間行った。さらに、充分に窒素ガス置換した3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン20重量部を攪拌下に5分かけてフラスコ内に追加添加した。3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン20重量部全量を追加添加後、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が90℃に維持できるように、さらに冷却および加温を行いながら、反応を4時間行った。
【0101】
上記のようにして合計で8時間5分間の反応後、反応物の温度を室温に戻し、反応物にベンゾキノン溶液(95%THF溶液)を20重量部添加して重合を停止させた。
こうして得られた反応物のTHF溶液について、モノマー残存率をガスクロマトグラフィーを用いて測定し、重合率を求めた。
【0102】
その結果、重合率が78%の反応物が得られ、この重合に際して重合反応の暴走は全く認められなかった。
続いて得られた反応物をエバポレーターに移し、減圧下に80℃まで徐々に加熱しながらTHFおよび残存モノマー、残存チオール化合物を除去した。
こうして得られた重合体の150℃加熱残分は96.3%であった。
【0103】
また、得られた重合体についてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量は、Mw=1400、Mn=900であり、分散指数=1.6であり、23℃における粘度は7500センチポイズ(cps)であった。
【0104】
【比較例1】
実施例1で採用した処方において、ルテノセンジクロライドを添加しなかった以外は、同様の操作を行った結果、ガスクロマトグラフィーにより測定した重合率は6%であった。
【0105】
【比較例2】
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却管を備えたフラスコに、メチルメタクリレート100重量部と、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン20重量部およびノルマルドデシルメルカプタン20重量部を仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を80℃に加熱した。
【0106】
次いで、攪拌下にラジカル重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部をフラスコ内に添加した。その後、30分毎にアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加しながら撹拌中のフラスコ内の内容物の温度が80℃に維持できるように、冷却および加温を4時間行った。さらに、充分に窒素ガス置換したノルマルドデシルメルカプタン20重量部を攪拌下に5分かけてフラスコ内に追加添加した。ノルマルドデシルメルカプタン20重量部全量を追加添加後、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を追加添加し、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が90℃に維持できるように冷却を行ったが、急激な発熱とともにフラスコ内温度は110℃まで上昇した。さらに20分間冷却を行い、フラスコ内温度を90℃とし、その加温を行いながら、反応を4時間行った。
【0107】
上記のようにして合計で8時間25分間の反応後、反応物の温度を室温に戻し、反応物にベンゾキノン溶液(95%THF溶液)を20重量部添加して重合を停止させた。
こうして得られた反応物のTHF溶液について、モノマー残存率をガスクロマトグラフィーを用いて測定し、重合率を求めた。
【0108】
その結果、重合率が87%の反応物が得られ、この重合に際して重合反応は非常に不安定であった。
続いて得られた反応物をエバポレーターに移し、減圧下に80℃まで徐々に加熱しながらTHFおよび残存モノマー、残存チオール化合物を除去した。
こうして得られた重合体の150℃加熱残分は96.3%であった。
【0109】
また、得られた重合体についてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量は、Mw=2100、Mn=1000であり、分散指数=2.1であり、23℃における粘度は10500センチポイズ(cps)であった。
【0110】
【実施例2】
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却管を備えたフラスコに、メチルメタクリレート50重量部と、スチレン20重量部、ノルマルブチルアクリレート30重量部、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10重量部、及び金属触媒としてチタノセンジクロライド0.1重量部を仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を90℃に加熱した。
【0111】
次いで、充分に窒素ガス置換した3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン27重量部を攪拌下にフラスコ内に一気に添加した。3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン27重量部を添加後、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が90℃に維持できるように、加熱および冷却を4時間行った。その後、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が110℃に維持できるように、さらに加熱を行いながら、反応を4時間行った。
【0112】
上記のようにして合計で8時間の反応後、反応物の温度を室温に戻し、反応物にベンゾキノン溶液(95%THF溶液)を20重量部添加して重合を停止させた。
こうして得られた反応物のTHF溶液について、モノマー残存率をガスクロマトグラフィーを用いて測定し、重合率を求めた。
【0113】
その結果、重合率が81%の反応物が得られ、この重合に際して重合反応の暴走は全く認められなかった。
続いて得られた反応物をエバポレーターに移し、減圧下に80℃まで徐々に加熱しながらTHFおよび残存モノマー、残存チオール化合物を除去した。
こうして得られた重合体の150℃加熱残分は97.6%であった。
【0114】
また、得られた重合体についてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量は、Mw=1800、Mn=1200であり、分散指数=1.5であり、23℃における粘度は13000センチポイズ(cps)であった。
【0115】
【比較例3】
