Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JP4470283B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4470283B2
JP4470283B2 JP2000184413A JP2000184413A JP4470283B2 JP 4470283 B2 JP4470283 B2 JP 4470283B2 JP 2000184413 A JP2000184413 A JP 2000184413A JP 2000184413 A JP2000184413 A JP 2000184413A JP 4470283 B2 JP4470283 B2 JP 4470283B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steering
neutral point
estimated
assist motor
electric power
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000184413A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002002516A (ja
Inventor
徹 坂口
修司 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2000184413A priority Critical patent/JP4470283B2/ja
Publication of JP2002002516A publication Critical patent/JP2002002516A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4470283B2 publication Critical patent/JP4470283B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Power Steering Mechanism (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動式パワーステアリング装置に関し、特に、低速度走行時におけるステアリング機構の戻り特性を改善した電動式パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動式パワーステアリング装置は、トルクセンサにより検出された操舵トルクと車速センサにより検出された車両速度とに基づいて操舵機構に結合された操舵補助モータを駆動制御し、操舵補助力をステアリング機構に与えるもので、一般的には、低速度走行時には操舵補助モータによる操舵補助力を大きく設定してステアリングホイールの操作を軽く行えるようにし、高速走行時には操舵補助モータによる操舵補助力を小さく、或いは零に設定してステアリングホイールの操作を重くし、安全に走行できるように操舵補助モータを制御している。
【0003】
運転者が操向ハンドルを操作して車両がカーブを通過するとき、ステアリング装置はタイヤが路面から受ける反力により中立点、即ち直線走行位置に戻るような力を受ける。このため、車両がカーブを通過し終えたとき、運転者が操向ハンドルから手を離すと、ステアリング装置は路面から受ける反力により自然に中立点に復帰し、操向ハンドルは逆方向に回転する。このような動作は一般に「ハンドル戻し」と呼ばれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電動式パワーステアリング装置では、操舵補助モータの回転を減速ギア機構を介して舵取り機構に伝達しているため、操舵補助モータの慣性モーメントや減速ギア機構の摩擦等が影響し、特に低速度走行時における「ハンドル戻し」即ちステアリング機構の戻りが悪いという不都合があつた。
【0005】
この対応としては、ステアリングシャフトに設けられた舵角センサを使用して舵角を検出し、操舵補助モータを駆動してステアリング機構を中立点、即ち車両が直線走行する位置に戻すように制御する必要があるが、舵角センサの取付誤差やステアリング機構の組立誤差等のため、舵角センサで検出された舵角が零の位置とステアリング機構が直線走行する位置(中立点)とは必ずしも一致しない。この発明は上記した種々の課題を解決することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決するもので、請求項1の発明は、少なくとも操舵トルク検出手段を備え、検出された操舵トルクに基づいて演算された電流指令値に基づいてステアリング機構に結合された操舵補助モータを駆動制御する電動パワーステアリング装置において、ステアリングシャフトに入力された舵角を検出し、舵角速度を出力する舵角センサと、車速を検出する車速センサと、前記ステアリング機構の中立点を推定する中立点推定手段と、前記推定された中立点にステアリング機構を戻すように操舵補助モータの電流指令値を演算し、操舵補助モータを駆動制御する制御手段とを備え、前記中立点推定手段は、検出された舵角速度を入力とするファジー推論により推定した第1の中立点推定度と、検出された操舵トルクを入力とするファジー推論により推定した第2の中立点推定度と、第1の中立点推定度と第2の中立点推定度との積が零でない状態の継続時間と検出された車速を入力とするファジー推論により推定した第3の中立点推定度とに基づいてステアリング機構の中立点を推定する中立点推定手段であることを特徴とする。
