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JP4466160B2 - 有機el素子及び有機elディスプレイ - Google Patents

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JP4466160B2 JP2004100515A JP2004100515A JP4466160B2 JP 4466160 B2 JP4466160 B2 JP 4466160B2 JP 2004100515 A JP2004100515 A JP 2004100515A JP 2004100515 A JP2004100515 A JP 2004100515A JP 4466160 B2 JP4466160 B2 JP 4466160B2
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Description

本発明は、有機EL(エレクトロルミネッセンス、電界発光)素子及び有機ELディスプレイに関する。
有機ELディスプレイなどに用いられる有機EL素子の分野では、真空蒸着法により低分子化合物を用いて有機層を形成する技術(例えば非特許文献1参照)に基づいて各種類デバイスが試作され、現在実用化の段階を迎えつつある。
その一方で、有機層の構成材料としてポリマー材料を用いた有機EL素子の開発が進められている。このような有機EL素子は、一般的には、π共役系ポリマーを用いたπ共役型のもの(例えば、特許文献1参照)と、非共役系ポリマー中に色素を分散した分子分散型のもの(例えば、非特許文献2、3参照)とに大別される。このうち、非共役型の有機EL素子は、所定のドーパントをホストポリマーに混ぜることにより、目的の色を高い色純度で得ることができるという利点を有している。
特開平10−92576号公報 Applied Physics Letters, vol.51, p913 (1987) Polymer, vol.24, p748 (1983) Applied Physics Letters, vol.75, No.1, p4 (1999)
しかしながら、近時、有機EL素子の素子特性の更なる向上が求められており、上記従来の有機EL素子であっても、かかる要求に応えるためには未だ改善の余地がある。特に、非π共役系ポリマーを用いた従来の有機EL素子の場合、その寿命は十分とは言えず、発光効率などの素子特性が比較的短時間で低下してしまう。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、発光効率などの素子特性を長期間にわたって高水準に維持することが可能な長寿命の有機EL素子及び有機ELディスプレイを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造単位を有するビニルポリマーを有機層の構成材料とすることで上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の有機EL素子は、互いに対向して配置された一対の電極と、該電極間に配置され、下記一般式(1)で表される構造単位を有するビニルポリマーを含有する有機層と、を備えることを特徴とする。
Figure 0004466160
(式中、Aはアントラセン環構造を有する2価の発光性基を示し、Xはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基又はアミノ基を示し、mは0〜7の整数を示し、nは1以上の整数を示す。)
本発明の有機EL素子においては、上記特定のビニルポリマーを有機層に含有せしめることで、当該有機層の耐熱性及び耐電特性、さらには隣接層との密着性を十分に向上させることができる。したがって、本発明により、長時間又は繰り返し駆動させた場合であっても、発光効率、発光輝度などの素子特性を高水準に維持することができる長寿命の有機EL素子が実現可能となる。
なお、本発明による上述の効果は、Aを含む側鎖基の末端側(発光性基Aに対してポリビニル鎖と反対側)の置換基の種類によってビニルポリマーの寿命が異なり、並びに当該置換基としてナフチル基を導入したビニルポリマーがアルキル基、フェニル基等を導入したビニルポリマーよりも長寿命であるという本発明者らの知見に基づくものである。
なお、ビニルポリマーを長寿命化する方法として、アントラセニル基などの発光性基を側鎖基の末端側に導入し、側鎖基に−A−A−で表される構造を形成させる方法が考えられる。しかし、2つの発光性基同士を直接結合させる反応は、通常、収率が低く、目的のビニルポリマーを得るためには煩雑な操作や工程数の増加を伴うため実用的ではない。これに対して、本発明の場合は、側鎖基へのナフチル基の導入を容易に且つ確実に行うことができるため、ビニルポリマーの製造コスト及び製造容易性の点でも有用である。
また、上記一般式(1)で表される構造単位を有するビニルポリマーは、下記一般式(2)で表される構造単位を有することが好ましい。下記一般式(2)で表される構造単位を有するビニルポリマーを用いることで、有機EL素子を一層長寿命化させることができるようになる。
Figure 0004466160
(式中、Ar及びArは同一でも異なっていてもよく、それぞれ置換若しくは未置換のフェニレン基又は置換若しくは未置換のナフチレン基を示し、Xはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基又はアミノ基を示し、aは1又は2を示し、bは0又は1を示し、mは0〜7の整数を示し、nは1以上の整数を示す。)
本発明に係るビニルポリマーはそれ自身が発光性を有するため、発光材料として使用してもよいが、当該ビニルポリマーはキャリア輸送性に特に優れるものである。したがって、本発明においては、有機層が発光性ドーパントを更に含有することが好ましい。この場合、本発明に係るビニルポリマーは有機層においてホスト材料として機能することになる。