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却管を備えたフラスコに、メチルメタクリレート50重量部と、スチレン20重量部、ノルマルブチルアクリレート30重量部、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10重量部、ノルマルドデシルメルカプタン25重量部を仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を90℃に加熱した。
【0116】
次いで、攪拌下にラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド0.05重量部をフラスコ内に添加した。その後、30分毎にベンゾイルパーオキサイド0.05重量部を添加しながら撹拌中のフラスコ内の内容物の温度が90℃に維持できるように、冷却および加温を4時間行った。その後、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が110℃に維持できるように加温を行い、2時間反応を進行させた、その後、ベンゾイルパーオキサイド0.1重量部を添加したところ、急激な発熱とともにフラスコ内温度は150℃まで上昇した。そこで、冷却を30分間行い、フラスコ内温度が110℃となるよう調整した。その後、加温を行いながら、反応を1時間行った。
【0117】
上記のようにして合計で7時間30分間の反応後、反応物の温度を室温に戻し、反応物にベンゾキノン溶液(95%THF溶液)を20重量部添加して重合を停止させた。
こうして得られた反応物のTHF溶液について、モノマー残存率をガスクロマトグラフィーを用いて測定し、重合率を求めた。
【0118】
その結果、重合率が92%の反応物が得られ、この重合に際して重合反応は非常に不安定であった。
続いて得られた反応物をエバポレーターに移し、減圧下に80℃まで徐々に加熱しながらTHFおよび残存モノマー、残存チオール化合物を除去した。
こうして得られた重合体の150℃加熱残分は96.3%であった。
【0119】
また、得られた重合体についてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量は、Mw=5800、Mn=1400であり、分散指数=4.2であり、23℃における粘度は27000センチポイズ(cps)であり、ゲル物の発生が見られた。
【0120】
【実施例3】
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却管を備えたフラスコに、ノルマルブチルアクリレート70重量部と、スチレン30重量部、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10重量部、及び金属触媒としてチタノセンジクロライド0.1重量部、更に有機溶剤として酢酸エチル60重量部を仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を70℃に加熱した。
【0121】
次いで、充分に窒素ガス置換した3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.5重量部を攪拌下にフラスコ内に一気に添加した。3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.5重量部を添加後、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が70℃に維持できるように、加熱および冷却を4時間行った。さらに、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が90℃に維持できるように、加熱を行い2時間重合反応を継続した。その後、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを0.1重量部添加し、更に1時間重合を継続し、残存モノマーを減少させた。
【0122】
上記のようにして合計で7時間の反応後、反応物の温度を室温に戻し重合を終了した。
こうして得られた反応物の酢酸エチル溶液について、モノマー残存率をガスクロマトグラフィーを用いて測定し重合率を求めた。
その結果、重合率が98.7%の反応物が得られた。また、この重合に際して重合反応の暴走は全く認められなかった。
【0123】
こうして得られた重合体の150℃加熱により、固形分を求めたところ、66.7%であった。また、得られた重合体についてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量は、Mw=34000、Mn=18000であり、分散指数=1.9であり、23℃における粘度は2300センチポイズ(cps)であった。
【0124】
【比較例4】
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却管を備えたフラスコに、ノルマルブチルアクリレート70重量部と、スチレン30重量部、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10重量部、及びノルマルドデシルメルカプタン1.5重量部、更に有機溶剤として酢酸エチル60重量部を仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を70℃に加熱した。
【0125】
次いで、攪拌下にラジカル重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.05重量部をフラスコ内に添加した。その後、30分毎にアゾビスイソブチロニトリル0.05重量部を添加しながら撹拌中のフラスコ内の内容物の温度が70℃に維持できるように、冷却および加温を4時間行った。その後、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が85℃に維持できるように加温を行い、2時間反応を進行させた、その後、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加しフラスコ内温度が85℃となるよう冷却および加温を行い調整しながら重合を更に1時間行い、残存モノマーを減少させた。
【0126】
上記のようにして合計で7時間の反応後、反応物の温度を室温に戻し重合を終了した。
こうして得られた反応物の酢酸エチル溶液について、モノマー残存率をガスクロマトグラフィーを用いて測定し重合率を求めた。
その結果、重合率が98.2%の反応物が得られた。また、この重合に際して重合反応の暴走は認められなかった。
【0127】
こうして得られた重合体の150℃加熱により、固形分を求めたところ、66.7%であった。また、得られた重合体についてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量は、Mw=45000、Mn=19000であり、分散指数=2.4であり、23℃における粘度は2700センチポイズ(cps)であった。
【0128】
【実施例4】