【0007】
そして、前記制御手段は、前記中立点推定手段により推定された中立点情報を入力とするファジー推論により推定したハンドル戻し時の操舵補助モータの電流を規定する第1のパラメータ、ハンドル戻し時のデッドバンドの幅を規定する第2のパラメータ、及び車速に対応したゲインとに基づいて演算されたハンドル戻し時の補正電流指令値により操舵補助モータの電流指令値を補正する
【0009】
さらに、前記ステアリング機構は転がり式ラック・ピニオン機構を採用してもよい。
【0010】
また、ラック・ピニオン機構を採用する場合はピニオン軸から操舵補助モータ軸までの伝動機構中に弾性体を介在させる構成としてもよく、転がり式ラック・ピニオン機構を採用する場合はピニオン軸から操舵補助モータ軸までの伝動機構中に弾性体を介在させる構成としてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
[電動パワーステアリング装置の構成の概略]
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明のハンドル戻し制御を実施するに適した電動パワーステアリング装置10の構成の概略を説明する図である。
【0012】
操向ハンドル11が取り付けられた舵輪軸12は、減速ギア27、ユニバーサルジョイント16a、16b、転がり式ラック・ピニオン機構17を経て操向車輪のタイロッド18に結合されている。舵輪軸12には、舵角を検出する舵角センサ13、及び操舵トルクを検出するトルクセンサ14が設けられており、また、操舵力を補助する操舵補助モータ25がクラッチ26、減速ギア27を介して操舵軸12に結合している。
【0013】
電動パワーステアリング装置を制御する電子制御回路20は、バッテリ21からイグニッションキー22を経て給電される。電子制御回路20はCPUで構成され、トルクセンサ14で検出された操舵トルクと車速センサ23で検出された車速に基づいて電流指令値を演算し、演算された電流指令値に基づいて操舵補助モータ25に供給する電流を制御する。なお、電子制御回路20のCPUは、このほか、以下に説明するハンドル戻しに関連する中立点の演算、ハンドル戻しの制御、その他の演算制御も行う。
【0014】
クラッチ26は電子制御回路20により制御されるもので、クラッチ26は通常の動作状態では結合しており、電子制御回路20により電動パワーステアリング装置の故障が判定されたとき、及び電源がOFFの場合に切り離される。
【0015】
図2は、上記した転がり式ラック・ピニオン機構17の要部の構成を示す断面図である。図2において、31は入力軸で、舵輪軸12の回転はユニバーサルジョイント16a、16bを経て入力軸31に伝達される。入力軸31の下部には回動可能にピニオン軸32が同軸的に装着されている。
【0016】
ピニオン軸32は、ギヤボックス30の内部に配置された軸受33a、33bにより支承される。ピニオン軸32の外周にはピニオン歯32aが形成され、ピニオン歯32aにラック軸34のラック歯34aが噛合し、ラック軸34を軸長方向(図2の表裏方向)に変位させてタイロッド18 (図1参照) を介して操舵輪(図示せず)に所望の舵角を付与するように構成されている。
【0017】
ラック軸34のラック歯34aとピニオン軸32のピニオン歯32aとの噛合関係を適切に保つために、以下説明するプレッシャーパッド部35が設けられ、ラック軸34をピニオン軸32に向けて所定の押圧力で押圧している。プレッシャーパッド部35は、ギヤボックス30からピニオン軸32の軸線方向と直交する方向に突出する略円筒形のハウジング30a内に設けられている。
【0018】
プレッシャーパッド部35は、ローラ36、ニードル軸受37、ピン軸38、軸受ホルダ39、パッド40、コイルスプリング41、アジャストスクリュウ42から構成されている。ハウジング30a内に配置された軸受ホルダ39にピン軸38が保持されており、このピン軸38にローラ36がニードル軸受37を介して回転自在に支持されている。
【0019】
ローラ36は、ラック軸34のラック歯34aが形成されている側と反対側の外周面34cに転がり接触するとともに、その反対側はパッド40に転がり接触している。コイルスプリング41がパッド40とアジャストスクリュウ42との間に配置されており、パッド40はコイルスプリング41の弾撥力によりローラ36をラック軸34に向けて押圧する。
【0020】
以上の構成により、アジヤストスクリュウ42を回転して軸方向に移動させることにより、コイルスプリング41によるパッド40及びローラ36を介してラック軸34に向かう押圧力を調整し、ラック歯34aとピニオン歯32aとの噛合状態を適切に設定することができる。このような転がり式ピニオン・ラック機構によれば、ピニオンとラックとの間に高い負荷が掛かる場合でも、適切な噛合状態が維持され、伝導効率を大幅に向上させることができる。