また、本発明の有機ELディスプレイは、互いに対向して配置された一対の電極と、該電極間に配置され、上記一般式(1)で表される構造単位を有するビニルポリマーを含有する有機層と、を有する有機EL素子が複数配列された表示部、該一対の電極それぞれに電気的に接続されており、該電極に電圧又は電流を供給する電力供給部、並びに有機EL素子のそれぞれを点灯又は消灯するスイッチング部、を備えることを特徴とする。
このように、表示部において上記本発明の有機EL素子を配列し、さらに電力供給部及びスイッチング部により当該表示部を駆動することによって、輝度や色表示機能に優れ、長寿命の有機ELディスプレイが実現可能となる。
本発明によれば、発光効率などの素子特性を長期間にわたって高水準に維持することが可能な長寿命の有機EL素子及び有機ELディスプレイが提供される。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
先ず、本発明の有機EL素子において、有機層に含まれるビニルポリマーについて説明する。本発明にかかるビニルポリマーは、下記一般式(1)で表される構造単位を有する。
Figure 0004466160
一般式(1)中、Aはアントラセン環構造を有する2価の発光性基を示す

また、一般式(1)中、Xはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基又はアミノ基を示し、mは0〜7の整数を示す。なお、mが2〜7の整数である場合、ナフチル基に置換したX同士は同一でも異なっていてもよい。
Xがアルキル基である場合、アルキル基は直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。また、アルキル基は未置換のものが好ましいが、置換基を有していてもよい。アルキル基の炭素数は1〜30が好ましい。好ましいアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基などが挙げられる。
Xがアルコキシ基である場合、アルコキシ基を構成するアルキル基は直鎖状又は分岐鎖状であってもよい。また、アルコキシ基は未置換のものが好ましいが、置換基を有していてもよい。アルコキシ基の炭素数は1〜30が好ましい。好ましいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基などが挙げられる。
Xがアリール基である場合、アリール基は置換又は未置換のいずれであってもよいが、アリール基の総炭素数は6〜20が好ましい。好ましいアリール基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ビフェニリル基などが挙げられる。
Xがアリールオキシ基である場合、アリールオキシ基を構成するアリール基は置換又は未置換のいずれであってもよいが、アリールオキシ基の総炭素数は6〜20が好ましい。好ましいアリールオキシ基としては、フェノキシ基、o−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基などが挙げられる。
Xが複素環基である場合、複素環基は5員環基又は6員環基であることが好ましい。複素環基は縮合環を有していてもよく、また、置換基を有していてもよい。また、複素環基は芳香族性を有していても芳香族性を有していなくてもよい。好ましい複素環基としては、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、チエニル基、フリル基などが挙げられる。
Xがハロゲン原子である場合、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
Xがアミノ基である場合、アミノ基は置換又は未置換のいずれであってもよく、例えば上述のアルキル基やアリール基を有するものであってもよい。アミノ基の総炭素数は0〜20が好ましい。好ましいアミノ基としては、狭義のアミノ基(−NH)、メチルアミノ基、エチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。
また、一般式(1)中のnは1以上の整数を示し、好ましくは、ビニルポリマーの重量平均分子量が10,000〜1,000,000の範囲内となるような整数である。
本発明に係るビニルポリマーとしては、前述の通り、一般式(1)中のAがアントラセン環構造を有する2価の発光性基であるものが好ましく用いられるが、それらの中でも、アントラセン骨格の10位にナフチル基が結合したものが好ましく、下記一般式(2)で表される構造単位を有するビニルポリマーが特に好ましい。
Figure 0004466160
一般式(2)中、Ar及びArは同一でも異なっていてもよく、それぞれ置換若しくは未置換のフェニレン基又は置換若しくは未置換のナフチレン基を示す。Ar及びArの置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基又はアミノ基などが挙げられる。また、aは1又は2を示し、bは0又は1を示す。なお、bが0の場合には、アントラセン骨格の10位にナフチル基が直接結合した構造となる。
また、X、m及びnはそれぞれ一般式(1)中のXと同義である。すなわち、Xはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基又はアミノ基を示し、mは0〜7の整数を示し、nは1以上の整数を示す。
一般式(2)で表される構造単位を有するビニルポリマーの具体例としては、下記式(3)〜(11)で表される構造単位を有するビニルポリマーが挙げられる。
Figure 0004466160
Figure 0004466160
Figure 0004466160
Figure 0004466160
Figure 0004466160
Figure 0004466160