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却管を備えたフラスコに、メチルアクリレート100重量部と、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.0重量部、及び金属触媒としてクロモノセンジクロライド0.5重量部、更に有機溶剤として酢酸エチル60重量部を仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を70℃に加熱した。
【0129】
次いで、充分に窒素ガス置換した3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.2重量部を攪拌下にフラスコ内に一気に添加した。3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.2重量部を添加後、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が70℃に維持できるように、加熱および冷却を4時間行った。さらに、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が85℃に維持できるように、加熱を行い2時間重合反応を継続した。その後、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを0.1重量部添加し、更に1時間重合を継続し、残存モノマーを減少させた。
【0130】
上記のようにして合計で7時間の反応後、反応物の温度を室温に戻し重合を終了した。
こうして得られた反応物の酢酸エチル溶液について、モノマー残存率をガスクロマトグラフィーを用いて測定し重合率を求めた。
その結果、重合率が97.6%の反応物が得られた。また、この重合に際して重合反応の暴走は全く認められなかった。
【0131】
こうして得られた重合体の150℃加熱により、固形分を求めたところ、63.1%であった。また、得られた重合体についてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量は、Mw=46000、Mn=21000であり、分散指数=2.2であり、23℃における粘度は3200センチポイズ(cps)であった。
【0132】
【比較例5】
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却管を備えたフラスコに、メチルアクリレート100重量部と、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.0量部、及びノルマルドデシルメルカプタン1.2重量部、更に有機溶剤として酢酸エチル60重量部を仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を70℃に加熱した。
【0133】
次いで、攪拌下にラジカル重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.05重量部をフラスコ内に添加した。その後、30分毎にアゾビスイソブチロニトリル0.05重量部を添加しながら撹拌中のフラスコ内の内容物の温度が70℃に維持できるように、冷却および加温を4時間行った。その後、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が85℃に維持できるように加温を行い、2時間反応を進行させた、その後、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加しフラスコ内温度が85℃となるよう冷却および加温を行い調整しながら重合を更に1時間行い、残存モノマーを減少させた。
【0134】
上記のようにして合計で7時間の反応後、反応物の温度を室温に戻し重合を終了した。
こうして得られた反応物の酢酸エチル溶液について、モノマー残存率をガスクロマトグラフィーを用いて測定し重合率を求めた。
その結果、重合率が97.2%の反応物が得られた。また、この重合に際して重合反応の暴走は認められなかった。
【0135】
こうして得られた重合体の150℃加熱により、固形分を求めたところ、662.0%であった。また、得られた重合体についてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量は、Mw=67000、Mn=22000であり、分散指数=3.1であり、23℃における粘度は3400センチポイズ(cps)であった。
【0136】
【実施例5】
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却管を備えたフラスコに、エチルアクリレート100重量部と、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、及び金属触媒としてジルコノセンジクロライド0.2重量部を仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を65℃に加熱した。
【0137】
次いで、充分に窒素ガス置換した3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン2.0重量部を攪拌下にフラスコ内に一気に添加した。3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン2.0重量部を添加後、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が65℃に維持できるように、加熱および冷却を2時間行った。その後さらに、充分に窒素ガス置換した3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.4重量部を攪拌下のフラスコ内に一気に追加添加した。3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.4重量部を追加添加後、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が75℃に維持できるように、さらに冷却および加温を行いながら、反応を2時間行った。その後、フラスコ内の内容物の温度が90℃に維持できるように、加温を行いながら反応を4時間行った。
【0138】
上記のようにして合計で8時間の反応後、反応物の温度を室温に戻し、反応物にベンゾキノン溶液(95%THF溶液)を20重量部添加して重合を停止させた。
こうして得られた反応物のTHF溶液について、モノマー残存率をガスクロマトグラフィーを用いて測定し、重合率を求めた。
【0139】
その結果、重合率が73%の反応物が得られ、この重合に際して重合反応の暴走は全く認められなかった。
続いて得られた反応物をエバポレーターに移し、減圧下に80℃まで徐々に加熱しながらTHFおよび残存モノマー、残存チオール化合物を除去した。
こうして得られた重合体の150℃加熱残分は98.3%であった。
【0140】