【0021】
図3は、操舵補助モータ25とウォームギヤ減速機構の構成を示す部分断面図である。この構成の特徴は、モータ25の減速機構に使用されるウォームホイール51とウォーム52とから構成されるウォームギヤ機構において、操舵補助モータ25の回転軸25aとウォーム軸52aとは、図示を省略してあるがスプライン結合されており、ウォーム軸52aは軸方向に移動可能に構成されている。なお、50はウォームギヤ機構のケーシングを示す。
【0022】
この構成において、ウォーム軸52aの両端のフランジ部52cとウォーム軸受53との間に弾性体であるゴムパッド54を配置してある。なお、55はウォーム軸受53とゴムパッド54との間に挿入されたブッシュを示す。
【0023】
この構成によれば、ウォーム軸52aに大きな軸方向の力、例えばキックバック力が作用した場合、ウォーム軸52aは軸方向に移動して過大な負荷を逃すことができる。即ち、路面からキックバックを受けてウォームホイール51が回転したとき、ゴムパッド54の弾性域(移動可能範囲)では、ウォームホイール51の回転はウォームホイール51に噛合するウォーム52のウォーム軸52aに発生するトルクが操舵補助モータ25の摩擦力及び慣性力に打ち勝つまではウォーム軸52aは軸方向に変位し、操舵補助モータ25に伝達されない。
【0024】
即ち、路面からのキックバックをウォームホイール51が受け、ウォームホイール51が回転力を受けても、ゴムパッド54が弾性変形してウォーム軸52aは軸方向に移動し、キックバックの衝撃がゴムパッド54に吸収される。
【0025】
このような構造によれば、ゴムパッド54によるウォーム軸52aの移動可能範囲では、キックバック力が操舵補助モータ25に作用せず、また、ラック・ピニオン機構に負荷が集中することを防ぐことができる。また、このような構造によれば、ゴムパッド54の制振作用により、転がり式ラック・ピニオン機構の欠点である制振作用の不足を補うので、ラトル音の発生を防ぐことができる。
【0026】
[ハンドル戻し制御]
次に、本発明の特徴部分であるハンドル戻し制御について説明する。運転者が操向ハンドルを操作して車両がカーブを通過するとき、ステアリング装置はタイヤが路面から受ける抵抗により中立点、即ち直線走行位置に戻るような力を受ける。このため、車両がカーブを通過し終えたとき、運転者が操向ハンドルから手を離すと、ステアリング装置は路面から受ける抵抗により自然に中立点に復帰し、操向ハンドルは逆方向に回転する。このような動作を一般に「ハンドル戻し」と呼ばれている。
【0027】
電動パワーステアリング装置では、操舵補助モータと操舵軸との間に減速機構が設けられているから、減速機構の摩擦等によりステアリング装置の中立点への復帰が悪くなる。このため、操舵補助モータを駆動してステアリング装置を中立点へ復帰させるように制御する必要がある。
【0028】
この場合、前記したように中立点と実際に車両が直線走行する位置とはずれている場合があるので、実際に車両が直線走行する中立点を推定する必要がある。また、推定した中立点には誤差が含まれるから、推定中立点を挟んで所定の舵角範囲では操舵補助モータを駆動する電流値を零に設定するデッドバンドを設けることで、推定中立点の誤差に基づく操舵の際の違和感を解消できる。
【0029】
さらに、中立点の推定の際の誤差が小さくなつたときは、それに応じてデッドバンドの幅を小さく設定することで、デッドバンドの幅が固定値の場合よりも操舵の際の違和感なしに、良好なハンドル戻しが得られる。
【0030】
次に、中立点の推定の手法について説明する。中立点の推定はファジー推論の手法によるもので、図4はファジー推論により中立点の推定を行う中立点推定部200の構成を説明する図である。なお、図4に示す中立点推定部200は電子制御回路20のCPUで実行される機能を示したものである。
【0031】
図4において、210は舵角速度ωを入力として舵角速度ωに関連する中立点推定度C1 を出力する第1のファジー推論器である。車両が直進している状態では操向ハンドルは操作されてなく、舵角速度ω=0のはずである。従つて第1のファジー推論器210では、舵角速度ω=0(零)のときC1 =1を出力し、舵角速度ωが零以外ではωの絶対値が大きくなる程小さい値C1 (C1 <1)を出力するようにメンバーシップ関数が設定されている。
【0032】
220は操舵トルクTを入力として操舵トルクTに関連する中立点推定度C2 を出力する第2のファジー推論器である。車両が直進している状態では操向ハンドルは操作されてなく、操舵トルクT=0のはずである。従つて、第2のファジー推論器220では、操舵トルクT=0(零)のときC2 =1を出力し、操舵トルクTが零以外ではTの絶対値が大きくなる程小さい値C2 (C2 <1)を出力するようにメンバーシップ関数が設定されている。
【0033】