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Figure 0004466160
Figure 0004466160
本発明にかかるビニルポリマーは、その原料となるビニルモノマーの重合により得ることができる。重合方法は特に制限されず、ラジカル重合法、カチオン重合法、アニオン重合法などにより容易に重合可能である。
次に、本発明の有機EL素子について説明する。
図1は本発明の有機EL素子の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示した有機EL素子9においては、基板1上には陽極層2(第1の電極層)及び絶縁体層6がこの順で積層されており、絶縁体層6の発光領域に対応する部分には陽極層2が露出するように開口部が設けられている。そして、この露出した陽極層2上に、有機層3、陰極層4(第2の電極層)がこの順で積層され、基板1/陽極層2/有機層3/陰極層4の積層構造が形成されている。有機層3には、上記式(1)で表される構造単位を有するビニルポリマーが含まれている。また、有機EL素子9の陰極層2側の面は、非発光領域の絶縁体層6上に設けられたスペーサー7を介して、封止板5により封止されている。
(基板)
基板1としては、ガラス、石英などの非晶質基板、Si、GaAs、ZnSe、ZnS、GaP、InPなどの結晶基板、Mo、Al、Pt、Ir、Au、Pd、SUSなどの金属基板などを用いることができる。また、結晶質又は非晶質のセラミック、金属、有機物などの薄膜を所定基板上に形成したものを用いてもよい。
基板1の側を光取出し側とする場合には、基板1としてガラスや石英などの透明基板を用いることが好ましく、特に、安価なガラスの透明基板を用いることが好ましい。透明基板には、発色光の調整のために、色フィルター膜や蛍光物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜などを設けてもよい。
(陽極層)
陽極層2は、有機層3へのホール注入電極として機能する。そのため、陽極層2の材料としては、有機層にホールを効率よく注入できる材料が好ましく、より具体的には、仕事関数が4.5〜5.5eVである材料が好ましい。
また、基板1の側を光取出し側とする場合、有機EL素子の発光波長領域である波長400〜700nmにおける透過率、特にRGB各色の波長における透過率は、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。陽極層2の透過率が50%未満であると、有機層3からの発光が減衰されて画像表示に必要な輝度が得られにくくなる。
光透過率の高い陽極層2は、各種酸化物で構成される透明導電膜を用いて構成することができる。かかる材料としては、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)などが好ましく、中でも、ITOは、面内の比抵抗が均一な薄膜が容易に得られる点で特に好ましい。ITO中のInに対するSnOの比は、1〜20重量%が好ましく、5〜12重量%がより好ましい。また、IZO中のInに対するZnOの比は12〜32重量%が好ましい。上記材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、陽極層2を構成する酸化物の組成は化学量論組成から多少偏倚していてもよい。例えば、ITOは、通常、InとSnOとを化学量論組成で含有するが、ITOの組成をInO・SnOで表すとき、xは1.0〜2.0の範囲内、yは0.8〜1.2の範囲内であればよい。
また、陽極層2に酸化シリコン(SiO)などの透明な誘電体を添加することにより、陽極層2の仕事関数を調整することができる。例えば、ITOに対して0.5〜10mol%程度のSiOを添加することによりITOの仕事関数を増大させ、陽極層2の仕事関数を上述の好ましい範囲内とすることができる。
陽極層2の膜厚は、上述の光透過率を考慮して決定することが好ましい。例えば酸化物透明導電膜を用いる場合、その膜厚は、好ましくは50〜500nm、より好ましくは50〜300nmであることが好ましい。陽極層2の膜厚が500nmを超えると、光透過率が不十分となると共に、基板1からの陽極層2の剥離が発生する場合がある。また、膜厚の減少に伴い光透過性は向上するが、膜厚が50nm未満の場合、有機層3へのホール注入効率が低下すると共に膜の強度が低下してしまう。
なお、図1には基板1上に陽極層2を配置し、有機層3を介して基板1から遠い側に陰極層4を配置した有機EL素子の例を示したが、陽極層2及び陰極層4の位置は逆であってもよい。基板1上に陰極層4を配置した場合、陰極層4側を光取出し側とすることができるが、この場合には、陰極層4が上述の光学的条件及び膜厚条件を満たすことが好ましい。
(絶縁体層)
本発明の有機EL素子においては、図1に示したように、陽極層2上の非発光領域には絶縁体層6を設けることが好ましい。かかる絶縁層6を設けることで、発光面積を制御して色のにじみを抑制することができる。絶縁層6の材料としては、一般的な絶縁膜材料、例えばSiOやAlなどを適宜選択して用いることができる。絶縁体層6の膜厚は1〜7μm程度が好ましい。絶縁体層6の発光領域に対応する部分には、フォトリソグラフィ及びエッチングの手法により、陽極層2が露出するように開口部が設けられ、この露出した陽極層2上に有機層3、陰極層4(第2の電極層)がこの順で積層される。これにより、陽極層2と有機層3との電気伝導が確保される。
(有機層)
有機層3は、上述の通り、本発明にかかるビニルポリマーを含有し、さらに発光用ドーパントを含有してもよい。