また、得られた重合体についてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量は、Mw=12000、Mn=7200であり、分散指数=1.6であり、23℃における粘度は63000センチポイズ(cps)であった。
【0141】
【比較例6】
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却管を備えたフラスコに、エチルアクリレート100重量部と、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、およびノルマルドデシルメルカプタン2.0重量部を仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を65℃に加熱した。
【0142】
次いで、攪拌下にラジカル重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.05重量部をフラスコ内に添加した。その後、30分毎にアゾビスイソブチロニトリル0.01重量部を添加しながら撹拌中のフラスコ内の内容物の温度が65℃に維持できるように、冷却を2時間行った。さらに、充分に窒素ガス置換したノルマルドデシルメルカプタン1.4重量部を攪拌下に一気にフラスコ内へ追加添加した。ノルマルドデシルメルカプタン1.4重量部を追加添加後、直ちにアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を追加添加し、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が75℃に維持できるように冷却を行ったが、急激な発熱とともにフラスコ内温度は95℃まで上昇し反応が暴走しになった為、反応物にベンゾキノン溶液(80%キシレン溶液)を40重量部添加して重合反応を強制的に停止した。
【0143】
こうして得られた暴走反応物のキシレン溶液について、モノマー残存率をガスクロマトグラフィーを用いて測定し、重合率を求めた。
その結果、重合率が54%の反応物が得られた。この重合に際して重合反応は非常に危険で不安定な状態であった。
続いて得られた反応物をエバポレーターに移し、減圧下に80℃まで徐々に加熱しながらTHFおよび残存モノマー、残存チオール化合物を除去した。
【0144】
こうして得られた重合体の150℃加熱残分は97.3%であった。
また、得られた重合体についてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量は、Mw=21000、Mn=6300であり、分散指数=3.4であり、ややゲル状のポリマーであった。23℃における粘度は87000センチポイズ(cps)であった。
【0145】
【実施例6】
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却管を備えたフラスコに、ブチルアクリレート80重量部と、ジメチルアミノエチルアクリレート10重量部、アクリル酸アマイド10重量部、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン20重量部、及び金属触媒としてクロモノセン0.2重量部を仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を80℃に加熱した。
【0146】
次いで、充分に窒素ガス置換した3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン15重量部を攪拌下にフラスコ内に一気に添加した。3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン15重量部を添加後、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が80℃に維持できるように、加熱および冷却を2時間行った。その後さらに、充分に窒素ガス置換した3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン5重量部を攪拌下のフラスコ内に一気に追加添加した。3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン5重量部を追加添加後、攪拌中のフラスコ内の内容物の温度が95℃に維持できるように、さらに冷却および加温を行いながら、反応を2時間行った。その後、フラスコ内の内容物の温度が100℃に維持できるように、加温を行いながら反応を4時間行った。
【0147】
上記のようにして合計で8時間の反応後、反応物の温度を室温に戻し、反応物にベンゾキノン溶液(95%THF溶液)を20重量部添加して重合を停止させた。
こうして得られた反応物のTHF溶液について、モノマー残存率をガスクロマトグラフィーを用いて測定し、重合率を求めた。
【0148】
その結果、重合率が87%の反応物が得られ、この重合に際して重合反応の暴走は全く認められなかった。
続いて得られた反応物をエバポレーターに移し、減圧下に80℃まで徐々に加熱しながらTHFおよび残存モノマー、残存チオール化合物を除去した。
こうして得られた重合体の150℃加熱残分は98.9%であった。
【0149】
また、得られた重合体についてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量は、Mw=2700、Mn=1500であり、分散指数=1.8であり、23℃における粘度は5700センチポイズ(cps)であった。
【0150】
【実施例7および比較例7】
塗料
容量200ミリリットルのビーカーに、塗料用ビヒクル成分として、各種重合体を100重量部と、この樹脂成分に対して、顔料として酸化チタン微粒子80重量部、また、硬化促進剤触媒としてテトラブトキシチタン1.0重量部を配合して、ビーカー内の内容物が均一になるまで、ミキサーにて攪拌混合して粘稠な組成物(塗料組成物)を得た。
【0151】
得られた組成物を0.5mm厚さの鉄板表面にバーコーターを用いて、塗布厚20μmに塗布した。さらに、こうして組成物を塗布した鉄板を23℃の温度で4時間放置した後、乾燥機で100℃で30分間加熱して焼き付け処理を行った。得られた塗膜の特性は次の通りである。
【0152】
【表1】
【0153】
なお、上記表1において、硬化性、被着体密着性、膜可撓性、膜光沢および評価方法並びに記号は次の通りである。
・硬化性:塗膜表面のタック感を指触により評価した。
AA・・・タックなし。
BB・・・わずかにタックあり。
【0154】
CC・・・タック感がある。
DD・・・明らかにタックがある。
・被着体密着性:塗膜表面をガラス棒でしごき、塗膜の浮き等の状態を目視により観察評価した。
AA・・・塗膜の浮き等は全く見られない。
【0155】
BB・・・塗膜にわずかに浮き等が見られる。
CC・・・塗膜に部分的な浮きが見られる。
DD・・・塗膜の相当部分に浮き上がりがみられる。