240は車速Vと前記C1 とC2 との積が零でない(C1 ×C2 ≠0)状態の経過時間tを入力とし、車速Vと前記C1 とC2 との積が零でない(C1 ×C2 ≠0)状態の経過時間tに関連する中立点推定度C4 を出力する第3のファジー推論器である。車両が直進している状態は車速Vが高い程その状態が維持される確立が高く、また、操向ハンドルが中立点にある確立が高い。そこで、第3のファジー推論器240では、車速Vが高速であるほどC4 の値が高くなるように、また、その状態が継続する経過時間tが長い程C4 の値が高くなるようにメンバーシップ関数が設定されている。
【0034】
停車中或いは車速Vが時速30km程度までの低速領域では、パーキングのための操舵が行なわれている可能性が高いので、操向ハンドルが中立点にある状態が少なく、またパーキングの際に、操向ハンドルを切つた状態でパーキングする場合もあるから、低速領域で中立点の推定を行うと中立点を誤る可能性が高い。このため、時速30km以下では中立点推定度C4 を、C4 =0(零)に設定しておく。
【0035】
中立点推定部200は、上記した第1のファジー推論器210の中立点推定度C1 と第2のファジー推論器220の中立点推定度C2 とを入力として乗算し、出力C3 を出力する乗算器230と、乗算器230の出力C3 と上記した第3のファジー推論器240の中立点推定度C4 とを入力として乗算し、中立点推定度C5 を出力する乗算器250とを備え、中立点の推定を行う。
【0036】
中立点推定度C5 はメモリに格納されている前回中立点推定度Cm と比較され、C5 ≧Cm 、即ち今回の中立点推定度C5 の方が高い場合は、メモリに格納されている中立点推定度Cm をC5 で更新し、今回演算された中立点推定度が決定された中立点推定度C5 を中立点推定度Cm として出力される。
【0037】
このように、今回の中立点推定度C5 の方が高い場合には、前回中立点推定度Cm を更新することで、中立点の推定精度を高めることができる。以下、中立点の推定処理を図5のフローチヤートを参照して説明する。
【0038】
まず、舵輪軸12に設けられた舵角センサ13で検出された舵角θrを読取り、1回目の検出か否かを判定する(ステップP1、P2)。1回目の検出であれば、不揮発性メモリに書き込まれてある前回の中立点の値θmを初期推定中立点θcとし、中立点推定度メモリに格納されている推定度Cm を0にクリヤする(ステップP3)。ステップP2の判定で1回目の検出でない場合はステップP3の処理は省かれる。
【0039】
舵角センサ13から出力される舵角速度ωを読み取り(ステップP4)、検出舵角θrと推定中立点θcとの差(θ=θr−θc)を、推定中立点θcを基準とした舵角θとして演算する(ステップP5)。
【0040】
前記した第1のファジー推論器210の処理、即ち舵角速度ωを入力として中立点推定度C1 を演算し(ステップP6)、前記した第2のファジー推論器220の処理、即ち操舵トルクTを入力として中立点推定度C2 を演算する(ステップP7)。さらに、乗算器230により中立点推定度C1 とC2 を乗算して中立点推定度C3 を求め(ステップP8)、中立点推定の精度を高める。
【0041】
中立点推定度C3 が零か否かを判定し(ステップP9)、零でない値であれば操向ハンドルは中立点付近にあると推定し、その状態の継続時間tをカウントし(ステップP10)、零のときは操向ハンドルは中立点以外にあると推定し、その状態の継続時間tをカウントするカウンタをリセットする(ステップP11)。
【0042】
前記した第3のファジー推論器240の処理を行う。即ち、車速V及び前記継続時間tを入力とし、中立点推定度C4 を演算する(ステップP12)。さらに、乗算器250により中立点推定度C3 とC4 を乗算して中立点推定度C5 を求め(ステップP13)、中立点推定の精度を高める。
【0043】
メモリに格納されている前回中立点推定度Cm と今回演算して得られた中立点推定度C5 とを比較し(ステップP14)、C5 ≧Cm 、即ち今回の中立点推定度C5 のほうが高い場合は、その時の舵角θrを推定中立点θcとし(θc←θr)、不揮発性メモリに格納されている中立点の舵角θmを舵角θrで更新し(θm←θr)、前回中立点推定度メモリに格納されている推定度Cm をC5 で更新(Cm ←C5 )する(ステップP15)。
【0044】
ステップP14の判定で、C5 ≧Cm でない場合は、ステップP15の更新処理は行なわない。以上で中立点推定処理を終了し、主ルーチンに戻る。
【0045】
次に、中立点の推定処理の結果を使用して実行されるハンドル戻し制御部について説明する。図6はハンドル戻し制御部400の構成を説明する図である。
【0046】
図6において、310は先に決定された中立点推定度Cm を入力として、ハンドル戻し時の操舵補助モータの電流を規定する電流指令値の大きさを決定するパラメータKを出力するファジー推論器である。中立点推定度Cm の推定精度が高まれば、パラメータKは次第に大きくなり最終的には1となるように設定されている。
【0047】
また、320は先に決定された中立点推定度Cm を入力として、ハンドル戻し時の操舵補助モータへ供給する電流値を零に設定するデッドバンドの幅を決定するパラメータDを出力するファジー推論器である。中立点推定度Cm の推定精度が高まれば、パラメータDは次第に小さくなり最終的には零になるように設定されている。