ここで、発光用ドーパントとしては、目的とする発光色に応じて適宜選定可能である。例えば、燐光発光ドーパントとして、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))などのイリジウム錯体、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(PtOEP)などのポルフィリン環を有する白金錯体、などを用いることができる。また、青色発光ドーパントとしては、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体、スチリルアミン誘導体、フルオランテン誘導体などを用いることができる。発光用ドーパントの割合は、ポリマーを重合する前の重合性モノマーの全量に対して、好ましくは1〜15重量%である。
有機層3は、単層構造、多層構造のいずれであってもよく、多層構造の場合は有機層3を構成する複数の層のいずれか一層が本発明にかかるビニルポリマーを含有すればよい。
例えば、発光層と陽極層との間にホール輸送層を、発光層と陰極層との間に電子輸送層を、それぞれ配置し、陽極層から近い順にホール輸送層/発光層/電子輸送層が積層された多層構造の有機層とすることができる。これにより、陽極層及び陰極層それぞれから発光層に注入されるホール及び電子の注入能力、並びにこれらの電荷の移動度を制御することができる。このような多層構造の有機層においては、発光層又はキャリア輸送層の一方又は双方が本発明にかかるビニルポリマーを含有することが好ましい。これにより、有機EL素子のさらなる長寿命化を達成することができる。
また、本発明にかかる有機層は、発光層と陽極層の間に電子ブロック層を、発光層と陰極層との間にホールブロック層を有していてもよい。これらのキャリアブロック層は、後述するポリマー、あるいはさらにホール輸送性材料や電子輸送性材料を用いて形成可能である。
また、キャリアブロック層に発光用ドーパントを添加して発光層兼キャリアブロック層とし、これを別個に設けられた発光層と積層することで、複数の層からの発光を得ることもできる。
有機層3は、上述した材料以外にさらに発光材料を含有してもよい。かかる発光材料としては、本発明にかかるビニルポリマーの他、ポリパラフェニレンビニル構造、ポリパラフェニレン構造、ポリアミン構造、ポリチオフェン構造、ポリフルオレン構造などを有するπ共役系ポリマー、ベンゼン環構造、ナフタレン環構造、アントラセン環構造、ナフタセン環構造、ピレン環構造、フェナントレン環構造、フェナントロリン環構造、フルオランテン環構造、フルオレン環構造などを有するビニルポリマー(非π共役系ポリマー)、などが挙げられる。
また、有機層3は、ホール輸送性材料、電子輸送性材料などの他のキャリア輸送性材料をさらに含有してもよい。
ホール輸送性材料としては、低分子材料、高分子材料のいずれも使用可能である。ホール輸送性低分子材料としては、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などが挙げられる。また、ホール輸送性高分子材料としては、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸共重合体(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリスチレンスルホン酸共重合体(Pani/PSS)などが挙げられる。これらのホール輸送性材料は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、電子輸送性材料としては、低分子材料、高分子材料のいずれも使用可能である。電子輸送性低分子材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレン及びその誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、フェナントロリン及びその誘導体、並びにこれらの化合物を配位子とする金属錯体などが挙げられる。また、電子輸送性高分子材料としては、ポリキノキサリン、ポリキノリンなどが挙げられる。これらの電子輸送性材料は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、低分子材料とその使用形態については、例えば、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報などに開示の技術を用いることができる。
有機層3は、塗布法により好適に形成することができる。かかる塗布の際には、目的とする層の構成材料を所定の溶媒に加えた塗布液が用いられる。例えば、発光層を形成する際には、本発明にかかるビニルポリマー及び、必要に応じて発光用ドーパントを所定の溶媒に加えた塗布液が用いられる。溶媒は、本発明にかかるビニルポリマーが溶解し、塗布の際に障害が生じないものであれば特に限定されない。例えば、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エーテル系などの有機溶媒を用いることができる。中でも、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどが好ましい。本発明にかかるビニルポリマーの溶媒への溶解量は、ビニルポリマーの構造や分子量等に応じて適宜選定されるが、好ましくは0.1重量%以上である。
このようにして調製された塗布液を、絶縁体層6の陽極層2が露出した開口部を覆うように塗布し、塗布液から溶媒を除去する。この塗布及び溶媒除去を有機層の構成層ごとに順次行うことで、有機層3が形成される。塗布液の塗布方法としては、特に制限されないが、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、インクジェット法、印刷法などが適用可能である。また、塗布液からの溶媒の除去は、減圧下又は不活性ガス雰囲気下、好ましくは30〜200℃、より好ましくは60〜100℃の温度で加熱乾燥することにより行うことができる。
有機層3の膜厚は特に制限されず、また、形成方法によっても異なるが、好ましくは5〜500nm、より好ましくは10〜300nmである。
(陰極層)