・膜可撓性:塗工面を上面として、鋼板を90度に塗工していない面側に曲げ、塗膜のひび割れ度合いを目視により観察評価した。
【0156】
AA・・・塗膜が鋼板の屈曲に追随しひび割れなどは生じない。
BB・・・塗膜は鋼板の屈曲に追随するが僅かにひび割れが生ずる。
CC・・・塗膜の鋼板屈曲に対する追随性が低くひび割れが生ずる。
DD・・・塗膜に鋼板屈曲追随性がなく、相当ひび割れが生ずる。
・膜光沢性:塗膜の光沢度合いを目視により観察評価した。
【0157】
AA・・・非常に良好な光沢がある。
BB・・・光沢はあるが「AA」と比較すると光沢性は劣る。
CC・・・多少の光沢はある。
DD・・・全く光沢がない。
上記の実施例および比較例との対比から本発明の塗料は、非常に優れた硬化性と可撓性を有し、また光沢性の高い塗膜を形成することができ、また、本発明の塗料は無溶剤である。
【0158】
【実施例8および比較例8】
接着剤
容量200ミリリットルのビーカーに、接着剤用樹脂成分として、各種重合体を100重量部と、この樹脂成分に対して、充填剤として重質炭酸カルシウム50重量部及び軽質炭酸カルシウム40重量部、また、硬化促進剤触媒としてテトラブトキシチタン2.0重量部を配合して、ビーカー内の内容物が均一になるまで、ミキサーにて攪拌混合して粘稠な組成物(接着剤組成物)を得た。
【0159】
得られた組成物を0.5mm厚さ、50mm×100mmの鉄板表面に櫛目ヘラを用いて、塗布厚100μm、塗布面積50mm×50mmになるよう塗布した。その後、直ちに接着成分の塗工面に、0.5mm厚の鉄板を貼り合わせ、これら試料を23℃の温度にて1週間養生し、接着性能を評価した。得られた特性は次の通りである。
【0160】
【表2】
【0161】
なお、上記表2において、硬化性、接着性、耐剥離性、耐熱性および評価方法並びに記号は次の通りである。
・硬化性:200ミリリットルビーカーにて調整した試料を23℃の室温にて放置し、ガラス棒が刺さらなくなるまでの時間を測定し評価した。
AA・・・1時間以内
BB・・・4〜1時間
CC・・・8〜4時間
DD・・・8時間以上
・接着性:23℃の室温下にて、貼り合わせた鉄板の片方を固定し、固定していない鉄板片へ、水平方向へ加重が掛かるよう2kgの重りをかけ、試料が破壊し、重りが落下するまでの時間を測定し評価した。
【0162】
AA・・・2週間以上落下しない。
BB・・・1〜2週間で落下。
CC・・・3日〜1週間で落下。
DD・・・3日以内に落下。
・耐剥離性:23℃の室温下にて、貼り合わせた鉄板の片方を固定し、固定していない鉄板片を垂直方向へ加重が掛かるよう1kgの重りをかけ、試料が破壊し、重りが落下するまでの時間を測定し評価した。
【0163】
AA・・・3日以上落下しない。
BB・・・1〜3日で落下。
CC・・・2時間〜1日で落下。
DD・・・2時間以内に落下。
・耐熱性:80℃の温度条件下において接着性の測定方法と同様に評価した。
【0164】
AA・・・1週間以上落下しない。
BB・・・1週間〜3日で落下。
CC・・・1日〜3日で落下。
DD・・・1日以内に落下。
上記の実施例および比較例との対比から本発明の接着剤は、非常に優れた硬化性と接着性、耐熱性を有し、また、本発明の接着剤は無溶剤である。
【0165】
【実施例9および比較例9】
粘着剤
容量200ミリリットルのビーカーに、粘着剤用樹脂成分として、各種重合体を100重量部と、この樹脂成分に対して、硬化促進剤触媒としてジブチルジラウリン酸スズ0.1重量部を配合して、ビーカー内の内容物が均一になるまで、ミキサーにて攪拌混合して粘稠な組成物(粘着剤組成物)を得た。
【0166】
得られた組成物を剥離剤処理をされたPETフィルム上に、乾燥後の樹脂分の膜厚が、25μmになるよう、ドクターブレードで塗布し、オーブンにて80℃、2分間乾燥処理を行い溶剤を揮発させた。その後、樹脂面に25μm厚のPETフィルムをラミネートし、得られた試料を23℃で1週間養生し、接着性能を評価した。得られた特性は次の通りである。
【0167】
【表3】
【0168】
なお、上記表3において、ボールタック、粘着力、保持力および評価方法は次の通りである。
・ボールタック:23℃の室温下において、各試料を25mm幅、100mm長に裁断し、角度30°の傾斜を付けたガラス板上に粘着剤層面を上向けにして試料を固定した。試料の上方には助走距離として100mm確保出来るようにPETフィルムを貼り付け、ボールタック評価用のボールを助走用のフィルム端から静かに転がし、5回中3回以上、粘着剤層で止まるボールナンバーをボールタック値とした(J.dow法に準拠)。
【0169】
・粘着力:23℃の室温下にて、230番の研磨紙にて表面を十分研磨し、酢酸エチルにて表面を十分清浄したSUS板に、貼り付け幅25mmにて粘着剤試料を貼り付け、充分に圧着した。そのまま20分間放置し、300mm/minの速度で角度180°方向へ剥離した。
その際の引き剥がし強度を粘着力として測定、評価した。強度は、g/25mmの単位にて表示する。
【0170】
また、目視により剥離状態を観察し、粘着剤層の凝集破壊の場合はcfと、粘着剤と被着体表面の海面破壊の場合はafと表記した。
・保持力:23℃の室温下にて、230番の研磨紙にて表面を十分研磨し、酢酸エチルにて表面を十分清浄したSUS板に、貼り付け面積25mm×25mmになるよう粘着剤試料を貼り付け、充分に圧着した。そのまま1時間放置後、40℃のオーブンへ貼り付け試料を20分間放置した。その後、貼り付け試料の垂直方向へ1kgの荷重をかけ、重りが落下するまでの時間、または、1時間後のズレた距離を測定し、評価した。
【0171】
上記の実施例および比較例との対比から本発明の粘着剤は、非常に優れた粘着力、ボールタック値を有し、なおかつ保持力の優れた物性を表した。
【0172】
【実施例10および比較例10、11、12】
表面被覆剤
容量200ミリリットルのビーカーに、表面被覆剤用樹脂成分として、各種重合体を100重量部と、この樹脂成分に対して、反応性希釈剤として、ノルマルヘキシル-トリメトキシシラン30重量部、また、硬化促進剤触媒としてテトラブトキシチタン1.0重量部を配合して、ビーカー内の内容物が均一になるまで、ミキサーにて攪拌混合して組成物(表面被覆剤組成物)を得た。
【0173】
得られた組成物を30mm厚さのコンクリートブロックに、刷毛にて塗布した。こうして組成物を塗布したコンクリートブロックを23℃の温度で24時間放置し十分硬化養生した。得られた塗膜の特性は次の通りである。
なお、比較のため、ノルマルヘキシル-トリメトキシシラン単体を同様に刷毛塗りした試料と、樹脂等を塗布しないままの試料も同時比較した。
【0174】
【表4】
【0175】
なお、上記表4において、硬化性、耐酸性、耐アルカリ性および評価方法並びに記号は次の通りである。
・硬化性:塗膜表面のタック感を指触により評価した。
AA・・・タックなし。
BB・・・わずかにタックあり。
【0176】
CC・・・タック感がある。
DD・・・表面に樹脂膜が形成されない。
・耐酸性:試料表面を10%硫酸水溶液を含む脱脂綿にて30回擦り、その後水洗し、表面状態を目視により観察評価した。