【0048】
また、340はハンドル戻し時における車速に対応する電流指令値IrのゲインGを決定する演算器で、低車速では高ゲインのパラメータが出力され、高車速になるほど低ゲインのパラメータが出力されるように設定されている。
【0049】
330は、ハンドル戻し時の操舵補助モータへ供給する電流指令値を決定する演算器で、舵角θに対して電流指令値Irを図示の特性ように設定する。即ち、デッドバンドの幅DDは、舵角θに対して予め設定されている設定値θd1にファジー推論部から出力されたパラメータDを乗算した値(D×θd1)に、舵角θに対して予め設定されている設定値θd2を加算した値{(D×θd1)+θd2}に設定する。中立点推定度Cm の推定精度が高まれば、デッドバンドの幅DDは次第に狭くなり、最終的には設定値θd2の幅となる。
【0050】
これにより、中立点推定度Cm が低い場合、即ち推定誤差が大きい場合は、パラメータDの値が大きくなるから、デッドバンドの幅DDは広く設定されると共に、パラメータKの値が小さくなるため、ハンドル戻しのための電流指令値Irは小さく設定され、推定誤差が大きくても安全にハンドルを中立点に戻すことができる。
【0051】
また、中立点推定度Cm が高い場合、即ち推定誤差が小さい場合は、パラメータDの値が小さくなるから、デッドバンドの幅DDは狭く設定されると共に、パラメータKの値が大きくなるため、ハンドル戻しのための電流指令値Irは大きく設定され、迅速にハンドルを中立点に戻すことができる。
【0052】
ハンドル戻し時の電流指令値Irは、ファジー推論器から出力されたパラメータKに係数Mを乗算した値(K×M)で決定される。係数Mは電流指令値Irの勾配を決定するもので、舵角が大きくなる程電流指令値Irが大きくなるように設定されている。
【0053】
図7は、上記した中立点推定度Cm が低い場合と高い場合とについて、舵角θとハンドル戻し時の電流指令値Irの関係を示すもので、線▲1▼は中立点推定度Cm が低い場合を、線▲2▼は中立点推定度Cm が高い場合を示している。図7から明らかなように、中立点推定度Cm が低い場合は舵角θが大きくともハンドル戻し時の電流指令値Irは小さく設定され、推定誤差があつても安全にハンドルを中立点に戻すことができることを示し、また、中立点推定度Cm が高い場合は、舵角θが小さくともハンドル戻し時の電流指令値Irは大きく設定され、迅速にハンドルを中立点に戻すことができることを示している。
【0054】
ハンドル戻し時の電流指令値Irと、演算器340から出力される車速に対応したゲインGとは、乗算器350で乗算され、操舵補助モータに供給される電流指令値Iを補正する補正電流指令値Irhが出力される。
【0055】
ハンドル戻し時の電流指令値Irと車速に対応したゲインGとを乗算することにより、車速が高速の場合は補正電流指令値Irhは小さく設定されるから安全にハンドルを中立点に戻すことができる。また、車速が低速の場合は補正電流指令値Irhは大きく設定されるから軽いハンドル操作によりハンドル中立点に戻すことができる。以下、上記したハンドル戻し制御部の処理を図8のフローチヤートを参照して説明する。
【0056】
まず、中立点推定処理で使用された舵角θrと、舵角θrと推定中立点θcとの差(θ=θr−θc)を読み出す(ステップP21、P22)。ファジー推論部310に先に求めた中立点推定度Cm を入力し、パラメータKを演算し、ファジー推論部320に先に求めた中立点推定度Cm を入力し、パラメータDを演算する(ステップP23、P24)。
【0057】
演算部330において、ハンドル戻し時の操舵補助モータへ供給する電流指令値Irを演算し(ステップP25)、ゲインGを演算する演算部340において車速に対するゲインGを演算する(ステップP26)。さらに電流指令値IrとゲインGを乗算してハンドル戻し時における補正電流指令値Irhを演算し(ステップP27)、処理を終了して主ルーチンに戻る。
【0058】
[電子制御回路]
図9は、電子制御回路20の構成を示すブロック図である。電子制御回路20はCPUで構成されており、図9はその機能を示すブロック図である。
【0059】
操舵トルクTは操舵補助モータへ供給する電流指令値を演算する操舵補助指令値演算部100及びセンタ応答性改善部101に入力され、各出力は加算器102において加算され、加算結果はトルク制御演算部103に入力される。
【0060】
トルク制御演算部103の出力はモータロス電流補償部104に入力され、その出力は、加算器105を経て最大電流制限部106に入力され、最大電流値が制限されて電流制御部110に入力される。電流制御部110の出力は、Hブリッジ特性補償部111を経て電流ドライブ回路112に入力され、操舵補助モータ25を駆動する。
【0061】
操舵補助モータ25の電流値iは、モータ電流オフセット補正部120を経てモータ角速度推定部121、電流ドライブ切換部122及び電流制御部110に入力され、モータ端子電圧Vmはモータ角速度推定部121に入力される。
【0062】