陰極層4は有機層3に電子を注入する層として機能する。陰極層4の具体的態様としては、無機電子注入層、有機金属錯体の塗布膜からなる電子注入層、金属塩の塗布膜からなる電子注入層などが挙げられる。また、これらの電子注入層に補助電極層が積層した積層体を陰極層4としてもよい。かかる積層体の場合、無機電子注入層、有機金属錯体の塗布膜、金属塩の塗布膜が有機層3に近い側に配置され、補助電極層は有機層3から遠い側に配置される。
無機電子注入層を形成する場合には、有機層3への電子注入が容易となるように、仕事関数が低い無機材料を選択することが好ましい。かかる無機材料としては、Li、Na、K、Csなどのアルカリ金属、Mg、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属、LiF、CsIなどのアルカリハロゲン化物などが挙げられる。また、La、Ce、Sn、Zn、Zrなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属と特性が近い金属を用いることができる。これらの中でも、Caは仕事関数が非常に低いため特に好ましい。
無機電子注入層の膜厚は、有機層3への電子注入が可能であれば特に制限されないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を用いる場合は、好ましくは0.1〜100nm、より好ましくは1.0〜50nmである。また、アルカリハロゲン化物を用いる場合の膜厚は、有機層3への電子注入能力の点からできるだけ薄い方が好ましく、具体的には、10nm以下が好ましく、1nm以下がより好ましい。
また、有機金属錯体の塗布膜からなる電子注入層は、例えば、有機金属錯体を所定溶媒に加えた塗布液を、スピンコート法などの塗布法により有機層3上に塗布し、塗布液から溶媒を除去することで形成可能である。かかる有機金属錯体としては、β−ジケトナト錯体、キノリノール錯体などが使用可能である。有機金属錯体が有する金属は、仕事関数が低いものであれば特に制限されないが、例えば、Li、Na、K、Csなどのアルカリ金属、Mg、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属、さらには、La、Ce、Sn、Zn、Zrなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属と特性が近い金属が挙げられる。また、有機金属錯体の塗布膜に電子輸送性高分子材料等をさらに含有せしめることで、電子注入層の電気特性や有機層3に対する密着性をさらに向上させることができる。有機金属錯体の塗布膜からなる電子注入層の膜厚は、有機層3への電子注入能力の点から、できるだけ薄い方が好ましく、具体的には、10nm以下が好ましく、1nm以下がより好ましい。
有機金属錯体の塗布膜からなる電子注入層と保護電極層との合計の膜厚、すなわち陰極層4全体の膜厚は、有機層3への電子注入が可能であれば特に制限されないが、陰極層4全体の膜厚は好ましくは50〜500nmである。なお、電子注入層に対する保護電極層の膜厚が薄すぎると上述の効果が十分に得られなくなり、また、補助電極の膜厚が厚すぎると補助電極層による応力が増大してダークスポットの成長速度が大きくなる傾向にある。
また、金属塩の塗布膜からなる電子注入層は、金属塩を所定溶媒に加えた塗布液を、スピンコート法などの塗布法により有機層3上に塗布し、塗布液から溶媒を除去することにより形成可能である。かかる金属塩に含まれる金属としては、Ag、Al、Au、Be、Bi、Co、Cu、Fe、Ga、Hg、Ir、Mo、Mn、Nb、Ni、Os、Pb、Pd、Pt、Re、Ru、Sb、Sn、Ti、Zrなどが挙げられる。
また、当該金属塩は有機金属塩、無機金属塩のいずれであってもよい。有機金属塩としては、置換又は未置換の脂肪族カルボン酸塩、二価カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、アルコラート、フェノラート、ジアルキルアミドなどが挙げられる。また、無機金属塩としてはハロゲン化物などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸塩の脂肪族カルボン酸は、飽和脂肪族カルボン酸、不飽和脂肪族カルボン酸のいずれであってもよい。飽和脂肪族カルボン酸塩としては、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、イソオクタン酸、デカン酸、ラウリン酸などの金属塩が挙げられる。また、不飽和脂肪族カルボン酸塩としては、オレイン酸、リシノレイン酸、リノール酸などの金属塩が挙げられる。
二価カルボン酸塩としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸など二価カルボン酸の金属塩が挙げられる。
芳香族カルボン酸塩としては、安息香酸、o−tert−ブチル安息香酸、m−tert−ブチル安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸などの金属塩が挙げられ、中でもサリチル酸の金属塩が好ましい。
アルコラートはアルコールの金属塩である。アルコラートを構成するアルコール成分としては、例えば、エタノール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどの一級アルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなどの二級アルコール、tert−ブチルアルコールなどの三級アルコールなどが挙げられる。
フェノラートはフェノール類の金属塩である。フェノラートを構成するフェノール成分が有する水酸基の個数は特に制限されないが、好ましくは1〜2個である。また、かかるフェノール成分は水酸基の他に置換基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基)を有していてもよい。本発明では、フェノール、ナフトール、4−フェニルフェノールなどが好ましく用いられる。