AA・・・表面状態に異常なし。
【0177】
BB・・・表面の塗膜にひび割れが見えたり、コンクリート面からの遊離物が確認できる。
CC・・・表面に粉を噴いたような異物が残り、表面状態が荒れている。
DD・・・表面が著しく荒れる。または表面の一部が溶解してしまう。
・耐アルカリ性:試料表面を10%水酸化カリウム水溶液を含む脱脂綿にて30回擦り、その後水洗し、表面状態を目視により観察評価した。
【0178】
AA・・・表面状態に異常なし。
BB・・・表面の塗膜にひび割れが見えたり、コンクリート面からの遊離物が確認できる。
CC・・・表面に粉を噴いたような異物が残り、表面状態が荒れている。
DD・・・表面が著しく荒れる。または表面の一部が溶解してしまう。
【0179】
上記の実施例および比較例との対比から本発明の表面被覆剤は、非常に優れた硬化性と耐久性を有し、またコンクリートのような無機物の表面や内部で強固な硬化樹脂物を形成することができ、良好な被覆剤となる。また、本発明の表面被覆剤は無溶剤である。
【0180】
【実施例11、12および比較例13、14】
フィルム
容量200ミリリットルのビーカーに、フィルム用樹脂溶液組成物成分として、各種重合体を100重量部と、この樹脂溶液成分に対して、硬化促進剤触媒としてテトラプロポキシチタン0.2重量部を配合して、ビーカー内の内容物が均一になるまで、ミキサーにて攪拌混合して粘稠で透明な組成物(フィルム用樹脂溶液組成物)を得た。また、同様に、容量300ミリリットルのビーカーに、フィルム用樹脂溶液組成物成分として、上記、各種重合体を100重量部と、この樹脂溶液成分に対して、顔料兼充填剤成分として、酸化チタン微粒子45重量部、硬化促進剤触媒としてテトラプロポキシチタン0.3重量部、粘度調整用溶剤成分としてメチルエチルケトン20重量部を配合して、ビーカー内の内容物が均一になるまで、ミキサーにて攪拌混合して粘稠で白色な組成物(フィルム用樹脂溶液組成物)を得た。
【0181】
得られた各種組成物を50μm厚のPETフィルム上に、乾燥後の樹脂分の膜厚が、70μmになるよう、ドクターブレードで塗布し、オーブンにて80℃、2分間乾燥処理を行い溶剤を揮発させた。その後、樹脂面に25μm厚のPETフィルムをラミネートし、得られた試料を23℃で1週間養生後、ラミネートしたPETフィルムを剥がし、アクリルフィルムとしての性能を評価した。得られた特性は次の通りである。
【0182】
【表5】
【0183】
なお、上記表5において、耐熱性、最大延伸率、最大破断強度、ブロッキング性および、評価方法並びに記号、数値は次の通りである。
・耐熱性:各アクリルフィルム試料をステンレス板の上に乗せた状態で、80℃のオーブン中で24時間放置した。その後、23℃に戻したフィルムの表面状態・ステンレス板への接着性・指触等によるタック感を確認し評価した。
【0184】
AA・・・表面タック無く、ステンレス板への接着等無し、また、外観等の状態に異常なし。
BB・・・表面タック無く外観の状態に異常は無いが、ステンレス板へ貼り付いてしまう。但し、ステンレス板からは簡単に剥がす事が出来る。
CC・・・外観の状態に異常は無いが、表面に若干のタック感があり、ステンレス板へ貼り付いてしまい簡単に剥がす事が出来ない。
【0185】
DD・・・外観として荒れた表面状態となり、表面にかなりのタック感がある。更にステンレス板へ強固に接着している。
・最大延伸率:各アクリルフィルム試料を幅30mm、長さ150mmの短冊形に裁断し評価用試料とした。23℃において各評価用試料を評線間距離100mmとし、引っ張り速度100mm/minにて引っ張り試験を行い、フィルム試料が破断するまでの伸びた距離を評線間距離で割り100を掛けた数字を最大延伸率とした。
【0186】
・最大破断強度:各アクリルフィルム試料を幅30mm、長さ150mmの短冊形に裁断し評価用試料とした。23℃において各評価用試料を評線間距離100mmとし、引っ張り速度100mm/minにて引っ張り試験を行い、フィルム試料が破断する際の強度を最大破断強度とした。但し、強度の単位は、kg/cm2とした。
【0187】
・ブロッキング性:各アクリルフィルム試料を10枚重ね合わせ、40℃の状態で1kg/cm2になるよう、プレス機により24時間貼り合わせを行い、その後、23℃の状態で更に24時間放置した試料の状態によりブロッキング性を評価した。
AA・・・試料同士の融着が無く、10枚とも簡単に剥がす事が出来る。
【0188】
BB・・・試料同士の融着は無く、10枚とも剥がす事が出来るが、表面に貼り跡が残る。
CC・・・各試料が融着しており、簡単に剥がす事が出来ない。
DD・・・各試料が完全に融解し、一体化してしまっている。
【0189】
【実施例13および比較例15】
シーリング材
容量200ミリリットルのビーカーに、主剤として各重合体組成物100重量部と、充填剤として軽質炭酸カルシウム(平均粒子径:0.2μm)、また、硬化促進剤としてジブチルジラウリン酸スズを配合してビーカー内の樹脂混合物が均一になるまで、ミキサーにて十分に分散混合し、チクソ性のある粘稠な樹脂を調整した。
【0190】
続いて、得られた樹脂をポリエチレン性の1mm厚さのスペーサーを4辺に貼着したポリエチレン板に、空気を巻き込まないように、ゆっくりと流し込んだ。
樹脂を流し込んだ試料板を温度23℃、湿度65%の状態にて、7日間養生した。7日間養生した試料板を更に40℃にて3日間養生した後、ポリエチレン板から硬化した樹脂を剥離し、1mm厚のシーリング材試料を得た。
【0191】
得られたシーリング材試料の特性は次の通りである。
【0192】
【表6】
【0193】
なお、上記表6において、硬化性、可撓性、延伸率、破断強度および評価方法並びに記号は次の通りである。
・硬化性:シーリング材試料表面のタック感を指触により評価した。
AA・・・タック無し。
BB・・・わずかにタック有り。
【0194】
CC・・・タック感がある。
DD・・・明らかにタックがある。
・膜可撓性:試料を180度に曲げ(ハゼ折り)、試料のひび割れ度合いを目視観察により評価した。
AA・・・試料にひび割れなどが生じない。
【0195】
BB・・・試料にわずかにひび割れが生じる。
CC・・・試料にひび割れが生じる。
DD・・・試料がひび割れし、破断してしまう。
・被膜延伸率:得られた試料を3号ダンベル型に切り取り、温度23℃、湿度65%の条件で24時間放置した。引っ張り速度200mm/minの速度にて試料が破断するまで等速で引き延ばし、破断するまでの距離を求め、試料長からの延びを延伸率とした。
【0196】
・被膜破断強度:得られた試料を3号ダンベル型に切り取り、温度23℃、湿度65%の条件で24時間放置した。引っ張り速度200mm/minの速度にて試料が破断するまで等速で引き延ばし、試料が破断した際の強度を求め、試料の延伸方向に対する断面積に対して破断強度とした。
Claims (22)
- 次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール類の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合してなり、