また、電流ディザ信号発生部130が設けられており、電流ディザ信号発生部130からの出力とモータ角加速度推定部・慣性補償部123の出力は加算器131で加算され、その加算結果は加算器105でモータロス電流補償部104の出力と加算される。
【0063】
モータ角速度推定部121で推定された角速度ωmはモータ角加速度推定部・慣性補償部123、モータロストルク補償部124及びヨーレート推定部125に入力される。ヨーレート推定部125の出力は収れん制御部126に入力され、収れん制御部126の出力及びモータロストルク補償部124は加算器127で加算される。なお、以上説明した電子制御回路20の構成と機能の詳細は、本出願人が先に出願した特願2000−154284号明細書に開示されている。
【0064】
さらに、電子制御回路20には、先に説明したハンドル戻し時の制御を行うために、中立点推定部200とハンドル戻し制御部400が付加されている。
【0065】
即ち、操舵トルクT、車速V、舵角θr及び舵角速度ωを入力とする中立点推定部200から出力された中立点推定度Cm はハンドル戻し制御部400に入力される。
【0066】
ハンドル戻し制御部400から出力されたハンドル戻し時の電流指令値を補正する補正電流指令値Irhと加算器127の出力とは、加算器150で加算され、その加算結果は、操舵補助指令値演算部100及びセンタ応答性改善部101の出力と加算器102において加算され、ハンドル戻し時に適した操舵補助のための電流指令値Iの補正が行なわれる。
【0067】
以上説明したこの発明の実施の形態では、電動パワーステアリング装置に転がり式ピニオン・ラック機構を採用しているが、これは従来のピニオン・ラック機構よりも機構部の摩擦を低減することができるので、この発明によるハンドル戻し制御と組み合わせることでステアリング機構の中立点への戻りを一層良くすることができる。このほか、中立点への戻りが良くなるので、ハンドル戻し制御における中立点の推定精度を高めることができる等の効果が得られる。
【0068】
【発明の効果】
以上詳細に説明したとおり、この発明によれば、ステアリング機構の中立点を推定するに際して、検出された舵角、舵角速度、操舵トルクに基づいて中立点を推定し、推定した中立点にステアリング機構を戻すように操舵補助モータの電流指令値を演算し、操舵補助モータを駆動制御するものである。
【0069】
舵角、舵角速度、操舵トルク等の多数のパラメータを使用して中立点を推定し、繰り返し演算により推定値を更新するから、精度の高い中立点の推定を行うことができる。
【0070】
また、推定した中立点情報を入力とするファジー推論によりハンドル戻し時の操舵補助モータの電流を規定するパラメータ、ハンドル戻し時のデッドバンドの幅を規定するパラメータ、車速に対応した操舵補助モータの電流を規定するパラメータなど多数のパラメータを使用して操舵補助モータの電流指令値を補正するから中立点推定値の精度が高く、ハンドル戻し時に精度よくステアリング機構を戻すことができ、良好な操舵感覚の電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【0071】
さらに、ハンドル戻し制御と転がり式ピニオン・ラック機構を組み合わせるときはステアリング機構の中立点への戻りを一層改善することができ、さらに良好な操舵感覚の電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハンドル戻し制御を実施するに適した電動パワーステアリング装置の構成の概略を説明する図。
【図2】転がり式ピニオン・ラック機構の要部の構成を示す断面図。
【図3】操舵補助モータとそのモータの減速機構の構成を示す部分断面図。
【図4】中立点の推定を行うファジー推論部の構成を説明する図。
【図5】中立点の推定処理を説明するフローチヤート。
【図6】ハンドル戻し制御部の構成を説明する図。
【図7】中立点推定度が低い場合と高い場合とについて、舵角θとハンドル戻し時の電流指令値Irの関係を示す図。
【図8】ハンドル戻し制御部におけるハンドル戻し処理を説明するフローチヤート。
【図9】電子制御回路の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
10 電動パワーステアリング装置
11 操向ハンドル
12 舵輪軸
13 舵角センサ
14 トルクセンサ
16a、16b ユニバーサルジョイント
17 転がり式ラック・ピニオン機構
18 タイロッド
20 電子制御回路
23 車速センサ
25 操舵補助モータ
26 クラッチ
27 減速ギア
30 ギヤボックス
31 入力軸
32 ピニオン軸
34 ラック軸
35 プレッシャーパッド部
36 ローラ
37 ニードル軸受
38 ピン軸
39 軸受ホルダ
41 コイルスプリング
51 ウォームホイール
52 ウォーム
52a ウォーム軸
54 ゴムパッド
200 中立点推定部
210 第1のファジー推論器
220 第2のファジー推論器
230 乗算器
240 第3のファジー推論器
250 乗算器
310 パラメータKを出力するファジー推論器
320 パラメータDを出力するファジー推論器
340 ゲインGを決定する演算器
350 乗算器
400 ハンドル戻し制御部