また、無機金属塩であるハロゲン化物としては、例えば、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素などの金属塩が挙げられる。
これらの電子注入層上には補助電極層を設けることが好ましい。これにより、有機層3への電子注入効率を向上させることができ、また、有機層3や電子注入層への水分又は有機溶媒の侵入を防止することができる。補助電極層の材料としては、仕事関数及び電荷注入能力に関する制限がないため、一般的な金属を用いることができるが、導電率が高く取り扱いが容易な金属を用いることが好ましい。また、特に電子注入層が有機材料を含む場合には、有機材料の種類や密着性などに応じて適宜選択することが好ましい。補助電極層に用いられる材料としては、具体的には、Al、Ag、In、Ti、Cu、Au、Mo、W、Pt、Pd、Niなどが挙げられるが、中でもAl及びAgなどの低抵抗の金属を用いると電子注入効率をさらに高めることができる。また、TiNなどの金属化合物を用いることにより一層高い封止性を得ることができる。これらの材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。また、2種以上の金属を用いる場合は合金として用いてもよい。
(スペーサー及び封止板)
図1に示したように、有機EL素子9の陰極層4側を封止板5により封止することで、有機層3、さらには陽極層2及び陰極層4の劣化を防止することができる。この際、絶縁層6上の非発光領域にスペーサー7を配置し、スペーサー7と封止板5とを接着することにより、有機EL素子9の陰極層4側表面と封止板5との接触を防止することができる。スペーサー7は、有機材料、無機材料(金属材料を含む)のいずれであってもよい。また、フォトレジストや感光性ポリイミドなどの感光性材料を用い、フォトリソグラフィなどの手法によりスペーサー7を形成することもできる。さらには、接着剤とガラススペーサーなどの絶縁体とを混合し、その混合物をスペーサー7の形成領域に塗布してもよい。
有機EL素子9の陰極層4側表面と封止板5及びスペーサー7とにより形成される空間には封止ガスを封入することが好ましい。かかる封止ガスとしては、Ar、Heなどの不活性ガスを用いることが好ましい。封止ガスの水分含有量は、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下である。なお、封止ガスの水分含有量の下限値については特に制限されないが、0.1ppm程度であれば、有機層3、陽極層2、陰極層4などの劣化防止効果が高く非常に好ましい。
上記実施形態によれば、本発明にかかるビニルポリマーを有機層3に含有せしめることで、有機EL素子の長寿命化を達成することができる。かかる有機EL素子は、有機ELディスプレイ、さらにはメモリ読み出しや書き込みに利用される光ピックアップ、光通信の伝送路に設けられる中継装置、フォトカプラなどの様々な光応用デバイスの分野で非常に有用である。
次に、本発明の有機ELディスプレイについて説明する。
図2は、本発明の有機ELディスプレイの好適な一実施形態を示すブロック図である。図2に示した有機ELディスプレイはパッシブ駆動方式のものであり、青色発光素子を励起光源とする色変換方式の有機ELディスプレイである。なお、色変換方式とは、三色の蛍光元素を高エネルギー線の可視光発光により励起する方法である。色変換方式の場合、有機EL素子の有機層において青色発光を生じさせ、その青色発光を励起光エネルギー線として緑色及び赤色の蛍光面を励起して緑色光及び赤色光を得ることが多い。青色が緑色及び赤色に変換されるため色変換方式と呼ばれる。
図2中、表示部14は、基板1、基板1の一側に形成された陽極層2(第1の電極層)、陽極層2上に形成された有機層3、及び有機層3上に形成された陰極層4(第2の電極層)で構成される複数の有機EL素子9が二次元配列されたものである。ここで、有機EL素子9のそれぞれにおいては、3個の発光領域(例えば13a、13b、13c)に対応して、本発明にかかるビニルポリマー及び青色発光用ドーパントを含有する3個の有機層3(発光層)が形成されている。なお、3個の発光領域のうち、1個は青色発光領域であり、残りの2つは緑色発光領域及び赤色発光領域である。
基板1の材料としては、例えば、ガラス、石英、樹脂などの透明又は半透明の材料が好ましい。
基板1上には、上述のように、1個の有機EL素子に形成される3個の発光領域のうちの2つに対応する領域に蛍光変換フィルター膜が設けられ、当該蛍光変換フィルター膜により発光色のコントロールが行われて緑色発光領域及び赤色発光領域となる。蛍光変換フィルター膜が設けられない発光領域は青色発光領域である。
蛍光変換フィルター膜は、有機層3での電界発光による光を吸収し、膜中の蛍光体から吸収光と異なる色の光を放出することで発光色の色変換を行うものであり、一般的には蛍光体、光吸収体及びバインダーを含んで構成される。蛍光変換フィルター膜の形成は、フォトリソグラフィや印刷などの手法を利用したパターニングにより行うことができる。この場合、蛍光変換フィルター膜の材料は、微細なパターニングを形成可能なものが好ましく、また、上層(陽極層2など)の形成工程でダメージを受けにくいものが好ましい。
蛍光変換フィルター膜に含まれる蛍光体としては、蛍光量子収率が高いものが好ましく、また、レーザー色素のように発光素子の発光波長領域での光吸収性が高いものが好ましい。かかる蛍光体としては、例えば、ローダミン系化合物、ペリレン系化合物、シアニン系化合物、サブフタロなどを含むフタロシアニン系化合物、ナフタロイミド系化合物、縮合環炭化水素系化合物、縮合複素環系化合物、スチリル系化合物、クマリン系化合物などが挙げられる。なお、蛍光体自体の光吸収性が不十分である場合には光吸収体を併用することが好ましく、かかる光吸収体としては蛍光を消光しないものが好ましい。
バインダーは、蛍光を消光しないものであれば特に制限されず、公知のバインダーの中から適宜選択して用いることができる。