少なくとも1の末端に反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基−S−R0(ただし、R0は反応性シリル基を有する基である)が結合し、かつ、
次式[I]で表される化合物、該式[I]で表される化合物の誘導体および該[I]で表される化合物に含有される金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物または金属を含有することを特徴とする反応性アクリル系重合体;
- 前記反応性シリル基を有する基であるR0が、ヒドロキシシリル基、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基、クロロシリル基およびブロモシリル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の反応性基を有することを特徴とする請求項第1項記載の反応性アクリル系重合体。
- 前記反応性アクリル系重合体の主鎖が、次式[B]で表される繰り返し単位を50〜100重量%の量で有することを特徴とする請求項第1項記載の反応性アクリル系重合体;
- 前記反応性アクリル系重合体についてゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定した重量平均分子量が、1000〜300000の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の反応性アクリル系重合体。
- 前記反応性アクリル系重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定した分散指数(=重量平均分子量/数平均分子量)が、1.2〜3.0の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の反応性アクリル系重合体。
- 前記反応性アクリル系重合体を、塗料、接着剤、粘着剤、表面被覆剤、フィルム、シーリング材、あるいは、高分子シランカップリング剤の主成分として含有するものであることを特徴とする請求項第1項乃至第5項のいずれかの項記載の反応性アクリル系重合体。
- 次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子内に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール類の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合する製造方法であり、
得られるアクリル系重合体が少なくとも1つの末端に反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基―S-R0(ただし、R0は、反応性シリル基を有する基である)が結合していることを特徴とする反応性アクリル系重合体の製造方法:
- 次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール類の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体の重合させた重合体であって、少なくとも1の末端に反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基−S−R0(ただし、R0は反応性シリル基を有する基である)が結合し、かつ、
次式[I]で表される化合物、該式[I]で表される化合物の誘導体および該[I]で表される化合物に含有される金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物または金属を含有する反応性アクリル系重合体を含み、
該反応性アクリル系重合体の主鎖が、下記式[B]で表される繰り返し単位を99重量%以下の量で有すると共に、該式[B]で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位として分子中に1つ以上の反応性シリル基を有する重合性不飽和化合物単量体[D]から誘導される繰り返し単位を1〜50重量%の範囲内の量で有することを特徴とする硬化性アクリル系重合体;
- 前記重合性不飽和化合物単量体[D]から誘導される繰り返し単位の有する反応性シリル基が、ヒドロキシシリル基、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基、クロロシリル基およびブロモシリル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の反応性シリル基であることを特徴とする請求項第8項記載の硬化性アクリル系重合体。
- 前記硬化性アクリル系重合体についてゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定した重量平均分子量が、1000〜300000の範囲内にあることを特徴とする請求項第8項記載の硬化性アクリル系重合体。
- 前記硬化性アクリル系重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定した分散指数(=重量平均分子量/数平均分子量)が、1.2〜3.0の範囲内にあることを特徴とする請求項第8項記載の硬化性アクリル系重合体。
- 上記硬化性アクリル系重合体が、アミン類、スズ系金属触媒、チタン系金属触媒、ビスマス系金属触媒およびアルミニウム系金属触媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の反応促進触媒により硬化可能であることを特徴とする請求項第8項記載の硬化性アクリル系重合体。
- 前記硬化性アクリル系重合体が、シランカップリング剤と反応して硬化するものであることを特徴とする請求項第8項記載の硬化性アクリル系重合体。
- 上記硬化性アクリル系重合体を、塗料、接着剤、粘着剤、表面被覆剤、フィルム、シーリング材、あるいは、高分子シランカップリング剤の主成分として含有するものであることを特徴とする請求項第8項乃至第13項のいずれかの項記載の硬化性アクリル系重合体。
- 次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール類の存在下に、
重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合してなり、少なくとも1の末端に反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基−S−R0(ただし、R0は 反応性シリル基を有する基である)が結合し、かつ、
次式[I]で表される化合物、該式[I]で表される化合物の誘導体および該[I]で表される化合物に含有される金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物または金属を含有する反応性アクリル系重合体;