Claims (5)

  1. 少なくとも操舵トルク検出手段を備え、検出された操舵トルクに基づいて演算された電流指令値に基づいてステアリング機構に結合された操舵補助モータを駆動制御する電動パワーステアリング装置において、
    ステアリングシャフトに入力された舵角を検出し、舵角速度を出力する舵角センサと、
    車速を検出する車速センサと、
    前記ステアリング機構の中立点を推定する中立点推定手段と、
    前記推定された中立点にステアリング機構を戻すように操舵補助モータの電流指令値を演算し、操舵補助モータを駆動制御する制御手段と
    を備え、
    前記中立点推定手段は、検出された舵角速度を入力とするファジー推論により推定した第1の中立点推定度と、検出された操舵トルクを入力とするファジー推論により推定した第2の中立点推定度と、第1の中立点推定度と第2の中立点推定度との積が零でない状態の継続時間と検出された車速を入力とするファジー推論により推定した第3の中立点推定度とに基づいてステアリング機構の中立点を推定する中立点推定手段であること
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記制御手段は、前記中立点推定手段により推定された中立点情報を入力とするファジー推論により推定したハンドル戻し時の操舵補助モータの電流を規定する第1のパラメータ、ハンドル戻し時のデッドバンドの幅を規定する第2のパラメータ、及び車速に対応したゲインとに基づいて演算されたハンドル戻し時の補正電流指令値により操舵補助モータの電流指令値を補正すること
    を特徴とする請求項に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記ステアリング機構は転がり式ラック・ピニオン機構であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記ステアリング機構はラック・ピニオン機構であり、ピニオン軸から操舵補助モータ軸までの伝動機構中に弾性体を介在させたことを特徴とする請求項1または請求項のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記ステアリング機構は転がり式ラック・ピニオン機構であり、ピニオン軸から操舵補助モータ軸までの伝動機構中に弾性体を介在させたことを特徴とする請求項1または請求項のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
JP2000184413A 2000-06-20 2000-06-20 電動パワーステアリング装置 Expired - Fee Related JP4470283B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000184413A JP4470283B2 (ja) 2000-06-20 2000-06-20 電動パワーステアリング装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000184413A JP4470283B2 (ja) 2000-06-20 2000-06-20 電動パワーステアリング装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002002516A JP2002002516A (ja) 2002-01-09
JP4470283B2 true JP4470283B2 (ja) 2010-06-02