また、有機EL素子9の構成材料や蛍光変換フィルター膜が吸収し得る短波長の外光をカットするカラーフィルターを蛍光変換フィルター膜と組み合わせると、素子の耐光性や表示コントラストがさらに向上するので好ましい。
また、表示部14においては、2個の陽極層2が、それぞれ有機EL素子9の3個の発光領域13a〜13cを通るように、基板1上及び蛍光変換フィルター膜上に相互に並列に形成されている。ここで、陽極層2は、発光領域13a〜13cを完全に覆わずに、発光領域13a〜13cそれぞれの一部が露出するように配置されている。また、陽極層2は複数(図2では2個)の有機EL素子の共通電極であり、各陽極層2の一端には後述する電力供給部8が電気的に接続されている。このようなストライプ状の陽極層2は、例えば、蛍光変換フィルター膜がパターニングされた基板1上にITO膜を成膜した後、パターニング及びエッチング処理を行うことにより形成可能である。
なお、詳細は図示していないが、陽極層2を形成した後、その上にSiO層やAl層などの絶縁体層を設けることが好ましい。そして、発光領域に対応する絶縁体層の領域をエッチング等により開口し、この開口部に有機層3を形成することが好ましい。
また、表示部14においては、本発明にかかるビニルポリマー及び青色発光用ドーパントを含有する有機層3が、有機EL素子9の各発光領域に対応して、陽極層2を跨いで発光領域を覆うように形成されている。かかる有機層3はスピンコート法などの塗布法により好適に形成することができる。
また、表示部14においては、6個の陰極層4が、有機EL素子9の発光領域に対応して有機層3上を通るように形成されている。陰極層4それぞれは複数(図2では2個)の有機EL素子の共通電極であり、各陰極層4の一端には後述するスイッチング部10が電気的に接続されている。
本実施形態のようにパッシブ駆動方式の有機ELディスプレイの場合には、図2に示したようにストライプ状の陽極層2とストライプ状の陰極層4とを互いに直交するように配置することが好ましい。このとき、各発光領域における陽極層2と陰極層4との交点がディスプレイの一画素に相当する。
表示部14の非発光領域には、有機EL素子9毎にスペーサー7が設けられている。このスペーサー7に封止板(図示せず)を接着することで、陰極層4側の面が封止される。
図2に示した有機ELディスプレイにおいては、表示部14における表示をコントロールする駆動部11が、陽極層2及び陰極層4に電流又は電圧を供給する電力供給部8、有機EL素子9に点滅の制御信号を送るスイッチング部10及びこれらの制御論理回路12を含んで構成されている。電力供給部8は陽極層2に、スイッチング部10は陰極層4にそれぞれ電気的に接続されており、また、電力供給部8とスイッチング部10とは制御論理回路12を介して電気的に接続されている。表示部14における有機EL素子9の駆動方式は特に制限されず、例えば、直流駆動、パルス駆動、交流駆動などが適用可能である。駆動の際には、直流、パルス又は交流の電流又は電圧を供給することが好ましく、印加電圧としては2〜30V程度が好ましい。
上記実施形態によれば、本発明にかかるビニルポリマー及び青色発光ドーパントを有機層3に含有せしめることで、発光領域において色純度の高い青色発光を得ることができ、またその特性を長期にわたって安定的に維持することができる。この青色発光は、青色発光領域においてはそのまま基板1側から取り出される。また、緑色発光領域及び赤色発光領域においては、それぞれ青色発光を励起光エネルギー線として蛍光変換フィルター膜中の緑色及び赤色に対応する蛍光体を励起することによって、緑色光及び赤色光が基板1側から取り出される。従って本実施形態により、輝度や色表示機能に優れ、長寿命の有機ELディスプレイが実現可能となる。
なお、本発明の有機ELディスプレイは上記実施形態に限定されるものではなく、想定されるディスプレイ製品に必要な輝度、寿命、消費電力、コストなどを勘案して決定することができる。例えば、図2にはいわゆるパッシブ駆動方式の有機ELディスプレイを示したが、本発明の有機ELディスプレイは、ポリシリコンTFTなどを用いたアクティブ駆動方式のフルカラーディスプレイであってもよい。
また、本発明の有機ELディスプレイをフルカラーディスプレイとする場合、赤、緑、青(RGB)の三原色の発光素子を形成することによりフルカラー表示が実現されるが、フルカラー表示方式は、上記実施形態で示した色変換方式の他、RGB三色並置方式、白色発光方式などのいずれであってもよい。RGB三色並置方式は、RGB三色の発光素子をそれぞれ発光させる表示方式である。また、白色発光方式は、液晶表示装置などに用いられる三色カラーフィルターにより、白色発光の波長の一部をカットしてフルカラー表示する方式である。白色発光方式及び色変換方式の場合、三色の発光素子を用意する必要はなく、発光素子の形成を簡素化でき、大面積化にも容易に対応できる。
本発明の有機ELディスプレイにおいては、有機EL素子の発光層に添加する発光用ドーパントを適宜選択することにより、上記のいずれのカラー表示方式であっても適用することができる。例えば、有機EL素子の有機層に青色発光用ドーパントを含有せしめて発光層とすることで、色変換方式を好ましく適用することができる。また、有機EL素子の発光層に燐光発光用ドーパントを含有せしめることで、燐光発光によるRGB三色並置方式を好ましく適用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、下記反応式(A)に従い、上記式(4)で表される構造単位を有するビニルポリマー(重量平均分子量:30,000)を合成した。
Figure 0004466160
次に、得られたビニルポリマーの2.0wt%トルエン溶液を調製し、さらにポリマー中のモノマーユニットに対して2wt%の割合で、発光性ドーパントとしてのテトラフェニルブタジエンを添加し、発光層用塗布液を得た。この塗布液を用いて、以下のような手順で有機EL素子を作製した。
ITO基板上に、スピンコート法によりポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)を含む塗布液を塗布し、180℃にて5分間窒素中で乾燥して50nmの膜厚に成膜し、ホール輸送層を形成した。その後、上記の発光層用塗布液をホール輸送層上に塗布して180℃にて1時間真空乾燥し、膜厚100nmの発光層を形成した。さらに、LiFを膜厚0.6nm、Alを膜厚250nmとなるように、この順で真空蒸着して陰極とし、陰極側の面を封止して目的の有機EL素子を得た。
得られた有機EL素子においては、テトラフェニルブタジエンに由来する青色発光が得られた。また、得られた有機EL素子の電流効率は、10mA/cmの定電流駆動時に3.4cd/Aであった。さらに、10mA/cmの定電流駆動により輝度半減寿命試験を行ったところ、輝度半減寿命は1010時間であった。
(実施例2)
下記反応式(B)に従い、上記式(3)で表される構造単位を有するビニルポリマー(重量平均分子量:21,000)を合成した。
Figure 0004466160
このようにして得られたビニルポリマーを、式(4)で表される構造単位を有するビニルポリマーの代わりに用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子においては、テトラフェニルブタジエンに由来する青色発光が得られた。また、得られた有機EL素子の電流効率は、10mA/cmの定電流駆動時に3.8cd/Aであった。さらに、10mA/cmの定電流駆動により輝度半減寿命試験を行ったところ、輝度半減寿命は980時間であった。
(比較例1)
下記反応式(C)に従ってビニルポリマー(重量平均分子量:18,000)を合成した。
Figure 0004466160
このようにして得られたビニルポリマーを、式(4)で表される構造単位を有するビニルポリマーの代わりに用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子においては、テトラフェニルブタジエンに由来する青色発光が得られた。また、得られた有機EL素子の電流効率は、10mA/cmの定電流駆動時に3.2cd/Aであった。さらに、10mA/cmの定電流駆動により輝度半減寿命試験を行ったところ、輝度半減寿命は600時間であった。
(比較例2)
下記反応式(D)に従ってビニルポリマー(重量平均分子量:33,000)を合成した。
Figure 0004466160
このようにして得られたビニルポリマーを、式(4)で表される構造単位を有するビニルポリマーの代わりに用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子においては、テトラフェニルブタジエンに由来する青色発光が得られた。また、得られた有機EL素子の電流効率は、10mA/cmの定電流駆動時に4.0cd/Aであった。さらに、10mA/cmの定電流駆動により輝度半減寿命試験を行ったところ、輝度半減寿命は580時間であった。
本発明の有機EL素子の好適な一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の有機ELディスプレイの好適な一実施形態を示すブロック図である。
符号の説明
1…基板、2…陽極層(第1の電極層)、3…有機層、4…陰極層(第2の電極層)、5…封止板、6…絶縁体層、7…スペーサー、8…電力供給部、9…有機EL素子、10…スイッチング部、11…駆動部、12…制御論理回路、13…発光領域、14…表示部。

Claims (4)

  1. 互いに対向して配置された一対の電極と、
    該電極間に配置され、下記一般式(1)で表される構造単位を有するビニルポリマーを含有する有機層と、
    を備えることを特徴とする有機EL素子。
    Figure 0004466160
    (式中、Aはアントラセン環構造を有する2価の発光性基を示し、Xはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基又はアミノ基を示し、mは0〜7の整数を示し、nは1以上の整数を示す。)
  2. 上記一般式(1)で表される構造単位を有するビニルポリマーが下記一般式(2)で表される構造単位を有することを特徴とする、請求項に記載の有機EL素子。
    Figure 0004466160
    (式中、Ar及びArは同一でも異なっていてもよく、それぞれ置換若しくは未置換
    のフェニレン基又は置換若しくは未置換のナフチレン基を示し、Xはアルキル基、アルコ
    キシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基又
    はアミノ基を示し、aは1又は2を示し、bは0又は1を示し、mは0〜7の整数を示し
    、nは1以上の整数を示す。)
  3. 前記有機層が発光性ドーパントを更に含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機EL素子。
  4. 互いに対向して配置された一対の電極と、該電極間に配置され、下記一般式(1)で表される構造単位を有するビニルポリマーを含有する有機層と、を有する有機EL素子が複数配列された表示部、
    前記一対の電極それぞれに電気的に接続されており、該電極に電圧又は電流を供給する電力供給部、並びに
    前記有機EL素子のそれぞれを点灯又は消灯するスイッチング部、
    を備えることを特徴とする有機ELディスプレイ。
    Figure 0004466160
    (式中、Aはアントラセン環構造を有する2価の発光性基を示し、Xはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基又はアミノ基を示し、mは0〜7の整数を示し、nは1以上の整数を示す。)
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