および/または
次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール類の存在下に、
重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合してなり、少なくとも1の末端に反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基−S−R0(ただし、R0は反応性シリル基を有する基である)が結合し、かつ、
次式[I]で表される化合物、該式[I]で表される化合物の誘導体および該[I]で表される化合物に含有される金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物または金属を含有する反応性アクリル系重合体を含み、該反応性アクリル系重合体の主鎖が、下記式[B]で表される繰り返し単位を99重量%以下の量で有すると共に、該式[B]で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位として分子中に1つ以上の反応性シリル基を有する重合性不飽和化合物単量体[D]から誘導される繰り返し単位を1〜50重量%の範囲内の量で有する硬化性アクリル系重合体と、
1分子内に2つ以上の反応性シリル基を有する分子量50000以下の化合物[C]とからなることを特徴とする硬化性組成物;
- 前記1分子内に2つ以上の反応性シリル基を有する分子量50000以下の化合物[C]の有する反応性シリル基が、ヒドロキシシリル基、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基、クロロシリル基およびブロモシリル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の基であることを特徴とする請求項第15項記載の硬化性組成物。
- 前記硬化性組成物が、アミン類、スズ系金属触媒、チタン系金属触媒、ビスマス系金属触媒およびアルミニウム系金属触媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の反応促進触媒を配合して硬化させるものであることを特徴とする請求項第15項記載の硬化性組成物。
- 前記硬化性組成物が、1分子内に2つ以上の反応性シリル基を有する分子量50000以下の化合物[C]として、シランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項第15項記載の硬化性組成物。
- 前記硬化性組成物が、使用時において硬化するように包装されていることを特徴とする請求項第15項ないし第18項のいずれかの項記載の硬化性組成物。
- 前記硬化性組成物を、塗料、接着剤、粘着剤、表面被覆剤、フィルム、シーリング材、あるいは、高分子シランカップリング剤の主成分として含有してなるものであることを特徴とする請求項第15乃至19項のいずれかの項記載の硬化性組成物。
- 次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有すチオール類の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合してなり、少なくとも1の末端に反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基−S−R0(ただし、R0は反応性シリル基を有する基である)が結合し、かつ、
次式[I]で表される化合物、該式[I]で表される化合物の誘導体および該[I]で表される化合物に含有される金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物または金属を含有する反応性アクリル系重合体;
次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール類の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合させた重合体であって、少なくとも1の末端に反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基−S−R0(ただし、R0は反応性シリル基を有する基である)が結合し、かつ、
次式[I]で表される化合物、該式[I]で表される化合物の誘導体および該[I]で表される化合物に含有される金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物または金属を含有する反応性アクリル系重合体を含み、該反応性アクリル系重合体の主鎖が、下記式[B]で表される繰り返し単位を99重量%以下の量で有すると共に、該式[B]で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位として分子中に1つ以上の反応性シリル基を有する重合性不飽和化合物単量体[D]から誘導される繰り返し単位を1〜50重量%の範囲内の量で有することを特徴とする硬化性アクリル系重合体;
および
次式[I]で表されるメタロセン化合物および分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール類の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合してなり、少なくとも1の末端に反応性シリル基を有するチオール類から水素原子が脱離した残基−S−R0(ただし、R0は反応性シリル基を有する基である)が結合し、かつ、
次式[I]で表される化合物、該式[I]で表される化合物の誘導体および該[I]で表される化合物に含有される金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物または金属を含有する反応性アクリル系重合体を含み、該反応性アクリル系重合体の主鎖が、下記式[B]で表される繰り返し単位を99重量%以下の量で有すると共に、該式[B]で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位として分子中に1つ以上の反応性シリル基を有する重合性不飽和化合物単量体[D]から誘導される繰り返し単位を1〜50重量%の範囲内の量で有する硬化性アクリル系重合体と、1分子内に2つ以上の反応性シリル基を有する分子量50000以下の化合物[C]とからなる硬化性組成物よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の重合体あるいは組成物を、自己縮合および/または縮合架橋させてなることを特徴とする硬化体;
- 前記硬化体が、塗料、接着剤、粘着剤、表面被覆剤、フィルム、シーリング剤、あるいは、高分子カップリング剤が上記硬化体を主成分として含有するものであることを特徴とする請求項第21項記載の硬化体。
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