Family

ID=18684859

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000184413A Expired - Fee Related JP4470283B2 (ja) 2000-06-20 2000-06-20 電動パワーステアリング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4470283B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3600510B2 (ja) * 2000-07-19 2004-12-15 三菱電機株式会社 電動式パワーステアリング装置の制御装置
US6570352B2 (en) 2000-11-17 2003-05-27 Nsk Ltd. Control unit for electric power steering apparatus
JP3966274B2 (ja) 2003-12-04 2007-08-29 トヨタ自動車株式会社 操舵制御装置
JP4696698B2 (ja) * 2004-08-20 2011-06-08 日本精工株式会社 電動パワーステアリング装置
JP4852964B2 (ja) * 2005-10-14 2012-01-11 日本精工株式会社 電動パワーステアリング装置の制御装置
KR100761210B1 (ko) 2006-03-16 2007-09-21 현대모비스 주식회사 이피에스의 토크 노이즈 저감 장치
JP5092510B2 (ja) * 2006-11-20 2012-12-05 日本精工株式会社 絶対舵角検出装置
KR100889282B1 (ko) 2007-12-18 2009-03-19 티알더블유스티어링(주) 패턴인식을 통한 차량의 속도감응식 조향장치

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002002516A (ja) 2002-01-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3461721B1 (en) Vehicle control apparatus
JP3493568B2 (ja) 自動車の舵取装置
JP3517863B2 (ja) 操舵制御装置
JP4248739B2 (ja) 電動パワーステアリング制御装置及びその制御方法
JP4430459B2 (ja) 車両のスタビライザ装置
JP5126357B2 (ja) 車両の操舵装置
JP4984110B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5313729B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
US7832522B2 (en) Vehicle steering system, vehicle including the same and method for turning wheel of vehicle
JP4872378B2 (ja) 電動パワーステアリング装置の制御装置
JP2002087309A (ja) 自動車の電動パワーステアリング装置
JP4470283B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
EP1211160B1 (en) Electric power steering system
JP3658681B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4661210B2 (ja) 車両用操舵制御装置
JP4013783B2 (ja) 車両のパワーステアリング装置
JP3952796B2 (ja) 車両用操舵装置
JP2913334B2 (ja) 電動式パワステアリング装置の制御装置
JP4228946B2 (ja) 電動パワーステアリング制御装置
JPH05213222A (ja) 電気式パワーステアリング装置のハンドル復元制御装置
JP4375558B2 (ja) 伝達比可変操舵装置
JPH0240537B2 (ja) Sharyoyodendopawasutearingusochinoseigyohoshiki
JP3010898B2 (ja) パワーステアリング装置
JPH05229445A (ja) 電気式パワーステアリング装置のハンドル復元制御装置
JP4000782B2 (ja) 電動パワーステアリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070524

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090721

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090723

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090901

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100209

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100222

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130312

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4470283

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130312

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140312

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees